(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6624912
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20191216BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20191216BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20191216BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20191216BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20191216BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L21/88 Z
H01L27/06 311C
H01L21/88 S
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-238817(P2015-238817)
(22)【出願日】2015年12月7日
(65)【公開番号】特開2016-149528(P2016-149528A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2018年10月4日
(31)【優先権主張番号】特願2015-21374(P2015-21374)
(32)【優先日】2015年2月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】橋谷 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 尚
(72)【発明者】
【氏名】高品 隆之
(72)【発明者】
【氏名】増子 裕之
【審査官】
市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−237101(JP,A)
【文献】
特開2009−176773(JP,A)
【文献】
特開平11−097620(JP,A)
【文献】
特開2014−033064(JP,A)
【文献】
特表2012−504872(JP,A)
【文献】
特開2009−049331(JP,A)
【文献】
特開2002−170929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 23/522
H01L 27/04
H01L 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外部接続端子と、
前記第1の外部接続端子よりも低い電位に接続される第2の外部接続端子と、
前記第1の外部接続端子と前記第2の外部接続端子の間に並列に配置されたESD保護素子であるオフトランジスタおよび出力素子と、
前記第2の外部接続端子と接続されているシールリング配線と、
からなり、
前記第2の外部接続端子および前記オフトランジスタのソースを結ぶ第1の内部配線と前記シールリング配線とが接続配線により並列に接続されており、前記第1の内部配線の寄生抵抗であるオフトランジスタのソース寄生抵抗は、前記オフトランジスタのソースと前記出力素子のソースとを結ぶ第2の内部配線の寄生抵抗である出力素子のソース寄生抵抗よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1の内部配線は、最下層配線と最上層配線とを含む積層構造であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の内部配線は、最下層配線と最上層配線の間に中間の配線層を含んでいる積層構造であることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記積層構造に含まれる配線は、スルーホールを介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記接続配線は、前記最下層配線あるいは前記最上層配線からなることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記接続配線は、前記最下層配線、前記最上層配線、あるいは、前記中間の配線層からなることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記シールリング配線と前記第1の内部配線とを接続する前記接続配線は、断続して並列に複数配置されているか、もしくは連続して面状にひとつ配置されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記シールリング配線は、IC外周に設置され、連続的に周回していていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記シールリング配線は、IC外周に設置され、途切れて連続していない1箇所を除いて周回していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電放出(Electro Static Discharge以下、ESDとする)により発生した静電気パルスによる破壊から半導体集積回路(以下、ICとする)を、保護するために、外部接続端子と内部回路領域、あるいは、外部接続端子と出力素子との間に形成されたESD保護素子を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ICに代表される半導体装置では、ESD保護素子を備えており、そのESD保護素子は、N型MOSトランジスタのゲート電位をグランド(以下、VSSとする)に固定して、定常状態でオフ状態としてある、いわゆるオフトランジスタが知られている。
【0003】
ESD対策として、内部回路素子、あるいは、ドライバーに代表される出力素子のESD破壊を防止するために、できる限り多くの割合の静電気パルスをオフトランジスタに取り込み、VSSへと放出することが重要になってくる。そのため、ESDから保護すべき、内部回路素子および出力素子に対して、ESDの静電気パルスにより発生する電流をVSSへと流すために、オフトランジスタは、ICのVSSからみて、寄生抵抗が低減されるようにすることが重要になっている。
【0004】
しかしながら、例えば、ICサイズが大きくなる場合、VSSからオフトランジスタまでの距離が遠くなることで、オフトランジスタのソースの寄生抵抗の影響が顕在化し、オフトランジスタが十分な能力を発揮できずに、本来取り込むべき静電気パルスを、内部回路素子、あるいは、出力素子へ静電気パルスが伝播してしまい、ESDに起因するIC破壊になることがある。
【0005】
この不具合の改善策の例として、下記の特許文献にあるように、外部接続端子からESD保護素子までの寄生抵抗と、ESD保護素子から内部回路素子までの寄生抵抗に、寄生抵抗の大小関係を備えることで、出来る限り多くの静電気パルスをESD保護素子に取り込むことを特徴としたデバイス構成も提案されている。
【0006】
