(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6625900
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】鞍乗型車両防盗システム
(51)【国際特許分類】
B62H 5/00 20060101AFI20191216BHJP
B62H 5/02 20060101ALI20191216BHJP
B62H 5/08 20060101ALI20191216BHJP
B62J 99/00 20090101ALI20191216BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20191216BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20191216BHJP
E05B 83/00 20140101ALI20191216BHJP
E05B 83/16 20140101ALI20191216BHJP
【FI】
B62H5/00 Z
B62H5/02
B62H5/08
B62J99/00 K
B60R25/24
E05B49/00 J
E05B83/00 A
E05B83/00 H
E05B83/16 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-33996(P2016-33996)
(22)【出願日】2016年2月25日
(65)【公開番号】特開2017-149283(P2017-149283A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】日本電産モビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 大輔
【審査官】
中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−247066(JP,A)
【文献】
特開2011−098608(JP,A)
【文献】
特開2015−135035(JP,A)
【文献】
特開2007−146396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 1/00 − 7/00
B62J 1/00 − 99/00
B60R 25/00 − 99/00
E05B 1/00 − 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置と、
ステアリングと、
施錠可能な収納空間と、
を備える鞍乗型車両において、用いられる防盗システムであって、
利用者に携帯され、近距離無線通信を行う携帯機と、
前記携帯機と無線通信を行い、認証を行う近距離無線認証装置と、
前記駆動装置および/または前記ステアリングを操作可能/不可能にする操作部と、
を備え、
前記操作部は、前記収納空間内に露出し、
前記近距離無線認証装置は、前記携帯機の認証に成功すると前記収納空間を解錠し、前記操作部に前記駆動装置および/または前記ステアリングを操作可能/不可能にする操作が行われた後前記収納空間が施錠されると再度前記携帯機の認証を行い、前記携帯機の認証に成功すると前記駆動装置および/または前記ステアリングを操作可能/不可能にする、
防盗システム。
【請求項2】
前記操作部は、ステアリングロック施錠/解錠スイッチであることを特徴とする請求項1に記載の防盗システム。
【請求項3】
駆動装置と、
ステアリングと、
施錠可能な収納空間と、
を備える鞍乗型車両において、用いられる防盗システムであって、
利用者に携帯され、近距離無線通信を行う携帯機と、
アンテナを介して前記携帯機と無線通信を行い、認証を行う近距離無線認証装置と、
前記駆動装置および/または前記ステアリングを操作可能/不可能にする操作部と、
を備え、
前記操作部は、前記収納空間内に露出し、
前記近距離無線認証装置は、前記携帯機の認証に成功すると前記収納空間を解錠し、前記操作部に前記駆動装置および/または前記ステアリングを操作可能/不可能にする操作が行われた後前記収納空間が施錠されると再度前記携帯機の認証を行い、前記携帯機の認証に成功すると前記駆動装置および/または前記ステアリングを操作可能/不可能にし、
前記アンテナは、前記収納空間内に収納される物とは無線通信できない、
防盗システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に用いられる防盗システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鞍乗型車両のロック機構を施錠可能な収納ボックス等の内部に配置して、防盗性を向上させることが知られている。例えば、特許文献1は、簡便なロック操作により効果的に盗難を防止する自動二輪車のロック装置を開示する。このロック装置は、シートの下部に配設される収納ボックスと、収納ボックス内に設けられるロックレバーと、メインスタンドをロック可能にするロック装置と、ロック装置及びロックレバーを連結するワイヤーとを備える。そして、このロック装置は、ロックレバーの操作により、ロック装置によるメインスタンドのロック及び解除を可能にすると共にロック装置のロックを禁止可能にするように構成される。
