(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記逆型半導体領域は、前記配列方向において、前記エッジ終端部に設けられたガードリングの底部から前記ウェル領域の外側端部を経て前記蓄積領域が設けられる前記メサ領域の外側端部まで設けられる
請求項9に記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
図1は、第1実施形態における半導体装置100の上面図である。本例の半導体装置100は、半導体基板10を有する。半導体基板10は、半導体チップと呼んでもよい。半導体基板10は、X方向および及びY方向に外周端部を有する矩形形状であってよい。また、半導体基板10は、+Z方向におもて面を有し、−Z方向に裏面を有してよい。
【0017】
本例において、X方向とY方向とは互いに垂直な方向である。また、Z方向はX‐Y平面に垂直な方向である。X、YおよびZ方向は、いわゆる右手系を成す。本例の半導体基板10は、+Z方向の端部におもて面を有し、−Z方向端部に裏面を有する。なお、本例において、上および下という表現は相対的な位置関係を説明する便宜的な表現に過ぎない。Z方向は、必ずしも重力方向または地面に垂直な方向を意味しない。なお、本例においては、Z方向を半導体基板10における深さ方向と称する場合がある。
【0018】
半導体基板10は、活性部70、エッジ終端部80およびパッド部90を有する。活性部70は、複数のトランジスタ領域と複数のダイオード領域とを有してよい。本例の活性部70は、トランジスタ領域としてのIGBT領域72と、ダイオード領域としてのFWD領域74と、温度検知ダイオード76とを有する。IGBT領域72は1または複数のIGBTを有してよく、FWD領域74は1または複数のFWDを有してよい。本例の半導体装置100は、IGBT領域72およびFWD領域74を半導体基板10に一体化したRC−IGBT(Reverse Conducting IGBT)である。
【0019】
複数のIGBT領域72がX方向およびY方向において互いに離間して設けられてよい。また、複数のFWD領域74も同様に、X方向およびY方向において互いに離間して設けられてよい。なお、FWD領域74は、X方向において2つのIGBT領域72に挟まれるように配置されてよい。なお、Y方向においては、IGBT領域72同士が互いに隣り合ってよく、FWD領域74同士も互いに隣り合ってよい。なお、
図1では、FWD領域74に斜線を付して示す。
【0020】
本例においては、半導体基板10の中央部に温度検知ダイオード76を設ける。温度検知ダイオード76に一定の電流を流した場合に、カソードおよびアノード間の電圧差は半導体基板10の温度に応じて変化し得る。それゆえ、温度検知ダイオード76を用いて、半導体基板10の温度を検知することができる。
【0021】
本例では、中央部よりも+Y方向の位置(第1行)において、X方向に5つのIGBT領域72と4つのFWD領域74とを設ける。また、中央部の位置(第2行)および中央部よりも−Y方向の位置(第3行)において、X方向に6つのIGBT領域72と4つのFWD領域74とをそれぞれ設ける。
【0022】
なお、本例では、温度検知ダイオード76をX方向において挟む第2行における2つのIGBT領域72と、当該IGBT領域72の−Y方向に隣接する第3行における2つのIGBT領域72とは、これら以外のIGBT領域72よりも領域の面積が小さい。面積が小さい理由の1つは、温度検知ダイオード76とカソードおよびアノードをパッド部90に延伸する配線とを設けるためであってよい。
【0023】
活性部70は、半導体基板10のおもて面にゲートランナー51を有する。ゲートランナー51は、IGBT領域72およびFWD領域74の第1行、第2行および第3行の周囲をそれぞれ囲むように設けられてよい。ゲートランナー51は、パッド部90のゲートパッド92から供給されるゲート電位をIGBT領域72のゲート導電部に供給してよい。
【0024】
本例のパッド部90は、活性部70の−Y方向に隣接する。本例のパッド部90は、ゲートパッド92、センスIGBT(S
IGBT)93、センスエミッタパッド(S
E)94、アノードパッド(T
A)96およびカソードパッド(T
K)98を有する。本例では、カソードパッド98、アノードパッド96、ゲートパッド92、センスIGBT93およびセンスエミッタパッド94がこの順でX方向に並べて設ける。なお、センスIGBT(S
IGBT)93は、パッドではなくIGBTである。各パッドは、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)またはアルミニウム(Al)等を含む電極パッドであってよい。
【0025】
センスIGBT93は、IGBT領域72に流れる主電流を検出する目的で設けられたIGBTである。センスIGBT93に流れるセンス電流を、半導体装置100外に設けられた制御回路に取り込むことにより、IGBT領域72に流れる主電流を検出することができる。なお、センス電流は主電流に比べて十分に小さい電流値を有する。本例のセンスエミッタパッド94は、センスIGBT93のエミッタと同じ電位を有する。センス電流は、センスIGBT93を経てセンスエミッタパッド94から上述の制御回路に取り込まれてよい。制御回路はセンス電流に基づいて主電流を検知して、IGBT領域72に過電流が流れている場合にIGBT領域72に流れる電流を遮断してよい。
【0026】
