特許第6624807号(P6624807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6624807
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】画像投射装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20191216BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20191216BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   G03B21/14 Z
   G03B21/00 D
   H04N5/74 D
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-94667(P2015-94667)
(22)【出願日】2015年5月7日
(65)【公開番号】特開2016-38566(P2016-38566A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2018年4月3日
(31)【優先権主張番号】特願2014-162212(P2014-162212)
(32)【優先日】2014年8月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】松野 裕之
【審査官】 小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−215542(JP,A)
【文献】 特開2006−287863(JP,A)
【文献】 特開2007−336370(JP,A)
【文献】 特開2010−050542(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/023868(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0097326(US,A1)
【文献】 特開2006−295290(JP,A)
【文献】 特開2011−155340(JP,A)
【文献】 特開2012−194529(JP,A)
【文献】 特開2012−128056(JP,A)
【文献】 特開2006−005534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00−21/10
21/12−21/30
21/56−21/64
33/00−33/16
H04N 5/66−5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を投射する投射レンズの光軸と、光変調素子上の画像形成領域の中心とを互いにずらすことが可能な画像投射装置であって、
前記光変調素子上の前記画像形成領域の大きさを、該光変調素子上の所定の位置を中心とした電子ズームにより拡大または縮小する電子ズーム手段と、
前記投射レンズをシフトするレンズシフト手段と、
前記投射レンズのレンズ情報を取得する取得手段と、
前記光変調素子上を前記光軸が通る位置を前記所定の位置として前記電子ズームを行うように前記電子ズーム手段を制御する制御手段と、を有し、
前記取得手段は、前記レンズ情報として前記レンズシフト手段のシフト位置を示す情報を取得し、
前記制御手段は、前記所定の位置を、前記レンズシフト手段のシフト位置を示す情報に応じて変化させることを特徴とする画像投射装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記シフト位置が前記投射レンズの前記光軸の中心である場合、前記所定の位置を一定とすることを特徴とする請求項に記載の画像投射装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記光変調素子上の前記画像形成領域の位置および画素数を変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の画像投射装置。
【請求項4】
前記画像形成領域の中心は、投射された前記画像の中心位置であることを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の画像投射装置。
【請求項5】
前記取得手段は、前記レンズ情報として前記投射レンズのズーム位置を示す情報を更に取得し
前記制御手段は、
前記レンズ情報に応じて、光学ズームモードと電子ズームモードの一方のズームモードを設定し、
前記光学ズームモードが設定された場合、焦点距離を変更するように前記投射レンズを駆動し、
前記電子ズームモードが設定された場合、前記電子ズーム手段を制御し、前記画像形成領域の大きさを設定することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像投射装置。
【請求項6】
前記取得手段は、前記レンズ情報として前記投射レンズが望遠端に位置することを示す情報を更に取得し
