特許第6624949号(P6624949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6624949
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20191216BHJP
【FI】
   H05K5/02 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-12213(P2016-12213)
(22)【出願日】2016年1月26日
(65)【公開番号】特開2017-135186(P2017-135186A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100188880
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 辰哉
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】中田 哲史
【審査官】 三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−073758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05F 1/00−7/00
H05K 5/00−9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属の下地が絶縁性のある第1の被膜で覆われている第1の部材と、
前記第1の部材から突出し前記第1の被膜で覆われた第1の平面部及び前記第1の平面部の全外周に続く前記第1の金属の下地が露出する第1の外周面を有する第1の突面部と、
前記第1の外周面を覆って接触し配置される導電性部材と
前記導電性部材を介して前記第1の部材と導通する第2の部材と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第2の部材は、第2の金属の下地が絶縁性のある第2の被膜で覆われ前記第2の部材から突出し前記第2の被膜で覆われた第2の平面部及び前記第2の平面部の全外周に続く前記第2の金属の下地が露出する第2の外周面を有する第2の突面部を備え、
前記第2の部材は、前記第2の外周面を覆って接触し配置される前記導電性部材を介して前記第1の外周面と導通することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の突面部は、円柱形状又は多角柱形状であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2の突面部は、円柱形状又は多角柱形状であることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記導電性部材は、圧縮可能であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記導電性部材は、前記第1の平面部の前記第1の被膜の上に設けられた接着剤又は両面粘着テープを介して前記第1の部材に取り付けられたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、静電気対策あるいはEMI(Electro Magnetic Interference)対策のために、板金などの部材同士を導通させる導通構造、これを備えた電子機器およびこの導通構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、板金部材を組み合わせて構成された筐体内に電子部品を収納した電子機器がある。このような電子機器では、筐体内の電子部品に対する静電気または電磁波の影響を低減するために、板金部材同士が導通しかつ接地された状態で組み合わされている。
また、板金部材は、電子機器の使用環境によって錆びやすい状態に置かれることがあるため、防錆対策として電気絶縁性のある被膜が表層に形成されている場合が多い。
このような被膜が形成されていると板金部材同士を接触させただけでは導通不良になりやすく、接地が行えないことがある。
【0003】
これに対して、例えば、特許文献1に記載される板金部品の結合構造は、電気絶縁性のある被膜が表層に形成された板金部品間に導電性部材を配置して、この状態で板金部品の結合面の裏側から結合面側が凸になるようにプレス加工で打ち出している。
