特許第6625777号(P6625777)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社半導体エネルギー研究所の特許一覧
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6625777
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】発光素子用材料、及び正孔輸送層用材料
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20191216BHJP
   C07D 209/86 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   H05B33/22 D
   H05B33/14 B
   C07D209/86
【請求項の数】8
【全頁数】213
(21)【出願番号】特願2019-81798(P2019-81798)
(22)【出願日】2019年4月23日
(62)【分割の表示】特願2018-59613(P2018-59613)の分割
【原出願日】2008年12月3日
(65)【公開番号】特開2019-135257(P2019-135257A)
(43)【公開日】2019年8月15日
【審査請求日】2019年4月26日
(31)【優先権主張番号】特願2007-312509(P2007-312509)
(32)【優先日】2007年12月3日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2008-129917(P2008-129917)
(32)【優先日】2008年5月16日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】野村 洸子
(72)【発明者】
【氏名】尾坂 晴恵
(72)【発明者】
【氏名】牛窪 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】川上 祥子
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 哲史
(72)【発明者】
【氏名】下垣 智子
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5268208(JP,B2)
【文献】 特許第5785290(JP,B2)
【文献】 特許第5268202(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0231503(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
H01L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される発光素子用材料(ただし、重水素で置換されたものを除く)。
【化1】
[この文献は図面を表示できません]

(式(1)中、α、α、α、αは、それぞれ、下記式(2−1)を表し、Arは、下記式(1−1)を表し、Arは、環を形成する炭素数が13以下のアリール基を表し、Rは、水素原子を表し、Rは、炭素数1〜6のアルキル基、置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のビフェニル基のいずれかを表す。また、lは、0であり、mは、0または1であり、nは、0である。)
【化2】
[この文献は図面を表示できません]

(式(1−1)中、R111〜R115は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基のいずれかを表す。R116、R117は、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基を表す。R118、R119は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基のいずれかを表す。)
【化3】
[この文献は図面を表示できません]

(式(2−1)中、R11、R12、R14、R15は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基のいずれかを表す。)
【請求項2】
下記式(1)で表される発光素子用材料(ただし、重水素で置換されたものを除く)。
【化4】
[この文献は図面を表示できません]

(式(1)中、α、α、α、αは、それぞれ、下記式(2−1)を表し、Arは、下記式(1−1)を表し、Arは、環を形成する炭素数が13以下のアリール基を表し、Rは、水素原子を表し、Rは、置換又は無置換のフェニル基を表す。また、lは、0であり、mは、0または1であり、nは、0である。)
【化5】
[この文献は図面を表示できません]

(式(1−1)中、R111〜R115は、それぞれ、水素原子を表す。R116、R117は、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基を表す。R118、R119は、それぞれ、水素原子を表す。)
【化6】
[この文献は図面を表示できません]

(式(2−1)中、R11、R12、R14、R15は、それぞれ、水素原子を表す。)
【請求項3】
下記式(1)で表される発光素子用材料(ただし、重水素で置換されたものを除く)。
【化7】
[この文献は図面を表示できません]

(式(1)中、α、α、α、αは、それぞれ、下記式(2−1)を表し、Arは、下記式(1−1)を表し、Arは、環を形成する炭素数が13以下のアリール基を表し、Rは、水素原子を表し、Rは、フェニル基を表す。また、lは、0であり、mは、0または1であり、nは、0である。)
【化8】
[この文献は図面を表示できません]

(式(1−1)中、R111〜R115は、それぞれ、水素原子を表す。R116、R117は、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基を表す。R118、R119は、それぞれ、水素原子を表す。)
【化9】
[この文献は図面を表示できません]

(式(2−1)中、R11、R12、R14、R15は、それぞれ、水素原子を表す。)
【請求項4】
下記式(1)で表される発光素子用材料(ただし、重水素で置換されたものを除く)。
【化10】
[この文献は図面を表示できません]

(式(1)中、α、α、α、αは、それぞれ、下記式(2−1)を表し、Arは、下記式(1−1)を表し、Arは、環を形成する炭素数が13以下のアリール基を表し、Rは、水素原子を表し、Rは、フェニル基を表す。また、lは、0であり、mは、0または1であり、nは、0である。)
【化11】
[この文献は図面を表示できません]

(式(1−1)中、R111〜R115は、それぞれ、水素原子を表す。R116、R117は、それぞれ、メチル基を表す。R118、R119は、それぞれ、水素原子を表す。)
【化12】
[この文献は図面を表示できません]

(式(2−1)中、R11、R12、R14、R15は、それぞれ、水素原子を表す。)
【請求項5】
下記式(1)で表される正孔輸送層用材料(ただし、重水素で置換されたものを除く)。
【化13】
[この文献は図面を表示できません]

(式(1)中、α、α、α、αは、それぞれ、下記式(2−1)を表し、Arは、下記式(1−1)を表し、Arは、環を形成する炭素数が13以下のアリール基を表し、Rは、水素原子を表し、Rは、炭素数1〜6のアルキル基、置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のビフェニル基のいずれかを表す。また、lは、0であり、mは、0または1であり、nは、0である。)
【化14】
[この文献は図面を表示できません]

(式(1−1)中、R111〜R115は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基のいずれかを表す。R116、R117は、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基を表す。R118、R119は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基のいずれかを表す。)
【化15】
[この文献は図面を表示できません]

(式(2−1)中、R11、R12、R14、R15は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基のいずれかを表す。)
【請求項6】
下記式(1)で表される正孔輸送層用材料(ただし、重水素で置換されたものを除く)。
【化16】
[この文献は図面を表示できません]

(式(1)中、α、α、α、αは、それぞれ、下記式(2−1)を表し、Arは、下記式(1−1)を表し、Arは、環を形成する炭素数が13以下のアリール基を表し、Rは、水素原子を表し、Rは、置換又は無置換のフェニル基を表す。また、lは、0であり、mは、0または1であり、nは、0である。)
【化17】
[この文献は図面を表示できません]

(式(1−1)中、R111〜R115は、それぞれ、水素原子を表す。R116、R117は、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基を表す。R118、R119は、それぞれ、水素原子を表す。)
【化18】
[この文献は図面を表示できません]

(式(2−1)中、R11、R12、R14、R15は、それぞれ、水素原子を表す。)
【請求項7】
下記式(1)で表される正孔輸送層用材料(ただし、重水素で置換されたものを除く)。
【化19】
[この文献は図面を表示できません]

(式(1)中、α、α、α、αは、それぞれ、下記式(2−1)を表し、Arは、下記式(1−1)を表し、Arは、環を形成する炭素数が13以下のアリール基を表し、Rは、水素原子を表し、Rは、フェニル基を表す。また、lは、0であり、mは、0または1であり、nは、0である。)
【化20】
[この文献は図面を表示できません]

(式(1−1)中、R111〜R115は、それぞれ、水素原子を表す。R116、R117は、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基を表す。R118、R119は、それぞれ、水素原子を表す。)
【化21】
[この文献は図面を表示できません]

(式(2−1)中、R11、R12、R14、R15は、それぞれ、水素原子を表す。)
【請求項8】
下記式(1)で表される正孔輸送層用材料(ただし、重水素で置換されたものを除く)。
【化22】
[この文献は図面を表示できません]

(式(1)中、α、α、α、αは、それぞれ、下記式(2−1)を表し、Arは、下記式(1−1)を表し、Arは、環を形成する炭素数が13以下のアリール基を表し、Rは、水素原子を表し、Rは、フェニル基を表す。また、lは、0であり、mは、0または1であり、nは、0である。)
【化23】
[この文献は図面を表示できません]

(式(1−1)中、R111〜R115は、それぞれ、水素原子を表す。R116、R117は、それぞれ、メチル基を表す。R118、R119は、それぞれ、水素原子を表す。)
【化24】
[この文献は図面を表示できません]

(式(2−1)中、R11、R12、R14、R15は、それぞれ、水素原子を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルバゾール誘導体、カルバゾール誘導体を用いた発光素子、発光装置、お
よび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence)を利用
した発光素子の研究開発が盛んに行われている。これら発光素子の基本的な構成は、一対
の電極間に発光性の物質を含む層を挟んだものである。この素子に電圧を印加することに
より、発光性の物質からの発光を得ることができる。
【0003】
このような発光素子は自発光型であるため、液晶ディスプレイに比べ画素の視認性が高
く、バックライトが不要である等の利点があり、フラットパネルディスプレイ素子として
好適であると考えられている。また、このような発光素子は、薄型軽量に作製できること
も大きな利点である。さらに非常に応答速度が速いことも特徴の一つである。
【0004】
そして、これらの発光素子は膜状に形成することが可能であるため、大面積の素子を形
成することにより、面状の発光を容易に得ることができる。このことは、白熱電球やLE
Dに代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色であるため、
照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
【0005】
そのエレクトロルミネッセンスを利用した発光素子は、発光性の物質が有機化合物であ
るか、無機化合物であるかによって大別できるが、発光性の物質に有機化合物を用いる場
合、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子および正孔がそれぞれ発
光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャリア(電子お
よび正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起
状態が基底状態に戻る際に発光する。
【0006】
このようなメカニズムから、このような発光素子は電流励起型の発光素子と呼ばれる。
なお、有機化合物が形成する励起状態の種類としては、一重項励起状態と三重項励起状態
が可能であり、一重項励起状態からの発光が蛍光、三重項励起状態からの発光が燐光と呼
ばれている。
【0007】
このような発光素子に関しては、その素子特性を向上させる上で、物質に依存した問題
が多く、これらを克服するために素子構造の改良や物質開発等が行われている。(例えば
、非特許文献1)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Meng−Huan Ho,Yao−Shan Wu and Chin H. Chen, 2005 SID International Symposium Digest of Technical Papers, Vol.XXXVI. p802−805
【0009】
非特許文献1に記載の発光素子では、発光層と接する層として、4,4’−ビス[N−
(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)が用いられている。しか
しながら、NPBは一重項励起エネルギーが低く、励起状態の発光材料からエネルギー移
動してしまう可能性がある。特に、短波長である青色を発光する発光材料の場合には、励
起状態のエネルギー準位が高いため、NPBへエネルギーが移動してしまう可能性がより
高い。NPBへエネルギーが移動してしまうと、発光素子の発光効率が低下してしまうと
いう問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明では、新規のカルバゾール誘導体を提供することにより、発光効率の高
い発光素子を提供することを目的とする。さらに、消費電力が少なく、駆動電圧の低い発
光装置および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一は、下記一般式(1)で表されるカルバゾール誘導体である。
【化1】
[この文献は図面を表示できません]

(式中、α、α、α、αは、環を形成する炭素数が13以下のアリーレン基を表
し、Ar、Arは、環を形成する炭素数が13以下のアリール基を表し、Rは、水
素原子、炭素数1〜6のアルキル基、置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のビ
フェニル基のいずれかを表し、Rは、炭素数1〜6のアルキル基、置換又は無置換のフ
ェニル基、置換又は無置換のビフェニル基のいずれかを表す。また、l、m、nは、それ
ぞれ独立に0または1である。)
【0012】
また、上記構成において、一般式(1)中のα〜αは、下記一般式(2−1)〜一
般式(2−12)で表されるいずれか一であることを特徴とする。
【化2】
[この文献は図面を表示できません]

(式中、R11〜R16、R21〜R30、R31〜R38、R41〜R45は、それぞ
れ、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基のいずれかを表す
。R46、R47は、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基のいずれかを表
す。また、R46とR47は、互いに結合し、環を形成しても良い。R48は、水素原子
、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基のいずれかを表す。)
【0013】
また、上記構成において、一般式(1)中のArおよびArは、一般式(3−1)
〜一般式(3−6)で表されるいずれか一であることを特徴とする。
【化3】
[この文献は図面を表示できません]

(式中、R51〜R56、R61〜R70、R71〜R78、R81〜R85は、それぞ
れ、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基のいずれかを表す
。R86、R87は、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基のいずれかを表
す。また、R86とR87は、互いに結合し、環を形成しても良い。R88、R89は、
水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基のいずれかを表す。)
【0014】
さらに、上記構成において、前記一般式(1)中のRは、一般式(4−1)〜一般式
(4−9)で表されるいずれか一であり、Rは、一般式(4−2)〜一般式(4−9)
で表されるいずれか一であることを特徴とする。
であることを特徴とする。
【化4】
[この文献は図面を表示できません]

(式中、R51〜R70は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビフェ
ニル基のいずれかを表す。)
【0015】
また、本発明の一は、下記構造式(5)〜(8)で表されるいずれか一であることを特
徴とする。
【0016】
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
【0017】
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
【0018】
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
【0019】
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
【0020】
また、本発明の別の構成は、一対の電極間にEL層を有する発光素子であって、EL層
は、発光層と正孔輸送層とを少なくとも有し、発光層、正孔輸送層の少なくとも一に上記
記載のカルバゾール誘導体を含むことを特徴とする。
【0021】
さらに、本発明の別の構成は、陽極と陰極との間にEL層を有する発光素子であって、
EL層は、発光層、正孔輸送層、および正孔注入層とを少なくとも有し、正孔注入層は、
前記陽極と接して形成され、発光層、正孔輸送層、正孔注入層の少なくとも一に上記記載
のカルバゾール誘導体を含むことを特徴とする。
【0022】
また、上記構成において、正孔注入層が上記記載のカルバゾール誘導体と、前記カルバ
ゾール誘導体に対して電子受容性を示す無機化合物とを含む構成としてもよい。なお、無
機化合物としては、遷移金属の酸化物を用いることができる。さらに、無機化合物として
は、チタン酸化物、バナジウム酸化物、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、レニウ
ム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、
タンタル酸化物、銀酸化物のいずれか一種もしくは複数種を用いることができる。
【0023】
さらに、本発明の別の構成は、上記に記載の発光素子を用いて形成されたことを特徴と
する発光装置である。また、発光装置を用いて形成されたことを特徴とする電子機器であ
る。
【0024】
また、本発明は、上述した発光素子を有する発光装置および発光装置を有する電子機器
も範疇に含めるものである。本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光
デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、発光装置にコネクター、例えば
FPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tap
e Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carr
ier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプ
リント配線板が設けられたモジュール、または発光素子にCOG(Chip On Gl
ass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含む
ものとする。
【発明の効果】
【0025】
本発明のカルバゾール誘導体は、高い正孔輸送性を示すことから、主に発光素子のEL
層を構成する正孔輸送層に用いることができる。また、本発明のカルバゾール誘導体を正
孔輸送層に用いて発光素子を形成することにより、発光効率の高い発光素子を形成するこ
とができる。
【0026】
さらにこの発光素子を用いることにより、消費電力が少なく、駆動電圧の低い発光装置
、および電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施の形態2における発光素子の積層構造を示す図。
図2】実施の形態2における発光素子の発光の態様を示す図。
図3】実施の形態3における発光素子の積層構造を示す図。
図4】実施の形態4におけるアクティブマトリクス型の発光装置を示す図。
図5】実施の形態4におけるパッシブマトリクス型の発光装置を示す図。
図6】実施の形態5における電子機器を示す図。
図7】本発明の発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置を示す図。
図8】本発明の発光装置を用いた電気スタンドを示す図。
図9】本発明の発光装置を用いた室内照明装置を示す図。
図10】PCBA1BP(略称)のH NMRチャートを示す図。
図11】PCBA1BP(略称)の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図。
図12】PCBBi1BP(略称)のH NMRチャートを示す図。
図13】PCBBi1BP(略称)の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図。
図14】PCBAF(略称)のH NMRチャートを示す図。
図15】PCBAF(略称)の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図。
図16】PCBASF(略称)のH NMRチャートを示す図。
図17】PCBASF(略称)の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図。
図18】実施例5における発光素子の素子構造を示す図。
図19】発光素子1および発光素子2の電流密度−輝度特性を示す図。
図20】発光素子1および発光素子2の電圧−輝度特性を示す図。
図21】発光素子1および発光素子2の輝度−電流効率特性を示す図。
図22】発光素子1および発光素子2の電圧−電流特性を示す図。
図23】発光素子1および発光素子2の発光スペクトルを示す図。
図24】発光素子1および発光素子2の定電流駆動による連続点灯試験結果を示す図。
図25】発光素子1および発光素子3の電流密度−輝度特性を示す図。
図26】発光素子1および発光素子3の電圧−輝度特性を示す図。
図27】発光素子1および発光素子3の輝度−電流効率特性を示す図。
図28】発光素子1および発光素子3の電圧−電流特性を示す図。
図29】発光素子1および発光素子3の発光スペクトルを示す図。
図30】発光素子1および発光素子4の電流密度−輝度特性を示す図。
図31】発光素子1および発光素子4の電圧−輝度特性を示す図。
図32】発光素子1および発光素子4の輝度−電流効率特性を示す図。
図33】発光素子1および発光素子4の電圧−電流特性を示す図。
図34】発光素子1および発光素子4の発光スペクトルを示す図。
図35】発光素子1および発光素子4の定電流駆動による連続点灯試験結果を示す図。
図36】発光素子1および発光素子5の電流密度−輝度特性を示す図。
図37】発光素子1および発光素子5の電圧−輝度特性を示す図。
図38】発光素子1および発光素子5の輝度−電流効率特性を示す図。
図39】発光素子1および発光素子5の電圧−電流特性を示す図。
図40】発光素子1および発光素子5の発光スペクトルを示す図。
図41】PCBA1BP(略称)のCV特性を示すグラフ。
図42】PCBBi1BP(略称)のCV特性を示すグラフ。
図43】PCBAF(略称)のCV特性を示すグラフ。
図44】PCBASF(略称)のCV特性を示すグラフ。
図45】PCTA1BP(略称)のH NMRチャートを示す図。
図46】PCTBi1BP(略称)のH NMRチャートを示す図。
図47】PCBANB(略称)のH NMRチャートを示す図。
図48】PCBNBB(略称)のH NMRチャートを示す図。
図49】PCBBiNB(略称)のH NMRチャートを示す図。
図50】PCBANT(略称)のH NMRチャートを示す図。
図51】BCBA1BP(略称)のH NMRチャートを示す図。
図52】BCBANB(略称)のH NMRチャートを示す図。
図53】BCBBiNB(略称)のH NMRチャートを示す図。
図54】NBCBA1BP(略称)のH NMRチャートを示す図。
図55】NCBA1BP(略称)のH NMRチャートを示す図。
図56】発光素子1および発光素子6〜8の電圧−輝度特性を示す図。
図57】発光素子1および発光素子6〜8の輝度−電流効率特性を示す図。
図58】発光素子1および発光素子6〜8の電圧−電流特性を示す図。
図59】発光素子1および発光素子6〜8の発光スペクトルを示す図。
図60】発光素子6〜発光素子8の定電流駆動による連続点灯試験結果を示す図。
図61】PCBBi1BPIII(略称)のH NMRチャートを示す図。
図62】PCBA1BPIV(略称)のH NMRチャートを示す図。
図63】PCBNBBβ(略称)のH NMRチャートを示す図。
図64】PCBBiFLP(略称)のH NMRチャートを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下
の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細
を様々に変更し得ることが可能である。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内
容に限定して解釈されるものではない。
【0029】
(実施の形態1)
本実施の形態1では、本発明のカルバゾール誘導体について説明する。
【0030】
本発明のカルバゾール誘導体は、一般式(1)で表されるカルバゾール誘導体である。
【0031】
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
【0032】
(式中、α、α、α、αは、環を形成する炭素数が13以下のアリーレン基を
表し、Ar、Arは、環を形成する炭素数が13以下のアリール基を表し、Rは、
水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換の
ビフェニル基のいずれかを表し、Rは、炭素数1〜6のアルキル基、置換又は無置換の
フェニル基、置換又は無置換のビフェニル基のいずれかを表す。また、l、m、nは、そ
れぞれ独立に0または1である。)
【0033】
一般式(1)において、α〜αは、それぞれ環を形成する炭素数が13以下のアリ
ーレン基を表す。具体的には、構造式(2−1)〜構造式(2−12)に示す置換基が挙
げられる。
【0034】
【化10】
[この文献は図面を表示できません]

(式中、R11〜R16、R21〜R30、R31〜R38、R41〜R45は、それ
ぞれ、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基のいずれかを表
す。R46、R47は、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基のいずれかを
表す。また、R46とR47は、互いに結合し、環を形成しても良い。R48は、水素原
子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基のいずれかを表す。)
【0035】
一般式(1)において、Ar、Arは、それぞれ環を形成する炭素数が13以下の
アリール基を表す。具体的には、構造式(3−1)〜構造式(3−6)に示す置換基が挙
げられる。
【0036】
【化11】
[この文献は図面を表示できません]

(式中、R51〜R56、R61〜R70、R71〜R78、R81〜R85は、それぞ
れ、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基のいずれかを表す
。R86、R87は、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基のいずれかを表
す。また、R86とR87は、互いに結合し、環を形成しても良い。R88、R89は、
水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基のいずれかを表す。)
【0037】
一般式(1)において、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、置換または無
置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基のいずれかを表し、Rは、炭素数
1〜6のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、置換または無置換のビフェニル基
のいずれかを表す。具体的には、Rは、構造式(4−1)〜構造式(4−9)に示す置
換基、Rは、構造式(4−2)〜構造式(4−9)に示す置換基が挙げられる。
【0038】
【化12】
[この文献は図面を表示できません]

