特許第6625132号(P6625132)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6625132飽和水蒸気検出素子、ガス検出装置及び呼気検査システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6625132
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】飽和水蒸気検出素子、ガス検出装置及び呼気検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/04 20060101AFI20191216BHJP
   G01N 27/00 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   G01N27/04 B
   G01N27/04 Z
   G01N27/00 B
【請求項の数】12
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-545046(P2017-545046)
(86)(22)【出願日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】JP2015079115
(87)【国際公開番号】WO2017064784
(87)【国際公開日】20170420
【審査請求日】2017年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】若菜 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】山田 益義
(72)【発明者】
【氏名】坂入 実
【審査官】 小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−513664(JP,A)
【文献】 特開昭54−139097(JP,A)
【文献】 特開平11−218580(JP,A)
【文献】 特開2011−053049(JP,A)
【文献】 特開2011−095212(JP,A)
【文献】 特開2009−136393(JP,A)
【文献】 特開平2−98657(JP,A)
【文献】 特開平02−228546(JP,A)
【文献】 特開平07−020074(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0307238(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/08 − A61B 5/097
G01N 27/00 − G01N 27/24
G01N 33/497
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の材料で構成される絶縁部と、
前記絶縁部と接続された第3の電極と、
前記絶縁部と接続された第4の電極と、
前記第3の電極に接続され、グランドに対する電圧が印加される印加部と、
前記第4の電極に接続され、前記印加部に前記印加された電圧によって、前記絶縁性の材料の表面に付着した、飽和水蒸気に由来する水分子を介した電気経路に流れる電流に応じた、前記グランドに対する電圧信号を出力する出力部と、
を有し、
前記絶縁部は、前記水分子が付着する面に凹凸が設けられている絶縁性金属酸化物で構成されている
ことを特徴とする飽和水蒸気検出素子。
【請求項2】
前記凹凸は、結晶単位で形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の飽和水蒸気検出素子。
【請求項3】
前記凹凸は、プリント処理形成によって形成されている
ことを特徴とする請求項に記載の飽和水蒸気検出素子。
【請求項4】
前記印加部に印加される電圧は、交流電圧である
ことを特徴とする請求項1に記載の飽和水蒸気検出素子。
【請求項5】
棒状の形状を有する第1の電極と、
前記第1の電極を内包する筒状の形状を有する第2の電極と、
前記第1の電極と、前記第2の電極と、に接続される板状部と、
を有し、
前記板状部は、
前記絶縁性の材料で構成されているとともに、
前記印加部と、前記出力部と、を有し、
前記第1の電極は、前記第3の電極及び前記第4の電極の一方であり、
前記第2の電極は、前記第3の電極及び前記第4の電極の他方である
ことを特徴とする請求項1に記載の飽和水蒸気検出素子。
【請求項6】
飽和水蒸気検出素子と、前記飽和水蒸気検出素子の出力に基づき飽和水蒸気を検出する飽和水蒸気検出部と、前記飽和水蒸気検出部の周囲に設置され、所定の種類のガスの濃度を測定するガス測定部と、
を有し、
前記飽和水蒸気検出素子は、
絶縁性の材料で構成される絶縁部と、
前記絶縁部と接続された第3の電極と、
前記絶縁部と接続された第4の電極と、
前記第3の電極に接続され、グランドに対する電圧が印加される印加部と、
前記第4の電極に接続され、前記印加部に前記印加された電圧によって、前記絶縁性の材料の表面に付着した、前記飽和水蒸気に由来する水分子を介した電気経路に流れる電流に応じた、前記グランドに対する電圧信号を出力する出力部と、を含んで構成され、
前記絶縁部は、前記水分子が付着する面に凹凸が設けられている絶縁性金属酸化物で構成されている
ことを特徴とするガス検出装置。
【請求項7】
前記ガス測定部は、
アルコール濃度を測定するアルコール測定部、一酸化炭素濃度を測定する一酸化炭素測定部、一酸化窒素濃度を測定する一酸化窒素測定部、アセトン濃度を測定するアセトン測定部、アセトアルデヒド濃度を測定するアセトアルデヒド測定部及び水素濃度を測定する水素測定部のうち、少なくとも1つである
ことを特徴とする請求項に記載のガス検出装置。
【請求項8】
飽和水蒸気検出素子と、前記飽和水蒸気検出素子の出力に基づき飽和水蒸気を検出する飽和水蒸気検出部と、前記飽和水蒸気検出部の周囲に設置され、所定の種類のガスの濃度を測定するガス測定部と、を備えるガス検出装置と、
呼気が導入される呼気導入部と、
を有し、
前記ガス検出装置の前記飽和水蒸気検出素子は、
絶縁性の材料で構成される絶縁部と、
前記絶縁部と接続された第3の電極と、
前記絶縁部と接続された第4の電極と、
前記第3の電極に接続され、グランドに対する電圧が印加される印加部と、
前記第4の電極に接続され、前記印加部に前記印加された電圧によって、前記絶縁性の材料に付着した、前記飽和水蒸気に由来する水分子を介した電気経路に流れる電流に応じた、前記グランドに対する電圧信号を出力する出力部と、を含んで構成され、
前記絶縁部は、前記水分子が付着する面に凹凸が設けられている絶縁性金属酸化物で構成されている
ことを特徴とする呼気検査システム。
【請求項9】
前記飽和水蒸気検出部、前記ガス測定部及び前記呼気導入部が、携帯端末に設置されている
ことを特徴とする請求項に記載の呼気検査システム。
【請求項10】
前記飽和水蒸気検出部及び前記ガス測定部及び前記呼気導入部が、ステアリングホイールに設置されている
ことを特徴とする請求項に記載の呼気検査システム。
【請求項11】
前記飽和水蒸気検出部から第1の信号を取得し、前記ガス測定部から第2の信号を取得し、前記第1の信号及び前記第2の信号を解析する解析部
を有し、
前記解析部は、
前記飽和水蒸気検出部から取得した信号が第1の閾値を超えると、前記ガス測定部から信号を取得することを開始し、
前記飽和水蒸気検出部から取得した信号が、前記第1の閾値より大きい第2の閾値を超えると、前記ガス測定部から信号を取得することを停止し、
前記ガス測定部から信号を取得することを開始したときの前記第2の信号の信号値と、前記ガス測定部から信号を取得することを停止したときの前記第2の信号の信号値と、を基に、前記呼気中における前記ガスの飽和濃度を算出する
ことを特徴とする請求項に記載の呼気検査システム。
【請求項12】
前記ガスは、アルコール、アセトアルデヒド及び水素であり、
前記解析部は、
前記アルコール、アセトアルデヒド及び水素の飽和濃度を基に、被検者における飲酒の有無を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の呼気検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼気中の水分を検出する飽和水蒸気検出素子、ガス検出装置及び呼気検査システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
