【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「橋脚・港湾構造物利用式潮流発電」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抵抗抑制体は、前記回転軸から前記抵抗抑制体に伝達される前記回転軸の回転方向への摩擦力と、前記流体から前記抵抗抑制体が受ける前記回転方向と反対の方向への揚力と、が打ち消し合うように、前記回転軸を通る前記流体の流れの方向を境として非対称に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の整流装置。
前記回転軸と前記ブレードを支えるフレームにおいて、前記フレームを構成するフレーム部材に軸支され、前記フレーム部材の上流側から流れてくる前記流体に起因して前記フレーム部材に与えられる抵抗を抑制するように、前記流体の流れに沿って回動するフレーム抵抗抑制体と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の整流装置。
前記フレーム抵抗抑制体は、前記流体の流れの方向に沿って回動した状態において、前記流体の上流側から前記下流側に向かうにつれて、前記フレーム部材の軸に沿う方向と前記流体の流れの方向とに直交する方向の厚みが薄くなるように形成される
ことを特徴とする請求項8に記載の整流装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0014】
尚、以下説明において、Y軸は回転軸100Aに沿う方向であり、X軸及びZ軸はY軸に垂直に交わる軸である。なお、
図1〜
図19において、同一の部材については同一の数字を付して説明する。また、以下説明において、特に条件を明示していなければ、流体はX軸に沿う−側から+側に向かって流れているものとする。また、回転軸100およびフレーム130において流体の流れる方向の側を「下流側」と示し、流体の流れてくる方向の側を「上流側」と示すことがある。また、X軸に沿う方向を「X方向」と示し、Y軸に沿う方向を「Y方向」と示し、Z軸に沿う方向を「Z方向」と示すこともある。また、「X方向」、「Y方向」、「Z方向」のそれぞれにおける+側には「+」を付けて示し、−側には「−」を付けて示すこともある。また、整流装置におけるX軸とZ軸とを含む平面で区切った断面を「XZ断面」と示すこともある。
【0015】
===整流装置を配置する回転装置200===
<<回転装置200>>
図14、
図15、
図19を参照しつつ、本実施形態に係る整流装置が設置される、例えば、発電装置1000に係る回転装置200の構成について説明をする。なお本発明は発電装置に限らず、回転動力を利用する装置一般に広く適用できる。
【0016】
図14は、垂直軸式の回転装置200の一例を示す斜視図である。
図15は、垂直軸式の回転装置200にフレーム130が設けられている一例を示す斜視図である。
図19は、発電装置1000の一例を示す構成図である。
【0017】
図19に示すように、回転装置200は、例えば発電装置1000の増速機300に回転軸100を介して回転力を伝達する装置である。また、増速機300は、回転軸100の回転速度を増速して発電機400に伝達する装置である。発電装置1000は、例えば風力発電装置または水力発電装置である。風力発電装置は、風により生じる風圧エネルギーを利用して、また、水力発電装置は、水流により生じる水圧エネルギーを利用して、それぞれタービンを回転させることにより発電する発電装置である。本実施形態に係る整流装置が配置される回転装置200とは、例えばダリウス式などの垂直軸式の発電装置の回転装置をいう。なお、本実施形態は水力発電装置のうち潮流発電装置を例に用いて説明するが、他の水力発電装置や風直発電装置においても同様に適用できる。
【0018】
図14に示すように、潮流発電装置の回転装置200は、回転軸100と、ブレード120と、を含んで構成されている。回転軸100は、例えばX方向における一方の端部が増速機300に接続されている。回転軸100は、増速機300に回転力を伝達する。回転軸100は、後述するブレード120を+Y方向から見たときに、例えば時計周り方向(以下、「回転方向」と称する。)へ回転する。なお、回転軸100の中心を通る仮線を中心線として、以下説明をする。ブレード120は、流体の流れにより、回転方向への揚力を得る部材である。ブレード120は、回転軸100を中心に回転している。なお、ブレード120は、ブレード120の+Y方向側に設けられるアーム110と、−Y方向側に設けられるアーム111と、を含んで構成されている。ブレード120は、その本体がアーム(110,111)を介して回転方向への揚力を、回転方向への回転力として回転軸100に伝達する。アーム(110,111)は、例えば回転軸100から放射状に延設され、回転軸100と反対側の端部がブレード120に接続されている。
【0019】
