【実施例】
【0074】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0075】
以下の実施例、比較例で使用した絶縁層形成用樹脂、導電性ペーストは以下のようにして調製した。
<導電性ペースト>
表1に示す樹脂をジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させて、この溶液に、銀粒子(DOWAエレクトロニクス社製「凝集銀粉G−35」、平均粒径5.9μm)と、必要に応じて後述の方法で作製した表面処理カーボンナノチューブ(CNT)とを均一に分散した液を、各成分が表1に示す配合となるように加え、3本ロールミルにて混練して、導電ペーストとした。
【0076】
なお、表1に示す樹脂の詳細は、下記の通りである。
・ニトリル基含有ゴム:日本ゼオン社製「Nipol(登録商標)1042」(アクリロニトリル含量33.3質量%)
・硫黄含有ゴム:東レファインケミカル社製「チオコール(登録商標)LP−23」(硫黄含量21.5質量%)
・ポリエステル:東洋紡社製「バイロン(登録商標)RV630」
【0077】
また、表面処理カーボンナノチューブ(CNT)は、以下の方法で作製した。
(表面にアクリロニトリルブタジエンオリゴマーを有するCNTの作製)
50mgの多層カーボンナノチューブ(SWeNT MW100、SouthWest Nano Technologies社製、直径6〜9nm、長さ5μm、アスペクト比556〜833)を0.006mol/Lのo−フェニルフェニルグリシジルエーテルのエタノール溶液100mLに添加し、超音波処理を30分間行った。PTFE膜を用いてろ過し、エタノールで数回洗浄した後、乾燥させて表面にグリシジル基を有するカーボンナノチューブを作製した。
【0078】
次に、このカーボンナノチューブを、末端アミノ基アクリロニトリルブタジエンオリゴマーであるHyproTM 1300×16ATBN(アクリロニトリル含量18質量%、アミン等量900、Emerald Performance Materials社製)のテトラヒドロフラン溶液中に添加し、超音波処理機により30分間分散処理を行った。さらに60℃に加熱し、1時間超音波処理を行った後、PTFE膜を用いてろ過し、テトラヒドロフランで数回洗浄した後、乾燥させて表面にアクリロニトリルブタジエンオリゴマーを有するカーボンナノチューブを得た。
【0079】
<絶縁層形成用樹脂>
表1に示す樹脂を9質量部に、増粘剤(センカ社製「アクトゲルAP200」、アクリル酸系重合物)1質量部と水10質量部との混合液4質量部を混合して、絶縁層形成用樹脂とした。
【0080】
なお、表1に示す樹脂の詳細は、下記の通りである。
・ポリウレタンA:荒川化学工業社製「ユリアーノ(登録商標) W600」(ポリエステル系アニオン性水性ポリウレタン、ウレタン樹脂含有量35質量%、イソプロピルアルコール5質量%)
・ポリウレタンB:荒川化学工業社製「ユリアーノ(登録商標) W321」(ポリエステル系アニオン性水性ポリウレタン、ウレタン樹脂含有量35質量%、イソプロピルアルコール9質量%)
【0081】
表1に示す配合で調製した導電性ペーストを離型シートの上に塗布し、120℃の熱風乾燥オーブンで30分以上乾燥することにより、シート状の離型シート付き伸縮性導体層を作製した。
【0082】
次に、離型シートの上の長さ15cm、幅3cmの領域に、表1に示す絶縁層形成用樹脂を塗布しておき、その上に前記離型シートに付き伸縮性導体層を長さ15cm、幅1cmに切り出して、離型シートを剥がし、伸縮性導体層を積層した。その後、100℃の熱風乾燥オーブンで20分乾燥することにより、第一絶縁層と伸縮性導体層を形成し、伸縮性電極シートを得た。