(式中、R51〜R70は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビフェ
ニル基のいずれかを表す。)
【0039】
一般式(1)に示される本発明のカルバゾール誘導体の具体例としては、構造式(9)
〜構造式(421)に示されるカルバゾール誘導体を挙げることができる。但し、本発明
はこれらに限定されない。
【0040】
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
【0041】
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
【0042】
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
【0043】
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
【0044】
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
【0045】
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
【0046】
【化19】
[この文献は図面を表示できません]
【0047】
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
【0048】
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
【0049】
【化22】
[この文献は図面を表示できません]
【0050】
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
【0051】
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
【0052】
【化25】
[この文献は図面を表示できません]
【0053】
【化26】
[この文献は図面を表示できません]
【0054】
【化27】
[この文献は図面を表示できません]
【0055】
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
【0056】
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
【0057】
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
【0058】
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
【0059】
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
【0060】
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
【0061】
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
【0062】
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
【0063】
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
【0064】
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
【0065】
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
【0066】
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
【0067】
【化40】
[この文献は図面を表示できません]
【0068】
【化41】
[この文献は図面を表示できません]
【0069】
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
【0070】
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
【0071】
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
【0072】
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
【0073】
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
【0074】
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
【0075】
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
【0076】
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
【0077】
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
【0078】
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
【0079】
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
【0080】
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
【0081】
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
【0082】
【化55】
[この文献は図面を表示できません]
【0083】
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
【0084】
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
【0085】
【化58】
[この文献は図面を表示できません]
【0086】
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
【0087】
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
【0088】
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
【0089】
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
【0090】
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
【0091】
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
【0092】
【化65】
[この文献は図面を表示できません]
【0093】
【化66】
[この文献は図面を表示できません]
【0094】
【化67】
[この文献は図面を表示できません]
【0095】
【化68】
[この文献は図面を表示できません]
【0096】
【化69】
[この文献は図面を表示できません]
【0097】
【化70】
[この文献は図面を表示できません]
【0098】
【化71】
[この文献は図面を表示できません]
【0099】
【化72】
[この文献は図面を表示できません]
【0100】
【化73】
[この文献は図面を表示できません]
【0101】
【化74】
[この文献は図面を表示できません]
【0102】
【化75】
[この文献は図面を表示できません]
【0103】
【化76】
[この文献は図面を表示できません]
【0104】
【化77】
[この文献は図面を表示できません]
【0105】
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
【0106】
【化79】
[この文献は図面を表示できません]
【0107】
【化80】
[この文献は図面を表示できません]
【0108】
【化81】
[この文献は図面を表示できません]
【0109】
【化82】
[この文献は図面を表示できません]
【0110】
【化83】
[この文献は図面を表示できません]
【0111】
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
【0112】
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
【0113】
【化86】
[この文献は図面を表示できません]
【0114】
【化87】
[この文献は図面を表示できません]
【0115】
【化88】
[この文献は図面を表示できません]
【0116】
【化89】
[この文献は図面を表示できません]
【0117】
【化90】
[この文献は図面を表示できません]
【0118】
【化91】
[この文献は図面を表示できません]
【0119】
【化92】
[この文献は図面を表示できません]
【0120】
【化93】
[この文献は図面を表示できません]
【0121】
【化94】
[この文献は図面を表示できません]
【0122】
【化95】
[この文献は図面を表示できません]
【0123】
【化96】
[この文献は図面を表示できません]
【0124】
【化97】
[この文献は図面を表示できません]
【0125】
【化98】
[この文献は図面を表示できません]
【0126】
【化99】
[この文献は図面を表示できません]
【0127】
また、一般式(1)で表される本発明のカルバゾール誘導体は、以下に示す合成スキー
ム(A−1)〜合成スキーム(A−7)、合成スキーム(B−1)、合成スキーム(C−
1)〜合成スキーム(C−2)で表される合成方法によって合成することができる。
【0128】
[ハロゲン化2級アリールアミン(化合物A)の合成法]
一般式(化合物A)で表されるハロゲン化2級アリールアミンは、下記合成スキーム(
A−1)のようにして合成することができる。すなわち、まず2級アリールアミン(化合
物A)をハロゲン化剤によりハロゲン化することで、ハロゲン化2級アリールアミン(
化合物A)を得ることができる。なお、ハロゲン化剤としては、N−ブロモスクシンイミ
ド(NBS)やN−ヨードスクシンイミド(NIS)、臭素、ヨウ素、ヨウ化カリウム等
を用いることができる。また、Xはそれぞれハロゲン基を表し、好ましくはブロモ基ま
たはヨード基である。
【0129】
【化100】
[この文献は図面を表示できません]
【0130】
[ハロゲン化カルバゾール誘導体(化合物B)の合成法]
一般式(化合物B)で表されるハロゲン化カルバゾール誘導体は、下記合成スキーム
(A−2)のようにして合成することができる。すなわち、まずカルバゾール誘導体(化
合物B)をハロゲン化剤によりハロゲン化することで、ハロゲン化カルバゾール誘導体
(化合物B)を得ることができる。なお、ハロゲン化剤としては、N−ブロモスクシン
イミド(NBS)やN−ヨードスクシンイミド(NIS)、臭素、ヨウ素、ヨウ化カリウ
ム等を用いることができる。また、Xはそれぞれハロゲン基を表し、好ましくはブロモ
基またはヨード基である。
【0131】
【化101】
[この文献は図面を表示できません]
【0132】
[9H−カルバゾール−3−ボロン酸又は、9H−カルバゾールの3位が有機ホウ素で置
換された化合物(化合物B)の合成]
一般式(化合物B)で表される9H−カルバゾールの3位がボロン酸または有機ホウ素
で置換された化合物は、下記合成スキーム(A−3)のようにして合成することができる
。すなわち、ハロゲン化カルバゾール誘導体(化合物B)にアルキルリチウム試薬とホ
ウ素試薬を用いてボロン酸化、または有機ホウ素化することにより、9H−カルバゾール
の3位がボロン酸または有機ホウ素で置換された化合物(化合物B)を得ることができる
【0133】
なお、スキーム(A−3)におけるR99は炭素数1〜6のアルキル基を表す。R98
は炭素数1〜6のアルキル基を表す。また、R100、R101は、それぞれ水素または
炭素数1〜6のアルキル基を表す。R102とR103は互いに結合して環を形成してい
ても良い。また、アルキルリチウム試薬としてはn−ブチルリチウム、メチルリチウム等
を用いることができる。ホウ素試薬としてはホウ酸トリメチル、ホウ酸イソプロピルなど
を用いることができる。
【0134】
【化102】
[この文献は図面を表示できません]
【0135】
[2級アリールアミン(化合物C)の合成法]
一般式(化合物C)で表される2級アリールアミンは、下記合成スキーム(A−4)
のようにして合成することができる。すなわち、ハロゲン化アリール(化合物C)と1
級アリールアミン(化合物C)とを、塩基存在下にて金属触媒を用いてカップリングさ
せることにより、2級アリールアミン(化合物C)を得ることができる。
【0136】
【化103】
[この文献は図面を表示できません]
【0137】
合成スキーム(A−4)において、ハートウィック・ブッフバルト反応を行う場合、用
いることができるパラジウム触媒としては、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム
(0)、酢酸パラジウム(II)等が挙げられるが、用いることができる触媒はこれらに
限られるものでは無い。合成スキーム(A−4)において用いることができるパラジウム
触媒の配位子としては、トリ(tert−ブチル)ホスフィンや、トリ(n−ヘキシル)
ホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。用いることができる配位
子はこれらに限られるものでは無い。
【0138】
合成スキーム(A−4)において用いることができる塩基としては、ナトリウム te
rt−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられるが、用いる
ことができる塩基はこれらに限られるものでは無い。また、合成スキーム(A−4)にお
いて用いることができる溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフ
ラン等が挙げられる。ただし、用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い
【0139】
また、合成スキーム(A−4)において、ウルマン反応を行う場合について説明する。
合成スキーム(A−4)において、R104とR105は、それぞれ、ハロゲンやアセチ
ル基等を表し、ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。また、R104がヨ
ウ素であるヨウ化銅(I)、又はR105がアセチル基である酢酸銅(II)が好ましい
。反応に用いられる銅化合物はこれらに限られるものでは無い。また、銅化合物の他に銅
を用いることができる。合成スキーム(A−4)において、用いることができる塩基とし
ては、炭酸カリウム等の無機塩基が挙げられる。用いることができる塩基はこれらに限ら
れるものでは無い。
【0140】
合成スキーム(A−4)において、用いることができる溶媒としては、1,3−ジメチ
ル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノン(DMPU)、トルエン、
キシレン、ベンゼン等が挙げられる。用いることができる溶媒はこれらに限られるもので
は無い。ウルマン反応では、反応温度が100℃以上の方がより短時間かつ高収率で目的
物が得られるため、沸点の高いDMPU、キシレンを用いることが好ましい。また、反応
温度は150℃以上のより高い温度が更に好ましいため、より好ましくはDMPUを用い
る。
【0141】
[3級アリールアミン(化合物C)の合成法]
一般式(化合物C)で表される3級アリールアミンは、下記合成スキーム(A−5)
のようにして合成することができる。すなわち、2級アリールアミン(化合物C)とハ
ロゲン化アリール(化合物C)とを、塩基存在下にて金属触媒を用いてカップリングさ
せることにより、3級アリールアミン(化合物C)を得ることができる。
【0142】
【化104】
[この文献は図面を表示できません]
【0143】
合成スキーム(A−5)において、ハートウィック・ブッフバルト反応を行う場合、用
いることができるパラジウム触媒としては、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム
(0)、酢酸パラジウム(II)等が挙げられるが、用いることができる触媒はこれらに
限られるものでは無い。合成スキーム(A−5)において用いることができるパラジウム
触媒の配位子としては、トリ(tert−ブチル)ホスフィンや、トリ(n−ヘキシル)
ホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。用いることができる配位
子はこれらに限られるものでは無い。
【0144】
合成スキーム(A−5)において用いることができる塩基としては、ナトリウム te
rt−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられるが、用いる
ことができる塩基はこれらに限られるものでは無い。また、合成スキーム(A−5)にお
いて用いることができる溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフ
ラン等が挙げられる。ただし、用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い
【0145】
また、合成スキーム(A−5)において、ウルマン反応を行う場合について説明する。
合成スキーム(A−5)において、R104とR105は、それぞれ、ハロゲンやアセチ
ル基等を表し、ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。また、R104がヨ
ウ素であるヨウ化銅(I)、又はR105がアセチル基である酢酸銅(II)が好ましい
。反応に用いられる銅化合物はこれらに限られるものでは無い。また、銅化合物の他に銅
を用いることができる。合成スキーム(A−5)において、用いることができる塩基とし
ては、炭酸カリウム等の無機塩基が挙げられる。用いることができる塩基はこれらに限ら
れるものでは無い。
【0146】
合成スキーム(A−5)において、用いることができる溶媒としては、1,3−ジメチ
ル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノン(DMPU)、トルエン、
キシレン、ベンゼン等が挙げられる。用いることができる溶媒はこれらに限られるもので
は無い。ウルマン反応では、反応温度が100℃以上の方がより短時間かつ高収率で目的
物が得られるため、沸点の高いDMPU、キシレンを用いることが好ましい。また、反応
温度は150℃以上のより高い温度が更に好ましいため、より好ましくはDMPUを用い
る。
【0147】
[3級アリールアミン(化合物C)の合成法]
一般式(化合物C)で表される3級アリールアミンは、下記合成スキーム(A−6)
のようにして合成することができる。すなわち、1級アリールアミン(化合物C)とハ
ロゲン化アリール(化合物C,C)とを、塩基存在下にて金属触媒を用いてカップリ
ングさせることにより、3級アリールアミン(化合物C)を得ることができる。ただし
ArとArが同一であり、かつβ、βが同一であり、かつl、mが同一であるほ
うが収率よく化合物Cを得ることができる。
【0148】
【化105】
[この文献は図面を表示できません]
【0149】
合成スキーム(A−6)において、ハートウィック・ブッフバルト反応を行う場合、用
いることができるパラジウム触媒としては、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム
(0)、酢酸パラジウム(II)等が挙げられるが、用いることができる触媒はこれらに
限られるものでは無い。合成スキーム(A−6)において用いることができるパラジウム
触媒の配位子としては、トリ(tert−ブチル)ホスフィンや、トリ(n−ヘキシル)
ホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。用いることができる配位
子はこれらに限られるものでは無い。
【0150】
合成スキーム(A−6)において用いることができる塩基としては、ナトリウム te
rt−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられるが、用いる
ことができる塩基はこれらに限られるものでは無い。また、合成スキーム(A−6)にお
いて用いることができる溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフ
ラン等が挙げられる。ただし、用いることができる溶媒はこれらに限られるものでは無い
【0151】
また、合成スキーム(A−6)において、ウルマン反応を行う場合について説明する。
合成スキーム(A−6)において、R104とR105は、それぞれ、ハロゲンやアセチ
ル基等を表し、ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。また、R104がヨ
ウ素であるヨウ化銅(I)、又はR105がアセチル基である酢酸銅(II)が好ましい
。反応に用いられる銅化合物はこれらに限られるものでは無い。また、銅化合物の他に銅
を用いることができる。合成スキーム(A−6)において、用いることができる塩基とし
ては、炭酸カリウム等の無機塩基が挙げられる。用いることができる塩基はこれらに限ら
れるものでは無い。
【0152】
合成スキーム(A−6)において、用いることができる溶媒としては、1,3−ジメチ
ル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノン(DMPU)、トルエン、
キシレン、ベンゼン等が挙げられる。用いることができる溶媒はこれらに限られるもので
は無い。ウルマン反応では、反応温度が100℃以上の方がより短時間かつ高収率で目的
物が得られるため、沸点の高いDMPU、キシレンを用いることが好ましい。また、反応
温度は150℃以上のより高い温度が更に好ましいため、より好ましくはDMPUを用い
る。
【0153】
[ハロゲン化3級アリールアミン誘導体(化合物C)の合成法]
一般式(化合物C)で表されるハロゲン化3級アミンは、下記合成スキーム(A−7)
のようにして合成することができる。すなわち、まず3級アリールアミン(化合物C
をハロゲン化剤によりハロゲン化することで、ハロゲン化3級アリールアミン(化合物C
)を得ることができる。なお、ハロゲン化剤としては、N−ブロモスクシンイミド(NB
S)やN−ヨードスクシンイミド(NIS)、臭素、ヨウ素、ヨウ化カリウム等を用いる
ことができる。また、Xはそれぞれハロゲン基を表し、好ましくはブロモ基またはヨー
ド基である。
【0154】
【化106】
[この文献は図面を表示できません]
【0155】
[2級アリールアミン(化合物D)の合成法]
一般式(化合物D)で表されるカルバゾールを有する2級アリールアミンは、下記合成
スキーム(B−1)のようにして合成することができる。すなわち、ハロゲン化2級アリ
ールアミン(化合物A)と9H−カルバゾールの3位がボロン酸または有機ホウ素で置換
された化合物(化合物B)とを、塩基存在下にて金属触媒を用いてカップリングさせるこ
とができる。これにより、カルバゾールを有する2級アリールアミン(化合物D)を得る
ことができる。
【0156】
【化107】
[この文献は図面を表示できません]
【0157】
上記スキームにおいて、鈴木・宮浦反応を用いる場合について説明する。金属触媒とし
て用いることができるパラジウム触媒としては、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(
トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウ
ム(II)ジクロライド等が挙げられる。また上記パラジウム触媒の配位子としては、ト
リ(オルト−トリル)ホスフィンや、トリフェニルホスフィンや、トリシクロヘキシルホ
スフィン等が挙げられる。また用いることができる上記塩基としては、ナトリウム te
rt−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられる。また用い
ることができる溶媒としては、トルエンと水の混合溶媒、トルエンとエタノール等のアル
コールと水の混合溶媒、キシレンと水の混合溶媒、キシレンとエタノール等のアルコール
と水の混合溶媒、ベンゼンと水の混合溶媒、ベンゼンとエタノール等のアルコールと水の
混合溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類と水の混合溶媒等が挙げ
られる。
【0158】
ただし、上記用いることができる触媒およびその配位子、塩基、溶媒はこれらに限られ
るものでは無い。
【0159】
また上記スキームにおいて、基質として、アリールボロン酸以外にも、有機アルミニウ
ムや、有機ジルコニウム、有機亜鉛、有機スズ化合物等を用いるクロスカップリングでも
良い。しかし、これらに限定されるものではない。
【0160】
[カルバゾールを有する3級アリールアミン(化合物E)の合成]
一般式(化合物E)で表されるカルバゾールを有する3級アリールアミンは、下記合成
スキーム(C−1)のようにして合成することができる。すなわち、カルバゾールを有す
る2級アリールアミン(化合物D)とハロゲン化アリール(化合物C4)とを、塩基存在
下にて金属触媒を用いてカップリングさせることにより、最終生成物である、カルバゾー
ルを有する3級アリールアミン(化合物E)を得ることができる。
【0161】
【化108】
[この文献は図面を表示できません]
【0162】
[他の合成方法でのカルバゾールを有する3級アリールアミン(化合物E)の合成]
一般式(化合物E)で表されるカルバゾールを有する3級アリールアミンは、下記合成
スキーム(反応式C−2)のようにして合成することができる。すなわち、まずハロゲン
化3級アリールアミン(化合物C)と9H−カルバゾールの3位がボロン酸または有機ホ
ウ素で置換された化合物(化合物B)とを、塩基存在下にて金属触媒を用いてカップリン
グさせることにより、最終生成物である、カルバゾールを有する3級アリールアミン(化
合物E)を得ることができる。
【0163】
【化109】
[この文献は図面を表示できません]
【0164】
(実施の形態2)
本実施の形態2では、実施の形態1で説明した本発明のカルバゾール誘導体を正孔輸送
層に用いて形成した発光素子について説明する。
【0165】
本実施の形態1における発光素子は、陽極として機能する第1の電極、陰極として機能
する第2の電極、および第1の電極と第2の電極との間に設けられたEL層とから構成さ
れている。なお、本実施の形態2における発光素子は、第1の電極の方が第2の電極より
も電位が高くなるように、それぞれに電圧を印加したときに、発光が得られるものとする
【0166】
また、本実施の形態2における発光素子のEL層は、第1の電極側から第1の層(正孔
注入層)、第2の層(正孔輸送層)、第3の層(発光層)、第4の層(電子輸送層)、第
5の層(電子注入層)を含む構成とする。
【0167】
本実施の形態1における発光素子の構造を図1を用いて説明する。基板101は、発光
素子の支持体として用いられる。基板101としては、例えばガラス、石英、プラスチッ
クなどを用いることができる。
【0168】
なお、上記基板101は、本発明の発光素子を利用する製品である発光装置あるいは電
子機器中に残存させてもよいが、最終製品中に残存せず発光素子の作製工程における支持
体としての機能のみを有していてもよい。
【0169】
基板101上に形成される第1の電極102には、仕事関数の大きい(具体的には4.
0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが
好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium T
in Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化
インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングス
テン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム等が挙げられる。この他、金(Au)、白金
(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo
)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)
、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。但し、本発明におい
ては、第1の電極102と接して形成されるEL層103のうちの第1の層111は、第
1の電極102の仕事関数に関係なく正孔(ホール)注入が容易である複合材料を用いて
形成される為、電極材料として可能な材料(例えば、金属、合金、電気伝導性化合物、お
よびこれらの混合物、その他、元素周期表の第1族または第2族に属する元素も含む)で
あれば、あらゆる公知の材料を用いることができる。
【0170】
これらの材料は、通常スパッタリング法により成膜される。例えば、酸化インジウム−
酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲ
ットや、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウムは、酸化インジウムに
対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲ
ットを用いることにより、スパッタリング法で形成することができる。その他、真空蒸着
法、塗布法、インクジェット法、スピンコート法などにより作製してもよい。
【0171】
また、第1の電極102上に形成されるEL層103のうち、第1の電極102に接し
て形成される第1の層111に用いる材料として、後述する複合材料を含む層を用いた場
合には、第1の電極102に用いる物質は、仕事関数の大小に関わらず、様々な金属、合
金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。例えば、アル
ミニウム(Al)、銀(Ag)、アルミニウムを含む合金(AlSi)等も用いることが
できる。
【0172】
また、仕事関数の小さい材料である、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、
すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(
Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこ
れらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb
)等の希土類金属およびこれらを含む合金等を用いることもできる。
【0173】
なお、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびこれらを含む合金を用いて第1の電極
102を形成する場合には、真空蒸着法やスパッタリング法を用いることができる。さら
に、銀ペーストなどを用いる場合には、塗布法やインクジェット法などを用いることがで
きる。
【0174】
第1の電極102上に形成されるEL層103には、公知の物質を用いることができ、
低分子系化合物および高分子系化合物のいずれを用いることもできる。なお、EL層10
3を形成する物質には、有機化合物のみから成るものだけでなく、無機化合物を一部に含
む構成も含めるものとする。
【0175】
EL層103は、正孔注入性の高い物質を含んでなる正孔注入層、正孔輸送性の高い物
質を含んでなる正孔輸送層、発光性物質からなる発光層、電子輸送性の高い物質を含んで
なる電子輸送層、電子注入性の高い物質を含んでなる電子注入層などを適宜組み合わせて
積層することにより形成される。
【0176】
なお、図1(A)に示すEL層103は、第1の電極102側から第1の層(正孔注入
層)111、第2の層(正孔輸送層)112、第3の層(発光層)113、第4の層(電
子輸送層)114、および第5の層(電子注入層)115の順に積層されている。
【0177】
正孔注入層である第1の層111は、正孔注入性の高い物質を含む正孔注入層である。
正孔注入性の高い物質としては、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、
レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸
化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いること
ができる。この他、低分子の有機化合物としては、フタロシアニン(略称:HPc)、
銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOP
c)等のフタロシアニン系の化合物が挙げられる。
【0178】
また、低分子の有機化合物である4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミ
ノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−
メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、
4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェ
ニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)
−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNT
PD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルア
ミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イ
ル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3
,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9
−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−
(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:
PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等も挙げられる。なお、実施の形態1で示した
本発明のカルバゾール誘導体も同様に用いることができる。
【0179】
さらに、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることもでき
る。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリ
フェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェ
ニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド
](略称:PTPDMA)ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビ
ス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物が挙げられ
る。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)
(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PS
S)等の酸を添加した高分子化合物を用いることもできる。
【0180】
また、第1の層111として、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させ
た複合材料を用いることができる。なお、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を
含有させたものを用いることにより、電極の仕事関数に依らず電極を形成する材料を選ぶ
ことができる。つまり、第1の電極102として仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事
関数の小さい材料を用いることができる。これらの複合材料は、正孔輸送性の高い物質と
アクセプター物質とを共蒸着することにより形成することができる。なお、本明細書中に
おいて、複合とは、単に2つの材料を混合させるだけでなく、複数の材料を混合すること
によって材料間での電荷の授受が行われ得る状態になることを言う。
【0181】
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳
香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化
合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の
高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移
動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であ
れば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機
化合物を具体的に列挙する。
【0182】
複合材料に用いることのできる有機化合物としては、例えば、MTDATA、TDAT
A、DPAB、DNTPD、DPA3B、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPC
N1、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称
:NPBまたはα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフ
ェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)等の芳香族ア
ミン化合物や、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3
,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−
[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA
)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェ
ニルベンゼン等のカルバゾール誘導体を挙げることができる。なお、実施の形態1で示し
た本発明のカルバゾール誘導体も複合材料に用いることができる。
【0183】
また、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t
−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、
9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−
tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−
BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10
−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン
(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセ
ン(略称:DMNA)、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]−2−ter
t−ブチル−アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラ
セン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン等の
芳香族炭化水素化合物を挙げることができる。
【0184】
さらに、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン
、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10
,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビ
ス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、ア
ントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−
ブチル)ペリレン、ペンタセン、コロネン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル
)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル
)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等の芳香族炭化水素化合物も挙げること
ができる。
【0185】
また、アクセプター性物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6
−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等の有機化合物や
、遷移金属酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に
属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、
酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レ
ニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定
であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0186】
なお、上述したPVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPD等の高分子化合
物と、上述したアクセプター性物質を用いて複合材料を形成し、第1の層111に用いて
もよい。なお、実施の形態1で示した本発明のカルバゾール誘導体も上述したアクセプタ
ー性物質と組み合わせて複合材料を形成し、第1の層111に用いることができる。
【0187】
正孔輸送層である第2の層112は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。なお、本
実施の形態2における第2の層112には、実施の形態1で説明した本発明のカルバゾー
ル誘導体を用いることとする。
【0188】
また、第1の層111と第2の層112の両方に、実施の形態1で説明した本発明のカ
ルバゾール誘導体を用いることもできる。この場合、素子の作製が簡便となり、材料利用
効率を向上させることができる。また、第1の層111と第2の層112のエネルギーダ
イアグラムが同じか近い状態になる為、第1の層111と第2の層112との間における
キャリアの移動を容易にすることができる。
【0189】
第3の層113は、発光性の高い物質を含む発光層である。第3の層113には、次に
挙げる低分子の有機化合物を用いることができる。
【0190】
青色系の発光物質としては、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)
フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S
)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル
)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)などが挙げられる。
【0191】
緑色系の発光物質としては、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9
−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,1
0−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル
−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフ
ェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミ
ン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)
−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略
称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[
4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−ア
ミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン
(略称:DPhAPhA)などが挙げられる。
【0192】
黄色系の発光物質としては、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−
イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)などが挙げられる。さらに、
赤色系の発光物質として、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テト
ラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,13−ジフェニル−N,N
,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオラン
テン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)などが挙げられる。
【0193】
また、第3の層113は、上述した発光性の高い物質を他の物質に分散させる構成とし
てもよい。なお、分散させる場合には、分散させる物質の濃度が、質量比で全体の20%
以下になるようにするのが好ましい。また、発光性の物質を分散させる物質としては、公
知の物質を用いることができるが、発光性の物質よりも最低空軌道準位(LUMO準位)
が深く(絶対値が大きく)、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が浅い(絶対値が小さ
い)物質を用いることが好ましい。
【0194】
具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、
トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq
、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeB
)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウ
ム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Zn
q)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnP
BO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnB
TZ)などの金属錯体を用いることができる。
【0195】
また、2−(ビフェニル−4−イル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,
3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチ
ルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7
)、3−(ビフェニル−4−イル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニ
ル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−
ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPB
I)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)
などの複素環化合物を用いることができる。
【0196】
その他、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾ
ール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アン
トリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3
,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフ
チル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフ
チル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BAN
T)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS
)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2
)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略称:TPB
3)などの縮合芳香族化合物を用いることもできる。
【0197】
また、発光性の物質を分散させるための物質は複数種用いることができる。例えば、結
晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。さら
に、発光性の物質へのエネルギー移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq
等を添加してもよい。このように、発光性の高い物質を他の物質に分散させた構成とする
ことで、第3の層113の結晶化を抑制することができる。さらに、発光性の高い物質の
濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。
【0198】
また、上述した物質のうち、特に電子輸送性の物質を用いて発光性の物質を分散させて
第3の層113を形成することがより好ましい。具体的には、上述した金属錯体、複素環
化合物、縮合芳香族化合物のうちのCzPA、DNA、t−BuDNA、さらには、のち
に示す第4の層114に用いることのできる物質として挙げられる高分子化合物を用いる
こともできる。
【0199】
また、第3の層113には、次に挙げる高分子化合物を用いることもできる。
【0200】
青色系の発光物質としては、、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル
)(略称:PFO)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co
−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)](略称:PF−DMOP)、ポリ
{(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−[N,N’−ジ−(p−
ブチルフェニル)−1,4−ジアミノベンゼン]}(略称:TAB−PFH)などが挙げ
られる。
【0201】
緑色系の発光物質としては、ポリ(p−フェニレンビニレン)(略称:PPV)、ポリ
[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−alt−co−(ベンゾ[2,
1,3]チアジアゾール−4,7−ジイル)](略称:PFBT)、ポリ[(9,9−ジ
オクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−alt−co−(2−メトキシ−5−
(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレン)]などが挙げられる。
【0202】
橙色〜赤色系の発光物質としては、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキソキ
シ)−1,4−フェニレンビニレン](略称:MEH−PPV)、ポリ(3−ブチルチオ
フェン−2,5−ジイル)(略称:R4−PAT)、ポリ{[9,9−ジヘキシル−2,
7−ビス(1−シアノビニレン)フルオレニレン]−alt−co−[2,5−ビス(N
,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}、ポリ{[2−メトキシ−5−(
2−エチルヘキシロキシ)−1,4−ビス(1−シアノビニレンフェニレン)]−alt
−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}(略
称:CN−PPV−DPD)などが挙げられる。
【0203】
第4の層114は、電子輸送性の高い物質を含む電子輸送層である。第4の層114に
は、例えば、低分子の有機化合物として、Alq、Almq、BeBq、BAlq、
Znq、ZnPBO、ZnBTZなどの金属錯体等を用いることができる。また、金属錯
体以外にも、PBD、OXD−7、TAZ、TPBI、BPhen、BCPなどの複素環
化合物を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電
子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記
以外の物質を電子輸送層として用いてもよい。また、電子輸送層は、単層のものだけでな
く、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0204】
第4の層114には、高分子化合物を用いることもできる。例えば、ポリ[(9,9−
ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略
称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−
(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)などを用いるこ
とができる。
【0205】
また、第5の層115は、電子注入性の高い物質を含む電子注入層である。第5の層1
15には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(
CaF)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いる
ことができる。その他、電子輸送性を有する物質にアルカリ金属、アルカリ土類金属、ま
たはそれらの化合物を含有させたもの、具体的にはAlq中にマグネシウム(Mg)を含
有させたもの等を用いてもよい。なお、この場合には、第2の電極104からの電子注入
をより効率良く行うことができる。
【0206】
第2の電極104には、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、
電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料
の具体例としては、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(
Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム
(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(M
gAg、AlLi)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属お
よびこれらを含む合金等が挙げられる。
【0207】
なお、アルカリ金属、アルカリ土類金属、これらを含む合金を用いて第2の電極104
を形成する場合には、真空蒸着法やスパッタリング法を用いることができる。また、銀ペ
ーストなどを用いる場合には、塗布法やインクジェット法などを用いることができる。
【0208】
なお、第5の層115を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、
ITO、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等様々な導電性材料
を用いて第2の電極104を形成することができる。これらの導電性材料は、スパッタリ
ング法やインクジェット法、スピンコート法等を用いて成膜することができる。