図15に示すように、潮流発電装置の回転装置200は、水中でフレーム130に固定される。フレーム130は、例えばフレーム部材131が湾岸構造物や橋脚基礎などのコンクリート構造物に固定される。なお、フレーム130は、海底に設置されたコンクリートなどの基礎上に固定されることや、海面に設置される浮体に固定されてもよい。フレーム130は、例えば回転軸100が回動できるように、軸受(140A,140B)を介して回転軸100を軸支している。
【0020】
なお、上記において、回転装置200は垂直軸式であるとして説明したが、例えば回転軸100が水平(例えばZ方向)に設けられる回転装置200や、水平に対して斜めに設けられる回転装置200でもよく、回転軸100の設置される態様が限定されるものではない。また、回転装置200のブレード120が曲部を持ち、アーム(110,111)を介さずに回転軸100に直接取り付けられる回転装置200でもよい。以下の説明では、回転装置200の回転軸100が垂直(Y方向)に設けられているものについて説明する。
【0021】
<<流体による抵抗>>
図16、
図17、
図18を参照しつつ、回転軸100およびフレーム130に生じる流れの乱れやカルマン渦などの渦について説明する。
図16は、垂直軸式の回転装置200の回転軸100に生じる流れの乱れやカルマン渦の発生状況を+Y方向から見た一例を示す平面図である。
図17は、垂直軸式の回転装置200の回転軸100に生じる流れの乱れやカルマン渦の発生状況を示す斜視図である。
図18は、垂直軸式の回転装置を取り囲むフレームに生じる流れの乱れやカルマン渦や波の発生状況を示す斜視図である。なお、説明の便宜上、風や水などの流体は−X方向から+X方向に向かって流れることとする。
【0022】
図16に示すように、流体が回転軸100を通過するときに、回転軸100の下流側に圧力低下部を生じる。回転軸100には、圧力低下部により粘性圧力抵抗が加わる。また、回転軸100には、圧力低下部に起因して生じる流れの乱れやカルマン渦などの渦(以下、「渦」と称する。)により造渦抵抗が生じる。さらに、水面の近くの回転軸100やフレーム130に起因する流れの乱れや渦により水面の近くに波が生じるため、回転軸100やフレーム130に造波抵抗が生じる。なお、
図16は、回転軸100の流れの乱れや渦を示しているが、フレーム130においても同様に流れの乱れや渦が生じる。なお、流れの乱れとは、流体中に配置される物体の形状などの効果によって生じる流れの方向変化や流体の剥離による乱れである。また、渦とは、流体中に障害物を配置したときに障害物の下流側(+X方向の側)において交互に生じる渦である。
【0023】
また、フレーム130を流体中に配置したとき、回転軸100に対して平行(Y方向)に設けられるフレーム部材131および垂直(Z方向)に設けられるフレーム部材132の下流側では、上述した流れの乱れや渦による造渦抵抗が生じる。さらに、フレーム部材(131,132)の水面の近くでは、流れの乱れや渦により波が生じる。これにより、フレーム部材(131,132)には波による造波抵抗が生じる。
【0024】
図17に示すように、流れの乱れや渦は、回転軸100の上流側から流体が回転軸100に到達し、流体が回転軸100の周面に沿って下流側に流れるときに、回転軸100の下流側の領域で生じる。流れの乱れや渦は、回転軸100の下流側において、回転軸100を中心に回転しているブレード120に到達する。ブレード120は、その周りの潮流が乱されて回転に支障をきたす。また、ブレード120が水面の近くにある場合には、回転軸100やフレーム130によって生じる波の影響により、流体の流れが乱れ、ブレード120の回転に支障をきたす。
【0025】
図18に示すように、流れの乱れや渦は、流体がフレーム130の上流側からフレーム部材(131,132)に到達し、流体がフレーム部材(131,132)の周面に沿って下流側に流れるときに、フレーム部材(131,132)の下流側の領域で生じる。流れの乱れや渦が、フレーム部材(131,132)の下流側において、回転軸100を中心に回転しているブレード120に到達し、ブレード120は、その周りの潮流が乱されて回転に支障をきたす。また、ブレード120が水面の近くにある場合には、フレーム部材(131,132)によって生じる波の影響により、流体の流れが乱れるためブレード120の回転に支障をきたす。
【0026】
上述したように、流れの乱れや渦は、ブレード120の周りの流れを乱して、ブレード120が流体の運動エネルギーを軸の回転動力へ変換する効率を低下させるため、整流装置(10,20,30)を配置する。以下、整流装置(10,20,30)について詳細に説明する。
【0027】
===第1実施形態に係る整流装置10===
図1〜
図4を参照しつつ、第1実施形態に係る整流装置10について説明をする。
図1は、第1実施形態に係る整流装置10の一例を示す斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る整流装置10を拡大した一例を示す斜視図である。
図3は、第1実施形態に係る整流装置10を+Y方向から見た一例を示す平面図である。
図4は、第1実施形態に係る整流装置10が回動する状況を+Y方向から見た一例を示す平面図である。
