特許第6625304号(P6625304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6625304
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】ガス絶縁母線
(51)【国際特許分類】
   H02G 5/06 20060101AFI20191216BHJP
【FI】
   H02G5/06 361Z
   H02G5/06 351B
   H02G5/06 351C
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-550256(P2019-550256)
(86)(22)【出願日】2019年4月25日
(86)【国際出願番号】JP2019017683
【審査請求日】2019年9月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】鍋倉 航平
(72)【発明者】
【氏名】中内 慎一朗
(72)【発明者】
【氏名】藤田 大輔
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−228568(JP,A)
【文献】 特開昭64−77411(JP,A)
【文献】 米国特許第5571990(US,A)
【文献】 特許第4436896(JP,B1)
【文献】 特開昭60−16112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 5/00−5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフランジを有し、絶縁ガスが封入される密閉空間を構成する第1の容器と、
前記第1のフランジに接合されている第2のフランジを有し、前記第1の容器とともに前記密閉空間を構成する第2の容器と、
前記密閉空間に収容された導体と、
前記密閉空間において前記導体を支持する絶縁支持体と、を備え、
前記第2のフランジの一部は、前記絶縁支持体が取り付けられている取付座を有する内フランジであって、
前記第2の容器のうち前記内フランジが設けられている部分に、前記導体の中心軸の側とは逆側へ張り出した張出部が設けられており、
前記絶縁支持体のうち前記取付座に取り付けられている端部の少なくとも一部は、前記張出部に入り込んでいることを特徴とするガス絶縁母線。
【請求項2】
前記導体が貫いており、かつ前記絶縁支持体に固定されている内部シールドを備え、
前記内部シールドは、前記第2の容器のうち前記中心軸の方向において前記張出部以外の部分に配置されており、
前記第1の容器と前記第2の容器とは、前記内部シールドが設けられている部分よりも内径が小さくされた部分を有することを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁母線。
【請求項3】
前記取付座は、前記第2の容器のうち前記張出部以外の部分における前記第2の容器の内面よりも前記中心軸の側へ突出していることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁母線。
【請求項4】
前記絶縁支持体の断面形状は、前記第2の容器の内径の方向において扁平した形状を呈することを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁母線。
【請求項5】
前記絶縁支持体のうち前記取付座に固定されている領域の少なくとも一部は、前記第2の容器のうち前記張出部以外の部分における前記第2の容器の内面よりも前記中心軸の側とは逆側にあることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁母線。
【請求項6】
前記取付座への前記絶縁支持体の固定のための部品は、前記第1のフランジと前記取付座と前記絶縁支持体との一体構造の中に埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁母線。
【請求項7】
前記絶縁支持体は、前記第2の容器のうち底部以外の位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁母線。
【請求項8】
前記第2の容器には、3つの前記絶縁支持体が設けられており、