【0003】
また、特許文献2は、駐車ブレーキを他人が操作できないように設置して、その自動二輪車の無断使用や盗難を防止する自動二輪車の制動装置を開示する。この制動装置は、ロックできる蓋で覆われた物品収納ボックスなどのスペースを備えた自動二輪車において、駐車ブレーキ装置の操作部材が上記スペース内に設置されたことを特徴とする。
【0004】
また、特許文献3は、収納ボックスの施錠動作の前に携帯キーの認証を実行することで、携帯キーの閉じ込めを防止する車両の収納ボックス施錠装置を開示する。この収納ボックス施錠装置は、ポケットの閉状態を維持または解除するロック装置と、ロック装置を駆動するロック装置アクチュエータと、ポケットを開くためのオープンボタンとを具備する。この収納ボックス施錠装置では、オープンボタンが操作されると携帯キーの認証を実行する。認証が正常に完了した場合はロック装置を駆動してポケット蓋を開く一方、認証が正常に完了しなかった場合は、ポケットの閉状態を維持する。ポケットの開状態でポケット蓋が閉じられると携帯キーの認証を実行する。認証が正常に完了した場合はロック装置を駆動してポケットを閉状態とする一方、認証が正常に完了しなかった場合は、ポケットの開状態を維持する。
【0005】
また、特許文献4は、施錠や解錠作業が自動的に行え、作業能率に優れ、収納物を安全に管理でき、構成簡素で、使い勝手に優れ、量産に適し、経済的な集配用キャリーボックスを開示する。この集配用キャリーボックスは、蓋体に蓋開閉用レバーと、ロック機構に連繋したタグ読取り装置をボックス本体に備える。タグ読取り装置は、蓋開閉用レバーを手指で握ったときに、リストバンドのICタグのデータを非接触で読取り、ロック機構を作動してロック状態を解除し、施蓋したときには、ロック機構が作動してロック状態を維持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平05−032186号公報
【特許文献2】特開平03−086695号公報
【特許文献3】特開2010−084439号公報
【特許文献4】特開2000−046869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
二輪車は東南アジアを中心に新興国で未だメジャーな乗り物として定着している。近年、二輪車においても、機械的な鍵を使用せずに二輪車のステアリングの施錠・解錠、エンジンの始動を可能とするスマートECU(Electronic Control Unit)の搭載によりステアリングロック機構がない車両も散見されるが、依然多くの二輪車においては機械的な鍵を使用したステアリングロック機構が車両に搭載されている状況となっている。ステアリングロック機構は、外観部品のため防水性にも配慮が必要であり、構造上重い機械部品を使用する必要があることから、重量が増加し燃費の悪化を招く一因になっている。また、機械的な鍵は鍵の作成手法上最高でも約1000種類程度しかバリエーションを設けることができず、また、ステアリングロック機構は、外観から見える位置にレイアウトされるため過去より防盗性において懸念がある。
【0008】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、ステアリングロック機能等の防犯上重要な機能を操作する操作部への接近方法の難易度を上げかつ車両重量の低減を行いながら防盗性を向上させる防盗システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、駆動装置と、ステアリングと、施錠可能な収納空間と、を備える鞍乗型車両において、用いられる防盗システムであって、利用者に携帯され、近距離無線通信を行う携帯機と、携帯機と無線通信を行い、認証を行う近距離無線認証装置と、駆動装置および/またはステアリングを操作可能/不可能にする操作部と、を備え、操作部は、収納空間内に露出し、近距離無線認証装置は、携帯機の認証に成功すると収納空間を
解錠し、操作部に駆動装置および/またはステアリングを操作可能/不可能にする操作が行われた後収納空間が施錠されると再度携帯機の認証を行い、携帯機の認証に成功すると駆動装置および/またはステアリングを操作可能/不可能にする、防盗システムが提供される。
これによれば、ステアリングロック機能等の重要な機能の操作部を施錠可能な収納空間の中に配置することで、操作部への接近方法の難易度を上げかつ車両重量の低減を行いながら防盗性を向上させる防盗システムを提供することができる。
【0010】
