【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような亜鉛ダイカスト製の化粧板(51)は、強度や金属としての重厚感があるが、床面に取り付けるガス栓用の化粧板としては構造的に数mm程度の厚みが必要となる。この化粧板(51)の裏側に突設させる係止爪(図示せず)を、ソケット取外し装置ソケット取り外し装置(4)のケース体(43)に設けられている係合溝(図示せず)に嵌め込んで、床板(5)に取り付けたときの、床面から化粧板(51)の頂面までの高さは5mm程度となり、床板(5)からの突出感は否定できない。よって、バリアフリー化の建物への適用は難しい。
また、化粧板(51)を外周縁全域が床板(5)に密着する態様で取り付けると、化粧板(51)を取り外す際に、外周縁と床板(5)との間に無理矢理マイナスドライバー等の工具を差し込むこととなるので、床板(5)に疵を付けてしまう問題がある。そこで、化粧板(51)の外周縁の対向位置に、工具差込用の溝部(53)(53)が形成されている。化粧板(51)を取り外す際に、溝部(53)と床板(5)の表面との間にできる隙間(54)に工具を差し込んで引き上げることができる。
しかしながら、このものでは、隙間(54)に埃等が詰まって化粧板(51)を取り外すための工具を差し込む隙間(54)が詰まってしまうという問題が生じる。
【0008】
本発明は、『床板又は壁板に形成された開口を閉塞するように前記床板又は壁板の表面に添設固定されると共に、前記開口の裏側に設置されるガス栓本体の
プラグ筒に接続させるソケットが挿入可能な窓部を有する埋設式ガス栓用の化粧板』において、全体の厚みを薄くすると共に、外周縁全域を床板又は壁板に密着させて取り付けられ、さらには、取り外す際に床板又は壁板の表面を疵つけることのない埋設式ガス栓用の化粧板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の埋設式ガス栓用の化粧板は、『外周縁全域から表面に向かって突出する立ち上がり部と、前記立ち上がり部に連続し且つ中央に第1開口部が形成されている平面部とからなる表プレートと、
前記表プレートの平面部の裏面に添設される平板であって、中央に、前記第1開口部と略同形同大の第2開口部が形成されている裏プレートとからなり、
前記表プレートと裏プレートは、共に鋼板のプレス成型品で、溶接により一体化されると共に、前記第1開口部と前記第2開口部で前記窓部が構成され、
前記窓部の周縁に沿って、化粧板取り外し用の工具挿入口が形成されている』ことを特徴とする。
【0010】
上記手段は次のように作用する。
化粧板を構成する表プレートと裏プレートは共に鋼板のプレス成型により製造されているから、亜鉛のダイカスト製品である従来の化粧板に比べて、強度を維持したまま薄肉に成型することができる。
表プレートの平面部の裏面には、裏プレートが溶接等により添設固定されていることから、第1、第2開口部で形成される窓部の周縁は表プレートと裏プレートの二重構造となっており、この構成の化粧板を、床板又は壁板に取り付けると、表プレートの外周縁の全域が床板又は壁板の表面に隙間なく添設されると共に、前記窓部の周縁に沿って化粧板取り外し用の工具挿入口が開放する構造となる。
これにより、窓部の内側からマイナスドライバー等の工具を工具挿入口に差し込んで、窓部の周縁を工具で強制的に引き上げれば、前記化粧板を床板又は壁板から取り外すことができる。
なお、窓部の周縁は、表プレートと裏プレートの二重構造であるから、工具で引き上げるには十分な強度を有する構成となっている。
【0011】
上記埋設式ガス栓用の化粧板において、『前記工具挿入口は、前記裏プレートの第2開口部の周縁に形成した内方に開放する切欠である』ものが望ましい。
窓部の周縁は、上記したように、表プレートと裏プレートの二重構造となっているが、第2開口部の周縁には内方に開放する切欠が形成されているから、切欠形成域は表プレートのみの一重構造となっており、裏プレートの肉厚分の段差が生じることとなる。この段差が生じている部分には、窓部の内方に開放する隙間が形成される態様となり、この隙間を工具挿入口として機能させることができる。
【0012】
上記埋設式ガス栓用の化粧板において、『前記開口内に、前記ガス栓本体のプラグ筒に装着させるソケットを取り外すためのソケット取り外し装置が設けられ、
