特許第6624562号(P6624562)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6624562
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】寸法測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/02 20060101AFI20191216BHJP
【FI】
   G01B11/02 H
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-32501(P2016-32501)
(22)【出願日】2016年2月23日
(65)【公開番号】特開2017-150907(P2017-150907A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】門脇 信諭
【審査官】 川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0113250(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0140065(US,A1)
【文献】 特開2006−119792(JP,A)
【文献】 特開2014−035196(JP,A)
【文献】 特開2007−192832(JP,A)
【文献】 特開2002−250621(JP,A)
【文献】 特開2011−179980(JP,A)
【文献】 特開2013−000851(JP,A)
【文献】 特開2012−168800(JP,A)
【文献】 特開2014−052270(JP,A)
【文献】 特開平01−141307(JP,A)
【文献】 特開平10−214349(JP,A)
【文献】 特開2001−264018(JP,A)
【文献】 特開2009−222525(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102015101144(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物を出し入れ自在に収容する収容室と、前記収容室に設けられ、前記収容室に収容される前記被測定物を撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像された画像の情報に基づいて画像処理を行ない前記被測定物のサイズを測定する画像処理部と、を備え、
前記収容室は、前記被測定物が置かれる矩形状の下面部と、前記下面部から上方に延出される矩形状の第1側面部と、前記下面部から上方に延出され、前記第1側面部に隣接する矩形状の第2側面部と、前記下面部と前記第1側面部とが交差した部分に形成される第1入隅と、前記下面部と前記第2側面部とが交差した部分に形成される第2入隅と、前記第1側面部と前記第2側面部とが交差した部分に形成される第3入隅と、前記第1側面部、前記第2側面部および前記下面部に設けられそれぞれの辺の位置を表示するマーカーと、を有し、
前記画像処理部は、前記収容室に前記被測定物が配置される前の状態で、前記撮像部で撮像した前記画像に対して二値化を行なうことで二値画像を作成し、前記二値画像内の前記マーカーを識別し、前記マーカーから前記二値画像内の前記第1側面部、前記第2側面部および前記下面部の辺に対応するエッジを識別して、前記エッジの歪みを基に歪み補正用データを作成し、前記収容室に前記被測定物が配置された状態で、前記撮像部で撮像した前記画像に対して二値化を行なうことで二値画像を作成し、前記二値画像内で識別された前記被測定物のエッジの歪みを前記歪み補正用データを基に補正することで補正画像を取得し、前記補正画像の前記第1側面部、前記第2側面部および前記下面部に対応する面内を走査することで前記被測定物のサイズを測定するものであり、
前記マーカーとして、前記第1側面部において前記第3入隅に沿うライン及び前記第1入隅に平行なラインを有する矩形枠状をした第1マーカーと、前記第2側面部において前記第3入隅に沿うライン及び前記第2入隅に平行なラインを有する矩形枠状をした第2マーカーと、前記下面部において前記第1入隅に沿うライン及び前記第2入隅に平行なラインを有する矩形枠状をした第3マーカーと、を有することを特徴とする寸法測定装置。
【請求項2】
異なる面に設けられたマーカーは、それぞれ色調が異なることを特徴とする請求項1に記載の寸法測定装置。
【請求項3】
前記収容室は、前記第1側面部および前記第2側面部の上縁から延出される矩形状の上面部と、前記第1側面部に対向し、前記被測定物を出し入れするための出入口と、を有し、前記第1入隅、前記第2入隅および前記第3入隅が交差した部分を基準隅部とし、
