特許第6624770号(P6624770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6624770
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】ゴミ袋の開口部成形方法
(51)【国際特許分類】
   B65F 1/00 20060101AFI20191216BHJP
   B26D 3/08 20060101ALI20191216BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20191216BHJP
   B65D 33/10 20060101ALI20191216BHJP
   B65D 33/24 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   B65F1/00 K
   B65F1/00 N
   B26D3/08 Z
   B65D33/00 Z
   B65D33/10
   B65D33/24
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-25270(P2014-25270)
(22)【出願日】2014年2月13日
(65)【公開番号】特開2015-151221(P2015-151221A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年12月13日
【審判番号】不服2018-11629(P2018-11629/J1)
【審判請求日】2018年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】592182311
【氏名又は名称】日本フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】田北 一彦
【合議体】
【審判長】 堀川 一郎
【審判官】 長馬 望
【審判官】 柿崎 拓
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3131080(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 1/00
B26D 3/08
B65D 33/00
B65D 33/10
B65D 33/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口縁部を波形とすることにより中央に山形突出状の前後面フラップを形成すると共に、その左右側に谷部を挟んで略長方形状の左右取っ手部を形成した合成樹脂フィルム素材のゴミ袋の製造方法において、
中央に山形突出部を有した前後面フラップの山形突出部の合成樹脂フィルム表面に歯先外周面に粗造面を形成したスリット工具を打ち込み、次いで引き抜くことにより円孔の打ち抜きスリットを形成し、スリットの周縁部にスリット工具の粗造面による繊毛状のフィルム破断片を突出形成したことを特徴とするゴミ袋の開口部成形方法。
【請求項2】
前後面フラップに形成したスリットは単一または複数個の円孔としたことを特徴とする請求項1に記載のゴミ袋の開口部成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特定の形状に構成されたゴミ袋開口部の開閉操作が指腹とシート表面との係合抵抗により容易に行えると共に、ゴミ収納後の開口部の緊締も弛緩が容易に生じないように構成したゴミ袋の開口部成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴミ袋の中で特に市町村等の自治体が特に指定したゴミ袋がある。
【0003】
その中でも本件出願の発明者が発明した合成樹脂シート製のゴミ袋は、ゴミ袋の収集場所まで運びやすいように、また、ゴミ袋収集人が把持しやすいように、開口部を波形に構成し、波形の突出部同士を結んで開口部を閉塞すると共に、その結び目を容易に把持して持ち運びが容易にできるように構成している。
【0004】
