特許第6624910号(P6624910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6624910
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】埋設式ガス栓用の化粧板
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/12 20060101AFI20191216BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   F16K27/12
   F16K27/00 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-236406(P2015-236406)
(22)【出願日】2015年12月3日
(65)【公開番号】特開2017-101766(P2017-101766A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151977
【氏名又は名称】株式会社藤井合金製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】西川 三次
(72)【発明者】
【氏名】玉城 康年
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−247305(JP,A)
【文献】 実開昭56−121827(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/12
F16K 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床板又は壁板に形成された開口を閉塞するように前記床板又は壁板の表面に添設固定されると共に、前記開口の裏側に設置されるガス栓本体のプラグ筒に接続させるソケットが挿入可能な窓部を有する埋設式ガス栓用の化粧板において、
外周縁全域から表面に向かって突出する立ち上がり部と、前記立ち上がり部に連続し且つ中央に第1開口部が形成されている平面部とからなる表プレートと、
前記表プレートの平面部の裏面に添設される平板であって、中央に、前記第1開口部と略同形同大の第2開口部が形成されている裏プレートとからなり、
前記表プレートと裏プレートは、共に鋼板のプレス成型品で、溶接により一体化されると共に、前記第1開口部と前記第2開口部で前記窓部が構成され、
前記窓部の周縁に沿って、化粧板取り外し用の工具挿入口が形成されていることを特徴とする埋設式ガス栓用の化粧板。
【請求項2】
請求項1に記載の埋設式ガス栓用の化粧板において、
前記工具挿入口は、前記裏プレートの第2開口部の周縁に形成した内方に開放する切欠であることを特徴とする埋設式ガス栓用の化粧板。
【請求項3】
請求項1に記載の埋設式ガス栓用の化粧板において、
前記開口内に、前記ガス栓本体のプラグ筒に装着させるソケットを取り外すためのソケット取り外し装置が設けられ、
前記工具挿入口は、前記ソケット取り外し装置の上面に、前記窓部の内方側に開放するように形成される凹部であることを特徴とする埋設式ガス栓用の化粧板。
【請求項4】
請求項2に記載の埋設式ガス栓用の化粧板において、
前記開口内に、前記ガス栓本体のプラグ筒に装着させるソケットを取り外すためのソケット取り外し装置が設けられ、
前記裏プレートには、前記ソケット取り外し装置に設けられる係合爪に係合させる係合片が、第2開口部の周縁から裏側へ切り起こし形成され、
前記切欠は、前記係合片の切り起こしによって第2開口部の周縁に形成される空所であることを特徴とする埋設式ガス栓用の化粧板。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の埋設式ガス栓用の化粧板において、
前記ソケット取り外し装置は、前記ガス栓本体のプラグ筒が収容され且つ開放端部側からソケットが差し込まれるケース体と、前記窓部を閉塞する閉塞姿勢と前記閉塞姿勢から90度回動させた直立開放姿勢との間で回動自在となるように前記ケース体に軸支されている開閉蓋と、前記直立開放姿勢にある開閉蓋を前記ケース体内に押込むことにより揺動操作されてソケットのロック状態を解除する揺動レバーとを備え、