前記制御手段は、前記投射レンズが前記望遠端に位置する場合、前記ズームモードを前記電子ズームモードに設定することを特徴とする請求項に記載の画像投射装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記レンズ情報に応じて、光学ズームの望遠端と前記電子ズームの100%端とを投射された画像において同一拡大率に設定し、一方のズームモードから他方のズームモードへ連続して切り替え可能とすることを特徴とする請求項またはに記載の画像投射装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記レンズ情報に応じて、前記ズームモードを切り替えるときにキーストーン設定がされている場合、前記キーストーン設定をリセットするか否かを操作者に確認させることを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の画像投射装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記レンズ情報に応じて、前記ズームモードを切り替えるときにキーストーン設定をリセットすることを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の画像投射装置。
【請求項10】
前記取得手段は、前記レンズ情報として前記投射レンズが単焦点レンズであることを示す情報を更に取得し
前記制御手段は、前記投射レンズが単焦点レンズである場合、前記ズームモードを前記電子ズームモードに設定することを特徴とする請求項に記載の画像投射装置。
【請求項11】
画像を投射する投射レンズの光軸と、光変調素子上の画像形成領域の中心とを互いにずらすことが可能な画像投射装置を制御するプログラムであって、
前記光変調素子上の前記画像形成領域の大きさを、該光変調素子上の所定の位置を中心とした電子ズームにより拡大または縮小するステップと、
前記投射レンズをシフトするステップと、
前記投射レンズのレンズ情報を取得するステップと、
前記光変調素子上を前記光軸が通る位置を前記所定の位置として前記電子ズームを行うステップと、を有する処理をコンピュータに実行させ、
前記取得するステップは、前記レンズ情報としてレンズシフト手段のシフト位置を示す情報を取得し、
前記電子ズームを行うステップは、前記所定の位置を、前記レンズシフト手段のシフト位置を示す情報に応じて変化させるように構成されていることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ズームが可能な画像投射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクタ(画像投射装置)は、光源から出射した光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、光学像を投射レンズによってスクリーン上に拡大投射する装置である。大型スクリーンに画像を投射する場合、液晶プロジェクタをある程度の設置距離を確保して天井に据え付けることが多い。また、スクリーンの背面からリア投射する場合、広角端焦点レンズが用いられる。
【0003】
特許文献1には、ズーム指示を受けた場合、画像中心位置を合わせるようにレンズをシフトさせる表示装置が開示されている。特許文献2には、投射画像のズーム処理部とキーストーン補正部により、投射領域の外周が投射面の外周と一つ以上の接点で接するように投射領域を変形させるプロジェクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−128056号公報
【特許文献2】特許第3722146号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レンズ交換式の液晶プロジェクタで投射領域をズーム処理する場合、レンズのシフト位置により、投射画像の輝度が変化する。このため、高輝度な投射画像を得るには、レンズのシフト位置に応じて適切なズーム処理を行う必要がある。また、単焦点レンズを用いる場合、画角を合わせるために、光学ズームに代えて電子ズームを行うことが好ましい場合がある。
【0006】
そこで本発明は、レンズのシフト位置などのレンズ情報に応じて適切な電子ズームが可能な画像投射装置およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての画像投射装置は、画像を投射する投射レンズの光軸と、光変調素子上の画像形成領域の中心とを互いにずらすことが可能な画像投射装置であって、前記光変調素子上の前記画像形成領域の大きさを、該光変調素子上の所定の位置を中心とした電子ズームにより拡大または縮小する電子ズーム手段と、前記投射レンズをシフトするレンズシフト手段と、前記投射レンズのレンズ情報を取得する取得手段と、前記光変調素子上を前記光軸が通る位置を前記所定の位置として前記電子ズームを行うように前記電子ズーム手段を制御する制御手段とを有し、前記取得手段は、前記レンズ情報として前記レンズシフト手段のシフト位置を示す情報を取得し、前記制御手段は、前記所定の位置を、前記レンズシフト手段のシフト位置を示す情報に応じて変化させる。
【0008】
