(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6625488
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備及び人体又は物品の検査方法
(51)【国際特許分類】
G01S 13/89 20060101AFI20191216BHJP
G01S 13/88 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
G01S13/89
G01S13/88
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-124723(P2016-124723)
(22)【出願日】2016年6月23日
(62)【分割の表示】特願2014-90394(P2014-90394)の分割
【原出願日】2014年4月24日
(65)【公開番号】特開2016-191713(P2016-191713A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2017年4月17日
(31)【優先権主張番号】201310356864.2
(32)【優先日】2013年8月15日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503414751
【氏名又は名称】同方威視技術股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】呉 萬龍
(72)【発明者】
【氏名】陳 志強
(72)【発明者】
【氏名】李 元景
(72)【発明者】
【氏名】趙 自然
(72)【発明者】
【氏名】沈 宗俊
(72)【発明者】
【氏名】劉 以農
(72)【発明者】
【氏名】桑 斌
(72)【発明者】
【氏名】劉 文國
【審査官】
渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−536506(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第103197353(CN,A)
【文献】
米国特許第05455590(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 − 7/42
13/00 − 13/95
G01N 21/35 − 21/37
22/00 − 22/04
G01V 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のミリ波信号を送受信するための第1のミリ波送受信アンテナアレイを含む第1のミリ波送受信モジュールと、
第2のミリ波信号を送受信するための第2のミリ波送受信アンテナアレイを含む第2のミリ波送受信モジュールと、
前記第1のミリ波送受信モジュールが摺動可能に接続される第1のガイドレール装置であって、前記第1のミリ波送受信モジュールが前記第1のガイドレール装置に沿って移動して被検体に対して第1の走査を行なうようにする第1のガイドレール装置と、
前記第2のミリ波送受信モジュールが摺動可能に接続される第2のガイドレール装置であって、前記第2のミリ波送受信モジュールが前記第2のガイドレール装置に沿って移動して前記被検体に対して第2の走査を行なうようにする第2のガイドレール装置と、
前記第1のミリ波送受信モジュールを前記第1のガイドレール装置に沿って移動させるように、及び/又は、前記第2のミリ波送受信モジュールを前記第2のガイドレール装置に沿って移動させるように駆動する駆動装置と、
を含み、
前記第1のミリ波送受信モジュールによる前記第1の走査と前記第2のミリ波送受信モジュールによる前記第2の走査とは、いずれも、平面走査であり、
前記駆動装置は、前記第1のミリ波送受信モジュールを個別に直接駆動する第1の駆動装置を含み、前記第1のミリ波送受信モジュールは、前記第1の駆動装置を介して前記第1のガイドレール装置に接続され、
前記駆動装置は、前記第2のミリ波送受信モジュールを個別に直接駆動する、前記第1の駆動装置とは別の第2の駆動装置を含み、前記第2のミリ波送受信モジュールは、前記第2の駆動装置を介して前記第2のガイドレール装置に接続され、
第1のミリ波送受信モジュールと第2のミリ波送受信モジュールが共に被検体を走査する全過程において、少なくとも50%の時間では、前記第1のミリ波信号と前記第2のミリ波信号は周波数が異なる、あるいは、第1のミリ波送受信モジュールと第2のミリ波送受信モジュールが共に被検体を走査する全過程において、前記第1のミリ波送受信アンテナアレイと前記第2のミリ波送受信アンテナアレイは、ミリ波の送信タイミングが異なることを特徴とする、ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備。
