特許第6625315号(P6625315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6625315
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】ターボ機械のブレードアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/28 20060101AFI20191216BHJP
【FI】
   F01D5/28
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-16276(P2014-16276)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-202207(P2014-202207A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2017年1月25日
(31)【優先権主張番号】13/856,303
(32)【優先日】2013年4月3日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・ホセ・ガルシア−クレスポ
【審査官】 中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−514155(JP,A)
【文献】 特開2005−240797(JP,A)
【文献】 特開平11−159345(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0127217(US,A1)
【文献】 特公昭45−003841(JP,B1)
【文献】 実開平03−037204(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/28
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口の無い外部表面を有するブレード部分と、シャンク部分と、取り付け部分とを備えるブレードと、
前記シャンク部分、および前記取り付け部分の周りに配置されたプラットフォームアーチと、
を備えたターボ機械ブレードアセンブリを備えており、
前記ブレード部分、前記シャンク部分及び、前記取り付け部分は、前記ブレード部分の先端から前記取り付け部分の底部まで延長する第1の複数の層を備え、
前記ブレード部分が、前記ターボ機械ブレードアセンブリのシャンク空洞からの加圧されたフローを含むように構成されたブレード空洞を備え、
前記プラットフォームアーチは、第1及び第2のダブテール部分とプラットフォーム表面とを備え、
前記第1及び第2のダブテール部分が前記プラットフォーム表面から前記ターボ機械ブレードアセンブリを備えるターボ機械の半径方向の反対方向に延び、前記取り付け部分に接し、
前記プラットフォームアーチが第2の複数の層を備えている、システム。
【請求項2】
前記第1の複数の層のそれぞれが、第1のセラミックマトリックス材料の全体に分布する第1の複数のセラミックファイバを備え、前記第2の複数の層のそれぞれが、第2のセラミックマトリックス材料の全体に分布する第2の複数のセラミックファイバを備えている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の複数のセラミックファイバが、前記第1の複数の層のそれぞれの軸に沿った向きを有している、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記ターボ機械ブレードアセンブリが、前記ブレード部分と前記シャンク部分との外側表面上に配置された少なくとも1つのシャンクアーチを備えており、前記シャンクアーチは第3の複数の層を備え、前記第3の複数の層のそれぞれは、第3のセラミックマトリックス材料の全体に分布する第3の複数のセラミックファイバを備えている、請求項2記載のシステム。
【請求項5】
前記第1及び第2のダブテール部分に接する第3及び第4のダブテール部分を有する第1及び第2のエンゼルウィングを備える、請求項1乃至4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記シャンク部分が、前記ブレード空洞と前記シャンク空洞とを流体的に結合する加圧ポートを備えている、請求項1乃至5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
第1のターボ機械ブレードであって、
開口の無い外部表面と、中空の空洞を備えたブレード部分と、
前記中空の空洞に流体的に結合された加圧ポートを備えたシャンク部分と、
前記第1のターボ機械ブレードをロータに結合するように構成された取り付け部分と
前記シャンク部分の周りに配置されたプラットフォーム表面を備えるプラットフォームアーチと、
を備えている第1のターボ機械ブレード
を備え、
前記第1のターボ機械ブレードは、前記ブレード部分の先端から前記取り付け部分の底部まで延長する第1の複数の層を備え、
前記ブレード部分が、前記第1のターボ機械ブレードのシャンク空洞からの加圧されたフローを含むように構成されたブレード空洞を備えるシステム。
【請求項8】
前記加圧ポートが、前記中空の空洞から前記第1のターボ機械ブレードのシャンク空洞まで延長する、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のターボ機械ブレードと隣接して配置された第2のターボ機械ブレードと、前記第1のターボ機械ブレードと前記第2のターボ機械ブレードとの間に配置された複数の封着ピンと、を備え、前記プラットフォームアーチは、少なくとも1つの封着ピンを支持する溝を含んでいる、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の封着ピンが、前記第1のターボ機械ブレードの軸方向に関して、少なくとも1つの垂直封着ピンと少なくとも1つの水平封着ピンとを備えている、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記第1のターボ機械ブレードが、前記プラットフォーム表面に配置されたプラットフォームを備えている、請求項7乃至10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記ブレード部分、前記シャンク部分、および前記取り付け部分が第1の複数の層を備え、前記プラットフォームアーチが第2の複数の層を備え、かつ前記プラットフォームが第3の複数の層を備えている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
ターボ機械ブレードアセンブリであって、
開口の無い外部表面を有するエアフォイル部分と、シャンク部分と、ダブテール部分とを備え、第1の複数の層を備えている第1の部分と、
前記第1の部分の回りに配置されたプラットフォームアーチを備えており、前記プラットフォームアーチが第2の複数の層を備えている第2の部分と、
