(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンビニエンスストア等の店舗の建物に既設の幕保持部材の受け部を利用して前記基体が前記建物へ取り付けられるものであり、前記受け部は、上下方向について前記建物の出入り口の上方に設けられたものであり、
前記受け部は、前記基体の後方から前記基体の上端及び下端を越えて前記基体の前面側へ先端を配置する上下の鉤部を備えた治具であり、
幕保持部材の正面視において、前記左屈伸部材の基部は右上から左下の方向へ斜めに伸びる斜辺でありヒンジを介して前記基体の前面へ固定され、前記右屈伸部材の基部は左上から右下の方向へ斜めに伸びる斜辺でありヒンジを介して前記基体の前面へ固定され、
左右の両屈伸部材の先端側を閉じることにて左右の両屈伸部材の先端を上下方向について少なくとも前記出入り口の上縁よりも下方に配置させることができ、
左右の前記屈伸部材と、前記基体の少なくとも一方には、伸ばした状態に前記屈伸部材を留める留具が設けられた請求項3に記載の幕保持部材。
【背景技術】
【0002】
店舗、特にコンビニエンスストアにおいて、
図10(A)へ矢印で示すように出入り口c1の頭上に新商品や期間限定の商品やサービスを表示する横断幕oを掲げることが一般的になっている。
特に最近では、
図10(B)へ示す上記の横断幕oを張った枠bを取り付けるための受け部となる治具aが当初よりコンビニエンスストアの建物c側へ設置されていることが珍しくない。
上記横断幕oを張った枠bは、当該治具aを利用して建物cへ取り付けられるものであり、上記治具aは、上下方向について建物cの出入り口c1の上方に設けられたものである。上記治具aは、上記枠bを取り付けた状態において、上記枠bの後方から枠bの上端b1及び下端b2を越えて枠bの前面側へ先端を配置する上下の鉤部a1,a2を備える。
治具aの上鉤部a1は、治具aと別体に形成されている。枠bを治具aの下鉤部a2の内側へ配置した後、治具aの上鉤部a1は、ネジa3にて治具aへ取り付けられて、上記の通り枠bの上端b1を越えて枠bの上部前面側へ位置するものとなる。上記上鉤部a1の治具aへの装着により、枠bは上記建物へ固定される。
【0003】
一方、コンビニエンスストアにおいて、期間限定の商品やキャンペーンの告知など比較的短期間に広告内容を変更する必要があり、頻繁に上記横断幕oが交換される。
このため上記治具aの設置の他それまでも、横断幕oの枠bへの取り付け・取り外しの手間やコストを低減しようと、種々の提案がなされている(特許文献1〜5)
【0004】
例えば、特許文献1には、所要の間隔で設置された少なくとも2本の軸を有し、それらの軸に幕の両端部をそれぞれ取り付けて幕を張設するための装置であって、2本の軸をともに回転軸とし、両回転軸を、回転方向の切り替えが可能なラチェット機構によって、正逆方向へ選択的に回転可能に形成し、両回転軸に幕の両端部をそれぞれ巻き付け、かつ、巻き付け方向へ回転させることによって幕を張設し、上記の幕に設けられている表示を展張させる両軸回転式幕張装置が示されている(請求項1、
図1〜
図8)。
【0005】
特許文献1に示されたものは、枠全体を交換せずに横断幕の交換のみで、新たな広告の表示を可能とするものであり、上記回転軸の回転方向を選択することで、幕を緊張させて展張状態にすることも、逆に緩めて弛んだ状態にすることも自由とされる。
【0006】
特許文献2には、横断幕が矩形の枠組みの裏側に納めて張られるように、前面壁と外側壁とからなる略L字形断面形状の竪横フレームで枠組みがなされることにより、裏側に竪横フレームに沿ってその断面L字形の内角空間が横断幕の前記納まり用として有するフレーム本体と、その本体の裏側の左右両端部に、横断幕の端を掛け止めやすく横方向へ開閉するようにそれぞれ取り付けられる左右一対のテンション枠とからなり、そのテンション枠は、横断幕を掛け止めるテンションバーの上下両端に鞘状アームを連結することにより、竪フレームと上下横フレームに沿って前記内角空間に納まるコ字形の枠状であって、テンション枠を横方向へ開閉させる取付けについて、上下の横フレームに鞘状アームが挿入される取付軸を前記開閉のため反転可能に軸支し、その軸支の構造については、上下の横フレームに基板を取り付け、基板に取付軸の基端が回転軸で連結された横断幕用フレームが示されている(請求項1、
図1〜
図9)。
【0007】
特許文献2に示されたものは、高所での幕を張る作業が上下共に同じ横方向の操作となる横断幕用フレームの提供を目的とする旨記載されている(明細書の段落番号0005及び0006)。
【0008】
特許文献3には、可動係止具とガイド部材と固定係止具とを備え、固定係止具は、躯体から垂下する柱体を有し、柱体は一側に収納部を柱体の長手方向にわたって有すると共に収納部内に横断幕の一端を係止する垂直な棒状係止部が収納してあり、ガイド部材は、可動係止具を摺動自在に支持するレール部を長手方向にわたって有していると共に、可動係止具位置決め用の被係合部を長手方向に複数有し、固定係止具と左右方向に間隔をあけて躯体に固定してあり、可動係止具は、ガイド部材のレール部に沿って摺動する摺動部と、摺動部に設けた係合部と、摺動部から垂下する垂直な柱体とを有し、柱体は、一側に収納部を柱体の長手方向にわたって有すると共に収納部内に横断幕の他端を係止する棒状係止部が収納してあり、固定係止具及び可動係止具の柱体は、一側面に開口する開口部を有し、収納部に棒状係止部の下端部を水平軸を介して軸着してあり、棒状係止部は回動して開口部から突出自在となっている幕張装置が示されている(請求項1、
