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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6624925
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】折り畳み式断熱ボックス
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20191216BHJP
   B65D 6/18 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   B65D81/38 N
   B65D6/18 D
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-251784(P2015-251784)
(22)【出願日】2015年12月24日
(65)【公開番号】特開2017-114521(P2017-114521A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597053038
【氏名又は名称】中村被服株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 賢
(72)【発明者】
【氏名】鵜澤 孝
(72)【発明者】
【氏名】中村 顕
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0226783(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3115322(JP,U)
【文献】 特開2015−178390(JP,A)
【文献】 特開2005−041555(JP,A)
【文献】 特開2009−006937(JP,A)
【文献】 特開2005−187057(JP,A)
【文献】 特開2004−189242(JP,A)
【文献】 特開2009−083876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/38
B65D 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開状態で有底の四角柱容器を形成するとともに開閉可能な蓋を有する折り畳み可能な折り畳み式断熱ボックスであって、
有底の四角柱状袋の一側面の上辺で折り曲げられる蓋面部を有した外被袋と、
前記四角柱状袋の一対の対向する側面のうち前記蓋面部が折り曲げられる基準側面を含む一対の第1対向側面に対応する形状を有し、それぞれの内側に取り付けられる一対の第1対向断熱側面板と、
前記基準側面の両側辺の内側にそれぞれ折り曲げ可能に接続され、前記第1対向側面に隣接する一対の第2対向側面にそれぞれ対応する形状を有し、展開時に各第1対向側面の内側に配置され、折り畳み時に前記一対の第1対向断熱側面板に挟まれる一対の第2対向断熱側面板と、
前記基準側面の底辺の内側に折り曲げ可能に接続され、前記四角柱状袋の底面に対応する形状を有し、展開時に前記底面の内側に配置され、折り畳み時に前記一対の第1対向断熱側面板に挟まれる断熱底面板と、
前記蓋面部に対応する形状を有し、前記蓋面部の内側に取り付けられ、折り畳み時に前記蓋面部の上辺で折り曲げられて前記基準側面の外側に配置される断熱蓋面板と、
前記基準側面に対向する第1対向側面の両側面の外側から前記基準側面側に向けて幅が狭くなるテーパー状板面が展開時の前記一対の第2対向断熱側面板に平行な鉛直状態を維持しつつ水平方向に延び、先端部分の内側に取付側面ファスナーが設けられた一対のテーパー状係合部材と、
折り畳み時に前記断熱蓋面板の側辺で折り曲げられた状態の前記テーパー状係合部材の前記取付側面ファスナーに対応する位置に取り付けられた一対の第1受け側面ファスナーと、
前記第2対向側面の外側に設けられ、展開時に前記テーパー状係合部材の前記取付側面ファスナーに対応する位置に取り付けられ、展開完了とともに前記取付側面ファスナーに着脱可能に貼り付けられる一対の第2受け側面ファスナーと、
を備えたことを特徴とする折り畳み式断熱ボックス。
【請求項2】
前記第2対向側面と前記底面との接合部は、前記第2対向側面の前記底面側の帯状接合部分と前記底面の前記第2対向側面側の帯状接合部分とをそれぞれ斜め外側に向けて縫製したことを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式断熱ボックス。
【請求項3】
前記一対の第2対向側面の上辺部は、前記基準側面から前記基準側面に対応する第1対向側面に向けて傾斜し、前記四角柱容器を閉塞する際における前記断熱蓋面板の折り曲げ動作をガイドする傾斜ガイドを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の折り畳み式断熱ボックス。