なお、第一絶縁層として用いた絶縁層形成用樹脂を塗布し、100℃の熱風乾燥オーブンで20分乾燥させた後に離型シートから剥離して絶縁層シートを得、同じく離型シートから剥離した伸縮性導体層シートと、伸張荷重10%の伸張時の荷重を比較したところ、絶縁層シートの荷重>伸縮性導体層シートの荷重であった。
【0083】
次に、積層した伸縮性導体層を覆うような長さ10cm、幅3cmの領域に、上記第一絶縁層を形成したものと同じ絶縁層形成用樹脂を塗布し、100℃の熱風乾燥オーブンで20分以上乾燥することにより、伸縮性導体層の上に第二絶縁層を形成し、第一絶縁層/伸縮性導体層/第二絶縁層の構成を有する伸縮性配線シートを得た。
【0084】
各実施例、比較例で得られた伸縮性電極および配線シートを以下の試験に供し、評価した。
<電気抵抗測定>
上記の形成方法で得た伸縮性電極および配線シートの伸縮性導体層の表面に対して、デジタルマルチメータ(横河メータ&インスツルメンツ社製「YOKOGAWA TY530」)を用い、幅1cmの導体パターンにおいて、測定距離1cm当りの抵抗値(Ω)を測定した。
【0085】
<伸長―荷重試験>
テンシロン(ORIENTEC CORPORATION社製「RTM−250」)を使用し、幅3cm,試験長さ5cmの伸縮性電極および配線シート、絶縁層シート、伸縮性導体シート等を10%伸長(変位量0.5cm)したときにかかる荷重(N)を測定した。
【0086】
<伸長試験>
幅2.5cmのチャックを2個備えた伸長試験機(手回し延伸機)を用いて、チャック間距離5cmで伸縮性電極および配線シートを挟み、長手方向に伸長率20%まで伸長(変位量1cm)した。試験前後の電気抵抗はデジタルマルチメータ(横河メータ&インスツルメンツ社製「YOKOGAWA TY530」)を用い、対向する2個のチャックの外側にて抵抗値(Ω)を測定した(測定距離10cm)。抵抗値の測定は伸長直後(3秒以内)に実施した。
【0087】
<抵抗変化倍率>
抵抗変化倍率は、伸長率0%のとき(試験前)の抵抗値(R
0)に対する、伸長率20%のときの抵抗値(R
20)の割合(すなわち、抵抗変化倍率=R
20/R
0(倍))である。
【0088】
【表1】
【0089】
以下、さらに実施例を示し、本発明をより詳細かつ具体的に説明する。以後の実施例中にて新たに必要となる評価項目は以下の方法にて測定した。
【0090】
<ニトリル量>
得られた樹脂材料をNMR分析して得られた組成比から、モノマーの質量比による質量%に換算した。
【0091】
<ムーニー粘度>
島津製作所製 SMV−300RT「ムーニービスコメータ」を用いて測定した。
【0092】
<アルカリ金属量>
樹脂を灰化処理し、得られた灰分を塩酸抽出し、原子吸光法にてナトリウム、カリウムの含有量を求め、両者を合計した。
【0093】
<弾性率>
樹脂材料を厚さ200±20μmのシート状に加熱圧縮成形し、次いでISO 527−2−1Aにて規定されるダンベル型に打ち抜き、試験片とした。ISO 527−1に規定された方法で引っ張り試験を行って求めた。
【0094】
<樹脂材料の繰り返し伸縮耐久性>
(1)試験片シート形成
樹脂材料を厚さ200±20μmのシート状に加熱圧縮成形し、次いでISO 527−2−1Aにて規定されるダンベル型に打ち抜き、試験片とした。
(2)伸縮試験
