(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記他方のユニットは、前記可動刃ガイド壁から前記通紙方向の下流側に突出するとともに、前記第1リブと前記第2リブとの間を接続する第3リブを有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印字ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したサーマルプリンタで使用する記録紙は、芯管等に巻回されたロール紙を使用することが多い。そのため、記録紙は、ロール紙の巻回方向に倣って所定の曲率の巻き癖が付いた状態で搬送される。
【0006】
この場合、カッター機構により切断された記録紙が取り出されないままサーマルプリンタの排出口付近に残っていると、記録紙における通紙方向の上流端部が巻き癖等によってカッター機構よりも通紙方向の上流側に進入することがある。この状態で、次に印字される記録紙に対してカッター機構による切断動作が行われると、先に印字された記録紙の上流端部が次に印字される記録紙とともにカッター機構により切断される。すると、先に印字された記録紙の上流端部が細長い紙片となって印字ユニット内に残留する。
【0007】
ここで、可動刃と可動刃を支持するフレームとの間には、可動刃をスムーズにスライド移動させるために隙間が設けられている。この場合、上述した紙片や他の異物等(以下、まとめて紙片等という。)が例えば可動刃とフレームとの間の隙間に進入すると、上述した光学センサが紙片等により覆われる、或いは光学センサから投光された光が意図せず遮られる等して、可動刃の誤作動等を引き起こす要因となる。したがって、信頼性を向上させる点で未だ改善の余地があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みたものであって、プラテンフレームと可動刃との間に紙片等が入り込むのを抑制し、信頼性の高い印字ユニット及びサーマルプリンタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の一態様に係る印字ユニットは、記録紙に対して印字を行う印字ヘッドを有するヘッドユニットと、前記印字ヘッドとの間に前記記録紙を挟み込み、前記記録紙を紙送りするプラテンローラを有するプラテンユニットと、前記ヘッドユニット及び前記プラテンユニットのうち、一方のユニットに設けられた固定刃と、前記ヘッドユニット及び前記プラテンユニットのうち、他方のユニットにスライド移動可能に設けられ、前記固定刃との間で前記記録紙を切断する可動刃と、を備え、前記他方のユニットは、前記記録紙の通紙方向において、前記可動刃に対して上流側に配置された可動刃ガイド壁と、前記可動刃ガイド壁から前記通紙方向の下流側に突出する第1リブと、前記可動刃ガイド壁のうち、前記可動刃の移動方向で前記第1リブよりも前記固定刃から離間した位置に設けられ、前記通紙方向の下流側に突出した第2リブと、を有している。
【0010】
本態様によれば、可動刃と可動刃ガイド壁との通紙方向の隙間を縮小することができるので、紙片等が可動刃と可動刃ガイド壁との間を通過するのを抑制できる。
特に、本態様では、第1リブ及び第2リブが可動刃の移動方向に間隔をあけて配置されているため、可動刃がスライド移動する過程において、紙片等が可動刃と可動刃ガイド壁との間に引き込まれ、仮に可動刃と第1リブとの隙間を紙片等が通過したとしても、第2リブによって紙片等の引き込みを抑制できる。
そして、紙片等が可動刃と可動刃ガイド壁との間を通過するのを抑制できるので、例えば可動刃の位置検出を行うセンサが紙片等に覆われる等してセンサが誤検出するのを抑制し、可動刃の誤作動を抑制できる。その結果、信頼性の高い印字ユニットを提供できる。
【0011】
上記態様の印字ユニットにおいて、前記可動刃は、前記固定刃との間で前記記録紙を切断する切断位置と、前記可動刃から離間した離間位置との間をスライド移動可能に構成され、前記第2リブは、前記可動刃ガイド壁のうち、前記離間位置にある前記可動刃の刃先に対応する位置に設けられていてもよい。
