特許第6623992号(P6623992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6623992
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】カウルルーバー
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20191216BHJP
   B60H 1/28 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   B62D25/08 H
   B60H1/28
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-184306(P2016-184306)
(22)【出願日】2016年9月21日
(65)【公開番号】特開2018-47787(P2018-47787A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2018年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山本 洋平
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−329829(JP,A)
【文献】 実開平03−047810(JP,U)
【文献】 特開平06−092137(JP,A)
【文献】 実開平07−030108(JP,U)
【文献】 実開平05−068707(JP,U)
【文献】 実開平05−086760(JP,U)
【文献】 実開平07−017612(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
B60H 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウルトップパネルに固定されている固定部と、同固定部から上方に立設している壁部と、同壁部に接続されている天井部と、を備え、前記カウルトップパネルと合わせて空間を区画形成するカウルルーバーであって、
前記天井部は前記空間に向けて突出している係合部を有し、
前記天井部には、前記空間と車外とを連通していて且つ保護片が掛け渡されている開口部が形成され、同開口部は前記空間内に配置されている網体によって覆われており、
前記網体は、同網体に形成されている係合孔に前記係合部が挿入された状態で前記天井部に支持されており、
前記壁部と前記天井部との接続部分には、前記網体をガイドするためのガイド面を有するガイド部が設けられており、
前記ガイド面は、前記保護片のうちの前記空間に臨む面である内面に沿う方向のうち、前記壁部に接近する方向で、前記開口部から前記壁部に近づくにつれて徐々に下方に位置するように傾斜しているとともに、前記網体の端部に対して前記壁部に接近する方向から対向している
ことを特徴とするカウルルーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に設けられているカウルルーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のカウルルーバーは、エンジンフードとフロントウィンドガラスとの間に設けられている。図6には、こうしたカウルルーバーの一例が図示されている。図6に示すように、カウルルーバー49は、カウルトップパネル50に固定されている固定部51と、固定部51から上方に立設している壁部52と、同壁部52に接続されている天井部53と、を備えている。この天井部53は、カウルトップパネル50よりも上方に配置されている。そしてカウルルーバー49は、カウルトップパネル50と合わせて空間54を区画形成している。例えば、この空間54は、外気を車載のエアコンに導くための通路の一部を構成している。天井部53には、空間54と車外とを連通する開口部55が形成されている。この開口部55には保護片56が架け渡されており、開口部55は空間54内に配置されている網体58によって覆われている。なお、この網体58には係合孔が形成されており、保護片56には空間54に向けて突出する係合部が設けられている場合、網体58は、係合孔に係合部が挿入された状態で天井部53に支持されている。
【0003】
なお、特許文献1には、上記のような開口部が網体によって覆われているカウルルーバーの一例が記載されている。この特許文献1に記載のカウルルーバーでは、開口部に掛け渡されている保護片の一部分で網体を係合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平07−030108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、網体の大きさのバラツキは天井部への網体の組み付け性などを考慮し、網体58における係合孔の口径を保護片56における係合部の直径よりも大きくすることがある。この場合、係合孔に係合部が挿入されていて天井部53に網体58が支持されている状態でも、保護片56のうちの空間54に臨む面である内面57に沿って網体58が変位してしまうことがある。例えば、内面57に沿う方向のうち、壁部52に接近する方向(図6では左方向)を規定方向Yとし、同規定方向Yに網体58が変位した場合には、網体58の端部58aが壁部52に当接してしまうことがある。こうして壁部52に網体58の端部58aが当接してしまうと、網体58が撓んでしまうことになる。このとき、網体58のうちの開口部55に対向する部分が撓んでしまうことがあり、この場合には塵埃や雪などの異物が開口部55を介して空間54内に侵入してしまうおそれがある。