前記プラットフォームアーチに隣接して配置された複数のエンゼルウィングを備えており、前記複数のエンゼルウィングが第3の複数の層を備えている第3の部分と、
前記エアフォイル部分と前記プラットフォームアーチとの上に延長するフィレット部分を備えており、前記フィレット部分が第4の複数の層を備えている第4の部分と
を備えており、
前記エアフォイル部分が、前記ターボ機械ブレードアセンブリのシャンク空洞からの加圧されたフローを含むように構成されたブレード空洞を備える、ターボ機械ブレードアセンブリ。
【請求項14】
前記第1、第2、第3、および第4の複数の層のそれぞれが、セラミックマトリックス材料の全体に分布する複数のセラミックファイバを備えている、請求項13に記載のターボ機械ブレードアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示されている主題は、ターボ機械に関し、更に詳しくは、ターボ機械ブレードを製造して用いるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械は、コンプレッサとタービンとを含む。タービンには、ガスタービン、蒸気タービン、ジェットエンジン、およびハイドロタービンなどがある。一般に、ターボ機械はロータを含むが、ロータはシャフトまたはドラムであり、これらがターボ機械ブレードを支持する。例えば、ターボ機械ブレードは、取り付けセグメントによりロータに付着されることがあり、取り付けセグメントは、ロータにおけるスロットに嵌合する。更に、ターボ機械のブレードは、プラットフォーム、シール、回転防止装置、シャンク、およびそれ以外のコンポーネントなど、他のコンポーネントを含むことがある。残念なことに、ターボ機械のブレードは、温度上昇や応力の影響を受けやすい材料から形成される場合があり、それによって、早期の摩耗および劣化が生じることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
元々の特許請求の範囲に記載された発明と範囲が一致するいくつかの実施形態が、以下にまとめられている。これらの実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明の範囲を限定することを意図するものではなく、むしろ、これらの実施形態は、本発明の可能性のある諸形式の簡単な概要を提供することだけを意図するものである。実際、本発明は、以下で述べる複数の実施形態と類似するまたはそれらと異なる様々な形式を含みうる。
【0004】
第1の実施形態では、システムが、ブレード部分とシャンク部分と取り付け部分とを有するターボ機械ブレードアセンブリを含み、ブレード部分、シャンク部分、および取り付け部分は、ブレード部分の先端から取り付け部分の底部まで延長する第1の複数の重なりから構成されている。
【0005】
第2の実施形態では、システムは第1のターボ機械ブレードを含んでおり、第1のターボ機械ブレードが、中空の空洞を含むブレード部分と、中空の空洞に流体的に結合された加圧ポートを含むシャンク部分と、この第1のターボ機械ブレードをロータに結合するように構成されている取り付け部分とを有する。
【0006】
第3の実施形態では、ターボ機械ブレードアセンブリは、第1の部分と、第2の部分と、第3の部分と、第4の部分とを備えている。第1の部分は、エアフォイル部分と、シャンク部分と、ダブテール部分とを含んでおり、この第1の部分は、第1の複数の重なりで構成されている。第2の部分は、第1の部分の周囲に配置されているプラットフォームアーチを含んでおり、このプラットフォームアーチは、第2の複数の重なりで構成されている。第3の部分は、プラットフォームアーチに隣接して配置されている複数のエンゼルウィングを含んでおり、これら複数のエンゼルウィングは第3の複数の重なりで構成されている。第4の部分は、エアフォイル部分とプラットフォームアーチとの上に延長するフィレット部分を含んでおり、このフィレット部分は第4の複数の重なりを含み、第1、第2、第3、および第4の複数の重なりは、相互に積層されて、単一の部材が形成される。
【0007】
本発明のこれらのおよびそれ以外の特徴、態様、および効果は、後続する詳細な説明を添付の図面を参照して読むことで、よりよく理解されるであろう。なお、添付の図面においては、図面の全体を通じて、類似の参照記号は類似の部材を表す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ガスタービンシステムと蒸気タービンと廃熱回収蒸気発生(HRSG)システムとを有するコンバインドサイクル発電システムのある実施形態の概略である。
図2】ターボ機械の部分的な軸方向断面図であり、本開示の実施形態による、取り付けセグメントを有し軸方向に取り付けられたターボ機械ブレードを図解している。
図3】ターボ機械の部分的な軸方向断面図であり、本開示の実施形態による、取り付けセグメントを有し軸方向に取り付けられたターボ機械ブレードを図解している。
図4】本開示の実施形態によるターボ機械ブレードアセンブリの分解斜視図である。
図5】本開示の実施形態によるターボ機械ブレードの断面である。
図6】ターボ機械ブレードアセンブリのコンポーネントを形成するのに用いられる複数の積層の材料組成を図解している概略図である。
図7】ターボ機械ブレードアセンブリを組み立てるプロセスのステップを図解している、部分的なターボ機械ブレードアセンブリの斜視図である。
図8】ターボ機械ブレードアセンブリを組み立てるプロセスのステップを図解している、部分的なターボ機械ブレードアセンブリの斜視図である。
図9】ターボ機械ブレードアセンブリを組み立てるプロセスのステップを図解している、部分的なターボ機械ブレードアセンブリの斜視図である。
図10】ターボ機械ブレードアセンブリを組み立てるプロセスのステップを図解している、部分的なターボ機械ブレードアセンブリの斜視図である。
図11】ターボ機械ブレードアセンブリを組み立てるプロセスのステップを図解している、部分的なターボ機械ブレードアセンブリの斜視図である。
図12】ターボ機械ブレードアセンブリを組み立てるプロセスのステップを図解している、部分的なターボ機械ブレードアセンブリの斜視図である。
図13】ターボ機械ブレードアセンブリを組み立てるプロセスのステップを図解している、部分的なターボ機械ブレードアセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の1つまたは複数の特定の実施形態について、以下で説明する。これらの実施形態の簡明な説明を提供しようとするため、実際の実装例の特徴のすべてを、この明細書で説明することはできない。そのような実際の実装例の開発においては、どんな場合でも、すべての工学的または設計上のプロジェクトにおけるように、実装例ごとに変動する可能性があるシステム関連のおよび業務関連の制約に従うことなど、開発者の特定の目標を達成するために、実装例に特有の多数の決定を行わなければならないことを理解すべきである。更に、そのような開発上の試みは複雑であると共に時間を要するものではあるが、本開示を参照することができる当業者にとっては、設計、作成、および製造に関する日常的な行為であることも理解すべきである。