【0209】
また、第1の層(正孔注入層)111、第2の層(正孔輸送層)112、第3の層(発
光層)113、第4の層(電子輸送層)114、及び第5の層(電子注入層)115が順
次積層して形成されるEL層103の作製方法としては、乾式法、湿式法を問わず、種々
の方法を用いることができる。例えば、真空蒸着法、インクジェット法またはスピンコー
ト法など用いることができる。なお、各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成してもよい
【0210】
第2の電極104についても、スパッタリング法や真空蒸着法などの乾式法だけでなく
、金属材料のペーストを用いてゾル−ゲル法等の湿式法により形成することができる。
【0211】
上述した本発明の発光素子は、第1の電極102と第2の電極104との間に生じた電
位差により電流が流れ、EL層103において正孔と電子とが再結合することにより発光
する。そして、この発光は、第1の電極102または第2の電極104のいずれか一方ま
たは両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極102または第2の電極10
4のいずれか一方、または両方が透光性を有する電極となる。
【0212】
なお、第1の電極102のみが透光性を有する電極である場合には、図2(A)に示す
ように、EL層103で生じた発光は第1の電極102を通って基板101側から取り出
される。また、第2の電極104のみが透光性を有する電極である場合には、図2(B)
に示すように、EL層103で生じた発光は第2の電極104を通って基板101と逆側
から取り出される。さらに、第1の電極102および第2の電極104がいずれも透光性
を有する電極である場合には、図2(C)に示すように、EL層103で生じた発光は第
1の電極102および第2の電極104を通って、基板101側および基板101と逆側
の両方から取り出される。
【0213】
なお、第1の電極102と第2の電極104との間に設けられる層の構成は、上記のも
のには限定されない。少なくとも正孔輸送層である第2の層112、および発光層である
第3の層113を有する構成であれば、上記以外のものでもよい。
【0214】
また、図1(B)に示すように、基板101上に陰極として機能する第2の電極104
、EL層103、陽極として機能する第1の電極102が順次積層された構造としてもよ
い。なお、この場合のEL層103は、第2の電極104上に第5の層115、第4の層
114、第3の層113、第2の層112、第1の層111、第1の電極102が順次積
層された構造となる。
【0215】
なお、本発明の発光素子を用いることで、パッシブマトリクス型の発光装置や、薄膜ト
ランジスタ(TFT)によって発光素子の駆動が制御されたアクティブマトリクス型の発
光装置を作製することができる。
【0216】
なお、アクティブマトリクス型の発光装置を作製する場合におけるTFTの構造は、特
に限定されない。例えば、スタガ型や逆スタガ型のTFTを適宜用いることができる。ま
た、TFT基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるも
のでもよいし、N型のTFTまたはP型のTFTのいずれか一方のみからなるものであっ
てもよい。さらに、TFTに用いられる半導体膜の結晶性についても特に限定されない。
非晶質半導体膜を用いてもよいし、結晶性半導体膜を用いてもよい。
【0217】
本実施の形態2で示した発光素子では、第2の層(正孔輸送層)112は、本発明のカ
ルバゾール誘導体を用いて形成されることから、素子効率の向上だけでなく、駆動電圧の
上昇を最小限に抑えることができる。
【0218】
なお、本実施の形態2においては、実施の形態1に示した構成を適宜組み合わせて用い
ることができることとする。
【0219】
(実施の形態3)
本実施の形態3では、実施の形態2で示した発光素子のEL層を複数有する発光素子(
以下、積層型発光素子という)について、図3を用いて説明する。この発光素子は、第1
の電極301と第2の電極302との間に、複数のEL層(第1のEL層303、第2の
EL層304)を有する積層型発光素子である。なお、本実施の形態3では、EL層が2
層の場合について示すが、3層以上としても良い。
【0220】
本実施の形態3において、第1の電極301は、陽極として機能する電極であり、第2
の電極302は陰極として機能する電極である。なお、第1の電極301および第2の電
極302は、実施の形態2と同様な構成を用いることができる。また、複数のEL層(第
1のEL層303、第2のEL層304)としては、実施の形態2で示したEL層と同様
な構成を用いることができる。なお、第1のEL層303と第2のEL層304は、同じ
構成であっても異なる構成であってもよく、その構成は実施の形態2と同様なものを適用
することができる。
【0221】
また、複数のEL層(第1のEL層303、第2のEL層304)の間には、電荷発生
層305が設けられている。電荷発生層305は、第1の電極301と第2の電極302
に電圧を印加したときに、一方のEL層に電子を注入し、他方のEL層に正孔を注入する
機能を有する。本実施の形態3の場合には、第1の電極301に第2の電極302よりも
電位が高くなるように電圧を印加すると、電荷発生層305から第1のEL層303に電
子が注入され、第2のEL層304に正孔が注入される。
【0222】
なお、電荷発生層305は、光の取り出し効率の点から、透光性を有することが好まし
い。また、電荷発生層305は、第1の電極301や第2の電極302よりも低い導電率
であっても機能する。
【0223】
電荷発生層305は、正孔輸送性の高い物質にアクセプター物質が添加された構成で
あっても、電子輸送性の高い物質にドナー性物質が添加された構成であってもよい。また
、これらの両方の構成が積層されていても良い。
【0224】
正孔輸送性の高い物質にアクセプター物質が添加された構成とする場合において、正
孔輸送性の高い物質としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フ
ェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD)やN,N’−ビス(3−メ
チルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミ
ン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェ
ニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニ
ル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビ
ス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]−1,
1’−ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる
。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である
。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を用いても構わな
い。
【0225】
また、アクセプター性物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6
−テトラフルオロキノジメタン(略称:F4−TCNQ)、クロラニル等を挙げることが
できる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃
至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸
化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガ
ン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気
中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0226】
一方、電子輸送性の高い物質にドナー性物質が添加された構成とする場合において、電
子輸送性の高い物質としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(II
I)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III
)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム
(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニル
フェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベン
ゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。また、この他ビス[2−(2
’−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(II)(略称:Zn(BOX)
)、ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(II)(略称:
Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども
用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(ビフェニル−4−イル)−5−
(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や
、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾー
ル−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(ビフェニル−4−イル)−4−フ
ェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:T
AZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP
)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電
子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記
以外の物質を用いても構わない。
【0227】
また、ドナー性物質としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属または希土類金属
または元素周期表における第13族に属する金属およびその酸化物、炭酸塩を用いること
ができる。具体的には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、
カルシウム(Ca)、イッテルビウム(Yb)、インジウム(In)、酸化リチウム、炭
酸セシウムなどを用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化合
物をドナー性物質として用いてもよい。
【0228】
なお、上述した材料を用いて電荷発生層305を形成することにより、EL層が積層さ
れた場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0229】
本実施の形態3では、2つのEL層を有する発光素子について説明したが、同様に、3
つ以上のEL層を積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実
施の形態3に係る発光素子のように、一対の電極間に複数のEL層を電荷発生層で仕切っ
て配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での長寿命素子を実現できる
。また、照明を応用例とした場合は、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので
、大面積での均一発光が可能となる。また、低電圧駆動が可能で消費電力が低い発光装置
を実現することができる。
【0230】
また、それぞれのEL層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所
望の色の発光を得ることができる。例えば、2つのEL層を有する発光素子において、第
1のEL層の発光色と第2のEL層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光
素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合す
ると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から
得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。
【0231】
また、3つのEL層を有する発光素子の場合でも同様であり、例えば、第1のEL層の
発光色が赤色であり、第2のEL層の発光色が緑色であり、第3のEL層の発光色が青色
である場合、発光素子全体としては、白色発光を得ることができる。
【0232】
なお、本実施の形態3においては、実施の形態1や実施の形態2に示した構成を適宜組
み合わせて用いることができることとする。
【0233】
(実施の形態4)
本実施の形態4では、画素部に本発明の発光素子を有する発光装置について図4を用い
て説明する。なお、図4(A)は、発光装置を示す上面図、図4(B)は図4(A)をA
−A’およびB−B’で切断した断面図である。
【0234】
図4(A)において、点線で示された401は駆動回路部(ソース側駆動回路)、40
2は画素部、403は駆動回路部(ゲート側駆動回路)である。また、404は封止基板
、405はシール材であり、シール材405で囲まれた内側は、空間407になっている
【0235】
なお、引き回し配線408はソース側駆動回路401及びゲート側駆動回路403に入
力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプ
リントサーキット)409からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号
等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント
配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。また、本明細書における発光装置には
、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含む
ものとする。
【0236】
次に、断面構造について図4(B)を用いて説明する。素子基板410上には駆動回路
部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路401
と、画素部402中の一つの画素が示されている。なお、ソース側駆動回路401はNチ
ャネル型TFT423とPチャネル型TFT424とを組み合わせたCMOS回路が形成
される。また、駆動回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で
形成しても良い。本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示す
が、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0237】
また、画素部402はスイッチング用TFT411と、電流制御用TFT412とその
ドレインに電気的に接続された第1の電極413とを含む複数の画素により形成される。
なお、第1の電極413の端部を覆って絶縁物414が形成される。
【0238】
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物414の上端部または下端部に曲率を有
する曲面が形成されるようにするのが好ましい。例えば、絶縁物414の材料としてポジ
型の感光性アクリルを用いることで、絶縁物414の上端部のみに曲率半径(0.2μm
〜3μm)を有する曲面を持たせることができる。また、絶縁物414として、光の照射
によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに
溶解性となるポジ型の感光性材料を用いることができる。
【0239】
第1の電極413上には、EL層416、および第2の電極417がそれぞれ形成され
る。ここで、第1の電極413に用いる材料としては、さまざまな金属、合金、電気伝導
性化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。なお、具体的な材料としては、
実施の形態2において第1の電極に用いることができるとして示した材料を用いることが
できるものとする。
【0240】
また、EL層416は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート
法等の種々の方法によって形成される。EL層416は、実施の形態2で示した構成を有
している。また、EL層416を構成する他の材料としては、低分子化合物、または高分
子化合物(オリゴマー、デンドリマーを含む)であっても良い。また、EL層に用いる材
料としては、有機化合物だけでなく、無機化合物を用いてもよい。
【0241】
また、第2の電極417に用いる材料としては、さまざまな金属、合金、電気伝導性化
合物、およびこれらの混合物を用いることができる。第2の電極417を陰極として用い
る場合には、その中でも、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下)金属、合金、電
気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。例えば、元素周期
表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等
のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(
Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)等が挙げ
られる。
【0242】
なお、EL層416で生じた光が第2の電極417を透過する構成とする場合には、第
2の電極417として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(酸化インジウム−酸化
スズ(ITO)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化イン
ジウム−酸化亜鉛(IZO)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム
等)との積層を用いることも可能である。
【0243】
さらに、シール材405で封止基板404を素子基板410と貼り合わせることにより
、素子基板410、封止基板404、およびシール材405で囲まれた空間407に発光
素子418が備えられた構造になっている。なお、空間407には、充填材が充填されて
おり、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材405で充填さ
れる場合もある。
【0244】
なお、シール材405にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料
はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板404
に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Rei
nforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステル
またはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0245】
以上のようにして、本発明の発光素子を有するアクティブマトリクス型の発光装置を得
ることができる。
【0246】
また、本発明の発光素子は、上述したアクティブマトリクス型の発光装置のみならずパ
ッシブマトリクス型の発光装置に用いることもできる。図5に本発明の発光素子を用いた
パッシブマトリクス型の発光装置の斜視図および断面図を示す。なお、図5(A)は、発
光装置を示す斜視図、図5(B)は図5(A)をX−Yで切断した断面図である。
【0247】
図5において、基板501上の第1の電極502と第2の電極503との間にはEL層
504が設けられている。第1の電極502の端部は絶縁層505で覆われている。そし
て、絶縁層505上には隔壁層506が設けられている。隔壁層506の側壁は、基板面
に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなるような傾斜を有する。
つまり、隔壁層506の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層505の面方向
と同様の方向を向き、絶縁層505と接する辺)の方が上辺(絶縁層505の面方向と同
様の方向を向き、絶縁層505と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層506を
設けることで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことができる。
【0248】
以上により、本発明の発光素子を有するパッシブマトリクス型の発光装置を得ることが
できる。
【0249】
なお、本実施の形態で示した発光装置(アクティブマトリクス型、パッシブマトリクス
型)は、いずれも本発明の発光効率の高い発光素子を用いて形成されることから、消費電
力が低減された発光装置を得ることができる。
【0250】
なお、本実施の形態4においては、実施の形態1〜3に示した構成を適宜組み合わせて
用いることができることとする。
【0251】
(実施の形態5)
本実施の形態5では、実施の形態4に示す本発明の発光装置をその一部に含む電子機器
について説明する。電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、ゴー
グル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーデ
ィオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携
帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的に
は、Digital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、
その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器の具
体例を図6に示す。
【0252】
図6(A)は本発明に係るテレビ装置であり、筐体611、支持台612、表示部61
3、スピーカー部614、ビデオ入力端子615等を含む。このテレビ装置において、表
示部613には、本発明の発光装置を適用することができる。本発明の発光装置は、高い
発光効率が得られるという特徴を有していることから、本発明の発光装置を適用すること
で消費電力の低減されたテレビ装置を得ることができる。
【0253】
図6(B)は本発明に係るコンピュータであり、本体621、筐体622、表示部62
3、キーボード624、外部接続ポート625、ポインティングデバイス626等を含む
。このコンピュータにおいて、表示部623には、本発明の発光装置を適用することがで
きる。本発明の発光装置は、高い発光効率が得られるという特徴を有していることから、
本発明の発光装置を適用することで消費電力の低減されたコンピュータを得ることができ
る。
【0254】
図6(C)は本発明に係る携帯電話であり、本体631、筐体632、表示部633、
音声入力部634、音声出力部635、操作キー636、外部接続ポート637、アンテ
ナ638等を含む。この携帯電話において、表示部633には、本発明の発光装置を適用
することができる。本発明の発光装置は、高い発光効率が得られるという特徴を有してい
ることから、本発明の発光装置を適用することで消費電力の低減された携帯電話を得るこ
とができる。
【0255】
図6(D)は本発明に係るカメラであり、本体641、表示部642、筐体643、外
部接続ポート644、リモコン受信部645、受像部646、バッテリー647、音声入
力部648、操作キー649、接眼部650等を含む。このカメラにおいて、表示部64
2には、本発明の発光装置を適用することができる。本発明の発光装置は、高い発光効率
が得られるという特徴を有していることから、本発明の発光装置を適用することで消費電
力の低減されたカメラを得ることができる。
【0256】
以上の様に、本発明の発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野
の電子機器に適用することが可能である。本発明の発光装置を用いることにより、消費電
力の低減された電子機器を得ることができる。
【0257】
また、本発明の発光装置は、照明装置として用いることもできる。図7は、本発明の発
光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図7に示した液晶表示装
置は、筐体701、液晶層702、バックライト703、筐体704を有し、液晶層70
2は、ドライバIC705と接続されている。また、バックライト703は、本発明の発
光装置が用いられおり、端子706により、電流が供給されている。
【0258】
このように本発明の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、
低消費電力のバックライトが得られる。また、本発明の発光装置は、面発光の照明装置で
あり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化も可能である。従って、低消費
電力であり、大面積化された液晶表示装置を得ることができる。
【0259】
図8は、本発明を適用した発光装置を、照明装置である電気スタンドとして用いた例で
ある。図8に示す電気スタンドは、筐体801と、光源802を有し、光源802として
、本発明の発光装置が用いられている。本発明の発光装置は発光効率の高い発光素子を有
しているため、低消費電力の電気スタンドとして用いることが可能となる。
【0260】
図9は、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置901として用いた例である。
本発明の発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることがで
きる。また、本発明の発光装置は、発光効率の高い発光素子を有しているため、低消費電
力の照明装置として用いることが可能となる。このように、本発明を適用した発光装置を
、室内の照明装置901として用いた部屋に、図6(A)で説明したような、本発明に係
るテレビ装置902を設置して公共放送や映画を鑑賞することができる。
【0261】
なお、本実施の形態5においては、実施の形態1〜に示した構成を適宜組み合わせて
用いることができることとする。
【実施例1】
【0262】
本実施例1では、構造式(5)で表される本発明のカルバゾール誘導体である4−フェ
ニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略
称:PCBA1BP)の合成方法について具体的に説明する。
【0263】
【化110】
[この文献は図面を表示できません]
【0264】
[ステップ1:4−ブロモジフェニルアミンの合成]
【0265】
ステップ1における4−ブロモジフェニルアミンの合成スキームを下記(D−1)に示
す。
【0266】
【化111】
[この文献は図面を表示できません]
【0267】
ジフェニルアミンを51g(0.3mol)1L三角フラスコ中にて酢酸エチル700
mLに溶かした後、ここにN−ブロモこはく酸イミド(略称;NBS)を54g(0.3
mol)加えた。約300時間後、この混合液を水で洗浄した後、硫酸マグネシウムを加
えて水分を取り除いた。この混合液を濾過して濾液を濃縮して回収した。濃い茶色で油状
の目的物を得た。収量は70g、収率は94%であった。
[ステップ2−1:3−ブロモ−9−フェニル−9H−カルバゾールの合成]
【0268】
ステップ2−1における3−ブロモ−9−フェニル−9H−カルバゾールの合成スキー
ムを下記(D−2−1)に示す。
【0269】
【化112】
[この文献は図面を表示できません]
【0270】
1000mL三角フラスコ中にて、9−フェニル−9H−カルバゾールを24g(10
0mmol)、N−ブロモこはく酸イミドを18g(100mmol)、トルエン450
mL、酢酸エチル200mLを加えて、室温にて45時間撹拌した。この懸濁液を、水で
洗浄した後、硫酸マグネシウムを加えて水分を取り除いた。この懸濁液を濾過し、得られ
た濾液を濃縮、乾燥させた。キャラメル状の目的物である3−ブロモ−9−フェニル−9
H−カルバゾールの収量は32g、収率は99%であった。
[ステップ2−2:9−フェニル−9H−カルバゾール−3−ボロン酸の合成]
【0271】
ステップ2−2における9−フェニル−9H−カルバゾール−3−ボロン酸の合成スキ
ームを下記(D−2−2)に示す。
【0272】
【化113】
[この文献は図面を表示できません]
【0273】
500mL三口フラスコ中にて、3−ブロモ−9−フェニル−9H−カルバゾールを2
9g(90mmol)、テトラヒドロフラン(略称;THF)を200mL、−78℃に
て撹拌し溶液とした後、ここにn−ブチルリチウムを(1.57mol/Lヘキサン溶液
)110mL(69mmol)滴下し、同温度で2時間攪拌した。さらに、ここにホウ酸
トリメチルを13mL(140mmol)を加え、室温にて24時間撹拌した。
【0274】
反応終了後、ここに1.0mol/L塩酸200mLを加え、室温で1時間撹拌した。
これを水、水酸化ナトリウム水溶液、水の順で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を
取り除いた。この懸濁液を濾過し、得られた濾液を濃縮し、クロロホルムとヘキサンを加
えて超音波をかけた後、再結晶を行った。目的物である白色粉末の9−フェニル−9H−
カルバゾール−3−ボロン酸の収量は21g、収率は80%であった。
【0275】
[ステップ3:4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)ジフェニルアミ
ン(略称:PCBA)の合成]
【0276】
ステップ3における4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)ジフェニル
アミン(略称:PCBA)の合成スキームを下記(D−3)に示す。
【0277】
【化114】
[この文献は図面を表示できません]
【0278】
4−ブロモジフェニルアミン6.5g(26mmol)、9−フェニル−9H−カルバ
ゾール−3−ボロン酸7.5g(26mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィン400
mg(1.3mmol)を500mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。
この混合物へトルエン100mL、エタノール50mL、炭酸カリウム水溶液(0.2m
ol/L)14mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、脱気後、酢
酸パラジウム(II)67mg(30mmol)を加えた。
【0279】
この混合物を100℃10時間還流した。還流後、この混合物の水層をトルエンで抽出
し、抽出溶液と有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムによ
り水分を取り除いた後、この混合物を自然ろ過し、得られたろ液を濃縮したところ、淡褐
色の油状物を得た。この油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサ
ン:トルエン=4:6)により精製し、精製後に得られた白色固体をジクロロメタン/ヘ
キサンにて再結晶し、目的物である白色固体を得た。なお、収量は4.9g、収率は45
%であった。
[ステップ4:4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル
)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)の合成]
【0280】
ステップ4における4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−
イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)の合成スキームを下記(D−4)に
示す。
【0281】
【化115】
[この文献は図面を表示できません]
【0282】
4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)ジフェニルアミン2.0g(4
.9mmol)、4−ブロモビフェニル1.1g(4.9mmol)、ナトリウム te
rt−ブトキシド2.0g(20mmol)を100mL三口フラスコへ入れ、フラスコ
内を窒素置換した。この混合物へ、トルエン50mL、トリ(tert−ブチル)ホスフ
ィン(10wt%ヘキサン溶液)0.30mLを加えた。
【0283】
この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、脱気後、ビス(ジベンジリデンアセトン
)パラジウム(0)0.10gを加えた。次に、この混合物を、80℃で5時間加熱撹拌
し、反応させた。反応後、反応混合物にトルエンを加え、この懸濁液をセライト、アルミ
ナ、フロリジルを通して吸引ろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を飽和炭酸ナトリウム水
溶液、飽和食塩水の順に洗浄した。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。乾燥後
、この混合物を吸引ろ過し、硫酸マグネシウムを除去してろ液を得た。
【0284】
得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行った。シ
リカゲルカラムクロマトグラフィーはまずトルエン:ヘキサン=1:9の混合溶媒を展開
溶媒として用い、ついでトルエン:ヘキサン=3:7の混合溶媒を展開溶媒として用いる
ことにより行った。得られたフラクションを濃縮して得た固体をクロロホルムとヘキサン
の混合溶媒により再結晶したところ、白色粉末状固体の収量は2.3g、収率は84%で
あった。
【0285】
得られた白色固体1.2gの昇華精製をトレインサブリメーション法により行った。昇
華精製は7.0Paの減圧下、アルゴンの流量を3mL/minとして280℃で20時
間行った。収量は1.1g、収率は89%であった。
【0286】
上記ステップ4で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。以
下に測定データを示す。また、H NMRチャートを図10(a)(b)に示す。測定
結果から、上述の構造式(5)で表される本発明のカルバゾール誘導体である4−フェニ
ル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称
:PCBA1BP)が得られたことがわかった。
【0287】
H NMR(DMSO−,300MHz):δ(ppm)=7.05−7.20
(m,7H),7.28−7.78(m,21H),8.34(d,J=7.8Hz,1
H),8.57(s,1H)。
【0288】
また、PCBA1BP(略称)のトルエン溶液の吸収スペクトルを図11(a)に示す
。また、PCBA1BP(略称)の薄膜の吸収スペクトルを図11(b)に示す。測定に
は紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液のスペクトル
は石英セル中で測定した。薄膜サンプルは石英基板にPCBA1BP(略称)を蒸着する
ことで作製した。測定したサンプルのスペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引いて
得られた吸収スペクトルを図11(a)および図11(b)に示した。
【0289】
図11(a)および図11(b)において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意
単位)を表す。トルエン溶液の場合では335nm付近に吸収ピークが見られ、薄膜の場
合では341nm付近に吸収ピークが見られた。また、PCBA1BP(略称)のトルエ
ン溶液(励起波長346nm)の発光スペクトルを図11(a)に示す。また、PCBA
1BP(略称)の薄膜(励起波長386nm)の発光スペクトルを図11(b)に示す。
図11(a)および図11(b)において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単
位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では391nm(励起波長346nm)
、薄膜の場合で416nm(励起波長386nm)であった。
【0290】
また、PCBA1BP(略称)の酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(C
V)測定によって調べた。測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製
、型番:ALSモデル600Aまたは600C)を用いた。
【0291】
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)ア
ルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い、支持電解質である
過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)((株)東京化成製
、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さら
に測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極と
しては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白
金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参
照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE7非水溶媒系参照電
極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20〜25℃)で行った。また、CV測定時
のスキャン速度は、0.1V/secに統一した。
【0292】
(参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーの算出)
まず、本実施例で用いる参照電極(Ag/Ag電極)の真空準位に対するポテンシャ
ルエネルギー(eV)を算出した。つまり、Ag/Ag電極のフェルミ準位を算出した
。メタノール中におけるフェロセンの酸化還元電位は、標準水素電極に対して+0.61
0[V vs. SHE]であることが知られている(参考文献;Christian
R.Goldsmith et al., J.Am.Chem.Soc., Vol.
124, No.1,83−96, 2002)。一方、本実施例で用いる参照電極を用
いて、メタノール中におけるフェロセンの酸化還元電位を求めたところ、+0.11V[
vs.Ag/Ag]であった。したがって、本実施例4で用いる参照電極のポテンシャ
ルエネルギーは、標準水素電極に対して0.50[eV]低くなっていることがわかった
【0293】
ここで、標準水素電極の真空準位からのポテンシャルエネルギーは−4.44eVであ
ることが知られている(参考文献;大西敏博・小山珠美著、高分子EL材料(共立出版)
、p.64−67)。以上のことから、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポ
テンシャルエネルギーは、−4.44−0.50=−4.94[eV]であると算出でき
た。
【0294】
酸化反応特性のCV測定結果を図41に示す。なお、酸化反応特性の測定は、参照電極
に対する作用電極の電位を0.07Vから1.00Vまで走査した後、1.00Vから0
.07Vまで走査して行った。
【0295】
まず、PCBA1BP(略称)のCV測定からのHOMO準位の算出について詳述する
図41に示すように、酸化ピーク電位Epaは、0.536Vであった。また、還元ピ
ーク電位Epcは0.446Vであった。したがって、半波電位(EpaとEpcの中間
の電位)は0.49Vと算出できる。このことは、PCBA1BP(略称)は0.49[
V vs.Ag/Ag]の電気エネルギーにより酸化されることを示しており、このエ
ネルギーはHOMO準位に相当する。ここで、上述した通り、本実施例1で用いる参照電
極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4.94[eV]であるため、PC
BA1BP(略称)のHOMO準位は、−4.94−0.49=−5.43[eV]であ
ることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同様の値となった。このこ
とから、酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すことがわかった
【実施例2】
【0296】
本実施例2では、構造式(6)で表される本発明のカルバゾール誘導体である4,4’
−ジフェニル−4’’−(9−フェニル−9−H−カルバゾール−3−イル)トリフェニ
ルアミン(略称:PCBBi1BP)の合成方法について具体的に説明する。
【0297】
【化116】
[この文献は図面を表示できません]
【0298】
[ステップ1−1:4−フェニル−ジフェニルアミンの合成]
【0299】
ステップ1−1における4−フェニル−ジフェニルアミンの合成スキームを下記(E−
1−1)に示す。
【0300】
【化117】
[この文献は図面を表示できません]
【0301】
三口フラスコ中にて、4−ブロモビフェニル20.0g(85.8mmol)、アニリ
ン16.0g(172mmol)、酢酸パラジウム(II)0.19g(0.86mmo
l)、炭酸カリウム23.7g(172mmol)の脱水キシレン懸濁液(150mL)
にトリ−tert−ブチルホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)5.2g(2.5mm
ol)を加え、その混合物を窒素雰囲気下120℃で10時間還流した。反応終了後、反
応混合物を水で洗浄し、有機層と水層とに分け、水層をトルエンで抽出した。
【0302】
得られた上記トルエン層と上記有機層とを合わせ、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシ
ウムを加えることにより、有機層中の水分を取り除いた。この混合物を吸引ろ過し、得ら
れたろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:
トルエン)により精製した。得られた溶液を濃縮して得られた4−フェニル−ジフェニル
アミンの白色固体の収量は13.5g、収率は64%であった。
[ステップ1−2:4,4’−ジフェニルトリフェニルアミンの合成]
【0303】
ステップ1−2における4,4’−ジフェニルトリフェニルアミンの合成スキームを下
記(E−1−2)に示す。
【0304】
【化118】
[この文献は図面を表示できません]
【0305】
4−フェニル−ジフェニルアミンを3.7g(15mmol)、4−ブロモビフェニル
を3.5g(15mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを2.5g(25mm
ol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を10mg(0.02mmo
l)、100mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、脱水
キシレン40mL、を加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、脱気後、ト
リ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.2mL(60mmo
l)を加えた。
【0306】
次に、この混合物を、120℃で5時間加熱撹拌し、反応させた。反応後、反応混合物
にトルエンを加え、この懸濁液をセライト、アルミナ、フロリジルを通して吸引ろ過し、
ろ液を得た。得られたろ液を飽和炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄した。得
られた有機層に硫酸マグネシウムを加えて水分を取り除いた。この混合物をセライト、ア
ルミナ、フロリジルを通して吸引ろ過し、得られたろ液を濃縮した。得られた残渣にアセ
トンとメタノールを加え、超音波を加えた後に再結晶したところ、白色粉末状固体を収量
5.4g、収率92%で得た。
[ステップ1’:4,4’−ジフェニルトリフェニルアミンの合成]
【0307】
上述したステップ1−1およびステップ1−2による合成法の他にステップ1’に示す
合成法を用いて4,4’−ジフェニルトリフェニルアミンを合成することもできる。なお
、ステップ1’における4,4’−ジフェニルトリフェニルアミンの合成スキームを下記
(E−1’)に示す。
【0308】
【化119】
[この文献は図面を表示できません]
【0309】
アニリンを1.9g(20mmol)、4−ブロモビフェニルを9.3g(40mmo
l)、ナトリウム tert−ブトキシドを4.5g(45mmol)、酢酸パラジウム
を0.4g(2.0mmol)、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(略
称;DPPF)を1.1g(2.0mmol)200mL三口フラスコへ入れ、フラスコ
内を窒素置換した。この混合物へ、脱水キシレン70mL、を加えた。この混合物を、減
圧下で攪拌しながら脱気し、110℃で3時間加熱撹拌し、反応させた。反応後、反応混
合物にトルエンを加え、この懸濁液をセライト、アルミナ、フロリジルを通して吸引ろ過
し、ろ液を得た。得られたろ液を飽和炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄した
。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加えて水分を取り除いた。この混合物をセライト
、アルミナ、フロリジルを通して吸引ろ過し、得られたろ液を濃縮した。得られた残渣に
アセトンとヘキサンを加え、超音波を加えた後に再結晶したところ、白色粉末状固体を収
量5.4g、収率67%で得た。
[ステップ2:4−ブロモ−4’,4’’−ジフェニルトリフェニルアミンの合成]
【0310】
上述したステップ(1−1)およびステップ(1−2)、またはステップ1’に示す合
成法を用いて合成された4,4’−ジフェニルトリフェニルアミン用いて4−ブロモ−4
’,4’’−ジフェニルトリフェニルアミンを合成する。なお、ステップ2における4−
ブロモ−4’,4’’−ジフェニルトリフェニルアミンの合成スキームを下記(E−2)
に示す。
【0311】
【化120】
[この文献は図面を表示できません]
【0312】
4,4’−ジフェニルトリフェニルアミンを4.0g(10mmol)三角フラスコ中
にてトルエン50mL、酢酸エチル50mLの混合溶媒に溶かした後、ここにN−ブロモ
こはく酸イミド(略称;NBS)を加えて120時間室温にて撹拌した。反応終了後、こ
の混合液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を取り除いた。この混合液を濾過
し、得られた濾液を濃縮し、再結晶を行った。目的物の白色粉末の収量は4.5g、収率
は95%であった。
[ステップ3:4,4’−ジフェニル−4’’−(9−フェニル−9−H−カルバゾー
ル−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)の合成]
【0313】
ステップ3における4,4’−ジフェニル−4’’−(9−フェニル−9−H−カルバ
ゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)の合成スキームを下
記(E−3)に示す。
【0314】
【化121】
[この文献は図面を表示できません]
【0315】
4−ブロモ−4’,4’’−ジフェニルトリフェニルアミン1.5g(3.1mmol
)、9−フェニル−9H−カルバゾール−3−ボロン酸0.9g(3.1mmol)、酢
酸パラジウム(II)50mg(0.023mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィン
0.050g(0.17mmol)を100mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素
置換した。なお、9−フェニル−9H−カルバゾール−3−ボロン酸の合成法については
、実施例1において説明した方法と同様であるので、そちらを参照することとし、ここで
の説明は省略する。この混合物へ、エチレングリコールジメチルエーテル(DME)30
mL、2mol/L炭酸カリウム水溶液15mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌
しながら脱気し、脱気後、この混合物を90℃で5時間加熱撹拌し、反応させた。
【0316】
反応後、反応混合物に酢酸エチルを加え、この懸濁液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液
、飽和食塩水により洗浄した。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。乾燥後、こ
の混合物を吸引ろ過して硫酸マグネシウムを除去し、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮し
て得た固体にトルエンを加えて溶解し、セライト、アルミナ、フロリジ−ルを通して吸引
ろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによ
る精製を行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィーはまず、トルエン:ヘキサン=1
:9の混合溶媒を展開溶媒として用い、ついでトルエン:ヘキサン=3:7の混合溶媒を
展開溶媒として用いることにより行った。
【0317】
得られたフラクションを濃縮して得た固体をジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒で再
結晶したところ、目的物の白色固体を収量1.3g、収率66%で得た。得られた白色固
体1.1gの昇華精製をトレインサブリメーション法により行った。昇華精製は7.0P
aの減圧下、アルゴンの流量を4mL/minとして305℃で15時間行ったところ、
収量は840mg、収率は76%であった。
【0318】
上記ステップ4で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。以
下に測定データを示す。また、H NMRチャートを図12(a)(b)に示す。測定
結果から、上述の構造式(6)で表される本発明のカルバゾール誘導体である4,4’−
ジフェニル−4’’−(9−フェニル−9−H−カルバゾール−3−イル)トリフェニル
アミン(略称:PCBBi1BP)が得られたことがわかった。
【0319】
H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=7.25−7.69(m
,32H),8.19(d,J=7.3Hz,1H),8.35(s,1H)。
【0320】
また、PCBBi1BP(略称)のトルエン溶液の吸収スペクトルを図13(a)に示
す。また、PCBBi1BP(略称)の薄膜の吸収スペクトルを図13(b)に示す。測
定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液のスペク
トルは石英セル中で測定した。薄膜サンプルは石英基板にPCBBi1BP(略称)を蒸
着することで作製した。測定したサンプルのスペクトルから石英の吸収スペクトルを差し
引いて得られた吸収スペクトルを図13(a)および図13(b)に示した。図13(a
)および図13(b)において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す
。トルエン溶液の場合では347nm付近に吸収ピークが見られ、薄膜の場合では350
nm付近に吸収ピークが見られた。また、PCBBi1BP(略称)のトルエン溶液(励
起波長358nm)の発光スペクトルを図13(a)に示す。また、PCBBi1BP(
略称)の薄膜(励起波長366nm)の発光スペクトルを図13(b)に示す。図13
a)および図13(b)において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表
す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では399nm(励起波長358nm)、薄膜の
場合で417nm(励起波長366nm)であった。
【0321】
また、PCBBi1BP(略称)の酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(
CV)測定によって調べた。測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することと
する。
【0322】
酸化反応特性のCV測定結果を図42に示す。図42に示すように、酸化ピーク電位E
paは、0.521V、還元ピーク電位Epcは+0.431Vと読み取ることができる
。したがって、半波電位(EpcとEpaの中間の電位)は+0.48Vと算出できる。
実施例1と同様の計算により、PCBBi1BP(略称)のHOMO準位は、=−5.4
2[eV]であることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同様の値と
なった。酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すことがわかった
【0323】
また、薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、P
CBBi1BP(略称)HOMO準位は−5.34eVであった。薄膜の吸収スペクトル
のTaucプロットから吸収端は3.15eVであった。従って、固体状態のエネルギー
ギャップは3.15eVと見積もられ、このことはPCBBi1BP(略称)のLUMO
準位が−2.19eVであることを意味する。
【0324】
また、PCBBi1BP(略称)のガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(
DSC:Differential Scanning Calorimetry)(パ
ーキンエルマー製、型番:Pyris1 DSC)を用いて調べた。測定結果から、ガラ
ス転移温度は123℃であることが分かった。このように、PCBBi1BP(略称)は
、高いガラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有するものである。また、結晶化を表すピ
ークは存在せず、結晶化し難い物質であることが分かった。
【実施例3】
【0325】
本実施例2では、構造式(7)で表される本発明のカルバゾール誘導体である9,9−
ジメチル−N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)
フェニル]−フルオレン−2−アミン(略称:PCBAF)の合成方法について具体的に
説明する。
【0326】
【化122】
[この文献は図面を表示できません]
【0327】
[ステップ1:2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレンの合成]
【0328】
ステップ1における2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレンの合成スキームを下記(
F−1)に示す。
【0329】
【化123】
[この文献は図面を表示できません]
【0330】
2−ブロモフルオレン12.5g(51mmol)、ヨウ化カリウム8.5g(51m
mol)、水酸化カリウム14.3g(0.50mol)、ジメチルスルホキシド250
mLを500mL三角フラスコに30分間撹拌した。この混合物にヨウ化メチル10mL
