特許第6624013号(P6624013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6624013
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】車両用熱交換システム
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20191216BHJP
   F01P 11/04 20060101ALI20191216BHJP
   F28F 9/00 20060101ALN20191216BHJP
【FI】
   B60K11/04 H
   F01P11/04 B
   !F28F9/00 321
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-216492(P2016-216492)
(22)【出願日】2016年11月4日
(65)【公開番号】特開2018-70108(P2018-70108A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2018年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】奥野 博之
(72)【発明者】
【氏名】小林 翼
(72)【発明者】
【氏名】友広 匡
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−508867(JP,A)
【文献】 特開2007−271149(JP,A)
【文献】 特開2004−196076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
F01P 11/04
F28F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前部に配置された主熱交換器と、
前記主熱交換器の近傍に配置された副熱交換器と、
前記主熱交換器の車両後方側に配置され、前記主熱交換器を冷却するクーリングファンが組込まれたファンシュラウドと、
一端側が前記主熱交換器、前記副熱交換器のそれぞれに接続される第1冷媒用配管と、
一端側が冷媒供給源に接続される第2冷媒用配管と、
前記主熱交換器、前記ファンシュラウドのそれぞれの側部に車両前後方向を長手方向として配索され、前端部が前記主熱交換器よりも車両前方側へ突出し、かつ、前記第1冷媒用配管の他端側に接続され、後端部が前記主熱交換器よりも車両後方側へ突出し、かつ、前記第2冷媒用配管の他端側に接続され、車両前後方向中間部が車両後方側へ移動可能に前記主熱交換器の側部に支持され、かつ、前記ファンシュラウドに固定された樹脂製又は金属製の第3冷媒用配管と、
を備えた車両用熱交換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用熱交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両用熱交換システムが開示されている。この熱交換システムでは、車両前部に主熱交換器が配置され、主熱交換器の車両前方側に副熱交換器が配置されている。主熱交換器及び副熱交換器の複数の熱交換器を備えているので、熱交換システムの冷却性能が向上されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−129907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記熱交換システムでは、冷媒を供給する冷媒用リザーブタンク、主熱交換器、副熱交換器のそれぞれが冷媒用配管により接続されている。冷媒用配管の一部は樹脂製又は金属製配管とされ、主熱交換器の側部に配索されると共に、主熱交換器の側部に締結されて固定されている。
ところで、例えば軽い前面衝突が生じると、主熱交換器よりも車両前方側に配置された部品が車両後方側へ移動して、主熱交換器や樹脂製又は金属製配管に当たる。このため、主熱交換器、樹脂製又は金属製配管、或いはこれらの締結箇所に過度の荷重が加わる。このような荷重を受けないためには、改善の余地があった。