また、かかる通常の合成樹脂シートからなるゴミ袋にあっては、ゴミの収納時に袋開口部を開口する際には親指の指腹と人差しの指腹との間に前後シート壁を挟み滑らせて前後シートをずらして開口部を開口する操作を行っているが、指腹面と樹脂シート表面との間の摩擦抵抗が少ないためシート表面で指腹が滑り勝ちとなり開口部の開口が行いにくい状態が生起する。そのため、開口部の前後シート表面に滑りにくい素材含有の印刷インクを印刷塗布したり、開口部の密着した前後シートの内表面に微細な凹凸加工を行い可及的に前後シートが密着せず、同時に指腹でシート表面が滑らないようにして開口部の開口作業が容易に行えるように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007―15843号公報
【特許文献2】特開2007−276891号公報
【特許文献3】特開平7−251848号公報
【特許文献4】特開2006−182409号公報
【特許文献5】実開平6−14038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の発明は、特開2007―15843、特開2007−276891、特開平7−251848などに開示されているように、開口部を波形の形状に構成し、開口部中央は山形の前後面フラップを、その両側には谷部を挟んで長手状の取っ手部を形成しており、ゴミ収納後は前後壁シートの前後面フラップ同士を、その後左右の取っ手部同士を相互にクロス状に結び、又は前後面フラップを重ねて間に挟み左右の取っ手部同士結ぶようにしてゴミ袋の開口部を結んで緊締し収納ゴミが不用意に袋から飛び出さないようにしてゴミ収集場所に容易に持ち出すことができるように構成しており、かかる本発明者独特の特殊形状のゴミ袋は、ゴミ袋の開口部の緊締が容易に且つ確実に行えると共に、結び目の部分を把持することによりゴミ袋の持ち出しが容易となり、また緊締部の弛緩も生起しないという有意義な効果を有するためあまねく全国に知れ渡り全国の主なる自治体の指定を受けて多数使用されている。
【0007】
また、特開2006−182409、実開平6−14038に記載されている他の発明は、ポリエチレン袋の内面が微細凹凸面であって滑りがよいため開口部を開く際に袋内面が密着せず、また袋の外表面をノンスリップタイプのナイロンで構成することにより滑りにくくして袋を積み重ねても摩擦抵抗でずり落ちないように構成したものであり、また他の発明は、ゴミ袋の開口部付近に滑り止め効果のある塗料、インク、ワックスなどの材料やシール、テープ、プレート等の物体又は粉体を付着させたものである。
【0008】
本件出願の発明者が開発したかかる従来のゴミ袋は、上記したように各種の利点を有するゴミ袋ではあったが、巻き取ったゴミ袋シートの状態から袋を解除してゴミを収納するために袋を開口する際には、開口部中央の前後面フラップの外表面を指の腹面で摘まんで滑らせ前後面フラップの密着面をずらして開口する作業を必要とする。しかし、開口部の前後面フラップ内面が密着しているため指の腹面とゴミ袋開口部の表面とが滑りやすく開口部の前後面フラップの密着部分が容易に開口しないという欠点があった。
【0009】
かかる前後面フラップの密着の要因は、薄膜フィルムの静電気による密着や、前後面フラップの内面の真空無圧によること以外にも、前後面フラップの形成時にカッターにより連続した樹脂袋を裁断する際に裁断線に微細なフィルムの線状毛が互いに絡み合い前後面フラップの開口縁部が合体して密着状態となることにもよる。
【0010】
これを解消しようとしてゴミ袋の開口部の内表面や外表面に従前の技術を応用して滑り止め機能を有したインキや塗料や印刷を施したとしても、本件出願の発明者が開発した特定の開口部波形のゴミ袋においては具体的にどの個所に滑り止めの加工をするのが最適かという具体的な技術は未知であり、最も機能的に最適の個所を特定する技術までは開発されていなかった。
【0011】
