(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
樹脂材料を硬化して所定の断面形状の樹脂硬化層を順次積層することにより三次元造形物を造形する三次元造形装置において、前記三次元造形物を造形するための三次元データを作成する三次元データ作成装置であって、
前記三次元データは、ユーザが入力する二次元の図形に基づいて作成されるものであって、内部空間を備えるXYZ座標空間のXY平面の図形を表示する図形情報と、Z軸方向の高さを表示する高さ情報と、前記内部空間の一部に配置されたサポート部材を表示するサポート情報とを有し、
前記情報を表示する表示装置と、
ユーザによる前記情報に関する操作が入力される入力装置と、
前記三次元データの作成を支援する作成支援装置と、
を備え、
前記作成支援装置は、
前記入力装置によって入力された前記図形情報に基づいて、前記XYZ座標空間の前記XY平面上に前記内部空間を備えた前記図形を作成する図形作成部と、
前記入力装置によって入力された前記サポート情報に基づいて、前記作成された図形の前記内部空間の一部に前記サポート情報に対応するサポート部材を作成するサポート作成部と、
前記入力装置によって入力された前記高さ情報に基づいて、前記サポート部材を含む前記作成された図形および/または前記サポート部材を含む前記作成された図形が相似に拡大または縮小された相似図形を前記高さ情報分だけZ軸方向に複製することによって、前記三次元データを作成するデータ作成部と、を備えている、三次元データ作成装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る三次元データ作成装置を備えた三次元造形システムについて説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る三次元造形システム10の斜視図である。三次元造形システム10は、三次元造形物を造形するシステムである。三次元造形システム10は、三次元造形装置20と、三次元データ作成装置70とを備えている。三次元造形装置20は、三次元造形物の断面形状を表すスライス画像を用意し、樹脂材料を硬化して、スライス画像に沿った断面形状の樹脂硬化層を順次積層することによって、三次元造形物を造形する装置である。ここで、「断面形状」とは、三次元造形物を所定の厚み(例えば、0.1mm)ごとにスライスしたときの断面の形状である。本実施形態では、樹脂材料として熱可塑性樹脂を用いる場合を例に説明する。
【0012】
以下の説明では、左、右、上、下とは、三次元造形装置20の正面にいる作業者から見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、三次元造形装置20から上記作業者に近づく方を前方、遠ざかる方を後方とする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、三次元造形装置20の設置態様を何ら限定するものではない。
【0013】
図1に示すように、三次元造形装置20は、ハウジング22と、造形ヘッド30と、加工ヘッド40と、造形テーブル50と、制御装置55と、キャリッジ60とを備えている。
【0014】
図1に示すように、ハウジング22は、右側壁22Aと、左側壁22Bと、底壁22Cと、後壁22Dと、上壁22Eとを備えている。ハウジング22には、その上側から前側に渡って開口23が形成されている。ハウジング22には、開口23を覆う図示しないカバーが設けられている。
【0015】
図1に示すように、キャリッジ60は、ハウジング22内に配置されている。キャリッジ60は、ハウジング22内に配置された一対の第1ガイドレール61に移動自在に設けられている。キャリッジ60は、第1ガイドレール61に沿って左右方向に移動可能である。左右方向に延びる第1ガイドレール61は、右側壁22Aと左側壁22Bとに接続されている。キャリッジ60は、第1モータ60A(
図2参照)の駆動力を受けて左右方向に移動する。第1モータ60Aは、制御装置55によって制御される。キャリッジ60は、一対の第2ガイドレール62と、一対の第3ガイドレール63とを備えている。第2ガイドレール62および第3ガイドレール63は、上下方向に延びる。第2ガイドレール62は、第3ガイドレール63の右方に配置されている。
【0016】
造形ヘッド30は、熱可塑性樹脂38を吐出する。