図4〜
図7)。
【0009】
特許文献3の幕張装置は、枠状に構成されておらず、幕を張るための複雑な機構を必要としないため、構造が簡素で安価に製作することができ、幕張り作業は、横断幕の左右両端に筒状の被係止部を設けておき、そこに固定係止具と可動係止具の棒状係止部を差し込んで係止させ、可動係止具を固定係止具から離間する方向にガイド部材に沿って移動させ、幕を張った状態で可動係止具を位置決めすることで、簡単に短時間で行うことができ、しかも横断幕は、垂直な棒状係止部で左右に強く引っ張られ、且つ可動係止具は係合部がガイド部材の被係合部に係合して移動しないため、幕の上下ともに弛みが生じることがなくきれいに張ることができ、その状態を長期間維持でき、棒状係止部を回動して柱体から突出させることで、横断幕の端を棒状係止部に容易に係止させることができ、横断幕の取付け・取り外し作業が一層容易に行えるとされる(明細書の段落番号0008)。
【0010】
特許文献4には、横に長い矩形の各辺に横断幕の掛止手段を備えた張着フレームであって、そのうち、左右いずれか一端の掛止手段については、横断幕をばねの弾力で引くための突張り付勢装置を備え、さらに、上/又は前記一端の掛止手段が両端部間の横移動可能なスライダーに装備された横断幕の張着フレームが示されている(請求項1、
図1〜7)。
【0011】
特許文献4に示されたものは、横断幕を張る際、突張り付勢装置を備えている側と反対の側の掛止手段に掛け止めてから、スライダーをその側に寄せた状態において、スライダーに装備される掛止手段に掛けることによって、横断幕の先端部を吊り下げ状態において他端に導き、その他端における突張り付勢装置により、横断幕を横に緊張でき、また、各辺の掛止手段により安定した張り付け状態が得られ、横断幕の張り作業が容易となり、また、弛みなく緊張して張ることができるとされる(明細書の段落番号0006及び0008)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態を説明する。
ここでは、特にコンビニエンスストアの建物へ、商品広告やキャンペーンの表示を備えた幕を張るのに使用する幕保持部材について示す。勿論コンビニエンスストアの建物に使用することや幕の上記表示は単なる例示であり、他の建物に使用したり、商品広告やキャンペーン以外の表示を備えた幕を張るのに用いて実施することも可能である。
【0018】
(基本構成)
図1及び
図8へ示す通り、この幕保持部材1は、基体2と、2つの屈伸部材3と、2つの保持部4と、2つの留具5と、2つの作動制御部6とを備える。この例は、
図10(B)へ示すコンビニエンスストアの軒へ設けられた既設の治具aを利用して取り付ける幕保持部材1に関する。
各部の構成について具体的に説明する。
【0019】
(基体2)
基体2は、コンビニエンスストアの軒に設けられた治具aへ着脱自在に取り付けることができる枠体である。
図1及び
図3、
図4へ示す通り、基体2は、横桟である上辺部21と下辺部22、更に縦桟である左辺部23と右辺部24とにて、矩形に象られた枠である。
上辺部21は、上桟として基体2の上部にて左右横方向へ伸びる棒材である。下辺部22は、下桟として基体2の下部にて左右横方向へ伸びる棒材である。左辺部23は縦桟即ち左側の立桟として基体2の左側にて上下に伸びる棒材である。右辺部24は右側の立桟として基体2の右側にて上下に伸びる棒材である。
【0020】
左辺部23の上端が上辺部21の左端寄りに設けられており、左辺部23の下端が下辺部22の左端に設けられている。特に左辺部23の上端部の前面が上辺部21の左端側の背面へ固定され、左辺部23の下端部の前面が下辺部22の左端側の背面へ固定されている。このため、左辺部23は、上辺部21と下辺部22の夫々に対して上辺部21と下辺部22の夫々の前後の厚み分、後方へ後退した位置に配置される。
また右辺部24の上端が上辺部21の右端寄りに設けられており、右辺部24の下端が下辺部22の右端に設けられている。特に右辺部24の上端部の前面が上辺部21の右端側の背面へ固定され、右辺部24の下端部の前面が下辺部22の右端側の背面へ固定されている。このため、右辺部24は、上辺部21と下辺部22の夫々に対して上辺部21と下辺部22の夫々の前後の厚み分、後方へ後退した位置に配置される。
【0021】
図1(B)(E)へ示す通り、この例では、上辺部21と下辺部22は互いの間に間隔を開けて、左右へ互いに平行に伸びる。但し上辺部21と下辺部22とは略横方向に伸びるものであれば互いに平行でなくてもよく、また横方向の一部のみが平行となるものであってもよい。また、左辺部23と右辺部24は互いの間に間隔を開けて、上下へ互いに平行に伸びる。但し左辺部23と右辺部24とについても略縦方向について伸びるものであれば互いに平行でなくてもよく、また縦方向の一部のみが平行となるものであってもよい。