を少量ずつ加えた。この混合物を室温で48時間撹拌した。反応後、反応溶液に400m
Lのクロロホルムを加えて撹拌した。この溶液を1N塩酸、飽和炭酸ナトリウム水溶液、
飽和食塩水の順に洗浄した。得られた有機層に硫酸マグネシウムを加えて水分を取り除い
た。
【0331】
この混合物を吸引ろ過、濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精
製を行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィーはまず、ヘキサンを展開溶媒として用
い、ついで酢酸エチル:ヘキサン=1:5の混合溶媒を展開溶媒として用いた。対応する
フラクションを濃縮し、乾燥させたところ、褐色油状物を収量12g、収率97%で得た
【0332】
[ステップ2:9,9−ジメチル−N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−
カルバゾール−3−イル)フェニル]−フルオレン−2−アミン(略称:PCBAF)の
合成]
【0333】
ステップ2における9,9−ジメチル−N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9
H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−フルオレン−2−アミン(略称:PCBAF
)の合成スキームを下記(F−2)に示す。
【0334】
【化124】
[この文献は図面を表示できません]
【0335】
4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)ジフェニルアミン(略称:PC
BA)2.0g(4.9mmol)、2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレン1.3g
(4.9mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド2.0g(20mmol)を1
00mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。なお、PCBA(略称)の合
成法については、実施例2において説明した方法と同様であるので、そちらを参照するこ
ととし、ここでの説明は省略する。この混合物にトルエン50mL、トリ(tert−ブ
チル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.30mLを加えた。この混合物を、減
圧下で攪拌しながら脱気し、脱気後、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)
0.10gを加えた。次に、この混合物を、80℃で5時間加熱撹拌し、反応させた。反
応後、反応混合物にトルエンを加え、この懸濁液をセライト、アルミナ、フロリジルを通
して吸引ろ過し、ろ液を得た。
【0336】
得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行った。シ
リカゲルカラムクロマトグラフィーはまずトルエン:ヘキサン=1:9の混合溶媒を展開
溶媒として用い、ついでトルエン:ヘキサン=3:7の混合溶媒を展開溶媒として用いる
ことにより行った。得られたフラクションを濃縮して得た固体をクロロホルムとヘキサン
の混合溶媒により再結晶したところ、目的の化合物の収量は1.3g、収率は44%であ
った。
【0337】
得られた淡黄色固体1.3gの昇華精製をトレインサブリメーション法により行った。
昇華精製は7.0Paの減圧下、アルゴンの流量を3mL/minとして270℃で20
時間行った。なお、収量は1.0g、収率は77%であった。
【0338】
上記ステップ2で得られた化合物を核磁気共鳴法により(H NMR)測定した。以
下に測定データを示す。また、H NMRチャートを図14に示す。測定結果から、上
述の構造式(7)で表される本発明のカルバゾール誘導体である9,9−ジメチル−N−
フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−フ
ルオレン−2−アミン(略称:PCBAF)が得られたことがわかった。
【0339】
H NMR(DMSO−d,300MHz):δ(ppm)=1.39(s,6H)
6.98−7.82(m,26H),8.35(d,J=6.8Hz,1H),8.57
(s,1H)。
【0340】
また、PCBAF(略称)のトルエン溶液の吸収スペクトルを図15(a)に示す。ま
た、PCBAF(略称)の薄膜の吸収スペクトルを図15(b)に示す。測定には紫外可
視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液のスペクトルは石英セ
ル中で測定した。薄膜サンプルは石英基板にPCBAF(略称)を蒸着することで作製し
た。測定したサンプルのスペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引いて得られた吸収
スペクトルを図15(a)および図15(b)に示した。図15(a)および図15(b
)において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場
合では339nm付近に吸収ピークが見られ、薄膜の場合では345nm付近に吸収ピー
クが見られた。また、PCBAF(略称)のトルエン溶液(励起波長347nm)の発光
スペクトルを図15(a)に示す。また、PCBAF(略称)の薄膜(励起波長370n
m)の発光スペクトルを図15(b)に示す。図15(a)および図15(b)において
横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液
の場合では394nm(励起波長347nm)、薄膜の場合で404nm(励起波長37
0nm)であった。
【0341】
また、PCBAF(略称)の酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(CV)
測定によって調べた。測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することとする。
【0342】
酸化反応特性のCV測定結果を図43に示す。図43に示すように、酸化ピーク電位E
paは、0.481V、還元ピーク電位Epcは+0.393Vと読み取ることができる
。したがって、半波電位(EpcとEpaの中間の電位)は+0.44Vと算出できる。
実施例1と同様の計算により、PCBAF(略称)のHOMO準位は、=−5.38[e
V]であることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同様の値となった
。このことから、酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すことが
わかった。
【実施例4】
【0343】
本実施例4では、構造式(8)で表される本発明のカルバゾール誘導体であるN−フェ
ニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−スピロ
−9,9’−ビフルオレン−2−アミン(略称:PCBASF)の合成方法について具体
的に説明する。
【0344】
【化125】
[この文献は図面を表示できません]
【0345】
[ステップ1−1:9−(ビフェニル−2−イル)−2−ブロモフルオレン−9−オール
の合成]
ステップ1−1における9−(ビフェニル−2−イル)−2−ブロモフルオレン−9−
オールの合成スキームを下記(G−1−1)に示す。
【0346】
【化126】
[この文献は図面を表示できません]
【0347】
滴下ロート及びジムロートを接続した100mL三口フラスコに、マグネシウム1.2
6g(0.052mol)を入れ、系内を真空下にし、30分加熱撹拌して、マグネシウ
ムを活性化した。室温にさましてから系内を窒素気流下にし、ジエチルエーテル5mL、
ジブロモエタン数滴を加え、滴下ロートよりジエチルエーテル15mL中に溶かした2−
ブロモビフェニル11.65g(0.050mol)をゆっくり滴下し、滴下終了後3時
間還流してグリニヤール試薬とした。
【0348】
滴下ロート及びジムロートを接続した200mL三口フラスコに2−ブロモ−9−フル
オレノン11.7g(0.045mol)、ジエチルエーテル40mLを入れた。この反
応溶液に滴下ロートより合成したグリニヤール試薬をゆっくり滴下し、滴下終了後2時間
還流し、さらに室温で一晩撹拌した。反応終了後、溶液を飽和塩化アンモニア水で2回洗
浄し、水層と有機層とに分け、得られた水層を酢酸エチルで2回抽出し、この酢酸エチル
溶液と得られた有機層とをあわせて飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムにより水分
を取り除いた後、吸引濾過、濃縮したところ、9−(ビフェニル−2−イル)−2−ブロ
モ−9−フルオレノールの固体を収量18.76g、収率90%で得た。
[ステップ1−2:2−ブロモ−スピロ−9,9’−ビフルオレンの合成]
【0349】
ステップ1−2における2−ブロモ−スピロ−9,9’−ビフルオレンの合成スキーム
を下記(G−1−2)に示す。
【0350】
【化127】
[この文献は図面を表示できません]
【0351】
200mL三口フラスコに、合成した9−(ビフェニル−2−イル)−2−ブロモ−9
−フルオレノール18.76g(0.045mol)、氷酢酸100mLを入れ、濃塩酸
数滴を加え2時間還流した。反応終了後、吸引濾過により回収し、飽和炭酸水素ナトリウ
ム水溶液および水で濾過洗浄した。得られた茶色固体をエタノールにより再結晶したとこ
ろ、薄茶色粉末状固体を得た。収量は10.24g、収率は57%であった。
【0352】
[ステップ2:N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−
イル)フェニル]−スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−アミン(略称:PCBASF
)の合成]
【0353】
ステップ2におけるN−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−
3−イル)フェニル]−スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−アミン(略称:PCBA
SF)の合成スキームを下記(G−2)に示す。
【0354】
【化128】
[この文献は図面を表示できません]
【0355】
4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)ジフェニルアミン(略称:PC
BA)2.0g(4.9mmol)、2−ブロモ−スピロ−9,9’−ビフルオレン1.
9g(4.9mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド2.0g(20mmol)
を100mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、トルエン
50mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.30m
Lを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、脱気後、ビス(ジベンジリデ
ンアセトン)パラジウム(0)0.10gを加えた。
【0356】
次に、この混合物を、80℃で5時間加熱撹拌し、反応させた。反応後、反応混合物に
トルエンを加え、この懸濁液をセライト、アルミナ、フロリジルを通して吸引ろ過し、ろ
液を得た。得られたろ液を飽和炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄した。有機
層に硫酸マグネシウムを加えて水分を取り除いた後、この混合物を吸引ろ過し、硫酸マグ
ネシウムを除去してろ液を得た。得られたろ液を濃縮して得た固体をクロロホルムとヘキ
サンの混合溶媒により再結晶したところ、白色粉末状固体を収量3.4g、収率94%を
得た。得られた白色固体2.3gの昇華精製をトレインサブリメーション法により行った
。昇華精製は7.0Paの減圧下、アルゴンの流量を3mL/minとして310℃で2
0時間行った。収量は1.7g、収率は74%であった。
【0357】
上記ステップ2で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。以
下に測定データを示す。また、H NMRチャートを図16に示す。測定結果から、上
述の構造式(8)で表される本発明のカルバゾール誘導体であるN−フェニル−N−[4
−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−スピロ−9,9’−ビ
フルオレン−2−アミン(略称:PCBASF)が得られたことがわかった。
【0358】
H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=6.61−6.70(m
,2H),6.83(d,J=8.3Hz,2H),6.88−7.79(m,30H)
,8.16(d,J=8.3Hz,1H),8.26(s,1H)。
【0359】
また、PCBASF(略称)のトルエン溶液の吸収スペクトルを図17(a)に示す。
また、PCBASF(略称)の薄膜の吸収スペクトルを図17(b)に示す。測定には紫
外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液のスペクトルは石
英セル中で測定した。薄膜サンプルは石英基板にPCBASF(略称)を蒸着することで
作製した。測定したサンプルのスペクトルから石英の吸収スペクトルを差し引いて得られ
た吸収スペクトルを図17(a)および図17(b)に示した。図17(a)および図1
7(b)において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶
液の場合では338nm付近に吸収ピークが見られ、薄膜の場合では345nm付近に吸
収ピークが見られた。また、PCBASF(略称)のトルエン溶液(励起波長352nm
)の発光スペクトルを図17(a)に示す。また、PCBASF(略称)の薄膜(励起波
長371nm)の発光スペクトルを図17(b)に示す。図17(a)および図17(b
)において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はト
ルエン溶液の場合では396nm(励起波長352nm)、薄膜の場合で427nm(励
起波長371nm)であった。
【0360】
また、PCBASF(略称)の酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(CV
)測定によって調べた。測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することとする
【0361】
酸化反応特性のCV測定結果を図44に示す。図44に示すように、酸化ピーク電位E
paは、0.52V、還元ピーク電位Epcは+0.428Vと読み取ることができる。
したがって、半波電位(EpcとEpaの中間の電位)は+0.47Vと算出できる。実
施例1と同様の計算により、PCBASF(略称)のHOMO準位は、=−5.41[e
V]であることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同様の値となった
。このことから、酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すことが
わかった。
【実施例5】
【0362】
本実施例5では、実施例1〜実施例4で合成した本発明のカルバゾール誘導体である4
−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミ
ン(略称:PCBA1BP)を用いて形成した発光素子2、4,4’−ジフェニル−4’
’−(9−フェニル−9−H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:P
CBBi1BP)を用いて形成した発光素子3、9,9−ジメチル−N−フェニル−N−
[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−フルオレン−2−
アミン(略称:PCBAF)を用いて形成した発光素子4、およびN−フェニル−N−[
4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−スピロ−9,9’−
ビフルオレン−2−アミン(略称:PCBASF)を用いて形成した発光素子5の作製方
法および素子特性の測定結果を示す。
【0363】
なお、本実施例における発光素子の素子構造は、図18に示す構造であり、正孔輸送層
1512に上述した本発明のカルバゾール誘導体を用いて形成したものである。また、比
較発光素子である発光素子1は、正孔輸送層1512に4,4’−ビス[N−(1−ナフ
チル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を用いて形成し、比較条件を
そろえるために発光素子2〜発光素子5が形成されたそれぞれの基板と同一基板上に発光
素子1を形成し、発光素子2〜発光素子5との比較を行った。本実施例5で用いる有機化
合物の構造式を以下に示す。
【0364】
【化129】
[この文献は図面を表示できません]
【0365】
まず、ガラス基板である基板1501上に、酸化珪素を含む酸化インジウム−酸化スズ
をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極1502を形成した。なお、その膜厚は11
0nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0366】
次に、第1の電極1502上に複数の層が積層されたEL層1503を形成する。本実
施例において、EL層1503は、正孔注入層である第1の層1511、正孔輸送層であ
る第2の層1512、発光層である第3の層1513、電子輸送層である第4の層151
4、電子注入層である第5の層1515が順次積層された構造を有する。
【0367】
第1の電極1502が形成された面が下方となるように、第1の電極1502が形成さ
れた基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減
圧した後、第1の電極1502上に、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェ
ニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)と酸化モリブデン(VI)とを共蒸着すること
により、正孔注入層である第1の層1511を形成した。その膜厚は50nmとし、NP
Bと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で4:1=(NPB:酸化モリブデン)と
なるように蒸着レートを調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で複数の蒸発源
から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0368】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、第1の層1511上に正孔輸送性材料を10n
mの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層である第2の層1512を形成した。なお、発
光素子1を形成する場合には、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルア
ミノ]ビフェニル(略称:NPB)を用い、発光素子2を形成する場合には、4−フェニ
ル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称
:PCBA1BP)を用い、発光素子3を形成する場合には、4,4’−ジフェニル−4
’’−(9−フェニル−9−H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:
PCBBi1BP)を用い、発光素子4を形成する場合には、9,9−ジメチル−N−フ
ェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−フル
オレン−2−アミン(略称:PCBAF)を用い、発光素子5を形成する場合には、N−
フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−ス
ピロ−9,9’−ビフルオレン−2−アミン(略称:PCBASF)を用いてそれぞれ形
成した。
【0369】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、第2の層1512上に、発光層である第3の層
1513を形成した。9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H
−カルバゾール(略称:CzPA)と4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−
(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA
PA)とを共蒸着することにより第3の層1513を30nmの膜厚で形成した。ここで
、CzPAとPCBAPAとの重量比は、1:0.10(=CzPA:PCBAPA)と
なるように蒸着レートを調節した。
【0370】
さらに、第3の層1513上に抵抗加熱による蒸着法を用いて、トリス(8−キノリノ
ラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)を10nm、その上にバソフェナントロ
リン(略称:BPhen)を20nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層である第4
の層1514を形成した。
【0371】
第4の層1514上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚となるように成膜す
ることにより、電子注入層である第5の層1515を形成した。
【0372】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、アルミニウムを200nmの膜厚となるように
成膜することにより、第2の電極1504を形成し、発光素子1〜発光素子5を作製した
【0373】
以上により得られた発光素子1〜発光素子5を、窒素雰囲気のグローブボックス内にお
いて、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、これらの発光素子の
動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った
【0374】
発光素子1および発光素子2の電流密度−輝度特性を図19に示す。また、電圧−輝度
特性を図20、輝度−電流効率特性を図21、電圧−電流特性を図22にそれぞれ示す。
【0375】
発光素子2は、駆動電圧が3.4Vのとき、輝度1277cd/m、電流値は0.7
9mAであった。第2の層1512にNPBを用いた発光素子1と比較しても、第2の層
1512にPCBA1BP(略称)を用いた発光素子2は、低駆動電圧を示していること
がわかった。さらに電流効率が高いことがわかった。
【0376】
また、発光素子2では、図23に示す発光スペクトルより、青色発光材料であるPCB
APA由来の発光波長が観測され、ホール輸送材料由来の発光波長は観測されなかった。
よって本発明のPCBA1BP(略称)を用いた発光素子2は、その構造において、良好
なキャリアバランスを実現していることがわかった。
【0377】
また、発光素子2に関し、初期輝度を1000cd/mとして、定電流駆動による連
続点灯試験を行った結果を図24に示す(縦軸は、1000cd/mを100%とした
時の相対輝度である)。図24の結果から、発光素子3は160時間後でも初期輝度の9
2%の輝度を保っており、発光素子1と比較しても長寿命であることがわかった。よって
、本発明のPCBA1BP(略称)を適用することにより、長寿命な発光素子が得られる
【0378】
発光素子1および発光素子3の電流密度−輝度特性を図25に示す。また、電圧−輝度
特性を図26、輝度−電流効率特性を図27、電圧−電流特性を図28にそれぞれ示す。
【0379】
発光素子3は、駆動電圧が3.4Vのとき、輝度1328cd/m、電流値は0.7
8mAであった。第2の層1512にNPBを用いた発光素子1と比較しても、第2の層
1512にPCBBi1BP(略称)を用いた発光素子3は、低駆動電圧を示しているこ
とがわかった。さらに、電流効率が高いことがわかった。
【0380】
また、発光素子3では、図29に示す発光スペクトルより、青色発光材料であるPCB
APA由来の発光波長が観測され、ホール輸送材料由来の発光波長は観測されなかった。
よって本発明のPCBBi1BP(略称)を用いた発光素子3は、その構造において、良
好なキャリアバランスを実現していることがわかった。
【0381】
発光素子1および発光素子4の電流密度−輝度特性を図30に示す。また、電圧−輝度
特性を図31、輝度−電流効率特性を図32、電圧−電流特性を図33にそれぞれ示す。
【0382】
発光素子4は、駆動電圧が3.8Vのとき、輝度1328cd/m、電流値は1.0
8mAであった。第2の層1512にNPBを用いた発光素子1と比較しても、第2の層
1512にPCBAF(略称)を用いた発光素子4は、低駆動電圧を示していることがわ
かった。
【0383】
また、発光素子4では、図34に示す発光スペクトルより、青色発光材料であるPCB
APA由来の発光波長が観測され、ホール輸送材料由来の発光波長は観測されなかった。
よって本発明のPCBAF(略称)を用いた発光素子4は、その構造において、良好なキ
ャリアバランスを実現していることがわかった。
【0384】
また、発光素子4に関し、初期輝度を1000cd/mとして、定電流駆動による連
続点灯試験を行った結果を図35に示す(縦軸は、1000cd/mを100%とした
時の相対輝度である)。図35の結果から、発光素子3は160時間後でも初期輝度の9
2%の輝度を保っており、発光素子1と比較しても長寿命であることがわかった。よって
、本発明のPCBAF(略称)を適用することにより、長寿命な発光素子が得られる。
【0385】
発光素子1および発光素子5の電流密度−輝度特性を図36に示す。また、電圧−輝度
特性を図37、輝度−電流効率特性を図38、電圧−電流特性を図39にそれぞれ示す。
【0386】
発光素子5は、駆動電圧が3.8Vのとき、輝度1398cd/m、電流値は1.1
1mAであった。第2の層1512にNPBを用いた発光素子1と比較しても、第2の層
1512にPCBASF(略称)を用いた発光素子5は、低駆動電圧を示していることが
わかった。さらに、電流効率が高いことがわかった。
【0387】
また、発光素子5では、図40に示す発光スペクトルより、青色発光材料であるPCB
APA由来の発光波長が観測され、ホール輸送材料由来の発光波長は観測されなかった。
よって本発明のPCBASF(略称)を用いた発光素子5は、その構造において、良好な
キャリアバランスを実現していることがわかった。
【0388】
以上より、本発明のカルバゾール誘導体を用いて形成した発光素子2〜発光素子5は発
光素子1と同等レベルの効率を示すことがわかった。よって、本発明を適用することによ
り、高効率な発光素子が得られることがわかった。
【0389】
また、本実施例に示した発光素子1の構造において、第1の層1511を形成する際に
用いたNPB(略称)の代わりにPCBA1BP(略称)用い、酸化モリブデン(VI)
と共蒸着して第1の層1511を形成した発光素子の効率、約1000cd/mにおけ
る駆動電圧、および信頼性は、実施例10においてNPBと酸化モリブデン(VI)の共
蒸着膜を正孔注入層に用い、PCBBiNB(略称)を正孔輸送層に用いて形成した発光
素子8と同等の良好な値が得られた(駆動電圧が3.8Vのとき、輝度949cd/m
、電流値は0.65mAであり、1500時間駆動で初期輝度の64%の輝度を保ってい
た)。
【0390】
このように、PCBA1BP(略称)は、正孔注入材料としても良好な材料であること
がわかった。また酸化モリブデンとの共蒸着膜を正孔注入層として用いても良好な特性が
得られることがわかった。
【0391】
さらに、本実施例に示した発光素子2の構造において、第1の層1511を形成する際
に用いたNPB(略称)の代わりにPCBA1BP(略称)用い、酸化モリブデン(VI
)と共蒸着して第1の層1511を形成した発光素子の効率、約1000cd/mにお
ける駆動電圧、および信頼性は、実施例10においてNPBと酸化モリブデン(VI)の
共蒸着膜を正孔注入層に用い、PCBBiNB(略称)を正孔輸送層に用いて形成した発
光素子8と同等の良好な値が得られた(駆動電圧が3.6Vのとき、輝度843cd/m
、電流値は0.53mAであり、1500時間駆動で初期輝度の65%の輝度を保って
いた)。
【0392】
このように、PCBA1BP(略称)は、正孔注入層である第1の層1511および正
孔輸送層である第2の層1512の両方へ同時に用いることができる良好な材料であるこ
とがわかった。そのことにより、素子の作製が簡便となり、材料利用効率も向上させるこ
とができた。
【実施例6】
【0393】
本実施例6では、構造式(15)で表される本発明のカルバゾール誘導体である(ビフ
ェニル−4−イル)(フェニル)[4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イ
ル)ビフェニル−4−イル]アミン(略称:PCTA1BP)の合成方法について具体的
に説明する。
【0394】
【化130】
[この文献は図面を表示できません]
【0395】
[ステップ1:4−[N−(ビフェニル−4−イル)−N−フェニル]アミノフェニルボ
ロン酸の合成]
【0396】
ステップ1における4−[N−(ビフェニル−4−イル)−N−フェニル]アミノフェ
ニルボロン酸の合成スキームを下記(H−1)に示す。
【0397】
【化131】
[この文献は図面を表示できません]
【0398】
4−ブロモ−4’−フェニルトリフェニルアミンを7.0g(18mmol)、300
mL三口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換したのち、テトラヒドロフラン(略
称:THF)80mLを加えて−78℃で10分撹拌した。この溶液に1.63mol/
Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液13mL(21mmol)をシリンジにより滴下し
、−78℃で1時間撹拌した。撹拌後、反応混合物にホウ酸トリメチル3.5mL(31
mmol)を加え、−78℃で1時間、室温で24時間撹拌した。反応後、反応溶液に1
M希塩酸100mLを加えて室温で1時間撹拌した。撹拌後、この溶液を酢酸エチルで抽
出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。洗浄後、有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥
した。乾燥後、吸引ろ過により硫酸マグネシウムを除去してろ液を得た。得られたろ液を
濃縮し、クロロホルムとヘキサンの混合溶媒で再結晶したところ、目的物を収量3.6g
、収率56%で得た。
【0399】
[ステップ2:(ビフェニル−4−イル)(フェニル)[4’−(9−フェニル−9H−
カルバゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]アミン(略称:PCTA1BP)の合
成]
【0400】
ステップ2における(ビフェニル−4−イル)(フェニル)[4’−(9−フェニル−
9H−カルバゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]アミンの合成スキームを下記(
H−2)に示す。
【0401】
【化132】
[この文献は図面を表示できません]
【0402】
4−[N−(ビフェニル−4−イル)−N−フェニル]アミノフェニルボロン酸を2.
2g(5.5mmol)、3−(4−ブロモフェニル)−9−フェニル−9H−カルバゾ
ールを2.0g(5.5mmol)、酢酸パラジウム(II)を10mg(0.045m
mol)、トリ(o−トリル)ホスフィンを0.69g(0.23mmol)、100m
L三口フラスコに入れ、2.0mol/L炭酸カリウム水溶液10mL、ジエチレングリ
コールジメチルエーテル(略称:DME)20mLを加えた。この混合物を、減圧下で撹
拌しながら脱気し、フラスコ内を窒素置換した。この混合物を90℃で5時間加熱撹拌し
た。撹拌後、反応混合物にトルエンを加え90℃で加熱した。
【0403】
加熱後、この懸濁液の有機層と水層を分離した。分離後、有機層を飽和炭酸水素ナトリ
ウム水溶液、飽和食塩水により洗浄した。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。
この混合物をセライト、アルミナ、フロリジ−ルを通して吸引ろ過し、ろ液を得た。得ら
れたろ液を濃縮し、固体を得た。得られた固体を溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィーによる精製を行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィーはまずトルエン:ヘキ
サン=1:9の混合溶媒を展開溶媒として用い、ついでトルエン:ヘキサン=2:3の混
合溶媒を用いることにより行った。得られたフラクションを濃縮して得た固体をクロロホ
ルムに溶解し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(展開溶媒:クロロホルム)に
よる精製を行った。得られたフラクションを濃縮して得た固体をクロロホルムとヘキサン
の混合溶媒を加えて再結晶したところ、目的の白色固体を収量1.7g、収率48%で得
た。
【0404】
得られた白色固体1.0gの昇華精製をトレインサブリメーション法により行った。昇
華精製は7.0Paの減圧下、アルゴンの流量を4mL/minとして300℃で15時
間行ったところ、収量0.62g、収率62%で得た。
【0405】
上記ステップ2で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。以
下に測定データを示す。また、H NMRチャートを図45に示す。測定結果から、上
述の構造式15で表される本発明のカルバゾール誘導体であるPCTA1BP(略称)が
得られたことがわかった。H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=
7.02−7.79(m,32H)、8.19(d,J=7.3Hz,1H)、8.39
(s,1H)。
【0406】
また、PCTA1BP(略称)の吸収スペクトル(測定範囲200nm〜800nm)
を測定した。長波長側の吸収ピークは、トルエン溶液の場合では349nm付近に見られ
、薄膜の場合では357nm付近に見られた。
【0407】
また、PCTA1BP(略称)の発光スペクトル(測定範囲370nm〜550nm)
を測定した。最大発光波長はトルエン溶液の場合では405nm(励起波長320nm)
、薄膜の場合では420nm(励起波長284nm)であった。上記吸収スペクトルおよ
び発光スペクトルの測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することとする。
【0408】
また、薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、P
CTA1BP(略称)HOMO準位は−5.49eVであった。薄膜の吸収スペクトルの
Taucプロットから吸収端は3.10eVであった。従って、固体状態のエネルギーギ
ャップは3.10eVと見積もられ、このことはPCTA1BP(略称)LUMO準位が
−2.39eVであることを意味する。
【0409】
また、PCTA1BP(略称)の酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(C
V)測定によって調べた。測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することとす
る。実施例1と同様の計算により、PCTA1BP(略称)のHOMO準位は、=−5.
48[eV]であることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同様の値
となった。このことから、酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示
すことがわかった。
【0410】
また、PCTA1BP(略称)のガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(D
SC:Differential Scanning Calorimetry)(パー
キンエルマー製、型番:Pyris1 DSC)を用いて調べた。測定結果から、ガラス
転移温度は118℃であることが分かった。このように、PCTA1BP(略称)は、高
いガラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有するものである。また、結晶化を表すピーク
は存在せず、結晶化し難い物質であることが分かった。
【0411】
なお、実施例5と同様に本実施例6で合成したPCTA1BP(略称)を正孔輸送層に
用いて形成した発光素子の効率、1000cd/mにおける駆動電圧、および信頼性は
、実施例10においてPCBBiNB(略称)を用いて形成した発光素子8と同等の良好
な値が得られた(駆動電圧が3.6Vのとき、輝度1044cd/m、電流値は0.6
7mAであり、1100時間駆動で初期輝度の52%の輝度を保っていた)。
【実施例7】
【0412】
本実施例7では、構造式(190)で表される本発明のカルバゾール誘導体であるビス
(ビフェニル−4−イル)[4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)ビ
フェニル−4−イル]アミン(略称:PCTBi1BP)の合成方法について具体的に説
明する。
【0413】
【化133】
[この文献は図面を表示できません]
【0414】
[ステップ1:4−[ビス(ビフェニル−4−イル)アミノ]フェニルボロン酸の合成]
【0415】
ステップ1における4−[ビス(ビフェニル−4−イル)アミノ]フェニルボロン酸の
合成スキームを下記(I−1)に示す。
【0416】
【化134】
[この文献は図面を表示できません]
【0417】
4−ブロモ−4’,4’’−ジフェニルトリフェニルアミンを6.0g(13mmol
)を300mL三口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換したのち、テトラヒドロ
フラン(略称:THF)80mLを加えて−78℃で10分撹拌した。この溶液に1.6
3mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液10mLをシリンジにより滴下し、−7
8℃で1時間撹拌した。撹拌後、反応混合物にホウ酸トリメチル2.8mL(25mmo
l)を加え、−78℃で1時間撹拌し、さらに室温で24時間撹拌した。撹拌後、反応混
合物に約50mLの希塩酸を加えて、室温で30分撹拌した。撹拌後、この混合物に酢酸
エチルを加えて抽出した。抽出後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、有機層に硫酸マグネシ
ウムを加えて乾燥した。乾燥後、この混合物を吸引ろ過してろ液を得た。得られたろ液を
濃縮し、クロロホルムとヘキサンの混合溶媒で再結晶したところ、目的物の白色粉末状固
体を収量4.8g、収率86%で得た。
【0418】
[ステップ2:ビス(ビフェニル−4−イル)[4’−(9−フェニル−9H−カルバゾ
ール−3−イル)ビフェニル−4−イル]アミン(略称:PCTBi1BP)の合成]
【0419】
ステップ2におけるビス(ビフェニル−4−イル)[4’−(9−フェニル−9H−カ
ルバゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]アミンの合成スキームを下記(I−2)
に示す。
【0420】
【化135】
[この文献は図面を表示できません]
【0421】
4−[ビス(ビフェニル−4−イル)アミノ]フェニルボロン酸を2.0g(4.5m
mol)、3−(4−ブロモフェニル)−9−フェニル−9H−カルバゾールを1.8g
(4.5mmol)、酢酸パラジウム(II)を10mg(0.045mmol)、トリ
(o−トリル)ホスフィンを0.69g(0.23mmol)を100mL三口フラスコ
に入れ、2.0mol/L炭酸カリウム水溶液10mL、エチレングリコールジメチルエ
ーテル(略称:DME)20mLを加えた。この混合物を、減圧下で撹拌しながら脱気し
、フラスコ内を窒素置換した。この混合物を90℃で5時間加熱撹拌した。撹拌後、反応
混合物にトルエンを加え90℃で加熱した。
【0422】
加熱後、この懸濁液の有機層と水層を分離した。分離後、有機層を飽和炭酸水素ナトリ
ウム水溶液、飽和食塩水により洗浄した。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。
この混合物をセライト、アルミナ、フロリジ−ルを通して吸引ろ過し、ろ液を得た。得ら
れたろ液を濃縮し、固体を得た。得られた固体をトルエンに溶解し、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィーによる精製を行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィーはトルエン
を展開溶媒として用いることにより行った。得られたフラクションを濃縮して得た固体に
トルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶したところ、目的の白色固体を収量2.4g、収
率74%で得た。
【0423】
得られた白色固体の昇華精製をトレインサブリメーション法により行った。昇華精製は
7Paの減圧下、アルゴンの流量を3mL/minとして340℃で20時間行った。仕
込量1.5g、収量0.70gで収率は46%であった。
【0424】
上記ステップ2で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。以
下に測定データを示す。また、H NMRチャートを図46に示す。測定結果から、上
述の構造式190で表される本発明のカルバゾール誘導体であるPCTBi1BP(略称
)が得られたことがわかった。H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm
)=7.18−7.83(m,36H)、8.21(d,J=7.3Hz,1H)、8.
40(s,1H)。
【0425】
また、PCTBi1BP(略称)の吸収スペクトル(測定範囲200nm〜800nm
)を測定した。長波長側の吸収ピークは、トルエン溶液の場合では350nm付近に見ら
れ、薄膜の場合では357nm付近に見られた。
【0426】
また、PCTBi1BP(略称)の発光スペクトル(測定範囲370nm〜550nm
)を測定した。最大発光波長はトルエン溶液の場合では410nm(励起波長320nm
)、薄膜の場合では447nm(励起波長340nm)であった。上記吸収スペクトルお
よび発光スペクトルの測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することとする。
【0427】
また、薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、P
CTBi1BP(略称)HOMO準位は−5.50eVであった。薄膜の吸収スペクトル
のTaucプロットから吸収端は3.14eVであった。従って、固体状態のエネルギー
ギャップは3.14eVと見積もられ、このことはPCTBi1BP(略称)LUMO準
位が−2.36eVであることを意味する。
【0428】
また、PCTBi1BP(略称)の酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(
CV)測定によって調べた。測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することと
する。
【0429】
実施例1と同様の計算により、PCTBi1BP(略称)のHOMO準位は、=−5.
46[eV]であることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同様の値
となった。このことから、酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示
すことがわかった。
【0430】
また、PCTBi1BP(略称)のガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(
DSC:Differential Scanning Calorimetry)(パ
ーキンエルマー製、型番:Pyris1 DSC))を用いて調べた。測定結果から、ガ
ラス転移温度は133℃であることが分かった。このように、PCTBi1BP(略称)
は、高いガラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有するものである。また、結晶化を表す
ピークは存在せず、結晶化し難い物質であることが分かった。
【0431】
なお、実施例5と同様に本実施例7で合成したPCTBi1BP(略称)を正孔輸送層
に用いて形成した発光素子の効率、1000cd/mにおける駆動電圧、および信頼性
は、実施例10においてPCBBiNB(略称)を用いて形成した発光素子8と同等の良
好な値が得られた(駆動電圧が3.6Vのとき、輝度873cd/m、電流値は0.5
6mAであり、110時間駆動で初期輝度の80%の輝度を保っていた)。
【実施例8】
【0432】
本実施例8では、構造式(343)で表される本発明のカルバゾール誘導体である4−
(1−ナフチル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−トリフェ
ニルアミン(略称:PCBANB)の合成方法について具体的に説明する。
【0433】
【化136】
[この文献は図面を表示できません]
【0434】
[ステップ1:3−(4−ブロモフェニル)−9−フェニル−9H−カルバゾールの合成
【0435】
ステップ1における3−(4−ブロモフェニル)−9−フェニル−9H−カルバゾール
の合成スキームを下記(J−1)に示す。
【0436】
【化137】
[この文献は図面を表示できません]
【0437】
3−ヨード−9−フェニル−9H−カルバゾールを3.7g(9.9mmol)、4−
ブロモフェニルボロン酸を2.0g(9.9mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィン
を0.61g(2.0mmol)、200mLの三口フラスコへ入れ、この混合物へ、5
0mLのエチレングリコールジメチルエーテル(略称:DME)と、2mol/L炭酸カ
リウム水溶液10mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、脱気後、
フラスコ内の雰囲気を窒素置換した。
【0438】
この混合物へ、0.11g(0.50mmol)の酢酸パラジウム(II)を加えた。
この混合物を、80℃で9.5時間攪拌した。攪拌後、この混合物を室温まで冷ました後
、水で2回洗浄した。得られた水層をトルエンで2回抽出し、抽出液と有機層を合わせて
、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、この混合物を自然ろ過し
てから、ろ液を濃縮した。
【0439】
得られた油状物を約20mLのトルエンに溶かし、この溶液をセライト、アルミナ、フ
ロリジールを通して吸引ろ過した。得られたろ液を濃縮して得た固体を、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1:4)により精製したところ
、目的物の白色粉末状固体を1.9g、収率49%で得た。
【0440】
[ステップ2:4−(1−ナフチル)ジフェニルアミンの合成]
【0441】
ステップ2における4−(1−ナフチル)ジフェニルアミンの合成スキームを下記(J
−2)に示す。
【0442】
【化138】
[この文献は図面を表示できません]
【0443】
4−ブロモジフェニルアミンを12g(50mmol)、1−ナフタレンボロン酸を8
.6g(50mmol)、酢酸パラジウム(II)を22mg(0.1mmol)、トリ
(o−トリル)ホスフィンを60mg(0.2mmol)、200mL三口フラスコへ入
れ、この混合物へ、トルエン50mL、エタノール20mL、2mol/L炭酸カリウム
水溶液35mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気したのち、窒素雰囲
気下、90℃で2時間加熱撹拌し、反応させた。
【0444】
反応後、この反応混合物にトルエン100mLを加え、この懸濁液をフロリジール、セ
ライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を
とり除いた。この懸濁液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ト
ルエン:ヘキサン:酢酸エチル=1:8:1)による精製を行った。得られたフラクショ
ンを濃縮し、メタノールを加えて超音波をかけたのち、再結晶したところ、目的物の白色
粉末を収量3.0g、収率20%で得た。
【0445】
[ステップ3:4(1−ナフチル)−4’(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イ
ル)−トリフェニルアミン(略称;PCBANB)の合成]
【0446】
ステップ3における4(1−ナフチル)−4’(9−フェニル−9H−カルバゾール−
3−イル)−トリフェニルアミンの合成スキームを下記(J−3)に示す。
【0447】
【化139】
[この文献は図面を表示できません]
【0448】
3−(4−ブロモフェニル)−9−フェニル−9H−カルバゾールを1.2g(3.0
mmol)、4−(1−ナフチル)ジフェニルアミンを0.9g(3.0mmol)、ナ
トリウム tert−ブトキシドを0.5g(5.0mmol)、ビス(ジベンジリデン
アセトン)パラジウム(0)を6.0mg(0.01mmol)、50mL三口フラスコ
へ入れ、この混合物へ、脱水キシレン15mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌し
ながら脱気し、脱気後、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液
)0.06mL(0.03mmol)を加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、120℃
で4.5時間加熱撹拌し、反応させた。
【0449】
反応後、この反応混合物にトルエン250mLを加え、この懸濁液をフロリジール、シ
リカゲル、アルミナ、セライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグ
ネシウムを加えて水分を取り除いた。この懸濁液をフロリジール、アルミナ、シリカゲル
、セライトを通してろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、アセトンとメタノール
を加えて超音波をかけたのち、再結晶したところ、目的物の白色粉末を収量1.5g、収
率82%で得た。
【0450】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.34、3−(4−ブロモフェニル)−9−フェニル
−9H−カルバゾールは0.46、4−(1−ナフチル)ジフェニルアミンは0.25だ
った。
【0451】
上記ステップ3で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。以
下に測定データを示す。また、H NMRチャートを図47に示す。測定結果から、上
述の構造式(343)で表される本発明のカルバゾール誘導体であるPCBANB(略称
)が得られたことがわかった。H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm
)=7.07 (t, J=6.6Hz, 1H), 7.25−7.67 (m, 2
6H), 7.84 (d, J=7.8Hz, 1H), 7.89−7.92 (m
, 1H), 8.03−8.07 (m, 1H), 8.18 (d, J=7.8
Hz, 1H), 8.35 (d, J=0.9Hz, 1H)。
【0452】
また、PCBANB(略称)の吸収スペクトル(測定範囲200nm〜800nm)を
測定した。長波長側の吸収ピークは、トルエン溶液の場合では335nm付近に見られ、
薄膜の場合では341nm付近に見られた。
【0453】
また、PCBANB(略称)の発光スペクトル(測定範囲370nm〜550nm)を
測定した。最大発光波長はトルエン溶液の場合では410nm(励起波長345nm)、
薄膜の場合では433nm(励起波長341nm)であった。
【0454】
上記吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定方法は、実施例1と同様なので、説明
を省略することとする。
【0455】
また、薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、P
CBANB(略称)のHOMO準位は−5.44eVであった。薄膜の吸収スペクトルの
Taucプロットから吸収端は3.25eVであった。従って、固体状態のエネルギーギ
ャップは3.25eVと見積もられ、このことはPCBANB(略称)LUMO準位が−
2.19eVであることを意味する。
【0456】
また、PCBANB(略称)の酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(CV
)測定によって調べた。測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することとする
【0457】
実施例1と同様の計算により、PCBANB(略称)のHOMO準位は、=−5.44
[eV]であることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同様の値とな
った。このことから、酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すこ
とがわかった。
【0458】
また、PCBANB(略称)のガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(DS
C:Differential Scanning Calorimetry)(パーキ
ンエルマー製、型番:Pyris1 DSC)を用いて調べた。測定結果から、ガラス転
移温度は115℃であることが分かった。このように、PCBANB(略称)は、高いガ
ラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有するものである。また、結晶化を表すピークは存
在せず、結晶化し難い物質であることが分かった。
【0459】
また、実施例5と同様に、本実施例8で合成した本発明のカルバゾール誘導体であるP
CBANB(略称)を正孔輸送層に用いて形成した発光素子6の素子特性の測定結果を図
56、図57図58、および図59に示す。発光素子1のNPBと比較しても、発光素
子6の本発明のホール輸送材料は、低駆動電圧を示していることがわかった。なお、比較
発光素子である発光素子1は、実施例5と同様に正孔輸送層1512に4,4’−ビス[
N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を用いて形成
した。
【0460】
また、発光素子6では、図59に示す発光スペクトルより、青色発光材料であるPCB
APA由来の発光波長が観測され、ホール輸送材料由来の発光波長は観測されなかった。
よって本発明のホール輸送材料は、発光素子6の構造において、良好なキャリアバランス
を実現していることがわかった。
【0461】
また、発光素子6に関し、初期輝度を1000cd/mとして、定電流駆動による連
続点灯試験を行った結果を図60に示す(縦軸は、1000cd/mを100%とした
時の相対輝度である)。図60の結果から、発光素子1と比較しても長寿命であることが
わかった。よって、本発明を適用することにより、長寿命な発光素子が得られる。
【実施例9】
【0462】
本実施例9では、構造式(229)で表される本発明のカルバゾール誘導体である4、
4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)
トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)の合成方法について具体的に説明する。
【0463】
【化140】
[この文献は図面を表示できません]