更には、かかる特定形状のゴミ袋の開口部は波形の突出部同志を結んで緊締するように構成されているが、結び方によっては結び目が開口部シートの表面滑動性のため不用意に解けるおそれがあり、従って結び目が解けないように開口部のシート外表面のどの個所に摩擦抵抗を増大させた加工を施すか、他方指腹とスリップしないでゴミ袋開口部の開口を容易に行いやすくするために指と接触するシートのどの箇所に摩擦抵抗の技術を施工するか等を決定するのは極めて重要な技術要素であった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、開口縁部を波形とすることにより中央に山形突出状の前後面フラップを形成すると共に、その左右側に谷部を挟んで略長方形状の左右取っ手部を形成した合成樹脂フィルム素材のゴミ袋の製造方法において、中央に山形突出部を有した前後面フラップの山形突出部の合成樹脂フィルム表面に歯先外周面に粗造面を形成したスリット工具を打ち込み、次いで引き抜くことにより円孔の打ち抜きスリットを形成し、スリットの周縁部にスリット工具の粗造面による繊毛状のフィルム破断片を突出形成したことを特徴とするゴミ袋の開口部成形方法を提供するものである。
【0013】
また、前後面フラップに形成したスリットSは単一または複数個の円孔としたことにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、開口縁部を波形とすることにより中央に山形突出状の前後面フラップを形成すると共に、その左右側に谷部を挟んで略長方形状の左右取っ手部を形成した合成樹脂フィルム素材のゴミ袋の製造方法において、中央に山形突出部を有した前後面フラップの山形突出部の合成樹脂フィルム表面に歯先外周面に粗造面を形成したスリット工具を打ち込み、次いで引き抜くことにより円孔の打ち抜きスリットを形成し、スリットの周縁部にスリット工具の粗造面による繊毛状のフィルム破断片を突出形成したため、ゴミ袋の開口部の開口動作時に前後面フラップの周縁部近傍において二本の指の腹で前後開口部シートの外表面を挟持してつまむ動作をすれば、前後面フラップの周縁部近傍のスリットSの端縁が指腹係止部となり少なくとも摩擦係数が他の箇所に比し大きいため指腹面が係止抵抗を受けて前後開口部シートの外表面にうねり状の皺を生起して開口部が開口する。従って、容易にゴミ袋の開口部の開口ができゴミ収納作業が簡便に行える効果がある。
【0017】
更には、ゴミの収納後に開口部を閉じるに際しては開口縁の前後面フラップと取っ手部のそれぞれの独特の形状を利用して前後面フラップ同士の結び目と取っ手部同士の結び目とを前後左右でクロスするようにして開口部の緊締を行うものであるが、予め前後面フラップの周縁部近傍にスリットS加工を施したことにより前後面フラップ外表面のスリットSの端縁が結び目構造内で互いに当接し、かかる当接した前後面フラップ外表面の係止加工部分は滑り摩擦抵抗が大きいためその分の滑動機能が低下して結び目が弛緩しにくい効果を生起しゴミ袋の開口部の緊締をより確実にすることができる効果があり、更には、フラップにおける結び操作時にスリットSの開口によってフラップの周縁部近傍が伸長作用を生起し結び操作が容易となり、一旦結んだ後は伸長部分が収縮してスリットSの端縁同士の絡みがより濃厚となり弛緩防止機能を一段と発揮することができる効果がある。要するに、前後面フラップ周縁部近傍に前後面フラップを貫通したスリットSを形成加工したことによりゴミ袋の開口操作とゴミ収納後の結び目の弛緩防止を同時に果たすことができるという効果がある。
更には、前後面フラップの開口時に円孔又は線状のスリットSに指を差し込んで直外方に引っ張ることにより円孔や線状のスリットSを破って上方開口の長孔とすることもでき、この上方開口の切り口を指腹でつまむことにより左右に押し開き、密着状態のフラップの端縁を容易に開口することができる効果がある。同時に円孔や線状のスリットSにより結び目の弛緩を防止できる効果がある。
【0018】
請求項2の発明によれば、前後面フラップに形成するスリットSは単一または複数個の円孔としたことにより、指腹面との引っ掛かりが指腹面全面で行われるため係合摩擦抵抗がより大きくなり密着したフィルムの剥離開口がより容易となる効果を有する。
【0019】
また、前後面フラップの周縁部近傍に形成したスリットは複数個の縦線又は横線又は交差線よりなる線状スリット群であることとすれば、縦線や横線や交差線の線状スリットS群が形成されることになり、指腹面をこのスリットS上で滑らせるとスリットS端縁と指腹面とが係合して密着したフラップの剥離開口が容易となる効果を有し、同時に結び目の弛緩を防止できる効果がある。
【0020】
また、前後面フラップの周縁部近傍としては、前後面フラップの略頂上部の位置としたことにより、最も開口しやすいフラップの略頂上部で開口操作が行えるので、開口操作が容易に行えると共にフラップの緊締作業も行いやすく、結び目の構造内にスリットSが介在して弛緩防止にも効果的である。
