特許第6625790号(P6625790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6625790液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6625790
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20191216BHJP
   C08F 283/02 20060101ALI20191216BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20191216BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   G02F1/1339 505
   C08F283/02
   C08F290/06
   C09K3/10 B
   C09K3/10 E
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-532815(P2019-532815)
(86)(22)【出願日】2019年5月16日
(86)【国際出願番号】JP2019019515
【審査請求日】2019年8月8日
(31)【優先権主張番号】特願2018-100693(P2018-100693)
(32)【優先日】2018年5月25日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 秀幸
【審査官】 磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−178053(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/082000(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/065828(WO,A1)
【文献】 特開2003−105207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
C08F 2/44
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性樹脂と熱可塑性樹脂と重合開始剤とを含有し、
前記硬化性樹脂は、5員環以上の環状エーテル骨格を有する単官能(メタ)アクリル化合物と、多官能(メタ)アクリル化合物とを含み、
前記5員環以上の環状エーテル骨格は、テトラヒドロフラン骨格、1,3−ジオキサン骨格、1,4−ジオキサン骨格、1,2−オキサチオラン骨格、及び、モルホリン骨格からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記熱可塑性樹脂は、非結晶性ポリエステルである
ことを特徴とする液晶表示素子用シール剤。
【請求項2】
前記5員環以上の環状エーテル骨格を有する単官能(メタ)アクリル化合物と前記多官能(メタ)アクリル化合物との合計100重量部中における前記5員環以上の環状エーテル骨格を有する単官能(メタ)アクリル化合物の含有量が3重量部以上95重量部以下である請求項記載の液晶表示素子用シール剤。
【請求項3】
前記多官能(メタ)アクリル化合物は、ラクトンの開環構造を有する請求項1又は2記載の液晶表示素子用シール剤。
【請求項4】
前記硬化性樹脂と前記熱可塑性樹脂との合計100重量部中における前記熱可塑性樹脂の含有量が10重量部以上70重量部以下である請求項1、2又は3記載の液晶表示素子用シール剤。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4記載の液晶表示素子用シール剤と導電性微粒子とを含有する上下導通材料。
【請求項6】
請求項1、2、3若しくは4記載の液晶表示素子用シール剤又は請求項記載の上下導通材料を用いてなる液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル基板に対する接着性、透湿防止性、及び、低液晶汚染性に優れる液晶表示素子用シール剤に関する。また、本発明は、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示セル等の液晶表示素子の製造方法としては、タクトタイム短縮、使用液晶量の最適化といった観点から、特許文献1、特許文献2に開示されているような光熱併用硬化型のシール剤を用いた滴下工法と呼ばれる液晶滴下方式が用いられている。
滴下工法では、まず、2枚の電極付き透明基板の一方に、ディスペンスにより枠状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下し、すぐに他方の透明基板を貼り合わせ、シール部に紫外線等の光を照射して仮硬化を行う。その後、液晶アニール時に加熱して本硬化を行い、液晶表示素子を作製する。基板の貼り合わせを減圧下で行うようにすれば、極めて高い効率で液晶表示素子を製造することができ、現在この滴下工法が液晶表示素子の製造方法の主流となっている。
【0003】
従来、液晶表示素子の基板としては、主にガラス基板が用いられていたが、近年、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等を用いたフレキシブル基板が注目されている。しかしながら、従来のシール剤では、このようなフレキシブル基板を用いた場合に充分に接着させることができないという問題があった。また、近年、パネルを曲げてなる曲面ディスプレイが注目されているが、従来のシール剤では、基板を曲げた際にシール剤が追従できずに表示不良が生じやすいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−133794号公報
