(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明の一例であるスポンジローラ1は、
図1に示されるように、芯金とも称される軸体2と、その軸体の外周面に形成された弾性層3とを有する。4は、弾性層3の表面に形成されたフッ素樹脂層である。
【0014】
前記軸体は、通常、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等で形成されたいわゆる芯金と称される長尺状円柱体である。軸体は装着される画像形成装置に応じて適宜の直径及び軸線方向の長さに調整される。
【0015】
画像形成装置にスポンジローラが組み込まれる場合、この軸体は通常5.0〜40mmの直径を有し、また、一端から他端までの軸長は、通常150〜1000mmである。
【0016】
弾性層は、ミラブル型シリコーンゴムと未膨張マイクロバルーンと化学発泡剤とで形成される。
【0017】
前記ミラブル型シリコーンゴムは、硬化する前の状態が天然ゴムや通常の合成ゴムの未加硫配合ゴムに類似していて、練りロール機あるいは密閉式の混合機などで可塑化・混合することができるシリコーンゴムコンパウンドである。
【0018】
好適なミラブル型シリコーンゴムは、
(A)下記平均組成式(I)
R
1aSiO
(4-a)/2 (I)
(式中、R
1は同一又は異種の非置換もしくは置換の一価炭化水素基を示し、aは1.95〜2.05の正数である。)
で表される重合度が100以上のオルガノポリシロキサン、
(B)BET吸着法による比表面積が50m
2/g以上の補強性シリカ、
(C)下記一般式(II)
R
2mSi(OR
3)
4-m (II)
(式中、R
2は独立に水素原子又は非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、R
3は同
一又は異種の非置換もしくは置換のアルキル基であり、mは0,1,2又は3である。)
で示されるアルコキシシラン、
(D)水、
(E)下記一般式(III)
R
43SiNHSiR
43 (III)
(式中、R
4は同一又は異種の一価炭化水素基を示す。)
で示されるヘキサオルガノジシラザンを含有してなる。
【0019】
前記オルガノポリシロキサンを示す式(I)におけるR
1は、炭素数1〜12、特に炭素数1〜8のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、シクロアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基、あるいはこれらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、塩素等のハロゲン原子もしくはシアノ基などで置換した、例えばクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられ、メチル基、ビニル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、特にメチル基、ビニル基が好ましい。
【0020】
特に、(A)成分としてのオルガノポリシロキサンは、1分子中に2個以上、通常、2〜50個、特に2〜20個程度のアルケニル基、シクロアルケニル基等の脂肪族不飽和基を有するものが好ましく、特にビニル基を有するものであることが好ましい。この場合、全R
1中0.01〜20モル%、特に0.02〜10モル%が脂肪族不飽和基であることが好ましい。なお、この脂肪族不飽和基は、分子鎖末端でケイ素原子に結合していても、分子鎖の途中(分子鎖非末端)のケイ素原子に結合していても、その両方であってもよいが、少なくとも分子鎖末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。
【0021】
特に、(A)成分としてのオルガノポリシロキサンは、1分子中に2個以上、通常、2〜50個、特に2〜20個程度のアルケニル基、シクロアルケニル基等の脂肪族不飽和基を有するものが好ましく、特にビニル基を有するものであることが好ましい。この場合、全R
1中0.01〜20モル%、特に0.02〜10モル%が脂肪族不飽和基であることが好ましい。なお、この脂肪族不飽和基は、分子鎖末端でケイ素原子に結合していても、分子鎖の途中(分子鎖非末端)のケイ素原子に結合していても、その両方であってもよいが、少なくとも分子鎖末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。
【0022】
また、aは1.95〜2.05、好ましくは1.98〜2.02、より好ましくは1.99〜2.01の正数である。また、全R
1中90モル%以上、好ましくは95モル%以上、更に好ましくは脂肪族不飽和基を除く全てのR
1がアルキル基、特にはメチル基であることが望ましい。
【0023】
(A)成分であるオルガノポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、又は一部分岐構造を有する直鎖状であることが好ましい。具体的には、該オルガノポリシロキサンの主鎖を構成するジオルガノシロキサン単位(R