【0006】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、網体のうちの開口部に対向する部分が撓んでしまうことを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためのカウルルーバーは、カウルトップパネルに固定されている固定部と、同固定部から上方に立設している壁部と、同壁部に接続されている天井部と、を備え、前記カウルトップパネルと合わせて空間を区画形成するものである。このカウルルーバーにおいて、前記天井部は前記空間に向けて突出している係合部を有し、前記天井部には、前記空間と車外とを連通していて且つ保護片が掛け渡されている開口部が形成され、同開口部は前記空間内に配置されている網体によって覆われており、前記網体は、同網体に形成されている係合孔に前記係合部が挿入された状態で前記天井部に支持されており、前記壁部と前記天井部との接続部分には、前記保護片のうちの前記空間に臨む面である内面に沿う方向のうち、前記壁部に接近する方向で、前記開口部から前記壁部に近づくにつれて徐々に下方に位置するように傾斜している面を有するガイド部が設けられている。
【0008】
上記構成によれば、網体は、その係合孔に天井部の係合部が挿入された状態で同天井部に支持されているものの、保護片の内面に沿って網体が変位し、同網体の端部が壁部と天井部との接続部分に当接してしまうことがある。上記構成では同接続部分にガイド部が設けられているため、このような場合には網体の端部がガイド部の上記面に当接することとなる。上記面は、保護片の内面に沿う方向のうち、壁部に接近する方向で、開口部から壁部に近づくにつれて徐々に下方に位置するように傾斜しているため、上記のように網体が変位しても、網体の端部が上記面に沿って変形するようになる。このように網体のうちの開口部に対向している部分以外の部分である網体の端部が撓むことで、網体のうちの開口部と対向する部分が撓んでしまうことを抑制することができる。そのため、開口部を介した上記空間内への異物の侵入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】カウルルーバーの一実施形態を備える車両の前方部分の斜視図。
図2】同カウルルーバーの一部分と、その周辺とを示す平面図。
図3図2の3−3線に沿った断面図。
図4図2の4−4線に沿った断面図。
図5】(a)に示す状態から、(b)に示す状態へと網体が変位した場合の作用について説明するための作用図。
図6】従来のカウルルーバーの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、カウルルーバーの一実施形態について、図1〜5を参照して説明する。なお、各図において、矢印Fは車両前方を、矢印Rは車両後方を、それぞれ示している。
図1に示すように、車両10におけるエンジンフード12とフロントウィンドガラス11との間に、樹脂成形品であるカウルルーバー19が設けられている。
【0011】
図2に示すように、カウルルーバー19には、詳しくは後述する開口部25が形成されている。この開口部25には、車両10の幅方向(図2の左右方向)に延びている複数の保護片26が架け渡されているとともに、車両10の前後方向(図2の上下方向)に延びている複数の保護片27A,27Bが架け渡されている。車両10の前後方向に延びている保護片27A,27Bのうち、保護片27Bにおける車両10の幅方向寸法は、保護片27Aにおける車両10の幅方向寸法よりも大きい。なお、本実施形態のカウルルーバー19では、3つの保護片27Bが設けられており、車両10の幅方向で互いに隣り合う各保護片27Bの間には、複数の保護片27Aが等間隔に配置されている。また、図2及び図3に示すように、カウルルーバー19における車両10の前端部とエンジンフード12との間には、シールゴム31が介在している。
【0012】
図3及び図4に示すように、カウルルーバー19は、カウルトップパネル20と合わせて空間24を区画形成するように構成されている。すなわち、カウルルーバー19は、カウルトップパネル20に固定されている固定部21と、固定部21から上方に立設している壁部22と、壁部22に接続されている天井部23とを備えている。この天井部23は、壁部22との接続部分22aから車両10の後方に延出しており、車両10の上下方向でカウルトップパネル20よりも上方に位置している。そして、この天井部23に開口部25が形成されており、この開口部25によって空間24と車外とが連通されている。
【0013】
なお、車両10では、開口部25を介して空間24内に導入された外気がエアコンに供給されるようになっている。すなわち、この空間24は、外気をエアコンに導くための通路の一部を構成している。そのため、当該エアコンは、供給された外気を利用し、車室内の空気の温度を調整することができる。
【0014】
また、カウルルーバー19は、空間24内に配置されている合成樹脂製の網体28を備えている。この網体28は、天井部23に支持されており、この天井部23に形成されている開口部25を覆っている。
【0015】
図3に示すように、網体28には、その厚み方向(図中上下方向)に貫通している係合孔28hが形成されている。本実施形態では、網体28に形成されている係合孔28hの数は、保護片27Bと同数、すなわち3つである。これら各係合孔28hは、車両10の前後方向における網体28の略中央にそれぞれ配置されている。また、保護片27Bのうちの空間24に臨む面を内面27aとした場合、各保護片27Bには、内面27aから空間24に向けて、すなわち図中下方に突出している係合部27pがそれぞれ設けられている。本実施形態では、係合部27pは、保護片27Bにおける車両10の前後方向の略中央に配置されている。そして、係合孔28hに係合部27pを挿入させることにより、網体28は、開口部25を覆った状態で天井部23に支持されるようになる。なお、係合孔28hの口径は、係合部27pの直径よりも若干大きい。そのため、係合孔28hに係合部27pが挿入されていて天井部23に網体28が支持された状態でも、保護片27Bの内面27aに沿う方向に網体28が変位することがある。
【0016】
壁部22と天井部23との接続部分22aには、ガイド部35が設けられている。ガイド部35は、保護片26,27Bの内面26a,27aに沿う方向のうち、車両10の前後方向でもある規定方向Xで、開口部25の縁部25a(本実施形態では、車両10の前側の縁部)から壁部22に近づくにつれて徐々に下方に位置するように傾斜している面であるガイド面35aを有している。