【特許文献2】特開平5−295087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、フレキシブル基板に対する接着性、透湿防止性、及び、低液晶汚染性に優れる液晶表示素子用シール剤に関する。また、本発明は、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、硬化性樹脂と熱可塑性樹脂と重合開始剤とを含有し、前記硬化性樹脂は、5員環以上の環状エーテル骨格を有する単官能(メタ)アクリル化合物と、多官能(メタ)アクリル化合物とを含み、前記5員環以上の環状エーテル骨格は、テトラヒドロフラン骨格、1,3−ジオキサン骨格、1,4−ジオキサン骨格、1,2−オキサチオラン骨格、及び、モルホリン骨格からなる群より選択される少なくとも1種であり、前記熱可塑性樹脂は、非結晶性ポリエステルである液晶表示素子用シール剤である。
以下に本発明を詳述する。
【0007】
本発明者は、液晶表示素子用シール剤をフレキシブル基板に対応させるため、シール剤に熱可塑性樹脂を配合することを検討した。しかしながら、得られたシール剤は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等で構成される基板に対してはある程度の接着性の向上の効果は見られたものの、特にポリイミド(PI)やトリアセチルセルロース(TAC)で構成される基板に対しては接着性が充分ではなかった。そこで本発明者は、更に、硬化性樹脂として特定の構造を有する単官能(メタ)アクリル化合物と多官能(メタ)アクリル化合物とを組み合わせて用いることを検討した。その結果、フレキシブル基板に対する接着性に優れる液晶表示素子用シール剤を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
また、本発明の液晶表示素子用シール剤は、透湿防止性及び低液晶汚染性にも優れるものとすることができる。
【0008】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、硬化性樹脂を含有する。
上記硬化性樹脂は、5員環以上の環状エーテル骨格を有する単官能(メタ)アクリル化合物(以下、「本発明にかかる単官能(メタ)アクリル化合物」ともいう)を含む。上記硬化性樹脂として本発明にかかる単官能(メタ)アクリル化合物を含み、かつ、後述する熱可塑性樹脂を含有することにより、本発明の液晶表示素子用シール剤は、フレキシブル基板に対する接着性に優れ、基板を曲げた際でも充分な接着力を保持できるものとなる。
なお、本明細書において上記「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味し、上記「(メタ)アクリル化合物」は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味し、上記「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。また、上記「単官能(メタ)アクリル化合物」は、1分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味し、上記「多官能(メタ)アクリル化合物」は、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味する。
【0009】
本発明にかかる単官能(メタ)アクリル化合物は、5員環以上の環状エーテル骨格(以下、単に「環状エーテル骨格」ともいう)を有する。上記環状エーテル骨格は、炭素数4以上の環状エーテル骨格であることが好ましい。上記環状エーテル骨格の炭素数の上限は特にないが、実質的な上限は6である。
【0010】
上記環状エーテル骨格は、テトラヒドロフラン骨格、1,3−ジオキサン骨格、1,4−ジオキサン骨格、1,2−オキサチオラン骨格、及び、モルホリン骨格からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0011】
本発明にかかる単官能(メタ)アクリル化合物は、上記環状エーテル骨格を1分子中に1個有するものであってもよいし、2個以上有するものであってもよいが、上記環状エーテル骨格を1分子中に1個有するものであることが好ましい。
また、本発明にかかる単官能(メタ)アクリル化合物は、上記環状エーテル骨格を分子鎖の末端に有することが好ましい。
【0012】
本発明にかかる単官能(メタ)アクリル化合物としては、具体的には例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、下記式(1)で表される化合物、5−エチル−5−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−1,3−ジオキサン等が挙げられる。
【0013】
【化1】
【0014】
式(1)中、nは、1以上6以下の整数である。
【0015】
本発明にかかる単官能(メタ)アクリル化合物と後述する多官能(メタ)アクリル化合物との合計100重量部中における本発明にかかる単官能(メタ)アクリル化合物の含有量の好ましい下限は3重量部、好ましい上限は95重量部である。本発明にかかる単官能(メタ)アクリル化合物の含有量が3重量部以上であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤がフレキシブル基板に対する接着性により優れるものとなる。本発明にかかる単官能(メタ)アクリル化合物の含有量が95重量部以下であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が透湿防止性及び低液晶汚染性により優れるものとなる。本発明にかかる単官能(メタ)アクリル化合物の含有量のより好ましい下限は8重量部、より好ましい上限は80重量部、更に好ましい下限は20重量部、更に好ましい上限は65重量部、特に好ましい上限は60重量部である。
【0016】
上記硬化性樹脂は、多官能(メタ)アクリル化合物を含む。上記多官能(メタ)アクリル化合物を含有することにより、本発明の液晶表示素子用シール剤は、透湿防止性及び低液晶汚染性に優れるものとなる。
【0017】