12SiO
2/2、R
1は上記と同じ、以下同様)の繰り返し構造が、ジメチルシロキサン単位のみの繰り返しからなるもの、又はこの主鎖を構成するジメチルシロキサン単位の繰り返しからなるジメチルポリシロキサン構造の一部として、フェニル基、ビニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等を置換基として有するジフェニルシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位、メチルビニルシロキサン単位、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシロキサン単位等のジオルガノシロキサン単位を導入したもの等が好適である。
また、分子鎖両末端は、例えば、トリメチルシロキシ基、ジメチルフェニルシロキシ基、ビニルジメチルシロキシ基、ジビニルメチルシロキシ基、トリビニルシロキシ基等のトリオルガノシロキシ基(R
13SiO
1/2)やヒドロキシジメチルシロキシ基等のヒドロキシジオルガノシロキシ基(R
12(HO)SiO
1/2)などで封鎖されていることが好ましい。
【0024】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、上述したように、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基(R
13SiO
1/2)又はヒドロキシジオルガノシロキシ基(R
12(HO)SiO
1/2)で封鎖され、主鎖がジオルガノシロキサン単位(R
12SiO
2/2)の繰り返しからなる直鎖状のものを好ましく挙げることができる。特に好ましいものとしては、分子中の置換基(即ち、ケイ素原子に結合する非置換又は置換の一価炭化水素基)の種類として、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルビニルポリシロキサン、メチルトリフルオロプロピルビニルポリシロキサン等を挙げることができる。
このようなオルガノポリシロキサンは、例えば、オルガノハロゲノシランの1種又は2種以上を(共)加水分解縮合することにより、あるいは環状ポリシロキサン(シロキサンの3量体、4量体等)をアルカリ性又は酸性の触媒を用いて開環重合することによって得ることができる。
【0025】
なお、上記オルガノポリシロキサンの重合度は100以上(通常、100〜100,000)、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは2,000〜50,000、特に好ましくは3,000〜20,000であり、室温(25℃)において自己流動性のない、いわゆる生ゴム状(非液状)であることが好ましい。重合度が小さすぎるとコンパウンドとした際に、ロール粘着等の問題が生じ、ロール作業性が悪化する。なお、この重合度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析によるポリスチレン換算の重量平均重合度として測定することができる。
【0026】
(A)成分は、1種を単独で用いても、分子量(重合度)や分子構造の異なる2種又は3種以上の混合物であってもよい。
(B)成分の補強性シリカは、機械的強度の優れたシリコーンゴム組成物を得るために添加される充填剤であり、この目的のためには比表面積(BET吸着法)が50m
2/g以上であることが必要であり、好ましくは100〜450m
2/g、より好ましくは100〜300m
2/gである。比表面積が50m
2/g未満だと、硬化物の機械的強度が低くなってしまう。
【0027】
このような補強性シリカとしては、例えば煙霧質シリカ(ヒュームドシリカ)、沈降シリカ(湿式シリカ)等が挙げられ、またこれらの表面をクロロシランやヘキサメチルジシラザン等で疎水化処理したものも好適に用いられる。このなかでも動的疲労特性に優れる煙霧質シリカが好ましい。(B)成分は1種又は2種以上を併用してもよい。
【0028】
(B)成分の補強性シリカの配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して5〜100質量部であり、10〜50質量部であることが好ましい。(B)成分の配合量が少なすぎる場合には補強効果が得られず、多すぎる場合には加工性が悪くなり、また機械的強度が低下してしまい、動的疲労耐久性も悪化してしまう。
前記式(II)で示される(B)成分のアルコキシシランとしては、オルガノトリアルコキシシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、トリオルガノアルコキシシラン等のオルガノアルコキシシランや、m=1で、かつR
2が水素原子であるトリアルコキシシラン、m=0のテトラアルコキシシランが例示できる。
【0029】
ここで、R
