特許第6624964号(P6624964)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6624964
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】部品組み付け治具
(51)【国際特許分類】
   B25B 27/10 20060101AFI20191216BHJP
   B23P 19/02 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   B25B27/10 A
   B23P19/02 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-26450(P2016-26450)
(22)【出願日】2016年2月16日
(65)【公開番号】特開2017-144500(P2017-144500A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2018年10月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】507369936
【氏名又は名称】ホンダ太陽株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(72)【発明者】
【氏名】藤内 芳郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 仁
【審査官】 稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−004889(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0069190(US,A1)
【文献】 実開平02−139074(JP,U)
【文献】 特開平07−108471(JP,A)
【文献】 特開2010−043717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 27/10,27/28
F16B 2/20
B23P 21/00,19/02
F16J 15/10
F16L 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品Aの開口部から部品Bを圧入して組み付ける部品組み付け治具において、前記部品Aを前記開口部が所定の方向を向くように支持する部品A支持部と、前記部品Bを前記部品Aの開口部に近接して規定位置で支持する部品B支持部と、前記部品A支持部から所定距離離間して配置されると共に、前記所定の方向に移動可能な移動機構と、前記移動機構に取り付けられ、前記移動機構の移動に応じて前記部品Bに当接可能な第1圧入具と、前記移動機構に取り付けられ、前記移動機構の移動に応じて前記部品Bに当接可能な第2圧入具とを備えると共に、前記第1圧入具と前記第2圧入具は、前記第1圧入具が前記部品Bに当接して前記部品Bを前記部品Aの開口部から途中まで圧入した後、前記第2圧入具が前記部品Bに当接して前記部品Bを前記部品Aの内奥部に圧入するように前記移動機構に取り付けられ
前記移動機構がメインスライドと、前記メインスライドにスプリングを介して取り付けられるスライドベアリングと、作業者の手動操作によって前記メインスライドを前記所定の方向に移動可能なレバーとを備えると共に、前記第1圧入具は前記スライドベアリングに取り付けられ、前記第2圧入具は前記メインスライドに取り付けられることを特徴とする部品組み付け治具。
【請求項2】
部品Aの開口部から部品Bを圧入して組み付ける部品組み付け治具において、前記部品Aを前記開口部が所定の方向を向くように支持する部品A支持部と、前記部品Bを前記部品Aの開口部に近接して規定位置で支持する部品B支持部と、前記部品A支持部から所定距離離間して配置されると共に、前記所定の方向に移動可能な移動機構と、前記移動機構に取り付けられ、前記移動機構の移動に応じて前記部品Bに当接可能な第1圧入具と、前記移動機構に取り付けられ、前記移動機構の移動に応じて前記部品Bに当接可能な第2圧入具とを備えると共に、前記第1圧入具と前記第2圧入具は、前記第1圧入具が前記部品Bに当接して前記部品Bを前記部品Aの開口部から途中まで圧入した後、前記第2圧入具が前記部品Bに当接して前記部品Bを前記部品Aの内奥部に圧入するように前記移動機構に取り付けられ
前記部品Aは前記内奥部が前記開口部に狭隘部を介して連続してなり、前記部品Bは大略円形を呈する弾性材からなると共に、前記第1圧入具と前記第2圧入具は、前記第1圧入具が前記部品Bに当接して前記部品Bを前記部品Aの前記開口部から前記狭隘部に圧入した後、前記第2圧入具が前記部品Bに当接して前記部品Bを前記部品Aの前記内奥部に圧入するように前記移動機構に取り付けられることを特徴とする部品組み付け治具。