また、請求項1の発明によれば、スリットSを形成するために使用するスリットS工具はその歯先外面に粗造面を形成したことにより、前後面フラップにスリットSを形成するためスリットS工具の歯先をフラップに食い込ませて丸形状や線形状のスリットSを形成した後に歯先をフラップから抜去すると、歯先外面の粗造面によってスリットSの端縁部に毛線状の毛羽立ちが歯先引き抜き方向、すなわち、フラップの外表面に突出した状態となる。この毛羽立ちが指腹の引っかかり抵抗となり指腹のスリップを防止して指先のフリップの摘まみ機能を促進してゴミ袋の開口を円滑に行うことができると共に、結び目の構造内にスリットS端縁部の毛羽立ちが介在して滑り抵抗を派生して結び目の弛緩防止に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の開口部構造を有するゴミ袋の流通形態の説明図
図2】本発明の開口部構造を有する連続したゴミ袋の説明図
図3】本発明の開口部構造を有するゴミ袋の切離状態の正面説明図
図4】本発明の開口部構造を有するゴミ袋単体の正面図
図5】本発明の開口部構造における他の実施例の説明図
図6】本発明の開口部構造の一実施例の使用形態を示す説明図
図7】本発明の開口部構造の他実施例の使用形態を示す説明図
図8】本発明の開口部構造におけるスリットSの他実施例の正面図
図9】本発明の開口部構造を有するゴミ袋の開口部緊締状態を示す説明図
図10図3のI−I線を示す断面図
図11】本発明のゴミ袋に丸型のスリットSを形成する作業状態の説明図
図12図11の状態からスリット工具を抜去した状態の袋開口部の説明図
図13図8のゴミ袋のII−II線の拡大断面説明図
図14】本発明のガゼット付きゴミ袋の連続した状態を示す説明図
図15図14に示すガゼット付きゴミ袋の単体を示す正面図
図16】本発明のガゼット付きゴミ袋における開口部緊締状態の説明図
図17】本発明の開口部構造の他実施例の使用形態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明は、袋開口部Mの開口縁部を波形とすることにより中央に山形突出状の前後面フラップ1、1´を、また、その左右側に谷部2を挟んで略長方形状の左右取っ手部3、3´をそれぞれ形成した合成樹脂フィルム素材のゴミ袋Aにおいて、前後面フラップ1、1´の周縁部近傍にスリットSを貫通形成してスリットSの端縁が指腹係合部となるように構成することによりその部分の摩擦抵抗がフィルム外表面より大きくなるようにしたゴミ袋の開口部構造を提供せんとする。
【0023】
また、前後面フラップの周縁部近傍に形成したスリットSは単一または複数個の円孔としたことにも特徴を有する。
【0024】
また、前後面フラップの周縁部近傍に形成したスリットSは複数個の縦線又は横線又は交差線よりなる線状スリット群S´であることにも特徴を有する。
【0025】
また、前後面フラップの周縁部近傍としては、前後面フラップ1,1´の略頂上部の位置としたことにも特徴を有する。
また、前後面フラップ1、1´の周縁部近傍にスリットSを形成するに際に使用するスリット工具Tは、その歯先外面に粗造面hを形成したことにも特徴を有する。
【0026】
本件発明のゴミ袋の開口部構造の実施例を図面に基づき詳説する。
【0027】
図3は、本件発明に使用する合成樹脂フィルム素材のゴミ袋Aの単体であり、ゴミ袋Aは図2に示すように連続した円筒状のフィルムの所定箇所、すなわち、袋の長さと形を保持するための所定個所を熱溶着した熱溶着線nを形成すると共に、袋ごとに分離可能とした分離用のミシン目mを刻設していき、最終的にはかかる加工を施した連続ゴミ袋シート体aは図1に示すように円筒状に巻き取られて自治体に納品され各家庭に頒布される。
【0028】
なお、連続ゴミ袋シート体aを円筒状のコンパクトな巻取り形態とするためには、図2に示すようにその両側の一定幅員部分を中央に向かって折畳んで折畳み部pを形成して連続ゴミ袋シート体aを幅狭形状にして巻き取る。ゴミ袋Aの他の実施例をしては、その両側縁部にガゼットgを形成した袋としており、最後に詳細に説明する。
【0029】
分離用のミシン目mとしては、図2,3に示すように、上端の袋開口部Mを形成するための波形の開口ミシン目m−1と、袋下端の熱溶着線nの下方に形成した二股状の突片5を形成するための尾端ミシン目m−2とより構成されている。