3つの前記絶縁支持体の各々は、互いに等間隔で配置されていることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁母線。
【請求項9】
前記第2の容器には、2つの前記絶縁支持体が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁母線。
【請求項10】
前記第2の容器には、1つの前記絶縁支持体が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁母線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁ガスが封入される容器と容器内に収容された導体とを有するガス絶縁母線に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所または変電所といった電力設備において使用されるガス絶縁母線には、絶縁ガスが封入される密閉空間において導体を支持する絶縁支持体が設けられる。
【0003】
特許文献1には、導体が貫通している内部シールドを備え、絶縁支持体の一方の端部が内部シールドに固定されており、絶縁支持体の他方の端部が容器のうち円筒内面に取り付けられているガス絶縁母線が開示されている。特許文献1のガス絶縁母線において、絶縁支持体のうち容器に取り付けられる端部は、円筒内面から導体の側へ突出されている座に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4436896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されるように円筒内面に絶縁支持体が取り付けられる従来の絶縁ガス母線では、絶縁支持体の形状によって円筒全体の径が決定されていた。従来の絶縁ガス母線は、円筒全体が絶縁支持体を配置可能な内径をなして形成されることから、容器が大型になるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、容器の小型化を可能としたガス絶縁母線を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるガス絶縁母線は、第1のフランジを有し、絶縁ガスが封入される密閉空間を構成する第1の容器と、第1のフランジに接合されている第2のフランジを有し、第1の容器とともに密閉空間を構成する第2の容器と、密閉空間に収容された導体と、密閉空間において導体を支持する絶縁支持体と、を備える。第2のフランジの一部は、絶縁支持体が取り付けられている取付座を有する内フランジである。第2の容器のうち内フランジが設けられている部分に、導体の中心軸の側とは逆側へ張り出した張出部が設けられている。絶縁支持体のうち取付座に取り付けられている端部の少なくとも一部は、張出部に入り込んでいる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ガス絶縁母線は、容器の小型化が可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1にかかるガス絶縁母線の要部断面図
図2図1に示すII−II線におけるガス絶縁母線の断面図
図3図1に示すIII−III線におけるガス絶縁母線の断面図
図4】本発明の実施の形態2にかかるガス絶縁母線の要部断面図
図5図4に示すV−V線におけるガス絶縁母線の断面図
図6図4に示すVI−VI線におけるガス絶縁母線の断面図
図7】本発明の実施の形態3にかかるガス絶縁母線の要部断面図
図8図7に示すVIII−VIII線におけるガス絶縁母線の断面図
図9図7に示すIX−IX線におけるガス絶縁母線の断面図
図10】本発明の実施の形態4にかかるガス絶縁母線の要部断面図
図11図10に示すXI−XI線におけるガス絶縁母線の断面図
図12図10に示すXII−XII線におけるガス絶縁母線の断面図
図13】本発明の実施の形態5にかかるガス絶縁母線の要部断面図
図14図13に示すXIV−XIV線におけるガス絶縁母線の断面図
図15図13に示すXV−XV線におけるガス絶縁母線の断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態にかかるガス絶縁母線を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。以下に示す図面では、図面を見易くするために、断面により示す要素にハッチングを付さない場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかるガス絶縁母線の要部断面図である。図2は、図1に示すII−II線におけるガス絶縁母線の断面図である。図3は、図1に示すIII−III線におけるガス絶縁母線の断面図である。