【請求項4】
前記一対の第2対向断熱側面板は、前記基準側面の両側面の内側との間を柔軟な帯状部材によって接続され、前記帯状部材の上辺部には切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の折り畳み式断熱ボックス。
【請求項5】
前記蓋面部の前記基準側面側の辺に対向する対向辺に、前記基準側面に対応する第1対向側面の外側上部と係合する、該対向辺で折り曲げられた蓋閉塞係合部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の折り畳み式断熱ボックス。
【請求項6】
前記第2対向側面の上辺部には、折り畳み時に折り曲げをアシストする複数のプラスチックプレートが埋め込まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の折り畳み式断熱ボックス。
【請求項7】
前記底面には、穴が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の折り畳み式断熱ボックス。
【請求項8】
前記底面の外側には、前記第1対向側面に平行な突起状レールが複数配置されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の折り畳み式断熱ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展開時の付随作業を少なくして展開作業を容易かつ短時間に行うことができる折り畳み式断熱ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、保冷ボックスなどの折り畳み式断熱ボックスは、生鮮食品や医療品などの保冷搬送に用いられている。例えば、特許文献1には、断熱層を含む複層の複数枚の矩形状板材を有し、物品の収納時には複数枚の矩形状板材を組み立てて収納用の空間部を形成し、非収納時には折り畳んで積層状態とする構成とした折り畳み式の輸送用断熱容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−189242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、折り畳み式断熱ボックスでは、折り畳み時に面ファスナーなど係止部材を用いて折り畳み状態を維持するようにしている。しかし、この面ファスナーなどの係止部材は、展開時では貼り付け状態が解除され、垂れた状態となって作業に支障を及ぼす。このため、貼り付け状態が解除された面ファスナーなどの係止部材を展開時に新たに係止できる構成をもたせる必要がある。この場合、展開時に係止部材を係止状態とするための付随作業を行うことになり、展開作業に手間がかかる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、展開時の付随作業を少なくして展開作業を容易かつ短時間に行うことができる折り畳み式断熱ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる折り畳み式断熱ボックスは、展開状態で有底の四角柱容器を形成するとともに開閉可能な蓋を有する折り畳み可能な折り畳み式断熱ボックスであって、有底の四角柱状袋の一側面の上辺で折り曲げられる蓋面部を有した外被袋と、前記四角柱状袋の一対の対向する側面のうち前記蓋面部が折り曲げられる基準側面を含む一対の第1対向側面に対応する形状を有し、それぞれの内側に取り付けられる一対の第1対向断熱側面板と、前記基準側面の両側辺の内側にそれぞれ折り曲げ可能に接続され、前記第1対向側面に隣接する一対の第2対向側面にそれぞれ対応する形状を有し、展開時に各第1対向側面の内側に配置され、折り畳み時に前記一対の第1対向断熱側面板に挟まれる一対の第2対向断熱側面板と、前記基準側面の底辺の内側に折り曲げ可能に接続され、前記四角柱状袋の底面に対応する形状を有し、展開時に前記底面の内側に配置され、折り畳み時に前記一対の第1対向断熱側面板に挟まれる断熱底面板と、前記蓋面部に対応する形状を有し、前記蓋面部の内側に取り付けられ、折り畳み時に前記蓋面部の上辺で折り曲げられて前記基準側面の外側に配置される断熱蓋面板と、前記基準側面に対向する第1対向側面の両側面の外側から前記基準側面側に向けて延び、先端部分の内側に取付側面ファスナーが設けられた一対のテーパー状係合部材と、折り畳み時に前記断熱蓋面板の側辺で折り曲げられた状態の前記テーパー状係合部材の前記取付側面ファスナーに対応する位置に取り付けられた一対の第1受け側面ファスナーと、前記第2対向側面の外側に設けられ、展開時に前記テーパー状係合部材の前記取付側面ファスナーに対応する位置に取り付けられ、展開完了とともに前記取付側面ファスナーに着脱可能に貼り付けられる一対の第2受け側面ファスナーと