【0017】
なお、本実施形態では、上記接続部分22aに設けられているガイド部35の数は、開口部25に掛け渡されている保護片27Bと同数、すなわち3つである。そして、各ガイド部35は、車両10の幅方向において、個別対応する保護片27Bと同一位置にそれぞれ配置されている。
【0018】
一方、図4に示すように、上記接続部分22aのうち、車両10の幅方向において保護片27Aと保護片27Bとの間や保護片27Aと同一位置には、ガイド部35が形成されていない。
【0019】
次に、本実施形態のカウルルーバー19の作用を説明する。
上記のとおり、網体28における係合孔28hの口径は保護片27Bにおける係合部27pの直径よりも大きいため、係合孔28hに係合部27pが挿入された状態であっても、網体28が変位することがある。すなわち、網体28が保護片27Bの内面27aに沿う方向に変位することがある。
【0020】
例えば図5(a)に示す状態から図5(b)に示す状態へと網体28が車両10の前方に変位すると、網体28の端部28aが、壁部22と天井部23との接続部分22aに接近し、接続部分22aに設けられている各ガイド部35のガイド面35aに当接することがある。
【0021】
ガイド面35aは、車両10の前方に向かうにつれて徐々に下方に変位するように傾斜している。そのため、車両10の前方に網体28が変位し、網体28の端部28aがガイド面35aに当接すると、網体28の端部28aがガイド面35aの形状に対応するように変形する。つまり、網体28がガイド面35aに当接している状態においては、網体28の端部28aが、規定方向Xにおいて開口部25の縁部25aから離れるにつれて徐々に下方に位置するような形状となる。
【0022】
以上の本実施形態のカウルルーバー19によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)網体28の係合孔28hに保護片27Bの係合部27pが挿入された状態で網体28が車両10の前方に変位したとしても、網体28の端部28aはガイド部35のガイド面35aの形状に対応するように変形する。すなわち、網体28のうち、開口部25に対向していない端部28aを撓ませることで、網体28のうち開口部25に対向する部分が撓んでしまうことを抑制することができる。これにより、塵埃や雪などの異物が開口部25を介して空間24内に侵入してしまうことを抑制できる。
【0023】
(2)なお、開口部25に掛け渡されている保護片26,27A,27Bの形状や本数によっては、網体28を開口部25を通じて車外から視認することができる。このような構成の場合、網体28のうちの開口部25に対向する部分が撓んでいると、カウルルーバーの意匠性の低下を招いてしまう。この点、本実施形態では、網体28のうちの開口部25に対向する部分が撓んでしまうことが抑制されているため、網体28のうちの開口部25に対向する部分が撓むことに起因するカウルルーバー19の意匠性の低下を抑制することができる。
【0024】
(3)網体28が壁部22に接近する方向に変位しても、網体28のうちの開口部25に対向する部分を撓ませないようにする構造の一つとして、規定方向Xで天井部23と壁部22との接続部分22aと開口部25の縁部25aとの距離を長くし、網体28の端部28aが壁部22に当接しないようにする構造を挙げることができる。このような構造を採用した場合、開口部25を規定方向Xにおいて壁部22から離れた位置に設けることとなり、開口部25の開口面積が小さくなってしまう。この場合、開口部25を介した外気のエアコンへの供給量が少なくなりやすい。
【0025】
これに対し、本実施形態では、上記接続部分22aにガイド部35を設けているため、接続部分22aと開口部25の縁部25aとの距離を長くしなくても、網体28のうちの開口部25に対向する部分が撓みにくくなっている。そのため、接続部分22aと開口部25の縁部25aとの距離を短くし、開口部25の開口面積を広くすることが可能となる。
【0026】
(4)そして、このように開口部25の開口面積を広くすることにより、エアコンへの外気の供給量を多くすることが可能となる。そのため、車室内の温度よりも外気温が低い状況下でのエアコンの作動時にあっては、同エアコンへの外気の供給量を増大させることで、車両10のエネルギの利用効率の向上を図ることができる。
【0027】
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・保護片27Bにおける係合部27p及び網体28における係合孔28hについて、その数及び位置は適宜変更可能である。例えば、車両10の前後方向における2箇所にて保護片27Bの係合部27p及び網体28の係合孔28hを形成するようにしてもよい。
【0028】
・壁部22と天井部23との接続部分22aのうち、車両10の幅方向で保護片27Aに対応する位置にも、ガイド部35を形成してもよい。この場合、車両の幅方向で保護片27Bに対応する位置には、ガイド部35を形成しなくてもよい。
【0029】
・網体28のうちの開口部25に対向する部分が撓んでしまうことを抑制できるのであれば、ガイド部35の数は、保護片27Bの数よりも少なくてもよいし、保護片27Bの数よりも多くてもよい。
【0030】
・ガイド部35は、車両10の幅方向に延びる上記接続部分22aの全体に設けられたものであってもよい。
・係合部を、天井部23に設けるのであれば、保護片27B以外の部分に設けてもよい。
【0031】
・壁部22の配設位置は、天井部23の車両10の前方に限らず、例えば天井部23の車両の後方側等、その他の位置であってもよい。
・網体28は金属製であってもよい。
【符号の説明】
【0032】
19…カウルルーバー、20…カウルトップパネル、21…固定部、22…壁部、22a…接続部分、23…天井部、24…空間、25…開口部、25a…縁部、26,27A,27B…保護片、26a,27a…内面、27p…係合部、28…網体、28a…端部、28h…係合孔、35…ガイド部、35a…ガイド面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6