【0012】
ガス絶縁母線10は、導体1と、互いに連結された複数の容器とを有する。複数の容器は、絶縁ガスが封入される密閉空間を構成する。絶縁ガスの一例には、SFガスが挙げられる。導体1は、密閉空間に収容されている。図1には、鉛直方向に平行かつ導体1の中心軸を含む縦断面を示している。以下の説明では、導体1の中心軸を、単に「中心軸」と称することがある。
【0013】
図1には、複数の容器のうち互いに連結された2つの容器2,3を示している。容器2と容器3とは互いに同軸に配置されている。導体1は、容器2および容器3の中心を貫いて配置されている。第1の容器である容器2は、第1のフランジ6を有する。第1のフランジ6は、容器2のうち中心軸の方向における1つの端に設けられている。第2の容器である容器3は、第1のフランジ6に接合された第2のフランジ7を有する。第2のフランジ7は、容器3のうち中心軸の方向における1つの端に設けられている。第1のフランジ6の全体は、外フランジである。第2のフランジ7のうちの一部は内フランジ7aである。第2のフランジ7のうち内フランジ7a以外の部分は外フランジである。図2には、第1のフランジ6と第2のフランジ7との間を通る断面であって、中心軸に垂直な断面を示している。
【0014】
ガス絶縁母線10は、容器3の内部に配置された金属製の内部シールド4と、容器3の内部に取り付けられた絶縁支持体5とを有する。内部シールド4は、電界の集中を緩和させる。導体1は、内部シールド4を貫いている。内部シールド4の外面は、中心軸を中心に回転対称な樽形を呈する。
【0015】
図1に示すように、絶縁支持体5は、曲げを有する長尺形状を呈する。内フランジ7aは、絶縁支持体5が取り付けられる取付座8を有する。絶縁支持体5の第1端部5aは、取付座8に固定されている。絶縁支持体5の第1端部5aには、埋金9が埋め込まれている。取付座8には、ねじが通されるねじ孔が設けられている。ねじ孔を通されたねじが埋金9へ締め込まれることによって、第1端部5aは、取付座8に固定される。埋金9およびねじは、取付座8への絶縁支持体5の固定のための部品である。
【0016】
内部シールド4は、絶縁支持体5の第2端部5bに固定されている。絶縁支持体5の第2端部5bにも、第1端部5aと同様に埋金が埋め込まれている。また、内部シールド4には、絶縁支持体5への取り付けのための取付座が設けられている。内部シールド4の取付座を通されたねじが埋金へ締め込まれることによって、内部シールド4は、第2端部5bに固定される。絶縁支持体5は、取付座8のうち第1端部5aが固定される部分から、内部シールド4のうち第2端部5bが固定される部分へ向けて曲げられている。
【0017】
第2のフランジ7のうち外フランジと内フランジ7aとには、ねじ孔12が設けられている。第1のフランジ6のうちねじ孔12に対応する位置には、ねじ孔が設けられている。第2のフランジ7のねじ孔12と第1のフランジ6のねじ孔とを通されたボルトへナットを締結させることにより、第1のフランジ6と第2のフランジ7とは互いに接合される。
【0018】
容器3のうち内フランジ7aが設けられている部分には、導体1の側とは逆側である外側へ張り出した張出部11が設けられている。容器3のうち張出部11以外の部分は、円筒形状を呈する。図1に示すように、内部シールド4は、容器3のうち円筒形状の部分に配置されている。すなわち、内部シールド4は、容器3のうち、中心軸の方向において張出部11以外の部分に配置されている。張出部11は、容器3のうち、内フランジ7aと、内部シールド4が設けられている円筒部分との間に形成されている。絶縁支持体5のうち第1端部5aは、張出部11に入り込んでいる。張出部11は、絶縁支持体5が配置されるスペースに合わせて容器3の内径を拡張させた部分である。張出部11における内径は、絶縁支持体5の形状によって決定される。図3には、張出部11と絶縁支持体5とを切断する断面であって、中心軸に垂直な断面を示している。
【0019】