結合面側に生じた突起部においては、打ち出しで加えられた力によって頂点付近の被膜がひび割れて下地の金属が露出する。このようにして露出された金属が導電性部材と接触することにより、導電性部材を介して板金部品間の導通が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−73758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載される結合構造では、打ち出しで加えられた力によって突起部の頂点付近にある被膜を引き延ばしてひび割れを生じさせている。
しかしながら、あくまでも下地の金属は、突起部の頂点付近の被膜のひび割れの間から露出するだけである。
このように突起部における金属の露出量が少ないため、静電気あるいはEMIの対策で必要な導通状態を満足する露出量が得られない可能性が高いという課題があった。
【0006】
この発明は上記課題を解決するもので、絶縁性のある被膜を有した部材の導通を十分に確保することができる導通構造、電子機器および製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る電子機器は、第1の金属の下地が絶縁性のある第1の被膜で覆われている第1の部材と、第1の部材から突出し第1の被膜で覆われた第1の平面部及び第1の平面部の全外周に続く第1の金属の下地が露出する第1の外周面を有する第1の突面部と、第1の外周面を覆って接触し配置される導電性部材と、導電性部材を介して第1の部材と導通する第2の部材とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、第1の部材に設けた突面部の外周面から金属の下地を露出させるので、従来のように突起部の頂点部分の被膜のひび割れから下地の金属を露出させる構造よりも露出量が多くかつ平面部の突出量に応じて露出量を調整することもできる。
これにより、絶縁性のある被膜を有した部材と導電性部材との導通を十分に確保することができ、ひいては静電気またはEMI対策の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1Aは、この発明の実施の形態1に係る導通構造を備える電子機器を示す正面図である。図1Bは、図1Aの電子機器をA−A線で切った断面を示す断面拡大図である。
図2図2Aは、実施の形態1に係る導通構造を示す断面図である。図2Bは、実施の形態1に係る導通構造の別の例を示す断面図である。
図3図3Aは、実施の形態1に係る導通構造を構成する板金部材と導電性部材を示す斜視図である。図3Bは、図3Aの板金部材と導電性部材をB−B線で切った断面を示す断面矢示図である。
図4図4Aは、実施の形態1に係る導通構造を構成する板金部材を示す斜視図である。図4Bは、図4Aの板金部材をC−C線で切った断面を示す断面矢示図である。
図5】実施の形態1に係る導通構造の製造方法の概要を示す図である。
図6図6Aは、この発明の実施の形態2に係る導通構造を構成する板金部材の例を示す正面図である。図6Bは、図6Aの板金部材を示す斜視図である。
図7図7Aは、実施の形態2に係る導通構造を構成する板金部材の別の例を示す正面図である。図7Bは、図7Aの板金部材を示す斜視図である。
図8図8Aは、実施の形態2に係る導通構造を構成する板金部材のさらに別の例を示す正面図である。図8Bは、図8Aの板金部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1Aは、この発明の実施の形態1に係る導通構造を備える電子機器1を示す正面図である。図1Bは、図1Aの電子機器1をA−A線で切った断面を示す断面拡大図である。
電子機器1は、例えば、カーナビゲーション装置などの車載用の電子機器であり、液晶パネル2と筐体3を備える。液晶パネル2は、図1Aに示すように筐体3の一面から外部に露出した構成要素であり、外部で発生した静電気が内部の回路基板まで伝わりやすい。
【0011】
例えば、液晶パネル2は、図1Bに示すように、液晶部2Aがシャーシ4Bに保持され、図示しない回路基板がシャーシ4Bに取り付けられる場合がある。また、液晶部2Aの表示面側には保護板2Bが組み付けられており、保護板2Bは、筐体3の前面側に組み付けられている。このように構成されているので、保護板2Bもしくは筐体3で発生した静電気が、保護板2Bと筐体3との隙間を通って板金製のシャーシ4Bから上記回路基板まで伝わる場合がある。
【0012】
これに対して、従来から、シャーシ4Aを接地電位にしておき、シャーシ4Aとシャーシ4Bとの間を、導電性部材を介して電気的に接続することにより、静電気が回路基板に伝わることを防止する構造が採用されている。