[ステップ1:4、4’−ジブロモトリフェニルアミンの合成]
【0464】
ステップ1における4、4’−ジブロモトリフェニルアミンの合成スキームを下記(K
−1)に示す。
【0465】
【化141】
[この文献は図面を表示できません]

トリフェニルアミンを12g(50mmol)を500mL三角フラスコ中にて酢酸エ
チル250mLの混合溶媒に溶かした後、ここにN−ブロモこはく酸イミド(略称;NB
S)18g(100mmol)を加えて24時間室温にて撹拌した。反応終了後、この混
合液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を取り除いた。この混合液をろ過し、
得られたろ液を濃縮乾固させ、目的物の白色固体を収量20g、収率99%で得た。
【0466】
[ステップ2:4、4’−ジ(1−ナフチル)トリフェニルアミンの合成]
【0467】
ステップ2における4、4’−ジ(1−ナフチル)トリフェニルアミンの合成スキーム
を下記(K−2)に示す。
【0468】
【化142】
[この文献は図面を表示できません]
【0469】
4、4’−ジブロモトリフェニルアミンを6.0g(15mmol)、1−ナフタレン
ボロン酸を5.2g(30mmol)、酢酸パラジウム(II)を2.0mg(0.01
mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィンを6.0mg(0.02mmol)、100
mL三口フラスコへ入れ、この混合物へ、トルエン20mL、エタノール5mL、2mo
l/L炭酸カリウム水溶液20mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気
したのち、窒素雰囲気下、90℃で4.5時間加熱撹拌し、反応させた。
【0470】
反応後、この反応混合物にトルエン150mLを加え、この懸濁液をフロリジール、セ
ライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を
取り除いた。この懸濁液をフロリジール、アルミナ、シリカゲル、セライトを通してろ過
してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、メタノールを加えて超音波をかけたのち、再結
晶したところ、目的物の白色粉末を収量6.4g、収率86%で得た。
【0471】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.53、4、4’−ジブロモトリフェニルアミンは0
.69だった。
【0472】
[ステップ3:4−ブロモ−4’、4’’−ジ(1−ナフチル)トリフェニルアミンの合
成]
【0473】
ステップ3における4−ブロモ−4’、4’’−ジ(1−ナフチル)トリフェニルアミ
ンの合成スキームを下記(K−3)に示す。
【0474】
【化143】
[この文献は図面を表示できません]
【0475】
4、4’−ジ−(1−ナフチル)トリフェニルアミンを6.4g(13mmol)を3
00mL三角フラスコ中にて酢酸エチル150mLに溶かした後、ここにN−ブロモこは
く酸イミド(略称;NBS)2.3g(13mmol)を加えて24時間室温にて撹拌し
た。反応終了後、この混合液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を取り除いた
。この混合液をろ過し、得られたろ液を濃縮した。ここにメタノールを加えて超音波をか
けたのち、再結晶したのち、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 トルエン
:ヘキサン=1:5)による精製を行った。目的物の白色粉末を収量1.6g、収率22
%で得た。
【0476】
[ステップ4:4、4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバ
ゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称;PCBNBB)の合成]
【0477】
ステップ4における4、4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−
カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミンの合成スキームを下記(K−4)に示す。
【0478】
【化144】
[この文献は図面を表示できません]
【0479】
4−ブロモ−4’、4’’−ジ(1−ナフチル)トリフェニルアミンを1.4g(2.
5mmol)、9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル−ボロン酸を0.7g(2
.5mmol)、酢酸パラジウム(II)を4.0mg(0.02mmol)、トリ(o
−トリル)ホスフィンを6.0mg(0.02mmol)、50mL三口フラスコへ入れ
、この混合物へ、トルエン20mL、エタノール5mL、2mol/L炭酸カリウム水溶
液2.5mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気したのち、窒素雰囲気
下、90℃で6.5時間加熱撹拌し、反応させた。
【0480】
反応後、この反応混合物にトルエン150mLを加え、この懸濁液をフロリジール、セ
ライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を
取り除いた。この懸濁液をフロリジール、アルミナ、シリカゲル、セライトを通してろ過
してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶
媒 トルエン:ヘキサン=1:4)による精製を行った。得られたフラクションを濃縮し
、メタノールを加えて超音波をかけたのち、再結晶したところ、目的物の白色粉末を収量
.04g、収率22%で得た。
【0481】
上記ステップ4で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。以
下に測定データを示す。また、H NMRチャートを図48に示す。測定結果から、上
述の構造式(229)で表される本発明のカルバゾール誘導体であるPCBNBB(略称
)が得られたことがわかった。H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm
)=7.28−7.72 (m, 30H), 7.85 (d, J=7.8Hz,
2H), 7.90−7.93 (m, 2H), 8.06−8.09 (m, 2H
), 8.19 (d, J=7.5Hz, 1H), 8.38 (d, J=1.5
Hz, 1H)。
【0482】
また、PCBNBB(略称)の吸収スペクトル(測定範囲200nm〜800nm)を
測定した。長波長側の吸収ピークは、トルエン溶液の場合では345nm付近に見られ、
薄膜の場合では355nm付近に見られた。
【0483】
また、PCBNBB(略称)の発光スペクトル(測定範囲370nm〜550nm)を
測定した。最大発光波長はトルエン溶液の場合では413nm(励起波長355nm)、
薄膜の場合では428nm(励起波長370nm)であった。
【0484】
上記吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定方法は、実施例1と同様なので、説明
を省略することとする。
【0485】
また、薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、P
CBNBB(略称)HOMO準位は−5.46eVであった。薄膜の吸収スペクトルのT
aucプロットから吸収端は3.15eVであった。従って、固体状態のエネルギーギャ
ップは3.15eVと見積もられ、このことはPCBNBB(略称)LUMO準位が−2
.31eVであることを意味する。
【0486】
また、PCBNBB(略称)の酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(CV
)測定によって調べた。測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することとする
。実施例1と同様の計算により、PCBNBB(略称)のHOMO準位は、=−5.43
[eV]であることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同様の値とな
った。このことから、酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すこ
とがわかった。
【0487】
また、PCBNBB(略称)のガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(DS
C:Differential Scanning Calorimetry)(パーキ
ンエルマー製、型番:Pyris1 DSC)を用いて調べた。測定結果から、ガラス転
移温度は136℃であることが分かった。このように、PCBNBB(略称)は、高いガ
ラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有するものである。また、結晶化を表すピークは存
在せず、結晶化し難い物質であることが分かった。
【0488】
また、実施例5と同様に、本実施例9で合成した本発明のカルバゾール誘導体であるP
CBNBB(略称)を正孔輸送層に用いて形成した発光素子7の素子特性の測定結果を図
56〜図59に示す。発光素子1のNPBと比較しても、発光素子7の本発明のホール輸
送材料は、低駆動電圧を示していることがわかった。なお、比較発光素子である発光素子
1は、実施例5と同様に正孔輸送層1512に4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−
N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を用いて形成した。
【0489】
また、発光素子7では、図59に示す発光スペクトルより、青色発光材料であるPCB
APA由来の発光波長が観測され、ホール輸送材料由来の発光波長は観測されなかった。
よって本発明のホール輸送材料は、発光素子7の構造において、良好なキャリアバランス
を実現していることがわかった。
【0490】
また、発光素子7に関し、初期輝度を1000cd/mとして、定電流駆動による連
続点灯試験を行った結果を図60に示す(縦軸は、1000cd/mを100%とした
時の相対輝度である)。図60の結果から、発光素子1と比較しても長寿命であることが
わかった。よって、本発明を適用することにより、長寿命な発光素子が得られる。
【実施例10】
【0491】
本実施例10では、構造式(220)で表される本発明のカルバゾール誘導体である4
−(1−ナフチル)−4’−フェニル−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−
3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBiNB)の合成方法について具体的に説
明する。
【0492】
【化145】
[この文献は図面を表示できません]