【0030】
なお、二股状の突片5はゴミ袋の下端に形成されており、ゴミを収納した後ゴミ袋を回収する際にゴミ袋上方の結び目以外にも下方の二股状の突片5も把持できるように構成しているものであり、転倒状態のゴミ袋の回収作業がこの突片5を把持することにより容易に行えるようにしている。
【0031】
ゴミ袋の袋開口部Mは開口ミシン目m−1により波形に形成されており、具体的には図3に示すように開口ミシン目m−1により袋開口部Mの中央に山形突出状の前後面フラップ1、1´を形成し、その左右両側に谷部2を挟んで略長方形状の左右取っ手部3、3´を形成している。なお、開口ミシン目m−1を切り離して山形突起状に形成される前後面フラップ1、1’の切離縁は、図3に示すように滑らかな山形突起状とする他、図17に示すように、山形突起状に形成された前後面フラップ1、1’の切離縁自体がうねりを持つ波状に形成されてもよい。
【0032】
当然に袋開口部Mは筒状の前後フィルムで形成されているため、袋開口部Mの前後面フラップ1、1´も左右取っ手部3、3´も当然に前後フィルムから構成される。
【0033】
連続ゴミ袋シート体aの通常の流通過程では図1に示すように長手状の円筒状のフィルムを巻き取った形態であるため、ゴミ袋として使用する際には巻取り形態から解除すると共に解除時には前後フィルムが密着してシート状の連続した袋となっている。
【0034】
ゴミ袋Aとして使用するためには、シート状に巻き取った連続円筒状のフィルムから一枚分のゴミ袋を引出し、ミシン目mに沿って一枚分のゴミ袋Aを切り離す。
【0035】
この状態でもゴミ袋Aはシート状の袋となっているので使用者が開口部中央の前後面フラップ1、1´の外表面を指の腹面で摘まんで滑らせ前後面フラップ1、1´の密着面をずらして開口しようとしても開口部の前後の前後面フラップ1、1´内面が密着しているため指の腹面と袋開口部Mの表面とが滑り袋開口部Mの前後面フラップ1.1’の密着部分が容易に開口しない。特に、袋開口部Mの周縁にはミシン目mの形成加工が為されるため袋開口部Mの周縁の前後フィルムにおける密着力は他の部位よりも高い。
【0036】
かかる袋開口部Mの形状を有する本実施例のゴミ袋Aにおいて、本件発明の要旨は、中央に山形突出状の前後面フラップ1、1´を形成したゴミ袋Aにおいて、前後面フラップ1、1´の周縁部近傍で合成樹脂フィルム表面に前後面フラップ1、1´を貫通した円孔又は線状のスリットSを形成することによりスリットSの端縁が指腹係合部Dとなるように構成したゴミ袋の開口部構造としたことにある。
【0037】
また、前後面フラップ1、1´の周縁部近傍に形成したスリットSは単一または複数個の円孔とし、また、図8に示すように前後面フラップ1、1´の周縁部近傍に形成したスリットSは複数個の縦線又は横線又は交差線よりなる線状スリット群S´であり、前後面フラップ1、1´の周縁部近傍としては、前後面フラップ1、1´の略頂上部の位置としたことにある。
【0038】
また、スリットSを形成するために使用するスリット工具Tはその歯先外面に粗造面T−1を形成したことにある。
【0039】
すなわち、合成樹脂フィルム素材のゴミ袋Aにおいて、前後面フラップ1、1´の周縁部近傍にスリット工具Tを用いてスリットSを貫通形成している。
【0040】
スリット工具Tとしては、スリットSの形状によって異なるが、例えば、図3、4、5、6、7に示すような円孔を形成する場合はポンチ等の工具を用いてフィルムに打ち込むことにより円孔を形成する。
【0041】
なお、スリットSは通常切れ込みなどの溝形状を指称するが、本件発明では線状の他に円形状や楕円形状などの湾曲形状も含めてスリットの用語を使用することとした。
【0042】
このように前後面フラップ1、1´の周縁部近傍にスリット工具Tを打ち込み、次いで引き抜くことによりフィルムには円孔や線状のスリットSがフィルムを貫通した状態で形成されると共に、スリット工具Tの引き抜きによりスリットSの周縁部には線毛状のフィルム破断片fが折り返されてスリット周縁部から起毛した状態となる。
【0043】
この理は、機械的なポンチ工具を用いた場合以外、例えば、熱溶断具を用いた場合でも略同様のフィルム破断の起毛状態が生起する。
【0044】