しかしながら、前述したように、板金製のシャーシは、防錆対策としてメッキなどで電気絶縁性のある被膜が表層に形成されている場合が多い。
この場合、シャーシ同士で導電性部材を挟み込んだだけでは、シャーシと導電性部材との導通が不十分であり、シャーシ同士を十分に電気的に接続できない可能性がある。
【0013】
これに対して、この発明に係る導通構造は、半抜き加工などによってシャーシから突出された平面部と下地の板金部材が露出した外周面とを有する突面部を備えている。導電性部材は、外周面から露出した下地の板金部材に接触するように配置される。
このように、突面部の外周面から下地の板金部材を露出させることにより、特許文献1に記載された結合構造のように、突起部の頂点部分の被膜のひび割れから下地の板金部材を露出させる構成に比べて、各段に多くの露出量を得ることができる。また平面部の突出量を変えることにより、下地の板金部材の露出量を調整することも可能となる。
【0014】
図2Aは、実施の形態1に係る導通構造を示す断面図であり、シャーシ4Aのみに突面部4A−4を設けた構造を示している。この構造では、例えば、シャーシ4Bとしては、電気絶縁性の被膜がないものが用いられている。また図2Bは実施の形態1に係る導通構造の別の例を示す断面図であり、シャーシ4Aに突面部4A−4を設け、シャーシ4Cにも突面部4C−4を設けた構造を示している。
【0015】
図2Aにおいて、シャーシ4Aは、この発明における第1の部材を具体化した構成要素であり、板金部材4A−1が電気絶縁性のある被膜4A−2,4A−3によって覆われた部材である。すなわち、板金部材4A−1の一方側の表層に電気絶縁性の被膜4A−2が形成され、他方側の表層に被膜4A−3が形成されている。
突面部4A−4は、シャーシ4Aの一部から平面部4A−5が突出した状態で形成されており、平面部4A−5の外周面4A−6から下地の板金部材4A−1が露出している。
【0016】
導電性部材5は、平面部4A−5の外周面4A−6から露出した下地に接触して配置される部材であり、例えば、導電性を有し、かつスポンジ状の軟らかい部材で構成される。
具体的には、ステンレスなどの金属製のメッシュの薄いシートでスポンジ部材を覆ったものが挙げられる。このように構成された導電性部材5は、シャーシ4Aとシャーシ4Bとで挟み込まれたときに、図2Aに示すように突面部4A−4が沈み込んだ状態となって外周面4A−6から露出した下地に接触する。
例えば、シャーシ4Aとシャーシ4Bとで挟み込む前の導電性部材5の高さ方向の寸法が5mmである場合、シャーシ4Aとシャーシ4Bは、導電性部材5を挟み込んで、導電性部材5の高さ方向の寸法が2.5mm程度になるまで圧縮する。これにより、突面部4A−4が導電性部材5に沈み込み、外周面4A−6から露出した下地と導電性部材5とが確実に接触する。
【0017】
図2Bにおいて、シャーシ4Cは、この発明における第2の部材を具体化した構成要素であり、板金部材4C−1が電気絶縁性のある被膜4C−2,4C−3で覆われた部材である。すなわち、被膜4C−2は板金部材4C−1の一方側の表層に形成され、被膜4C−3は他方側の表層に形成されている。
なお、シャーシ4Cは、図1Bに示したシャーシ4Bのように、液晶部2Aを保持する板金製のシャーシであってもよい。
【0018】
突面部4C−4は、シャーシ4Aと同様に、シャーシ4Cの一部から平面部4C−5が突出した状態で形成され、外周面4C−6から下地の板金部材4C−1が露出している。
図2Bに示すように、導電性部材5は、外周面4C−6から露出した下地にも接触して配置されるので、シャーシ4Cは、導電性部材5を介してシャーシ4Aと導通する。
【0019】
図3Aは、実施の形態1に係る導通構造を構成する板金部材と導電性部材を示す斜視図であり、シャーシ4Aとこれに配置された導電性部材5を示している。また、図3Bは、図3Aのシャーシ4Aと導電性部材5をB−B線で切った断面を示す断面矢示図である。
図4Aは、実施の形態1に係る導通構造を構成する板金部材を示す斜視図であり、突面部4A−4を設けたシャーシ4Aを示している。図4B図4Aのシャーシ4AをC−C線で切った断面を示す断面矢示図である。
【0020】
従来から、導電性部材を介してシャーシ同士を電気的に接続する構造は存在しており、導電性部材は、接着剤または両面粘着テープを用いてシャーシに取り付けられていた。
この構造において、接着剤または両面粘着テープが電気絶縁性のものであると、これらがシャーシと導電性部材との電気的な接続を妨げる要因となり得る。
【0021】