アノードパッド96は、温度検知ダイオード76に電気的に接続するアノードパッドであり、温度検知ダイオード76のアノード電位を有する。同様に、カソードパッド98は、温度検知ダイオード76に電気的に接続するカソードパッドであり、温度検知ダイオード76のカソード電位を有する。アノードパッド96およびカソードパッド98を用いて、温度検知ダイオード76のアノード‐カソード間の電位差を検知することができる。
【0027】
エッジ終端部80は、半導体基板10の周辺部に設けられてよい。本例のエッジ終端部80は、活性部70およびパッド部90を囲むように半導体基板10の端部周辺に設けられる。エッジ終端部80は、活性部70における半導体基板10のおもて面近傍の電界集中を緩和する機能を有してよい。エッジ終端部80は、ガードリング、フィールドプレート、リサーフ構造およびチャネルストッパーならびにこれらを組み合わせた構造を有してよい。
【0028】
図2は、領域Aの拡大図である。領域Aは、活性部70のIGBT領域72およびゲートランナー51を含む領域である。なお、図面の見易さを考慮して、
図2においてはエッジ終端部80およびパッド部90を省略する。
【0029】
本例の半導体装置100は、半導体基板10のおもて面および当該おもて面近傍の内部に形成された、エミッタ領域12、ベース領域14、コンタクト領域15、ウェル領域17、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40を備える。また、本例の半導体装置100は、半導体基板10のおもて面の上方に設けられたエミッタ電極52およびゲート金属層50を備える。エミッタ電極52およびゲート金属層50は互いに電気的に分離して設けられる。
【0030】
エミッタ電極52およびゲート金属層50と、半導体基板10のおもて面との間には層間絶縁膜が形成されるが、
図2では省略している。本例の層間絶縁膜には、コンタクトホール54、55および56が、当該層間絶縁膜を貫通して形成される。なお、
図2においてはコンタクトホール54、55および56を示す。
【0031】
エミッタ電極52は、コンタクトホール54を通って、半導体基板10のおもて面におけるエミッタ領域12およびコンタクト領域15と接触する。エミッタ電極52とコンタクト領域15との間には、タングステン等のプラグが設けられてもよい。
【0032】
また、エミッタ電極52は、コンタクトホール56を通って、ダミートレンチ部30内のダミー導電部と接続する。Z方向においてエミッタ電極52とダミー導電部との間には、不純物がドープされたポリシリコン等の、導電性を有する材料で形成された接続部57が設けられてよい。接続部57は、半導体基板10のおもて面上に形成される。
【0033】
ゲート金属層50は、コンタクトホール55を通って、ゲートランナー51と接触する。ゲートランナー51は、不純物がドープされたポリシリコン等で形成されてよい。ゲートランナー51は、半導体基板10のおもて面においてゲートトレンチ部40内のゲート導電部と接続する。つまり、ゲートランナー51は、半導体基板10のおもて面において、ゲートトレンチ部40の一部分と、コンタクトホール55との間に渡って形成される。
【0034】
エミッタ電極52およびゲート金属層50は、金属を含む材料で形成される。例えば、各電極の少なくとも一部の領域は、アルミニウムまたはアルミニウム‐シリコン合金で形成される。各電極は、アルミニウム等で形成された領域の下層にチタンまたはチタン化合物等で形成されたバリアメタルを有してもよい。
【0035】
本例のIGBT領域72は、ダミートレンチ領域130、混合トレンチ領域140およびウェルコンタクト領域150を有する。ダミートレンチ領域130は、トレンチ部としてダミートレンチ部30のみを有する領域である。ダミートレンチ領域130は、エッジ終端部80に最も近いゲートトレンチ部40とエッジ終端部80との間に設けられる。ダミートレンチ領域130は、X方向において所定の間隔だけ離間して配置された複数のダミートレンチ部30を有する。
【0036】
混合トレンチ領域140は、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40を有する領域である。混合トレンチ領域140は、ダミートレンチ領域130よりも内側に位置する。なお、本例において内側とは、二次元平面であるおもて面の中央部(
図1の温度検知ダイオード76が設けられる部分)側を意味する。つまり、内側とは、エッジ終端部80よりも中央部に近いことを意味する。外側は内側の反対の意味で用いる。例えば、外側とは、半導体基板10の端部に近いことを意味する。
図1においては、混合トレンチ領域140がX方向において最も内側に位置し、エッジ終端部80がX方向において最も外側に位置する。なお、内側および外側は、X方向およびY方向に関して用いてよい。
【0037】
混合トレンチ領域140は、予め定められた配列方向に沿って所定の間隔で配列された複数のゲートトレンチ部40および複数のダミートレンチ部30を有する。なお、本例において、配列方向はX方向である。混合トレンチ領域140では、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40はX方向において交互に設けられる。
【0038】
本例において、ダミートレンチ領域130においてX方向に隣接するダミートレンチ部30間の離間距離と、混合トレンチ領域140に
おいてX方向に隣接するダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40間の離間距離とは互いに等しい。当該離間距離は、ダミートレンチ領域130において最も内側に位置するダミートレンチ部30と混合トレンチ領域140におけるゲートトレンチ部40とのX方向における離間距離とも等しい。