前記撮像部は、前記上面部の出入口側の端部における前記基準隅部とは反対側の端部に設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の寸法測定装置。
【請求項4】
前記収容室では、被測定物を前記下面部の奥隅に配置されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の寸法測定装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寸法測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、宅配物等の被測定物を収容する直方体の収容室と、収容室の上面の一頂点に固定される撮像部と、撮像部で撮像された被測定物の画像に対して画像処理を行う画像処理部と、を備えた寸法測定装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−119792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の寸法測定装置では、撮像部で撮像した画像に歪みが発生すると、精度良く被測定物のサイズを得ることが困難であった。
【0005】
上記従来の問題点に鑑みて発明された本発明の目的は、精度良く被測定物のサイズが得られる、寸法測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る一態様の寸法測定装置は、以下のような構成を備える。
【0007】
寸法測定装置は、被測定物を出し入れ自在に収容する収容室と、前記収容室に設けられ、前記収容室に収容される前記被測定物を撮像する撮像部と、を備える。前記寸法測定装置は、前記撮像部で撮像された画像の情報に基づいて画像処理を行ない前記被測定物のサイズを測定する画像処理部を備える。
【0008】
前記収容室は、前記被測定物が置かれる矩形状の下面部と、前記下面部から上方に延出される矩形状の第1側面部と、前記下面部から上方に延出され、前記第1側面部に隣接する矩形状の第2側面部と、前記下面部と前記第1側面部とが交差した部分に形成される第1入隅と、前記下面部と前記第2側面部とが交差した部分に形成される第2入隅と、前記第1側面部と前記第2側面部とが交差した部分に形成される第3入隅と、を有する。前記収容室は、前記第1側面部、前記第2側面部および前記下面部に設けられそれぞれの辺の位置を表示するマーカーを有する。前記画像処理部は、前記収容室に前記被測定物が配置される前の状態で、前記撮像部で撮像した前記画像に対して二値化を行なうことで二値画像を作成し、前記二値画像内の前記マーカーを識別する。前記画像処理部は、前記マーカーから前記二値画像内の前記第1側面部、前記第2側面部および前記下面部の辺に対応するエッジを識別して、前記エッジの歪みを基に歪み補正用データを作成する。前記画像処理部は、前記収容室に前記被測定物が配置された状態で、前記撮像部で撮像した前記画像に対して二値化を行なうことで二値画像を作成する。前記画像処理部は、前記二値画像内で識別された前記被測定物のエッジの歪みを前記歪み補正用データを基に補正することで補正画像を取得する。前記画像処理部は、前記補正画像の前記第1側面部、前記第2側面部および前記下面部に対応する面内を走査することで前記被測定物のサイズを測定するものである。前記収容室は、前記マーカーとして、第1マーカーと、第2マーカーと、第3マーカーと、を有する。前記第1マーカーは、前記第1側面部において前記第3入隅に沿うライン及び前記第1入隅に平行なラインを有する矩形枠状をしている。前記第2マーカーは、前記第2側面部において前記第3入隅に沿うライン及び前記第2入隅に平行なラインを有する矩形枠状をしている。前記第3マーカーは、前記下面部において前記第1入隅に沿うライン及び前記第2入隅に平行なラインを有する矩形枠状をしている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の寸法測定装置では、撮像部で撮像した画像の歪みを除去し易いので、精度良く被測定物のサイズを測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本発明の一実施形態に係る寸法測定装置を示した斜視図である。
図2図2は撮像部と画像処理部とを示したブロック図である。
図3図3は寸法測定方法の補正モードのフローチャートである。
図4図4は撮像部で撮像し二値化を行なった二値画像を示した説明図である。
図5図5は補正モードで補正した二値画像を示した説明図である。
図6図6Aは収容室に被測定物を配置した状態を撮像部で撮像した測定用画像を示した説明図である。図6Bは収容室に被測定物を配置した状態の二値画像を示した説明図である。
図7図7は寸法測定方法のサイズ測定モードのフローチャートである。