【0028】
整流装置10は、流体中に配置される回転軸100において、その下流側で生じる流れの乱れや渦を抑制する装置である。また、整流装置10は、水面の近くにおいて波の発生を抑制できる。なお、整流装置10は、本実施形態における回転軸100に対してのみに用いられるものではなく、X方向に流体が流れる状況において、例えば流体中に略Y方向や略Z方向に設けられる物体に対しても適用できる。
【0029】
==構成==
第1実施形態に係る整流装置10は、後述する抵抗抑制体11が流体の流れる方向に沿って回動することにより、回転軸100の下流側で生じる流れの乱れや渦を抑制する装置である。整流装置10は、
図1に示すように、抵抗抑制体11が後述する軸受12を介して回転軸100に回動可能に軸支されて構成されている。整流装置10は、回転軸100に延設される+Y方向側のアーム110および−Y方向側のアーム111の間に配置される。これにより、整流装置10は、
図2に示すように、+Y方向側のアーム110および−Y方向側のアーム111の間において、回転軸100の下流側に生じる流れの乱れや渦を抑制できる。また、整流装置10は、図示していないが、軸受140Aとアーム110との間や、アーム111と軸受140Bとの間や、回転軸100における軸受140Bの−Y方向側などに設置されても良い。なお、抵抗抑制体11は、水面の近くにおける回転軸100に設置されてもよい。これにより、整流装置10は、回転軸100の下流側の水面に生じる波の発生を抑制することができる。
【0030】
整流装置10は、例えば、抵抗抑制体11と、軸受12と、を含んで構成されている。以下、抵抗抑制体11と、軸受12と、について詳細に説明する。
【0031】
<<抵抗抑制体11>>
抵抗抑制体11は、回転軸100の下流側における流れの乱れや渦を抑制する部材である。抵抗抑制体11は、後述する軸受12を介して、回転軸100に設けられている。抵抗抑制体11は、例えばステンレス材料で形成され、
図3で示すように、回転軸100から下流側に向かうにつれてZ方向の厚みが薄くなるように形成されている。
【0032】
抵抗抑制体11では、Z方向の幅を翼厚といい、X方向の長さを翼弦長という。抵抗抑制体11は、回動で生じる力により損傷しない程度の翼厚を有する。抵抗抑制体11は、回転軸100に配置された状態において、ブレード120に接触しない程度の翼弦長を有する。抵抗抑制体11は、−X方向の一端(後述する前縁)から回転軸100にかけて翼厚が大きくなり、回転軸100から+X方向の他端(後述する後縁)にかけて翼厚が小さくなるように形成されている。具体的には、例えばXZ断面が流線型を呈する。流線型とは、抵抗抑制体11が流れ方向に沿う状態において、上流側(−X方向側)の一端が丸く、下流側(+X方向側)の他端が尖っている形状をいう。抵抗抑制体11は、X方向(後述する翼弦線)を中心としてZ方向において対称に形成されている。抵抗抑制体11は、回転軸100における+Y方向側のアーム110における接合部分の下近傍から−Y方向側のアーム111における接合部分の上近傍に亘って、例えば切れ目なく連続的に設けられている。抵抗抑制体11は、対称な流線型を呈することにより、一端から他端にかけて通過する流体から受ける抵抗を小さくできるため流れの乱れや渦を抑制できる。また、水面の近くでは波の発生を抑制できる。
【0033】
図3では、抵抗抑制体11が流体の流れ方向に沿う状態において、抵抗抑制体11における、−X方向の一端を前縁とし、+X方向の他端を後縁とし、前縁および後縁を直線で結ぶ仮線を翼弦線として示す。抵抗抑制体11は、回転軸100の中心線と翼弦線とが交わるように配置されている。抵抗抑制体11は、回転軸100よりも下流側(+X方向側)に空力中心がくるように配置されている。これにより、抵抗抑制体11は、
図4に示すように、流体の流れが変化したときに翼弦線が流体の流れに沿うように、速やかに回動できる。
【0034】
<<軸受12>>
軸受12は、回転軸100と抵抗抑制体11とに介在して設けられている。軸受12は、回転軸100の周面を抵抗抑制体11が回動するときに、回転軸100による抵抗抑制体11への摩擦を抑制する部材である。つまり、軸受12は、抵抗抑制体11および回転軸100に生じるエネルギー損失や発熱を抑制する部材である。軸受12は、例えばステンレス材料で形成されるボールベアリングである。軸受12は、例えば抵抗抑制体11が回転軸100に接触することなく回動できるように、抵抗抑制体11の少なくとも+Y方向の一端および−Y方向の他端に設けられている。なお、軸受12は、回転軸100に対して抵抗抑制体11がY方向に移動しないように、例えばスラストカラーを備えていることが好ましい。
【0035】
==動作==
図3、
図4を参照しつつ、整流装置10の動作について説明する。
【0036】
図3に示すように、整流装置10の抵抗抑制体11は、流体が−X方向から+X方向に向かって流れている状態において、前縁が−X方向に配されて、後縁が+X方向に配されるように回動する。つまり、抵抗抑制体11は、その翼弦線が流体の流れの方向に沿うように回動する。そして、抵抗抑制体11は、流線型を呈するため、その+X方向側において流れの乱れや渦が抑制される。また、水面の近くでは波の発生を抑制できる。