一方、この発明における突面部4A−4は、図4Aおよび図4Bに示すように、シャーシ4Aから平面部4A−5を突出させただけの構造を有しており、平面部4A−5は、シャーシ4Aの表層に形成された被膜4A−2に覆われている。
ただし、図3Aおよび図3Bに示すように、シャーシ4Aと導電性部材5との導通は、導電性部材5が外周面4A−6から露出した下地に接触することにより確保されている。
そこで、導電性部材5は、平面部4A−5の被膜4A−2上に配置された電気絶縁性の接着剤または両面粘着テープによってシャーシ4Aに取り付けられる。
このようにすることで、シャーシ4Aと導電性部材5との導通を妨げることがなく、導電性部材5をシャーシ4Aに取り付けることが可能となる。
なお、図4Aにおいては、突面部4A−4を2つ設けた場合を示しているが、1つでも3つ以上であっても構わない。
【0022】
図5は、実施の形態1に係る導通構造の製造方法の概要を示す図であり、突面部4A−4を形成するシャーシ4Aおよびこのシャーシ4Aが配置されたダイ6を、パンチ7の押し込み方向に切った断面を示している。
まず、シャーシ4Aは平面部4A−5と同様な径の穴部を有したダイ6に配置される。
次に、平面部4A−5よりも少し大きな径を有するパンチ7が、シャーシ4Aのダイ6とは反対側の面から矢印D方向に沿ってダイ6側に押し込まれる。
突面部4A−4は、パンチ7の押し込みを、平面部4A−5がシャーシ4Aから完全に抜ける前に止める、いわゆる半抜きを行うことによって形成される。
【0023】
板金部材4A−1は、パンチ7の押し込みでダイ6によって外周面4A−6の被膜4A−2がせん断されることで、外周面4A−6から露出する。
また、パンチ7の押し込み量がE1である場合は、外周面4A−6の高さE2もE1と同様の寸法となる。従って、パンチ7の押し込み量を調整することにより、外周面4A−6から板金部材4A−1が露出する量を調整することができる。
例えば、パンチ7を図5で破線で示す位置までさらに押し込むことで、平面部4A−5はさらに突出し、板金部材4A−1の露出量も増加する。
なお、半抜き加工で突面部4A−4を形成する場合を示したが、図2Bに示した突面部4C−4を半抜き加工で形成してもよい。この場合においても、突面部4A−4を半抜き加工で形成した場合と同様の効果が得られる。
【0024】
以上のように、実施の形態1に係る導通構造において、シャーシ4Aは、板金部材4A−1が絶縁性のある被膜4A−2で覆われている。突面部4A−4は、シャーシ4Aから突出し被膜4A−2で覆われた平面部4A−5と下地の板金部材4A−1が露出する外周面4A−6とを有する。導電性部材5は、外周面4A−6から露出した下地の板金部材4A−1に接触して配置される。
このようにシャーシ4Aに設けた突面部4A−4の外周面4A−6から下地の板金部材4A−1を露出させるので、従来のように突起部の頂点部分の被膜のひび割れから下地の金属を露出させる構造よりも露出量が多くかつ平面部の突出量に応じて露出量を調整することもできる。これにより、絶縁性のある被膜4A−2を有したシャーシ4Aと導電性部材5との導通を十分に確保することができ、この導通構造を備えた電子機器1における静電気あるいはEMIの対策の効果を向上させることができる。
【0025】
また、実施の形態1に係る導通構造は、板金部材4C−1が絶縁性のある被膜4C−2で覆われているシャーシ4Cと、シャーシ4Cから突出し被膜4C−2で覆われた平面部4C−5と下地の板金部材4C−1が露出する外周面4C−6とを有する突面部4C−4とを備える。シャーシ4Cは、外周面4C−6から露出した下地の板金部材4C−1に接触して配置される導電性部材5を介してシャーシ4Aと導通する。
なお、実施の形態1において、平面部4A−5および平面部4C−5は、円形であり、突面部4A−4および突面部4C−4は、円柱形状である。
このように構成しても、導電性部材5を介してシャーシ4Aとシャーシ4Cとの導通を十分に確保することができる。
【0026】
さらに、実施の形態1に係る導通構造の製造方法において、平面部4A−5または平面部4C−5を半抜き加工して突面部4A−4または突面部4C−4を形成している。
このようにすることで、突面部4A−4を容易に形成することができる。また、パンチ7の押し込み量を調整することにより、外周面4A−6からの板金部材4A−1の露出量を調整することが可能である。これにより、シャーシ4Aと導電性部材5との導通を調整することができ、この導通構造を備えた電子機器1における静電気あるいはEMIの対策の効果を向上させることができる。
【0027】
実施の形態2.
