特許第6624518号(P6624518)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6624518
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】昇降装置の遠隔監視動作確認システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20191216BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20191216BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20191216BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20191216BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20191216BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   B66B5/00 G
   B66B3/00 R
   B66B3/00 U
   G08B25/04 B
   G08B25/10 D
   H04Q9/00 301C
   H04Q9/00 311W
   H04M11/00 301
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-198868(P2016-198868)
(22)【出願日】2016年10月7日
(65)【公開番号】特開2018-58688(P2018-58688A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2018年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】宮川 行宏
(72)【発明者】
【氏名】若林 正一
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 文隆
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−036050(JP,A)
【文献】 特開2002−183853(JP,A)
【文献】 特開2016−052933(JP,A)
【文献】 特開2004−277174(JP,A)
【文献】 特開平10−231075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00 − 5/28
B66B 3/00 − 3/02
G08B 25/04
G08B 25/10
H04M 11/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の状態に関する情報を出力する情報出力部を有する昇降装置と、
前記情報出力部と通信可能な通信部を有する遠隔監視ユニットと、
前記遠隔監視ユニットの前記通信部に第一の通信系統を介して接続されるとともに、昇降装置を遠隔監視するための遠隔監視アプリケーションを有する監視端末と、
前記第一の通信系統と異なる第二の通信系統を介して前記監視端末に接続可能な技術員携帯端末と、
少なくとも前記技術員携帯端末に対して通信可能に接続されるとともに、少なくとも前記遠隔監視アプリケーションを有するサーバーと、を備え、
前記技術員携帯端末は、前記第一の通信系統及び前記第二の通信系統を介して前記遠隔監視ユニットと通信可能であり、
前記監視端末の遠隔監視アプリケーションが実行されず、且つ、前記サーバーの遠隔監視アプリケーションが実行されたときに、前記遠隔監視ユニットから出力された昇降装置の状態に関する情報は、前記監視端末を通過して前記技術員携帯端末に出力され、前記技術員携帯端末から出力された昇降装置を遠隔操作する情報は、前記監視端末を通過して前記遠隔監視ユニットに出力される、遠隔監視動作確認システム。
【請求項2】
前記第一の通信系統は、電話回線を含み、
前記技術員携帯端末は、前記第一の通信系統の電話回線を介して前記遠隔監視ユニットの通信部に接続可能である、請求項1に記載の遠隔監視動作確認システム。
【請求項3】