本発明の他の側面としてのプログラムは、画像を投射する投射レンズの光軸と、光変調素子上の画像形成領域の中心とを互いにずらすことが可能な画像投射装置を制御するプログラムであって、前記光変調素子上の前記画像形成領域の大きさを、該光変調素子上の所定の位置を中心とした電子ズームにより拡大または縮小するステップと、前記投射レンズをシフトするステップと、前記投射レンズのレンズ情報を取得するステップと、前記光変調素子上を前記光軸が通る位置を前記所定の位置として前記電子ズームを行うステップと、を有する処理をコンピュータに実行させ、前記取得するステップは、前記レンズ情報としてレンズシフト手段のシフト位置を示す情報を取得し、前記電子ズームを行うステップは、前記所定の位置を、前記レンズシフト手段のシフト位置を示す情報に応じて変化させるように構成されている。

【0009】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施形態において説明される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レンズのシフト位置などのレンズ情報に応じて適切な電子ズームが可能な画像投射装置およびプログラムを提供することができる。また本発明によれば、レンズ情報に応じて光学ズームと電子ズームを連続して切り替えて操作を容易にするとともに、ズーム中心の変化量を制御したズーム方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態における画像投射装置のブロック図である。
図2】第1実施形態における画像投射装置(0%シフトの投射状態)の説明図である。
図3】第1実施形態における画像投射装置(0%シフトの投射画面)の説明図である。
図4】第1実施形態における画像投射装置(50%シフトの投射状態)の説明図である。
図5】第1実施形態における画像投射装置(50%シフトの投射画面)の説明図である。
図6】第1実施形態における画像投射装置(0%シフト状態における光学ズーム)の説明図である。
図7】第1実施形態における画像投射装置(50%シフト状態における光学ズーム)の説明図である。
図8】第1実施形態における画像投射装置(0%シフト状態における電子ズーム)の説明図である。
図9】第1実施形態における画像投射装置(50%シフト状態における電子ズーム)の説明図である。
図10】第2実施形態におけるズーム方法を示すフローチャートである。
図11】第3実施形態における0%シフトの画像形成座標設定の説明図である。
図12】第3実施形態における50%シフトの画像形成座標設定の説明図である。
図13】第3実施形態におけるキーストーン設定値のリセット確認画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
(第1実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態における画像投射装置(交換レンズ式の液晶プロジェクタ)の構成について説明する。図1は、画像投射装置1(プロジェクタ)のブロック図である。
【0014】
操作者は、赤外線リモコン4(遠隔制御装置)を操作して、画像投射装置1に対して操作信号(制御信号)を送信する。赤外線受光部9は、赤外線リモコン4から送信された操作信号を受信する。制御ユニット10内の操作信号受付部15は、赤外線受光部9で受信した操作信号を解析する。映像出力装置2は、外部の映像信号出力装置であり、画像投射装置1に対して映像(映像信号)を出力する。画像投射装置1により形成された投射映像は、外部のスクリーン5へ拡大して投射される。
【0015】
画像投射装置1の内部には、フレームメモリ6、映像信号入力部12、制御ユニット10、記憶部16、映像投射部18(投射手段)、レンズユニット19、および、レンズシフト部20(レンズシフト手段)が設けられている。これらの構成要素は、制御信号、映像信号、および、装着したレンズ情報などを通信するため、内部バス11を介して接続されている。映像出力装置2から出力された映像(映像信号)は、接続端子7を介して、映像信号入力部12に入力される。映像信号入力部12は、入力された映像信号の映像フォーマットを解析し、デジタル映像信号としてデータ処理を行うため、一旦、フレームメモリ6に記憶させる。接続端子7は、例えばHDMI(登録商標)であるが、これに限定されるものではない。
【0016】
制御ユニット10内のMPU14(制御手段)は、制御プログラムを実行する。このときMPU14は、例えばFlashROMおよびRAMにより構成される記憶部16から、本実施形態の制御プログラムを読み込んで実行する。
【0017】
フレームメモリ6へ取り込んで記憶された映像信号は、制御ユニット10内の画像処理部13に出力される。画像処理部13は、入力した映像信号に対して、解像度変換や階調補正などの処理を行い、処理後の映像信号を制御ユニット10内部のフレームメモリ17に記憶する。ここで画像処理部13は、スケーラを利用して解像度変換を実行し、入力映像信号の解像度と液晶パネルの解像度とが互いに異なる場合のスケーリング処理、アスペクト変換、キーストーン変換処理などを行う。MPU14は、フレームメモリ17に記憶された映像信号に対して、映像投射部18内に設けられた液晶駆動部で光変調を行うように制御し、映像信号として出力する。
