特許第6625796号(P6625796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6625796
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20191216BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20191216BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20191216BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20191216BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20191216BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20191216BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   G09F9/30 338
   H01L29/78 618B
   H01L29/78 612Z
   H05B33/14 A
   H05B33/14 Z
   H05B33/28
   H05B33/22 Z
   G09F9/30 365
【請求項の数】7
【全頁数】75
(21)【出願番号】特願2014-215894(P2014-215894)
(22)【出願日】2014年10月23日
(65)【公開番号】特開2015-179248(P2015-179248A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2017年10月23日
(31)【優先権主張番号】特願2013-222621(P2013-222621)
(32)【優先日】2013年10月25日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-38157(P2014-38157)
(32)【優先日】2014年2月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】三宅 博之
【審査官】 中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/115050(WO,A1)
【文献】 特開2013−130615(JP,A)
【文献】 特開2013−156281(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0138932(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0152217(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 − 9/46
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/00−33/28
H01L 21/336
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物半導体膜を有するトランジスタと、
第1の電極及び第2の電極を有する容量素子と、
前記トランジスタ上に設けられた無機絶縁膜と、記無機絶縁膜上に接して設けられた有機絶縁膜と、前記有機絶縁膜上に設けられた発光素子と、を有し、
前記酸化物半導体膜は、Inと、Gaと、Znと、を有し、
前記酸化物半導体膜のCAAC化率は、50%以上であり、
前記第1の電極は、前記無機絶縁膜に接して設けられた金属酸化物膜であり、
前記第2の電極は、前記無機絶縁膜上に設けられた、透光性を有する第1の導電膜であり、
前記発光素子が有する画素電極は、透光性を有する第2の導電膜であり、且つ前記無機絶縁膜及び前記有機絶縁膜に設けられた開口部において前記トランジスタと電気的に接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
酸化物半導体膜を有するトランジスタと、
第1の電極及び第2の電極を有する容量素子と、
前記トランジスタ上に設けられた無機絶縁膜と、記無機絶縁膜上に接して設けられた有機絶縁膜と、前記有機絶縁膜上に設けられた発光素子と、を有し、
前記酸化物半導体膜は、Inと、Gaと、Znと、を有し、
前記酸化物半導体膜のCAAC化率は、50%以上であり、
前記第1の電極は、前記無機絶縁膜に接して設けられた金属酸化物膜であり、
前記第2の電極は、前記無機絶縁膜上に設けられ、且つ前記トランジスタに電気的に接続された、透光性を有する第1の導電膜であり、
前記発光素子が有する画素電極は、透光性を有する第2の導電膜であり、且つ前記無機絶縁膜及び前記有機絶縁膜に設けられた開口部において前記トランジスタと電気的に接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
酸化物半導体膜を有するトランジスタと、
第1の電極及び第2の電極を有する容量素子と、
前記トランジスタ上に設けられた無機絶縁膜と、記無機絶縁膜上に接して設けられた有機絶縁膜と、前記有機絶縁膜上に設けられた発光素子と、を有し、
前記酸化物半導体膜は、Inと、Gaと、Znと、を有し、
前記酸化物半導体膜のCAAC化率は、50%以上であり、
前記第1の電極は、前記無機絶縁膜に接して設けられ、且つ前記トランジスタに電気的に接続された金属酸化物膜であり、
前記第2の電極は、前記無機絶縁膜上に設けられた、透光性を有する第1の導電膜であり、
前記発光素子が有する画素電極は、透光性を有する第2の導電膜であり、且つ前記無機絶縁膜及び前記有機絶縁膜に設けられた開口部において前記トランジスタと電気的に接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一において、
前記無機絶縁膜は、前記酸化物半導体膜に接する酸化物絶縁膜と、
前記酸化物絶縁膜に接する窒化物絶縁膜と、を有することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記金属酸化物膜は、前記窒化物絶縁膜に接して設けられ、且つ前記酸化物半導体膜と同じ金属元素を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一において、
前記酸化物半導体膜と前記金属酸化物膜とは、同層に設けられた膜であることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一において、
前記酸化物半導体膜のCAAC化率は、80%以上であることを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特に、本発明は、例えば、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法に関する。特に、本発明は、酸化物半導体を有する半導体装置、表示装置、及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や発光表示装置に代表されるフラットパネルディスプレイの多くに用いられているトランジスタは、ガラス基板上に形成されたアモルファスシリコン、単結晶シリコンまたは多結晶シリコンなどのシリコン半導体によって構成されている。また、該シリコン半導体を用いたトランジスタは、集積回路(IC)などにも利用されている。
【0003】
近年、シリコン半導体に代わって、半導体特性を示す金属酸化物をトランジスタに用いる技術が注目されている。なお、本明細書中では、半導体特性を示す金属酸化物を酸化物半導体とよぶことにする。
【0004】
例えば、酸化物半導体として、酸化亜鉛、またはIn−Ga−Zn系酸化物を用いたトランジスタを作製し、該トランジスタを表示装置の画素のスイッチング素子などに用いる技術が開示されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−123861号公報
【特許文献2】特開2007−96055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
表示装置の品質を向上するには、表示そのものの品質(表示品質)の向上、及び消費電力の低減を図ることが有効である。
【0007】
酸化物半導体膜を有するトランジスタにおいて、経時変化やストレス試験により、トランジスタの電気特性、代表的にはしきい値電圧が変動するという問題がある。また、トランジスタがノーマリーオン特性を有すると、動作時に動作不良が発生し、例えば、非動作時の消費電力の増大、または表示装置においてはコントラストの低下等の、様々な問題が生じるため、表示品質の向上が達成できない。
【0008】
また消費電力を低減するためには、開口率の向上を図ることが有効である。そのためには素子の微細化を図り、開口部の面積を大きくすることが有効である。しかしながら、容量素子の容量値を小さくするほど、電荷の保持が十分図れず、表示品質が低下する。そのため容量値を小さくして開口率の向上を図るには限界がある。
【0009】
そこで、本発明の一態様は、表示品質の優れた表示装置を提供する。または、本発明の一態様は、開口率が高く、且つ容量値を増大させることが可能な容量素子を有する表示装置を提供する。または、本発明の一態様は、消費電力が低減された表示装置を提供する。または、本発明の一態様は、電気特性の優れたトランジスタを有する表示装置を提供する。または、本発明の一態様は、新規な表示装置を提供する。または、本発明の一態様は、少ない工程数で、高開口率であり、広い視野角が得られる表示装置の作製方法を提供する。または、本発明の一態様は、新規な表示装置の作製方法を提供する。
【0010】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、酸化物半導体膜を有するトランジスタと、第1の電極及び第2の電極を有する容量素子と、トランジスタ上に設けられた無機絶縁膜、該無機絶縁膜上に接して設けられた有機絶縁膜上に形成された発光素子と、を有し、第1の電極は、無機絶縁膜に接して設けられた金属酸化物膜であり、第2の電極は、無機絶縁膜上に設けられた、透光性を有する第1の導電膜であり、発光素子が有する画素電極は、透光性を有する第2の導電膜であり、且つ無機絶縁膜及び有機絶縁膜に設けられた開口部においてトランジスタと電気的に接続されている表示装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様により、表示品質の優れた表示装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、開口率が高く、且つ容量値を増大させることが可能な容量素子を有する表示装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、消費電力が低減された表示装置を提供することができる。本発明の一態様により、電気特性の優れたトランジスタを有する表示装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、少ない工程数で、高開口率であり、広い視野角が得られる表示装置を作製することができる。または、本発明の一態様により、新規な表示装置を提供することができる。
【0013】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図2】半導体装置の一形態を説明するブロック図及び回路図である。
図3】半導体装置の一形態を説明する上面図である。
図4】半導体装置の一形態を説明する回路図及びタイミングチャート図である。
図5】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図6】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図7】半導体装置の作製方法の一形態を説明する断面図である。
図8】半導体装置の作製方法の一形態を説明する断面図である。
図9】半導体装置の作製方法の一形態を説明する断面図である。
図10】半導体装置の作製方法の一形態を説明する断面図である。
図11】半導体装置の作製方法の一形態を説明する断面図である。
図12】半導体装置の作製方法の一形態を説明する断面図である。
図13】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図14】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図15】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図16】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図17】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図18】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図19】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図20】酸化物半導体の断面TEM像および局所的なフーリエ変換像。
図21】酸化物半導体膜のナノビーム電子回折パターンを示す図、および透過電子回折測定装置の一例を示す図。
図22】透過電子回折測定による構造解析の一例を示す図、および平面TEM像。
図23】表示装置の駆動方法の一例を示す概念図である。
図24】画素の構成例を示すブロック図である。
図25】表示モジュールを説明する図である。
図26】実施の形態に係る、電子機器の外観図を説明する図である。
図27】実施の形態に係る、電子機器の外観図を説明する図である。
図28】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図29】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図30】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図31】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図32】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図33】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図34】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図35】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図36】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図37】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図38】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図39】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図40】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図41】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図42】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図43】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図44】半導体装置の一形態を説明する断面図である。
図45】抵抗率の温度依存性を説明する図である。
図46】CAAC−OSの成膜モデルを説明する模式図、ペレットおよびCAAC−OSの断面図。
図47】nc−OSの成膜モデルを説明する模式図、およびペレットを示す図。
図48】ペレットを説明する図。
図49】被形成面においてペレットに加わる力を説明する図。
図50】被形成面におけるペレットの動きを説明する図。
図51】InGaZnOの結晶を説明する図。
図52】原子が衝突する前のInGaZnOの構造などを説明する図。
図53】原子が衝突した後のInGaZnOの構造などを説明する図。
図54】原子が衝突した後の原子の軌跡を説明する図。
図55】CAAC−OSおよびターゲットの断面HAADF−STEM像。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同じ物を指し示す符号は異なる図面間において共通とする。
【0016】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。例えば、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、又は、タイミングのずれによる信号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
【0017】
また本明細書等において、トランジスタとは、ゲート(ゲート端子又はゲート電極)と、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域又はドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域又はソース電極)の間にチャネル領域を有しており、ドレインとチャネル領域とソースとを介して電流を流すことができるものである。
【0018】
ここで、ソースとドレインとは、トランジスタの構造又は動作条件等によって変わるため、いずれがソース又はドレインであるかを限定することが困難である。そこで、ソースとして機能する部分、及びドレインとして機能する部分を、ソース又はドレインと呼ばず、ソースとドレインとの一方を第1端子と表記し、ソースとドレインとの他方を第2端子と表記する場合がある。
【0019】
なお本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0020】
なお本明細書において、AとBとが接続されている、とは、AとBとが直接接続されているものの他、電気的に接続されているものを含むものとする。ここで、AとBとが電気的に接続されているとは、AとBとの間で、何らかの電気的作用を有する対象物が存在するとき、AとBとの電気信号の授受を可能とするものをいう。
【0021】
なお本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0022】
なお図面における各回路ブロックの配置は、説明のため位置関係を特定するものであり、異なる回路ブロックで別々の機能を実現するよう図面で示していても、実際の回路や領域では、同じ回路や同じ領域内で別々の機能を実現しうるように設けられている場合もある。また図面における各回路ブロックの機能は、説明のため機能を特定するものであり、一つの回路ブロックとして示していても、実際の回路や領域では、一つの回路ブロックで行う処理を複数の回路ブロックで行うよう設けられている場合もある。
【0023】
なお電圧とは、ある電位と、基準電位(例えばグラウンド電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧、電位、電位差を、各々、電位、電圧、電圧差と言い換えることが可能である。なお電圧とは2点間における電位差のことをいい、電位とはある一点における静電場の中にある単位電荷が持つ静電エネルギー(電気的な位置エネルギー)のことをいう。
【0024】
なお、一般に、電位や電圧は、相対的なものである。したがって、グラウンド電位は、必ずしも、0ボルトであるとは限定されない。
【0025】
また本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。
【0026】
また本明細書等において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
【0027】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置について、図面を用いて説明する。
【0028】
図1(A)に、半導体装置が有するトランジスタ103及び容量素子105の断面図を示す。
【0029】
図1(A)に示すトランジスタ103は、基板302上に設けられるゲート電極として機能する導電膜304cと、基板302及び導電膜304c上に形成されるゲート絶縁膜51と、ゲート絶縁膜51を介して、導電膜304cと重なる酸化物半導体膜308bと、酸化物半導体膜308bに接する、ソース電極及びドレイン電極として機能する一対の導電膜310d、310eとを有する。
【0030】
また、ゲート絶縁膜51上には、金属酸化物膜308cが設けられる。なお、金属酸化物膜308cは、導電膜310d、310eと同層に設けられる導電膜310fと接続する。また、トランジスタ103及び金属酸化物膜308c上には無機絶縁膜53が設けられる。無機絶縁膜53上には導電膜316bが設けられる。金属酸化物膜308c、無機絶縁膜53、及び導電膜316bにより容量素子105が構成される。
【0031】
また、無機絶縁膜53及び導電膜316b上には、有機絶縁膜317が設けられる。また、無機絶縁膜53及び有機絶縁膜317に設けられた開口部において、導電膜310eと接続する導電膜319が、有機絶縁膜317上に設けられる。導電膜319は、発光素子394が有する画素電極(第1の電極)として機能する。
【0032】
また、有機絶縁膜317及び導電膜319上には、絶縁層391が設けられる。また、絶縁層391に設けられた開口部において、発光素子394が有する発光層392及び導電膜393が、導電膜319上に設けられる。導電膜393は、発光素子394が有する共通電極(第2の電極)として機能する。
【0033】
金属酸化物膜308cは、酸化物半導体膜308bと同時に形成された酸化物半導体膜に、水素、ホウ素、リン、窒素、スズ、アンチモン、希ガス元素、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の不純物を添加し、酸素欠損を有せしめることで、導電性が向上し、導電性を有する膜となる。なお、酸化物半導体膜は透光性を有するため、金属酸化物膜308cも透光性を有する。
【0034】
なお酸素欠損が形成された酸化物半導体は、酸素欠損サイトに水素が入ることで伝導帯近傍にドナー準位が形成される。この結果、酸化物半導体は、導電性が高くなり、導電体化する。導電体化された酸化物半導体を金属酸化物膜と呼ぶが、酸化物導電体という場合もある。一般に、酸化物半導体は、エネルギーギャップが大きいため、可視光に対して透光性を有する。一方、酸化物導電体は、伝導帯近傍にドナー準位を有する酸化物半導体である。したがって、該ドナー準位による吸収の影響は小さく、可視光に対して酸化物半導体と同程度の透光性を有する。
【0035】
ただし、本発明の実施形態の一態様は、これに限定されない。金属酸化物膜308cは、酸化物半導体膜308bと別の工程で成膜し、その後加工することで形成してもよい。したがって、金属酸化物膜308cは、酸化物半導体膜308bとは別の材料を有していてもよい。さらに、金属酸化物膜308cは、酸化物以外の材料を用いることができる。一例としては、金属元素でなる膜を用いてもよいし、一部に窒素を有する膜を用いてもよい。さらに、金属酸化物膜308cは、発光素子が射出する光を反射する機能を有していてもよい。
【0036】
また、導電膜316b及び導電膜319は透光性を有する導電膜で形成される。このため、容量素子105は透光性を有する。このため、画素において、容量素子の面積を大きくすることが可能であり、容量素子の容量値及び画素の開口率を高めることが可能である。なお導電膜319を発光素子394の陽極として用いる場合、導電膜319はインジウム錫酸化物などの発光層392よりも仕事関数が大きく透光性を有する膜を用いるとよい。
【0037】
無機絶縁膜53は、少なくとも酸化物絶縁膜を有し、さらには酸化物絶縁膜及び窒化物絶縁膜が積層されていることが好ましい。無機絶縁膜53において、酸化物半導体膜308bと接する領域において、酸化物絶縁膜が形成されることで、酸化物半導体膜308bと無機絶縁膜53との界面における欠陥量を低減することが可能である。
【0038】
また、窒化物絶縁膜は、水、水素等のバリア膜として機能する。酸化物半導体膜308bに水、水素等が含まれると、酸化物半導体膜308bに含まれる酸素と、水、水素等とが反応してしまい、酸素欠損が形成される。酸素欠損により、酸化物半導体膜308b中にはキャリアが生成され、トランジスタのしきい値電圧がマイナスシフトし、ノーマリーオン特性となってしまう。このため、無機絶縁膜53に窒化物絶縁膜を設けることで、外部から酸化物半導体膜308bへの水、水素等の拡散量を低減することが可能であり、酸化物半導体膜308bの欠陥量を低減することが可能である。このため、無機絶縁膜53において、酸化物半導体膜308b側から順に酸化物絶縁膜及び窒化物絶縁膜が積層されていることで、酸化物半導体膜308b及び無機絶縁膜53の界面における欠陥量、及び酸化物半導体膜308bにおける酸素欠損量を低減することが可能であり、ノーマリーオフ特性のトランジスタを作製することが可能である。