本態様によれば、離間位置において可動刃と可動刃ガイド壁との間の隙間を縮小することができるので、可動刃と可動刃ガイド壁との間の隙間を通って紙片等が通過するのを抑制できる。
また、記録紙の切断後、印字済み用紙の上流側端部が可動刃の刃先上に残留した場合には、印字済み用紙の上流側端部が第2リブに通紙方向の下流側から接触することになる。これにより、印字済み用紙の上流側端部が可動刃と可動刃ガイド壁との間の隙間を通過するのを抑制できる。
さらに、印字済み用紙の上流側端部が第2リブに下流側から接触した状態で、次の記録紙に対する切断動作が行われると、印字済み用紙の上流側端部が可動刃によって押し上げられることになる。これにより、印字済み用紙が排出口へ案内されることになり、紙片自体の発生を抑制することもできる。
【0012】
上記態様の印字ユニットにおいて、前記他方のユニットは、前記可動刃ガイド壁から前記通紙方向の下流側に突出するとともに、前記第1リブと前記第2リブとの間を接続する第3リブを有していてもよい。
本態様によれば、印字済み用紙の上流側端部が第1リブ及び第2リブの間に進入しようとした場合に、印字済み用紙の上流側端部が第3リブに接触することになる。これにより、印字済み用紙の上流側への移動を規制し、第1リブ及び第2リブの間に印字済み用紙の上流側端部が進入するのを抑制できる。その結果、紙片の発生を確実に抑制できる。
【0013】
上記態様の印字ユニットにおいて、前記第2リブと前記可動刃との間の前記通紙方向における隙間は0.5mm以下であってもよい。
本態様によれば、第2リブと可動刃との間の隙間が0.5mm以下に設定されているため、可動刃と可動刃ガイド壁との間への紙片等や印字済み用紙の進入を効果的に抑制できる。
【0014】
本発明の一態様に係るサーマルプリンタは、上記態様の印字ユニットと、前記印字ユニットが搭載されたケーシングと、を備えている。
本態様によれば、上記態様の印字ユニットを備えているので、印字ユニットの動作や制御の異常が発生するのを抑制し、信頼性の高いプリンタを提供できる。
【0015】
上記態様のサーマルプリンタにおいて、前記他方のユニットは、前記一方のユニットに対して下方に配置されていてもよい。
本態様によれば、可動刃が固定刃に対して下方に配置され、可動刃と可動刃ガイド壁との間に紙片等が進入し易い場合に本態様を採用することで、上述した作用効果が顕著に奏功される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プラテンフレームと可動刃との間に紙片が入り込むのを抑制し、可動刃の誤作動を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[サーマルプリンタ]
図1は、プリンタカバー6の閉位置におけるサーマルプリンタ10を示す斜視図である。
図2は、サーマルプリンタ10の内部構造を示す斜視図である。
図1、
図2に示すように、本実施形態のサーマルプリンタ10は、図示しないロール紙から引き出された記録紙P(感熱紙)に対して印字を行うものである。サーマルプリンタ10は、印字ユニット1と、ロール紙を収容するケーシング4と、を備えている。
【0019】
ケーシング4は、いわゆるクラムシェル型(分離型)のものである。具体的に、ケーシング4は、ケーシング本体5と、プリンタカバー6と、を備えている。なお、本実施形態では、
図1に示すプリンタカバー6の閉位置において、紙面に対して右下側(プリンタカバー6側)を前方(矢印FW方向)、左上側(ケーシング本体5側)を後方(矢印BA方向)、上側を上方、下側を下方としている。この場合、記録紙Pは前方FWに排出されるものとする(いわゆる、前出しタイプ)。また、前後方向L1及び上下方向L2に対して直交する方向を左右方向L3とする。そのため、各図によっては各方向が逆になる場合もある。
【0020】
図2に示すように、ケーシング本体5は箱型に形成されている。ケーシング本体5は、ロール紙を収容するロール紙収容部5aを有している。ロール紙収容部5aは、前方に向けて開口している。