さらに、操作部は、ステアリングロック施錠/解錠スイッチであることを特徴としてもよい。
これによれば、ステアリングロック機能の操作部を施錠可能な収納空間の中に配置し、操作部への接近方法の難易度を上げかつ車両重量の低減を行いながら防盗性を向上させることができる。
【0011】
上記課題を解決するために、駆動装置と、ステアリングと、施錠可能な収納空間と、を備える鞍乗型車両において、用いられる防盗システムであって、利用者に携帯され、近距離無線通信を行う携帯機と、アンテナを介して携帯機と無線通信を行い、認証を行う近距離無線認証装置と、駆動装置および/またはステアリングを操作可能/不可能にする操作部と、を備え、操作部は、収納空間内に露出し、近距離無線認証装置は、携帯機の認証に成功すると収納空間を解錠し、操作部に駆動装置および/またはステアリングを操作可能/不可能にする操作が行われた後収納空間が施錠されると再度携帯機の認証を行い、携帯機の認証に成功すると駆動装置および/またはステアリングを操作可能/不可能にし、アンテナは、収納空間内に収納される物とは無線通信できない、防盗システムが提供される。
これによれば、携帯機を収納空間に入れたまま施錠することを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、ステアリングロック機能等の防犯上重要な機能を操作する操作部への接近方法の難易度を上げかつ車両重量の低減を行いながら防盗性を向上させる防盗システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る第一実施例の防盗システムのブロック図。
【
図2】本発明に係る第一実施例の防盗システムを鞍乗型車両に搭載した場合の模式図。
【
図3】本発明に係る第一実施例の防盗システムにおけるステアリングロック解錠時の制御方法を示すフローチャート。
【
図4】本発明に係る第一実施例の防盗システムにおけるステアリングロック施錠時の制御方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る実施例について説明する。
<第一実施例>
図1および
図2を参照し、本実施例における防盗システム100を説明する。防盗システム100は、鞍乗型車両MCに設けられる。鞍乗型車両MCは、所謂バイクやスクータなどの自動二輪車であり、エンジンやモータなどの自身を駆動するための駆動装置ENGと、操舵するための所謂ハンドルであるステアリングSTR等の自動二輪走行するための装置が備えられている。
【0015】
鞍乗型車両MCは、さらに、施錠可能な収納空間SPCを備える。収納空間SPCは、乗員用の着座シートの下方に配置され、この着座シートで開閉可能に構成される所謂収納ボックスである。また、収納空間SPCは、ステアリングSTRの下方に配置され、蓋を付けて開閉可能に構成されてもよい。収納空間SPCの収納物は、たとえばヘルメットや乗員の鞄などの所持物である。収納空間SPCは、施錠可能になっている。たとえば、収納空間SPCが乗員用の着座シートの下方に配置される場合は、開閉可能な着座シートが施錠可能に構成されて、施錠した場合には、着座シートを開けることはできない。また、収納空間SPCがステアリングSTRの下方に配置される場合は、開閉可能な蓋が施錠可能に構成される。着座シートや蓋が施錠可能に構成されるとは、着座シートや蓋を本体と強固に連結するための機械鍵を有することを言う。
【0016】
鞍乗型車両MCは、さらに、利用者に携帯される近距離無線通信を行う携帯機10と無線通信を行い、携帯機10の認証を行う近距離無線認証装置20を備える。近距離無線認証装置20は、携帯機10と近距離無線通信を行うためのアンテナ21を含む。近距離無線通信とは、数センチメートルから数十センチメートル程度の距離を通信エリアとする無線通信であり、たとえば、ISO/IEC 14443、ISO/IEC 18092、ISO/IEC 15693などの国際標準規格に則った通信である。無論、ここに挙げた規格に限定されるものではなく、この近距離無線通信は、数センチメートルから数十センチメートル程度の距離を通信エリアとする無線通信を行うことができればよい。なお、このような通信距離が短い規格を使用することで、リレーアタックなどされにくく、防盗性が向上する。
【0017】
利用者に携帯される近距離無線通信を行う携帯機10は、近距離無線認証装置20が行う通信に対応した通信機能を有する。携帯機10は、かかる通信機能を有すると共に、鞍乗型車両MCのキーとしての機能を有する所謂FOB10であってもよいし、電話機能なども兼ね備える携帯端末10であってもよい。携帯機10がFOB10である場合、FOB10は、予め近距離無線認証装置20に対応した固有の識別番号を備え、近距離無線認証装置20に接近した時にその識別番号を送信する。携帯機10が携帯端末10である場合、携帯端末10は、事前に近距離無線認証装置20に対応した固有の識別番号を設定し、近距離無線認証装置20に接近した時にその識別番号を送信する。近距離無線認証装置20は、対応する識別番号を受信した場合には、携帯機10の認証が成功したとする。