【0039】
有機絶縁膜317は、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の有機樹脂で形成されるため、平坦性が高い。また、有機絶縁膜317の厚さは、500nm以上5000nm以下、好ましくは1000nm以上3000nm以下である。
【0040】
また、有機絶縁膜317上に形成された導電膜319は、トランジスタ103と接続する。導電膜319は、発光素子394が有する画素電極として機能し、無機絶縁膜53及び有機絶縁膜317に設けられた開口部でトランジスタ103と接続する。即ち、導電膜319は、トランジスタ103との距離が離れているため、トランジスタ103の導電膜310dの電位の影響を受けにくい。この結果、導電膜319をトランジスタ103と重畳させることが可能である。
【0041】
絶縁層391は、発光素子394を隣接する画素間で分離する機能、すなわち隔壁としての機能を有する。絶縁層391としては、絶縁性を有していればよく、例えば、有機絶縁膜または無機絶縁膜を用いることができる。有機絶縁膜としては、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂、エポキシ系樹脂、またはフェノール系樹脂等を用いることができる。無機絶縁膜としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。特に、感光性の有機樹脂材料を用いることで、絶縁層391の作製が容易となるため好ましい。
【0042】
導電膜393を発光素子394の陰極として用いる場合、導電膜393は発光素子394に電子を注入できる仕事関数の小さい材料を用いて形成することが好ましい。また、仕事関数の小さい金属単体ではなく、仕事関数の小さいアルカリ金属、またはアルカリ土類金属を数nm形成した層を緩衝層として形成し、その上にアルミニウムなどの金属材料、インジウム錫酸化物等の導電性を有する酸化物材料、または半導体材料を用いて形成してもよい。また、緩衝層として、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、または、マグネシウム−銀等の合金を用いることもできる。
【0043】
発光素子394が有する発光層392は、少なくとも発光性の物質が含まれる発光層が形成されていればよく、該発光層以外に、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層、及び電荷発生層などの機能層が形成されていてもよい。発光層392は、一対の電極(ここでは、導電膜319と導電膜393)から電子と正孔が注入され電流が流れる。そして、該電子と正孔が再結合することによって発光性の物質が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光することができる。
【0044】
ここで、比較例として無機絶縁膜53上に有機絶縁膜317が形成されないトランジスタ103を有する半導体装置において、トランジスタ103のゲート電極として機能する導電膜304cに負の電圧を印加した場合について、説明する。
【0045】
ゲート電極として機能する導電膜304cに負の電圧が印加されると、電界が発生する。該電界は、酸化物半導体膜308bで遮蔽されず、無機絶縁膜53にまで影響するため、無機絶縁膜53の表面に弱い正の電荷が帯電する。また、ゲート電極として機能する導電膜304cに負の電圧が印加されると、空気中に含まれる正の荷電粒子が無機絶縁膜53の表面に吸着し、無機絶縁膜53の表面に弱い正の電荷が帯電する。
【0046】
無機絶縁膜53の表面に正の電荷が帯電することにより、電場が生じ、該電場が酸化物半導体膜308b及び無機絶縁膜53の界面まで影響する。この結果、酸化物半導体膜308b及び無機絶縁膜53の界面において、実質的に正のバイアスが印加された状態となり、トランジスタのしきい値電圧が負にシフトしてしまう。
【0047】
一方、図1(A)に示す本実施の形態に示すトランジスタ103は、無機絶縁膜53上に有機絶縁膜317を有する。有機絶縁膜317は厚いため、ゲート電極として機能する導電膜304cに負の電圧が印加されることによって発生する電場の影響が有機絶縁膜317の表面にまで影響せず、有機絶縁膜317の表面に正の電荷が帯電しにくい。また、空気中に含まれる正の荷電粒子が、有機絶縁膜317の表面に吸着しても、有機絶縁膜317は厚いため、有機絶縁膜317の表面に吸着した正の荷電粒子の電場は、酸化物半導体膜308b及び無機絶縁膜53の界面まで影響しにくい。これらの結果、酸化物半導体膜308b及び無機絶縁膜53の界面において、実質的に正のバイアスが印加された状態とならず、トランジスタのしきい値電圧の変動が少ない。
【0048】
また、有機絶縁膜317において、水等が拡散しやすいが、無機絶縁膜53が窒化物絶縁膜を有することで、窒化物絶縁膜が水のバリア膜となり、有機絶縁膜317に拡散した水が酸化物半導体膜308bに拡散することを防ぐことが可能である。
【0049】
以上のことから、有機絶縁膜317をトランジスタ上に設けることで、トランジスタの電気特性のばらつきを低減することが可能である。また、ノーマリオフ特性を有し、信頼性の高いトランジスタを作製することができる。また、有機絶縁膜は、印刷法、塗布法等を用いて形成することが可能であるため、作製時間を短縮することが可能である。
【0050】
<酸化物導電体(金属酸化物膜)について>
ここで、酸化物半導体で形成される膜(以下、酸化物半導体膜(OS)という。)及び酸化物導電体で形成される膜(以下、酸化物導電体膜(OC)という。)それぞれにおける、抵抗率の温度依存性について、図45を用いて説明する。図45において、横軸に測定温度を示し、縦軸に抵抗率を示す。また、酸化物半導体膜(OS)の測定結果を丸印で示し、酸化物導電体膜(OC)の測定結果を四角印で示す。
【0051】
なお、酸化物半導体膜(OS)を含む試料は、ガラス基板上に、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1.2のスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法により厚さ35nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を形成し、原子数比がIn:Ga:Zn=1:4:5のスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法により厚さ20nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を形成し、450℃の窒素雰囲気で加熱処理した後、450℃の窒素及び酸素の混合ガス雰囲気で加熱処理し、さらにプラズマCVD法で酸化窒化シリコン膜を形成して、作製された。
【0052】
また、酸化物導電体膜(OC)を含む試料は、ガラス基板上に、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1のスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法により厚さ100nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を形成し、450℃の窒素雰囲気で加熱処理した後、450℃の窒素及び酸素の混合ガス雰囲気で加熱処理し、プラズマCVD法で窒化シリコン膜を形成して、作製された。
【0053】
図45からわかるように、酸化物導電体膜(OC)における抵抗率の温度依存性は、酸化物半導体膜(OS)における抵抗率の温度依存性より小さい。代表的には、80K以上290K以下における酸化物半導体膜(OC)の抵抗率の変化率は、±20%未満である。または、150K以上250K以下における抵抗率の変化率は、±10%未満である。即ち、酸化物導電体は、縮退半導体であり、伝導帯端とフェルミ準位とが一致または略一致していると推定される。このため、酸化物導電体膜を、配線、電極、画素電極等に用いることが可能である。
【0054】
<変形例1>
図1(A)に示す構成の変形例について、図1(B)を用いて説明する。図1(B)に示す半導体装置は、導電膜319を用いてトランジスタ103の導電膜310eと導電膜316bとが接続されていることを特徴とする。
【0055】
導電膜319を画素電極としての機能の他、導電膜間を接続するための配線として用いることで、別の配線又はトランジスタを介することなく、トランジスタ103に容量素子105を接続することができる。
【0056】
<変形例2>
図1(A)に示す構成の変形例について、図1(C)を用いて説明する。図1(C)に示す半導体装置は、トランジスタ103の導電膜310eと金属酸化物膜308cとが直接接するように設けることを特徴とする。
【0057】
導電膜310eと導電膜316bとを直接接するように設けることで、別の配線又はトランジスタを介することなく、トランジスタ103に容量素子105を接続することができる。
【0058】
<変形例3>
本実施の形態1に示すトランジスタの変形例について、図29(A)を用いて説明する。本変形例に示すトランジスタ103cは、多階調マスク(ハーフトーンマスク、グレートーンマスク、位相差マスクなど)を用いて形成された酸化物半導体膜308e及び一対の導電膜310f、310gを有することを特徴とする。また、トランジスタ103c及び容量素子105が、画素電極として機能する導電膜319で接続されていることを特徴とする。
【0059】
多階調マスクを用いることで、複数の厚さを有するレジストマスクを形成することが可能であり、該レジストマスクを用い、酸化物半導体膜308eを形成した後、酸素プラズマ等にレジストマスクを曝すことで、レジストマスクの一部が除去され、一対の導電膜を形成するためのレジストマスクとなる。このため、酸化物半導体膜308e及び一対の導電膜310f、310gの作製工程におけるフォトリソグラフィ工程数を削減することができる。
【0060】
なお、多階調マスクを用いて形成した酸化物半導体膜308eは、平面形状において一対の導電膜310f、310gの外側に一部が露出した形状となる。
【0061】
また、図29(A)において、金属酸化物膜308fがゲート絶縁膜51上に形成される。また、金属酸化物膜308f上に、導電膜310f、310gと同時に導電膜310hが形成される。また、導電膜319が導電膜310g及び導電膜310hと接続する。この結果、トランジスタ103及び容量素子105が電気的に接続する。
【0062】
<変形例4>
本実施の形態に示すトランジスタの変形例について、図29(B)を用いて説明する。本変形例に示すトランジスタ103dは、チャネル保護構造で形成されたトランジスタであることを特徴とする。
【0063】
チャネル保護構造のトランジスタ103dは、絶縁膜53aに開口部を有し、該開口部で酸化物半導体膜308bと、一対の導電膜310i、310jとが接続される形状となる。該形状とすることで、酸化物半導体膜308bへのダメージを低減することができる。
【0064】
<変形例5>
図1(A)乃至(C)に示す構成の変形例について、図30(A)乃至(C)を用いて説明する。図30(A)乃至(C)に示す半導体装置は、容量素子105及び発光素子394に重畳する領域に、導電膜304cと同層に形成した導電膜304dを設けることを特徴とする。
【0065】
導電膜304dを容量素子105が有する金属酸化物膜308cに重畳して設けることで、金属酸化物膜308cとゲート絶縁膜51と導電膜304dにより容量素子を構成し、容量素子105の容量値をさらに増大させることができる。
【0066】
<変形例6>
図29(B)に示す構成の変形例について、図43(A)を用いて説明する。図43(A)に示す半導体装置は、図29(B)で設けた導電膜316bを設けずに、代わりに導電膜310j、導電膜310iと同じ層に設けた導電膜310kを設け、容量素子105を構成することを特徴とする。導電膜310kは、一例としては、導電膜310j、導電膜310iなどと同時に成膜され、同時にエッチングされて、形成される。したがって、導電膜310kは、一例としては、導電膜310jなどと同じ材料を有している。
【0067】
なお本変形例を上記変形例5で示した構成と組み合わせてもよい。具体的には、図43(B)に示すように、容量素子105及び発光素子394に重畳する領域に、導電膜304cと同層に形成した導電層304dを設ける構成とすることができる。導電膜304dは、一例としては、導電膜304cと同時に成膜され、同時にエッチングされて、形成される。したがって、導電膜304dは、一例としては、導電膜304cと同じ材料を有している。導電膜304dを用いることによって、容量素子105の一部として機能させることが出来る。したがって、導電膜304dは、容量素子105が有する電極の一つと接続されていてもよい。
【0068】
<変形例7>
図1(A)に示す構成の変形例について、図31(A)を用いて説明する。図31(A)に示す半導体装置は、図1(A)中の酸化物半導体膜308bと金属酸化物膜308cとが直接接するように設けることを特徴とする。当該構成では、酸化物半導体膜308bは、一つの島状になるよう形成され、トランジスタ103の半導体層と、容量素子105の一方の電極としての機能を兼ね備えたものにできる。
【0069】
図1(A)中の酸化物半導体膜308bと金属酸化物膜308cとを直接接するよう設けた図31(A)の構成とすることで、有機絶縁膜317及び無機絶縁膜53上での平坦性の向上等を図ることができ、半導体装置を作製する際の歩留まりの向上を図ることができる。
【0070】
なお本変形例を上記変形例5で示した構成と組み合わせてもよい。具体的には、図31(B)に示すように、容量素子105及び発光素子394に重畳する領域に、導電膜304cと同層に形成した導電層304dを設ける構成とすることができる。
【0071】
また図31(A)、(B)に示す構成において、酸化物半導体膜308bと、導電膜310dや導電膜310eとを、多階調マスクを用いて構成する場合、導電膜310dや導電膜310eの下層には、必ず、酸化物半導体膜308bが配置される。その一例を図40(A)、(B)、図41(A)、(B)に示すが、他の変形例においても、同様に適用することが出来る。なお、多階調マスクを用いない場合には、導電膜310dや導電膜310eの下層に、酸化物半導体膜308bが配置されていない領域が存在してもよい。その場合は、一例として、図44(A)、(B)に示す断面図の構成となる。
【0072】
また本変形例を上記変形例3で示した構成と組み合わせてもよい。具体的には、図34に示すように設ければよい。
【0073】
<変形例8>
図1(B)に示す構成の変形例について、図32(A)を用いて説明する。図32(A)に示す半導体装置は、導電膜316bを無機絶縁膜53に設けた開口部で導電膜310eと接続し、さらに有機絶縁膜317に設けた開口部で導電膜316bと導電膜319とが直接接するように設けることを特徴とする。
【0074】
図32(A)の構成とすることで、有機絶縁膜317及び無機絶縁膜53での開口部の形成に同じフォトマスクを用いることができ、マスク枚数の削減を図ることができる。
【0075】
なお本変形例を上記変形例5で示した構成と組み合わせてもよい。具体的には、図32(B)に示すように、容量素子105及び発光素子394に重畳する領域に、導電膜304cと同層に形成した導電層304dを設ける構成とすることができる。
【0076】
なお図33(A)、(B)に示すように、図32(A)、(B)で示した構成において、有機絶縁膜317での開口部と無機絶縁膜53での開口部とを異なるフォトマスクを用いて形成し設ける構成としてもよい。
【0077】
<変形例9>
上記列挙した変形例において説明した導電膜は、ゲート絶縁膜51、有機絶縁膜317又は無機絶縁膜53に設けられる開口部で、各層の導電膜同士を接続する機能を有する。その場合、様々な導電膜を介して、接続し、画素領域、駆動回路領域、保護回路領域、周辺領域などで、接続端子や、保護回路として設けることができる。
【0078】
一例として図35(A)、(B)は、ゲート電極と同層に設けられる導電膜と、容量素子105の一方の電極として設けられる導電膜とを、画素電極と同層に設けられる導電膜を介して接続する断面の構成例である。
【0079】
一例として図36(A)、(B)は、ソース電極又はドレイン電極と同層に設けられる導電膜と、容量素子105の一方の電極として設けられる導電膜とを、画素電極と同層に設けられる導電膜を介して接続する断面の構成例である。
【0080】
一例として図37(A)、(B)は、ソース電極又はドレイン電極と同層に設けられる導電膜と、容量素子105の一方の電極として設けられる導電膜とを直接接続する断面の構成例である。
【0081】
一例として図38(A)、(B)は、ゲート電極と同層に設けられる導電膜と、容量素子105の一方の電極として設けられる導電膜とを直接接続する断面の構成例である。
【0082】
一例として図39(A)、(B)は、ゲート電極と同層に設けられる導電膜と、ソース電極又はドレイン電極と同層に設けられる導電膜とを直接接続する断面の構成例である。
【0083】
図35図36図37図38図39で示す各断面の構成例は、画素領域、駆動回路領域、保護回路領域、周辺領域など、様々な場所で適用できる。なお本変形例で説明した断面図の構成では、一部の膜(導電膜、絶縁膜、半導体膜など)や基板などが省略されている場合がある。
【0084】
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0085】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置及びその作製方法について図面を参照して説明する。
【0086】
図2(A)に、半導体装置の一例として表示装置を示す。図2(A)に示す表示装置は、画素部11と、走査線駆動回路14と、信号線駆動回路16と、各々が平行または略平行に配設され、且つ走査線駆動回路14によって電位が制御されるm本(mは自然数)の走査線17と、各々が平行または略平行に配設され、且つ信号線駆動回路16によって電位が制御されるn本(nは自然数)の信号線19と、を有する。さらに、画素部11はマトリクス状に配設された複数の画素301を有する。また、信号線19に沿って、各々が平行または略平行に配設された容量線25を有する。なお、容量線25は、走査線17に沿って、各々が平行または略平行に配設されていてもよい。また、走査線駆動回路14及び信号線駆動回路16をまとめて駆動回路部という場合がある。
【0087】
なお、表示装置は、複数の画素を駆動させる駆動回路等を含む。また、表示装置は、別の基板上に配置された制御回路、電源回路、信号生成回路及びバックライトモジュール等を含み、表示モジュールとよばれることもある。
【0088】
図2(B)、(C)は、図2(A)に示す表示装置の画素301に用いることができる回路構成の一例を示している。
【0089】
図2(B)に一例として示す画素301は、液晶素子31と、トランジスタ103と、容量素子105と、を有する。
【0090】
また、図2(C)に一例として示す画素301は、トランジスタ43と、トランジスタ103と、トランジスタ45と、容量素子105と、発光素子41と、を有する。
【0091】
なお、図2(B)及び図2(C)では、表示素子として、液晶素子31や発光素子41を用いた例を示したが、本発明の実施形態の一態様は、これに限定されない。様々な表示素子を用いることも可能である。例えば、EL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子)、LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LEDなど)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、電子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレーション)素子、エレクトロウェッティング素子、圧電セラミックディスプレイ、カーボンナノチューブ、など、電気磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有するものがある。EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。
【0092】
次に、表示装置に含まれる素子基板の具体的な構成について説明する。ここでは、表示装置としてEL素子を発光して表示を行う表示装置を用い、該表示装置に含まれる画素pixの上面図を図3に示す。また上面図に対応する回路構成を図4(A)に示し、回路構成のタイミングチャート図について図4(B)に示す。また図3の上面図における一点鎖線J−K間、L−M間、及びN−O間における断面図について図5に示す。
【0093】
図3において、走査線として機能する導電膜304cは、信号線として機能する導電膜に略直交する方向(図中左右方向)に延伸して設けられている。信号線として機能する導電膜310dは、走査線として機能する導電膜に略直交する方向(図中上下方向)に延伸して設けられている。なお、走査線として機能する導電膜304cは、走査線駆動回路14(図2(A)を参照。)と電気的に接続されており、信号線として機能する導電膜310dは、信号線駆動回路16(図2(A)を参照。)に電気的に接続されている。
【0094】
図3に示す上面図では、画素pixが有する、トランジスタM1乃至トランジスタM6、容量素子C1、発光素子ELの配置例を示している。また図3に示す上面図では、配線GL1乃至GL3、配線SL、配線VL1、配線VL0、及び配線ILの配置例を示している。配線GL1乃至GL3、配線SL、配線VL1、配線VL0、及び配線ILは、トランジスタM1乃至トランジスタM6のゲート、ソース、又はドレインとなる電極に接続される。なお各配線と、各トランジスタの接続関係については、図4(A)に示す回路構成を参照すればよい。
【0095】
容量素子C1を構成する一対の電極を、透光性を有する一対の導電膜で構成することで、発光素子ELに重畳して設けることができる。そのため、画素pix内に容量素子C1を大きく(大面積に)形成しても、開口率を低下させることはない。従って、開口率を高めつつ、代表的には50%以上、好ましくは60%以上とすることが可能であると共に、容量値を増大させた表示装置を得ることができる。例えば、解像度の高い表示装置、例えば液晶表示装置においては、画素の面積が小さくなり、容量素子の面積も小さくなる。このため、解像度の高い表示装置において、容量素子に蓄積される容量量が小さくなる。しかしながら、本実施の形態に示す容量素子C1は透光性を有するため、当該容量素子を画素に設けることで、各画素において十分な容量値を得つつ、開口率を高めることができる。代表的には、画素密度が100ppi以上、さらには200ppi以上、更には300ppi以上である高解像度の表示装置に好適に用いることができる。
【0096】
次いで、図3に示す画素pixの上面図に対応する回路構成及び動作について説明する。
【0097】
図4(A)に、画素pixの回路図の一例を示す。画素pixは、トランジスタM1乃至トランジスタM6と、容量素子C1と、発光素子ELと、を有する。なおトランジスタM1、トランジスタM3乃至トランジスタM6は、スイッチとしての機能があればよく、単にスイッチに置き換えることが可能である。
【0098】
発光素子ELの画素電極は、画素pixに入力される画像信号Sigに従ってその電位が制御される。また、発光素子ELの輝度は、画素電極と共通電極の間の電位差によって定まる。例えば、OLEDを発光素子ELとして用いる場合、陽極と陰極のいずれか一方が画素電極として機能し、他方が共通電極として機能する。図4(A)では、発光素子ELの陽極を画素電極として用い、発光素子ELの陰極を共通電極として用いた画素pixの構成を例示している。
【0099】
トランジスタM1は、配線SLと、容量素子C1の一対の電極のうちの一方との間の導通状態を制御する機能を有する。容量素子C1の一対の電極のうちの他方は、トランジスタM2のソース及びドレインの一方に接続される。トランジスタM3は、配線VL0と、トランジスタM2のゲートとの間の導通状態を制御する機能を有する。トランジスタM4は、容量素子C1の一対の電極のうちの一方と、トランジスタM2のゲートとの間の導通状態を制御する機能を有する。トランジスタM5は、トランジスタM2のソース及びドレインの一方と、発光素子ELの陽極との間の導通状態を制御する機能を有する。トランジスタM6は、トランジスタM2のソース及びドレインの一方と、配線VL1との間の導通状態を制御する機能を有する。
【0100】
さらに、図4(A)では、トランジスタM2のソース及びドレインの他方は配線ILに接続されている。
【0101】
また、トランジスタM1におけるオンまたはオフの選択は、トランジスタM1のゲートに接続された配線GL1の電位に従って行われる。トランジスタM3におけるオンまたはオフの選択は、トランジスタM3のゲートに接続された配線GL1の電位に従って行われる。トランジスタM4におけるオンまたはオフの選択は、トランジスタM4のゲートに接続された配線GL2の電位に従って行われる。トランジスタM5におけるオンまたはオフの選択は、トランジスタM5のゲートに接続された配線GL2の電位に従って行われる。トランジスタM6におけるオンまたはオフの選択は、トランジスタM6のゲートに接続された配線GL3の電位に従って行われる。