山下マテリアル製のIPC屈曲試験機を改造し、試験機の往復ストロークを13.2mmに設定、可動板側に試験片をクランプで固定、もう一端を別の固定端にクランプにて固定、ダンベル型試験片中の幅10mm、長さ80mmの部分を用いて、有効長が66mmとなるように調整し(伸張度20%に相当)し、サンプルの繰り返し伸張が行えるように改造した装置を用いた。試験片を用いて5000回の繰り返し伸張を行い、前後の外観比較にて繰り返し伸縮耐久性を評価した。初期と外観に変化が見られない場合に「○」、樹脂表面にクラックなどが観察された場合には「×」とした。
【0095】
<導電ペーストの繰り返し伸縮耐久性>
伸縮性導体形成用ペーストを、伸縮性樹脂R1から得られた厚さ200±20μmのシートを基材とし、スクリーン印刷を用いて180mm×30mmの矩形パターンを乾燥膜厚が30μm印刷し、120℃にて30分乾燥硬化した。ついで矩形パターン部をISO 527−2−1Aにて規定されるダンベル型に打ち抜き、試験片とした。
【0096】
山下マテリアル製のIPC屈曲試験機を改造し、試験機の往復ストロークを13.2mmに設定、可動板側に試験片をクランプで固定、もう一端を別の固定端にクランプにて固定、ダンベル型試験片中の幅10mm、長さ80mmの部分を用いて、有効長が66mmとなるように調整し(伸張度20%に相当)し、サンプルの繰り返し伸張が行えるように改造した装置を用い、伸縮有効長の66mmの両端の外側0〜5mmにアルミホイルを巻き付けた上で金属製クリップで挟み、テスターで抵抗値をモニターしながら繰り返し伸張を行った。抵抗値の読み取りは、繰り返し伸張600回までは10回毎に、600回以上は50回毎に伸張率が0%の状態にて停止し、停止後1分後の値を読んで記録し、抵抗値が初期の100倍に達した時点の回数を記録して、そこで試験を打ち切った。
【0097】
<導電性(シート抵抗、比抵抗)>
ISO 527−2−1Aにて規定されるダンベル型試験片の中央部にある幅10mm、長さ80mmの部分の抵抗値[Ω]を、アジレントテクノロージ社製ミリオームメーターを用いて測定し、試験片の縦横比(1/8)を乗じてシート抵抗値「Ω
□」を求めた。
また、抵抗値[Ω]に断面積(幅1[cm]mm×厚さ[cm])を乗じ、長さ(8cm)にて除して、比抵抗[Ωcm]を求めた。
【0098】
<耐マイグレーション性評価>
スクリーン印刷を用いて導電ペーストを、幅1.0mm、長さ30.0mmの導体パターン2本が1.0mmの間隔にて平行するテストパターンをポリエステルフィルム上に印刷・硬化して試験片とした。試験片の電極間にDC5Vを印可した状態で、脱イオン水を導体間に滴下し、電極間がデンドライト状の析出物にて短絡されるまでの時間を測定し、60秒以内である場合を×、60秒以上の場合を○とした。なお、脱イオン水の滴下量は、水滴が電極間を8〜10mmの幅にて覆う程度とし、短絡の判断は目視観察とした。
【0099】
<表面触感>
男女各5人からなる成人10名を被験者とし、被験者の腹部の皮膚に印刷物表面を接触させ触感を、「触感が良い」を5点、「触感が悪い」を1点として、五段階の官能評価を行い、10人の平均において、4以上を◎、3以上4未満を○、2以上3未満を△、2未満を×とした。
【0100】
<平均粒子径>
堀場製作所製の的光散乱式粒径分布測定装置LB-500を用いて測定した。
【0101】
<無機粒子の組成分析>
用いる無機粒子の組成分析を蛍光X線分析装置(蛍光X線分析装置システム3270、理学電機株式会社製)を使用しAl成分、Si成分の検査を行った。なお、Al、Si、被着量は、検出されたAl成分、およびSi成分の金属化合物を酸化物換算(即ち、Al成分はAl
2O
3、Si成分はSiO
2として換算)した。
【0102】
<配線抵抗>
得られた導電性ペーストを離型シートの上にバーコーターで塗布し、120℃の熱風乾燥オーブンで30分以上乾燥した、伸縮性導体層の厚さが70μmとなるように、必要に応じて同様の操作を繰り返し、シート状の離型シート付き伸縮性導体層を作製した。