上辺部21は下辺部22より長く、横方向について上辺部21は下辺部22よりも左右に突出する、突出端部21aを備える。突出端部21aには後述する閂鎹部55が設けられる。
【0022】
図1(B)(E)へ示す通り、横方向について左辺部23と右辺部24の間には、左中桟25と右中桟26とが設けられている。右中桟26は左中桟25の右側へ位置する。左中桟25と右中桟26とは共に上辺部21と下辺部22とに掛け渡された棒材である。左中桟25と右中桟26とには、夫々屈伸部材3が軸止される。即ち左中桟25と右中桟26は夫々屈伸部材3の取付け部をなすものである。
【0023】
左右横方向について、上辺部21へ固定される左中桟25の一端に対し下辺部22へ固定される左中桟25の他の一端は、左側へ位置する。即ち、左中桟25は正面視において右上から左下へ向け左右方向に対し斜めに伸びる。左中桟25は上辺部21に対して約45度の挟角をなすのが好ましい。
左右横方向について、上辺部21へ固定される右中桟26の一端に対し下辺部22へ固定される右中桟26の他の一端は、右側へ位置する。即ち、右中桟26は正面視において左上から右下へ向け左右方向に対し斜めに伸びる。右中桟26は上辺部21に対して約45度の挟角をなすのが好ましい。
但し屈伸部材3の開閉を円滑に行えるものであれば、左右の中桟25.26のなす上記角度は何れも変更可能である。
また、左中桟25の下端は下辺部22の左端よりも右側へ間隔を開けて配置され、右中桟26の下端は下辺部22の右端よりも左側へ間隔を開けて配置される。
【0024】
左中桟25の上端面は上辺部21の下面へ固定され、左中桟25の下端面は下辺部22の上面へ固定されている。
幕保持部材1の前後方向について、上辺部21及び下辺部22夫々の正面と、左中桟25の正面とは同じ位置にあり面一となるのが好ましい。
右中桟26の端面も上辺部21の下面へ固定され、右中桟26の下端面も下辺部22の上面へ固定されている。
幕保持部材1の前後方向について、上辺部21及び下辺部22夫々の正面と、右中桟26の正面とは同じ位置にあり面一となるのが好ましい。
【0025】
この例は、
図10(B)へ示す既設の治具aを利用してコンビニエンスストアの軒へ基体2を取り付けるものであり、基体2の左右の幅に関し、下辺部22の左右の幅は上記治具a左右の下鉤部a2間の間隔よりも大きく、上辺部21の左右の幅は上記治具a左右の上鉤部a1間の間隔よりも大きい(
図1(B))。
また
図10(B)へ示す既設の治具aへの取り付けを行う幕保持部材1の基体2上下の幅と前後の厚みは、上記下鉤部a2や上鉤部a1へ収まる大きさとする。
上辺部21、下辺部22、左辺部23、右辺部24、左中桟25及び右中桟26には、軽量化の観点からアルミニウムの角棒或いはチャンネル材やL字型鋼といったアングル材などの断面L字型の長尺部材を用いるのが好ましい。但しスチールその他のアルミニウム以外の金属や合成樹脂、木材などの他の素材にて、基体1の上記各部を構成するものとしてもよい。
【0026】
(屈伸部材3)
上記基体2の前面には、左右2つの屈伸部材3が設けられている。
屈伸部材3は、その基端側が基体2へ軸止されて基体2に対し回動することができる枠体である。当該回動にて、屈伸部材3は先端側を基体2に対し屈伸することができるものであり、両屈伸部材3は上記回動により基体2の前面に対し開閉することができる。
詳しくは、
図1(B)(E)及び
図3(A)(B)へ示す通り、各屈伸部材3は、基端となる基辺部31と、一端が基辺部31へ設けられた長辺部32と、一端が基辺部31へ設けられた短辺部33と、先端となる挟持部34とを備えた枠体である。
図1(B)及び
図3(A)、
図4(A)へ示す通り、この例では、左側の屈伸部材3(特許請求の範囲の左屈伸部材に包含される。)の基辺部31は、ヒンジ35により基体1の上記左中桟25へ軸止され左中桟25に沿って斜めに配置される。また、右側の屈伸部材3(特許請求の範囲の右屈伸部材に包含される。)の基辺部31は、ヒンジ35により基体1の上記右中桟26へ軸止され右中桟26に沿って斜めに配置される。即ち、基辺部31は、後述の幕oを張る方向に対し斜めに交差する斜辺であり、
図1(B)へ示す通り、当該斜辺の下端は、屈伸部材3を伸ばした状態において前記斜辺の上端よりも屈伸部材3の先端側に位置するものである。
【0027】
上記長辺部32と短辺部33夫々の他の一端は、挟持部34へ固定されている。
左側の屈伸部材3の基辺部31は、ヒンジ35(左側ヒンジ35)にて基体2の左中桟25へ上記の通り回動自在に軸止されて基体2の前面に対し屈伸部材3を開閉できる。また、右側の屈伸部材3の基端側31は、上記左側ヒンジ35とは別のヒンジ35(右側ヒンジ35)にて基体2の右中桟26へ上記の通り回動自在に軸止されて基体2の前面に対し屈伸部材3を開閉できる。ヒンジ35はこの例では蝶番であり、左右の中桟25,26へ2個づつ設けられているが、当該2個に限定するものではなく、左右夫々3個以上でも実施できるし、ピアノの鍵盤の蓋に用いられる蝶番に類する、長尺の蝶番であれば左右1個づつでも実施できる。