【請求項2】
前記第1の走査の方向と前記第2の走査の方向とは、同一方向又は逆方向であることを特徴とする、請求項1に記載のミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備。
【請求項3】
前記第1の走査の方向と前記第2の走査の方向とは、互いに平行である、又は互いに垂直である、又は互いに傾斜角をなすことを特徴とする、請求項1に記載のミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備。
【請求項4】
前記第1のミリ波送受信モジュール及び/又は前記第2のミリ波送受信モジュールは、鉛直方向に移動することを特徴とする、請求項1に記載のミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備。
【請求項5】
前記第1の走査と前記第2の走査は非同期に行われ、異なる走査速度を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備。
【請求項6】
前記ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備は連動装置をさらに含み、前記連動装置は、前記第1のミリ波送受信モジュールと第2のミリ波送受信モジュールを互いに関連して移動させるためのものであり、
前記駆動装置は、前記連動装置、前記第1のミリ波送受信モジュール、第2のミリ波送受信モジュールのうちの少なくとも1つを駆動することにより、前記第1のミリ波送受信モジュール及び第2のミリ波送受信モジュールを移動駆動することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備。
【請求項7】
前記第1のガイドレール装置及び/又は第2のガイドレール装置は、単一のガイドレール又は複数本の平行のガイドレールからなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備。
【請求項8】
前記第1のミリ波送受信モジュール及び/又は前記第2のミリ波送受信モジュールに無線接続又は有線接続されることにより、第1のミリ波送受信モジュール及び/又は前記第2のミリ波送受信モジュールからの走査データを受信してミリ波ホログラムを生成するデータ処理装置と、
前記データ処理装置に接続され、データ処理装置からのミリ波ホログラムを受信して表示する表示装置と、をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備。
【請求項9】
前記データ処理装置は、制御信号を生成して制御信号を前記駆動装置に送信することにより、前記駆動装置によって前記第1のミリ波送受信モジュール及び/又は第2のミリ波送受信モジュールを運動駆動するようにすること;或いは、
前記ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備は、前記データ処理装置とは別の制御装置をさらに含み、前記制御装置は、制御信号を生成して制御信号を前記駆動装置に送信することにより、前記駆動装置によって前記第1のミリ波送受信モジュール及び/又は第2のミリ波送受信モジュールを運動駆動するようにすることを特徴とする、請求項8に記載のミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備。
【請求項10】
ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備を用いて人体又は物品を検査する方法であって、
前記人体又は物品を被検位置に位置させるとともに、第1のミリ波送受信モジュール及び第2のミリ波送受信モジュールをそれぞれの走査開始位置にそれぞれ配置するステップと、
駆動装置によって、第1のミリ波送受信モジュール及び第2のミリ波送受信モジュールを駆動してそれぞれの走査開始位置からそれぞれの走査終止位置まで、それぞれ、第1のガイドレール装置及び第2のガイドレール装置に沿って連続又は断続的に移動させることにより、前記人体又は物品に対する走査を完成するステップと、
走査過程中及び/又は走査終了後に、前記第1のミリ波送受信モジュール及び第2のミリ波送受信モジュールが走査過程中に採集したデータをデータ処理装置へ送信するステップと、
データ処理装置によって、前記第1のミリ波送受信モジュール及び第2のミリ波送受信モジュールからのデータを処理し、前記人体又は物品のミリ波ホログラムを生成するステップと、を含み、
前記第1のミリ波送受信モジュールによる走査と前記第2のミリ波送受信モジュールによる走査とは、いずれも、平面走査であり、