次に、離型シートの上の長さ15cm、幅3cmの領域に、表1に示す絶縁層形成用樹脂を塗布しておき、その上に前記離型シートに付き伸縮性導体層を長さ15cm、幅1cmに切り出して、離型シートを剥がし、伸縮性導体層を積層した。その後、100℃の熱風乾燥オーブンで20分以上乾燥することにより、第一絶縁層と伸縮性導体層を形成し、伸縮性電極シートを得た。
【0103】
次に、積層した伸縮性導体層を覆うような長さ10cm、幅3cmの領域に、上記第一絶縁層を形成したものと同じ絶縁層形成用樹脂を塗布し、100℃の熱風乾燥オーブンで20分以上乾燥することにより、伸縮性導体層の上に第二絶縁層を形成し、第一絶縁層/伸縮性導体層/第二絶縁層の構成を有する伸縮性配線シートの試験片を得た。得られた伸縮性配線シートについて、実施例1−11と同様の方法で、配線抵抗(幅1cmの導体幅における長さ1cmあたりの抵抗値)を求めた。
【0104】
<10%伸張時の荷重>
得られた試験片を用い、実施例1と同様の方法で測定した。
【0105】
<20%伸張時の抵抗倍率>
得られた試験片を用い、実施例1と同様の方法で測定した。
【0106】
[製造例]
<合成ゴム材料の重合>
攪拌機、水冷ジャケットを備えたステンレス鋼製の反応容器に
ブタジエン 54質量部
アクリロニトリル 46質量部
脱イオン水 270質量部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.5質量部
ナフタレンスルホン酸ナトリウム縮合物 2.5質量部
t−ドデシルメルカプタン 0.3質量部
トリエタノールアミン 0.2質量部
炭酸ナトリウム 0.1質量部
を仕込み、窒素を流しながら浴温度を15℃に保ち、静かに攪拌した。次いで 過硫酸カリウム0.3質量部を脱イオン水19.7質量部に溶解した水溶液を30分間かけて滴下し、さらに20時間反応を継続した後、ハイドロキノン0.5質量部を脱イオン水19.5質量部に溶解した水溶液を加えて重合停止操作を行った。
【0107】
次いで、未反応モノマーを留去させるために、まず反応容器内を減圧し、さらにスチームを導入して未反応モノマーを回収し、NBRからなる合成ゴムラテックス(L1)を得た。
得られたラテックスに食塩と希硫酸を加えて凝集・濾過し、樹脂に対する体積比20倍量の脱イオン水を5回に分けて樹脂を脱イオン水に再分散、濾過を繰り返すことで洗浄し、空気中にて乾燥して合成ゴム樹脂R1を得た。
【0108】
得られた合成ゴム樹脂R1の評価結果を表1に示す。以下仕込み原料、重合条件、洗浄条件などを変えて同様に操作を行い、表2に示す樹脂材料R2〜R6を得た。なお、表中の略号は以下の通りである。
NBR:アクロニトリルブタジエンゴム
NBIR:アクリロニトリル−イソプレンゴム(イソプレン10質量%)
SBR:スチレンブタジエンゴム(スチレン/ブタジエン=50/50質量%)
【0109】
【表2】
【0110】
硫酸バリウム粒子の調製(A)
吸込口径40mm、吐出口径25mm、内容積850mL、インペラー回転数2380r pmのワーマンポンプを反応槽として用い、このポンプに濃度110g/L(1.1mo l/L)、温度30℃の硫酸水溶液を700L/hの一定流量にて吸い込ませると共に、 120g/L(0.71mol/L)、温度50℃の硫化バリウム水溶液を600L/ hの一定流量にて吸い込ませることで調製した水スラリー(固形分95g/L)1000mLを60℃に昇温した。SiO
2として4.0g相当量の珪酸ナトリウムを純水100 mLで希釈して20分で滴下し、次いで、Al
2O