しかも、スリットの形状が後述する線状スリット群S´であってもスリット工具TによりスリットSの周縁部にフィルムの破断片による起毛が生起する。
【0045】
かかるスリットSの周縁部にフィルム破断片による起毛が生起すると、起毛はフィルムの表面から突出した状態となりその部分の摩擦抵抗がフィルム外表面より大きくなる。すなわち、かかる摩擦抵抗が大きくなる部分が指腹係合部Dとなり、ゴミ袋Aの袋開口部Mを指腹で摘まんで開口するときの指腹係合機能を果たし、指腹のスリップを防止して円滑な開口作業が行えるものである。
【0046】
スリットSの円孔は、図4乃至7に示すように単一または複数個の円孔とすることができる。複数個の円孔の場合は一定の間隔で円弧状に並列する場合や、図7に示すようにフリップ1、1´の側縁のミシン目に沿って重複して設けミシン目から切離する際に円孔が大きな凹凸となりその分だけ切離縁の起毛が生起しやすく指腹係合部Dとしての機能を高めることができる。
【0047】
図5の複数の円孔は円孔の隣接間隔を小さくし、また一部は隣接して孔が連通状態となっているものであり、スリット工具Tにより円孔を形成した場合に周縁部のフィルム破断片fの起毛がアトランダムに生起して指腹係合部Dとしての機能をより発揮することができる。
【0048】
また、密着状態の袋開口部Mのフィルムを指腹で摘まんで開口する際に指腹を隣接した複数の円孔になぞって移動させれば複数の円孔近傍に皺がよりやすく指腹での摘まみ現象が生起することができる。
【0049】
また、図6に示すように前後面フラップ1、1´の切離用の開口ミシン目m−1の頂上部を目の粗いミシン目とすることにより、開口ミシン目m−1から前後面フラップ1、1´を切離すると目の粗いミシン目m−1´は不完全で切れずに残存し、これを更に引きちぎると前後面フラップ1、1´の周縁一部には切離片m−1´´が突出して残ったり、切離凹みm−1´´´が陥没状に形成されたりして、指腹係合部Dを形成する。
【0050】
しかも、かかるミシン目からの切離作業によって密着した前後面フラップ1、1´の間に空気が入り密着状態が解除されてフラップのフィルムがつまみやすく、かつ前後面でずらしやすくなって指腹による袋開口部Mの開口を容易にすることができる。
【0051】
また、前後面フラップ1、1´の周縁部近傍にスリットSを形成するに際に使用するスリット工具Tは、その歯先外面に粗造面hを形成している。
【0052】
従って、スリット工具Tにより前後面フラップ1、1´にスリットSを形成する際にスリット工具Tをフィルムに打ち込み、次いで引き抜く場合、スリットの周縁部が歯先外面に粗造面hによってフィルム破断片fと係合して引き上げるとスリット周縁部が起毛しやすく指腹係合部Dの形成がより効果的に行いやすくなる。
【0053】
なお、スリット工具Tの歯先外面に形成する粗造面hとしては、細横溝であったり、ローレットであったり、要するにスリット工具Tをフィルムから引き抜くときにスリット周縁部に起毛が生起する係合可能な粗造面であればよい。
【0054】
摩擦抵抗の大きいスリット加工を施す個所としては、図3に示すように前後面フラップ1、1´の外表面の周縁部近傍に限定することにより、ゴミ袋Aをミシン目mから分離した後に袋開口部Mを開く操作をする際に使用者が操作しやすい個所を選択した。かかる選択は、使用者にとってゴミ袋の中央の山形突出状の部分が最も視認しやすく、かつ手指で開く動作も行いやすいという経験則に基づく。
【0055】
そして、かかる前後面フラップ1、1´の外表面の周縁部近傍の場所としては、前後面フラップ1、1´の頂上部を形成する半円弧状の周縁部又は頂上の位置とする。
【0056】
このように構成したゴミ袋Aにおいて、袋開口部Mを開口する場合は、まず、前後面フラップ1、1´の周縁部近傍において二本の指腹面で前後開口部シートの外表面を挟持してつまむ動作をすれば、前後面フラップ1、1´の周縁部近傍はスリットSが形成されて摩擦抵抗が他所に比し大きいため指腹面がスリットSの摩擦抵抗を受けて前後開口部シートの外表面にうねり状の皺を生起して密着した袋開口部Mに間隙をつくり開口しやすくなる。
【0057】
従って、ゴミ袋の開口操作が指を滑らせて容易に行えるためにゴミ収納作業を迅速に且つ簡便に終了することができる。
【0058】