飲酒運転による事故を根絶するため、事業用自動車の運転者に対して、アルコール検査を行うことが義務付けられている。
【0003】
ここで、従来のアルコール検査装置は被検者の呼気を導入することで、該呼気に含まれるアルコール濃度を測定するものである。このアルコール検査装置において、呼気は、人が吹き込んだものでなくてもよいので、自分の呼気の代わりに外気等を吹き込むことで、なりすまし等が発生するおそれがある。
【0004】
このようななりすまし防止のため、アルコール検査装置に導入された空気が呼気であることを検査する必要がある。人の呼気は、外気と異なり水蒸気が飽和状態となっているため、アルコール検査装置に導入された空気の水蒸気量を測定する、すなわち水分を測定することで、導入された空気が人の呼気であるか否かを判定することができ、なりすましを防止することができる。
【0005】
このような水分測定装置として、例えば、特許文献1に記載の静電容量式湿度センサが開示されている。特許文献1には、「雰囲気中の湿度変化を静電容量の変化によって検出する静電容量式湿度センサであって、湿度に応じて誘電率の変化する感湿膜が形成された、容量値と該容量値の湿度変化に対する傾きが互いに異なる第1センサ素子と第2センサ素子を有してなり、前記第1センサ素子と第2センサ素子が、それぞれ、絶縁膜を介した半導体基板上の同一平面において、該半導体基板の別位置に形成される半導体素子の配線工程を用いて形成され、互いの櫛歯が噛み合って対向するように離間して配置された一対の櫛歯状電極を備える櫛歯電極型の容量素子であり、前記第1センサ素子と第2センサ素子が、直列接続され、前記感湿膜が、前記半導体基板における前記半導体素子の配線の保護膜を介して、前記第1センサ素子と第2センサ素子におけるそれぞれの一対の櫛歯状電極を覆うようにして、前記半導体基板上に形成され、前記第1センサ素子と第2センサ素子が、いずれも、前記半導体基板、前記絶縁膜、前記一対の櫛歯状電極、前記保護膜および前記感湿膜で構成されてなり、前記一対の櫛歯状電極における櫛歯間隔が、前記第1センサ素子と第2センサ素子とで異なることを特徴とする静電容量式湿度センサ」が開示されている(請求項1参照)。
【0006】
また、例えば、特許文献2に記載のイオン検出センサも開示されている。特許文献2には、「筐体内が大気圧環境下であって、当該筐体内に、イオンビームを発生するイオン源と、当該イオンビームを通過させる開口部を有する対向電極と、外気を筐体内に導入する導入手段と、当該導入手段によって筐体内に導入された外気と前記イオンビームとが反応して、重力方向に偏向されるイオンを検出する検出電極とを有し、前記対向電極よりも前記イオンビームの照射方向における下流側であり、かつ前記対向電極の開口部よりも下側に排気手段を備えることを特徴とするイオン検出装置」が開示されている(請求項1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4455286号明細書
【特許文献2】特許第5254432号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、乾湿膜を用いているため水分を検知し、さらに水分の測定が終了するまでに1分程度の時間がかかるという課題がある。そのため、人が呼気を発している間に判定を行うことが困難であるという課題がある。
また、特許文献2に記載の技術は出力が小さいため、出力の増幅を行う必要があり、消費電力が大きくなるという課題がある。
また、特許文献1に記載の技術及び特許文献2に記載の技術は、小型化が困難であるという課題もある。市場では、様々な利用事例に適したモバイルタイプの検査端末のニーズが高まっており、今後モバイル化への対応が必要となることからも、水分測定装置の小型化は必須である。
【0009】
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、小型かつ応答性能のよい水分検出素子、ガス検出装置及び呼気検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、絶縁性の材料で構成される絶縁部と、前記絶縁部と接続された第3の電極と、前記絶縁部と接続された第4の電極と、前記第3の電極に接続され、グランドに対する電圧が印加される印加部と、前記第4の電極に接続され、前記印加部に前記印加された電圧によって、前記絶縁性の材料の表面に付着した、飽和水蒸気に由来する水分子を介した電気経路に流れる電流に応じた、前記グランドに対する電圧信号を出力する出力部と、を有し、前記絶縁部は、前記水分子が付着する面に凹凸が設けられている絶縁性金属酸化物で構成されていることを特徴とする。
その他の解決手段については、実施形態中において適宜記載する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、小型かつ応答性能のよい水分検出素子、ガス検出装置及び呼気検査システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る水分検出素子の構造を示す図であり、(a)は水分検出素子の原理を示す模式図を示し、(b)は水分検出素子の上面模式図を示している。
図2】本実施形態に係る水分検出素子が水分を検出する原理を説明するための図であり、(a)は水分付着前における水分検出素子の原理を示す模式図であり、(b)は水分付着前における水分検出素子の等価回路であり、(c)は水分付着後における水分検出素子の原理を示す模式図であり、(d)は水分付着後における水分検出素子の等価回路である。
図3】比較例における水分検出素子と、本実施形態に係る水分検出素子の大きさを比較するための図である。
図4】比較例におけるイオン検出センサと、本実施形態に係る水分検出素子の出力の比較を示す図である。
図5】本実施形態に係る水分検出素子の特性を説明する図であり、(a)は周波数特性を示し、(b)は電極の長さに対する特性を示し、(c)は応答特性を示し、(d)は比較例としての公知技術の応答特性を示す。
図6】本実施形態に係る低温タイプ及び高温タイプの水分検出素子の例を示す図であり、(a)は水分検出素子の上面図を示し、(b)は低温タイプの水分検出素子の原理を示す模式図を示し、(c)は高温タイプの水分検出素子の原理を示す模式図を示す。
図7】本実施形態に係る低温タイプ及び高温タイプの水分検出素子の別の例を示す図であり、(a)は水分検出素子の上面図を示し、(b)は低温タイプの水分検出素子の原理を示す模式図を示し、(c)は高温タイプの水分検出素子の原理を示す模式図を示す。
図8】絶縁部における凹凸構造の形成方法を示す図であり、(a)は加工処理を示し、(b)はアモルファス処理を示し、(c)はプリント処理を示す。
図9】本実施形態に係る水分検出素子の別の例を示す図である。
図10】平面配置構造を有する呼気センサの例を示す図である。
図11】同軸構造を有する呼気センサの例を示す図であり、(a)は呼気センサの外観斜視図を示し、(b)は呼気センサの上面図を示し、(c)は基板部の構造を示し、(d)はガスセンサが取り付けられる箇所における構造を示し、(e)はガスセンサの取付方向についての別の例を示す図である。
図12】モバイルタイプの呼気検査装置の例を示す図である。
図13】ステアリングホイールに組み込まれた呼気検査装置の例を示す図である。
図14】本実施形態に係る呼気検査システムの機能ブロックの例を示す図である。
図15】本実施形態に係る計測制御装置の構成例を示す機能ブロック図である。
図16】本実施形態に係る解析装置の構成例を示す機能ブロック図である。
図17】本実施形態に係る呼気検出処理の手順を示すフローチャートである。
図18】出力電圧の時間変化を示すグラフである。
図19】本実施形態に係るガス検出処理の手順を示すフローチャート(その1)である。
図20】本実施形態に係るガス検出処理の手順を示すフローチャート(その2)である。
図21】ガスセンサが出力する出力信号の時間変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。また、各図面において、共通の要素には共通の符号を付して説明を省略する。
【0014】
[水分検出素子]
(水分検出素子の構造)