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる折り畳み式断熱ボックスは、上記の発明において、前記第2対向側面と前記底面との接合部は、前記第2対向側面の前記底面側の帯状接合部分と前記底面の前記第2対向側面側の帯状接合部分とをそれぞれ斜め外側に向けて縫製したことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる折り畳み式断熱ボックスは、上記の発明において、前記一対の第2対向側面の上辺部は、前記基準側面から前記基準側面に対応する第1対応側面に向けて傾斜し、前記四角状容器を閉塞する際における前記断熱蓋面板の折り曲げ動作をガイドする傾斜ガイドを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる折り畳み式断熱ボックスは、上記の発明において、前記一対の第2対向断熱側面板は、前記基準側面の両側面の内側との間を柔軟な帯状部材によって接続され、前記帯状部材の上辺部には切り欠きが形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる折り畳み式断熱ボックスは、上記の発明において、前記蓋面部の前記基準側面側の辺に対向する対向辺に、前記基準側面に対応する第1対向側面の外側上部と係合する、該対向辺で折り曲げられた蓋閉塞係合部を設けたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる折り畳み式断熱ボックスは、上記の発明において、前記第2対向側面の上辺部には、折り畳み時に折り曲げをアシストする複数のプラスチックプレートが埋め込まれることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる折り畳み式断熱ボックスは、上記の発明において、前記底面には、穴が形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる折り畳み式断熱ボックスは、上記の発明において、前記底面の外側には、前記第1対向側面に平行な突起状レールが複数配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一対のテーパー状係合部材の取付側面ファスナーは、折り畳み時に一対の第1受け側面ファスナーと係合し、展開時に、第2対向側面の伸長とともに、第2対向側面の外側に設けた第2受け側面ファスナーと係合する。これにより、展開時における面ファスナーの係合という付随作業がなくなるので展開作業を容易かつ短時間に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施の形態である折り畳み式断熱ボックスであって展開時における断熱蓋面板が開放状態で展開された構成を示す斜視図である。
図2図2は、折り畳み式断熱ボックスの全体を覆う外被袋の構成を示す斜視図である。
図3図3は、断熱蓋面板が開放状態で展開された折り畳み式断熱ボックスを左斜め下方からみた斜視図である。
図4図4は、断熱蓋面板が閉塞状態で展開された折り畳み式断熱ボックスを左斜め上方からみた斜視図である。
図5図5は、断熱蓋面板が閉塞状態で展開された折り畳み式断熱ボックスを右斜め上方からみた斜視図である。
図6図6は、断熱底面板折り畳み開始時の状態を示す上面図である。
図7図7は、断熱底面板を折り畳んだ状態を示す上面図である。
図8図8は、第2対向断熱側面板を折り畳み、第2対向側面が内部に折り畳まれる状態を示す上面図である。
図9図9は、折り畳みが完了した状態を示す上面図である。
図10図10は、折り畳みが完了した状態を示す斜視図である。
図11図11は、折り畳みが完了した状態を示す裏面図である。
図12図12は、底面の中央部に設けられる突起状レールの端部の構成を示す斜視図である。
図13図13は、第2対向側面の折り畳み時における第2対向側面の上辺部分の状態を示す斜視図である。
図14図14は、第2対向側面の折り畳み時における第2対向側面と底面との接合部分の状態を示す斜視図である。
図15図15は、第2対向側面と底面との接合部分であるA部の断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
【0017】
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態である折り畳み式断熱ボックス1であって展開時における断熱蓋面板26が開放状態で展開された構成を示す斜視図である。図2は、折り畳み式断熱ボックス1の全体を覆う外被袋10の構成を示す斜視図である。図3は、断熱蓋面板26が開放状態で展開された折り畳み式断熱ボックス1を左斜め下方からみた斜視図である。図4は、断熱蓋面板26が閉塞状態で展開された折り畳み式断熱ボックス1を左斜め上方からみた斜視図である。図5は、断熱蓋面板26が閉塞状態で展開された折り畳み式断熱ボックス1を右斜め上方からみた斜視図である。
