特許第6624891号(P6624891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6624891
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/16 20060101AFI20191216BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20191216BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   G03B21/16
   G03B21/00 E
   H04N5/74 Z
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-215040(P2015-215040)
(22)【出願日】2015年10月30日
(65)【公開番号】特開2016-103009(P2016-103009A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2018年8月8日
(31)【優先権主張番号】特願2014-233510(P2014-233510)
(32)【優先日】2014年11月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】野本 諒
【審査官】 中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−164595(JP,A)
【文献】 特開2010−025549(JP,A)
【文献】 特開2006−002767(JP,A)
【文献】 特開2014−152934(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0293852(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00 − 21/64
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
ライトバルブと、
前記光源からの光束を前記ライトバルブに導光する第1の導光光学系有する導光光学系と、
冷媒をチューブの内部で循環させるポンプと、前記光源、前記ライトバルブ、前記第1の導光光学系うち少なくとも1つの熱を前記冷媒を介して放熱するラジエータとを備え、前記光源、前記ライトバルブ、前記第1の導光光学系うち少なくとも1つを冷却する第1の冷却手段と、
吸気口と、
送風ファンを備え、前記吸気口から吸気される風を用いて、前記光源、前記ライトバルブ、前記第1の導光光学系うち少なくとも1つを冷却する第2の冷却手段と、
前記吸気口から前記送風ファンによって送風される部材に至る風路内に配置された第2フィルタと、を有し、
前記ラジエータは前記吸気口と前記フィルタの間に位置して第1フィルタとして機能し、
当該第1フィルタとして機能する前記ラジエータの集塵粒径は、前記第2フィルタの集塵粒径よりも大きい、
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記導光光学系は、さらに前記ライトバルブからの光束を被投射面に導く第2の導光光学系を有し、
前記第1の冷却手段の前記ラジエータは、前記光源、前記ライトバルブ、前記第1の導光光学系、前記第2の導光光学系のうち少なくとも1つの熱を前記冷媒を介して放熱し、前記光源、前記ライトバルブ、前記第1の導光光学系、前記第2の導光光学系のうち少なくとも1つを冷却することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記吸気口と前記ラジエータとの間に位置し、前記ラジエータを清掃する第1の清掃手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記ラジエータと前記フィルタとの間に位置し、前記ラジエータおよび前記フィルタを清掃する第2の清掃手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記第1の清掃手段と前記第2の清掃手段とは、連動して稼働することを特徴とする請求項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記ラジエータは、防汚材質で形成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記フィルタは、前記送風ファンと前記ラジエータとの間に配置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記第1の導光光学系は、前記光源からの光束を用いて前記ライトバルブを照明する照明光学系と、前記照明光学系からの光束を前記ライトバルブに導く色分解光学系とを備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記第2の導光光学系は、投射光学系と、前記第1の導光光学系からの光束を前記投射光学系に導く色合成光学系を備えることを特徴とする請求項乃至7のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