【0102】
画素pixが有するトランジスタには、酸化物半導体や、非晶質、微結晶、多結晶、又は単結晶の、シリコン、又はゲルマニウムなどの半導体を用いることができる。トランジスタM1、トランジスタM3及びトランジスタM4が酸化物半導体をチャネル形成領域に含むことで、トランジスタM1、トランジスタM3及びトランジスタM4のオフ電流を極めて小さくすることができる。そして、上記構成を有するトランジスタM1、トランジスタM3及びトランジスタM4を画素pixに用いることで、通常のシリコンやゲルマニウムなどの半導体で形成されたトランジスタをトランジスタM1、トランジスタM3及びトランジスタM4に用いる場合に比べて、トランジスタM2のゲートに蓄積された電荷のリークを防ぐことができる。
【0103】
よって、静止画のように、連続する幾つかのフレーム期間に渡って、画素部に同じ画像情報を有する画像信号Sigが書き込まれる場合などは、駆動周波数を低くする、言い換えると一定期間内における画素部への画像信号Sigの書き込み回数を少なくしても、画像の表示を維持することができる。例えば、高純度化された酸化物半導体をトランジスタM1、トランジスタM3及びトランジスタM4の半導体膜に用いることで、画像信号Sigの書き込みの間隔を1秒以上、好ましくは3秒以上、さらに好ましくは10秒以上にすることができる。そして、画像信号Sigが書き込まれる間隔を長くすればするほど、消費電力をより低減することができる。
【0104】
また、画像信号Sigの電位をより長い期間に渡って保持することができるため、トランジスタM2のゲートの電位を保持するための容量素子C1を画素pixに設けなくとも、表示される画質が低下するのを防ぐことができる。よって、容量素子C1を設けないことによって、或いは容量素子C1のサイズを小さくすることによって、画素pixの開口率を高めることができるため、発光素子ELの長寿命化を実現し、延いては、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0105】
なお、図4(A)において、画素pixは、必要に応じて、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、容量素子、インダクタなどのその他の回路素子を、さらに有していても良い。
【0106】
また、図4(A)において、各トランジスタは、ゲートを半導体膜の片側において少なくとも有していれば良いが、半導体膜を間に挟んで存在する一対のゲートを有していても良い。一対のゲートの一方をバックゲートとすると、通常のゲート及びバックゲートに同じ高さの電位が与えられていても良いし、バックゲートにのみ接地電位などの固定の電位が与えられていても良い。バックゲートに与える電位の高さを制御することで、トランジスタの閾値電圧を制御することができる。また、バックゲートを設けることで、チャネル形成領域が増え、ドレイン電流の増加を実現することができる。また、バックゲートを設けることで、半導体膜に空乏層ができやすくなるため、S値の改善を図ることができる。図4(A)では一例として、トランジスタM1乃至トランジスタM3、トランジスタM6の半導体膜を上下方向からゲート電極で囲むように配置するトランジスタとする。そのため図4(A)では、他の回路記号とは異なる記号で示している。
【0107】
また、図4(A)では、トランジスタが全てnチャネル型である場合を例示している。画素pix内のトランジスタが全て同じチャネル型である場合、トランジスタの作製工程において、半導体膜に一導電性を付与する不純物元素の添加などの工程を、一部省略することができる。ただし、本発明の一態様に係る表示装置では、必ずしも画素pix内のトランジスタが全てnチャネル型である必要はない。発光素子ELの陰極が配線CLに接続されている場合、少なくともトランジスタM2はnチャネル型であることが望ましく、発光素子ELの陽極が配線CLに接続されている場合、少なくともトランジスタM2はpチャネル型であることが望ましい。
【0108】
また、図4(A)では、画素pix内のトランジスタが、単数のゲートを有することで、単数のチャネル形成領域を有するシングルゲート構造である場合を例示しているが、本発明の一態様はこの構成に限定されない。画素pix内のトランジスタのいずれかまたは全てが、電気的に接続された複数のゲートを有することで、複数のチャネル形成領域を有する、マルチゲート構造であっても良い。
【0109】
図4(B)に、図4(A)に示す画素pixに接続される配線GL1、配線GL2、配線GL3の電位と、配線SLに供給される画像信号Sigの電位のタイミングチャートを例示する。なお、図4(B)に示すタイミングチャートは、図4(A)に示す画素pixに含まれるトランジスタが全てnチャネル型である場合を例示するものである。
【0110】
まず、期間t1では、配線GL1にLレベルの電位が与えられ、配線GL2にLレベルの電位が与えられ、配線GL3にLレベルからHレベルに切り替える信号の電位が与えられる。よって、トランジスタM5がオンからオフとなり、トランジスタM1、トランジスタM3、トランジスタM4はオフとなり、トランジスタM6がオフからオンとなる。トランジスタM6がオンになることで、トランジスタM2のソース及びドレインの一方および容量素子C1の一対の電極のうちの他方に、配線VL1の電位V0が与えられる。
【0111】
また、配線ILには電位Vanoが与えられ、配線CLには電位Vcatが与えられる。電位Vanoは、電位V0に発光素子ELの閾値電圧Vtheを加算した電位よりも高くすることが望ましい。また、電位V0は、電位Vcatに発光素子ELの閾値電圧Vtheを加算した電位よりも、低いことが望ましい。電位V0を上記値に設定することで、期間t1において発光素子ELに電流が流れるのを防ぐことができる。
【0112】
次いで、期間t2では、配線GL1にHレベルの電位が与えられ、配線GL2にLレベルの電位が与えられ、配線GL3にLレベルの電位が与えられる。よって、トランジスタM1およびトランジスタM3がオンとなり、トランジスタM4、トランジスタM5及びトランジスタM6がオフとなる。
【0113】
なお、期間t1から期間t2に移行する際、配線GL1に与える電位をLレベルからHレベルに切り替えた後に、配線GL3に与える電位をHレベルからLレベルに切り替えることが望ましい。このような動作を行うことによって、配線GL1に与えられる電位の切り替えによる、トランジスタM2のソース及びドレインの一方および容量素子C1の一対の電極のうちの他方の電位の変動を防ぐことができる。
【0114】
また、配線ILには電位Vanoが与えられ、配線CLには電位Vcatが与えられる。そして、配線SLには画像信号Sigの電位Vdataが与えられ、配線VL0には電位V1が与えられる。電位V1は、電位VcatにトランジスタM2の閾値電圧Vthを加算した電位よりも高く、電位VanoにトランジスタM2の閾値電圧Vthを加算した電位より低いことが望ましい。
【0115】
なお、図4(A)に示す画素構成では、電位V1を、発光素子ELの閾値電圧Vtheを電位Vcatに加算した値より高くしても、トランジスタM5がオフである限り、発光素子ELは発光しない。そのため、電位V0として設定できる値の幅を広げることが可能となり、V1−V0として取りうる値の幅も広げることが可能となる。したがって、V1−V0の値の設定の自由度が上がるため、トランジスタM2の閾値電圧の取得に要する時間を短縮した場合、または閾値電圧の取得期間に制限がある場合においても、正確にトランジスタM2の閾値電圧の取得を行うことができる。
【0116】
上記動作により、トランジスタM2のゲートに電位V1が入力され、トランジスタM2がオンとなる。よって、トランジスタM2を介して容量素子C1の電荷が放出され、電位V0だった、トランジスタM2のソース及びドレインの一方および容量素子C1の一対の電極のうちの他方の電位が上昇を始める。そして、最終的にはトランジスタM2のソース及びドレインの一方および容量素子C1の一対の電極のうちの他方の電位がV1−Vthに収束し、トランジスタM2のゲート電圧が閾値電圧Vthに収束すると、トランジスタM2がオフになる。
【0117】
また、容量素子C1の一対の電極のうちの一方には、配線SLに与えられた画像信号Sigの電位Vdataが、トランジスタM1を介して与えられる。
【0118】
次いで、期間t3では、配線GL1にLレベルの電位が与えられ、配線GL2にHレベルの電位が与えられ、配線GL3にLレベルの電位が与えられる。よって、トランジスタM4及びトランジスタM5がオンとなり、トランジスタM1、トランジスタM3及びトランジスタM6がオフとなる。
【0119】
なお、期間t2から期間t3に移行する際、配線GL1に与える電位がHレベルからLレベルに切り替えられてから、配線GL2に与える電位をLレベルからHレベルに切り替えることが望ましい。このような動作を行うことによって、配線GL1に与える電位の切り替えによる、トランジスタM2のソース及びドレインの一方および容量素子C1の一対の電極のうちの他方における電位の変動を防ぐことができる。
【0120】
また、配線ILには電位Vanoが与えられ、配線CLには電位Vcatが与えられる。
【0121】
上記動作により、トランジスタM2のゲートに電位Vdataが与えられるため、トランジスタM2のゲート電圧がVdata−V1+Vthとなる。よって、トランジスタM2のゲート電圧を、閾値電圧Vthが加味された値に設定することができる。上記構成により、トランジスタM2の閾値電圧Vthのばらつきを抑制することができる。よって、発光素子ELに供給する電流値のばらつきを抑えることができ、表示装置の輝度ムラを低減することができる。
【0122】
なお、配線GL2に与える電位の変動を大きくしておくことで、トランジスタM5の閾値電圧のばらつきが発光素子ELに供給する電流値に影響を及ぼすことを防ぐことができる。つまり、配線GL2に与えるHレベルの電位をトランジスタM5の閾値電圧よりも十分大きく、また、配線GL2に与えるLレベルの電位をトランジスタM5の閾値電圧よりも十分小さくしてやることで、トランジスタM5のオンとオフの切り替えを確実に行い、トランジスタM5の閾値電圧のばらつきが発光素子ELの電流値に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
【0123】
次いで、期間t4では、配線GL1にLレベルの電位が与えられ、配線GL2にLレベルの電位が与えられ、配線GL3にHレベルの電位が与えられる。よって、トランジスタM6がオンとなり、トランジスタM1、トランジスタM3、トランジスタM4及びトランジスタM5がオフとなる。
【0124】
また、配線ILには電位Vanoが与えられ、配線VL1は、モニター回路に接続される。
【0125】
上記動作により、トランジスタM2のドレイン電流Idが、発光素子ELではなく、トランジスタM6を介して配線VL1に流れる。モニター回路は、配線VL1に流れたドレイン電流Idを用いて、当該ドレイン電流Idの値を情報として含む信号を生成する。このドレイン電流Idは、トランジスタM2の移動度やトランジスタM2のサイズ(チャネル長、チャネル幅)などに依存した大きさとなっている。そして、本発明の一態様にかかる表示装置では、上記信号を用いて、画素pixに供給される画像信号Vsigの電位Vdataの値を、補正することができる。つまり、トランジスタM2の移動度のばらつきの影響を低減することが出来る。
【0126】
なお、図4(A)に示す画素pixを有する表示装置では、期間t3の動作の後に期間t4の動作を常に行う必要はない。例えば、表示装置において、期間t1乃至期間t3の動作を複数回繰り返した後に、期間t4の動作を行うようにしても良い。また、一行の画素pixにおいて期間t4の動作を行った後、最小の階調値0に対応する画像信号を、当該動作を行った一行の画素pixに書き込むことで、発光素子ELを非発光の状態にした後、次の行の画素pixにおいて、期間t4の動作を行うようにしても良い。
【0127】
図4(A)に示した画素pixを有する表示装置では、トランジスタM2のソース及びドレインの他方と、トランジスタM2のゲートとが電気的に分離しているので、それぞれの電位を個別に制御することができる。よって、期間t2において、トランジスタM2のソース及びドレインの他方の電位を、トランジスタM2のゲートの電位に、閾値電圧Vthを加算した電位よりも高い値に設定することができる。そのため、トランジスタM2がノーマリーオンである場合に、すなわち閾値電圧Vthがマイナスの値を有している場合に、トランジスタM2において、ソースの電位がゲートの電位V1よりも高くなるまで、容量素子C1に電荷を蓄積することができる。よって、本発明の一態様に係る表示装置では、トランジスタM2がノーマリーオンであっても、期間t2において閾値電圧を取得することができ、期間t3において、閾値電圧Vthを加味した値になるよう、トランジスタM2のゲート電圧を設定することができる。
【0128】
次いで、図3の一点鎖線J−K間、L−M間、及びN−O間における断面図を図5に示す。
【0129】
ゲート電極として機能する導電膜304c、ゲート絶縁膜51として機能する絶縁膜305及び絶縁膜306、ゲート絶縁膜51上に形成されたチャネル領域が形成される酸化物半導体膜308b、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜310d、310eによりトランジスタ103(図3におけるトランジスタM5に対応)を構成する。また、導電膜310d、310e上には、無機絶縁膜53である絶縁膜312、絶縁膜314が保護膜として設けられている。
【0130】
また、一方の電極として機能する金属酸化物膜308c、誘電体膜として機能する絶縁膜314、他方の電極として機能する導電膜316bにより容量素子105(図3における容量素子C1に対応)を構成する。金属酸化物膜308cは、ゲート絶縁膜51上に設けられる。トランジスタM6と金属酸化物膜308cは、トランジスタM6のソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜310fで接続される。
【0131】
無機絶縁膜53上に有機絶縁膜317が形成される。また、有機絶縁膜317上には、画素電極として機能する導電膜319が形成される。導電膜319は、無機絶縁膜53及び有機絶縁膜317に設けられる開口部で、導電膜310eと接続される。
【0132】
また、有機絶縁膜317及び導電膜319上には、絶縁層391が設けられる。また、絶縁層391に設けられた開口部において、発光素子394が有する発光層392及び導電膜393が、導電膜319上に設けられる。
【0133】
また図6では、図2(A)で示した走査線駆動回路14及び信号線駆動回路16を含む駆動回路部(上面図は省略)の断面図をA−Bに示し、加えて図5で示した画素の断面構造の情報をC−Dで示す。
【0134】
駆動回路部において、ゲート電極として機能する導電膜304a、ゲート絶縁膜51として機能する絶縁膜305及び絶縁膜306、チャネル領域が形成される酸化物半導体膜308a、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜310a、310bによりトランジスタ102を構成する。酸化物半導体膜308aは、ゲート絶縁膜51上に設けられる。また、導電膜310a、310b上には、無機絶縁膜53である絶縁膜312、絶縁膜314が保護膜として設けられている。
【0135】
また、駆動回路部において、導電膜304a、304cと同時に形成された導電膜304bと、導電膜310a、310b、310d、310e、310fと同時に形成された導電膜310cとは、導電膜319と同時に形成された導電膜319aで接続される。
【0136】
導電膜304bと導電膜319aは、ゲート絶縁膜51、無機絶縁膜53、及び有機絶縁膜317に設けられた開口部において接続する。また、導電膜310cと導電膜319aは、絶縁膜312、絶縁膜314、及び有機絶縁膜317に設けられた開口部において接続する。
【0137】
ここで、図5及び図6に示す表示装置の構成要素について、以下に説明する。
【0138】
基板302上には、導電膜304a、304b、304cが形成されている。導電膜304aは、駆動回路部のトランジスタのゲート電極としての機能を有する。また、導電膜304bは、駆動回路部に形成され、導電膜310cと接続する。また、導電膜304cは、画素部11に形成され、画素部のトランジスタのゲート電極として機能する。
【0139】
基板302の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板等を、基板302として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板等を適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板302として用いてもよい。なお、基板302として、ガラス基板を用いる場合、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等の大面積基板を用いることで、大型の表示装置を作製することができる。
【0140】
また、基板302として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタを形成してもよい。または、基板302とトランジスタの間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に素子部を一部あるいは全部完成させた後、基板302より分離し、他の基板に転載するのに用いることができる。その際、トランジスタは耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。
【0141】
導電膜304a、304b、304cとしては、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウムのいずれか一または複数から選択された金属元素を用いてもよい。また、導電膜304a、304b、304cは、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素の一または複数を組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
【0142】
また、導電膜304a、304b、304cは、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属元素の積層構造とすることもできる。
【0143】
基板302、及び導電膜304a、304b、304c上には、絶縁膜305、絶縁膜306が形成されている。絶縁膜305、絶縁膜306は、駆動回路部のトランジスタのゲート絶縁膜51、及び画素部11のトランジスタのゲート絶縁膜51としての機能を有する。
【0144】
絶縁膜305としては、例えば窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等の窒化物絶縁膜を用いて形成することが好ましい。
【0145】
絶縁膜306としては、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa−Zn系金属酸化物などを用いればよく、積層または単層で設ける。また、絶縁膜306としては、ハフニウムシリケート(HfSiO)、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSi)、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAl)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh−k材料を用いることでトランジスタのゲートリークを低減できる。
【0146】
絶縁膜305及び絶縁膜306の合計の厚さは、5nm以上400nm以下、より好ましくは10nm以上300nm以下、より好ましくは50nm以上250nm以下とするとよい。
【0147】
絶縁膜306上には、酸化物半導体膜308a、308b、金属酸化物膜308cが形成されている。酸化物半導体膜308aは、導電膜304aと重畳する位置に形成され、駆動回路部のトランジスタのチャネル領域として機能する。また、酸化物半導体膜308bは、導電膜304cと重畳する位置に形成され、画素部のトランジスタのチャネル領域として機能する。金属酸化物膜308cは、導電膜310fと接続し、且つ容量素子105の電極として機能する。なお導電膜310fは、トランジスタ103とは別のトランジスタにおけるソース電極及びドレイン電極として機能する。
【0148】
酸化物半導体膜308a、308b、及び金属酸化物膜308cは、代表的には、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物、In−M−Zn酸化物(MはAl、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、Sn、またはHf)がある。なお、酸化物半導体膜308a、308b、及び金属酸化物膜308cは、透光性を有する。
【0149】
なお、酸化物半導体膜308a、308b、及び金属酸化物膜308cがIn−M−Zn酸化物であるとき、ZnおよびOを除いてのInとMの原子数比率は、InおよびMの和を100atomic%としたときInが25atomic%以上、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%以上、Mが66atomic%未満とする。
【0150】
酸化物半導体膜308a、308b、及び金属酸化物膜308cは、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である。このように、エネルギーギャップの広い酸化物半導体を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0151】
酸化物半導体膜308a、308b、及び金属酸化物膜308cの厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。
【0152】
酸化物半導体膜308a、308b、及び金属酸化物膜308cとしてIn:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:1:1.2、または3:1:2の原子数比のIn−Ga−Zn酸化物を用いることができる。なお、酸化物半導体膜308a、308b、及び金属酸化物膜308cの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス20%の変動を含む。
【0153】
また、酸化物半導体膜308a、308b、及び金属酸化物膜308cは、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、後述するCAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶構造、後述する微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC−OSは最も欠陥準位密度が低い。なお、酸化物半導体膜308a、308b、及び金属酸化物膜308cは、結晶性が同じである。
【0154】
なお、酸化物半導体膜308a、308b、及び金属酸化物膜308cが、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域の二種以上を有する混合膜であってもよい。また、混合膜は、例えば、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域の積層構造を有する場合がある。
【0155】
酸化物半導体膜308a、308bにおいて、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体膜308a、308bにおいて酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、酸化物半導体膜308a、308bにおけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1017atoms/cm以下とする。
【0156】
また、酸化物半導体膜308a、308bにおいて、二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1016atoms/cm以下にする。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため、酸化物半導体膜308a、308bのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。
【0157】
また、酸化物半導体膜308a、308bに窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、当該酸化物半導体膜において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、二次イオン質量分析法により得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm以下にすることが好ましい。
【0158】
