特許第6624222号(P6624222)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6624222生体情報計測用インターフェスの製造方法、および生体情報計測用インターフェス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6624222
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】生体情報計測用インターフェスの製造方法、および生体情報計測用インターフェス
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0408 20060101AFI20191216BHJP
   A61B 5/0478 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   A61B5/04 300M
   A61B5/04 300W
【請求項の数】3
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-39118(P2018-39118)
(22)【出願日】2018年3月5日
(62)【分割の表示】特願2016-569476(P2016-569476)の分割
【原出願日】2016年1月13日
(65)【公開番号】特開2018-122114(P2018-122114A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2018年4月25日
(31)【優先権主張番号】特願2015-4913(P2015-4913)
(32)【優先日】2015年1月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075409
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久一
(74)【代理人】
【識別番号】100129757
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久彦
(74)【代理人】
【識別番号】100115082
【弁理士】
【氏名又は名称】菅河 忠志
(74)【代理人】
【識別番号】100125243
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】権 義哲
(72)【発明者】
【氏名】石丸 園子
【審査官】 佐藤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0318699(US,A1)
【文献】 特開2010−153364(JP,A)
【文献】 特開2014−237059(JP,A)
【文献】 特開2010−153821(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/120339(WO,A1)
【文献】 特開2014−200559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型シート上の一部に伸縮性樹脂を含むカバーコート層を形成する工程、
離型シート上の他の部分に伸縮性カーボンペーストをスクリーン印刷し、乾燥および硬化させてカーボンペースト層を形成する工程、
前記カバーコート層と前記カーボンペースト層との上に伸縮性導体組成物を含む導電性ペーストを印刷し、乾燥および硬化させて伸縮性導体層を形成する工程、
前記伸縮性導体層にホットメルトウレタン樹脂をスクリーン印刷し、乾燥および硬化させてホットメルトウレタン樹脂層を形成して印刷物を得る工程、
前記印刷物のホットメルトウレタン樹脂層を衣類に接着させる工程、
を含むことを特徴とする生体情報計測用インターフェスの製造方法。
【請求項2】
前記伸縮性樹脂は、伸縮性ウレタン樹脂である請求項1に記載の生体情報計測用インターフェスの製造方法。
【請求項3】
生地と、
前記生地の肌側面上に形成されたホットメルトウレタン樹脂層と、
前記ホットメルトウレタン樹脂層の上に形成された伸縮性導体層と、
前記伸縮性導体層上の一部に形成されたカバーコート層と、
前記伸縮性導体層上の他の部分に形成されたカーボンペースト層とを備え、
記ホットメルトウレタン樹脂層、前記伸縮性導体層、及び前記カーボンペースト層を備える電極と、
記ホットメルトウレタン樹脂層、前記伸縮性導体層、及び前記カバーコート層を備える配線と、を備えることを特徴とする生体情報計測用インターフェス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェアラブル生体情報計測を目的とする、基材に積層可能なシート状の伸縮性電極および配線シート、およびそれらを使用した生体情報計測用インターフェスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野やヘルスモニタリング分野において、衣服やベルトやストラップとして着用することにより心電図などの生体情報を簡便に計測しうるウェアラブル生体情報計測装置が注目されている。例えば心電図の計測を行うウェアラブル計測装置では、衣服として着用した状態で日常生活を過ごすことで、日常の様々な状況における心拍の変動を簡便に把握することができる。
【0003】
このようなウェアラブル生体情報計測装置は、一般に、織編物で作製された衣服の内側に、電極や各種計測に応じたセンサーと、それらの電気信号を演算・処理装置等に伝えるための配線を備えている。
【0004】
ウェアラブル生体情報計測装置に配線を設ける技術としては、電極や配線を設けようとする領域以外の領域の布地をマスキングした上で、導電性高分子を含む塗料を塗布する方法(特許文献1)や、布地の上にウレタン樹脂層に挟まれた銀ペースト層を形成する方法が提案されている(非特許文献1)。
【0005】
衣服に電気配線を組み込む方法としては、銀ペーストなどの導電性ペーストにより衣服を構成する布帛上に配線を印刷形成する方法、導電性繊維を布帛に織り込む方法、導電性の糸を用いて配線を刺繍する方法、別工程にて加工した伸縮型のFPC(フレキシブルプリント配線)を貼り合わせ、ないしは縫い合わせる方法などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−151018号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Gordon Paul et al,Meas.Sci.Technol.25(2014)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1記載の方法で形成された衣服は、実際に着用する際に布地が伸長すると、導電層となる導電性高分子の硬化物にクラックが入り、導通が阻害ないし遮断されるという問題が生じることがあった。さらに、特許文献1記載の方法で作製された導電性布帛においては、導電性高分子含有塗料が布地内部に染み込んでしまうため、布地上に連続して形成される導電層の厚さを十分に確保し難く、電極として必要な程度の導電性は発現できても、配線に求められるだけの高い導電性を発現させることは困難であった。
【0009】
また非特許文献1に記載の配線の伸縮性はウレタン樹脂層に依存され、導電層は伸縮性が乏しく、非特許文献1に記載の方法で配線を形成した衣服も、実際に着用する際に伸長すると、配線が布地の伸びに追従できず、導電層となる銀ペースト層にクラックが入り、導通が阻害ないし遮断されるという問題が起こるものであった。なお、電極に形成した場合、電極の表面がウレタン樹脂層に保護されていないため、衣服の伸長によるクラックの発生が配線に対して激しかった。
【0010】
導電性繊維を布帛に織り込む方法では、配線パターン形状の自由度が低いため帯電防止などの限られた用途でしか用いることができず、広く電子機能を衣服に内蔵させるための配線手法としては不十分である。また導電性の糸を用いて配線を刺繍する方法は高い自由度で配線形成が可能であるが、この手法は言わば電子回路が真空管で構成されていた時代のジャングル配線に相当し、生産性は低く、今日の電子機能を実現するため手法とは言いがたい。
導電性繊維ないし導電性糸は、絶縁物である繊維表面に金属をメッキしたもの、あるいは細い金属線を糸に撚り込んだもの、またあるいは、導電性の高分子をマイクロファイバーなどの繊維間に含清させたもの等が知られている。これらは、概して導電性が不十分であり、分布定数的に回路抵抗を持つため、電流容量は小さく、信号伝達の遅延や減衰を生じることになる。
また別工程にて加工した伸縮型のFPC(フレキシブルプリント配線)を貼り合わせ、ないしは縫い合わせる方法によれば、銅箔からなる低抵抗な配線を組み込むことが可能となる。かかる伸縮性のFPCは基材部分に伸縮性を有する素材を用いたとしても配線部分に本質的な伸縮性は無く、二次元的に歪曲配置した配線のねじり変形により擬似的に伸縮性を実現するものである。そのため、銅箔の耐久性に問題があるとともに、衣服としては伸縮変形時にゴワゴワした違和感が出て、非常に着心地が悪いものになった。
【0011】