前記ケース体の前記開放端部は、前記窓部と同形同大又はそれより小さく形成され、
前記工具挿入口は、前記閉塞蓋を直立開放姿勢としたときに内方に開放する前記窓部の周縁に沿った範囲に形成されていることを特徴とする埋設式ガス栓用の化粧板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋設式ガス栓用の化粧板、特に、裏側にガス栓が設置されている壁板や床板の開口を覆うようにその表面に添設させる埋設式ガス栓用の化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
床下に埋設させる埋設式ガス栓として、例えば、図5に示すものが知られている。このものは、床板(5)に形成した開口(50)内に埋め込まれたケーシング(31)内に、ガス栓本体(3)のプラグ筒(30)と、プラグ筒(30)に装着させるソケット(40)を取り外すためのソケット取り外し装置(4)とが収容されていると共に、ケーシング(31)の上方開放端から外方へ張り出させたフランジ板(32)で、開口(50)の周縁に係止させているもので、床板(5)の表面には、フランジ板(40)全体を覆う大きさ形状の化粧板(51)が添設固定されている。
【0003】
ソケット取り外し装置(4)は、プラグ筒(30)の胴部基端部近傍に揺動自在にセットされる略U字状の金属板製の揺動レバー(41)と、これを揺動操作する操作部として機能する開閉蓋(42)と、これらを具備し且つ上下に開放する略矩形筒体であってケーシング(31)内に固定されるケース体(43)とから構成されている。
揺動レバー(41)は、プラグ筒(30)の基端部近傍に位置させた支持軸(41a)を揺動支点として深さ方向に揺動自在であり、同図に示すように、直立開放姿勢とした開閉蓋(42)をケース体(43)内へ押し込むと、揺動レバー(41)の操作部(41b)が奥へ押されると同時に、押圧端部(41c)がソケット(40)の進退筒(44)を解除方向に押す。これにより、ソケット(40)のロック状態が解除され、ソケット(40)はプラグ筒(30)から取り外される。
【0004】
ソケット(40)を取り外した後、開閉蓋(42)を90度回動させて水平姿勢とすると、ケース体(43)の上方開放部は閉塞される。なお、化粧板(51)の中央部には、閉塞状態の開閉蓋(42)がちょうど嵌め込まれる窓部(52)が開放している。
【0005】
特に、床板(5)に取り付けられる化粧板(51)は、耐衝撃性及び耐摩擦性、さらには、疵や汚れが付きにくいようにすることを考慮して、亜鉛のダイカスト製品が多く採用されており、表面にはめっき加工が施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−31398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような亜鉛ダイカスト製の化粧板(51)は、強度や金属としての重厚感があるが、床面に取り付けるガス栓用の化粧板としては構造的に数mm程度の厚みが必要となる。この化粧板(51)の裏側に突設させる係止爪(図示せず)を、ソケット取外し装置ソケット取り外し装置(4)のケース体(43)に設けられている係合溝(図示せず)に嵌め込んで、床板(5)に取り付けたときの、床面から化粧板(51)の頂面までの高さは5mm程度となり、床板(5)からの突出感は否定できない。よって、バリアフリー化の建物への適用は難しい。
また、化粧板(51)を外周縁全域が床板(5)に密着する態様で取り付けると、化粧板(51)を取り外す際に、外周縁と床板(5)との間に無理矢理マイナスドライバー等の工具を差し込むこととなるので、床板(5)に疵を付けてしまう問題がある。そこで、化粧板(51)の外周縁の対向位置に、工具差込用の溝部(53)(53)が形成されている。化粧板(51)を取り外す際に、溝部(53)と床板(5)の表面との間にできる隙間(54)に工具を差し込んで引き上げることができる。
しかしながら、このものでは、隙間(54)に埃等が詰まって化粧板(51)を取り外すための工具を差し込む隙間(54)が詰まってしまうという問題が生じる。
【0008】