酸化物半導体膜308a、308bとしては、キャリア密度の低い酸化物半導体膜を用いる。例えば、酸化物半導体膜308a、308bは、キャリア密度が1×1017個/cm以下、好ましくは1×1015個/cm以下、さらに好ましくは1×1013個/cm以下、より好ましくは1×1011個/cm以下の酸化物半導体膜を用いる。
【0159】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、酸化物半導体膜308a、308bのキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0160】
酸化物半導体膜308a、308bは、絶縁膜306及び絶縁膜312等の、酸化物半導体膜との界面特性を向上させることが可能な材料で形成される膜と接しているため、酸化物半導体膜308a、308bは、半導体として機能し、酸化物半導体膜308a、308bを有するトランジスタは、優れた電気特性を有する。
【0161】
なお、酸化物半導体膜308a、308bとして、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜を用いることで、優れた電気特性を有するトランジスタを作製することができ好ましい。ここでは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)ことを高純度真性または実質的に高純度真性とよぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる場合がある。従って、当該酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない場合がある。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、オフ電流が著しく小さく、チャネル幅が1×10μmでチャネル長が10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。従って、当該酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる場合がある。なお、酸化物半導体膜のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属等がある。
【0162】
金属酸化物膜308cは、酸化物半導体膜308a、308bと同時に形成された酸化物半導体膜を加工して形成される。このため、金属酸化物膜308cは、酸化物半導体膜308a、308bと同様の金属元素を有する膜である。また、酸化物半導体膜308a、308bと同様の結晶構造、または異なる結晶構造を有する膜である。しかしながら、酸化物半導体膜308a、308bと同時に形成された酸化物半導体膜に、不純物または酸素欠損を有せしめることで、導電性を有する膜となり、容量素子の電極として機能する。酸化物半導体膜に含まれる不純物としては、水素がある。なお、水素の代わりに不純物として、ホウ素、リン、スズ、アンチモン、希ガス元素、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が含まれていてもよい。または、金属酸化物膜308cは、酸化物半導体膜308a、308bと同時に形成された膜であり、プラズマダメージ等により酸素欠損が形成され、導電性が高められた膜である。または、金属酸化物膜308cは、酸化物半導体膜308a、308bと同時に形成された膜であり、且つ不純物を含むと共に、プラズマダメージ等により酸素欠損が形成され、導電性が高められた膜である。
【0163】
このため、酸化物半導体膜308a、308b及び金属酸化物膜308cは共に、絶縁膜306上に形成されるが、不純物濃度が異なる。具体的には、酸化物半導体膜308a、308bと比較して、金属酸化物膜308cの不純物濃度が高い。例えば、酸化物半導体膜308a、308bに含まれる水素濃度は、5×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm未満、好ましくは1×1018atoms/cm以下、より好ましくは5×1017atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm以下であり、金属酸化物膜308c含まれる水素濃度は、8×1019atoms/cm以上、好ましくは1×1020atoms/cm以上、より好ましくは5×1020atoms/cm以上である。また、酸化物半導体膜308a、308bと比較して、金属酸化物膜308cに含まれる水素濃度は2倍、好ましくは10倍以上である。
【0164】
また、酸化物半導体膜308a、308bと同時に形成された酸化物半導体膜をプラズマに曝すことにより、酸化物半導体膜にダメージを与え、酸素欠損を形成することができる。例えば、酸化物半導体膜上に、プラズマCVD法またはスパッタリング法で膜を成膜すると、酸化物半導体膜がプラズマに曝され、酸素欠損が生成される。または、絶縁膜312を形成するためのエッチング処理において酸化物半導体膜がプラズマに曝されることで、酸素欠損が生成される。または、酸化物半導体膜が水素、希ガス、アンモニア、酸素及び水素の混合ガス等のプラズマに曝されることで、酸素欠損が生成される。この結果、酸化物半導体膜は導電性が高くなり、導電性を有する膜となり、金属酸化物膜308cとして機能する。
【0165】
即ち、金属酸化物膜308cは、導電性の高い酸化物半導体膜で形成されるともいえる。また金属酸化物膜308cは、導電性の高い金属酸化物膜で形成されるともいえる。
【0166】
また、絶縁膜314として、窒化シリコン膜を用いる場合、窒化シリコン膜は水素を含む。このため、絶縁膜314の水素が酸化物半導体膜308a、308bと同時に形成された酸化物半導体膜に拡散すると、該酸化物半導体膜において水素は酸素と結合し、キャリアである電子が生成される。また、窒化シリコン膜をプラズマCVD法またはスパッタリング法で成膜すると、酸化物半導体膜がプラズマに曝され、酸素欠損が生成される。当該酸素欠損に、窒化シリコン膜に含まれる水素が入ることで、キャリアである電子が生成される。これらの結果、酸化物半導体膜は導電性が高くなり、金属酸化物膜308cとなる。
【0167】
金属酸化物膜308cは、酸化物半導体膜308a、308bより抵抗率が低い。金属酸化物膜308cの抵抗率が、酸化物半導体膜308a、308bの抵抗率の1×10−8倍以上1×10−1倍未満であることが好ましく、代表的には1×10−3Ωcm以上1×10Ωcm未満、さらに好ましくは、抵抗率が1×10−3Ωcm以上1×10−1Ωcm未満であるとよい。
【0168】
ただし、本発明の実施形態の一態様は、これに限定されず、金属酸化物膜308cは、場合によっては、絶縁膜314と接していないことも可能である。
【0169】
また、本発明の実施形態の一態様は、これに限定されず、金属酸化物膜308cは、場合によっては、酸化物半導体膜308a、または、308bと別々の工程で形成されてもよい。その場合には、金属酸化物膜308cは、酸化物半導体膜308a、または、308bと、異なる材質を有していても良い。例えば、金属酸化物膜308cは、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、または、インジウム亜鉛酸化物等を用いて形成してもよい。
【0170】
本実施の形態に示す表示装置において、容量素子は、透光性を有する。この結果、発光素子394と重畳して設けることができるため、容量素子の占有面積を大きくしつつ、画素の開口率を高めることができる。
【0171】
導電膜310a、310b、310c、310d、310e、310fは、導電材料として、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンからなる単体金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、タングステン膜上にチタン膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
【0172】
絶縁膜306、酸化物半導体膜308a、308b、金属酸化物膜308c、及び導電膜310a、310b、310c、310d、310e、310f上には、無機絶縁膜53として、絶縁膜312及び絶縁膜314が形成されている。絶縁膜312は、絶縁膜306と同様に、酸化物半導体膜との界面特性を向上させることが可能な材料を用いることが好ましく、酸化物絶縁膜を用いて形成することができる。ここでは、絶縁膜312としては、絶縁膜312a、312bを積層して形成する。
【0173】
絶縁膜312aは、酸素を透過する酸化物絶縁膜である。なお、絶縁膜312aは、後に形成する絶縁膜312bを形成する際の、酸化物半導体膜308a、308b、及び金属酸化物膜308cへのダメージ緩和膜としても機能する。
【0174】
絶縁膜312aとしては、厚さが5nm以上150nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下の酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。なお、本明細書中において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い膜を指し、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い膜を指す。
【0175】
また、絶縁膜312aは、酸化物絶縁膜であり、該酸化物絶縁膜は、窒素を含み、且つ欠陥量の少ないことが好ましい。
【0176】
窒素を含み、且つ欠陥量の少ない酸化物絶縁膜の代表例としては、酸化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜等がある。
【0177】
欠陥の少ない酸化物絶縁膜は、100K以下のESRで測定して得られたスペクトルにおいてg値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.964以上1.966以下の第3のシグナルが観測される。なお、第1のシグナル及び第2のシグナルのスプリット幅、並びに第2のシグナル及び第3のシグナルのスプリット幅は、XバンドのESR測定において約5mTである。また、g値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.964以上1.966以下である第3のシグナルのスピンの密度の合計が1×1018spins/cm未満であり、代表的には1×1017spins/cm以上1×1018spins/cm未満である。
【0178】
なお、100K以下のESRスペクトルにおいてg値が2.037以上2.039以下の第1シグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.964以上1.966以下の第3のシグナルは、窒素酸化物(NOx、xは0以上2以下、好ましくは1以上2以下)起因のシグナルに相当する。窒素酸化物の代表例としては、一酸化窒素、二酸化窒素等がある。即ち、g値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.964以上1.966以下である第3のシグナルのスピンの密度の合計が少ないほど、酸化物絶縁膜に含まれる窒素酸化物の含有量が少ないといえる。
【0179】
絶縁膜312aが、上記のように、窒素酸化物の含有量が少ないと、絶縁膜312aと酸化物半導体膜との界面におけるキャリアのトラップを低減することが可能である。この結果、表示装置に含まれるトランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を低減することができる。
【0180】
また、絶縁膜312aは、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)で測定される窒素濃度が6×1020atoms/cm以下であることが好ましい。この結果、絶縁膜312aにおいて、窒素酸化物が生成されにくくなり、絶縁膜312aと、酸化物半導体膜308a、308bとの界面におけるキャリアのトラップを低減することが可能である。また、表示装置に含まれるトランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を低減することができる。
【0181】
なお、絶縁膜312aにおいて、膜中に窒素酸化物及びアンモニアが含まれると、作製工程における加熱処理において、窒素酸化物及びアンモニアが反応し、窒素酸化物が窒素ガスとなって脱離する。この結果、絶縁膜312aの窒素濃度及び窒素酸化物の含有量を低減することができる。また、絶縁膜312aと、酸化物半導体膜308a、308bとの界面におけるキャリアのトラップを低減することが可能である。また、表示装置に含まれるトランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を低減することができる。
【0182】
なお、絶縁膜312aにおいては、外部から絶縁膜312aに入った酸素が全て絶縁膜312aの外部に移動せず、絶縁膜312aにとどまる酸素もある。また、絶縁膜312aに酸素が入ると共に、絶縁膜312aに含まれる酸素が絶縁膜312aの外部へ移動することで絶縁膜312aにおいて酸素の移動が生じる場合もある。
【0183】
絶縁膜312aとして酸素を透過する酸化物絶縁膜を形成すると、絶縁膜312a上に設けられる、絶縁膜312bから脱離する酸素を、絶縁膜312aを介して酸化物半導体膜308a、308bに移動させることができる。
【0184】
絶縁膜312aに接するように絶縁膜312bが形成されている。絶縁膜312bは、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いて形成する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、加熱により酸素の一部が脱離する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、TDS分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm以上である酸化物絶縁膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。
【0185】
絶縁膜312bとしては、厚さが30nm以上500nm以下、好ましくは50nm以上400nm以下の、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。
【0186】
また、絶縁膜312bは、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が1.5×1018spins/cm未満、更には1×1018spins/cm以下であることが好ましい。なお、絶縁膜312bは、絶縁膜312aと比較して酸化物半導体膜308a、308bから離れているため、絶縁膜312aより、欠陥密度が多くともよい。
【0187】
絶縁膜314として、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキング効果を有する窒化物絶縁膜を設けることで、酸化物半導体膜308a、308b、及び金属酸化物膜308cからの酸素の外部への拡散を防ぐことができる。窒化物絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等がある。
【0188】
なお、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキング効果を有する窒化物絶縁膜上に、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設けてもよい。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。また、容量素子の容量値を制御するため、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキング効果を有する窒化物絶縁膜上に窒化物絶縁膜または酸化絶縁膜を適宜設けてもよい。
【0189】
また、絶縁膜314上には導電膜316bが形成されている。導電膜316bは、容量素子の電極として機能することができる。
【0190】
導電膜316bとしては、透光性を有する導電性材料を用いて形成することができる。透光性を有する導電性材料としては、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、ITO、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などがある。
【0191】
有機絶縁膜317としては、アクリル樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂等の有機樹脂を用いることができる。なお、有機絶縁膜317は、500nm以上5000nm以下、好ましくは1000nm以上3000nm以下とする。有機絶縁膜317の厚さを上記の厚さとすることで、導電膜316b上の凹部に有機絶縁膜317を充填させることが可能であり、配向膜320が形成される領域の凹凸を低減することができる。
【0192】
有機樹脂を用いて有機絶縁膜317を形成することで、少なくとも画素電極として機能する導電膜316bの凹部を有機絶縁膜317で充填することが可能であり、発光素子394の構成する部材を平坦な面に形成することができる。そのため発光素子394では、電極間のショート等が低減され、歩留まりの向上を図ることができる。
【0193】
また、有機絶縁膜317上には、導電膜319、319aが形成されている。導電膜319は、画素電極として機能する。導電膜319aは、ゲート絶縁膜51、無機絶縁膜53及び有機絶縁膜317に設けられた開口部において導電膜304bと導電膜310cとを電気的に接続する。即ち導電膜319aは、導電膜304b及び導電膜310cを接続する接続電極として機能する。
【0194】
有機絶縁膜317は、これに限定されない。例えば、有機絶縁膜317は、カラーフィルタや、ブラックマトリックスの機能を有することも可能である。例えば、有機絶縁膜317が、カラーフィルタの機能を有する場合には、例えば、赤色の画素、青色の画素、緑色の画素に合わせて、各色ごとに、有色性を有する有機絶縁膜317を形成すればよい。
【0195】
導電膜319、319aは、導電膜316bと同様に透光性を有する導電性材料を用いて形成することができる。なお導電膜319を発光素子394の陽極として用いる場合、導電膜319、319aはインジウム錫酸化物などの発光層392よりも仕事関数が大きく透光性を有する膜を用いるとよい。
【0196】
なお、導電膜304a及び導電膜310cが直接接するような接続構造とするには、導電膜310cを形成する前に、絶縁膜305、絶縁膜306に開口部を形成するためにパターニングを行い、マスクを形成する必要がある。しかしながら、図6のように、導電膜319aにより、導電膜304a及び導電膜310cを接続することで、導電膜304a及び導電膜310cが直接接する接続部を作製する必要が無くなり、フォトマスクを1枚少なくすることができる。即ち、表示装置の作製工程を削減することが可能である。
【0197】
また、有機絶縁膜317及び導電膜319上には、発光素子394を隣接する画素間で分離する機能、すなわち隔壁としての機能を有する絶縁層391が形成されている。絶縁層391としては、絶縁性を有していればよく、例えば、有機絶縁膜または無機絶縁膜を用いることができる。有機絶縁膜としては、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂、エポキシ系樹脂、またはフェノール系樹脂等を用いることができる。無機絶縁膜としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。特に、感光性の有機樹脂材料を用いることで、絶縁層391の作製が容易となるため好ましい。
【0198】
また、導電膜319及び絶縁層391上には、発光層392が形成されている。発光層392は、少なくとも発光性の物質が含まれる発光層が形成されていればよく、該発光層以外に、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層、及び電荷発生層などの機能層が形成されていてもよい。発光層392は、一対の電極(ここでは、導電膜319と導電膜393)から電子と正孔が注入され電流が流れる。そして、該電子と正孔が再結合することによって発光性の物質が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光することができる。
【0199】
また、発光層392上には、導電膜393が形成されている。導電膜393を発光素子394の陰極として用いる場合、導電膜393は発光素子394に電子を注入できる仕事関数の小さい材料を用いて形成することが好ましい。また、仕事関数の小さい金属単体ではなく、仕事関数の小さいアルカリ金属、またはアルカリ土類金属を数nm形成した層を緩衝層として形成し、その上にアルミニウムなどの金属材料、インジウム錫酸化物等の導電性を有する酸化物材料、または半導体材料を用いて形成してもよい。また、緩衝層として、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、または、マグネシウム−銀等の合金を用いることもできる。なお発光層392が発光する光は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を用いることができる。他にも白色や黄色、又はその他の色を発光する発光素子を用いることができる。
【0200】
なお発光層392が発光する光が白色の場合、図示していないが基板302上に有色性を有する膜(有色膜)を形成してもよい。有色膜は、カラーフィルタとしての機能を有する。また、有色膜に隣接する遮光膜が基板302上に形成することができる。遮光膜は、ブラックマトリクスとして機能する。また、有色膜の代わりに色変換層を設ける構成としてもよいし、表示装置が白黒表示の場合は、特に設けなくてもよい。
【0201】
有色膜としては、特定の波長帯域の光を透過する有色膜であればよく、例えば、赤色の波長帯域の光を透過する赤色(R)のカラーフィルタ、緑色の波長帯域の光を透過する緑色(G)のカラーフィルタ、青色の波長帯域の光を透過する青色(B)のカラーフィルタなどを用いることができる。
【0202】
また遮光膜としては、特定の波長帯域の光を遮光する機能を有していればよく、金属膜または黒色顔料等を含んだ有機絶縁膜などを用いることができる。
【0203】
また、基板342と基板302との間の空間には、水分による発光素子394の劣化を抑制するため、乾燥剤を設けてもよい。また、液晶層や樹脂等で充填する構成としてもよい。
【0204】
なお図2(B)に一例として示した画素301で液晶素子31を用いる場合の断面図を図42に示す。図42では、本実施の形態で説明した構成を有する素子基板に加えて、対向基板997を有する。対向基板997は、対向電極998を有する。なお素子基板と対向基板の間には、液晶999が充填され、対向電極と画素電極との間の液晶とで、液晶素子を形成する。
【0205】
図6に示す表示装置に示す基板302上に設けられた素子部の作製方法について、図7乃至図12を用いて説明する。なお、ここでは、基板302上に設けられた素子部としては、基板302と導電膜393に挟まれた領域のことをさす。
【0206】
トランジスタを構成する膜(絶縁膜、酸化物半導体膜、金属酸化物膜、導電膜等)は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD)法を用いて形成することができる。あるいは、塗布法や印刷法で形成することができる。成膜方法としては、スパッタリング法、プラズマ化学気相堆積(PECVD)法が代表的であるが、熱CVD法でもよい。熱CVD法の例として、MOCVD(有機金属化学堆積)法やALD(原子層成膜)法を使ってもよい。
【0207】
熱CVD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行う。このように、熱CVD法は、プラズマを発生させない成膜方法であるため、プラズマダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。
【0208】
また、ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスが順次にチャンバーに導入され、そのガス導入の順序を繰り返すことで成膜を行う。例えば、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブともよぶ)を切り替えて2種類以上の原料ガスを順番にチャンバーに供給し、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原料ガスと同時またはその後に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)などを導入し、第2の原料ガスを導入する。なお、同時に不活性ガスを導入する場合には、不活性ガスはキャリアガスとなり、また、第2の原料ガスの導入時にも同時に不活性ガスを導入してもよい。また、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着して第1の単原子層を成膜し、後から導入される第2の原料ガスと反応して、第2の単原子層が第1の単原子層上に積層されて薄膜が形成される。