前記駆動装置は、前記第1のミリ波送受信モジュールを個別に直接駆動する第1の駆動装置を含み、前記第1のミリ波送受信モジュールは、前記第1の駆動装置を介して前記第1のガイドレール装置に接続され、
前記駆動装置は、前記第2のミリ波送受信モジュールを個別に直接駆動する、前記第1の駆動装置とは別の第2の駆動装置を含み、前記第2のミリ波送受信モジュールは、前記第2の駆動装置を介して前記第2のガイドレール装置に接続され、
第1のミリ波送受信モジュールと第2のミリ波送受信モジュールが共に被検体を走査する全過程において、少なくとも50%の時間では、前記第1のミリ波信号と前記第2のミリ波信号は周波数が異なる、あるいは、第1のミリ波送受信モジュールと第2のミリ波送受信モジュールが共に被検体を走査する全過程において、前記第1のミリ波送受信アンテナアレイと前記第2のミリ波送受信アンテナアレイは、ミリ波の送信タイミングが異なることを特徴とする、
ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備を用いて人体又は物品を検査する方法。
【請求項11】
第1のミリ波送受信モジュールと第2のミリ波送受信モジュールが前記人体又は物品を走査する全過程において、少なくとも50%の時間では、前記第1のミリ波信号と前記第2のミリ波信号とは、周波数が異なることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1のミリ波送受信モジュールと第2のミリ波送受信モジュールが前記人体又は物品を走査する全過程において、前記第1のミリ波送受信アンテナアレイと前記第2のミリ波送受信アンテナアレイは、ミリ波の送信タイミングが異なることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記人体又は物品のミリ波ホログラムを生成した後、前記人体又は物品に不審物があるか否か、及び不審物の位置を自動的に認識してその結果を出力することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人体安全検査の技術分野に属し、特にミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備及びそれを用いて人体又は物品を検査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、最も多用されるイメージング式の人体又は物品の安全検査技術には、主として、X線イメージング技術及びミリ波イメージング技術がある。そして、ミリ波イメージング技術はますます認められるようになっている。ミリ波イメージング技術は、更に、受動式ミリ波イメージング技術と主動式ミリ波イメージング技術とに分けられる。そのうち、主動式ミリ波イメージング技術には、ホログラフィックイメージング技術が主導的である。
【0003】
人体安全検査に適用される主動式ミリ波三次元ホログラフィックイメージング技術において、柱面走査イメージング技術は広範に用いられるが、その設備の体積が膨大であり、アルゴリズムが複雑である。且つ、理論上、そのアルゴリズムは、近似処理の後に結果を得るため、イメージングの精度を保証し得ない。また、柱面走査では、鉛直のアンテナアレイしかを用いることができないので、アンテナアレイが長く、アンテナユニットが多く、設備のコストを大幅に引き上げている。
【0004】
片面走査の主動式ミリ波三次元ホログラフィックイメージング設備は、1回で、被検者の片面しかを検査することができない。被検者に対する全面検査を完成するために、2回走査の必要がある。また、この2回走査の間では、被検者が体の向きを変える必要があり、安全検査のフローは複雑となり、速度は遅くなる。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージングを迅速で効果的に実現するとともに、システム構造を簡素化することのできるミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備を提供することを目的としている。
【0006】
本発明は、さらに、ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備を用いて人体又は物品を検査する方法を提供することを別の目的としており、この方法によって、全面、便利、迅速な検査を実現することができ、特に人体又は物品に対して安全検査を行なう各種の運用に適する。
【0007】
上記の発明の目的を実現するために、本発明の技術案は以下の形態によって実現される。
【0008】
本発明の1つの方面は、
第1のミリ波信号を送受信するための第1のミリ波送受信アンテナアレイを含む第1のミリ波送受信モジュールと、
第2のミリ波信号を送受信するための第2のミリ波送受信アンテナアレイを含む第2のミリ波送受信モジュールと、