【0037】
図4に示すように、抵抗抑制体11は、流体の流れがX方向を基準して、例えば−Z方向に傾いたときに、前縁が流体の流れてくる方向に配されるように回動する。つまり、抵抗抑制体11は、その翼弦線が流体の流れの方向に沿うように回動する。具体的には、実線で示される抵抗抑制体11の翼弦線が、破線で示される流体の流れる方向に沿って、破線で示される抵抗抑制体11になるように回動する。
【0038】
===第2実施形態に係る整流装置20===
図5、
図6、
図7、
図8を参照しつつ、第2実施形態に係る整流装置20について説明をする。
図5は、第2実施形態に係る整流装置20を拡大した一例を示す斜視図である。
図6は、第2実施形態に係る整流装置20を+Y方向から見た一例を示す平面図である。
図7は、第2実施形態に係る整流装置20の抵抗抑制体21に鍔部を設けた一例を示す斜視図である。
図8は、第2実施形態に係る整流装置20の抵抗抑制体21のバリエーションの一例を示す斜視図である。なお、
図5〜
図8に示されていない部分については、
図1と同じものであるため、その説明を省略する。
【0039】
==構成==
第2実施形態に係る整流装置20は、後述する抵抗抑制体21が流体の流れる方向に沿って回動することにより、回転軸100の下流側で生じる流れの乱れや渦を抑制する装置である。また、水面の近くでは波の発生を抑制できる。
【0040】
図5に示すように、整流装置20の抵抗抑制体21は、軸受22を介して回転軸100に軸支されているため、回転軸100から軸受22を介して間接的に回転方向への摩擦力(以下、「回転摩擦力」と称する。)を受ける。整流装置20は、回転摩擦力により、少なからず回転方向への傾きが生じる。そこで、第2実施形態に係る整流装置20では、回転摩擦力を考慮した形状として抵抗抑制体21の傾きを是正するように構成される。
【0041】
整流装置20は、回転軸100に延設される+Y方向側のアーム110および−Y方向側のアーム111の間に配置される。これにより、整流装置20は、+Y方向側のアーム110および−Y方向側のアーム111の間において回転軸100の下流側に生じる流れの乱れや渦を抑制することができる。また、水面の近くでは波の発生を抑制できる。
【0042】
整流装置20は、例えば、抵抗抑制体21と、軸受22と、を含んで構成されている。なお、軸受22については、第1実施形態に係る整流装置10の軸受12と同じものであるため、その説明を省略する。
【0043】
<<抵抗抑制体21>>
抵抗抑制体21は、回転軸100の下流側における流れの乱れや渦を抑制する部材である。また、水面の近くでは波の発生を抑制する部材である。抵抗抑制体21は、軸受22を介して、回転軸100に設けられている。抵抗抑制体21は、例えば、ステンレス材料で形成され、回転軸100から下流側に向かうにつれてZ方向の厚みが薄くなるように形成される。抵抗抑制体21の形状について、以下のとおり具体的に説明する。
【0044】
図6に示すように、抵抗抑制体21では、Z方向の幅を翼厚といい、X方向の長さを翼弦長という。抵抗抑制体21は、回動で生じる力により損傷しない程度の翼厚を有する。抵抗抑制体21は、回転軸100に配置された状態において、ブレード120に接触しない程度の翼弦長を有する。抵抗抑制体21は、−X方向の一端(後述する前縁)から回転軸100にかけて翼厚が大きくなり、回転軸100から+X方向の他端(後述する後縁)にかけて翼厚が小さくなるように形成されている。具体的には、例えばXZ断面が翼型を呈する。
【0045】
翼型とは、抵抗抑制体21が流れ方向に沿う状態において、上流側(−X方向側)の一端が丸く、下流側(+X方向側)の他端が尖っている形状をいう。さらに、翼型では、X軸を境にして、−Z方向側の周面の方が+Z方向側の周面に比べて丸みを帯びるように形成されている。つまり、抵抗抑制体21は、X方向(後述する翼弦線)を中心としてZ方向において非対称に形成されている。翼型は、NASAの前身たるNACAが定義している例えばNACA63A016である。これにより、抵抗抑制体21の+Z方向側の流速よりも−Z方向側の流速の方が速いため、−Z方向側の圧力が+Z方向側の圧力よりも小さくなることにより、揚力が−Z方向に向かって生じる。つまり、抵抗抑制体21は、流れの乱れや渦を抑制するために、回転摩擦力と揚力とが等しくなるように形成される。
【0046】
なお、揚力などによって−Z方向側へ抵抗抑制体21が回転することで流体の流れを遮るような状態を生じたとき、抵抗抑制体21の迎角が小さくなるため揚力が低下する。この場合、抵抗抑制体21が流体の流れを遮ることにより、抵抗抑制体21の−Z方向側の周面上の圧力が増大する。そのため、抵抗抑制体21は、流れ方向に対して一定の角度以上には回転しないため、抵抗抑制体21の下流側に流れの乱れや渦を発生させない。また、回転摩擦力などによって+Z方向側へ抵抗抑制体21が回転して流れを遮るような状態を生じたとき、抵抗抑制体21の迎角が大きくなるため揚力が増大する。この場合、抵抗抑制体21が流体の流れを遮ることにより、抵抗抑制体21の+Z方向側の周面上の圧力が増大する。そのため、抵抗抑制体21は、流れ方向に対して一定の角度以上には回転しないため、抵抗抑制体21の下流側に流れの乱れや渦を発生させない。