【0010】
本発明の様々な実施形態の要素を導入する際には、「a」、「an」、「the」、および「said」などの冠詞は、これらの要素が1つまたは複数存在していることを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」などの語は、非排他的であり、かつ列挙された構成要素以外の追加的な要素が存在しうることを意味することを意図している。
【0011】
開示されている実施形態は、改良されたターボ機械ブレードアセンブリと、その改良されたターボ機械ブレードアセンブリを形成するプロセスまたは方法とを含む。更に詳しくは、ある実施形態は、そのターボ機械ブレードアセンブリの1つまたは複数のコンポーネントが、複数の連続的で繊維強化された重なりまたは層から形成されているターボ機械ブレードアセンブリを含む。以下で詳細に説明されるように、このターボ機械ブレードアセンブリおよび/またはターボ機械ブレードアセンブリのコンポーネントは、複数の連続的で繊維強化された重なりまたは層をモールドの中に配置することによって形成され、次に、これらの重なりまたは層を、ツーリングプロセス、機械加工プロセス、化学プロセス、冶金プロセス、またはこれらの組み合わせを用いて、相互に積層化することができる。例えば、ターボ機械ブレードアセンブリは、それぞれが、セラミックベースの複合材料またはそれ以外の複合材料(例えば、マトリックス材料の全体にファイバが分布している材料)など、複合材料の積層による単一の部材として形成することができる。例えば、セラミックベースの複合材料は、このマトリックス材の全体に分散しているセラミックファイバ(例えば、シリコンカーバイド、炭素、または酸化物のファイバ)を備えたセラミックマトリックス材(例えば、シリコンカーバイドまたはシリコン酸化物のマトリックス)を含みうる。結果的に、このターボ機械ブレードアセンブリは、冷却なしで、温度の上昇に耐えることができる。
【0012】
更に、ある実施形態では、ターボ機械ブレードアセンブリは、中空のブレード部分(例えば、中空のエアフォイル)を含むことがある。例えば、中空のエアフォイルは、エアフォイルの中空の内部をターボ機械のシャンク空洞に接続する経路またはポートを含みうる。このようにして、シャンク空洞の内部にある加圧フロー(例えば、空気フロー)は、ターボ機械ブレードのエアフォイルの中空の内部に流れることができる。それぞれのターボ機械ブレードアセンブリのエアフォイルの中空の内部は加圧されているために、ターボ機械ブレードアセンブリを、外部の物体による損傷や衝撃に起因する劣化から保護することができる。更に、シャンク空洞内部のフローとエアフォイルの中空の内部との加圧を維持するために、ターボ機械ブレードの間に封着ピンを設けて、加圧フローがシャンク空洞から周囲の大気に漏れることを防止できる。以下で開示される実施形態はタービン(例えば、蒸気、水、またはガスタービン)のコンテキストにおいて説明されるが、開示されるターボ機械ブレードアセンブリは、コンプレッサやポンプなど他のターボ機械と共に用いることが可能である。
【0013】
ここで図面を参照すると、図1は、改良型のターボ機械ブレードアセンブリと共に設置される様々なターボ機械を有するコンバインドサイクルシステム10の実施形態に関する概略的なブロック図である。特に、このターボ機械はターボ機械ブレードアセンブリを含むが、このターボ機械ブレードアセンブリは、セラミックベースの複合材などの材料の複数の重なりまたは層から形成することができる。例えば、材料のこれら複数の重なりまたは層は、相互に積層させることが可能である。ある実施形態では、それぞれのターボ機械ブレードアセンブリは、ブレード部分(例えば、エアフォイル)、プラットフォーム、取り付け部分(ダブテール接合部)など複数のコンポーネントを含みうる。これらのコンポーネントの一部または全部は、材料の複数の積層された重なりまたは層から形成することができる。示されているように、コンバインドサイクルシステム10は、コンプレッサ12を有するガスタービンシステム11と、燃料ノズル16を有する燃焼器14と、ガスタービン18とを含む。燃料ノズル16は、天然ガスまたは合成ガスなどの液体燃料および/または気体燃料を燃焼器14に導く。燃焼器14は、燃料−空気の混合物に点火して燃焼させ、次に、高温の加圧された燃料ガス20(例えば、排気)をガスタービン18の中に送る。図解されているように、タービンブレード22(例えば、ターボ機械ブレードアセンブリ)はロータ24に結合されており、ロータ24は更にコンバインドサイクルシステム10の全体にわたる複数の他のコンポーネントに結合されている。例えば、タービンブレード22は、詳細に後述するように、複数の積層された重なりまたは層から形成された改良型のタービンブレード22でありうる。燃焼ガス20がガスタービン18におけるタービンブレード22を通過すると、ガスタービン18が駆動されて回転を生じ、それによって、ロータ24が回転軸25に沿って回転する。最終的には、燃焼ガス20が排気口26(例えば、排気ダクト、排気スタック、サイレンサなど)経由でガスタービン18の外に排出される。
【0014】
図解されている実施形態では、コンプレッサ12は、コンプレッサブレード28を含む。コンプレッサ12内部のコンプレッサブレード28は、またロータ24に結合されており、後述するように、ガスタービン18によってロータ24が駆動され回転を生じると、回転する。更に、コンプレッサブレード22もまた、複数の積層された重なりまたは層から形成することができる。コンプレッサブレード28は、コンプレッサ12の内部で回転するときに、空気取り入れ口からの空気を圧縮空気30に圧縮するが、この圧縮空気30は、燃焼器14、燃料ノズル16、およびコンバインドサイクルシステム10のそれ以外の部分に送られる。燃料ノズル16は、すると、加圧空気と燃料とを混合して適切な燃料−空気混合物を生じさせ、この混合物が燃焼器14において燃焼し、燃焼ガス20を発生して、タービン18を駆動する。更に、ロータ24は、第1の負荷31に結合されている場合もあり、第1の負荷はロータ24の回転を介して動力を供給されうる。例えば、第1の負荷31は、発電プラントまたは外部の機械的負荷など、コンバインドサイクルシステム10の回転出力を経由して発電を行うことができる任意の適切なデバイスでありうる。例えば、第1の負荷31は、発電機、航空機のプロペラなどを含みうる。
【0015】
システム10は、また、(例えば、シャフト27の回転を介して)第2の負荷23を駆動する蒸気タービン21を含む。第2の負荷23は、また、電力を発生する発電機でもありうる。しかし、第1および第2の両方の負荷31および23は、ガスタービンシステム11および蒸気タービン21によって駆動することが可能な他のタイプの負荷でもよい。更に、ガスタービンシステム11および蒸気タービン21は図解されている実施形態では別々の負荷(例えば、第1および第2の負荷31および23)を駆動するが、ガスタービンシステム11と蒸気タービン23とを直列で用いて、単一のシャフト経由で単一の負荷を駆動することも可能である。