図1(E)及び
図3(B)、
図4(B)へ示す通り屈した状態にて両屈伸部材3は先端側を下方に向け、伸ばされることにて両屈伸部材3は先端側を左右に横方向に向け基体2の左右を延伸した状態とする。
【0028】
より詳しくは、左右の屈伸部材3を伸ばして基体2の前面から開いたとき、長辺部32が基体2の上辺部21の下面に沿って配置され短辺部33が基体2の下辺部22の上面に沿って配置される。また左右の屈伸部材3を開いたとき、左側の屈伸部材3の長辺部32と短辺部33夫々の背面は基体2の左辺部23の前面へ当接し、右側の屈伸部材3の長辺部32と短辺部33夫々の背面は、基体2の右辺部24の前面へ当接する。上記にて屈伸部材3を開いて伸ばしたとき、屈伸部材3基部側即ち長辺部32と短辺部33夫々は、基体2の上辺部21と下辺部22との間へ収容されるのである。
屈伸部材3を伸ばしたとき、左右の屈伸部材3の基辺部31の前面が幕保持部材1の前後方向について、上辺部21及び下辺部22の前面とほぼ同じ位置に配置される。当該配置に限定するものではないが、当該配置にて幕を張った際に幕に段差が生じるのを回避することができる。
【0029】
そして、
図1(B)へ示す通り、左側の屈伸部材3を開いた状態において、左側の屈伸部材3の挟持部34は、基体2よりも左側へ突出する。また、右側の屈伸部材3を開いた状態において、右側の屈伸部材3の挟持部34は、基体2よりも右側へ突出する。
図1(E)へ示す通り、左側の屈伸部材3を閉じた状態において、左側の屈伸部材3は基体2よりも下方へ突出し、その挟持部34を基体2の下方へ配置する。また、右側の屈伸部材3を閉じた状態において、右側の屈伸部材3は、基体2よりも下方へ突出し、その挟持部34を基体2の下方へ配置する。
【0030】
屈伸部材3の屈伸に際して、後述する治具aの上下の鉤部a1,a2との当接を回避するため、両屈伸部材3を伸ばした状態において、上下方向について、各屈伸部材3の長辺部32は基体2の上辺部21から間隔を隔てるよう形成され、各屈伸部材3の短辺部33は基体2の下辺部22から間隔を隔てるよう形成されている。前記両間隔が上下の鉤部a1,a2を避けるためのマージンとなる。
【0031】
上記の挟持部34は、長辺部32と短辺部33の上記他の一端が固定された棒状の掌部34aと、掌部34aの両端に設けられた挟み部34bとにより構成されている。両挟み部34bは掌部34aから屈伸部材3の先端側へ向け突出する。
両挟み部34bの先端間に上記保持部4が配置され、保持部4は両挟み部34bへ回動自在に軸止されている。
屈伸部材3の各部材はアルミニウム製の角材又はチャンネル材やL字型鋼といったアングル材などの断面L字型の長尺部材を採用することができる。またスチールその他のアルミニウム以外の金属や合成樹脂、木材などの他の素材にて、屈伸部材3の上記各部を構成するものとしてもよい。但し、屈伸部材3は可動部として屈伸させるので軽量なアルミニウム製とするのが好ましい。
【0032】
(保持部4)
屈伸部材3の挟持部34に、上記の通り保持部4が設けられている。
以下必要に応じて、基体2前面にて、左側に配置される屈伸部材3の挟持部34が挟持する保持部4を第1保持部4aと呼び、右側に配置される屈伸部材3の挟持部34が挟持する保持部4を第2保持部4bと呼ぶ。
各保持部4は、
図7の各図へ示す通り、取付部41と、付勢部43とを備える。
付勢部43はバネ等の弾性部材である。この例では、
図1(B)(E)及び
図3(A)(B)へ示す通り、第1保持部4a及び第2保持部4bの双方が上記付勢部43を備える。付勢部43は、取付部41の向きを一定とするように付勢できるものであれば、バネ以外の弾性部材を採用して実施できる。この例では、付勢部43には、引きバネを採用する。
【0033】
図1(B)(E)、
図2(C)及び
図7(A)へ示す通り、取付部41は、棒状の部材であり、その外周には長手方向に沿って溝41aが形成されている。棒状の取付部41の長手方向と交差する方向の断面視において、溝41aは開口部分よりも奥が広くなっている。また溝41aの内部において、溝41aの淵付近には、窪み41bが形成されている。
上述の通り取付部41の両端が挟持部34の挟み部34bの夫々に軸止され、取付部41は挟み部34bに対し回動自在である。上記の通り付勢部43は引きバネであり、付勢部43の一端が挟持部34の掌部34aに固定され付勢部43の他の一端には掛け具44が設けられる。
図7(A)へ示す通り、掛け具44の基端側には上記付勢部43の他の一端が取り付けられており、掛け具44の先端側には、挿入係止部45が設けられている。掛け具44の基端側に付勢部43である引きバネの自由端が引っ掛けられているのである。
【0034】
挿入係止部45は
図7(A)へ示す通り、T字型のアンカー状の部材である。当該アンカーのシャフト部分45a即ちT字の縦部分をろう付けやネジ止めその他の周知の固定手段により掛け具44へ固定し、挿入係止部45を掛け具44へ設ける。但し、当初より挿入係止部45を掛け具44と一体に形成するものとしても実施できる。この例では、