【0047】
抵抗抑制体21は、回転軸100における+Y方向側のアーム110における接合部分の下近傍から−Y方向側のアーム111における接合部分の上近傍に亘って、例えば切れ目なく連続的に設けられている。
【0048】
図6では、抵抗抑制体21が流体の流れ方向に沿う状態において、抵抗抑制体21における、−X方向の一端を前縁とし、+X方向の他端を後縁とし、前縁および後縁を直線で結ぶ仮線を翼弦線とし、翼弦線を境にして−Z側の周面と+Z側の周面とのZ軸に沿う方向の距離の中間を示す仮線を中間線として示す。抵抗抑制体21は、回転軸100の中心線と翼弦線とが交わるように配置されている。抵抗抑制体21は、回転軸100よりも下流側(+X方向側)に空力中心がくるように配置されている。これにより、抵抗抑制体21は、流体の流れが変化したときに翼弦線が流体の流れに沿うように、回動できる。このときには、上述したように揚力と回転摩擦力とが等しくなるように回動する。
【0049】
また、抵抗抑制体21では、上述したように−Z方向側の圧力が+Z方向側の圧力よりも小さくなるため、Y方向の両端部において+Z方向側から−Z方向側に向かって流れが生じる。これにより、抵抗抑制体21のY方向の両端部に渦を生じる。そこで、抵抗抑制体21は、
図7に示すように、両端部で生じる渦による抵抗を抑制するために、鍔部(21A,21B)を備えていてもよい。鍔部(21A,21B)は、例えば、+Y方向側を第1鍔部21Aと、−Y方向側を第2鍔部21Bと、で構成されている。鍔部(21A,21B)は、抵抗抑制体21のY方向における両端部に、抵抗抑制体21に対して鍔状に設けられている。
【0050】
また、上述したように、抵抗抑制体21は、XZ断面が翼型を呈するように説明したが、これに限定されない。例えば、
図8に示すような抵抗抑制体21Cでは、+Y方向側の端面がX方向を中心としてZ方向において対称に形成され(第1抵抗抑制体)、Y方向における中間部がX方向を中心としてZ方向において非対称に形成され(第2抵抗抑制体)、−Y方向側の端面がX方向を中心としてZ方向において対称に形成されていてもよい。これにより、抵抗抑制体21は、Y方向における両端面が対称に形成されているため、両端面においてZ方向への流れを生じさせず翼端渦の発生を抑制し、誘導抵抗を抑制できる。また、抵抗抑制体21Cは、中間部が非対称に形成されているため、回転摩擦力と揚力とが釣り合うように回動できる。
【0051】
==動作==
図6を参照しつつ、整流装置20の動作について説明する。
【0052】
図6に示すように、整流装置20の抵抗抑制体21は、流体が−X方向から+X方向に向かって流れている状態において、前縁が−X方向に配されて、後縁が+X方向に配されるように回動する。さらに、揚力と回転摩擦力とが等しくなるように回動する。つまり、抵抗抑制体21は、その翼弦線が流体の流れの方向に沿うように回動する。そして、抵抗抑制体21は、翼型を呈するため、その+X方向側において流れの乱れや渦が抑制される。また、水面の近くでは波の発生を抑制できる。なお、流体の流れが変化したとき、抵抗抑制体21は、第1実施形態に係る抵抗抑制体11と同様の動きをするため、その説明を省略する。
【0053】
===第3実施形態に係る整流装置30===
図9、
図10、
図11を参照しつつ、第3実施形態に係る整流装置30について説明をする。
図9は、第3実施形態に係る整流装置30の一例を示す斜視図である。
図10は、第3実施形態に係る整流装置30のフレーム抵抗抑制体33を拡大した一例を示す斜視図である。
図11は、第3実施形態に係る整流装置30の水平に設けられるフレーム部材132に配置されるフレーム抵抗抑制体33Bを+Z方向から見た一例を示す平面図である。
【0054】
整流装置30は、流体中に配置される回転軸100およびフレーム130において、その下流側で生じる流れの乱れや渦を抑制する装置である。また、水面の近くでは波の発生を抑制できる。なお、整流装置30は、回転軸100およびフレーム130にのみ用いられるものではなく、X方向に流体が流れる状況では、例えば流体中に略Y方向や略Z方向に設けられる物体に対しても適用できる。
【0055】
==構成==
第3実施形態に係る整流装置30は、第1実施形態または第2実施形態に係る整流装置(10,20)に後述するフレーム抵抗抑制体33を追加して構成されたものである。整流装置30は、抵抗抑制体31および後述するフレーム抵抗抑制体33が流体の流れる方向に沿って回動することにより、回転軸100およびフレーム130の下流側で生じる流れの乱れや渦を抑制する装置である。また、水面の近くでは波の発生を抑制できる。なお、フレーム130は、流体がX方向に流れているときに、例えば、流体の流れに対して略Y方向に沿って設けられるフレーム部材131と、流体の流れに対して略Z方向に沿って設けられるフレーム部材132と、を含んで構成されている。また、フレーム部材131,132の中心を通る仮線を中心線として以下説明する。