【0018】
近距離無線認証装置20は、着座シートや蓋を本体と連結するための機械鍵を制御し、施解錠する。携帯機10の認証が成功した場合、近距離無線認証装置20は、機械鍵が施錠時であれば解錠し、機械鍵が解錠時であれば施錠する。すなわち、近距離無線認証装置20は、携帯機10の認証に成功すると収納空間SPCを施解錠する。
【0019】
鞍乗型車両MCは、さらに、駆動装置ENGやステアリングSTRを操作可能にしたり、操作不可能したりするための操作部30を備える。たとえば、駆動装置ENGの操作部30は、駆動装置ENGの起動や停止を行うイグニションスイッチやエンジンスタータスイッチであり、また、ステアリングSTRの操作部30は、ステアリングSTRをロック/アンロック(施解錠)するステアリングロック施錠/解錠スイッチである。ステアリングロック施錠/解錠スイッチは、ステアリングSTRの回動を機械的に阻止する機械部品と連携し、機械部品がステアリングSTRの回動を阻止する位置に移動させてロックし、逆に阻止しない位置に移動させてアンロックする。
【0020】
操作部30は、施錠可能な収納空間SPC内に露出しており、収納空間SPCを経由してのみ操作することができる。したがって、乗員は、収納空間SPCを解錠して開けてからでないと、操作部30を操作することはできない。たとえば、
図2に示すような収納空間SPCが着座シートの下方に配置される場合は、これから乗車しようとする乗員が着座シートのオープンスイッチOSWを押す際、乗員が携帯する携帯機10は、近距離無線認証装置20のアンテナ21による近距離無線通信の通信エリア内に入るようになっているか、アンテナ21にかざされる。そうすると、近距離無線認証装置20は着座シートのロックを解錠するので、乗員は、着座シートを開けて操作部30であるステアリングロック施錠/解錠スイッチやイグニションスイッチ/エンジンスタータを操作し、ステアリングSTRの解錠操作や駆動装置ENGを始動させることができる。
【0021】
上述したように、利用者に携帯され、近距離無線通信を行う携帯機10と、携帯機10と無線通信を行い、携帯機10の認証を行う近距離無線認証装置20と、を備える防盗システム100は、ステアリングロック機能等の防犯上重要な機能の操作部30を施錠可能な収納空間SPCの中に配置することで、操作部30への接近方法の難易度を上げることで、防盗性を向上させることができる。
【0022】
また、ステアリングロックは、通常外観部品のため防水性にも配慮が必要であり、構造上重い機械部品を使用する必要があるが、操作部30が収納空間SPC内に設置されることからかかる防水性を考慮する必要がなくなるので、車両重量の低減やコスト削減を行いながら防盗性を向上させることができる。また、操作部30を収納空間SPC内に露出させることで、水の侵入や異物などによるスイッチのリークを考慮しないで良くなるため、スイッチに通電させる電流を少なくすることができ、さらにはスイッチの構造の簡易化やスイッチと関連するハーネスの軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0023】
また、近距離無線認証装置20は、収納空間SPC内に収納される物とは無線通信できない構造となっていることが好ましい。収納空間SPC内に収納される物とは無線通信できない構造とは、たとえば
図1に示すように、アンテナ21から収納空間SPC内の最も近い場所であっても、近距離無線可能な通信距離A以上離れている構造である。また、アンテナ21と収納空間SPCの間に電磁波を通過させないフェライトシート等を配置し、収納空間SPC内にある携帯機10とアンテナ21との間で通信が行われないような構造であってもよい。
【0024】
このような構造であれば、携帯機10を収納空間SPC内に置き忘れても、携帯機10が近距離無線通信可能な通信エリア内に入ることがない。そうすると、携帯機10と近距離無線認証装置20とが通信を行うことがないので、近距離無線認証装置20が認証を成功させて収納空間SPCを施錠することがない。これによれば、防盗システム100は、携帯機10を収納空間SPCに入れたまま施錠することを防止できる。
【0025】
図3を参照して、防盗システム100におけるステアリングロック解錠時の制御方法を説明する。なお、フローチャートにおけるSはステップを意味する。また、点線で示されたステップは、乗員の行為を示し、近距離無線認証装置20は、NFC ECUと表記する。
【0026】