かかる袋開口部Mの容易な開口操作でゴミを収納した後には、前述した通りの袋開口部Mの緊締作業を行うことになる。
【0059】
上記のように袋開口部Mを開口してゴミを収納した後には、ゴミ袋Aの前後面フラップ1、1´とその両側の形成された取っ手部3、3´を図9に示すように結んで緊締閉塞する。
【0060】
すなわち、前後面フラップ1、1´は山形突出状であるため突出部を互いに結ぶことにより開口部の前後方向の緊締閉塞がなされる。そして、かかる結び目t方向は前後面フラップ1、1´を結ぶため袋開口部Mの前後方向となる。
【0061】
次いで、前後面フラップ1、1´の左右に位置する略長手状の左右取っ手部3、3´を左右から結ぶ。この際に結ばれる左右取っ手部3、3´はすでに結ばれた前後面フラップ1、1´の結び目tの上方に重なり、左右から結ぶために結び目t´の方向はゴミ袋左右方向となる。
【0062】
従って、図9に示すように前後面フラップ1、1´と左右取っ手部3、3´との結び目t、t´は互いに十文字にクロスした状態で上下に重なって袋開口部Mを緊締することになる。
【0063】
なお、前後面フラップ1、1´と左右取っ手部3、3´との各結び目t、t´はどちらを先に形成するかは任意であり、従って各結び目t、t´の上下の重なりもどちらを上方にするかは任意である。
【0064】
このような前後左右からの結び目t、t´による緊締であるため袋開口部Mが不用意に開いてゴミが飛び出す虞がない。
【0065】
すなわち、結び目tにおいては、互いに接触する面に少なくともフィルム外表面よりは摩擦抵抗の大きい加工を施しているため結び目t同士が滑りにくくなり不用意に結び目が弛緩して緊締が解ける虞を可及的に防ぐ。
【0066】
このように、開口縁の前後面フラップ1、1´と取っ手部3、3´のそれぞれの独特の形状を利用して前後面フラップ1、1´同士の結び目tと左右取っ手部3、3´同士の結び目t´とを前後左右でクロスするようにして袋開口部Mの緊締を行うものであり、前後面フラップ1、1´の周縁部近傍に摩擦抵抗がフィルム外表面よりは大きいスリット加工を施したことにより前後面フラップ1、1´外表面に形成した指腹係合部Dが結び目構造内で互いに当接し、滑り摩擦抵抗が高いためその分滑動機能が低下して結び目が弛緩しにくく、指によるゴミ袋の容易な開口操作と共に、ゴミ収納後の袋開口部Mの確実な緊締を同時に果たすことができる。
【0067】
なお、上記した開口部構造を有したゴミ袋Aは、袋の両側縁にガゼットgを施していない円筒状袋に関する説明であったが、図14以下に示すゴミ袋Aは、連続ゴミ袋シート体aを形成するときにその両側縁にガゼットgを形成して制作したものである。
【0068】
すなわち、図14に示すように両側縁にガゼットgを形成した連続ゴミ袋シート体aからゴミ袋Aの単体をミシン目から切離して形成すると予めガゼットgの外側縁線g−1は内方へ折り込まれた折り込み部pとなり、ガゼットgの内側縁線g−2は折り返し線となっており、しかも、この折り返し線の上部の袋開口部Mに対応する谷部2のミシン目はガゼットgの内側縁線g−2の折り返し線を切断する位置に形成されているため袋開口部Mの左右側の左右取っ手部30、30´は図15に示すように逆U字状の手提げ把手形状S−1に形成される。
【0069】
図16(a)(b)は、かかるガゼット形状のゴミ袋Aの袋開口部Mを前後左右から緊締した状態を示す説明図である。基本的には図9に示すガゼットの無い通常のゴミ袋Aの緊締形態と同様であるが、左右取っ手部30、30´の緊締のための結びは、ガゼット形状のゴミ袋Aの方が逆U字状の手提げ把手形状S−1に形成されている分結びやすく且つ解けにくい。しかも、本件発明では前後面フラップ1、1´の周縁部近傍に摩擦抵抗の大きな加工を施しているのでより緊締が解けない効果がある。
【符号の説明】
【0070】
A ゴミ袋
a 連続ゴミ袋シート体
t 結び目
M 袋開口部
D 指腹係合部
m ミシン目
m−1 開口ミシン目
m−2 尾端ミシン目
n 熱溶着線
p 折畳み部
g ガゼット
S スリット
f フィルム破断片
S´ 線状スリット群
T スリット工具
T−1 粗造面
1、1´ 前後面フラップ
2 谷部
3、3´ 左右取っ手部
5 二股状の突片
図1
図2
図3
図4
図5
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