【0039】
図
2のダミートレンチ領域130では、2本ずつ端部で連結された計8本のダミートレンチ部30がX方向において配列されている。これに対して、混合トレンチ領域140では、1本のゲートトレンチ部40と1本のダミートレンチ部30とが交互にX方向において配列されている。図
2の混合トレンチ領域140では、3本のダミートレンチ部30と2本ずつ端部で連結された4本のゲートトレンチ部40とを有する。
【0040】
本例において、ダミートレンチ領域130におけるダミートレンチ部30の一部は、半導体基板10のおもて面において予め定められた延伸方向(本例ではY方向)に延伸する直線形状を有する。また、ダミートレンチ領域130におけるダミートレンチ部30の他の一部は、2本の直線が端部において曲線部で接続される曲線形状を有する。本例において当該他の一部は、U字形状を有する。これに対して、混合トレンチ領域140のダミートレンチ部30は、予め定められた延伸方向に延伸する直線形状のみを有する。ダミートレンチ領域130および混合トレンチ領域140のそれぞれのダミートレンチ部30は、Y方向において同じ長さを有してよい。
【0041】
本例のゲートトレンチ部40は、対向部41および突出部43を有する。対向部41は、IGBT領域72におけるダミートレンチ部30と対向する範囲において、Y方向に延伸する。つまり、対向部41は、ダミートレンチ部30と平行に設けられる。突出部43は、対向部41から更に−Y方向に延伸して、ダミートレンチ部30と対向しない範囲に設けられる。本例において、ダミートレンチ部30の両側に設けられた2つの対向部41が、1つの突出部43に接続する。突出部43の少なくとも一部は曲線形状を有してよい。本例の突出部43は、U字形状を有する。
【0042】
突出部43において、ゲートトレンチ部40内のゲート導電部と、ゲートランナー51とがZ方向において接続する。ゲートランナー51は、突出部43における対向部41から最も離れた領域において、ゲート導電部と接続してよい。本例の突出部43は、対向部41から最も離れた領域において、対向部41とは直交する方向であるX方向に延伸する部分を有する。ゲートランナー51は、突出部43の当該部分においてゲート導電部と接続してよい。
【0043】
ウェルコンタクト領域150は、ウェル領域17のおもて面近傍に設けられる。ウェルコンタクト領域150は、コンタクト領域15を有する。ウェルコンタクト領域150のコンタクト領域15上には、層間絶縁膜の開口であるコンタクトホール54が設けられる。コンタクト領域15は、複数のコンタクトホール54を通じてエミッタ電極52に直接接する。ウェルコンタクト領域150は、例えば後述するコレクタ領域22から注入されたホールをエミッタ電極52へ引き抜く機能を有する。なお、本例においてウェルコンタクト領域150は、必須ではなく省略してもよい。
【0044】
エミッタ電極52は、ダミートレンチ領域130、混合トレンチ領域140およびウェルコンタクト領域150の上方に設けられる。エミッタ電極52は、ゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、ウェル領域17、エミッタ領域12、ベース領域14およびコンタクト領域15の上方に設けられる。
【0045】
ウェル領域17は、ゲート金属層50が設けられる側の活性部70の外側端部から、所定の範囲で形成される。ウェル領域17の内側端部を点線にて示す。ウェル領域17の深さは、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の底部よりも深くてよい。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の、ゲート金属層50側の一部の領域はウェル領域17中に形成される。ダミートレンチ部30の延伸方向の外側端部の底部は、ウェル領域17に覆われていてよい。
【0046】
ゲートトレンチ部40の突出部43は、全体がウェル領域17に形成されてよい。半導体基板10は第1導電型を有し、ウェル領域17は半導体基板10とは異なる第2導電型を有してよい。本例の半導体基板10はn
−型の基板であり、ウェル領域17はp
+型の領域である。本例においては、第1導電型をn型として、第2導電型をp型として説明する。ただし、他の例においては、第1および第2導電型は逆の導電型であってもよい。
【0047】
複数のダミートレンチ部30の各々の間、および、ダミートレンチ部30とゲートトレンチ部40との間にはメサ領域60が設けられる。なお、半導体装置100においては、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40の内部に導電材料等が充填されているので、メサ領域60は各トレンチ部よりも+Z方向に突出しているわけではない。しかし、トレンチ内の導電材料等を除けば、メサ領域60は、谷であるトレンチ間に挟まれ+Z方向に突出する山と見なすことができる。それゆえ本例では、トレンチ間の領域をメサ領域60と称する。
【0048】
メサ領域60には、ベース領域14が形成される。ベース領域14は、ウェル領域17よりも不純物濃度の低い第2導電型の領域である。本例のベース領域14はp
−型の領域である。ただし、ベース領域14の一部は、エミッタ領域12およびコンタクト領域15よりも下方に設けられる。図
2の例において、ベース領域14は、メサ領域60の外側の一部(接続部57近傍)において露出する。
【0049】