上記多官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物、多官能エポキシ(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、多官能エポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味し、上記「エポキシ(メタ)アクリレート」は、エポキシ化合物中の少なくとも1つのエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させた化合物のことを意味する。
【0018】
上記多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち2官能のものとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0019】
また、上記多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち3官能以上のものとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0020】
上記多官能エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、多官能エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られるもの等が挙げられる。
【0021】
上記多官能エポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノール型エポキシ化合物、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ化合物、レゾルシノール型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、スルフィド型エポキシ化合物、ジフェニルエーテル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、オルトクレゾールノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、アルキルポリオール型エポキシ化合物、ゴム変性型エポキシ化合物、グリシジルエステル化合物等が挙げられる。
【0022】
上記多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多官能イソシアネート化合物に対して水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を、触媒量のスズ系化合物存在下で反応させることによって得ることができる。
【0023】
上記多官能イソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
【0024】
また、上記多官能イソシアネート化合物としては、ポリオールと過剰の多官能イソシアネート化合物との反応により得られる鎖延長された多官能イソシアネート化合物も使用することができる。
上記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。
【0025】
上記水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、ヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレート、二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート、三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記二価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
上記三価のアルコールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシアクリレート等が挙げられる。
【0026】
また、上記多官能(メタ)アクリル化合物は、ラクトンの開環構造を有することが好ましい。上記多官能(メタ)アクリル化合物がラクトンの開環構造を有することにより、本発明の液晶表示素子用シール剤がフレキシブル基板に対する接着性により優れるものとなる。
【0027】
上記多官能(メタ)アクリル化合物がラクトンの開環構造を有する場合、該ラクトンとしては、例えば、γ−ウンデカラクトン、ε−カプロラクトン、γ−デカラクトン、σ−ドデカラクトン、γ−ノナラクトン、γ−ノナノラクトン、γ−バレロラクトン、σ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、β−プロピオラクトン、σ−ヘキサノラクトン、7−ブチル−2−オキセパノン等が挙げられる。なかでも、開環したときに主骨格の直鎖部分の炭素数が5〜7となるものが好ましく、ε−カプロラクトンがより好ましい。上記多官能(メタ)アクリル化合物は、これらのうち、1種のラクトンの開環構造を有していてもよいし、2種以上のラクトンの開環構造を有していてもよい。
【0028】
また、上記多官能(メタ)アクリル化合物がラクトンの開環構造を有する場合、該ラクトンの開環構造は、1分子中に1つのみであってもよいし、繰り返し構造となっていてもよい。上記ラクトンの開環構造が繰り返し構造となっている場合、繰り返し数の好ましい上限は5である。
【0029】
上記多官能(メタ)アクリル化合物のうち、ラクトンの開環構造を有するものとしては、上記多官能エポキシ(メタ)アクリレートの骨格中にラクトンの開環構造を導入したものが好ましく、カプロラクトン変性エポキシ(メタ)アクリレートがより好ましく、カプロラクトン変性ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレートが更に好ましい。
【0030】
上記多官能(メタ)アクリル化合物は、単独で用いてられもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0031】
上記多官能(メタ)アクリル化合物の重量平均分子量の好ましい下限は800、好ましい上限は2000である。上記多官能(メタ)アクリル化合物の重量平均分子量がこの範囲にあることにより、得られる液晶表示素子用シール剤がフレキシブル基板に対する接着性、塗布性、及び、透湿防止性により優れるものとなる。