【0018】
図1に示した折り畳み式断熱ボックス1は、図2に示した外被袋10内で断熱板群20が展開して断熱収納空間を形成する。外被袋10は、有底の四角柱状袋を形成し、基準側面11の上辺で折り曲げられる蓋面部16を有する。四角柱状袋は、基準側面(第1対向側面)11と、基準側面11に対向する第1対向側面12と、一対の第1対向側面11、12に隣接する一対の第2対向側面13、14と、底面15とを有する。外被袋10は、例えば布などの柔軟な部材で形成されている。
【0019】
断熱板群20は、一対の第1対向断熱側面板21、22、一対の第2対向断熱側面板23、24、断熱底面板25、断熱蓋面板26を有する。一対の第1対向断熱側面板21、22、断熱蓋面板26は、それぞれ、一対の第1対向側面11、12、蓋面部16の各内面に対応する面を有した板状部材であり、各内面に予め取り付けられている。
【0020】
一方、一対の第2対向断熱側面板23、24は、それぞれ、第2対向側面の内面に対応する面を有した板状部材であり、それぞれ基準側面11の側辺L1、L2の内側で後述する帯状部材23a、24aを介して折り曲げ可能に接続される。図1に示すように、一対の第2対向断熱側面板23、24は、展開状態では、それぞれ、第2対向側面13、14の内側に配置される。また、一対の第2対向断熱側面板23、24は、折り畳み状態では基準側面11側に折り曲げられ、一対の第1対向断熱側面板21、22によって挟まれる(図9図10参照)。
【0021】
また、断熱底面板25は、底面15の内面に対応する面を有した板状部材であり、基準側面11の底辺で折り曲げ可能に接続される。図1に示すように、断熱底面板25は、展開状態では、底面15の内側に配置される。また、断熱底面板25は、折り畳み状態では、基準側面11側に折り曲げられ、一対の第1対向断熱側面板21、22によって挟まれる(図9図10参照)。
【0022】
断熱板群20は、断熱板状部材であり、例えば、発泡スチロールや発泡ウレタンによって形成される。なお、断熱板状部材は、断熱性能の高い真空断熱部材とすることが好ましい。例えば、真空断熱部材は、芯材をラミネートフィルムによって被覆し、内部を真空状態に減圧して封止した公知のものを用いることができる。
【0023】
断熱蓋面板26および蓋面部16は、展開状態で、基準側面の上辺L21をヒンジとして折り曲げ可能に回動し、断熱収納空間の開放および閉塞を行う。
【0024】
断熱蓋面板26および蓋面部16は、展開状態で断熱収納空間の閉塞を行う場合、蓋面部の辺L31、L32、L33に取り付けられ、辺L31、L32、L33で折り曲げ可能な帯状の蓋閉塞係合部16b、16b、16aによって一対の第2対向側面13、14、第1対向側面12の各上辺L24、L22、L23を覆う(図4図5参照)。一対の第2対向側面13、14、第1対向側面12の各上辺L24、L22、L23側には、帯状の面ファスナー36が取り付けられ(図1〜3参照)、面ファスナー36と蓋閉塞係合部16b、16b、16aの裏面に設けられた図示しない面ファスナーとが結合する。この結合によって、断熱収納空間の断熱性能を高めることができる。
【0025】
ここで、一対の第2対向側面13、14の上辺部には、基準側面11側から第1対向側面12側に向けて低くなるように傾斜した傾斜ガイド13a、14aが形成される。一対の第2対向側面13、14の第1対向側面12側の上辺高さ位置は、第1対向断熱側面板22の上端高さ位置と同じである。一方、基準側面11の上辺高さ位置は、第1対向側面12の上辺高さ位置よりも、第1対向断熱側面板21の厚さ分、高い。そして、一対の第2対向側面13、14の基準側面11側の上辺高さ位置は、基準側面11の上辺高さ位置と同じである。
【0026】
したがって、断熱蓋面板26が断熱収納空間を閉塞する場合、断熱蓋面板26の側部が傾斜ガイド13a、14a間に挿入されてガイドされつつ閉塞状態となるため、断熱蓋面板26の上端側の位置ずれを防ぐことができる。この結果、断熱収納空間の断熱性能を高めることができる。
【0027】
また、一対の第2対向側面13、14の第1対向側面12側の上辺高さ位置は、第1対向断熱側面板22の上端高さ位置を超えないため、断熱蓋面板26の閉塞により、断熱蓋面板26の上端側が第1対向側面12の上辺に当接して第1対向側面12の上辺が損傷することを防止することができる。
【0028】
なお、図5に示すように、基準側面11の外側下部には、蓋閉塞係合部16aの裏面の面ファスナーと結合する面ファスナー35が設けられる。これにより、展開状態で断熱収納空間を開放状態とする場合、断熱蓋面板26および蓋面部16を基準側面11に係止することができる。
【0029】