図8図8A図6Bの二値画像の第1側面部の側面図である。図8B図6Bの二値画像の下面部の平面図である。図8C図6Bの二値画像の下面部の平面図である。
図9図9は寸法測定方法の補正モードの他例を示したフローチャートである。
図10図10はエッジA3を平行移動した仮想線CをエッジA6に重ね合わせた状態の説明図である。
図11図11Aは寸法測定装置のマーカーの他例を示した斜視図である。図11Bは寸法測定装置のマーカーの他例を示した斜視図である。図11Cは寸法測定装置のマーカーの他例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
以下に示す本発明の一実施形態は、特に、収容室内にマーカーを設けた寸法測定装置に関する。
【0012】
(構成の説明)
以下、添付した図1図8に基づき本実施形態の寸法測定装置について説明する。
【0013】
寸法測定装置1は、宅配物等の被測定物50のサイズを測定する。ここで、被測定物50のサイズとは、被測定物50の縦、横および高さの寸法となっている。被測定物50の形状は、立方体または直方体となっている。
【0014】
寸法測定装置1は、図1に示すように、収容室11を備える。
【0015】
収容室11は、寸法測定装置1の外郭を構成する外郭体111と、外郭体111の内側に形成される内部空間112と、を有する。外郭体111の形状は、直方体である。外郭体111は、下壁部20、側壁部21および上壁部25を有する。ここで、外郭体111の側壁部21には、被測定物50を内部空間112に出し入れさせるための開口である出入口261が形成される。
【0016】
本実施形態の寸法測定装置1では、出入口261が設けられる側を前方F、その反対側を後方Bとする。そして、ユーザーが寸法測定装置1の出入口261に向かって立ったときを基準として、右方R、左方Lを定義する。ここで、被測定物50の縦の寸法は、被測定物50の前後方向の寸法とする。被測定物50の横の寸法は、被測定物50の左右方向の寸法とする。被測定物50の高さの寸法は、被測定物50の上下方向の寸法とする。
【0017】
下壁部20は、その形状が下方から視て矩形状に形成される。下壁部20の内部空間112側(上側)の面は、下面部201である。下面部201には、被測定物50が置かれる。
【0018】
側壁部21は、右壁部22、左壁部23および後壁部24を有する。右壁部22は下壁部20の右側端部から上方に延出される。左壁部23は下壁部20の左側端部から上方に延出される。後壁部24は下壁部20の後側端部から上方に延出される。
【0019】
右壁部22は、右方から視て矩形状に形成される。右壁部22において、その内部空間112側(左側)の面を右面部221とする。左壁部23は、左方から視て矩形状に形成される。左壁部23において、その内部空間112側(右側)の面を左面部231とする。後壁部24は、後方から視て矩形状に形成される。後壁部24において、その内部空間112側(前側)の面を後面部241とする。
【0020】
上壁部25は、右壁部22の上縁部、左壁部23の上縁部および後壁部24の上縁部に接続される。上壁部25は、上方から視て矩形状に形成される。上壁部25において、その内部空間112側(下側)の面を上面部251とする。
【0021】
外郭体111は、前方Fに開口した直方体状であり、その前方Fへの開口を出入口261とする。外郭体111には、出入口261を開閉する扉が設けられる。扉は、右壁部22の前側端部に取り付けられ、右壁部22の前側端部を軸262として回転する。扉は、閉じた状態において、前方から視て矩形状に形成される。また、扉は、閉じた状態において、外郭体111の前壁部26を構成する。扉において、その内部空間112側(後側)の面を前面部263とする。
【0022】
収容室11の内部空間112は、下面部201、右面部221、左面部231、後面部241、上面部251および前面部263で囲まれて形成される。内部空間112は、直方体状に形成される。以下の記載において、後面部241を第1側面部242と記載し、左面部231を第2側面部232と記載する。
【0023】
外郭体111は、下面部201と第1側面部242とが交差した部分に形成される第1入隅12を有する。外郭体111は、下面部201と第2側面部232とが交差した部分に形成される第2入隅13を有する。外郭体111は、第1側面部242と第2側面部232とが交差した部分に形成される第3入隅14を有する。外郭体111において、第1入隅12、第2入隅13および第3入隅14が交差した部分を基準隅部15とする。
【0024】
収容室11では、被測定物50を所定位置に配置するための基準となる基準点が基準隅部15に設定される。
【0025】