前記第1のミリ波送受信モジュールが摺動可能に接続される第1のガイドレール装置であって、前記第1のミリ波送受信モジュールが前記第1のガイドレール装置に沿って移動して前記被検体に対して第1の走査を行なうようにする第1のガイドレール装置と、
前記第2のミリ波送受信モジュールが摺動可能に接続される第2のガイドレール装置であって、前記第2のミリ波送受信モジュールが前記第2のガイドレール装置に沿って移動して被検体に対して第2の走査を行なうようにする第2のガイドレール装置と、
前記第1のミリ波送受信モジュールを前記第1のガイドレール装置に沿って移動させるように、及び/又は、前記第2のミリ波送受信モジュールを前記第2のガイドレール装置に沿って移動させるように駆動する駆動装置と、
を含み、
前記第1のミリ波送受信モジュールによる前記第1の走査と前記第2のミリ波送受信モジュールによる前記第2の走査とは、いずれも、平面走査である、ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備を提供する。
【0009】
さらに、前記第1の走査の方向と前記第2の走査の方向とは、同一方向又は逆方向であってもよい。
【0010】
さらに、前記第1の走査の方向と前記第2の走査の方向とは、互いに平行である、又は互いに垂直である、又は互いに傾斜角をなしてもよい。
【0011】
さらに、前記第1のミリ波送受信モジュール及び/又は前記第2のミリ波送受信モジュールは、鉛直方向に移動してもよい。
【0012】
さらに、前記第1の走査と前記第2の走査は同期又は非同期に行われてもよい。
【0013】
さらに、前記第1の走査と前記第2の走査は、異なる走査速度を有してもよい。
【0014】
さらに、前記駆動装置は、前記第1のミリ波送受信モジュールを直接駆動する第1の駆動装置を含み、前記第1のミリ波送受信モジュールは、第1の駆動装置を介して第1のガイドレール装置に接続されること、及び/又は、前記駆動装置は、前記第2のミリ波送受信モジュールを直接駆動する第2の駆動装置を含み、前記第2のミリ波送受信モジュールは、第2の駆動装置を介して第2のガイドレール装置に接続されてもよい。
【0015】
さらに、前記ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備は連動装置をさらに含み、前記連動装置は、前記第1のミリ波送受信モジュールと第2のミリ波送受信モジュールを互いに関連して移動させるためのものであり、前記駆動装置は、前記連動装置、前記第1のミリ波送受信モジュール、第2のミリ波送受信モジュールのうちの少なくとも1つを駆動することにより、前記第1のミリ波送受信モジュール及び第2のミリ波送受信モジュールを移動駆動してもよい。
【0016】
さらに、前記第1のガイドレール装置及び/又は第2のガイドレール装置は、単一のガイドレール又は複数本の平行のガイドレールから構成されてもよい。
【0017】
さらに、前記ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備は、
前記第1のミリ波送受信モジュール及び/又は前記第2のミリ波送受信モジュールに無線接続又は有線接続されることにより、第1のミリ波送受信モジュール及び/又は前記第2のミリ波送受信モジュールからの走査データを受信してミリ波ホログラムを生成するデータ処理装置と、
前記データ処理装置に接続され、データ処理装置からのミリ波ホログラムを受信して表示する表示装置と、をさらに含む。
【0018】
さらに、前記データ処理装置は、制御信号を生成して制御信号を前記駆動装置に送信することにより、前記駆動装置によって前記第1のミリ波送受信モジュール及び/又は第2のミリ波送受信モジュールを運動駆動するようにすること;或いは、前記ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備は、前記データ処理装置とは別の制御装置をさらに含み、前記制御装置は、制御信号を生成して制御信号を前記駆動装置に送信することにより、前記駆動装置によって前記第1のミリ波送受信モジュール及び/又は第2のミリ波送受信モジュールを運動駆動するようにする。
さらに、第1のミリ波送受信モジュールと第2のミリ波送受信モジュールが共に被検体を走査する全過程において、少なくとも50%の時間では、前記第1のミリ波信号と前記第2のミリ波信号は周波数が異なる。
【0019】
さらに、第1のミリ波送受信モジュールと第2のミリ波送受信モジュールが共に被検体を走査する全過程において、前記第1のミリ波送受信アンテナアレイと前記第2のミリ波送受信アンテナアレイは、ミリ波の送信タイミングが異なる。
【0020】
本発明の別の方面は、
人体又は物品を被検位置に位置させるとともに、第1のミリ波送受信モジュール及び第2のミリ波送受信モジュールをそれぞれの走査開始位置にそれぞれ配置するステップと、