[ステップ1:4−フェニルトリフェニルアミンの合成]
【0493】
ステップ1における4−フェニルトリフェニルアミンの合成スキームを下記(L−1)
に示す。
【0494】
【化146】
[この文献は図面を表示できません]
【0495】
4−ブロモビフェニルを9.3g(40mmol)、ジフェニルアミンを6.8g(4
0mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを5.0g(50mol)、ビス(ジ
ベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を10mg、300mL三口フラスコへ入れ、
フラスコ内の雰囲気を窒素置換した。この混合物へ、キシレン100mL、トリ(ter
t−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.6mLを加えた。
【0496】
この混合物を減圧下で攪拌しながら脱気し、窒素置換した後、130℃で3.5時間加
熱撹拌した。撹拌後、反応混合物にトルエン250mLを加え、この懸濁液をセライト、
アルミナ、フロリジ−ルを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウ
ムを加えて乾燥させた。この混合物をセライト、アルミナ、フロリジ−ルを通してろ過し
、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、メタノールを加えて超音波をかけて再結晶を行っ
た。目的の白色粉末を収量11g、収率89%で得た。
【0497】
[ステップ2:4−ブロモ−4’−フェニルトリフェニルアミンの合成]
【0498】
ステップ2における4−ブロモ−4’−フェニルトリフェニルアミンの合成スキームを
下記(L−2)に示す。
【0499】
【化147】
[この文献は図面を表示できません]
【0500】
4−フェニルトリフェニルアミンを6.4g(20mmol)、酢酸エチルを250m
L、トルエンを150mL、500mL三角フラスコに加えて撹拌し、ここにN−ブロモ
こはく酸イミド(NBS)3.6g(20mmol)を加えて27.5時間撹拌した。得
られた懸濁液を、水で洗浄したのち、硫酸マグネシウムで水分を取り除いた。この懸濁液
を濃縮乾固させ、目的物の白色粉末を収量7.7g、収率96%で得た。
【0501】
[ステップ3:4−(1−ナフチル)−4’−フェニルトリフェニルアミンの合成]
【0502】
ステップ3における4−(1−ナフチル)−4’−フェニルトリフェニルアミンの合成
スキームを下記(L−3)に示す。
【0503】
【化148】
[この文献は図面を表示できません]
【0504】
4−ブロモ−4’−フェニルトリフェニルアミンを8.0g(20mmol)、1−ナ
フタレンボロン酸を3.4g(20mmol)、酢酸パラジウム(II)を44mg(0
.2mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィンを60mg(0.4mmol)、100
mL三口フラスコへ入れ、この混合物へ、トルエン20mL、エタノール10mL、2m
ol/L炭酸カリウム水溶液15mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱
気したのち、窒素雰囲気下、90℃で2.5時間加熱撹拌し、反応させた。
【0505】
反応後、この反応混合物にトルエン150mLを加え、この懸濁液をフロリジール、シ
リカゲル、セライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを
加えて水分を取り除いた。この懸濁液をフロリジール、アルミナ、シリカゲル、セライト
を通してろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、メタノールを加えて超音波をかけ
たのち、再結晶したところ、目的物の白色粉末を収量8.6g、収率97%で得た。
【0506】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.43、4−ブロモ−4’−フェニルトリフェニルア
ミンは0.50だった。
【0507】
[ステップ4:4−ブロモ−4’−(1−ナフチル)−4’’−フェニル−トリフェニル
アミンの合成]
【0508】
ステップ4における4−ブロモ−4’−(1−ナフチル)−4’’−フェニル−トリフ
ェニルアミンの合成スキームを下記(L−4)に示す。
【0509】
【化149】
[この文献は図面を表示できません]
【0510】
4−(1−ナフチル)−4’−フェニルトリフェニルアミンを8.6g(19mmol
)を300mL三角フラスコ中にて酢酸エチル150mLに溶かした後、ここにN−ブロ
モこはく酸イミド(略称;NBS)3.4g(19mmol)を加えて24時間室温にて
撹拌した。反応終了後、この混合液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を取り
除いた。この混合液をろ過し、得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1:4)による精製を行った。得られたフラクシ
ョンを濃縮し、メタノールを加えて超音波をかけたのち、再結晶したところ、目的物の白
色粉末を収量8.1g、収率80%で得た。
【0511】
[ステップ5:4−(1−ナフチル)−4’−フェニル−4’’−(9−フェニル−9H
−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称;PCBBiNB)の合成]
【0512】
ステップ5における4−(1−ナフチル)−4’−フェニル−4’’−(9−フェニル
−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミンの合成スキームを下記(L−5)
に示す。
【0513】
【化150】
[この文献は図面を表示できません]
【0514】
4−ブロモ−4’−(1−ナフチル)−4’ ’−フェニル−トリフェニルアミンを1
.6g(3.0mmol)、9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル−ボロン酸を
0.9g(3.0mmol)、酢酸パラジウム(II)を12mg(0.06mmol)
、トリ(o−トリル)ホスフィンを36mg(0.12mmol)、50mL三口フラス
コへ入れ、この混合物へ、トルエン15mL、エタノール15mL、2mol/L炭酸カ
リウム水溶液3mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気したのち、窒素
雰囲気下、90℃で2時間加熱撹拌し、反応させた。
【0515】
反応後、この反応混合物にトルエン150mLを加え、この懸濁液をフロリジール、シ
リカゲル、セライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを
加えて水分を取り除いた。この懸濁液をフロリジール、アルミナ、シリカゲル、セライト
を通してろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1:4)による精製を行った。得られたフラクシ
ョンを濃縮し、アセトンとメタノールを加えて超音波をかけたのち、再結晶したところ、
目的物の白色粉末を収量0.9g、収率44%で得た。
【0516】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.26、4−ブロモ−4’−(1−ナフチル)−4’
’−フェニルトリフェニルアミンは0.45だった。
【0517】
上記ステップ5で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。以
下に測定データを示す。また、H NMRチャートを図49に示す。測定結果から、上
述の構造式(220)で表される本発明のカルバゾール誘導体であるPCBBiNB(略
称)が得られたことがわかった。H NMR(CDCl,300MHz):δ(pp
m)=7.27−7.69 (m, 31H), 7.84 (d, J=7.8Hz,
1H), 7.89−7.92 (m, 1H), 8.04−8.08 (m, 1
H), 8.18 (d, J=7.8Hz, 1H), 8.36 (d, J=1.
5Hz 1H)。
【0518】
また、PCBBiNB(略称)の吸収スペクトル(測定範囲200nm〜800nm)
を測定した。長波長側の吸収ピークは、トルエン溶液の場合では342nm付近に見られ
、薄膜の場合では351nm付近に見られた。
【0519】
また、PCBBiNB(略称)の発光スペクトル(測定範囲370nm〜550nm)
を測定した。最大発光波長はトルエン溶液の場合では409nm(励起波長355nm)
、薄膜の場合では433nm(励起波長336nm)であった。
【0520】
上記吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定方法は、実施例1と同様なので、説明
を省略することとする。
【0521】
また、薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、P
CBBiNB(略称)HOMO準位は−5.35eVであった。薄膜の吸収スペクトルの
Taucプロットから吸収端は3.18eVであった。従って、固体状態のエネルギーギ
ャップは3.18eVと見積もられ、このことはPCBBiNB(略称)LUMO準位が
−2.17eVであることを意味する。
【0522】
また、PCBBiNB(略称)の酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(C
V)測定によって調べた。測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することとす
る。
【0523】
実施例1と同様の計算により、PCBBiNB(略称)のHOMO準位は、=−5.4
2[eV]であることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同様の値と
なった。このことから、酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示す
ことがわかった。
【0524】
また、PCBBiNB(略称)のガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(D
SC:Differential Scanning Calorimetry)(パー
キンエルマー製、型番:Pyris1 DSC)を用いて調べた。測定結果から、ガラス
転移温度は143℃であることが分かった。このように、PCBBiNB(略称)は、高
いガラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有するものである。また、結晶化を表すピーク
は存在せず、結晶化し難い物質であることが分かった。
【0525】
また、実施例5と同様に、本実施例10で合成した本発明のカルバゾール誘導体である
PCBBiNB(略称)を正孔輸送層に用いて形成した発光素子8の素子特性について測
定した結果を図56図59に示す。発光素子1のNPBと比較しても、発光素子8の本
発明のホール輸送材料は、低駆動電圧を示していることがわかった。なお、比較発光素子
である発光素子1は、実施例5と同様に正孔輸送層1512に4,4’−ビス[N−(1
−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を用いて形成した。
【0526】
また、発光素子8では、図59に示す発光スペクトルより、青色発光材料であるPCB
APA由来の発光波長が観測され、ホール輸送材料由来の発光波長は観測されなかった。
よって本発明のホール輸送材料は、発光素子8の構造において、良好なキャリアバランス
を実現していることがわかった。
【0527】
また、発光素子8に関し、初期輝度を1000cd/mとして、定電流駆動による連
続点灯試験を行った結果を図60に示す(縦軸は、1000cd/mを100%とした
時の相対輝度である)。図60の結果から、発光素子1と比較しても長寿命であることが
わかった。よって、本発明を適用することにより、長寿命な発光素子が得られる。
【0528】
さらに、本実施例に示した発光素子8の構造において、第1の層1511を形成する際
に用いたNPB(略称)の代わりにPCBBiNB(略称)用い、酸化モリブデン(VI
)と共蒸着して第1の層1511を形成した発光素子の効率、約1000cd/mにお
ける駆動電圧、および信頼性は、実施例10においてNPBと酸化モリブデン(VI)の
共蒸着膜を正孔注入層に用い、PCBBiNB(略称)を正孔輸送層に用いて形成した発
光素子8と同等の良好な値が得られた(駆動電圧が4.2Vのとき、輝度1062cd/
、電流値は0.75mAであり、350時間駆動で初期輝度の81%の輝度を保って
いた)。
【0529】
このように、PCBBiNB(略称)は、正孔注入層である第1の層1511および正
孔輸送層である第2の層1512の両方へ同時に用いることができる良好な材料であるこ
とがわかった。そのことにより、素子の作製が簡便となり、材料利用効率も向上させるこ
とができた。
【実施例11】
【0530】
本実施例11では、構造式(355)で表される本発明のカルバゾール誘導体である[
4’−(1−ナフチル)ビフェニル−4−イル](フェニル)[4−(9−フェニル−9
H−カルバゾール−3−イル)フェニル]アミン(略称:PCBANT)の合成方法につ
いて具体的に説明する。
【0531】
【化151】
[この文献は図面を表示できません]
【0532】
[ステップ1:4−(4−ブロモフェニル)−4’−フェニル−トリフェニルアミンの合
成]
【0533】
ステップ1における4−(4−ブロモフェニル)−4’−フェニル−トリフェニルアミ
ンの合成スキームを下記(M−1)に示す。
【0534】
【化152】
[この文献は図面を表示できません]
【0535】
4,4’−ジブロモビフェニルを22g(70mmol)、ジフェニルアミンを8.5
g(50mmol)、よう化銅(I)を1.9g(10mmol)、18−クラウン−6
−エーテルを2.6g(10mmol)、炭酸カリウムを6.9g(50mmol)、1
,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(略称:D
MPU)を50mL、500mL三口フラスコへ入れ、窒素雰囲気下、180℃で37時
間撹拌した。
【0536】
反応後、この反応混合物にトルエン500mLを加え、この懸濁液をフロリジール、
シリカゲル、セライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウム
を加えて水分を取り除いた。この懸濁液をフロリジール、アルミナ、シリカゲル、セライ
トを通してろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1:4)による精製を行った。得られたフラク
ションを濃縮し、ヘキサンとメタノールを加えて超音波をかけたのち、再結晶したところ
、目的物の白色粉末を収量5.3g、収率27%で得た。
【0537】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.5、4,4’−ジブロモビフェニルは0.59だっ
た。
【0538】
[ステップ2:[4’−(1−ナフチル)ビフェニル−4−イル]ジフェニルアミンの合
成]
【0539】
ステップ2における[4’−(1−ナフチル)ビフェニル−4−イル]ジフェニルアミ
ンの合成スキームを下記(M−2)に示す。
【0540】
【化153】
[この文献は図面を表示できません]
【0541】
4−(4−ブロモフェニル)−4’−フェニル−トリフェニルアミンを4.0g(10
mmol)、1−ナフタレンボロン酸を1.7g(10mmol)、酢酸パラジウム(I
I)を11mg(0.05mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィンを15mg(0.
05mmol)、100mL三口フラスコへ入れ、この混合物へ、トルエン20mL、エ
タノール5mL、2mol/L炭酸カリウム水溶液10mLを加えた。この混合物を、減
圧下で攪拌しながら脱気したのち、窒素雰囲気下、90℃で7時間加熱撹拌し、反応させ
た。
【0542】
反応後、この反応混合物にトルエン150mLを加え、この懸濁液をシリカゲル、アル
ミナ、セライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え
て水分を取り除いた。この懸濁液をシリカゲル、アルミナ、セライトを通してろ過してろ
液を得た。得られたろ液を濃縮し、メタノールを加えて超音波をかけたのち、再結晶した
ところ、目的物の白色粉末を収量3.6g、収率80%で得た。
【0543】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.58、4−ブロモフェニル−4’−フェニル−トリ
フェニルアミンは0.65だった。
【0544】
[ステップ3:(4−ブロモフェニル)[4’−(1−ナフチル)ビフェニル−4−イル
]フェニルアミンの合成]
【0545】
ステップ3における(4−ブロモフェニル)[4’−(1−ナフチル)ビフェニル−4
−イル]フェニルアミンの合成スキームを下記(M−3)に示す。
【0546】
【化154】
[この文献は図面を表示できません]
【0547】
[4’−(1−ナフチル)ビフェニル−4−イル]ジフェニルアミンを3.6g(8.
0mmol)を200mL三角フラスコ中にて酢酸エチル100mLに溶かした後、ここ
にN−ブロモこはく酸イミド(略称;NBS)1.4g(8.0mmol)を加えて72
時間室温にて撹拌した。反応終了後、この混合液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え
て水分を取り除いた。この混合液をろ過し、得られたろ液を濃縮した。ここにメタノール
を加えて超音波をかけたのち、再結晶したところ、目的物の白色粉末を収量3.9g、収
率93%で得た。
【0548】
[ステップ4:[4’−(1−ナフチル)ビフェニル−4−イル](フェニル)[4−(
9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]アミン(略称;PCBANT
)の合成]
【0549】
ステップ4における[4’−(1−ナフチル)ビフェニル−4−イル](フェニル)[
4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]アミンの合成スキーム
を下記(M−4)に示す。
【0550】
【化155】
[この文献は図面を表示できません]
【0551】
(4−ブロモフェニル)[4’−(1−ナフチル)ビフェニル−4−イル]フェニルア
ミンを1.6g(3mmol)、9−フェニル−9H−カルバゾール−3−ボロン酸を0
.8g(3mmol)、酢酸パラジウム(II)を6.0mg(0.03mmol)、ト
リ(o−トリル)ホスフィンを18mg(0.03mmol)、100mL三口フラスコ
へ入れ、この混合物へ、トルエン20mL、エタノール5mL、2mol/L炭酸カリウ
ム水溶液3mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気したのち、窒素雰囲
気下、80℃で6.5時間加熱撹拌し、反応させた。
【0552】
反応後、この反応混合物にトルエン150mLを加え、この懸濁液をフロリジール、シ
リカゲル、セライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを
加えて水分を取り除いた。この懸濁液をフロリジール、アルミナ、セライトを通してろ過
してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶
媒 トルエン:ヘキサン=1:4)による精製を行った。得られたフラクションを濃縮し
、メタノールを加えて超音波をかけたのち、再結晶したところ、目的物の白色粉末を収量
1.2g、収率60%で得た。
【0553】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.28、(4−ブロモフェニル)[4’−(1−ナフ
チル)ビフェニル−4−イル]フェニルアミンは0.42だった。
【0554】
上記ステップ4で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。以
下に測定データを示す。また、H NMRチャートを図50に示す。測定結果から、上
述の構造式(355)で表される本発明のカルバゾール誘導体であるPCBANT(略称
)が得られたことがわかった。H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm
)=7.08 (t, J=7.5Hz, 1H), 7.20−7.73 (m, 3
0H), 7.87 (d, J=8.1Hz, 1H), 7.92 (d, J=7
.2Hz, 1H), 8.00 (d, J=8.4Hz, 1H), 8.19 (
d, J=7.8Hz, 1H), 8.35 (d, J=1.8Hz, 1H)。
【0555】
上記化合物の分子量を、TOF−MS検出器(Waters製、Waters Mic
romass LCT Premier)により測定した。アセトニトリルと、0.1%
蟻酸水の混合液(混合比は80/20 vol/vol)を溶媒として用いた。これによ
り、分子量689.30(モードはES+)をメインとするピークを検出し、目的物のP
CBANT(略称)が得られたことを確認した。
【0556】
また、PCBANT(略称)の吸収スペクトル(測定範囲200nm〜800nm)を
測定した。長波長側の吸収ピークは、トルエン溶液の場合では342nm付近に見られ、
薄膜の場合では351nm付近に見られた。
【0557】
また、PCBANT(略称)の発光スペクトル(測定範囲370nm〜550nm)を
測定した。最大発光波長はトルエン溶液の場合では414nm(励起波長355nm)、
薄膜の場合では342nm(励起波長365nm)であった。
上記吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定方法は、実施例1と同様なので、説明
を省略することとする。
【0558】
また、薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、P
CBANT(略称)HOMO準位は−5.38eVであった。薄膜の吸収スペクトルのT
aucプロットから吸収端は3.11eVであった。従って、固体状態のエネルギーギャ
ップは3.11eVと見積もられ、このことはPCBANT(略称)LUMO準位が−2
.27eVであることを意味する。
【0559】
また、PCBANT(略称)の酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(CV
)測定によって調べた。測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することとする
【0560】
実施例1と同様の計算により、PCBANT(略称)のHOMO準位は、=−5.43
[eV]であることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同様の値とな
った。このことから、酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すこ
とがわかった。
【0561】
また、PCBANT(略称)のガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(DS
C:Differential Scanning Calorimetry)(パーキ
ンエルマー製、型番:Pyris1 DSC)を用いて調べた。測定結果から、ガラス転
移温度は131℃であることが分かった。このように、PCBANT(略称)は、高いガ
ラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有するものである。また、結晶化を表すピークは存
在せず、結晶化し難い物質であることが分かった。
【0562】
なお、実施例5と同様に本実施例11で合成したPCBANT(略称)を正孔輸送層に
用いて形成した発光素子の効率、および1000cd/mにおける駆動電圧は、実施例
10においてPCBBiNB(略称)を用いて形成した発光素子8と同等の良好な値が得
られた(駆動電圧が4.0Vのとき、輝度1186cd/m、電流値は0.73mAで
あり、180時間駆動で初期輝度の65%の輝度を保っていた)。
【実施例12】
【0563】
本実施例12では、構造式(63)で表される本発明のカルバゾール誘導体である4−
[9−(ビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾール−3−イル]−4’−フェニル−
トリフェニルアミン(略称:BCBA1BP)の合成方法について具体的に説明する。
【0564】
【化156】
[この文献は図面を表示できません]
【0565】
[ステップ1:9−(ビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾールの合成]
【0566】
ステップ1における9−(ビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾールの合成スキー
ムを下記(N−1)に示す。
【0567】
【化157】
[この文献は図面を表示できません]

