特許第6625463号(P6625463)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6625463円柱部材の外周加工装置、及び円柱部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6625463
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】円柱部材の外周加工装置、及び円柱部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 5/18 20060101AFI20191216BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20191216BHJP
【FI】
   B24B5/18 B
   B24B41/06 J
【請求項の数】23
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-60445(P2016-60445)
(22)【出願日】2016年3月24日
(65)【公開番号】特開2016-193486(P2016-193486A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2018年10月12日
(31)【優先権主張番号】特願2015-74013(P2015-74013)
(32)【優先日】2015年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】野口 信愛
(72)【発明者】
【氏名】北村 和正
(72)【発明者】
【氏名】久野 修平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 博紀
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−239648(JP,A)
【文献】 実開平06−074257(JP,U)
【文献】 特開2002−370143(JP,A)
【文献】 特開2009−136924(JP,A)
【文献】 特開平02−172661(JP,A)
【文献】 実開平05−086452(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0306273(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B5/00−7/30
B24B41/00−51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱形状のワークの外周面を研削加工する円柱形状の研削砥石と、
前記研削砥石との間に前記ワークを挟むようにして回転する円柱形状の調整車と、
前記ワークの外周面の下方を支持しながら回転する円柱形状のローラブレードと、
前記研削砥石、前記調整車、及び前記ローラブレードのそれぞれに独立した回転駆動力を付与する回転駆動源と、を備え、
前記ローラブレード及び前記調整車の少なくとも一方が、前記研削砥石に対して、その回転軸の延びる方向が傾くように配置されており、
前記ローラブレード及び前記調整車の回転力を前記ワークの外周面に付与することにより、当該ワークを回転軸方向に前進させるように構成された、円柱部材の外周加工装置。
【請求項2】
前記ワークが、セラミックス、金属、セラミックス/金属複合材、ガラス、樹脂、繊維強化樹脂、及びゴムからなる群より選択される少なくとも1つの材料である、請求項1に記載の円柱部材の外周加工装置。
【請求項3】
前記ワークが、連続押出成形又は連続引き抜き成形により得られた、円柱形状の成形体である、請求項2に記載の円柱部材の外周加工装置。
【請求項4】
前記ワークが、セラミック乾燥体である、請求項1又は2に記載の円柱部材の外周加工装置。
【請求項5】
前記ワークが、セラミックス粉末及び溶媒を少なくとも含む原料からなる成形体に含有される水分の少なくとも一部が気化したセラミックス乾燥体である、請求項に記載の円柱部材の外周加工装置。
【請求項6】
前記研削砥石による、前記ワークの取り代が、0.01〜2.0mmである、請求項1〜のいずれか一項に記載の円柱部材の外周加工装置。
【請求項7】
前記ローラブレードの直径が、20mm以上で、且つ前記ワークの直径に対して、150%以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載の円柱部材の外周加工装置。
【請求項8】
前記ローラブレードの周長P1に対する、前記ワークの周長P2の比(P2/P1)が、整数ではない、請求項に記載の円柱部材の外周加工装置。
【請求項9】
前記ローラブレードの表面の材質が、ウレタンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、天然ゴム、エポキシ樹脂、スポンジ及びフェルトからなる群より選択される少なくとも1つの材料である、請求項1〜のいずれか一項に記載の円柱部材の外周加工装置。
【請求項10】
前記調整車の回転軸に対して、前記ローラブレードの回転軸が傾いている、請求項1〜のいずれか一項に記載の円柱部材の外周加工装置。
【請求項11】
円柱形状のワークの外周面を研削加工する円柱形状の研削砥石と、円柱形状の調整車と、円柱形状のローラブレードとの間に、円柱形状のワークを挟み、前記研削砥石によって、前記ワークの外周面を研削加工する研削工程を含み、
前記研削工程において、前記研削砥石、前記調整車、及び前記ローラブレードのそれぞれを独立して回転駆動させ、
前記ローラブレード及び前記調整車の少なくとも一方を、前記研削砥石に対して、その回転軸の延びる方向が傾くように配置し、前記ローラブレード及び前記調整車の回転力を前記ワークの外周面に付与することにより、当該ワークを回転軸方向に前進させる、円柱部材の製造方法。
【請求項12】
前記ワークが、セラミックス、金属、セラミックス/金属複合材、ガラス、樹脂、繊維強化樹脂、及びゴムからなる群より選択される少なくとも1つの材料である、請求項11に記載の円柱部材の製造方法。
【請求項13】
前記ワークが、セラミック乾燥体である、請求項11又は12に記載の円柱部材の外周加工装置。
【請求項14】
前記ワークが、セラミックス粉末及び溶媒を少なくとも含む原料からなる坏土を、押出成形し、更に乾燥した、円柱形状のセラミックス乾燥体である、請求項13に記載の円柱部材の製造方法。
【請求項15】
前記研削砥石による、前記ワークの取り代が、0.01〜2.0mmである、請求項1114のいずれか一項に記載の円柱部材の製造方法。
【請求項16】
前記ローラブレードの直径が、20mm以上で、且つ前記ワークの直径に対して、150%以下である、請求項1115のいずれか一項に記載の円柱部材の製造方法。
【請求項17】
前記ローラブレードの表面の材質が、ウレタンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、天然ゴム、エポキシ樹脂、スポンジ及びフェルトからなる群より選択される少なくとも1つの材料である、請求項1116のいずれか一項に記載の円柱部材の製造方法。
【請求項18】
前記調整車の回転軸に対して、前記ローラブレードの回転軸が傾いている、請求項1117のいずれか一項に記載の円柱部材の製造方法。
【請求項19】
前記研削砥石の周速が、前記調整車及び前記ローラブレードの周速より速い、請求項1118のいずれか一項に記載の円柱部材の製造方法。
【請求項20】
前記ローラブレードによって、前記研削工程前のワークを、前記研削砥石と前記調整車と前記ローラブレードとの間に挿入するワーク挿入工程を更に含む、請求項1119のいずれか一項に記載の円柱部材の製造方法。
【請求項21】
前記ローラブレードによって、前記研削工程によって外周面が研削加工された前記ワークを搬出するワーク搬送工程を更に含む、請求項1120のいずれか一項に記載の円柱部材の製造方法。
【請求項22】
円柱形状のワークの外周面を研削加工する円柱形状の研削砥石と、
前記研削砥石との間に前記ワークを挟むようにして配置された板状の案内板と、
前記ワークの外周面の下方を支持しながら回転する円柱形状のローラブレードと、
前記研削砥石、及び前記ローラブレードのそれぞれに独立した回転駆動力を付与する回転駆動源と、を備え、
前記ローラブレードが、前記研削砥石に対して、その回転軸の延びる方向が傾くように配置され、又は、前記案内板が、前記研削砥石に対して、前記案内板と前記ワークとの接触点を結ぶ軸の延びる方向が傾くように配置され、前記ローラブレードの回転力を前記ワークの外周面に付与することにより、当該ワークを回転軸方向に前進させる、円柱部材の外周加工装置。
【請求項23】
円柱形状のワークの外周面を研削加工する円柱形状の研削砥石と、板状の案内板と、円柱形状のローラブレードとの間に、円柱形状のワークを挟み、前記研削砥石によって、前記ワークの外周面を研削加工する研削工程を含み、
前記研削工程において、前記研削砥石、及び前記ローラブレードのそれぞれを独立して回転駆動させ、
前記ローラブレードを、前記研削砥石に対して、その回転軸の延びる方向が傾くように配置するか、又は、前記案内板を、前記研削砥石に対して、前記案内板と前記ワークとの接触点を結ぶ軸の延びる方向が傾くように配置し、前記ローラブレードの回転力を前記ワークの外周面に付与することにより、当該ワークを回転軸方向に前進させる、円柱部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円柱部材の外周加工装置、及び円柱部材の製造方法に関する。更に詳しくは、ワークの円筒度が悪くても、簡便に且つ連続的にセンタレス加工を行うことが可能な、円柱部材の外周加工装置、及び円柱部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