【0005】
本発明は上記課題を考慮し、熱交換器や冷媒用配管に生じる荷重を効果的に抑制することができる車両用熱交換システムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明に係る車両用熱交換システムは、車両前部に配置された主熱交換器と、主熱交換器の近傍に配置された副熱交換器と、主熱交換器の車両後方側に配置され、主熱交換器を冷却するクーリングファンが組込まれたファンシュラウドと、一端側が主熱交換器、副熱交換器のそれぞれに接続される第1冷媒用配管と、一端側が冷媒供給源に接続される第2冷媒用配管と、主熱交換器、ファンシュラウドのそれぞれの側部に車両前後方向を長手方向として配索され、前端部が主熱交換器よりも車両前方側へ突出し、かつ、第1冷媒用配管の他端側に接続され、後端部が主熱交換器よりも車両後方側へ突出し、かつ、第2冷媒用配管の他端側に接続され、車両前後方向中間部が車両後方側へ移動可能に主熱交換器の側部に支持され、かつ、ファンシュラウドに固定された樹脂製又は金属製の第3冷媒用配管と、を備える。
【0007】
上記車両用熱交換システムは、主熱交換器と、副熱交換器と、ファンシュラウドと、第1冷媒用配管と、第2冷媒用配管と、第3冷媒用配管とを備える。主熱交換器は車両前部に配置される。副熱交換器は主熱交換器の近傍に配置される。ファンシュラウドは主熱交換器の車両後方側に配置され、ファンシュラウドには主熱交換器を冷却するクーリングファンが組込まれる。
第1冷媒用配管の一端側は主熱交換器、副熱交換器のそれぞれに接続される。第2冷媒用配管の一端側は冷媒供給源に接続される。そして、第3冷媒用配管は、樹脂製又は金属製とされ、主熱交換器、ファンシュラウドのそれぞれの側部に車両前後方向を長手方向として配索される。第3冷媒用配管の前端部は第1冷媒用配管の他端側に接続され、第3冷媒用配管の後端部は第2冷媒用配管の他端側に接続される。
【0008】
ここで、第3冷媒用配管では、前端部が主熱交換器よりも車両前方側へ突出し、後端部が主熱交換器よりも車両後方側へ突出する。そして、第3冷媒用配管の車両前後方向中間部が、車両後方側へ移動可能に主熱交換器の側部に支持され、かつ、ファンシュラウドに固定される。例えば、軽い前面衝突が生じて、主熱交換器よりも車両前方側に配置された部品が車両後方側へ移動し、第3冷媒用配管に当っても、主熱交換器、副熱交換器のそれぞれに対して独立に、第3冷媒用配管を車両後方側へファンシュラウドと共に移動させることができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載された発明に係る車両用熱交換システムは、熱交換器や冷媒用配管に生じる荷重を効果的に抑制することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る車両用熱交換システムの車両前方側から見た斜視図である。
図2図1に示される車両用熱交換システムの一部を車両側面から見た側面図である。
図3】(A)は図1及び図2に示される車両用熱交換システムの冷媒用配管の一部を車両側面から見た側面図、(B)は(A)に示される冷媒用配管の一部を車両前方側から見た前面図である。
図4】(A)は図1に示される車両用熱交換システムの一部を車両底面側から見た拡大底面図、(B)は図1に示される車両用熱交換システムの他の一部を車両底面側から見た(A)に対応する拡大底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施の形態)
図1図4を用いて、本発明の一実施の形態に係る車両用熱交換システムについて説明する。なお、図中、適宜示される矢印FRは車両前方向を示し、矢印INは車両幅方向内側を示す。また、矢印UPは車両上方向を示す。
【0012】
[車両用熱交換システムの構成]
図1に示されるように、本実施の形態に係る車両用熱交換システム10は、自動車等の車両前部に配置されている。具体的には、車両用熱交換システム10は、図示を省略したラジエータグリルよりも車両後方側であって、同様に図示を省略したパワーユニットよりも車両前方側に配置されている。車両用熱交換システム10は、主熱交換器20と、副熱交換器30と、図示を省略したクーリングファンが組込まれたファンシュラウド40と、第1冷媒用配管50と、第2冷媒用配管60と、第3冷媒用配管70とを含んで構成されている。クーリングファンは主に主熱交換器20を冷却する。