実施の形態1では、平面部4A−5または平面部4C−5の突出量で板金部材4A−1または板金部材4C−1が露出する量を調整したが、実施の形態2では、平面部の形状で下地の板金部材が露出する量を変える構造について述べる。
図6Aは、この発明の実施の形態2に係る導通構造を構成する板金部材の例を示す正面図であり、シャーシ4Aに突面部4A−7を設けた構造を示している。また、図6Bは、図6Aのシャーシ4Aを示す斜視図である。
【0028】
図6Aに示すように、平面部4A−8は星形であり、突面部4A−7は、図6Bに示すように、端面が星形の多角柱形状である。このように構成することでも、平面部4A−8の外周面4A−9から下地の板金部材が露出する。
実施の形態1で示した導電性部材5は、この外周面4A−9から露出した下地の板金部材に接触して配置されるので、シャーシ4Aと導電性部材5との導通を十分に確保することができる。これにより、この導通構造を備えた電子機器1における静電気あるいはEMIの対策の効果を向上させることができる。
【0029】
図7Aは、実施の形態2に係る導通構造を構成する板金部材の別の例を示す正面図であり、シャーシ4Aに突面部4A−10を設けた構造を示している。また、図7B図7Aのシャーシ4Aを示す斜視図である。
図7Aに示すように、平面部4A−11は四角形であり、突面部4A−10は、図7Bに示すように、端面が四角形の多角柱形状である。このように構成することでも、平面部4A−11の外周面4A−12から下地の板金部材が露出する。
実施の形態1で示した導電性部材5は、この外周面4A−12から露出した下地の板金部材に接触して配置されるので、シャーシ4Aと導電性部材5との導通を十分に確保することができる。これにより、この導通構造を備えた電子機器1における静電気あるいはEMIの対策の効果を向上させることができる。
【0030】
図8Aは、実施の形態2に係る導通構造を構成する板金部材のさらに別の例を示す正面図であり、シャーシ4Aに突面部4A−13を設けた構造を示している。また、図8B図8Aのシャーシ4Aを示す斜視図である。
図8Aに示すように、平面部4A−14は三角形であり、突面部4A−13は、図8Bに示すように、端面が三角形の多角柱形状である。このように構成することでも、平面部4A−14の外周面4A−15から下地の板金部材が露出する。
実施の形態1で示した導電性部材5は、この外周面4A−15から露出した下地の板金部材に接触して配置されるので、シャーシ4Aと導電性部材5との導通を十分に確保することができる。これにより、この導通構造を備えた電子機器1における静電気あるいはEMIの対策の効果を向上させることができる。
【0031】
以上のように、実施の形態2に係る導通構造において、平面部4A−8,4A−11,4A−14は多角形であり、突面部4A−7,4A−10,4A−13は多角柱形状である。このように構成することで、従来のように突起部の頂点部分から下地の金属を露出させる構造よりも露出量が多く、平面部4A−8,4A−11,4A−14の形状に応じて露出量を調整することもできる。
従って、絶縁性の被膜4A−2を有したシャーシ4Aと導電性部材5との導通を十分に確保することができ、この導通構造を備えた電子機器における静電気あるいはEMIの対策の効果を向上させることができる。
【0032】
また、突面部4A−4と突面部4C−4の両方を形成する場合において、これらの突面部の平面部の形状を同一にしてもよいし、異なるものとしてもよい。
さらに、図4Aに示したように1つの導電性部材に対して複数の突面部を設ける場合、突面部の平面部の形状または大きさをそれぞれ変えてもよい。
さらに、実施の形態1と実施の形態2とを組み合わせて、平面部の形状と突出量を変えて外周面から下地の板金部材が露出する量を調整してもよい。
さらに、導電性部材5を、導電性を有しかつスポンジ状の軟らかい部材で構成した場合を示したが、突面部が嵌合される穴部を有した硬い部材で構成してもよい。
すなわち、導電性部材は、シャーシに配置したときに平面部の外周面に接触することができる構成であればよい。
【0033】
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 電子機器、2 液晶パネル、2A 液晶部、2B 保護板、3 筐体、4A,4B,4C シャーシ、4A−1,4C−1 板金部材、4A−2,4A−3,4C−2,4C−3 被膜、4A−4,4A−7,4A−10,4A−13,4C−4 突面部、4A−5,4A−8,4A−11,4A−14,4C−5 平面部、4A−6,4A−9,4A−12,4A−15 外周面、5 導電性部材、6 ダイ、7 パンチ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8