【0021】
図1に示すように、プリンタカバー6は、図示しないヒンジ部を介してケーシング本体5に回動可能に連結されている。プリンタカバー6の閉位置において、ケーシング本体5の開口縁と、プリンタカバー6の先端縁(閉位置における上端縁)と、の間には、ロール紙から引き出される記録紙Pを前方に排出する排出口8が形成されている。なお、
図1における符号9は、プリンタカバー6の開操作を行うための解除レバーである。
【0022】
<印字ユニット>
印字ユニット1は、プリンタカバー6に設けられたプラテンユニット(他方のユニット)2と、ケーシング本体5に設けられたヘッドユニット(一方のユニット)3と、を備えている。
【0023】
<ヘッドユニット>
図3は、
図1のIII−III線に相当する断面図である。
図1、
図3に示すように、ヘッドユニット3は、ケーシング本体5のうち、上述した排出口8よりも上方に位置する部分に組み付けられている。
図3に示すように、ヘッドユニット3は、ヘッドフレーム12と、ヘッドフレーム12に組み付けられたサーマルヘッド(印字ヘッド)13及び固定刃14と、を主に備えている。
【0024】
ヘッドフレーム12は、ケーシング本体5における上壁の内面のうち、前側に位置する部分に固定されている。
サーマルヘッド13は、左右方向L3に沿って延在する板状に形成されている。サーマルヘッド13には、複数の発熱素子(不図示)が左右方向L3に並んで配列されている。サーマルヘッド13は、発熱素子が下方を向くようにヘッドフレーム12に支持されている。なお、サーマルヘッド13は、サーマルヘッド13とヘッドフレーム12との間に介在するヘッド付勢部材15によって下方に付勢されている。
【0025】
固定刃14は、ヘッドフレーム12のうちサーマルヘッド13よりも前方に位置する部分に固定されている。固定刃14は、左右方向L3に延びる板状に形成されている。固定刃14は、刃先14aを下向きにした状態でヘッドフレーム12に固定されている。
図3の例において、固定刃14の刃先14aは、前方から見た正面視で排出口8の上端開口縁と重なる位置に配置されている。なお、固定刃14は、固定刃14とヘッドフレーム12との間に介在する可動刃付勢部材17によって前方に向けて付勢されている。
【0026】
<プラテンユニット>
プラテンユニット2は、プリンタカバー6における先端部(閉位置における上端部)の内面に組み付けられている。具体的に、プラテンユニット2は、プラテンローラ21と、可動刃22と、プラテンローラ21を回動可能に支持するプラテンフレーム23と、可動刃22を支持する可動刃フレーム24と、を備えている。
可動刃フレーム24は、プリンタカバー6における上部内面に固定されている。すなわち、プラテンユニット2は、可動刃フレーム24を介してプリンタカバー6に固定されている。なお、
図2では、可動刃フレーム24の図示を省略している。
【0027】
図4は、プラテンフレーム23を前方から見た斜視図である。
図3、
図4に示すように、プラテンフレーム23は、可動刃フレーム24の後方に組み付けられている。具体的に、プラテンフレーム23は、可動刃ガイド壁31と、プラテン収容部32と、を有している。
【0028】
可動刃ガイド壁31は、可動刃フレーム24に対して後方に対向して配置されている。前後方向L1において、可動刃ガイド壁31と可動刃フレーム24との間の隙間は、可動刃22が収容された可動刃収容部35を構成している。可動刃収容部35は、少なくとも上方に向けて開口している。また、可動刃ガイド壁31の下端部のうち、左右方向L3における一部には、センサ支持壁37が連設されている。センサ支持壁37は、可動刃ガイド壁31から前方に向けて突設されている。
センサ支持壁37には、可動刃22の位置を検出するセンサ40(
図3参照)が配設されている。センサ40は、例えば発光部及び受光部が対向配置されてなる光学センサである。
【0029】