【0016】
システム10は、更に、HRSGシステム35を含む。タービン18からの加熱された排気ガス29は、HRSGシステム35に移動され、水を加熱して、蒸気タービン21に動力を与えるのに用いられる蒸気33を生じさせる。理解されるように、HRSGシステム35は、様々なエコノマイザ、復水器、蒸発器、ヒータなどを含み、蒸気タービン21に動力を与えるのに用いられる蒸気33を発生させ加熱する。HRSGシステム35によって生じる蒸気33は、蒸気タービン21のタービンブレードを通過する。蒸気33が蒸気タービン21における複数の積層された重なりや層から形成されているタービンブレードを通過すると、蒸気タービン21は駆動されて回転を生じ、それにより、シャフト27が回転し、よって、第2の負荷23に動力が与えられる。
【0017】
以下の議論では、様々な方向または軸への言及がなされる場合がある。例えば、軸25に沿った軸方向32、軸25から遠ざかる半径方向34、および蒸気タービン21の軸25を中心とする円周方向36、などである。更に、既に言及したように、後述する改良型のターボ機械ブレードは様々なターボ機械(例えば、コンプレッサ12、ガスタービン18、または蒸気タービン21)の内の任意のものと共に用いることが可能であるが、以下の議論では、タービン18(例えば、ガスタービン)のコンテキストにおける改良型ターボ機械ブレードについて述べる。
【0018】
図2は、ロータ24に結合されたタービンブレード22を備えたタービン18の部分的な軸方向32断面図である。図解されている実施形態では、タービンブレード22はそれぞれが、複数のコンポーネントを含んでおり、それらのコンポーネントは、詳細に後述するように、複数の積層された重なりまたは層から形成することができる。例えば、それぞれのタービンブレード22は、ブレード部分50(例えば、エアフォイル)、プラットフォーム52、および取り付け挿入部分56(例えば、ダブテール接合部、取り付けセグメント部分、またはダブテール挿入)を含みうる。特に、それぞれのタービンブレード22のダブテール56は、ロータ24の外側表面60に形成されている軸方向または円周方向スロットなどの溝またはスロット58と係合するように構成されている。例えば、ダブテール56は、ロータ24に形成された第2のダブテール部分またはダブテールスロットと係合することができる。ある実施形態では、スロット58は、ロータ24を完全に包囲する(例えば、一周する)円周方向36に延長する場合がある。別の実施形態では、ロータ24が、ロータ24の周りの円周方向36に、相互に離間した複数の軸方向スロット58を含む場合がある。図解された実施形態は、ロータ24に結合された単一段60のタービンブレード22を示している。ここで用いている「一段」のタービンブレード22とは、ロータ24に沿ったある軸方向32の位置においてロータ24の周囲の円周方向36に延長するタービンブレード22を指す。更に、既に述べたように、図解されている実施形態におけるタービンブレード22は、スロット58において軸方向32に取り付けられている(例えば、ダブテール56によって)。換言すると、ロータ24におけるスロット58は、ロータ24に沿って軸方向32に延長している。理解されるように、それぞれの対応するタービンブレード22のダブテール56は、ダブテール56をスロット58の内の1つの中に軸方向32に挿入することによって、ロータ24に結合されうる。
【0019】
既に述べたように、それぞれのタービンブレード22は、エアフォイル50、プラットフォーム52、およびダブテール56を含みうる。エアフォイル50はブレード22のブレード部分を形成し、他方で、プラットフォーム54、ダブテール56、および後述するタービンブレード22のそれ以外のコンポーネントが、ブレード22のベース部分または取り付け部分を画定する。後述するように、それぞれのタービンブレード22は、複数の積層された層(例えば、重なり)から、単一の部材として形成することができる。更に詳しくは、タービンブレード22のコンポーネント(例えば、エアフォイル50、プラットフォーム52、ダブテール56など)は、それぞれが、複数の積層された重なりまたは層から形成することができる。また、タービンブレード22のコンポーネント(例えば、エアフォイル50、プラットフォーム52、ダブテール56など)は、それぞれを相互に結合しまたは積層することにより、単一の部材であるタービンブレード22を形成することができる。更に、それぞれの積層された層は、セラミックマトリックス複合材料などの複合材料で構成することができ、マトリックス材(例えば、シリコンカーバイドまたは酸化物マトリックスなどのセラミックマトリックス材)に埋め込まれた複数のファイバ(例えば、シリコンカーバイド、酸化物、またはカーボンファイバなどのセラミックファイバ)を有することがある。特に、ある実施形態では、それぞれの層または重なり(図6を参照のこと)のセラミックマトリックス複合材料の全体に分散しているセラミックファイバの量は、ほぼ同一でありうる。他の実施形態では、層のセラミックマトリックス複合材料の全体に分散している複数のセラミックファイバは、その層または重なりから形成されているコンポーネントに作用する振動性負荷に対する耐性を増加または減少させるように変動することがありうる。理解されるように、複合材料は、金属材料よりも、更なる高温に耐えることができ、更に長い寿命を有する。更に、複合材料は、金属材料ほどには、冷却を必要としない場合がある。更に、複合材料は、より軽量であることがあり、それにより、タービン18の応答性を改善することが可能になりうる。
【0020】
更に、図解されている実施形態では、封着ピン70が、タービンブレード22のそれぞれの間に配置されている。更に詳しくは、水平封着ピン72と垂直封着ピン74とが、タービンブレード22のそれぞれの間に配置されている。例えば、封着ピン70は、隣接するタービンブレード22の対応するプラットフォーム、プラットフォームアーチ、エンゼルウィング、またはそれ以外のコンポーネントの間に配置されることがありうる。ある実施形態では、タービンブレード22の1つまたは複数のコンポーネントが、封着ピン70を受け取り束縛するように構成されている溝75を含むことがある。このようにして、封着ピン70は、シャンク空洞76を、それぞれのタービンブレード22のプラットフォーム52の下に封着することができる。例えば、溝75は、機械加工プロセスによって形成することができるし、または、溝75は、溝75の周りに層または重なりを配置して溝75を形成することによって、形成することができる。理解されるように、シャンク空洞76は、コンプレッサ12、燃焼器14、またはコンバインドサイクルシステム10のそれ以外のコンポーネントによって供給されうる加圧流体(例えば、空気、窒素、CO2など)で充填することができる。例えば、この加圧流体は、ロータ24内部でのパージフローとなりうる。後述する態様で、加圧流体は、それぞれのタービンブレード22のエアフォイル50のエアフォイル空洞に露出されうる。こうして加圧流体がタービンブレード22の内部に圧力を加えることにより、タービンブレード22の弾力性を向上させ、タービン18を通過して移動する破片やそれ以外の外部の物体からの衝撃に対するタービンブレード22の耐性を増加させる。