形状が円柱形状や円筒形状の被加工物の外周面の研削加工を実施するための加工機が知られている。このような加工機によれば、円柱形状や円筒形状の被加工物の円筒度の改善を図ることができる。以下、被加工物のことを、「ワーク(Work)」ともいう。
【0003】
外周にステンレス管を被覆して、熱交換部材として使用する円柱形状や円筒形状のセラミックス部材が知られている。このようなセラミックス部材は、ステンレス管との伝熱が必要なため、ステンレス管によって被覆する際には、当該セラミックス部材の形状精度が重要となる。円筒形状等のセラミックス部材を安価に製造するためには、押出成形による製造が好ましい。しかしながら、押出成形による製造では、形状精度に優れたセラミックス部材の製造は困難である。このため、押出成形によってセラミックス部材を製造した後、得られたセラミックス部材について、その外周面を加工することが必要となる。
【0004】
従来、押出成形によって製造されたセラミックス部材の外周面を加工する際には、円筒研削盤、カム研削盤などが用いられている。円筒研削盤及びカム研削盤では、押出成形によって製造されたセラミックス部材の両端を、一つ一つ把持して、芯を出した後に、加工を行わなくてはならない。したがって、このような円筒研削盤を使用した加工においては、時間も手間も大きくかかり、高額な加工費を要することとなっていた。一方で、円筒形状のワークの加工法として、スルーフィードによるセンタレス加工機を使用した方法も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−52446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のセンタレス加工機は、ワークが回転しながら前進して、当該ワークの外周面の加工を行うことができるため、チャックが不要、芯出しが不要(センタレス)、連続処理(スルーフィード)が可能という多くの利点がある。しかしながら、その一方で、特許文献1に記載のセンタレス加工機のような従来の加工機は、ワークの円筒度が悪いと、ワークに回転力が付与されず、ワークが軸方向に前進しなくなってしまう。したがって、従来の加工機は、ワークの円筒度が悪い場合には、その加工が困難になるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題を鑑みてなされたものである。本発明によれば、ワークの円筒度が悪くても、簡便に且つ連続的にセンタレス加工を行うことが可能な、円柱部材の外周加工装置、及び円柱部材の製造方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、以下に示す、円柱部材の外周加工装置、及び円柱部材の製造方法が提供される。
【0009】
[1] 円柱形状のワークの外周面を研削加工する円柱形状の研削砥石と、前記研削砥石との間に前記ワークを挟むようにして回転する円柱形状の調整車と、前記ワークの外周面の下方を支持しながら回転する円柱形状のローラブレードと、前記研削砥石、前記調整車、及び前記ローラブレードのそれぞれに独立した回転駆動力を付与する回転駆動源と、を備え、前記ローラブレード及び前記調整車の少なくとも一方が、前記研削砥石に対して、その回転軸の延びる方向が傾くように配置されており、前記ローラブレード及び前記調整車の回転力を前記ワークの外周面に付与することにより、当該ワークを回転軸方向に前進させるように構成された、円柱部材の外周加工装置。
【0010】
[2] 前記ワークが、セラミックス、金属、セラミックス/金属複合材、ガラス、樹脂、繊維強化樹脂、及びゴムからなる群より選択される少なくとも1つの材料である、前記[1]に記載の円柱部材の外周加工装置。
【0011】
[3] 前記ワークが、連続押出成形又は連続引き抜き成形により得られた、円柱形状の成形体である、前記[2]に記載の円柱部材の外周加工装置。
【0012】
[4] 前記ワークが、セラミック乾燥体である、前記[1]又は[2]に記載の円柱部材の外周加工装置。
[5] 前記ワークが、セラミックス粉末及び溶媒を少なくとも含む原料からなる成形体に含有される水分の少なくとも一部が気化したセラミックス乾燥体である、前記[]に記載の円柱部材の外周加工装置。
【0013】
] 前記研削砥石による、前記ワークの取り代が、0.01〜2.0mmである、前記[1]〜[]のいずれかに記載の円柱部材の外周加工装置。
【0014】
] 前記ローラブレードの直径が、20mm以上で、且つ前記ワークの直径に対して、150%以下である、前記[1]〜[]のいずれかに記載の円柱部材の外周加工装置。
【0015】
] 前記ローラブレードの周長P1に対する、前記ワークの周長P2の比(P2/P1)が、整数ではない、前記[]に記載の円柱部材の外周加工装置。
【0016】
] 前記ローラブレードの表面の材質が、ウレタンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、天然ゴム、エポキシ樹脂、スポンジ及びフェルトからなる群より選択される少なくとも1つの材料である、前記[1]〜[]のいずれかに記載の円柱部材の外周加工装置。
【0017】
10] 前記調整車の回転軸に対して、前記ローラブレードの回転軸が傾いている、前記[1]〜[]のいずれかに記載の円柱部材の外周加工装置。
【0018】
11] 円柱形状のワークの外周面を研削加工する円柱形状の研削砥石と、円柱形状の調整車と、円柱形状のローラブレードとの間に、円柱形状のワークを挟み、前記研削砥石によって、前記ワークの外周面を研削加工する研削工程を含み、前記研削工程において、前記研削砥石、前記調整車、及び前記ローラブレードのそれぞれを独立して回転駆動させ、前記ローラブレード及び前記調整車の少なくとも一方を、前記研削砥石に対して、その回転軸の延びる方向が傾くように配置し、前記ローラブレード及び前記調整車の回転力を前記ワークの外周面に付与することにより、当該ワークを回転軸方向に前進させる、円柱部材の製造方法。
【0019】
12] 前記ワークが、セラミックス、金属、セラミックス/金属複合材、ガラス、樹脂、繊維強化樹脂、及びゴムからなる群より選択される少なくとも1つの材料である、前記[11]に記載の円柱部材の製造方法。
【0020】
13] 前記ワークが、セラミック乾燥体である、前記[11]又は[12]に記載の円柱部材の製造方法。
[14] 前記ワークが、セラミックス粉末及び溶媒を少なくとも含む原料からなる坏土を、押出成形し、更に乾燥した、円柱形状のセラミックス乾燥体である、前記[13]に記載の円柱部材の製造方法。
【0021】
15] 前記研削砥石による、前記ワークの取り代が、0.01〜2.0mmである、前記[11]〜[14]のいずれかに記載の円柱部材の製造方法。
【0022】
16] 前記ローラブレードの直径が、20mm以上で、且つ前記ワークの直径に対して、150%以下である、前記[11]〜[15]のいずれかに記載の円柱部材の製造方法。
【0023】
17] 前記ローラブレードの表面の材質が、ウレタンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、天然ゴム、エポキシ樹脂、スポンジ及びフェルトからなる群より選択される少なくとも1つの材料である、前記[11]〜[16]のいずれかに記載の円柱部材の製造方法。
【0024】
18] 前記調整車の回転軸に対して、前記ローラブレードの回転軸が傾いている、前記[11]〜[17]のいずれかに記載の円柱部材の製造方法。
【0025】
19] 前記研削砥石の周速が、前記調整車及び前記ローラブレードの周速より速い、前記[11]〜[18]のいずれかに記載の円柱部材の製造方法。
【0026】
20] 前記ローラブレードによって、前記研削工程前のワークを、前記研削砥石と前記調整車と前記ローラブレードとの間に挿入するワーク挿入工程を更に含む、前記[11]〜[19]のいずれかに記載の円柱部材の製造方法。
【0027】
21] 前記ローラブレードによって、前記研削工程によって外周面が研削加工された前記ワークを搬出するワーク搬送工程を更に含む、前記[11]〜[20]のいずれかに記載の円柱部材の製造方法。
【0028】
22] 円柱形状のワークの外周面を研削加工する円柱形状の研削砥石と、前記研削砥石との間に前記ワークを挟むようにして配置された板状の案内板と、前記ワークの外周面の下方を支持しながら回転する円柱形状のローラブレードと、前記研削砥石、及び前記ローラブレードのそれぞれに独立した回転駆動力を付与する回転駆動源と、を備え、前記ローラブレードが、前記研削砥石に対して、その回転軸の延びる方向が傾くように配置され、又は、前記案内板が、前記研削砥石に対して、前記案内板と前記ワークとの接触点を結ぶ軸の延びる方向が傾くように配置され、前記ローラブレードの回転力を前記ワークの外周面に付与することにより、当該ワークを回転軸方向に前進させる、円柱部材の外周加工装置。
【0029】
23] 円柱形状のワークの外周面を研削加工する円柱形状の研削砥石と、板状の案内板と、円柱形状のローラブレードとの間に、円柱形状のワークを挟み、前記研削砥石によって、前記ワークの外周面を研削加工する研削工程を含み、前記研削工程において、前記研削砥石、及び前記ローラブレードのそれぞれを独立して回転駆動させ、前記ローラブレードを、前記研削砥石に対して、その回転軸の延びる方向が傾くように配置するか、又は、前記案内板を、前記研削砥石に対して、前記案内板と前記ワークとの接触点を結ぶ軸の延びる方向が傾くように配置し、前記ローラブレードの回転力を前記ワークの外周面に付与することにより、当該ワークを回転軸方向に前進させる、円柱部材の製造方法。
【発明の効果】
【0030】