【請求項3】
前記移動機構がメインスライドと、前記メインスライドにスプリングを介して取り付けられるスライドベアリングと、作業者の手動操作によって前記メインスライドを前記所定の方向に移動可能なレバーとを備えると共に、前記第1圧入具は前記スライドベアリングに取り付けられ、前記第2圧入具は前記メインスライドに取り付けられることを特徴とする請求項記載の部品組み付け治具。
【請求項4】
前記部品Aは前記開口部を形成する開口端が側面視において前記所定の方向の高さが異なると共に、前記第1圧入具は高さの高い側の開口端側で前記部品Bに当接するように前記スライドベアリングに取り付けられることを特徴とする請求項1または記載の部品組み付け治具。
【請求項5】
前記第1圧入具と前記第2圧入具の前記部品Bに当接する部位の厚みは、側面視において前記第1圧入具が前記第2圧入具より小さく構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の部品組み付け治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は部品組み付け治具に関する。
【背景技術】
【0002】
クリップなどの部品Aにチューブなどの部品Bを組み付ける部品組み付け治具としては、特許文献1記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1記載の技術は、チューブ(部品B)を所定の向きにガイドするチューブガイドと、クリップ(部品A)のリング部を拡径する拡径手段と、チューブの端部に施されたマーキングを検出する検出手段などを備え、チューブとクリップを組み付け誤りなく組み付けるように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−161892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の技術の場合、上記のように構成することでリング部を備えるリングクリップなどの部品Aにチューブなどの部品Bを組み付けるには適しているが、部品Aの開口部から部品Bを圧入して組み付けるような作業には利用し難い不都合があった。また、両手の使用に支障のある作業者にとっては、片手で作業するのが必ずしも容易ではなかった。
【0006】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、部品Aの開口部から部品Bを容易に圧入して組み付けることができると共に、作業者が片手でも容易に作業可能なようにした部品組み付け治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、例えば請求項1にあっては、部品Aの開口部から部品Bを圧入して組み付ける部品組み付け治具において、前記部品Aを前記開口部が所定の方向を向くように支持する部品A支持部と、前記部品Bを前記部品Aの開口部に近接して規定位置で支持する部品B支持部と、前記部品A支持部から所定距離離間して配置されると共に、前記所定の方向に移動可能な移動機構と、前記移動機構に取り付けられ、前記移動機構の移動に応じて前記部品Bに当接可能な第1圧入具と、前記移動機構に取り付けられ、前記移動機構の移動に応じて前記部品Bに当接可能な第2圧入具とを備えると共に、前記第1圧入具と前記第2圧入具は、前記第1圧入具が前記部品Bに当接して前記部品Bを前記部品Aの開口部から途中まで圧入した後、前記第2圧入具が前記部品Bに当接して前記部品Bを前記部品Aの内奥部に圧入するように前記移動機構に取り付けられ、前記移動機構がメインスライドと、前記メインスライドにスプリングを介して取り付けられるスライドベアリングと、作業者の手動操作によって前記メインスライドを前記所定の方向に移動可能なレバーとを備えると共に、前記第1圧入具は前記スライドベアリングに取り付けられ、前記第2圧入具は前記メインスライドに取り付けられる如く構成した。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る部品組み付け治具にあっては、部品Aを開口部が所定の方向を向くように支持する部品A支持部と、部品Bを部品Aの開口部に近接して規定位置で支持する部品B支持部と、部品A支持部から所定距離離間して配置されると共に、所定の方向に移動可能な移動機構と、移動機構に取り付けられ、移動機構の移動に応じて部品Bに当接可能な第1圧入具と、移動機構に取り付けられ、移動機構の移動に応じて部品Bに当接可能な第2圧入具とを備えると共に、第1圧入具と第2圧入具は、第1圧入具が部品Bに当接して部品Bを部品Aの開口部から途中まで圧入した後、第2圧入具が部品Bに当接して部品Bを部品Aの内奥部に圧入するように移動機構に取り付けられる如く構成したので、第1圧入具と第2圧入具で部品Bを圧入することが可能となって部品Bを部品Aの内奥部に容易に組み付けることができる。