4−ブロモビフェニルを12g(50mmol)、カルバゾールを8.4g(50mm
ol)、酢酸パラジウム(略称:Pd(OAc)(II))を230mg(1mmol)
、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(略称:DPPF)を1.8g(3
.0mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを13g(180mmol)を20
0mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内の雰囲気を窒素置換した。この混合物へ、脱水キ
シレン80mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、窒素雰囲気下、
120℃で7.5時間加熱撹拌し、反応させた。
【0568】
反応終了後、この懸濁液に温めたトルエン約600mLを加え、これをフロリジール、
アルミナ、セライトを通した濾過を2回繰り返した。得られたろ液を濃縮し、ヘキサンを
加えて再結晶を行ったところ、目的物の白色粉末を収量14g、収率87%で得た。
【0569】
[ステップ2:9−(ビフェニル−4−イル)−3−ブロモ−9H−カルバゾールの合成
法]
【0570】
ステップ2における9−(ビフェニル−4−イル)−3−ブロモ−9H−カルバゾール
の合成スキームを下記(N−2)に示す。
【0571】
【化158】
[この文献は図面を表示できません]

9−(ビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾールを3.1g(10mmol)、2
00mL三角フラスコ中にてトクロロホルム100mLに溶かした後、ここにN−ブロモ
こはく酸イミドを(略称;NBS)1.8g(10mmol)を加えて24時間室温にて
撹拌した。反応終了後、この混合液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を取り
除いた。この混合液をろ過し、得られたろ液を濃縮乾固させたところ、目的物の白色粉末
を収量3.7g、収率95%で得た。
【0572】
[ステップ3:[9−(ビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾール−3−イル]ボロ
ン酸の合成]
【0573】
ステップ3における[9−(ビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾール−3−イル
]ボロン酸の合成スキームを下記(N−3)に示す。
【0574】
【化159】
[この文献は図面を表示できません]
【0575】
9−(4−ビフェニル)−3−ブロモ−9H−カルバゾールを8.0g(20mmol
)、500mL三口フラスコに入れ、フラスコ内の雰囲気を窒素置換したのち、テトラヒ
ドロフラン(略称:THF)200mLを加えて−78℃にした。この混合液に1.6m
ol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液16mL(24mmol)を滴下し、2時間
撹拌した。この混合物にホウ酸トリメチル4.0mL(40mmol)を加え、−78℃
で2時間、室温で18時間撹拌した。反応後、この反応溶液に1M希塩酸50mLを加え
て3時間撹拌した。これをトルエンで抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した。
洗浄後、有機層に硫酸マグネシウムを加えて水分を取り除いた。この懸濁液をろ過し、得
られたろ液を濃縮し、ヘキサンを加え超音波をかけたのち、再結晶したところ、目的物の
白色粉末を収量6.6g、収率91%で得た。
【0576】
[ステップ4:4−[9−(ビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾール−3−イル]
−4’−フェニル−トリフェニルアミン(略称:BCBA1BPの合成]
【0577】
ステップ4における4−[9−(ビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾール−3−
イル]−4’−フェニル−トリフェニルアミンの合成スキームを下記(N−4)に示す。
【0578】
【化160】
[この文献は図面を表示できません]
【0579】
4−ブロモ−4’−フェニル−トリフェニルアミンを1.2g(3.0mmol)、[
9−(ビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾール−3−イル]ボロン酸を1.1g(
3.0mmol)、酢酸パラジウム(II)を6.0mg(0.03mmol)、トリ(
o−トリル)ホスフィンを18mg(0.06mmol)、50mL三口フラスコへ入れ
、この混合物へ、トルエン20mL、エタノール5mL、2mol/L炭酸カリウム水溶
液3mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気したのち、窒素雰囲気下、
90℃で6.5時間加熱撹拌し、反応させた。
【0580】
反応後、この反応混合物にトルエン150mLを加え、この懸濁液をフロリジール、セ
ライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を
取り除いた。この懸濁液をフロリジール、アルミナ、シリカゲル、セライトを通してろ過
してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、アセトンとメタノールを加えて超音波をかけた
のち、再結晶したところ、目的物の白色粉末を収量1.5g、収率79%で得た。
【0581】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.45、4−ブロモ−4’−フェニル−トリフェニル
アミンは0.68だった。
【0582】
上記ステップ4で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。以
下に測定データを示す。また、H NMRチャートを図51に示す。測定結果から、上
述の構造式63で表される本発明のカルバゾール誘導体であるBCBA1BP(略称)が
得られたことがわかった。H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=
7.06 (t, J=7.2Hz, 1H), 7.20−7.72 (m, 29H
), 7.83 (d, J=8.4Hz, 2H), 8.19 (d, J=7.8
Hz, 1H), 8.35 (s, 1H)。
【0583】
上記化合物の分子量を、TOF−MS検出器(Waters製、Waters Mic
romass LCT Premier)により測定した。アセトニトリルと、0.1%
蟻酸水の混合液(混合比は80/20 vol/vol)を溶媒として用いた。これによ
り、分子量638.27(モードはES+)をメインとするピークを検出し、目的物のB
CBA1BP(略称)が得られたことを確認した。
【0584】
また、BCBA1BP(略称)の吸収スペクトル(測定範囲200nm〜800nm)
を測定した。長波長側の吸収ピークは、トルエン溶液の場合では336nm付近に見られ
、薄膜の場合では342nm付近に見られた。
【0585】
また、BCBA1BP(略称)の発光スペクトル(測定範囲370nm〜550nm)
を測定した。最大発光波長はトルエン溶液の場合では394nm(励起波長350nm)
、薄膜の場合では408nm(励起波長301nm)であった。
上記吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定方法は、実施例1と同様なので、説明
を省略することとする。
【0586】
また、薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、B
CBA1BP(略称)HOMO準位は−5.48eVであった。薄膜の吸収スペクトルの
Taucプロットから吸収端は3.19eVであった。従って、固体状態のエネルギーギ
ャップは3.19eVと見積もられ、このことはBCBA1BP(略称)LUMO準位が
−2.29eVであることを意味する。
【0587】
また、BCBA1BP(略称)の酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(C
V)測定によって調べた。測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することとす
る。
【0588】
実施例1と同様の計算により、BCBA1BP(略称)のHOMO準位は、=−5.4
3[eV]であることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同様の値と
なった。このことから、酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示す
ことがわかった。
【0589】
また、BCBA1BP(略称)のガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(D
SC:Differential Scanning Calorimetry)(パー
キンエルマー製、型番:Pyris1 DSC)を用いて調べた。測定結果から、ガラス
転移温度は122℃であることが分かった。このように、BCBA1BP(略称)は、高
いガラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有するものである。また、結晶化を表すピーク
は存在せず、結晶化し難い物質であることが分かった。
【0590】
なお、実施例5と同様に本実施例12で合成したBCBA1BP(略称)を正孔輸送層
に用いて形成した発光素子の効率、1000cd/mにおける駆動電圧、および信頼性
は、実施例10においてPCBBiNB(略称)を用いて形成した発光素子8と同等の良
好な値が得られた(駆動電圧が4.0Vのとき、輝度1031cd/m、電流値は0.
72mAであり、180時間駆動で初期輝度の89%の輝度を保っていた)。
【実施例13】
【0591】
本実施例13では、構造式(364)で表される本発明のカルバゾール誘導体で4−[
9−(ビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾール−3−イル]−4’−(1−ナフチ
ル)トリフェニルアミン(略称:BCBANB)の合成方法について具体的に説明する。
【0592】
【化161】
[この文献は図面を表示できません]
【0593】
[ステップ1:4−ブロモトリフェニルアミンの合成]
【0594】
ステップ1における4−ブロモトリフェニルアミンの合成スキームを下記(O−1)に
示す。
【0595】
【化162】
[この文献は図面を表示できません]
【0596】
トリフェニルアミン54.0g(220mmol)の1.5L酢酸エチル溶液に、N−
ブロモこはく酸イミド(NBS)35.6g(200mmol)を加えて24時間撹拌し
た。得られた懸濁液を、1Lまで濃縮した後、5%酢酸ナトリウム水溶液1Lで洗浄した
。洗浄後のこの溶液をさらに50mL程度にまで濃縮し、メタノールを加えて析出させた
。得られた析出物を濾取、乾燥させ、目的物の白色粉末を46.5g、収率73%で得た
【0597】
[ステップ2:4−(1−ナフチル)トリフェニルアミンの合成]
【0598】
ステップ2における4−(1−ナフチル)トリフェニルアミンの合成スキームを下記(
O−2)に示す。
【0599】
【化163】
[この文献は図面を表示できません]
【0600】
4−ブロモトリフェニルアミンを9.7g(30mmol)、1−ナフタレンボロン酸
を5.7g(33mmol)、酢酸パラジウム(II)を67mg(0.3mmol)、
トリ(o−トリル)ホスフィンを91g(0.3mmol)、200mL三口フラスコへ
入れ、この混合物へ、トルエン50mL、エタノール20mL、2mol/L炭酸カリウ
ム水溶液20mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、窒素雰囲気下
、90℃で2時間加熱撹拌し、反応させた。
【0601】
反応後、この反応混合物にトルエン150mLを加え、この懸濁液をフロリジール、シ
リカゲル、セライトを通してろ過した。得られたろ液を炭酸水素ナトリウム水、水の順で
洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。乾燥後、この懸濁液をフロリジール、ア
ルミナ、シリカゲル、セライトを通してろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮、乾固
させた。 目的物の淡黄色固体を収量11g、収率99%で得た。
【0602】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.48、4−ブロモトリフェニルアミンは0.55だ
った。
上記ステップ2で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。以
下に測定データを示す。測定結果から、上述の構造式364で表される本発明の化合物が
得られたことがわかった。H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=
7.07 (t, J=7.5Hz, 1H), 7.22−7.61 (m, 21H
), 7.83 (d, J=7.8Hz, 1H), 7.88−7.91 (m,
1H), 8.02−8.05 (m, 1H)。
【0603】
[ステップ3:4−ブロモ−4’−(1−ナフチル)トリフェニルアミンの合成]
【0604】
ステップ3における4−ブロモ−4’−(1−ナフチル)トリフェニルアミンの合成ス
キームを下記(O−3)に示す。
【0605】
【化164】
[この文献は図面を表示できません]
【0606】
4−(1−ナフチル)トリフェニルアミンを11g(30mmol)、500mLなす
フラスコ中にて酢酸エチル300mLに溶かした後、ここにN−ブロモこはく酸イミド(
略称;NBS)5.3g(30mmol)を加えて168時間室温にて撹拌した。反応終
了後、この混合液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を取り除いた。この混合
液をろ過し、得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒
トルエン:ヘキサン=1:4)による精製を行った。得られたフラクションを濃縮し、メ
タノールを加えて超音波をかけたのち、再結晶したところ、目的物の白色粉末を収量7.
8g、収率43%で得た。
【0607】
[ステップ4:4−[9−(ビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾール−3−イル]
−4’−(1−ナフチル)トリフェニルアミン(略称:BCBANB)の合成]
【0608】
ステップ4における4−[9−(ビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾール−3−
イル]−4’−(1−ナフチル)トリフェニルアミンの合成スキームを下記(O−4)に
示す。
【0609】
【化165】
[この文献は図面を表示できません]
【0610】
4−ブロモ−4’−(1−ナフチル)トリフェニルアミンを1.35g(3.0mmo
l)、[9−(ビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾール−3−イル]ボロン酸を1
.1g(3.0mmol)、酢酸パラジウム(II)を6.0mg(0.02mmol)
、トリ(o−トリル)ホスフィンを9.0mg(0.06mmol)、100mL三口フ
ラスコへ入れ、この混合物へ、トルエン20mL、エタノール5mL、2mol/L炭酸
カリウム水溶液3mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気したのち、窒
素雰囲気下、90℃で3時間加熱撹拌し、反応させた。
【0611】
反応後、この反応混合物にトルエン150mLを加え、この懸濁液をフロリジール、シ
リカゲル、セライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを
加えて水分を取り除いた。この懸濁液をフロリジール、アルミナ、シリカゲル、セライト
を通してろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1:4)による精製を行った。得られたフラクシ
ョンを濃縮し、アセトンとメタノールを加えて超音波をかけたのち、再結晶したところ、
目的物の白色粉末を収量1.0g、収率50%で得た。
【0612】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.45、4−ブロモ−4’−(1−ナフチル)トリフ
ェニルアミンは0.66だった。
【0613】
上記ステップ4で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。以
下に測定データを示す。また、H NMRチャートを図52に示す。測定結果から、上
述の構造式364で表される本発明のカルバゾール誘導体であるBCBANB(略称)が
得られたことがわかった。H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=
7.08 (t, J=6.9Hz, 1H), 7.28−7.71 (m, 28H
), 7.82−7.86 (m, 3H), 7.89−7.92 (m, 1H),
8.04−8.07 (m, 1H), 8.20 (d, J=7.8Hz, 1H
) , 8.37 (d, J=1.2Hz, 1H)。
【0614】
上記化合物の分子量を、TOF−MS検出器(Waters製、Waters Mic
romass LCT Premier)により測定した。アセトニトリルと、0.1%
蟻酸水の混合液(混合比は80/20 vol/vol)を溶媒として用いた。これによ
り、分子量556.52(モードはES+)をメインとするピークを検出し、目的物のB
CBANB(略称)が得られたことを確認した。
【0615】
また、BCBANB(略称)の吸収スペクトル(測定範囲200nm〜800nm)を
測定した。長波長側の吸収ピークは、トルエン溶液の場合では335nm付近に見られ、
薄膜の場合では344nm付近に見られた。
【0616】
また、BCBANB(略称)の発光スペクトル(測定範囲370nm〜550nm)を
測定した。最大発光波長はトルエン溶液の場合では410nm(励起波長345nm)、
薄膜の場合では422nm(励起波長328nm)であった。
【0617】
上記吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定方法は、実施例1と同様なので、説明
を省略することとする。
【0618】
また、薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、B
CBANB(略称)HOMO準位は−5.42eVであった。薄膜の吸収スペクトルのT
aucプロットから吸収端は3.19eVであった。従って、固体状態のエネルギーギャ
ップは3.19eVと見積もられ、このことはBCBANB(略称)LUMO準位が−2
.23eVであることを意味する。
【0619】
また、BCBANB(略称)の酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(CV
)測定によって調べた。測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することとする
【0620】
実施例1と同様の計算により、BCBANB(略称)のHOMO準位は、=−5.45
[eV]であることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同様の値とな
った。このことから、酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すこ
とがわかった。
【0621】
また、BCBANB(略称)のガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(DS
C:Differential Scanning Calorimetry)(パーキ
ンエルマー製、型番:Pyris1 DSC)を用いて調べた。測定結果から、ガラス転
移温度は130℃であることが分かった。このように、BCBANB(略称)は、高いガ
ラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有するものである。また、結晶化を表すピークは存
在せず、結晶化し難い物質であることが分かった。
【0622】
なお、実施例5と同様に本実施例13で合成したBCBANB(略称)を正孔輸送層に
用いて形成した発光素子の効率、および1000cd/mにおける駆動電圧は、実施例
10においてPCBBiNB(略称)を用いて形成した発光素子8と同等の良好な値が得
られた(駆動電圧が4.0Vのとき、輝度848cd/m、電流値は0.52mAであ
った)。
【実施例14】
【0623】
本実施例14では、構造式(366)で表される本発明のカルバゾール誘導体で4−[
9−(ビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾール−3−イル]−4’−(1−ナフチ
ル)4’’−フェニル−トリフェニルアミン(略称:BCBBiNB)の合成方法につい
て具体的に説明する。
【0624】
【化166】
[この文献は図面を表示できません]
【0625】
[ステップ1:4−[9−(ビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾール−3−イル]
−4’−(1−ナフチル)4’’−フェニル−トリフェニルアミン(略称:BCBBiN
B)の合成]
【0626】
ステップ1における4−[9−(ビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾール−3−
イル]−4’−(1−ナフチル)4’’−フェニル−トリフェニルアミンの合成スキーム
を下記(P−1)に示す。
【0627】
【化167】
[この文献は図面を表示できません]
【0628】
4−ブロモ−4’−(1−ナフチル)−4’ ’−フェニル−トリフェニルアミンを1
.6g(3.0mmol)、[9−(ビフェニル−4−イル)−9H−カルバゾール−3
−イル]ボロン酸を1.1g(3.0mmol)、酢酸パラジウム(II)を6.0mg
(0.03mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィンを18mg(0.03mmol)
、100mL三口フラスコへ入れ、この混合物へ、トルエン20mL、エタノール5mL
、2mol/L炭酸カリウム水溶液3mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しなが
ら脱気したのち、窒素雰囲気下、90℃で6.5時間加熱撹拌し、反応させた。
【0629】
反応後、この反応混合物にトルエン150mLを加え、この懸濁液をフロリジール、シ
リカゲル、セライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを
加えて水分を取り除いた。この懸濁液をフロリジール、アルミナ、シリカゲル、セライト
を通してろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1:4)による精製を行った。得られたフラクシ
ョンを濃縮し、アセトンとメタノールを加えて超音波をかけたのち、再結晶したところ、
目的物の白色粉末を収量1.4g、収率60%で得た。
【0630】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.26、4−ブロモ−4’−(1−ナフチル)−4’
’−フェニル−トリフェニルアミンは0.46だった。
【0631】
上記ステップ1で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。以
下に測定データを示す。また、H NMRチャートを図53に示す。測定結果から、上
述の構造式366で表される本発明のカルバゾール誘導体であるBCBBiNB(略称)
が得られたことがわかった。H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)
=7.30−7.71 (m, 33H), 7.82−7.86 (m, 3H),
7.90−7.93 (m, 1H), 8.05−8.08 (m,1H), 8.2
0 (d, J=7.8Hz, 1H), 8.38 (d, J=1.5Hz, 1H
)。
【0632】
上記化合物の分子量を、TOF−MS検出器(Waters製、Waters Mic
romass LCT Premier)により測定した。アセトニトリルと、0.1%
蟻酸水の混合液(混合比は80/20 vol/vol)を溶媒として用いた。これによ
り、分子量765.32(モードはES+)をメインとするピークを検出し、目的物のB
CBBiNB(略称)が得られたことを確認した。
【0633】
また、BCBBiNB(略称)の吸収スペクトル(測定範囲200nm〜800nm)
を測定した。長波長側の吸収ピークは、トルエン溶液の場合では342nm付近に見られ
、薄膜の場合では351nm付近に見られた。
【0634】
また、BCBBiNB(略称)の発光スペクトル(測定範囲370nm〜550nm)
を測定した。最大発光波長はトルエン溶液の場合では409nm(励起波長355nm)
、薄膜の場合では433nm(励起波長336nm)であった。
【0635】
上記吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定方法は、実施例1と同様なので、説明
を省略することとする。
【0636】
また、薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、B
CBBiNB(略称)HOMO準位は−5.35eVであった。薄膜の吸収スペクトルの
Taucプロットから吸収端は3.18eVであった。従って、固体状態のエネルギーギ
ャップは3.18eVと見積もられ、このことはBCBBiNB(略称)LUMO準位が
−2.17eVであることを意味する。
【0637】
また、BCBBiNB(略称)の酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(C
V)測定によって調べた。測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することとす
る。
【0638】
実施例1と同様の計算により、BCBBiNB(略称)のHOMO準位は、=−5.4
2[eV]であることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同様の値と
なった。このことから、酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示す
ことがわかった。
【0639】
また、BCBBiNB(略称)のガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(D
SC:Differential Scanning Calorimetry)(パー
キンエルマー製、型番:Pyris1 DSC)を用いて調べた。測定結果から、ガラス
転移温度は143℃であることが分かった。このように、BCBBiNB(略称)は、高
いガラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有するものである。また、結晶化を表すピーク
は存在せず、結晶化し難い物質であることが分かった。
【0640】
なお、実施例5と同様に本実施例14で合成したBCBBiNB(略称)を正孔輸送層
に用いて形成した発光素子の効率、1000cd/mにおける駆動電圧、および信頼性
は、実施例10においてPCBBiNB(略称)を用いて形成した発光素子8と同等の良
好な値が得られた(駆動電圧が4.0Vのとき、輝度996cd/m、電流値は0.5
9mAでであり、180時間駆動で初期輝度の84%の輝度を保っていた)。
【実施例15】
【0641】
本実施例15では、構造式(386)で表される本発明のカルバゾール誘導体で4−{
9−[4−(1−ナフチル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−イル}−4’−フェ
ニル−トリフェニルアミン(略称:NBCBA1BP)の合成方法について具体的に説明
する。
【0642】
【化168】
[この文献は図面を表示できません]
【0643】
[ステップ1:9−(4−ブロモフェニル)−9H−カルバゾールの合成]
【0644】
ステップ1における9−(4−ブロモフェニル)−9H−カルバゾールの合成スキーム
を下記(Q−1)に示す。
【0645】
【化169】
[この文献は図面を表示できません]
【0646】
1,4−ジブロモベンゼンを56g(240mmol)、9H−カルバゾールを31g
(180mmol)、よう化銅(I)を4.6g(24mmol)、18−クラウン−6
−エーテルを2.1g(8.0mmol)、炭酸カリウムを66g(480mmol)、
1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(略称:
DMPU)を8mL、300mL三口フラスコへ入れ、窒素雰囲気下、180℃で6時間
撹拌した。
【0647】
反応後、この懸濁液をろ過し、ろ液を希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食
塩水の順で洗浄し、硫酸マグネシウムにより水分を取り除いた。この懸濁液をろ過し、得
られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:酢酸
エチル=9:1)による精製を行った。得られたフラクションを濃縮し、クロロホルムと
ヘキサンを加えて再結晶したところ、目的物の淡褐色プレート状結晶を収量21g、収率
35%で得た。
【0648】
[ステップ2:9−[4−(1−ナフチル)フェニル]−9H−カルバゾールの合成]
【0649】
ステップ2における9−[4−(1−ナフチル)フェニル]−9H−カルバゾールの合
成スキームを下記(Q−2)に示す。
【0650】
【化170】
[この文献は図面を表示できません]
【0651】
9−(4−ブロモフェニル)−9H−カルバゾールを4.8g(15mmol)、1−
ナフタレンボロン酸を2.6g(15mmol)、酢酸パラジウム(II)を2.0mg
(0.01mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィンを6.0mg(0.02mmol
)、100mL三口フラスコへ入れ、この混合物へ、トルエン20mL、エタノール10
mL、2mol/L炭酸カリウム水溶液10mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌
しながら脱気したのち、窒素雰囲気下、90℃で9時間加熱撹拌し、反応させた。
【0652】
反応後、この反応混合物にトルエン150mLを加え、この懸濁液をフロリジール、セ
ライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を
取り除いた。この懸濁液をフロリジール、アルミナ、シリカゲル、セライトを通してろ過
してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、アセトンとメタノールを加えて超音波をかけた
のち、再結晶したところ、目的物の白色粉末を収量5.0g、収率90%で得た。
【0653】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.46、9−(4−ブロモフェニル)−9H−カルバ
ゾールは0.54だった。
【0654】
[ステップ3:3−ブロモ−9−[4−(1−ナフチル)フェニル]−9H−カルバゾー
ルの合成]
【0655】
ステップ3における3−ブロモ−9−[4−(1−ナフチル)フェニル]−9H−カル
バゾールの合成スキームを下記(Q−3)に示す。
【0656】
【化171】
[この文献は図面を表示できません]
【0657】
9−[4−(1−ナフチル)フェニル]−9H−カルバゾールを5.0g(14mmo
l)、300mL三角フラスコ中にてトルエン50mL、酢酸エチル250mLの混合溶
媒に溶かした後、ここにN−ブロモこはく酸イミド(略称;NBS)2.5g(14mm
ol)を加えて168時間室温にて撹拌した。反応終了後、この混合液フロリジール、セ
ライトを通してろ過したのち、得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水
分を取り除いた。この混合液をろ過し、得られたろ液を濃縮した。ここにヘキサンを加え
て超音波をかけたのち、再結晶したところ、目的物の白色粉末を収量6.1g、収率99
%で得た。
【0658】
[ステップ4:9−[4−(1−ナフチル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−ボロ
ン酸の合成]
【0659】
ステップ4における9−[4−(1−ナフチル)フェニル]−9H−カルバゾール−3
−ボロン酸の合成スキームを下記(Q−4)に示す。
【0660】
【化172】
[この文献は図面を表示できません]
【0661】
3−ブロモ−9−[4−(1−ナフチル)フェニル]−9H−カルバゾールを5.0g
(14mmol)、500mL三口フラスコに入れ、フラスコ内の雰囲気を窒素置換した
のち、テトラヒドロフラン(略称:THF)200mLを加えて−78℃にした。この混
合液に1.6mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液11mL(17mmol)を
滴下し、4時間撹拌した。この混合物にホウ酸トリメチル2.7mL(27mmol)を
加え、−78℃で2時間、室温で16時間撹拌した。反応後、この反応溶液に1M希塩酸
50mLを加えて4時間撹拌した。これをトルエンで抽出し、得られた有機層を飽和食塩
水で洗浄した。洗浄後、有機層に硫酸マグネシウムを加えて水分を取り除いた。この懸濁
液をろ過し、得られたろ液を濃縮し、クロロホルムとヘキサンを加え超音波をかけたのち
、再結晶したところ、目的物の白色粉末を収量3.5g、収率63%で得た。
【0662】
[ステップ5:4−{9−[4(1−ナフチル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−
イル}−4’−フェニル−トリフェニルアミン(略称:NBCBA1BPの合成]
【0663】
ステップ5における4−{9−[4(1−ナフチル)フェニル]−9H−カルバゾール
−3−イル}−4’−フェニル−トリフェニルアミンの合成スキームを下記(Q−5)に
示す。
【0664】
【化173】
[この文献は図面を表示できません]
【0665】
4−ブロモ−4’−フェニル−トリフェニルアミンを1.0g(2.5mmol)、9
−[4−(1−ナフチル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−ボロン酸を1.0g(
2.5mmol)、酢酸パラジウム(II)を4.0mg(0.02mmol)、トリ(
o−トリル)ホスフィンを6.0mg(0.02mmol)、50mL三口フラスコへ入
れ、この混合物へ、トルエン20mL、エタノール5mL、2mol/L炭酸カリウム水
溶液2.5mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気したのち、窒素雰囲
気下、90℃で13時間加熱撹拌し、反応させた。
【0666】
反応後、この反応混合物にトルエン150mLを加え、この懸濁液をフロリジール、シ
リカゲル、セライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを
加えて水分を取り除いた。この懸濁液をフロリジール、アルミナ、シリカゲル、セライト
を通してろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、アセトンとメタノールを加えて超
音波をかけたのち、再結晶したところ、目的物の白色粉末を収量1.2g、収率70%で
得た。
【0667】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.41、4−ブロモ−4’−フェニル−トリフェニル
アミンは0.62だった。
【0668】
上記ステップ5で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。以
下に測定データを示す。また、H NMRチャートを図54に示す。測定結果から、上
述の構造式386で表される本発明のカルバゾール誘導体であるNBCBA1BP(略称
)が得られたことがわかった。H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm
)=7.06 (t, J=6.6Hz, 1H), 7.21−7.77 (m, 3
0H), 7.92−7.98 (m, 2H), 8.04−8.08 (m, 1H
), 8.22 (d, J=7.8Hz, 1H), 8.37 (d, J=1.5
Hz, 1H)。
【0669】
また、NBCBA1BP(略称)の吸収スペクトル(測定範囲200nm〜800nm
)を測定した。長波長側の吸収ピークは、トルエン溶液の場合では333nm付近に見ら
れ、薄膜の場合では340nm付近に見られた。
【0670】
また、NBCBA1BP(略称)の発光スペクトル(測定範囲370nm〜550nm
)を測定した。最大発光波長はトルエン溶液の場合では393nm(励起波長350nm
)、薄膜の場合では488nm(励起波長302nm)であった。
【0671】
上記吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定方法は、実施例1と同様なので、説明
を省略することとする。
【0672】
また、薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、N
BCBA1BP(略称)HOMO準位は−5.53eVであった。薄膜の吸収スペクトル
のTaucプロットから吸収端は3.22eVであった。従って、固体状態のエネルギー
ギャップは3.22eVと見積もられ、このことはNBCBA1BP(略称)LUMO準
位が−2.31eVであることを意味する。
【0673】
また、NBCBA1BP(略称)の酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(
CV)測定によって調べた。測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することと
する。
【0674】
実施例1と同様の計算により、NBCBA1BP(略称)のHOMO準位は、=−5.4
3[eV]であることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同様の値と
なった。このことから、酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示す
ことがわかった。
【0675】
また、NBCBA1BP(略称)のガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(
DSC:Differential Scanning Calorimetry)(パ
ーキンエルマー製、型番:Pyris1 DSC)を用いて調べた。測定結果から、ガラ
ス転移温度は132℃であることが分かった。このように、NBCBA1BP(略称)は
、高いガラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有するものである。また、結晶化を表すピ
ークは存在せず、結晶化し難い物質であることが分かった。
【0676】
なお、実施例5と同様に本実施例15で合成したNBCBA1BP(略称)を正孔輸送
層に用いて形成した発光素子の効率、および1000cd/mにおける駆動電圧は、実
施例10においてPCBBiNB(略称)を用いて形成した発光素子8と同等の良好な値
が得られた(駆動電圧が3.6Vのとき、輝度773cd/m、電流値は0.47mA
であった)。
【実施例16】
【0677】
本実施例16では、構造式(395)で表される本発明のカルバゾール誘導体で4−[
9−(1−ナフチル)−9H−カルバゾール−3−イル]−4’−フェニル−トリフェニ
ルアミン(略称:NCBA1BP)の合成方法について具体的に説明する。
【0678】
【化174】
[この文献は図面を表示できません]
【0679】
[ステップ1:9−(1−ナフチル)−9H−カルバゾールの合成]
【0680】
ステップ1における9−(1−ナフチル)−9H−カルバゾールの合成スキームを下記
(R−1)に示す。
【0681】
【化175】
[この文献は図面を表示できません]
【0682】
1−ブロモナフタレンを21g(100mmol)、カルバゾールを17g(100m
mol)、よう化銅(I)を0.1g(5.0mmol)、18−クラウン−6−エーテ
ルを0.7g(2.5mmol)、炭酸カリウムを33g(240mmol)、1,3−
ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(略称:DMPU
)を80mL、500mL三口フラスコへ入れ、窒素雰囲気下、170℃で6時間撹拌し
た。この反応混合物にさらに1−ブロモナフタレンを10g(50mmol)、よう化銅
(I)を2.0g(10mmol)、18−クラウン−6−エーテルを2.6g(10m
mol)を加え、さらに170℃で7.5時間撹拌した。この反応混合物にさらに1−ブ
ロモナフタレンを10g(50mmol)加え、さらに180℃で6時間撹拌した。
【0683】
反応後、この反応混合物にトルエン約200mLと1mol/Lの塩酸約100mLを
加え、セライトを通してろ過した。得られたろ液をフロリジール、セライトを通してろ過
した。得られたろ液を有機層と水層とに分け、この有機層を1mol/Lの塩酸、水の順
番で洗浄した後、硫酸マグネシウムを加えて水分を取り除いた。この懸濁液をフロリジー
ル、セライトを通して濾過した。得られたろ液を濃縮して得た油状物質に、ヘキサンを加
えて超音波かけたのち、再結晶したところ、目的物の白色粉末を収量22g、収率75%
で得た。
【0684】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.61、1−ブロモナフタレンは0.74、カルバゾ
ールは0.24だった。
【0685】
[ステップ2:3−ブロモ−9−(1−ナフチル)−9H−カルバゾールの合成]
【0686】
ステップ2における3−ブロモ−9−(1−ナフチル)−9H−カルバゾールの合成ス
キームを下記(R−2)に示す。
【0687】
【化176】
[この文献は図面を表示できません]
【0688】
9−(1−ナフチル)−9H−カルバゾールを5.9g(20mmol)、500mL
三角フラスコ中にてトルエン50mL、酢酸エチル50mLの混合溶媒に溶かした後、こ
こにN−ブロモこはく酸イミド(略称;NBS)3.6g(20mmol)を加えて17
0時間室温にて撹拌した。反応終了後、この混合液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加
えて水分を取り除いた。この混合液をろ過し、得られたろ液を濃縮乾固させ、目的物の白
色粉末を収量7.4g、収率99%で得た。
【0689】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.43、9−(1−ナフチル)9H−カルバゾールは
0.35だった。
【0690】
[ステップ3:9−(1−ナフチル)9H−カルバゾール−3−ボロン酸の合成]
【0691】
ステップ3における9−(1−ナフチル)9H−カルバゾール−3−ボロン酸の合成ス
キームを下記(R−3)に示す。
【0692】
【化177】
[この文献は図面を表示できません]
【0693】
9−(1−ナフチル)9H−カルバゾールを3.7g(10mmol)、500mL三
口フラスコに入れ、フラスコ内の雰囲気を窒素置換したのち、テトラヒドロフラン(略称
:THF)200mLを加えて−78℃にした。この混合液に1.6mol/Lのn−ブ
チルリチウムヘキサン溶液7mL(13mmol)を滴下し、2時間撹拌した。この混合
物にホウ酸トリメチル2mL(20mmol)を加え、−78℃で3時間、室温で16時
間撹拌した。反応後、この反応溶液に1M希塩酸50mLを加えて4時間撹拌した。これ
を酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した。洗浄後、有機層に硫酸
マグネシウムを加えて水分を取り除いた。この懸濁液をろ過し、得られたろ液を濃縮し、
クロロホルムとヘキサンを加え超音波をかけたのち、再結晶したところ、黄色粉末の目的
物を収量2.6g、収率78%で得た。
【0694】
[ステップ4:4−[9−(1−ナフチル)−9H−カルバゾール−3−イル]−4’−
フェニル−トリフェニルアミン(略称:NCBA1BPの合成]
【0695】
ステップ4における4−[9−(1−ナフチル)−9H−カルバゾール−3−イル]−
4’−フェニル−トリフェニルアミンの合成スキームを下記(R−4)に示す。
【0696】
【化178】
[この文献は図面を表示できません]
【0697】
4−ブロモ−4’−フェニル−トリフェニルアミンを1.2g(3.0mmol)、9
−(1−ナフチル)9H−カルバゾール−3−ボロン酸を1.0g(3.0mmol)、
酢酸パラジウム(II)を6.0mg(0.03mmol)、トリ(o−トリル)ホスフ
ィンを0.03mg(18mmol)、50mL三口フラスコへ入れ、この混合物へ、ト
ルエン15mL、エタノール5mL、2mol/L炭酸カリウム水溶液3mLを加えた。
この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気したのち、窒素雰囲気下、90℃で6.5時間
加熱撹拌し、反応させた。
【0698】
反応後、この反応混合物にトルエン150mLを加え、この懸濁液をフロリジール、シ
リカゲル、セライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを
加えて水分を取り除いた。この懸濁液をフロリジール、アルミナ、シリカゲル、セライト
を通してろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1:3)による精製を行った。得られたフラクシ
ョンを濃縮し、メタノールを加えて超音波をかけたのち、再結晶したところ、目的物の白
色粉末を収量0.5g、収率25%で得た。
【0699】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.34、4−ブロモ−4’−フェニル−トリフェニル
アミンは0.54だった。
【0700】
上記ステップ4で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。以
下に測定データを示す。また、H NMRチャートを図55に示す。測定結果から、上
述の構造式395で表される本発明のカルバゾール誘導体であるNCBA1BP(略称)
が得られたことがわかった。H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)
=7.00−7.07 (m, 3H), 7.19−8.00 (m, 25H),
8.03−8.07 (m, 2H), 8.22−8.25 (m, 1H), 8.
40 (d, J=1.5, 1H)。
【0701】
また、NCBA1BP(略称)の吸収スペクトル(測定範囲200nm〜800nm)
を測定した。長波長側の吸収ピークは、トルエン溶液の場合では333nm付近に見られ
、薄膜の場合では340nm付近に見られた。
【0702】
また、NCBA1BP(略称)の発光スペクトル(測定範囲370nm〜550nm)
を測定した。最大発光波長はトルエン溶液の場合では392nm(励起波長345nm)
、薄膜の場合では426nm(励起波長328nm)であった。上記吸収スペクトルおよ
び発光スペクトルの測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することとする。
【0703】
また、薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、N
CBA1BP(略称)HOMO準位は−5.44eVであった。薄膜の吸収スペクトルの
Taucプロットから吸収端は3.19eVであった。従って、固体状態のエネルギーギ
ャップは3.19eVと見積もられ、このことはNCBA1BP(略称)LUMO準位が
−2.25eVであることを意味する。
【0704】
また、NCBA1BP(略称)の酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(C
V)測定によって調べた。測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することとす
る。実施例1と同様の計算により、NCBA1BP(略称)のHOMO準位は、=−5.
43[eV]であることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同様の値
となった。このことから、酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示
すことがわかった。
【0705】
また、NCBA1BP(略称)のガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(D