前記技術員携帯端末は、前記第一の通信系統及び前記第二の通信系統と異なる第三の通信系統を介して前記遠隔監視ユニットの通信部に接続可能である、請求項1又は2に記載の遠隔監視動作確認システム。
【請求項4】
記サーバーは、前記昇降装置の状態に関する情報を前記技術員携帯端末に出力させる第1実行ファイルを有し、
前記技術員携帯端末は、前記第1実行ファイルを操作可能なブラウザを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の遠隔監視動作確認システム。
【請求項5】
前記遠隔監視ユニットは、前記監視端末を介して前記昇降装置の状態に関する情報を前記技術員携帯端末に送り、
前記ブラウザは、前記第1実行ファイルの実行により、前記技術員携帯端末に前記昇降装置の状態に関する情報を出力させる、請求項4に記載の遠隔監視動作確認システム。
【請求項6】
前記技術員携帯端末は、前記昇降装置の状態に関する情報を該技術員携帯端末に出力させる第2実行ファイルを有し、
前記遠隔監視ユニットは、前記第2実行ファイルの実行によって前記技術員携帯端末に前記昇降装置の状態に関する情報を出力させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の遠隔監視動作確認システム。
【請求項7】
自身の状態に関する情報を出力する情報出力部を有する昇降装置と、
前記情報出力部と通信可能な通信部を有する遠隔監視ユニットと、
前記遠隔監視ユニットの前記通信部に第一の通信系統を介して接続されるとともに、昇降装置を遠隔監視するための遠隔監視アプリケーションを有する監視端末と、
前記第一の通信系統と異なる第二の通信系統を介して前記監視端末に接続可能であるとともに、少なくとも前記遠隔監視アプリケーションを有する技術員携帯端末と、を備え、
前記技術員携帯端末は、前記第一の通信系統及び前記第二の通信系統を介して前記遠隔監視ユニットと通信可能であり、
前記監視端末の遠隔監視アプリケーションが実行されず、且つ、前記技術員携帯端末の遠隔監視アプリケーションが実行されたときに、前記遠隔監視ユニットから出力された昇降装置の状態に関する情報は、前記監視端末を通過して前記技術員携帯端末に出力され、前記技術員携帯端末から出力された昇降装置を遠隔操作する情報は、前記監視端末を通過して前記遠隔監視ユニットに出力される、遠隔監視動作確認システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータやエスカレータ等の昇降装置の遠隔監視システムの動作確認を行うための遠隔監視動作確認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、昇降装置の動作状況を監視する遠隔監視システムが知られている。この遠隔監視システムは、動作を制御するための制御マイコンを含む昇降装置と、昇降装置に接続されている端末装置を介して制御マイコンと通信可能に接続され、昇降装置の動作を遠隔で監視するための端末と、を備える(特許文献1参照)。
【0003】
かかる遠隔監視システムでは、昇降装置(詳しくは、制御マイコン)からの信号を基に、昇降装置から離れた位置にある監視センタ等に配置された端末が、該監視センタ等の監視員に昇降装置の動作状況を報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−212447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、新設の昇降装置や補修後の昇降装置等において、遠隔監視システムを作動させて昇降装置の遠隔監視を開始する前段として、遠隔監視の対象となる昇降装置の動作や該昇降装置と監視センタとの通信が適正に行われるか否かの確認を通じて、該昇降装置の遠隔監視システムの動作確認を行う必要がある。この確認では、技術員が現地にて昇降装置の動作を確認すると共に、監視員が監視センタにて、昇降装置から監視センタに送信すべき信号が該センタにおいて受信できているか否かを確認する。そのため、従来の遠隔監視システムでは、現地の技術員と監視センタの監視員との両名によって動作確認を行わなければならず、非常に効率が悪い。
【0006】