【0018】
映像投射部18は、例えば、光源駆動回路、光源ランプ、フライアイレンズ、コンデンサレンズなどの光学素子を備えた照明光学系を含む。光源ランプから出射した照明光は、ダイクロイックミラーに入射する。ダイクロイックミラーで赤色帯域光、緑色帯域光および青色帯域光に分離した色光は、光路を変更し、3色の各色用液晶パネルに入射する。
【0019】
各液晶パネルに分離して画像変調された変調光は、色合成ダイクロイックプリズムで合成され、レンズユニット19(交換式投射レンズユニット)の光学系を介して、外部のスクリーン5へ投射される。レンズユニット19は、ズームレンズ、フォーカスレンズや固定レンズなどの複数のレンズ群と、各レンズ群を駆動するレンズ駆動部、および、レンズ群の位置を検出するエンコーダを備える。
【0020】
レンズシフト部20(シフトユニット)は、レンズユニット19(投射レンズユニット)を接合するレンズマウント部、および、レンズユニット19を光軸方向と直交する方向である水平方向および垂直方向に移動可能なシフト機構を有する。またレンズシフト部20は、レンズユニット19(レンズ)を水平方向および垂直方向に移動(シフト)させるモータ、および、レンズの移動量(シフト量)または位置(シフト位置)を検出するエンコーダ(検出部)を有する。
【0021】
操作者により赤外線リモコン4から送信された制御信号(操作信号)は、赤外線受光部9により受信される。そして操作信号受付部15は、赤外線受光部9により受信された制御信号を、予め定義された遠隔操作信号に合致する操作指示として受け付ける。MPU14は、その操作指示に基づいて、レンズユニット19またはレンズシフト部20のモータを駆動する。操作者は、所望の領域に投射映像を合わせるため、MPU14に対して、レンズユニット19またはレンズシフト部20を制御するための指令を送信する(レンズ制御指示を行う)。これにより、操作者は、MPU14を介して、フォーカスレンズ位置、ズームレンズ位置、および、レンズシフト位置などのレンズ位置を調整することができる。
【0022】
本実施形態において、レンズユニット19のズームレンズ群の位置(ズームレンズ位置)は、例えば10ビットのリニアエンコーダを用いて検出される。このリニアエンコーダは、ズームレンズ群のカム環位置情報を検出するように、可変抵抗器出力として位置検出を行うセンサである。リニアエンコーダは、例えば、ズームレンズ群が望遠端(Tele端)にある場合、A/D変換を行うことにより0を出力し、広角端(Wide端)にある場合、1023を出力することで、位置検出が可能である。
【0023】
続いて、図2および図3を参照して、画像投射装置1のレンズシフト位置について説明する。図2は、画像投射装置1のレンズシフト位置(0%シフトの投射状態)の説明図であり、レンズユニット19のレンズ鏡筒23が0%シフト位置にある状態を示している。図3(a)は、図2の状態を画像投射装置1の側面から見た模式図であり、図2のレンズシフトおよび光軸を説明するための図を示している。
【0024】
光源ランプ31から出射した光は、光変調素子32で変調される。光変調素子32としては、液晶パネルや、DMD(Digital Mirror Device)などを用いることができる。図3(a)において、レンズ鏡筒23内のレンズ群を模式的にレンズ33として示す。レンズ33の中心を通過した投射光通過領域21は、スクリーン5上で投射画像35として投射される。レンズユニット19は、例えば21枚のレンズで構成され、レンズ鏡筒23の内部に収納されている。ただし、図3(a)において、これらのレンズはレンズ33として簡略化して示されている。このとき投射画像中心34では、投射画像35はスクリーン5の垂直方向に入射するため、レンズ33からスクリーン5までの距離が同一の場合、最も明るい(最も高輝度な)投射画像を得ることができる。
【0025】
図3(b)は、図2の画像投射装置1を背面から見た場合において、スクリーン5の正面と、投射台3および画像投射装置1との位置関係を示している。画像投射装置1の投射画像中心34は、スクリーン5上の位置36においてスクリーン5に垂直に入射し、投射画像35の中心Oと一致する。
【0026】
続いて、図4および図5を参照して、画像投射装置1のレンズ位置を図2のレンズ位置からシフトさせた場合について説明する。図4は、画像投射装置1のレンズシフト位置(50%シフトの投射状態)の説明図であり、レンズ鏡筒23が図2の状態(0%シフトの投射状態)に対して50%シフト位置にある状態を示している。すなわち図4のレンズシフト位置は、レンズ鏡筒23を画像投射装置1内でシフトさせ、図2のレンズ中心で投射した0%シフト位置に対して投射面を50%上方へ移動させた状態である。図5(a)は、図4の状態を画像投射装置1の側面から見た模式図であり、図4のレンズシフトおよび光軸を説明するための図を示している。
【0027】