図1図5に示すように、第1対向側面12の両側面には、該両側面の外側から基準側面11側に向けて延び、先端部分の内側に取付側面ファスナー32が設けられた一対のテーパー状係合部材31が設けられる。展開状態で、取付側面ファスナー32の位置に対応する第2対向側面13、14の外側の位置には、取付側面ファスナー32と結合する第2受け側面ファスナー33が設けられる。この取付側面ファスナー32と第2受け側面ファスナー33とは、展開時に、第2対向側面13、14が伸長した最終段階で取付作業を必要とせずに一対のテーパー状係合部材31が係止される。すなわち、展開時に一対のテーパー状係合部材31の係止という付随作業が不要となる。
【0030】
なお、図9および図10に示すように、一対の第1受け側面ファスナー34は、断熱蓋面板26の断熱収納空間側に設けられる。一対の第1受け側面ファスナー34は、折り畳み状態で一対の取付側面ファスナー32と結合する。この一対のテーパー状係合部材31の係合によって折り畳み状態が維持される。
【0031】
また、第1対向側面12の外側には取っ手51が設けられる。さらに、第1対向断熱側面板21の断熱収納空間側には取っ手52が設けられる。図1に示すように、折り畳み式断熱ボックス1が展開状態かつ開放状態である場合、この取っ手51、52を用いて折り畳み式断熱ボックス1を運搬することができる。
【0032】
さらに、基準側面11の外側には取っ手53が設けられる。図4および図5に示すように、折り畳み式断熱ボックス1が展開状態かつ閉塞状態である場合、取っ手51、53を用いて折り畳み式断熱ボックス1を運搬することができる。
【0033】
また、図3に示すように、底面15の外側には、第1対向側面11、12に平行な複数の突起状レール41〜43が配置される。突起状レール41〜43は、半円柱状をなし、長手方向に沿った両側部に帯状薄板部45を有し、この帯状薄板部45と底面15とが縫合46によって底面15に取り付けられる(図12参照)。突起状レール41、42は、それぞれ、第1対向断熱側面板22、21の下端に対応する位置に配置される。また、突起状レール43は、底面15の中央部に設けられる。
【0034】
突起状レール41〜43は、展開状態で運搬する場合に、滑りを生じさせて折り畳み式断熱ボックス1の運搬を助ける。例えば、トラックの荷台などに折り畳み式断熱ボックス1を積載したり、荷台から荷卸する際に、荷台の角部を滑らすようにして運搬することができ、積載および荷卸の作業を容易にするとともに、折り畳み式断熱ボックス1を保護する。また、突起状レール41〜43は、折り畳み式断熱ボックス1の底面15と配置平面との間に空隙を形成するため、底面15の断熱に寄与する。
【0035】
(展開状態から折り畳み状態への移行)
つぎに、図6図11を参照して、折り畳み式断熱ボックス1の展開状態から折り畳み状態への移行について説明する。なお、折り畳み式断熱ボックス1の折り畳み状態から展開状態への移行は、折り畳み式断熱ボックス1の展開状態から折り畳み状態への移行を逆に行えばよい。
【0036】
まず、図6に示すように、折り畳み式断熱ボックス1の展開状態を開放状態にする。すなわち、断熱蓋面板26を基準側面11の外側に折り曲げる。その後、断熱底面板25を、基準側面11の底辺L11を折り曲げ線として、断熱底面板25を取っ手54を用いて引き上げる。この際、底面15の外側に設けられた突起状レール43の両端部に対応する位置に空気抜け用の穴15aが形成されている。この穴15aによって、断熱底面板25の引き上げが容易となる。なお、この穴15aによって、断熱底面板25を底面15側に配置する場合も容易になる。
【0037】
図12に示すように、突起状レール43の両端部には、穴15aと外部とを連通する連通溝47が形成されている。連通溝47は、半円柱部44の円柱中心軸側に形成される。
【0038】
図7に示すように、引き上げられた断熱底面板25は、第1対向断熱側面板21に平行状態で密着して積層される。その後、一対の第2対向断熱側面板23、24をそれぞれ第2対向側面13、14から離隔するように基準側面11の側辺L1、L2を折り曲げ中心として折り曲げる。ただし、すでに断熱底面板25が配置されているため、帯状部材23a、24aを介して折り曲げられる。そして、図8に示すように、各第2対向断熱側面板23、24は、断熱底面板25と同様に、第1対向断熱側面板21に平行状態で密着して積層される。
【0039】
なお、図13に示すように、第2対向断熱側面板23、24の展開時に帯状部材23a、24aが第2対向側面13、14側に折れ、第2対向断熱側面板23、24と第1対向断熱側面板21との間に帯状部材23a、24aが介在しないように、帯状部材23a、24aの上端側に切り欠き71を形成している。この切り欠き71には、上端中央部分が下に凸の緩やかな円弧状であってもよい。なお、帯状部材23a、24aの第2対向断熱側面板23、24側の側部は、第2対向断熱側面板23、24の側部の第1対向断熱側面板22側の角部に取り付けられる。
【0040】