そこで、本発明は、昇降装置に対する遠隔監視システムの動作確認を一人の技術員によって行うことのできる昇降装置の遠隔監視動作確認システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の遠隔監視動作確認システムは、自身の状態に関する情報を出力する情報出力部を有する昇降装置と、前記情報出力部と通信可能な通信部を有する遠隔監視ユニットと、前記遠隔監視ユニットの前記通信部に第一の通信系統を介して接続されるとともに、昇降装置を遠隔監視するための遠隔監視アプリケーションを有する監視端末と、前記第一の通信系統と異なる第二の通信系統を介して前記監視端末に接続可能な技術員携帯端末と、少なくとも前記技術員携帯端末に対して通信可能に接続されるとともに、少なくとも前記遠隔監視アプリケーションを有するサーバーと、を備え、前記技術員携帯端末は、前記第一の通信系統及び前記第二の通信系統を介して前記遠隔監視ユニットと通信可能であり、前記監視端末の遠隔監視アプリケーションが実行されず、且つ、前記サーバーの遠隔監視アプリケーションが実行されたときに、前記遠隔監視ユニットから出力された昇降装置の状態に関する情報は、前記監視端末を通過して前記技術員携帯端末に出力され、前記技術員携帯端末から出力された昇降装置を遠隔操作する情報は、前記監視端末を通過して前記遠隔監視ユニットに出力される
【0008】
かかる構成によれば、技術員携帯端末は、第一の通信系統及び第二の通信系統を通じて遠隔監視ユニットと通信することで、昇降装置の動作を確認できると共に、第二の通信系統を通じて監視端末と通信することで、該監視端末が遠隔監視ユニットから昇降装置の状態に関する情報を受信できているか否か(即ち、第一の通信系統への遠隔監視ユニットの接続の有無等)も確認できる。これにより、技術員が技術員携帯端末を所持することで、昇降装置の遠隔監視システムを実行できる状態であるか否かを、一人の技術員によって確認することができる。
【0009】
前記遠隔監視動作確認システムにおいて、前記第一の通信系統は、電話回線を含み、前記技術員携帯端末は、前記第一の通信系統の電話回線を介して前記遠隔監視ユニットの通信部に接続可能であってもよい。
【0010】
かかる構成によれば、電話回線を介して技術員携帯端末を遠隔監視ユニットの通信部に接続できるため、監視端末を介することなく、遠隔監視ユニットが電話回線に接続されているか否かの確認を行うことができる。
【0011】
また、前記遠隔監視動作確認システムでは、前記技術員携帯端末は、前記第一の通信系統及び前記第二の通信系統と異なる第三の通信系統を介して前記遠隔監視ユニットの通信部に接続可能であってもよい。
【0012】
かかる構成によれば、技術員携帯端末を第三の通信系統を介して遠隔監視ユニットに接続することで、遠隔監視ユニットの第一の通信系統への接続の有無にかかわらず、技術員携帯端末によって昇降装置の動作確認をすることが可能となる。
【0013】
前記遠隔監視動作確認システムでは、前記サーバーは、前記昇降装置の状態に関する情報を前記技術員携帯端末に出力させる第1実行ファイルを有し、前記技術員携帯端末は、前記第1実行ファイルを操作可能なブラウザを有してもよい。
【0014】
かかる構成によれば、サーバーが前記第1実行ファイルを有するため、技術員携帯端末が前記第1実行ファイルを有する必要が無く、技術員携帯端末のメモリ容量を抑えることができる。
【0015】
また、前記遠隔監視動作確認システムでは、前記遠隔監視ユニットは、前記監視端末を介して前記昇降装置の状態に関する情報を前記技術員携帯端末に送り、前記ブラウザは、前記第1実行ファイルの実行により、前記技術員携帯端末に前記昇降装置の状態に関する情報を出力させてもよい。
【0016】
かかる構成によれば、技術員は、技術員携帯端末で昇降装置の状態に関する情報を視覚的に確認できるため、昇降装置の状態を把握しやすい。
【0017】
また、前記遠隔監視動作確認システムでは、前記技術員携帯端末は、前記昇降装置の状態に関する情報を該技術員携帯端末に出力させる第2実行ファイルを有し、前記遠隔監視ユニットは、前記第2実行ファイルの実行によって前記技術員携帯端末に前記昇降装置の状態に関する情報を表示させてもよい。
【0018】
かかる構成によれば、技術員携帯端末が第2実行ファイルを有するため、サーバーが第2実行ファイルを有する必要が無く、サーバーのメモリ容量を抑えることができる。