3として2.0g相当量のアルミン酸ソーダを純水100mLで希釈し、20分で滴下した。さらに反応系を70℃に昇温し、30分撹拌後、希硫酸を用いて30分かけてpH8に中和した。10分撹拌してから、ろ過し、充分に水洗してから乾燥して、乾燥チップを得て、粗砕した後、気流式粉砕機で粉砕した。得られた粉体は、基材となる超微粒子硫酸バリウムと被着物の合計質量に対して、SiO
2として3.5質量%、 Al
2O
3として1.7質量%被着され、動的光散乱法によって測定される平均粒子径が 0.3μmであった。
【0111】
硫酸バリウム粒子の調製(B)
竹原化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウムTS−1を硫酸バリウム粒子(B)として用いた。硫酸バリウムの調製(A)と同様に分析した結果SiO
2の含有量は0.1%以下、 Al
2O
3としては0.1%以下で、実質的に含有しないものと判断した。同様の方法で求めた平均粒子径は0.6μmであった。
【0112】
硫酸バリウム粒子の調製(C)
竹原化学工業株式会社製の簸性硫酸バリウムW−1を硫酸バリウム粒子(C)として用いた。SiO
2の含有量は0.3質量%、 Al
2O
3としては0.2%質量%であった。簸性硫酸バリウムは天然物由来であり、いずれも不純物と判断した。同様の方法で求めた平均粒子径は1.7μmであった。
【0113】
酸化チタン粒子(D)
堺化学工業製酸化チタン粒子R−38Lを酸化チタン粒子(D)として用いた。平均粒子径は0.4μmであった。以上の硫酸バリウム粒子、酸化チタン粒子について一覧を表2.に示す。
【0114】
【表3】
【0115】
[導電ペーストの調整]
エポキシ当量175〜195の液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂1.5質量部、製造例にて得られた伸縮性樹脂(R1)10質量部、潜在性硬化剤[味の素ファインケミカル株式会社製 商品名アミキュアPN23] 0.5質量部、をイソホロン30質量部と混合攪拌して溶解させバインダー樹脂組成物A1を得た。次いでバインダー樹脂組成物A1に、平均粒子径6μmの微細フレーク状銀粉[福田金属箔粉工業社製 商品名Ag−XF301]58.0質量部を加えて均一に混合し、三本ロールミルにて分散することにより導電ペーストC1を得た。得られた導電ペーストC1の評価結果を表4−1に示す。
【0116】
以下、材料を変えて配合を行い、表4−1、表4−2に示す導電ペーストC2〜C16を得た。評価結果を同様に表4−1、表4−2に示す。
なお、表4−1、表4−1において無定型銀粉1はDOWAエレクトロニクス社製の凝集銀粉G−35、平均粒子径5.9μm、無定型銀粉2はDOWAエレクトロニクス社製の凝集銀粉G−35を湿式分級して得た平均粒子径2.1μmの凝集銀粉である。
【0117】
【表4-1】
【0118】
【表4-2】
【0119】
[応用実施例1]
実施例12で得られた導電性ペーストを離型シートの上にバーコーターで塗布し、120℃の熱風乾燥オーブンで30分以上乾燥した、伸縮性導体層の厚さが70μmとなるように、必要に応じて同様の操作を繰り返し、シート状の離型シート付き伸縮性導体層を作製した。
【0120】
長さ200mm、幅30mm、厚さ50μmのホットメルトウレタンシート(第一絶縁層)の中央部に、長さ190mm、幅10mmにカットした実施例12で得られた伸縮性導体組成物シートを重ね合わせ、さらに伸縮性導体組成物シートの両端各20mmが露出するように長さ150mm、幅25mmのポリウレタンシート(第二絶縁層:カバーコート層)を重ね合わせた。