図1は、本実施形態に係る水分検出素子の構造を示す図であり、(a)は水分検出素子の原理を示す模式図を示し、(b)は水分検出素子の上面模式図を示している。
図1(a)に示すように、水分検出素子(飽和水蒸気検出素子、飽和水蒸気検出部)1は交流電源5に接続され、交流電源5によって印加電圧Viが印加される印加電極(印加部)2と、水分の検出時に電位Voを検出する検出電極(出力部)3と、絶縁部4とを有している。
絶縁部4は、親水性の絶縁物の基板で構成されており、具体的には、絶縁性金属酸化物等、少なくとも表面が酸化物で構成されている。なお、絶縁部4の形状は基板状でなくてもよい。
図1(a)に示すように、検出電極3と、印加電極2との間には絶縁部4が介在している。ここで、絶縁部4は凹凸のある構造を有している。絶縁部4における凹凸の構造については後記する。
【0015】
(水分検出原理)
図2は、本実施形態に係る水分検出素子が水分を検出する原理を説明するための図であり、(a)は水分付着前における水分検出素子の原理を示す模式図であり、(b)は水分付着前における水分検出素子の等価回路であり、(c)は水分付着後における水分検出素子の原理を示す模式図であり、(d)は水分付着後における水分検出素子の等価回路である。
なお、図2(a)及び図2(c)で示される各構成は、図1(a)に示されている各構成と同様であるので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0016】
図2(a)で示されるように、水分付着前では、検出電極3及び印加電極2とは絶縁部4とで接続されているので、検出電極3と、印加電極2との間は通電されていない。従って、印加電極2には交流電圧が印加されているが、検出電極3から電圧は検出されない。
【0017】
そして、水分が水分検出素子1の絶縁部4に付着すると、図2(c)に示すように、水分子11が絶縁部4に付着する。これにより、検出電極3と、印加電極2とは、水分子11をパスとして通電するようになる。すると、検出電極3から印加電極2に加えられた電圧が検出(出力)される。検出(出力)された電圧に基づき水分検出素子1は水分を検出する。
【0018】
次に、水分の付着前及び付着後における水分検出素子1の等価回路20の変化を比較する。
水分の付着前では、図2(b)に示すような等価回路20aとなっている。ここで、コンデンサC1は絶縁部4を示すコンデンサである。なお、検出電極3及び印加電極2の間の距離は十分におおきいので、コンデンサC1の静電容量は小さな値(≪1)となる。従って、図2(b)に示す等価回路20aの容量リアクタンスは大きな値となり、検出電極3及び印加電極2の間は、ほとんど通電していない状態となっている。
ちなみに、コンデンサCa及び抵抗Raで構成される回路は大気の等価回路である。
【0019】
ここで、呼気に含まれる水分が付着すると、図2(b)に示す等価回路20aは、図2(d)に示す等価回路20bとなる。等価回路20bにおいて、抵抗Rb及びコンデンサC2で示される回路21は水分子11の等価回路である。
図2(c)に示すように、水分(水分子11)が絶縁部4に付着すると、図2(d)に示すように水分子11に由来する抵抗Rb及びコンデンサC2が生じ、これらの抵抗Rb及びコンデンサC2によってインピーダンスが変化(低下)する。この結果、検出電極3と印加電極2との間が通電状態となり、検出電極3から電圧を検出することができる。このように、水分(水分子11)が絶縁部4に付着することによる水分検出素子1のインピーダンス変化を利用して、呼気中の水分を検出することで、応答性を高くすることができる。
【0020】
なお、図1(b)に示すように、検出電極3及び印加電極2は、櫛歯形の形状を有している。そして、検出電極3及び印加電極2は、絶縁部4上で、互いの櫛歯がかみ合って対向するように離間して設置されている。このようにすることで、水分付着部(反応部位)の面積を大きくすることができる。
【0021】
例えば、特許文献1に記載の静電容量式湿度センサは、空気中の湿度を測定することを目的としている。
これに対し、本実施形態に係る水分検出素子1は、高湿度(ほぼ、飽和状態)の呼気の検出を目的としている。従って、空気中の水分量を測定することを目的とせず、高湿度の空気(呼気)を検出できればよい。
【0022】
本実施形態に係る水分検出素子1は、図1に示すように、検出電極3と、印加電極2との間に絶縁部4が介在している構成となっている。そして、図2(c)に示すように、呼気に含まれる水分子11が絶縁部4に付着することで、この水分子11をパスとして通電が行われる。これにより、検出電極3で出力電圧が検出される。従って、本実施形態に係る水分検出素子1は、水分子11が付着できるほどの広さの絶縁部4があればよく、小型化を実現することができる。
【0023】
また、水分(水分子11)が絶縁部4に付着する前は、出力電圧はほぼ0であるのに対し、水分(水分子11)の付着後では出力電圧をほぼVi(印加電圧)とすることができる。これにより、優れたS/N(Signal/Noise)比を実現することができる。
【0024】
なお、水分検出素子1において、前記したように絶縁部4の表面は凹凸のある構造を有している。このように、絶縁部4の表面が凹凸を有することにより、絶縁部4の表面積を増やすことができる。すなわち、絶縁部4の表面が凹凸を有することにより、より多くの水分子11を付着させることができ、出力電圧を増加させることができ、高感度化を図ることができる。
さらに、絶縁部4が、少なくとも表面が、親水性の高い酸化物(金属酸化物)で構成されるようにすることで、水分を付着させやすくすることができる。
【0025】
(小型化)
図3は、比較例における水分検出素子と、本実施形態に係る水分検出素子の大きさを比較するための図である。適宜、図1を参照する。
比較例における水分検出素子であるイオン検出センサAは、特許文献2に記載のイオン検出装置を利用したものである。
なお、図3において、イオン検出センサAと、本実施形態に係る水分検出素子1の大きさの比率は、実際の比率と同じものにしてある。なお、本実施形態に係る水分検出素子1は評価用のUSB(Universal Serial Bus)端子に設置している一例を示している。
【0026】
また、電源印加電極A4に電圧が印加され、カウンタ電極A5でイオン化された水クラスタ量を検出することで、呼気導入口A1から試料(呼気)からイオン検出センサAの筺体内に導入され、イオン検出センサAの筺体内に滞留する呼気中の水クラスタ量を検出する。その後、排気ファン部A3によって、イオン検出センサAの筺体内に滞留している呼気が排出される。
【0027】
このように、イオン検出センサAは、イオン検出センサをケースに収納する構成となっているため、呼気検出後、次の呼気を導入するまでの間に排気を行う必要がある。従って、イオン検出センサAは、呼気検出後、呼気を排気するための排気ファン部A3を備える必要がある。
【0028】
図3に示すように、本実施形態に係る水分検出素子1は、比較例のイオン検出センサAと比較して、1/10以下にまで小型化することができる。これは、本実施形態に係る水分検出素子1が、絶縁部4に付着した水分子11(図2参照)をパスとして印加電極2と、検出電極3間に通電する電圧を測定するものであるため、呼気を滞留させる必要がなく、筺体を必要としないためである。
このように、本実施形態に係る水分検出素子1は小型化を実現することで、モバイル装置に組み込む等、様々な使用目的に応じた形状で利用可能となり、適用範囲を広くすることができる。
【0029】
また、本実施形態に係る水分検出素子1は、絶縁部4に付着した水分(水分子11)をパスとした通電を検出するため、わずかな水分でも検出することができる。そして、検出に必要な水分がわずかですむことから、検出後、水分がすぐに(数秒程度)蒸発することにより、イオン検出センサAのように筺体内の呼気を排出する必要がない。従って、本実施形態に係る水分検出素子1は、呼気を排出するための排気ファン部A3を備える必要がなく、イオン検出センサAより小型化を実現することができる。
【0030】
そして、イオン検出センサAは、呼気を排出する必要があることから、測定終了後、すぐに次の測定を行うことが困難である。なお、特許文献1に記載の静電容量式湿度センサも、乾湿膜から水分が離脱し、定常状態に戻るまでに時間がかかるため、測定終了後、すぐに次の測定を行うことが困難である。このように、イオン検出センサAや、特許文献1に記載の静電容量式湿度センサでは、高頻度で繰り返し使用する用途には不向きである。