メサ領域60において、ベース領域14よりもおもて面側の一部には、ベース領域14よりも不純物濃度の高い第2導電型のコンタクト領域15が選択的に設けられる。本例のコンタクト領域15は、p
+型の領域である。また、混合トレンチ領域140において、ベース領域14よりもおもて面側の一部には、半導体基板10よりも不純物濃度が高い第1導電型のエミッタ領域12が選択的に設けられる。本例のエミッタ領域12はn
+型の領域である。
【0050】
混合トレンチ領域140において、コンタクト領域15およびエミッタ領域12のそれぞれは、X方向において隣接する一方のトレンチ部から、他方のトレンチ部まで形成される。混合トレンチ領域140のコンタクト領域15およびエミッタ領域12は、トレンチ部の延伸方向に沿って交互にメサ領域60のおもて面に露出する。Y方向の最も外側のコンタクト領域15のさらに外側では、ベース領域14がメサ領域60のおもて面に露出する。また、Y方向において、当該ベース領域14よりも外側では、ウェル領域17がメサ領域60のおもて面に露出する。
【0051】
ダミートレンチ領域130において、コンタクト領域15は、X方向において隣接する一方のダミートレンチ部30から、他方のダミートレンチ部30まで形成される。ダミートレンチ領域130においては、Y方向の内側から混合トレンチ領域140の最も外側のコンタクト領域15のY方向位置まで、コンタクト領域15がメサ領域60のおもて面に露出する。コンタクト領域15のさらに外側において、ベース領域14およびウェル領域17がメサ領域60のおもて面に露出する点は、混合トレンチ領域140と同じである。
【0052】
本例において、ダミートレンチ領域130のメサ領域60は、コンタクト領域15を有するので、コンタクト領域15を有しない場合と比較して、ホールを引き抜き易くなる。それゆえ、p
+型のウェル領域17(特に、深さ方向におけるウェル領域17の湾曲部分)がアバランシェ降伏して電流が集中することにより、ウェル領域17が破壊されることを防止することができる。
【0053】
混合トレンチ領域140およびダミートレンチ領域130において、コンタクトホール54は、コンタクト領域15およびエミッタ領域12の各領域上に設けられる。コンタクトホール54は、ベース領域14およびウェル領域17に対応する領域には設けられない。
【0054】
また、本例においては、混合トレンチ領域140のエミッタ領域12およびコンタクト領域15の下方に第1導電型の蓄積領域16が設けられる。蓄積領域16の外側端部を破線にて示す。本例の蓄積領域16は、n
+型の領域である。本例の蓄積領域16は、ドナーがドリフト領域よりも高濃度に蓄積していてよい。蓄積領域16により、いわゆるIE効果を増強することができる。また、ダミートレンチ領域130のコンタクト領域15のうち少なくとも一部の下方に蓄積領域16が設けられてよい。本例では、ダミートレンチ領域130におけるX方向の内側から3つ目のダミートレンチ部30まで蓄積領域16が設けられる。
【0055】
このように、本例においては、ゲートトレンチ部40の外側にダミートレンチ領域130を設けて、さらに、ダミートレンチ領域130の一部のメサ領域60に蓄積領域16を設ける。それゆえ、イオン注入により蓄積領域16を形成するためのマスクの端部が仮に垂れたとしても、その垂れる位置を混合トレンチ領域140上ではなくダミートレンチ領域130上とすることができる。したがって、ダミートレンチ領域130のメサ領域60に設けられる蓄積領域16が所定の深さ位置に形成されないとしても、混合トレンチ領域140のメサ領域60に設けられる蓄積領域16は所定の深さに形成することができる。これにより、ゲートトレンチ部40間におけるゲート閾値電圧(Vth)のばらつき、および、飽和電流のばらつきを抑制することができる。
【0056】
図3は、
図2のa‐a'断面図である。a−a'断面は、X−Z面と平行で、且つ、エッジ終端部80から混合トレンチ領域140にまたがる範囲を通る断面である。
【0057】
本例の半導体装置100は、当該断面において、半導体基板10、層間絶縁膜26、ゲート金属層50、エミッタ電極52およびコレクタ電極24等を有する。ゲート金属層50およびエミッタ電極52は、半導体基板10のおもて面および層間絶縁膜26の上面に形成される。コレクタ電極24は、半導体基板10の裏面に直接接して設けられる。
【0058】
ゲート金属層50、エミッタ電極52およびコレクタ電極24は、金属等の導電材料で形成される。また本明細書において、基板、層、領域等の各部材のエミッタ電極52側の面をおもて面と称し、コレクタ電極24側の面を裏面と称する。
【0059】
半導体基板10は、シリコン基板であってよく、炭化シリコン基板であってよく、窒化ガリウム等の窒化物半導体基板等であってもよい。なお、本例の半導体基板10はシリコン基板である。半導体基板10のおもて面近傍には、p
−型のベース領域14が形成される。
【0060】
当該断面において、混合トレンチ領域140のメサ領域60のおもて面近傍には、n
+型のエミッタ領域12、p
−型のベース領域14およびn
+型の蓄積領域16が、半導体基板10のおもて面から裏面に向かう方向において順番に設けられる。なお、ダミートレンチ領域130のメサ領域60のおもて面近傍には、コンタクト領域15およびベース領域14が、おもて面から裏面に向かう方向において順番に設けられる。
【0061】
ダミートレンチ領域130のメサ領域60のうち少なくとも一部の下方には蓄積領域16が設けられてよい。本例のダミートレンチ領域130においては、最も内側に位置するダミートレンチ部30の内側から3つ目のダミートレンチ部30までのメサ領域60は、ベース領域14の下に蓄積領域16を有する。