図1に示すように、造形ヘッド30は、ハウジング22内に配置されている。造形ヘッド30は、キャリッジ60に設けられている。キャリッジ60が左右方向に移動することによって、造形ヘッド30も左右方向に移動する。造形ヘッド30は、第2ガイドレール62に移動自在に設けられている。造形ヘッド30は、造形ヘッド本体部32と、熱可塑性樹脂38を吐出するノズル34と、ヒータ35と、一対のローラギア36とを備えている。造形ヘッド本体部32は、第2ガイドレール62に移動自在に設けられている。造形ヘッド本体部32は、第2モータ30A(
図2参照)の駆動力を受けて上下方向に移動する。これにより、造形ヘッド30は、上下方向に移動する。第2モータ30Aは、制御装置55によって制御される。キャリッジ60の上方には、カートリッジ37が配置されている。カートリッジ37は、熱可塑性樹脂38を収容する。ノズル34は、カートリッジ37から搬送された熱可塑性樹脂38を造形テーブル50に吐出する。ノズル34のノズル径は変更可能に構成されている。ノズル径を大きくすることで、三次元造形物の造形を速く行うことができる。また、ノズル径を小さくすることで、三次元造形物をより精度よく造形することができる。ヒータ35は、カートリッジ37から搬送された熱可塑性樹脂38に熱を加える。ヒータ35は、造形ヘッド本体部32に取り付けられている。ヒータ35は、ノズル34より上方に配置されている。ローラギア36は、造形ヘッド本体部32に設けられている。一対のローラギア36は、相互に離間して配置されている。ローラギア36は、第3モータ36A(
図2参照)の駆動力を受けて回転する。第3モータ36Aは、制御装置55によって制御される。カートリッジ37から搬送された熱可塑性樹脂38は、一対のローラギア36間を通過する。ローラギア36が回転することによって、熱可塑性樹脂38は、ノズル34に搬送され、ノズル34から造形テーブル50に吐出される。熱可塑性樹脂38は、ヒータ35の熱によって柔らかくなり、柔らかい状態でノズル34から造形テーブル50に吐出される。造形テーブル50に吐出された熱可塑性樹脂38は、その後硬化する。造形ヘッド30は、制御装置55において作成されたスライス画像に対応する所定の断面形状の樹脂硬化層を順次積層する。これにより、所望の三次元造形物が造形される。
【0017】
加工ヘッド40は、硬化した熱可塑性樹脂38から形成された三次元造形物の表面を加工する。
図1に示すように、加工ヘッド40は、ハウジング22内に配置されている。加工ヘッド40は、キャリッジ60に設けられている。キャリッジ60が左右方向に移動することによって、加工ヘッド40も左右方向に移動する。加工ヘッド40は、第3ガイドレール63に移動自在に設けられている。加工ヘッド40は、造形ヘッド30より左方に配置されている。加工ヘッド40は、造形ヘッド30と一体となって移動する。加工ヘッド40は、加工ヘッド本体部42と、スピンドル44と、スピンドル44に着脱自在に取り付けられた加工ツール45と、スピンドル44を回転させるモータ46とを備えている。スピンドル44は、加工ツール45を回転させる。加工ヘッド本体部42は、第3ガイドレール63に移動自在に設けられている。加工ヘッド本体部42は、第4モータ40A(
図2参照)の駆動力を受けて上下方向に移動する。これにより、加工ヘッド40は、上下方向に移動する。第4モータ40Aは、制御装置55によって制御される。スピンドル44は、加工ヘッド本体部42に取り付けられている。モータ46は、加工ヘッド本体部42に取り付けられている。モータ46は、スピンドル44より上方に配置されている。
【0018】
造形テーブル50は、ノズル34から吐出された熱可塑性樹脂38を保持する。造形テーブル50上に三次元造形物が造形される。造形テーブル50は、ハウジング22内に配置されている。造形テーブル50は、造形ヘッド30および加工ヘッド40の下方に配置されている。造形テーブル50は、底壁22Cより上方に設けられている。造形テーブル50は、底壁22Cに設けられた図示しないガイドレールに移動自在に設けられている。造形テーブル50は、第5モータ50A(
図2参照)の駆動力を受けて前後方向に移動する。第5モータ50Aは、制御装置55によって制御される。
【0019】
制御装置55は、三次元造形物の造形および三次元造形物の加工を制御する。詳しくは、制御装置55は、造形ヘッド30、加工ヘッド40、造形テーブル50およびキャリッジ60などを制御する。制御装置55は、三次元データ作成装置70によって作成された三次元データに基づいて、造形ヘッド30および加工ヘッド40を制御する。なお、制御装置55の構成は特に限定されない。例えば、制御装置55は、コンピュータであり、中央演算処理装置(以下、CPUという。)と、CPUが実行するプログラムなどを格納したROMと、RAMなどを備えていてもよい。