本発明の円柱部材の外周加工装置は、ワークの円筒度が悪くても、簡便に且つ連続的にセンタレス加工を行うことができ、円筒度が優れた円柱部材を製造することができる。本発明の円柱部材の外周加工装置は、研削砥石、調整車、及びローラブレードが、それぞれに独立した回転駆動力を付与する回転駆動源によって、それぞれ独立して回転駆動する。このため、円柱形状のワークの円筒度が悪くても、当該ワークに対して、極めて良好に回転力を付与することができる。特に、ワークの外周面の下方を支持しながら回転するローラブレードが、自ら回転するように構成されているため、ローラブレードの回転力がワークに伝達し、ワークの良好な回転が実現される。また、本発明の円柱部材の外周加工装置においては、ローラブレード及び調整車の少なくとも一方が、研削砥石に対して、その回転軸の延びる方向が傾くように配置されている。このため、ローラブレード及び調整車の回転力を、ワークの外周面に付与することにより、当該ワークに対して、その回転軸方向の推進力を良好に発現させることができる。したがって、本発明の円柱部材の外周加工装置によれば、簡便に且つ連続的にセンタレス加工を行うことができる。
【0031】
本発明の円柱部材の外周加工装置によれば、従来のセンタレス加工機では、研削加工が困難であった、円筒度が悪いワークについても、特段の支障なく研削加工を行うことができ、円筒度に優れた円柱部材を製造することができる。
【0032】
本発明の円柱部材の外周加工装置によれば、従来、センタレス加工が困難とされていた、セラミックスの乾燥体等についても良好に研削加工を行うことができ、円筒度に優れたセラミックスの乾燥体を、極めて簡便に製造することができる。なお、セラミックスの乾燥体としては、焼成前のグリーンセラミックスを挙げることができる。また、本発明の円柱部材の外周加工装置によれば、切り込みが小さすぎる加工においても、問題なくセンタレス加工を行うことができる。例えば、研削砥石の加工負荷が小さい状態においても、有効にセンタレス加工を行うことができる。ここで、「研削砥石の加工負荷」とは、研削砥石がワークにかみ込んだ際の負荷のことを意味する。
【0033】
本発明の円柱部材の製造方法は、ワークの円筒度が悪くても、簡便に且つ連続的にセンタレス加工を行うことができ、円筒度が優れた円柱部材を製造することができる。なお、本発明の円柱部材の製造方法は、これまでに説明した、本発明の円柱部材の外周加工装置を用いて実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の円柱部材の外周加工装置の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2図1に示す円柱部材の外周加工装置の、研削砥石の回転軸に垂直な断面を模式的に示す断面図である。
図3】本発明の円柱部材の製造方法に用いられる円柱部材の外周加工装置を模式的に示す斜視図である。
図4図3に示す円柱部材の外周加工装置の、研削砥石の回転軸に垂直な断面を模式的に示す断面図である。
図5】本発明の円柱部材の製造方法に用いられる他の円柱部材の外周加工装置を模式的に示す斜視図である。
図6】本発明の円柱部材の外周加工装置の他の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図7】本発明の円柱部材の外周加工装置の更に他の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図8図7に示す円柱部材の外周加工装置の、研削砥石の回転軸に垂直な断面を模式的に示す断面図である。
図9】本発明の円柱部材の製造方法に用いられる更に他の円柱部材の外周加工装置を模式的に示す斜視図である。
図10図9に示す円柱部材の外周加工装置の、研削砥石の回転軸に垂直な断面を模式的に示す断面図である。
図11】本発明の円柱部材の製造方法に用いられる更に他の円柱部材の外周加工装置を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0036】
(1)円柱部材の外周加工装置:
本発明の円柱部材の外周加工装置の一の実施形態は、図1及び図2に示すような円柱部材の外周加工装置100である。本実施形態の円柱部材の外周加工装置100は、円柱形状のワーク8の外周面を研削加工することにより、その外周面が研削加工された円柱部材8aを製造するための外周加工装置である。なお、ワーク8は、円柱部材の外周加工装置100によって円柱部材8aを製造する際の「被加工物」であり、円柱部材の外周加工装置100の構成要素ではない。ここで、図1は、本発明の円柱部材の外周加工装置の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示す円柱部材の外周加工装置の、研削砥石の回転軸に垂直な断面を模式的に示す断面図である。
【0037】
円柱部材の外周加工装置100は、円柱形状の研削砥石2と、円柱形状の調整車4と、円柱形状のローラブレード6と、回転駆動源12,14,16と、を備えている。研削砥石2は、円柱形状のワーク8の外周面を研削加工するものである。調整車4は、研削砥石2との間にワーク8を挟むようにして回転するものである。ローラブレード6は、ワーク8の外周面の下方を支持しながら回転するものである。例えば、図1及び図2においては、円柱形状のワーク8は、その軸方向が横向き(例えば、略水平)となるように配置され、ローラブレード6は、このワーク8の外周面の下方を支持するように配設されている。
【0038】
回転駆動源12,14,16は、研削砥石2、調整車4、及びローラブレード6のそれぞれに独立した回転駆動力を付与するものである。図1においては、回転駆動源12が、研削砥石2に回転駆動力を付与し、回転駆動源14が、調整車4に回転駆動力を付与し、回転駆動源16が、ローラブレード6に回転駆動力を付与している。したがって、本実施形態の円柱部材の外周加工装置100は、研削砥石2、調整車4、及びローラブレード6が、それぞれ独立して回転駆動するように構成されている。そのため、本実施形態の円柱部材の外周加工装置100によれば、円柱形状のワーク8の円筒度が悪くても、ワーク8に対して、極めて良好に回転力を付与することができる。特に、ワーク8の外周面の下方を支持しながら回転するローラブレード6が、自ら回転するように構成されているため、ローラブレード6の回転力がワーク8に伝達し、ワーク8の良好な回転が実現される。
【0039】
円柱部材の外周加工装置100において、ローラブレード6及び調整車4の少なくとも一方が、研削砥石2に対して、その回転軸(回転軸L3又は回転軸L2)の延びる方向が傾くように配置されている。例えば、図1に示す円柱部材の外周加工装置100では、研削砥石2の回転軸L1に対して、ローラブレード6の回転軸L3が傾いている。更に、研削砥石2の回転軸L1に対して、調整車4の回転軸L2が傾いている。なお、研削砥石2の回転軸L1に対して、ローラブレード6の回転軸L3及び調整車4の回転軸L2のうちの少なくとも一方の回転軸が傾いていればよい。なお、調整車4の回転軸L2に対して、ローラブレード6の回転軸L3が、傾いていてもよいし、傾いていないもの(すなわち、回転軸L2と回転軸L3とが平行)であってもよい。
【0040】
本実施形態の円柱部材の外周加工装置100においては、ローラブレード6及び調整車4の少なくとも一方が、研削砥石2に対して、その回転軸の延びる方向が傾くように配置されていることが特に重要な構成となっている。このように構成することによって、ローラブレード6及び調整車4の回転力を、ワーク8の外周面に付与することにより、ワーク8に対して、その回転軸L4方向の推進力を良好に発現させることができる。したがって、本実施形態の円柱部材の外周加工装置100によれば、簡便に且つ連続的にセンタレス加工を行うことができる。
【0041】
研削砥石2の回転軸L1と、ローラブレード6の回転軸L3及び調整車4の回転軸L2との傾きは、以下の2種類の角度で規定することができる。1つ目の角度は、「水平方向の角度(送り角)」である。2つ目の角度は、「垂直方向の角度(スイベル角)」である。
【0042】
水平方向の角度(送り角)は、2軸の水平方向の傾きによって規定される角度である。すなわち、水平方向の角度(送り角)では、2つの回転軸は、進行方向に向かって高さは変わらず、当該2つの回転軸間の距離だけが広がる又は狭まる方向に傾くこととなる。例えば、研削砥石2の回転軸L1と、ローラブレード6の回転軸L3との水平方向の角度(送り角)が大きくなると、研削砥石2とローラブレード6の表面同士の距離が広がることにつながり、それが、ワーク8を前進させるための駆動力となる。
【0043】
垂直方向の傾き(スイベル角)は、回転軸方向に向かって、2つの回転軸の高さが変化した場合の角度である。例えば、垂直方向の傾き(スイベル角)では、一方の回転軸が水平に配置されている場合に、もう一方の回転軸のいずれか一端が、上下方向に傾くこととなる。垂直方向の傾き(スイベル角)を大きくすることで、水平方向の角度(送り角)と同様に、2つの回転軸間を、互いの回転軸間の距離が広がるように傾けさせることができる。ただし、垂直方向の傾き(スイベル角)においては、その角度を大きくすることが、ワーク8を前進させるための駆動力に直結しないことがある。このような場合は、後述するように、例えば、調整車の形状をドレス加工等によって整えて、安定したワークの前進力を得られるように調整することが好ましい。
【0044】
本実施形態の円柱部材の外周加工装置において、ワークを前進させるための駆動力は、以下の2種類の駆動力が考えられる。1種類目の駆動力は、ローラブレードと調整車の表面同士の距離、及び研削砥石とローラブレードの表面同士の距離のいずれかが、狭いところから徐々に広がることによって生じる駆動力である。すなわち、上述した表面同士の距離が徐々に広がることによって、その広がった箇所にワークが押し出されていく力が、当該ワークの推進力となる。このような駆動力に対しては、上述した水平方向の角度(送り角)が大きく寄与する。2種類目の駆動力は、主に、スイベル角の傾きによって発生する分力を推進力としたものである。例えば、2種類目の駆動力は、研削砥石の軸方向に対して、調整車のスイベル角が、ワークの進行方向に対して頭を下げる方向に傾いている場合に、調整車の形状を直径に異差のあるクラウン形状とすることで発生させることができる。このような形状の調整車とすることで、研削砥石と調整車の表面の距離を変化させずに、調整車のスイベル角を傾けることが可能になる。そして、このような調整車は、ワークに与える力が、ワークが回転して進む軸に対して、直角ではない(別言すれば、斜め上方向に若干傾いている)ために、当該力が回転力と推進力に分離され、ワークが前進するための駆動力が得られる。本実施形態の円柱部材の外周加工装置は、これまでに説明した2種類の駆動力を組み合わせて設定(使用)することが、より好ましい形態である。すなわち、本実施形態の円柱部材の外周加工装置においては、ワークが前進するための駆動力として、上記2種類の駆動力の双方が発現するように構成されていることがより好ましい。