円筒内面3aは、容器3のうち張出部11が設けられている部分以外の部分であって内部シールド4が設けられている部分における内面である。円筒内面3aにおける容器3の内径は、張出部11における内径よりも小さい。また、容器2の内径は、円筒内面3aにおける容器3の内径と同じである。このように、容器2の内径と、容器3のうち円筒部分の内径とは、張出部11における内径よりも小さい。
【0020】
図2および図3に示すように、容器3には、3つの絶縁支持体5が設けられている。3つの絶縁支持体5の各々は、中心軸を中心とする円の円周方向において等間隔で配置されている。3つの絶縁支持体5の各々は、互いに120度ずつ向きを異ならせて配置されている。3つの絶縁支持体5の各々が互いに等間隔で配置されていることによって、ガス絶縁母線10は、導体1を支持するための機械強度をバランス良く分散可能とし、導体1を安定して支持することができる。
【0021】
3つの取付座8のうちの1つは、導体1の鉛直上方に設けられている。かかる取付座8に設けられる絶縁支持体5は、導体1の鉛直上方に配置される。また、3つの取付座8のうち他の2つは、導体1の鉛直下方の位置、すなわち容器3内の底部以外に設けられている。かかる2つの取付座8のそれぞれに設けられる絶縁支持体5は、容器3内の底部以外の位置に配置される。容器3において、3つの内フランジ7aの各々が設けられている部分に、張出部11が設けられている。
【0022】
複数の容器が連結されることによって構成される構造物の内部において、3つの絶縁支持体5の組み合わせは、中心軸方向において一定の間隔で設けられている。かかる構造物の内部に配置されている各絶縁支持体5は、密閉空間において導体1を支持する。各絶縁支持体5は、図1から図3に示す絶縁支持体5と同様に、内フランジ7aの取付座8に取り付けられている。
【0023】
容器3に張出部11が設けられることによって、容器2,3のうち絶縁支持体5が配置される部分以外の部分は、張出部11よりも内径が縮小された円筒形状を呈する。このため、容器2,3の全体が、絶縁支持体5の形状によって決定される内径の円筒形状である場合に比べて、容器2,3は、小型化が可能となる。容器2,3の小型化によって、容器2,3の製造に要する材料の量が少なくなるため、容器2,3は、軽量化が可能となる。また、容器2,3の製造に要する材料の量が少なくなることで、容器2,3を製造する際における材料コストを低減することができる。
【0024】
取付座8と第1端部5aとは、密閉空間のうち張出部11に入り込んだ部分に配置されている。張出部11における内径が、円筒内面3aにおける容器3の内径よりも大きいことから、取付座8へ第1端部5aが固定されている位置は、円筒内面3aよりも外側の位置となる。すなわち、絶縁支持体5のうち取付座8に固定されている領域は、円筒内面3aよりも中心軸の側とは逆側にある。このため、ガス絶縁母線10は、絶縁支持体5のうち容器3に固定されている領域が円筒内面3aよりも中心軸側に突出している場合に比べて、密閉空間における電界の集中を抑制することができる。また、ガス絶縁母線10は、円筒内面3aよりも突出させた突出部を無くすことができることで、突出部における電界集中の緩和のためのシールドが不要となる。ガス絶縁母線10は、かかるシールドが不要であることで、部品点数を少なくすることができる。なお、ガス絶縁母線10は、絶縁支持体5のうち取付座8に固定されている領域のうちの少なくとも一部が、円筒内面3aよりも中心軸の側とは逆側にあれば良いものとする。これにより、ガス絶縁母線10は、電界の集中を抑制することができる。
【0025】
第1端部5aは、第1のフランジ6へ第2のフランジ7が接合されるよりも前に、取付座8に取り付けられる。第1のフランジ6には、取付座8に第1端部5aが取り付けられた状態の第2のフランジ7が接合される。第1のフランジ6に第2のフランジ7が接合されることによって、取付座8へ第1端部5aを固定する部品である埋金9およびねじは、第1のフランジ6と取付座8と第1端部5aとの一体構造の中に埋め込まれる。第1のフランジ6と取付座8とは、第1のフランジ6と第2のフランジ7とが互いに接合されることによって一体とされる。取付座8と第1端部5aとは、取付座8へ第1端部5aが固定されることによって一体とされる。
【0026】