【0020】
図2に示すように、制御装置55は、記憶部56と、スライス画像作成部57と、第1パスデータ作成部58Aと、第2パスデータ作成部58Bと、第3パスデータ作成部58Cとを備えている。なお、三次元データとは、点群データ、即ちXYZ座標値を表す三次元座標データである。
【0021】
記憶部56は、三次元データ作成装置70によって作成される三次元データを記憶する。記憶部56は、三次元データに基づいて造形された三次元造形物の位置情報を記憶する。ここで、三次元造形物の位置情報とは、例えば、三次元造形物の原点情報と、その原点情報を基準にした三次元造形物の表面形状を表す外形情報との両方を含む。三次元造形物の位置情報とは、三次元造形物の表面形状に基づいた三次元座標データである。
【0022】
スライス画像作成部57は、三次元データ作成装置70によって作成された三次元データで表される三次元モデルを所定の間隔でスライスして、三次元造形物の断面形状に対応したスライス画像を複数作成する。
【0023】
第1パスデータ作成部58Aは、作成された複数のスライス画像に基づいて、造形ヘッド30の移動経路を示す第1パスデータを作成する。作成された第1パスデータは、記憶部56に記憶される。制御装置55は、第1パスデータを用いて、造形ヘッド30等を制御し、三次元造形物を造形する。
【0024】
第2パスデータ作成部58Bは、作成された三次元データに基づいて、造形された三次元造形物に対する加工ヘッド40の移動経路を示す第2パスデータを作成する。第2パスデータは、加工ヘッド40の加工ツール45が三次元造形物の表面全体をなぞる移動経路を示す。即ち、実際に造形された三次元造形物が、三次元データに基づいて理論上造形される三次元造形物より大きい場合には、その差分だけ加工ツール45に削り取られることになる。作成された第2パスデータは、記憶部56に記憶される。制御装置55は、第2パスデータを用いて、加工ヘッド40等を制御し、三次元造形物の表面を加工する。
【0025】
第3パスデータ作成部58Cは、後述する図形表示部75e(
図7参照)において作成された加工図形に基づいて、表面が加工された三次元造形物に対する加工ヘッド40の移動経路を示す第3パスデータを作成する。第3パスデータは、加工ツール45が三次元造形物の所定の部分に加工図形を作成するときの移動経路を示す。作成された第3パスデータは、記憶部56に記憶される。制御装置55は、第3パスデータを用いて、加工ヘッド40等を制御し、三次元造形物の表面に模様等を付加する。
【0026】
以上、本実施形態に係る三次元造形装置20の構成について説明した。三次元造形装置20では、制御装置55が造形ヘッド30および加工ヘッド40をどのように制御するのかなどを示した三次元データが必要である。本実施形態では、三次元造形装置20による三次元造形物の造形に先立って、造形する三次元造形物の三次元データは、三次元データ作成装置70によって作成される。三次元造形装置20は、三次元データ作成装置70によって作成された三次元データに基づいて、造形ヘッド30から熱可塑性樹脂38を吐出し、かつ、加工ヘッド40によって三次元造形物の表面を加工することで、所望の三次元造形物を造形する。
【0027】
次に、三次元データ作成装置70について説明する。
図1に示すように、三次元データ作成装置70は、三次元造形装置20と別体である。三次元データ作成装置70は、三次元造形装置20に内蔵されていてもよい。例えば、三次元データ作成装置70は、公知のコンピュータであり、CPUと、CPUが実行するプログラムなどを格納したROMと、RAMなどを備えていてもよい。ここでは、コンピュータ内に保存されたプログラムを使用して、三次元造形装置20で使用する三次元データを作成する。三次元データ作成装置70は、三次元造形装置20のための専用のコンピュータであってもよく、汎用のコンピュータであってもよい。
【0028】
三次元データは、三次元造形物を造形する前に作成されるデータである。三次元データは、ユーザが入力する二次元の図形に基づいて作成される。三次元データは、図形情報と、高さ情報と、サポート情報とを有している。図形情報とは、XYZ座標空間のXY平面の図形を表示する情報である。XY平面の図形には、ユーザが入力する二次元の図形と、ユーザが入力する二次元の図形が相似に拡大または縮小された相似図形とが含まれる。図形情報には、該図形の外表面を基準にしたX軸方向および/またはY軸方向の厚み情報が含まれる。高さ情報とは、Z軸方向の高さを表示する情報である。即ち、高さ情報とは、三次元モデル74Y(