【0209】
このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入順序を繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細なトランジスタを作製する場合に適している。
【0210】
まず、基板302を準備する。ここでは、基板302としてガラス基板を用いる。
【0211】
次に、基板302上に導電膜を形成し、該導電膜を所望の領域に加工することで、導電膜304a、304b、304cを形成する。なお、導電膜304a、304b、304cの形成は、所望の領域に第1のパターニングによるマスクの形成を行い、該マスクに覆われていない領域をエッチングすることで形成することができる(図7(A)参照。)。
【0212】
また、導電膜304a、304b、304cは、代表的には、スパッタリング法、真空蒸着法、PLD法、熱CVD法等を用いて形成することができる。
【0213】
また、ALDを利用する成膜装置により導電膜304a、304b、304cとしてタングステン膜を成膜することができる。この場合には、WFガスとBガスを順次繰り返し導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WFガスとHガスを同時に導入してタングステン膜を形成する。なお、Bガスに代えてSiHガスを用いてもよい。
【0214】
次に、基板302、及び導電膜304a、304b、304c上に、絶縁膜305を形成し、絶縁膜305上に絶縁膜306を形成する(図5参照。)。
【0215】
絶縁膜305及び絶縁膜306は、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法、PLD法、熱CVD法等により形成することができる。なお、絶縁膜305及び絶縁膜306は、真空中で連続して形成すると不純物の混入が抑制され好ましい。
【0216】
絶縁膜305及び絶縁膜306として酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
【0217】
また、絶縁膜305及び絶縁膜306として酸化ガリウム膜を形成する場合、MOCVD法を用いて形成することができる。
【0218】
また、絶縁膜305及び絶縁膜306として、MOCVD法などの熱CVD法やALD法を用いて、酸化ハフニウム膜を形成する場合には、溶媒とハフニウム前駆体化合物を含む液体(ハフニウムアルコキシド溶液、代表的にはテトラキスジメチルアミドハフニウム(TDMAH))を気化させた原料ガスと、酸化剤としてオゾン(O)の2種類のガスを用いる。なお、テトラキスジメチルアミドハフニウムの化学式はHf[N(CHである。また、他の材料液としては、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウムなどがある。
【0219】
また、絶縁膜305及び絶縁膜306として、MOCVD法などの熱CVD法やALD法を用いて、酸化アルミニウム膜を形成する場合には、溶媒とアルミニウム前駆体化合物を含む液体(トリメチルアルミニウムTMAなど)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてHOの2種類のガスを用いる。なお、トリメチルアルミニウムの化学式はAl(CHである。また、他の材料液としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)などがある。
【0220】
また、絶縁膜305及び絶縁膜306として、MOCVD法などの熱CVD法やALD法を用いて、酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサジクロロジシランを被成膜面に吸着させ、吸着物に含まれる塩素を除去し、酸化性ガス(O、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と反応させる。
【0221】
次に、絶縁膜306上に酸化物半導体膜307を形成する(図7(B)参照。)。
【0222】
酸化物半導体膜307は、スパッタリング法、塗布法、パルスレーザー蒸着法、レーザーアブレーション法、熱CVD法等などを用いて形成することができる。
【0223】
スパッタリングガスは、希ガス(代表的にはアルゴン)、酸素、希ガス及び酸素の混合ガスを適宜用いる。なお、希ガス及び酸素の混合ガスの場合、希ガスに対して酸素のガス比を高めることが好ましい。
【0224】
また、ターゲットは、形成する酸化物半導体膜の組成にあわせて、適宜選択すればよい。
【0225】
なお、酸化物半導体膜を形成する際に、例えば、スパッタリング法を用いる場合、基板温度を150℃以上750℃以下、好ましくは150℃以上450℃以下、さらに好ましくは200℃以上350℃以下として、酸化物半導体膜を成膜することで、CAAC−OS膜を形成することができる。
【0226】
また、CAAC−OS膜を成膜するために、以下の条件を適用することが好ましい。
【0227】
成膜時の不純物混入を抑制することで、不純物によって結晶状態が崩れることを抑制できる。例えば、成膜室内に存在する不純物濃度(水素、水、二酸化炭素及び窒素など)を低減すればよい。また、成膜ガス中の不純物濃度を低減すればよい。具体的には、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下である成膜ガスを用いる。
【0228】
ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばInGaZnO(X>0)膜を成膜する場合には、In(CHガスとOガスを順次繰り返し導入してInO層を形成し、その後、Ga(CHガスとOガスを同時に導入してGaO層を形成し、更にその後Zn(CHガスとOガスを同時に導入してZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを混ぜてInGaO層やInZnO層、GaInO層、ZnInO層、GaZnO層などの混合化合物層を形成してもよい。なお、Oガスに変えてAr等の不活性ガスでバブリングしたHOガスを用いてもよいが、Hを含まないOガスを用いる方が好ましい。また、In(CHガスにかえて、In(Cガスを用いてもよい。また、Ga(CHガスにかえて、Ga(Cガスを用いてもよい。また、Zn(CHガスを用いてもよい。
【0229】
次に、酸化物半導体膜307を所望の領域に加工することで、島状の酸化物半導体膜308a、308b、308dを形成する。なお、酸化物半導体膜308a、308b、308dは、所望の領域に第2のパターニングによるマスクの形成を行い、該マスクに覆われていない領域をエッチングすることで形成することができる。エッチングとしては、ドライエッチング、ウエットエッチング、または双方を組み合わせたエッチングを用いることができる(図7(C)参照。)。
【0230】
なお、この後、加熱処理を行って、酸化物半導体膜308a、308b、308dに含まれる水素、水等を脱離させ、酸化物半導体膜308a、308b、308dに含まれる水素濃度及び水濃度を低減してもよい。この結果、高純度化された酸化物半導体膜308a、308b、308dを形成することができる。該加熱処理の温度は、代表的には、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下とする。なお、該加熱処理の温度を、代表的には、300℃以上400℃以下、好ましくは320℃以上370℃以下とすることで、大面積基板においても基板の反りやシュリンクを低減することが可能であり、歩留まりが向上する。
【0231】
当該加熱処理は、電気炉、RTA装置等を用いることができる。RTA装置を用いることで、短時間に限り、基板の歪み点以上の温度で熱処理を行うことができる。そのため加熱処理時間を短縮することが可能であり、加熱処理中の基板の反りを低減することが可能であり、大面積基板において特に好ましい。
【0232】
また、加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、上記窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい。また、窒素または希ガス雰囲気で加熱処理した後、酸素または超乾燥空気雰囲気で加熱してもよい。この結果、酸化物半導体膜中に含まれる水素、水等を脱離させると共に、酸化物半導体膜中に酸素を供給することができる。この結果、酸化物半導体膜中に含まれる酸素欠損量を低減することができる。
【0233】
なお、後に形成される絶縁膜311aの成膜温度を280℃以上400℃以下とする場合、酸化物半導体膜308a、308b、308dに含まれる水素、水等を脱離させることが可能であるため、当該加熱処理は不要である。
【0234】
次に、絶縁膜306、及び酸化物半導体膜308a、308b、308d上に導電膜309を形成する(図8(A)参照。)。
【0235】
導電膜309は、スパッタリング法、真空蒸着法、PLD法、熱CVD法等を用いて形成することができる。
【0236】
次に、導電膜309を所望の領域に加工することで、導電膜310a、310b、310c、310d、310e、310fを形成する。なお、導電膜310a、310b、310c、310d、310e、310fの形成は、所望の領域に第3のパターニングによるマスクの形成を行い、該マスクに覆われていない領域をエッチングすることで、形成することができる(図8(B)参照。)。
【0237】
次に、絶縁膜306、酸化物半導体膜308a、308b、308d、及び導電膜310a、310b、310c、310d、310e、310f上を覆うように、絶縁膜311a、311bが積層された絶縁膜311を形成する(図8(C)参照。)。絶縁膜311は、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等を用いて形成することができる。
【0238】
なお、絶縁膜311aを形成した後、大気に曝すことなく、連続的に絶縁膜311bを形成することが好ましい。絶縁膜311aを形成した後、大気開放せず、原料ガスの流量、圧力、高周波電力及び基板温度の一以上を調整して、絶縁膜311bを連続的に形成することで、絶縁膜311a、311bにおける界面の大気成分由来の不純物濃度を低減することができると共に、絶縁膜311bに含まれる酸素を酸化物半導体膜308a、308b、308dに移動させることが可能であり、酸化物半導体膜308a、308b、308dの酸素欠損量を低減することができる。
【0239】
絶縁膜311aとしては、堆積性気体に対する酸化性気体を20倍より大きく100倍未満、好ましくは40以上80以下とし、処理室内の圧力を100Pa未満、好ましくは50Pa以下とするCVD法を用いることで、窒素を含み、且つ欠陥量の少ない酸化物絶縁膜を形成することができる。
【0240】
絶縁膜311aの原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
【0241】
上記条件を用いることで、絶縁膜311aとして酸素を透過する酸化物絶縁膜を形成することができる。また、絶縁膜311aを設けることで、後に形成する絶縁膜311bの形成工程において、酸化物半導体膜308a、308b、308dへのダメージ低減が可能である。
【0242】
絶縁膜311bとしては、プラズマCVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以上280℃以下、さらに好ましくは200℃以上240℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を100Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上200Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に0.17W/cm以上0.5W/cm以下、さらに好ましくは0.25W/cm以上0.35W/cm以下の高周波電力を供給する条件により、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する。
【0243】
絶縁膜311bの原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
【0244】
絶縁膜311bの成膜条件として、高周波電力を供給することで、プラズマ中で原料ガスの分解効率が高まり、酸素ラジカルが増加し、原料ガスの酸化が進むため、絶縁膜311b中における酸素含有量が化学量論比よりも多くなる。しかしながら、基板温度が、上記絶縁膜311bの成膜温度であると、シリコンと酸素の結合力が弱いため、加熱により酸素の一部が脱離する。この結果、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸素の一部が脱離する酸化物絶縁膜を形成することができる。また、酸化物半導体膜308a、308b、308d上に絶縁膜311aが設けられている。このため、絶縁膜311bの形成工程において、絶縁膜311aが酸化物半導体膜308a、308b、308dの保護膜となる。この結果、酸化物半導体膜308a、308b、308dへのダメージを低減しつつ、高いパワー密度の高周波電力を用いて絶縁膜311bを形成することができる。
【0245】
なお、絶縁膜311bの成膜条件において、酸化性気体に対するシリコンを含む堆積性気体の流量を増加することで、絶縁膜311bの欠陥量を低減することが可能である。代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が6×1017spins/cm未満、好ましくは3×1017spins/cm以下、好ましくは1.5×1017spins/cm以下である欠陥量の少ない酸化物絶縁膜を形成することができる。この結果トランジスタの信頼性を高めることができる。
【0246】
次に、加熱処理を行う。該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上基板歪み点未満、好ましくは200℃以上450℃以下、更に好ましくは300℃以上450℃以下とする。なお、該加熱処理の温度を、代表的には、300℃以上400℃以下、好ましくは320℃以上370℃以下とすることで、大面積基板においても基板の反りやシュリンクを低減することが可能であり、歩留まりが向上する。
【0247】
該加熱処理は、電気炉、RTA装置等を用いることができる。RTA装置を用いることで、短時間に限り、基板の歪み点以上の温度で熱処理を行うことができる。そのため加熱処理時間を短縮することができる。
【0248】
加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、上記窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい。
【0249】
当該加熱処理により、絶縁膜311bに含まれる酸素の一部を酸化物半導体膜308a、308b、308dに移動させ、酸化物半導体膜308a、308b、308dに含まれる酸素欠損を低減することが可能である。この結果、酸化物半導体膜308a、308b、308dに含まれる酸素欠損量をさらに低減することができる。
【0250】
また、絶縁膜311a、311bに水、水素等が含まる場合、水、水素等をブロッキングする機能を有する絶縁膜313を後に形成し、加熱処理を行うと、絶縁膜311a、311bに含まれる水、水素等が、酸化物半導体膜308a、308b、308dに移動し、酸化物半導体膜308a、308b、308dに欠陥が生じてしまう。しかしながら、当該加熱により、絶縁膜311a、311bに含まれる水、水素等を脱離させることが可能であり、トランジスタの電気特性のばらつきを低減すると共に、しきい値電圧の変動を抑制することができる。
【0251】
なお、加熱しながら絶縁膜311bを絶縁膜311a上に形成することで、酸化物半導体膜308a、308b、308dに酸素を移動させ、酸化物半導体膜308a、308b、308dに含まれる酸素欠損を低減することが可能であるため、当該加熱処理を行わなくともよい。
【0252】
また、導電膜310a、310b、310d、310e、310fを形成する際、導電膜のエッチングによって、酸化物半導体膜308a、308b、308dはダメージを受け、酸化物半導体膜308a、308bのバックチャネル(酸化物半導体膜308a、308bにおいて、ゲート電極として機能する導電膜304a、304cと対向する面と反対側の面)側に酸素欠損が生じる。しかし、絶縁膜311bに化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を適用することで、加熱処理によって当該バックチャネル側に生じた酸素欠損を修復することができる。これにより、酸化物半導体膜308a、308bに含まれる欠陥を低減することができるため、トランジスタの信頼性を向上させることができる。
【0253】
なお、当該加熱処理は、後に形成される開口部362を形成した後に行ってもよい。
【0254】
次に、絶縁膜311a、311bを所望の領域に加工することで、絶縁膜312a及び絶縁膜312bが積層された絶縁膜312、及び開口部362を形成する。なお、絶縁膜312、及び開口部362の形成は、所望の領域に第4のパターニングによるマスクの形成を行い、該マスクに覆われていない領域をエッチングすることで、形成することができる(図9(A)参照。)。
【0255】
なお、開口部362は、酸化物半導体膜308dの表面が露出するように形成する。開口部362の形成方法としては、例えば、ドライエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法により、絶縁膜311をエッチングすることが好ましい。この結果、酸化物半導体膜308dはエッチング処理においてプラズマに曝されるため、酸化物半導体膜308dの酸素欠損を増加させることが可能である。ただし、開口部362の形成方法としては、これに限定されず、ウエットエッチング法、またはドライエッチング法とウエットエッチング法を組み合わせた形成方法としてもよい。
【0256】
次に、絶縁膜312及び酸化物半導体膜308d上に絶縁膜314を形成する(図9(B)参照。)。
【0257】
絶縁膜314としては、外部からの不純物、例えば、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が、酸化物半導体膜へ拡散するのを防ぐ材料を用いることが好ましく、更には水素を含むことが好ましく、代表的には窒素を含む無機絶縁材料、例えば窒化物絶縁膜を用いることができる。絶縁膜314としては、例えば、CVD法、スパッタリング法を用いて形成することができる。
【0258】
絶縁膜314をプラズマCVD法またはスパッタリング法で成膜すると、酸化物半導体膜がプラズマに曝され、酸化物半導体膜に酸素欠損が生成される。また、絶縁膜314は、外部からの不純物、例えば、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が、酸化物半導体膜へ拡散するのを防ぐ材料で形成される膜であり、更には水素を含む。このため、絶縁膜314の水素が酸化物半導体膜308dに拡散すると、該酸化物半導体膜308dにおいて水素は酸素と結合し、キャリアである電子が生成される。または、酸化物半導体膜に含まれる酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される。これらの結果、酸化物半導体膜308dは、導電性が高くなり、金属酸化物膜308cとなる。
【0259】
また、上記窒化シリコン膜は、ブロック性を高めるために、高温で成膜されることが好ましく、例えば基板温度100℃以上400℃以下、より好ましくは300℃以上400℃以下の温度で加熱して成膜することが好ましい。また高温で成膜する場合は、酸化物半導体膜308a、308bとして用いる酸化物半導体から酸素が脱離し、キャリア濃度が上昇する現象が発生することがあるため、このような現象が発生しない温度とする。
【0260】
次に、絶縁膜314上に導電膜315を形成する(図10(A)参照。)。
【0261】
導電膜315は、例えば、スパッタリング法を用いて形成することができる。
【0262】
次に、導電膜315を所望の領域に加工することで、導電膜316bを形成する。なお、導電膜316bの形成は、所望の領域に第5のパターニングによるマスクの形成を行い、該マスクに覆われていない領域をエッチングすることで形成することができる(図10(B)参照。)。
【0263】
次に、絶縁膜314、導電膜316bを覆うように有機絶縁膜317を形成する(図10(C)参照。)。平坦化膜として機能する有機絶縁膜317は、絶縁膜313及び導電膜316bのそれぞれ一部が露出されるように開口部を有する。
【0264】
有機絶縁膜317は、スピンコート法、ディップコート法等の塗布法を用いて感光性の組成物を絶縁膜313及び導電膜316b上に塗布した後、第6のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により組成物を露光及び現像し、その後加熱処理を行うことで形成される。なお、非感光性の組成物を絶縁膜313及び導電膜316b上に塗布した場合、非感光性の組成物上にレジストを塗布し、第6のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程によりレジストを加工してマスクを形成し、該マスクを用いて非感光性の組成物をエッチングすることで、有機絶縁膜317を形成することができる。
【0265】
なお、有機絶縁膜317として、インクジェット法、印刷法等の湿式法を用いて形成することで、フォトマスク枚数を削減することができる。
【0266】
次に、有機絶縁膜317をマスクとして、絶縁膜305、絶縁膜306、絶縁膜312、及び絶縁膜314それぞれの一部をエッチングして、導電膜304bを露出する開口部364a、導電膜310cを露出する開口部364b、導電膜310eを露出する開口部364cを形成する(図11(A)参照。)。
【0267】
次に、導電膜318を形成する(図11(B)参照。)。
【0268】
導電膜318は、例えば、スパッタリング法を用いて形成することができる。
【0269】
次に、導電膜318を所望の領域に加工することで、導電膜319、319aを形成する。なお、導電膜319、319aの形成は、所望の領域に第7のパターニングによるマスクの形成を行い、該マスクに覆われていない領域をエッチングすることで形成することができる(図11(C)参照。)。
【0270】
次に、絶縁層を形成し、所望の領域に加工することで、絶縁層391を形成する。なお、絶縁層391の形成は、所望の領域に第8のパターニングによるマスクの形成を行い、該マスクに覆われていない領域をエッチングすることで形成することができる(図12(A)参照。)。
【0271】
なお隔壁として機能する絶縁層391は、その側壁がテーパーまたは連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。絶縁層391の側壁をこのような形状とすることで、後に形成される発光層392や導電膜393の被覆性を良好なものとすることができる。
【0272】
次に、発光層392及び導電膜393を形成する。(図12(B)参照。)。第1の電極として機能する導電膜319と、発光層392及び導電膜393を積層して設けることで、発光素子394を形成することができる。
【0273】
以上の工程で基板302上に、図5及び図6に示す、トランジスタを有する画素部及び駆動回路部を有する表示装置を形成することができる。なお、本実施の形態に示す作製工程においては、第1乃至第8のパターニング、すなわち8枚のフォトマスクで、トランジスタ及び容量素子を同時に形成することができる。
【0274】
なお、本実施の形態では、絶縁膜314に含まれる水素を酸化物半導体膜308dに拡散させて、酸化物半導体膜308dの導電性を高めたが、酸化物半導体膜308a、308bをマスクで覆い、酸化物半導体膜308dに不純物、代表的には、水素、ホウ素、リン、スズ、アンチモン、希ガス元素、アルカリ金属、アルカリ土類金属等を添加して、酸化物半導体膜308dの導電性を高めてもよい。酸化物半導体膜308dに水素、ホウ素、リン、スズ、アンチモン、希ガス元素等を添加する方法としては、イオンドーピング法、イオン注入法等がある。一方、酸化物半導体膜308dにアルカリ金属、アルカリ土類金属等を添加する方法としては、該不純物を含む溶液を酸化物半導体膜308dに塗布する方法がある。
【0275】
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0276】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2と異なるトランジスタを有する表示装置について、図13乃至図19を用いて説明する。
【0277】
図13に示す表示装置は、A−Bに示す駆動回路部において、デュアルゲート構造のトランジスタ102aを有することを特徴とする。
【0278】