【0031】
これに対し、本実施形態に係る水分検出素子1は、前記したように、検出後、水分がすぐに蒸発するため、測定終了後、すぐに次の測定を行うことができる。
【0032】
また、本実施形態に係る水分検出素子1は、図1に示すように印加電圧として交流電圧を用いている。このようにすることで、本実施形態に係る水分検出素子1は高速化を図ることができる。すなわち、印加電圧として直流電圧を用いると、図2(d)に示す等価回路20のコンデンサC1,C2成分による電圧の立ち上がりの遅れが生じ、検出の遅れが生じる。これに対し、印加電圧として交流電圧を用いると、コンデンサC1,C2成分の影響が小さくなるため、検出の遅れが小さくなる。特に、印加電圧としての交流電圧の周波数として、数10Hz以上の周波数を用いることで、検出を高速化することができる。
【0033】
さらに、本実施形態に係る水分検出素子1は、呼気導入前では電流が流れないので、電力が消費されることがない。これに対し、特許文献1に記載の静電容量式湿度センサは、呼気が導入されていないときでも、乾湿膜に電流を流す必要がある。このように、本実施形態に係る水分検出素子1は省電力化を実現することができる。従って、本実施形態に係る水分検出素子1はモバイル用途に適している。
【0034】
また、本実施形態に係る水分検出素子1において、絶縁部4に付着した水分(水分子11)を介して流れる電流は数nAもしくは数pA程度でよい。従って、本実施形態に係る水分検出素子1は、省電力化を実現することができる。これは、水分付着前において、出力電圧Voが、ほぼ0なので、数nAもしくは数pA程度の電流でも検出可能であるためである。これに対して、特許文献1に記載の静電容量式湿度センサは、前記したように呼気が導入されていないときでも、乾湿膜に電流を流す必要がある。従って、出力電圧は呼気が導入されていないときの電流より大きな電流を流す必要がある。
【0035】
そして、特許文献1に記載の静電容量式湿度センサは、乾湿膜への水蒸気の吸着により湿度を検出しているため、検出時間がかかり、人が呼気を吐く間に水分を検出するのが困難である。これは、特許文献1に記載の静電容量式湿度センサが、湿度を正確に測ろうとしているためである。
【0036】
これに対し、本実施形態に係る水分検出素子1は絶縁部4に付着した水分(水分子11)をパスとする電流による電圧を検出するため、検出時間を大幅に短縮することができ、被検者が呼気を吐く間に水分を検出することができる。つまり、本実施形態に係る水分検出素子1は、特許文献1に記載の静電容量式湿度センサのように湿度を正確に測ろうとせず、単に導入された空気に十分な水分が含まれているか否かを判定するものである。
【0037】
(出力特性)
図4は、比較例におけるイオン検出センサと、本実施形態に係る水分検出素子の出力の比較を示す図である。なお、図4において、比較例におけるイオン検出センサとは特許文献2に記載のイオン検出センサである。
図4において、縦軸が出力電圧を示し、横軸が時間(sec)を示している。
そして、図4において、波形51(実線)が特許文献2に記載のイオン検出センサの出力を示し、波形52(破線)が本実施形態に係る水分検出素子1の出力を示す。
図4に示すように、特許文献2に記載のイオン検出センサの出力(波形51)と比べて、本実施形態に係る水分検出素子1の出力(波形52)の方が格段に大きい。
【0038】
このように、特許文献2に記載のイオン検出センサは出力が小さく、アンプ等によって増幅する必要があり、アンプのための電力が必要であることから、大きな電力を消費する。
これに対し、図4に示すように、本実施形態に係る水分検出素子1は、特許文献2に記載のイオン検出センサより、1桁以上大きな値を出力することができる。
本実施形態に係る水分検出素子1は、このように大きな値を出力することができるため、アンプを必要とせず、省電力化や、小型化を実現することができる。
【0039】
図5は、本実施形態に係る水分検出素子の特性を説明する図であり、(a)は周波数特性を示し、(b)は電極の長さに対する特性を示し、(c)は応答特性を示し、(d)は比較例としての公知技術の応答特性を示す。
まず、図5(a)において、横軸は印加される交流電圧の周波数(Hz)を示し、縦軸が印加電圧(Vi)に対する出力電圧(Vo)の比(Vo/Vi)を示している。
図5(a)に示すように、水分子11(図2参照)等に由来するインピーダンスの影響で印加電圧Viより出力電圧Voがやや小さくなっているものの、ほとんどの周波数において安定して印加電圧(Vi)≒出力電圧(Vo)となっている(Vo/Vi≒1)。
【0040】
また、図5(b)では、横軸が検出電極3における検出部分の全長Wを示し、縦軸が出力電圧のS/N比を示している。ここで、検出部分の全長Wは、図1に示す検出電極3の検出部分の長さLに、印加電極2又は検出電極3の櫛歯本数Nから1マイナスした値を乗算したものである。
図5(b)に示すように、検出部分の全長Wが大きくなるに従ってS/N比が大きくなっている。これは、検出部分の全長Wが長くなるにつれて、出力電圧Voを検出する面積が大きくなり、これに伴って、ノイズが相対的に低くなるためである。このように、印加電極2及び検出電極3の形状を櫛歯状とし、印加電極2及び検出電極3において、互いの櫛歯がかみ合うように離間して配置されるようにすることで、検出部分の全長Wを長くすることができ、高いS/N比を実現することができる。
【0041】
図5(c)では、横軸が時間(sec)を示し、縦軸が印加電圧(Vi)に対する出力電圧(Vo)の比(Vo/Vi)を示している。
これに対し、例えば、比較例の技術(特許文献1のように乾湿膜を用いて湿度を計測する技術)の応答特性を示す図5(d)では、横軸が時間を示し、縦軸が乾湿膜に流れるイオン電流に基づく湿度を示している。なお、本実施形態における水分検出素子1では交流電圧が出力されるため、実際には、出力波形は後記する図18のような波形となるのだが、図5(d)との比較をしやすくするため、図5(c)では直流的に示している。従って、図5(c)は、出力される交流電圧のピーク値の変化としてとらえてもよい。
なお、図5(c)において時刻t1は、水分検出素子1が呼気導入開始されたと判定した時刻であり、時刻t2は呼気導入が終了した時刻である。そして、時刻t3は、出力電圧Viが呼気導入前の状態にほぼ戻った時刻である。
また、図5(d)において時刻t1aは、比較例の技術において、呼気導入が開始されたと判定した時刻であり、時刻t2aは呼気導入が終了した時刻である。なお、図5(d)では、呼気導入開始から5秒以上経過しても出力電圧Viが呼気導入前の状態に戻っていないことがわかる。
【0042】
図5(d)に示す比較例に比べて、図5(c)に示す本実施形態に係る水分検出素子1の方が、呼気導入後の応答がはやいことが分かる。
これは、図2(b)及び図2(d)に示すように、本実施形態に係る水分検出素子1は、水分子11が絶縁部4に付着することによる、インピーダンスの変化によって検出電極3が電圧を検出する。このように、本実施形態に係る水分検出素子1は、優れた応答性を実現することができる。
なお、図1(b)に示す印加電極2と、検出電極3における櫛歯間隔を調節することで応答時間を調節することもできる。
【0043】
また、図5(d)において、呼気導入の開始から、呼気導入の終了までの時間は、図5(c)と同程度であるが、図5(d)では本来の呼気の湿度である湿度100%には程遠い。従って、比較例において、本来の呼気の湿度である湿度100%になるまでは、さらに呼気を導入し続けなければならない。このため、比較例の技術では、人が自然に呼気を吐く数秒間で、十分な測定を行うことが困難である。
これに対し、本実施形態に係る水分検出素子1は、図5(c)に示すように、図5(d)よりも立ち上がりがするどく、短時間(およそ1秒未満)でピークに達している。すなわち、本実施形態に係る水分検出素子1は、比較例の技術に対して応答性がよい。また、ピーク時の出力電圧Voは、ほぼ印加電圧Viの値となっている(Vo/Vi≒1)。
このように、本実施形態に係る水分検出素子1は、短い時間で呼気の測定を十分に行うことができる。
【0044】