記ライトバルブは反射型の液晶表示素子であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記ライトバルブは透過型の液晶表示素子であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記送風ファンは前記吸気される風を前記第1の導光光学系および前記第2の導光光学系のうち少なくとも一方に導くことが可能な位置に位置していることを特徴とする請求項乃至10のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記光源は固体光源であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関し、特に冷却と塵埃除去構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、投射光学系を備えた画像表示装置としてのプロジェクタは、高解像度化および高輝度化に伴い、冷却能力の向上と塵埃付着抑制を行う必要があり、そのため液冷技術によって密閉構造内に配置された熱源(ライトバルブ等)を冷却する構成を採っていた。
【0003】
具体的に、特許文献1では、密閉空間に配置された複数の熱源を液冷技術により冷却する構成が開示されている。また、特許文献2では、塵埃付着抑制のため、熱源を密閉空間に配置して液冷技術により冷却する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−176079号公報
【特許文献2】特開2005−114997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、ライトバルブ等の少数の熱源に対しては密閉空間において冷却することができるが、その他の光学素子に関しては冷却と塵埃付着抑制の両立を行うことが困難であった。
【0006】
本発明の目的は、ライトバルブを含む光学素子の効率的な冷却と光学素子の塵埃付着を抑制することを可能にした画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像表示装置は、光源と、ライトバルブと、前記光源からの光束を前記ライトバルブに導光する第1の導光光学系を有する導光光学系と、冷媒をチューブの内部で循環させるポンプと、前記光源、前記ライトバルブ、前記第1の導光光学系のうち少なくとも1つの熱を前記冷媒を介して放熱するラジエータとを備え、前記光源、前記ライトバルブ、前記第1の導光光学系のうち少なくとも1つを冷却する第1の冷却手段と、吸気口と、送風ファンを備え、前記吸気口から吸気される風を用いて、前記光源、前記ライトバルブ、前記第1の導光光学系のうち少なくとも1つを冷却する第2の冷却手段と、前記吸気口から前記送風ファンによって送風される部材に至る風路内に配置された第2フィルタと、を有し、前記ラジエータは、前記吸気口と前記フィルタの間に位置して第1フィルタとして機能し、当該第1フィルタとして機能する前記ラジエータの集塵粒径は、前記第2フィルタの集塵粒径よりも大きい、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ライトバルブを含む光学素子の効率的な冷却と光学素子の塵埃付着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置の全体構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る第2の冷却手段の冷却構成図である。
図3】本発明の実施形態に係る第1の冷却手段の冷却構成図である。
図4】本発明の実施形態に係る第1の冷却手段における液冷システム詳細図である。
図5】本発明の実施形態に係る第1の冷却手段における液冷システムの受熱ジャケット詳細図である。
図6】本発明の実施形態に係る画像表示装置の光学系詳細図である。
図7】第1の実施形態に係る第1の清掃手段の説明図である。
図8】第1の実施形態に係る第2の清掃手段の説明図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係る画像表示装置の全体構成図である。
図10】第2の実施形態に係る第1の清掃手段の説明図である。
図11】第2の実施形態に係る第2の清掃手段の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
《第1の実施形態》
(画像表示装置)
図1は、本発明の実施形態に係る画像表示装置の全体構成を示し、以下に説明するような光学構成と、冷却構成と、塵埃除去構成を備える。そして、本実施形態では、冷却構成におけるラジエータを塵埃除去構成にも適した位置に配置する。先ず、光学構成について説明する。
【0012】
1)光学構成
図6は、本発明の実施形態に係る画像表示装置であるプロジェクタの光学構成概略図である。図6で、光学系2は、照明光学系22、色分解合成系23、投射レンズ(投射光学系)24を備える。照明光学系22は、光を発する光源21からの光を用いてライトバルブ2305を照明する。色分解合成系23は、照明光学系22からの光を液晶等より成るライトバルブ2305(2305R、2305G、2305B)に導く色分解光学系と、ライトバルブ2305からの光束を合成して投射レンズ24に導く色合成光学系とを備える。投射レンズ24は、色分解合成系23からの光束を被投射面に導く。
