(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1磁性層と、第1対向磁性層と、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、を含む第1センサ素子であって、前記第1磁性層の第1磁化は第1長さ方向に沿い、前記第1磁性層から前記第1対向磁性層に向かう第1積層方向は、前記第1長さ方向と交差した、前記第1センサ素子と、
第1配線であって、前記第1配線の少なくとも一部は前記第1長さ方向に沿って延び、前記第1センサ素子から前記第1配線の前記少なくとも一部に向かう第1配線交差方向は、前記第1長さ方向と交差した、前記第1配線と、
を備え、
前記第1配線に流れる電流、及び、前記第1センサ素子に加わる被検出磁界に応じて、前記第1センサ素子の第1電気抵抗が変化し、
前記電流は、前記第1配線の前記少なくとも一部を前記第1長さ方向に沿って流れる、磁気センサ。
前記第1センサ素子と電気的に接続され前記第1磁性層、前記第1非磁性層及び前記第1対向磁性層を含む第1電流経路を流れる第1電流を前記第1センサ素子に供給する第1回路と、
前記第1配線と電気的に接続され交流の第2電流を前記第1配線に供給する第2回路と、
前記第1電気抵抗の前記変化を検出する第3回路と、
をさらに備えた、請求項1〜3のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)〜
図1(d)は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。
図1(a)は、
図1(b)及び
図1(c)の矢印AAから見た透視平面図である。
図1(b)は、
図1(a)のB1−B2線断面図である。
図1(c)は、
図1(a)のA1−A2線断面図である。
図1(d)は、磁気センサの一部の断面図である。
【0009】
図1(a)に示すように、実施形態に係る磁気センサ110は、第1センサ素子51と、第1配線21と、を含む。この例では、磁気センサ110は、第1回路71、第2回路72及び第3回路73をさらに含む。磁気センサ110及びこれらの回路が、磁気センサ装置210に含まれても良い。
【0010】
図1(d)に示すように、第1センサ素子51は、第1磁性層11、第1対向磁性層11o及び第1非磁性層11nを含む。第1非磁性層11nは、第1磁性層11及び第1対向磁性層11oの間に設けられる。
【0011】
第1磁性層11の第1磁化M1は、第1長さ方向DL1に沿う。
【0012】
第1長さ方向DL1をX軸方向とする。X軸方向に対して垂直な1つの方向をY軸方向とする。X軸方向及びY軸方向に対して垂直な方向をZ軸方向とする。
【0013】
第1磁性層11から第1対向磁性層11oに向かう第1積層方向DS1は、第1長さ方向DL1と交差する。この例では、第1積層方向DS1は、Z軸方向に沿う。
【0014】
この例では、第1素子導電層11eaと第2素子導電層11ebとの間に、第1磁性層11が設けられる。第1磁性層11と第2素子導電層11ebとの間に、第1対向磁性層11oが設けられる。この例では、第1磁性層11は、第1膜11a、第2膜11b、第3膜11c及び第4膜11dを含む。第4膜11dと第1非磁性層11nとの間に、第2膜11bが位置する。第4膜11dと第2膜11bとの間に、第1膜11aが位置する。第1膜11aと第2膜11bとの間に第3膜11cが位置する。
【0015】
第1膜11aは、例えば、磁性膜である。第1膜11aは、例えば、CoFeなどを含む。第2膜11bは、磁性膜である。第2膜11bは、例えば、CoFeなどを含む。第3膜11cは、例えば、Ruを含む。第3膜11cは、例えば、反強磁性的磁気結合を発生する。第4膜11dは、強磁性膜である。第4膜11dは、例えば、IrMnなどを含む。第1膜11aの磁化Ma1は、第1長さ方向DL1に沿う。第2膜11bの磁化Mb1は、第1長さ方向DL1に沿う。磁化Ma1の向きは、磁化Mb1の向きと逆である。第1磁性層11の第1磁化M1は、実質的に固定されている。第1磁性層11は、例えば、参照層として機能する。
【0016】
第1磁性層11の第1長さ方向DL1の長さを第1長さL1とする(
図1(b)参照)。第1磁性層11の第1幅方向DW1の長さを第2長さL2とする(
図1(c)参照)。第1幅方向DW1は、第1積層方向DS1及び第1長さ方向DL1を含む平面(例えばX−Z平面)と交差する。この例では、第1幅方向DW1は、例えば、Y軸方向である。第1長さL1は、第2長さL2よりも長い。例えば、第1長さL1は、第2長さL2の1.5倍以上である。例えば、第1磁性層11において、形状異方性が設けられる。例えば、第1磁性層11の第1磁化M1が安定し易くなる。
【0017】
第1磁性層11の第1磁化M1は、例えば、第1磁性層11に含まれる膜の成膜中に印加われる磁界の方向により制御されても良い。第1磁性層11の第1磁化M1は、例えば、第1磁性層11に含まれる膜の成膜後の熱処理中に印加される磁界の方向により制御されても良い。
【0018】
第1対向磁性層11oは、例えば、CoFe及びNiFeからなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1対向磁性層11oの磁化Mo1の向きは、第1対向磁性層11oに加わる磁界などに応じて変化する。第1対向磁性層11oは、例えば自由層である。
【0019】
第1非磁性層11nは、例えば、Cuなどを含む。
【0020】
この例では、第1対向磁性層11o及び第1非磁性層11nの平面形状(X−Y平面に沿う面における形状)は、第1磁性層11の平面形状と同じである。
【0021】
第1素子導電層11eaは、例えば、Ta、Cu及びRuからなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1素子導電層11eaは、例えば、NiFeCrを含んでも良い。第1素子導電層11eaは、例えば、下地層として機能しても良い。
【0022】
第2素子導電層11ebは、例えば、Ru及びTaからなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2素子導電層11ebは、例えば、キャップ層として機能しても良い。
【0023】
第1磁性層11、第1対向磁性層11o及び第1非磁性層11nは、第1積層部S1に含まれる。第1素子導電層11ea及び第2素子導電層11ebが、第1積層部S1に含められても良い。
図1(b)及び
図1(c)では、第1素子導電層11ea及び第2素子導電層11ebは、省略されている。
図1(b)に示すように、第1積層部S1は、一端部S1aと、他端部S1bと、を含む。一端部S1aから他端部S1bに向かう方向は、第1長さ方向DL1に沿う。この例において、第1積層部S1は、例えば、GMR(Giant Magneto Resistive effect)素子である。
【0024】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、第1配線21の少なくとも一部は、第1長さ方向DL1に沿って延びる。
図1(b)に示すように、第1センサ素子51から、第1配線21の上記の少なくとも一部に向かう方向(第1配線交差方向Dc1)は、第1長さ方向DL1と交差する。この例では、第1配線交差方向Dc1は、Z軸方向である。この例では、第1配線交差方向Dc1は、第1積層方向DS1に沿う。
【0025】
図1(b)及び
図1(c)に示すように、この例では、基板10sが設けられる。基板10sと第1配線21との間に、第1センサ素子51が位置する。
図1(a)では、基板10sは省略されている。
【0026】
以下に説明するように、第1センサ素子51の第1電気抵抗は、第1配線21に流れる電流、及び、第1センサ素子51に加わる被検出磁界(外部から加わる信号磁界Hsig)に応じて変化する。
【0027】
例えば、
図1(
b)に示すように、第1積層部S1の一端部S1aに第1センサ一端配線51eが電気的に接続される。一方、第1積層部S1の他端部S1bに第1センサ他端配線51fが電気的に接続される。第1センサ素子51の第1電気抵抗の変化は、一端部S1aと他端部S1bとの間の電気抵抗の変化に対応する。第1電気抵抗の変化は、第1センサ一端配線51eと第1センサ他端配線51fとの間の電気抵抗の変化に対応する。第1センサ一端配線51e及び第1センサ他端配線51fは、電極端子でも良い。
【0028】
第1回路71は、第1センサ素子51と電気的に接続される。この例では、第1回路71は、配線71a及び配線71bを介して、第1センサ素子51と電気的に接続される。第1回路71は、第1電流Cs1(
図1(b)参照)を第1センサ素子51に供給する。
【0029】
この例では、第1電流Cs1は、第1長さ方向DL1に沿って、第1積層部S1を流れる。
【0030】
第3回路73は、第1センサ素子51の第1電気抵抗の変化を検出する。例えば、第3回路73は、第1回路71と並列に接続される。例えば、第3回路73は、配線71a及び配線71bを介して、第1積層部S1と電気的に接続される。第3回路73は、第1センサ素子51の第1電気抵抗に応じた電圧、電流及び抵抗の少なくともいずれかを検出する。
【0031】
図1(a)に示すように、第2回路72は、第1配線21と電気的に接続される。この例では、第2回路72は、配線72aにより第1配線21の一端21eと電気的に接続される。第2回路72は、配線72bにより第1配線21の他端21fと電気的に接続される。第2回路72は、第2電流Ch1を第1配線21に供給する。後述するように、第2電流Ch1は、例えば交流信号である。第1配線21を第2電流Ch1が流れることにより、磁界H2が発生する。磁界H2は、第1センサ素子51に印加される。