駆動装置によって、第1のミリ波送受信モジュール及び第2のミリ波送受信モジュールを駆動してそれぞれの走査開始位置からそれぞれの走査終止位置まで、それぞれ、第1のガイドレール装置及び第2のガイドレール装置に沿って連続又は断続的に移動させることにより、前記人体又は物品に対する走査を完成するステップと、
走査過程中及び/又は走査終了後に、前記第1のミリ波送受信モジュール及び第2のミリ波送受信モジュールが走査過程中に採集したデータをデータ処理装置へ送信するステップと、
データ処理装置によって、前記第1のミリ波送受信モジュール及び第2のミリ波送受信モジュールからのデータを処理し、前記人体又は物品のミリ波ホログラムを生成するステップと、を含み、
前記第1のミリ波送受信モジュールによる走査と前記第2のミリ波送受信モジュールによる走査とは、いずれも、平面走査である、
ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備を用いて人体又は物品を検査する方法を提供する。
【0021】
さらに、第1のミリ波送受信モジュールによる走査と第2のミリ波送受信モジュールによる走査とは、異なる走査速度を有してもよい。
【0022】
さらに、第1のミリ波送受信モジュールと第2のミリ波送受信モジュールが前記人体又は物品を走査する全過程において、少なくとも50%の時間では、前記第1のミリ波信号と前記第2のミリ波信号とは、周波数が異なる。
【0023】
さらに、第1のミリ波送受信モジュールと第2のミリ波送受信モジュールが前記人体又は物品を走査する全過程において、前記第1のミリ波送受信アンテナアレイと前記第2のミリ波送受信アンテナアレイは、ミリ波の送信タイミングが異なる。
【0024】
さらに、前記人体又は物品のミリ波ホログラムを生成した後、前記人体又は物品に不審物があるか否か、及び不審物の位置を自動的に認識してその結果を出力する。
【0025】
本発明の上記技術案における少なくとも1つの方面は、少なくとも2つのミリ波送受信モジュールによって被検体に対する双平面走査を実現することができる。このような案では、走査速度及び正確性を向上させることができ、走査操作を簡略化して設備運用の柔軟性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施例にかかるミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備の構造模式図
【
図2】本発明の実施例にかかる人体又は物品の検査方法のフローチャート
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、実施例によって、図面を用いながら、本発明の技術案をさらに具体的に説明する。明細書において、同じ又は類似の図面標記は同じ又は類似の部品を示す。図面を参照する本発明の実施形態に対する下記の説明は、本発明の全体的な技術思想を説明するためのものであり、本発明を制限するためのものではない。
【0028】
図1は本発明の1つの実施例にかかるミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備100を模式的に示す。該ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備100は、第1のミリ波送受信モジュール101、第2のミリ波送受信モジュール102、第1のガイドレール装置103、第2のガイドレール装置104及び駆動装置105a,105bを含んでもよい。第1のミリ波送受信モジュール101は、第1のミリ波信号を送受信するための第1のミリ波送受信アンテナアレイを含む。且つ、第1のミリ波送受信モジュール101は、前記第1のガイドレール装置103に摺動可能に接続されることにより、前記第1のガイドレール装置103に沿って移動して被検体110に対して第1の走査を行なうことが可能である。同様に、第2のミリ波送受信モジュール102は、第2のミリ波信号を送受信するための第2のミリ波送受信アンテナアレイを含むとともに、前記第2のガイドレール装置104に摺動可能に接続されることにより、前記第2のガイドレール装置104に沿って移動して前記被検体110に対して第2の走査を行なうことが可能である。
【0029】