【0009】
また、部品B支持部は部品Bを部品Aの開口部に近接して規定位置で支持するように構成されることから、規定位置を部品Bの作業で指定される部品Aの取り付け位置に一致させておくことで、作業者は部品Bを部品B支持部に置いて移動機構を移動させれば第1、第2圧入具によって部品Bを部品Aに圧入することが可能となり、よって両手の使用に支障がある場合であっても片手で容易に作業することができる。また、前記移動機構がメインスライドと、前記メインスライドにスプリングを介して取り付けられるスライドベアリングと、作業者の手動操作によって前記メインスライドを前記所定の方向に移動可能なレバーとを備えると共に、前記第1圧入具は前記スライドベアリングに取り付けられ、前記第2圧入具は前記メインスライドに取り付けられる如く構成したので、第1圧入具で部品Bを部品Aの開口部に圧入し、次いで狭隘部に圧入した後、第2圧入具で部品Aの内奥部に圧入することが一層可能となると共に、第1圧入具をスプリングを介してメインスライドに取り付けられるスライドベアリングに取り付けることで、第1圧入具で部品Bを押圧するとき、部品B(あるいは部品A)を損傷するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施形態に係る部品組み付け治具を全体的に示す概略図である。
図2図1に示す部品組み付け治具の部品支持部付近の斜視図である。
図3図1に示す部品組み付け治具の動作を示す説明図である。
図4図1に示す部品組み付け治具の部品A,Bの組み付け作業工程を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に即してこの発明に係る部品組み付け治具を実施するための形態について説明する。
【0012】
図1はこの発明の実施形態に係る部品組み付け治具を全体的に示す概略図、図2図1に示す部品組み付け治具の部品支持部付近の斜視図、図3図1に示す部品組み付け治具の動作を示す説明図である。
【0013】
図示の如く、この発明の実施形態に係る部品材組み付け治具(以下「治具」と略称)10は、部品A,Bの組み付け治具である。部品Aは、例えば弾性変形可能な金属材など、より具体的には作業者が手で開口を拡張させるのが困難な程度の硬度を備える金属材などで製作されるクリップなどを意味する。
【0014】
部品Aは具体的には、側面視において開口部A1に狭隘部A2を介して連続する内奥部(有底拡径部)A3を備えると共に、開口部A1を形成する開口端A11,A12は側面視において所定の方向の高さが異なる、より具体的には開口端A12が開口端A11より高いように構成される。所定の方向は、この実施形態では重力方向を意味する。
【0015】
また、部品Aはより具体的には、側面視において大略J字状を呈する平坦面A4を有する釣り針状、より詳しくは開口部A1から狭隘部A2を介して内奥部A3に連続する壁面が平坦面を有する大略J字状を呈する釣り針状に構成されると共に、開口部A1は外側に折り曲げられ、そこに係止部位A5が形成される。
【0016】
部品Bは、断面視において大略円形を呈する弾性材から製作され、部品Aの開口部A1と狭隘部A2から内奥部A3に圧入して組み付け可能な部品を意味する。この実施形態では例えばゴム、樹脂などの弾性材から製作され、断面視において大略円形を呈する円筒状のチューブ、ホースなどを意味する。
【0017】
治具10は、図1,2に示す如く、側面大略逆L字状の基台12に取り付けられると共に、部品A支持部14と、部品B支持部16と、移動機構20と、第1圧入具22と、第2圧入具24とを備える。
【0018】
基台12は作業机26の上に置かれ、作業机26の前(図1において左側)には、図示は省略するが、作業者が椅子に腰掛け、治具10を用いて部品Bを部品Aに組み付けるように構成される。
【0019】
以下、治具10の構成要素を詳細に説明すると、部品A支持部14は、基台12に固定されるベース14aと、ベース14aに所定の方向に向けて取り付けられる突起14bとを備える。
【0020】
突起14bは部品Aの係止部位A5に挿入可能な肉厚の薄い細片からなり、よって部品A支持部14は、部品Aをベース14a上において開口部A1が重力方向(所定の方向)を向くように支持するように構成される。
【0021】
部品B支持部16は、図2に示す如く、部品A支持部14に隣接して配置され、基台12と部品A支持部14のベース14aとに固定されるベース16aと、部品A支持部14のベース14a上に固定されるストッパ16bとを備える。