【0045】
(1−1)ワーク:
上述したように、ワークは、円柱部材の外周加工装置によって円柱部材を製造する際の「被加工物」である。ワークの材質については特に制限はなく、例えば、セラミックス、金属、セラミックス/金属複合材、ガラス、樹脂、繊維強化樹脂、及びゴムからなる群より選択される少なくとも1つの材料を挙げることができる。本明細書において、円柱部材とは、その軸方向に垂直な断面における外形が円形の部材のことを意味し、円柱部材が、密実なものであることを要しない。例えば、円柱部材には、中空の円筒部材や、円筒部材の中空部分が各種壁材などで仕切られたハニカム構造の円柱部材が含まれる。ワークが、連続押出成形又は連続引き抜き成形により得られた、円柱形状の成形体であってもよい。
【0046】
本実施形態の円柱部材の外周加工装置によれば、従来のセンタレス加工機では、研削加工が困難であった、円筒度が悪いワークについても、特段の支障なく研削加工を行うことができ、円筒度に優れた円柱部材を製造することができる。例えば、本実施形態の円柱部材の外周加工装置によれば、従来、センタレス加工が困難とされていた、セラミックスの乾燥体等についても良好に研削加工を行うことができ、円筒度に優れたセラミックスの乾燥体を、極めて簡便に製造することができる。したがって、円柱部材の外周加工装置は、ワークとして、円柱形状のセラミックス乾燥体を用いた場合に、従来のセンタレス加工機に比して、特段顕著な効果を奏する。ここで、セラミックス乾燥体とは、セラミックス粉末及び水等の溶媒を少なくとも含む原料からなる坏土を押出成形し、得られたセラミックス成形体に含まれる溶媒の少なくとも一部を気化して乾燥した、焼成される前の状態の乾燥体を意味する。坏土を調製するための原料には、バインダー、成形助剤等を更に含んでいてもよい。セラミックス成形体としては、焼成前のグリーンセラミックスを挙げることができる。
【0047】
研削砥石による、ワークの取り代については特に制限はない。本実施形態の円柱部材の外周加工装置においては、比較的に大きな取り代であっても、良好なセンタレス加工が実現される。例えば、研削砥石による、ワークの取り代として、0.01〜2.0mmであることが好ましく、0.01〜1.2mmであることが更に好ましく、0.01〜0.7mmであることが特に好ましい。また、本実施形態の円柱部材の外周加工装置によれば、切り込みが非常に小さい加工においても、問題なくセンタレス加工を行うことができる。
【0048】
なお、上述したワークの取り代については上限があり、円柱形状のワークの精度面、ワークの外周面の傷、搬送中のワークが振動するなど種々の要因によって、この上限が決まる。ワークの外周面の良好な加工を行うためには、上述した「取り代の上限」の制約により、1回の研削加工(1パス)で、所望の寸法(直径)にならないことがある。このため、1回の研削加工で、ワークが所望の寸法(直径)にならない場合には、研削加工を複数回繰り返すことで、所望の寸法のワークを得ることができる。例えば、2回目の研削加工(2パス目)では、研削砥石と調整車の間隔を、1回目の研削加工よりも狭くして、寸法が若干小さくなったワークを、更に加工する。必要に応じて、研削砥石と調整車の間隔を、順次狭くして、研削加工を繰り返し行うことで、所望の寸法(直径)のワークを得ることができる。なお、研削加工を複数回行う場合には、1回目の加工において、ワークの取り代が適切な値であるかを確認し、研削加工が可能か否かの良否を判断することが好ましい。1回目の加工が可能であれば、2回目以降は、同じ取り代での加工が可能であり、上述した良否の判断については、1回目の加工時のみに行えばよい。
【0049】
ワークの軸方向の長さについては特に制限はない。また、ワークの軸方向に垂直な断面における直径についても特に制限はない。ワークの軸方向に垂直な断面における直径については、以下、単に、「ワークの直径」ということがある。ワークの軸方向の長さ、及びワークの直径は、研削砥石、調整車、及びローラブレードの大きさ等により、適宜最適な数値範囲が決定される。ワークの軸方向の長さは、ワークの直径よりも大きいことが好ましい。例えば、ワークの軸方向の長さは、10〜500mmであることが好ましく、30〜500mmであることが更に好ましく、45〜300mmであることが特に好ましい。ワークの軸方向に垂直な断面における直径は、ワークの軸方向の長さよりも小さいことが好ましい。例えば、ワークの軸方向に垂直な断面における直径は、10〜150mmであることが好ましく、30〜100mmであることが更に好ましく、45〜80mmであることが特に好ましい。ワークの直径に比してワークの軸方向の長さが小さい場合には、ワークを前進させるための駆動力が得にくくなるため、安定した加工ができなくなる場合がある。
【0050】
(1−2)研削砥石:
図1及び図2に示すように、研削砥石2は、円柱形状を有するローラ状のものであり、回転駆動源12(図1参照)によって付与される回転駆動力に回転する。この研削砥石2が、円柱形状のワーク8の外周面と接触することにより、ワーク8の外周面が研削加工される。
【0051】
研削砥石は、その全体が砥石からなるものであってもよい。また、研削砥石は、円柱形状を有するローラ状の台金(コア)の外側に、砥石が配設されたものであってもよい。例えば、研削砥石は、フランジ状の台金の外側に、砥石が配設されたものを好適に用いることができる。
【0052】
研削砥石の軸方向の長さについては特に制限はない。また、研削砥石の軸方向に垂直な断面における直径についても特に制限はない。研削砥石の軸方向に垂直な断面における直径については、以下、単に、「研削砥石の直径」ということがある。研削砥石の軸方向の長さ、及び研削砥石の直径は、ワーク、調整車、及びローラブレードの大きさ等により、適宜最適な数値範囲が決定される。
【0053】
研削砥石の直径は、例えば、ワークの直径に対して、200〜10000%であることが好ましく、300〜3000%であることが更に好ましく、400〜2000%であることが特に好ましい。このような数値範囲とすることにより、外周加工装置を小型化することが可能という好ましい利点がある。
【0054】
研削砥石の長さは、例えば、ワークの直径に対して、50〜10000%であることが好ましく、75〜2000%であることが更に好ましく、100〜1000%であることが特に好ましい。このような数値範囲とすることにより、外周加工装置を小型化することが可能という好ましい利点がある。
【0055】
研削砥石の回転駆動時の周速については、特に制限はない。研削砥石の周速は、調整車及びローラブレードの周速より速いことが好ましい。研削砥石の周速は、調整車及びローラブレードのいずれかの周速の40〜200倍であることが好ましく、50〜150倍であることが更に好ましく、60〜110倍であることが特に好ましい。
【0056】
研削砥石の回転駆動時の周速は、ワークの材質や、ワークの取り代の大きさによって適宜決定することができる。例えば、ワークが、セラミックス成形体の場合には、10〜100m/sであることが好ましく、15〜60m/sであることが更に好ましく、20〜50m/sであることがより更に好ましく、20〜30m/sであることが特に好ましい。また、ワークが、セラミックス焼成体や金属の場合には、10〜100m/sであることが好ましく、30〜60m/sであることが更に好ましく、30〜50m/sであることがより更に好ましく、35〜45m/sであることが特に好ましい。
【0057】
研削砥石の材質については、特に制限はなく、ワークの材質等に応じて適宜決定することができる。研削砥石として、砥粒と、当該砥粒を保持するボンド材とを備えたものを挙げることができる。例えば、研削砥石のボンド材の材質として、メタルボンド、レジンボンド、ビトリファイドボンドが好ましい。特に、ワークが、セラミックス成形体の場合には、メタルボンド、レジンボンドが好ましい。ワークが、セラミックス焼成体や金属の場合には、レジンボンド、ビトリファイドボンドが好ましい。また、研削砥石の砥粒は、ダイヤモンド砥粒、CBN砥粒(立方晶窒化ホウ素の砥粒)、WA砥粒(白色アルミナ質の砥粒)、A砥粒(褐色アルミナ質の砥粒)、HA砥粒(解砕型アルミナ質の砥粒)、PA砥粒(淡紅色アルミナ質の砥粒)、GC砥粒(緑色炭化珪素の砥粒)、C砥粒(黒色炭化珪素の砥粒)が好ましい。特に、ワークがセラミックス成形体、セラミックス焼結体の場合には、ダイヤモンド砥粒が好ましい。
【0058】
(1−3)調整車:
図1及び図2に示すように、調整車4は、円柱形状を有するローラ状のものであり、回転駆動源14(図1参照)によって付与される回転駆動力により回転する。この調整車4が、円柱形状のワーク8の外周面と接触することにより、ワーク8を回転軸L4方向に前進させる。ただし、本実施形態の円柱部材の外周加工装置においては、研削砥石2、調整車4、及びローラブレード6のそれぞれが独立して回転駆動する。そのため、調整車4の回転駆動力のみが、ワーク8を回転軸L4方向に前進させるのではなく、例えば、ローラブレード6の回転駆動力も、ワーク8を回転軸L4方向に前進させることに寄与している。
【0059】