図5参照)のZ軸方向の高さを表示する情報である。サポート情報とは、該図形の内部空間の一部に配置されたサポート部材を表示する情報である。
【0029】
図3は、三次元データ作成装置70のブロック図である。
図3に示すように、三次元データ作成装置70は、表示装置71と、入力装置78と、作成支援装置80とを備えている。
【0030】
図4に示すように、表示装置71は、例えば、画面72を備えている。ここでは、画面72に表示されたボタン72aを押すことで、
図5に示すように、編集画面73が画面72に表示される。編集画面73は、造形タブ74と加工タブ75とを備えている。
【0031】
図5に示すように、造形タブ74を選択することによって、三次元データの各情報を設定する画面が表示される。編集画面73には、予め登録された二次元の図形を表示する図形選択部74aと、図形を編集する際に用いられる編集ツールを表示するツール選択部74bと、Z軸方向の高さを設定する高さ設定部74cと、図形の外表面を基準にした厚みを設定する厚み設定部74dと、XY平面上に作成された図形を表示する図形表示部74eと、三次元データに基づいて造形される三次元造形物を表示する造形物表示部74fと、予め登録されたサポート部材を表示するサポート選択部74gと、が設けられている。編集画面73において造形タブ74が選択されると、編集画面73には、図形選択部74a等が表示される。
【0032】
具体的には、例えば、図形選択部74aには、四角形、台形、円、星形等の図形が表示される。ツール選択部74bには、直線を追加するツール、図形を拡大するツール等が表示される。図形表示部74eには、XY平面上に作成された図形および作成途中の図形(以下、これらを総称してXY図形74Xとする。)が表示される。即ち、ユーザは、図形表示部74eにおいて所望のXY図形74Xを作成する。
図5に示す例では、XY図形74Xは、内部空間74XXを備えている。高さ設定部74cには、高さ入力スライダ74caと、高さ入力ボックス74cbとが設けられている。ユーザは、高さ入力スライダ74caを上下方向に移動させることによって、Z軸方向の高さhを設定することができる。また、ユーザは、高さ入力ボックス74cbに所望の寸法を入力することによって、Z軸方向の高さhを設定することができる。厚み設定部74dには、厚み入力スライダ74daと、厚み入力ボックス74dbとが設けられている。ユーザは、厚み入力スライダ74daを左右方向に移動させることによって、XY図形74Xの厚みtを設定することができる。また、ユーザは、厚み入力ボックス74dbに所望の寸法を入力することによって、XY図形74Xの厚みtを設定することができる。これにより、XY図形74Xの内部空間74XXの大きさを変更できる。造形物表示部74fには、図形表示部74eにおいて作成されたXY図形74Xを、高さ設定部74cにおいて設定された高さhだけZ軸方向に複製された三次元造形物の三次元モデル74Yがプレビュー表示される。
図6に示すように、高さhを大きくすると、三次元モデル74Yも高さhだけZ軸方向に大きくなる。
図5に示すように、サポート選択部74gには、パターン選択部74gaと、パターン太さ入力ボックス74gbとが設けられている。パターン選択部74gaには、XY平面上に作成されたXY図形74Xの内部空間74XXに配置されるサポート部材のテンプレート79A〜79Eが複数表示される。例えば、サポート部材のテンプレート79Aは、ハニカム構造のパターンである。ユーザは、パターン太さ入力ボックス74gbに所望の寸法を入力することによって、パターンの太さを設定することができる。
図6に示すように、ユーザによって、複数のテンプレート79A〜79Eのうち1つのテンプレートが選択され、かつパターンの太さが入力されると、XY図形74Xの内部空間74XXにサポート部材74Zが配置される。ここでは、テンプレート79Aが選択されている。
【0033】
図7に示すように、加工タブ75を選択することによって、作成された三次元データの所望の位置に所定の切削加工を設定する画面が表示される。編集画面73には、切削加工の種類を表示する加工選択部75aと、予め登録された二次元の加工図形を表示する図形選択部75bと、加工図形を編集する際に用いられる編集ツールを表示するツール選択部75cと、加工時の深さを設定する深さ設定部75dと、加工図形を表示する図形表示部75eと、が設けられている。編集画面73において加工タブ75が選択されると、編集画面73には、加工選択部75a等が表示される。