さらに、呼気導入後においても、図5(d)に示す比較例に比べて、図5(c)に示す本実施形態に係る水分検出素子1の方が、短い時間で呼気導入前の状態に戻ることが分かる。これは、比較例の技術が、乾湿膜に水分が吸着することによって、乾湿膜に流れるイオン電流に基づくため、呼気導入前の状態に戻る反応に遅れが生じるためである。
【0045】
これに対し、本実施形態に係る水分検出素子1は、前記したように絶縁部4に水分(水分子11)が付着することによる通電に基づいて水分を検出する。従って、呼気導入後、短い時間での応答が可能である。また、絶縁部4に付着する水分は微量であるので、呼気導入終了後、水分は即座に蒸発する。
図5(d)に示すように、比較例では呼気導入前の状態に戻る速度が遅い。従って、比較例の技術では、再測定が可能な状態になるまで30秒〜1分程度かかる。
これに対し、本実施形態に係る水分検出素子1は、図5(c)に示すように、呼気導入開始から、出力電圧Viが呼気導入前の状態に戻るまで、およそ3秒である。このように、本実施形態に係る水分検出素子1では、呼気導入が終了すると、即座に呼気導入前の状態に戻ることができるため、すぐに次の検査を始めることができる。
【0046】
(凹凸構造)
図6は、本実施形態に係る低温タイプ及び高温タイプの水分検出素子の例を示す図であり、(a)は水分検出素子の上面図を示し、(b)は低温タイプの水分検出素子の原理を示す模式図を示し、(c)は高温タイプの水分検出素子の原理を示す模式図を示す。
本実施形態に係る水分検出素子1は、前記したように絶縁部4が凹凸構造を有している。
この凹凸構造は、図6に示すように低温環境下(所定の温度以下の環境下)で使用する低温タイプと、高温環境下(所定の温度以上の環境下)で使用する高温タイプとで区別することができる。
すなわち、図6(b)に示すように低温タイプの水分検出素子1aは、高温タイプの水分検出素子1bより絶縁部4aの凹凸を小さくし、逆に高温タイプでは図6(c)に示すように低温タイプより絶縁部4bの凹凸を大きくしている。
高温では飽和水蒸気量が大きくなるため、呼気の湿度(相対湿度)が低くなる。このため、高温タイプでは、絶縁部4bの凹凸を大きくすることで、水分(水分子11(図2参照))が付着しやすいようにしている。このようにすることで、呼気の湿度が低い高温環境下でも適切に動作する水分検出素子1bを提供することができる。
【0047】
逆に、低温では飽和水蒸気量が小さくなるため、呼気の湿度(相対湿度)が高くなる。このような状態では、高温タイプのように絶縁部4の凹凸を大きくすると、水分(水分子11)が付着しすぎることになる。このため、低温タイプの水分検出素子1aでは、絶縁部4aの凹凸を小さくすることで、高温タイプの水分検出素子1bよりも水分(水分子11)が付着しにくいようにしている。このようにすることで、呼気の湿度が高くなる低温環境下でも、適切に動作する水分検出素子1aを提供することができる。
【0048】
また、図6(a)に示すように、低温タイプの水分検出素子1aと、高温タイプの水分検出素子1bとに、交流電源5から交流電圧を印加している。このような構成とすることで、低温環境下及び高温環境下のいずれでも使用できる水分検出素子1を提供することができる。
【0049】
なお、図6の例では、絶縁部4の凹凸の大きさを低温タイプ及び高温タイプの2種類としたが、3種類以上としてもよい。すなわち、体温タイプから高温タイプとなるにつれて、凹凸を大きくすることで、低温タイプと、高温タイプの中間の温度に適した絶縁部4を有する水分検出素子1が提供されてもよい。なお、環境気温に応じて、低温タイプの水分検出素子1aと、高温タイプの水分検出素子1bとを切替可能としてもよい。
【0050】
ここで、絶縁部4の凹凸は図6に示すような山形としてもよいし、図7に示すような突起状としてもよい。あるいは、ランダムな形状にする等、山形や突起状以外の形状で絶縁部4の凹凸が形成されてもよい。
図7は、本実施形態に係る低温タイプ及び高温タイプの水分検出素子の別の例を示す図であり、(a)は水分検出素子の上面図を示し、(b)は低温タイプの水分検出素子の原理を示す模式図を示し、(c)は高温タイプの水分検出素子の原理を示す模式図を示す。
なお、図7(b)に示す小さい突起状の凹凸を有する絶縁部4cを備えた低温タイプの水分検出素子1cと、図7(c)に示す大きい突起状の凹凸を有する絶縁部4dを備える高温タイプの水分検出素子1dとに、図7(a)に示すように交流電源5から印加電圧(交流電圧)が印加されている。
【0051】
(凹凸構造の形成方法)
図8は、絶縁部における凹凸構造の形成方法を示す図であり、(a)は加工処理を示し、(b)はアモルファス処理を示し、(c)はプリント処理を示す。
絶縁部4の凹凸は、図8(a)に示されるように、破線で示している状態から、絶縁部4が削られる加工処理で形成されてもよいし、図8(b)に示されるように、アモルファス処理で絶縁部4が形成されてもよいし、図8(c)に示されるように、平らな基板上に凹凸がプリントされるプリント処理で絶縁部4が形成されてもよい。なお、図8(b)に示すアモルファス処理で形成された絶縁部4は、なめらかな表面を有しているようにみえるが、実際には結晶単位の凹凸が存在している。
【0052】
(変形例)
図9は、本実施形態に係る水分検出素子1の別の例を示す図である。なお、図9において、図1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図9に示す水分検出素子1C(1)では、印加電極2a(2)及び検出電極3a(3)が渦巻き状となっている。このように、検出電極3及び印加電極2は、図1に示すような櫛歯となっていなくてもよい。
【0053】
[呼気センサ]
次に、水分検出素子1を利用した呼気センサについて説明する。
(平面配置構造)
図10は、平面配置構造を有する呼気センサの例を示す図である。
図10に示す平面配置構造を有する呼気センサ(ガス検出装置)100a(100)では、平面構造を有する回路基板の中心に水分検出素子1が配置され、水分検出素子1の周囲に小型の各種ガスセンサ(ガス測定部)101が配置されている。水分検出素子1は、図1及び図6図7図9のいずれかに示すものである。
水分検出素子1の周囲に配置されるガスセンサ101は、一酸化炭素用のガスセンサ101a、一酸化窒素用のガスセンサ101b、アルコール用のガスセンサ101c、アセトアルデヒド用のガスセンサ101d、アセトン用のガスセンサ101e、水素用のガスセンサ101f等を含んで構成される。なお、アルコールには種々の物質が含まれるが、本実施例では、一例として、エタノールを用いて説明する。
【0054】
ちなみに、一酸化炭素用のガスセンサ101aは喫煙の有無、一酸化窒素用のガスセンサ101bは喘息の有無、アルコール(エタノール)用のガスセンサ101cは飲酒の有無(呼気中のアルコールの有無)、アセトアルデヒド用のガスセンサ101dはアルコールの代謝物であり悪酔いの有無、アセトン用のガスセンサ101eは糖尿病の有無、水素用のガスセンサ101fは消化器系の異常の有無等を検出できる。なお、ここで「有無」とは、呼気中に所定量以上の成分が含まれているか否か等である。
【0055】
図10では、6種類のガスセンサ101を有した構成となっているが、これらのすべてを備える必要はなく、目的に応じて1種類又は数種類のガスセンサ101を有する構成としてもよい。あるいは、目的に応じて使用するガスセンサ101が切替可能な構成となっていてもよい。さらに、図10に示す例で用いられているガスセンサ101に限らず、例えば、二酸化炭素用のガスセンサ101等が配置されてもよい。
【0056】
(同軸構造)
図11は、同軸構造を有する呼気センサの例を示す図であり、(a)は呼気センサの外観斜視図を示し、(b)は呼気センサの上面図を示し、(c)は基板部の構造を示し、(d)はガスセンサが取り付けられる箇所における構造を示し、(e)はガスセンサの取付方向についての別の例を示す図である。
図11(a)及び図11(b)に示すように、呼気センサ100b(100)では中心に棒状の印加電極112(2)が配置され、印加電極112の周囲に筒状の検出電極113(3)が配置されている。印加電極112と、検出電極113とは、1つ以上(図11の例では4つ)の板状の基板部120で接続されている。基板部120では、図11(c)に示すように、棒状の印加電極112に接続されている印加電極板122及び筒状の検出電極113に接続されている検出電極板123を有している。印加電極板122及び検出電極板123は櫛歯状の構造を有しており、図1(b)の印加電極2及び検出電極3のように印加電極板122及び検出電極板123における櫛歯が互いにかみ合うように離間して設置されている。また、印加電極板122及び検出電極板123の間には絶縁部124(4)が介在している。このような構成は、図1で示される構成と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0057】