調整車の材質としては、ワークの材質等に応じて適宜決定することができる。特に制限はないが、合成ゴム、天然ゴム、エポキシ樹脂等を主原料とするボンド材に、砥材を混ぜ込んだ、調整砥石(コントロール砥石)を用いることができる。特に、ボンド材の材質は、適切な硬度(硬さ)を有するとともに、十分な摩擦抵抗を有するものであることが好ましい。調整車の摩擦抵抗が大きいと、ワークを良好に把持し狙いの周速に調整する事が容易になる。ボンド材の硬度が高いと、ワークの加工精度を向上させることができる。砥材の材質としては、A砥粒(褐色アルミナ質の砥粒)、WA砥粒(白色アルミナ質の砥粒)、ジルコニアなどを挙げることができ、ジルコニアがより好ましい。ジルコニアは、耐摩耗性が高いため、ワークがセラミックス成形体である場合に好適に用いることができる。
【0060】
調整車の軸方向の長さについては特に制限はない。また、調整車の軸方向に垂直な断面における直径についても特に制限はない。調整車の軸方向に垂直な断面における直径については、以下、単に、「調整車の直径」ということがある。
【0061】
調整車の直径は、例えば、研削砥石の直径に対して、5〜150%であることが好ましく、30〜100%であることが更に好ましく、40〜60%であることが特に好ましい。また、調整車の長さについては、特に制限はない。
【0062】
調整車の回転駆動時の周速については、上述した研削砥石の周速にて述べた通り、研削砥石及びローラブレードの周速と同じであってもよい。また、調整車の周速が、ローラブレードの周速と異なる場合には、ローラブレードの周速が、調整車の周速よりも速い方が好ましい。ローラブレードの周速が、調整車の周速よりも速い場合には、研削加工中のワークの周速が、ローラブレードの周速によってコントロールされることとなる。詳しくは後述するが、本実施形態の円柱部材の外周加工装置においては、ローラブレードによって、外周面が研削加工されたワークを搬出する工程を付与することができる。このような工程を付与した場合には、研削加工中のワークの周速が、ローラブレードの周速によってコントロールされていると、研削加工が終了して、ワークが研削砥石から抜け出す際に、ワークの周速に変化が生じないため、安定したワークの搬出を行うことができる。例えば、ローラブレードの周速が、調整車の周速よりも遅い場合には、研削加工中のワークの周速が、調整車の周速によってコントロールされることとなる。このような場合には、ワークが研削砥石から抜け出す際に、調整車によりコントロールされていた周速が、ローラブレードの周速によるコントロールに変更される。この際、ワークの周速に急激な変化が生じると、それまでの回転を維持しようとするワークは、慣性力によりバランスを失い、不安定な状態になることがある。
【0063】
また、調整車の材質は、曲げ強さが、30〜70MPaであることが好ましく、34〜63MPaであることが更に好ましく、55〜60MPaであることが特に好ましい。例えば、調整車の曲げ強さは、調整車の材料として使用するボンド材によって調整することができる。調整車の材質の曲げ強さは、ASTM D 790に準拠して測定することができる。調整車の材質の曲げ強さの測定は、調整車から所定の大きさの測定用サンプルを切り出し、切り出した測定用サンプルを用いて行うことができる。
【0064】
調整車の摩擦係数は、大きい方が好ましい。例えば、調整車の摩擦係数は、0.24以上であることが好ましく、0.6〜1.5であることが更に好ましく、0.9〜1.0であることが特に好ましい。摩擦係数が、0.9以上であると、ワークの回転速度が一定になり、安定した加工に繋がるという利点がある。摩擦係数は、JIS K 7125に準拠した測定により求めることができる。調整車の摩擦係数の測定は、調整車から所定の大きさの測定用サンプルを切り出し、切り出した測定用サンプルを用いて行うことができる。
【0065】
調整車は、回転軸方向において、その直径が同一の円柱形状であってもよいし、回転軸方向において、その直径が異なる円柱形状であってもよい。例えば、調整車は、回転軸方向において、その直径が左右非対称の円錐台形状や鼓型形状(逆クラウン形状ともいう)であってもよい。特に、円錐台形状及び鼓型形状の調整車は、その軸を研削砥石の軸に対して垂直に近づく方向に傾けた場合に、互いの表面同士の距離の変化を打ち消す方向に、その直径の長さが変化するものであることが好ましい。
【0066】
(1−4)ローラブレード:
図1及び図2に示すように、ローラブレード6は、円柱形状を有するローラ状のものであり、回転駆動源16(図1参照)によって付与される回転駆動力により回転する。ローラブレード6は、円柱形状のワーク8の外周面の下方を支持するように配置されており、このローラブレード6が、ワーク8の外周面と接触することにより、ローラブレード6の回転力を、ワーク8に付与する。
【0067】
ローラブレードの材質は、適切な硬度(硬さ)を有するとともに、十分な摩擦抵抗を有するものであることが好ましい。ローラブレードの摩擦抵抗が大きいと、ワークに対して良好に回転力を付与することができる。ローラブレードの硬度が高いと、ワークの加工精度を向上させることができる。ローラブレードの表面の材質は、調整車と同様の材質を挙げることができる。ローラブレードの表面の材質としては、ウレタンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、天然ゴム、エポキシ樹脂、スポンジ及びフェルトからなる群より選択される少なくとも1つの材料であることが好ましく、ウレタンゴム又はシリコンゴムであることが更に好ましい。また、摩擦抵抗を上げるために、ローラブレードの表面が、以下のような特殊構造を有していることも、好ましい形態の一つである。例えば、ローラブレードの表面に細かい凹凸を有する特殊構造、ローラブレードの表面に硬いセラミックス粒子や硬い粒状のゴムチップが分散している特殊構造などを挙げることができる。
【0068】
ローラブレードの硬度は、ショアA50以上であることが好ましく、ショアA70〜95であることが更に好ましく、ショアA80〜95であることが特に好ましい。ローラブレードの硬度がショアA50未満であると、ローラブレードが柔らかすぎて、ワークの加工精度が低下することがある。ローラブレードの硬度(ショアA硬度)は、タイプAデュロメーターで硬度測定された値である。
【0069】
ローラブレードの動摩擦係数は、大きい方が好ましい。例えば、ローラブレードの動摩擦係数は、0.2以上であることが好ましく、0.4〜1.2であることが更に好ましく、0.4〜0.85であることが特に好ましい。動摩擦係数が小さいと、ローラブレードが空転してしまい、ワークに対して回転力を付与できないことがある。動摩擦係数は、JIS K 7125に準拠した測定により求めることができる。ローラブレードの動摩擦係数は、以下のような方法で測定することができる。まず、ローラブレードから、平板状の試験片(動摩擦係数測定用の試験片)を採取する。なお、ローラブレードから試験片を採取することが困難な場合には、ローラブレードと同材質の平板を、試験片として用意する。次に、動摩擦係数測定用の試験片を、当該試験片の表面が水平となるように、鉄製の金属板上に配置する。その後、水平に配置した試験片の表面上に、500gのおもりを載置する。次に、金属板上に載置した試験片を1mm/sの速度で引っ張り、この際の、試験片の引張り荷重を測定する。そして、測定した「試験片の引張り荷重」から、ローラブレードの動摩擦係数を求める。
【0070】
ローラブレードの軸方向の長さについては特に制限はない。また、ローラブレードの軸方向に垂直な断面における直径についても特に制限はない。ローラブレードの軸方向に垂直な断面における直径については、以下、単に、「ローラブレードの直径」ということがある。
【0071】
ローラブレードの直径について、特に制限はないが、ローラブレードの直径が、20mmよりも大きく、且つ、ワークの直径と比較して小さいことが好ましい形態の一つである。例えば、ローラブレードの直径は、ワークの直径に対して、150%以下であることが好ましく、105%以下であることが更に好ましく、80%以下であることがより更に好ましく、65%以下であることが特に好ましい。ローラブレードの直径が20mmよりも小さいと、加工負荷がかかった際に、強度不足のために撓みが大きくなり、加工精度が悪化する場合がある。また、ワークの直径に対して150%超えると、研削砥石の回転軸に対する調整車の角度や、ローラブレードの角度が十分に確保できなくなり、十分な駆動力を得られなくなることがある。更に、ローラブレードの周長P1は、ワークの周長P2を、ローラブレードの周長P1で除した値(ワークの周長P2/ローラブレードの周長P1)が割り切れない値となる長さであることが好ましい。すなわち、ローラブレードの周長P1に対する、ワークの周長P2の比(P2/P1)が、整数ではないことが好ましい。このように構成することによって、真円度が良好になるという利点がある。例えば、「ワークの周長P2/ローラブレードの周長P1」が割り切れる値となると、ワークとローラブレードとが、特定の周期で同じ箇所が接触することとなり、当該特定の周期において、ワークの表面に凹凸が形成されることがある。
【0072】
ローラブレードの回転軸は、研削砥石の回転軸に対して傾いていてもよい。このように構成することによって、ローラブレードの回転力をワークに付与することにより、ワークに対して回転軸方向の推進力を発現させることができる。ローラブレードの回転軸と、研削砥石の回転軸とのなす角度は、0〜5°であることが好ましく、1〜4°であることが更に好ましく、2〜3°であることが特に好ましい。
【0073】