図7(A)へ示す通り、掛け具44はその長手方向についてL字に屈曲しており、その屈曲点より先端側の側面に上記挿入係止部45が設けられている。
アンカー状の挿入係止部45のT字の横部分即ち上記シャフト部分45aと交差する部分は、前記アンカーの一対の引っ掛かり部分45b,45cとして縦部分であるシャフト部分45aの先端から夫々横方向へ突出する。
【0035】
屈伸部材3を屈した状態即ち屈伸部材3の先端側を下方へ向けた状態において、
図7(A)へ点線で示す通り、幕oを円筒状の取付部41の外周面へ巻き付けて幕oの一端を上記取付部41の溝41a内へ挿入し、同様に挿入係止部45の上記両引っ掛かり部分45b,45cも、溝41a開口部分の淵をかわしながら溝41a内へ挿入する。このとき挿入する幕oの一端側を挿入係止部45の先端へ巻きつけて幕oの当該一端側と挿入係止部45の先端とを一緒に上記溝41a内へ挿入すればよい。
上記
図7(A)へ示す状態において、上記溝41aの内部で上記窪み41bは溝41aの上記開口部分の上側に位置する。また掛け具44のなす上記L字の内側方向へ一方の引っ掛かり部分45bが突出する(以下、支点部45bと呼ぶ)。
【0036】
上記挿入後、
図7(B)へ示す通り、支点部45bを上記窪み41b内へ配置する。上記挿入のために掴んでいた掛け具44や挿入係止部45、幕oを離すと、付勢部43の付勢を受けて
図7(C)へ示す通り、上記窪み41bへ配置された支点部45bを支点として挿入係止部45が揺動し、支点部45bと対なすもう一方の引っ掛かり部分45cが溝41aの窪み41bと反対側の淵へ引っ掛かり、幕oの一端側を溝41aから抜け出ないように保持部4へ係止することができる。
上記の通り軸止された取付部41と付勢部43とを設けておけば、幕oの寸法に若干の誤差があったとしても、屈伸部材3を伸ばすことにて幕oへテンションが掛った際、取付部41が向きを修正し当該誤差を吸収することができる。即ち、上記の取付部41と付勢部43とが、張られる幕oのアジャスタとして機能する。
上記の
図1〜
図4、
図7及び
図8へ示す例では、第1保持部4aと第2保持部4bの双方が付勢部43を備えるものとした。この他第1保持部4aと第2保持部4bのうち一方の保持部4のみが付勢部43を備えるものとし、他方の保持部4は、付勢部43を備えないものとしてもよい。一方の保持部4のみが付勢部43を備える場合、付勢部43を備えない他方の保持部4については、例えば、挟み部34bに対し取付部41を回動しないように固定し、更に幕oを取付部41から脱落させないための固定具を設けておくものとすればよい。
【0037】
(留具5)
図1(B)(E)へ示す通り、この例では留具5は、閂部51と、閂持部52と、シャフト53と、把持部54と、閂鎹部55とを備える。この例では閂部51は、各屈伸部材3の長辺部32へ固定された閂持部52から出没する突起である。当該出没により、閂部51は、長辺部32から短辺部33と反対の方向へ向けて出没するのである。シャフト53はその一端が閂部51に連結され、他の一端が把持部54へ連結されている。この例では把持部54は、環状の部材である。尚56はシャフト53を通すブッシュを示している。
閂鎹部55は、基体2の上辺部21の突出端部21aの下面に設けられている。閂鎹部55は、閂部51を受容する受容部である。
閂部51は閂持部52に設けられたバネなどの弾性部材(図示しない。)にて閂持部52から突出する方向に付勢されている。上記弾性部材の付勢に抗して把持部54を引きシャフト53を後退させて閂部51を没せしめることができる。
【0038】
閂部51は突出方向へ向けて漸次先細りとなるよう斜面51aを備える。当該斜面51aは平らな面とする他曲面とすることができる。この例では、
図2(A)へ示す通り、斜面51aは凸曲面である。
図8(A)へ示す通り、作業者は、第1保持部4の取付部41へ幕oを取り付け、左右の屈伸部材3を、
図8(B)へ示す通り順次伸ばして基体2の左右長手方向へ添わせる。上記にて
図8(B)へ示す通り、幕oを治具aに嵌められている基体3の前面へ張ることができる。
尚、上記屈伸部材3を伸ばす際に作業者の手が届かない場合、
図8(A)(B)へ示す長尺で先端に鉤状部分を備えた鉤棒であるフックfにて、上記把持部54を引っ掛けた状態に把持し、屈伸部材3を伸ばせばよい。
屈伸部材3の上記幕張りの動作は、幕oを省略して見せると、
図1(E)の状態から
図1(B)へ示す状態へ移行させるものである。
【0039】
屈伸部材3を伸ばす上記過程において、閂部51の斜面51aは、閂鎹部55の側面と当接し、突出していた閂部51は閂持部52内へ後退し、受容部である閂鎹部55の凹部に到達すると当該凹部内にて閂部51は再び突出する。このようにして閂鎹部55へ閂部51が留められ、左右の屈伸部材3は、
図8(B)へ示す幕oを張った状態を維持する。
幕oを交換する際は、指或いは上記フックfを把持部54へ掛けて引き、閂部51を後退させて閂鎹部55から閂部51を外す。そして、上記と逆に屈伸部材3を
図8(B)へ示す状態から
図8(A)の屈した状態に戻す。