なお、本明細書において、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で溶媒としてテトラヒドロフランを用いて測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による数平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF−804(昭和電工社製)等が挙げられる。
【0032】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、本発明の目的を阻害しない範囲において、本発明にかかる単官能(メタ)アクリル化合物及び上記多官能(メタ)アクリル化合物に加えて、他の硬化性樹脂を含有してもよい。
上記他の硬化性樹脂としては、例えば、本発明にかかる単官能(メタ)アクリル化合物以外の他の単官能(メタ)アクリル化合物や、エポキシ化合物等が挙げられる。
【0033】
上記他の単官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物、単官能(メタ)アクリルアミド化合物等が挙げられる。
【0034】
上記単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0035】
上記単官能(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、ジエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0036】
上記他の硬化性樹脂であるエポキシ化合物としては、上記多官能エポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ化合物と同様のものが挙げられる。
【0037】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、熱可塑性樹脂を含有する。
上記硬化性樹脂として本発明にかかる単官能(メタ)アクリル化合物を含み、かつ、上記熱可塑性樹脂を用いることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤は、フレキシブル基板に対する接着性に優れ、基板を曲げた際でも充分な接着力を保持できるものとなる。
【0038】
上記熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度(以下、「Tg」ともいう)が30℃以下であることが好ましい。上記熱可塑性樹脂のTgが30℃以下であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤がフレキシブル基板に対する接着性により優れるものとなる。上記熱可塑性樹脂のTgのより好ましい上限は、25℃、更に好ましい上限は21℃、更により好ましい上限は10℃、特に好ましい上限は7℃、最も好ましい上限は4℃である。
また、上記熱可塑性樹脂のTgの好ましい下限は−30℃である。
なお、本明細書において、上記ガラス転移温度は、JIS K 7121の「プラスチックスの転移温度測定方法」に基づいた示差走査熱量測定(DSC)により測定される値を意味する。
【0039】
上記熱可塑性樹脂の重量平均分子量の好ましい下限は5000、好ましい上限は10万である。上記熱可塑性樹脂の重量平均分子量が5000以上であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が透湿防止性により優れるものとなる。上記熱可塑性樹脂の重量平均分子量が10万以下であることより、得られる液晶表示素子用シール剤が塗布性及びフレキシブル基板に対する接着性により優れるものとなる。上記熱可塑性樹脂の重量平均分子量のより好ましい下限は2万、より好ましい上限は8万である。
【0040】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、MBS樹脂、アニオン/スチレン共重合体、スチレン/メチル(メタ)アクリレート共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、フェノキシ樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸エチル/無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂としては、なかでも、ポリエステル、(メタ)アクリル樹脂が好ましく、ポリエステルがより好ましく、共重合ポリエステルが更に好ましく、飽和ポリエステル樹脂、飽和共重合ポリエステル樹脂が特に好ましい。
これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が組み合わせて用られてもよい。
【0041】
上記熱可塑性樹脂は、得られる液晶表示素子用シール剤の硬化物が、柔軟性及び強靭性により優れるものとなるため、非結晶性樹脂であることが好ましく、得られる液晶表示素子用シール剤がフレキシブル基板に対する接着性により優れるものとなることから、非結晶性ポリエステルであることがより好ましい。
上記非結晶性ポリエステルのうち市販されているものとしては、例えば、バイロン300(Tg7℃、重量平均分子量約55000)、バイロン500(Tg4℃、重量平均分子量約55000)、バイロン550(Tg−15℃、重量平均分子量約60000)、バイロン560(Tg7℃、重量平均分子量約40000)、バイロン630(Tg7℃、重量平均分子量約55000)、バイロン650(Tg10℃、重量平均分子量約55000)、バイロン670(Tg7℃、重量平均分子量約80000)(いずれも東洋紡績社製)等が挙げられる。
なお、本明細書において、上記「非結晶性」とは、JIS K 7121の「プラスチックスの転移温度測定方法」に基づいた示差走査熱量測定(DSC)により明確な融点ピークが認められないことを意味する。
【0042】