【0034】
具体的には、例えば、加工選択部75aには、「切り出し」、「穴あけ」および「線」等が表示される。「切り出し」とは、三次元造形物の所定の面の一部を切削して凸部を形成したり、所定の箇所を切り落としたりすることを意味する。「穴あけ」とは、三次元造形物の所定の面に穴または長穴を形成することを意味する。「線」とは、三次元造形物に所望の長さの直線状の溝を形成することを意味する。図形選択部75bには、四角形、台形、円、星形等の加工図形が表示される。ツール選択部75cには、直線を追加するツール、図形を拡大するツール等が表示される。深さ設定部75dには、深さ入力スライダ75daと、深さ入力ボックス75dbとが設けられている。ユーザは、深さ入力スライダ75daを上下方向に移動させることによって、加工図形の深さを設定することができる。また、ユーザは、深さ入力ボックス75dbに所望の寸法を入力することによって、加工図形の深さを設定することができる。図形表示部75eには、XY平面上に作成された図形および加工図形が表示され、ユーザがプレビューすることができる。即ち、ユーザは、図形表示部75eにおいて所望の加工図形を作成する。作成された加工図形のデータは、制御装置55に送信される。
【0035】
入力装置78(
図3参照)は、ユーザによって、三次元データの情報に関する操作が入力される装置である。即ち、造形タブ74および加工タブ75がそれぞれ選択されたときの編集画面73に設けられた各項目に関する操作が入力される装置である。入力装置78は、特に限定されず、例えば、キーボードおよびマウスである。ユーザは、入力装置78を操作することで、例えば、造形タブ74または加工タブ75を選択したり、図形表示部74e上にXY図形74Xを作成したり、高さ入力スライダ74caを操作してZ軸方向の高さh(即ち三次元モデル74Yの高さh)を設定したりすること等ができる。
【0036】
図3に示すように、作成支援装置80は、ユーザによって入力された二次元のXY図形74Xに基づいて、三次元造形物を造形するために用いられる三次元データの作成を支援する装置である。ここでは、作成支援装置80は、三次元造形装置20の制御装置55(
図1参照)に接続されている。三次元データ作成装置70によって作成された三次元データは、作成支援装置80を通じて制御装置55に送信される。作成支援装置80は、記憶部82と、図形作成部84と、サポート作成部86と、データ作成部88と、表示部90とを備えている。なお、上述した各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。
【0037】
記憶部82は、図形選択部74a(
図5参照)に表示される二次元の図形を複数記憶している。記憶部82は、サポート選択部74g(
図5参照)に表示されるサポート部材のテンプレート79A〜79Eを複数記憶している。上記二次元の図形やサポート部材のテンプレート79A〜79Eは、例えば、ユーザの操作によって、記憶媒体から、又はWEBサイトからダウンロード、又は他のコンピュータ(図示せず)から記憶部82に読み込まれる。また、記憶部82は、ユーザの操作によって作成された二次元の図形やサポート部材のテンプレート等を記憶する。
【0038】
図形作成部84は、入力装置78によって入力された図形情報に基づいて、XYZ座標空間のXY平面上に図形を作成する。これにより、
図5に示すように、図形表示部74eには、図形作成部84によって作成されたXY図形74Xが表示される。図形情報としては、例えば、図形選択部74aにおいて選択された二次元の図形、ツール選択部74bのツールを用いて作成されたり修正されたりした図形、厚み設定部74dにおいて設定された図形の厚み、および、図形内部に設けられた内部空間が含まれる。
【0039】
サポート作成部86は、入力装置78によって入力されたサポート情報に基づいて、図形作成部84によって作成された図形の内部空間の一部にサポート情報に対応するサポート部材を作成する。これにより、
図5に示すように、図形表示部74e(
図5参照)には、サポート作成部86によって作成されたサポート部材74ZがXY図形74Xの内部空間74XX内に表示される。なお、内部空間74XXにサポート部材74Zが配置される場合、サポート部材74Zが内部空間74XXの全体に密に充填されることはなく、内部空間74XXが依然として存在する。サポート情報としては、例えば、ツール選択部74bのツールを用いて作成されたサポート部材、パターン選択部74gaに表示される複数のテンプレート79A〜79Eのうちユーザによって選択されたテンプレート、および、パターン太さ入力ボックス74gbにおいて設定されたパターンの太さが含まれる。