即ち、本発明によるミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備100によって、被検体110に対して2つの方位からの走査を同時に行なうことができ、例えば、被検体110(例えば人体又は物品)の正面と背面に対して同時に走査を行なうことができる。これは、検査効率を著しく向上させることができる。例えば、被検体110が人体である場合、体の向きを変える必要がなく、人体の正面と背面に対して同時に走査を行なうことができる。これは、検査効率の向上に非常に寄与する。前記第1のミリ波送受信モジュールによる前記第1の走査及び前記第2のミリ波送受信モジュールによる前記第2の走査は、いずれも、平面走査であり、柱面走査ではない。柱面走査に比べて、平面走査に要するミリ波ホログラフィックイメージングのアルゴリズムの方が簡単且つ精確である。また、平面走査は、任意の走査方向(例えば、鉛直、水平又は傾斜など)に沿って行なわれてもよいのに対して、柱面走査は、水平方向の円弧形軌跡のみに沿って行われる。したがって、本発明によるダブル平面走査の技術案は、柔軟性が従来技術における柱面走査よりも、明らかによい。
【0030】
なお、
図1は、第1のミリ波送受信モジュール101と第2のミリ波送受信モジュール102を対向に配置する場合を示しているが、これに限定されない。例えば、ある特定の方位(例えば被検体110の斜め前方又は斜め後方など)から、よりよい画像効果を得るために、第1のミリ波送受信モジュール101と第2のミリ波送受信モジュール102を対向に配置せず、それらのミリ波信号の送信方向が所定の角度を有するように配置してもよい。
【0031】
駆動装置105a,105bは、前記第1のミリ波送受信モジュール101を前記第1のガイドレール装置103に沿って移動させ、及び/又は、前記第2のミリ波送受信モジュール102を前記第2のガイドレール装置104に沿って移動させるように駆動する。
図1は、前記第1のミリ波送受信モジュール101を直接駆動する第1の駆動装置105a、並びに、前記第2のミリ波送受信モジュール102を直接駆動する第2の駆動装置105bを示している。しかしながら、これらの駆動装置は、必須のものではない。例えば、ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備100は、駆動装置105a,105bのうちの一方のみを含んでもよい。2つ以上の駆動装置を含む場合、第1のミリ波送受信モジュール101及び/又は第2のミリ波送受信モジュール102を駆動して走査動作を実現し得るのであれば、これらの駆動装置は独立に作動してもよく、協働してもよい。上記第1の駆動装置105a及び/又は第2の駆動装置105bを用いる場合には、第1のミリ波送受信モジュール101が第1の駆動装置105aを介して第1のガイドレール装置103に接続され、及び/又は、第2のミリ波送受信モジュール102が第2の駆動装置105bを介して第2のガイドレール装置104に接続されてもよい。
【0032】
1つの例示として、第1のミリ波送受信モジュール101による第1の走査の方向と、第2のミリ波送受信モジュール102による第2の走査の方向とは、同じであってもよい。このような場合、例えば、被検体110の同一局所の異なる角度の画像を素早く得ることができる。別の例示として、第1のミリ波送受信モジュール101による第1の走査の方向と、第2のミリ波送受信モジュール102による第2の走査の方向とは、逆であってもよい。そうすると、それらの位置は走査過程において殆ど対向しない。したがって、第1のミリ波送受信モジュール101と第2のミリ波送受信モジュール102との間の妨害を低減することができる。
【0033】
図1は、第1のミリ波送受信モジュール101による第1の走査の方向と第2のミリ波送受信モジュール102による第2の走査の方向とが互いに平行であることを示しているが、当業者であれば理解できるように、これに限定されない。第1のミリ波送受信モジュール101による第1の走査の方向と、第2のミリ波送受信モジュール102による第2の走査の方向とは、互いに垂直であってもよく、或いは、互いに傾斜角をなしてもよい。第1のミリ波送受信モジュール101と第2のミリ波送受信モジュール102におけるミリ波送受信アンテナアレイの長さには限界があるので、実際には、ミリ波送受信アンテナアレイの長さをできるだけ充分に利用してコストを節約するために、特に細長い物体のような走査対象から走査方向を確定することが望ましい。例えば、前記第1の走査の方向と前記第2の走査の方向を可変に設置することにより、使用者の必要に応じて走査方向を調整することができるようになる。これは、円柱走査が実現し得ない効果である。
【0034】
1つの例示として、第1のミリ波送受信モジュール101及び/又は第2のミリ波送受信モジュール102の移動は、鉛直方向において行われてもよい。これは、立っている人体を走査するのに特に有利である。三次元ホログラムを同期に形成するように、前記第1の走査と前記第2の走査を同期に行うことが可能である。しかしながら、被検体110の異なる面に対して異なる走査要求を有してもよいため、前記第1の走査と前記第2の走査とを非同期に行うことも可能である。例えば、被検体110の一側面又はある局所に精密な走査を必要とすることに対して、被検体110のほかの部位に簡略な走査だけで十分である場合がある。このような場合に、前記第1の走査及び前記第2の走査に対し、非同期で個別に制御しても良い。同様に、異なる走査要求に応じるように、前記第1の走査と前記第2の走査は、異なる走査速度を有してもよい。ひいては、前記第1の走査及び前記第2の走査の速度は、連続変化又は間欠変化してもよい。