【0013】
なお、照明光学系22、色分解光学系を本発明の各実施形態では第1の導光光学系と呼ぶものとする。つまり、光源21からの光をライトバルブ2305に導く光学系を第1の導光光学系とする。また、色合成光学系(色分解合成系23から色分解光学系を除いたもの)、更には投射光学系としての投射レンズ24を本実施形態では第2の導光光学系と呼ぶものとする。
【0014】
光源21は、超高圧水銀ランプなどの高輝度光源であって連続スペクトルで白色光を発光する発光管と、光を所定の方向に集光するリフレクタとを有し、次段階の照明光学系22へ向けて照射する。照明光学系22は、シリンダアレイやフライアイレンズ等のガラス部材を有し、その光学的作用により、複数の光束に対し矩形状の像が重なった矩形状の均一な照明エリアが形成され、次段階のライトバルブ2305を照明する。
【0015】
色分解合成系23は、青(B)と赤(R)の波長領域の光を反射し、緑(G)の波長領域の光を透過するダイクロイックミラー2301を有する。緑(G)の波長領域の光に対しては、1/2波長板2302、S偏光のみを透過する透明基板に偏光素子を貼着したG用の入射側偏光板2303、偏光分離面を有しP偏光を透過しS偏光を反射する第1の偏光ビームスプリッタ2304が備わる。
【0016】
光路を分岐するプリズムとしての第1の偏光ビームスプリッタ2304で反射されたS偏光は緑用の1/4波長板2306Gを介して円偏光とされ、ヒートシンク32Gの上に載置される緑用のライトバルブ2305Gへ向かう。1/4波長板2306Gは、第1の偏光ビームスプリッタ2304と緑用のライトバルブ2305Gとの間の光路中に設けられている。
【0017】
緑用のライトバルブ2305Gで反射された光は、緑用の1/4波長板2306Gを介してP偏光とされる。そして、第1の偏光ビームスプリッタ2304、P偏光のみを透過させるG用出射側偏光板2311Gを透過して、RB光を透過しG光を反射するダイクロイックプリズム2312へ向かう。
【0018】
ダイクロイックミラー2301で反射されたRとBの光に対しては、P偏光のみを透過し透明基板に偏光素子を貼着したRB用の入射側偏光板2307、色選択性位相差板2308が設けられている。色選択性位相差板2308は、Rの光の偏光方向を90度変換し、Bの光の偏光方向は変換しない機能を備えるため、赤(R)の波長領域の光はS偏光に変換され、青(B)の波長領域の光はP偏光のままで通過する。なお、色選択性位相差板2308を通過した光路にRの色純度を高めるためにオレンジ光をランプに戻すトリミングフィルタ2309が設けられている。
【0019】
そして、P偏光を透過しS偏光を反射し、光路を分岐もしくは合成するプリズムとしての第2の偏光ビームスプリッタ2310により、S偏光であるRの光は反射する一方、P偏光であるBの光は透過する。第2の偏光ビームスプリッタ2310で反射されたRの光は赤用の1/4波長板2306Rを介して円偏光とされ、ヒートシンク32Rの上に載置される赤用のライトバルブ2305Rへ向かう。赤用のライトバルブ2305Rで反射された光は、赤用の1/4波長板2306Rを介してP偏光とされる。
【0020】
そして、第2の偏光ビームスプリッタ2310、BのS偏光のみを整流するB用出射側偏光板(偏光素子)2311B、ダイクロイックプリズム2312を透過して、投射光学系としての投射レンズ24に入射する。
【0021】
一方、第2の偏光ビームスプリッタ2310を透過したBの光は青用の1/4波長板2306Bを介して円偏光とされ、ヒートシンク32Bの上に載置される青用のライトバルブ2305Bへ向かう。青用のライトバルブ2305Bで反射された光は、青用の1/4波長板2306Bを介してP偏光とされる。そして、第2の偏光ビームスプリッタ2310で反射され、BのS偏光のみを整流するB用出射側偏光板(偏光素子)2311B、ダイクロイックプリズム2312を透過して、投射光学系としての投射レンズ24に入射する。
【0022】
反射型液晶表示素子である赤用のライトバルブ2305R、緑用のライトバルブ2305G、青用のライトバルブ2305Bは、入射した光を反射するとともに画像変調する。そして、上述した色分解合成系を用いることで、投射レンズ24により被投射面(スクリーン面)にライトバルブ2305における画像がカラー画像として投射される。以上の色分解合成系23のうち、ダイクロイックプリズム2312、B用出射側偏光板2311B、G用出射側偏光板2311Gを色合成光学系とし、それ以外の光学素子を色分解光学系とする。
【0023】
2)冷却構成
本実施形態における画像表示装置は、装置本体としての筺体1の内部に、ライトバルブ2305を冷却する第1の冷却手段である液冷ユニット3(図3図4)と、ライトバルブ2305を含む光学系2を送風により冷却する第2の冷却手段(図2)を備える。
【0024】
2−1)第1の冷却手段