【0021】
図3は、ロータ24に結合されたタービンブレード22を備えたタービン18の部分的な軸方向断面図であり、それぞれのタービンブレード22が、それぞれのタービンブレード22のプラットフォーム52の下側にあるシャンク空洞76に露出されている様子が図解されている。特に、この図解されている実施形態では、それぞれのタービンブレード22のエアフォイル50が中空であることにより、それぞれのタービンブレード22のエアフォイル空洞100が形成されている。更に、それぞれのエアフォイル空洞100は、それぞれのタービンブレード22のシャンク104に形成されている加圧ポート102によって、シャンク空洞76と流体的に結合されている。すなわち、加圧ポート102は、エアフォイル空洞100からシャンク空洞76まで延長している。結果的に、シャンク空洞76の内部にある加圧された流体(例えば、加圧空気、窒素、CO2)が、矢印106によって示されているように、それぞれのタービンブレード22のエアフォイル空洞100の中に流れ込むことがありうる。エアフォイル空洞100の内部では、加圧された流体が、矢印108で示されているように、エアフォイル50の内部表面110に対して、外側方向の圧力を生じさせることがある。このようにして、加圧された流体は、外部の物体の衝撃による劣化からエアフォイルを保護するのに役立つことができる。すなわち、この加圧された流体は、エアフォイル空洞100の内部からのエアフォイル50に対する外向きの圧力を維持することができ、これにより、エアフォイル50の外部表面112への外部の物体による衝撃に対する耐性とタービンブレード22の弾力性とが可能になる。更に、このような実施形態では、タービンブレード22を冷却しなくてもかまわない。ただし、他の実施形態では、タービンブレード22が冷却される場合もありうる。
【0022】
図4は、タービンブレード22(例えば、ターボ機械ブレードアセンブリ)の分解斜視図であり、組み立てられてタービンブレード22を形成する様々なコンポーネントが図解されている。既に述べたように、タービンブレード22は、エアフォイル50、プラットフォーム52、ダブテール56、およびシャンク104を含む。しかし、ある実施形態では、タービンブレード22がプラットフォーム52を含まない場合もある。更に、タービンブレード22は、プラットフォームアーチ120、シャンクアーチ122、エンゼルウィング124、フィラ126、およびフィレット層128を含みうる。既に述べたように、タービンブレード22の様々なコンポーネントの任意のものまたはすべてを、複数の積層された重なりまたは層(例えば、セラミックベースの複合重なりまたは層)から形成することが可能である。更に、タービンブレード22の様々なコンポーネントは、相互に対し、更に積層し、処理し、および/または機械加工することにより、単一部材のタービンブレード22を形成することが可能である。
【0023】
詳しく後述するように、タービンブレード22のコンポーネントの1つまたは複数を形成するのに用いられる重なりまたは層は、それぞれが、セラミックベースの複合層でありうる。例えば、これらの層は、そのセラミックマトリックスの全体にセラミックファイバが分布しているようなセラミックマトリックスで作ることが可能である。ある実施形態では、セラミックマトリックスの全体に分布しているセラミックファイバの量(例えば、単位体積当たりのパーセンテージまたは重量)は、タービンブレード22のコンポーネントを形成するのに用いられるすべての層に対して同一でありうる。他の実施形態では、いくつかの層が、それ以外の層よりも、セラミックマトリックスの全体に分布しているセラミックファイバをより多く含むことがありうる。例えば、シャンクの重なりを作るのに用いられる層または重なりが、エアフォイル50を作るのに用いられる層または重なりよりも、セラミックマトリックスの内部にセラミックファイバをより多く含むことがありうるし、その逆もありうる。理解されるように、タービンブレード22の他のコンポーネント(例えば、プラットフォームアーチ120、エンゼルウィング124、フィラ126、および/またはフィレット層128)を作るのに用いられるセラミックベースの複合材の他の層または重なりが、他の量(例えば、単位体積当たりのパーセンテージまたは重量)のセラミックマトリックスの全体に分布しているセラミックファイバを含む場合もありうる。
【0024】
図5は、タービンブレード22の様々なコンポーネントの側面図であり、タービンブレード22の様々なコンポーネントは複数の積層された層または重なり200によって形成することができる。特に、図解されている実施形態では、タービンブレード22の、エアフォイル50、シャンク104、およびダブテール56が示されている。エアフォイル50、シャンク104、およびダブテール56は、重なり200の同一の組によって相互に形成されている。別の表現をすると、ある1つの重なり200が、エアフォイル50の先端202からダブテール56の底部204まで延長している。示されているように、重なり200は、相互に隣接して配置され、単一部材であるエアフォイル50、シャンク104、およびダブテール56を形成している。例えば、ある実施形態では、重なり200は、モールド200またはそれ以外のツーリングもしくは機械加工構造の内部に配置されることにより、所望の形状または構成の重なり200を形成することができる。モールド構造の内部では、重なり200は、相互に対して圧縮および/またはプレス加工されうる。後述する態様で、追加的な重なり200を、エアフォイル50、シャンク104、およびダブテール56を形成している重なり200に加えることにより、タービンブレード22の他のコンポーネントを形成することができる。更に、タービンブレード22の他の様々なコンポーネントを形成するこれらの重なり200を、更に積層し機械加工することが可能である。更にまた、他のツーリングプロセスを用いることで、重なり200を相互に付着させることが可能である。
【0025】
任意の数の重なり200を用いて、タービンブレード22の様々なコンポーネント(例えば、エアフォイル50、シャンク104、およびダブテール56)を形成することができる。例えば、図解されている実施形態における組み合わされたエアフォイル50、シャンク104、およびダブテール56は、重なり200を、10から1000、50から500、100から400、または200から300用いることで形成が可能である。更に、エアフォイル50の図解されている実施形態は中身が詰まっているが、エアフォイル50は、上述したように、中空である場合もある。特に、重なり200を用いて、エアフォイル空洞100を有するエアフォイル50と加圧ポート102を有するシャンク104とを形成することが可能である。このようにして、加圧された流体を、タービン18のシャンク空洞76からエアフォイル空洞100に供給することができる。
【0026】