2は水素原子、又は同一もしくは異種の非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、非置換もしくは置換の一価炭化水素基としては、前記(A)成分の式(I)中のR
1と同様のものが挙げられるが、通常、炭素数1〜8、特に炭素数1〜4のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基、あるいはこれらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子もしくはシアノ基等で置換したクロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−シアノエチル基などが挙げられ、メチル基、ビニル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、特にメチル基、ビニル基、フェニル基が好ましい。また(A)成分のオルガノポリシロキサンとの相溶性の点から(A)成分の非置換もしくは置換の一価炭化水素基R
1と同一であることが好ましい。
【0030】
R
3の非置換又は置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の、通常、炭素数1〜4程度のアルキル基や、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基等のアルコキシ置換アルキル基が例示されるが、加水分解性等の点からメチル基、エチル基が好ましい。式中のmは0,1,2又は3であり、好ましくは1又は2である。
【0031】
このようなアルコキシシランとしては、例えば、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を挙げることができるが、m=2であるジアルキルジアルコキシシラン等のジオルガノジアルコキシシランが好ましく、特にジメトキシジメチルシランが好ましい。
【0032】
これらアルコキシシランは比較的安価であり、これを出発原料として用いることは経済的に極めて有利である。上述したアルコキシシランは単独又は2種以上の組み合わせで使用できる。ただし複数のアルコキシシランを混ぜて使用する場合には、両者の加水分解速度が異なるため、均一に反応しない可能性があるので注意が必要である。
【0033】
(C)成分の使用量は、上記(A)成分100質量部に対して0.1〜20質量部であり、好ましくは1〜15質量部である。アルコキシシランの使用量が少なすぎるとコンパウンドの可塑度が高くなりすぎ、また可塑戻り(クリープハードニング)が大きくなり、多すぎるとコンパウンドの可塑度が低くなりすぎ、ロールミル等の混練手段においてロール粘着性が発生してロール作業性が悪化する。
【0034】
(D)成分である水のpHは特に限定されないが、pHが高すぎたり、低すぎたりすると、配合時に使用する装置が腐食してしまうため、pHは1.0〜12.0であることが好ましく、より好ましくは2.0〜10.0、更に好ましくは2.0〜7.0である。
ここで、(D)成分の水は、上記範囲のpHとするために、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、及び蟻酸、酢酸等の有機酸を用いて調整した酸性水溶液や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等を用いて調整した塩基性水溶液として用いることも可能である。
【0035】
また用いる水の量は、前記アルコキシシランのアルコキシ基に対して0.3〜10倍モル、特に0.5〜2.0倍モル、とりわけ1.0〜1.5倍モルが好ましい。この量が上記範囲よりも少ないと、アルコキシ基が完全に加水分解せず、わずかしか水酸基が生成しないといった問題が生じる。多く添加しても、過剰の水を除去する必要がある。
前記(E)成分であるヘキサオルガノジシラザンを示す式(III)において、R
4としては、前記(A)成分におけるR
1と同様のものが挙げられるが、特にメチル基、エチル基等の炭素数1〜6程度のアルキル基が好ましく、また分子中にビニル基等のアルケニル基を有していても構わない。
【0036】
(E)成分としては、ヘキサメチルジシラザン、1−ビニルペンタメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ジメチル−1,1,3,3−テトラビニルジシラザン等が例示されるが、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンが好ましく、ヘキサメチルジシラザンがより好ましい。
【0037】
(E)成分としては、上記のヘキサオルガノジシラザンの他にアンモニア水を用いることができる。アンモニア水の濃度は特に限定されないが、通常1〜30質量%、好ましくは10〜28質量%、より好ましくは15〜28質量%程度のものを用いることができる。
【0038】