【0040】
データ作成部88は、Z軸方向の高さ情報に基づいて、サポート部材を含む図形を高さ情報分だけZ軸方向に複製することによって、三次元データを作成する。Z軸方向の高さ情報としては、例えば、入力装置78によって入力される。高さ情報には、高さ設定部74cの高さ入力スライダ74caまたは高さ入力ボックス74cbにおいて設定された三次元モデル74YのZ軸方向の高さhが含まれる。なお、サポート作成部86においてサポート部材が作成されない場合、データ作成部88は、図形作成部84によって作成された図形を高さ情報分だけZ軸方向に複製することによって、三次元データを作成する。
【0041】
表示部90は、データ作成部88によって作成された三次元データに基づいて造形される三次元造形物の三次元モデル74Yを表示装置71に表示する。より具体的には、
図6に示すように、表示部90は、三次元モデル74Yを編集画面73の造形物表示部74fに表示する。
【0042】
次に、ユーザが三次元データ作成装置70を使用して三次元データを作成する手順について説明する。ここでは、表示装置71の画面72には、編集画面73は表示されておらず、ボタン72aが表示されている。まず、ユーザが入力装置78を操作してボタン72aを押すことで、
図5に示すように、編集画面73が画面72に表示される。次に、ユーザが入力装置78を操作して、図形選択部74aおよびツール選択部74bを適宜用いて、図形表示部74eに、所望の二次元の図形を作成する。また、ユーザが入力装置78を操作して、厚み設定部74dにおいて図形の厚みtを設定する。これにより、図形作成部84は、XYZ座標空間のXY平面上に内部空間74XXを備えたXY図形74Xを作成する。次に、ユーザは、パターン選択部74gaに表示される複数のテンプレート79A〜79Eのうちから例えばテンプレート79Aを選択し、パターン太さ入力ボックス74gbにパターンの太さを入力する。これにより、サポート作成部86は、XY図形74Xの内部空間74XXの一部にサポート部材74Zを作成する。
【0043】
その後、ユーザは、高さ設定部74cにおいて高さhを設定する。これにより、データ作成部88は、サポート部材74Zを含むXY図形74Xを高さhだけZ軸方向に複製することによって、三次元データを作成する。このとき、表示部90は、作成された三次元データに基づいて造形される三次元モデル74Yを造形物表示部74fに表示する。作成された三次元データは、制御装置55の記憶部56に送信される。
【0044】
以上のように、本実施形態の三次元データ作成装置70によれば、図形作成部84は、入力装置78によって入力された図形情報に基づいて、XYZ座標空間のXY平面上にXY図形74Xを作成する。そして、データ作成部88は、入力装置78によって入力された高さ情報(高さh)に基づいて、作成されたXY図形74Xを高さ情報分だけZ軸方向に複製することによって、三次元データを作成する。このように、データ作成部88は、XYZ座標空間のXY平面上に作成された二次元のXY図形74Xと、高さ情報とを用いて、三次元モデルのデータとしての三次元データを作成することができる。従って、ユーザは、入力装置78を用いて、XYZ座標空間のXY平面上に二次元のXY図形74Xを作成し、かつ、高さ情報を決定するという比較的簡単な作業によって、三次元造形物の造形に必要な三次元データを作成することができる。
【0045】
本実施形態では、
図3に示すように、作成支援装置80は、サポート作成部86を備えている。サポート作成部86は、
図6に示すように、入力装置78(
図3参照)によって入力されたサポート情報に基づいて、作成されたXY図形74Xの内部空間74XXの一部にサポート情報に対応するサポート部材74Zを作成する。このように、三次元データを用いて造形される三次元造形物は内部空間を備えているため、造形時に使用される熱可塑性樹脂38を低減することができると共に、造形された三次元造形物の軽量化を実現することができる。また、内部空間の一部にはサポート部材が形成されるため、三次元造形物が内部空間を備えていても十分な強度が確保される。
【0046】
本実施形態では、
図3に示すように、作成支援装置80は、内部空間74XX(
図6参照)の一部に配置されるサポート部材74Z(
図6参照)のテンプレート79A〜79E(