収容室11では、基準隅部15に合わせて置かれた被測定物50は、下面部201、第1側面部242および第2側面部232に接触することで、縦位置、横位置および高さ位置の位置決めが行われる。この位置決めされた被測定物50の位置が、被測定物50の所定位置となる。
【0026】
収容室11の内面には、図1に示すように、マーカー16が設けられる。マーカー16は、第1側面部242、第2側面部232および下面部201に設けられる。第1側面部242に設けられるマーカー16を第1マーカー161とし、第2側面部232に設けられるマーカー16を第2マーカー162とし、下面部201に設けられるマーカー16を第3マーカー163とする。
【0027】
マーカー16は、矩形枠状となっている。第1側面部242において、第1マーカー161は第3入隅14に沿うラインが引かれ、その上端部および下端部のそれぞれから第1入隅12に平行なラインが引かれ、それぞれのラインの右端部を繋ぐラインが引かれる。
【0028】
第2側面部232において、第2マーカー162は第3入隅14に沿うラインが引かれ、その上端部および下端部のそれぞれから第2入隅13に平行なラインが引かれ、それぞれのラインの前端部を繋ぐラインが引かれる。
【0029】
下面部201において、第3マーカー163は第1入隅12に沿うラインが引かれ、その左端部および右端部のそれぞれから第2入隅13に平行なラインが引かれ、それぞれのラインの前端部を繋ぐラインが引かれる。
【0030】
本実施形態の第1マーカー161、第2マーカー162および第3マーカー163は、同じ色調であるが、それぞれの色調は異なった色調である方が好ましい。ここで、色調とは、色の明度と彩度などの色の調子のことを意味する。
【0031】
寸法測定装置1には、図1に示すように、収容室11に撮像部3が設置される。撮像部3は、収容室11の内部を全体的に撮像できる位置に配置される。本実施形態の寸法測定装置1では、撮像部3が基準隅部15の対角となる上面部251、右面部221および前面部263で形成される隅部に設置される。
【0032】
撮像部3は、カメラ本体31と、照明具32と、を有する。
【0033】
カメラ本体31には、収容室11内の全体を撮像可能なカメラが用いられる。特に、カメラ本体31には、被測定物50、下面部201、第1側面部242および第2側面部232のそれぞれの全体を撮像可能なカメラが用いられる。カメラ本体31には、CCD(Charge-Coupled Device)カメラが用いられる。カメラ本体31では、収容室11内の全体を撮影し易いように広角レンズが用いられる。
【0034】
照明具32は、カメラ本体31の制御部と電気的に接続される。照明具32は、収容室11内を明るくする。特に、照明具32は、被測定物50、第1入隅12、第2入隅13、第3入隅14、第1マーカー161、第2マーカー162および第3マーカー163を、カメラ本体31に明瞭に撮像させるために用いられる。照明具32には、白色LED(Light Emitting Diode)が用いられる。
【0035】
寸法測定装置1は、図2に示すように、画像処理部4を有する。画像処理部4は、マイクロコンピューターを備える。マイクロコンピューターは、CPU(Central Processing Unit)、メモリ等を有する。マイクロコンピューターは、メモリに格納されたプログラムをCPUが実行することにより制御を行なう。
【0036】
画像処理部4では、撮像部3で撮像された画像に対して画像処理が行われる。また、画像処理部4は、メモリに格納された被測定物50の画像の補正を行うプログラムを有する補正モード41を有する。
【0037】
画像処理部4は、収容室11に被測定物50が配置される前の状態で、下面部201、第1側面部242、第2側面部232およびマーカー16を撮像部3で撮像させることで原画像を取得する。この原画像に基づいて図3に示す補正モード41がステップS1で開始される。
【0038】
補正モード41は、ステップS2において、原画像(グレースケール画像)に対しノイズ除去を行なう。そして、ノイズ除去をした画像の情報の一つである輝度値に基づいてフィルター処理が行われる。
【0039】
補正モード41は、ステップS3において、フィルター処理が行われた画像に対して二値化が行なわれることで、エッジを検出する。このような処理を行なった画像を二値画像42(図4参照)とする。二値画像42は、二次元画像である。二値画像42のデータは、画像処理部4のメモリに格納される。
【0040】
補正モード41は、ステップS4において、事前に取得していたマーカー16の形状や輝度値の情報により、二値画像42内のマーカー16をパターンマッチングにより識別する。
【0041】
補正モード41は、ステップS5において、識別された第1マーカー161、第2マーカー162および第3マーカー163から、二値画像42内の第1側面部242、第2側面部232および下面部201の辺を識別する。ここで、補正モード41では、二値画像42内のエッジA1〜A9が識別される。