ローラブレードの長さは、研削砥石の長さ及び調整車の長さよりも長い限りにおいて、特に制限はなく、ローラブレードの機能に応じて、適宜、最適な長さとすることができる。例えば、ローラブレードは、研削加工前のワークを、研削砥石及び調整車が配置された箇所まで搬送(すなわち、研削砥石と調整車とローラブレードとの間にワークを挿入)するものであってもよい。また、ローラブレードは、研削加工後のワークを、所定の箇所まで搬送(搬出)するものであってもよい。例えば、従来のセンタレス加工機では、ワークの挿入及び搬出については、人の手作業や、別の搬送装置によって行われていた。本実施形態の円柱部材の外周加工装置においては、ローラブレードが自立して回転駆動するため、ワークの挿入及び搬出をローラブレードによって行うことができる。このため、極めて簡便な構成により、連続的にワークに対して研削加工を行うことができるとともに、装置コスト及び製造コストを抑制することができる。
【0074】
また、ローラブレードの回転駆動は、ワンウェイクラッチによって行われることが好ましい。ワンウェイクラッチとは、一方の方向のみに回転駆動力を伝達するクラッチ機構のことである。このように構成することによって、突発的に発生する回転の変化があっても、駆動源と縁切りされているため、駆動源に負荷を与えないという利点がある。例えば、研削砥石とワークとが接触した際に、突発的に勢いよくワークが回転してしまうことがある。特に、形状が悪いワークの場合には、このようなことが生じ易い。その際に、ワークの急激な回転が、ローラブレードを高速に回転させようとする力となり、駆動源に負荷が掛かってしまうことがある。ワンウェイクラッチは、一定速で回転する駆動源と同じ回転方向へは、フリーに回転する機構を有しているため、突発的に高速回転したワークの回転を、ワンウェイクラッチによって逃がして吸収することができる。
【0075】
(1−5)回転駆動源:
本実施形態の円柱部材の外周加工装置は、研削砥石、調整車、及びローラブレードのそれぞれに独立した回転駆動力を付与する回転駆動源を有している。回転駆動源については、研削砥石、調整車、及びローラブレードを、それぞれ独立して回転駆動させることができるものであれば特に制限はない。
【0076】
例えば、回転駆動源としては、サーボモーター、ステッピングモーター、スピードコントロールモーターを挙げることができる。
【0077】
(1−6)円柱部材の外周加工装置のその他の構成:
本実施形態の円柱部材の外周加工装置は、乾式加工、及び湿式加工のいずれの加工にも使用することができる。湿式加工においては、水や切削油などを使用して加工することができる。
【0078】
(1−7)円柱部材の外周加工装置の他の実施形態:
本発明の円柱部材の外周加工装置の他の実施形態について、図6を参照しつつ説明する。図6は、本発明の円柱部材の外周加工装置の他の実施形態を模式的に示す斜視図である。図6に示すように、本実施形態の円柱部材の外周加工装置400は、円柱形状のワーク8の外周面を研削加工することにより、その外周面が研削加工された円柱部材8aを製造するための外周加工装置である。図6に示す円柱部材の外周加工装置400は、調整車4の軸方向の前後(即ち、ワーク8の進行方向の前後)に、ワークの外周面を支持するための、板状の「補助案内板25」を有する点において、図1に示す円柱部材の外周加工装置100と相違している。
【0079】
補助案内板25は、調整車4の軸方向の前後において、ワーク8の側面を補助的に支持するものである。このような補助案内板25を更に有する円柱部材の外周加工装置400は、調整車4の軸方向の前後において、ローラブレード6の回転力をワーク8の外周面に良好に付与することができ、ワーク8を回転軸方向に前進させることができる。図6に示す円柱部材の外周加工装置400は、このような補助案内板25を更に有すること以外は、図1に示す円柱部材の外周加工装置100と同様に構成されていることが好ましい。図6に示す円柱部材の外周加工装置400において、図1に示す円柱部材の外周加工装置100の各構成要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付している。
【0080】
次に、本発明の円柱部材の外周加工装置の更に他の実施形態について、図7及び図8を参照しつつ説明する。図7は、本発明の円柱部材の外周加工装置の更に他の実施形態を模式的に示す斜視図である。図8は、図7に示す円柱部材の外周加工装置の、研削砥石の回転軸に垂直な断面を模式的に示す断面図である。図7及び図8に示すように、本実施形態の円柱部材の外周加工装置500は、円柱形状のワーク8の外周面を研削加工することにより、その外周面が研削加工された円柱部材8aを製造するための外周加工装置である。図7及び図8に示す円柱部材の外周加工装置500は、研削砥石2の回転軸L1に垂直な断面において、ワーク8の回転軸L4が、研削砥石2の回転軸L1と調整車4の回転軸L2とを結ぶ線よりも鉛直下方に位置するように構成されている点が、図1及び図2に示す円柱部材の外周加工装置100と相違している。このように構成された円柱部材の外周加工装置500も、図1及び図2に示す円柱部材の外周加工装置100と同様の作用効果を奏するものである。図7及び図8に示す円柱部材の外周加工装置500において、図1に示す円柱部材の外周加工装置100の各構成要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付している。
【0081】
研削砥石2の回転軸L1に垂直な断面における、ワーク8の回転軸L4、研削砥石2の回転軸L1、及び調整車4の回転軸L2の、それぞれの位置関係については、特に制限ない。但し、図1及び図2に示す円柱部材の外周加工装置100のように、ワーク8の回転軸L4が、研削砥石2の回転軸L1と調整車4の回転軸L2とを結ぶ線よりも鉛直上方に位置するように構成されていることが好ましい。なお、研削砥石2の回転軸L1の垂直な断面については、研削砥石2の回転軸L1方向の中間点での断面とする。上述したように構成することにより、ワーク8に対して、極めて良好に回転力を付与することができる。
【0082】
(2)円柱部材の製造方法:
次に、本発明の円柱部材の製造方法の一の実施形態について説明する。本実施形態の円柱部材の製造方法は、これまでに説明した、本実施形態の円柱部材の外周加工装置を用いて実現することができる。
【0083】
本実施形態の円柱部材の製造方法は、図1及び図2に示すように、円柱形状のワーク8の外周面を研削加工する研削工程を含むものである。研削工程は、円柱形状の研削砥石2と、円柱形状の調整車4と、円柱形状のローラブレード6との間に、円柱形状のワーク8を挟むことによって行われる。そして、この研削工程においては、研削砥石2、調整車4、及びローラブレード6のそれぞれを独立して回転駆動させる。この際、ローラブレード6及び調整車4の少なくとも一方を、研削砥石2に対して、その回転軸(回転軸L3又は回転軸L2)の延びる方向が傾くように配置し、ローラブレード6及び調整車4の回転力を、ワーク8の外周面に付与することにより、ワーク8を回転軸方向に前進させることができる。
【0084】
本実施形態の円柱部材の製造方法によれば、ワークに対して、簡便に且つ連続的にセンタレス加工を行うことができ、円筒度に優れた円柱部材を簡便に製造することができる。特に、本実施形態の円柱部材の製造方法によれば、従来のセンタレス加工機では、研削加工が困難であった、円筒度が悪いワークについても、特段の支障なく研削加工を行うことができ、円筒度に優れた円柱部材を製造することができる。
【0085】
本実施形態の円柱部材の製造方法においては、本実施形態の円柱部材の外周加工装置にて説明した各種の態様を、好適例として採用することができる。例えば、ワークの材質については特に制限はなく、例えば、セラミックス、金属、セラミックス/金属複合材、ガラス、樹脂、繊維強化樹脂、及びゴムからなる群より選択される少なくとも1つの材料を挙げることができる。ワークとして、セラミックス粉末及び溶媒を少なくとも含む原料からなる坏土を押出成形し、含有する水分の少なくとも一部を気化して乾燥した円柱形状のセラミックス成形体を用いた場合に、特段顕著な効果を奏する。
【0086】
研削砥石によるワークの取り代については、特に制限はないが、ワークの取り代が、0.01〜2.0mmであることが好ましく、0.01〜1.2mmであることが更に好ましく、0.01〜0.7mmであることが特に好ましい。また、ローラブレードの直径が、20mmよりも大きく、且つ、ワークの直径と比較して小さいことが好ましい。ローラブレードの直径が、ワークの直径に対して、150%以下であることが好ましく、105%以下であることが更に好ましく、80%以下であることがより更に好ましく、65%以下であることが特に好ましい。ローラブレードの材質は、適切な硬度(硬さ)を有するとともに、十分な摩擦抵抗を有するものであることが好ましい。ローラブレードの摩擦抵抗が大きいと、ワークに対して良好に回転力を付与することができる。ローラブレードの硬度が高いと、ワークの加工精度を向上させることができる。ローラブレードの表面の材質は、調整車と同様の材質を挙げることができる。ローラブレードの表面の材質としては、ウレタンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、天然ゴム、エポキシ樹脂、スポンジ及びフェルトからなる群より選択される少なくとも1つの材料であることが好ましく、ウレタンゴム又はシリコンゴムであることが更に好ましい。また、摩擦抵抗を上げるために、ローラブレードの表面が、以下のような特殊構造を有していることも、好ましい形態の一つである。例えば、ローラブレードの表面に細かい凹凸を有する特殊構造、ローラブレードの表面に硬いセラミックス粒子や硬い粒状のゴムチップが分散している特殊構造などを挙げることができる。また、研削砥石の回転軸に対して、前記ローラブレードの回転軸が傾いていてもよい。
【0087】
本実施形態の円柱部材の製造方法は、ローラブレードによって、研削工程前のワークを、研削砥石及び調整車が配置された箇所まで搬送(すなわち、研削砥石と調整車とローラブレードとの間にワークを挿入)するワーク挿入工程を、更に含んでもよい。また、本実施形態の円柱部材の製造方法は、ローラブレードによって、研削工程によって外周面が研削加工されたワークを搬出するワーク搬送工程を、更に含んでもよい。
【0088】