【0013】
図1及び図2に示されるように、主熱交換器20は、第1ラジエータ22と、第2ラジエータ24と、エアコンデンサ26とを一体的に組付けた組立体として構成されている。詳しく説明すると、主熱交換器20は、車両前方側から車両後方側へ向かって、エアコンデンサ26、第1ラジエータ22、第2ラジエータ24の順番に配置されている。第1ラジエータ22は、車両幅方向を長手方向とし、車両上下方向を短手方向とし、かつ、車両前後方向を厚さ方向とする矩形状に形成されている。ここで、本実施の形態の車両では過給機システムが採用され、第1ラジエータ22では、図示を省略したインタークーラを循環し冷却する冷媒と主にラジエータグリルから導入される外気との間において熱交換が行われる。冷媒としては、例えば冷却水又は冷却油が使用されている。
【0014】
第2ラジエータ24は、第1ラジエータ22の車両後方側に第1ラジエータ22に対して離間して配置されている。第2ラジエータ24は、車両前方側から見て、第1ラジエータ24と重合う同様の矩形状に形成され、第1ラジエータ24よりも厚さが厚く形成されている。言い換えると、第1ラジエータ22の熱交換能力に対して、第2ラジエータ24の熱交換能力が高い設定とされている。第2ラジエータ24では、図示を省略したパワーユニット、具体的にはガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、モータ、又はガソリンエンジンとモータとのハイブリッドシステムを循環し冷却する冷媒と外気との間において熱交換が行われる。また、第2ラジエータ24は、図示を省略したトランスミッション、具体的にはオートマチックトランスミッション(AT)或いは無段変速機(CVT)を循環し冷却する冷媒と外気との間の熱交換に使用されてもよい。冷媒としては、例えば冷却水又は冷却油が使用されている。
【0015】
エアコンデンサ26は、第1ラジエータ22の車両前方側に第1ラジエータ22に対して離間して配置されている。エアコンデンサ26は、第1ラジエータ22、第2ラジエータ24のそれぞれと重合う矩形状に形成されている。エアコンデンサ26では、図示を省略した空調機の冷凍サイクルの冷媒と外気との間において熱交換が行われる。
【0016】
主熱交換器20は、図4(A)に一部が示されるように、車両幅方向の両側面、上面及び底面に沿って取囲むラジエータサポート84に組付けられている。このラジエータサポート84は、車両幅方向の両側に配設された図示を省略したクラッシュボックスを介してフロントサイドメンバに組付けられている。
【0017】
図1に示されるように、副熱交換器30は主熱交換器20の近傍に配置されている。本実施の形態では、副熱交換器30は、主熱交換器20の車両前方側であって、車両前方側から見て主熱交換器20と重合う位置に配置されている。副熱交換器30は第1冷媒用配管50を通して主熱交換器20の第1ラジエータ22に接続され、この副熱交換器30を含めて、車両用熱交換システム10では、第1ラジエータ22の全体の熱交換能力が高められて冷却性能が向上されている。
なお、副熱交換器30は、副熱交換器30の形状、主熱交換器20の形状、車両前部の内部形状や内部の空きスペースの形状に基づいて、主熱交換器20の上部又は側部に配置されてもよい。このとき、車両前方側から見て一部が重合ってもよい。ここで、主熱交換器20の「近傍」とは、車両前部において、主熱交換器20の近くであって、副熱交換器30が配置可能な主熱交換器20の車両前方側、側部、上部、下部のいずれも含む意味で使用されている。
【0018】
副熱交換器30はサブラジエータサポート34に組付けられている。サブラジエータサポート34は、ここでは図4(A)に一部が示されるラジエータサポート84に組付けられている。
【0019】