【0042】
補正モード41は、ステップ6において、歪み補正前の二値画像42と歪み補正後の二値画像42の座標を関連付ける、光軸中心座標、焦点距離、レンズ歪み係数などで構成される内部パラメーターを調整する。内部パラメーターは、例えば、マス目サイズが既知のチェッカーボードの撮影画像における、チェッカーボードのパターンの交点の位置を検出し、交点の間隔が均等になるように内部パラメーターを算出する。補正モードでは、ステップ6において、この事前に求めた内部パラメーターをサイズが既知の収容室11に用いてさらに収容室11に対して最適になるように調整する。この場合、内部パラメータが歪み補正用データとなる。
【0043】
補正モード41は、ステップS7において、内部パラメーターを用いてエッジA1〜A9の歪みを補正し、エッジA1〜A9を直線状とすることで、図5に示す補正した二値画像42を取得する。なお、本実施形態では補正モード41の方法として内部パラメーターを用いる公知の方法(例えば特開2015−35685号公報)を用いたが、他の公知の方法(例えば後述する特開2011−25428号公報)を用いてもよい。
【0044】
次に、補正モード41は、ステップ8において、収容室11の所定位置に被測定物50が配置された状態で、下面部201、第1側面部242、第2側面部232、マーカー16および被測定物50を撮像部3で撮像させることで測定用画像を取得する。そして、補正モード41は、測定用画像に対してノイズ除去、フィルター処理および二値化を行なうことで、図6Aに示すような二値画像42を取得する。
【0045】
補正モード41は、ステップ9において、図6Bに示すように、内部パラメーター(歪み補正用データ)を用いてエッジA1〜A9、被測定物50のエッジT1〜T8の歪みを補正する。
【0046】
このようにして、補正モード41は、測定用画像内のエッジA1〜A9,エッジT1〜T8を補正した図6Bに示す補正画像44を取得する。
【0047】
次に、画像処理部4では、補正モード41で補正された二値画像42に対して画像処理が行われ、図7に示す被測定物50のサイズを測定するサイズ測定モード43が行なわれる。
【0048】
サイズ測定モード43は、ステップS8において、同次座標を用いた射影変換処理を行うことで、図6Bに示す、被測定物50が配置された補正した二値画像42の第1側面部242を右斜め前方から視た側面図(図8A参照)を得る。さらに、サイズ測定モード43は、補正した二値画像42の下面部201を上方から視た第1平面図(図8B参照)、補正した二値画像42の下面部201を上方から視た第2平面図(図8C参照)を得る。
【0049】
サイズ測定モード43は、ステップS13において、側面図のエッジA3の長さ方向に沿って並ぶピクセルを走査する。このとき、図8Aに示すように、エッジA9からエッジT8までのピクセル数に基づく長さとエッジA9からエッジA2までのピクセル数に基づく長さとの差である第1変化量H1を求める。
【0050】
サイズ測定モード43は、また、第1平面図のエッジA2の長さ方向に沿って並ぶピクセルを走査する。このとき、図8Bに示すように、エッジA5からエッジT5までのピクセル数に基づく長さとエッジA5からエッジA1までのピクセル数に基づく長さとの差である第2変化量H2を求める。
【0051】
サイズ測定モード43は、第2平面図のエッジA1の長さ方向に沿って並ぶピクセルを走査する。このとき、図8Cに示すように、エッジA4からエッジT4までのピクセル数に基づく長さとエッジA4からエッジA2までのピクセル数に基づく長さとの差である第3変化量H3を求める。
【0052】
サイズ測定モード43では、図7に示すステップS14において、図6Bに示す補正した二値画像42内のエッジA3のピクセル数に基づく長さと実際の第3入隅14の長さとの比から、第1変化量H1に基づいて被測定物50の高さが求まる。また、同様に第2変化量H2に基づいて被測定物50の縦の長さ、第3変化量H3に基づいて被測定物50の横の長さが求まる。
【0053】
なお、補正モード41の他例として、図9に示す歪みの補正方法がある。
【0054】
この補正モード41では、ステップS16〜ステップS20が上記したステップS1〜ステップS5と同様であるので、説明を省略する。
【0055】
補正モード41は、ステップS21において、エッジA1〜A9とエッジA1〜A9に対応する直線とを比較しその直線に対する歪み量Yを求める。例えば、エッジA6に対して直線である仮想線Cを重ね合わせる(図10参照)ことで歪み量Yが求められる。そして、補正モード41は、ステップS22において、この歪み量Yに基づいてエッジA6を直線とする補正係数Kを求める。補正モード41は、他のエッジに対しても同様のことを行ない、それぞれの補正係数Kを求める。