本発明の別の遠隔監視動作確認システムは、自身の状態に関する情報を出力する情報出力部を有する昇降装置と、前記情報出力部と通信可能な通信部を有する遠隔監視ユニットと、前記遠隔監視ユニットの前記通信部に第一の通信系統を介して接続されるとともに、昇降装置を遠隔監視するための遠隔監視アプリケーションを有する監視端末と、前記第一の通信系統と異なる第二の通信系統を介して前記監視端末に接続可能であるとともに、少なくとも前記遠隔監視アプリケーションを有する技術員携帯端末と、を備え、前記技術員携帯端末は、前記第一の通信系統及び前記第二の通信系統を介して前記遠隔監視ユニットと通信可能であり、前記監視端末の遠隔監視アプリケーションが実行されず、且つ、前記技術員携帯端末の遠隔監視アプリケーションが実行されたときに、前記遠隔監視ユニットから出力された昇降装置の状態に関する情報は、前記監視端末を通過して前記技術員携帯端末に出力され、前記技術員携帯端末から出力された昇降装置を遠隔操作する情報は、前記監視端末を通過して前記遠隔監視ユニットに出力される、遠隔監視動作確認システム。
【発明の効果】
【0019】
以上より、本発明によれば、昇降装置に対する遠隔監視システムの動作確認を一人の技術員によって行うことのできる昇降装置の遠隔監視動作確認システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る遠隔監視動作確認システムのブロック図である。
図2図2は、同実施形態に係る遠隔監視動作確認システムの処理を示すフローチャート図である。
図3図3は、本発明の変形例に係る遠隔監視動作確認システムのブロック図である。
図4図4は、本発明の変形例に係る遠隔監視動作確認システムのブロック図である。
図5図5は、本発明の変形例に係る遠隔監視動作確認システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る昇降装置の遠隔監視動作確認システム(以下、単に動作確認システムという)について説明する。動作確認システムは、昇降装置の動作状態を遠隔で監視する遠隔監視システムの動作確認を行うシステムである。この動作確認システムは、新設の昇降装置や補修後の昇降装置等において、遠隔監視システムを作動させる前段として行われる。動作確認システムでは、例えば、遠隔監視の対象となる昇降装置の動作や、該昇降装置とこれを監視する監視端末との通信が適正に行われるか否かを確認する。なお、昇降装置にはエレベータ、エスカレータ等があるが、以下では、エレベータの遠隔監視システムを対象とする動作確認システムを説明する。
【0022】
動作確認システムは、図1に示すように、エレベータ2の状態に関する情報を出力する情報出力部21を有するエレベータ2と、情報出力部21と通信可能なCPU(Central Processing Unit、通信部)30を有する遠隔監視ユニット3と、CPU30に接続された監視端末4と、監視端末4に接続可能な技術員携帯端末5(以下、単に携帯端末5と言う)とを備える。
【0023】
エレベータ2は、かごや昇降路等を有する動作部20と、エレベータ2の状態に関する情報を出力する情報出力部21とを有する。本実施形態のかごは、メッセージを表示可能な表示パネルを有する。本実施形態の情報出力部21は、エレベータ2の運転状況を示すコードを出力する制御マイコン210、かご内の利用者と音声通話可能なインターホン等の双方向通話器211、かご内を撮影するカメラ等の撮影機212、かごやカウンターウェイト周辺の音を出力するマイクロフォン等の集音器213、人感センサーや地震感知器等の検出センサー214、及び、エレベータ2の電源に関する情報を出力する電源監視機器215等を有する。
【0024】
制御マイコン210は、エレベータ2の状態に関する情報として、例えば、エレベータ2における異常発生の通報(以下、発報と言う)を行うと共に、かごドアの開閉、及び、かごの位置情報等を出力する。エレベータ2の異常とは、かごドアや乗り場ドアの故障、かご照明の寿命等である。具体的に、制御マイコン210は、エレベータ2の状態毎に振り分けられたコードを出力する。
【0025】
双方向通話器211は、エレベータ2の状態に関する情報として、例えば、かご内の音声を出力する。
【0026】
集音器213は、エレベータ2の状態に関する情報として、例えば、周辺音を出力する。
【0027】
撮影機212は、エレベータ2の状態に関する情報として、例えば、かご内の映像(静止画像や動画像)を出力する。
【0028】