プラテン収容部32は、可動刃ガイド壁31における上下方向L2の中途部から後方に連設されている。プラテン収容部32は、プラテンローラ21を左右方向L3の両側、下方及び後方から取り囲んでいる。
【0030】
図3に示すように、プラテンローラ21は、左右方向L3に延びる円柱状に形成されている。プラテンローラ21は、左右方向L3の両端部(プラテン軸部)がプラテン収容部32に回転可能に支持された状態で、プラテン収容部32内に収容されている。この場合、プラテンローラ21は、少なくとも上部がプラテン収容部32から上方に突出した状態でプラテン収容部32に収容されている。プラテンローラ21の外周面のうちプラテン収容部32から上方に突出した部分には、プリンタカバー6の閉位置において、サーマルヘッド13が上方から密接する。なお、プラテンローラ21は、図示しないプラテン駆動モータの動作により左右方向を回転軸として回転する。また、印字ユニット1において、プラテンローラ21とサーマルヘッド13との接触位置からケーシング4の排出口8に至る通紙経路では、記録紙Pが前後方向L1に沿って搬送される(
図5参照)。すなわち、上述した通紙経路では、搬送方向の下流側が前方、搬送方向の上流側が後方となる。
【0031】
可動刃22は、上下方向L2(可動刃22の移動方向)にスライド移動可能に可動刃収容部35内に収容されている。具体的に、
図2、
図3に示すように、可動刃22は、可動刃本体41と、可動刃本体41を保持するホルダ42と、を有している。なお、可動刃22は、上述した固定刃14とともにカッター機構を構成している。
【0032】
図2に示すように、可動刃本体41の刃先41aは、前方から見た正面視でV字状に形成されている。すなわち、可動刃本体41は、根元から刃先41aまでの長さが左右方向L3の両端部から中央部に向かって漸次短くなるように形成されている。前方から見た正面視において、可動刃本体41は、少なくとも刃先41aにおける左右方向L3の中央部が排出口8の下端開口縁よりも下方に配置される。なお、可動刃本体41は、上方から見た平面視において、左右方向L3の両端部から中央部に向かうに従い後方に向けて僅かに反っている。
【0033】
ホルダ42は、左右方向L3に延びる板状に形成されている。ホルダ42は、可動刃本体41を保持する保持プレート45と、保持プレート45における左右方向L3の両端部に形成されたガイドレール46と、を備えている。
図2、
図3に示すように、保持プレート45は、可動刃本体41の刃先41aを上方に突出させた状態で、可動刃本体41を前方及び下方から保持している。本実施形態において、可動刃本体41の後面は、保持プレート45から後方に露出している。したがって、可動刃本体41の後面は、上述した可動刃ガイド壁31に前後方向L1で対向している。
【0034】
図2に示すように、ガイドレール46は、保持プレート45よりも上方に突出している。ガイドレール46の上部には、ガイドレール46を前後方向L1に貫通するガイド孔46aが形成されている。ガイド孔46aは、上下方向L2に延在している。ガイド孔46a内には、上述した可動刃ガイド壁31に形成されたガイド突起48が後方から収容されている。ガイドレール46の下部には、上下方向L2に延びるラック47が形成されている。ラック47は、可動刃22に駆動力を伝達する可動刃駆動輪列49に噛合されている。
【0035】
可動刃22は、ケーシング本体5に設けられた図示しない可動刃駆動モータの駆動力が可動刃駆動輪列49及びラック47を介して伝達されることで、上下方向L2にスライド移動する。この場合、可動刃22は、固定刃14との間で記録紙Pを切断する切断位置と、固定刃14から下方に離間した離間位置と、の間をスライドする。切断位置において、可動刃22は、可動刃本体41が固定刃14を前方から乗り上がるように配置される。一方、離間位置とは、可動刃本体41の刃先41aが固定刃14の刃先14aから最も下方に離間した位置(ホーム位置)である。
【0036】
図3に示すように、上述した保持プレート45の下端部のうち、上述したセンサ支持壁37と上下方向L2で対向する部分には、下方に向けて突出する検出片51が形成されている。センサ40は、検出片51がセンサ40により検出されることで、可動刃22が離間位置にあることを検出する。