(E)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対してヘキサオルガノジシラザンの場合には、0.01〜1質量部、好ましくは0.02〜1質量部、より好ましくは0.05〜0.5質量部であり、アンモニア水の場合には、0.01〜1質量部、好ましくは0.05〜1質量部、より好ましくは0.1〜1質量部である。(E)成分の配合量が少なすぎる場合には、配合時間の短縮効果が少なく、また耐圧縮永久歪、動的疲労耐久性向上の効果が得られず、多すぎる場合には、得られるゴムの硬度が高くなりすぎ、また経済的にも好ましくない。
【0039】
(E)成分の添加は、(C)成分のアルコキシシランと(D)成分の水とによる加水分解が充分に行われた後に添加することが必要であり、具体的には、組成物の製造過程において各成分を均一に混合、混練する際に、(A)、(C)、(D)成分に、(B)成分を必要添加量の25質量%以上(25〜100質量%)、好ましくは50〜100質量%添加して、均一に混合したあとに、(E)成分を添加することが必要である。
【0040】
(C)成分のアルコキシシランと(D)成分の水とによる加水分解が不充分な時点で(E)成分が添加されると、硬化前の耐可塑戻り特性や硬化後の耐圧縮永久歪特性に劣った組成物となる。
【0041】
この発明におけるミラブル型シリコーンゴムは、上述した(A)〜(E)成分の所定量を、所定の配合順序(配合時期)で二本ロール(ロールミル)、ニーダー、バンバリーミキサー等で均一に混練り、混合することによって得ることができる。
【0042】
即ち、(B)成分の必要添加量の25〜100質量%、好ましくは50〜100質量%と、(A)、(C)、(D)成分とを混合する。この混合時に(C)成分であるアルコキシシランと(D)成分である水とが加水分解反応し、該加水分解反応物が(B)成分であるシリカのウェッターとして作用するため、混合時間が短縮される。この場合、ここでの混合、混練は(C)成分の(D)成分による加水分解反応を十分達成させるため、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、更に好ましくは30〜80℃において好ましくは1〜120分、より好ましくは10〜60分間の条件とすることが望ましい。
【0043】
次いで、このように(C)成分と(D)成分の加水分解反応が十分進行した後に(E)成分であるヘキサオルガノジシラザン又はアンモニア水を添加する。これにより混合時間もより短縮される。なお、(B)成分のシリカ全量を前の混合、混練工程で使用していない場合は(B)成分のシリカの残部はこの混合、混練工程時に添加する。この(E)成分及び(B)成分の残量を添加し、混合、混練する場合の温度は0〜100℃、特に10〜90℃、とりわけ40〜80℃が好ましく、また混合、混練時間は1〜120分、特に3〜60分間とすることが好ましい。
【0044】
なお、上記(A)〜(E)成分の総配合時間は5分〜5時間、より好ましくは10分〜3時間とすることが好ましい。
【0045】
この発明におけるミラブル型シリコーンゴムは、上述したものの外に、信越化学工業株式会社製のKE−571−U、KE−1571−U、KE−951−U、KE−541−U、KE−551−U、KE−561−U、KE−961T−U、KE−1541−U、KE−1551−U、KE−941−U、KE−971T−Uを使用することができる。
【0046】
この発明における未膨張マイクロバルーンは、膨張していない樹脂マイクロバルーンを挙げることができる。
【0047】
樹脂マイクロバルーンとしては、外殻に熱可塑性樹脂を用いたものが好ましく用いられる。外殻を構成する熱可塑性樹脂としては、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体、メチルメタクリレート/アクリロニトリル共重合体、メタアクリロニトリル/アクリロニトリル共重合体等を挙げることができる。シリコーンゴムの硬化温度に合わせて、外殻となる樹脂の軟化温度が適当な範囲内にある樹脂マイクロバルーンを用いることが好ましい。又、内包される蒸発性物質としては、ブタン、イソブタン等の炭化水素を挙げることができる。
【0048】
この発明に好適な未膨張の樹脂マイクロバルーンは、「マツモトマイクロスフェアーFシリーズ」(松本油脂製薬社製)、「エクスパンセルシリーズ」(エクスパンセル社製)等として市販されている。
この発明に好適な未膨張の樹脂マイクロバルーンは、弾性層を形成するのに使用される化学発泡剤の分解温度よりも高い温度で膨張する機能を有する樹脂マイクロバルーンから選択される。
【0049】
この発明における化学発泡剤としては、従来、弾性層の形成に用いられる発泡剤であればよく、例えば、無機系発泡剤として、重炭酸ソーダ、炭酸アンモニウム等が挙げられ、有機系発泡剤として、ジアゾアミノ誘導体、アゾニトリル誘導体、アゾジカルボン酸誘導体等の有機アゾ化合物等が挙げられる。有機アゾ化合物の中でも、アゾジカルボン酸アミド、アゾビス−イソブチロニトリル等が好適に使用される。特に、アゾビス−イソブチロニトリルが好適に使用できる。
この発明に好適な化学発泡剤は、未膨張マイクロバルーンが膨張する温度よりも低い温度で分解してガスを発生する機能を有する。