検出センサー214は、エレベータ2の状態に関する情報として、例えば、かご内の人の有無に関する情報を出力する。具体的に、検出センサー214は、リレー接点を介して、この情報を出力する。
【0029】
電源監視機器215は、エレベータ2の状態に関する情報として、例えば、エレベータ2の電源のオンオフ情報を出力する。
【0030】
遠隔監視ユニット3は、通信を行うCPU(通信部)30を有する。また、遠隔監視ユニット3は、情報出力部21から出力されたエレベータ2の状態に関する情報を受けて、この情報を監視端末4に出力する。
【0031】
遠隔監視ユニット3のCPU30は、情報出力部21(制御マイコン210、双方向通話器211、撮影機212、集音器213、検出センサー214及び電源監視機器215等)にそれぞれ有線、例えば、P2P(Peer to Peer)により接続されている。また、遠隔監視ユニット3のCPU30は、通信系統(第一の通信系統)R1を介して監視端末4に接続されている。通信系統R1は、例えば、二つのモデム及び電話回線を含む通信系統である。
【0032】
監視端末4は、プログラムを実行するCPU40と、CPU40で実行されるプログラムを記憶する記憶部41とを有する。本実施形態の監視端末4は、表示部(図示なし)を備える。本実施形態の監視端末4は、例えば、複数の地域に設置された多数のエレベータの監視を行うと共に、対象となるエレベータと離れた建物である監視センター等に設置されている。本実施形態の監視センターには、監視員(オペレータ)が常駐している。
【0033】
監視端末4は、通信系統R1と異なる通信系統(第二の通信系統)R2を介して携帯端末5に接続可能である。通信系統R2は、例えば、モデム、インターネット、ルーター、及び無線通信を含む通信系統である。ここでいう無線通信は、例えば、携帯電話通信である。このように、遠隔監視ユニット3が通信系統R1を介して監視端末4に接続され、且つ、監視端末4が通信系統R2を介して携帯端末に接続可能である。本実施形態の携帯端末5は、通信系統R1及び通信系統R2を介して、遠隔監視ユニット3と通信可能である。
【0034】
本実施形態の記憶部41は、CPU40が実行するアプリケーションである遠隔監視アプリケーション410を記憶している。遠隔監視アプリケーション410は、エレベータ2を遠隔監視するためのアプリケーションである。
【0035】
本実施形態のCPU40は、通常の遠隔監視の際に、記憶部41に記憶されている遠隔監視アプリケーション410を実行することで、遠隔監視ユニット3からエレベータ2の状態に関する情報の入力を受ける。また、遠隔監視アプリケーション410の実行により、監視端末4は、例えば、入力を受けた情報を表示部に表示する。これにより、監視員が、監視端末4によりエレベータ2の動作状態を監視することができる。
【0036】
また、本実施形態のCPU40は、通常の遠隔監視の際に、監視員からの遠隔操作の指令を受けると、遠隔監視アプリケーション410の実行により、エレベータ2を遠隔操作する。即ち、監視員は、監視端末4を用いて、遠隔監視アプリケーション410の実行によりエレベータ2の遠隔操作を行うことができる。この遠隔操作により、例えば、エレベータ2のかごを移動させること等が可能である。
【0037】
さらに、本実施形態のCPU40は、遠隔監視システムの動作確認の際に、遠隔監視ユニット3からエレベータ2の状態に関する情報の入力を受けると、遠隔監視アプリケーション410を実行せず、入力されたエレベータ2の状態に関する情報を携帯端末5に出力する。即ち、遠隔監視システムの動作確認の際に、遠隔監視ユニット3から出力されたエレベータ2の状態に関する情報は、監視端末4を通過(スルー)して、携帯端末5に出力される。
【0038】
また、本実施形態のCPU40は、遠隔監視システムの動作確認の際に、技術員の携帯端末5からエレベータ2の遠隔操作の指令を受けると、遠隔監視アプリケーション410を実行せず、入力されたエレベータ2の遠隔操作に関する情報を遠隔監視ユニット3に出力する。即ち、遠隔監視システムの動作確認の際に、携帯端末5から出力されたエレベータ2を遠隔操作する情報は、監視端末4を通過(スルー)して、遠隔監視ユニット3に出力される。
【0039】