【0037】
ここで、
図4に示すように、上述した可動刃ガイド壁31には、前方(通紙方向の下流側)に向けて突出する複数のリブ(上側リブ53、下側リブ54及び接続リブ55)が形成されている。
上側リブ(第1リブ)53は、可動刃ガイド壁31の上端部から前方に向けて突設されている。上側リブ53は、可動刃22のスライド移動時における動作面(前後方向L1に交差する面)に対して後方から近接している。具体的に、上側リブ53は、可動刃ガイド壁31における左右方向L3の両端部以外の領域に、左右方向L3に亘って連続して形成されている。また、上側リブ53における左右方向L3の両端部には、下方に向けて延びる外側リブ56が連設されている。なお、上側リブ53は、左右方向L3に間欠的に形成しても構わない。また、上側リブ53は、可動刃ガイド壁31における左右方向L3の全域に亘って形成しても構わない。
【0038】
上側リブ53の上端面は、可動刃ガイド壁31の上端面と面一になっている。一方、上側リブ53の下端面は、可動刃22が離間位置にあるとき、可動刃本体41の刃先41aよりも上方に位置している。なお、上側リブ53は、可動刃ガイド壁31の上端面以下で、かつ下側リブ54よりも上方の範囲で任意の位置に形成することができる。
【0039】
下側リブ(第2リブ)54は、可動刃ガイド壁31のうち上側リブ53よりも下方に位置する部分から前方に向けて突設されている。下側リブ54は、前方から見た正面視において、可動刃本体41の刃先41aに倣ったV字形状に形成されている。すなわち、下側リブ54は、左右方向L3の両端部から中央部に向かうに従い下方に向けて延在している。
【0040】
下側リブ54は、可動刃ガイド壁31のうち、可動刃22が離間位置にあるときの可動刃本体41の刃先41aに対応した位置に形成されている。本実施形態において、下側リブ54の上端面は、可動刃22が離間位置にあるときに、可動刃本体41の刃先41aよりも上方に位置している。一方、下側リブ54の下端面は、可動刃22が離間位置にあるときに、可動刃本体41の刃先41aよりも下方に位置している。但し、下側リブ54の上端面は、可動刃本体41の刃先41aと同等の位置に配置されていても構わない。
【0041】
図4の例において、下側リブ54における左右方向L3の長さは、上側リブ53よりも短くなっている。但し、下側リブ54における左右方向L3の長さは、上側リブ53と同等であっても、上側リブ53よりも長くても構わない。
また、下側リブ54は、左右方向L3に連続して形成されていても、間欠的に形成されていても構わない。
図4の例において、下側リブ54における左右方向L3の一部には、下側リブ54が切除されてなる逃げ部54aが形成されている。逃げ部54aは、可動刃22のスライド移動に伴う下側リブ54とホルダ42との干渉を防ぐためのものである。
【0042】
接続リブ(第3リブ)55は、上側リブ53と下側リブ54との間を接続している。具体的に、接続リブ55は、可動刃ガイド壁31から前方に向けて突出するとともに、左右方向L3に間隔をあけて複数形成されている。この場合、接続リブ55は、左右方向L3の両側に位置するものほど、上下方向の長さが短くなっている。なお、接続リブ55の前面は、上側リブ53及び下側リブ54の前面に滑らかに連なっている。本実施形態において、各リブ53〜56の前面は、可動刃本体41の反りに倣って、左右方向L3の両端部から中央部に向かうに従い後方に向けて僅かに窪んでいる。
【0043】
本実施形態において、各リブ53〜56における前方への突出高さは、可動刃22がスライド移動する際に、可動刃本体41の刃先41aに干渉しない高さに設定されている。この場合、
図3に示すように、各リブ53〜56の前面と可動刃本体41の後面(可動刃22の動作面)との前後方向L1における距離は、各リブ53〜56の全体に亘って0.05mm以上0.5mm以下に設定することが好ましい。さらに、公差のばらつきを考慮すると、0.15mm〜0.20mm程度の距離に設定することがより好ましい。なお、各リブ53〜56において、突出高さをそれぞれ異ならせても構わない。