画像投射装置1の内部に設けられた光変調素子32としての液晶パネルは、固定されている。このため、画像投射装置1の本体に対して、垂直方向(図5(a)の上方向)にレンズ鏡筒23(レンズ33)を移動する(シフトする)。これにより、画像投射装置1は、投射画像中心50を、図3の投射画像中心34の位置に対して高さ50%分だけ投射画像を垂直にずらすように設計されている。このような機構により、投射画像の下端位置を画像投射装置1と同じ高さ(垂直入射部52)に固定し、机上や天井吊下げなどの設置場所の自由度を向上させることができる。一方、投射画像中心50とスクリーン5との間の距離は長くなるため、図3に示される0%シフトの状態と比較すると、投射画面の輝度や均一性の点では不利になる。
【0028】
図5(b)は、図4の画像投射装置1を背面から見た場合において、スクリーン5の正面と、投射台3および画像投射装置1との位置関係を示している。画像投射装置1の投射画像中心50は、スクリーン5上の投射画像53の中心Oと一致するが、垂直入射部52とは一致しない。
【0029】
続いて、図6を参照して、0%シフト状態(図2および図3の状態)における光学ズームについて説明する。図6は、0%シフト状態における光学ズームの説明図である。複数のレンズで構成されるズームレンズ群がTele端にある場合、投射光(投射画像)は、スクリーン上の領域61に投射される。レンズは、投射可能範囲60内において移動可能(シフト可能)である。レンズの種類に応じて、カゲリが発生するため、シフト可能な有効範囲(シフト有効範囲)は異なる。例えば本実施形態では、シフト有効範囲は、レンズ中心からの半径として、画像投射装置1の記憶部16に予め記憶しておき、制御ユニット10は、画像投射装置1の起動時において、装着しているレンズ情報を読み込み、レンズ33のシフト有効範囲を取得する。
【0030】
レンズ33のシフト操作時において、液晶パネルで変調する光の通過領域(領域61)が、レンズ中心に対する移動距離として表される有効範囲(投射可能範囲60)を超えないように、レンズ中心からのシフト量(シフト位置)を調整する。操作者からのズーム指示を受信すると、制御プログラムを実行するMPU14は、レンズユニット19の内部のズームレンズ群をWide方向へ駆動し、投射画像を拡大する。このとき、投射画像の中心が固定された状態で、投射画像の上下左右の辺がそれぞれ画像中心から離れる方向へ移動し、例えば、光の通過領域は領域61から領域63へ拡大投射される。このとき、シフト可能範囲に関しても、投射可能範囲60は投射可能範囲62へ広がる。ズームレンズ群の位置は、ゲージ64により、例えば上側がWide端、下側がTele端、色は青色で表される。
【0031】
続いて、図7を参照して、50%シフト状態(図4および図5の状態)における光学ズームについて説明する。図7は、50%シフト状態における光学ズームの説明図である。このとき、液晶パネルの変調光は、投射画像71においてかげりが出てしまう。このため、操作者の指示により、制御ユニット10は、モータ(シフトモータ)を駆動させるとともに、シフト量をエンコーダで取得し、予め記憶されている投射可能範囲70(レンズ有効領域)を超えない範囲でシフト移動量を制限する。ズームレンズ群をTele端からWide端へ移動させて光学ズームを行う場合、投射画像の下辺だけが固定され、他の3辺(上辺、左辺、右辺)が中心から外側へ移動する。その結果、投射画像71の中心は上方へ移動して投射画像73となるが、レンズ中心に近い部分が投射光通過範囲となるため、明るい投射を行うことができる。このとき、シフト可能範囲に関しても、投射可能範囲70は投射可能範囲72へ広がる。
【0032】
続いて、図8を参照して、0%シフト状態(図2および図3の状態)における電子ズームについて説明する。本実施形態において、シフト可能範囲(投射可能範囲80)は、ズームレンズ群のTele端と同一の範囲である。また投射画像は、液晶パネルの中心を基準として形成される。このため、前述の光学ズームと同様に、投射画像の中心は固定され、投射画像81の上下左右辺をそれぞれ画像中心へ移動させることにより、スクリーン上に投射画像82が投影される。すなわち、所定の位置として投射レンズ(レンズユニット19の光学系)の光軸を中心に、液晶パネル(光変調素子32)上に画像が形成されていることになる。投射画像82には、電子ズームの拡大率を表すゲージ83が重畳して表示される。本実施形態において、ズームレンズ群がTele端の場合、前述の電子ズームを行うように制御し、それ以外の場合にはズームレンズ群を移動して光学ズームを行うように制御する。
【0033】
続いて、図9を参照して、50%シフト状態(図2および図3の状態)における電子ズームについて説明する。本実施形態において、シフト可能範囲(投射可能範囲90)は、ズームレンズ群のTele端位置での投射画像91に対するシフト可能範囲である。また投射画像は、液晶パネルの下端を基準として形成される。このため、光学ズームと同様に、投射画像の下端を固定し、投射画像91の上辺をそれぞれ中心へ移動させることにより、画像中心が下方へ移動し、スクリーン上に投射画像92が投影される。すなわち、所定の位置として投射レンズの光軸を中心に、液晶パネル(光変調素子32)上に画像が形成されていることになる。ズームレンズ群がTele端の場合、前述の電子ズームを行うように制御し、それ以外の場合にはズームレンズ群を移動して光学ズームを行うように制御する。