本発明は、『床板又は壁板に形成された開口を閉塞するように前記床板又は壁板の表面に添設固定されると共に、前記開口の裏側に設置されるガス栓本体のプラグ筒に接続させるソケットが挿入可能な窓部を有する埋設式ガス栓用の化粧板』において、全体の厚みを薄くすると共に、外周縁全域を床板又は壁板に密着させて取り付けられ、さらには、取り外す際に床板又は壁板の表面を疵つけることのない埋設式ガス栓用の化粧板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の埋設式ガス栓用の化粧板は、『外周縁全域から表面に向かって突出する立ち上がり部と、前記立ち上がり部に連続し且つ中央に第1開口部が形成されている平面部とからなる表プレートと、
前記表プレートの平面部の裏面に添設される平板であって、中央に、前記第1開口部と略同形同大の第2開口部が形成されている裏プレートとからなり、
前記表プレートと裏プレートは、共に鋼板のプレス成型品で、溶接により一体化されると共に、前記第1開口部と前記第2開口部で前記窓部が構成され、
前記窓部の周縁に沿って、化粧板取り外し用の工具挿入口が形成されている』ことを特徴とする。
【0010】
上記手段は次のように作用する。
化粧板を構成する表プレートと裏プレートは共に鋼板のプレス成型により製造されているから、亜鉛のダイカスト製品である従来の化粧板に比べて、強度を維持したまま薄肉に成型することができる。
表プレートの平面部の裏面には、裏プレートが溶接等により添設固定されていることから、第1、第2開口部で形成される窓部の周縁は表プレートと裏プレートの二重構造となっており、この構成の化粧板を、床板又は壁板に取り付けると、表プレートの外周縁の全域が床板又は壁板の表面に隙間なく添設されると共に、前記窓部の周縁に沿って化粧板取り外し用の工具挿入口が開放する構造となる。
これにより、窓部の内側からマイナスドライバー等の工具を工具挿入口に差し込んで、窓部の周縁を工具で強制的に引き上げれば、前記化粧板を床板又は壁板から取り外すことができる。
なお、窓部の周縁は、表プレートと裏プレートの二重構造であるから、工具で引き上げるには十分な強度を有する構成となっている。
【0011】
上記埋設式ガス栓用の化粧板において、『前記工具挿入口は、前記裏プレートの第2開口部の周縁に形成した内方に開放する切欠である』ものが望ましい。
窓部の周縁は、上記したように、表プレートと裏プレートの二重構造となっているが、第2開口部の周縁には内方に開放する切欠が形成されているから、切欠形成域は表プレートのみの一重構造となっており、裏プレートの肉厚分の段差が生じることとなる。この段差が生じている部分には、窓部の内方に開放する隙間が形成される態様となり、この隙間を工具挿入口として機能させることができる。
【0012】
上記埋設式ガス栓用の化粧板において、『前記開口内に、前記ガス栓本体のプラグ筒に装着させるソケットを取り外すためのソケット取り外し装置が設けられ、
前記工具挿入口は、前記ソケット取り外し装置の上面に、前記窓部の内方側に開放するように形成される凹部である』ものでは、前記開口の裏側に、ガス栓本体と共にソケット取り外し装置がセットされ、ソケット取り外し装置の上面に、前記窓部の内方に開放するように凹部が形成された構成となっている。このものでは、裏プレートの第2開口部の周縁と前記凹部とで形成される隙間が工具挿入口として機能することとなり、この隙間に窓部の内側からマイナスドライバー等の工具を差し込んで、前記化粧板を床板又は壁板から取り外すことができる。
【0013】
上記埋設式ガス栓用の化粧板において、『前記開口内に、前記ガス栓本体のプラグ筒に装着させるソケットを取り外すためのソケット取り外し装置が設けられ、
前記裏プレートには、前記ソケット取り外し装置に設けられる係合爪に係合させる係合片が、第2開口部の周縁から裏側へ切り起こし形成され、
前記切欠は、前記係合片の切り起こしによって第2開口部の周縁に形成される空所である』ものが望ましい。
このものでは、裏プレートの第2開口部の周縁から切込みを入れると共に、切込みで囲まれた範囲を、その基端部で裏側に起立させることにより、ソケット取り外し装置の係合爪に係合させるための係合片が切り起こし形成されると同時に、係合片を起立させた跡に第2開口部の周縁に形成される空所を前記切欠として利用することができる。