次に、長さ210mm、幅50っmの2−Wayトリコット生地(グンセン(株)製「KNZ2740」、ナイロンヤーン:ウレタンヤーン=63%:37%(混率)、目付け194g/m2)が、前記第1絶縁層を接するように重ね合わせ、ホットプレスにて全体を接着し、布地に貼り合わせた伸縮性導体組成物シートを得た。得られた試料を実施例12と同様に繰り返し伸縮耐久性(回)を求めたところ2500回と良好な特性を示した。
【0121】
[応用実施例2]
応用実施例1と同様の方法にて、左右の後腋窩線上と第7肋骨との交差点に伸縮性導体組成物シートにて直径50mmの円形電極を、さらに円形電極から胸部中央までの幅10mmの伸縮性導体組成物シート配線をスポーツシャツの内側に形成した。電極部と配線部との繋ぎ目は外形線がR10mmにてなめらかに処理されている。なお左右の電極から胸部中央に伸びる配線は、胸部中央にて5mmのギャップを持ち、両者は短絡されていない。第一絶縁層は伸縮性導体組成物シートの外形より5mm大きくした。配線部のカバーコート層は幅16mmとし、伸縮性導体組成物シート部から3mm外側までをカバーする寸法とし、伸縮性導体組成物シートによる配線の胸部中央側の端10mmはカバーコート層で覆われていない。電極部のカバーコート層は電極と同心円的に、内直径44mm、外直径56mmのリング状にカバーされており、電極部と配線部との繋ぎ目についても外側に3mm覆うようにカバーされている。
【0122】
続いて、左右の配線部のカバーコート層が無い胸部中央端のスポーツシャツの表面側にステンレススチール製のホックを取り付け、裏側の配線部と電気的導通を確保するために金属細線を撚り込んだ導電糸を用いて伸縮性導体組成物層とステンレススチール製ホックとを電気的に接続した。
ステンレススチール製ホックを介して、ユニオンツール社製の心拍センサWHS−2を接続し、同心拍センサWHS−2専用のアプリ「myBeat」を組み込んだアップル社製スマートホンで心拍データを受信し、画面表示できるように設定した。以上のようにして心拍計測機能を組み込んだスポーツシャツを作製した。
本シャツを被験者に着用させ、安静時、歩行時、ランニング時、自転車走行時、自動車運転時、睡眠時、について心電データを取得した。得られた心電データはノイズが少なく、高解像度で、心電図としてメンタルな状態、体調、疲労度、眠気、緊張度合いなどを心拍間隔の変化、心電波形などから解析可能な品位を有していた。
【0123】
以下同様に、実施例5、実施例6、実施例7、実施例11、比較例1の伸縮性導体組成物シートを用いて同様に心拍計測機能を組み込んだスポーツシャツを得た。結果、実施例7の伸縮性導体組成物においては、ランニング時に時折ノイズが観察され、比較例1の伸縮性導体組成物においては激しいランニング時に波形が乱れて心拍計測ができなかった以外は、いずれも良好な心電データを得ることができた。得られた結果は伸縮性導体組成物の表面触感の良否と対応している。表面触感は表面のざらつきと関与していると推察され、特に動きが激しい場合に身体表面と電極表面との接触が不良となる場合があることが示唆された。
【0124】
[応用実施例3]
実施例13で得られた導電ペーストを離型シートの上に塗布し、120℃の熱風乾燥オーブンで30分以上乾燥することにより、厚さ45μmのシート状の離型シート付き伸縮性導体層を作製した。
次に、離型シート付き導電シートの上にポリウレタンホットメルトシートをホットプレス機を用いて貼り合わせた後、長さ190mm、幅10mmのサイズに打ち抜き、離型シート/伸縮性導体組成物/ポリウレタンホットメルトシートからなる3層シートを得た。
【0125】