【0050】
この発明のスポンジローラは前記ミラブル型シリコーンゴムと未膨張マイクロバルーンと化学発泡剤とから形成された弾性層を有する。この弾性層の中心軸線に直交する方向で弾性層を切断したときに現れる弾性層の断面では、化学発泡剤由来の小径のセルによって未膨張マイクロバルーン由来の大径セルが連通してなる連通セルが観察される。大径セル同士が小径セルによって連通した状態の連通セルの全面積は、独立した小径セル及び独立した大径セルの全面積よりもはるかに大きい。連通セルの全面積と独立セルの全面積の合計に対する連通セルの全面積の割合は、通常0.05〜10%である。
なお、未膨張マイクロバルーンによって形成された独立のセルの平均セル径が150μm以下、好ましくは150μm以下20μm以上、特に好ましくは120μm以下30μm以上であり。化学発泡剤によって形成された独立のセルの平均セル径が300μm以下、好ましくは300μm以下50μm以上、特に好ましくは250μm以下60μm以上である。
なお、この発明においては、化学発泡剤により形成された独立のセルの平均セル径は未膨張マイクロバルーンにより形成された独立のセルの平均セル径よりも大きい。
【0051】
連通セルと独立セルとのセル面積比は、弾性層の外表面において、又は任意の方向で切断したときの切断面において、光学顕微鏡で200倍に拡大したとき、マイクロバルーンによるセルの合計面積と、化学発泡剤によるセルの合計面積との比である。平均セル径は、弾性層の外表面において、又は任意の方向で切断したときの切断面において、光学顕微鏡で100倍から200倍に拡大したとき、ランダムに選んだセル10個の平均値である。未膨張マイクロバルーンによるセルの識別は、セル内部にマイクロバルーンの殻または殻が収縮した残骸があることによって判断することができる。この平均セル径は、弾性層を形成するためのミラブル型シリコーンゴム及び未膨張マイクロバルーンと化学発泡剤とを含む混合物の加硫条件を適切に設定することにより、調整することができる。
【0052】
また、前記弾性層はそのアスカーC硬度が20〜60であるのが好ましい。また、この発明に係るスポンジローラでは、弾性層表面のアスカーC硬度が、軸方向において両端の差が1以下である。スポンジローラにおける弾性層のアスカーC硬度の差が小さいことは、加圧された弾性層が均一に変形し、応力分布の偏りが小さくなるという利点があって有利である。
【0053】
前記弾性層は、前記軸体の外周面に円柱状に形成され、弾性層の厚みは通常0.5〜30mmであり、好ましくは1〜15mmである。
【0054】
この弾性層には、この発明の課題を達成することができる限り、低分子シロキサンエステル、シラノール、例えば、ジフェニルシランジオール等の分散剤、酸化鉄、酸化セリウム、オクチル酸鉄等の耐熱性向上剤、接着性や成形加工性を向上させる各種カーボンファンクショナルシラン、難燃性を付与させるハロゲン化合物等をこの発明の目的を損なわない範囲で含有してもよい。
【0055】
この発明に係るスポンジローラは、この発明に係る製造方法により製造することができる。
【0056】
この発明に係る製造方法においては、先ずミラブル型シリコーンゴムと、前記ミラブル型シリコーンゴム100質量部に対して未膨張マイクロバルーン0.2〜3.0質量部と、前記ミラブル型シリコーンゴム100質量部に対して化学発泡剤0.05〜3.0質量部と、架橋剤とを配合する。
【0057】
前記未膨張マイクロバルーン及び化学発泡剤の種類等については既に説明した。前記架橋剤としては、付加反応架橋剤、及び有機過酸化物架橋剤などを挙げることができる。
【0058】
前記付加反応架橋剤として、例えば、一分子中に二個以上のSiH基(SiH結合)を有する付加反応型の架橋剤として公知のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好適に挙げられる。付加反応架橋剤は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。付加反応架橋剤の配合量は、通常、ミラブル型シリコーンゴム100質量部に対して0.1〜3.0質量部である。
【0059】
この付加反応架橋剤を使用する場合、前記有機過酸化物架橋剤は、単独でミラブル型シリコーンゴムを架橋させることも可能であるが、付加反応架橋剤の補助架橋剤として併用すると、得られるスポンジローラの強度、歪み等の物性をより一層向上させることができる。有機過酸化物架橋剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ビス−2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。有機過酸化物架橋剤の配合量は、通常、ミラブル型シリコーンゴム100質量部に対して0.1〜5.0質量部である。有機過酸化物架橋剤は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
【0060】