【0032】
第1センサ素子51と第1配線21との間の距離d1(
図1(b)及び
図1(c)参照)が小さいと、例えば、第1配線21に流れる電流により生じる磁界H2が、第1センサ素子51に効果的に印加される。距離d1が過度に小さいと、第1配線21に交流信号を供給したときに、容量結合の影響によって、第1センサ素子51に供給される電流(直流電流)が影響を受ける場合がある。例えば、距離d1は、0.1μm以上120μm以下である。距離d1が120μm以下であることにより、磁界H2が第1センサ素子51に効果的に印加される。距離d1が0.1μm以上であるときに、容量結合の影響が抑制される。距離d1は、例えば、0.5μm以上であることがさらに好ましい。距離d1は、例えば、1μm以上であることがさらに好ましい。距離d1は、30μm以下であることがさらに好ましい。距離d1は、15μm以下であることがさらに好ましい。
【0033】
例えば、第1磁性層11の幅(第2長さL2)が1μmであり、第1配線21と第1センサ素子51との間の距離d1を1μmとする。第1配線21の流れる電流を1mAとする。このとき、第1センサ素子51に加わる磁界H2は、1000A/m(すなわち、12.5Oe:エルステッド)である。この磁界H2の方向は、Y軸方向に沿う。後述するように、Y軸方向の成分を有する交流の磁界H2を用いることで、被検出磁界が検出される。
【0034】
例えば、第1配線21に流れる電流(第2電流Ch1)がゼロの場合、第1対向磁性層11oの磁化Mo1の向きは、X軸方向に沿う。第1配線21に流れる電流(第2電流Ch1)がゼロでない場合、その電流により生じる磁界H2により、例えば、第1対向磁性層11oの磁化Mo1の向きが変化する。例えば、磁化Mo1の向きは、Y軸方向に向けて変化する。その結果、第1磁性層11の第1磁化M1と、第1対向磁性層11oの磁化Mo1と、の間の角度が変化する。これにより、第1磁性層11と第1対向磁性層11oとの間の電気抵抗(第1電気抵抗)が変化する。
【0035】
さらに、第1センサ素子51に、検出対象の被検出磁界(信号磁界Hsig)が印加されると、第1対向磁性層11oの磁化Mo1の向きが変化する。その結果、第1磁性層11の第1磁化M1と、第1対向磁性層11oの磁化Mo1と、の間の角度が変化する。これにより、第1磁性層11と第1対向磁性層11oとの間の電気抵抗(第1電気抵抗)が変化する。
【0036】
このように、実施形態においては、第1センサ素子51の第1電気抵抗は、第1配線21に流れる第2電流Ch1、及び、第1センサ素子51に加わる被検出磁界(信号磁界Hsig)に応じて変化する。
【0037】
このような磁気センサ110においては、高い検出感度が得られる。以下、磁気センサ110の特性の例について説明する。
【0038】
図2(a)及び
図2(b)は、第1実施形態に係る磁気センサの特性を例示するグラフ図である。
これらの図は、磁気センサ110の特性のシミュレーション結果を例示している。この例では、第1磁性層11の幅(第2長さL2)は10μmであり、第1磁性層11の長さ(第1長さL1)は、250μmである。第1配線21と第1センサ素子51との間の距離d1は、0.5μmである。
図2(a)の横軸は、第1配線21に流れる第2電流Ch1である。
図2(b)の横軸は、第2電流Ch1により生成される磁界H(Oe)(磁界H2に対応)である。これらの図の縦軸は、第1電気抵抗R1である。
【0039】
図2(a)に示すように、第1電気抵抗R1は、第2電流Ch1の正負に対して実質的に対称である。
【0040】
例えば、第1配線21に流れる電流(第2電流Ch1)が正極性であるときに、その電流の絶対値が増大すると、第1電気抵抗R1は増大する。第1配線21に流れる電流(第2電流Ch1)が負極性であるときに、その電流の絶対値が増大すると、第1電気抵抗R1は増大する。第2電流Ch1が0のときに、第1電気抵抗R1は、実質的に最小となる。
【0041】
例えば、正極性の第2電流Ch1が第1絶対値Av1のときの第1電気抵抗R1(Rp)と、負極性の第2電流Ch1が第1絶対値Av1のときの第1電気抵抗R1(Rn)と、の差は、小さい。例えば、正極性の第2電流Ch1が第1絶対値Av1のときの第1電気抵抗R1と、負極性の第2電流Ch1が第1絶対値Av1のときの第1電気抵抗R1と、の差の絶対値の、正極性の第2電流Ch1が第1絶対値Av1のときの第1電気抵抗R1に対する比(|Rp−Rn|/Rp)は、約0.03以下である。この比は、0.01以下でも良い。
【0042】
例えば、第1配線21に電流(第2電流Ch1)が流れないときに、第1センサ素子51の第1電気抵抗R1は、実質的に最低となる。第2電流Ch1を変えたときに得られる第1電気抵抗R1の最低の値を最低値Rminとする。例えば、第2電流Ch1が0であるときの第1電気抵抗R1は、最低値Rminの1倍以上1.002倍以下である。例えば、第2電流Ch1が0であるときの第1電気抵抗R1は、最低値Rminの1倍以上1.001倍以下でも良い。
【0043】
図2(b)に示すように、第1電気抵抗R1は、磁界Hの正負に対して実質的に対称である。このように、磁気センサ110においては、正負磁界に対して抵抗増大が対称な偶関数の抵抗−磁界特性(R−H特性)が得られる。第1電気抵抗R1の増大が飽和する磁界(飽和磁界Hs)は、約30Oeである。ヒステリシスHcは、0.15Oe程度である。ヒステリシスHcは、大変小さい。ヒステリシスHcが小さいため、ノイズが小さくできる。実施形態によれば、検出感度の向上が可能な磁気センサが提供できる。
【0044】
図3(a)及び
図3(b)は、参考例の磁気センサの特性を例示するグラフ図である。
図3(a)は、参考例の磁気センサ119aにおけるR−H特性の例を示す。磁気センサ119bにおいては、グラニュラーTMRの構成が用いられる。この参考例においては、偶関数のR−H特性が得られている。しかしながら、飽和磁界Hsは、約3kOeであり、非常に大きい。磁界Hによる抵抗Rの変化量が小さい。
【0045】
図3(b)は、参考例の磁気センサ119bにおけるR−H特性の例を示す。磁気センサ119bにおいては、自由層/非磁性中間層/自由層の構成が用いられる。この参考例においては、偶関数のR−H特性が得られている。しかしながら、ヒステリシスHcが大きい。例えば、飽和磁界Hsが約30Oeのときに、ヒステリシスHcは、約15Oeである。
【0046】
図4は、磁気センサの特性を例示する表である。
図4は、種々の構成を有する積層体におけるヒステリシスHc及び飽和磁界Hsを示す。試料の第1積層部S1は、第1磁性層11、第1対向磁性層11o及び第1非磁性層11nを含む。第1磁性層11の長さ(第1長さL1)、及び、第1磁性層11の幅(第2長さL2)が変更される。この例では、試料において、第1配線21が設けられていない。外部磁界が試料に加えられ、そのときのR−H特性が測定される。種々の構成において、第1磁性層11の第1磁化M1の向きDM1(
図1参照)が変更される。そして、第1配線21の延びる方向D21(
図1(a)参照)が変更される。方向D21は、第1配線21を流れる第2電流Ch1の方向に対応する。方向D21と直交し、膜面に沿った方向の外部磁界が第1積層部S1に加わる。
図4に示したヒステリシスHc及び飽和磁界Hsの値は、25Oeの交流磁界を加えたR−H特性から求められる。
【0047】
構成SP11〜SP15においては、ヒステリシスHcは、0.25Oe以下である。構成SP21〜SP24、SP31〜SP34、及び、SP41〜SP44においては、ヒステリシスHcは、1Oe以上であり、大きい。
【0048】
このように、第1磁性層11の第1磁化M1の向きDM1、及び、第1配線21の延びる方向D21がX軸方向(第1長さ方向DL1)に沿っているときに、小さいヒステリシスHcが得られる。このような構成において、ノイズが小さくでき、高い検出感度が得られる。
【0049】
例えば、第1非磁性層11nとして、厚さが2.5μm以上3.5μmのCu膜が用いられる。このような、第1非磁性層11nにおいては、飽和磁界Hsへの悪影響が小さい。このような第1非磁性層11nを用いることで、例えば、第1対向磁性層11oと第1磁性層11との間において、結合磁界を誘起させることができる。これにより、例えば、第1対向磁性層11oが単磁区でありつつ、小さいヒステリシスHcを得ることができる。例えば、単磁区の第1対向磁性層11oで小さいヒステリシスHcを得るために、ハード磁性膜を第1対向磁性層11oの近傍に設ける構成がある。この場合には、プロセスが煩雑となる。上記のような第1非磁性層11nを用いることで、煩雑なプロセスを用いることなく、小さいヒステリシスHcが得られる。
【0050】
以下、磁気センサ110の使用例について説明する。以下の例では、第1配線21に、交流の第2電流Ch1が流れる。すなわち、第2回路72は、交流の第2電流Ch1を第1配線21に供給する。第2電流Ch1は、交流成分を有する。交流成分により、交流磁界Hacが生じる。交流磁界Hacの方向は、Y軸方向に沿う。第1センサ素子51には、検出対象の被検出磁界(信号磁界Hsig)と、交流磁界Hacと、が加わる。
【0051】
図5(a)〜
図5(c)は、第1実施形態に係る磁気センサの特性を例示するグラフ図である。
図5(a)は、信号磁界Hsigが0のときの特性を示す。