本実施形態の円柱部材の製造方法は、図1及び図2に示すような、ワーク8の回転軸L4が、研削砥石2の回転軸L1と調整車4の回転軸L2とを結ぶ線よりも鉛直上方に位置するように構成された円柱部材の外周加工装置100を用いて行ってもよい。また、図7及び図8に示すような、ワーク8の回転軸L4が、研削砥石2の回転軸L1と調整車4の回転軸L2とを結ぶ線よりも鉛直下方に位置するように構成された円柱部材の外周加工装置500を用いて行ってもよい。更に、図6に示すような、調整車4の軸方向の前後(ワーク8の進行方向の前後)に、板状の補助案内板25を有する円柱部材の外周加工装置400を用いて行ってもよい。
【0089】
(3)円柱部材の第二の製造方法:
次に、本発明の円柱部材の第二の製造方法の一の実施形態について説明する。本実施形態の円柱部材の第二の製造方法は、これまでに説明した、円柱部材の製造方法(以下、「第一の製造方法」ということがある)とは、円柱形状の調整車を使用する代わりに、板状の案内板を使用する点で相違している。すなわち、本実施形態の円柱部材の第二の製造方法(以下、単に、「第二の製造方法」ということがある)は、円柱形状の研削砥石と、板状の案内板と、円柱形状のローラブレードとの間に、円柱形状のワークを挟み、研削砥石によって、ワークの外周面を研削加工する研削工程を含むものである。この研削工程において、研削砥石、及びローラブレードのそれぞれを独立して回転駆動させる。
【0090】
第二の製造方法においては、ワークを回転軸方向に前進させるために、以下のいずれかの構成を採用することが好ましい。1つ目は、ローラブレードを、案内板とワークとの接触点を結ぶ第一軸に対して、その回転軸が延びる方向が傾くように配置する。2つ目は、ローラブレードを、研削砥石に対して、その回転軸の延びる方向が傾くように配置する。このように構成することによって、ローラブレードの回転力がワークに伝達し、ワークが回転した際に、良好にワークが前進する。
【0091】
このような第二の製造方法は、図3及び図4に示す円柱部材の外周加工装置200を用いて実現することができる。図3は、本発明の円柱部材の製造方法に用いられる円柱部材の外周加工装置を模式的に示す斜視図である。図4は、図3に示す円柱部材の外周加工装置の、研削砥石の回転軸に垂直な断面を模式的に示す断面図である。円柱部材の外周加工装置200は、円柱形状の研削砥石2と、板状の案内板24と、円柱形状のローラブレード6と、回転駆動源12,16と、を備えている。研削砥石2、ローラブレード6、及び回転駆動源12,16については、図1に示す円柱部材の外周加工装置100の各構成要素と同様に構成されていることが好ましい。図3及び図4に示す円柱部材の外周加工装置200において、図1に示す円柱部材の外周加工装置100の各構成要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付している。
【0092】
板状の案内板24は、ワーク8の外周面と接触するように配置され、当該ワーク8が前進する際に、ワーク8を所定方向に誘導するための案内となる。案内板24の材質については、ワークの材質等に応じて適宜決定することができる。特に制限はないが、金属、セラミックス、金属/セラミックス複合材料等を挙げることができる。特に、セラミックス、超硬合金等の耐摩耗性が高い材料が望ましく、これらの溶射、コーティングを行った案内板も好ましい形態の一つである。このような案内板は、案内板の消耗を防ぐことができ、得られるワークの寸法精度を安定させることができる。
【0093】
図3に示すように、案内板24の長さは、研削砥石2の回転軸L1方向の長さと同じであってもよいし、研削砥石2の回転軸L1方向の長さよりも長いものであってもよい。また、例えば、図5に示す円柱部材の外周加工装置300のように、研削砥石2が配置されている箇所に対して、案内板24を有し、この案内板24のワーク8の進行方向の前後に、板状の補助案内板25を更に有するものであってもよい。すなわち、図5に示す円柱部材の外周加工装置300は、案内板24以外に、別の案内板として、補助案内板25を更に有している。補助案内板25は、ワーク8の進行方向の前後において、各ワーク8の側面を補助的に支持するものである。ここで、図5は、本発明の円柱部材の製造方法に用いられる他の円柱部材の外周加工装置を模式的に示す斜視図である。図5に示す円柱部材の外周加工装置300において、図1に示す円柱部材の外周加工装置100の各構成要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付している。
【0094】
また、第二の製造方法においては、図9及び図10に示すような円柱部材の外周加工装置600を用いて実現することもできる。図9及び図10に示す円柱部材の外周加工装置600は、研削砥石2の回転軸L1に垂直な断面において、ワーク8の回転軸L4が、研削砥石2の回転軸L1と、案内板24とワーク8の接点とを結ぶ線よりも鉛直下方に位置するように構成されている点が、図3及び図4に示す円柱部材の外周加工装置200と相違している。ここで、図9は、本発明の円柱部材の製造方法に用いられる更に他の円柱部材の外周加工装置を模式的に示す斜視図である。図10は、図9に示す円柱部材の外周加工装置の、研削砥石の回転軸に垂直な断面を模式的に示す断面図である。図9及び図10に示す円柱部材の外周加工装置600において、図1に示す円柱部材の外周加工装置100の各構成要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付している。
【0095】
更に、第二の製造方法においては、図11に示すような円柱部材の外周加工装置700を用いて実現することもできる。図11に示す円柱部材の外周加工装置700は、図9に示す円柱部材の外周加工装置600に対して、案内板24のワーク8の進行方向の前後に、板状の補助案内板25を更に有するものである。図11は、本発明の円柱部材の製造方法に用いられる更に他の円柱部材の外周加工装置を模式的に示す斜視図である。図11に示す円柱部材の外周加工装置700において、図1に示す円柱部材の外周加工装置100の各構成要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付している。
【0096】
(3−1)第二の円柱部材の外周加工装置:
次に、本発明の第二の円柱部材の外周加工装置の一の実施形態について説明する。本実施形態の第二の円柱部材の外周加工装置は、上述した円柱部材の第二の製造方法において使用される外周加工装置である。以下、第二の円柱部材の外周加工装置を、単に「円柱部材の外周加工装置」ということがある。
【0097】
図3及び図4に示すように、本実施形態の円柱部材の外周加工装置200は、円柱形状の研削砥石2と、板状の案内板24と、円柱形状のローラブレード6と、回転駆動源12,16と、を備えている。研削砥石2は、円柱形状のワーク8の外周面を研削加工するものである。板状の案内板24は、研削砥石2との間にワーク8を挟むようにして配置されている。ローラブレード6は、ワーク8の外周面の下方を支持しながら回転するものである。円柱部材の外周加工装置200においては、以下の2つの構成のうちの少なくとも一方を満たすように構成されている。ローラブレード6が、研削砥石2に対して、その回転軸L3の延びる方向が傾くように配置された構成。案内板24が、研削砥石2に対して、案内板24とワーク8との接触点を結ぶ軸の延びる方向が傾くように配置された構成。そして、円柱部材の外周加工装置200においては、ローラブレード6の回転力をワーク8の外周面に付与することにより、ワーク8を回転軸方向に前進させるように構成されている。
【実施例】
【0098】
(実施例1)
図1及び図2に示すような円柱部材の外周加工装置100を作製した。研削砥石2の直径は、455mm、研削砥石2の長さは、150mmとした。調整車4の直径は、230mm、調整車4の長さは、150mmとした。ローラブレード6の直径は、36mm、ローラブレード6の長さは、780mmとした。
【0099】
研削砥石として、砥粒と、当該砥粒を保持するボンド材とを備えたものを用いた。ボンド材としては、レジンボンドを用い、砥粒(砥材)としては、ダイヤモンド砥粒を用いた。ダイヤモンド砥粒は、番手が#120のものを用いた。調整車の砥材は、ジルコニアとした。ローラブレードの材質は、ウレタンゴムとした。実施例1においては、このウレタンゴムの硬度が、ショアA90である。研削砥石、調整車、及びローラブレードの回転駆動源としては、スピードコントロールモーターを用いた。表1に、研削砥石、調整車、及びローラブレードについて、それぞれの直径(mm)、長さ(mm)、材質を示す。なお、表1の砥粒の材質の欄において、レジンボンドを用いたダイヤモンド砥粒を称して、「レジン」と記す。また、表1の回転駆動源の欄において、ローラブレードが、回転駆動源を有する場合を「有り」と記す。表1の回転駆動源の欄において、ローラブレードが、回転駆動源を有さない場合を「無し」と記す。なお、ウレタンゴムの硬度(ショアA)は、タイプAデュロメーターによって測定した値である。
【0100】
円柱部材の外周加工装置において、研削砥石の回転軸に対して、ローラブレードの回転軸のなす角が、2.3°となるように配置した。また、研削砥石の回転軸に対して、調整車の回転軸のなす角が、2.3°となるように配置した。表2に、研削砥石の回転軸に対する、調整車、及びローラブレードのそれぞれの回転軸の角度(°)を示す。
【0101】
実施例1の円柱部材の外周加工装置を用い、表3に示す、15種類のワークのそれぞれを被加工物として、円筒部材の製造を行った。表3に、ワークの種類を示す。ワーク1〜13は、セラミックス原料からなる坏土を押出成形し、含有する水分の少なくとも一部を気化して乾燥した円柱形状のセラミックス乾燥体である。ワーク1〜4,9〜13は、直径が60mm、長さが120mmであった。ワーク5は、直径60mm、長さ220mmであった。ワーク6は、直径60mm、長さ260mmであった。ワーク7は、直径45mm、長さ120mmであった。ワーク8は、直径80mm、長さ100mmであった。