【0062】
これに対して、ダミートレンチ領域130のメサ領域60のうち少なくとも一つのメサ領域60の下方には蓄積領域16が設けられなくてよい。本例のダミートレンチ領域130においては、最も内側から3つ目に位置するダミートレンチ部30よりも外側のメサ領域60は、ベース領域14の下に蓄積領域16を有しない。蓄積領域16はコレクタ領域22から注入されたホールを蓄積する機能を有する。蓄積領域16を設けることにより、キャリア注入促進効果(IE効果)を高めて、オン電圧を低減することができる。
【0063】
本例では、ダミートレンチ領域130の一部のメサ領域60に蓄積領域16をあえて設けない。これにより、全てのメサ領域60に蓄積領域16が設けられる場合と比較して、メサ領域60からホールを引き抜き易くなる。それゆえ、p
+型のウェル領域17(特に、深さ方向におけるウェル領域17の湾曲部分117)がアバランシェ降伏して電流が集中することにより、ウェル領域17が破壊されることを防止することができる。
【0064】
ウェル領域17は、複数のダミートレンチ部30のうち2つ以上のダミートレンチ部30の底部を覆ってよい。本例のウェル領域17は、X方向において最も外側に位置する2つのダミートレンチ部30の底部を覆う。ウェル領域17中においてエミッタ電位を有するダミートレンチ部30を設けることにより、ウェル領域17中にダミートレンチ部30を設けない場合と比較して、ドリフト領域18からウェル領域17を介してエミッタ電極52へホールを引き抜き易くなる。これにより、ターンオフ損失を低減することができる。
【0065】
本例では、ウェル領域17と蓄積領域16を含むメサ領域60との間には、蓄積領域16を含まないメサ領域60が設けられる。蓄積領域16を含まないメサ領域60は、n
+型の蓄積領域16を形成するときにウェル領域17に誤ってn型不純物領域が形成されることを防ぐ、マージン領域として機能する。不純物の注入を防ぐマスクのアライメントずれおよびマスク垂れ等に起因して、p
+型のウェル領域17中にn
+型の蓄積領域16が形成された場合には、電荷中和により高抵抗領域が形成される。ホールは高抵抗領域からは引き抜かれにくいので、高抵抗領域を形成することは望ましくない。本例では、ウェル領域17に隣接して蓄積領域16を含まないメサ領域60を設けることにより、ウェル領域17中に高抵抗領域が形成されないことを担保することができる。
【0066】
ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40の直下、および、ウェル領域17の直下には、第1導電型のドリフト領域18が設けられる。本例のドリフト領域18はn
−型であり、n
+型の蓄積領域16よりも低濃度である。
【0067】
ドリフト領域18の裏面には第1導電型のバッファ領域20が形成される。バッファ領域20の不純物濃度は、ドリフト領域18の不純物濃度よりも高くてよい。本例のバッファ領域20は、n
+型の領域である。バッファ領域20は、ベース領域14の裏面から広がる空乏層が、p
+型のコレクタ領域22に到達することを防ぐフィールドストップ層として機能してよい。
【0068】
ドリフト領域18の下方であってバッファ領域20の直下には、第2導電型のコレクタ領域22が設けられる。本例のコレクタ領域22は、p
+型の領域である。また、コレクタ領域22の裏面にはコレクタ電極24が設けられる。
【0069】
半導体基板10のおもて面近傍には、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40が設けられる。各トレンチ部は、半導体基板10のおもて面からベース領域14を貫通して、ドリフト領域18に到達する。エミッタ領域12、コンタクト領域15および蓄積領域16の少なくともいずれかが設けられている領域においては、各トレンチ部はこれらの領域も貫通して、ドリフト領域18に到達する。
【0070】
ゲートトレンチ部40は、半導体基板10のおもて面近傍に設けられたゲートトレンチ46、ゲート絶縁膜42およびゲート導電部44を有する。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチ46の内壁を覆って形成される。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチ46の内壁の半導体を酸化または窒化して形成してよい。ゲート導電部44は、ゲートトレンチ46の内部においてゲート絶縁膜42上に形成される。つまりゲート絶縁膜42は、ゲート導電部44と半導体基板10とを絶縁する。ゲート導電部44は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。
【0071】
ゲート導電部44は、X方向において、少なくとも隣接するベース領域14と対向する。ゲートトレンチ部40は、半導体基板10のおもて面において層間絶縁膜26により覆われる。ゲート導電部44に所定の電圧が印加されると、ベース領域14のうちゲートトレンチ46に接する界面の表層にチャネルが形成される。本例では、図
2に示したように突出部43におけるゲート導電部44が、ゲートランナー51を介してゲート金属層50と電気的に接続する。
【0072】