図5(b)は、信号磁界Hsigが正のときの特性を示す。
図5(c)は、信号磁界Hsigが負のときの特性を示す。これらの図は、磁界Hと抵抗R(第1電気抵抗R1に対応)との関係を示す。
【0052】
図5(a)に示すように、信号磁界Hsigが0のときは、抵抗Rは、正負の磁界Hに対して対称な特性を示す。交流電流がゼロのときに、抵抗Rは、低抵抗Roである。第1対向磁性層11o(例えば自由層)の磁化が、正負の磁界Hに対して実質的に同じように回転する。このため、対称な抵抗増大特性が得られる。交流電流(交流磁界Hac)に対する抵抗Rの変動は、正負の極性で同じ値になる。抵抗Rの変化の周期は、交流磁界Hacの周期の2倍となる。抵抗Rの変化は、交流磁界Hacの周波数成分を実質的に有しない。
【0053】
図5(b)に示すように、正の信号磁界Hsigが加わると、抵抗Rの特性は、正の磁界Hの側にシフトする。正側の交流磁界Hacにおいて、抵抗Rが大きくなる。負側の交流磁界Hacにおいて、抵抗Rは小さくなる。
【0054】
図5(c)に示すように、負の信号磁界Hsigが加わると、抵抗Rの特性は、負の磁界Hの側にシフトする。正側の交流磁界Hacにおいて、抵抗Rが小さくなる。負側の交流磁界Hacにおいて、抵抗Rは大きくなる。
【0055】
所定の大きさの信号磁界Hsigが加わったときに、交流磁界Hacの正負に対して、互いに異なる抵抗Rの変動が生じる。交流磁界Hacの正負に対する抵抗Rの変動の周期は、交流磁界Hacの周期(第2電流Ch1の交流成分の周期)と同じである。信号磁界Hsigに応じた交流周波数成分の出力電圧が発生する。
【0056】
信号磁界Hsigが時間的に変化しない場合に上記の特性が得られる。信号磁界Hsigが時間的に変化する場合は、以下となる。信号磁界Hsigの周波数を信号周波数fsigとする。交流磁界Hacの周波数を交流周波数facとする。このとき、fac±fsigの周波数において、信号磁界Hsigに応じた出力が発生する。
【0057】
信号磁界Hsigが時間的に変化する場合において、信号周波数fsigは、例えば、1kHz以下である。一方、交流周波数facは、信号周波数fsigよりも十分に高い。例えば、交流周波数facは、信号周波数fsigの10倍以上である。
【0058】
例えば、磁気センサ110を用いて生体から生じる磁界を検出する用途がある。このような生体磁場(例えば、脳磁、心磁、または、神経細胞など)を検出する場合には、信号周波数fsigは、1kHz以下となる。この場合、交流周波数facは、例えば、100kHz以上である。
【0059】
実施形態に係る磁気センサ110においては、このような特性を用いて、検出対象である被検出磁界(信号磁界Hsig)を高い感度で検出することができる。以下、検出の例について説明する。
【0060】
図6(a)〜
図6(d)は、第1実施形態に係る磁気センサにおける検出回路を例示する模式図である。
図6(a)に示す磁気センサ110A及び磁気センサ装置210Aにおいては、周波数発生器72Gが設けられる。周波数発生器72Gは、交流周波数fac(第1周波数)を有する信号を発生する。この信号が、第2回路72に供給される。第2回路72は、交流周波数fac(第1周波数)を有する第2電流Ch1を第1配線21に供給する。
【0061】
一方、第1センサ素子51には、第1回路71により、直流電流(第1電流Cs1)が供給される。
【0062】
この例では、第3回路73は、ロックインアンプ73aを含む。ロックインアンプ73aには、周波数発生器72Gで発生された、交流周波数fac(第1周波数)を有する信号が入力される。ロックインアンプ73aは、例えば、第1周波数(交流周波数fac)を含む範囲の周波数を有する交流信号を検出する。この例では、ロックインアンプ73aの出力が、ローパスフィルタ73bを介して出力信号SO1として出力される。これにより、出力信号SO1は、信号磁界Hsigに対応する信号となる。
【0063】
図6(b)に示す磁気センサ110B及び磁気センサ装置210Bでは、バンドパスフィルタ73c、及び、PSD(phase sensitive detector)回路73dが、設けられる。バンドパスフィルタ73cには、第1電気抵抗R1に対応する信号が入力される。バンドパスフィルタ73cは、例えば、第1周波数(交流周波数fac)の2倍以上の周波数の信号を減衰させる。PSD回路73dには、バンドパスフィルタ73cの出力が入力される。この例では、バンドパスフィルタ73cの出力がアンプ73eに入力され、アンプ73eの出力がPSD回路73dに入力される。PSD回路73dには、周波数発生器72Gで発生された、交流周波数fac(第1周波数)を有する信号が入力される。
【0064】
例えば、信号磁界Hsigにおいて、最も高い周波数を最高周波数fsigmとする。このとき、バンドパスフィルタ73cは、例えば、fac±fsigmの範囲の周波数を通過する。そして、バンドパスフィルタ73cは、交流周波数facの2倍以上の周波数成分を減衰(例えばカット)する。
【0065】
この場合も、PSD回路73dの出力が、ローパスフィルタ73bを介して出力信号SO1として出力される。これにより、出力信号SO1は、信号磁界Hsigに対応する信号となる。
【0066】
図6(c)に示す磁気センサ110C及び磁気センサ装置210Cでは、第1センサ部SU1と、第2センサ部SU2と、が設けられる。第1センサ部SU1は、上記の第1センサ素子51、第1配線21、第1回路71、第2回路72及び第3回路73を含む。第2センサ部SU2は、積層体51X、配線21X、別の第1回路71X、別の第2回路72X、及び、別の第3回路73Xを含む。第1回路71及び第3回路73は、第1センサ部SU1と第2センサ部SU2とで共用されても良い。この場合には、別の第1回路71X及び別の第3回路73Xは省略される。以下では、別の第1回路71X及び別の第3回路73Xが設けられる場合として説明する。
【0067】
図6(d)に示すように、第2センサ部SU2において、積層体51Xは、2つの磁性層(磁性層11X及び磁性層11oX)と、非磁性層11nXと、を含む。非磁性層11nXは、これらの2つの磁性層11X及び11oXの間に設けられる。積層体51Xの一端に第1積層体一端配線51eXが電気的に接続される。積層体51Xの他端に、第1積層体他端配線51fXが電気的に接続される。
【0068】
積層体51Xの構成は、例えば、第1センサ素子51の構成と同様である。配線21Xの構成は、例えば、第1配線21の構成と同様である。別の第1回路71Xの構成は、例えば、第1回路71の構成と同様である。別の第2回路72Xの構成は、例えば、第2回路72の構成と同様である。別の第3回路73
Xの構成は、例えば、第3回路73の構成と同様である。例えば、第2センサ部SU2の特性は、第1センサ部SU1の特性と実質的に同じである。
【0069】
第2センサ部SU2の空間的な位置は、第1センサ部SU1の空間的な位置とは異なる。例えば、第2センサ部SU2(積層体51X)に加わる被検出磁界(信号磁界Hsig)の強度は、第1センサ部SU1(第1センサ素子51)に加わる被検出磁界の強度よりも小さい。
【0070】
例えば、第1回路71から第1センサ素子51に供給される信号と同じ信号を含む電流が、別の第1回路71Xから積層体51Xに供給される。例えば、第2回路72から第1配線21に供給される信号と同じ信号を含む電流が、別の第2回路72Xから配線21Xに供給される。
【0071】
第2センサ部SU2から得られる信号(例えば別の第3回路73
Xの出力)と、第1センサ部SU1から得られる信号と、が、検出回路73Aに供給される。検出回路73Aは、これらの2つ信号の差に対応する信号を出力する。この例では、検出回路73Aは、差動アンプ73Dを含む。差動アンプ73Dに、第2センサ部SU2から得られる信号、及び、第1センサ部SU1から得られる信号が入力される。差動アンプ73Dは、これらの信号の差に対応する信号を出力する。検出回路73Aは、第1センサ部SU1の第3回路73の一部であると見なされても良い。
【0072】
このような構成を用いることで、例えば、検出対象である被検出磁界(信号磁界Hsig)を高い感度で検出することができる。
【0073】
例えば、信号磁界Hsigとは異なる外部磁界によりノイズが生じる場合がある。上記の積層体51X、配線21X及び差動アンプ73Dを含む構成により、このようなノイズの影響を低減できる。
【0074】
ノイズ源となる外部磁界は、1mm以上10cm以下のサイズの空間内では均一と見なせる。第2センサ部SU2と第1センサ部SU1との間の距離は、例えば、1mm以上10cm以下である。これにより、ノイズ源となる外部磁界を効果的に減衰させることができる。
【0075】
例えば、地磁気のような静的な外部磁界によりノイズが生じる場合もある。例えば、第1配線21に、外部磁界を減衰させる成分を有する電流(補償電流)を供給しても良い。例えば、第2電流Ch1は、交流成分と、この補償成分と、を含んでも良い。これにより、外部磁界によるノイズの影響を低減できる。地磁気の影響は、直流電流により補償できる。
【0076】
実施形態においては、ノイズを低減できる。これにより、高い感度が実用的に得られる。例えば、微小な信号磁界Hsigを、低ノイズで高感度で検出できる。実施形態においては、例えば、信号磁界Hsigに対して、歪が小さく、ヒステリシスHcの小さい高精度の偶関数R−H特性が得られる。実施形態においては、従来の線形応答のR−H特性におけるヒステリシスHcよりも小さいヒステリシスHcが得られる。