【0022】
ベース16aの上面には凹部16a1が全長にわたって穿設される。凹部16a1は部品Bの形状に相応する断面半球状の壁面を有すると共に、部品Bの外径より僅かに小さい内径(凹部16a1の差し渡し径)を有し、よって作業者が部品Bを凹部16a1に押し込むことで、部品Bを部品Aの開口部A1に近接する位置、より詳しくは開口部A1を形成する開口端A11,A12の付近で確実に支持するように構成される。
【0023】
また、ストッパ16bは作業者が部品Bを凹部16a1に押し込むときに部品Bの先端部を当接させるための部位であり、作業者の作業手順で規定される部品Aの部品Bでの取り付け位置(規定位置)に相応する、部品A支持部14の突起14b(部品Aの部品Bへの取り付け位置)からの離間位置において部品A支持部14のベース14aに固定される。
【0024】
このように、部品B支持部16は作業者が部品Bをその凹部16a1に押し込むことで、部品Bを部品Aの開口部A1に近接する規定位置で確実に支持するように構成される。尚、ストッパ16bはベース14a上に穿設された溝16b1に沿って移動可能に構成され、作業手順で取り付け位置が変更される場合にも対応可能に構成される。
【0025】
図1の説明に戻ると、移動機構20は、部品A支持部14から所定の方向に所定距離離間して配置されると共に、メインスライド20aと、メインスライド20aにスプリング20bを介して取り付けられるスライドベアリング20cと、作業者の手動操作によってメインスライド20aを所定の方向に移動可能なレバー20dとを備える。
【0026】
メインスライド20aは図1に示すように側面視において大略コ字状を呈すると共に、基台12に穿設されたガイド溝12aに沿って移動(スライド)可能に基台12に連結される。メインスライド20aにはレール20a1が設けられる。
【0027】
スライドベアリング20cはメインスライド20aにスプリング20bを介して取り付けられると共に、メインスライド20aに設けられるレール20a1に沿ってメインスライド20aの移動につれて所定の方向に移動可能に構成される。
【0028】
レバー20dは一端で基台12に設けられた支点20d1(図示せず)に接続されると共に、支点20d1と作業者の手で把持される把持部20d2(図示せず)の間でメインスライド20aに接続され、作業者の手動操作によってメインスライド20aを所定の方向、より詳しくは重力方向において下方に移動可能であると共に、作業者の手が離れたとき、図示しないスプリング(図示せず)を介して重力方向において上方に復帰するように構成される。
【0029】
第1圧入具22と第2圧入具24は移動機構20に取り付けられる。即ち、第1圧入具22は移動機構20のスライドベアリング20cに取り付けられると共に、第2圧入具24はメインスライド20aに取り付けられ、よって作業者のレバー20dの手動操作によって第1圧入具22と第2圧入具24は移動機構20の移動に応じて部品Bに当接可能なように構成される。
【0030】
第1圧入具22と第2圧入具24は、図1図2に示す如く、共に細長いプレートからなると共に、部品Bと当接する先端部位22a,24aは平坦に形成さられる。また、第1圧入具22と第2圧入具24の先端部位22a,24aの厚みは、図1図2に示す如く、側面視において第1圧入具22が第2圧入具24より小さく構成される。
【0031】
図1に示す如く、第1圧入具22と第2圧入具24は、それらの先端部位22a,24aと部品Bとの離間距離が、第1圧入具22の先端部位22aの方が第2圧入具24の先端部位24aよりも小さい(換言すれば部品Bにより接近する)ように移動機構20に取り付けられる。
【0032】
また、前記したように、部品Aは開口部A1を形成する開口端A11,A12が側面視において所定の方向の高さが異なると共に、第1圧入具22は高さの高いA12側で前記部品Bに当接するように前記スライドベアリング20cに取り付けられる。
【0033】
また、部品Aは側面視において大略J字状を呈する平坦面A4を有するが、第1圧入具22はその平坦面A4側で部品Bに当接するようにスライドベアリング20cに取り付けられる。
【0034】
治具10の動作を説明すると、第1圧入具22と第2圧入具は、図3(a)から(d)に示す如く、作業者のレバー20dの手動操作によって第1圧入具22と第2圧入具24が移動機構20の移動に応じて部品Bに接近するとき、第1圧入具22が先に当接可能なように構成される。
【0035】
詳しくは、第1圧入具22と第2圧入具24は、第1圧入具22(の先端部位22a)が部品Bに当接して部品Bを部品Aの開口部A1から途中まで、即ち、狭隘部A2に圧入した後(図3(a)(b))、第2圧入具24(の先端部位24a)が部品Bに当接して部品Bを部品Aの内奥部A3に圧入する(図3(c)(d))ように移動機構20に取り付けられる。