ダミートレンチ部30は、当該断面において、ゲートトレンチ部40と同一の構造を有してよい。ダミートレンチ部30は、半導体基板10のおもて面近傍に形成されたダミートレンチ36、ダミートレンチ絶縁膜32およびダミートレンチ導電部34を有する。ダミートレンチ絶縁膜32は、ダミートレンチ36の内壁を覆って形成される。ダミートレンチ導電部34は、ダミートレンチ36の内部においてダミートレンチ絶縁膜32上に形成される。ダミートレンチ絶縁膜32は、ダミートレンチ導電部34と半導体基板10とを絶縁する。ダミートレンチ導電部34は、ゲート導電部44と同一の材料で形成されてよい。ダミートレンチ導電部34は、深さ方向においてゲート導電部44と同一の長さを有してよい。
【0073】
ダミートレンチ部30は、半導体基板10の上面において層間絶縁膜26により覆われる。本例では、
図2に示したようにコンタクトホール56を介して、ダミートレンチ導電部34がエミッタ電極52と電気的に接続する。なお、当該断面において明示しないが、ゲートランナー51と半導体基板10との間には、ゲート絶縁膜42等の絶縁膜が形成されている。すなわちゲートランナー51と半導体基板10は、絶縁膜で絶縁されている。
【0074】
図4は、
図2のb‐b'断面図である。b‐b'断面は、Y‐Z面と平行な面である。また、b‐b'断面は、混合トレンチ領域140のメサ領域60、接続部57およびゲートランナー51を通る断面である。なお、X方向において隣接するコンタクトホール54を点線により示す。当該断面のメサ領域60には、蓄積領域16が設けられる。
【0075】
図2に示したように、メサ領域60のおもて面においては、トレンチ部の延伸方向に沿ってエミッタ領域12およびコンタクト領域15が交互に設けられる。また、ベース領域14の下面には、蓄積領域16が設けられる。
【0076】
蓄積領域16は、Y方向において、最も外側に形成されたエミッタ領域12よりも外側まで設けられることが好ましい。つまり、蓄積領域16の外側端部位置P
1は、エミッタ領域12の外端部位置P
3よりも外側に設けられることが好ましい。これにより、蓄積領域16におけるIE効果を高めることができる。
【0077】
また、コンタクトホール54は、Y方向において、蓄積領域16よりも外側まで設けられることが好ましい。つまり、コンタクトホール54の外側端部位置P
2は、蓄積領域16の外側端部位置P
1よりも外側に配置されることが好ましい。これにより、半導体装置100のターンオフ時に、蓄積領域16よりも外側から、ホールを効率よく引き抜くことができる。
【0078】
また、Y方向において最も外側に形成されたコンタクト領域15は、コンタクトホール54よりも外側まで設けられることが好ましい。つまり、コンタクト領域15の外側端部位置P
4は、コンタクトホール54の外側端部位置P
2よりも外側に配置されることが好ましい。これにより、半導体装置100のターンオフ時に、蓄積領域16よりも外側から、ホールを効率よく引き抜くことができる。
【0079】
また、エミッタ領域12の外側端部位置P
3から蓄積領域16の外側端部位置P
1までの距離は、蓄積領域16の外側端部位置P
1からコンタクト領域15の外側端部位置P
4までの距離よりも短くてよい。これにより、蓄積領域16により、ホールの引き抜きが阻害されることを抑制できる。また、蓄積領域16の端部における電界集中を緩和できる。位置P
3からP
1までの距離は、位置P
1からP
2までの距離より短いことが好ましい。
【0080】
一例として、エミッタ領域12の位置P
3から蓄積領域16の位置P
1までの距離は12μm以下である。また、蓄積領域16の位置P
1からコンタクトホール54の位置P
2までの距離は20μm以下である。また、コンタクトホール54の位置P
2からコンタクト領域15の位置P
4までの距離は1μm以下である。
【0081】
また、半導体基板10のおもて面において、最も外側のコンタクト領域15とウェル領域17との間には、ベース領域14が形成される。Y方向において、コンタクト領域15と、ウェル領域17の間のベース領域14の長さは、10μm以上50μm以下であってよい。
【0082】
図5は、比較例の半導体装置500における領域Aの拡大図である。第1実施形態と共通する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。本例のIGBT領域72は、第1実施形態の混合トレンチ領域140と異なり、トレンチ部としてゲートトレンチ部40のみを有するゲートトレンチ領域145を備える。本例のIGBT領域72は、ゲートトレンチ領域145とエッジ終端部80との間にダミートレンチ領域130を有しない。係る点が、第1実施形態との比較した最大の相違点である。また、ウェルコンタクト領域150は第1実施形態と比較してX方向に幅広のコンタクトホール54を1つだけ有する。
【0083】
図6は、
図5のc‐c'断面図である。第1実施形態と共通する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
図6は、n
+型の蓄積領域16を形成するときに用いるマスクの端部にマスク垂れが生じなかった理想的な場合を示す図である。後述するように、実際の半導体装置500においては、マスク垂れにより蓄積領域16が形成される深さ位置は、
図6に示す理想的な深さ位置からずれる。
【0084】
図7は、比較例におけるマスク垂れを説明する図である。
図7においては、マスク垂れに起因する蓄積領域16の深さ位置のばらつきを示す。理解を容易にすることを目的として、半導体基板10のおもて面上の構造を省略し、マスク110を半導体基板10の上方に示す。
【0085】