【0056】
<<フレーム抵抗抑制体33>>
フレーム抵抗抑制体33は、フレーム部材131およびフレーム部材132の下流側における流れの乱れや渦を抑制する部材である。フレーム抵抗抑制体33は、フレーム部材131に配置されるフレーム抵抗抑制体33Aと、フレーム部材132に配置されるフレーム抵抗抑制体33Bと、で構成されている。
【0057】
フレーム抵抗抑制体33は、軸受32を介して、フレーム部材131およびフレーム部材132に設けられている。フレーム抵抗抑制体33は、例えばステンレス材料で形成され、フレーム部材131およびフレーム部材132から下流側に向かうにつれてZ方向の厚みが薄くなるように形成されている。フレーム抵抗抑制体11Aとフレーム抵抗抑制体11Bの形状について、以下のとおり具体的に説明する。なお、第3実施形態に係るフレーム抵抗抑制体33Aは、第1実施形態に係る抵抗抑制体11と相似する形状を呈する。したがって、第3実施形態に係るフレーム抵抗抑制体33Aにおける前縁、後縁、翼弦線および空力中心については、
図3に示すとおりとして、その説明を省略する。
【0058】
フレーム抵抗抑制体33Aでは、Z方向の幅を翼厚といい、X方向の長さを翼弦長という。フレーム抵抗抑制体33Aは、回動で生じる力により損傷しない程度の翼厚を有する。フレーム抵抗抑制体33Aは、フレーム部材131に配置された状態において、ブレード120に接触しない程度の翼弦長を有する。フレーム抵抗抑制体33Aは、前縁からフレーム部材131にかけて翼厚が大きくなり、フレーム部材131から後縁にかけて翼厚が小さくなるように形成されている。具体的には、例えばXZ断面が流線型を呈する。フレーム抵抗抑制体33Aは、翼弦線を中心としてZ方向において対称に形成されている。フレーム抵抗抑制体33Aは、フレーム部材131における長軸方向(Y方向)の両端部に亘って、例えば切れ目なく連続的に設けられている。フレーム抵抗抑制体33Aは、対称な流線型を呈することにより、前縁から後縁にかけて通過する流体から受ける抵抗を小さくできるため流れの乱れや渦を抑制できる。また、水面の近くでは波の発生を抑制できる。
【0059】
フレーム抵抗抑制体33Aは、フレーム部材131の中心線と翼弦線とが交わるように配置されている。フレーム抵抗抑制体33Aは、フレーム部材131よりも下流側(+X方向)に空力中心がくるように配置されている。これにより、フレーム抵抗抑制体33Aは、流体の流れが変化したときに翼弦線が流体の流れに沿うように回動できる。
【0060】
フレーム抵抗抑制体33Bは、上述したフレーム抵抗抑制体33Aと同じ形状のものでもよい。しかし、フレーム抵抗抑制体33Bは、回転軸100と垂直に設けられるフレーム部材132に配置されるため、重力による−Y方向の力を受け、流体から浮力と揚力による+Y方向の力を受ける。したがって、フレーム抵抗抑制体33Bでは、より好ましい形状として、
図11に示すように、そのXY断面が、浮力および揚力の合力と、重力と、が打ち消し合うように、フレーム部材132の軸を通る流体の流れの方向を境として非対称に形成される。より具体的には、XY断面が翼型を呈する。
【0061】
==動作==
図10を参照しつつ、整流装置30の動作について説明する。なお、第3実施形態に係る整流装置30の抵抗抑制体31は、第1実施形態および第2実施形態に係る整流装置(10,20)の抵抗抑制体(11,21)と同じであるため、その説明を省略する。以下では、整流装置30のフレーム抵抗抑制体33について説明をする。
【0062】
図10に示すように、整流装置30のフレーム抵抗抑制体33は、流体が−X方向から+X方向に向かって流れている状態において、前縁が−X方向に配されて、後縁が+X方向に配されるように回動する。つまり、フレーム抵抗抑制体33は、その翼弦線が流体の流れの方向に沿うように回動する。そして、フレーム抵抗抑制体33は、流線型を呈するため、その+X方向側において流れの乱れや渦が抑制される。また、水面の近くでは波の発生を抑制できる。
【0063】
フレーム抵抗抑制体33は、流体の流れがX方向を基準にして例えば−Z方向に傾いたときに、前縁が流体の流れてくる方向に配されるように回動する。つまり、フレーム抵抗抑制体33は、その翼弦線が流体の流れの方向に沿うように回動する。
【0064】
尚、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、例えば、本発明には以下のようなものも含まれる。
【0065】
===他の実施形態===
<<抵抗抑制体(11,21,31)>>
上記において、抵抗抑制体(11,21,31)は流線型または翼型を呈するとして説明したが、これに限定されない。例えば、回転軸100に回動可能に軸支されるものであって、回転軸100から平板状のものが延設されていてもよい。また、例えば回転軸100に回動可能に軸支されるものであって、回転軸100から下流に向かうに従って幅が狭くなるような三角形状を呈するようなものでもよい。