防盗システム100の近距離無線認証装置20(NFC ECU)は、着座シートのオープンスイッチOSW等が押されると、S100において携帯機10に対して自身の識別番号と共に応答要求信号を送信し、S102において携帯機10からの応答信号の受信を待機する。携帯機10は、その前にS200において近距離無線認証装置20にかざされるなどしており、S202において、近距離無線認証装置20からの応答要求信号を受信するか否かを検査する。応答要求信号を受信した場合、携帯機10は、S204において、受信した応答要求信号に含まれる識別番号を検査する。その識別番号が対応する近距離無線認証装置20の識別番号である場合、携帯機10は、S206において、自分の識別番号と共に応答信号を近距離無線認証装置20に送信する。
【0027】
近距離無線認証装置20は、携帯機10からの応答信号を受信した場合、S104において、携帯機10の識別番号を検査する。その識別番号が対応する携帯機10の識別番号である場合には、近距離無線認証装置20は、S106において、収納空間SPCである収納ボックスのロックを解除し、着座シートを開けることができる状態にする。その状態になると、乗員は、S108において収納ボックスを開け、S110においてステアリングSTRをロックしている操作部30を操作しステアリングSTRを解錠する操作を行う。
【0028】
その後乗員は、S112において、着座シートを閉めて収納ボックス閉じる。そうすると、近距離無線認証装置20は、S114において携帯機10に対して自身の識別番号と共に応答要求信号を送信し、S116において携帯機10からの応答信号の受信を待機する。携帯機10は、上述したように、S202〜S206を行い、自分の識別番号と共に応答信号を近距離無線認証装置20に送信する。
【0029】
近距離無線認証装置20は、携帯機10からの応答信号を受信した場合、S118において、携帯機10の識別番号を検査する。その識別番号が対応する携帯機10の識別番号である場合には、近距離無線認証装置20は、S120において、ステアリングSTRのロックを解除し、ステアリングSTRは回動可能となり運転できる状態になる。
【0030】
図4を参照して、防盗システム100におけるステアリングロック施錠時の制御方法を説明する。防盗システム100の近距離無線認証装置20(NFC ECU)は、S300において、駆動装置ENGが停止するか否かを検査し続けている。近距離無線認証装置20は、駆動装置ENGが停止すると、S302において携帯機10に対して自身の識別番号と共に応答要求信号を送信し、S304において携帯機10からの応答信号の受信を待機する。
【0031】
携帯機10は、その前にS400において近距離無線認証装置20にかざされるなど近距離無線通信の通信エリア内に存しており、S402において、近距離無線認証装置20からの応答要求信号を受信するか否かを検査する。応答要求信号を受信した場合、携帯機10は、S404において、受信した応答要求信号に含まれる識別番号を検査する。その識別番号が対応する近距離無線認証装置20の識別番号である場合、携帯機10は、S406において、自分の識別番号と共に応答信号を近距離無線認証装置20に送信する。
【0032】
近距離無線認証装置20は、携帯機10からの応答信号を受信した場合、S306において、携帯機10の識別番号を検査する。その識別番号が対応する携帯機10の識別番号である場合には、近距離無線認証装置20は、S308において、収納空間SPCである収納ボックスのロックを解除し、着座シートを開けることができる状態にする。その状態になると、乗員は、S310において収納ボックスを開け、S312において操作部30を操作しステアリングSTRを施錠する操作を行う。
【0033】
その後乗員は、S314において、着座シートを閉めて収納ボックス閉じる。そうすると、近距離無線認証装置20は、S316において携帯機10に対して自身の識別番号と共に応答要求信号を送信し、S318において携帯機10からの応答信号の受信を待機する。携帯機10は、上述したように、S402〜S406を行い、自分の識別番号と共に応答信号を近距離無線認証装置20に送信する。
【0034】
近距離無線認証装置20は、携帯機10からの応答信号を受信した場合、S320において、携帯機10の識別番号を検査する。その識別番号が対応する携帯機10の識別番号である場合には、近距離無線認証装置20は、S322において、ステアリングSTRの施錠し、ステアリングSTRは回動できない状態になる。
【0035】
上述したように、防盗システム100において、ステアリングロック機能等の防犯上重要な機能の操作部30を施錠可能な収納空間SPCの中に配置し、操作部30への接近方法の難易度を上げることで、防盗性を向上させることができる。
【0036】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【符号の説明】
【0037】
100 防盗システム
10 携帯機(携帯端末、FOB)
20 近距離無線認証装置
21 アンテナ
30 操作部(ステアリングロック施錠/解錠スイッチ)
MC 鞍乗型車両
ENG 駆動装置
STR ステアリング
SPC 収納空間
OSW オープンスイッチ