携帯端末5は、プログラムを実行するCPU50と、CPU50で実行されるプログラムを記憶する記憶部51と、表示部、スピーカー、及びマイク(図示なし)とを有する。携帯端末5は、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)である。本実施形態の携帯端末5は、遠隔監視システムの動作確認の際に、技術員により操作される。具体的に、携帯端末5は、技術員により音声等を用いてハンズフリーに操作される。尚、遠隔監視システムの動作確認の際に、この技術員は、遠隔監視の対象となるエレベータ2の周辺に滞在している。
【0040】
本実施形態の記憶部51は、CPU50が実行するプログラムである遠隔操作アプリケーション(第2実行ファイル)510を記憶している。遠隔操作アプリケーション510は、監視端末4の遠隔監視アプリケーション410の機能に加えて、遠隔操作によりエレベータ2に対して疑似的なトラブルを生じさせる機能を有する。
【0041】
本実施形態のCPU50は、遠隔監視システムの動作確認の際に、遠隔監視ユニット3から監視端末4を介して、即ち、通信系統R1,R2を介してエレベータ2の状態に関する情報の入力を受けると、記憶部51に記憶されている遠隔操作アプリケーション510を実行し、携帯端末5にエレベータ2の状態に関する情報を表示させる。即ち、CPU50は、遠隔操作アプリケーション510の実行により、エレベータ2の状態に関する情報を携帯端末5に表示させる。
【0042】
また、本実施形態のCPU50は、遠隔監視システムの動作確認の際に、技術員からの遠隔操作の指令を受けると、遠隔操作アプリケーション510の実行により、エレベータ2を遠隔操作する。即ち、技術員は、携帯端末5を用いて、遠隔操作アプリケーション510の実行によりエレベータ2の遠隔操作を行うことができる。この遠隔操作では、通常の遠隔操作に加えて、例えば、エレベータ2に対してかごを乗り場とずれた位置に停止させる等の疑似的なトラブルを生じさせることができる。
【0043】
以下、図2のフローチャート図を用いて、動作確認システム1における処理の流れを説明する。
【0044】
技術員は、遠隔監視の対象となるエレベータ2の周辺において、携帯端末5の通信を開始させる(S01)。この通信の開始の際、例えば、携帯端末5は、監視端末4のCPU40に、通信系統R2を介して、遠隔監視システムの動作確認が開始する旨の信号を出力する。CPU40は、この信号の入力により、遠隔監視ユニット3から通信系統R1を介して出力されたエレベータ2の状態に関する情報を、監視端末4を通過(スルー)させて、通信系統R2を介して、携帯端末5に出力する。このとき、上述したように、監視端末4の遠隔監視アプリケーション410は実行されない。
【0045】
技術員は、遠隔操作アプリケーション510を実行し(S02)、遠隔監視システムの動作確認を行う(S03)。ここでいう遠隔監視システムの動作の確認は、エレベータ2と監視端末4との通信系統との通信が適正であること、情報出力部21から遠隔監視ユニット3及び通信系統R1を介して監視端末4に適正な情報が出力されること、及び、エレベータ2の遠隔操作が適正であると確認することで行われる。尚、遠隔監視ユニット3から通信系統R1を介して監視端末4に出力され、且つ、監視端末4から通信系統R2を介して携帯端末5に出力された何らかの情報が携帯端末5に表示された時点で、技術員は、エレベータ2と監視端末4との通信系統R1を介した通信接続が適正であると確認できる。即ち、エレベータ2から携帯端末5に適正な情報が出力される旨を確認できれば、エレベータ2と監視端末4との通信系統R1を介した通信接続は適正であると言える。
【0046】
例えば、技術員は、実際に目視したエレベータの状態と、携帯端末5で確認したエレベータ2の状態に関する情報とが一致することを確認することで、監視端末4に適正な情報が出力されている旨を確認できる。例えば、制御マイコン210について、技術員は、エレベータ2を直接操作してかごの位置を移動させ実際のかごの位置を確認すると共に、制御マイコン210から出力された「かごの位置情報」を携帯端末5で確認する。双方向通話器211について、技術員は、携帯端末5を所持したままかご内に移動し、携帯端末5のマイクに話しかけると共にかごのインターホンに出力された音声を確認した後、かごのインターホンに話しかけると共に携帯端末5のスピーカーから出力された音声を確認する。撮影機212について、技術員は、かご内の実際の様子と、撮影機212から携帯端末5に出力された撮影画像とを確認する。集音器213について、技術員は、実際のかごやカウンターウェイト周辺の音を確認すると共に、集音器213により集音された周辺音を携帯端末5で確認する。検出センサー214について、技術員は、かごの外からかご内に移動し、人感センサーから出力されたかご内の人の有無に関する情報を携帯端末5で確認する。電源監視機器215について、技術員は、エレベータ2の電源のオンオフを切り替え、電源監視機器215から出力された電源状態情報を携帯端末5で確認する。