次に、長さ200mm、幅30mmの2−Wayトリコット生地(グンセン(株)製「KNZ2740」、ナイロンヤーン:ウレタンヤーン=63%:37%(混率)、目付け194g/m
2)の中央部に得られた3層シートのホットメルト層側が接触するように重ね、ホットプレスで積層して、伸縮性電極シートを得た。さらに伸縮性電極シートの伸縮性導体組成層に長さ150mm、幅25mmのホットメルトウレタンシートを、伸縮性導体組成物層の長さ方向の両端がそれぞれ20mm露出するように重ねホットプレスで接着した。さらに伸縮性導体組成物層の露出部を、長さ22mm幅14mmの矩形で覆うようにスクリーン印刷を用いて伸縮性のあるカーボンペーストで被覆し、伸縮性のある複合電極シートを得た。
【0126】
得られた伸縮性複合シートを、伸縮性導体組成物層にかからないように長さ194mm、幅14mmに打ち抜き、スポーツ用ブラジャーのカップアンダー部の裏側のサイド部から中央部にかけて、カーボンペースト被覆層が肌側に向くようにして ホットメルトシートを用いて接着した。サイド部部分のカーボンペースト被覆層が身体に接触する電極部となる。ブラジャー中央部に対向した左右各々のカーボンペースト被覆部分に相当する表側にステンレススチール製のホックを取り付け、伸縮性導体組成物層との電気的接続を金属細線を撚り込んだ導電糸を用いて取り、ステンレススチール製ホックを介して、ユニオンツール社製の心拍センサWHS−2を接続し、同心拍センサWHS−2専用のアプリ「myBeat」を組み込んだアップル社製スマートホンで心拍データを受信し、画面表示できるように設定した。以上のようにして心拍計測機能を組み込んだスポーツブラジャーを作製した。
本スポーツブラジャーを被験者に着用させ、安静時、歩行時、ランニング時、自転車走行時、自動車運転時、睡眠時、について心電データを取得した。得られた心電データはノイズが少なく、高解像度で、心電図としてメンタルな状態、体調、疲労度、眠気、緊張度合いなどを心拍間隔の変化、心電波形などから解析可能な品位を有していた。
【0127】
以下同様に、実施例13から23のペーストを用い、他は同様に操作して心拍計測機能を組み込んだスポーツブラジャーを製作した。結果、いずれも良好な心電データを得ることができた。
【0128】
[応用実施例4]
離型シートの上に、伸縮性を有するウレタン樹脂にてカバーコート層を、次いで電極相当部分に伸縮性カーボンペーストをスクリーン印刷法にて形成し、乾燥硬化させた。次いで、その上に実施例22にて得られた伸縮性導体組成物のペーストを重ねて印刷して乾燥硬化し、さらにその上からホットメルト性を有するウレタン樹脂層を同様にスクリーン印刷にて重ね印刷した。伸縮性導体組成物層のパターンを
図1.に示す。カーボンペーストを重ねた部分は手首がわの端の配線長15mm部分である
得られた重ね印刷物のホットメルト性ウレタンシート側を、布製手袋の甲側に重ね、ホットプレスにて離型シートから手袋に転写し、配線付き手袋を得た。得られた配線付き手袋の手首相当部分の電極に導電性接着剤を用いてリード線を取り付け、各指関節の屈曲に応じた配線の抵抗変化が多チャンネルの抵抗測定器により読み取れるように構成した。
【0129】
得られた装置構成を用いて、まず、右手に手袋型入力装置を装着し、手を開いた状態:じゃんけんの「パー」状態での各関節相当部の抵抗値を初期値、握り拳状態:じゃんけんの「グー」状態での抵抗値を限界値として設定し、その間の各関節の抵抗変化幅を64階調に分け、各関節の屈伸状態と対応させ、ソフトウエアにてCG合成した手指の三次元画像を動作させた。
得られたCG手指の動作は自然で滑らかで良好であった。また「じゃんけん」や、指文字のような複雑な動作についても再現可能であった。