図1に示されるように、第1冷媒用配管50は、配管51〜配管54を含んで構成されている。配管51の一端側は、車両前面側から見て、主熱交換器20の右端部の上側に配設された第1ラジエータ22の冷媒供給口28Aに接続されている。配管52の一端側は、車両前面側から見て、副熱交換器30の右端部の上側に配設された冷媒供給口32Aに接続されている。配管53の一端側は、主熱交換器20の冷媒供給口28Aの下側に配設された第1ラジエータ22の冷媒排出口28Bに接続されている。配管54の一端側は、副熱交換器30の冷媒供給口32Aの下側に配設された冷媒排出口32Bに接続されている。配管51〜配管54のそれぞれには、例えば円形の断面形状に形成され、樹脂製や金属製に比べて柔軟性を有するゴム製の配管が使用されている。
【0020】
第2冷媒用配管60は、配管61及び配管62を含んで構成されている。配管61の一端側は、図示を省略したウォータポンプを介して、冷媒供給源としての冷媒用リザーブタンク80の冷媒供給口に接続されている。一方、配管62の一端側は、冷媒用リザーブタンク80の冷媒排出口に接続されている。配管61、配管62のそれぞれには配管51〜配管54のそれぞれと同様のものが使用されている。なお、接続構造は省略するが、図1に示されるように、主熱交換器20の車両後方側には第2ラジエータ24に接続される冷媒用リザーバタンク82が配置されている。
【0021】
図1図2図3(A)及び図3(B)に示されるように、第3冷媒用配管70は、配管71及び配管72を含んで構成されている。配管71は、車両前方側から見て、主熱交換器20、ファンシュラウド40のそれぞれの右側部であって、主熱交換器20及びファンシュラウド40の車両上下方向の中間部に、車両前後方向を長手方向として延設され配索されている。配管71の前端部711は主熱交換器20よりも車両前方側へ突出されている。この前端部711は、車両上方側へ分岐されて曲げられた第1前端部711Aと、車両下方側へ分岐されて曲げられた第2前端部711Bとを有する。第1前端部711Aは第1冷媒用配管50の配管51の他端側に接続されている。第2前端部711Bは配管52の他端側に接続されている。配管71の後端部712は、主熱交換器20よりも車両後方側へ突出され、若干、車両幅方向内側へ曲げられている。後端部712は第2冷媒用配管60の配管61の他端側に接続されている。
【0022】
配管71は、本実施の形態において樹脂製とされ、様々な形状に製作し易くなっている。ここでは、配管71の前端部711、後端部712はいずれも円形の断面形状とされ、配管71の車両前後方向の中間部713は車両上下方向を長軸とする楕円の断面形状に扁平化されている。これにより、車両幅方向に空きスペースを稼ぐことができる。
【0023】
配管72は、配管71と同様に、配管71の下方に車両前後方向を長手方向として延設され配索されている。配管72の前端部721は、主熱交換器20よりも車両前方側へ突出され、車両幅方向内側へ曲げられている。前端部721は、前端部711とは異なり、分岐されていない。前端部721は第1冷媒用配管50の配管53の他端側に接続されている。配管72の後端部722は、主熱交換器20よりも車両後方側へ突出され、後端部712と同様に、車両幅方向内側へ曲げられている。後端部722は第2冷媒用配管60の配管62の他端側に接続されている。
【0024】
配管72は配管71と同一材料により形成されている。配管71と同様に、配管72の前端部721、後端部722のそれぞれは円形の断面形状に形成され、配管72の車両前後方向の中間部723は扁平化されている。
【0025】
図2及び図3(A)に示されるように、第3冷媒用配管70では、配管71の中間部713から車両下方側へ突出する前後一対の連結部714A及び714Bが、配管71に一体に設けられている。一方、連結部714A及び714Bに対応する位置において、配管72の中間部723から車両上方側へ突出する前後一対の被連結部724A及び724Bが、配管72に一体に設けられている。連結部714Aは被連結部724Aに締結部材74Aを用いて締結されて連結されている。締結部材74Aには、例えばボルト及びナットが使用されている。同様に、連結部714Bは被連結部724Bに締結部材74Bを用いて連結されている。
【0026】