上記硬化性樹脂と上記記熱可塑性樹脂との合計100重量部中における上記熱可塑性樹脂の含有量の好ましい下限は10重量部、好ましい上限は70重量部である。上記熱可塑性樹脂の含有量が10重量部以上であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤がフレキシブル基板に対する接着性により優れるものとなる。上記熱可塑性樹脂の含有量が70重量部以下であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が塗布性及び透湿防止性により優れるものとなる。上記熱可塑性樹脂の含有量のより好ましい下限は20重量部、より好ましい上限は60重量部である。
【0043】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、重合開始剤を含有する。
上記重合開始剤としては、例えば、光照射によりラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤や、加熱によりラジカルを発生する熱ラジカル重合開始剤等が挙げられる。
【0044】
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、チオキサントン等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、具体的には例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン、1,2−(ジメチルアミノ)−2−((4−メチルフェニル)メチル)−1−(4−(4−モルホリニル)フェニル)−1−ブタノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−(フェニルチオ)フェニル)−1,2−オクタンジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0045】
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物や有機過酸化物等で構成されるものが挙げられる。なかでも、液晶汚染を抑制する観点から、アゾ化合物で構成される開始剤(以下、「アゾ開始剤」ともいう)が好ましく、高分子アゾ化合物で構成される開始剤(以下、「高分子アゾ開始剤」ともいう)がより好ましい。
上記熱ラジカル重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
なお、本明細書において上記「高分子アゾ化合物」とは、アゾ基を有し、熱によって(メタ)アクリロイル基を硬化させることができるラジカルを生成する、数平均分子量が300以上の化合物を意味する。
【0046】
上記高分子アゾ化合物の数平均分子量の好ましい下限は1000、好ましい上限は30万である。上記高分子アゾ化合物の数平均分子量がこの範囲であることにより、液晶への悪影響を防止しつつ、硬化性樹脂へ容易に混合することができる。上記高分子アゾ化合物の数平均分子量のより好ましい下限は5000、より好ましい上限は10万であり、更に好ましい下限は1万、更に好ましい上限は9万である。
なお、本明細書において、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で溶媒としてテトラヒドロフランを用いて測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による数平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF−804(昭和電工社製)等が挙げられる。
【0047】
上記高分子アゾ化合物としては、例えば、アゾ基を介してポリアルキレンオキサイドやポリジメチルシロキサン等のユニットが複数結合した構造を有するものが挙げられる。
上記アゾ基を介してポリアルキレンオキサイド等のユニットが複数結合した構造を有する高分子アゾ化合物としては、ポリエチレンオキサイド構造を有するものが好ましい。
上記高分子アゾ化合物としては、具体的には例えば、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)とポリアルキレングリコールの重縮合物や、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)と末端アミノ基を有するポリジメチルシロキサンの重縮合物等が挙げられる。
上記高分子アゾ開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、VPE−0201、VPE−0401、VPE−0601、VPS−0501、VPS−1001(いずれも富士フイルム和光純薬社製)等が挙げられる。
また、高分子ではないアゾ開始剤としては、例えば、V−65、V−501(いずれも富士フイルム和光純薬社製)等が挙げられる。
【0048】
上記有機過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0049】
上記重合開始剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が10重量部である。上記重合開始剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が液晶汚染を抑制しつつ、保存安定性や硬化性により優れるものとなる。上記重合開始剤の含有量のより好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0050】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、熱硬化剤を含有してもよい。
上記熱硬化剤としては、例えば、有機酸ヒドラジド、イミダゾール誘導体、アミン化合物、多価フェノール系化合物、酸無水物等が挙げられる。なかでも、有機酸ヒドラジドが好適に用いられる。
上記熱硬化剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0051】