【0036】
より詳しくは、部品Aは開口部A1を形成する開口端A11,A12が側面視において所定の方向の高さが異なると共に、第1圧入具22は高さの高いA12側で部品Bに当接するようにスライドベアリング20cに取り付けられることから、第1圧入具22(の先端部位22a)が部品Bに当接し、部品Bをα点(図3(a))を支点として回転させながら、部品Bを部品Aの開口部A1から狭隘部A2に圧入する(図3(a)(b))。
【0037】
次いで第1圧入具22の部品Bへの押圧力の印加をほぼ停止した後(図3(c))、第1圧入具22に代わり、第2圧入具24(の先端部位24a)が部品Bに当接して部品Bを部品Aの内奥部A3に圧入して組み付ける(図3(d))。
【0038】
尚、第1圧入具22は、移動機構20のメインスライド20aにスプリング20bを介して取り付けられるスライドベアリング20cに取り付けられることから、部品Bに当接して部品Bを部品Aの開口部A1から狭隘部A2に圧入するとき、部品Bへの押圧力がスプリング20bによって部分的に吸収され、部品B(あるいは部品A)に過大な力を与えて損傷することがない。
【0039】
図4図1に示す部品組み付け治具を用いた作業者の部品A,Bの組み付け作業工程を示す工程図である。
【0040】
図1から図3を参照しつつ、以下説明すると、工程1において作業者は治具10の部品A支持部14と部品B支持部16に部品A,Bをセットする(置く)。
【0041】
次いで工程2において作業者はレバー20dを手動操作して移動機構20を下降させ、第1圧入具22を部品Bに当接させ、部品Bを部品Aの開口部A1から狭隘部A2に(途中まで)圧入する。
【0042】
次いで工程3において作業者は第2圧入具24を部品Bに当接させて部品Bを部品Aの内奥部A3に圧入して組み付け、工程4において治具10から完成品(部品A,Bの組み付け体)を抜き取り、工程1に戻って上記の作業を繰り返す。
【0043】
上記した如く、この実施形態にあっては、部品Aの開口部A1から部品Bを圧入して組み付ける部品組み付け治具10において、前記部品Aを前記開口部A1が所定の方向(重力方向)を向くように支持する部品A支持部14と、前記部品Bを前記部品Aの開口部A1に近接して規定位置で支持する部品B支持部16と、前記部品A支持部14から所定距離離間して配置されると共に、前記所定の方向に移動可能な移動機構20と、前記移動機構20に取り付けられ、前記移動機構20の移動に応じて前記部品Bに当接可能な第1圧入具22と、前記移動機構20に取り付けられ、前記移動機構20の移動に応じて前記部品Bに当接可能な第2圧入具24とを備えると共に、前記第1圧入具22と前記第2圧入具24は、前記第1圧入具22が前記部品Bに当接して前記部品Bを前記部品Aの開口部A1から途中まで圧入した後、前記第2圧入具24が前記部品Bに当接して前記部品Bを前記部品Aの内奥部(有底拡径部)A3に圧入するように前記移動機構20に取り付けられる如く構成したので、第1圧入具22と第2圧入具24で部品Bを圧入することが可能となって部品Bを部品Aの内奥部A3に容易に組み付けることができる。
【0044】
また、部品B支持部16は部品Bを部品Aの開口部A1に近接して規定位置で支持するように構成されることから、規定位置を部品Bの作業で指定される部品Aの取り付け位置に一致させておくことで、作業者は部品Bを部品B支持部16に置いて移動機構20を移動させれば第1、第2圧入具22,24によって部品Bを部品Aに圧入することが可能となり、よって両手の使用に支障がある場合であっても片手で容易に作業することができる。
【0045】
具体的には、前記部品Aは前記内奥部A3が前記開口部A1に狭隘部A2を介して連続してなり、前記部品Bは大略円形を呈する弾性材からなると共に、前記第1圧入具22と前記第2圧入具24は、前記第1圧入具22が前記部品Bに当接して前記部品Bを前記部品Aの前記開口部A1から前記狭隘部A2に圧入した後、前記第2圧入具24が前記部品Bに当接して前記部品Bを前記部品Aの前記内奥部A3に圧入するように前記移動機構20に取り付けられる如く構成したので、第1圧入具22で部品Bを回転させながら部品Aの開口部A1に圧入し、次いで狭隘部A2に圧入した後、第2圧入具24で部品Bを部品Aの内奥部A3に圧入することが可能となり、部品Bを部品Aの内奥部A3に容易に組み付けることができる。また、両手の使用に支障がある場合であっても片手で容易に作業することができる。
【0046】