【0014】
上記埋設式ガス栓用の化粧板において、『前記ソケット取り外し装置は、前記ガス栓本体のプラグ筒が収容され且つ開放端部側からソケットが差し込まれるケース体と、前記窓部を閉塞する閉塞姿勢と前記閉塞姿勢から90度回動させた直立開放姿勢との間で回動自在となるように前記ケース体に軸支されている開閉蓋と、前記直立開放姿勢にある開閉蓋を前記ケース体内に押込むことにより揺動操作されてソケットのロック状態を解除する揺動レバーとを備え、
前記ケース体の前記開放端部は、前記窓部と同形同大又はそれより小さく形成され、
前記工具挿入口は、前記閉塞蓋を直立開放姿勢としたときに内方に開放する前記窓部の周縁に沿った範囲に形成されている』ものが望ましい。
このものでは、ソケットは、表プレートの第1開口部と裏プレートの第2開口部とからなる化粧板の窓部と、ソケット取り外し装置のケース体の開放端部を介して、プラグ筒に接続され、直立開放姿勢の開閉蓋をケース体内に押込むことによって、揺動レバーが解除方向に揺動操作されて、ソケットがプラグ筒から取り外せる構成となっている。ソケット取り外し装置のケース体の開放端部の大きさは、前記窓部と一致させるかまたはそれより小さく形成されているから、ソケットが取り外される際に、ソケットの一部が、前記窓部の周縁に引っ掛かって、化粧板が不用意に脱落する不都合は生じない。
また、ケース体の開放端部と窓部との関係は上記したとおりであるから、前記工具挿入口は、ケース体の上面と表プレートの第1開口部の周縁との間、又は、ケース体の上面と裏プレートの第2開口部の周縁との間に生じる隙間であって、この隙間に、マイナスドライバー等の工具を差し込んで、化粧板をソケット取り外し装置から取り外すことができる。
この隙間は、開閉蓋を直立開放姿勢としたとき、窓部の周縁のうち、直立開放姿勢にある開閉蓋が近接又は接触せず、内方に開放している範囲に形成されるようにすることにより、前記隙間にマイナスドライバー等の工具を差し込んで化粧板を取り外す際に、前記開閉蓋が邪魔になることなく、スムーズに作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、化粧板を構成する表プレートと裏プレートを鋼板のプレス製品とすることにより、樹脂製や亜鉛ダイカスト製のものと比べて、同等又はそれ以上の強度を保持しながら薄肉に形成できるので、床板又は壁板からの突出高さの低い化粧板を提供することができる。これにより、バリアフリーの建物にも適用できる。また、化粧板に大きな荷重がかかっても、撓んで荷重を吸収することができる上に、周囲の立ち上がり部を除いた範囲は表プレートと裏プレートの二重構造となっているので、衝撃に強く割れることはない。
床板又は壁板に添設固定させた化粧板は、窓部に開放するように形成させた工具挿入口にマイナスドライバー等の工具を差し込んで取り外すことができるので、化粧板の取外し時に、床板又は壁板に工具による疵をつけることがなく、容易に取り外すことができる。
さらに、化粧板は、表プレートからなる外周縁全域を床板又は壁板に密着させて取り付けられるから、化粧板の外周から水滴等が浸入する不都合がなく、工具挿入口は外周化粧板の窓部内に設けてあり、開閉蓋により窓部が閉じる構造となっているので、工具挿入口に埃が詰まることはない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本願発明の実施の形態の埋設式ガス栓用の化粧板の取付け過程を示す分解斜視図である。
図2】本願発明の実施の形態の埋設式ガス栓用の化粧板の裏面を示す斜視図である。
図3】本願発明の実施の形態の埋設式ガス栓用の化粧板の組み付け完了状態を示す斜視図であって、開閉蓋を閉塞姿勢とした状態を示している。
図4】本願発明の実施の形態の埋設式ガス栓用の化粧板の組み付け完了状態を示す斜視図であって、開閉蓋を直立開放姿勢とした状態を示している。
図5】従来の埋設式ガス栓と化粧板を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この実施の形態のガス栓は、図5に示した従来のものと同様に、略L字状のガス栓本体(3)の下流端にプラグ筒(30)が接続されていると共に、上流端には、図1に示すように、配管接続部(33)を介して、ガス管に接続される構成となっており、プラグ筒(30)が内部に突出するように、ケーシング(31)に固定されている。