また、図2に示されるように、被連結部724Aには車両幅方向外側へ突出された符号を省略したピンが設けられている。このピンは、位置決め用ピン或いは仮止め用ピンとして形成され、連結部714Aに設けられた符号を省略した孔に嵌込まれている。同様に、被連結部724Bにもピンが設けられ、このピンは連結部714Bの孔に嵌込まれている。このように、配管71及び配管72は相互に連結されて一体的に構成されている。
【0027】
図2に示されるように、第3冷媒用配管70は矢印S方向である車両後方側へ移動可能に主熱交換器20の右側部に支持されている。少し詳しく説明すると、図1図2図3(A)及び図4(A)に示されるように、配管71の中間部713には被支持部76が配設されている。被支持部76は、中間部713から車両幅方向内側の主熱交換器20へ向けて突出された台形ブロック状の台座76Aと、台座76Aの前壁から車両前方側へ突出されたピン76Bとを含んで構成されている。台座76A並びにピン76Bは中間部713に一体に形成されている。
一方、主熱交換器20のここでは第1ラジエータ22の右側部であって被支持部76に対応する位置には、車両前後方向へ貫通する貫通孔を有し、この貫通孔内にピン76Bを摺動自在に支持するリング状の支持部22Sが配設されている。つまり、支持部22Sの貫通孔内にピン76Bが挿入されて、第1ラジエータ22の右側部に配管71を含めて第3冷媒用配管70が、車両後方側へ移動可能に支持されている。
【0028】
なお、本実施の形態では、主熱交換器20の重心位置又はそれに近い位置に支持部22Sが配設されているが、支持部22Sは第2ラジエータ24又はエアコンデンサ26の右側部に配設してもよい。
【0029】
さらに、図2に示されるように、第3冷媒用配管70はファンシュラウド40に固定されている。詳しく説明すると、図2図3(A)及び図3(B)に示されるように、配管71の連結部714Bよりも車両後端側には、車両幅方向内側へ立設された取付部715が配設されている。取付部715には車両前後方向へ貫通する符号を省略した貫通孔が形成され、この貫通孔を通して締結部材42Aを締めつけることにより、取付部715がファンシュラウド40の車両後方側の背面に固定されている。
一方、図2図3(A)、図3(B)及び図4(B)に示されるように、配管72の被連結部724Bよりも車両後端側には、車両幅方向内側へ立設された取付部725が配設されている。同様に、取付部725には貫通孔が形成され、締結部材42Bを用いて取付部725がファンシュラウド40に固定されている。
【0030】
なお、主熱交換器20は、エアコンデンサ26を第1ラジエータ22と第2ラジエータ24との間に配設してもよい。また、第3冷媒用配管70は主熱交換器20、ファンシュラウド40のそれぞれの左側部に配索されてもよい。
【0031】
[本実施の形態の作用及び効果]
本実施の形態に係る車両用熱交換システム10は、図1及び図2に示されるように、主熱交換器20と、副熱交換器30と、ファンシュラウド40と、第1冷媒用配管50と、第2冷媒用配管60と、第3冷媒用配管70とを備える。主熱交換器20は車両前部に配置される。副熱交換器30は主熱交換器20の近傍に配置される。ファンシュラウド40は主熱交換器20の車両後方側に配置され、ファンシュラウド40には主熱交換器20を冷却する図示を省略したクーリングファンが組込まれる。
【0032】
第1冷媒用配管50の配管51、配管53のそれぞれの一端側は主熱交換器20に接続される。第1冷媒用配管50の配管52、配管54のそれぞれの一端側は副熱交換器30に接続される。第2冷媒用配管60の配管61の一端側、配管62の一端側はそれぞれ冷媒用リザーブタンク80に接続される。
そして、第3冷媒用配管70は、樹脂製とされ、主熱交換器20、ファンシュラウド40のそれぞれの右側部に車両前後方向を長手方向として延設されて配索される。図1図2図3(A)及び図3(B)に示されるように、第3冷媒用配管70の配管71の前端部711は第1冷媒用配管50の配管51、配管52のそれぞれの他端側に接続される。配管72の前端部721は第1冷媒用配管50の配管53(又は配管54)の他端部に接続される。さらに、配管71の後端部712は第2冷媒用配管60の配管61の他端側に接続され、配管72の後端部722は配管62の他端側に接続される。
【0033】