【0034】
本実施形態において、MPU14は、制御プログラムに従い、ズームレンズ群の位置情報(ズーム位置情報)に応じて、電子ズームモードを選択する。一般的に電子ズームとは、入力映像の一部を切り出して投射エリアへ拡大投射する機能である。本実施形態の電子ズームモードは、画像処理部13の変形機能を使用し、液晶パネルの一部を画像形成領域として設定し、入力映像全体を縮小投射するモードである。すなわちMPU14は、電子的に画像形成領域(投射領域)を小さくすることにより、画像投射装置1の設置場所で制約のある投射領域を微調整する。例えば、画像形成領域の幅をW、高さをH、電子ズームの縮小率をm、x方向のシフト量をsx、y方向のシフト量をsyとするとき、画像形成の開始座標(f,g)は、以下の式(1)、(2)のように表すことができる。
【0035】
f(sx)=W(1−m)(50+sx)/100 … (1)
g(sy)=H(1−m)(50+sy)/100 … (2)
例えば、液晶パネルの解像度が1920×1200画素である場合、操作者は赤外線リモコン4のズームボタンを操作し、投射画面にズーム用ダイアログ(調整ダイアログ)を重畳投射する。また、操作者は下方向ボタンを1回入力する度に、投射画面の縮小率を変化させるように指示する。式(2)に従って、例えば電子ズーム領域の縮小ズーム操作に対して、以下の表1に示されるように縮小率を変化させ、算出された画像形成領域(電子ズームの対象範囲)の高さ画素数(画素数)をスケーラに設定する。同様に、幅方向に関しても式(1)に従って設定を行うことにより、入力画像のアスペクトを維持した状態でスケーリング変形を行い、入力映像を縮小画像として投射する。
【0036】
【表1】
【0037】
このように本実施形態によれば、レンズのシフト量(シフト位置)および縮小率に応じて、電子ズームにおける画像形成座標(電子ズームの対象範囲の位置)を変化させることができる。
【0038】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態における画像投射装置について説明する。本実施形態の画像投射装置は、焦点距離が固定である単焦点レンズを有する。単焦点レンズの場合、ズームレンズ群がないため、レンズ枚数が少なく明るい投射画像が得られるという特徴がある。しかしながら、単焦点レンズを有する画像投射装置において、投射画像の大きさ調整は、画像投射装置を前後に移動させることにより行う必要がある。ここで、画像投射装置の設置場所に障害物があり、この障害物を避けることができない場合、設置場所を変更しなければならない。このような場合、本実施形態の画像投射装置は、図8を参照して説明した電子ズームを行う。なお、単焦点レンズの場合、ズームエンコーダは搭載されていない。このため、単焦点レンズ(レンズ鏡筒)は、ズームレンズ群の位置情報として常に0を出力するように制御される。
【0039】
光学レンズの最適な場所を使用し、最も明るい投射画像を得ることができるように、液晶パネル上に形成する画像の位置を設定する必要がある。すなわち、電子ズームの場合でも、レンズ中心に近い場所を画像形成領域として使用することが好ましい。シフト0%のレンズ位置の場合、図8に示されるレンズ位置になるため、画像形成領域を演算し、投射画像の位置を設定する。一方、シフト50%のレンズ位置の場合、図9に示されるレンズ位置になるため、投射画像の下端が固定されるように液晶パネル上の画像形成領域を演算し、投射画像の位置を設定する。
【0040】
次に、図10を参照して、本実施形態におけるズーム方法について説明する。図10は、ズーム方法を示すフローチャートである。図10の各ステップは、主に、制御ユニット(MPU14)の指令に基づいて実行される。
【0041】
まずステップS300において、記憶部16に記憶された制御プログラムを実行するMPU14は、操作信号受付部15を介して、ズームボタンに割り当てられた信号(制御信号)を受信すると、ズーム(ズーム制御)を開始する。続いてステップS302において、MPU14(取得手段)は、画像投射装置1に装着されているレンズに関する情報(光軸情報を含むレンズ情報またはレンズID)を取得する。そしてステップS304において、MPU14は、スクリーン5(投射画面)上にズーム用ダイアログ(調整ダイアログ)を重畳表示させる。
【0042】
続いてステップS306において、MPU14は、ズームレンズ位置(レンズ位置)を取得し、レンズ位置がTele端であるか否かを判定する。レンズ位置がTele端ではない場合、ステップS307に進む。ステップS307において、MPU14は、光学ズームレンズ駆動(光学ズーム)を行う。続いてステップS309において、MPU14は、操作者により調整ダイアログを閉じる操作(Exit Key)が行われたか否かを判定する。調整ダイアログを閉じる操作が行われた場合、ステップS310に進み、ズームを終了する。一方、調整ダイアログを閉じる操作が行われていない場合、ステップS304へ戻り、MPU14は、エンコーダで変化を読み取ったズームレンズ位置を画面上に更新して表示し、ズーム処理を継続する。
【0043】