付加反応架橋剤は、付加反応触媒を併用するのが好ましい。付加反応触媒は白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等が挙げられる。なお、この付加反応触媒の配合量は触媒量とすることができる。
【0061】
混合する方法は特に限定されず、例えば、常温常圧下で、ミラブル型シリコーンゴムに未膨張マイクロバルーン、化学発泡剤、及び架橋剤を順次に、または一挙に投入して攪拌機、混練器等で均一に混合させる方法等が挙げられる。このようにして混合物を調製する工程が完遂する。
【0062】
前記混合物には、各種の添加剤を含めることができる。各種の添加剤として、例えば鎖延長剤及び架橋剤等の助剤、触媒、分散剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填材、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。これらの各種添加剤は、通常用いられる添加剤であってもよく、用途に応じて特別に用いられる添加剤であってもよい。
【0063】
前記混合物は、二本ロール、三本ロール、ロールミル、バンバリーミキサ、ドウミキサ(ニーダー)等のゴム混練り機等を用いて、均一に混合されるまで、例えば、数分から数時間、好ましくは5分以上1時間以下にわたって常温又は加熱下で混練することにより、得ることができる。
【0064】
次いで、得られた混合物を、スポンジローラを構成するための軸体の外周面に、押出成形による連続加熱成形、プレス、インジェクションによる型成形等によって、加熱成形する。
この発明においては、加熱成形するに際し、加熱温度を適切に管理することが重要である。
【0065】
軸体の外周面に混合物を円柱状に形成した後に、円柱状の混合物、換言すると、円柱状の成形体を、軸体ごと加熱して加硫する。この加熱加硫を行う際の条件例えば未膨張マイクロバルーン及び化学発泡剤の種類とその添加量、架橋剤の種類と添加量、加熱温度等によって発泡後の大径セルの平均セル径及び小径セルの平均セル径を所定の範囲に調整することができる。
【0066】
この発明においては、加熱成形するに際し、加熱温度を適切に管理することが重要である。つまり、加熱を開始してから円柱状の前記混合物を、未膨張マイクロバルーンが膨張する温度よりも低く、かつ化学発泡剤の分解温度よりも高い温度(一次加熱温度:T1)に、到達させる。一次加熱温度(T1)に維持された前記混合物においては、化学発泡剤の分解により生じたガスによって大径セルが形成される。この温度(T1)は、通常、100〜300℃、特に150〜250℃であり、この一次加熱温度(T1)に前記混合物を維持する時間は通常5〜30分間である。次いで、一次加熱温度に維持されている前記混合物を、未膨張マイクロバルーンが膨張するに十分な温度(二次加熱温度:T2)に加熱する。前記二次加熱温度(T2)は、通常180〜250℃、特に200〜230℃である。前記混合物の二次加熱温度(T2)に維持する加熱時間は、通常、1〜10時間である。一次加熱における加熱条件下においては化学発泡による大径セルが形成される一方、未膨張マイクロバルーンの外殻が破壊され難い。したがって、一次加熱だけでは大径セルは独立となっていて連通状態になっていない。ついで二次加熱における加熱条件下においては未膨張マイクロバルーンの外殻が破壊されることにより大径セル同士が連通する。また、このような加熱によって、未膨張マイクロバルーンの膨張、化学発泡剤の分解、ミラブル型シリコーンゴムの硬化、残留する低分子シロキサンの排除、膨張したマイクロバルーンの熱収縮を必要に応じて制御することが可能となる。
【0067】
加硫をするに必要な加熱は、赤外線加熱炉又は熱風炉等の加熱炉、乾燥機等の加熱機等で行うことができる。もっとも、一次加熱に使用する加熱手段として加熱炉が好ましく、二次加熱に使用する加熱手段として熱風乾燥炉が好ましい。
前記一次加熱後に、前記混合物は、前記軸体の周囲において、小径セル及び大径セルを含んだ膨張物となり、その後に行う前記二次加熱により大径セル同士が連通することになる。もっとも、大径セルの全てが連通状態にならずに、一部に膨張物の状態になっていることもあるので、この発明においては、この一部に膨張物を含んだスポンジローラ前駆体をさらに後処理に供する。
後処理は、スポンジローラ前駆体内に含まれる一部の膨張物内に存在する大径セルと小径セルとを分けているセル壁を破壊して大径セルと小径セルとが連通してなる連続セルが形成される限り、様々の手法を採用することができる。
そのような後処理として、例えば、外殻のシェルが破壊される温度以上に熱した熱風乾燥機に入れて外殻のシェルを破壊する。あるいは、磁場や電磁波の共鳴波長による外殻の破壊等を挙げることができる。
【0068】
また、この発明において重要なことは、弾性層を180℃に加熱してから後に所定時間ごとに測定される膨張率のうち最大膨張率と膨張率測定の最終回における膨張率との差が0〜1.5の範囲内にあることである。膨張差が前記範囲内にあると耐久性に優れるとともに表面平滑性に優れたスポンジローラが形成される。