上記有機酸ヒドラジドとしては、例えば、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド等が挙げられる。
上記有機酸ヒドラジドのうち市販されているものとしては、例えば、大塚化学社製の有機酸ヒドラジド、味の素ファインテクノ社製の有機酸ヒドラジド等が挙げられる。
上記大塚化学社製の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、SDH、ADH等が挙げられる。
上記味の素ファインテクノ社製の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、アミキュアVDH、アミキュアVDH−J、アミキュアUDH、アミキュアUDH−J等が挙げられる。
【0052】
上記熱硬化剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が50重量部である。上記熱硬化剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤の塗布性等を悪化させることなく、熱硬化性により優れるものとすることができる。上記熱硬化剤の含有量のより好ましい上限は30重量部である。
【0053】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、粘度の向上、応力分散効果による更なる接着性の向上、線膨張率の改善、硬化物の耐湿性の向上等を目的として充填剤を含有することが好ましい。
【0054】
上記充填剤としては、無機充填剤や有機充填剤を用いることができる。
上記無機充填剤としては、例えば、シリカ、タルク、ガラスビーズ、石綿、石膏、珪藻土、スメクタイト、ベントナイト、モンモリロナイト、セリサイト、活性白土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、硫酸バリウム、珪酸カルシウム等が挙げられる。
上記有機充填剤としては、例えば、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ビニル重合体微粒子、アクリル重合体微粒子等が挙げられる。
上記充填剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0055】
本発明の液晶表示素子用シール剤100重量部中における上記充填剤の含有量の好ましい下限は10重量部、好ましい上限は70重量部である。上記充填剤の含有量がこの範囲であることにより、塗布性等を悪化させることなく、接着性の改善等の効果により優れるものとなる。上記充填剤の含有量のより好ましい下限は20重量部、より好ましい上限は60重量部である。
【0056】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、シランカップリング剤を含有してもよい。上記シランカップリング剤は、主にシール剤と基板等とを良好に接着するための接着助剤としての役割を有する。
【0057】
上記シランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が好適に用いられる。これらは、基板等との接着性を向上させる効果に優れ、硬化性樹脂と化学結合することにより液晶中への硬化性樹脂の流出を抑制することができる。
上記シランカップリング剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0058】
本発明の液晶表示素子用シール剤100重量部中における上記シランカップリング剤の含有量の好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は10重量部である。上記シランカップリング剤の含有量がこの範囲であることにより、液晶汚染の発生を抑制しつつ、接着性を向上させる効果により優れるものとなる。上記シランカップリング剤の含有量のより好ましい下限は0.3重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0059】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、遮光剤を含有してもよい。上記遮光剤を含有することにより、本発明の液晶表示素子用シール剤は、遮光シール剤として好適に用いることができる。
【0060】
上記遮光剤としては、例えば、酸化鉄、チタンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、フラーレン、カーボンブラック、樹脂被覆型カーボンブラック等が挙げられる。なかでも、チタンブラックが好ましい。
【0061】
上記チタンブラックは、波長300nm以上800nm以下の光に対する平均透過率と比較して、紫外線領域付近、特に波長370nm以上450nm以下の光に対する透過率が高くなる物質である。即ち、上記チタンブラックは、可視光領域の波長の光を充分に遮蔽することで本発明の液晶表示素子用シール剤に遮光性を付与する一方、紫外線領域付近の波長の光は透過させる性質を有する遮光剤である。従って、上記光ラジカル重合開始剤又は上記光カチオン重合開始剤として、上記チタンブラックの透過率の高くなる波長(370nm以上450nm以下)の光によって反応を開始可能なものを用いることで、本発明の液晶表示素子用シール剤の光硬化性をより増大させることができる。また一方で、本発明の液晶表示素子用シール剤に含有される遮光剤としては、絶縁性の高い物質が好ましく、絶縁性の高い遮光剤としてもチタンブラックが好適である。
上記チタンブラックは、1μmあたりの光学濃度(OD値)が、3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。上記チタンブラックの遮光性は高ければ高いほどよく、上記チタンブラックのOD値に好ましい上限は特にないが、通常は5以下となる。
【0062】
上記チタンブラックは、表面処理されていないものでも充分な効果を発揮するが、表面がカップリング剤等の有機成分で処理されているものや、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の無機成分で被覆されているもの等、表面処理されたチタンブラックを用いることもできる。なかでも、有機成分で処理されているものは、より絶縁性を向上できる点で好ましい。