既に述べたように、重なり200は、セラミックベースの複合材料で構成することが可能である。例えば、図6に示されているように、それぞれの重なり200が、マトリックス材料222(例えば、セラミックマトリックス材料)の全体に分散されている複数のファイバ220(例えば、セラミックファイバ)を含むことがありうる。ファイバ220は、マトリックス材料222の内部で、重なり200に対して軸方向224に配置されている。更に、ある実施形態では、ファイバ220が、重なり200の長さの全体に延長していることもある。他の実施形態では、ファイバ220は分割されている場合もある。すなわち、ファイバ220は、それぞれの重なり200の全体の長さの一部だけに延長している場合もありうる。しかし、タービンブレード22のコンポーネントの1つを形成するときには、重なり200を、マトリックス222の内部のファイバ220がタービン18に対して任意の所望の方向に向くように、向けることが可能である。例えば、エアフォイル50、シャンク104、およびダブテール56を形成する重なり200では、ファイバ220は、マトリックス材料222の内部で半径方向34に延長することが可能である。しかし、プラットフォーム52を形成するのに用いられている重なり200では、ファイバ220は、マトリックス材料222の内部で円周方向36に延長することが可能である。更に、既に述べたように、マトリックス材料222の全体で分布しているファイバ220の量(例えば、単位体積当たりのパーセンテージまたは重量)は、タービンブレード22のコンポーネントを形成するのに用いられているすべての重なり200に対して同一の場合も異なる場合もありうる。
【0027】
図7〜13は、タービンブレード22の斜視図であり、タービンブレード22の様々なコンポーネントのアセンブリを図解している。しかし、以下の議論は複数の重なり200からタービンブレード22とそのコンポーネントとを形成して組み立てる非限定的な一例に過ぎないことを理解すべきである。例えば、図7は、エアフォイル50、シャンク104、およびダブテール56の斜視図である。既に論じたように、エアフォイル50、シャンク104、およびダブテール56は、単一の部材を形成することがある。更に、エアフォイル50、シャンク104、およびダブテール56は、上述した重なり200から形成することができる。すなわち、セラミックベースの複合的な重なり200を用いて、エアフォイル50、シャンク104、およびダブテール56を形成することが可能である。例えば、重なり200は、モールド構造またはそれ以外のツーリングコンポーネントに配置することができる。モールド構造またはそれ以外のツーリングコンポーネントの内部において、重なり200は、相互に押し付けられ積層されて、単一のコンポーネント(例えば、組み合わせられたエアフォイル50、シャンク104、およびダブテール56)を形成することができる。
【0028】
図8は、組み合わせられたエアフォイル50、シャンク104、およびダブテール56上に形成されたプラットフォームアーチ120の斜視図である。上述したのと同様に、プラットフォームアーチ120もまた、複数の積層された重なり200を用いて形成することができる。例えば、組み合わせられたエアフォイル50、シャンク104、およびダブテール56が形成された後で、追加的な重なり200を、モールド構造またはそれ以外のツーリングコンポーネント(例えば、これは、組み合わされたエアフォイル50、シャンク104、およびダブテール56を形成するのに用いられるモールド構造またはツーリングコンポーネントと同一の場合も、異なる場合もありうる)の内部でありシャンク104およびダブテール56の周りに配置することができる。その後で、プラットフォームアーチ120を形成する重なり200は、押し付けられ積層されうる。このようにして、エアフォイル50、シャンク104、ダブテール56、およびプラットフォームアーチ120を結合して単一の部材を形成することが可能になる。
【0029】
理解されるように、プラットフォームアーチ120は、プラットフォーム52(または、フロー経路)上の負荷をロータ24まで運ぶまたは移動させるように構成されうる。更に、プラットフォーム120のアーチの幾何学的構成により、プラットフォームアーチ120およびタービンブレード22の剛性および/または堅牢性を増加させることが可能になる。示されているように、プラットフォームアーチ120は、タービンブレード22のダブテール56に接しており類似の幾何学的構成を有するダブテール部分240を含む。結果的に、プラットフォームアーチ120のダブテール部分240は、ロータ24のスロット58の内部でロータ24と結合することができる。更に、プラットフォームアーチ120のダブテール部分240は、プラットフォームアーチ120のプラットフォーム表面242から延長する。ある実施形態では、プラットフォーム52(図4を参照のこと)は、プラットフォームアーチ120の上にまたはその頂部に配置されうる。他の実施形態では、タービンブレード22がプラットフォーム52を含まないこともあるが、プラットフォームアーチ120のプラットフォーム表面242は、タービン18を通過して流れる(例えば、燃焼ガス20のための)フロー経路を少なくとも部分的に画定することができる。更に、ある実施形態では、プラットフォームアーチ120は、封着ピン70を支持する溝75(図2を参照のこと)を含みうる。
【0030】
図9は、組み合わせられたエアフォイル50、シャンク104、ダブテール56、およびプラットフォームアーチ120の上に形成されたエンゼルウィング124の斜視図である。特に、エンゼルウィング124は、タービンブレード22の上流側250と下流側252とにおいてプラットフォームアーチ120と接するように配置されている。換言すると、タービンブレード22は、上流または前方エンゼルウィング254と、下流または後方エンゼルウィング256とを含む。更に、それぞれのエンゼルウィング124は、プラットフォームアーチ120のダブテール部分240と接するダブテール部分258を含んでいる。上述したのと同様に、ダブテール部分258は、ロータ24に形成されているスロット58の1つと係合することにより、負荷をタービンブレード22からロータ24に運ぶことができる。理解されるように、エンゼルウィング124は、エンゼルウィング124から外向きに横方向に延長する横向きプラットフォーム260など、タービンブレード22を相互に、そしてタービン18の他のコンポーネントに少なくとも部分的に封着するように構成された特徴を含みうる。例えば、横向きプラットフォーム260は、タービン内部にフロー経路を更に画定することにより、タービン18内部でガスフロー(例えば、燃焼ガス20のフロー)を導くおよび/または方向付けることができる。
【0031】