【0018】
ケーシング(31)は、床板(5)に形成された開口(50)内に落とし込み可能な上方開放の金属製の筒体であって、その上方開放端縁からは、開口(50)の周縁に係止させるための略正方形状の外形を有するフランジ板(32)が張り出している。
ガス栓本体(3)は、ケーシング(31)の底壁(34)に形成された孔部(図示せず)から、プラグ筒(30)をケーシング(31)内に突出させた状態で、プラグ筒(30)の基端部が底壁(34)にネジ止めされて固定されている。
【0019】
そして、ケーシング(31)内には、プラグ筒(30)を囲むように、ソケット取り外し装置(2)が収容される。
ソケット取り外し装置(2)は、ケーシング(31)内に固定される樹脂製のケース体(20)と、図示しないが、プラグ筒(30)の胴部基端部近傍に位置するようにケース体(20)の下方開放端近傍に揺動自在に軸支される略U字状の金属板製の揺動レバーと、これを揺動操作する操作部として機能する略矩形状の開閉蓋(22)とを備え、ケース体(20)は、相互に対向する箇所にそれぞれ貫通させたボルト挿通孔(28)(28)に、固定ボルト(29)(29)をそれぞれ挿通させると共に、ケーシング(31)の底壁(34)に設けたネジ孔(35)(35)に螺合させることにより固定される。
【0020】
開閉蓋(22)は、ケース体(20)の対向する両外側面に、コイルバネ(23)を介して回動自在に軸支されている腕部(21)に連設されており、ケース体(20)の上端に形成されている矩形凹み部(24)にちょうど収容される閉塞姿勢に付勢された状態から90度回動させた直立開放姿勢に至る範囲で開閉自在となっている。
また、ケース体(20)には、プラグ筒(30)及びソケットが挿通可能な大きさの断面略半円形の筒部(27)が矩形凹み部(24)に開放するように形成されている。筒部(27)は、円弧状部分が矩形凹み部(24)の一方の短辺(24a)に近接すると共に、矩形凹み部(24)の他方の短辺(24b)に向かって開放するように形成されており、直立開放姿勢の開閉蓋(22)はケース体(20)内のうち、前記他方の短辺(24b)に沿った開放部分に収容される。
【0021】
揺動レバーは、従来のものとほぼ同様な構成であり、プラグ筒(30)の基端部近傍に、ケーシング(1)の深さ方向に揺動自在に設置されているもので、直立開放姿勢の開閉蓋(22)をケース体(20)の奥へ押し込むと、揺動レバーの一端が開閉蓋(22)によって奥へ押されて揺動レバーが揺動し、他端がソケットの進退筒を解除方向に押す。これにより、ソケットの前記ロック状態が解除され、ソケットはプラグ筒(30)から取り外される。
【0022】
フランジ板(32)が床板(5)の開口(50)の周辺に係止されるように、ガス栓本体(3)が固定されたケーシング(31)を開口(50)内に落とし込むと共に、ケーシング(31)内にソケット取り外し装置(2)を収容固定し、フランジ板(32)全体を包囲するように、化粧板(1)を床板(5)の表面に添設させる。
化粧板(1)の中央部には、ケース体(20)の矩形凹み部(24)に一致する大きさ形状の窓部(10)が開口しており、矩形凹み部(24)は上記したように、閉塞姿勢にある開閉蓋(22)がちょうど収容される大きさ形状に設定されていることから、化粧板(1)を、ソケット取り外し装置(2)のケース体(20)に取り付けると、ソケット取り外し装置(2)の開閉蓋(22)は、図3に示すように、化粧板(1)の窓部(10)を閉塞させる開閉蓋としても機能することとなる。
【0023】
化粧板(1)は、図1及び図2に示すように、略正方形状の外周縁(11a)から上方へ向かって内方へ傾斜する断面円弧状の立ち上がり部(11b)と、立ち上がり部(11b)に連続する平面部(11c)とからなる表プレート(11)と、表プレート(11)の平面部(11c)の裏面に溶接等により添設固定される裏プレート(12)とから構成されている。
【0024】