【0044】
[サーマルプリンタの動作方法]
図5は、サーマルプリンタ10の動作方法を説明するための説明図である。
サーマルプリンタ10では、
図5に示すように、プリンタカバー6が閉位置とされ、両ユニット2,3が組み合わさった状態において、可動刃22と固定刃14とが所望の位置に配置されるとともに、記録紙Pがプラテンローラ21とサーマルヘッド13との間に挟まれた状態となる。
【0045】
上述した状態で、図示しないプラテン駆動モータを回転させると、プラテンローラ21が回転する。これにより、記録紙Pは、プラテンローラ21とサーマルヘッド13との間で挟み込まれながら搬送される。そして、記録紙Pがサーマルヘッド13を通過する際に、サーマルヘッド13の発熱素子を適宜発熱させることで、記録紙Pに対して各種の文字や図形等を明瞭に印字することができる。
【0046】
印字された記録紙Pは、固定刃14と可動刃22との間を通過した後、排出口8を通してケーシング4の外へ排出される。そして、記録紙Pが固定刃14と可動刃22との間を所定の長さだけ通過した後、可動刃22を作動させる。具体的には、可動刃駆動モータを駆動させると、その駆動力が可動刃駆動輪列49及びラック47を介して可動刃22に伝達される。これにより、可動刃22が上方(切断位置)に向けてスライド移動する。可動刃22が切断位置に向けて移動する過程において、可動刃本体41は左右方向L3の両端部から中央部にかけて順次固定刃14の前面に乗り上げていく。そして、記録紙Pは、可動刃本体41の刃先41aと固定刃14の刃先14aとの間に挟み込まれる際に切断される。すなわち、本実施形態において、記録紙Pは左右方向L3の両端部から中央部にかけて順次切断されていく。切断された記録紙Pは、印字済み用紙Paとしてレシートやチケット等に利用することができる。なお、切断後には、可動刃駆動モータが切断時とは逆回りに回転する。これにより、可動刃22が離間位置に向けてスライド移動する。
【0047】
ところで、印字済み用紙Paは、排出口8から取り出されないままサーマルプリンタ10の排出口8付近に残っている場合がある。この場合、印字済み用紙Paにおける通紙方向の上流端部(
図5では後端部)は、巻き癖等によってカッター機構(固定刃14及び可動刃22)よりも後方に入り込むことがある(
図5における符号Pb)。この状態で、次に印字される記録紙Pに対してカッター機構による切断動作が行われると、先に印字された印字済み用紙Pbの後端部が次に印字される記録紙Pとともにカッター機構により切断される。すると、先に印字された印字済み用紙Pbの後端部が細長い紙片となって印字ユニット1内に残留する。
【0048】
そこで、本実施形態では、可動刃ガイド壁31から前方に向けて突出する上側リブ53及び下側リブ54を備える構成とした。
この構成によれば、可動刃22と可動刃ガイド壁31との前後方向L1の隙間を縮小することができる。これにより、仮に印字ユニット1内に紙片等が存在している場合であっても、紙片等が可動刃22と可動刃ガイド壁31との間の隙間を通って可動刃収容部35内に進入するのを抑制できる。
【0049】
特に、本実施形態では、上側リブ53及び下側リブ54が上下方向L2に間隔をあけて配置される構成とした。
この構成によれば、可動刃22がスライド移動する過程において、紙片等が可動刃収容部35内に引き込まれる際に、仮に可動刃22と上側リブ53との隙間を紙片等が通過したとしても、下側リブ54によって紙片等の引き込みを抑制できる。
そして、紙片等が可動刃収容部35内に進入するのを抑制できるので、センサ40が紙片等に覆われる、或いはセンサ40から投光された光が意図せず紙片等に遮られる等してセンサ40が誤検出するのを抑制し、可動刃22の誤作動を抑制できる。その結果、信頼性の高い印字ユニット1を提供できる。
【0050】