前記工具挿入口は、前記ソケット取り外し装置の上面に、前記窓部の内方側に開放するように形成される凹部である』ものでは、前記開口の裏側に、ガス栓本体と共にソケット取り外し装置がセットされ、ソケット取り外し装置の上面に、前記窓部の内方に開放するように凹部が形成された構成となっている。このものでは、裏プレートの第2開口部の周縁と前記凹部とで形成される隙間が工具挿入口として機能することとなり、この隙間に窓部の内側からマイナスドライバー等の工具を差し込んで、前記化粧板を床板又は壁板から取り外すことができる。
【0013】
上記埋設式ガス栓用の化粧板において、『前記開口内に、前記ガス栓本体のプラグ筒に装着させるソケットを取り外すためのソケット取り外し装置が設けられ、
前記裏プレートには、前記ソケット取り外し装置に設けられる係合爪に係合させる係合片が、第2開口部の周縁から裏側へ切り起こし形成され、
前記切欠は、前記係合片の切り起こしによって第2開口部の周縁に形成される空所である』ものが望ましい。
このものでは、裏プレートの第2開口部の周縁から切込みを入れると共に、切込みで囲まれた範囲を、その基端部で裏側に起立させることにより、ソケット取り外し装置の係合爪に係合させるための係合片が切り起こし形成されると同時に、係合片を起立させた跡に第2開口部の周縁に形成される空所を前記切欠として利用することができる。
【0014】
上記埋設式ガス栓用の化粧板において、『前記ソケット取り外し装置は、前記ガス栓本体のプラグ筒が収容され且つ開放端部側からソケットが差し込まれるケース体と、前記窓部を閉塞する閉塞姿勢と前記閉塞姿勢から90度回動させた直立開放姿勢との間で回動自在となるように前記ケース体に軸支されている開閉蓋と、前記直立開放姿勢にある開閉蓋を前記ケース体内に押込むことにより揺動操作されてソケットのロック状態を解除する揺動レバーとを備え、
前記ケース体の前記開放端部は、前記窓部と同形同大又はそれより小さく形成され、
前記工具挿入口は、前記閉塞蓋を直立開放姿勢としたときに内方に開放する前記窓部の周縁に沿った範囲に形成されている』ものが望ましい。
このものでは、ソケットは、表プレートの第1開口部と裏プレートの第2開口部とからなる化粧板の窓部と、ソケット取り外し装置のケース体の開放端部を介して、
プラグ筒に接続され、直立開放姿勢の開閉蓋をケース体内に押込むことによって、揺動レバーが解除方向に揺動操作されて、ソケットが
プラグ筒から取り外せる構成となっている。ソケット取り外し装置のケース体の開放端部の大きさは、前記窓部と一致させるかまたはそれより小さく形成されているから、ソケットが取り外される際に、ソケットの一部が、前記窓部の周縁に引っ掛かって、化粧板が不用意に脱落する不都合は生じない。
また、ケース体の開放端部と窓部との関係は上記したとおりであるから、前記工具挿入口は、ケース体の上面と表プレートの第1開口部の周縁との間、又は、ケース体の上面と裏プレートの第2開口部の周縁との間に生じる隙間であって、この隙間に、マイナスドライバー等の工具を差し込んで、化粧板をソケット取り外し装置から取り外すことができる。
この隙間は、開閉蓋を直立開放姿勢としたとき、窓部の周縁のうち、直立開放姿勢にある開閉蓋が近接又は接触せず、内方に開放している範囲に形成されるようにすることにより、前記隙間にマイナスドライバー等の工具を差し込んで化粧板を取り外す際に、前記開閉蓋が邪魔になることなく、スムーズに作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、化粧板を構成する表プレートと裏プレートを鋼板のプレス製品とすることにより、樹脂製や亜鉛ダイカスト製のものと比べて、同等又はそれ以上の強度を保持しながら薄肉に形成できるので、床板又は壁板からの突出高さの低い化粧板を提供することができる。これにより、バリアフリーの建物にも適用できる。また、化粧板に大きな荷重がかかっても、撓んで荷重を吸収することができる上に、周囲の立ち上がり部を除いた範囲は表プレートと裏プレートの二重構造となっているので、衝撃に強く割れることはない。
床板又は壁板に添設固定させた化粧板は、窓部に開放するように形成させた工具挿入口にマイナスドライバー等の工具を差し込んで取り外すことができるので、化粧板の取外し時に、床板又は壁板に工具による疵をつけることがなく、容易に取り外すことができる。
さらに、化粧板は、表プレートからなる外周縁全域を床板又は壁板に密着させて取り付けられるから、化粧板の外周から水滴等が浸入する不都合がなく、工具挿入口は外周化粧板の窓部内に設けてあり、開閉蓋により窓部が閉じる構造となっているので、工具挿入口に埃が詰まることはない。