図8(A)へ示す屈伸部材3が屈伸して保持部4を下方へ移行させることによって地上で幕oの付け替え作業が行えるのである。
【0040】
(作動制御部6)
作動制御部6は、この例では、屈伸部材3の急激な屈伸を回避する緩衝手段として設けられている。具体的には、作動制御部6は、ダンパーを備えるものであり、
図2(B)(D)、
図3〜
図6へ示す通り基体2の上辺部21へ軸止されたシリンダ部61と、シリンダ部61から出没するピストン部62と、ピストン部62の先端側へその基端側が軸止された第1リンク部材63と、第1リンク部材63の先端側へその基端側が軸止され且つその先端側が屈伸部材3の基辺部32へ軸止された第2リンク部材64と、その基端側の夫々が左右の中桟25,26へ設けられたガイド部65とを備える。ガイド部65は、ピストン部62の先端と当接してピストン部62の先端を案内するガイド面65aを備える。ガイド面65aは、中桟25,26の長手方向に対して斜めに伸びる傾斜面である。ピストン部62は気体圧にてピストン部62の急激な動きを緩和するエアシリンダである。但し、ピストン部62は気体圧に限らず油圧など液体圧を利用して作動するものであってもよい。
【0041】
幕oの張替え時の
図8(B)(
図1(B))から
図8(A)(
図1(E))へ移行する際の作動制御部6の動作について
図5及び
図6を用いて説明する。
図5(A)は
図8(B)(
図1(B))へ示す屈伸部材3を伸ばした状態のときの作動制御部6を示している。
図5(A)へ示す通り、ピストン部62に対し第1リンク部材63はくの字に折れた状態となっており更に第2リンク部材64と第1リンク部材63同士もくの字に折れた状態となっている。
図5(A)へ示す通りこのとき、ピストン部62の先端は、ガイド部65の上記ガイド面65aへ当接してガイド部65の先端寄りに位置する。
【0042】
留具5による係止を解除し、屈伸部材3を下方へ回転させ始めると
図5(B)へ示す通り、第2リンク部材64に対し第1リンク部材63がくの字の状態から伸びた状態へ移行し、第1リンク部材63はピストン部62に対しくの字の角度を更に鋭角とし、ピストン部62先端は一旦ガイド面65aから離れる。
更に屈伸部材3の屈する方向への回転が進行すると、
図5(C)へ示す通り、第2リンク部材64に対し第1リンク部材63が直線状態を経て上記と逆方向へ山をなすくの字となるよう折れ始める。このとき
図5(C)へ示す通り、ピストン部62先端は再びガイド面65aへ当接する。ピストン部62先端が再びガイド面65aへ当接することにてピストン部62が伸び切らないようにピストン部62の可動範囲が規制され円滑な屈伸部材3の回転が可能となる。
【0043】
図5(C)へ示す状態から更に屈伸部材3の屈する方向への回転が進行すると、
図6(A)へ示す通り、第2リンク部材64に対し第1リンク部材63が直角に近い状態まで上記逆くの字状に折れる。このとき第1リンク部材63はピストン部62へ重なるように折れ、ピストン部62先端はガイド面65a上をガイド65の基端側へ向けて移動する。
図6(A)へ示す状態から屈伸部材3の屈する方向への回転が更に進行すると、
図6(B)へ示す通り、第1リンク部材63が第2リンク部材64に対し直角をなし第1リンク部材63は重なっていたピストン部62から開き始める。このとき
図6(B)へ示す通り、ピストン部62の先端はガイド面65aから再び離れる。これまでシリンダ部61から伸びる方向へ変位していたピストン部62は第1リンク部材63に押し返されて縮む方向へ変位する。
そして
図6(C)へ示す通り屈伸部材3の屈する方向への回転が完了し屈伸部材3が完全に屈した状態になり、屈伸部材3の長辺部32と短辺部33とが基体2の下辺部22前面と対面し当該下辺部22と交差する(
図1(E)及び
図8(A))。
【0044】
上記の通り、作動制御部6は、基体2と屈伸部材3とに架け渡された、ダンパーを備えるものである。作動制御部6は、屈伸部材3の先端側が屈した状態のときには当該屈した状態から急に伸びないように屈伸部材3を制し、屈伸部材3の先端側を伸ばした状態のときには当該伸ばしたから急に屈しないように屈伸部材3を制して屈伸部材3の円滑な屈伸を可能とするものである。
【0045】
(各部の寸法例)
具体的には、上記治具aの左右の下鉤部a2間の一般的な間隔1650mmに対して、
図1(B)へ示す下辺部22の左右の幅t1は約2230mmである。また、下鉤部a2と同様左右の上鉤部a1間の一般的な間隔1650mmに対して、上辺部21の左右の幅t2は約2350mmである。基体2の縦幅t3は約400mmである。各掌部34aの幅t4は約406mmである。屈伸部材3を伸ばした状態において
図1(B)へ示す通り、幕保持部材1の最大縦幅t5は、約431mmである。
挟み部34bの基端から先端の幅t6は約160mmであり、左右の屈伸部材3を伸ばした幕保持部材1の左右の幅(最大幅)は、2700mmである。
【0046】
屈伸部材3を伸ばした状態において、
図1(C)へ示す通り取付部41の最大径(前後幅t9)は約25mmであり、最も前方に位置するヒンジ35前端と中桟(基辺部31)の後面との間の前後幅t10は約50mmであり、このとき最も後方へ突出する作動制御部6の後端と上記ヒンジ35前端との間の前後幅t11は約92.3mmである。