なお、本実施形態では、可動刃ガイド壁31にリブ(例えば、リブ53,54)を形成するだけの構成であるため、可動刃ガイド壁31自体を肉厚にして可動刃ガイド壁31と可動刃22とを近接する場合に比べて材料コストの増加を抑制できる。また、上側リブ53と下側リブ54とを離間させて設けることで、可動刃ガイド壁31自体を肉厚に形成する場合に比べて公差のばらつきを抑え、上側リブ53及び下側リブ54を高精度に形成できる。さらに、仮に可動刃22のスライド移動時に可動刃22と可動刃ガイド壁31とが接触したとしても、可動刃22と可動刃ガイド壁31との間に作用する摺動抵抗の増加を抑制できる。
【0051】
本実施形態では、下側リブ54が離間位置にある可動刃本体41の刃先41aに対応する位置に設けられた構成とした。
この構成によれば、離間位置において可動刃22と可動刃ガイド壁31との間の隙間を縮小することができるので、可動刃22と可動刃ガイド壁31との間の隙間を通って紙片等が可動刃収容部35内に進入するのを抑制できる。
また、記録紙Pの切断後、印字済み用紙Pcの後端部が可動刃本体41の刃先41a上に残留した場合には、印字済み用紙Pcの後端部が下側リブ54に接触することになる。これにより、印字済み用紙Pcの後端部が可動刃22と可動刃ガイド壁31との間の隙間を通って可動刃収容部35内に進入するのを抑制できる。
さらに、印字済み用紙Pcの後端部が下側リブ54に前方から接触した状態で、次の記録紙Pに対する切断動作が行われると、印字済み用紙Pcの後端部は上方に押し上げられることになる。これにより、印字済み用紙Pcが排出口8へ案内されることになり、紙片自体の発生を抑制することもできる。
【0052】
本実施形態では、上側リブ53及び下側リブ54間を接続する接続リブ55を有する構成とした。
この構成によれば、印字済み用紙Paの後端部が上側リブ53及び下側リブ54の間に進入しようとした場合に、印字済み用紙Paの後端部が接続リブ55に接触することになる。これにより、印字済み用紙Paの後方への移動を規制し、上側リブ53及び下側リブ54の間に印字済み用紙Paの後端部が進入するのを抑制できる。その結果、紙片の発生を確実に抑制できる。
【0053】
本実施形態では、各リブ53〜56と可動刃22との間の隙間が0.5mm以下に設定されているため、可動刃22と可動刃ガイド壁31との間への紙片等や印字済み用紙Paの進入を効果的に抑制できる。
【0054】
そして、本実施形態のサーマルプリンタ10によれば、上述した印字ユニット1を備えているので、印字ユニット1の動作や制御の異常が発生するのを抑制し、信頼性の高いサーマルプリンタ10を提供できる。
【0055】
また、プラテンユニット2がヘッドユニット3に対して下方に配置され、印字済み用紙Paを前方に排出する、いわゆる前出しタイプのサーマルプリンタ10に本実施形態を採用した。
この構成によれば、可動刃22と可動刃ガイド壁31との間に紙片等が進入し易い前出しタイプのサーマルプリンタ10に本実施形態を採用することで、上述した作用効果が顕著に奏功される。
【0056】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲においてさまざまな変形例が考えられる。
例えば、上述した実施形態ではヘッドユニット3に固定刃14を設け、プラテンユニット2に可動刃22を設けた例について説明したが、これに限られない。すなわち、ヘッドユニット3に可動刃22を設け、プラテンユニット2に固定刃14を設けても構わない。この場合には、ヘッドユニット3に設けられた可動刃ガイド壁に各リブが配設されることになる。
上述した実施形態では、可動刃22が固定刃14に対して下方に配置された場合について説明したが、これに限らず、固定刃14が可動刃22に対して下方に配置されていても構わない。
上述した実施形態では、印字済み用紙Paを前方に排出する構成について説明したが、これに限らず、例えば上方に向けて印字済み用紙Paを排出する構成であっても構わない。
【0057】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に書き換えることは適宜可能である。