【0056】
補正モード41は、ステップS23において、それぞれの補正係数KからエッジA1〜A9の歪みを補正し、エッジA1〜A9を直線状とすることで、図6Bに示す補正した二値画像42を取得する。この場合、補正係数Kが歪み補正用データとなる。
【0057】
なお、画像処理部4で識別されたエッジのうちエッジA1,エッジA2,エッジA3は、撮像部3が広角レンズを用いて撮像したとしても歪み難く直線となっているため、エッジA1〜A3を用いて歪み量Yを求めてもよい。
【0058】
次に、補正モード41は、ステップ24において、収容室11の所定位置に被測定物50が配置された状態で、下面部201、第1側面部242、第2側面部232、マーカー16および被測定物50を撮像部3で撮像させることで図6Aに示す測定用画像を取得する。
【0059】
補正モード41は、ステップ25において、補正係数K(歪み補正用データ)を用いることで、図6Bに示すように、エッジA1〜A9、被測定物50のエッジT1〜T8の歪みを補正する。
【0060】
エッジA1〜A9は、それぞれに対応する補正係数Kで補正する。エッジT1の補正係数Kは、例えば、エッジA3とエッジA6に対するエッジT1の位置関係と、エッジA3の補正係数KおよびエッジA6の補正係数Kと、を比例関係とみて求める。そして、他のエッジT2〜T8に関しても同様に、エッジA1〜A9のうちの二つのエッジに対する位置関係に基づいて、補正係数Kを決定する。
【0061】
なお、エッジT1〜T8の補正係数の決定の方法は上記した方法に限定されない。
【0062】
本実施形態の寸法測定装置1の構成は、上記した一態様に限定されず、以下に示す態様であってもよい。
【0063】
補正モード41では、撮像部3で撮像した画像のノイズ除去が移動平均フィルターやメディアンフィルターで行われてもよい。
【0064】
補正モード41のフィルター処理では、例えば一次差分オペレータとして、SobelフィルターやPrewittフィルターが用いられる。また、フィルター処理では、二次差分オペレータが用いられてもよい。
【0065】
補正モード41では、フィルター処理が行われた画像の二値化が、移動平均法による二値化や、閾値を二つ用いた二値化であってもよい。
【0066】
マーカー16の形状は、円状や矩形状に限定されず、他の多角形であってもよい。
【0067】
被測定物50の形状は、立方体または直方体に限定されず、撮像部3で撮像される三面の形状が略矩形状であればよい。
【0068】
外郭体111の形状は、直方体となっているが立方体でもよく、その形状は限定されない。また、部分的に突起を有するような形状でもよい。
【0069】
内部空間112の形状は、直方体状となっているが立方体状であってもよく、その形状は限定されない。
【0070】
基準隅部15は、下面部201、右面部221、左面部231、後面部241および前面部263で形成される4つの隅部の内のいずれか1つの隅部であればよい。
【0071】
カメラ本体31は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラでもよい。
【0072】
撮像部3では、撮像する画像はグレースケールでもよいし、カラーでもよい。ここで、撮像部3で撮像する画像がカラーの場合、画像処理を行う際にグレースケール画像への変換をすることが好ましい。
【0073】
撮像部3では、カメラ本体31の制御部と照明具32とが接続され、照明具32のON・OFFは、カメラ本体31の制御部で操作されているが、照明具32と画像処理部4とが接続され、画像処理部4で照明具32を操作してもよい。
【0074】
撮像部3では、カメラ本体31の制御部と照明具3262とが無線で接続されてもよい。
【0075】
撮像部3では、カメラ本体31と照明具32とは別体で設けられてもよい。
【0076】
照明具32には、蛍光灯や電球や他の色のLEDが用いられてもよい。なお、照明具32は、画像処理部4において、カメラ本体31で撮像した画像のエッジが検出され易い色や明るさであることが好ましい。
【0077】
画像処理部4のCPUには、公知の様々なマイクロコンピューターが適宜利用可能される。
【0078】
(効果)
上記した寸法測定装置1では、マーカー16を用いることで容易に二値画像42内の下面部201、第1側面部242および第2側面部232の辺に対応するエッジA1〜A9を識別し易い。そのため、二値画像42内のエッジA1〜A9,エッジT1〜T8の歪みを補正するための処理が容易になるので、被測定物50のサイズの測定を早めることができる。
【0079】