ここで、図1及び図2に示されるように、第3冷媒用配管70では、前端部711、前端部721のそれぞれが主熱交換器20よりも車両前方側へ突出する。また、後端部712、後端部722のそれぞれが主熱交換器20よりも車両後方側へ突出する。車両前後方向の中間部713、中間部723のそれぞれは、図4(A)に示されるように車両後方側(矢印S方向)へ移動可能に主熱交換器20の側部に支持され、かつ、図4(B)に示されるようにファンシュラウド40に固定される。
図2に示されるように、例えば軽い前面衝突が生じて、車両前方側から車両後方側へ向かって衝突荷重Fが発生したとする。衝突荷重Fにより、主熱交換器20よりも車両前方側に配置された図示を省略した部品、例えばフロントバンパエネルギアブソーバ、フロントバンパリインホースメント等が車両後方側へ移動する。そして、これらの部品が、主熱交換器20よりも先に第3冷媒用配管70に接触し、第3冷媒用配管70を車両後方側へ押込む。このとき、主熱交換器20、副熱交換器30のそれぞれに対して独立に、矢印S方向の車両後方側へ第3冷媒用配管70をファンシュラウド40と共に移動させることができる。
従って、車両用熱交換システム10では、主熱交換器20、副熱交換器30、そして第3冷媒用配管70に生じる荷重を効果的に抑制することができる。
【0034】
また、本実施の形態に係る車両用熱交換システム10では、図2及び図4(A)に示されるように、第3冷媒用配管70の配管71の中間部713に配設された被支持部76が、主熱交換器20に配設された支持部22Sに移動可能に支持される。特に、被支持部76は、台形ブロック状の台座76Aと、この台座76Aから突出されたピン76Bとを含んで単純な構成とされている。支持部22Sはピン76Bが摺動自在なリング状とされている。このため、被支持部76と支持部22Sとを備えた簡易な構成により、第3冷媒用配管70の車両後方側へ移動可能な支持構造を構築することができる。
一方、第3冷媒用配管70の配管71には取付部715が、配管72には取付部725がそれぞれ構成される。取付部715は締結部材42Aを用いて、取付部725は締結部材42Bを用いて、ファンシュラウド40に固定される。このため、取付部715及び取付部725有する簡易な固定構造により、第3冷媒用配管70をファンシュラウド40に固定することができる。
【0035】
さらに、本実施の形態に係る車両用熱交換システム10では、図1及び図2に示される第3冷媒用配管70が樹脂製とされている。このため、第3冷媒用配管70の断面形状は、樹脂成形により任意に設定可能であるので、ゴム製配管の円形の断面形状と異なる、例えば車両幅方向よりも車両上下方向の寸法が長い扁平断面形状に形成される。従って、少ない配索スペースでも車両前部に第3冷媒用配管70を配索することができる。また、言い換えると、車両幅方向の寸法が小さくなるので、車両を小型化することができる。
【0036】
[上記実施の形態の補足説明]
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、本発明は、第3冷媒用配管を金属製としてもよい。また、本発明は、第3冷媒用配管の断面形状を矩形状としてもよい。
さらに、本発明は、車室内の空調用ダクトを熱交換器の側部に第3冷媒用配管として配索してもよい。空調ダクトには、冷媒として空気が使用されている。このような場合、第3冷媒用配管は3本以上の配管を含んで構成される。なお、第3冷媒用配管として1本の配管が主熱交換器の側部に配索されてもよい。
また、上記実施の形態では、冷媒用リザーブタンクが冷媒供給源とされているが、本発明は、冷媒供給源として、上記ガソリンエンジン等のパワーユニット、上記AT等のトランスミッション、或いはポンプ(ウォータポンプやオイルポンプが含まれる)を含む。
さらに、本発明では、第1冷媒用配管の一部、第2冷媒用配管の一部を樹脂製或いは金属製配管としてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 車両用熱交換システム
20 主熱交換器
30 副熱交換器
40 ファンシュラウド
50 第1冷媒用配管
60 第2冷媒用配管
70 第3冷媒用配管
711、721 前端部
712、722 後端部
713、723 中間部
図1
図2
図3
図4