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、伸長されても高い導電性を保持することができる伸縮性電極および配線と、これらを衣服やベルトやブラジャーなどの基材に積層した生体情報計測用インターフェスとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成し得た本発明の伸縮性電極および配線は、基材に積層可能なシート状の電極および配線であって、前記電極は第一絶縁層と該第一絶縁層の上に設けられた伸縮性導体層からなり、また、前記配線は絶縁層―伸縮性導体層―絶縁層の三層構造からなり、該伸縮性導体層の電気抵抗が300Ω/cm以下であり、かつ、該電極および該配線の伸長率10%の伸長時の荷重が100N以下であることを特徴とする点に要旨を有するものである。
【0013】
さらに、上記目的を達成し得た本発明の伸縮性電極および配線は、基材に積層可能なシート状の電極および配線であって、前記電極は第一絶縁層と該第一絶縁層の上に設けられた伸縮性導体層からなり、また、前記配線は該第一絶縁層―該伸縮性導体層―第二絶縁層の三層構造からなり、該伸縮性導体層の初期シート抵抗値が1Ω以下であり、配線の長さあたりの初期電気抵抗が300Ω/cm以下であり、かつ、該電極および該配線の伸長率10%の伸長時の荷重が100N以下であることを特徴とする伸縮性電極および配線シートである。ここにΩ/cmは配線長1cmあたりの抵抗値を意味する。該伸縮性導体層の初期シート抵抗値は1×10-1Ω以下であることが好ましく、さらに1×10-2Ω以下であることが好ましく、なおさらに1×10-3Ω以下であることが好ましい。
【0014】
本発明の伸縮性電極および配線シートは、前記電極および前記配線の20%伸長による電気抵抗の変化が5倍未満であることが好ましい。
【0015】
本発明の伸縮性導体層は、導電性フィラーと樹脂とを含有することが好ましい。
本発明の伸縮性電極および配線シートの好ましい厚さは200μm以下である。
【0016】
本発明は、上記本発明の伸縮性電極および配線シートを、人体の躯幹部の少なくとも周長方向に装着するベルト、ブラジャーのような帯状の物、および/または、編織物、不織布からなる被服である基材に積層した生体情報計測用インターフェスをも包含する。
【発明の効果】
【0017】
本発明も伸縮性電極および配線シートによれば、伸縮性導体層の電気抵抗が300Ω/cmであり、伸長率10%の伸長時の荷重が100N以下であり、伸長率20%時の電気抵抗の変化が5倍未満となり、非伸長時と伸長時と共に高い導電性を保持できる。したがって、この伸縮性電極および配線シートを用いて作製された生体情報計測用インターフェスは、良好な伸縮性を有する基材で作製することが可能となり、伸張に必要な荷重が小さいため、着用時に過度に衣服に動きが拘束された違和感が小さく、着用時の着心地阻害を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は本発明で例示した手袋に印刷した配線パターン図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<伸縮性電極および配線シート>
本発明の伸縮性電極は、第一絶縁層と伸縮性導体層とを含むシート状のものである。また、本発明の伸縮性配線シートは、第一絶縁層と伸縮性導体層と第二絶縁層とを含むシート状のものである。
【0020】
<第一絶縁層>
本発明において第一絶縁層は、伸縮性電極および配線シートを基材に積層する際の接着面であり、着用のときに第一絶縁層が積層された基材の反対側からの水分が伸縮性導体層に達することを防ぐ。また、本発明における後述の伸縮性導体層は良好な伸長性を有するものであるが、基材が伸縮性導体層の伸長性を超えた伸び性に富む素材である場合、基材の伸びに追随して伸縮性導体層が伸ばされ、その結果クラックが発生することも考えられる。第一絶縁層は、布帛の伸びを抑制し、伸縮性導体層が過度に伸長されるのを防ぐ、伸び止めの役割も担っている。
【0021】
第一絶縁層を形成する樹脂は、絶縁性を有する樹脂であれば、特に制限されるものではなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、等を好ましく用いることができる。中でも、ポリウレタン系樹脂が、伸縮性導体層との接着性の点から好ましい。なお、第一絶縁層を形成する樹脂は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0022】
ポリウレタン系樹脂としては、例えば、ポリエステル系、ポリエテール系、ポリカーボネート系等が挙げられる。中でも、ポリエステル系ウレタン樹脂が塗膜の伸縮性の点から好ましい。
【0023】
本発明における第一絶縁層を形成する樹脂としては、弾性率が、1〜1000MPaの、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴムなどを用いることができる。膜の伸縮性を発現させるためには、ゴムが好ましい。ゴムとしては、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴムや水素化ニトリルゴムなどのニトリル基含有ゴム、イソプレンゴム、硫化ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ化ビニリデンコポリマーなどが挙げられる。この中でも、ニトリル基含有ゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴムが好ましく、ニトリル基含有ゴムが特に好ましい。本発明で好ましい弾性率の範囲は3〜600MPaであり、さらに好ましく10〜500MPa、なお好ましくは30〜300MPaの範囲である。第一絶縁層を形成する樹脂の弾性率は、伸縮性導体層の弾性率より大きいことが、伸縮性導体の伸び止め効果上、好ましい。
本発明の第一絶縁層は 伸張率10%の伸張時の荷重が、伸縮性導体層より大きいことが好ましい。
【0024】
本発明における第一絶縁層は、前記絶縁性樹脂を適当な溶剤(好ましくは、水)に溶解ないし分散させて、離型紙ないし離型フィルム上に塗布または印刷して塗膜を形成し、次いで塗膜に含まれる溶剤を揮散させ乾燥させることにより、形成することができる。また、後術する適度な物性を有する市販のシートないしフィルムを用いることもできる。
【0025】
第一絶縁層の膜厚は、5〜200μmの範囲が好ましく、10〜70μmが好ましく、より好ましくは20〜50μmである。第一絶縁層が薄すぎると、絶縁効果および伸び止め効果が不十分になり、一方、厚すぎると、布帛の伸縮性の阻害と、電極および配線全体の厚さが分厚くなり着心地の阻害となる虞がある。
【0026】
<伸縮性導体層>
本発明においては、前記第一絶縁層の上に、伸縮性導体層が形成されている。この伸縮性導体層により導通が確保される。伸縮性導体層は、導電性フィラーと樹脂とを含有することが好ましい。
【0027】
伸縮性導体層を形成する導電性フィラーは、金属粉であることが好ましい。また、必要に応じて、金属粉以外の導電材料や金属ナノ粒子を導電性フィラーとすることもできる。
【0028】
金属粉としては、銀粉、金粉、白金粉、パラジウム粉等の貴金属粉、銅粉、ニッケル粉、アルミ粉、真鍮粉等の卑金属粉のほか、卑金属やシリカ等の無機物からなる異種粒子を銀等の貴金属でめっきしためっき粉、銀等の貴金属で合金化した卑金属粉等が挙げられる。これらの中でも、銀粉、銅粉が高い導電性を発現させ易い点および価格の点で好ましく、銀粉および/または銅粉を主成分(50質量%以上)とすることが望ましい。なお、導電性フィラーは1種のみであっても良いし、2種以上であってもよい。
【0029】
金属粉の好ましい形状としては、公知のフレーク状(リン片状)、球状、樹枝状(デンドライト状)、凝集状(球状の1次粒子が3次元状に凝集した形状)などを挙げることができる。これらの中で、フレーク状、球状、凝集状の金属粉が特に好ましい。
【0030】
金属粉の粒子径は、平均粒子径が0.5〜10μmであることが好ましい。平均粒子径が大きすぎると、配線を微細なパターンで形成しようとする際に所望のパターン形状が形成し難くなる場合がある。一方、平均粒子径が小さすぎると、伸縮性導体層形成時に金属粉が凝集し易くなり、また粒子径が小さくなるに伴い原料コストが上昇するため、好ましくない。
【0031】
導電性フィラー中に占める金属粉の割合は、80体積%以上が好ましく、より好ましくは85体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上である。金属粉の含有割合が少なすぎると、十分に高い導電性を発現させにくくなる場合がある。
なお、本発明において各成分を体積%で表している場合には、ペーストに含まれる各成分の各固形分の質量を計測し、(各固形分の質量÷各固形分の比重)を計算して各成分の固形分の体積を算出することにより求められる。
【0032】