また、第1マーカー161、第2マーカー162および第3マーカー163の色調を変えることで、下面部201、第1側面部242および第2側面部232の辺に対応するエッジA1〜A9をより識別し易くなる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態の寸法測定装置1は以下に示す構成を備える。
【0081】
本実施形態の寸法測定装置1は、次の第1の特徴を備える。第1の特徴では、寸法測定装置1は、被測定物50を出し入れ自在に収容する収容室11と、収容室11に設けられ、収容室11に収容される被測定物50を撮像する撮像部3と、を備える。寸法測定装置1は、撮像部3で撮像された画像の情報に基づいて画像処理を行ない被測定物50のサイズを測定する画像処理部4と、を備える。
【0082】
収容室11は、被測定物50が置かれる矩形状の下面部201と、下面部201から上方に延出される矩形状の第1側面部242と、下面部201から上方に延出され、第1側面部242に隣接する矩形状の第2側面部232と、を有する。収容室11は、第1側面部242、第2側面部232および下面部201に設けられそれぞれの辺の位置を表示するマーカー16を有する。
【0083】
第1の特徴を有する寸法測定装置1では、マーカー16を用いることで、容易に二値画像42内の歪みを補正することができる。
【0084】
第1の特徴を有する寸法測定装置1は、以下の付加的な第2の特徴を有する。第2の特徴では、マーカー16が、第1側面部242、第2側面部232および下面部201の辺に沿ったラインまたは沿って並んだ円である。
【0085】
第2の特徴を有する寸法測定装置1では、容易に二値画像42内の第1側面部242、第2側面部232および下面部201の辺に対応するエッジA1〜A9を識別できる。
【0086】
第1または第2の特徴を有する寸法測定装置1は、以下の付加的な第3の特徴を有する。第3の特徴では、異なる面に設けられたマーカー16は、それぞれ色調が異なる。
【0087】
第3の特徴を有する寸法測定装置1では、容易に二値画像42内の第1側面部242、第2側面部232および下面部201の辺に対応するエッジA1〜A9を識別できる。
【0088】
第1〜第3の特徴を有する寸法測定装置1は、以下の付加的な第4の特徴を有する。第4の特徴では、収容室11は、第1側面部242および第2側面部232の上縁から延出される矩形状の上面部251と、第1側面部242に対向し、被測定物50を出し入れするための出入口261と、を有する。
【0089】
撮像部3は、上面部251の出入口261側の端部における基準隅部15とは反対側の端部に設けられる。
【0090】
第4の特徴を有する寸法測定装置1では、下面部201、第1側面部242、第2側面部232、被測定物50およびマーカー16の全体を撮像部3が撮像し易くなる。
【0091】
第1〜第4の特徴を有する寸法測定装置1は、以下の付加的な第5の特徴を有する。第5の特徴では、収容室11では、被測定物50が下面部201の奥隅に配置される。
【0092】
第5の特徴を有する寸法測定装置1では、被測定物50の全体を撮像部3が撮像し易くなる。
(マーカーの他例)
上記した実施形態の寸法測定装置1の設けられるマーカー16は、例えば図11に示すような態様であってもよい(これを他例とする)。本他例の寸法測定装置1は、特に、マーカー16の形状に関する。
【0093】
収容室11の内面には、図11Aに示すように、複数のマーカー16が設けられてもよい。ここで、マーカー16は、円状となっている。第1マーカー161は、第1側面部242に複数設けられる。第1マーカー161は、第1側面部242の四隅に設けられる。第2マーカー162は、第2側面部232の四隅に設けられる。第3マーカー163は、下面部201の四隅に設けられる。
【0094】
また、収容室11の内面には、図11Bに示すように、複数のマーカー16が設けられてもよい。ここで、マーカー16は、円状となっているが、図9Aとは異なり下面部201の四隅に設けられる第3マーカー163が円の内部に色が塗られていない。
【0095】
また、収容室11の内面には、図11Cに示すように、複数のマーカー16が設けられてもよい。ここで、マーカー16は、円状となっている。第1マーカー161は、第1側面部242の第3入隅14とは反対側の両端部に設けられる。第2マーカー162は、第2側面部232の第3入隅14とは反対側の端部の両端部に設けられる。第3マーカー163は、下面部201に設けられていない。
【符号の説明】
【0096】
1 寸法測定装置
11 収容室
12 第1入隅
13 第2入隅
14 第3入隅
15 基準隅部
16 マーカー
201 下面部
232 第2側面部
242 第1側面部
3 撮像部
4 画像処理部
42 二値画像
44 補正画像
50 被測定物
A1〜A9 エッジ
T1〜T8 エッジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11