上述したのと同様に、エンゼルウィング124もまた、複数の重なり200から形成することができる。例えば、組み合わせられたエアフォイル50、シャンク104、ダブテール56、およびプラットフォームアーチ120が形成された後で、追加的な重なり200をモールド構造またはそれ以外のツーリングコンポーネント(例えば、エアフォイル50、シャンク104、ダブテール56、およびプラットフォームアーチ120を形成するのに用いられるモールド構造またはツーリングコンポーネントと同一の場合も異なる場合もありうる)の内部に配置することにより、エンゼルウィング124を形成することができる。その後で、エンゼルウィング124を形成する重なり200は、押し付けられ積層されうる。このようにして、エアフォイル50、シャンク104、ダブテール56、プラットフォームアーチ120、およびエンゼルウィング124を結合して単一の部材を形成することが可能になる。
【0032】
図10は、組み合わせられたエアフォイル50、シャンク104、ダブテール56、プラットフォームアーチ120、およびエンゼルウィング124の上に形成されたプラットフォーム52の斜視図である。既に述べたように、プラットフォーム52は、プラットフォームアーチ120のプラットフォーム表面242の上に形成することができる。理解されるように、プラットフォーム52は、タービン18を通過して流れるガス(例えば、燃焼ガス20)のためのフロー経路を少なくとも部分的に画定する。更に、プラットフォーム52もまた、複数の重なり200(例えば、半径方向34の態様または配列でスタックされている)から形成することができる。例えば、組み合わせられたエアフォイル50、シャンク104、ダブテール56、プラットフォームアーチ120、およびエンゼルウィング124が形成された後で、追加的な重なり200をモールド構造またはそれ以外のツーリングコンポーネント(例えば、組み合わされたエアフォイル50、シャンク104、ダブテール56、プラットフォームアーチ120、およびエンゼルウィング124を形成するのに用いられるモールド構造またはツーリングコンポーネントと同一の場合と異なる場合がありうる)の内部に配置することにより、プラットフォーム52を形成することができる。その後で、プラットフォーム52を形成する重なり200は、押し付けられ積層されうる。このようにして、エアフォイル50、シャンク104、ダブテール56、プラットフォームアーチ120、エンゼルウィング124、およびプラットフォーム52を結合して単一の部材を形成することが可能になる。
【0033】
更に、図解されている実施形態では、タービンブレード22は、プラットフォーム52とプラットフォームアーチ120との間に配置されるフィラ262(例えば、プラットフォーム表面242)を含む。理解されるように、フィラ262は、プラットフォームアーチ120とプラットフォーム52との間のギャップを充填することができる。ある実施形態では、フィラ262もまた、重なり200(例えば、セラミックベースの複合的な重なり200)から形成することができる。例えば、フィラ262は、平坦に置かれるまたはロールアップされる重なり200を含むことがある。他の実施形態では、フィラ262を形成する重なり200は、マトリックス材料222において浮かんでいる切断されたファイバ220(例えば、単一の方向に割り当てられていない可能性があるファイバ220)を含むことがある。フィラ262もまた、他の材料で作られている場合がありうる。
【0034】
図11は、タービンブレード22のシャンク104とエアフォイル50との上に形成されたシャンクアーチ122の斜視図である。シャンクアーチ122は、タービンブレード22のシャンク104とエアフォイル50とに対する追加的な支持および/または強化を提供するように構成することができる。更に、シャンクアーチ122もまた、複数の重なり200から形成することが可能である。例えば、組み合わせられたエアフォイル50、シャンク104、ダブテール56、プラットフォームアーチ120、エンゼルウィング124、およびプラットフォーム52が形成された後で、追加的な重なり200をモールド構造またはそれ以外のツーリングコンポーネント(例えば、組み合わされたエアフォイル50、シャンク104、ダブテール56、プラットフォームアーチ120、エンゼルウィング124、およびプラットフォーム52を形成するのに用いられるモールド構造またはツーリングコンポーネントと同一の場合または異なる場合がありうる)の内部に配置することにより、シャンクアーチ122を形成することができる。その後で、シャンクアーチ122を形成する重なり200は、押し付けられ積層されうる。このようにして、エアフォイル50、シャンク104、ダブテール56、プラットフォームアーチ120、エンゼルウィング124、プラットフォーム52、およびシャンクアーチ122を結合して単一の部材を形成することが可能になる。
【0035】
更に、シャンクアーチ122をシャンク104とエアフォイル50とに対する追加的な支持および/または強化を提供するように構成することが可能であるから、シャンクアーチ122を形成する重なり200は、マトリックス材料222の全体により高い濃度で分布されているファイバ220を有することにより、シャンクアーチ122を形成する重なり200の強度および/または剛性を増加させることができる。すなわち、シャンクアーチ122を形成するのに用いられる重なり200は、他のコンポーネント(例えば、エアフォイル50、シャンク104、ダブテール56、プラットフォームアーチ120、エンゼルウィング124など)の内のいくつかを形成するのに用いられる重なり200よりも、マトリックス材料222においてより多くのファイバ220を含みうる。
【0036】
図12は、タービンブレード22のエアフォイル50とプラットフォーム52とを挟んでおよびそれらの間に形成されるフィラ材料300の斜視図である。特に、フィラ材料300は、エアフォイル50とプラットフォーム52との間の結合部を挟んで配置されておりエアフォイル50とプラットフォーム52との間の移動を滑らかにする重なり200を含みうる。フィラ262に関して既に述べたのと同様に、フィラ材料300は、平坦に置かれているまたはロールアップされている重なり200でありうる。他の実施形態では、フィラ材料300は、マトリックス材料222において浮かんでいる切断されたファイバ220(例えば、単一の方向に割り当てられていない可能性があるファイバ220)を含むことがある。更に、ある実施形態では、フィラ材料300は、エアフォイル50とプラットフォーム52との間の交点に適合するように形成(例えば、切断)されているセラミックベースの複合材料(例えば、セラミックファイバ220がその中に分布しているセラミックマトリックス材料222)でありうる。例えば、フィラ材料300は、エアフォイル50とプラットフォーム52との間の滑らかな変化を生じさせるほぼ三角形の形状を有しうる。
【0037】
図13は、タービンブレード22のエアフォイル50とプラットフォーム52とを挟んだその上に、そしてそれらの間に形成されるフィレット層128の斜視図である。特に、フィレット層128は重なり200から形成することができ、エアフォイル50とプラットフォーム52との間に滑らかな表面移動(例えば、フィレット移動320)を生じさせることができる。
【0038】