呼気は筒状の検出電極113の内側に導入され、基板部120の絶縁部114に呼気中の水分(水分子11(図2参照))が付着する。これにより、基板部120の印加電極板122と、検出電極板123が付着した水分(水分子11)を介して通電することにより、呼気中の水分を検出することができる。
【0058】
また、図11(a)に示すように、筒状の検出電極113の外側側面には、各種のガスセンサ101a〜101f(101)が設置される。ここで、ガスセンサ101a〜101fは、図10に示すガスセンサ101a〜101fと同様のものである。なお、ここでは、6種類のガスセンサ101を有した構成となっているが、これらのすべてを備える必要はなく、目的に応じて1種類又は数種類のガスセンサ101を有する構成としてもよい。あるいは、目的に応じて使用するガスセンサ101が切替可能な構成となっていてもよい。さらに、図10に示す例で用いられているガスセンサ101に限らず、二酸化炭素用のガスセンサ101等が配置されてもよい。
【0059】
図11(d)は、ガスセンサ101が取り付けられている箇所において、ガスセンサ101を取り外したときにおける検出電極113を示す図である。
図11(d)に示すように、筒状の検出電極113において、ガスセンサ101の設置箇所に対応する箇所に貫通孔131が設けられている。検出電極113の内側に導入された呼気は、この貫通孔131から外側に向かおうとする。この際、貫通孔131に設けられているガスセンサ101が呼気に含まれるガス成分を検出する。
図11(a)〜(d)に示すような構成とすることにより、呼気センサ201そのものを筒状にすることができるので、確保するスペースの形状を多様化することができる。
【0060】
なお、呼気センサ100bの軸方向に複数のガスセンサ101が設置されているが、図11(e)に示すように各種ガスセンサ101が検出電極113の周方向に設置されている呼気センサ100cとしてもよい。なお、図11(e)におけるガスセンサ101は、図11(a)におけるガスセンサ101a〜101fである。このとき、筒状の検出電極113において、ガスセンサ101に対応する箇所には図11(d)と同様に貫通孔131が設けられている。図11(e)に示すような構成とすることで、呼気センサ100cの軸方向の長さを短くすることができる。
【0061】
図10及び図11に示すように、水分検出素子1と、ガスセンサ101とを組み合わせることにより、呼気中の水分を検出することができる。これにより、呼気ではない空気を呼気センサ100に導入することによるなりすましを検出することができる。
なお、本実施形態に用いられるガスセンサ101は、可能な限り小型であることが望ましい。
【0062】
[呼気検査装置]
次に、図12及び図13を参照して、本実施形態に係る呼気センサ100を備えた呼気検査装置の例を示す。
(モバイルタイプ)
図12は、モバイルタイプの呼気検査装置の例を示す図である。
図12に示す呼気検査装置201a(201)は、例えば、名刺サイズの大きさを有する。
呼気検査装置201aは、呼気導入口202a及び表示部203を有している。呼気検査装置201aの内部には呼気センサ100(図10及び図11参照)が搭載されている。
すなわち、呼気導入口202aから呼気検査装置201aの内部に導入された呼気は、内部の呼気センサ100によって呼気及びガスの検出が行われる。そして、呼気検査装置201aによる検査結果が表示部203に表示される。
【0063】
水分検出素子1を小型化できることにより、呼気検査装置201aを小型化することができる。このように呼気検査装置201aを小型化することで、家庭用として使用することができたり、自転車に装着したりすることで、気軽に使用できるヘルスケア用品を提供することができる。
【0064】
なお、呼気検査装置201aの内部に搭載される呼気センサ100は、図10に示す呼気センサ100aであることが望ましいが、図11に示す呼気センサ100bでもよい。
図11に示す呼気センサ100bが用いられる場合、呼気導入口202aが図11に示す呼気センサ100bの端部に直接接続された構成となっていてもよい。このような構成とすることで、呼気検査装置201のサイズを、さらに小さくすることができる。
【0065】
(ステアリングホイール)
図13は、ステアリングホイールに組み込まれた呼気検査装置の例を示す図である。
図13に示す呼気検査装置201b(201)では、ステアリングホイール211の内部に呼気センサ100が組み込まれている。ステアリングホイール211のリング部には、図13に示すように呼気導入口202bが設けられている。呼気導入口202bからステアリングホイール211のリング部の内部に導入された呼気中の水分及びガスは、リング部の内部に設けられている呼気センサ100によって検出される。
【0066】
図13のステアリングホイール211の内部に設けられる呼気センサ100は、図11に示す呼気センサ100bが好ましいが、図10に示す呼気センサ100aとしてもよい。
図11に示す呼気センサ100bを用いれば、呼気センサ100bの端部同士を結合させてリング状とすることで、呼気センサ100bそのものをステアリングホイール211のリング部とすることができる。これにより、ステアリングホイール211と呼気センサ100とを一体化することができる。この結果、別装置として呼気センサ100を設置する必要がなくなり、呼気センサ100を設置するためのスペースを確保する必要がなくなる。
【0067】
図10及び図11に示すように、水分検出素子1の周囲にガスセンサ101を配置することで、水分検出素子1で導入された呼気の水分が十分であるか否かを判定することができ、導入された空気が本当に呼気であるか否かを確かめるとともに、呼気中における各種ガスを測定することができる。
【0068】
[呼気検査システム]
図14は、本実施形態に係る呼気検査システムの機能ブロックの例を示す図である。
呼気検査システムZは、呼気検出装置300と、解析装置500と、送信装置601と、記憶装置602とを含む。
呼気検出装置300は、呼気センサ100及び計測制御装置400を有している。呼気センサ100は、水分検出素子1と、ガスセンサ101とを有しているが、図10図11で説明済みであるので、ここでの説明を省略する。
計測制御装置400は、交流電源5の周波数を変換して出力する。
また、呼気検出装置300は、水分検出素子1や、ガスセンサ101から入力されたアナログ信号を、A/D(Analog/Digital)変換器301a,301bでディジタル信号に変換して解析装置500へ出力する。
【0069】
解析装置500は、呼気センサ100における水分検出素子1から出力電圧を取得するとともに、ガスセンサ101から検出信号を取得する。そして、解析装置500は、水分検出素子1から取得した出力電圧や、ガスセンサ101から取得した検出信号等を基に、呼気中におけるガスの含有率を解析する。なお、本実施形態では、解析装置500が呼気センサ100から出力電圧及び検出信号を取得するとしているが、これに限らず、計測制御装置400が呼気センサ100から出力電圧及び検出信号を取得し、解析装置500へ取得した出力電圧及び検出信号をわたすようにしてもよい。
【0070】
記憶装置602は、データベースサーバ等であり、解析装置500が水分検出素子1から取得した出力電圧や、ガスセンサ101から取得した検出信号を検査時刻とともに保持したり、解析装置500による解析結果を保持したりする。
送信装置601は、解析装置500による解析結果(ドライバの状態に関する情報等)を図示しない中央情報センタに通知する。
【0071】
(計測制御装置)
図15は、本実施形態に係る計測制御装置の構成例を示す機能ブロック図である。
計測制御装置400は、メモリ401、CPU(Central Processing Unit)402、入力装置403、AC/ACインバータ回路404、交流端子405、AC/DCコンバータ回路406及び直流端子407を有する。