従来から、特にボルテージディテクタあるいはボルテージレギュレータに代表されるパワーマネジメントICは、高駆動能力および高付加価値に着目して開発がされてきた。高駆動能力についての工夫は、例えば、出力素子をVSS近辺に配置することで、寄生抵抗を低減してきた。高付加価値についての工夫は、例えば、従来のCMOSプロセスで内部回路を構成することで、オリジナルな機能を付加してきた。
【0007】
しかしながら、前述の高駆動能力化においては、オフトランジスタよりも出力素子の寄生抵抗が低減されてしまった結果、静電気パルスをオフトランジスタで十分に取り込むことができずに、出力素子に伝播して、IC破壊に至ってしまうことが懸念される。
【0008】
また、後述の高付加価値においては、ICサイズが大きくなってしまったため、外部接続端子がICのVSSから遠くなることで、オフトランジスタのソースの寄生抵抗が顕在化してしまった結果、静電気パルスがオフトランジスタで十分に取り込むことが出来ずに、内部回路素子に伝播して、IC破壊に至ってしまうことが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009―49331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明においては、ソースの寄生抵抗を低減させたオフトランジスタを有する半導体装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を取る。即ち、オフトランジスタを備えた、ICに代表される半導体装置において、オフトランジスタのソースの寄生抵抗を低減するため、オフトランジスタのソースに接続されている電位がVSSである内部配線は、IC外周に配置されているシールリング配線と並列に接続されていることを特徴とする半導体装置とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、オフトランジスタを備える半導体装置において、オフトランジスタのソースの寄生抵抗を低減させることで、オフトランジスタを速やかに動作させ、出力素子、あるいは内部回路素子へESDにより発生する静電気パルが伝播されることを抑制し、ESDに対する耐性を改善することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例に係る半導体装置の外部接続端子とESD保護素子、および出力素子を表す模式的回路図である。
【
図2】本発明の特徴を説明する模式的レイアウト図である。
【
図3】本発明を実施することが可能な半導体装置の例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施例に係る半導体装置の外部接続端子とESD保護素子、および出力素子を表す模式的回路図である。第1の外部接続端子1は、例えば、出力のための端子である。第2の外部接続端子2は、低い側の電源電圧であり、通常接地電位VSSに接続される。第1の外部接続端子1と第2の外部接続端子2の間に接続されている素子は、ひとつはESD保護素子であるオフトランジスタ5である。さらに、オフトランジスタ5と並列に出力素子6が接続されている。即ち、出力素子の出力が第1の外部接続端子1に接続されている。
【0015】
オフトランジスタ5のソースの寄生抵抗は、オフトランジスタ5のソースから第2の外部接続端子2に至る第1の内部配線に寄生的に含まれる抵抗であり、図中の符号3で表している(以下、オフトランジスタのソース寄生抵抗3とする)、出力素子6のソースの寄生抵抗は、出力素子6のソースからオフトランジスタ5のソースに至る第2の内部配線に寄生的に含まれる抵抗であり、図中の符号4で表している。以下では出力素子のソース寄生抵抗4とする。
【0016】
本発明は、出力素子のソース寄生抵抗4よりも、オフトランジスタのソース寄生抵抗3を低くすることを特徴としており、これをさらに説明するための実施例を、
図2を用いて説明する。
【0017】
図2は、ICレイアウトの一部を示すものであり、配線の形状を示している。ICの外周に設置したシールリング配線7と内部配線8とが描かれている。内部配線8を第2の外部接続端子2からオフトランジスタ5まで設置し、さらに、内部配線8をシールリング配線7と接続配線9で電気的に接続させ、内部配線8とシールリング配線7とを並列にすることで、オフトランジスタのソース寄生抵抗3を低減させることが可能となる。
この場合のシールリング配線7の電位は、第1の外部接続端子よりも低い電位に接続される第2の外部接続端子と接続されており、例えば、接地電位VSSである。
【0018】
また、シールリング配線7の配線の仕方は、一般には上述のICの外周に設置される。第2の外部接続端子と接続されており、例えば、接地電位VSSとしてある。途中で途切れることなくICの外周すべてを周回して配置することが可能である。また、1箇所が途切れて連続していない部分があるもののほぼ周回して配置することも可能である。これはシールリング配線7の全体は同電位となっていることが好ましいからである。
【0019】
図3は本発明を実施することが可能な半導体装置の例である。
図3に示すように、一般に、シールリング配線7、第2の外部接続端子2、およびオフトランジスタ5はチップ形状のICである半導体装置20の外周に沿って配置されることが多いので、第2の外部接続端子2とオフトランジスタ5とを結ぶ内部配線8をシールリング配線7と並列になるように接続することは困難なことではない。
【0020】
一方、出力素子6のソースからオフトランジスタ5のソースに至る配線は一層の配線のみとし、更に、幅を細くすることで寄生抵抗を相対的に大きくすることができる。さらに、出力素子6は、第2の外部接続端子2から伸びる内部配線8に沿って、オフトランジスタ5よりも遠くとなるように配置することで、寄生抵抗を相対的に大きくすることが容易となる。
【0021】
さらに、多層配線を用いている場合には、
図2における内部配線8は、最下層配線と最上層配線の積層構造としてもよい。この場合、さらに最下層配線と最上層配線とのあいだに複数の中間層の配線を含んでもよく、スルーホール10(ビアとも呼ばれる)を介して電気的に接続しておけば良い。積層構造において、最上層配線の幅は、最下層配線と同幅であっても異なっていてもよい。このようにすることで出力素子のソース寄生抵抗4よりも、オフトランジスタのソース寄生抵抗3を低くすることが可能となる。
【0022】
さらに、前述の複数の配線からなる積層構造は、複数の配線を電気的に接続するためのスルーホール10を有しており、スルーホール10は連続して配置しても、断続して飛び飛びに配置しても良い。
【0023】
また、内部配線8は、シールリング配線7と接続配線9で電気的に接続されており、接続配線9は、最下層配線でも最上層配線でも、あるいは、その他中間層の配線でも電気的に接続可能である。さらに、接続配線9は、シールリング配線7と内部配線8との接続において、
図2のように断続的に並列して複数配置することも、連続して面状にひとつ配置することも可能である。
【0024】
なお、これまで、オフトランジスタ5よりもICの内部にある素子として出力素子6を例に説明をしてきたが、出力素子6が一般の内部回路であっても、同様に本発明を実施できることは明らかである。
【符号の説明】
【0025】
1 第1の外部接続端子1
2 第2の外部接続端子2
3 オフトランジスタのソース寄生抵抗
4 出力素子のソース寄生抵抗
5 オフトランジスタ
6 出力素子
7 シールリング配線
8 内部配線
9 接続配線
10 スルーホール
20 半導体装置