【0066】
上記において、抵抗抑制体(11,21,31)は回転軸100における+Y方向側のアーム110における接合部分の下近傍から−Y方向側のアーム111における接合部分の上近傍に亘って、例えば切れ目なく連続的に設けられているとして説明したが、これに限定されない。例えば、抵抗抑制体(11,21,31)は複数個が断続的に設けられていてもよい。
【0067】
図1〜
図8では、抵抗抑制体(11,21)が、軸受(12,22)を介して、回転軸100の周面を覆うように図示したが、これに限定されない。例えば、
図12、
図13に示すように、抵抗抑制体41,51は、回転軸100に設けられる軸受42,52に、その一部が取り付けられ、回転軸100から遠ざかるにつれて翼厚が薄くなり、回転軸100を通る流体の流れの方向を境として対称に形成されていてもよい。具体的に述べると、
図12に示す抵抗抑制体41は、その上流側(−X方向側)の端部が回転軸100の周面に沿うように凹状に湾曲している。また、
図13に示す抵抗抑制体51は、その端部が凸状に丸みを有している。夫々の抵抗抑制体41,51は、流体の流れの方向に沿って回動するように、その端部が軸受42,52に取り付けられている。なお、抵抗抑制体(41,51)は、回転軸100を通る流体の流れの方向を境として非対称に形成されていてもよい。
【0068】
<<軸受(12,22,32)>>
上記において、整流装置(10,20,30)には軸受(12,22,32)が含まれて構成されるように説明したが、これに限定されない。例えば、整流装置(10,20,30)に軸受(12,22,32)は設けられていなくてもよく、抵抗抑制体(11,21,31)が長軸方向への移動が抑制され、かつ、回動可能に設けられていればよい。
【0069】
<<フレーム抵抗抑制体33>>
上記において、フレーム抵抗抑制体33は流線型を呈するとして説明したが、これに限定されない。例えば、フレーム部材131に回動可能に軸支されるものであって、フレーム部材131から平板状のものが延設されていてもよい。また、例えばフレーム部材131に回動可能に軸支されるものであって、フレーム部材131から下流に向かうに従って幅が狭くなるような三角形状を呈するようなものでもよい。
【0070】
上記において、フレーム抵抗抑制体33はフレーム部材131における長軸方向(Y方向)の両端部に亘って、例えば切れ目なく連続的に設けられているとして説明したが、これに限定されない。例えば、フレーム抵抗抑制体33は複数個が断続的に設けられていてもよい。また、フレーム抵抗抑制体33の夫々の両端部と、そのフレーム抵抗抑制体33が軸支されているフレーム部材131とは異なる他のフレーム部材と、が十分に離れるように設けられていてもよい。言い換えると、フレーム抵抗抑制体33は、フレーム部材131のY方向における中央部にフレーム部材131の両端部から十分に離れるように設けられてもよい。なお、軸受32が付属することは限定されず,フレーム抵抗抑制体33が長軸方向への移動が抑制され、かつ、回動可能に設けられていればよい。
【0071】
===まとめ===
以上説明したように、本実施形態に係る整流装置(10,20,30)は、回転軸100に取り付けられ、流体の流れを受けて回転軸100を回転させるブレード120と、を含んで構成される回転装置200において、回転軸100に軸支され、回転軸100の上流側から流れてくる流体に起因して、回転軸100に与えられる抵抗を抑制するように、流体の流れに沿って回動する抵抗抑制体(11,21,31)を備える。本実施形態によれば、流れの乱れや渦や水面の近くにおける波の発生を抑制できるため、ブレード120周りの流れの乱れや渦を軽減して動力変換効率が向上する。
【0072】
また、本実施形態に係る整流装置(10,20,30)において、抵抗抑制体(11,21,31)は、回転軸100を覆うように、回転軸100に軸支されている。本実施形態によれば、回転軸100に到達する流体における流れの乱れや渦水面の近くにおける波の発生を抑制できるため、ブレード120周りの流れの乱れや渦を軽減して動力変換効率が向上する。
【0073】
また、本実施形態に係る整流装置(40,50)において、抵抗抑制体(41,51)は、回転軸100と隣接するように、回転軸100に軸支されている。本実施形態によれば、抵抗抑制体(41,51)は、抵抗抑制体(11,21,31)と比較して小型化できるため、製作コストを縮減できる。
【0074】
また、本実施形態に係る整流装置(10,30)において、抵抗抑制体11は、回転軸100を通る流体の流れの方向を境として対称に形成される。本実施形態によれば、回転軸100の下流側において効率よく流れの乱れや渦を抑制できる。また、水面の近くの回転軸100に抵抗抑制体(11,31)を備えていれば、波の発生を抑制できる。
【0075】