本発明の(a)導電性粒子は、比抵抗が1×10-1Ωcm以下の物質からなる、粒子径が100μm以下の粒子である。比抵抗が1×10-1Ωcm以下の物質としては、金属、合金、カーボン、ドーピングされた半導体、導電性高分子などを例示することができる。本発明で好ましく用いられる導電性粒子は銀、金、白金、パラジウム、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、鉛、錫などの金属、黄銅、青銅、白銅、半田などの合金粒子、銀被覆銅のようなハイブリッド粒、さらには金属メッキした高分子粒子、金属メッキしたガラス粒子、金属被覆したセラミック粒子などを用いることができる。
【0033】
本発明ではフレーク状銀粒子ないし不定形凝集銀粉を主体に用いることが好ましい。なお、ここに主体に用いるとは導電性粒子の90質量%以上用いることである。不定形凝集粉とは球状もしくは不定形状の1次粒子が3次元的に凝集したものである。不定形凝集粉およびフレーク状粉は球状粉などよりも比表面積が大きいことから低充填量でも導電性ネートワークを形成できるので好ましい。不定形凝集粉は単分散の形態ではないので、粒子同士が物理的に接触していることから導電性ネートワークを形成しやすいので、さらに好ましい。
【0034】
フレーク状粉の粒子径は特に限定されないが、動的光散乱法により測定した平均粒子径(50%D)が0.5〜20μmであるものが好ましい。より好ましくは3〜12μmである。平均粒子径が15μmを超えると微細配線の形成が困難になり、スクリーン印刷などの場合は目詰まりが生じる。平均粒子径が0.5μm未満の場合、低充填では粒子間で接触できなくなり、導電性が悪化する場合がある。
【0035】
不定形凝集粉の粒子径は特に限定されないが、光散乱法により測定した平均粒子径(50%D)が1〜20μmであるものが好ましい。より好ましくは3〜12μmである。平均粒子径が20μmを超えると分散性が低下してペースト化が困難になる。平均粒子径が1μm未満の場合、凝集粉としての効果が失われ、低充填では良導電性を維持できなくなる場合がある。
【0036】
導電材料としては、例えば、カーボンナノチューブが好ましく挙げられ、特に、メルカプト基、アミノ基、ニトリル基を表面に有するか、または、スルフィド結合および/またはニトリル基を含有するゴムで表面処理されていることが好ましい。一般に導電材料自体は凝集力が強く、特に後述するようにアスペクト比が高い導電材料は、樹脂中への分散性が低くなるが、表面にメルカプト基、アミノ基またはニトリル基を有するか、スルフィド結合および/またはニトリル基を含有するゴムで表面処理されていることにより、金属粉に対する親和性が増して、金属粉とともに有効な導電性ネットワークを形成でき、高導電性を実現できる。
【0037】
カーボンナノチューブは、2次元のグラフェンシートを筒状に巻いた構造を有し、層の数や先端部の形状によって、多層型、単層型、ホーン型に分けられ、さらに、グラフェンシートの巻き方によって、アームチェア型構造、ジグザグ型構造、カイラル型構造の3種に分けられる。本発明においては、いずれのタイプのカーボンナノチューブであってもよい。カーボンナノチューブの直径は、特に制限されないが、0.5〜200nmであることが好ましい。
【0038】
カーボンナノチューブの表面に官能基(メルカプト基、アミノ基、ニトリル基)を導入する方法は、特に限定されず、例えば、反応させて共有結合で導入する方法、疎水相互作用・水素結合を利用する方法、π−スタッキングを利用する方法、静電気相互作用を利用する方法など、公知の方法を採用することができる。
また、カーボンナノチューブをスルフィド結合および/またはニトリル基を含有するゴムで表面処理する方法には、上記のいずれかの方法で表面に導入された官能基と反応性基を含有する所定のゴムとを反応させればよく、これにより、カーボンナノチューブ表面に所定のゴムを付着させることができる。
【0039】
導電材料は、アスペクト比が10〜10000であることが好ましい。特に、導電材料がカーボンナノチューブである場合には、そのアスペクト比は20〜10000が好ましく、50〜1000がより好ましい。このようなアスペクト比の導電材料であれば、より良好な導電性を発現することができる。
【0040】
導電性フィラー中に占める導電材料の割合は、20体積%以下が好ましく、より好ましくは15体積%以下、さらに好ましくは10体積%以下である。導電材料の含有割合が多すぎると、樹脂中に均一に分散させ難くなることがあり、また一般に上述のような導電材料は高価であることからも、上記範囲に使用量を抑えることが望ましい。
【0041】
金属ナノ粒子としては、銀、ビスマス、白金、金、ニッケル、スズ、銅、亜鉛等が挙げられ、その平均粒子径は2〜100nmが好ましい。特に、導電性の観点からは、銅、銀、白金、金が好ましく、銀及び/又は銅を主成分(50質量%以上)とするものがより好ましい。金属ナノ粒子を含有させると、導電性の向上が期待できるとともに、伸縮性導体層の形成に用いる導電性ペーストのレオロジー調節に寄与し、印刷性を向上させることができる。
【0042】
導電性フィラー中に占める金属ナノ粒子の割合は、20体積%以下が好ましく、より好ましくは15体積%以下、さらに好ましくは10体積%以下である。導電材料の含有割合が多すぎると、樹脂中で凝集し易くなることがあり、また一般に上述のような粒子径の小さい金属ナノ粒子は高価であることからも、上記範囲に使用量を抑えることが望ましい。
【0043】
伸縮性導体層に占める上記導電性フィラーの量(換言すれば、伸縮性導体層形成用の導電性ペーストの全固形分中に占める導電性フィラーの量)は、15〜45体積%が好ましく、より好ましくは20〜40体積%である。導電性フィラーの量が少なすぎると、導電性は不十分になる虞があり、一方、多すぎると、伸縮性導体層の伸縮性が低下する傾向があり、得られた伸縮性電極および配線シートを伸長した際にクラック等が発生し、その結果、良好な導電性が保持できなくなる虞がある。
【0044】
伸縮性導体層を形成する樹脂は、硫黄原子を含有するゴムおよび/またはニトリル基を含有するゴムを少なくとも含有することが好ましい。硫黄原子やニトリル基は金属類との親和性が高く、またゴムは伸縮性が高く伸長時にもクラック等の発生を回避しうるので、電極および配線シートが伸長されても導電性フィラーを均一な分散状態で保持し、優れた導電性を発現させることができる。伸長時の電気抵抗変化の観点からは、ニトリル基を含有するゴムがより好ましい。なお、伸縮性導体層を形成する樹脂は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0045】
硫黄原子を含有するゴムは、硫黄を含有するゴムやエラストマーであれば特に限定されない。硫黄原子は、ポリマーの主鎖のスルフィド結合やジスルフィド結合、側鎖や末端のメルカプト基などの形で含有される。硫黄原子を含有するゴムとしては、具体的には、メルカプト基、スルフィド結合またはジスルフィド結合を含有する、ポリサルファイドゴム、ポリエーテルゴム、ポリアクリレートゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。特に、メルカプト基を含有する、ポリサルファイドゴム、ポリエーテルゴム、ポリアクリレートゴム、シリコーンゴムが好ましい。また、硫黄原子を持たないゴム中に、ペンタエリスリトールテトラキス(S−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(S−メルカプトブチレート)、メルカプト基含有シリコーンオイルなどの硫黄含有化合物を配合した樹脂を用いることもできる。硫黄原子を含有するゴムとして用いることのできる市販品としては、液状多硫化ゴムである東レ・ファインケミカル社製の「チオコール(登録商標)LP」等が好ましく挙げられる。硫黄原子を含有するゴム中の硫黄原子の含有量は10〜30質量%が好ましい。
【0046】
本発明においては樹脂として(c)柔軟性樹脂を用いることが好ましい。本発明における(c)柔軟性樹脂とは、弾性率が、1〜1000MPaの、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴムなどが挙げられるが、膜の伸縮性を発現させるためには、ゴムが好ましい。ゴムとしては、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴムや水素化ニトリルゴムなどのニトリル基含有ゴム、イソプレンゴム、硫化ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ化ビニリデンコポリマーなどが挙げられる。この中でも、ニトリル基含有ゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴムが好ましく、ニトリル基含有ゴムが特に好ましい。本発明で好ましい弾性率の範囲は3〜600MPaであり、さらに好ましく10〜500MPa、なお好ましくは30〜300MPaの範囲である。
【0047】
ニトリル基を含有するゴムは、ニトリル基を含有するゴムやエラストマーであれば特に限定されないが、ニトリルゴムと水素化ニトリルゴムが好ましい。ニトリルゴムはブタジエンとアクリロニトリルの共重合体であり、結合アクリロニトリル量が多いと金属との親和性が増加するが、伸縮性に寄与するゴム弾性は逆に減少する。従って、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム中の結合アクリロニトリル量は18〜50質量%が好ましく、40〜50質量%が特に好ましい。