ライトバルブ2305は、光の反射時に吸熱する熱量と、画像変調時に自己消費する熱量により発熱するため、第1の冷却手段である液冷ユニット3で冷却される。図4に示すように、液冷ユニット3は、各構成部品をつなぐチューブ35、チューブ内を流れる冷媒(不図示)、冷媒を循環させるポンプ31を備える。さらに、受熱部である受熱ジャケット32、放熱部であるラジエータ33、冷媒を貯蔵し気層も存在するタンク34を備える。
【0025】
この液冷ユニット3では、色分解合成系23内に配置されるライトバルブ2305の熱に関し、受熱ジャケット32が受熱し、ポンプ31が冷媒を介してラジエータ33へ熱輸送し、吸気口11からの外気風によりラジエータ33が放熱する。
【0026】
ここで、液冷ユニット3の受熱ジャケット32の構成の詳細を図5を参照して説明する。液冷ジャケット32は、ライトバルブ2305と熱伝導シート324によって接触する。具体的な構成としては、熱伝導シート324との接触部3211を有し、フィン形状を有した中空溝が設けられたジャケットベース321にジャケットカバー323が液漏れ防止ゴム322を挟み込むように固定され、空洞化した受熱ジャケット32となる。
【0027】
ジャケットベース321には継ぎ手部3212が設けられており、チューブ35を取り付けることによって配管される。ライトバルブ2305で発生した熱は、熱伝導シート324によってジャケットベース321に熱伝導され、ジャケットベース321のフィン形状により、受熱ジャケット32の中空内を流れる冷媒に熱伝達される。ジャケット32内を流れる冷媒は接続されたチューブ35内を流れ、ラジエータ33によって放熱される。なお、本実施形態においては、熱伝導シート324を用いたが、熱伝導グリス等その他熱を伝導する旨のものを用いても良い。
【0028】
2−2)第2の冷却手段
また、光学系2は、送風ファン4からの送風で冷却される。即ち、筺体1に設けられた吸気口11より冷却風を筺体内に取り込み、送風ファン4による強制冷却によって光学系2の部品を冷却し、筺体内の冷却風を排気する排気ファン7を用いて排気口12より冷却風を排気する。ここで、排気ファン7は筺体内の空気を排気するファンであり、吸気口11より外気を取り込み、光学系2を冷却した風や光源21のリフレクタ部、その他電気部品等の発熱体を冷却した風を筺体外へ排気することで筺体内の冷却を行う。
【0029】
このように、装置本体の吸気口11から吸気される風として、ライトバルブ2305に加えて、光学系2を構成する部材の少なくとも1つ(光学系2の部品)に向かって送風されることで、送風された部材が冷却される。即ち、ライトバルブ2305など、局所的に高熱を発する部分だけでなく、その周辺および他の光学系や複数の冷却対象に対しても効率的な冷却を施すことができる。もちろん、光源21、ライトバルブ2305、第1の導光光学系、第2の導光光学系の少なくとも一つに送風する構成であってもよい。
【0030】
なお、本実施形態においては、図1に示すように、照明光学系22の光軸と投射光学系としての投射レンズ24の光軸は交差(直交)し、送風ファン4からの送風方向は、送風ファン4から、照明光学系22の光軸と投射レンズ24の光軸で挟まれる領域(両光軸の交点)へ向かう方向である。言い換えれば、送風ファン4は、吸気口11から吸気された風を照明光学系22および色分解合成系23に導くように配置されており、本発明の各実施形態で送風ファン4はシロッコファンである。
【0031】
3)塵埃除去構成
本画像表示装置では、筐体1の吸気口11(図1図2)より、筺体内の送風ファン4によって外気を吸気する際、吸気口11の下流側位置に塵埃を除去(収集)するフィルタとしての集塵フィルタ5(防塵フィルタ)が配置される。ここで、吸気口11から送風ファン4により送風される部材(部品)に至る風路内(本実施形態では、送風ファン4の送風方向における上流側である送風ファン4の吸気口位置)に配置される集塵フィルタ5は、第1サイズ(20μm以下)より大きい塵埃を除去する。言い換えれば、集塵フィルタ5は、送風ファン4とラジエータ33との間に配置されている。
【0032】
これにより、外気吸気による筺体内への塵埃侵入を防止でき、光学系2は送風ファンからの送風で冷却されると共に、第1サイズより大きい塵埃の付着から免れる。
【0033】
4)ラジエータの配置位置
本実施形態では、吸気口11と集塵フィルタ5の間にラジエータ33を配置する。これにより、以下の効果を奏する。
【0034】
第1には、コットンリンターなどのサイズが大きな粒子(防塵フィルタ5で除去される第1サイズより大きい第2サイズの粒子)が、ラジエータ33によって振るい落とされ、集塵フィルタ5による集塵を少なくすることができる。これにより、集塵効率の向上と共にフィルタ交換のメンテンナンスサイクルを長期化(長寿命化)する効果が得られる。このように、
集塵フィルタを第2フィルタ(微フィルタ)と考えるとき、第2フィルタの上流側に第1フィルタ(粗フィルタ)としてのラジエータ33が備わり、風路に沿って順に吸気口11、ラジエータ33、集塵フィルタ5、送風ファン4が設けられる。
【0035】
第2には、筺体内熱、および筺体内の発熱の影響をラジエータ33自体が受けることなく、外気とラジエータ33が熱交換を行うことができる。即ち、吸気口11と集塵フィルタ5の間にラジエータ33を配置することで、液冷ユニット3の冷却効率が高まり、高発熱体のライトバルブ2305の冷却を効率良く行うことができる。
【0036】
5)清掃部材構成