メモリ401には、プログラムがCPU402によって実行されることで、制御部411が具現化している。
制御部411は、入力装置403を介して入力された情報に基づいてAC/ACインバータ回路404や、AC/DCコンバータ回路406に指示を送る。
【0072】
AC/ACインバータ回路404は、制御部411から送られた指示に基づいて、交流電源5から入力された交流電圧の周波数及び電圧を変換し、交流端子405へ出力する。交流端子405には、水分検出素子1が接続される。
また、AC/DCコンバータ回路406は、制御部411から送られた指示に基づいて、交流電源5から入力された交流電圧の電圧を変換し、さらに交流電流を直流電流に変換して直流端子407へ出力する。直流端子407には、ガスセンサ101が接続される。
【0073】
なお、図15に示す計測制御装置400の構成は一例であり、図15に示す構成に限らない。例えば、水晶発振器を用いて交流信号(交流電圧)を発生させてもよい。
【0074】
(解析装置)
図16は、本実施形態に係る解析装置の構成例を示す機能ブロック図である。
解析装置500は、例えば、PC(Personal Computer)であり、メモリ501、CPU502、送受信装置503、表示装置504、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置505等を有している。
メモリ501には、記憶装置505に格納されているプログラムがロードされ、CPU502によって実行されることで、処理部511、及び処理部511を構成する水分測定処理部512、ガス測定処理部513、判定処理部514が具現化されている。
水分測定処理部512は、水分検出素子1から送られた信号を基に呼気に含まれる水分の測定に関する処理を行う。
ガス測定処理部513は、ガスセンサ101から送られた信号を基に呼気に含まれる各種ガスの測定に関する処理を行う。
判定処理部514は、ガス測定処理部513の測定結果に基づいて、例えば、被検者が飲酒をしていないか否かの判定を行う。
【0075】
なお、呼気検査システムZで、ガスの測定を行わない場合は、ガス測定処理部513を省略可能である。
【0076】
なお、図14に示す呼気検査システムZでは、呼気検出装置300、解析装置500、送信装置601及び記憶装置602をそれぞれ別の装置としているが、これに限らず、呼気検出装置300、解析装置500、送信装置601及び記憶装置602のうち、少なくとも2つが1つの装置となっていてもよい。
例えば、図12に示す呼気検査装置201aは、呼気検出装置300、解析装置500、送信装置601及び記憶装置602のすべてを備えていてもよい。
また、図13に示す呼気検査装置201bは、呼気検出装置300の部分だけを備え、解析装置500、送信装置601及び記憶装置602の部分を車両中の別の場所に備えるようにしてもよい。
【0077】
[フローチャート]
次に、図17図21を参照して、本実施形態に係る呼気検査システムZの処理手順を示す。適宜、図13図16を参照する。
(呼気検出処理)
図17は、本実施形態に係る呼気検出処理の手順を示すフローチャートである。
まず、ユーザが呼気検査システムZの電源をONとする(S101)ことにより、印加電極2に交流電圧(印加電圧)が印加される(S102)。なお、印加される交流電圧は計測制御装置400の交流端子405から出力されるものである。
その後、被検者が呼気導入口に呼気を導入することで、呼気導入が開始される(S103)。
そして、水分測定処理部512が、水分検出素子1からの出力電圧Voの測定を開始することで水分測定が開始される(S104)。この際、水分測定処理部512は、時刻0から時刻t0までの電圧値を現在の出力電圧からオフセット値として差し引くことで出力電圧Voを算出するものとする。
【0078】
その後、水分測定処理部512は、水分検出素子1からの出力電圧Voが第1の閾値Vth1以上となったか否かを判定する(S111)。
ステップS111の結果、水分検出素子1からの出力電圧Voが第1の閾値Vth1未満である場合(S111→No)、呼気強度不足として、被検者に呼気導入を継続させる(S112)。そして、水分測定処理部512はステップS111に処理を戻す。
ステップS111の結果、出力電圧Voが第1の閾値Vth1以上である場合(S111→Yes)、水分測定処理部512は、水分検出素子1からの出力電圧Voが第2の閾値Vth2以上となったか否かを判定する(S113)。なお、第1の閾値Vth1<第2の閾値Vth2である。また、出力電圧Voは、実際には交流電圧となるので、水分測定処理部512は、出力電圧ピークが第2の閾値Vth2以上となった回数が所定回数を超えたか否かによって、「出力電圧Voが第1の閾値Vth2以上となったか否か」を判定する。このことは、後記して説明する。
【0079】
ステップS113の結果、出力電圧Voが第2の閾値Vth2未満である場合(S113→No)、呼気強度不足として、被検者に呼気導入を継続させる(S114)。そして、水分測定処理部512はステップS113に処理を戻す。
ステップS113の結果、出力電圧Voが第2の閾値Vth2以上である場合(S113→Yes)、水分測定処理部512は、呼気強度が十分であると判定する(S121)。その後、被検者は呼気導入を終了する(S122)。このとき、呼気検出装置300は、ブザーや、音声や、画面表示等で呼気導入を終了させる旨を被検者に通知する。
【0080】
図18は、出力電圧の時間変化を示すグラフである。
図18において、横軸は時間(sec)を示し、縦軸は出力電圧(任意単位)を示している。なお、図5(c)及び図18では、異なる試験におけるデータが用いられているため、各事象の時刻が異なっているが、ほぼ同様の特性を示している。
まず、時刻t0で被検者が呼気導入を始めると(図17のステップS103)、出力電圧が上昇し始め、時刻t11で出力電圧が第1の閾値Vth1を超える(図17のステップS111;Yes)。また、時刻t0は図5(c)の時刻t1に相当する。
その後、出力電圧は上昇し続け、時刻t12で出力電圧ピークが15回、第2の閾値Vth2を超える(図17のステップS113;Yes)。このときの回数は任意に決めることができる。この回数は、周波数により異なるが、出力電圧が第1の閾値Vth1を超えた後、おおよそ1秒から3秒に相当するピーク数とする。
ちなみに、第2の閾値Vth2は、導入された空気(呼気)中に水分が含まれていることが確認されるのに十分な出力電圧である。
その後、時刻t13で被検者は呼気導入を終了する(図17のステップS122)。なお、時刻t13は図5(c)の時刻t2に相当する。
【0081】
(ガス検出処理)
図19及び図20は、本実施形態に係るガス検出処理の手順を示すフローチャートである。図19及び図20に示す処理では図17に示す処理が利用されている。なお、図19及び図20では、検出するガスがアルコールである場合を示しているが、アルコール以外のガスも同様の手順で検出することができる。実際のアルコール検出では、アルコール以外に、代謝物であるアセトアルデヒド、呼気中の濃度が約10ppmと高い水素をガス測定の対象とし、アルコール、アセトアルデヒド及び水素のガス濃度を基に、アルコールのガス濃度が算出される。このようにすることで、正確なアルコールのガス濃度を算出することが可能となる。ここでも、この手法を用いることとし、ガスセンサ101として、アルコール用のガスセンサ101c、アセトアルデヒド用のガスセンサ101d及び水素用のガスセンサ101fが使用される。以下、アルコール用のガスセンサ101c、アセトアルデヒド用のガスセンサ101d及び水素用のガスセンサ101fの各ガスセンサ101をガスセンサ101c、101d、101fと称する。また、図19及び図20のフローチャートで、図17と同様の処理については同一のステップ番号を付す。
まず、ユーザが呼気検査システムZの電源をONとする(図19のS101)ことにより、印加電極2に交流電圧が印加される(S102)。なお、印加される交流電圧は計測制御装置400の交流端子405から出力されるものである。
その後、被検者が呼気導入口に呼気を導入することで、呼気導入が開始される(S103)。
そして、水分測定処理部512が、水分検出素子1からの出力電圧Voの測定を開始することで水分測定が開始される(S104)。この際、水分測定処理部512は、時刻0から時刻t0までの電圧値を現在の出力電圧からオフセット値として差し引くことで出力電圧Voを算出するものとする。