SC:Differential Scanning Calorimetry)(パー
キンエルマー製、型番:Pyris1 DSC)を用いて調べた。測定結果から、ガラス
転移温度は128℃であることが分かった。このように、NCBA1BP(略称)は、高
いガラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有するものである。また、結晶化を表すピーク
は存在せず、結晶化し難い物質であることが分かった。
【0706】
なお、実施例5と同様に本実施例16で合成したNCBA1BP(略称)を正孔輸送層
に用いて形成した発光素子の効率、および1000cd/mにおける駆動電圧は、実施
例10においてPCBBiNB(略称)を用いて形成した発光素子8と同等の良好な値が
得られた(駆動電圧が4.0Vのとき、輝度1198cd/m、電流値は0.82mA
であった)。
【実施例17】
【0707】
本実施例17では、構造式(422)で表される本発明のカルバゾール誘導体で4,4
’−ジフェニル−4’’−(6,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリ
フェニルアミン(略称:PCBBi1BPIII)の合成方法について具体的に説明する
【0708】
【化179】
[この文献は図面を表示できません]
【0709】
[ステップ1:3−ブロモ−6,9−ジフェニル−9H−カルバゾールの合成]
【0710】
ステップ1における3−ブロモ−6,9−ジフェニル−9H−カルバゾールの合成スキ
ームを下記(S−1)に示す。
【0711】
【化180】
[この文献は図面を表示できません]
【0712】
3,9−ジフェニル−9H−カルバゾール4.8g(15mmol)を300mLエル
レンマイヤーフラスコに入れ、ここに酢酸エチル:トルエン=4:1の混合溶媒250m
Lを加えて30分撹拌した。この溶液にN−ブロモコハク酸イミド(略称:NBS)2.
7g(15mmol)を少量ずつ加え、室温で48時間撹拌した。
【0713】
撹拌後、この混合液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。洗
浄後、得られた有機層を硫酸マグネシウムにより水分を取り除いた後、この混合物を吸引
ろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮して得た油状物質に少量のメタノールを加えて
、超音波を照射したところ、固体が析出した。析出した固体を吸引ろ過により回収したと
ころ、白色粉末状固体を収量5.4g、収率90%で得た。
【0714】
[ステップ2:4,4’−ジフェニル−4’’−(6,9−ジフェニル−9H−カルバゾ
ール−3−イル)トリフェニルアミン(略称;PCBBi1BPIII)の合成]
【0715】
ステップ2における4,4’−ジフェニル−4’’−(6,9−ジフェニル−9H−カ
ルバゾール−3−イル)トリフェニルアミンの合成スキームを下記(S−2)に示す。
【0716】
【化181】
[この文献は図面を表示できません]
【0717】
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)アミノフェニル−4−ボロン酸1.7g(3.
8mmol)、3−ブロモ−6,9−ジフェニル−9H−カルバゾール1.5g(3.8
mmol)、酢酸パラジウム(II)8.4mg(0.038mmol)、トリ(オルト
−トリル)ホスフィン0.080g(0.26mmol)を100mL三口フラスコに入
れた。この混合物へトルエン10mL、エタノール2mL、2M炭酸カリウム水溶液10
mLを加えて、この混合物を減圧脱気した後、当該フラスコ内雰囲気を窒素置換した。こ
の混合物を100℃で3時間加熱撹拌した。
【0718】
撹拌後、この混合物にトルエンを加え、この混合物を50℃に加熱して撹拌した。この
懸濁液を室温に戻した後、有機層と水層を分離した。得られた有機層を飽和炭酸ナトリウ
ム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。洗浄後、得られた有機層に硫酸マグネシウムを加
えて水分を取り除いた。この混合物を吸引ろ過してろ液を得た。得られたろ液を、セライ
ト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、フロリジール(和光
純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、アルミナを通して吸引ろ過し
、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製
を行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィーはまずトルエン:ヘキサン=1:4の混
合溶媒を展開溶媒として用い、次いでトルエン:ヘキサン=1:1の混合溶媒を展開溶媒
として用いることにより行った。得られたフラクションを濃縮して得た固体をクロロホル
ムとヘキサンの混合溶媒で再結晶したところ、白色粉末状固体を収量2.3g、収率87
%で得た。
【0719】
得られた白色固体2.3gの昇華精製をトレインサブリメーション法により行った。昇
華精製は7.0Paの減圧下、アルゴンの流量を4mL/minとして320℃で18時
間行った。収量1.8gで収率は78%であった。
【0720】
上記ステップ2で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。以
下に測定データを示す。また、H NMRチャートを図61に示す。測定結果から、上
述の構造式(422)で表される本発明のカルバゾール誘導体であるPCBBi1BPI
II(略称)が得られたことがわかった。 H NMR(CDCl,300MHz)
:δ(ppm)=7.22−7.77(m,36H),8.38−8.42(m,2H)
【0721】
上記化合物の分子量を、TOF−MS検出器(Waters製、Waters Mic
romass LCT Premier)により測定した。アセトニトリルと、0.1%
蟻酸水の混合液(混合比は80/20 vol/vol)を溶媒として用いた。これによ
り、分子量714.30(モードはES+)をメインとするピークを検出し、目的物のP
CBBi1BPIII(略称)が得られたことを確認した。
【0722】
また、以下のとおり、PCBBi1BPIII(略称)について種々の物性を測定した
【0723】
PCBBi1BPIII(略称)の吸収スペクトル(測定範囲200nm〜800nm
)を測定した。長波長側の吸収ピークは、トルエン溶液の場合では348nm付近に見ら
れ、薄膜の場合では352nm付近に見られた。発光スペクトル(測定範囲390nm〜
550nm)を測定した。最大発光波長はトルエン溶液の場合では397nm(励起波長
358nm)、薄膜の場合では439nm(励起波長369nm)であった。
【0724】
薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、PCBB
i1BPIII(略称)のHOMO準位は−5.46eVであった。薄膜の吸収スペクト
ルのTaucプロットから吸収端は3.21eVであった。従って、固体状態のエネルギ
ーギャップは3.21eVと見積もられ、このことはLUMO準位が−2.25eVであ
ることを意味する。
【0725】
PCBBi1BPIII(略称)の酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(
CV)測定によって調べた。測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することと
する。実施例1と同様の計算により、PCBBi1BPIII(略称)のHOMO準位は
、=−41[eV]であることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同
様の値となった。このことから、酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特
性を示すことがわかった。
【0726】
PCBBi1BPIII(略称)のガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(
DSC)を用いて調べた。測定結果から、ガラス転移温度は138℃であった。このよう
に、PCBBi1BPIII(略称)は、高いガラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有
することがわかった。また、結晶化を表すピークは存在せず、結晶化し難い物質であるこ
とが分かった。
【0727】
なお、実施例5と同様に本実施例17で合成したPCBBi1BPIII(略称)を正
孔輸送層に用いて形成した発光素子の効率、約1000cd/mにおける駆動電圧、お
よび信頼性は、実施例10においてPCBBiNB(略称)を正孔輸送層に用いて形成し
た発光素子8と同等の良好な値が得られた(駆動電圧が4.2Vのとき、輝度1070c
d/m、電流値は0.75mAであり、360時間駆動で初期輝度の74%の輝度を保
っていた)。
【実施例18】
【0728】
本実施例18では、構造式(423)で表される本発明のカルバゾール誘導体で3,3
’−ジメチル−4’ ’−フェニル−4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イ
ル)−トリフェニルアミン(略称:PCBA1BPIV)の合成方法について具体的に説
明する。
【0729】
【化182】
[この文献は図面を表示できません]
【0730】
[ステップ1:3,3’−ジメチル−4’’−フェニル−トリフェニルアミンの合成]
【0731】
ステップ1における3,3’−ジメチル−4’’−フェニル−トリフェニルアミンの合
成スキームを下記(T−1)に示す。
【0732】
【化183】
[この文献は図面を表示できません]
【0733】
4−ブロモビフェニルを5.8g(25mmol)、m,m’−ジトリルアミンを4.
9g(25mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを3.0g(30mmol)
、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を140mg(0.25mmol)
、100mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内の雰囲気を窒素置換した。この混合物へ、
脱水キシレン50mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、脱気後、
トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)1.0mL(0.5m
mol)を加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、130℃で1.5時間加熱撹拌し、反
応させた。
【0734】
反応後、この反応混合液にトルエン80mLとヘキサン420mLを加え、この懸濁液
をフロリジール、シリカゲル、セライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、
硫酸マグネシウムを加えて水分を取り除いた。この懸濁液をフロリジール、セライトを通
してろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、メタノールを加えて超音波をかけたの
ち、再結晶したところ、目的物の白色粉末を収量8.5g、収率97%で得た。
【0735】
上記ステップ1で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。
H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=2.28 (s, 6H)
, 6.85 (d, J=6.9, 2H), 6.91−6.95 (m, 4H)
, 7.09−7.18 (m, 4H), 7.29 (t, J=7.5, 1H)
, 7.38−7.48 (m, 4H), 7.56−7.59 (m, 2H)。
【0736】
[ステップ2:4−ブロモ−3,3’−ジメチル−4’’−フェニル−トリフェニルアミ
ンの合成]
【0737】
ステップ2における4−ブロモ−3,3’−ジメチル−4’’−フェニル−トリフェニ
ルアミンの合成スキームを下記(T−2)に示す。
【0738】
【化184】
[この文献は図面を表示できません]
【0739】
3,3’−ジメチル−4’’−フェニル−トリフェニルアミンを2.5g(24mmo
l)、200mL三角フラスコ中にて酢酸エチル200mLに溶かした後、ここにN−ブ
ロモこはく酸イミド(略称;NBS)4.3g(24mmol)を加えて48時間室温に
て撹拌した。反応終了後、この混合液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を取
り除いた。この混合液をろ過し、得られたろ液を濃縮、乾固させた。目的物の白色キャラ
メル状固体を収量9.1g、収率88%で得た。
【0740】
[ステップ3:3,3’−ジメチル−4’’−フェニル−4−(9−フェニル−9H−カ
ルバゾール−3−イル)−トリフェニルアミン(略称;PCBA1BPIV)の合成]
【0741】
ステップ3における3,3’−ジメチル−4’’−フェニル−4−(9−フェニル−9
H−カルバゾール−3−イル)−トリフェニルアミンの合成スキームを下記(T−3)に
示す。
【0742】
【化185】
[この文献は図面を表示できません]
【0743】
4−ブロモ−3,3’−ジメチル−4’ ’−フェニル−トリフェニルアミンを1.7
g(4.0mmol)、9−フェニル−9H−カルバゾール−3−ボロン酸を1.4g(
5.0mmol)、酢酸パラジウム(II)を5.0mg(0.02mmol)、トリ(
o−トリル)ホスフィンを6.0mg(0.02mmol)、300mLなすフラスコへ
入れ、この混合物へ、トルエン30mL、エタノール5mL、2mol/L炭酸カリウム
水溶液3.5mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気したのち、窒素雰
囲気下、90℃で3時間加熱撹拌し、反応させた。
【0744】
反応後、この反応混合液にトルエン150mLを加え、この懸濁液をフロリジール、セ
ライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を
取り除いた。この懸濁液をフロリジール、アルミナ、シリカゲル、セライトを通してろ過
してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶
媒 トルエン:ヘキサン=1:4)による精製を行った。得られたフラクションを濃縮し
、ヘキサンとアセトンを加えて超音波をかけたのち、再結晶したところ、目的物の白色粉
末を収量1.0g、収率42%で得た。
【0745】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.51、4−ブロモ−3,3’−ジメチル−4’ ’
−フェニル−トリフェニルアミンは0.62だった。
【0746】
上記ステップ3で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。以
下に測定データを示す。また、H NMRチャートを図62に示す。測定結果から、上
述の構造式(423)で表される本発明のカルバゾール誘導体であるPCBA1BPIV
(略称)が得られたことがわかった。H NMR(CDCl,300MHz):δ(
ppm)=2.26 (s, 3H), 2.30 (s, 3H), 6.86 (d
, J=7.8, 1H), 6.99−7.59 (m, 25H), 8.09−8
.13 (m, 2H)。
【0747】
上記化合物の分子量を、TOF−MS検出器(Waters製、Waters Mic
romass LCT Premier)により測定した。アセトニトリルと、0.1%
蟻酸水の混合液(混合比は80/20 vol/vol)を溶媒として用いた。これによ
り、分子量591.28(モードはES+)をメインとするピークを検出し、目的物のP
CBA1BPIV(略称)が得られたことを確認した。
【0748】
また、以下のとおり、PCBA1BPIV(略称)について種々の物性を測定した。
【0749】
PCBA1BPIV(略称)の吸収スペクトル(測定範囲200nm〜800nm)を
測定した。長波長側の吸収ピークは、トルエン溶液の場合では325nm付近に見られ、
薄膜の場合では329nm付近に見られた。発光スペクトル(測定範囲370nm〜55
0nm)を測定した。最大発光波長はトルエン溶液の場合では393nm(励起波長33
0nm)、薄膜の場合では422nm(励起波長357nm)であった。
【0750】
薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、PCBA
1BPIV(略称)のHOMO準位は−5.57eVであった。薄膜の吸収スペクトルの
Taucプロットから吸収端は3.36eVであった。従って、固体状態のエネルギーギ
ャップは3.36eVと見積もられ、このことはPCBA1BPIV(略称)のLUMO
準位が−2.21eVであることを意味する。
【0751】
ガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(DSC)を用いて調べた。測定結果
から、ガラス転移温度は105℃であった。このように、高いガラス転移温度を示し、良
好な耐熱性を有することがわかった。また、結晶化を表すピークは存在せず、結晶化し難
い物質であることが分かった。
【0752】
なお、実施例5と同様に本実施例18で合成したPCBA1BPIV(略称)を正孔輸
送層に用いて形成した発光素子の効率、約1000cd/mにおける駆動電圧は、実施
例10においてPCBBiNB(略称)を正孔輸送層に用いて形成した発光素子8と同等
の良好な値が得られた(駆動電圧が4.0Vのとき、輝度924cd/m、電流値は0
.61mAであった)。
【実施例19】
【0753】
本実施例19では、構造式(345)で表される本発明のカルバゾール誘導体で4,4
’−ジ(2−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−
トリフェニルアミン(略称:PCBNBBβ)の合成方法について具体的に説明する。
【0754】
【化186】
[この文献は図面を表示できません]
【0755】
[ステップ1:4,4’−ジ(2−ナフチル)−トリフェニルアミンの合成]
【0756】
ステップ1における4,4’−ジ(2−ナフチル)−トリフェニルアミンの合成スキー
ムを下記(U−1)に示す。
【0757】
【化187】
[この文献は図面を表示できません]
【0758】
4,4’−ジブロモトリフェニルアミンを6.0g(15mmol)、2−ナフタレン
ボロン酸を6.2g(36mmol)、酢酸パラジウム(II)を16mg(0.1mm
ol)、トリ(o−トリル)ホスフィンを21mg(0.1mmol)、300mL三口
フラスコへ入れ、この混合物へ、トルエン50mL、エタノール20mL、2mol/L
炭酸カリウム水溶液20mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気したの
ち、窒素雰囲気下、90℃で4.5時間加熱撹拌し、反応させた。
【0759】
反応後、この反応混合液にトルエン150mLを加え、この懸濁液をフロリジール、シ
リカゲル、セライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを
加えて水分を取り除いた。この懸濁液をフロリジール、アルミナ、シリカゲル、セライト
を通してろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、ヘキサンを加えて超音波をかけた
のち、再結晶したところ、目的物の白色粉末を収量5.6g、収率75%で得た。
【0760】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.53、4,4’−ジブロモトリフェニルアミンは0
.78だった。
【0761】
[ステップ2:4−ブロモ−4’,4’’−ジ(2−ナフチル)−トリフェニルアミンの
合成]
【0762】
ステップ2における4−ブロモ−4’,4’’−ジ(2−ナフチル)−トリフェニルア
ミンの合成スキームを下記(U−2)に示す。
【0763】
【化188】
[この文献は図面を表示できません]
【0764】
4,4’−ジ(2−ナフチル)−トリフェニルアミンを4.0g(8.0mmol)、
500mL三角フラスコ中にてトルエン200mL、酢酸エチル250mLの混合溶媒に
溶かした後、ここにN−ブロモこはく酸イミド(略称;NBS)1.4g(8mmol)
を加えて96時間室温にて撹拌した。反応終了後、この混合液を水で洗浄し、硫酸マグネ
シウムを加えて水分を取り除いた。この懸濁液をフロリジール、セライトを通してろ過し
た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 トルエン
:ヘキサン=1:4)による精製を行った。得られたフラクションを濃縮し、アセトンと
ヘキサンを加えて超音波をかけたのち、再結晶したところ、目的物の白色粉末を収量3.
4g、収率61%で得た。
【0765】
上記ステップ2で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。以
下に測定データを示す。 H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=
7.09 (d, J=8.4, 2H), 7.24 (d, J=7.8, 4H)
, 7.40 (d, J=8.4, 2H), 7.47−7.51 (m, 4H)
, 7.66 (d, J=8.1, 4H), 7.73−7.76 (m, 2H)
, 7.85−7.93 (m, 6H), 8.03 (s, 2H)。
【0766】
[ステップ3:4,4’−ジ(2−ナフチル)−4’’(9−フェニル−9H−カルバゾ
ール−3−イル)−トリフェニルアミン(略称;PCBNBBβ)の合成]
【0767】
ステップ3における4,4’−ジ(2−ナフチル)−4’’(9−フェニル−9H−カ
ルバゾール−3−イル)−トリフェニルアミンの合成スキームを下記(U−3)に示す。
【0768】
【化189】
[この文献は図面を表示できません]
【0769】
4−ブロモ−4’,4’’−ジ(2−ナフチル)−トリフェニルアミンを1.0g(1
.7mmol)、9−フェニル−9H−カルバゾール−3−ボロン酸を0.6g(2.0
mmol)、酢酸パラジウム(II)を2.2mg(10μmol)、トリ(o−トリル
)ホスフィンを3.0mg(10μmol)、50mL三口フラスコへ入れ、この混合物
へ、トルエン20mL、エタノール3mL、2mol/L炭酸カリウム水溶液2.0mL
を加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気したのち、窒素雰囲気下、90℃で
14時間加熱撹拌し、反応させた。
【0770】
反応後、この反応混合液にトルエン150mLを加え、この懸濁液をフロリジール、シ
リカゲル、アルミナ、セライトを通してろ過した。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1:4)による精製を行った
。得られたフラクションを濃縮し、メタノールとクロロホルム、アセトン、ヘキサンを加
えて超音波をかけたのち、再結晶したところ、目的物の淡黄色粉末を収量1.5g、収率
95%で得た。
【0771】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.31、4−ブロモ−4’,4’’−ジ−2−ナフチ
ル−トリフェニルアミンは0.56だった。
【0772】
上記ステップ3で得られた化合物を核磁気共鳴法(H NMR)により測定した。以
下に測定データを示す。また、H NMRチャートを図63に示す。測定結果から、上
述の構造式345で表される本発明のカルバゾール誘導体であるPCBNBBβ(略称)
が得られたことがわかった。 H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm
)=7.29−7.90 (m, 34H), 8.03 (s, 2H), 8.16
(d, J=7.2, 1H), 8.34 (d, J=1.5, 1H)。
【0773】
上記化合物の分子量を、TOF−MS検出器(Waters製、Waters Mic
romass LCT Premier)により測定した。アセトニトリルと、0.1%
蟻酸水の混合液(混合比は80/20 vol/vol)を溶媒として用いた。これによ
り、分子量739.32(モードはES+)をメインとするピークを検出し、目的物のP
CBNBBβ(略称)が得られたことを確認した。
【0774】
また、以下のとおり、PCBNBBβ(略称)について種々の物性を測定した。
【0775】
PCBNBBβ(略称)の吸収スペクトル(測定範囲200nm〜800nm)を測定
した。長波長側の吸収ピークは、トルエン溶液の場合では357nm付近に見られ、薄膜
の場合では366nm付近に見られた。PCBNBBβ(略称)の発光スペクトル(測定
範囲390nm〜550nm)を測定した。最大発光波長はトルエン溶液の場合では41
5nm(励起波長360nm)、薄膜の場合では449nm(励起波長376nm)であ
った。
【0776】
薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、PCBN
BBβ(略称)のHOMO準位は−5.36eVであった。薄膜の吸収スペクトルのTa
ucプロットから吸収端は3.06eVであった。従って、固体状態のエネルギーギャッ
プは3.06eVと見積もられ、このことはPCBNBBβ(略称)のLUMO準位が−
2.30eVであることを意味する。
【0777】
PCBNBBβ(略称)の酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(CV)測
定によって調べた。測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することとする。実
施例1と同様の計算により、PCBNBBβ(略称)のHOMO準位は、=−5.41[
eV]であることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同様の値となっ
た。このことから、酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すこと
がわかった。
【0778】
PCBNBBβ(略称)のガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(DSC)
を用いて調べた。測定結果から、ガラス転移温度は129℃であった。このように、PC
BNBBβ(略称)は、高いガラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有することがわかっ
た。また、結晶化を表すピークは存在せず、結晶化し難い物質であることが分かった。
【0779】
なお、実施例5と同様に本実施例19で合成したPCBNBBβ(略称)を正孔輸送層
に用いて形成した発光素子の効率、、約1000cd/m2における駆動電圧、および信
頼性は、実施例10においてPCBBiNB(略称)を正孔輸送層に用いて形成した発光
素子8と同等の良好な値が得られた(駆動電圧が4.4Vのとき、輝度1104cd/m
、電流値は0.74mAであり、650時間駆動で初期輝度の75%の輝度を保ってい
た)。
【実施例20】
【0780】
本実施例20では、構造式(424)で表される本発明のカルバゾール誘導体で4−フ
ェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−4’’−(9−フェ
ニルフルオレン−9−イル)−トリフェニルアミン(略称:PCBBiFLP)の合成方
法について具体的に説明する。(なお、上記化合物は、一般式(1)で表されるカルバゾ
ール誘導体の、Rは水素、Rはフェニル基、lは0、mは1、nは0、αは1,4
−フェニレン基、αは1,4−フェニレン基、Ar1はビフェニル−4−イル基、Ar
2はフルオレン−9−イル基であり、前記フルオレン−9−イル基の9位がフェニル基で
置換されたものである。)
【0781】
【化190】
[この文献は図面を表示できません]
【0782】
[ステップ1:4−ブロモ−4’−フェニル−ジフェニルアミンの合成]
【0783】
ステップ1における4−ブロモ−4’−フェニル−ジフェニルアミンの合成スキームを
下記(V−1)に示す。
【0784】
【化191】
[この文献は図面を表示できません]
【0785】
4−フェニル−ジフェニルアミンを37g(150mmol)、1000mL三角フラ
スコ中にて酢酸エチル400mLに溶かした後、ここにN−ブロモこはく酸イミド(略称
;NBS)27g(150mmol)を加えて24時間室温にて撹拌した。
【0786】
反応終了後、この混合液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を取り除いた。
この混合液をフロリジール、シリカゲル、アルミナ、セライトを通してろ過し、得られた
ろ液を濃縮した。ここにトルエンとヘキサンを加えて超音波をかけたのち、再結晶したと
ころ、目的物の白色粉末を収量4.0g得た。またこの再結晶の際に得られた濾液のシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1:4)による精製
を行った。得られたフラクションを濃縮し、メタノールを加えて超音波をかけたのち、再
結晶したところ、目的物の白色粉末を収量4.5g得た。併せて目的物の白色粉末を収量
8.5g、収率73%で得た。
【0787】
[ステップ2:4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)
−ジフェニルアミンの合成]
【0788】
ステップ2における4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−
イル)−ジフェニルアミンの合成スキームを下記(V−2)に示す。
【0789】
【化192】
[この文献は図面を表示できません]
【0790】
4−ブロモ−4’−フェニル−ジフェニルアミンを16g(50mmol)、9−フェ
ニル−9H−カルバゾール−3−ボロン酸を16g(55mmol)、酢酸パラジウム(
II)を110mg(0.4mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィンを150mg(
0.4mmol)、200mL三口フラスコへ入れ、この混合物へ、トルエン70mL、
エタノール5mL、2mol/L炭酸カリウム水溶液23mLを加えた。この混合物を、
減圧下で攪拌しながら脱気したのち、窒素雰囲気下、90℃で7.5時間加熱撹拌し、反
応させた。
【0791】
反応後、この反応混合液にトルエン150mLを加え、この懸濁液をフロリジール、シ
リカゲル、セライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを
加えて水分を取り除いた。この懸濁液をフロリジール、アルミナ、シリカゲル、セライト
を通してろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1:4)による精製を行った。得られたフラクシ
ョンを濃縮し、クロロホルムとメタノールを加えて超音波をかけたのち、再結晶したとこ
ろ、目的物の淡黄色粉末を収量10g、収率41%で得た。
【0792】
[ステップ3:9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニルフルオレンの合成]
【0793】
ステップ3における9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニルフルオレンの合成スキ
ームを下記(V−3)に示す。
【0794】
【化193】
[この文献は図面を表示できません]
【0795】
マグネシウムを1.2g(50mmol)100mL三口フラスコに入れ、減圧下で3
0分加熱撹拌し、マグネシウムを活性化させた。これを室温に冷まして窒素雰囲気にした
後、ジブロモエタン数滴を加えて発泡、発熱するのを確認した。ここにジエチルエーテル
10mL中に溶かした2−ブロモビフェニルを12g(50mmol)ゆっくり滴下した
後、2.5時間加熱還流撹拌してグリニヤール試薬とした。
【0796】
4−ブロモベンゾフェノンを10g(40mmol)、ジエチルエーテルを100mL
、を500mL三口フラスコに入れた。ここに先に合成したグリニヤール試薬をゆっくり
滴下した後、9時間加熱還流撹拌した。
【0797】
反応後、この混合液をろ過してろ物を得た。得られたろ物を酢酸エチル150mLに溶
かし、1N−塩酸水を加えて2時間撹拌した。この液体の有機層の部分を水で洗浄し、硫
酸マグネシウムを加えて水分を取り除いた。この懸濁液をろ過し、得られたろ液を濃縮し
アメ状の物質を得た。
【0798】
このアメ状物質と、氷酢酸50mLと、塩酸1.0mLとを500mLなすフラスコに
入れ、窒素雰囲気下、130℃で1.5時間加熱撹拌し、反応させた。反応後、この反応
混合液をろ過してろ物を得た。得られたろ物を水、水酸化ナトリウム水、水、メタノール
の順で洗浄し、目的物の白色粉末を収量11g、収率69%で得た。
【0799】
[ステップ4:4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)
−4’’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)−トリフェニルアミン(略称;PCB
BiFLP)の合成]
【0800】
ステップ4における4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−
イル)−4’’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)−トリフェニルアミンの合成ス
キームを下記(V−4)に示す。
【0801】
【化194】
[この文献は図面を表示できません]
【0802】
9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニルフルオレンを1.2g(3.0mmol)
、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−ジフェニル
アミンを1.5g(3.0mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを0.4g(
4.0mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を17mg(0.
03mmol)、100mL三口フラスコへ入れ、フラスコ内の雰囲気を窒素置換した。
この混合物へ、脱水キシレン20mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱
気し、脱気後、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.2
mL(0.1mmol)を加えた。この混合物を、窒素雰囲気下、130℃で5.5時間
加熱撹拌し、反応させた。
【0803】
反応後、この反応混合液にトルエン150mLを加え、この懸濁液をフロリジール、セ
ライトを通してろ過した。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー
(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1:4)による精製を行った。得られたフラクション
を濃縮し、アセトンとメタノールを加えて超音波をかけたのち、再結晶したところ、目的
物の白色粉末を収量1.8g、収率76%で得た。
【0804】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘ
キサン=1:10)は、目的物は0.35、9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニル
フルオレンは0.65、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3
−イル)−ジフェニルアミンは0.19だった。
【0805】
上記ステップ4で得られた化合物を核磁気共鳴法(NMR)により測定した。以下に測
定データを示す。また、H NMRチャートを図64に示す。測定結果から、上述の構
造式(424)で表される本発明のカルバゾール誘導体であるPCBBiFLP(略称)
が得られたことがわかった。 H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm
)=7.02 (d,J=8.7,2H), 7.12 (d,J=8.7,2H),
7.17−7.64 (m, 36H), 7.77 (d, J=6.9, 2H)。
【0806】
また、以下のとおり、PCBBiFLP(略称)について種々の物性を測定した。
【0807】
PCBBiFLP(略称)の吸収スペクトル(測定範囲200nm〜800nm)を測
定した。長波長側の吸収ピークは、トルエン溶液の場合では337nm付近に見られ、薄
膜の場合では339nm付近に見られた。PCBBiFLP(略称)の発光スペクトル(
測定範囲390nm〜550nm)を測定した。最大発光波長はトルエン溶液の場合では
395nm(励起波長343nm)、薄膜の場合では425nm(励起波長361nm)
であった。
【0808】
薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、PCBB
iFLP(略称)のHOMO準位は−5.53eVであった。薄膜の吸収スペクトルのT
aucプロットから吸収端は3.28eVであった。従って、固体状態のエネルギーギャ
ップは3.28eVと見積もられ、このことはPCBBiFLP(略称)のLUMO準位
が−2.25eVであることを意味する。
【0809】
PCBBiFLP(略称)の酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(CV)
測定によって調べた。測定方法は、実施例1と同様なので、説明を省略することとする。
実施例1と同様の計算により、PCBBiFLP(略称)のHOMO準位は、=−5.4
2[eV]であることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同様の値と
なった。このことから、酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示す
ことがわかった。
【0810】
PCBBiFLP(略称)のガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(DSC
)を用いて調べた。測定結果から、ガラス転移温度は156℃であった。このように、P
CBBiFLP(略称)は、高いガラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有することがわ
かった。また、結晶化を表すピークは存在せず、結晶化し難い物質であることが分かった
【0811】
なお、実施例5と同様に本実施例20で合成したPCBBiFLP(略称)を正孔輸送
層に用いて形成した発光素子の効率、、約1000cd/mにおける駆動電圧、および
信頼性は、実施例10においてPCBBiNB(略称)を正孔輸送層に用いて形成した発
光素子8と同等の良好な値が得られた(駆動電圧が4.4Vのとき、輝度1104cd/
、電流値は0.74mAであり、650時間駆動で初期輝度の75%の輝度を保って
いた)。
【0812】
なお、実施例5と同様に本実施例20で合成したPCBBiFLP(略称)を正孔輸送
層に用いて形成した発光素子の効率、、約1000cd/mにおける駆動電圧、および
信頼性は、実施例10においてPCBBiNB(略称)を正孔輸送層に用いて形成した発
光素子8と同等の良好な値が得られた(駆動電圧が4.0Vのとき、輝度1171cd/
、電流値は0.65mAであり、360時間駆動で初期輝度の74%の輝度を保って
いた)。
【実施例21】
【0813】
本実施例21では、構造式(343)で表される本発明のカルバゾール誘導体である4
−(1−ナフチル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−トリフ
ェニルアミン(略称:PCBANB)の実施例8とは異なる合成方法について具体的に説
明する。
【0814】
【化195】
[この文献は図面を表示できません]
【0815】
[ステップ1:1−(4−ブロモフェニル)−ナフタレンの合成]
【0816】
ステップ1における1−(4−ブロモフェニル)−ナフタレンの合成スキームを下記(
W−1)に示す。
【0817】
【化196】
[この文献は図面を表示できません]
【0818】
4−ブロモヨードベンゼンを46g(160mmol)、1−ナフタレンボロン酸を2
4g(140mmol)、酢酸パラジウム(II)を45mg(0.2mmol)、トリ
ス(o−トリル)ホスフィンを60mg(0.2mmol)、500mL三口フラスコへ
入れ、この混合物へ、トルエン100mL、エタノール20mL、2mol/L炭酸カリ
ウム水溶液11mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気したのち、窒素
雰囲気下、90℃で4時間加熱撹拌し、反応させた。
【0819】
反応後、この反応混合液にトルエン500mLを加え、この懸濁液をフロリジール、セ
ライトを通してろ過した。得られたろ液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を
取り除いた。この懸濁液をフロリジール、セライトを通してろ過してろ液を得た。得られ
たろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン)による精
製を行った。得られたフラクションを濃縮したところ、目的物の無色透明液体を収量25
g、収率62%で得た。
【0820】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 ヘキサン)は、
目的物は0.38、4−ブロモヨードベンゼンは0.57だった。
【0821】
[ステップ2:4−(1−ナフチル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3
−イル)−トリフェニルアミン(略称;PCBANB)の合成]
【0822】
ステップ2における4−(1−ナフチル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾー
ル−3−イル)−トリフェニルアミンの合成スキームを下記(W−2)に示す。
【0823】
【化197】
[この文献は図面を表示できません]
【0824】
1−(4−ブロモフェニル)−ナフタレンを2.8g(10mmol)、4−(9−フ
ェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−ジフェニルアミンを4.1g(10mmol
)、ナトリウム tert−ブトキシドを1.2g(12mmol)、ビス(ジベンジリ
デンアセトン)パラジウム(0)を11mg(0.02mmol)、100mL三口フラ
スコへ入れ、フラスコ内の雰囲気を窒素置換した。この混合物へ、脱水キシレン30mL
を加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気し、脱気後、トリ(tert−ブチ
ル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)0.1mL(0.06mmol)を加えた。
この混合物を、窒素雰囲気下、110℃で6時間加熱撹拌し、反応させた。
【0825】
反応後、この反応混合液にトルエン150mLを加え、この懸濁液をフロリジール、シ
リカゲル、セライトを通してろ過した。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1:4)による精製を行った。得られた
フラクションを濃縮し、アセトンとメタノールを加えて超音波をかけたのち、再結晶した
ところ、目的物の白色粉末を収量5.2g、収率85%で得た。
【0826】
なお、特に記載がない限り、上記本発明の実施例の各合成法に記載の、フロリジールは
和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135をいずれも用いており、セラ
イトは和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855をいずれも用いている
【符号の説明】
【0827】
101 基板
102 第1の電極
103 EL層
104 第2の電極
111 第1の層(正孔注入層)
112 第2の層(正孔輸送層)
113 第3の層(発光層)
114 第4の層(電子輸送層)
115 第5の層(電子注入層)
301 第1の電極
302 第2の電極
303 第1のEL層
304 第2のEL層
305 電荷発生層
401 駆動回路部(ソース側駆動回路)
402 画素部
404 封止基板
405 シール材
407 空間
408 引き回し配線
409 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
410 素子基板
411 スイッチング用TFT
412 電流制御用TFT
413 第1の電極
414 絶縁物
416 EL層
417 第2の電極
418 発光素子
423 Nチャネル型TFT
424 Pチャネル型TFT
501 基板
502 第1の電極
503 第2の電極
504 EL層
505 絶縁層
506 隔壁層
611 筐体
612 支持台
613 表示部
614 スピーカー部
615 ビデオ入力端子
621 本体
622 筐体
623 表示部
624 キーボード
625 外部接続ポート
626 ポインティングデバイス
631 本体
632 筐体
633 表示部
634 音声入力部
635 音声出力部
636 操作キー
637 外部接続ポート
638 アンテナ
641 本体
642 表示部
643 筐体
644 外部接続ポート
645 リモコン受信部
646 受像部
647 バッテリー
648 音声入力部
649 操作キー
650 接眼部
701 筐体
702 液晶層
703 バックライト
704 筐体
705 ドライバIC
706 端子
801 筐体
802 光源
901 照明装置
902 テレビ装置
1501 基板
1502 第1の電極
1503 EL層
1504 第2の電極
1511 第1の層
1512 第2の層
1513 第3の層
1514 第4の層
1515 第5の層
図1
[この文献は図面を表示できません]
図2
[この文献は図面を表示できません]
図3
[この文献は図面を表示できません]
図4
[この文献は図面を表示できません]
図5
[この文献は図面を表示できません]
図6
[この文献は図面を表示できません]
図7
[この文献は図面を表示できません]
図8
[この文献は図面を表示できません]
図9
[この文献は図面を表示できません]
図10
[この文献は図面を表示できません]
図11
[この文献は図面を表示できません]
図12
[この文献は図面を表示できません]
図13
[この文献は図面を表示できません]
図14
[この文献は図面を表示できません]
図15
[この文献は図面を表示できません]
図16
[この文献は図面を表示できません]
図17
[この文献は図面を表示できません]
図18
[この文献は図面を表示できません]
図19
[この文献は図面を表示できません]
図20
[この文献は図面を表示できません]
図21
[この文献は図面を表示できません]
図22
[この文献は図面を表示できません]
図23
[この文献は図面を表示できません]
図24
[この文献は図面を表示できません]
図25
[この文献は図面を表示できません]
図26
[この文献は図面を表示できません]
図27
[この文献は図面を表示できません]
図28
[この文献は図面を表示できません]
図29
[この文献は図面を表示できません]
図30
[この文献は図面を表示できません]
図31
[この文献は図面を表示できません]
図32
[この文献は図面を表示できません]
図33
[この文献は図面を表示できません]
図34
[この文献は図面を表示できません]
図35
[この文献は図面を表示できません]
図36
[この文献は図面を表示できません]
図37
[この文献は図面を表示できません]
図38
[この文献は図面を表示できません]
図39
[この文献は図面を表示できません]
図40
[この文献は図面を表示できません]
図41
[この文献は図面を表示できません]
図42
[この文献は図面を表示できません]
図43
[この文献は図面を表示できません]
図44
[この文献は図面を表示できません]
図45
[この文献は図面を表示できません]
図46
[この文献は図面を表示できません]
図47
[この文献は図面を表示できません]
図48
[この文献は図面を表示できません]
図49
[この文献は図面を表示できません]
図50
[この文献は図面を表示できません]
図51
[この文献は図面を表示できません]
図52
[この文献は図面を表示できません]
図53
[この文献は図面を表示できません]
図54
[この文献は図面を表示できません]
図55
[この文献は図面を表示できません]
図56
[この文献は図面を表示できません]
図57
[この文献は図面を表示できません]
図58
[この文献は図面を表示できません]
図59
[この文献は図面を表示できません]
図60
[この文献は図面を表示できません]
図61
[この文献は図面を表示できません]
図62
[この文献は図面を表示できません]
図63
[この文献は図面を表示できません]
図64
[この文献は図面を表示できません]