【0047】
屈伸部材3の屈した状態において
図1(E)へ示す通り幕保持部材1の最大縦幅t7は約974mmであり、左右の保持部4a,4b間の間隔t8は約746mmである。屈伸部材3を屈した状態において、両保持部4の先端は地面から約1600mmの高さに位置する、手が届く範囲にあり、脚立を用いなくとも地上で幕oの付け替え作業が行える。
但し幕保持部材1の上記各寸法は単なる例示であり、適宜変更可能である。
【0048】
(建造物への幕保持部材1の取り付け)
建物への幕保持部材1の取り付けは、
図10(B)へ示す従来のものと同様である。
即ち、基体2は、コンビニエンスストアの建物cに既設の治具a(
図10(B)及び
図8)を利用して、幕保持部材1が交換可能に建物cへ取り付ける。このとき基体2の治具aへの取り付けは脚立を用いて行えばよい。
幕保持部材1の受け部となる上記治具aは、上下方向について建物cの出入り口c1(
図10)の上方に設けられたものである。治具aは、基体1を取り付けた状態において基体1の後方から基体1の上端及び下端を越えて基体1の前面側へ先端を配置する上下の鉤部a1,a2を備える。建造物への幕保持部材1の取り付けに際しては、事前に幕oを幕保持部材1へセットして行うこともできるし、幕oのセット前の幕保持部材1を治具aへ取り付けてから、幕保持部材1へ幕oをセットすることもできる。
幕保持部材1を治具aへ取り付けた後幕oをセットする場合や、使用開始後既にセットしてある幕oを交換する場合、
図8(A)へ示す通り、各屈伸部材3を屈した状態にして、幕oを保持部4へ保持させ或いは既に取り付けられている幕oを交換すればよい。この幕oの基体2への取り付け作業は地上で行え脚立は不要である。
【0049】
(幕保持部材1への幕oのセット)
屈伸部材3を屈した状態にして、第1保持部4aにて幕oの一端を保持させ第2保持部4bにて幕oの他の一端を保持させ、作業者は手で或いは前述のフックfを利用して両屈伸部材3先端側を屈した状態から伸ばすことにより、基体2に対し幕oを張った状態にセットすることができる。留具5の閂部51は斜面51aの案内にて後退した後閂鎹部55へ円滑に受容されて屈伸部材3を伸ばした状態に固定する。
幕oの交換時は前述の通り手で或いはフックfにより把持部54を引き下げ閂鎹部55から閂部51を外し、屈伸部材3の先端側を基体2の前面から下方へ下げればよい。尚上述のフックfはシャッタの開閉などに用いるものを利用することができる。
【0050】
(本発明の幕保持部材1の具体的なメリット)
上記幕oは、コンビニエンスストア店舗入口上部へ位置する「店頭幕」と呼ばれるものであり、特にキャンペーンの告知などを行うメディアである(
図10(A))。
上記幕oの素材は布で、これまで店頭幕用の矩形の枠に周囲の四辺からテンションを掛けて張っていた。
【0051】
現状の店頭幕の交換について、店頭幕の交換頻度は、10〜20日毎で、深夜にコンビニ従業員が交換作業を行っている。
店頭幕の交換作業は従業員が脚立に乗って、店頭幕取り付け用の上述の治具aへ上下の鉤部a1,a2にて取り付けられている店頭幕を、当該幕を張っている上記枠ごと外し、店頭から降ろしたうえで幕の交換作業が行われていた。
現状の作業に必要な人員は最低2名であり、交換作業も10〜20分は要するものであり、交換作業は人員の頭数と時間を必要とするものであった。
【0052】
本発明は、上記手間を不要とするものであり、店頭幕を脚立を用いて降ろす必要性をなくし、しかも1人で3〜5分程度慣れれば2分程度のスピーディさで交換作業を完了できるものとした。
従って、本発明は、安全で迅速な幕の交換を実現したのである。
【0053】
より詳しくは、実施の形態レベルにおいて、本発明に係る幕保持部材1は、フレーム構造をセンターフレームをなす基体2と、左右サイドフレームをなす屈伸部材3とに分け、サイドフレームである屈伸部材3をヒンジ35により折り畳みできる構造としたものである。そしてサイドフレームである屈伸部材3を折り畳む即ち屈した状態とすることにより、脚立なしで手が届く高さまで上記サイドフレームを降ろすことができる。
そして、本発明において、店頭幕(幕o)へのテンションを負荷する方法は、上記の周囲四辺を引っ張るのではなく、上記サイドフレームの左右両端のみにてテンションを負荷するものした。そして本発明では、店頭幕を交換した後サイドフレームを展開する即ち屈伸部材3を伸ばすことにより店頭幕へテンションを自動的に掛けることができる構造を実現したのである。
【0054】
(変更例)
上記において基体2は枠体としたが、一枚の矩形の板状体としてもよい。また、屈伸部材3についても上記の枠体とする他、矩形特に台形の輪郭を有する板状体としてもよい。
屈伸部材3は、基体2前面の左右夫々に設けられるものとした。この他、コンビニエンスストア店頭の横断幕の取り付け以外の場合などでは、屈伸部材3は左右の一方にのみ設けられるものとしても実施できる。例えば右側の屈伸部材3を備えないものとし基体2の右辺部24に第2保持部4bを備えるものとしたり、左側の屈伸部材3を備えないものとし基体2の左辺部23に第1保持部4aを備えるものとしても実施できる。