また、本実施形態に係る整流装置20において、抵抗抑制体21は、抵抗抑制体21に伝達される回転摩擦力と、流体から抵抗抑制体21が受ける回転方向と反対の方向への揚力と、が打ち消し合うように、回転軸100を通る流体の流れの方向を境として非対称に形成される。本実施形態によれば、回転摩擦力と揚力とが打ち消し合うことにより抵抗抑制体21を流体の流れの方向に沿って配置できるため、より効率よく流れの乱れや渦を抑制できる。また、水面の近くでは波の発生を抑制できる。
【0076】
また、本実施形態に係る整流装置20において、抵抗抑制体21は、抵抗抑制体21の両端部から発生する渦を抑制するように、回転軸100に沿う方向における+Y方向の第1端面に設けられる鍔形状を呈する第1鍔部21Aと、回転軸100に沿う方向における第1端面とは反対側の第2端面に設けられる鍔形状を呈する第2鍔部21Bと、をさらに備える。本実施形態によれば、抵抗抑制体21の両端部で生じる翼端渦による誘導抵抗を抑制できる。
【0077】
また、本実施形態に係る整流装置20において、抵抗抑制体21Cの回転軸100に沿う方向における両端部は、回転軸100を通る流体の流れの方向を境として対称に形成される。本実施形態によれば、抵抗抑制体21CのY方向における両端部で翼端渦を生じさせず誘導抵抗を抑制するため、中間部では回転摩擦力と揚力とが打ち消し合うため、効率よく流れの乱れや渦を抑制できる。
【0078】
また、本実施形態に係る(10,20,30)において、抵抗抑制体(11,21,31)は、流体の流れの方向に沿って回動した状態において、流体の上流側から下流側に向かうにつれて、回転軸100に沿う方向と流体の流れの方向とに直交する方向(Z方向)の厚みが薄くなるように形成される。本実施形態によれば、回転軸100の下流側において効率よく流れの乱れや渦を抑制できる。また、水面の近くでは波の発生を抑制できる。
【0079】
また、本実施形態に係る整流装置30において、回転軸100とブレード120を支えるフレーム130において、フレーム130を構成するフレーム部材(131,132)に軸支され、フレーム部材(131,132)の上流側から流れてくる流体に起因してフレーム部材(131,132)に与えられる抵抗を抑制するように、流体の流れに沿って回動するフレーム抵抗抑制体33と、をさらに備える。本実施形態によれば、フレーム130で生じる流れの乱れや渦を抑制できるため、ブレード120周りの流れの乱れや渦を軽減し、回転装置の動力変換効率が向上する。
【0080】
また、本実施形態に係る整流装置30において、フレーム抵抗抑制体33は、フレーム抵抗抑制体33に生じる浮力とフレーム抵抗抑制体33が受ける揚力との合力と、フレーム抵抗抑制体33にかかる重力と、が打ち消し合うように、フレーム部材132を通る流体の流れの方向を境として非対称に形成される。本実施形態によれば、特に水平に設けられるフレーム部材132の下流側に生じうる流れの乱れや渦の発生を効果的に抑制できる。また、水面の近くでは波の発生を抑制できる。
【0081】
また、本実施形態に係る整流装置30において、フレーム抵抗抑制体33は、フレーム部材132の軸を通る流体の流れの方向(X方向)を境として対称に形成される。本実施形態によれば、回転軸100の下流側において効率よく流れの乱れや渦を抑制できる。また、水面の近くのフレーム130にフレーム抵抗抑制体33を備えていれば、波の発生を抑制できる。
【0082】
また、本実施形態に係る整流装置30において、フレーム抵抗抑制体33は、流体の流れの方向に沿って回動した状態において、流体の上流側から下流側に向かうにつれて、フレーム部材131,132の軸に沿う方向(Y方向)と流体の流れの方向(X方向)とに直交する方向(Z方向)の厚みが薄くなるように形成される。本実施形態によれば、フレーム部材131,132の下流側において効率よく流れの乱れや渦を抑制できる。また、水面の近くでは波の発生を抑制できる。
【0083】
また、本実施形態に係る整流装置(10,20,30,40,50)において、流体の流れに沿って抵抗抑制体(11,21,31,41,51)が回動するように、抵抗抑制体(11,21,31,41,51)と回転軸100との間に設けられる軸受(12,22,32,42,52)と、をさらに備える。本実施形態によれば、流体の流れの方向に合わせてスムーズに抵抗抑制体(11,21,31,41,51)が回動できる。
【0084】
また、本実施形態に係る整流装置(10,20,30,40,50)において、流体は、風であり、回転軸100は、風力発電機のタービンに接続される。本実施形態によれば、風力発電機において流れの乱れや渦を抑制することができる。
【0085】
また、本実施形態に係る整流装置(10,20,30,40,50)において、流体は、水であり、回転軸100は、潮流発電機などの水力発電機のタービンに接続される。本実施形態によれば、水力発電機において流れの乱れや渦を抑制することができる。また、水面の近くでは波の発生を抑制できる。
回転軸に取り付けられ、流体の流れを受けて前記回転軸を回転させるブレードを含んで構成される回転装置において、前記回転軸に軸支され、前記回転軸の上流側から流れてくる前記流体に起因して、前記回転軸に与えられる抵抗を抑制するように、前記流体の流れに沿って回動する抵抗抑制体を備えることを特徴とする。