これら表プレート(11)及び裏プレート(12)は共に鋼板のプレス成型により製造され、表プレート(11)の肉厚は1.0mmに、裏プレート(12)の肉厚は0.8mmに仕上げられている。表プレート(11)の平面部(11c)は、裏プレート(12)が添設固定されることにより二重構造となっており、外周縁(11a)に続く立ち上がり部(11b)は、表プレート(11)のみの一重構造となっている。
表プレート(11)の外周縁(11a)を床板(5)に密着させた状態にて、床板(5)から平面部(11c)の表面までの全高は、約3mmとなっている。
また、フランジ板(32)の厚みを0.8mmとしているので、床板(5)から表プレート(11)の裏面までの高さ2mmに対して、裏プレート(12)とフランジ板(32)を2mmの空間に収めることができる。よって、表プレートの外周縁(11a)は床板(5)から浮き上がることなく密着させることができる。
【0025】
表プレート(11)の平面部(11c)の中央及び、裏プレート(12)の中央には、矩形の第1、第2開口部(13)(14)がそれぞれ形成されており、これら第1、第2開口部(13)(14)で化粧板(1)の窓部(10)が構成されている。これにより窓部(10)の周縁は、第1、第2開口部(13)(14)の周縁が重なりあった二重構造となっている。
なお、化粧板(1)をソケット取り外し装置(2)のケース体(20)に取り付けた状態にて、図3に示すように、表プレート(11)の平面部(11c)の表面と閉塞状態にある開閉蓋(22)の表面とは面一となるように設定されている。
【0026】
裏プレート(12)の裏面には、ソケット取り外し装置(2)のケース体(20)に設けられている係合爪(25a)〜(25d)にそれぞれワンウェイ係合する係止片(15a)〜(15d)が、第2開口部(14)の周縁から切り起こし形成されている。また、矩形凹み部(24)の一方の短辺(24a)側に位置するケース体(20)の上面には、細長孔(26)が形成されており、これに対応する化粧板(1)の裏面には、裏プレート(12)の外周縁から切り起こし形成された挿入片(16)が突設されている。
【0027】
係止片(15a)〜(15d)のうち、挿入片(16)寄りに位置する2つの係止片(15a)(15b)は、矩形の第2開口部(14)の両長辺の、挿入片(16)寄りの一端をそれぞれ略L字状に切り欠くと共に、挿入片(16)と平行となるように起立させたものであり、これら係止片(15a)(15b)を起立させた跡には、第2開口部(14)の周縁に開放する空所が形成され、この空所が切欠(17)(17)となる。
すなわち、図2に示すように、化粧板(1)の裏面にて、切欠(17)(17)の形成域は、表プレート(11)の平面部(11c)のみとなり、窓部(10)の周縁には、裏プレート(12)の肉厚に相当する段差が形成される態様となる。
なお、他の係止片(15c)(15d)は、第2開口部(14)のうち、ケース体(20)の矩形凹み部(24)の他方の短辺(24b)に対応する側の短辺に開放するように切り起こし形成されている。
【0028】
化粧板(1)をソケット取り外し装置(2)に装着した状態にて、第1、第2開口部(13)(14)からなる化粧板(1)の窓部(10)と、ソケット取り外し装置(2)のケース体(20)の矩形凹み部(24)とは、同形同大に設定されているから、矩形凹み部(24)の上端縁にて、裏プレート(12)における切欠(17)(17)の形成域には、矩形凹み部(24)の上端に続くケース体(20)の上面と表プレート(11)との間に、裏プレートの肉厚分に相当する隙間(18)が内方に開放するように形成される態様となる。この隙間(18)が、工具挿入口として機能する。
【0029】
このガス栓を床板(5)に取り付けるには、まず、床板(5)の開口(50)に、ガス栓本体(3)を固定させたケーシング(31)を落とし込み、フランジ板(32)を開口(50)の周辺に係止させると共に、ケーシング(31)内のプラグ筒(30)の周囲を囲むようにソケット取り外し装置(2)をケーシング(31)の底壁(34)に固定する。
そして、ソケット取り外し装置(2)のケース体(20)に形成されている係合爪(25a)〜(25d)に、係止片(15a)〜(15d)をワンウェイ係合させると共に、細長孔(26)に挿入片(16)を挿入して位置決めすることにより、化粧板(1)をソケット取り外し装置(2)に取り付ける。