【0048】
ニトリル基を含有するゴムとしては、ニトリル基を含有するゴムやエラストマーであれば特に限定されないが、ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体であるアクリロニトリルブタジエン共重合体ゴムが好ましく挙げられる。ニトリル基を含有するゴムとして用いることのできる市販品としては、日本ゼオン社製の「Nipol(登録商標)1042」等が好ましく挙げられる。ニトリル基を含有するゴム中のニトリル基量(特に、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム中のアクリロニトリル量)は、18〜50質量%が好ましく、28〜41質量%がより好ましい。アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム中の結合アクリロニトリル量が多いと、金属類との親和性は増大するが、伸縮性に寄与するゴム弾性は逆に減少する。
【0049】
また、本発明の柔軟性樹脂は、アルカリ金属含有量が4000ppm以下であることが好ましい。アルカリ金属含有量を低減させることで導電性銀ペーストの擬似的架橋による経時的な粘度上昇が抑制され、長期保存安定性が向上する。また、金属イオン源の低減から導電性塗膜とした場合の耐マイグレーション性も改善される。銀粉と親和性に優れる二トリル基が優先的に銀粉表面に吸着することで塗膜内の銀粉とニトリル基を含有するゴムが完全な均一分散状態にならず、海島構造のような偏在化、不均一化が生じる。このため、銀粉が低充填量であるにもかかわらず、導電性ネットワークを形成しやすくなる。銀粉の低充填量化によるゴム成分の増加で良好な伸長性、繰返し伸縮性を発現できる。
【0050】
本発明における(c)柔軟性樹脂の配合量は、(a)導電粒子と(b)硫酸バリウム粒子と(c)柔軟性樹脂の合計に対して7〜35質量%であり、好ましくは9〜28質量%、さらに好ましくは12〜20質量%である。
【0051】
伸縮性導体層に占める上記樹脂の量(換言すれば、伸縮性導体層形成用の導電性ペーストの全固形分中に占める樹脂固形分の量)は、55〜85体積%が好ましく、より好ましくは60〜80体積%である。樹脂の量が少なすぎると、導電性は高くなるが、伸縮性が悪くなる傾向がある。一方、樹脂の量が多すぎると、伸縮性は良くなるが、導電性は低下する傾向がある。
【0052】
また、本発明の導電ペーストにはエポキシ樹脂を配合できる。本発明で好ましいエポキシ樹脂はビスフェノールA型エポキシ樹脂ないしはフェノールノボラック型エポキシ樹脂である。エポキシ樹脂を配合する場合、エポキシ樹脂の硬化剤を配合できる。硬化剤としては公知のアミン化合物、ポリアミン化合物などを用いればよい。硬化剤はエポキシ樹脂に対して5〜50%配合することが好ましく、10〜30質量%がさらに好ましい。またエポキシ樹脂と硬化剤の配合量は、柔軟性樹脂を含めた全樹脂成分に対して3〜40質量%、好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは8〜24質量%である。
【0053】
本発明における伸縮性導体層は、導電性および伸縮性を損なわない範囲で、無機物を含有することができる。無機物としては、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化タングステン、炭化クロム、炭化モリブテン、炭化カルシウム、ダイヤモンドカーボンラクタム等の各種炭化物;窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウム等の各種窒化物;ホウ化ジルコニウム等の各種ホウ化物;酸化チタン(チタニア)、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アルミニウム、シリカ、コロイダルシリカ等の各種酸化物;チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム等の各種チタン酸化合物;二硫化モリブデン等の硫化物;フッ化マグネシウム、フッ化炭素等の各種フッ化物;ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の各種金属石鹸;その他、滑石、ベントナイト、タルク、炭酸カルシウム、ベントナイト、カオリン、ガラス繊維、雲母等を用いることができる。これらの無機物を添加することによって、伸縮性導体層形成時の印刷性、耐熱性、さらには機械的特性や長期耐久性を向上させることが可能となる場合がある。なお、無機物は1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
【0054】
本発明における伸縮性導体層には、必要に応じて、チキソ性付与剤、消泡剤、難燃剤、粘着付与剤、加水分解防止剤、レベリング剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、顔料、染料等の各種添加物を配合することができる。なお、添加物は1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
【0055】
本発明では、好ましくは硫酸バリウム粒子を配合することができる。本発明の(b)硫酸バリウム粒子としては、天然の重晶石と呼ばれるバライト鉱物の粉砕品である簸性硫酸バリウムと、化学反応で製造されるいわゆる沈降性硫酸バリウムを使用することができる。本発明では粒子径の制御が行いやすい沈降性硫酸バリウムを用いることが好ましい。好ましく用いられる硫酸バリウム粒子の動的光散乱法によって求められる平均粒子径は、0.01〜18μm、さらに好ましくは0.05〜8μm、なおさらに好ましくは0.2〜3μmである。また本発明の硫酸バリウム粒子は、Al、Siの一方または両方の水酸化物及び/又は酸化物によって表面処理されていることが好ましい。かかる表面処理により硫酸バリウム粒子の表面にAl、Siの一方または両方の水酸化物及び/又は酸化物が付着する。これらの付着量は蛍光X線分析による元素比率にてバリウム元素100に対して0.5〜50であることが好ましく、2〜30であることがさらに好ましい。
【0056】
硫酸バリウム粒子の平均粒子径は、導電性粒子の平均粒子径より小さいことが好ましい。導電性粒子の数平均粒子径は、硫酸バリウム粒子の数平均粒子径の1.5倍以上であることが好ましく2.4倍以上より大きいことをさらに好ましく、4.5倍以上であることが、なおさらに好ましい。硫酸バリウム粒子の平均粒子径がこの範囲を超えると得られる塗膜表面の凹凸が大きくなり、伸張した際に塗膜が破断するきっかけとなりやすい。一方、硫酸バリウム粒子の平均粒子径がこの範囲より小さいと、伸縮耐久性改善効果が小さく、またペーストの粘度が高くなり、ペースト製作が困難となる。
【0057】
本発明における硫酸バリウム粒子の配合量は、導電性粒子と硫酸バリウム粒子の合計に対して2〜30質量%であり、さらに3〜20質量%が好ましく、なおさらに4〜15%が好ましい。硫酸バリウム粒子の配合量がこの範囲を超えると得られる塗膜表面の導電性が低下する。一方、硫酸バリウム粒子の配合量がこの範囲より小さいと、伸縮耐久性改善効果が発現しにくくなる。
【0058】
本発明における伸縮性導体層は、上記各成分を適当な有機溶剤に溶解ないし分散させた組成物(導電性ペースト)を第一絶縁層上に直接、所望のパターンに塗布または印刷して塗膜を形成し、次いで塗膜に含まれる有機溶剤を揮散させ乾燥させることにより、形成することができる。または、導電性ペーストを離型シート等の上に塗布または印刷して塗膜を形成し、次いで塗膜に含まれる有機溶剤を揮散させ乾燥させることにより、予めシート状の伸縮性導体層を形成しておき、それを所望のパターンに切り抜くないし、打ち抜いて第一絶縁層上に積層するようにしてもよい。
【0059】
本発明の伸縮性導体形成用ペーストは、(d)溶剤を含有する。本発明における溶剤は、水または有機溶剤である。
溶剤の含有量は、ペーストに求められる粘性によって適宜調査されるべきであるため、特に限定はされないが、概ね(a)導電性粒子、(b)硫酸バリウム粒子と(c)柔軟性樹脂の合計質量を100した場合に30〜80質量比が好ましい
本発明に使用される有機溶剤は、沸点が100℃以上、300℃未満であることが好ましく、より好ましくは沸点が130℃以上、280℃未満である。有機溶剤の沸点が低すぎると、ペースト製造工程やペースト使用に際に溶剤が揮発し、導電性ペーストを構成する成分比が変化しやすい懸念がある。一方で、有機溶剤の沸点が高すぎると、乾燥硬化塗膜中の残溶剤量が多くなり、塗膜の信頼性低下を引き起こす懸念がある。
【0060】