図8の状態では、一対の第2対向側面13、14の一部は、断熱密閉空間を形成していた第2対向断熱側面板23、24が除かれたため、一対の第1対向断熱側面板21、22を面に垂直な方向に圧すると、第2対向側面13の一部の面13a、13bが内部に折れ、折れ線PLが内部に移動するにしたがって折り畳みが進む。同様に、第2対向側面14の一部の面14a、14bが内部に折れ、折れ線PLが内部に移動するにしたがって折り畳みが進む。
【0041】
図8における折り畳みの進行は、図13に示すように、面13a、13bの上辺側に埋め込まれた複数のプラスチックプレート61によって促進される。このプラスチックプレート61によって折れ線PLを確実に形成することができる。なお、プラスチックプレート61は、縫合によって面13(13a、13b)に縫い付けられる。また、面14(14a、14b)についても同様にプラスチックプレート61が埋め込まれる。
【0042】
さらに、図8における折り畳みの進行は、図14および図15に示すように、底面15と第2対向側面13、14との接合部72の面を斜め下方外側に向けて延びるように形成することによっても生じる。展開状態における接合部72の底面15に対する面の角度は、例えば45度である。図15に示すように底面15と第2対向側面14との各端部は、接合部72とともに位置73で縫合され、この位置73のさらに外側の位置74で接合部72のみを縫合し、接合部72の面の角度が調整される。
【0043】
この接合部72の面が斜め下方外側に向けて延びていると、折り畳み時に、第2対向側面13、14が内側に向けて折れ曲がる力をアシストする。なお、この接合部72を設けることによって、外被袋10および折り畳み式断熱ボックス1全体の強度を増すことができる。
【0044】
また、図8における折り畳みの進行は、図14に示すように、突起状レール43の存在によってもなされる。突起状レール43が存在することによって、底面15が内側に向けて折り畳まれるとともに、折れ線PLを生じさせ、かつ折れ線PLの両側に斜めの折れ線を生じさせて折り畳みの進行をアシストする。
【0045】
折り畳みの進行がさらに進むと、図9に示すように、第2対向側面13、14の一部が完全に折り畳まれ、第1対向断熱側面板21、断熱底面板25、第2対向断熱側面板23、24、第1対向断熱側面板22が平行状態で積層される。図10に示すように、この状態で、一対のテーパー状係合部材31を断熱蓋面板26の外側に折り曲げ、取付側面ファスナー32を第1受け側面ファスナー34に結合することによって、折り畳み式断熱ボックス1の折り畳み状態が完成する。
【0046】
図10に示すように、この折り畳み状態では、取っ手51と取っ手52とを用いて運搬することができる。ここで、図11に示すように、第2対向側面13、14の一部と底面15の一部とが突起状レール43とともに内側に折り畳まれる。しかし、突起状レール41、42は、底面15から外部に露出した状態を維持する。このため、折り畳み状態であっても、突起状レール41、42の存在によって、運搬時に滑りを生じさせて運搬作業を容易にするとともに、折り畳み式断熱ボックス1を保護する。
【0047】
なお、図10に示した折り畳み状態から、一対のテーパー状係合部材31を第1受け側面ファスナー34から取り外して展開状態に移行する際、展開の進行とともに第2対向側面13、14が伸長し、この伸長に伴って第2受け側面ファスナー33が取付側面ファスナー32の位置に到達し、この到達によって第2受け側面ファスナー33と取付側面ファスナー32とが係合し、一対のテーパー状係合部材31は、展開状態において垂れ状態とはならない。すなわち、一対の第2対向側面13、14の展張と同時に、一対のテーパー状係合部材31が展開状態の一対の第2対向側面13、14に係合する。したがって、一対のテーパー状係合部材31の垂れ状態をなくすための面ファスナー結合という付随作業を行う必要がないので展開作業の負担が軽減される。
【符号の説明】
【0048】
1 折り畳み式断熱ボックス
10 外被袋
11 基準側面(第1対向側面)
12 第1対向側面
13、14 第2対向側面
13a、14a 傾斜ガイド
15 底面
15a 穴
16 蓋面部
16a、16b 蓋閉塞係合部
20 断熱板群
21、22 第1対向断熱側面板
23、24 第2対向断熱側面板
23a、24a 帯状部材
25 断熱底面板
26 断熱蓋面板
31 テーパー状係合部材
32 取付側面ファスナー
33 第2受け側面ファスナー
34 第1受け側面ファスナー
35、36 面ファスナー
41〜43 突起状レール
44 半円柱部
45 帯状薄板部
47 連通溝
51〜54 取っ手
61 プラスチックプレート
72 接合部
図1
図2
図3
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図9
図10
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図15