【0077】
以下、第1センサ素子51のいくつかの例について説明する。
【0078】
図7(a)及び
図7(b)は、第1実施形態に係る別の磁気センサを例示する模式的断面図である。
これらの図は、第1センサ素子51の別の例を示している。
【0079】
図7(a)に示すように、磁気センサ111においては、第1センサ素子51は、第1磁性層11、第1対向磁性層11o及び第1非磁性層11nに加えて、別の第1磁性層11A、及び、別の第1非磁性層11nAをさらに含む。第1磁性層11、第1対向磁性層11o及び第1非磁性層11nのそれぞれの構成は、既に説明した構成と同様である。
【0080】
第1積層方向DS1(例えばZ軸方向)において、第1磁性層11と、別の第1磁性層11Aとの間に、第1対向磁性層11oが位置する。第1積層方向DS1において、別の第1磁性層11Aと第1対向磁性層11oとの間に、別の第1非磁性層11nAが位置する。
【0081】
この例では、第1素子導電層11eaと第2素子導電層11ebとの間に、第1磁性層11、及び、別の第1磁性層11Aが設けられる。
【0082】
この例では、別の第1磁性層11Aは、別の第1膜11aA、別の第2膜11bA、別の第3膜11cA、及び、別の第4膜11dAを含む。別の第4膜11dAと別の第1非磁性層11nAとの間に、別の第2膜11bAが位置する。別の第4膜11dAと別の第2膜11bAとの間に、別の第1膜11aAが位置する。別の第1膜11aAと別の第2膜11bAとの間に別の第3膜11cAが位置する。
【0083】
別の第1膜11aA、別の第2膜11bA、別の第3膜11cA、及び、別の第4膜11dAには、それぞれ、第1膜11a、第2膜11b、第3膜11c、及び、第4膜11dの構成及び材料が適用される。
【0084】
磁気センサ111においては、第1センサ素子51における第1対向磁性層11o(例えば自由層)の位置が、第1センサ素子51の実質的な中央部分に位置する。これにより、例えば、第1センサ素子51を流れる自己電流に起因する磁界を実質的にゼロにできる。これにより、より高い精度の偶関数のR−H特性が得られる。さらに、磁気センサ111における抵抗変化率は、
図1(b)に例示した磁気センサ110における抵抗変化率よりも高くできる。例えば、磁気センサ111における抵抗変化率は、磁気センサ110における抵抗変化率の約1.5倍である。
【0085】
磁気センサ111の例において、第1非磁性層11nは、例えば、MgOを含む。第1非磁性層11nは、例えば、絶縁性の材料を含む。
【0086】
磁気センサ111においては、第1素子導電層11eaは、第1センサ一端配線51eと電気的に接続される。第1センサ一端配線51eは、配線71aを介して、第1回路71と接続される。第2素子導電層11ebは、第1センサ他端配線51fと電気的に接続される。第1センサ他端配線51fは、配線71bを介して、第1回路71と接続される。第1電流Cs1は、第1積層方向DS1(Z軸方向)に沿って、第1積層部S1を流れる。
【0087】
図7(b)に示すように、磁気センサ112においては、第1センサ素子51は、第1磁性層11、第1対向磁性層11o及び第1非磁性層11nに加えて、別の第1磁性層11Aをさらに含む。
【0088】
この例では、第1対向磁性層11oは、第1部分領域11oaと第2部分領域11obとを含む。第1非磁性層11nの一部は、第1磁性層11と第1部分領域11oaとの間に位置する。第1非磁性層11nの別の一部は、別の第1磁性層11Aと第2部分領域11obとの間に位置する。
【0089】
この例では、第1素子導電層11eaの一部と、第1センサ一端配線51eと、の間に、第1部分領域11oaが設けられる。第1センサ一端配線51eと第1部分領域11oaとの間に第2素子導電層11ebが設けられる。第1部分領域11oaと第2素子導電層11ebとの間に、第1磁性層11と、第1非磁性層11nの一部と、が設けられる。第1部分領域11oa、第1非磁性層11nの一部、及び、第1磁性層11は、第1積層部S1に含まれる。
【0090】
第1素子導電層11eaの他の一部と、第1センサ他端配線51fと、の間に、第2部分領域11obが設けられる。第1センサ他端配線51fと第2部分領域11obとの間に、別の第2素子導電層11ebAが設けられる。第2部分領域11obと別の第2素子導電層11ebAとの間に、別の第1磁性層11Aと、第1非磁性層11nの別の一部と、が設けられる。第2部分領域11ob、第1非磁性層11nの別の一部、及び、別の第1磁性層11Aは、別の第1積層部S1Aに含まれる。
【0091】
磁気センサ112の例において、第1非磁性層11nは、例えば、MgOを含む。第1非磁性層11nは、例えば、絶縁性の材料を含む。
【0092】
第1電流Cs1は、第1センサ一端配線51eと、第1センサ他端配線51fと、の間の電流経路を流れる。この電流経路は、第2素子導電層11eb、第1磁性層11、第1非磁性層11nの一部、第1部分領域11oa、第2部分領域11ob、第1非磁性層11nの別の一部、別の第1磁性層11A、及び、別の第2素子導電層11ebAを含む。
【0093】
すなわち、第1電気抵抗R1は、第1磁性層11、第1対向磁性層11o及び別の第1磁性層11Aを流れる電流の電気抵抗を含む。
【0094】
例えば、第1部分領域11oaと第1磁性層11とが積層された部分が、1つの電流通電部となる。第2部分領域11obと別の第1磁性層11Aとが積層された部分が、1つの電流通電部となる。これらの電流通電部が直列に接続される。複数の電流通電部の数は、3以上でも良い。
【0095】
このような構成においては、ノイズがより低減できる。このような構成においては、例えば、第1対向磁性層11oの体積(面積)が増大できる。これにより、ノイズが低減できる。
【0096】
磁気センサ111及び112において、第1積層部S1は、例えば、TMR(Tunnel Magneto Resistance Effect)素子である。
【0097】
図8(a)及び
図8(b)は、第1実施形態に係る別の磁気センサを例示する模式図である。
図8(a)は、
図8(b)の矢印AAからみた透視平面図である。
図8(b)は、
図8(a)のA1−A2線断面図である。
図8(a)において、基板10sは省略されている。
【0098】
図8(a)及び
図8(b)に示すように、実施形態に係る別の磁気センサ113においては、第1センサ素子51は、第1磁性層11、第1対向磁性層11o、第1非磁性層11n及び第1配線21に加えて、第1磁性部61及び第2磁性部62をさらに含む。
【0099】
第1積層方向DS1(例えばZ軸方向)と第1長さ方向DL1(例えばX軸方向)とを含む平面(X−Z平面)と交差する方向(例えばY軸方向)において、第1磁性部61と第2磁性部62との間に、第1対向磁性層11o(例えば自由層)が位置する。
【0100】
第1磁性部61の第1積層方向DS1(例えばZ軸方向)に沿った厚さt61は、第1対向磁性層11oの第1積層方向DS1に沿った厚さt11oよりも厚い。第2磁性部62の第1積層方向DS1に沿った厚さt62は、厚さt11oよりも厚い。
【0101】
第1磁性部61及び第2磁性部62は、例えば、NiFeなどを含む。第1磁性部61及び第2磁性部62は、例えば、高い透磁率を有する材料を含む。第1磁性部61及び第2磁性部62は、例えば、軟磁性材料を含む。高透磁率により、例えば、信号磁束が、第1センサ素子51の第1対向磁性層11oに収束し易くなる。第1磁性部61及び第2磁性部62は、例えば、MFC(Magnetic Flux Concentrator)として機能する。NiFe系合金においては、透磁率は1000よりも高い。
【0102】
第1磁性部61の厚さt61及び第2磁性部62の厚さt62のそれぞれは、例えば、0.1μm以上10μm以下である。
【0103】
図8(a)に示すように、第1磁性部61と第1対向磁性層11oとの間の距離をギャップg1とする。第1対向磁性層11oの幅(第1幅方向DW1の長さ)が、第1磁性層11の第1幅方向DW1の長さ(第2長さL2)と同じとする。そして、第1磁性部61の第1幅方向DW1の長さを長さd61とする。第2磁性部62の第1幅方向DW1の長さを長さd62とする。長さd62は、長さd61と同じとする。
【0104】
このとき、第1対向磁性層11oに加わる信号磁界Hsigの増幅率Gは、第1磁性部61及び第2磁性部62の透磁率を上限として、以下の第1式で実質的に表される。
【0105】
G=0.6×(d61)/(L2+2×g1)…(1)
例えば、第2長さL2が1μmで、ギャップg1が3nmで、長さd61が0.5mmのときに、増幅率Gは、約300となる。すなわち、感度を300倍に向上できる。
【0106】
信号磁界Hsigの検出の分解能は、第1磁性部61及び第2磁性部62のサイズ(すなわち、2×d61)に依存する。例えば、心磁図または脳磁図用のセンサにおいては、0.1mm以上5mm以下の範囲の分解能で細胞集団活動が検出される。例えば、このような用途において、上記の第1磁性部61及び第2磁性部62を用いることで、非常に高い感度が得られる。
【0107】
例えば、参考例のグラニュラーTMR素子においては、MFCを用いることで、素子固有の大きな飽和磁界Hs(例えば1kOe〜10kOe)を、50Oe程度以下に低減できる。これに対して、実施形態においては、MFCを用いることで、飽和磁界Hsを0.1Oe程度に低減できる。その結果、参考例のグラニュラーTMR素子よりも100倍以上の高い感度が得られる。実施形態によれば、例えば、1ピコテスラ(pT)程度の微小磁界の検出が可能となる。実施形態によれば、例えば、脳磁または心磁を高感度に検出ことができる。