本発明における有機溶剤としては、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、イソホロン、γ−ブチロラクトン、ベンジルアルコール、エクソン化学製のソルベッソ100,150,200、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ターピオネール、ブチルグリコールアセテート、ジアミルベンゼン(沸点:260〜280℃)、トリアミルベンゼン(沸点:300〜320℃)、n−ドデカノール(沸点:255〜29℃)、ジエチレングリコール(沸点:245℃)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点:145℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点217℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(沸点:247℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点:255℃)、ジエチレングリコールモノアセテート(沸点:250℃)、トリエチレングリコールジアセテート(沸点:300℃)トリエチレングリコール(沸点:276℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:249℃)、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点:256℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:271℃)、テトラエチレングリコール(沸点:327℃)、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:304℃)、トリプロピレングリコール(沸点:267℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:243℃)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(沸点:253℃)などが挙げられる。また、石油系炭化水素類としては、新日本石油社製のAFソルベント4号(沸点:240〜265℃)、5号(沸点:275〜306℃)、6号(沸点:296〜317℃)、7号(沸点:259〜282℃)、および0号ソルベントH(沸点:245〜265℃)なども挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上が含まれてもよい。このような有機溶剤は、導電性銀ペーストが印刷などに適した粘度となるように適宜含有される。
【0061】
本発明の伸縮性導体形成用ペーストは、材料である(a)導電性粒子、(b)硫酸バリウム粒子、(c)伸縮性樹脂、(d)溶剤をディゾルバー、三本ロールミル、自公転型混合機、アトライター、ボールミル、サンドミルなどの分散機により混合分散することにより得ることができる。
本発明の伸縮性導体形成用ペーストには、発明の内容を損なわない範囲で、印刷適性の付与、色調の調整、レベリング、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの公知の有機、無機の添加剤を配合することができる。
【0062】
本発明では、以上述べてきた伸縮性導体形成用ペーストを用いて電気配線を直接布帛に印刷することにより伸縮性導体組成物からなる配線を有する衣服を製造することができる。印刷手法としては、スクリーン印刷法、平版オフセット印刷法、ペーストジェット法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、スタンピング法、ステンシル法、などを用いることができるが、本発明ではスクリーン印刷法、ステンシル法を用いることが好ましい。またディスペンサ等を用いて配線を直接描画する手法も広義の印刷と解釈して良い。
【0063】
導電性ペーストにより塗膜を形成した後、有機溶剤を揮散させ乾燥させるには、例えば、大気下、真空雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、還元性ガス雰囲気下などで加熱を行えばよい。加熱温度は、例えば20〜200℃の範囲で、要求される導電性、基材や絶縁層の耐熱性などを考慮して選択すればよい。
【0064】
伸縮性導体層の乾燥膜厚は、150〜40μmが好ましく、より好ましくは100〜50μmである。伸縮性導体層が薄すぎると、伸縮性電極および配線シートの繰り返し伸縮により劣化しやすく道通が阻害ないし遮断の虞があり、一方、厚すぎると、基材の伸縮性の阻害と、電極および配線全体の厚さが分厚くなり着心地の阻害となる虞がある。
【0065】
<第二絶縁層>
本発明の伸縮性配線シートにおいては、前記伸縮性導体層の上に、第二絶縁層が形成されている。これにより、伸縮性配線シートを用いて作製した生体情報計測用インターフェスを着用した際に、雨や汗などの水分が伸縮性導体層に触れるのを防ぐ。
【0066】
第二絶縁層を形成する樹脂としては、上述した第一の絶縁層を形成する樹脂と同様のものが挙げられ、好ましい樹脂も同様である。第二絶縁層を形成する樹脂も1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。第一の絶縁層を形成する樹脂と第二の絶縁層を形成する樹脂は、同一であってもよいし、異なっていてもよいが、同一であることが、伸縮性導体層の被覆性および配線シート伸縮時の応力の偏りによる伸縮性導体層の損傷の低減の点で好ましい。第二絶縁層は、上述したように第一絶縁層と同様にして形成することができる。また、後術する適度な物性を有する市販のシートないしフィルムを用いることもできる。
【0067】
第二絶縁層の膜厚は、5〜150μmが好ましく、10〜70μmがさらに好ましく、より好ましくは20〜50μmである。第二絶縁層が薄すぎると、基材の繰り返し伸縮により劣化しやすく絶縁効果が不十分になり、一方、厚すぎると、配線シートの伸縮性の阻害および配線全体の厚さが分厚くなり着心地の阻害となる虞がある。
【0068】
<伸縮性電極および配線シートの特徴>
本発明の伸縮性電極および配線シートは、前記伸縮性導体層の電気抵抗が300Ω/cm以下であり、好ましくは200Ω/cm以下、より好ましくは100Ω/cm以下である。なおさらに、10Ω/cmが好ましく1Ω/cmが好ましく、0.1Ω/cmが好ましく、0.01Ω/cmが好ましい。本発明の伸縮性電極および配線シートの導体層の抵抗値は、配線抵抗とも云い、幅1cmの導体を形成した際の長さ1cmあたりの抵抗値を示し、この場合、いわゆるシート抵抗値に等しい。
従来導電性布帛の電気抵抗は1,000Ω/cm前後であることに対して、本発明の伸縮性電極および配線シートの伸縮性導体層は、金属粉を主とする導電性フィラーと、樹脂として硫黄原子を含有するゴムおよび/またはニトリル基を含有するゴムで形成されることで、伸縮性導体層の電気抵抗を300Ω/cm以下に抑えることができるという特徴を奏する。なお、本発明における上記電気抵抗測定の詳細は実施例に記載する。
【0069】
本発明の伸縮性電極および配線シートの好ましい態様において、伸長率10%の伸長時にかかる荷重は100N以下であり、より好ましくは80N以下、さらに好ましくは50N以下である。従来の導電性布帛や配線は、伸長率10%の伸長時にかかる荷重は100N以上であり、基材の伸長に追従し難く、着用したときの着心地を阻害する原因となった。それに対して、本発明の伸縮性電極および配線シートは、伸縮性導体層を形成する樹脂として好ましくは硫黄原子を含有するゴムおよび/またはニトリル基を含有するゴムを用いることにより、さらに弾性率が1から1000MPa、好ましくは3〜600MPaであり、さらに好ましく10〜500MPa、なお好ましくは30〜300MPaの範囲である柔軟性樹脂を用いることにより、伸長率10%の伸長時にかかる荷重を100N以下に抑えることができるという特徴を奏する。なお、本発明における上記伸長―荷重試験の詳細は実施例に記載する。
【0070】
本発明の伸縮性電極および配線シートの好ましい態様において、20%伸長による電気抵抗の変化は5倍以下であり、より好ましくは4倍以下、さらに好ましくは3倍以下である。従来の導電性布帛や配線は、通常、伸長率20%になるまでの段階で断線したり、伸長率20%まで伸長できたとしても、抵抗変化倍率が10倍を超えるほど著しい導電性の低下を生じる。それに対して、本発明の伸縮性電極および配線シートは、伸縮性導体層を形成する樹脂として好ましくは、硫黄原子を含有するゴムおよび/またはニトリル基を含有するゴムを用いることにより、さらに弾性率が1から1000MPa、好ましくは3〜600MPaであり、さらに好ましく10〜500MPa、なお好ましくは30〜300MPaの範囲である柔軟性樹脂を用いることにより、20%まで伸長しても抵抗変化率を5倍以下に抑えることができるという特徴を奏する。なお、本発明における上記伸長試験の詳細は実施例に記載する。
【0071】