【0047】
また、技術員は、携帯端末5の遠隔操作アプリケーション510を実行してエレベータ2を遠隔操作することで、エレベータ2の遠隔操作が適正であることを確認できる。例えば、技術員は、携帯端末5の遠隔操作アプリケーション510を実行して、かご内の表示パネルにメッセージを表示させると共に、かご内の表示パネルにこのメッセージが表示されていることを確認する。技術員は、携帯端末5の遠隔操作アプリケーション510を実行して、かごを移動させると共に、実際のかごの移動を確認する。
【0048】
さらに、技術員は、遠隔操作アプリケーション510を実行して、エレベータ2に対して疑似的なトラブルを生じさせ、このトラブルが検出できるか否かを確認することができる。例えば、遠隔操作アプリケーション510の実行により、エレベータ2に対してかごを乗り場とずれた位置に停止させる等のトラブルを生じさせた後、このトラブルに対応する情報が携帯端末5に出力されることを確認する。
【0049】
このように、技術員は、遠隔監視システムの動作を確認することができる。
【0050】
以上のように、携帯端末5は、通信系統R1及び通信系統R2を通じて遠隔監視ユニット3と通信することで、エレベータ2の動作を確認できると共に、通信系統R2を通じて監視端末4と通信することで、監視端末4が遠隔監視ユニット3からエレベータ2の情報を受信できているか否か(即ち、通信系統R1への遠隔監視ユニット3の接続の有無等)も確認できる。これにより、技術員が現場で(対象となるエレベータ2の周辺で)携帯端末5を所持することで、エレベータ2の遠隔監視システムを実行できる状態であるか否かを、一人の技術員によって確認することができる。
【0051】
尚、本発明の動作確認システム1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0052】
例えば、動作確認システム1では、携帯端末5の記憶部51が遠隔操作アプリケーション510を有するが、携帯端末5の記憶部51の代わりに、サーバーの記憶部がこのようなアプリケーションを有してもよい。具体的に、動作確認システムは、図3に示すように、サーバー6を備える。サーバー6は、通信系統R1及び通信系統R2とは異なる通信系統(第四の通信系統)R4を介して携帯端末5に対して接続可能である。通信系統R4は、例えば、モデム、インターネット、ルーター、及び無線通信を含む通信系統である。なお、通信系統R2,R4の一部(インターネット、ルーター、及び無線通信)は共通している。
【0053】
サーバー6は、プログラムを実行するCPU60と、CPU60で実行されるプログラムを記憶する記憶部61とを有する。サーバー6の記憶部61は、遠隔操作アプリケーション(第1実行ファイル)610を有する。本実施形態のサーバー6は、クラウドサーバーである。
【0054】
携帯端末5の記憶部51は、遠隔操作アプリケーション610を操作可能なブラウザ511を有する。具体的に、ブラウザ511は、遠隔操作アプリケーション610を実行可能であり、これを実行することにより、携帯端末5は、エレベータ2の状態に関する情報を表示部に表示可能である。
【0055】
かかる構成では、サーバー6が遠隔操作アプリケーション610を有するため、携帯端末5がこのアプリケーションを有する必要が無く、携帯端末5のメモリ容量(記憶部51等の容量)を抑えることができる。
【0056】
また、技術員は、携帯端末5でエレベータ2の状態に関する情報を視覚的に確認できるため、エレベータ2の状況を把握しやすい。
【0057】
携帯端末5は、通信系統R1及び通信系統R2を介して遠隔監視ユニット3と通信可能であったが、通信系統R1,R2と異なる通信系統(第三の通信系統)R3を介して遠隔監視ユニット3のCPU30と接続可能であってもよい。
【0058】