より具体的には、側面視において開口部A1に狭隘部A2を介して連続する内奥部A3を備える部品Aに、断面視において大略円形を呈する弾性材から製作される部品Bを、前記部品Aの開口部A1と狭隘部A2から内奥部A3に圧入して組み付ける部品組み付け治具10において、前記部品Aを前記開口部A1が所定の方向(重力方向)を向くように支持する部品A支持部14と、前記部品Bを前記部品Aの開口部A1に近接して規定位置で支持する部品B支持部16と、前記部品A支持部14から所定距離離間して配置されると共に、前記所定の方向に移動可能な移動機構20と、前記移動機構20に取り付けられ、前記移動機構20の移動に応じて前記部品Bに当接可能な第1圧入具22と、前記移動機構20に取り付けられ、前記移動機構20の移動に応じて前記部品Bに当接可能な第2圧入具24とを備えると共に、前記第1圧入具22と前記第2圧入具24は、前記第1圧入具22が前記部品Bに当接して前記部品Bを前記部品Aの開口部A1から狭隘部A2に圧入した後、前記第2圧入具24が前記部品Bに当接して前記部品Bを前記部品Aの内奥部A3に圧入するように前記移動機構20に取り付けられる如く構成したので、第1圧入具22で部品Bを回転させながら部品Aの開口部A1に圧入し、次いで狭隘部A2に圧入した後、第2圧入具24で部品Bを部品Aの内奥部A3に圧入することが可能となり、部品Bを部品Aの内奥部A3に容易に組み付けることができる。また、両手の使用に支障がある場合であっても片手で容易に作業することができる。
【0047】
また、部品B支持部16は部品Bを部品Aの開口部A1に近接して規定位置で支持するように構成されることから、規定位置を部品Bの作業で指定される部品Aの取り付け位置と一致させておくことで、作業者は部品Bを部品B支持部16に置いて移動機構20を移動させれば第1、第2圧入具22,24によって部品Bを部品Aに圧入することができ、よって両手の使用に支障がある場合であっても片手で容易に作業することが可能となる。
【0048】
また、前記移動機構20がメインスライド20aと、前記メインスライド20aにスプリング20bを介して取り付けられるスライドベアリング20cと、作業者の手動操作によって前記メインスライド20aを前記所定の方向に移動可能なレバー20dとを備えると共に、前記第1圧入具22は前記スライドベアリング20cに取り付けられ、前記第2圧入具24は前記メインスライド20aに取り付けられる如く構成したので、第1圧入具22で部品Bを部品Aの開口部A1に圧入し、次いで狭隘部A2に圧入した後、第2圧入具24で部品Aの内奥部A3に圧入することが一層可能となると共に、第1圧入具22をスプリング20bを介してメインスライド20aに取り付けられるスライドベアリング20cに取り付けることで、第1圧入具22で部品Bを押圧するとき、部品B(あるいは部品A)を損傷するのを防止することができる。
【0049】
また、前記部品Aは前記開口部A1を形成する開口端A11,A12が側面視において前記所定の方向の高さが異なると共に、前記第1圧入具22は前記高さの高いA12側で前記部品Bに当接するように前記スライドベアリング20cに取り付けられる如く構成したので、第1圧入具22で部品Bを高さの低い開口端A11と当接する部位(α点)を支点として回転させながら部品Aの開口部A1に圧入し、次いで狭隘部A2に圧入した後、第2圧入具24で部品Bを部品Aの内奥部A3に圧入することが一層可能となる。
【0050】
また、前記第1圧入具22と前記第2圧入具24の前記部品Bに当接する(先端)部位22a,24aの厚みは、側面視において前記第1圧入具22が前記第2圧入具24より小さいように構成したので、第1圧入具22で部品Bを回転させながら部品Aの開口部A1に圧入し、次いで狭隘部A2に圧入した後、第2圧入具24で部品Bを部品Aの内奥部A3に圧入することが一層可能となる。
【0051】
尚、上記において部品Aとしてクリップ、部品Bとしてチューブ、ホースを例示したが、それに止まるものでなく、部品Aは側面視において開口部に連続する内奥部を備えればどのようなものでも良く、部品Bも部品Aの内奥部に圧入可能なものであれば、どのようにものでも良い。
【0052】
また、治具10の構成部品の構造も図示例に止まらないことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0053】
10 部品組み付け治具(治具)、12 基台、14 部品A支持部材、14a ベース、14b 突起、16 部品B支持部材、16a ベース、16a1 凹部。 16b ストッパ、16b1 溝、20 移動機構、20a メインスライド、20b スプリング、20c スライドベアリング、20d レバー、22 第1圧入具、22a 先端部位、24 第2圧入具、24a 先端部位、26 作業、A 部品、A1 開口部、A11,A12 開口端、A2 狭隘部、A3 内奥部(有底拡径部)、A4 平坦面、A5 係止部、B 部品
図1
図2
図3
図4