マスク110は、蓄積領域16に対応する領域にn型不純物を注入する工程で用いられる。マスク110は、レジスト等を塗布して所定形状にパターニングして形成されてよい。マスク110により覆われた領域には蓄積領域16が形成されず、マスク110に覆われない領域に蓄積領域16が形成される。
【0086】
マスク110の端部は、最も外側のゲートトレンチ部40の直上において垂直に形成されることが好ましい。マスク110の端部が垂直に形成された理想的な状態を
図7中において点線により示す。しかし、マスク110にレジスト垂れが生じると、最も外側のゲートトレンチ部40の直上および当該直上を超えてマスク垂れ領域112が形成される場合がある。マスク垂れ領域112が形成されると、マスク垂れ領域112に覆われたメサ領域60には、所定の深さに蓄積領域16が形成されない。例えば、マスク垂れ領域112に覆われたメサ領域60には、蓄積領域16が所定の深さよりも浅く形成される。
【0087】
本例の蓄積領域16は、蓄積領域16‐1から16‐4を含む。蓄積領域16‐1は、p
+型のウェル領域17のおもて面近傍に形成される。蓄積領域16‐2は、蓄積領域16‐1よりも深い位置であって、エミッタ領域12とベース領域14との間に形成される。蓄積領域16‐3は、蓄積領域16‐2よりも深い位置であって、ベース領域14中に形成される。蓄積領域16‐4は、蓄積領域16‐3よりも深い位置であって、予め定められた深さ位置に形成される。
【0088】
各蓄積領域16‐1から16‐4は、内側に近づくにつれて徐々に深く形成されてよい。蓄積領域16‐3および蓄積領域16‐4は、連続して形成されてよく、深さ方向において不連続に形成されていてもよい。
【0089】
蓄積領域16の深さ位置が変化すると、メサ領域60におけるベース領域14の深さ方向における長さが変化する。このため、メサ領域60に隣接してゲートトレンチ部40を設けると、当該メサ領域60のゲート閾値電圧(Vth)が、他のメサ領域60のゲート閾値電圧に対して変動して、ゲート閾値電圧のばらつきが増大する問題がある。また、IGBT領域72における飽和電流のばらつきが増大する問題もある。また、上述のように、ウェル領域17に形成されたn
+型の蓄積領域16‐1は、高抵抗領域になる。
【0090】
これに対して第1実施形態の半導体装置100は、ゲートトレンチ部40とウェル領域17との間にダミートレンチ領域130を設ける。レジスト垂れが生じる長さは、例えばX方向におけるメサ領域60の幅の2つ以上3つ以下の長さである。第1実施形態においては、最も外側のゲートトレンチ部40とウェル領域17との間に6本のダミートレンチ部30(すなわち、
6つのメサ領域60)を設ける。これにより、深さ位置がばらついた蓄積領域16は、ゲートのオンオフに寄与しないダミートレンチ領域130にのみに形成されることとなるので、ゲート閾値電圧および飽和電流のばらつき等を低減することができる。
【0091】
図8は、第2実施形態における半導体装置200のa‐a'断面図である。
図8は、第1実施形態のa‐a'断面である
図3に対応する。本例の半導体装置200は、コレクタ領域22と同じ深さ範囲に第1導電型の逆型半導体領域23を備える。本例の逆型半導体領域23は、コレクタ領域22とは逆の導電型の半導体領域である。第2実施形態は、係る点において第1実施形態と異なる。他の点については、第1実施形態と共通するので重複する説明は省略する。本例の逆型半導体領域23は、ドリフト領域18よりも高濃度のn
+型の領域である。
【0092】
逆型半導体領域23は、コレクタ領域22と同じ深さ範囲において、コレクタ領域22のXおよびY方向の一部領域に代えて設けられてよい。コレクタ領域22の一部を逆型半導体領域23とすることにより、コレクタ領域22からウェル領域17へのホールの注入量を低減することができる。これにより、ウェル領域17がアバランシェ降伏して電流が集中することによりウェル領域17が破壊されることを防止することができる。
【0093】
逆型半導体領域23は、X方向において、ウェル領域17の内側端部Px1からゲートトレンチ部40の底部の中央部Px2まで連続的に設けられてよい。本例の逆型半導体領域23は、X方向において、ウェル領域17の内側端部Px1から蓄積領域16が設けられるメサ領域60の外側端部Px3まで連続的に設けられる。本例の逆型半導体領域23の配置により、ホール注入に寄与するコレクタ領域22の有効面積を最大限維持しつつ、かつ、逆型半導体領域23によりウェル領域17への電流集中を回避することができる。なお、当該断面において明示しないが、ゲートランナー51と半導体基板10との間には、ゲート絶縁膜42等の絶縁膜が形成されている。すなわちゲートランナー51と半導体基板10は、絶縁膜で絶縁されている。
【0094】
図9は、第3実施形態の半導体装置300において活性部70およびエッジ終端部80にまたがる領域の断面図である。
図9では、
図2のa‐a'断面図に加えて、本例においては、エッジ終端部80を合わせて示す。本例のエッジ終端部80は、ガードリング構造およびチャネルストッパー構造を有する。
【0095】
ガードリング構造は、複数のガードリング82を含んでよい。本例のガードリング構造は
5つのガードリング82を含む。各ガードリング82は、おもて面において活性部70およびパッド部90を囲むように設けられてよい。
【0096】
ガードリング構造は、活性部70において発生した空乏層を半導体基板10の外側へ広げる機能を有してよい。これにより、半導体基板10内部における電界集中を防ぐことができる。それゆえ、ガードリング構造を設けない場合と比較して、半導体装置300の耐圧を向上させることができる。
【0097】
本例のガードリング82は、おもて面近傍にイオン注入により形成されたp