【0108】
(第2実施形態)
第2実施形態においては、複数のセンサ素子が設けられる。
【0109】
図9(a)〜
図9(d)は、第2実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。
図9(a)は、透視平面図である。
図9(b)は、磁気センサ121の一部を例示する断面図である。
【0110】
図9(a)に示すように、第2実施形態に係る磁気センサ121においては、複数の第1センサ素子51が設けられる。複数の第1センサ素子51は、センサ素子51A〜51Dを含む。
【0111】
センサ素子51A(第1センサ素子51)は、第1磁性層11、第1対向磁性層11o及び第1非磁性層11nを含む。第1磁性層11、第1対向磁性層11o及び第1非磁性層11nの例は、既に説明した通りである。
【0112】
図9(b)に示すように、センサ素子51Bは、第2磁性層12と、第2対向磁性層12oと、第2磁性層12及び第2対向磁性層12oの間に設けられた第2非磁性層12nを含む。第2磁性層12、第2対向磁性層12o及び第2非磁性層12nは、第2積層部S2に含まれる。
【0113】
図9(c)に示すように、センサ素子51Cは、第3磁性層13と、第3対向磁性層13oと、第3磁性層13及び第3対向磁性層13oの間に設けられた第3非磁性層13nを含む。第3磁性層13、第3対向磁性層13o及び第3非磁性層13nは、第3積層部S3に含まれる。
【0114】
図9(d)に示すように、センサ素子51Dは、第4磁性層14と、第4対向磁性層14oと、第4磁性層14及び第4対向磁性層14oの間に設けられた第4非磁性層14nを含む。第4磁性層14、第4対向磁性層14o及び第4非磁性層14nは、第4積層部S4に含まれる。
【0115】
この例では、複数の第1配線21が設けられる。複数の第1配線21は、配線21A及び21Bを含む。
図9(a)に示すように、センサ素子51A及びセンサ素子51Bが、配線21Aと重なる。センサ素子51C及びセンサ素子51Dが、配線21Bと重なる。
【0116】
センサ素子51Aの一端51Aeは、第1回路71と接続される。センサ素子51Aの他端51Afは、第2センサ素子51Bの一端51Be及び第3回路73と接続される。センサ素子51Bの他端51Bfは、例えば1つの電位(例えば
接地電位)に設定される。センサ素子51Cの一端51Ceは、第1回路71と接続される。センサ素子51Cの他端51Cfは、センサ素子51Dの一端51De及び第3回路73と接続される。センサ素子51Dの他端51Dfは、例えば1つの電位(例えば
接地電位)に設定される。
【0117】
配線21A及び配線21Bは、配線72a及び配線72bを介して第2回路72と接続される。第2回路72は、配線21A及び配線21Bに、交流の第2電流Ch1を供給する。
図9(a)では、図を見易くするために、配線21A、配線21B、配線72a及び配線72bは、破線で描かれている。
【0118】
この例では、第1磁性部61、第2磁性部62及び第3磁性部63が設けられている。第3磁性部63には、第1磁性部61及び第2磁性部62に関して説明した構成及び材料が適用できる。第3磁性部63もMFCとなる。
【0119】
センサ素子51Bの磁性層(例えば、第2対向磁性層12o)は、第1磁性部61と第2磁性部62との間に位置する。センサ素子51Cの磁性層(例えば、第3対向磁性層13o)は、第2磁性部62と第3磁性部63との間に位置する。一方、センサ素子51Aの磁性層(例えば、第1対向磁性層11o)は、第1磁性部61と第2磁性部62との間に設けられていない。センサ素子51Dの磁性層(例えば、第4対向磁性層14o)は、第2磁性部62と第3磁性部63との間に設けられていない。
【0120】
このような構成により、MFCにより増幅された信号磁界Hsigは、センサ素子51B及びセンサ素子51Cに加わる。センサ素子51A及びセンサ素子51Dに比べて、10倍以上の大きい磁界が、センサ素子51B及びセンサ素子51Cに加わる。
【0121】
例えば、信号磁界Hsigがゼロのときに、中間点MP1及びMP2のそれぞれの電位は、互いに一致する。信号磁界Hsigが加わると、センサ素子51A及びセンサ素子51Cの抵抗が変化する。このため、中間点MP1及びMP2のそれぞれの電位は、互いに逆方向に変動する。例えば、中間点MP1が正のとき、中間点MP2は負である。例えば、中間点MP1が負のとき、中間点MP2は正である。信号磁界Hsigに応じて、中間点MP1と中間点MP2との間に電位差が生じる。この電位差が、第3回路73により検出される。ノイズが低減され、高い感度の検出が可能になる。
【0122】
図10(a)及び
図10(b)は、第2実施形態に係る別の磁気センサを例示する模式図である。
図10(a)は、
図10(b)の矢印AAからみた透視平面図である。
図10(b)は、
図10(a)のA1−A2線断面図である。
【0123】
図10(a)に示すように、本実施形態に係る磁気センサ122は、複数の第1センサ一端配線51e(例えば、配線51eA及び配線51eBなど)と、複数の第1センサ他端配線51f(例えば、配線51fA及び配線51fBなど)と、を含む。
【0124】
磁気センサ122において、複数の第1センサ素子51(センサ素子51A〜51Dなど)が設けられる。複数の第1配線21(配線21A及び21Bなど)が設けられる。
【0125】
複数の第1配線21の1つ(例えば、配線21A)は、第1積層方向DS1(Z軸方向)において、複数の第1センサ素子51(センサ素子51A及び51B)と重なる。複数の第1配線21は、第1長さ方向DL1(この例ではX軸方向)及び第1積層方向DS1(この例ではZ軸方向)と交差する交差方向(この例では、Y軸方向)に並ぶ。
【0126】
複数の第1センサ一端配線51eは、第1長さ方向DL1に沿って延びる。複数の第1センサ他端配線51fは、第1長さ方向DL1及び第1積層方向DS1と交差する上記の交差方向(この例ではY軸方向)に沿って延びる。
【0127】
図10(b)に示すように、複数の第1センサ一端配線51eの1つ(配線51eA)は、第1センサ素子51(例えばセンサ素子51A)の第1端ep1と電気的に接続される。複数の第1センサ他端配線51fの1つ(例えば配線51fA)は、第1センサ素子51(例えばセンサ素子51A)の第2端ep2と電気的に接続される。
【0128】
このように、複数の第1センサ素子51の1つが、複数の第1センサ一端配線51eの1つと、複数の第1センサ他端配線51fの1つと、に接続される。複数の第1センサ一端配線51e、及び、複数の第1センサ他端配線51fは、例えば、第1回路71及び第3回路73に接続される。
【0129】
複数の第1センサ素子51は、X軸方向及びY軸方向に沿って、2次元的に並ぶ。
【0130】
図10(b)に示すように、この例では、複数の第1センサ素子51の1つにおいて、複数の積層部(積層部SB1〜SB4)が設けられる。積層部SB1〜SB4のそれぞれが、第1磁性層11、第1対向磁性層11o及び第1非磁性層11nを含む。積層部SB1〜SB4は、互いに直列に接続される。この例では、接続層CL1により、積層部SB1の一端が、配線51eAと接続される。接続層CL2により、積層部SB1の他端と、積層部SB2の一端と、が接続される。接続層CL3により、積層部SB2の他端と、積層部SB3の一端と、が接続される。接続層CL4により、積層部SB3の他端と、積層部SB4の一端と、が接続される。接続層CL5により、積層部SB4の他端と、配線51fAと、が接続される。この例では、Z軸方向に延びる接続部材CL6が設けられている。接続部材CL6により、接続層CL1と配線51eAとが電気的に接続される。
【0131】
図10(a)に示すように、複数の第1センサ一端配線51e、複数の第1センサ他端配線51f、及び、複数の第1配線21の間には空隙を設けることができる。後述するように、この空隙と重なる領域に、例えば、イメージセンサの画素(光学センサ)を設けても良い。実施形態に係る磁気センサによる磁界を用いたセンサと、光学センサと、を用いることで、より精度の高い検出が可能になる。
【0132】
磁気センサ122の構成の例について、以下に説明する。1つの第1磁性層11(ピン層)のX軸方向の長さ(第1長さL1)は、2μmである。4つの第1磁性層11の全体のX軸方向の長さは、12μmである。複数の積層部の数は、4である。第1磁性層11のY軸方向の長さ(第2長さL2)は、1μmである。1つの積層部における抵抗変化率は、200%である。例えば、1つの第1センサ素子51(センサ素子51A)に流れる電流は、0.2mAである。センサ素子51Aの抵抗(低抵抗時)は、10kΩである。第1対向磁性層11oの飽和磁界Hsは、65エルステッド(Oe)である。第1対向磁性層11oの磁気膜厚は、5nmテスラである。1/fノイズのHooge定数は、8×10
−8である。第1配線21に流れる第2電流Ch1の周波数(交流周波数fac)は、10MHzである。1/fノイズと、熱雑音ノイズと、がノイズ源であると、仮定される。
【0133】
このようなモデルにおいて、10MHz近傍の高周波領域において、正負の信号電圧の差が出力として検出される。低周波の揺らぎ成分は、リセットまたは除去される。このため、1/fノイズが低下する。
【0134】