弾性層の膨張率は、通常、180℃に加熱し、加熱停止後に所定時間ごとに測定された膨張率である。膨張率を測定する測定間隔は通常10分等間隔であり、好適には5分等間隔である。膨張率の差が前記範囲内にあると、この発明の目的を達成することができる。
また、膨張率の測定の最終回は、スポンジローラを加熱することによりスポンジローラの温度が180℃に達してから後にスポンジローラの加熱を停止してから50分が経過したときである。
膨張率は、以下の計算式により算出される。
[(PE2−PE1)/PE1]×100
ただし、PE1は、加熱前の芯金を含まない弾性層の外径であり、PE2は、任意の測定時における芯金を含まない弾性層の外径を示す。
このようにして得られるスポンジローラを更に研磨工程に供しても良い。研磨工程は、軸体の外周面に形成されたスポンジローラの形状を、軸体の軸線方向においてスポンジローラの厚みを軸体の中央に向かって徐々に増大させ、軸体の中央から軸体の先端に向かって徐々に減少させる形状、つまりクラウン形状、或いは軸体の中央から軸体の両端に向かってスポンジローラの厚み増加させる形状、つまり逆クラウン形状、或いはストレート形状に調整する工程である。
【0069】
また、前記加硫によって得られたスポンジローラ、或いは研磨工程により所定の形状に調整されたスポンジローラの外表面を、チューブ、例えばフッ素樹脂チューブで被覆しても良い。フッ素樹脂チューブによる被覆は、例えば、加圧下でスポンジローラを圧縮してフッ素樹脂チューブに挿入する加圧挿入法、減圧下でフッ素樹脂チューブを圧縮してフッ素樹脂チューブに挿入する減圧挿入法、減圧下でフッ素樹脂チューブを半径方向に拡径させてスポンジローラをその内部に挿入する減圧拡径法等によって、行うことができる。
【0070】
この発明に係るスポンジローラは画像形成装置の例えば定着装置に組み込むことができる。
【0071】
次に、この発明に係るスポンジローラを備えた定着装置を内装する画像形成装置(以下、この発明に係る画像形成装置と称することがある。)の一例を、
図2を参照して、説明する。
【0072】
図3に示されるように、この発明に係る画像形成装置30は、静電潜像が形成される回転可能な像担持体31例えば感光体と、前記像担持体31の周囲に配置された、帯電手段32例えば帯電ローラ、露光手段33、現像手段40、転写手段34例えば転写ローラ及びクリーニング手段37と、記録体の搬送方向下流側に定着装置35とを備えている。この現像手段40は、従来の現像手段と基本的に同様に形成され、具体的には、
図3に示されるように、現像剤収納部41と、像担持体31に現像剤42を供給する現像剤担持体44と、現像剤担持体44に現像剤42を供給する現像剤供給手段43と、現像剤42を帯電させる現像剤規制部材45とを備えている。
【0073】
画像形成装置における従来の定着装置は、通常、定着ローラを低硬度にし、加圧ローラを高硬度にしてニップ幅及びニップ圧を確保しているが、この発明における定着装置は、定着装置35のように、アスカーC硬度(荷重1.0Kg)は20〜35の範囲にある低硬度の定着ローラ53と、低硬度の加圧ローラ56とを有する加熱定着装置である。すなわち、この定着装置35は、
図3にその断面が示されるように、記録体36を通過させる開口52を有する筐体50内に、定着ローラ53と、定着ローラ53の近傍に配置された無端ベルト支持ローラ54と、定着ローラ53及び無端ベルト支持ローラ54に巻回された無端ベルト55と、無端ベルト55を介して定着ローラ53に圧接する加圧ローラ56と、無端ベルト55に非接触となるように配置され、無端ベルト55を介して外部から定着ローラ53を加熱する加熱手段57とを備え、無端ベルト55を介して定着ローラ53と加圧ローラ56とが互いに当接又は圧接するように回転自在に支持されて成る圧力熱定着装置である。
【0074】
無端ベルト支持ローラ54は、画像形成装置に通常用いられるローラであればよく、例えば、弾性ローラ等が用いられる。無端ベルト55は、例えば、ポリアミド、ポリアミドイミド等の樹脂により、無端状に形成されたベルトであればよく、その厚さ等も適宜定着装置35に適合するように調整することができる。加圧ローラ56はスプリング等の付勢手段(図示しない。)によって無端ベルト55を介して定着ローラ53に圧接している。この定着装置35においてこの発明に係るスポンジローラが加圧ローラ56として装着されている。前記加熱手段57は、ハロゲンヒーター及び反射板等を用いた輻射加熱方法、加熱器等を直接接触させて加熱する直接接触加熱方法、並びに、誘導加熱方法等が採用される。この加熱手段57は、定着ローラ53における軸線方向の長さとほぼ同じ長さを有する部材であり、定着装置35のいずれに配置されてもよいが、
図3に示されるように、定着ローラ53の表面より一定の間隔を隔てて定着ローラ53に略並行に配置されるのがよい。前記誘導加熱方法には加熱用コイルが用いられ、この加熱用コイルは、通常、フェライト等の強磁性体で、スイッチング電源用として用いられている代表的な形状であるI型、E型及びU型等に形成され、導線が巻かれて成る。無端ベルト55と加圧ローラ56との圧接された間を記録体36が通過することにより、加圧と同時に加熱され、記録体36に転写された現像剤42(静電潜像)を定着させることができる。