+型の半導体領域である。ガードリング82は、電極層84と電気的に接続する。電極層84は、ゲート金属層50またはエミッタ電極52と同じ材料であってよい。
【0098】
複数のガードリング82同士は、層間絶縁膜26により電気的に絶縁される。ガードリング82の底部の深さは、p
+型のウェル領域17の底部と同じ深さであってよい。また、本例のガードリング82の底部の深さは、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の底部の深さより深い。
【0099】
チャネルストッパー構造は、n
+型のチャネルストッパー領域88および電極層84を有する。チャネルストッパー領域88は、層間絶縁膜26の開口を通じて電極層84に電気的に接続する。なお、チャネルストッパー領域88は、他の例においてはp型の半導体領域であってもよい。チャネルストッパー領域88は、活性部70において発生した空乏層を半導体基板10の外側端部において終端させる機能を有する。
【0100】
ウェル領域17は、X方向においてウェルコンタクト領域150超えて、さらに外側まで延伸してよい。本例のウェル領域17は、エッジ終端部80における最も内側のガードリング82とウェル領域17の外側端部との距離が数μmとなるよう、エッジ終端部80に近接してよい。なお、本例の変形例として、ウェル領域17に代えて、p
−型のベース領域14を最も内側のガードリング82まで拡張して設けてもよい。この場合、最も内側のガードリング82とベース領域14の外側端部との距離が数μmとなってよい。
【0101】
逆型半導体領域23は、X方向において、ウェル領域17の外側端部Px4から蓄積領域16が設けられるメサ領域60の外側端部Px3まで設けられてよい。逆型半導体領域23は、X方向において、ガードリング82の底部からウェル領域17の外側端部Px4を経て蓄積領域16が設けられるメサ領域60の外側端部Px3まで設けられてよい。本例の逆型半導体領域23は、X方向において、内側から2つ目のガードリング82の底部の中央部Px5から、蓄積領域16が設けられるメサ領域60の外側端部Px3(外側から6つ目のダミートレンチ部30と7つ目のダミートレンチ部30との間のメサ領域60の外側端部)まで設けられる。本例においては、第2実施形態に比べてより広い範囲に逆型半導体領域23を設けるので、第2実施形態に比べてウェル領域17への電流集中をより効果的に回避することができる。なお、当該断面において明示しないが、ゲートランナー51と半導体基板10との間には、ゲート絶縁膜42等の絶縁膜が形成されている。すなわちゲートランナー51と半導体基板10は、絶縁膜で絶縁されている。
【0102】
なお、半導体装置100等の製造方法については、特に明記しないが、半導体装置100等は、既知のイオン注入、アニール、成膜、熱酸化、スパッタリングおよびスピンコーティング等の技術を適宜用いて製造することができる。
【0103】
図10は、第4実施形態における半導体装置400の領域Aの拡大図である。なお、半導体装置400の上面図は図示しないが、半導体装置400の上面図は
図1で示した半導体装置100と同じであってよい。本例の活性部70のダミートレンチ領域130は、複数のダミートレンチ部30間の全てのメサ領域60に蓄積領域16を有する。蓄積領域16のX方向の外側端部は、ウェル領域17のX方向の内側端部よりも外側に位置する。また、本例の蓄積領域16は、最も外側に位置するダミートレンチ部30よりも外側に位置してよい。本例において、最も外側に位置するダミートレンチ部30とは、エッジ終端部80に最も近いダミートレンチ部30である。
【0104】
図11は、第4実施形態における半導体装置400のa‐a'断面図である。蓄積領域16は、Z方向に離間した複数の蓄積層116を含んでよい。本例の蓄積領域16は、Z方向に離間した3つの蓄積層116‐1、116‐2および116‐3を有する。蓄積層116の数が多いほど、マスク110のアライメントずれ(位置ずれ)またはマスク110の垂れの影響を低減することができる。また、蓄積層116の数が多いほど、半導体装置400の耐圧を高くすることができる。ただし、他の例においては、蓄積領域16は、1つまたは2つの蓄積層116を有してもよい。
【0105】
本例の蓄積領域16は、最も外側に位置するダミートレンチ部30よりも外側に位置する最外部115を含む。蓄積領域16が1つまたは2つの蓄積層116を有する場合においても、蓄積領域16は最外部115を有してよい。最外部115は1つ以上の蓄積層116を有してよい。最外部115を設けることにより、マスク110の垂れの影響を、混合トレンチ領域140だけでなくダミートレンチ領域130からも排除することができる。
【0106】
図12は、第4実施形態の変形例における半導体装置400のa‐a'断面図である。ウェル領域17は、複数のダミートレンチ部30のうち2つ以上のダミートレンチ部30の底部を覆ってよい。本例のウェル領域17は、X方向において最も外側に位置する3つのダミートレンチ部30の底部を覆う。ウェル領域17中にダミートレンチ部30を設けることにより、ウェル領域17を介してエミッタ電極52へホールを引き抜き易くなるので、ターンオフ損失を低減することができる。なお、さらにホールを引き抜き易くするべく、ウェル領域17は、最も外側に位置するダミートレンチ部30を1つ目として、3つ以上または4つ以上のダミートレンチ部30の底部を覆ってもよい。
【0107】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。