例えば、実施形態に係る磁気センサ122により、10Hzの信号磁界Hsigが検出される。実施形態においては、スピンバルブ型の線形応答を利用した一般的なTMRセンサと比べて、大幅にノイズが低減できる。
【0135】
例えば、スピンバルブ型の線形応答を利用した一般的な、約20μmの微小サイズのTMRセンサでは、約100nTの磁界の検出が限界である。これに対して、実施形態においては、例えば、0.1nT〜1nTの微小磁界を検出できる。高い感度の検出が可能になる。
【0136】
例えば、センサ基板上で培養された細胞活動の検出において、センサと細胞との間の距離を1μm〜10μmとする。このとき、細胞活動からの磁界は、1nT〜10nT程度と考えられる。実施形態に係る磁気センサによれば、培養細胞の活動の検出が可能になる。
【0137】
図11(a)〜
図11(c)は、第2実施形態に係る別の磁気センサを例示する模式図である。
図11(a)は、
図11(b)及び
図11(c)の矢印AAからみた透視平面図である。
図11(b)は、
図11(a)のE1−E2線断面図である。
図11(c)は、
図11(a)のF1−F2線断面図である。
【0138】
図11(a)に示すように、第1センサ素子51が設けられる。既に説明したように、第1センサ素子51の第1磁性層11は、第1長さ方向DL1(この例では、X軸方向)に沿って延びる。磁気センサ123においては、第2センサ素子52がさらに設けられる。この第2センサ素子52は、第1センサ素子51の延びる方向と交差する方向に沿って延びる。さらに、第2配線22が設けられる。以下、第2センサ素子52及び第2配線22について説明する。
【0139】
図11(b)及び
図11(c)に示すように、第2センサ素子52は、第2磁性層12、第2対向磁性層12o及び第2非磁性層12nを含む。第2非磁性層12nは、第2磁性層12と第2対向磁性層12oとの間に設けられる。第2磁性層12、第2対向磁性層12o及び第2非磁性層12nは、第2積層部S2に含まれる。
【0140】
例えば、第2磁性層12、第2対向磁性層12o及び第2非磁性層12nは、第1磁性層11、第1対向磁性層11o及び第1非磁性層11nに関して説明した材料をそれぞれ含む。
【0141】
第2磁性層12の第2磁化M2は、第2長さ方向DL2に沿う。第2長さ方向DL2は、第1長さ方向DL1と交差する。この例では、第2長さ方向DL2は、Y軸方向に沿う。
【0142】
第2磁性層12から第2対向磁性層12oに向かう第2積層方向DS2は、第2長さ方向DL2と交差する。この例では、第2積層方向DS2は、Z軸方向に沿う。
【0143】
第2配線22の少なくとも一部は、第2長さ方向DL2に沿って延びる。第2センサ素子52から第2配線22の上記の少なくとも一部に向かう第2配線交差方向DC2は、第2長さ方向DL2と交差する。この例では、第2配線交差方向DC2は、Z軸方向に沿う。第2配線22と第2センサ素子52との間の距離d2は、実質的に距離d1と同じでも良い。
【0144】
第2センサ素子52の延びる方向が第1センサ素子51の延びる方向と交差し、第2配線22の延びる方向が、第1配線21の延びる方向と交差する。これらを除いて、第2センサ素子52には、第1センサ素子51の構成が適用でき、第2配線22には、第1配線21の構成が適用できる。
【0145】
例えば、第2配線22に流れる電流、及び、第2センサ素子52に加わる被検出磁界(信号磁界Hsig)に応じて、第2センサ素子52の第2電気抵抗が変化する。
【0146】
第2配線22の一部は、第2配線交差方向DC2において、第2センサ素子52と重なる。第2配線22のこの一部に流れる電流の方向は、第2磁性層12の磁化方向に沿う。第2配線22を流れる電流により交流磁界が生じる。この交流磁界は、第2センサ素子52の幅方向(第2長さ方向DL2及び第2積層方向DS2で形成される面と交差する方向であり、例えばX軸方向)の成分を有する。例えば、第2センサ素子52の第2電気抵抗の変化の特性は、第1センサ素子51の第1電気抵抗の変化の特性と同様である。
【0147】
この場合も、第2センサ素子52に形状異方性が設けられることが好ましい。
図11(b)に示すように、第2磁性層12の第2長さ方向DL2の長さを第3長さL3とする。
図11(c)に示すように、第2磁性層12の第2幅方向DW2の長さを第4長さL4とする。第2幅方向DW2は、第1長さ方向DL
1(X軸方向)に沿う。第3長さL3は、第4長さL4よりも長い。例えば、第3長さL3は、第4長さL4の1.5倍以上である。
【0148】
第2センサ素子52は、第1回路71に接続される。第2配線22は、第3回路73と接続される。第2センサ素子52の第2電気抵抗の変化が、第2回路72により検出される。
【0149】
例えば、第1センサ素子51は、被検出磁界のY軸方向の成分を検出できる。第2センサ素子52は、被検出磁界のX軸方向の成分を検出できる。第1センサ素子51から得られる出力(第1電気抵抗の変化に対応する信号)と、第2センサ素子52から得られる出力(第2電気抵抗の変化に対応する信号)と、が比較される。このような第1センサ素子51、第2センサ素子52、第1配線21及び第2配線22を設けることで、信号磁界HsigのX−Y平面における方向を検出できる。
【0150】
磁気センサ123においては、複数の第1センサ素子51(センサ素子51A〜51D)、複数の第2センサ素子52(センサ素子52A〜52D)、複数の第1配線21(配線21A及び21B)、及び、複数の第2配線22(配線22A及び22B)が設けられる。さらに、複数の第1センサ一端配線51e(配線51eA及び51eB)、複数の第1センサ他端配線51f(配線51fA及び51fB)、及び、複数の第2センサ一端配線52e(配線52eA及び配線52eB)が設けられる。
【0151】
複数の第1配線21は、第1長さ方向DL1及び第1積層方向DS1と交差する交差方向(この例では、Y軸方向)に並ぶ。複数の第1配線21の1つ(例えば配線21A)は、第1積層方向DS1(例えばZ軸方向)において、複数の第1センサ素子51の1つ(例えばセンサ素子51A)と重なる。
【0152】
複数の第1センサ一端配線51eは、第1長さ方向DL1に沿って延びる。複数の第1センサ一端配線51eの1つ(例えば配線51eA)は、複数の第1センサ素子51の1つ(センサ素子51A)の第1端ep1と電気的に接続される。電気的接続は、例えば、配線層(例えば
接続層CL1〜CL5の少なくともいずれかなど)、及び、接続部材(例えば接続部材CL6など)などにより行われる。配線層及び接続部材は、任意の方向に延びる部分を含んでも良い。
【0153】
複数の第1センサ他端配線51fは、第1長さ方向DL1及び第1積層方向DS1と交差する上記の交差方向(例えばY軸方向)に沿って延びる。複数の第1センサ他端配線51fの1つ(例えば配線51fA)は、複数の第1センサ素子51の上記の1つ(センサ素子51A)の第2端ep2と電気的に接続される。電気的接続は、例えば、配線層及び接続部材などにより行われる。配線層及び接続部材は、任意の方向に延びる部分を含んでも良い。
【0154】
複数の第2配線22(配線22A及び22Bなど)の1つの少なくとも一部は、上記の第1配線交差方向D
c1(この例では、Z軸方向)において、複数の第1センサ他端配線51fの1つの少なくとも一部と重なる。例えば、配線22Aは、配線51fAと重なる。
【0155】
複数の第2センサ一端配線52eは、第1長さ方向DL1に沿って延びる。複数の第2センサ一端配線52eの1つの少なくとも一部は、複数の第1センサ一端配線51eの1つの少なくとも一部に対して平行である。複数の第2センサ一端配線52eの1つ(例えば52eA)は、複数の第2センサ素子52(センサ素子52A〜52D)の1つ(例えばセンサ素子52A)の第3端ep3と電気的に接続される。複数の第1センサ他端配線51fの1つ(例えば配線51fA)は、複数の第2センサ素子52の上記の1つ(センサ素子52A)の第4端ep4と電気的に接続される。電気的接続は、例えば、配線層及び接続部材(例えば、
図11(b)に例示する接続部材CL7及びCL8など)などにより行われる。配線層及び接続部材は、任意の方向に延びる部分を含んでも良い。
【0156】
この例では、複数の第1センサ他端配線51fは、複数の第1センサ素子51と接続され、複数の第2センサ素子52と接続される。複数の第1センサ他端配線51fは、複数の第1センサ素子51と、複数の第2センサ素子52と、により兼用される。
【0157】
複数の第1配線21及び複数の第2配線22は、第3回路73に電気的に接続される。複数の第1センサ一端配線51e、複数の第1センサ他端配線51f、及び、複数の第2センサ一端配線52eが、第1回路71及び第2回路72に電気的に接続される。
【0158】
このような構成により、任意の方向の信号磁界HsigのX−Y平面内の分布を低ノイズで高感度で検出できる。
【0159】
(第3実施形態)
実施形態に係る磁気センサは、例えば、生体細胞検出装置などに応用できる。
図12は、第3実施形態に係る磁気センサ及び生体細胞検出装置を例示する模式図である。
図12に示すように、本実施形態に係る磁気センサ130は、複数の第1センサ一端配線51eと、複数の第1センサ他端配線51fと、複数の第1センサ素子51、複数の第1配線21が設けられる。これらについては、磁気センサ122と同様なので説明を省略する。
【0160】