取付座8への第1端部5aの固定のための部品が第1のフランジ6と取付座8と第1端部5aとの一体構造の中に埋め込まれているため、ガス絶縁母線10は、容器3における絶縁支持体5の固定のための部品を、密閉空間において露出させることなく配置することができる。ガス絶縁母線10は、絶縁支持体5の固定のための部品を露出させないことによって、密閉空間における電界の集中を抑制することができる。また、ガス絶縁母線10は、かかる部品における電界集中の緩和のためのシールドが不要となる。ガス絶縁母線10は、かかるシールドが不要であることで、部品点数を少なくすることができる。
【0027】
容器3内へ金属異物が入り込んだ場合に、金属異物は、円筒内面3aからなる底部に滞留する。また、導体1に電圧が印加されているときに生じる電界の影響によって、金属異物は、底部からの浮上を繰り返して底部を移動することがある。各絶縁支持体5が容器3内の底部以外の位置に配置されることによって、絶縁支持体5への金属異物の付着を抑制することができる。ガス絶縁母線10は、底部において円筒内面3aよりも突出させた絶縁物を無くすことができることで、底部において電界集中の緩和のためのシールドが不要となる。ガス絶縁母線10は、かかるシールドが不要であることで、部品点数を少なくすることができる。
【0028】
図3に示すように、絶縁支持体5の断面形状は、内径の方向において扁平した形状を呈する。絶縁支持体5を扁平させたことで、内径の方向において、絶縁支持体5の配置のために必要となるスペースを小さくすることができる。これにより、ガス絶縁母線10は、容器3の小型化が可能となる。また、絶縁支持体5の断面形状が、内径の方向とは垂直な方向において幅広な形状とされていることによって、絶縁支持体5は、導体1を強固に支持することができる。
【0029】
実施の形態1によると、ガス絶縁母線10は、容器3に、取付座8を有する内フランジ7aと張出部11とが設けられていることにより、容器2,3のうち張出部11が設けられている部分以外の部分の内径を小さくすることができる。これにより、ガス絶縁母線10は、容器2,3の小型化が可能となるという効果を奏する。
【0030】
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2にかかるガス絶縁母線の要部断面図である。図5は、図4に示すV−V線におけるガス絶縁母線の断面図である。図6は、図4に示すVI−VI線におけるガス絶縁母線の断面図である。実施の形態2にかかるガス絶縁母線20において、容器3には、2つの絶縁支持体5が設けられている。実施の形態2では、上記の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1とは異なる構成について主に説明する。図4には、鉛直方向に垂直かつ導体1の中心軸を含む横断面を示している。図5には、第1のフランジ6と第2のフランジ7との間を通る断面であって、中心軸に垂直な断面を示している。図6には、張出部11と絶縁支持体5とを切断する断面であって、中心軸に垂直な断面を示している。
【0031】
図5および図6に示すように、2つの絶縁支持体5の各々は、互いに180度向きを異ならせて配置されている。2つの取付座8は、導体1の側方の位置に配置される。絶縁支持体5は、導体1の側方の位置に配置される。実施の形態2においても、絶縁支持体5は、容器3の底部以外の位置に設けられている。容器3において、2つの内フランジ7aの各々が設けられている部分に、張出部11が設けられている。
【0032】
ガス絶縁母線20は、底部において円筒内面3aよりも突出させた絶縁物を無くせることで、電界集中の緩和のためのシールドが不要となる。ガス絶縁母線20は、かかるシールドが不要であることで、部品点数を少なくすることができる。なお、2つの絶縁支持体5の位置は、容器3の底部以外の位置であれば良く、導体1の側方の位置以外の位置であっても良い。また、2つの絶縁支持体5の各々は、互いに180度以外の角度で向きを異ならせて配置されていても良い。
【0033】
実施の形態2において、ガス絶縁母線20は、実施の形態1と同様に、容器2,3の小型化が可能となる。また、ガス絶縁母線20は、実施の形態1の場合よりも絶縁支持体5の数が少ないことにより、部品点数を少なくすることができる。ガス絶縁母線20は、部品点数が少なくなることによって、製造コストを低減することができる。実施の形態1にかかるガス絶縁母線10は、実施の形態2にかかるガス絶縁母線20と比べて多くの絶縁支持体5が設けられていることによって、実施の形態2の場合に比べて導体1を強固に支持することができる。
【0034】
実施の形態3.