【0075】
この発明に係る画像形成装置30は、次のように作用する。まず、画像形成装置30において、帯電手段32により像担持体31が一様に帯電され、露光手段33により像担持体31の表面に静電潜像が形成される。次いで、現像手段40から現像剤42が像担持体31に供給されて静電潜像が現像され、この現像剤像が像担持体31と転写手段34との間に搬送される記録体36上に転写される。この記録体36は定着装置35に搬送され、現像剤像が永久画像として記録体36に定着される。このようにして、記録体36に画像を形成することができる。
【0076】
この定着装置35及びこの画像形成装置30は、加圧ローラ56としてこの発明に係るスポンジローラが採用されているから、現像剤を記録体に定着させる定着性に優れると共に消費電力が小さい。
【0077】
この発明に係るスポンジローラ、及び画像形成装置は、前記した実施例に限定されることはなく、この発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
【0078】
例えば、加圧ローラ1において、発泡弾性層3は、単層構造とされているが、この発明においては二層以上の複層構造としてもよい。
【0079】
画像形成装置30は、電子写真方式の画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置30は、現像手段40に単色の現像剤42のみを収容するモノクロ画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、モノクロ画像形成装置に限定されず、カラー画像形成装置であってもよい。カラー画像形成装置としては、例えば、像担持体上に担持された現像剤像を中間転写体に順次一次転写を繰り返す4サイクル型カラー画像形成装置、各色の現像手段を備えた複数の像担持体を中間転写体や転写搬送ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等が挙げられる。画像形成装置30は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置とされる。
【0080】
また、定着装置35及び画像形成装置30において、現像剤42は、一成分系の現像剤が有利に用いられるが、トナーと、鉄、ニッケル等のキャリアとを含む二成分系の現像剤も使用することができる。
【実施例】
【0081】
(実施例1、2 比較例1〜3)
実施例1〜2及び比較例1〜3にあっては、表1に示されるベースゴム材料と、表1に示される架橋剤と、表1に示される触媒と、表1に示される未膨張マイクロバルーンと、表1に示される化学発泡剤とを、表1に示される配合量をもって、二本ロールで十分に混練して混合物を得た。
【0082】
なお、実施例1〜2、及び比較例1〜3で用いられたベースゴム材料は、信越化学工業株式会社製の商品名KE−551Uであるミラブル型シリコーンゴムであり、表1に記載された架橋剤は「付加架橋」と記載された信越化学工業株式会社製の商品名C−25Bと「パーオキサイド架橋」と記載された信越化学工業株式会社製のC−3との組み合わせであり、表1に記載された「触媒」は信越化学工業株式会社製の商品名C−25Aである白金触媒であり、表1に記載された「化学発泡剤」は大塚化学株式会社製の商品名AZOシリーズのAIBNである。表1に記載された未膨張マイクロバルーンは松本油脂製薬株式会社製の商品名マツモトマイクロスフェアーである。
【0083】
なお、比較例1にあっては未膨張マイクロバルーンが配合されず、化学発泡剤のみである。
次いで、プライマー層を形成した外形19.5mmの軸体と前記混合物とを押出成形機にて一体分出し、実施例1〜7及び比較例1〜4にあっては、赤外線加熱炉(IR炉)を用いて前記混合物を225℃で17分間加熱することにより1次加硫し、その後、熱風乾燥炉で225℃で7時間にわたって2次加硫することにより発泡ローラ原体を作製した。この発泡ローラ原体の円周面を、金属砥石による高速研磨を株式会社水口製作所製の研磨機により行った。
【0084】
実施例1、2及び比較例1〜3にて得られたスポンジローラは外径27.5mm及び軸線方向長さ340mmのストレート形状であり、ゴム厚みは4mmであった。
【0085】
製造されたスポンジローラの平均セル径、研磨後の弾性層の表面側及び軸体側の硬度(アスカーC硬度)を測定し、その結果を表1に示した。
【0086】
スポンジローラの加熱時の膨張率について測定し、評価を行った。
(加熱膨張率)
180℃に加熱した、熱風乾燥炉に作成したスポンジロールを投入し、10分毎に外径を測定し、その結果を表2に示した。
加熱時の膨張率の算出は以下の式から算出した。
加熱前の芯金を含まない弾性層の外径
PE1
任意時間の芯金を含まない弾性層の外径 PE2
[(PE2−PE1)/PE1]×100
【0087】
【表1】
【表2】