一方、ステップS306にてレンズ位置がTele端である場合、または、焦点距離が最小値あるいは単焦点レンズ(固定焦点レンズ)を用いている場合、ステップS308へ進む。ステップS308において、MPU14は、光学ズームモードから電子ズームモードに切り替え、電子ズームを行う。電子ズームモードにおいて、MPU14は、第1実施形態で説明したように、画像形成領域をシフト量に応じて演算して投射範囲を決定する。なお、図10のフローチャートは第1実施形態および第3実施形態にも適用可能である。
【0044】
本実施形態の画像投射装置によれば、電子ズームを行う際に、装着されたレンズに関する情報(レンズ情報)に基づいて画像形成領域の座標を切替える(設定する)。これにより、投射画像の中心を、より明るい方向へ移動させることができる。
【0045】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態における画像投射装置について説明する。第2実施形態にて設定された画像形成領域は、入力画像のアスペクト比に応じて変更可能である。すなわち、50%シフトで上方へ投射画像をシフト投射している場合、レンズ中心に近いところを使用したほうが光効率は良好であり、明るい投射画像を得ることができる。
【0046】
図11は、本実施形態における0%シフトの画像形成座標設定の説明図である。図12は、50%シフトの画像形成座標設定の説明図である。例えば図11に示されるように、入力画像が1920×1080の信号である場合、1920×1200画素の液晶パネル110が用いられる。すなわち入力画像の高さhは1080画素であるのに対して、液晶パネル110の高さHは1200画素である。このため、液晶パネル110内の縦120画素に関しては、黒帯(非映像領域)として描画する。このとき、通常(0%シフトの場合を含む)、液晶パネル110の中心に均等に画像形成を行い、上下の縦60画素に黒帯112、113を挿入し、画像領域111を設定する。しかし本実施形態では、図12に示されるように、50%シフトの場合には画像領域114を設定し、上部の120画素を黒帯115として使用する。すなわちMPU14は、液晶パネル110上の有効画像領域をシフト位置に応じて決定することにより、より明るい投射画像を得るように制御する。
【0047】
パネル解像度と入力画像の解像度とは互いに異なる場合がある。このため、第1実施形態で説明した式(1)、(2)に加えて、入力画像の横有効画素数をw、縦有効画素数をhとするとき、画像形成の開始座標(f,g)は、以下の式(3)、(4)のように表される。
【0048】
f(sx)=(W−w・m)(50+sx)/100 … (3)
g(sy)=(H−h・m)(50+sy)/100 … (4)
表2は、縮小率とレンズのシフト量に応じた画像形成領域の開始座標の例を示している。光学ズームの場合、光通過領域がズーム操作により拡大縮小される。一方、電子ズームの場合、光通過領域の一部を有効画像領域として使用するため、光学ズームと比較して解像度は劣化する。このため、ズーム操作方法を統一する点で操作は容易になり、操作者が意識する必要がなくなるが、画質の劣化を認知できないのは不都合な場合がある。
【0049】
【表2】
【0050】
そこで、光学ズーム操作において、ゲージ64の色を青色で描画する。操作者が赤外線リモコン4の下キーを押すと、Wide端からTele端へ連続してズームレンズ(ズームレンズ群)がズーム動作するとともに、ズームレンズの位置情報をゲージ64へ描画する。ズームレンズがTele端位置に到達すると、ズームエンコーダによりその位置を検出し、一旦ゲージ64への描画を停止する。Tele端位置において、更に操作者が赤外線リモコン4の下キーを押すと、光学ズームモードから電子ズームモードへモードを遷移させる。
【0051】
本画像投射装置の設置位置の調整において、キーストーン設定による画質劣化を防止するため、設定値をリセットするか否かを操作者に確認させることが好ましい。このとき、例えば図13に示されるような確認画面120を表示する。図13は、本実施形態におけるキーストーン設定値のリセット確認画面の説明図である。キーストーンをリセットする場合、操作者はボタン121を選択し、本実施形態の制御プログラムによりキーストーン設定値を0にする。リセットしない場合は、操作者はボタン122を選択し、本実施形態の制御プログラムは設定値を変更せずに電子ズームモードへ遷移させる。
【0052】
また、キーストーン設定値が0の場合、操作者による確認は不要のため、確認画面120なしで電子ズームモードに遷移させ、ゲージ83(拡大縮小ゲージ)の色をオレンジ色で描画する。また、画像形成領域の設定中には、画像領域の左上隅にオレンジ色の開始座標84(図8)を描画する。そして開始座標84を縮小設定後の開始座標85へ移動させて描画する。
【0053】
一方、電子ズームの100%端位置で、操作者が赤外線リモコン4の上キーを押すと、電子ズームモードから光学ズームモードへモード遷移させる。画質劣化が発生しない光学ズームモード(図6)では、前述のリセット確認ステップを省略し、ゲージ64を描画する。光学ズームモードでは画像開始座標にマークを付すことは行わないが、電子ズーム操作中には枠をマークして操作者へ通知するため、操作者はゲージの色と座標マークで、現在の両ズームモードの違いを区別することができる。