図7は、本発明の実施の形態3にかかるガス絶縁母線の要部断面図である。図8は、図7に示すVIII−VIII線におけるガス絶縁母線の断面図である。図9は、図7に示すIX−IX線におけるガス絶縁母線の断面図である。実施の形態3にかかるガス絶縁母線30において、容器3には、1つの絶縁支持体5が設けられている。実施の形態3では、上記の実施の形態1および2と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1および2とは異なる構成について主に説明する。図7には、鉛直方向に平行かつ導体1の中心軸を含む縦断面を示している。図8には、第1のフランジ6と第2のフランジ7との間を通る断面であって、中心軸に垂直な断面を示している。図9には、張出部11と絶縁支持体5とを切断する断面であって、中心軸に垂直な断面を示している。
【0035】
取付座8は、導体1の鉛直上方に設けられている。絶縁支持体5は、導体1の鉛直上方に配置される。実施の形態3においても、絶縁支持体5は、容器3の底部以外の位置に設けられている。容器3において、内フランジ7aが設けられている部分に、張出部11が設けられている。ガス絶縁母線30は、底部において円筒内面3aよりも突出させた絶縁物を無くすことができることで、電界集中の緩和のためのシールドが不要となる。ガス絶縁母線30は、かかるシールドが不要であることで、部品点数を少なくすることができる。
【0036】
実施の形態3において、ガス絶縁母線30は、実施の形態1および2と同様に、容器2,3の小型化が可能となる。また、ガス絶縁母線30は、実施の形態1および2の場合よりも絶縁支持体5の数が少ないことにより、部品点数を少なくすることができる。ガス絶縁母線30は、部品点数が少なくなることによって、製造コストを低減することができる。実施の形態1および2にかかるガス絶縁母線10,20は、実施の形態3にかかるガス絶縁母線30と比べて多くの絶縁支持体5が設けられていることによって、実施の形態3の場合に比べて導体1を強固に支持することができる。
【0037】
実施の形態4.
図10は、本発明の実施の形態4にかかるガス絶縁母線の要部断面図である。図11は、図10に示すXI−XI線におけるガス絶縁母線の断面図である。図12は、図10に示すXII−XII線におけるガス絶縁母線の断面図である。実施の形態4にかかるガス絶縁母線40は、容器2と容器3とに、内部シールド4が設けられている円筒部分よりも内径が小さくされた円筒部分41,42を有する。実施の形態4では、上記の実施の形態1から3と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から3とは異なる構成について主に説明する。図10には、鉛直方向に平行かつ導体1の中心軸を含む縦断面を示している。図11には、第1のフランジ6と第2のフランジ7との間を通る断面であって、中心軸に垂直な断面を示している。図12には、張出部11と絶縁支持体5とを切断する断面であって、中心軸に垂直な断面を示している。
【0038】
容器3において、円筒部分42は、内部シールド4が設けられている円筒部分よりも、第2のフランジ7の側とは逆側に設けられている。円筒部分42には、導体1が設けられている。円筒部分42は、容器3の中で内径が最小である部分である。円筒部分42における内径が小さくされることによって、円筒部分42における円筒内面3aと導体1との間隔が、内部シールド4が設けられている円筒部分における円筒内面3aと内部シールド4との間隔と同程度とされている。これにより、ガス絶縁母線40は、導体1と容器3との絶縁を確保しつつ、容器3をさらに小型化することができる。
【0039】
容器2のうち、第1のフランジ6が設けられている部分の内径は、容器3のうち内部シールド4が設けられている円筒部分の内径と同じである。円筒部分41は、内部シールド4が設けられている円筒部分の内径と同じ内径の円筒部分よりも、第1のフランジ6の側とは逆側に設けられている。円筒部分41には、導体1が設けられている。円筒部分41は、容器2の中で内径が最小である部分である。
【0040】
円筒部分41における内径が小さくされることによって、円筒部分41における円筒内面2aと導体1との間隔が、内部シールド4が設けられている円筒部分における円筒内面3aと内部シールド4との間隔と同程度とされている。これにより、ガス絶縁母線40は、導体1と容器2との絶縁を確保しつつ、容器2をさらに小型化することができる。
【0041】
第1のフランジ6と円筒部分41との間に、内部シールド4が設けられている円筒部分の内径と同じ内径の円筒部分が設けられていることにより、容器2では、第1のフランジ6と円筒部分41との間における内径の急峻な変化が緩和されている。ガス絶縁母線40は、容器2における内径の急峻な変化が緩和されていることにより、電界の集中を抑制することができる。なお、容器3に設けられる絶縁支持体5は、3つである以外に、2つあるいは1つであっても良い。
【0042】
実施の形態4によると、ガス絶縁母線40は、実施の形態1と同様に、容器2,3の小型化が可能となる。さらに、ガス絶縁母線40は、容器2と容器3とに、内部シールド4が設けられている部分よりも内径が小さくされた円筒部分41,42が設けられている。これにより、ガス絶縁母線40は、導体1と容器2,3との絶縁を確保しつつ、容器2,3をさらに小型化することができる。
【0043】
実施の形態5.