本発明の伸縮性電極および配線シートの好ましい態様において、厚さは200μm以下であり、より好ましくは180μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。従来の導電性布帛や配線の厚さは200μm以上であり、皮膚側に接したとき着用者に異物感を与える傾向がある。それに対して、本発明の伸縮性電極および配線シートは、金属粉を主とする導電性フィラーと、樹脂として硫黄原子を含有するゴムおよび/またはニトリル基を含有するゴムで形成される伸縮性導体層により、高い導電性を有しながらも厚さを200μm以下に抑えることができるという特徴を奏する。
【0072】
本発明の伸縮性電極および配線シートは、後述の基材に積層することが可能である。基材に対して絶縁第一層側を積層することが好ましく、積層する方法としては、接着剤による積層や熱プレスによる積層など、従来公知の積層方法であれば特に制限されるものではないが、生体情報の計測のために着用時の身体へのフィット性や運動時・動作時の追従性などの観点から、電極および配線シートの伸縮性を妨げない積層方法が好ましい。
【0073】
<生体情報計測用インターフェス>
本発明の生体情報計測用インターフェスは、上記本発明の伸縮性電極および配線シートが基材に積層された構成を有するものである。本発明の生体情報計測用インターフェスの基材は、人体の躯幹部の少なくとも周長方向に装着するベルト、ブラジャーのような帯状の物、および/または、編織物、不織布からなる被服であれば特に制限されるものではなく、従来公知の各種樹脂からなる製品や、天然繊維、合成繊維、半合成繊維から構成された織編物または不織布を用いることができるが、生体情報の計測のために着用時の身体へのフィット性や運動時・動作時の追従性などの観点から、伸縮性を有するものが好ましい。このような生体情報計測用インターフェスは、着用者の生体情報を計測する手段となり、通常の着用法と着用感を有し、着用するだけで簡便に各種生体情報を測定することができる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0075】
以下の実施例、比較例で使用した絶縁層形成用樹脂、導電性ペーストは以下のようにして調製した。
<導電性ペースト>
表1に示す樹脂をジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させて、この溶液に、銀粒子(DOWAエレクトロニクス社製「凝集銀粉G−35」、平均粒径5.9μm)と、必要に応じて後述の方法で作製した表面処理カーボンナノチューブ(CNT)とを均一に分散した液を、各成分が表1に示す配合となるように加え、3本ロールミルにて混練して、導電ペーストとした。
【0076】
なお、表1に示す樹脂の詳細は、下記の通りである。
・ニトリル基含有ゴム:日本ゼオン社製「Nipol(登録商標)1042」(アクリロニトリル含量33.3質量%)
・硫黄含有ゴム:東レファインケミカル社製「チオコール(登録商標)LP−23」(硫黄含量21.5質量%)
・ポリエステル:東洋紡社製「バイロン(登録商標)RV630」
【0077】
また、表面処理カーボンナノチューブ(CNT)は、以下の方法で作製した。
(表面にアクリロニトリルブタジエンオリゴマーを有するCNTの作製)
50mgの多層カーボンナノチューブ(SWeNT MW100、SouthWest Nano Technologies社製、直径6〜9nm、長さ5μm、アスペクト比556〜833)を0.006mol/Lのo−フェニルフェニルグリシジルエーテルのエタノール溶液100mLに添加し、超音波処理を30分間行った。PTFE膜を用いてろ過し、エタノールで数回洗浄した後、乾燥させて表面にグリシジル基を有するカーボンナノチューブを作製した。
【0078】
次に、このカーボンナノチューブを、末端アミノ基アクリロニトリルブタジエンオリゴマーであるHyproTM 1300×16ATBN(アクリロニトリル含量18質量%、アミン等量900、Emerald Performance Materials社製)のテトラヒドロフラン溶液中に添加し、超音波処理機により30分間分散処理を行った。さらに60℃に加熱し、1時間超音波処理を行った後、PTFE膜を用いてろ過し、テトラヒドロフランで数回洗浄した後、乾燥させて表面にアクリロニトリルブタジエンオリゴマーを有するカーボンナノチューブを得た。
【0079】
<絶縁層形成用樹脂>
表1に示す樹脂を9質量部に、増粘剤(センカ社製「アクトゲルAP200」、アクリル酸系重合物)1質量部と水10質量部との混合液4質量部を混合して、絶縁層形成用樹脂とした。
【0080】
なお、表1に示す樹脂の詳細は、下記の通りである。
・ポリウレタンA:荒川化学工業社製「ユリアーノ(登録商標) W600」(ポリエステル系アニオン性水性ポリウレタン、ウレタン樹脂含有量35質量%、イソプロピルアルコール5質量%)
・ポリウレタンB:荒川化学工業社製「ユリアーノ(登録商標) W321」(ポリエステル系アニオン性水性ポリウレタン、ウレタン樹脂含有量35質量%、イソプロピルアルコール9質量%)
【0081】
表1に示す配合で調製した導電性ペーストを離型シートの上に塗布し、120℃の熱風乾燥オーブンで30分以上乾燥することにより、シート状の離型シート付き伸縮性導体層を作製した。
【0082】
次に、離型シートの上の長さ15cm、幅3cmの領域に、表1に示す絶縁層形成用樹脂を塗布しておき、その上に前記離型シートに付き伸縮性導体層を長さ15cm、幅1cmに切り出して、離型シートを剥がし、伸縮性導体層を積層した。その後、100℃の熱風乾燥オーブンで20分乾燥することにより、第一絶縁層と伸縮性導体層を形成し、伸縮性電極シートを得た。
なお、第一絶縁層として用いた絶縁層形成用樹脂を塗布し、100℃の熱風乾燥オーブンで20分乾燥させた後に離型シートから剥離して絶縁層シートを得、同じく離型シートから剥離した伸縮性導体層シートと、伸張荷重10%の伸張時の荷重を比較したところ、絶縁層シートの荷重>伸縮性導体層シートの荷重であった。
【0083】
次に、積層した伸縮性導体層を覆うような長さ10cm、幅3cmの領域に、上記第一絶縁層を形成したものと同じ絶縁層形成用樹脂を塗布し、100℃の熱風乾燥オーブンで20分以上乾燥することにより、伸縮性導体層の上に第二絶縁層を形成し、第一絶縁層/伸縮性導体層/第二絶縁層の構成を有する伸縮性配線シートを得た。
【0084】
各実施例、比較例で得られた伸縮性電極および配線シートを以下の試験に供し、評価した。
<電気抵抗測定>
上記の形成方法で得た伸縮性電極および配線シートの伸縮性導体層の表面に対して、デジタルマルチメータ(横河メータ&インスツルメンツ社製「YOKOGAWA TY530」)を用い、幅1cmの導体パターンにおいて、測定距離1cm当りの抵抗値(Ω)を測定した。
【0085】
<伸長―荷重試験>
テンシロン(ORIENTEC CORPORATION社製「RTM−250」)を使用し、幅3cm,試験長さ5cmの伸縮性電極および配線シート、絶縁層シート、伸縮性導体シート等を10%伸長(変位量0.5cm)したときにかかる荷重(N)を測定した。
【0086】
<伸長試験>
幅2.5cmのチャックを2個備えた伸長試験機(手回し延伸機)を用いて、チャック間距離5cmで伸縮性電極および配線シートを挟み、長手方向に伸長率20%まで伸長(変位量1cm)した。試験前後の電気抵抗はデジタルマルチメータ(横河メータ&インスツルメンツ社製「YOKOGAWA TY530」)を用い、対向する2個のチャックの外側にて抵抗値(Ω)を測定した(測定距離10cm)。抵抗値の測定は伸長直後(3秒以内)に実施した。
【0087】
<抵抗変化倍率>
抵抗変化倍率は、伸長率0%のとき(試験前)の抵抗値(R)に対する、伸長率20%のときの抵抗値(R20)の割合(すなわち、抵抗変化倍率=R20/R(倍))である。
【0088】
【表1】
【0089】
以下、さらに実施例を示し、本発明をより詳細かつ具体的に説明する。以後の実施例中にて新たに必要となる評価項目は以下の方法にて測定した。
【0090】
<ニトリル量>
得られた樹脂材料をNMR分析して得られた組成比から、モノマーの質量比による質量%に換算した。
【0091】
<ムーニー粘度>
島津製作所製 SMV−300RT「ムーニービスコメータ」を用いて測定した。
【0092】
<アルカリ金属量>
樹脂を灰化処理し、得られた灰分を塩酸抽出し、原子吸光法にてナトリウム、カリウムの含有量を求め、両者を合計した。
【0093】
<弾性率>
樹脂材料を厚さ200±20μmのシート状に加熱圧縮成形し、次いでISO 527−2−1Aにて規定されるダンベル型に打ち抜き、試験片とした。ISO 527−1に規定された方法で引っ張り試験を行って求めた。
【0094】
<樹脂材料の繰り返し伸縮耐久性>
(1)試験片シート形成
樹脂材料を厚さ200±20μmのシート状に加熱圧縮成形し、次いでISO 527−2−1Aにて規定されるダンベル型に打ち抜き、試験片とした。
(2)伸縮試験
山下マテリアル製のIPC屈曲試験機を改造し、試験機の往復ストロークを13.2mmに設定、可動板側に試験片をクランプで固定、もう一端を別の固定端にクランプにて固定、ダンベル型試験片中の幅10mm、長さ80mmの部分を用いて、有効長が66mmとなるように調整し(伸張度20%に相当)し、サンプルの繰り返し伸張が行えるように改造した装置を用いた。試験片を用いて5000回の繰り返し伸張を行い、前後の外観比較にて繰り返し伸縮耐久性を評価した。初期と外観に変化が見られない場合に「○」、樹脂表面にクラックなどが観察された場合には「×」とした。