磁気センサ130においては、複数の画素60(例えば、光学センサ)が設けられる。複数の画素60の1つは、複数の第1センサ一端配線51e、及び、複数の第1センサ他端配線51fの間の空隙に設けられる。画素60は、例えば、イメージセンサの画素に対応する。イメージセンサは、例えば、CMOSセンサなどを含む。複数の磁気センサ素子及びイメージセンサ(画素60)は、例えば、基板上に設けられる。この基板上に細胞が培養される。培養された細胞の、磁気的な細胞活動情報、及び、光学的な細胞活動情報が検出できる。磁気的な細胞活動情報の少なくとも一部と、光学的な細胞活動情報の少なくとも一部と、は、同時に検出されても良い。実施形態に係る磁気センサによる磁界を用いたセンサと、光学センサと、を用いることで、より精度の高い検出が可能になる。
【0161】
磁気センサ130には、回路部70が含まれても良い。回路部70は、第1回路71、第2回路72及び第3回路73を含む。
【0162】
実施形態に係る生体細胞検出装置400は、磁気センサ130と、受信部75と、を含む。受信部75は、磁気センサ130から出力された信号(情報)を受ける。生体細胞検出装置400は、その信号(情報)を用いて、生体細胞の状態を検出する。生体細胞検出装置400に用いられる磁気センサにおいて、画素が省略されても良い。この場合、生体細胞検出装置400は、磁気センサにより得られる信号(情報)を用いて生体細胞の状態を検出する。
【0163】
(第4実施形態)
実施形態に係る磁気センサは、例えば、診断装置などに応用できる。
図13は、第4実施形態に係る磁気センサ及び診断装置を示す模式図である。
図13に示すように、診断装置500は、磁気センサ150を含む。磁気センサ150は、第1実施形態及び第2実施形態に関して説明した磁気センサ(及び磁気センサ装置)、及び、それらの変形を含む。
【0164】
診断装置500において、磁気センサ150は、例えば、脳磁計である。脳磁計は、脳神経が発する磁界を検出する。磁気センサ150が脳磁計に用いられる場合、磁気センサ150に含まれる磁気素子のサイズは、例えば、1mm以上10mm未満である。このサイズは、例えば、磁束収束路を含めた長さである。
【0165】
図13に示すように、磁気センサ150(脳磁計)は、例えば、人体の頭部に装着される。磁気センサ150(脳磁計)は、センサ部301(第1センサ部SU1など)を含む。磁気センサ150(脳磁計)は、複数のセンサ部301(第1センサ部SU1及び第2センサ部SU2など)を含んでも良い。複数のセンサ部301の数は、例えば、約100個(例えば50個以上150個以下)である。複数のセンサ部301は、柔軟性を有する基体302に設けられる。
【0166】
磁気センサ150は、例えば、差動検出などの回路を含んでも良い。磁気センサ150は、磁気センサとは別のセンサ(例えば、電位端子または加速度センサなど)を含んでも良い。
【0167】
磁気センサ150(第1実施形態及び第2実施形態に関して説明した磁気センサ)のサイズは、従来のSQUID磁気センサのサイズに比べて小さい。このため、複数のセンサ部301の設置が容易である。複数のセンサ部301と、他の回路と、の設置が容易である。複数のセンサ部301と、他のセンサと、の共存が容易である。
【0168】
基体302は、例えばシリコーン樹脂などの弾性体を含んでも良い。基体302に、例えば、複数のセンサ部301が繋がって設けられる。基体302は、例えば、頭部に密着できる。
【0169】
センサ部301の入出力コード303は、診断装置500のセンサ駆動部506及び信号入出力部504と接続される。センサ駆動部506からの電力と、信号入出力部504からの制御信号と、に基づいて、センサ部301において、磁界測定が行われる。その結果は、信号入出力部504に入力される。信号入出力部504で得た信号は、信号処理部508に供給される。信号処理部508において、例えば、ノイズの除去、フィルタリング、増幅、及び、信号演算などの処理が行われる。信号処理部508で処理された信号が、信号解析部510に供給される。信号解析部510は、例えば、脳磁計測のための特定の信号を抽出する。信号解析部510において、例えば、信号位相を整合させる信号解析が行われる。
【0170】
信号解析部510の出力(信号解析が終了したデータ)が、データ処理部512に供給される。データ処理部512では、データ解析が行われる。このデータ解析において、例えば、MRI(Magnetic Resonance Imaging)などの画像データが取り入られることが可能である。このデータ解析においては、例えば、EEG(Electroencephalogram)などの頭皮電位情報などが取り入れられることが可能である。データ解析により、例えば、神経発火点解析、または、逆問題解析などが行われる。
【0171】
データ解析の結果は、例えば、画像化診断部516に供給される。画像化診断部516において、画像化が行われる。画像化により、診断が支援される。
【0172】
上記の一連の動作は、例えば、制御機構502によって制御される。例えば、一次信号データ、または、データ処理途中のメタデータなどの必要なデータは、データサーバに保存される。データサーバと制御機構とは、一体化されても良い。
【0173】
本実施形態に係る診断装置500は、磁気センサ150と、磁気センサ150から得られる信号を処理する処理部と、を含む。この処理部は、例えば、信号処理部508及びデータ処理部512の少なくともいずれかを含む。処理部は、例えば、コンピュータなどを含む。
【0174】
図13に示す磁気センサ150では、センサ部301は、人体の頭部に設置されている。センサ部301は、人体の胸部に設置されても良い。これにより、心磁測定が可能となる。例えば、センサ部301を妊婦の腹部に設置しても良い。これにより、胎児の心拍検査を行うことができる。
【0175】
被験者を含めた磁気センサ装置は、シールドルーム内に設置されるのが好ましい。これにより、例えば、地磁気または磁気ノイズの影響が抑制できる。
【0176】
例えば、人体の測定部位、または、センサ部301を局所的にシールドする機構を設けても良い。例えば、センサ部301にシールド機構を設けても良い。例えば、信号解析またはデータ処理において、実効的なシールドを行っても良い。
【0177】
実施形態において、基体302は、柔軟性を有しても良く、柔軟性を実質的に有しなくても良い。
図13に示す例では、基体302は、連続した膜を帽子状に加工したものである。基体302は、ネット状でも良い。これにより、例えば、良好な装着性が得られる。例えば、基体302の人体への密着性が向上する。基体302は、ヘルメット状で、硬質でも良い。
【0178】
図14は、第4実施形態に係る別の磁気センサを示す模式図である。
図14は、磁計の一例である。
図14に示す例では、平板状の硬質の基体305上にセンサ部301が設けられる。
【0179】
図14に示した例において、センサ部301から得られる信号の入出力は、
図13に関して説明した入出力と同様である。
図14に示した例において、センサ部301から得られる信号の処理は、
図13に関して説明した処理と同様である。
【0180】
実施形態は、以下の構成(例えば「技術案」)を含んでも良い。
(構成1)
第1磁性層と、第1対向磁性層と、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、を含む第1センサ素子であって、前記第1磁性層の第1磁化は第1長さ方向に沿い、前記第1磁性層から前記第1対向磁性層に向かう第1積層方向は、前記第1長さ方向と交差した、前記第1センサ素子と、
第1配線であって、前記第1配線の少なくとも一部は前記第1長さ方向に沿って延び、前記第1センサ素子から前記第1配線の前記少なくとも一部に向かう第1配線交差方向は、前記第1長さ方向と交差した、前記第1配線と、
を備え、
前記第1配線に流れる電流、及び、前記第1センサ素子に加わる被検出磁界に応じて、前記第1センサ素子の第1電気抵抗が変化する、磁気センサ。
(構成2)
前記第1配線に流れる前記電流が正極性であるときに前記電流の絶対値が増大すると前記第1電気抵抗は増大し、
前記第1配線に流れる前記電流が負極性であるときに前記電流の絶対値が増大すると前記第1電気抵抗は増大する、構成1記載の磁気センサ。
(構成3)
前記第1配線に電流が流れないときの前記第1電気抵抗は、前記第1配線に流れる電流を変えたときに得られる前記第1電気抵抗の最低値の1倍以上1.002倍以下である、構成2記載の磁気センサ。
(構成4)
第1磁性層と、第1対向磁性層と、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、を含む第1センサ素子であって、前記第1磁性層から前記第1対向磁性層に向かう第1積層方向は、前記第1長さ方向と交差した、前記第1センサ素子と、
第1配線であって、前記第1配線の少なくとも一部は前記第1長さ方向に沿って延び、前記第1センサ素子から前記第1配線の前記少なくとも一部に向かう第1配線交差方向は、前記第1長さ方向と交差した、前記第1配線と、
を備え、
前記第1配線に流れる電流、及び、前記第1センサ素子に加わる被検出磁界に応じて、前記第1センサ素子の第1電気抵抗が変化し、
前記第1配線に流れる前記電流が正極性であるときに前記電流の絶対値が増大すると前記第1電気抵抗は増大し、
前記第1配線に流れる前記電流が負極性であるときに前記電流の絶対値が増大すると前 前記第1配線に電流が流れないときの前記第1電気抵抗は、前記第1配線に流れる電流を変えたときに得られる前記第1電気抵抗の最低値の1倍以上1.002倍以下である、磁気センサ。
(構成5)