図13は、本発明の実施の形態5にかかるガス絶縁母線の要部断面図である。図14は、図13に示すXIV−XIV線におけるガス絶縁母線の断面図である。図15は、図13に示すXV−XV線におけるガス絶縁母線の断面図である。実施の形態5にかかるガス絶縁母線50に設けられている取付座51は、容器3のうち張出部11以外の部分における円筒内面3aよりも導体1の側へ突出している。実施の形態5では、上記の実施の形態1から4と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から4とは異なる構成について主に説明する。図13には、鉛直方向に平行かつ導体1の中心軸を含む縦断面を示している。図14には、第1のフランジ6と第2のフランジ7との間を通る断面であって、中心軸に垂直な断面を示している。図15には、容器2における断面であって、中心軸に垂直な断面を示している。
【0044】
図13および図15に示すように、容器2内に金属異物52が入り込んだ場合に、金属異物52は、容器2における円筒内面2aからなる底部に滞留する。また、導体1に電圧が印加されているときに生じる電界の影響によって、金属異物52は、底部からの浮上を繰り返して底部を移動することがある。容器2から容器3へ向かって金属異物52が移動した場合に、金属異物52の移動は、取付座51において遮られる。このように、ガス絶縁母線50は、円筒内面3aよりも導体1の側へ突出している取付座51が設けられていることによって、絶縁支持体5への金属異物52の付着を防ぐことができる。なお、容器3に設けられる絶縁支持体5は、3つである以外に、2つあるいは1つであっても良い。また、容器2,3には、実施の形態4と同様に、内部シールド4が設けられている円筒部分よりも内径が小さくされた円筒部分41,42が設けられていても良い。
【0045】
実施の形態5によると、ガス絶縁母線50は、実施の形態1と同様に、容器2,3の小型化が可能となる。さらに、ガス絶縁母線50は、円筒内面3aよりも導体1の側へ突出された取付座51が設けられていることにより、絶縁支持体5への金属異物52の付着を防ぐことができる。
【0046】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 導体、2,3 容器、2a,3a 円筒内面、4 内部シールド、5 絶縁支持体、5a 第1端部、5b 第2端部、6 第1のフランジ、7 第2のフランジ、7a 内フランジ、8,51 取付座、9 埋金、10,20,30,40,50 ガス絶縁母線、11 張出部、12 ねじ孔、41,42 円筒部分、52 金属異物。
【要約】
ガス絶縁母線(10)は、第1のフランジ(6)を有し、絶縁ガスが封入される密閉空間を構成する第1の容器である容器(2)と、第1のフランジ(6)に接合されている第2のフランジ(7)を有し、第1の容器とともに密閉空間を構成する第2の容器である容器(3)と、密閉空間に収容された導体(1)と、密閉空間において導体(1)を支持する絶縁支持体(5)と、を備える。第2のフランジ(7)の一部は、絶縁支持体(5)が取り付けられている取付座(8)を有する内フランジ(7a)である。第2の容器のうち内フランジ(7a)が設けられている部分に、導体(1)の中心軸の側とは逆側へ張り出した張出部(11)が設けられている。
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