【0095】
<導電ペーストの繰り返し伸縮耐久性>
伸縮性導体形成用ペーストを、伸縮性樹脂R1から得られた厚さ200±20μmのシートを基材とし、スクリーン印刷を用いて180mm×30mmの矩形パターンを乾燥膜厚が30μm印刷し、120℃にて30分乾燥硬化した。ついで矩形パターン部をISO 527−2−1Aにて規定されるダンベル型に打ち抜き、試験片とした。
【0096】
山下マテリアル製のIPC屈曲試験機を改造し、試験機の往復ストロークを13.2mmに設定、可動板側に試験片をクランプで固定、もう一端を別の固定端にクランプにて固定、ダンベル型試験片中の幅10mm、長さ80mmの部分を用いて、有効長が66mmとなるように調整し(伸張度20%に相当)し、サンプルの繰り返し伸張が行えるように改造した装置を用い、伸縮有効長の66mmの両端の外側0〜5mmにアルミホイルを巻き付けた上で金属製クリップで挟み、テスターで抵抗値をモニターしながら繰り返し伸張を行った。抵抗値の読み取りは、繰り返し伸張600回までは10回毎に、600回以上は50回毎に伸張率が0%の状態にて停止し、停止後1分後の値を読んで記録し、抵抗値が初期の100倍に達した時点の回数を記録して、そこで試験を打ち切った。
【0097】
<導電性(シート抵抗、比抵抗)>
ISO 527−2−1Aにて規定されるダンベル型試験片の中央部にある幅10mm、長さ80mmの部分の抵抗値[Ω]を、アジレントテクノロージ社製ミリオームメーターを用いて測定し、試験片の縦横比(1/8)を乗じてシート抵抗値「Ω」を求めた。
また、抵抗値[Ω]に断面積(幅1[cm]mm×厚さ[cm])を乗じ、長さ(8cm)にて除して、比抵抗[Ωcm]を求めた。
【0098】
<耐マイグレーション性評価>
スクリーン印刷を用いて導電ペーストを、幅1.0mm、長さ30.0mmの導体パターン2本が1.0mmの間隔にて平行するテストパターンをポリエステルフィルム上に印刷・硬化して試験片とした。試験片の電極間にDC5Vを印可した状態で、脱イオン水を導体間に滴下し、電極間がデンドライト状の析出物にて短絡されるまでの時間を測定し、60秒以内である場合を×、60秒以上の場合を○とした。なお、脱イオン水の滴下量は、水滴が電極間を8〜10mmの幅にて覆う程度とし、短絡の判断は目視観察とした。
【0099】
<表面触感>
男女各5人からなる成人10名を被験者とし、被験者の腹部の皮膚に印刷物表面を接触させ触感を、「触感が良い」を5点、「触感が悪い」を1点として、五段階の官能評価を行い、10人の平均において、4以上を◎、3以上4未満を○、2以上3未満を△、2未満を×とした。
【0100】
<平均粒子径>
堀場製作所製の的光散乱式粒径分布測定装置LB-500を用いて測定した。
【0101】
<無機粒子の組成分析>
用いる無機粒子の組成分析を蛍光X線分析装置(蛍光X線分析装置システム3270、理学電機株式会社製)を使用しAl成分、Si成分の検査を行った。なお、Al、Si、被着量は、検出されたAl成分、およびSi成分の金属化合物を酸化物換算(即ち、Al成分はAl、Si成分はSiOとして換算)した。
【0102】
<配線抵抗>
得られた導電性ペーストを離型シートの上にバーコーターで塗布し、120℃の熱風乾燥オーブンで30分以上乾燥した、伸縮性導体層の厚さが70μmとなるように、必要に応じて同様の操作を繰り返し、シート状の離型シート付き伸縮性導体層を作製した。
次に、離型シートの上の長さ15cm、幅3cmの領域に、表1に示す絶縁層形成用樹脂を塗布しておき、その上に前記離型シートに付き伸縮性導体層を長さ15cm、幅1cmに切り出して、離型シートを剥がし、伸縮性導体層を積層した。その後、100℃の熱風乾燥オーブンで20分以上乾燥することにより、第一絶縁層と伸縮性導体層を形成し、伸縮性電極シートを得た。
【0103】
次に、積層した伸縮性導体層を覆うような長さ10cm、幅3cmの領域に、上記第一絶縁層を形成したものと同じ絶縁層形成用樹脂を塗布し、100℃の熱風乾燥オーブンで20分以上乾燥することにより、伸縮性導体層の上に第二絶縁層を形成し、第一絶縁層/伸縮性導体層/第二絶縁層の構成を有する伸縮性配線シートの試験片を得た。得られた伸縮性配線シートについて、実施例1−11と同様の方法で、配線抵抗(幅1cmの導体幅における長さ1cmあたりの抵抗値)を求めた。
【0104】
<10%伸張時の荷重>
得られた試験片を用い、実施例1と同様の方法で測定した。
【0105】
<20%伸張時の抵抗倍率>
得られた試験片を用い、実施例1と同様の方法で測定した。
【0106】
[製造例]
<合成ゴム材料の重合>
攪拌機、水冷ジャケットを備えたステンレス鋼製の反応容器に
ブタジエン 54質量部
アクリロニトリル 46質量部
脱イオン水 270質量部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.5質量部
ナフタレンスルホン酸ナトリウム縮合物 2.5質量部
t−ドデシルメルカプタン 0.3質量部
トリエタノールアミン 0.2質量部
炭酸ナトリウム 0.1質量部
を仕込み、窒素を流しながら浴温度を15℃に保ち、静かに攪拌した。次いで 過硫酸カリウム0.3質量部を脱イオン水19.7質量部に溶解した水溶液を30分間かけて滴下し、さらに20時間反応を継続した後、ハイドロキノン0.5質量部を脱イオン水19.5質量部に溶解した水溶液を加えて重合停止操作を行った。
【0107】
次いで、未反応モノマーを留去させるために、まず反応容器内を減圧し、さらにスチームを導入して未反応モノマーを回収し、NBRからなる合成ゴムラテックス(L1)を得た。
得られたラテックスに食塩と希硫酸を加えて凝集・濾過し、樹脂に対する体積比20倍量の脱イオン水を5回に分けて樹脂を脱イオン水に再分散、濾過を繰り返すことで洗浄し、空気中にて乾燥して合成ゴム樹脂R1を得た。
【0108】
得られた合成ゴム樹脂R1の評価結果を表1に示す。以下仕込み原料、重合条件、洗浄条件などを変えて同様に操作を行い、表2に示す樹脂材料R2〜R6を得た。なお、表中の略号は以下の通りである。
NBR:アクロニトリルブタジエンゴム
NBIR:アクリロニトリル−イソプレンゴム(イソプレン10質量%)
SBR:スチレンブタジエンゴム(スチレン/ブタジエン=50/50質量%)
【0109】
【表2】
【0110】
硫酸バリウム粒子の調製(A)
吸込口径40mm、吐出口径25mm、内容積850mL、インペラー回転数2380r pmのワーマンポンプを反応槽として用い、このポンプに濃度110g/L(1.1mo l/L)、温度30℃の硫酸水溶液を700L/hの一定流量にて吸い込ませると共に、 120g/L(0.71mol/L)、温度50℃の硫化バリウム水溶液を600L/ hの一定流量にて吸い込ませることで調製した水スラリー(固形分95g/L)1000mLを60℃に昇温した。SiOとして4.0g相当量の珪酸ナトリウムを純水100 mLで希釈して20分で滴下し、次いで、Alとして2.0g相当量のアルミン酸ソーダを純水100mLで希釈し、20分で滴下した。さらに反応系を70℃に昇温し、30分撹拌後、希硫酸を用いて30分かけてpH8に中和した。10分撹拌してから、ろ過し、充分に水洗してから乾燥して、乾燥チップを得て、粗砕した後、気流式粉砕機で粉砕した。得られた粉体は、基材となる超微粒子硫酸バリウムと被着物の合計質量に対して、SiOとして3.5質量%、 Alとして1.7質量%被着され、動的光散乱法によって測定される平均粒子径が 0.3μmであった。
【0111】
硫酸バリウム粒子の調製(B)
竹原化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウムTS−1を硫酸バリウム粒子(B)として用いた。硫酸バリウムの調製(A)と同様に分析した結果SiOの含有量は0.1%以下、 Alとしては0.1%以下で、実質的に含有しないものと判断した。同様の方法で求めた平均粒子径は0.6μmであった。
【0112】
硫酸バリウム粒子の調製(C)
竹原化学工業株式会社製の簸性硫酸バリウムW−1を硫酸バリウム粒子(C)として用いた。SiOの含有量は0.3質量%、 Alとしては0.2%質量%であった。簸性硫酸バリウムは天然物由来であり、いずれも不純物と判断した。同様の方法で求めた平均粒子径は1.7μmであった。
【0113】
酸化チタン粒子(D)
堺化学工業製酸化チタン粒子R−38Lを酸化チタン粒子(D)として用いた。平均粒子径は0.4μmであった。以上の硫酸バリウム粒子、酸化チタン粒子について一覧を表2.に示す。
【0114】
【表3】
【0115】
[導電ペーストの調整]
エポキシ当量175〜195の液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂1.5質量部、製造例にて得られた伸縮性樹脂(R1)10質量部、潜在性硬化剤[味の素ファインケミカル株式会社製 商品名アミキュアPN23] 0.5質量部、をイソホロン30質量部と混合攪拌して溶解させバインダー樹脂組成物A1を得た。次いでバインダー樹脂組成物A1に、平均粒子径6μmの微細フレーク状銀粉[福田金属箔粉工業社製 商品名Ag−XF301]58.0質量部を加えて均一に混合し、三本ロールミルにて分散することにより導電ペーストC1を得た。得られた導電ペーストC1の評価結果を表4−1に示す。