また、遮光剤として上記チタンブラックを配合した本発明の液晶表示素子用シール剤を用いて製造した液晶表示素子は、充分な遮光性を有するため、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができる。
【0063】
上記チタンブラックのうち市販されているものとしては、例えば、三菱マテリアル社製のチタンブラック、赤穂化成社製のチタンブラック等が挙げられる。
上記三菱マテリアル社製のチタンブラックとしては、例えば、12S、13M、13M−C、13R−N、14M−C等が挙げられる。
上記赤穂化成社製のチタンブラックとしては、例えば、ティラックD等が挙げられる。
【0064】
上記チタンブラックの比表面積の好ましい下限は13m/g、好ましい上限は30m/gであり、より好ましい下限は15m/g、より好ましい上限は25m/gである。
また、上記チタンブラックの体積抵抗の好ましい下限は0.5Ω・cm、好ましい上限は3Ω・cmであり、より好ましい下限は1Ω・cm、より好ましい上限は2.5Ω・cmである。
【0065】
上記遮光剤の一次粒子径は、液晶表示素子の基板間の距離以下であれば特に限定されないが、好ましい下限は1nm、好ましい上限は5000nmである。上記遮光剤の一次粒子径がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤の塗布性等を悪化させることなく遮光性により優れるものとすることができる。上記遮光剤の一次粒子径のより好ましい下限は5nm、より好ましい上限は200nm、更に好ましい下限は10nm、更に好ましい上限は100nmである。
なお、上記遮光剤の一次粒子径は、NICOMP 380ZLS(PARTICLE SIZING SYSTEMS社製)を用いて、上記遮光剤を溶媒(水、有機溶媒等)に分散させて測定することができる。
【0066】
本発明の液晶表示素子用シール剤100重量部中における上記遮光剤の含有量の好ましい下限は5重量部、好ましい上限は80重量部である。上記遮光剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤の接着性、硬化後の強度、及び、描画性を大きく低下させることなく、より優れた遮光性を発揮することができる。上記遮光剤の含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は70重量部であり、更に好ましい下限は30重量部、更に好ましい上限は60重量部である。
【0067】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、更に、必要に応じて、応力緩和剤、反応性希釈剤、揺変剤、スペーサー、硬化促進剤、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤等の添加剤を含有してもよい。
【0068】
本発明の液晶表示素子用シール剤を製造する方法としては、例えば、混合機を用いて、硬化性樹脂と、熱可塑性樹脂と、重合開始剤と、必要に応じて用いられるシランカップリング剤等の添加剤とを混合する方法等が挙げられる。上記混合機としては、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等が挙げられる。
【0069】
本発明の液晶表示素子用シール剤に、導電性微粒子を配合することにより、上下導通材料を製造することができる。本発明の液晶表示素子用シール剤と導電性微粒子とを含有する上下導通材料もまた、本発明の1つである。
【0070】
上記導電性微粒子としては、金属ボール、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したもの等を用いることができる。なかでも、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したものは、樹脂微粒子の優れた弾性により、透明基板等を損傷することなく導電接続が可能であることから好適である。
【0071】
本発明の液晶表示素子用シール剤又は本発明の上下導通材料を用いてなる液晶表示素子もまた、本発明の1つである。
【0072】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、液晶滴下工法による液晶表示素子の製造に好適に用いることができる。液晶滴下工法によって本発明の液晶表示素子を製造する方法としては、例えば、以下の方法等が挙げられる。
まず、基板に本発明の液晶表示素子用シール剤をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により塗布し、枠状のシールパターンを形成する工程を行う。次いで、本発明の液晶表示素子用シール剤等が未硬化の状態で液晶の微小滴をシールパターンの枠内全面に滴下塗布し、すぐに別の基板を重ね合わせる工程を行う。その後、シールパターン部分に紫外線等の光を照射してシール剤を光硬化させる工程を行う方法により、液晶表示素子を得ることができる。また、シール剤を光硬化させる工程に加えてシール剤を加熱して硬化させる工程を行ってもよい。
【0073】
上記基板としては、フレキシブル基板が好適である。
上記フレキシブル基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン等で構成される基板が挙げられる。本発明の液晶表示素子用シール剤は、特に、ポリイミド(PI)やトリアセチルセルロース(TAC)で構成されるフレキシブル基板に対しても優れた接着性を有する。
また、本発明の液晶表示素子用シール剤は、通常のガラス基板を接着する際に用いられてもよい。
上記基板には、通常、酸化インジウム等で構成される透明電極、ポリイミド等で構成される配向膜、無機質イオン遮蔽膜等が形成される。
【発明の効果】
【0074】