【0035】
1つの例示として、ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備100は、連動装置をさらに含んでもよい。前記連動装置は、前記第1のミリ波送受信モジュール101と第2のミリ波送受信モジュール102を互いに関連して移動させるためのものである。例えば、連動装置は、前記第1のミリ波送受信モジュール101と第2のミリ波送受信モジュール102の運動速度を等しく又は所定の速度差を有するようにしてもよく、運動過程において前記第1のミリ波送受信モジュール101と第2のミリ波送受信モジュール102とが所定の間隔又は位相差などを保つようにしてもよい。連動装置は、前記第1のミリ波送受信モジュール101と第2のミリ波送受信モジュール102を接続する機械ベルトによって実現されてもよく、気動、油圧、磁界、又は静電素子によって第1のミリ波送受信モジュール101及び第2のミリ波送受信モジュール102を拘束することによって実現されてもよい。ひいては、連動装置は、第1のミリ波送受信モジュール101及び第2のミリ波送受信モジュール102に対する駆動制御信号における拘束条件によって実現されてもよい。連動装置は、第1のミリ波送受信モジュール101及び第2のミリ波送受信モジュール102に対する運動拘束を実現し得るだけでなく、それらの運動の安定性及び信頼性を向上させることもでき、ひいては、第1のミリ波送受信モジュール101及び第2のミリ波送受信モジュール102の非常時安全防護として機能できる。
【0036】
連動装置を用いる場合、駆動装置は、前記連動装置、前記第1のミリ波送受信モジュール101、第2のミリ波送受信モジュール102のうちの一方或いは多者を駆動することにより、前記第1のミリ波送受信モジュール101及び第2のミリ波送受信モジュール102を移動駆動することが可能である。
【0037】
1つの例示として、第1のガイドレール装置103と前記第2のガイドレール装置104は互いに略平行であってもよい。しかしながら、これに限定されない。例えば、配置の便宜上、それらは所定の傾斜角度をなしてもよい。1つの例示として、第1のガイドレール装置103及び/又は第2のガイドレール装置104は単一のガイドレールから構成されてもよく、複数本の平行のガイドレールから構成されてもよい。後者の場合、第1のミリ波送受信モジュール101及び/又は第2のミリ波送受信モジュール102の移動をより安定にすることができる。
【0038】
1つの例示として、該ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備100は、データ処理装置107をさらに含んでもよい。データ処理装置107は、第1のミリ波送受信モジュール101及び/又は第2のミリ波送受信モジュール102に無線又は有線(例えば、リード線108を介して)で接続されることにより、第1のミリ波送受信モジュール101及び/又は前記第2のミリ波送受信モジュール102からの走査データを受信してミリ波ホログラムを生成する。該ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備100は、表示装置109をさらに含んでもよい。表示装置109は、データ処理装置107に接続され、データ処理装置107からのミリ波ホログラムを受信して表示するものである。
【0039】
1つの例示として、データ処理装置107は、制御信号を生成して駆動装置105a,105bに送信することにより、前記駆動装置105a,105bが第1のミリ波送受信モジュール101及び/又は第2のミリ波送受信モジュール102を移動駆動するようにする。別の例示として、ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備100は、前記データ処理装置107とは別の制御装置を含んでもよい。この制御装置は、制御信号を生成して駆動装置105a,105bに送信することにより、駆動装置105a,105bが第1のミリ波送受信モジュール101及び/又は第2のミリ波送受信モジュール102を駆動して走査運動を実現するようにする。
【0040】