【0116】
以下、材料を変えて配合を行い、表4−1、表4−2に示す導電ペーストC2〜C16を得た。評価結果を同様に表4−1、表4−2に示す。
なお、表4−1、表4−1において無定型銀粉1はDOWAエレクトロニクス社製の凝集銀粉G−35、平均粒子径5.9μm、無定型銀粉2はDOWAエレクトロニクス社製の凝集銀粉G−35を湿式分級して得た平均粒子径2.1μmの凝集銀粉である。
【0117】
【表4-1】
【0118】
【表4-2】
【0119】
[応用実施例1]
実施例12で得られた導電性ペーストを離型シートの上にバーコーターで塗布し、120℃の熱風乾燥オーブンで30分以上乾燥した、伸縮性導体層の厚さが70μmとなるように、必要に応じて同様の操作を繰り返し、シート状の離型シート付き伸縮性導体層を作製した。
【0120】
長さ200mm、幅30mm、厚さ50μmのホットメルトウレタンシート(第一絶縁層)の中央部に、長さ190mm、幅10mmにカットした実施例12で得られた伸縮性導体組成物シートを重ね合わせ、さらに伸縮性導体組成物シートの両端各20mmが露出するように長さ150mm、幅25mmのポリウレタンシート(第二絶縁層:カバーコート層)を重ね合わせた。
次に、長さ210mm、幅50っmの2−Wayトリコット生地(グンセン(株)製「KNZ2740」、ナイロンヤーン:ウレタンヤーン=63%:37%(混率)、目付け194g/m2)が、前記第1絶縁層を接するように重ね合わせ、ホットプレスにて全体を接着し、布地に貼り合わせた伸縮性導体組成物シートを得た。得られた試料を実施例12と同様に繰り返し伸縮耐久性(回)を求めたところ2500回と良好な特性を示した。
【0121】
[応用実施例2]
応用実施例1と同様の方法にて、左右の後腋窩線上と第7肋骨との交差点に伸縮性導体組成物シートにて直径50mmの円形電極を、さらに円形電極から胸部中央までの幅10mmの伸縮性導体組成物シート配線をスポーツシャツの内側に形成した。電極部と配線部との繋ぎ目は外形線がR10mmにてなめらかに処理されている。なお左右の電極から胸部中央に伸びる配線は、胸部中央にて5mmのギャップを持ち、両者は短絡されていない。第一絶縁層は伸縮性導体組成物シートの外形より5mm大きくした。配線部のカバーコート層は幅16mmとし、伸縮性導体組成物シート部から3mm外側までをカバーする寸法とし、伸縮性導体組成物シートによる配線の胸部中央側の端10mmはカバーコート層で覆われていない。電極部のカバーコート層は電極と同心円的に、内直径44mm、外直径56mmのリング状にカバーされており、電極部と配線部との繋ぎ目についても外側に3mm覆うようにカバーされている。
【0122】
続いて、左右の配線部のカバーコート層が無い胸部中央端のスポーツシャツの表面側にステンレススチール製のホックを取り付け、裏側の配線部と電気的導通を確保するために金属細線を撚り込んだ導電糸を用いて伸縮性導体組成物層とステンレススチール製ホックとを電気的に接続した。
ステンレススチール製ホックを介して、ユニオンツール社製の心拍センサWHS−2を接続し、同心拍センサWHS−2専用のアプリ「myBeat」を組み込んだアップル社製スマートホンで心拍データを受信し、画面表示できるように設定した。以上のようにして心拍計測機能を組み込んだスポーツシャツを作製した。
本シャツを被験者に着用させ、安静時、歩行時、ランニング時、自転車走行時、自動車運転時、睡眠時、について心電データを取得した。得られた心電データはノイズが少なく、高解像度で、心電図としてメンタルな状態、体調、疲労度、眠気、緊張度合いなどを心拍間隔の変化、心電波形などから解析可能な品位を有していた。
【0123】
以下同様に、実施例5、実施例6、実施例7、実施例11、比較例1の伸縮性導体組成物シートを用いて同様に心拍計測機能を組み込んだスポーツシャツを得た。結果、実施例7の伸縮性導体組成物においては、ランニング時に時折ノイズが観察され、比較例1の伸縮性導体組成物においては激しいランニング時に波形が乱れて心拍計測ができなかった以外は、いずれも良好な心電データを得ることができた。得られた結果は伸縮性導体組成物の表面触感の良否と対応している。表面触感は表面のざらつきと関与していると推察され、特に動きが激しい場合に身体表面と電極表面との接触が不良となる場合があることが示唆された。
【0124】
[応用実施例3]
実施例13で得られた導電ペーストを離型シートの上に塗布し、120℃の熱風乾燥オーブンで30分以上乾燥することにより、厚さ45μmのシート状の離型シート付き伸縮性導体層を作製した。
次に、離型シート付き導電シートの上にポリウレタンホットメルトシートをホットプレス機を用いて貼り合わせた後、長さ190mm、幅10mmのサイズに打ち抜き、離型シート/伸縮性導体組成物/ポリウレタンホットメルトシートからなる3層シートを得た。
【0125】
次に、長さ200mm、幅30mmの2−Wayトリコット生地(グンセン(株)製「KNZ2740」、ナイロンヤーン:ウレタンヤーン=63%:37%(混率)、目付け194g/m2)の中央部に得られた3層シートのホットメルト層側が接触するように重ね、ホットプレスで積層して、伸縮性電極シートを得た。さらに伸縮性電極シートの伸縮性導体組成層に長さ150mm、幅25mmのホットメルトウレタンシートを、伸縮性導体組成物層の長さ方向の両端がそれぞれ20mm露出するように重ねホットプレスで接着した。さらに伸縮性導体組成物層の露出部を、長さ22mm幅14mmの矩形で覆うようにスクリーン印刷を用いて伸縮性のあるカーボンペーストで被覆し、伸縮性のある複合電極シートを得た。
【0126】
得られた伸縮性複合シートを、伸縮性導体組成物層にかからないように長さ194mm、幅14mmに打ち抜き、スポーツ用ブラジャーのカップアンダー部の裏側のサイド部から中央部にかけて、カーボンペースト被覆層が肌側に向くようにして ホットメルトシートを用いて接着した。サイド部部分のカーボンペースト被覆層が身体に接触する電極部となる。ブラジャー中央部に対向した左右各々のカーボンペースト被覆部分に相当する表側にステンレススチール製のホックを取り付け、伸縮性導体組成物層との電気的接続を金属細線を撚り込んだ導電糸を用いて取り、ステンレススチール製ホックを介して、ユニオンツール社製の心拍センサWHS−2を接続し、同心拍センサWHS−2専用のアプリ「myBeat」を組み込んだアップル社製スマートホンで心拍データを受信し、画面表示できるように設定した。以上のようにして心拍計測機能を組み込んだスポーツブラジャーを作製した。
本スポーツブラジャーを被験者に着用させ、安静時、歩行時、ランニング時、自転車走行時、自動車運転時、睡眠時、について心電データを取得した。得られた心電データはノイズが少なく、高解像度で、心電図としてメンタルな状態、体調、疲労度、眠気、緊張度合いなどを心拍間隔の変化、心電波形などから解析可能な品位を有していた。
【0127】
以下同様に、実施例13から23のペーストを用い、他は同様に操作して心拍計測機能を組み込んだスポーツブラジャーを製作した。結果、いずれも良好な心電データを得ることができた。
【0128】
[応用実施例4]
離型シートの上に、伸縮性を有するウレタン樹脂にてカバーコート層を、次いで電極相当部分に伸縮性カーボンペーストをスクリーン印刷法にて形成し、乾燥硬化させた。次いで、その上に実施例22にて得られた伸縮性導体組成物のペーストを重ねて印刷して乾燥硬化し、さらにその上からホットメルト性を有するウレタン樹脂層を同様にスクリーン印刷にて重ね印刷した。伸縮性導体組成物層のパターンを図1.に示す。カーボンペーストを重ねた部分は手首がわの端の配線長15mm部分である
得られた重ね印刷物のホットメルト性ウレタンシート側を、布製手袋の甲側に重ね、ホットプレスにて離型シートから手袋に転写し、配線付き手袋を得た。得られた配線付き手袋の手首相当部分の電極に導電性接着剤を用いてリード線を取り付け、各指関節の屈曲に応じた配線の抵抗変化が多チャンネルの抵抗測定器により読み取れるように構成した。
【0129】
得られた装置構成を用いて、まず、右手に手袋型入力装置を装着し、手を開いた状態:じゃんけんの「パー」状態での各関節相当部の抵抗値を初期値、握り拳状態:じゃんけんの「グー」状態での抵抗値を限界値として設定し、その間の各関節の抵抗変化幅を64階調に分け、各関節の屈伸状態と対応させ、ソフトウエアにてCG合成した手指の三次元画像を動作させた。
得られたCG手指の動作は自然で滑らかで良好であった。また「じゃんけん」や、指文字のような複雑な動作についても再現可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、伸長されても高い導電性を保持することができる伸縮性電極および配線と、これらを衣服やベルトやブラジャーなどの基材に積層した生体情報計測用インターフェスとを提供するものであり、医療分野やヘルスモニタリング分野等において好適に利用されるものである。
図1