駆動回路部に設けられたトランジスタ102aは、基板302上に設けられるゲート電極として機能する導電膜304aと、ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜305、306と、絶縁膜306上に形成される酸化物半導体膜308aと、酸化物半導体膜308aに接する、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜310a、310bとを有する。また、酸化物半導体膜308a及び導電膜310a、310b上に絶縁膜312、314が形成され、絶縁膜314上にゲート電極として機能する導電膜316dが形成される。ゲート電極として機能する導電膜316dは、絶縁膜305、絶縁膜306、絶縁膜312及び絶縁膜314に設けられた開口部(図示しない。)において、ゲート電極として機能する導電膜304aと接続する。即ち、導電膜304a及び導電膜316dは同電位である。
【0279】
このため、トランジスタ102aの各ゲート電極に同電位の電圧を印加することで、初期特性バラつきの低減、−GBTストレス試験の劣化の抑制及び異なるドレイン電圧におけるオン電流の立ち上がり電圧の変動の抑制が可能である。また、酸化物半導体膜308aにおいてキャリアの流れる領域が膜厚方向においてより大きくなるため、キャリアの移動量が増加する。この結果、トランジスタ102aのオン電流が大きくなる共に、電界効果移動度が高くなり、代表的には電界効果移動度が20cm/V・s以上となる。
【0280】
エッチング等で加工された酸化物半導体膜の端部においては、加工におけるダメージにより欠陥が形成される共に、不純物付着などにより汚染されるため、電界などのストレスが与えられることによって活性化しやすく、それによりn型(低抵抗)となりやすい。そのため、ゲート電極として機能する導電膜304aと重なる酸化物半導体膜308aの端部において、n型化しやすくなる。当該n型化された端部が、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜310a、310bの間に設けられると、n型化された領域がキャリアのパスとなってしまい、寄生チャネルが形成される。しかしながら、チャネル幅方向において、ゲート電極として機能する導電膜316dが、設けられることで、ゲート電極として機能する導電膜316dの電界の影響により、酸化物半導体膜308aの側面、または側面及びその近傍を含む端部における寄生チャネルの発生が抑制される。この結果、しきい値電圧におけるドレイン電流の上昇が急峻である、電気特性の優れたトランジスタとなる。
【0281】
なお、ゲート電極として機能する導電膜316dは、実施の形態2に示す導電膜316bと同様の材料を適宜用いることができる。
【0282】
<変形例1>
本実施の形態の図13に示す表示装置は、駆動回路部のトランジスタとして、デュアルゲート構造のトランジスタを用いて作製されているが、図14に示すように、A−Bに示す駆動回路にデュアルゲート構造のトランジスタ102aを有するとともに、C−Dに示す画素部にデュアルゲート構造のトランジスタ103aを用いてもよい。
【0283】
トランジスタ103aは、基板302上に設けられるゲート電極として機能する導電膜304cと、ゲート絶縁膜51として機能する絶縁膜305、306と、絶縁膜306上に形成される酸化物半導体膜308bと、酸化物半導体膜308bに接する、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜310d、310eとを有する。また、酸化物半導体膜308b及び導電膜310d、310e上に絶縁膜312、314が形成され、絶縁膜314上にゲート電極として機能する導電膜316eが形成される。ゲート電極として機能する導電膜316eは、絶縁膜305、306及び絶縁膜312、314に設けられた開口部(図示しない。)において、ゲート電極として機能する導電膜304cと接続する。即ち、導電膜304c及び導電膜316eは同電位である。
【0284】
駆動回路部と共に画素部に、信頼性が高く、オン電流が大きく、電界効果移動度の高いデュアルゲート構造のトランジスタを設けることで、表示品質の優れた表示装置を作製することができる。
【0285】
<変形例2>
実施の形態2または実施の形態3に示す表示装置において、図15に示すように、駆動回路部に設けられたトランジスタ102aと重なる領域であって、且つ有機絶縁膜317上に、導電膜319と同時に形成された導電膜319bを設けてもよい。導電膜319bは、共通電位、接地電位等の任意の電位とすることができる。デュアルゲート構造のトランジスタ102aと重なる導電膜319bを設けることで、トランジスタ102aのゲート電極として機能する導電膜316dに印加された電圧により発生する電界を導電膜319bが遮蔽することが可能である。
【0286】
<変形例3>
実施の形態2または実施の形態3において、駆動回路部及び画素部に有機絶縁膜317を有する表示装置を説明したが、図16に示すように、画素部にのみ有機絶縁膜317aを設けてもよい。
【0287】
なお、図16に示す表示装置において、図9(B)に示すように絶縁膜314を形成した後、パターニングによるマスクの形成を行い、該マスクを用いて絶縁膜305、306、312、314をそれぞれエッチングして、開口部を形成する。次に、図10(A)に示す導電膜315を形成した後、図10(B)に示す導電膜316bを形成すると同時に、導電膜304b及び導電膜310cを接続する導電膜319aを形成する。こののち、有機絶縁膜317及び導電膜319を形成する。
【0288】
なお、図17に示すように、駆動回路部に有機絶縁膜317を設けない場合、デュアルゲート構造のトランジスタ102bのゲート電極として機能する導電膜316d上に、導電膜319と同時に形成された導電膜319cを設けてもよい。
【0289】
なお、図17の構成に加えて、実施の形態1の図1(B)で説明したように、導電膜319を用いてトランジスタ103の導電膜310eと導電膜316bとを接続する図18の構成としてもよい。
【0290】
なお、図17の構成に加えて、実施の形態1の図1(C)で説明したように、トランジスタ103の導電膜310eと金属酸化物膜308cとが直接接する図19の構成としてもよい。
【0291】
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0292】
(実施の形態4)
実施の形態2及び実施の形態3に示すトランジスタ102、102a、102b、102c、103、103a、103bにおいて、必要に応じて、酸化物半導体膜を積層構造とすることができる。ここでは、トランジスタ103を用いて説明する。
【0293】
図28に示すトランジスタは、絶縁膜306及び導電膜310d、310eの間に、酸化物半導体膜を含む多層膜336が形成されている。
【0294】
多層膜336は、酸化物半導体膜336a及び酸化物半導体膜336bを有する。即ち、多層膜336は2層構造である。また、酸化物半導体膜336aの一部がチャネル領域として機能する。また、多層膜336に接するように、絶縁膜312aが形成されており、絶縁膜312aに接するように酸化物半導体膜336bが形成されている。即ち、酸化物半導体膜336aと絶縁膜312aとの間に、酸化物半導体膜336bが設けられている。
【0295】
酸化物半導体膜336bは、酸化物半導体膜336aを構成する元素の一種以上から構成される。酸化物半導体膜336bは、酸化物半導体膜336aを構成する元素の一種以上から構成されるため、酸化物半導体膜336aと酸化物半導体膜336bとの界面において、界面散乱が起こりにくい。従って、該界面においてはキャリアの動きが阻害されないため、トランジスタの電界効果移動度が高くなる。
【0296】
酸化物半導体膜336bは、代表的には、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物、In−M−Zn酸化物(MはAl、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHf)であり、且つ酸化物半導体膜336aよりも伝導帯の下端のエネルギーが真空準位に近く、代表的には、酸化物半導体膜336bの伝導帯の下端のエネルギーと、酸化物半導体膜336aの伝導帯の下端のエネルギーとの差が、0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上、または0.15eV以上、且つ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下、または0.4eV以下である。即ち、酸化物半導体膜336bの電子親和力と、酸化物半導体膜336aの電子親和力との差が、0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上、または0.15eV以上、且つ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下、または0.4eV以下である。
【0297】
酸化物半導体膜336bは、Inを含むことで、キャリア移動度(電子移動度)が高くなるため好ましい。
【0298】
酸化物半導体膜336bとして、Al、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfをInより高い原子数比で有することで、以下の効果を有する場合がある。(1)酸化物半導体膜336bのエネルギーギャップを大きくする。(2)酸化物半導体膜336bの電子親和力を小さくする。(3)外部からの不純物を遮蔽する。(4)酸化物半導体膜336aと比較して、絶縁性が高くなる。(5)Al、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfは酸素との結合力が強い金属元素であるため、Al、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、SnまたはHfをInより高い原子数比で有することで、酸素欠損が生じにくくなる。
【0299】
酸化物半導体膜336bがIn−M−Zn酸化物であるとき、ZnおよびOを除いてのInとMの原子数比率は、InおよびMの和を100atomic%としたときInが50atomic%未満、Mが50atomic%以上、さらに好ましくは、Inが25atomic%未満、Mが75atomic%以上とする。
【0300】
また、酸化物半導体膜336a、及び酸化物半導体膜336bがIn−M−Zn酸化物の場合、酸化物半導体膜336aと比較して、酸化物半導体膜336bに含まれるMの原子数比が大きく、代表的には、酸化物半導体膜336aに含まれる上記原子と比較して、1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上高い原子数比である。
【0301】
また、酸化物半導体膜336a、及び酸化物半導体膜336bがIn−M−Zn酸化物の場合、酸化物半導体膜336bをIn:M:Zn=x:y:z[原子数比]、酸化物半導体膜336aをIn:M:Zn=x:y:z[原子数比]とすると、y/xがy/xよりも大きく、好ましくは、y/xがy/xよりも1.5倍以上である。さらに好ましくは、y/xがy/xよりも2倍以上大きく、より好ましくは、y/xがy/xよりも3倍以上大きい。このとき酸化物半導体膜336bにおいて、yがx以上であると、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタに安定した電気特性を付与できるため好ましい。ただし、yがxの3倍以上になると、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタの電界効果移動度が低下してしまうため、yはxの3倍未満であると好ましい。
【0302】
例えば、酸化物半導体膜336aとしてIn:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:1:1.2、または3:1:2の原子数比のIn−Ga−Zn酸化物を用いることができる。また、酸化物半導体膜336bとしてIn:Ga:Zn=1:3:n(nは2以上8以下の整数)、1:6:m(mは2以上10以下の整数)、または1:9:6の原子数比のIn−Ga−Zn酸化物を用いることができる。なお、酸化物半導体膜336a、及び酸化物半導体膜336bの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス20%の変動を含む。なお、酸化物半導体膜336aにおいて、Znの割合がGa以上であるとCAAC−OSが形成されやすく好ましい。
【0303】
酸化物半導体膜336bは、後に形成される絶縁膜312bを形成する際の、酸化物半導体膜336aへのダメージ緩和膜としても機能する。
【0304】
酸化物半導体膜336bの厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nmとする。
【0305】
また、酸化物半導体膜336bは、酸化物半導体膜336aと同様に、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、後述するCAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶構造、後述する微結晶構造、または非晶質構造を含む。
【0306】
なお、酸化物半導体膜336a及び酸化物半導体膜336bによって、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域の二種以上を有する混合膜を構成してもよい。また、混合膜は、例えば、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域の積層構造を有する場合がある。
【0307】
ここでは、酸化物半導体膜336a及び絶縁膜312aの間に、酸化物半導体膜336bが設けられている。このため、酸化物半導体膜336bと絶縁膜312aの間において、不純物及び欠陥によりトラップ準位が形成されても、当該トラップ準位と酸化物半導体膜336aとの間には隔たりがある。この結果、酸化物半導体膜336aを流れる電子がトラップ準位に捕獲されにくく、トランジスタのオン電流を増大させることが可能であると共に、電界効果移動度を高めることができる。また、トラップ準位に電子が捕獲されると、該電子がマイナスの固定電荷となってしまう。この結果、トランジスタのしきい値電圧が変動してしまう。しかしながら、酸化物半導体膜336aとトラップ準位との間に隔たりがあるため、トラップ準位における電子の捕獲を低減することが可能であり、しきい値電圧の変動を低減することができる。
【0308】
また、酸化物半導体膜336bは、外部からの不純物を遮蔽することが可能であるため、外部から酸化物半導体膜336aへ移動する不純物量を低減することが可能である。また、酸化物半導体膜336bは、酸素欠損を形成しにくい。これらのため、酸化物半導体膜336aにおける不純物濃度及び酸素欠損量を低減することが可能である。
【0309】
なお、酸化物半導体膜336a及び酸化物半導体膜336bは、各膜を単に積層するのではなく連続接合(ここでは特に伝導帯の下端のエネルギーが各膜の間で連続的に変化する構造)が形成されるように作製する。すなわち、各膜の界面にトラップ中心や再結合中心のような欠陥準位を形成するような不純物が存在しないような積層構造とする。仮に、積層された酸化物半導体膜336a及び酸化物半導体膜336bの間に不純物が混在していると、エネルギーバンドの連続性が失われ、界面でキャリアがトラップされ、あるいは再結合して、消滅してしまう。
【0310】
連続接合を形成するためには、ロードロック室を備えたマルチチャンバー方式の成膜装置(スパッタリング装置)を用いて各膜を大気に触れさせることなく連続して積層することが必要となる。スパッタリング装置における各チャンバーは、酸化物半導体膜にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべくクライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて高真空排気(5×10−7Pa乃至1×10−4Pa程度まで)することが好ましい。または、ターボ分子ポンプとコールドトラップを組み合わせて排気系からチャンバー内に気体、特に炭素または水素を含む気体が逆流しないようにしておくことが好ましい。
【0311】
なお、図28において、多層膜336を酸化物半導体膜336a及び酸化物半導体膜336bの2層構造としたが、絶縁膜306と酸化物半導体膜336aの間に、さらに酸化物半導体膜336bと同様の膜を設ける3層構造としてもよい。この場合、絶縁膜306及び酸化物半導体膜336aの間に設ける酸化物半導体膜の膜厚は、酸化物半導体膜336aより小さいと好ましい。酸化物半導体膜の厚さを1nm以上5nm以下、好ましくは1nm以上3nm以下とすることで、トランジスタのしきい値電圧の変動量を低減することが可能である。
【0312】
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0313】
(実施の形態5)
実施の形態では、上記実施の形態で説明した表示装置に含まれているトランジスタにおいて、酸化物半導体膜に適用可能な一態様について説明する。
【0314】
酸化物半導体膜は、単結晶構造の酸化物半導体(以下、単結晶酸化物半導体という。)、多結晶構造の酸化物半導体(以下、多結晶酸化物半導体という。)、微結晶構造の酸化物半導体(以下、微結晶酸化物半導体という。)、及び非晶質構造の酸化物半導体(以下、非晶質酸化物半導体という。)の一以上で構成されてもよい。また、酸化物半導体膜は、CAAC−OS膜で構成されていてもよい。また、酸化物半導体膜は、非晶質酸化物半導体及び結晶粒を有する酸化物半導体で構成されていてもよい。以下に、代表例として、CAAC−OS及び微結晶酸化物半導体について説明する。
【0315】
まずは、CAAC−OS膜について説明する。
【0316】
CAAC−OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
【0317】
CAAC−OS膜を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって観察すると、明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0318】
CAAC−OS膜を、試料面と概略平行な方向からTEMによって観察(断面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
【0319】
一方、CAAC−OS膜を、試料面と概略垂直な方向からTEMによって観察(平面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
【0320】
図20(a)は、CAAC−OS膜の断面TEM像である。また、図20(b)は、図20(a)をさらに拡大した断面TEM像であり、理解を容易にするために原子配列を強調表示している。
【0321】
図20(c)は、図20(a)のA−O−A’間において、丸で囲んだ領域(直径約4nm)の局所的なフーリエ変換像である。図20(c)より、各領域においてc軸配向性が確認できる。また、A−O間とO−A’間とでは、c軸の向きが異なるため、異なるグレインであることが示唆される。また、A−O間では、c軸の角度が14.3°、16.6°、26.4°のように少しずつ連続的に変化していることがわかる。同様に、O−A’間では、c軸の角度が−18.3°、−17.6°、−15.9°と少しずつ連続的に変化していることがわかる。
【0322】
なお、CAAC−OS膜に対し、電子回折を行うと、配向性を示すスポット(輝点)が観測される。例えば、CAAC−OS膜の上面に対し、例えば1nm以上30nm以下の電子線を用いる電子回折(ナノビーム電子回折ともいう。)を行うと、スポットが観測される(図21(A)参照。)。
【0323】
断面TEM観察および平面TEM観察より、CAAC−OS膜の結晶部は配向性を有していることがわかる。
【0324】
なお、CAAC−OS膜に含まれるほとんどの結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさである。従って、CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、一辺が10nm未満、5nm未満または3nm未満の立方体内に収まる大きさの場合も含まれる。ただし、CAAC−OS膜に含まれる複数の結晶部が連結することで、一つの大きな結晶領域を形成する場合がある。例えば、平面TEM像において、2500nm以上、5μm以上または1000μm以上となる結晶領域が観察される場合がある。
【0325】
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnOの結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnOの結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが確認できる。
【0326】
一方、CAAC−OS膜に対し、c軸に概略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による解析では、2θが56°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnOの結晶の(110)面に帰属される。InGaZnOの単結晶酸化物半導体膜であれば、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行うと、(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。これに対し、CAAC−OS膜の場合は、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合でも、明瞭なピークが現れない。
【0327】
以上のことから、CAAC−OS膜では、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は不規則であるが、c軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向を向いていることがわかる。従って、前述の断面TEM観察で確認された層状に配列した金属原子の各層は、結晶のab面に平行な面である。
【0328】
なお、結晶部は、CAAC−OS膜を成膜した際、または加熱処理などの結晶化処理を行った際に形成される。上述したように、結晶のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。従って、例えば、CAAC−OS膜の形状をエッチングなどによって変化させた場合、結晶のc軸がCAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
【0329】
また、CAAC−OS膜中において、c軸配向した結晶部の分布が均一でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の結晶部が、CAAC−OS膜の上面近傍からの結晶成長によって形成される場合、上面近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりもc軸配向した結晶部の割合が高くなることがある。また、不純物の添加されたCAAC−OS膜は、不純物が添加された領域が変質し、部分的にc軸配向した結晶部の割合の異なる領域が形成されることもある。
【0330】
なお、InGaZnOの結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
【0331】
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
【0332】
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
【0333】
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0334】
また、CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
【0335】
次に、微結晶酸化物半導体膜について説明する。
【0336】
微結晶酸化物半導体膜は、TEMによる観察像では、明確に結晶部を確認することができない場合がある。微結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。また、nc−OS膜は、例えば、TEMによる観察像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
【0337】
nc−OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。従って、nc−OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OS膜に対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある(図21(B)参照。)。
【0338】
nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。そのため、nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OS膜は、CAAC−OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0339】
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、CAAC−OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0340】
酸化物半導体膜が複数の構造を有する場合、ナノビーム電子回折を用いることで構造解析が可能となる場合がある。
【0341】
図21(C)に、電子銃室70と、電子銃室70の下の光学系72と、光学系72の下の試料室74と、試料室74の下の光学系76と、光学系76の下の観察室80と、観察室80に設置されたカメラ78と、観察室80の下のフィルム室82と、を有する透過電子回折測定装置を示す。カメラ78は、観察室80内部に向けて設置される。なお、フィルム室82を有さなくても構わない。
【0342】
また、図21(D)に、図21(C)で示した透過電子回折測定装置内部の構造を示す。透過電子回折測定装置内部では、電子銃室70に設置された電子銃から放出された電子が、光学系72を介して試料室74に配置された物質88に照射される。物質88を通過した電子は、光学系76を介して観察室80内部に設置された蛍光板92に入射する。蛍光板92では、入射した電子の強度に応じたパターンが現れることで透過電子回折パターンを測定することができる。
【0343】
カメラ78は、蛍光板92を向いて設置されており、蛍光板92に現れたパターンを撮影することが可能である。カメラ78のレンズの中央、および蛍光板92の中央を通る直線と、カメラ78の蛍光板92の上面と、の為す角度は、例えば、15°以上80°以下、30°以上75°以下、または45°以上70°以下とする。該角度が小さいほど、カメラ78で撮影される透過電子回折パターンは歪みが大きくなる。ただし、あらかじめ該角度がわかっていれば、得られた透過電子回折パターンの歪みを補正することも可能である。なお、カメラ78をフィルム室82に設置しても構わない場合がある。例えば、カメラ78をフィルム室82に、電子84の入射方向と対向するように設置してもよい。この場合、蛍光板92の裏面から歪みの少ない透過電子回折パターンを撮影することができる。
【0344】
試料室74には、試料である物質88を固定するためのホルダが設置されている。ホルダは、物質88を通過する電子を透過するような構造をしている。ホルダは、例えば、物質88をX軸、Y軸、Z軸などに移動させる機能を有していてもよい。ホルダの移動機能は、例えば、1nm以上10nm以下、5nm以上50nm以下、10nm以上100nm以下、50nm以上500nm以下、100nm以上1μm以下などの範囲で移動させる精度を有すればよい。これらの範囲は、物質88の構造によって最適な範囲を設定すればよい。
【0345】
次に、上述した透過電子回折測定装置を用いて、物質の透過電子回折パターンを測定する方法について説明する。
【0346】
例えば、図21(D)に示すように物質におけるナノビームである電子84の照射位置を変化させる(スキャンする)ことで、物質の構造が変化していく様子を確認することができる。このとき、物質88がCAAC−OS膜であれば、図21(A)に示したような回折パターンが観測される。または、物質88がnc−OS膜であれば、図21(B)に示したような回折パターンが観測される。
【0347】
ところで、物質88がCAAC−OS膜であったとしても、部分的にnc−OS膜などと同様の回折パターンが観測される場合がある。したがって、CAAC−OS膜の良否は、一定の範囲におけるCAAC−OS膜の回折パターンが観測される領域の割合(CAAC化率ともいう。)で表すことができる場合がある。例えば、良質なCAAC−OS膜であれば、CAAC化率は、50%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上となる。なお、CAAC−OS膜と異なる回折パターンが観測される領域の割合を非CAAC化率と表記する。
【0348】
一例として、成膜直後(as−sputteredと表記。)、または酸素を含む雰囲気における450℃加熱処理後のCAAC−OS膜を有する各試料の上面に対し、スキャンしながら透過電子回折パターンを取得した。ここでは、5nm/秒の速度で60秒間スキャンしながら回折パターンを観測し、観測された回折パターンを0.5秒ごとに静止画に変換することで、CAAC化率を導出した。なお、電子線としては、プローブ径が1nmのナノビームを用いた。なお、同様の測定は6試料に対して行った。そしてCAAC化率の算出には、6試料における平均値を用いた。
【0349】
各試料におけるCAAC化率を図22(A)に示す。成膜直後のCAAC−OS膜のCAAC化率は75.7%(非CAAC化率は24.3%)であった。また、450℃加熱処理後のCAAC−OS膜のCAAC化率は85.3%(非CAAC化率は14.7%)であった。成膜直後と比べて、450℃加熱処理後のCAAC化率が高いことがわかる。即ち、高い温度(例えば400℃以上)における加熱処理によって、非CAAC化率が低くなる(CAAC化率が高くなる)ことがわかる。また、500℃未満の加熱処理においても高いCAAC化率を有するCAAC−OS膜が得られることがわかる。
【0350】
ここで、CAAC−OS膜と異なる回折パターンのほとんどはnc−OS膜と同様の回折パターンであった。また、測定領域において非晶質酸化物半導体膜は、確認することができなかった。したがって、加熱処理によって、nc−OS膜と同様の構造を有する領域が、隣接する領域の構造の影響を受けて再配列し、CAAC化していることが示唆される。
【0351】
図22(B)および図22(C)は、成膜直後および450℃加熱処理後のCAAC−OS膜の平面TEM像である。図22(B)と図22(C)とを比較することにより、450℃加熱処理後のCAAC−OS膜は、膜質がより均質であることがわかる。即ち、高い温度における加熱処理によって、CAAC−OS膜の膜質が向上することがわかる。
【0352】
このような測定方法を用いれば、複数の構造を有する酸化物半導体膜の構造解析が可能となる場合がある。
【0353】
<成膜モデル>
以下では、CAAC−OSおよびnc−OSの成膜モデルについて説明する。
【0354】
図46(A)は、スパッタリング法によりCAAC−OSが成膜される様子を示した成膜室内の模式図である。
【0355】
ターゲット130は、バッキングプレート上に接着されている。ターゲット130およびバッキングプレート下には、複数のマグネットが配置される。該複数のマグネットによって、ターゲット130上には磁場が生じている。マグネットの磁場を利用して成膜速度を高めるスパッタリング法は、マグネトロンスパッタリング法と呼ばれる。
【0356】
ターゲット130は、多結晶構造を有し、いずれかの結晶粒には劈開面が含まれる。なお、劈開面の詳細については後述する。
【0357】
基板120は、ターゲット130と向かい合うように配置しており、その距離d(ターゲット−基板間距離(T−S間距離)ともいう。)は0.01m以上1m以下、好ましくは0.02m以上0.5m以下とする。成膜室内は、ほとんどが成膜ガス(例えば、酸素、アルゴン、または酸素を50体積%以上の割合で含む混合ガス)で満たされ、0.01Pa以上100Pa以下、好ましくは0.1Pa以上10Pa以下に制御される。ここで、ターゲット130に一定以上の電圧を印加することで、放電が始まり、プラズマが確認される。なお、ターゲット130上の磁場によって、高密度プラズマ領域が形成される。高密度プラズマ領域では、成膜ガスがイオン化することで、イオン101が生じる。イオン101は、例えば、酸素の陽イオン(O)やアルゴンの陽イオン(Ar)などである。
【0358】
イオン101は、電界によってターゲット130側に加速され、やがてターゲット130と衝突する。このとき、劈開面から平板状又はペレット状のスパッタ粒子であるペレット100aおよびペレット100bが剥離し、叩き出される。なお、ペレット100aおよびペレット100bは、イオン101の衝突の衝撃によって、構造に歪みが生じる場合がある。
【0359】
ペレット100aは、三角形、例えば正三角形の平面を有する平板状又はペレット状のスパッタ粒子である。また、ペレット100bは、六角形、例えば正六角形の平面を有する平板状又はペレット状のスパッタ粒子である。なお、ペレット100aおよびペレット100bなどの平板状又はペレット状のスパッタ粒子を総称してペレット100と呼ぶ。ペレット100の平面の形状は、三角形、六角形に限定されない、例えば、三角形が2個以上6個以下合わさった形状となる場合がある。例えば、三角形(正三角形)が2個合わさった四角形(ひし形)となる場合もある。
【0360】
ペレット100は、成膜ガスの種類などに応じて厚さが決定する。理由は後述するが、ペレット100の厚さは、均一にすることが好ましい。また、スパッタ粒子は厚みのないペレット状である方が、厚みのあるサイコロ状であるよりも好ましい。
【0361】
ペレット100は、プラズマを通過する際に電荷を受け取ることで、側面が負または正に帯電する場合がある。ペレット100は、側面に酸素原子を有し、当該酸素原子が負に帯電する可能性がある。例えば、ペレット100aが、側面に負に帯電した酸素原子を有する例を図48に示す。このように、側面が同じ極性の電荷を帯びることにより、電荷同士の反発が起こり、平板状の形状を維持することが可能となる。なお、CAAC−OSが、In−Ga−Zn酸化物である場合、インジウム原子と結合した酸素原子が負に帯電する可能性がある。または、インジウム原子、ガリウム原子又は亜鉛原子と結合した酸素原子が負に帯電する可能性がある。
【0362】
図46(A)に示すように、例えば、ペレット100は、プラズマ中を凧のように飛翔し、ひらひらと基板120上まで舞い上がっていく。ペレット100は電荷を帯びているため、ほかのペレット100が既に堆積している領域が近づくと、斥力が生じる。ここで、基板120の上面では、基板120の上面に平行な向きの磁場が生じている。また、基板120およびターゲット130間には、電位差が与えられているため、基板120からターゲット130に向けて電流が流れている。したがって、ペレット100は、基板120の上面において、磁場および電流の作用によって、力(ローレンツ力)を受ける(図49参照。)。このことは、フレミングの左手の法則によって理解できる。なお、ペレット100に与える力を大きくするためには、基板120の上面において、基板120の上面に平行な向きの磁場が10G以上、好ましくは20G以上、さらに好ましくは30G以上、より好ましくは50G以上となる領域を設けるとよい。または、基板120の上面において、基板120の上面に平行な向きの磁場が、基板120の上面に垂直な向きの磁場の1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上、より好ましくは5倍以上となる領域を設けるとよい。
【0363】
また、基板120は加熱されており、ペレット100と基板120との間で摩擦などの抵抗が小さい状態となっている。その結果、図50(A)に示すように、ペレット100は、基板120の上面を滑空するように移動する。ペレット100の移動は、平板面を基板120に向けた状態で起こる。その後、図50(B)に示すように、既に堆積しているほかのペレット100の側面まで到達すると、側面同士が結合する。このとき、ペレット100の側面にある酸素原子が脱離する。脱離した酸素原子によって、CAAC−OS中の酸素欠損が埋まる場合があるため、欠陥準位密度の低いCAAC−OSとなる。
【0364】
また、ペレット100が基板120上で加熱されることにより、原子が再配列し、イオン101の衝突で生じた構造の歪みが緩和される。歪みの緩和されたペレット100は、ほぼ単結晶となる。ペレット100がほぼ単結晶となることにより、ペレット100同士が結合した後に加熱されたとしても、ペレット100自体の伸縮はほとんど起こり得ない。したがって、ペレット100間の隙間が広がることで結晶粒界などの欠陥を形成し、クレバス化することがない。また、隙間には、伸縮性のある金属原子などが敷き詰められ、向きのずれたペレット100同士の側面を高速道路のように繋いでいると考えられる。
【0365】
以上のようなモデルにより、ペレット100が基板120上に堆積していくと考えられる。したがって、エピタキシャル成長とは異なり、被形成面が結晶構造を有さない場合においても、CAAC−OSの成膜が可能であることがわかる。例えば、基板120の上面(被形成面)の構造が非晶質構造であっても、CAAC−OSを成膜することは可能である。
【0366】
また、CAAC−OSは、平坦面に対してだけでなく、被形成面である基板120の上面に凹凸がある場合でも、その形状に沿ってペレット100が配列することがわかる。例えば、基板120の上面が原子レベルで平坦な場合、ペレット100はab面と平行な平面である平板面を下に向けて並置するため、厚さが均一で平坦、かつ高い結晶性を有する層が形成される。そして、当該層がn段(nは自然数。)積み重なることで、CAAC−OSを得ることができる(図46(B)参照。)。
【0367】
一方、基板120の上面が凹凸を有する場合でも、CAAC−OSは、ペレット100が凸面に沿って並置した層がn段(nは自然数。)積み重なった構造となる。基板120が凹凸を有するため、CAAC−OSは、ペレット100間に隙間が生じやすい場合がある。ただし、ペレット100間で分子間力が働き、凹凸があってもペレット間の隙間はなるべく小さくなるように配列する。したがって、凹凸があっても高い結晶性を有するCAAC−OSとすることができる(図46(C)参照。)。
【0368】
したがって、CAAC−OSは、レーザ結晶化が不要であり、大面積のガラス基板などであっても均一な成膜が可能である。
【0369】
このようなモデルによってCAAC−OSが成膜されるため、スパッタ粒子が厚みのないペレット状である方が好ましい。なお、スパッタ粒子が厚みのあるサイコロ状である場合、基板120上に向ける面が一定とならず、厚さや結晶の配向を均一にできない場合がある。
【0370】
以上に示した成膜モデルにより、非晶質構造を有する被形成面上であっても、高い結晶性を有するCAAC−OSを得ることができる。
【0371】
また、CAAC−OSは、ペレット100のほかに酸化亜鉛粒子を有する成膜モデルによっても説明することができる。
【0372】
酸化亜鉛粒子は、ペレット100よりも質量が小さいため、先に基板120に到達する。基板120の上面において、酸化亜鉛粒子は、水平方向に優先的に結晶成長することで薄い酸化亜鉛層を形成する。該酸化亜鉛層は、c軸配向性を有する。なお、該酸化亜鉛層の結晶のc軸は、基板120の法線ベクトルに平行な方向を向く。該酸化亜鉛層は、CAAC−OSを成長させるためのシード層の役割を果たすため、CAAC−OSの結晶性を高める機能を有する。なお、該酸化亜鉛層は、厚さが0.1nm以上5nm以下、ほとんどが1nm以上3nm以下となる。該酸化亜鉛層は十分薄いため、結晶粒界をほとんど確認することができない。
【0373】
したがって、結晶性の高いCAAC−OSを成膜するためには、化学量論的組成よりも高い割合で亜鉛を含むターゲットを用いることが好ましい。
【0374】
同様に、nc−OSは、図47に示す成膜モデルによって理解することができる。なお、図47図46(A)との違いは、基板120の加熱の有無のみである。
【0375】
したがって、基板120は加熱されておらず、ペレット100と基板120との間で摩擦などの抵抗が大きい状態となっている。その結果、ペレット100は、基板120の上面を滑空するように移動することができないため、不規則に降り積もっていくことでnc−OSを得ることができる。
【0376】
<劈開面>
以下では、CAAC−OSの成膜モデルにおいて記載のターゲットの劈開面について説明する。
【0377】
まずは、ターゲットの劈開面について図51を用いて説明する。図51に、InGaZnOの結晶の構造を示す。なお、図51(A)は、c軸を上向きとし、b軸に平行な方向からInGaZnOの結晶を観察した場合の構造を示す。また、図51(B)は、c軸に平行な方向からInGaZnOの結晶を観察した場合の構造を示す。
【0378】
InGaZnOの結晶の各結晶面における劈開に必要なエネルギーを、第一原理計算により算出する。なお、計算には、擬ポテンシャルと、平面波基底を用いた密度汎関数プログラム(CASTEP)を用いる。なお、擬ポテンシャルには、ウルトラソフト型の擬ポテンシャルを用いる。また、汎関数には、GGA PBEを用いる。また、カットオフエネルギーは400eVとする。
【0379】
初期状態における構造のエネルギーは、セルサイズを含めた構造最適化を行った後に導出する。また、各面で劈開後の構造のエネルギーは、セルサイズを固定した状態で、原子配置の構造最適化を行った後に導出する。
【0380】
図51に示したInGaZnOの結晶の構造をもとに、第1の面、第2の面、第3の面、第4の面のいずれかで劈開した構造を作製し、セルサイズを固定した構造最適化計算を行う。ここで、第1の面は、Ga−Zn−O層とIn−O層との間の結晶面であり、(001)面(またはab面)に平行な結晶面である(図51(A)参照。)。第2の面は、Ga−Zn−O層とGa−Zn−O層との間の結晶面であり、(001)面(またはab面)に平行な結晶面である(図51(A)参照。)。第3の面は、(110)面に平行な結晶面である(図51(B)参照。)。第4の面は、(100)面(またはbc面)に平行な結晶面である(図51(B)参照。)。
【0381】
以上のような条件で、各面で劈開後の構造のエネルギーを算出する。次に、劈開後の構造のエネルギーと初期状態における構造のエネルギーとの差を、劈開面の面積で除すことで、各面における劈開しやすさの尺度である劈開エネルギーを算出する。なお、構造のエネルギーは、構造に含まれる原子と電子に対して、電子の運動エネルギーと、原子間、原子−電子間、および電子間の相互作用と、を考慮したエネルギーである。
【0382】
計算の結果、第1の面の劈開エネルギーは2.60J/m、第2の面の劈開エネルギーは0.68J/m、第3の面の劈開エネルギーは2.18J/m、第4の面の劈開エネルギーは2.12J/mであることがわかった(下表参照。)。
【0383】
【表1】
【0384】
この計算により、図51に示したInGaZnOの結晶の構造において、第2の面における劈開エネルギーが最も低くなる。即ち、Ga−Zn−O層とGa−Zn−O層との間が最も劈開しやすい面(劈開面)であることがわかる。したがって、本明細書において、劈開面と記載する場合、最も劈開しやすい面である第2の面のことを示す。
【0385】
Ga−Zn−O層とGa−Zn−O層との間である第2の面に劈開面を有するため、図51(A)に示すInGaZnOの結晶は、二つの第2の面と等価な面で分離することができる。したがって、ターゲットにイオンなどを衝突させる場合、もっとも劈開エネルギーの低い面で劈開したウェハース状のユニット(我々はこれをペレットと呼ぶ。)が最小単位となって飛び出してくると考えられる。その場合、InGaZnOのペレットは、Ga−Zn−O層、In−O層およびGa−Zn−O層の3層となる。
【0386】
また、第1の面(Ga−Zn−O層とIn−O層との間の結晶面であり、(001)面(またはab面)に平行な結晶面)よりも、第3の面(110)面に平行な結晶面)、第4の面((100)面(またはbc面)に平行な結晶面)の劈開エネルギーが低いことから、ペレットの平面形状は三角形状または六角形状が多いことが示唆される。
【0387】
次に、古典分子動力学計算により、ターゲットとしてホモロガス構造を有するInGaZnOの結晶を仮定し、当該ターゲットをアルゴン(Ar)または酸素(O)によりスパッタした場合の劈開面について評価する。計算に用いたInGaZnOの結晶(2688原子)の断面構造を図52(A)に、上面構造を図52(B)に示す。なお、図52(A)に示す固定層は、位置が変動しないよう原子の配置を固定した層である。また、図52(A)に示す温度制御層は、常に一定の温度(300K)とした層である。
【0388】
古典分子動力学計算には、富士通株式会社製Materials Explorer5.0を用いる。なお、初期温度を300K、セルサイズを一定、時間刻み幅を0.01フェムト秒、ステップ数を1000万回とする。計算では、当該条件のもと、原子に300eVのエネルギーを与え、InGaZnOの結晶のab面に垂直な方向からセルに原子を入射させる。
【0389】
図53(A)は、図52に示したInGaZnOの結晶を有するセルにアルゴンが入射してから99.9ピコ秒(psec)後の原子配列を示す。また、図53(B)は、セルに酸素が入射してから99.9ピコ秒後の原子配列を示す。なお、図53では、図52(A)に示した固定層の一部を省略して示す。
【0390】
図53(A)より、アルゴンがセルに入射してから99.9ピコ秒までに、図51(A)に示した第2の面に対応する劈開面から亀裂が生じる。したがって、InGaZnOの結晶に、アルゴンが衝突した場合、最上面を第2の面(0番目)とすると、第2の面(2番目)に大きな亀裂が生じることがわかる。
【0391】
一方、図53(B)より、酸素がセルに入射してから99.9ピコ秒までに、図51(A)に示した第2の面に対応する劈開面から亀裂が生じることがわかる。ただし、酸素が衝突した場合は、InGaZnOの結晶の第2の面(1番目)において大きな亀裂が生じることがわかる。
【0392】
したがって、ホモロガス構造を有するInGaZnOの結晶を含むターゲットの上面から原子(イオン)が衝突すると、InGaZnOの結晶は第2の面に沿って劈開し、平板状の粒子(ペレット)が剥離することがわかる。また、このとき、ペレットの大きさは、アルゴンを衝突させた場合よりも、酸素を衝突させた場合の方が小さくなることがわかる。
【0393】
なお、上述の計算から、剥離したペレットは損傷領域を含むことが示唆される。ペレットに含まれる損傷領域は、損傷によって生じた欠陥に酸素を反応させることで修復できる場合がある。
【0394】
そこで、衝突させる原子の違いによって、ペレットの大きさが異なることについて調査する。
【0395】
図54(A)に、図52に示したInGaZnOの結晶を有するセルにアルゴンが入射した後、0ピコ秒から0.3ピコ秒までにおける各原子の軌跡を示す。したがって、図54(A)は、図52から図53(A)の間の期間に対応する。
【0396】
図54(A)より、アルゴンが第1層(Ga−Zn−O層)のガリウム(Ga)と衝突すると、当該ガリウムが第3層(Ga−Zn−O層)の亜鉛(Zn)と衝突した後、当該亜鉛が第6層(Ga−Zn−O層)の近傍まで到達することがわかる。なお、ガリウムと衝突したアルゴンは、外に弾き飛ばされる。したがって、InGaZnOの結晶を含むターゲットにアルゴンを衝突させた場合、図52(A)における第2の面(2番目)に亀裂が入ると考えられる。
【0397】
また、図54(B)に、図52に示したInGaZnOの結晶を有するセルに酸素が入射した後、0ピコ秒から0.3ピコ秒までにおける各原子の軌跡を示す。したがって、図54(B)は、図52から図53(A)の間の期間に対応する。
【0398】
一方、図54(B)より、酸素が第1層(Ga−Zn−O層)のガリウム(Ga)と衝突すると、当該ガリウムが第3層(Ga−Zn−O層)の亜鉛(Zn)と衝突した後、当該亜鉛が第5層(In−O層)まで到達しないことがわかる。なお、ガリウムと衝突した酸素は、外に弾き飛ばされる。したがって、InGaZnOの結晶を含むターゲットに酸素を衝突させた場合、図52(A)における第2の面(1番目)に亀裂が入ると考えられる。
【0399】
本計算からも、InGaZnOの結晶は、原子(イオン)が衝突した場合、劈開面から剥離することが示唆される。
【0400】
また、亀裂の深さの違いを保存則の観点から検討する。エネルギー保存則および運動量保存則は、式(1)および式(2)のように示すことができる。ここで、Eは衝突前のアルゴンまたは酸素の持つエネルギー(300eV)、mはアルゴンまたは酸素の質量、vは衝突前のアルゴンまたは酸素の速度、v’は衝突後のアルゴンまたは酸素の速度、mGaはガリウムの質量、vGaは衝突前のガリウムの速度、v’Gaは衝突後のガリウムの速度である。
【0401】
【数1】
【0402】
【数2】
【0403】
アルゴンまたは酸素の衝突が弾性衝突であると仮定すると、v、v’、vGaおよびv’Gaの関係は式(3)のように表すことができる。
【0404】
【数3】
【0405】
式(1)、式(2)および式(3)より、VGaを0とすると、アルゴンまたは酸素が衝突した後のガリウムの速度v’Gaは、式(4)のように表すことができる。
【0406】
【数4】
【0407】
式(4)において、mにアルゴンの質量または酸素の質量を代入し、それぞれの原子が衝突した後のガリウムの速度を比較する。アルゴンおよび酸素の衝突前に持つエネルギーが同じである場合、アルゴンが衝突した場合の方が、酸素が衝突した場合よりも1.24倍ガリウムの速度が高いことがわかる。したがって、ガリウムの持つエネルギーもアルゴンが衝突した場合の方が、酸素が衝突した場合よりも速度の二乗分だけ高くなる。
【0408】