図6参照)を複数記憶した記憶部82を備えている。これにより、内部空間74XXにサポート部材74Zを作成する場合には、ユーザは記憶部82に予め記憶された複数のテンプレート79A〜79Eのうち1つのテンプレートを選択すればよい。このように、ユーザが入力装置78を用いて、XY図形74Xの内部空間74XXにサポート部材74Zを一から作成する必要がないため、サポート情報を有する三次元データを容易に作成することができる。
【0047】
本実施形態では、
図3に示すように、作成支援装置80は、作成された三次元データに基づいて造形される三次元造形物の三次元モデル74Y(
図5参照)を表示装置71(
図5参照)に表示する表示部90を備えている。これにより、ユーザは三次元データに基づいて造形される三次元モデル74Yを造形前に確認することができ、必要に応じてXY図形74X等を修正することができる。
【0048】
本実施形態では、
図1に示すように、三次元造形システム10は、三次元造形装置20と、三次元データ作成装置70とを備えている。三次元造形装置20は、三次元データ作成装置70によって作成された三次元データに基づいて、造形ヘッド30および加工ヘッド40を制御する制御装置55を備えている。熱可塑性樹脂を硬化させて複数の樹脂硬化層からなる三次元造形物を造形する場合、造形された三次元造形物の表面には凹凸が発生し得る。特に、ノズル34のノズル径を大きくして三次元造形をより速く行う場合に発生し得る。本実施形態の三次元造形装置20は、加工ヘッド40を備えているため、三次元造形物の表面を加工することができる。即ち、三次元造形物を速く行った後、加工ヘッド40によって三次元造形物の表面を加工することで、所望の三次元造形物を素早くかつ精度よく造形することができる。さらに、三次元造形物を造形する際に造形ヘッド30において用いられる三次元データは、加工ヘッド40においても用いられる。このため、加工ヘッド40用に新たな三次元データを準備することなく、三次元造形物の表面を加工することができる。
【0049】
本実施形態では、
図1に示すように、造形ヘッド30および加工ヘッド40は、キャリッジ60に設けられている。これにより、造形ヘッド30と加工ヘッド40とを一体に移動させることができる。造形ヘッド30および加工ヘッド40をそれぞれ独立させて移動させる場合と比較して、構造および制御が簡単である。また、造形ヘッド30と加工ヘッド40とが一体に移動するため、造形ヘッド30および加工ヘッド40のいずれか一方において原点調整すればよい。
【0050】
上述した実施形態では、データ作成部88は、入力されたZ軸方向の高さ情報に基づいて、サポート部材を含む図形を高さ情報分だけZ軸方向に複製することによって、三次元データを作成していたが、これに限定されない。データ作成部88は、Z軸方向の高さ情報に基づいて、サポート部材を含む図形および/またはサポート部材を含む図形が相似に拡大または縮小された相似図形を高さ情報分だけZ軸方向に複製することによって、三次元データを作成してもよい。編集画面73(
図6参照)には、サポート部材74Z(
図6参照)を含むXY図形74X(
図6参照)の拡大または縮小の程度を設定することができる図示しない図形拡縮部が設けられている。図形拡縮部では、Z軸方向の高さごとに、XY図形74Xの拡大または縮小の程度を設定することができる。
【0051】
例えば、
図8に示すように、データ作成部88によって、サポート部材74Z(
図6参照)を含むXY図形74X(
図6参照)がZ軸方向の上方に向かうほど相似に縮小された相似図形を複製することによって、四角錐の三次元モデル74Yを作成することができる。
【0052】
また、例えば、
図9に示すように、データ作成部88によって、サポート部材74Zを含む円形のXY図形74XがZ軸方向の上方に向かうほど相似に拡大された相似図形174Xを複製することによって、円錐台の三次元モデル74Yを作成することができる。
図9中の相似図形174Xは、XY図形74Xが相似に拡大された相似図形の一例である。
【0053】
さらに、例えば、
図10に示すように、データ作成部88によって、サポート部材74Zを含むXY図形74XがZ軸方向の上方に向かうほど相似に縮小された相似図形を所定の高さだけ複製して第1部分74YAを作成し、かつ、サポート部材74Zを含むXY図形74Xを所定の高さだけ複製して第2部分74YBを作成し、かつ、サポート部材74Zを含むXY図形74XをZ軸方向の上方に向かうほど相似に拡大した相似図形を所定の高さだけ複製して第3部分74YCを作成することによって、2つの円錐台74YA、74YCと、該2つの円錐台74YA、74Cの間に配置された円柱74Bと、を含む三次元モデル74Yを作成することができる。