【0055】
幕保持部材1は、基体2前面に対し開閉にて屈伸するものとしたが、当該前面に沿って回動することにより屈伸するものとしても実施できる。
屈伸部材3はその長手方向について2箇所以上のヒンジ部を備え、複数のヒンジ部を中心とする回動即ち複数の間接の回動にて屈伸するものとしても実施できる。
また、屈伸部材3は、屈伸部材3の屈伸により上下に伸縮するものとし、縦長の幕を上下に張るものとしても実施できる。
保持部4は上記例に限定するものではなく、幕oの端部を幕保持部材1へ着脱自在に留めることができれば、他の形態を採用することも可能である。
ここで保持部4についての一変更例を示す。
図9(A)へ示す通り、この変更例では、第1及び第2の各保持部4は、取付部41と、取付部41とは別体に形成された固定具42とを備える。付勢部43は、第1保持部4aと第2保持部4bの何れか一方にのみ設けるものとする。但し、
図7に示す例と同様、第1保持部4aと第2保持部4bの双方へ付勢部43を設けるものとしてもよい。
この
図9へ示す例では、棒状の取付部41の外周には長手方向に沿って複数の溝41aが形成されている。各溝41aは等間隔の間隔を開けて形成されている。この例においても棒状の取付部41の長手方向と交差する方向の断面視において、溝41aは開口部分よりも奥が広くなっている。取付部41の両端が挟持部34の挟み部34bの夫々に軸止され、取付部41は挟み部34bに対し回動自在である。上記付勢部43は引きバネであり、付勢部43の一端が挟持部34の掌部34aに固定され付勢部43の他の一端が取付部41へ固定されている。具体的には付勢部43の上記他の一端は、
図7へ示す例と異なり取付部41の溝41aの一つへ外れないように固定されているのである。回動自在に軸止されている取付部41ではあっても、外周面に力が加えられない限り、付勢部43の付勢にて掌部34aに対する取付部41の外周面の向きを一定とする。
【0056】
図9(B)へ示す固定具42は、弾力性を有する板材であり、取付部41の外周面へ嵌めることにて取付部41へ取り付けることができる。この例では、固定具42は、C字形の金具である。
図9(B)へ示す通り、幕oを張る者は、先ず付勢部43の上記付勢に抗し取付部41を掴んで回転させることにて上記向きを変えた状態にし、上記溝41aの1つへセットする幕oの一端を収容する。取付部41の向きを変えたまま、上記固定具42を幕oの上から取付部41へ嵌める。取付部41と固定具42の間へ幕oを挟むのである。掴んでいた取付部41を離すと、
図9(C)へ示す通り、付勢部43の付勢にて取付部41の向きは元の状態に戻る。溝41aへ幕oの一端を収容して固定具42を取り付ける作業が円滑に行えるものであれば、取付部41の向きを
図9(B)のように変える必要はなく、
図9(A)の状態のまま上記作業を行えばよい。
固定具42は、棒状である取付部41の長手方向の複数個所へ取り付ける。但し、固定具42を取付部41の長手方向の幅に対応する長さを備えた断面C字の筒状に形成することにより、1つの固定具42で1本の取付部41へ対応するものとしてもよい。
図8(A)へ示す通り、付勢部43を備えない第1保持部4a側は、幕oの重みで取付部41の向きは定まり、屈伸部材3を伸ばして基体2へ幕oを張った際には、幕oの張力や第2保持部4bの上記付勢部43にて第1保持部4aの取付部41の向きは定まる。
【0057】
また、留具5についても上記の閂構造に限定するものではなく、他の構成のものを採用することもできる。
上記の作動制御部6としてダンパー以外の周知の緩衝手段を採用して実施することができる。また上記緩衝手段に限定するものではなく、作動制御部6として、バネなどの付勢部材を採用することができる。例えば、当該付勢部材は基体2と屈伸部材3とに架け渡されたものとし、当該付勢部材は、屈伸部材3の先端側を屈したときには屈した状態を維持するように屈伸部材3を付勢し、当該付勢に抗して回転により屈伸部材3の先端側を伸ばしたときには当該伸ばした状態を維持するように屈伸部材3を付勢するものとすればよい。
幕保持部材1は、作動制御部6を備えるのが望ましいが、作動制御部6を備えずに実施することもできる。
【0058】
更に幕保持部材2は、コンビニエンストスアの横断幕に限定するものではなく、他の建造物への取り付けや広告やキャンペーン以外の表示を行うものとしても実施できる。
幕保持部材1をコンビニエンスストアにて利用する場合も、上記既設の治具を利用するものに限定しない。
また、
図10(B)へ示す治具aについても、当該図へ示すように上鉤部a1を取り外しておくのではなく、当初より治具aへ固定し或いは下鉤部a2と同様治具aと一体になったものとし、上鉤部a1の内側へ基体1上端側即ち上辺部21を差し込んだ状態において、基体2を持ち上げて下鉤部a2を乗り越えることにより、下鉤部a2の内側への基体1の下端側即ち下辺部22を収容するものとしてもよい。
更には、図示した例と異なり一旦治具aへ取り付けた後の基体2は、幕oの交換のみ可能とし治具aから取り外せないものとしても実施できる。