第1のミリ波送受信モジュール101と第2のミリ波送受信モジュール102との間の信号妨害を低減するために、1つの例示として、第1のミリ波送受信モジュール101と第2のミリ波送受信モジュール102が共に被検体110を走査する全過程において、少なくとも50%の時間では、例えば第1のミリ波送受信モジュール101と第2のミリ波送受信モジュール102との距離が比較的近い時間帯では、或いは、走査過程の全時間帯では、第1のミリ波送受信モジュール101が送受信する第1のミリ波信号と、第2のミリ波送受信モジュール102が送受信する第2のミリ波信号とは、異なる周波数を用いる。
【0041】
別の例示として、第1のミリ波送受信モジュール101と第2のミリ波送受信モジュール102が共に被検体110を走査する全過程において、第1のミリ波送受信モジュール101における第1のミリ波送受信アンテナアレイと第2のミリ波送受信モジュール102における第2のミリ波送受信アンテナアレイとは、ミリ波の送信タイミングが異なり、即ち、ミリ波を同時に送信しない。これによっても、第1のミリ波送受信モジュール101と第2のミリ波送受信モジュール102との間の信号妨害を低減又は防止することができる。
【0042】
図1に示す例示において、被検体110(図示は人体)は第1のミリ波送受信モジュール101と第2のミリ波送受信モジュール102の間に位置している。第1のミリ波送受信モジュール101と第2のミリ波送受信モジュール102は、それぞれ、被検体110の正面と背面を走査することにより、データ処理装置107がミリ波画像を生成するのに要するデータを得ることができる。しかしながら、これに限定されない。第1のミリ波送受信モジュール101と第2のミリ波送受信モジュール102とは、被検体110の任意の面を走査することができる。
【0043】
図2に示すように、本発明は、ミリ波三次元ホログラフィック走査イメージング設備を用いて人体又は物品を検査する方法をさらに提供する。前記方法は下記のステップを含む。
【0044】
ステップ301:前記人体又は物品を被検位置に位置させるとともに、第1のミリ波送受信モジュール101及び第2のミリ波送受信モジュール102をそれぞれの走査開始位置に配置する;
ステップ302:駆動装置105a,105b,105c,105dの駆動によって、第1のミリ波送受信モジュール101及び第2のミリ波送受信モジュール102は、それぞれの走査開始位置から、それぞれ第1のガイドレール装置103及び第2のガイドレール装置104に沿って、それぞれの走査終止位置まで連続又は断続的に移動することにより、前記人体又は物品に対する走査を完成する;
ステップ303:走査過程中及び/又は走査終了後に、第1のミリ波送受信モジュール101及び第2のミリ波送受信モジュール102が走査過程中に採集したデータをデータ処理装置107へ送信する;及び
ステップ304:データ処理装置107によって、第1のミリ波送受信モジュール101及び第2のミリ波送受信モジュール102からのデータを処理し、前記人体又は物品のミリ波ホログラムを生成する。
【0045】
上記ステップ302において、前記第1のミリ波送受信モジュール101による走査及び前記第2のミリ波送受信モジュール102による走査は、いずれも、平面走査である。
【0046】
前述の通り、第1のミリ波送受信モジュール101及び第2のミリ波送受信モジュール102の走査過程において、第1のミリ波送受信モジュール101による走査と第2のミリ波送受信モジュール102による走査とは、同一又は異なる走査速度を有してもよい。
【0047】
第1のミリ波送受信モジュール101と第2のミリ波送受信モジュール102との間の信号妨害を低減するために、ステップ302において、前述のとおり、周波数区分方式(第1のミリ波送受信モジュール101と第2のミリ波送受信モジュール102とが異なる周波数でミリ波を送受信する)又はタイミング区分方式(第1のミリ波送受信モジュール101と第2のミリ波送受信モジュール102とが異なるタイミングでミリ波を送信する)を用いてもよい。
【0048】
1つの例示として、上記方法は下記のステップ305をさらに含んでもよい。
【0049】
ステップ305:前記人体又は物品のミリ波ホログラムを生成した後、前記人体又は物品に不審物があるか否か、及び不審物の位置を自動的に認識して結果を出力する。これは、不審物の迅速判別及び危険の防止に寄与する。これは、空港、税関などの、安全リスクを迅速に判別する必要のある場合に特に有益である。
【0050】
図面を用いながら本発明を説明したが、図面に開示された実施例は、本発明の好ましい実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明を制限するためのものではない。
【0051】
本発明の全体的な技術思想に属する一部の実施例は既に例示され説明されているが、当業者であれば認識できるように、本発明による全体的な技術思想の原則及び趣旨から背離しない前提で、これらの実施例を変更することができるのは明らかである。本発明の範囲は保護請求の範囲及びそれらの等価物に限定されるものである。