この場合、図4に示すように、例えば、遠隔監視ユニット3と通信系統R1の電話回線とが未だ接続されていない場合、まず、携帯端末5と遠隔監視ユニット3とを通信系統R3を介して接続し、通信系統R3を用いて監視端末4を含まずに遠隔監視ユニットの動作確認を行ってもよい。通信系統R3は、P2P、その他有線回線、又は、無線回線を含む通信系統である。
【0059】
なお、遠隔監視ユニット3のCPU30と携帯端末5とが通信系統R3を介して接続可能な構成であっても、図5に示すように、動作確認システム1が遠隔操作アプリケーション610を有するサーバー6を備えると共に、携帯端末5はブラウザ511を有していてもよい。
【0060】
かかる構成では、携帯端末5が通信系統R3を介して遠隔監視ユニット3に接続されることで、遠隔監視ユニット3の通信系統R1への接続の有無にかかわらず、携帯端末5によってエレベータ2の監視端末4を除く遠隔監視システムの動作確認をすることが可能となる。なお、この動作確認を行った後、通信系統R1,R2を介して遠隔監視ユニット3から出力されたエレベータ2の状態に関する情報を、技術員が携帯端末5で確認できれば、遠隔監視システムの動作確認を行ったことになる。
【0061】
携帯端末5は、通信系統R1及び通信系統R2を介して遠隔監視ユニット3と通信可能であったが、これに加えて、通信系統R1の電話回線と通信可能に接続されることにより、通信系統R2を介さずに遠隔監視ユニット3と通信可能であってもよい。この場合、電話回線を介して携帯端末5を遠隔監視ユニット3のCPU30に接続できるため、監視端末4を介することなく、遠隔監視ユニット3が電話回線に接続されているか否かの確認を行うことができる。
【0062】
監視端末4を介することなく、遠隔監視ユニット3が電話回線に接続されているか否かの確認を行う場合として、動作確認システム1において、例えば、動作確認の対象であるエレベータ2とは異なるエレベータと監視端末4とが電話回線を介して接続されており、既にこの通信が可能であると確認されている場合が考えられる。この場合、対象のエレベータ2を監視する遠隔監視ユニット3に接続された電話回線と携帯端末5とを接続し、この遠隔監視ユニット3、電話回線、及び携帯端末5を含む通信系統の動作確認を行うことで、対象のエレベータ2と監視端末4との電話回線を介した通信が可能であることを確認できる。
【0063】
上記実施形態の動作確認システム1では、携帯端末5が通信系統R1,R2を介して遠隔監視ユニット3と通信可能であれば、各通信系統の具体的な構成は特に限定されない。例えば、上記実施形態の情報出力部21は、遠隔監視ユニット3のCPU30にP2Pにより接続されていたが、この代わりに、有線回線を用いたインターネット、又は、無線通信により接続されてもよい。また、通信系統R1におけるCPU30と電話回線との間、及び、電話回線と監視端末4との間にはモデムが介在していたが、モデムの代わりに、DSU(Digital Service Unit)が介在していてもよい。
【0064】
上記実施形態の動作確認システム1では、遠隔監視アプリケーション410の実行により監視端末4にエレベータ2の状態に関する情報が表示され、遠隔操作アプリケーション510の実行により携帯端末5にこの情報が表示されていたが、監視端末4や携帯端末5がスピーカーを有していれば、この情報を表示する代わりに、情報をメッセージとして音声で出力してもよい。また監視端末4や携帯端末5は、この情報の表示と音声出力との両方を行ってもよい。
【0065】
上記実施形態のエレベータ2は、一台であったが、エレベータ2は複数台であってもよい。この場合、一つの遠隔監視ユニット3が複数台のエレベータ2を監視してもよいし、一つの遠隔監視ユニット3が一台のエレベータ2を監視するように複数の遠隔監視ユニット3が複数台のエレベータ2を監視してもよい。
【0066】
上記実施形態のサーバー6は、クラウドサーバーであったが、自社サーバーであってもよい。また、上記実施形態のサーバー6は、一つであったが、複数であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…動作確認システム、2…エレベータ(昇降機)、21…情報出力部、3…遠隔監視ユニット、4…監視端末、5…携帯端末(技術員携帯端末)、R1…通信系統(第一の通信系統)、R2…通信系統(第二の通信系統)
図1
図2
図3
図4
図5