ある実施形態では、タービンブレード22の一部のまたは全部のコンポーネントの重なり200がいったん配置され相互に積層されると、タービンブレード22には、1つまたは複数の機械加工プロセスがなされる。例えば、タービンブレード22は、加圧のために、モールド構造またはツール(例えば、オートクレーブ)の内部に配置されることがある。ツールの内部で、重なり200の容積を縮小させることができる。重なり200の容積を縮小させた後で、重なり200の有機揮発物を除去し、重なり200を樹脂(例えば、溶融シリコン)に浸透させることができる。浸透した重なり200は、凝固して最終的なタービンブレード22となる。
【0039】
理解されるように、以上で説明したタービンブレード22の構築により、タービン18の運転寿命を延ばすことが可能になる。例えば、重なり200を形成するのに用いられるセラミックベースの複合材料は、温度の上昇に対してより強い耐性を有しうる。結果的に、タービンブレード22の強制的な冷却を減らすことが可能になる。更に、セラミックベースの複合材から形成されるタービンブレード22および/またはエアフォイル空洞100を有するタービンブレード22は、伝統的なタービンブレード22よりも軽量にすることが可能である。したがって、ロータ24を使用可能な寿命が長くなることによって、コスト(例えば、維持コスト)を低下させることができる。更に詳しくは、タービンブレード22の軽量構成および設計により、ロータ24の負荷または引っ張りが減少する。結果的に、ロータ24を、より安価な合金により、よりコスト効率のよい形状または構成で、またはそれらを組み合わせて作成することが可能になる。更に、セラミックベースの複合材から形成されたタービンブレード22は伝統的なタービンブレード22よりも軽量であるために、ロータ24の速度上昇をより早く行うことが可能になり、応答時間をより短くすることが可能になる。
【0040】
以上で詳細に論じたように、開示されている実施形態は、改良型のターボ機械ブレードアセンブリ(例えば、タービンブレード22)と、そのような改良型ターボ機械ブレードアセンブリ(例えば、タービンブレード22)を形成するプロセスまたは方法とを含む。更に詳しくは、ある実施形態にはターボ機械ブレードアセンブリが含まれ、このターボ機械ブレードアセンブリの1つまたは複数のコンポーネントは、複数の連続的な繊維強化された重なりまたは層(例えば、重なり200)から形成される。例えば、ターボ機械ブレードアセンブリおよび/またはターボ機械ブレードアセンブリのコンポーネント(例えば、エアフォイル50、シャンク104、ダブテール56、プラットフォームアーチ120など)は、複数の連続的な繊維強化された重なりまたは層(例えば、重なり200)をモールドまたはそれ以外のツールに配置することによって形成することができ、これらの重なりまたは層は、次に、ツーリングプロセス、機械加工プロセス、化学的プロセス、冶金的プロセス、またはこれらの組み合わせを用いることにより、相互に積層させることができる。例えば、ターボ機械ブレードアセンブリは、それぞれを、セラミックベースの複合材料などの複合材の積層された層から、単一の部材として形成することが可能である。セラミックベースの複合材料は、セラミックファイバ(例えば、ファイバ220)がこのセラミックマトリックス材料の全体に分散されているセラミックマトリックス材料(例えば、マトリックス材料222)を含みうる。結果的に、このターボ機械ブレードアセンブリは、冷却なしでも、温度上昇に耐えることができる。更に、セラミックベースの複合材の重なりによって形成されたターボ機械ブレードアセンブリは、より軽量にすることが可能であり、より長いライフサイクルを有することができる。
【0041】
更に、ある実施形態では、ターボ機械ブレードアセンブリは、中空のエアフォイルを含むことがある。すなわち、このエアフォイル(例えば、エアフォイル50)は、エアフォイル空洞(例えば、エアフォイル空洞100)を含むことがある。中空のエアフォイルは、このエアフォイル自体の中空の内部を、ターボ機械のシャンク空洞(例えば、シャンク空洞76)に露出する経路またはポート(例えば、加圧ポート102)を有しうる。このようにして、シャンク空洞の内部の加圧フロー(例えば、空気、窒素、CO2など)が、ターボ機械ブレードのエアフォイルの中空の内部に流れ込むことができる。それぞれのターボ機械ブレードアセンブリのエアフォイルの中空の内部が加圧されているため、ターボ機械ブレードアセンブリを、外部の物体による損傷および衝撃による劣化から保護することができる。更に、シャンク空洞の内部のフローとエアフォイルの中空の内部との加圧を維持するために、ターボ機械ブレードの間に封着ピン(例えば、封着ピン70)を配置することにより、加圧フローのシャンク空洞から周囲の大気への漏れを防止することができる。
【0042】
この書面による説明では、最良の方式を含めて本発明を開示するために、更には、任意のデバイスまたはシステムを作成しかつ使用すること、ならびに任意の組み込まれた方法を実行することを含め、当業者であれば誰でも本発明を実施できるようにするための例が用いられている。本発明の特許が与えられるべき範囲は、特許請求の範囲によって定義され、かつ当業者が想到する他の例も含みうる。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言と差異のない構造的要素を持つ場合、または特許請求の範囲の文言との実質的差異がない同等の構造的要素を含む場合に、特許請求の範囲内に入るものとする。
【符号の説明】
【0043】
10 コンバインドサイクルシステム
11 ガスタービンシステム
12 コンプレッサ
14 燃焼器
16 燃料ノズル
18 ガスタービン
20 燃料ガス
21 蒸気タービン
22 タービンブレード
23 第2の負荷
24 ロータ
25 軸
26 排気口
27 シャフト
28 コンプレッサブレード
29 排気ガス
30 圧縮空気
31 第1の負荷
32 軸方向
33 蒸気
34 半径方向
35 HRSGシステム
36 円周方向
50 エアフォイル
52 プラットフォーム
56 ダブテール
58 スロット
60 ロータの外側表面
70 封着ピン
72 水平封着ピン
74 垂直封着ピン
75 溝
76 シャンク空洞
100 エアフォイル空洞
102 加圧ポート
104 シャンク
106 加圧流体が流れる方向を示す矢印
108 加圧流体による外向き圧力の方向を示す矢印
110 内部表面
112 エアフォイルの外部表面
120 プラットフォームアーチ
122 シャンクアーチ
124 エンゼルウィング
126 フィラ
128 フィレット層
200 重なり
202 エアフォイルの先端
204 ダブテールの底部
220 ファイバ
222 マトリックス材料
224 軸方向
240 ダブテール部分
242 プラットフォーム表面
250 上流側
252 下流側
254 上流または前方エンゼルウィング
256 下流または後方エンゼルウィング
258 ダブテール部分
260 横向きプラットフォーム
262 フィラ
300 フィラ材料
320 フィレット移動
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13