アルゴンを衝突させた場合の方が、酸素を衝突させた場合よりも、衝突後のガリウムの速度(エネルギー)が高くなることがわかる。したがって、アルゴンを衝突させた場合の方が、酸素を衝突させた場合よりも深い位置に亀裂が生じたと考えられる。
【0409】
以上の計算により、ホモロガス構造を有するInGaZnOの結晶を含むターゲットをスパッタすると、劈開面から剥離し、ペレットが形成されることがわかる。一方、劈開面を有さないターゲットの他の構造の領域をスパッタしてもペレットは形成されず、ペレットよりも微細な原子レベルの大きさのスパッタ粒子が形成される。該スパッタ粒子は、ペレットと比べて小さいため、スパッタリング装置に接続されている真空ポンプを介して排気されると考えられる。したがって、ホモロガス構造を有するInGaZnOの結晶を含むターゲットをスパッタした場合、様々な大きさ、形状の粒子が基板まで飛翔し、堆積することで成膜されるモデルは考えにくい。スパッタされたペレットが堆積してCAAC−OSを成膜する図46(A)などに記載のモデルが道理に適っている。
【0410】
このようにして成膜されたCAAC−OSの密度は、単結晶OSと同程度の密度を有する。例えば、InGaZnOのホモロガス構造を有する単結晶OSの密度は6.36g/cmであるのに対し、同程度の原子数比であるCAAC−OSの密度は6.3g/cm程度となる。
【0411】
図55に、スパッタリング法で成膜したCAAC−OSであるIn−Ga−Zn酸化物(図55(A)参照。)、およびそのターゲット(図55(B)参照。)の断面における原子配列を示す。原子配列の観察には、高角散乱環状暗視野走査透過電子顕微鏡法(HAADF−STEM:High−Angle Annular Dark Field Scanning Transmission Electron Microscopy)を用いる。なお、HAADF−STEMでは、各原子の像強度は原子番号の二乗に比例する。したがって、原子番号の近いZn(原子番号30)とGa(原子番号31)とは、ほとんど区別できない。HAADF−STEMには、日立走査透過電子顕微鏡HD−2700を用いる。
【0412】
図55(A)および図55(B)を比較すると、CAAC−OSと、ターゲットは、ともにホモロガス構造を有しており、それぞれの原子の配置が対応していることがわかる。したがって、図46(A)などの成膜モデルに示したように、ターゲットの結晶構造が転写されることでCAAC−OSが成膜されることがわかる。
【0413】
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0414】
(実施の形態6)
実施の形態2で述べたように、酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、オフ状態における電流値(オフ電流値)を低く制御することができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くすることができ、書き込み間隔も長く設定できる。
【0415】
本実施の形態の表示装置は、オフ電流値の低いトランジスタを適用することで、少なくとも2つの駆動方法(モード)で表示を行う表示装置とすることができる。第1の駆動モードは、従来の表示装置の駆動方法であり、1フレームごとにデータを逐次書き換える駆動方法である。第2の駆動モードは、データの書き込み処理を実行した後、データの書き換えを停止する駆動方法である。すなわち、リフレッシュレートを低減した駆動モードである。
【0416】
動画の表示は、第1の駆動モードにより行われる。静止画の表示は、フレームごとの画像データに変化がないため、1フレームごとにデータの書き換えを行う必要がない。そこで、静止画を表示する際は、第2の駆動モードで動作させると、画面のちらつきをなくすとともに、電力消費を削減することができる。
【0417】
また、本実施の形態の表示装置に適用される画素の容量素子は、容量素子で蓄積する電荷量が大きい。このため、画素電極の電位を保持する時間を長くすることが可能であり、リフレッシュレートを低減する駆動モードを適用できる。さらに、表示装置においてリフレッシュレートを低減する駆動モードを適用した場合であっても、画素で保持する電圧の変化を長期間抑制することが可能であるため、使用者による画像のちらつきの知覚をより防止することができる。したがって、低消費電力化と表示品質の向上を図ることができる。
【0418】
ここで、リフレッシュレートを低減する効果に関して説明する。
【0419】
目の疲労には、神経系の疲労と、筋肉系の疲労の2種類がある。神経系の疲労は、長時間、表示装置の発光、点滅画面を見続けることで、その明るさが眼の網膜や神経、脳を刺激して疲れさせるものである。筋肉系の疲労は、ピント調節のときに使用する毛様体の筋肉を酷使することにより疲れさせるものである。
【0420】
図23(A)に、従来の表示装置の表示を表す模式図を示す。図23(A)に示すように、従来の表示装置の表示では、1秒間に60回の画像の書き換えが行われている。このような画面を長時間見続けることにより、使用者の眼の網膜や神経、脳を刺激して眼の疲労が引き起こされるおそれがあった。
【0421】
本発明の一態様では、表示装置の画素部に、オフ電流の極めて低いトランジスタ、例えば酸化物半導体を用いたトランジスタを適用する。また、表示装置の画素が有する容量素子は、面積の大きい容量素子とすることができる。これらによって、容量素子に蓄積された電荷のリークを抑制するとともに、電位の変化がゆるやかにすることが可能となるため、フレーム周波数を下げても、表示装置の輝度を抑制することが可能となる。
【0422】
つまり、図23(B)に示すように、例えば、5秒間に1回の画像の書き換えが可能となるため、極力同じ映像を見ることが可能となり、使用者に視認される画面のちらつきが低減される。これにより、使用者の眼の網膜や神経、脳の刺激が低減され、神経系の疲労が軽減される。
【0423】
本発明の一態様によれば、目に優しい表示装置を提供することができる。
【0424】
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0425】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様である表示装置において、カラー表示を行う場合の画素の構成例について図面を参照して説明する。なお本実施の形態において、カラー表示を行うことのできる画素を画素pix_colorとして表し、画素pix_colorを構成する画素をサブ画素sub_pixとして説明する。なお本実施の形態におけるサブ画素sub_pixが、上記実施の形態2で説明した画素pixに相当する。
【0426】
図24(A)乃至(D)に、カラー表示を行うことのできる画素pix_colorの構成例を示す。
【0427】
図24(A)にはR(赤)G(緑)B(青)の三原色でカラー表示を行う場合の画素pix_colorの構成例を示す。各サブ画素sub_pixでは、発光素子としてそれぞれの色を呈する材料とする構成、もしくは白色光を射出し、カラーフィルタでRGBの各色に色変換する構成、又は色変換層を用いてRGBの各色に変換する構成を用いればよい。そして図24(A)に示すように画素pix_colorには、Rを発光するサブ画素sub_pix_Rと、Gを発光するサブ画素sub_pix_Gと、Bを発光するサブ画素sub_pix_Bと、をストライプ状に配置すればよい。
【0428】
図24(B)にはR(赤)G(緑)B(青)の三原色に白(W)を加えてカラー表示を行う場合の画素pix_colorの構成例を示す。各サブ画素sub_pixでは、発光素子としてそれぞれの色を呈する材料とする構成、もしくは白色光を射出し、カラーフィルタでRGBの各色に色変換する構成、又は色変換層を用いてRGBWの各色に変換する構成を用いればよい。そして図24(B)に示すように画素pix_colorには、Rを発光するサブ画素sub_pix_Rと、Gを発光するサブ画素sub_pix_Gと、Bを発光するサブ画素sub_pix_Bと、Wを発光するサブ画素sub_pix_Wと、をストライプ状に配置すればよい。Wを発光するサブ画素sub_pixでは、カラーフィルタを不要にできるため、消費電力の低減を図ることができる。
【0429】
図24(C)にはR(赤)G(緑)B(青)の三原色に黄(Y)を加えてカラー表示を行う場合の画素pix_colorの構成例を示す。各サブ画素sub_pixでは、発光素子としてそれぞれの色を呈する材料とする構成、もしくは白色光を射出し、カラーフィルタでRGBYの各色に色変換する構成、又は色変換層を用いてRGBYの各色に変換する構成を用いればよい。そして図24(C)に示すように画素pix_colorには、Rを発光するサブ画素sub_pix_Rと、Gを発光するサブ画素sub_pix_Gと、Bを発光するサブ画素sub_pix_Bと、Yを発光するサブ画素sub_pix_Yと、をストライプ状に配置すればよい。Yを発光するサブ画素sub_pixでは、補色の関係にあるBを発光するサブ画素sub_pix_Bと同時に発光させることで白色が得られるため、RGBの同時点灯を行う必要がない。2色のサブ画素sub_pixの発光で白色が得られる構成では、3色のサブ画素sub_pixの発光で白色が得られる構成に比べ、消費電力の低減を図ることができる。
【0430】
図24(D)にはR(赤)G(緑)B(青)の三原色に黄(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)を加えてカラー表示を行う場合の画素pix_colorの構成例を示す。各サブ画素sub_pixでは、発光素子としてそれぞれの色を呈する材料とする構成、もしくは白色光を射出し、カラーフィルタでRGBYMCの各色に色変換する構成、又は色変換層を用いてRGBYMCの各色に変換する構成を用いればよい。そして図24(D)に示すように画素pix_colorには、Rを発光するサブ画素sub_pix_Rと、Gを発光するサブ画素sub_pix_Gと、Bを発光するサブ画素sub_pix_Bと、Yを発光するサブ画素sub_pix_Yと、Mを発光するサブ画素sub_pix_Mと、Cを発光するサブ画素sub_pix_Cと、をストライプ状に配置すればよい。該構成とすることで、彩度を向上させることができる。
【0431】
なお図24(A)乃至(D)において、各色に対応するサブ画素sub_pixは、一例として長方形となるように図示したが、これに限らず、三角形、楕円形、正方形等の形状のサブ画素sub_pixを組み合わせて、画素pix_colorを構成すればよい。
【0432】
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0433】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置が適用された電子機器の構成例について説明する。また、本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置を適用した表示モジュールについて、図25を用いて説明を行う。
【0434】
図25に示す表示モジュール8000は、上部カバー8001と下部カバー8002との間に、FPC8003に接続されたタッチパネル8004、FPC8005に接続された表示パネル8006、バックライトユニット8007、フレーム8009、プリント基板8010、バッテリー8011を有する。なお、バックライトユニット8007、バッテリー8011、タッチパネル8004などは、設けられない場合もある。
【0435】
本発明の一態様の表示装置は、例えば、表示パネル8006に用いることができる。
【0436】
上部カバー8001及び下部カバー8002は、タッチパネル8004及び表示パネル8006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
【0437】
タッチパネル8004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パネル8006に重畳して用いることができる。また、表示パネル8006の対向基板(封止基板)に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。または、表示パネル8006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチパネルとすることも可能である。または、表示パネル8006の各画素内にタッチセンサ用電極を設け、容量型式のタッチパネルとすることも可能である。
【0438】
バックライトユニット8007は、光源8008を有する。光源8008をバックライトユニット8007の端部に設け、光拡散板を用いる構成としてもよい。
【0439】
フレーム8009は、表示パネル8006の保護機能の他、プリント基板8010の動作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム8009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
【0440】
プリント基板8010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっても良いし、別途設けたバッテリー8011による電源であってもよい。バッテリー8011は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
【0441】
また、表示モジュール8000には、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
【0442】
図26(A)乃至図26(H)、図27(A)乃至図27(D)は、電子機器を示す図である。これらの電子機器は、筐体5000、表示部5001、スピーカー5003、LEDランプ5004、操作キー5005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子5006、センサ5007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン5008、等を有することができる。
【0443】
図26(A)はモバイルコンピュータであり、上述したものの他に、スイッチ5009、赤外線ポート5010、等を有することができる。図26(B)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(たとえば、DVD再生装置)であり、上述したものの他に、第2表示部5002、記録媒体読込部5011、等を有することができる。図26(C)はゴーグル型ディスプレイであり、上述したものの他に、第2表示部5002、支持部5012、イヤホン5013、等を有することができる。図26(D)は携帯型遊技機であり、上述したものの他に、記録媒体読込部5011、等を有することができる。図26(E)はテレビ受像機能付きデジタルカメラであり、上述したものの他に、アンテナ5014、シャッターボタン5015、受像部5016、等を有することができる。図26(F)は携帯型遊技機であり、上述したものの他に、第2表示部5002、記録媒体読込部5011、等を有することができる。図26(G)はテレビ受像器であり、上述したものの他に、チューナ、画像処理部、等を有することができる。図26(H)は持ち運び型テレビ受像器であり、上述したものの他に、信号の送受信が可能な充電器5017、等を有することができる。図27(A)はディスプレイであり、上述したものの他に、支持台5018、等を有することができる。図27(B)はカメラであり、上述したものの他に、外部接続ポート5019、シャッターボタン5015、受像部5016、等を有することができる。図27(C)はコンピュータであり、上述したものの他に、ポインティングデバイス5020、外部接続ポート5019、リーダ/ライタ5021、等を有することができる。図27(D)は携帯電話機であり、上述したものの他に、送信部、受信部、携帯電話・移動端末向けの1セグメント部分受信サービス用チューナ、等を有することができる。
【0444】
図26(A)乃至図26(H)、図27(A)乃至図27(D)に示す電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信又は受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能、等を有することができる。さらに、複数の表示部を有する電子機器においては、一つの表示部を主として画像情報を表示し、別の一つの表示部を主として文字情報を表示する機能、または、複数の表示部に視差を考慮した画像を表示することで立体的な画像を表示する機能、等を有することができる。さらに、受像部を有する電子機器においては、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を自動または手動で補正する機能、撮影した画像を記録媒体(外部又はカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、図26(A)乃至図26(H)、図27(A)乃至図27(D)に示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0445】
本実施の形態において述べた電子機器は、何らかの情報を表示するための表示部を有することを特徴とする。
【0446】
次に、表示装置の応用例を説明する。
【0447】
図27(E)に、表示装置を、建造物と一体にして設けた例について示す。図27(E)は、筐体5022、表示部5023、操作部であるリモコン装置5024、スピーカー5025等を含む。表示装置は、壁かけ型として建物と一体となっており、設置するスペースを広く必要とすることなく設置可能である。
【0448】
図27(F)に、建造物内に表示装置を、建造物と一体にして設けた別の例について示す。表示モジュール5026は、ユニットバス5027と一体に取り付けられており、入浴者は表示モジュール5026の視聴が可能になる。
【0449】
なお、本実施の形態において、建造物として壁、ユニットバスを例としたが、本実施の形態はこれに限定されず、様々な建造物に表示装置を設置することができる。
【0450】
次に、表示装置を、移動体と一体にして設けた例について示す。
【0451】
図27(G)は、表示装置を、自動車に設けた例について示した図である。表示モジュール5028は、自動車の車体5029に取り付けられており、車体の動作又は車体内外から入力される情報をオンデマンドに表示することができる。なお、ナビゲーション機能を有していてもよい。
【0452】
図27(H)は、表示装置を、旅客用飛行機と一体にして設けた例について示した図である。図27(H)は、旅客用飛行機の座席上部の天井5030に表示モジュール5031を設けたときの、使用時の形状について示した図である。表示モジュール5031は、天井5030とヒンジ部5032を介して一体に取り付けられており、ヒンジ部5032の伸縮により乗客は表示モジュール5031の視聴が可能になる。表示モジュール5031は乗客が操作することで情報を表示する機能を有する。
【0453】
なお、本実施の形態において、移動体としては自動車車体、飛行機機体について例示したがこれに限定されず、自動二輪車、自動四輪車(自動車、バス等を含む)、電車(モノレール、鉄道等を含む)、船舶等、様々なものに設置することができる。
【0454】
なお、本明細書等においては、ある一つの実施の形態において述べる図または文章において、その一部分を取り出して、発明の一態様を構成することは可能である。したがって、ある部分を述べる図または文章が記載されている場合、その一部分の図または文章を取り出した内容も、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能であるものとする。そのため、例えば、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、配線、受動素子(容量素子、抵抗素子など)、導電層、絶縁層、半導体層、有機材料、無機材料、部品、装置、動作方法、製造方法などが単数又は複数記載された図面または文章において、その一部分を取り出して、発明の一態様を構成することが可能であるものとする。例えば、N個(Nは整数)の回路素子(トランジスタ、容量素子等)を有して構成される回路図から、M個(Mは整数で、M<N)の回路素子(トランジスタ、容量素子等)を抜き出して、発明の一態様を構成することは可能である。別の例としては、N個(Nは整数)の層を有して構成される断面図から、M個(Mは整数で、M<N)の層を抜き出して、発明の一態様を構成することは可能である。さらに別の例としては、N個(Nは整数)の要素を有して構成されるフローチャートから、M個(Mは整数で、M<N)の要素を抜き出して、発明の一態様を構成することは可能である。
【0455】
なお、本明細書等においては、ある一つの実施の形態において述べる図または文章において、少なくとも一つの具体例が記載される場合、その具体例の上位概念を導き出すことは、当業者であれば容易に理解される。したがって、ある一つの実施の形態において述べる図または文章において、少なくとも一つの具体例が記載される場合、その具体例の上位概念も、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。
【0456】
なお、本明細書等においては、少なくとも図に記載した内容(図の中の一部でもよい)は、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。したがって、ある内容について、図に記載されていれば、文章を用いて述べていなくても、その内容は、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。同様に、図の一部を取り出した図についても、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。
【符号の説明】
【0457】
C1 容量素子
GL1 配線
GL2 配線
GL3 配線
EL 発光素子
IL 配線
CL 配線
SL 配線
pix 画素
M1 トランジスタ
M2 トランジスタ
M3 トランジスタ
M4 トランジスタ
M5 トランジスタ
M6 トランジスタ
t1 期間
t2 期間
t3 期間
t4 期間
Vdata 電位
Vano 電位
Vcat 電位
V0 電位
V1 電位
VL0 配線
VL1 配線
11 画素部
14 走査線駆動回路
16 信号線駆動回路
17 走査線
19 信号線
19b 画素電極
25 容量線
28 物質
31 液晶素子
41 発光素子
43 トランジスタ
45 トランジスタ
51 ゲート絶縁膜
53 無機絶縁膜
53a 絶縁膜
70 電子銃室
72 光学系
74 試料室
76 光学系
78 カメラ
80 観察室
82 フィルム室
84 電子
88 物質
92 蛍光板
102 トランジスタ
102a トランジスタ
102b トランジスタ
103 トランジスタ
103a トランジスタ
103c トランジスタ
103d トランジスタ
105 容量素子
301 画素
302 基板
304a 導電膜
304b 導電膜
304c 導電膜
304d 導電膜
305 絶縁膜
306 絶縁膜
307 酸化物半導体膜
308a 酸化物半導体膜
308b 酸化物半導体膜
308c 金属酸化物膜
308d 酸化物半導体膜
308e 酸化物半導体膜
308f 金属酸化物膜
309 導電膜
310a 導電膜
310b 導電膜
310c 導電膜
310d 導電膜
310e 導電膜
310f 導電膜
310g 導電膜
310h 導電膜
310i 導電膜
310j 導電膜
311 絶縁膜
311a 絶縁膜
311b 絶縁膜
312 絶縁膜
312a 絶縁膜
312b 絶縁膜
313 絶縁膜
314 絶縁膜
315 導電膜
316b 導電膜
316d 導電膜
316e 導電膜
317 有機絶縁膜
317a 有機絶縁膜
318 導電膜
319 導電膜
319a 導電膜
319b 導電膜
319c 導電膜
320 配向膜
336 多層膜
336a 酸化物半導体膜
336b 酸化物半導体膜
342 基板
362 開口部
364a 開口部
364b 開口部
364c 開口部
391 絶縁層
392 発光層
393 導電膜
394 発光素子
5000 筐体
5001 表示部
5002 表示部
5003 スピーカー
5004 LEDランプ
5005 操作キー
5006 接続端子
5007 センサ
5008 マイクロフォン
5009 スイッチ
5010 赤外線ポート
5011 記録媒体読込部
5012 支持部
5013 イヤホン
5014 アンテナ
5015 シャッターボタン
5016 受像部
5017 充電器
5018 支持台
5019 外部接続ポート
5020 ポインティングデバイス
5021 リーダ/ライタ
5022 筐体
5023 表示部
5024 リモコン装置
5025 スピーカー
5026 表示モジュール
5027 ユニットバス
5028 表示モジュール
5029 車体
5030 天井
5031 表示モジュール
5032 ヒンジ部
8000 表示モジュール
8001 上部カバー
8002 下部カバー
8003 FPC
8004 タッチパネル
8005 FPC
8006 表示パネル
8007 バックライトユニット
8008 光源
8009 フレーム
8010 プリント基板
8011 バッテリー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55