【0082】
その後、水分測定処理部512は、水分検出素子1からの出力電圧Voが第1の閾値Vth1以上となったか否かを判定する(S111)。
ステップS111の結果、出力電圧Voが第1の閾値Vth1未満である場合(S111→No)、水分測定処理部512は呼気強度不足として、被検者に呼気導入を継続させる(S112)。そして、処理部511はステップS111に処理を戻す。
ステップS111の結果、出力電圧Voが第1の閾値Vth1以上である場合(S111→Yes)、ガス測定処理部513はガスセンサ101c,101d,101fからの出力測定(ガス測定)を開始する(S201)。
その後、水分測定処理部512は、水分検出素子1からの出力電圧Voが第2の閾値Vth2以上となったか否かを判定する(S113)。出力電圧Voが第2の閾値Vth2以上となったか否かの判定手法は、図17のステップS113と同様である。
【0083】
ステップS113の結果、出力電圧Voが第2の閾値Vth2未満である場合(S113→No)、呼気強度不足として、被検者に呼気導入を継続させる(S114)。そして、水分測定処理部512はステップS113に処理を戻す。
ステップS113の結果、出力電圧Voが第2の閾値Vth2以上である場合(S113→Yes)、水分測定処理部512は、呼気強度が十分であると判定し(S121)、処理部511は呼気導入を終了する(S122)とともに、ガス測定処理部513はガスセンサ101c,101d,101fからの出力測定(ガス測定)を終了する(S211)。
【0084】
その後、ガス測定処理部513は、ガスセンサ101c,101d,101fからの出力開始から出力終了までの出力曲線からガスセンサ101c,101d,101fの飽和出力信号(ガス飽和出力信号)を算出する(S221)。
さらに、ガス測定処理部513は、ステップS221で算出したアルコール、アセトアルデヒド及び水素の各ガス飽和出力信号を基に、差分進化法により飽和状態でのアルコール、アセトアルデヒド及び水素の各ガス濃度(飽和ガス濃度)を算出する(S222)。このように、複数の飽和ガス濃度を基に、差分進化法を用いて、あるガスの飽和ガス濃度を算出することで、精度の高い飽和ガス濃度を算出することができる。
【0085】
そして、判定処理部514は、ステップS222で算出した各飽和ガス濃度のうち、アルコールの飽和ガス濃度(アルコール濃度)が基準値以上であるか否かを判定する(図20のS223)。
ステップS223の結果、ステップS222で算出したアルコールの飽和ガス濃度(アルコール濃度)が基準値未満である場合(S223→No)、判定処理部514は、被検者が飲酒をしていないと判定する(S224)。
ステップS223の結果、ステップS222で算出したアルコールの飽和ガス濃度(アルコール濃度)が基準値以上である場合(S223→Yes)、判定処理部514は、被検者が飲酒をしていると判定する(S225)。
【0086】
図21は、ガスセンサが出力する出力信号の時間変化を示すグラフである。図21において、縦軸が出力信号(V)を示し、横軸は時間(sec)を示している。
図21における時刻t11は、図18における時刻t11である。すなわち、図21では、時刻t11において水分検出素子1からの出力電圧がVth1を超えたことを示している。そして、ガス測定処理部513は、水分検出素子1からの出力電圧がVth1を超えた時刻t11において、ガス測定を開始する(図19のステップS201)。なお、呼気導入の検知前にガスセンサ101が反応し始めているため、時刻t11は原点よりやや+側にある。
【0087】
そして、図21における時刻t12は、図18における時刻t12である。すなわち、図21では、時刻t12において出力信号がS1に到達し水分検出素子1からの出力電圧がVth2を超えたことを示している。そして、ガス測定処理部513は、時刻t12においてガス測定を終了すると(図19のS211)、ガス測定処理部513は、時刻t12の時点でのガスセンサ101からの出力信号S1を基に飽和出力信号S2を推測する。なお、ガスの出力信号は所定のトレンドで上昇していくので、時刻t11と、時刻t12と、出力信号S1と、から飽和出力信号S2を推測することができる。呼気導入開始から飽和出力信号S2の算出までの時間はおよそ3秒である。
【0088】
また、上記以外の方法として、以下のような手法が用いられてもよい。ガスセンサ101におけるセンサ部分の周囲には図示しないカバーが設けられていることが多い。このカバー内の空間が小さくなると、導入するガス量が少なくてもカバー内の空間が導入したガスと同じ濃度になる。すなわち、ガスセンサ101におけるカバー内空間のサイズが小さくなるにつれ、飽和するまでの時間が短くなる。従って、ガスセンサ101におけるカバー内空間のサイズが小さい場合、図21に示すように、出力信号S1から飽和出力信号S2を推測することなく、ガス測定処理部513は、飽和出力信号S2を直接取得するようにしてもよい。アルコール検知の場合、ガス測定処理部513は、呼気導入後、3〜5秒待機した後、測定対象であるアルコール用のガスセンサ101cの出力信号がピーク値に達した時に、アセトアルデヒド用のガスセンサ101d及び水素用のガスセンサ101fの出力信号を取得する。そして、ガス測定処理部513は、それぞれのガスセンサ101c,101d,101fから直接取得した飽和信号強度を基に、差分進化法をベースとした濃度計算により、アルコール、アセトアルデヒド及び水素の正確なガス飽和濃度を算出してもよい。
【0089】
なお、時刻t11から時刻t12までは1〜2秒程度である。すなわち、1〜2秒程度の測定でガス測定を行うことができ、大幅な時間短縮を可能とする。
このように、本実施形態の水分検出素子1を利用した呼気検査システムZによれば、大変短い時間にガス(例えば、アルコール)の検査を行うことができる。
【0090】
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0091】
また、前記した各構成、機能、各部411,511〜514、記憶装置505等は、それらの一部又はすべてを、例えば集積回路で設計すること等によりハードウェアで実現してもよい。また、図15及び図16で示すように、前記した各構成、機能等は、CPU等のプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、図14に示すようにHDD602に格納すること以外に、メモリや、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カードや、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に格納することができる。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0092】
1,1a〜1d,1C 水分検出素子(飽和水蒸気検出素子、飽和水蒸気検出部)
2,2a,112 印加電極(印加部)
3,3a,113 検出電極(出力部)
4,4a〜4d,114 絶縁部
5 交流電源
11 水分子
20a,20b 等価回路
21 水分子の等価回路
100,100a,100b 呼気センサ(ガス検出装置)
101,101a〜101f ガスセンサ(ガス測定部)
120 基板部
122 印加電極板
123 検出電極板
131 貫通孔
201,201a,201b 呼気検査装置
202a,202b 呼気導入口
203 表示部
211 ステアリングホイール
300 呼気検出装置
301a,301b A/D変換器
400 計測制御装置
403 入力装置
404 AC/ACインバータ回路
405 交流端子
406 AC/DCコンバータ回路
407 直流端子
500 解析装置
503 送受信装置
504 表示装置
511 処理部
512 水分測定処理部
513 ガス測定処理部
514 判定処理部
601 送信装置
602 記憶装置
C1,C2,Ca コンデンサ
Ra 抵抗
Z 呼気検査システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
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図21