第1磁性層と、第1対向磁性層と、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、を含む第1センサ素子であって、前記第1磁性層の第1磁化は第1長さ方向に沿い、前記第1磁性層から前記第1対向磁性層に向かう第1積層方向は、前記第1長さ方向と交差した、前記第1センサ素子と、
第1配線であって、前記第1配線の少なくとも一部は前記第1長さ方向に沿って延び、前記第1センサ素子から前記第1配線の前記少なくとも一部に向かう第1配線交差方向は、前記第1長さ方向と交差した、前記第1配線と、
を備え、
前記第1配線に流れる電流、及び、前記第1センサ素子に加わる被検出磁界に応じて、前記第1センサ素子の第1電気抵抗が変化し、
前記第1対向磁性層の磁化の向きは、変化可能であり、
前記第1配線に流れる前記電流が正極性であるときに前記電流の絶対値が増大すると前記第1電気抵抗は増大し、
前記第1配線に流れる前記電流が負極性であるときに前記電流の絶対値が増大すると前 前記第1配線に電流が流れないときの前記第1電気抵抗は、前記第1配線に流れる電流を変えたときに得られる前記第1電気抵抗の最低値の1倍以上1.002倍以下である、磁気センサ。
(構成6)
前記第1磁性層の前記第1長さ方向の第1長さは、前記第1磁性層の第1幅方向の第2長さよりも長く、
前記第1幅方向は、前記第1積層方向及び前記第1長さ方向を含む平面と交差した、構成1〜5のいずれか1つに記載の磁気センサ。
(構成7)
前記第1配線交差方向は、前記第1積層方向に沿う、構成1〜6のいずれか1つに記載の磁気センサ。
(構成8)
前記第1非磁性層は、Cuを含む、構成1〜7のいずれか1つに記載の磁気センサ。
(構成9)
前記第1センサ素子は、別の第1磁性層と、別の第1非磁性層と、をさらに含み、
前記第1積層方向において、前記第1磁性層と前記別の第1磁性層との間に前記第1対向磁性層が位置し、
前記第1積層方向において、前記別の第1磁性層と前記第1対向磁性層との間に前記別の第1非磁性層が位置した、構成1〜7のいずれか1つに記載の磁気センサ。
(構成10)
前記第1センサ素子は、別の第1磁性層をさらに含み、
前記第1対向磁性層は、第1部分領域と第2部分領域とを含み、
前記第1非磁性層の一部は、前記第1磁性層と前記第1部分領域との間に位置し、
前記第1非磁性層の別の一部は、前記別の第1磁性層と前記第2部分領域との間に位置し、
前記第1電気抵抗は、前記第1磁性層、前記第1対向磁性層及び前記別の第1磁性層を流れる電流の電気抵抗を含む、構成1〜7のいずれか1つに記載の磁気センサ。
(構成11)
前記第1非磁性層は、MgOを含む、構成9または10に記載の磁気センサ。
(構成12)
前記第1センサ素子と電気的に接続され前記第1磁性層、前記第1非磁性層及び前記第1対向磁性層を含む第1電流経路を流れる第1電流を前記第1センサ素子に供給する第1回路と、
前記第1配線と電気的に接続され交流の第2電流を前記第1配線に供給する第2回路と、
前記第1電気抵抗の前記変化を検出する第3回路と、
をさらに備えた、構成1〜10のいずれか1つに記載の磁気センサ。
(構成13)
前記第2電流は第1周波数を有し、
前記第3回路は、前記第1周波数を含む範囲の周波数を有する交流信号を検出する、構成12記載の磁気センサ。
(構成14)
前記第3回路は、ロックインアンプを含む、構成12記載の磁気センサ。
(構成15)
前記第2電流は第1周波数を有し、
前記第3回路は、
前記第1電気抵抗に対応する信号が入力され前記第1周波数の2倍以上の周波数の信号を減衰させるフィルタと、
前記フィルタの出力が入力されるロックインアンプと、
を含む、構成12記載の磁気センサ。
(構成16)
2つの磁性層と、前記2つの磁性層の間に設けられた非磁性層と、を含む積層体をさらに備え、
前記積層体に加わる前記被検出磁界の強度は、前記第1センサ素子に加わる前記被検出磁界の強度よりも小さく、
前記第3回路は、前記積層体から得られる信号と、前記第1センサ素子から得られる信号と、の差に対応する信号を出力する、構成10記載の磁気センサ。
(構成17)
前記第1センサ素子は、第1磁性部と第2磁性部とをさらに含み、
前記第1積層方向と前記第1長さ方向とを含む平面と交差する方向において、前記第1磁性部と前記第2磁性部との間に前記第1対向磁性層が位置し、
前記第1磁性部の前記第1積層方向に沿った厚さは、前記第1対向磁性層の前記第1積層方向に沿った厚さよりも厚く、
前記第2磁性部の前記第1積層方向に沿った厚さは、前記第1対向磁性層の前記第1積層方向に沿った前記厚さよりも厚い、構成1〜16のいずれか1つに記載の磁気センサ。
(構成18)
複数の第1センサ一端配線と、
複数の第1センサ他端配線と、
をさらに備え、
前記第1センサ素子は、複数設けられ、
前記第1配線は、複数設けられ、
前記複数の第1配線の1つは、前記第1積層方向において前記複数の第1センサ素子と重なり、
前記複数の第1配線は、前記第1長さ方向及び前記第1積層方向と交差する交差方向に並び、
前記複数の第1センサ一端配線は、前記第1長さ方向に沿って延び、
前記複数の第1センサ一端配線の1つは、前記第1センサ素子の第1端と電気的に接続され、
前記複数の第1センサ他端配線は、前記第1長さ方向及び前記第1積層方向と交差する前記交差方向に沿って延び、
前記複数の第1センサ他端配線の1つは、前記第1センサ素子の第2端と電気的に接続された、構成1〜17のいずれか1つに記載の磁気センサ。
(構成19)
第2センサ素子と、
第2配線と、
さらに備え、
前記第2センサ素子は、第2磁性層と、第2対向磁性層と、前記第2磁性層と前記第2対向磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、を含み、
前記第2磁性層の第2磁化は第2長さ方向に沿い、前記第2磁性層から前記第2対向磁性層に向かう第2積層方向は、前記第2長さ方向と交差し、
前記第2長さ方向は、前記第1長さ方向と交差し、
前記第2配線の少なくとも一部は前記第2長さ方向に沿って延び、前記第2センサ素子から前記第2配線の前記少なくとも一部に向かう第2配線交差方向は、前記第2長さ方向と交差し、
前記第2配線に流れる電流、及び、前記第2センサ素子に加わる前記被検出磁界に応じて、前記第2センサ素子の第2電気抵抗が変化する、構成1〜17のいずれか1つに記載の磁気センサ。
(構成20)
前記第2磁性層の前記第2長さ方向の第3長さは、前記第2磁性層の第2幅方向の第4長さよりも長く、
前記第2幅方向は、前記第1長さ方向に沿う、構成19記載の磁気センサ。
(構成21)
複数の第1センサ一端線と、
複数の第1センサ他端配線と、
複数の第2センサ一端配線と、
をさらに備え、
前記第1センサ素子は、複数設けられ、
前記第1配線は、複数設けられ、
前記複数の第1配線は、前記第1長さ方向及び前記第1積層方向と交差する交差方向に並び、
前記複数の第1配線の1つは、前記第1積層方向において前記複数の第1センサ素子の1つと重なり、
前記複数の第1センサ一端配線は、前記第1長さ方向に沿って延び、
前記複数の第1センサ一端配線の1つは、前記複数の第1センサ素子の前記1つの第1端と電気的に接続され、
前記複数の第1センサ他端配線は、前記第1長さ方向及び前記第1積層方向と交差する前記交差方向に沿って延び、
前記複数の第1センサ他端配線の1つは、前記複数の第1センサ素子の前記1つの第2端と電気的に接続され、
前記第2センサ素子は、複数設けられ、
前記第2配線は、複数設けられ、
前記複数の第2配線の1つの少なくとも一部は、前記第1配線交差方向において、前記複数の第1センサ他端配線の1つの少なくとも一部と重なり、
前記複数の第2センサ一端配線は、前記第1長さ方向に沿って延び、
前記複数の第2センサ一端配線の1つは、前記複数の第2センサ素子の1つの第3端と電気的に接続され、
前記複数の第1センサ他端配線の1つは、前記複数の第2センサ素子の前記1つの第4端と電気的に接続された、構成19または20に記載の磁気センサ。
(構成22)
構成1〜21のいずれか1つに記載の磁気センサと、
前記磁気センサから出力された信号を受ける受信部と、
を備えた生体細胞検出装置。
(構成23)
構成1〜21のいずれか1つに記載の磁気センサと、
前記磁気センサから得られる信号を処理する処理部と、
を備えた診断装置。
【0181】
実施形態によれば、検出感度の向上が可能な磁気センサ、生体細胞検出装置及び診断装置が提供できる。
【0182】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0183】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気センサに含まれる磁性層、非磁性層、導電層、配線及び回路などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0184】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0185】
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気センサを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての磁気センサも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0186】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0187】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。