【0030】
この取付状態にて、化粧板(1)を構成している表プレート(11)の外周縁(11a)は、フランジ板(32)の外側にて、全周域が床板(5)に密着するように取り付けられるから、化粧板(1)の外周縁(11a)から水滴等がケーシング(31)内に浸入する不都合がなく、工具挿入口は化粧板(1)の窓部(10)内に開放するように設けてあり、開閉蓋(22)により窓部(10)が閉じる構造となっているので、工具挿入口に埃が詰まることはない。
【0031】
また、表プレート(11)と裏プレート(12)は鋼板のプレス製品であるから、樹脂製や亜鉛ダイカスト製の化粧板に比べて薄肉に形成することが可能であるにも関わらず、同等か又はそれ以上の強度を有し、化粧板(1)は外部からの衝撃に対して十分な強度を有すると共に、撓んで荷重を吸収することができるので、化粧板(1)が割れる不都合はない。また、摩擦による疵にも強いものとなる。
また、床板(5)から表プレート(11)の平面部(11c)までの高さは、上記したように、僅か3mm程度である上に、外周縁(11a)から平面部(11c)に至る間は、円弧状の傾斜面である立ち上がり部(11b)で形成されているから、バリアフリーの建物にも適用できる。
【0032】
床板(5)に添設させた化粧板(1)を取り外すには、開閉蓋(22)を回動させて直立開放姿勢とし、図4に示すように、ソケット取り外し装置(2)のケース体(20)の上面と、表プレート(11)の裏面との間に、内方へ開放するように形成された隙間(18)に、マイナスドライバー等の工具を差し込んで、てこの要領で引き上げれば、化粧板(1)をケース体(2)から取り外すことができるので、化粧板(1)の取外し時に、床板(5)の表面に工具が当たって疵をつけることがない。
なお、上記実施の形態では、隙間(18)は、開閉蓋(22)を直立開放姿勢としたとき、窓部(10)の周縁のうち、開閉蓋(22)に接触または近接していない箇所に形成される構造としたから、化粧板(1)の取外し時に、開閉蓋(22)が邪魔になることなく、隙間(18)にマイナスドライバー等の工具を挿入させることができる。
【0033】
上記実施の形態では、表プレート(11)の第1開口部(13)と、裏プレート(12)の第2開口部(14)と、ソケット取り外し装置(2)のケース体(20)の矩形凹み部(24)をほぼ同大の矩形状としたが、第2開口部(14)を第1開口部(13)より僅かに大きく、また、矩形凹み部(24)を第1開口部(13)より小さく形成してもよい。第2開口部(14)を第1開口部(13)より僅かに大きく構成することで、ケース体(20)の上面と(1)の裏面との間に、切欠(17)による隙間(18)を確実に生じさせることができ、矩形凹み部(24)を第1開口部(13)より小さく形成することにより、ソケットの取外しの際に、ソケットの一部や指が化粧板(1)窓部(10)に引っ掛かって、化粧板(1)が不用意に外れるといった不都合がない。
【0034】
なお、上記実施の形態では、裏プレート(12)の第2開口部(14)の周縁に切欠(17)を形成し、ケース体(20)の上面と表プレート(11)との間に窓部(10)の内方に開放するように設けられる隙間(18)を工具挿入口として機能させるようにしたが、裏プレート(12)に切欠(17)を設けずに、ケース体(20)の上面に、矩形凹み部(24)に開放するように、凹部(図示せず)を設け、この凹部と裏プレート(12)の裏面との間に形成される隙間を工具挿入口としてもよい。
また、上記実施の形態では、床板埋設式のガス栓の化粧板について説明したが、壁板にでも同様に設置可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0035】
(1) ・・・・・・・化粧板
(10)・・・・・・・窓部
(11)・・・・・・・表プレート
(11a) ・・・・・・外周縁
(11b) ・・・・・・立ち上がり部
(11c) ・・・・・・平面部
(12)・・・・・・・裏プレート
(13)・・・・・・・第1開口部
(14)・・・・・・・第2開口部
(3) ・・・・・・・ガス栓本体
(30)・・・・・・・プラグ筒
(17)・・・・・・・切欠
(5) ・・・・・・・床板
(50)・・・・・・・開口
図1
図2
図3
図4
図5