【0102】
ワーク14は、金属(SUS303)製の円筒体を用いた。ワーク14は、直径60mm、長さ120mmであった。ワーク15は、グラファイト製の円筒体を用いた。ワーク15は、直径60mm、長さ120mmであった。
【0103】
ワーク1〜4について、研削砥石による1回の研削加工(1パス)による取り代を、以下のように設定した。ワーク1〜8の取り代は、0.3mmとした。ワーク9の取り代は、0.01mmとした。ワーク10の取り代は、0.7mmとした。ワーク11の取り代は、1.0mmとした。ワーク12の取り代は、1.2mmとした。ワーク13の取り代は、0.8mmとした。ワーク14の取り代は、0.01mmとした。ワーク15の取り代は、0.05mmとした。表3に、ワーク1〜15のそれぞれの取り代を示す。
【0104】
ワーク1,7〜10、13の円筒度は、0.5である。ワーク2の円筒度は、0.2である。ワーク3の円筒度は、0.8である。ワーク4の円筒度は、1.2である。ワーク5の円筒度は、1.5である。ワーク6の円筒度は、2.0である。ワーク11,12の円筒度は、0.4である。ワーク14の円筒度は、0.02である。ワーク15の円筒度は、0.05である。表3に、ワーク1〜15の円筒度を示す。
【0105】
加工は、ワークの外周全面が削り取られるまで、複数回実施した。すなわち、円筒度に対して取り代が小さく、一回の研削加工(1パス)で十分に外周を除去加工できない場合は、二回(2パス)以上の研削加工を実施した。
【0106】
実施例1の円柱部材の外周加工装置の、研削砥石、調整車、及びローラブレードの周速(m/s)は、以下の通りである。なお、研削砥石の周速(m/s)は、ワークの種類によって変更した。ワーク1〜13の場合、研削砥石の周速は、25m/sとし、調整車の周速は、0.39m/sとし、ローラブレードの周速は、0.39m/sとした。ワーク14,15の場合、研削砥石の周速は、40m/sとし、調整車の周速は、0.39m/sとし、ローラブレードの周速は、0.39m/sとした。表4に、研削砥石、調整車、及びローラブレードの周速(m/s)を示す。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
【表3】
【0110】
【表4】
【0111】
(加工性の評価)
実施例1の円柱部材の外周加工装置の「加工性」について、以下の基準に基づいて評価を行った。加工性の評価は、ワーク1〜15のそれぞれについて、個別に行った。結果を、表5に示す。
評価「優」:ワークの回転が一定(±10%以内)で、連続加工される場合を、評価「優」とする。
評価「良」:ワークは回転し、連続加工可能であるが、ワークの前進速度が遅いか、又は前進速度にバラツキがあり、同一ワークの評価「優」と比べて、50%を超え且つ90%以内の前進速度でワークが加工される場合を、評価「良」とする。
評価「可」:ワークの回転及び前進は継続するが、ワークの前進速度が非常に遅いか、又は前進速度にバラツキが大きく、同一ワークの評価「優」と比べて、ワークの前進速度が50%未満となった場合を、評価「可」とする。
評価「不可」:ワークが途中で回転しなくなり、ワークが前進せず加工不可となる場合を、評価「不可」とする。
【0112】
(円柱部材の外観の評価)
実施例1の円柱部材の外周加工装置によって製造された円柱部材について、以下の基準に基づいて評価を行った。円柱部材の外観の評価は、ワーク1〜15のそれぞれについて、個別に行った。結果を、表5に示す。なお、下記評価における「送りマーク」とは、ワークの回転跡のことである。送りマークは目視で確認でき、凹凸が0.02mm未満のものを薄い送りマーク、凹凸が0.02mm以上のものを送りマークとする。送りマークの凹凸は粗さ計で測定した。結果を、表5に示す。
評価「優」:加工後のワークの円筒度が0.1mm以下で、送りマークが無い場合を、評価「優」とする。
評価「良」:加工後のワークの円筒度が0.1mm超、0.2mm以下で、送りマークが無い場合を、評価「良」とする。
評価「可」:加工後のワークの円筒度が0.2mm以下で、薄い送りマーク(凹凸が0.1mm未満)がある場合を、評価「可」とする。
評価「不可」:加工後のワークの円筒度が0.2mm以上、又は、凹凸が0.1mm以上の送りマークがある場合を、評価「不可」とする。
【0113】
(総合評価)
実施例1の円柱部材の外周加工装置について、以下の基準に基づいて、総合評価を行った。結果を、表5に示す。
評価「合格」:加工性の評価、及び円柱部材の外観の評価の双方において、「優」、「良」、又は「可」の評価である(すなわち、「不可」の評価がない)。
評価「不合格」:加工性の評価、及び円柱部材の外観の評価の少なくとも一方において、「不可」の評価がある。
【0114】
【表5】
【0115】
(実施例2〜7)
研削砥石、調整車、及びローラブレードの構成を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして円柱部材の外周加工装置を作製した。実施例4では、ローラブレードの材質として、硬度がショアA50のウレタンゴムを用いた。実施例5〜7では、調整車及びローラブレードの回転軸の角度を変更した。
【0116】
(実施例8、9)
調整車の代わりに、図3及び図4に示す円柱部材の外周加工装置200に使用されているような案内板24を用いて、実施例8、9の円柱部材の外周加工装置を作製した。表1の「調整車」の「直径(mm)」の欄に、「案内板」と記した場合は、調整車の代わりに案内板を用いたことを意味する。案内板としては、その表面が超硬合金製の板状部材を用いた。表1の「材質」の欄に、「表面超硬板」と記す。また、実施例8、9の円柱部材の外周加工装置は、上記のような案内板を有し、且つ、研削砥石、及びローラブレードの構成を、表1に示すように変更した以外は、実施例1の円柱部材の外周加工装置と同様に構成されたものとした。
【0117】
実施例8の円柱部材の外周加工装置における案内板は、案内板のワークと接触する表面が、鉛直方向に対して平行に配置されるものとした。また、実施例9の円柱部材の外周加工装置における案内板は、研削砥石の回転軸に垂直な断面において、左側にワークが存在する状態で、案内板のワークと接触する表面が、鉛直方向に対して、時計回りに4°傾くように配置した。表1の「取り付け角(°)」の欄に、案内板を配置した際の角度を示す。
【0118】
(比較例1)
ローラブレードが、回転駆動源を有さないこと以外は、実施例1と同様にして円柱部材の外周加工装置を作製した。比較例1の円柱部材の外周加工装置では、ローラブレードが、自律的に回転駆動せず、ワークの回転力により、ローラブレードが回転するものである。
【0119】
(比較例2)
研削砥石、調整車、及びローラブレードのそれぞれの回転軸が、ワークの回転軸と平行となるように構成されていること以外は、実施例1と同様にして円柱部材の外周加工装置を作製した。
【0120】
(比較例3)
実施例1の円柱部材の外周加工装置の「ローラブレード」の代わりに、以下のように構成されたブレードを使用したこと以外は、実施例1と同様にして円柱部材の外周加工装置を作製した。比較例3の円柱部材の外周加工装置の「ブレード」は、鉛直上面が、垂直方向(垂直方向と平行の場合が0°)に対して60°の角度で傾斜した斜面となっており、この斜面にて、ワークの外周面の鉛直下方を支持する。すなわち、比較例3の円柱部材の外周加工装置の「ブレード」は、ローラのように、それ自体が回転しないものである。
【0121】
実施例2〜9、及び比較例1〜3の円柱部材の外周加工装置についても、ワーク1〜15を被加工物として、円筒部材の製造を行った。実施例2〜9、及び比較例1〜3の円柱部材の外周加工装置の「加工性」について、上記基準に基づいて評価を行った。加工性の評価は、ワーク1〜15のそれぞれについて、個別に行った。また、実施例2〜9、及び比較例1〜3の円柱部材の外周加工装置によって製造された円柱部材の「外観」について、上記基準に基づいて、評価を行った。円柱部材の外観の評価は、ワーク1〜15のそれぞれについて、個別に行った。また、実施例2〜9、及び比較例1〜3の円柱部材の外周加工装置について、上記基準に基づいて、総合評価を行った。結果を、表5に示す。
【0122】
(結果)
実施例1〜9の円柱部材の外周加工装置は、ワーク1〜15について、加工性の評価、及び円柱部材の外観の評価の双方において、「優」、「良」、又は「可」の評価結果となり、総合評価において、「合格」となるものであった。特に、実施例1〜9の円柱部材の外周加工装置は、ワーク1のような、ワークの円筒度が悪いものであっても、良好なセンタレス加工を行うことができた。また、実施例1〜9の円柱部材の外周加工装置は、種々の材質のワークに対しても、良好なセンタレス加工を行うことができた。一方、比較例1〜3の円柱部材の外周加工装置は、ワーク1のような、ワークの円筒度が悪いものは、センタレス加工を行うことができなかった。また、比較例1〜3の円柱部材の外周加工装置は、特定の材質のワークについては、ワークの円筒度が良くとも、センタレス加工を行うことができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明の円柱部材の外周加工装置及び円柱部材の製造方法は、円筒度に優れた円柱部材の製造に利用することができる。
【符号の説明】
【0124】
2:研削砥石、4:調整車、6:ローラブレード、8:ワーク、8a:円柱部材、12,14,16:回転駆動源、24:案内板、25:補助案内板、100,200,300,400,500,600,700:円柱部材の外周加工装置、L1:回転軸(研削砥石の回転軸)、L2:回転軸(調整車の回転軸)、L3:回転軸(ローラブレードの回転軸)、L4:回転軸(ワークの回転軸)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11