本発明によれば、フレキシブル基板に対する接着性、透湿防止性、及び、低液晶汚染性に優れる液晶表示素子用シール剤を提供することができる。また、本発明によれば、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0075】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0076】
(実施例1〜13、比較例1〜4)
表1、2に記載された配合比に従い、各材料を遊星式撹拌機(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより実施例1〜13及び比較例1〜4の液晶表示素子用シール剤を調製した。
【0077】
<評価>
実施例及び比較例で得られた液晶表示素子用シール剤について以下の評価を行った。結果を表1、2に示した。
【0078】
(PET基板に対する接着性)
25mm×60mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(リンテック社製、「PET5011」)に、実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤を25mmの幅で、厚み40μmとなるように塗布して試験片を作製した。得られた試験片について、引張試験機(島津製作所社製、「EZ Graph」)を用いて、25℃、剥離速度300mm/minの条件で180度剥離強度を測定した。
180度剥離強度が10N/cm以上であったものを「◎」、5N/cm以上10N/cm未満であったものを「○」、2N/cm以上5N/cm未満であったものを「△」、2N/cm未満であったものを「×」としてPET基板に対する接着性を評価した。
【0079】
(TAC基板に対する接着性)
25mm×60mmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フイルム社製、「TD80UL」)に、実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤を25mmの幅で、厚み40μmとなるように塗布して試験片を作製した。得られた試験片について、引張試験機(島津製作所社製、「EZ Graph」)を用いて、25℃、剥離速度300mm/minの条件で180度剥離強度を測定した。
180度剥離強度が10N/cm以上であったものを「◎」、5N/cm以上10N/cm未満であったものを「○」、2N/cm以上5N/cm未満であったものを「△」、2N/cm未満であったものを「×」としてTAC基板に対する接着性を評価した。
【0080】
(透湿防止性)
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤を、平滑な離型フィルム上にコーターを用いて厚さ200〜300μmとなるように塗布した。次いで、メタルハライドランプを用いて100mW/cmの紫外線を30秒照射することによって透湿度測定用フィルムを得た。JIS Z 0208の防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)に準じた方法で透湿度試験用カップを作製し、得られた透湿度測定用フィルムを取り付け、60℃、90%RHの恒温恒湿オーブンに投入して透湿度を測定した。得られた透湿度の値が、500g/m・24hr未満であった場合を「○」、500g/m・24hr以上800g/m・24hr未満であった場合を「△」、800g/m・24hr以上であった場合を「×」として透湿防止性を評価した。
【0081】
(低液晶汚染性)
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤100重量部にスペーサー微粒子(積水化学工業社製、「ミクロパールSI−H050」)1重量部を分散させた。次いで、スペーサー微粒子を分散させたシール剤をディスペンス用のシリンジ(武蔵エンジニアリング社製、「PSY−10E」)に充填し、脱泡処理を行った。脱泡処理後のシール剤をディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製、「SHOTMASTER300」)にて、2枚のラビング済み配向膜及び透明電極付きのTACフィルム(富士フイルム社製、「TD80UL」)の一方に線幅が1mmになるように塗布した。
続いて液晶(チッソ社製、「JC−5004LA」)の微小滴をTACフィルムのシール剤の枠内全面に滴下塗布し、すぐにもう一方のTACフィルムを貼り合わせた。その後、シール剤部分にメタルハライドランプを用いて100mW/cmの紫外線を30秒照射して液晶表示素子を得た。
得られた液晶表示素子について、60℃、90%RHの環境下で24時間電圧印加状態とした後のシール剤付近の液晶配向乱れ(表示むら)を目視にて確認した。
液晶表示素子に表示むらが全く見られなかった場合を「○」、液晶表示素子のシール剤付近(周辺部)に表示むらが見えた場合を「△」、表示むらが周辺部のみではなく、中央部まで広がっていた場合を「×」として低液晶汚染性を評価した。
なお、評価が「○」の液晶表示素子は実用に全く問題のないレベルであり、「△」の液晶表示素子は表示設計によっては問題になる可能性があるレベルであり、「×」の液晶表示素子は実用に耐えないレベルである。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明によれば、フレキシブル基板に対する接着性、透湿防止性、及び、低液晶汚染性に優れる液晶表示素子用シール剤を提供することができる。また、本発明によれば、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。
【要約】
本発明は、フレキシブル基板に対する接着性、透湿防止性、及び、低液晶汚染性に優れる液晶表示素子用シール剤を提供することを目的とする。また、本発明は、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することを目的とする。
本発明は、硬化性樹脂と熱可塑性樹脂と重合開始剤とを含有し、前記硬化性樹脂は、5員環以上の環状エーテル骨格を有する単官能(メタ)アクリル化合物と、多官能(メタ)アクリル化合物とを含む液晶表示素子用シール剤である。