加えて、本実施形態においては、図7に示すように、ラジエータ33の近傍に塵埃を払い落す第1の清掃部材としてのブラシ6を配置し、ラジエータ33を清掃することで、ラジエータ33に塵埃が付着した場合の冷却効率低下を防ぐ効果を有する。即ち、図7において、ブラシ6に取り付けられたモータ61が、ラジエータ33の通気方向に対して垂直な面を平行移動することによって、ブラシ6も同一方向へ稼働し、ラジエータ33の上流側(前面)に付着した塵埃を払い落す。
【0037】
また、図8に示すように、ラジエータ33と塵埃フィルタ5の間に第2の清掃部材としてのブラシ60を配置し、ラジエータ33の下流側(後面)及び集塵フィルタ5を清掃する。即ち、本実施形態では、ブラシ60に関しては、ブラシ6と構造体にすることで、モータ61の移動によってブラシ6と同様に稼働できる。
【0038】
このように、ラジエータ330の近傍に清掃手段としてのブラシ6およびブラシ60を配置することで、ラジエータ33とフィルタ5の塵埃を同時に同一駆動で払い落すことができる。これにより、油分やたばこのヤニなどの吸着物を除去できる効果と、集塵フィルタ5の交換などのメンテンナンスサイクルを更に長期化もしくはメンテンナンスフリー化する効果を奏する。
【0039】
《第2の実施形態》
以下、図9を参照して、塵埃付着を抑制しかつ効率的な冷却を行う本発明の第2の実施形態に係る画像表示装置としてのプロジェクタの構成について説明する。第1の実施形態に対し、本実施形態では、ラジエータが所定の材質から成ることを特徴とする。即ち、本実施形態におけるラジエータ330は、フッ素加工やイオン蒸着などの防汚加工が施された防汚材質で形成されており、外気吸入時の塵埃の付着を抑制する効果を有している。
【0040】
また、本実施形態においても、図10図11に示すように、第1の実施形態と同様に、ラジエータ330の近傍に清掃手段としてのブラシ6およびブラシ60を配置する。このように、ラジエータ330の近傍に清掃手段としてのブラシ6およびブラシ60を配置することで、ラジエータ33とフィルタ5の塵埃を同時に同一駆動で払い落すことができる。これにより、油分やたばこのヤニなどの吸着物を除去できる効果と、集塵フィルタ5の交換などのメンテンナンスサイクルを長期化更に長期化もしくはメンテンナンスフリー化する効果を奏する。
【0041】
(変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。即ち、光学系の構成、液冷システムの構成、ファンの個数、清掃手段の方法など、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0042】
(変形例1)
上述した実施形態では、ライトバルブは反射型としたが、透過型であっても良い。また、ライトバルブが自ら発光するものである場合には、上述した光源、照明光学系、色分解光学系は不要となる。
【0043】
(変形例2)
上述した実施形態では、画像表示装置として投射光学系としての投射レンズを備えスクリーン面を表示位置としたプロジェクタを説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、投射光学系を備えず、LEDを光源とする液晶テレビなどの画像表示装置にも同様に適用できる。この場合の表示位置は、ライトバルブからの光束が色合成光学系で導光された画像表示面となる。一方、LEDをテレビの端部に並べたエッジ型LEDバックライトにおいては、光源をLED、ライトバルブを液晶パネル、第1の導光光学系をLEDからの光束を液晶パネルに導く導光板としてもよい。また、LEDを液晶パネルの裏面に2次元的に配列した直下型LEDバックライトにおいては、光源をLED、ライトバルブを液晶パネル、第1の導光光学系を2次元的に配列されたLEDと液晶パネルの間の拡散版としてもよい。
【0044】
(変形例3)
上述した実施形態では、超高圧水銀ランプを光源とし、第1の冷却手段がライトバルブを液冷する構成を開示したが、本発明はこれに限定されるものではない。超高圧水銀ランプではなく、レーザーダイオード(以下、LD)などの固体光源のみ、あるいは固体光源と蛍光体を光源として、第1の冷却手段がLDとライトバルブのうち少なくとも一方を冷却する構成などであってもよい。
【0045】
(変形例4)
上述した実施形態では、第1の冷却手段がライトバルブを液冷し、第2の冷却手段が、照明光学系および色分解合成系を空冷する構成を開示したが、本発明はこれに限定されるものではない。第1の冷却手段および第2の冷却手段が冷却する対象は、画像表示装置が備える部材であれば良く、例えば、第1の冷却手段および第2の冷却手段が投射光学系を冷却する構成などであってもよい。すなわち、第1の冷却手段および第2の冷却手段は、光源、ライトバルブ、第1の導光光学系、第2の導光光学系のうち少なくとも1つを冷却すればよい。
【符号の説明】
【0046】
3 液冷ユニット
4 送風ファン
5 集塵フィルタ
11 吸気口(筐体)
21 光源
22 照明光学系
23 色分解合成系
31 ポンプ
33 ラジエータ
35 チューブ
2305 ライトバルブ
図1
図2
図3
図4
図5
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図11