【0054】
本実施形態では、キーストーン設定がされている場合、設定をリセットするか否かを操作者に確認させているが、確認を省略し、設定をリセットしてもよい。
【0055】
以上、画像投射装置1の投射領域を電子ズーム制御する方法に関し、レンズのシフト状態に応じて画像形成領域を設定する制御方法について説明した。また、レンズシフトを操作する場合にも画質劣化を防止する目的として、前述したズーム操作と同様にキーストーン設定をリセット判定することが好ましい。この制御は、液晶プロジェクタに限定されるものでなく、例えば、デジタルマイクロミラーを用いた画像投射装置にも有効である。
【0056】
このように各実施形態の画像投射装置1は、画像を投射する投射レンズの光軸と、光変調素子上の画像形成領域の中心とが互いにずれている画像投射装置であって、電子ズーム手段(画像処理部13)および制御手段(MPU14)を有する。電子ズーム手段は、光変調素子上の画像形成領域の大きさを、所定の位置を中心とした電子ズームにより拡大または縮小する。制御手段は、所定の位置を光軸として電子ズームを行うように電子ズーム手段を制御する。
【0057】
好ましくは、画像処理装置は、投射レンズのレンズ情報を取得する取得手段(制御ユニット10)と、投射レンズをシフトするレンズシフト手段(レンズシフト部20)とを更に有する。レンズ情報は、レンズシフト手段のシフト位置を示す情報を含む。そして制御手段は、所定の位置を、レンズシフト手段のシフト位置に応じて変化させる。より好ましくは、制御手段は、シフト位置の変化が大きいほど、電子ズームを行う際の所定の位置の変化量を大きくする。
【0058】
好ましくは、制御手段は、シフト位置が投射レンズの光軸の中心である場合、所定の位置を一定とする。一方、制御手段は、投射レンズの第1の方向におけるシフト位置が投射レンズの光軸の中心以外である場合、所定の位置を第1の方向とは反対の第2の方向に移動させる。また好ましくは、制御手段は、光変調素子上の画像形成領域の位置および画素数を変化させる。また好ましくは、制御手段は、所定の位置を、画像形成領域のうち投射レンズから投射面までの距離が最も短い領域を含むように変化させる。また好ましくは、制御手段は、所定の位置を、画像形成領域のうち光軸を通過する領域を含むように変化させる。また好ましくは、制御手段は、所定の位置を、画像形成領域のうち投射レンズの最も明るい領域を含むように変化させる。また好ましくは、画像形成領域の中心は、投射された画像の中心位置である。
【0059】
好ましくは、レンズ情報は、投射レンズのズーム位置を示す情報を含み、制御手段は、所定の位置を、投射レンズのズーム位置に応じて変化させる。より好ましくは、制御手段は、レンズ情報に応じて、光学ズームモードと電子ズームモードの一方のズームモードを設定する。そして制御手段は、光学ズームモードが設定された場合、焦点距離を変更するように投射レンズを駆動する。一方、制御手段は、電子ズームモードが設定された場合、電子的に画像形成領域を設定する。より好ましくは、レンズ情報は、投射レンズが望遠端(Tele端)に位置することを示す情報を含む。そして制御手段は、投射レンズが望遠端に位置する場合、ズームモードを電子ズームモードに設定する。
【0060】
好ましくは、制御手段は、レンズ情報に応じて、光学ズームの望遠端と電子ズームの100%端とを同一拡大率に設定し、一方のズームモードから他方のズームモードへ連続して切り替え可能とする。また好ましくは、制御手段は、レンズ情報に応じて、ズームモードを切り替えるときにキーストーン設定がされている場合、キーストーン設定をリセットするか否かを操作者に確認させる。また好ましくは、制御手段は、レンズ情報に応じて、ズームモードを切り替えるときにキーストーン設定をリセットする。また好ましくは、レンズ情報は、投射レンズが単焦点レンズであることを示す情報を含む。そして制御手段は、投射レンズが単焦点レンズである場合、ズームモードを電子ズームモードに設定する。
【0061】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0062】
各実施形態の画像投射装置によれば、電子ズームの際に画像中心を移動させることにより、投射領域の明るい部分を画像形成領域として設定し、最適な投射画像を得ることができる。また、単焦点レンズ装着時にズーム指示を受けた場合、電子的な画像形成領域をシフト位置に応じて設定する電子ズームを実行することにより、適切な投射画像を得ることができる。また、電子ズームモードの際に画像形成領域を示すことにより、光学ズームと電子ズームとの区別が容易になる。このため各実施形態によれば、レンズのシフト位置などのレンズ情報に応じて適切な電子ズームが可能な画像投射装置およびプログラム(画像投射装置の制御方法)を提供することができる。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 画像投射装置
13 画像処理部(電子ズーム手段)
14 MPU(制御手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13