(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、例えば、特許文献1の技術では、半球状のドームの内面で反射された光が円形の広い領域に略均一に照射される。このため、例えば、ラインセンサおよび矩形状のエリアセンサ等が用いられる場合、センサで撮像されていない領域にも光が照射され、光の利用効率の低下を招く。
【0008】
また、例えば、特許文献2の技術では、同軸落射照明用のハーフミラーの存在によって、検査対象領域から撮像センサへ至る光の強度が低減され、光の利用効率が低下する。
【0009】
また、例えば、特許文献3の技術では、半球面形状のフレームに青色LEDが配置され、被検査物のあらゆる反射面に対して照射光が照射される。このため、例えば、青色LEDを多数配置する必要があり、青色LEDの配置数の増加によって、検査装置の製造に要する材料およびコストの増大、ならびに検査装置におけるエネルギー消費量の増大を招く。
【0010】
また、例えば、特許文献4の技術では、光ガイドの光出射面が、被検査物の線状照射領域を囲む略半円筒面を形成している。このため、例えば、光源も含めた照明装置の過度な大型化を招く。特に、例えば、撮像素子が光源とともに走査されつつ、撮像を行う態様では、照明装置の大型化、および各種構成を走査するために要するエネルギー消費量の増大等の不具合が生じ得る。
【0011】
また、例えば、特許文献5の技術では、拡散照明のみで落射照明が行われていない。このため、検査対象領域が圧延痕等の凹凸が少ない鏡面状であれば、検査対象領域を明るく撮像するために、発光量を増大させる必要があり、照明装置におけるエネルギー消費量の増大等といった不具合が生じ得る。
【0012】
すなわち、上記特許文献1〜5の検査技術では、例えば、消費エネルギーの増大を抑制しながら、簡易な構成で光の利用効率を改善する余地がある。このような課題は、検査装置だけに限られず、所望の領域に光を照射する技術一般に共通する。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、対象物における単位面積当たりの光の照射強度を容易に向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、第1の態様に係る照明装置は、予め設定された配列方向に沿って配列されており且つ予め設定された出射方向にそれぞれ光を出射する複数の出射部を有する出射部列と、前記配列方向と交差する交差方向に平面視して、前記配列方向に直交するように配置されており且つ光を反射可能な反射面を有する反射部とを備え、
前記複数の出射部が、第1種類の光を出射する2以上の第1出射部と、第2種類の光を出射する2以上の第2出射部とを含み、前記2以上の第1出射部が、前記反射面から近い方から順に配列された第1番目の第1出射部と第2番目の第1出射部とを含み、前記2以上の第2出射部が、前記反射面から近い方から順に配列された第1番目の第2出射部と第2番目の第2出射部とを含み、前記交差方向に平面視して、前記反射面と前記第1番目の第1出射部との第3間隔が、前記第1番目の第1出射部と前記第2番目の第1出射部との第4間隔の半分以下であり、前記交差方向に平面視して、前記反射面と前記第1番目の第2出射部との第5間隔が、前記第1番目の第2出射部と前記第2番目の第2出射部との第6間隔の半分以下であり、前記第5間隔が、前記第3間隔よりも短く、前記第6間隔が、前記第4間隔よりも短い。
【0016】
第
2の態様に係る照明装置は、第
1の態様に係る照明装置であって、前記第1種類の光が、赤色の光を含み、前記第2種類の光が、青色の光を含む。
【0017】
第
3の態様に係る照明装置は、第
1または第
2の態様に係る照明装置であって、前記2以上の第1出射部からそれぞれ前記第1種類の光が出射されている第1種出射状態と、前記2以上の第2出射部からそれぞれ前記第2種類の光が出射されている第2種出射状態とを含む2種以上の出射状態のうちの1種の出射状態に、選択的に設定可能な制御部を備えている。
【0018】
第
4の態様に係る照明装置は、第1
または第
2の態様に係る照明装置であって、複数の前記出射部列、を備え、該複数の出射部列が、前記配列方向に沿って配列されており且つ第1出射方向にそれぞれ光を出射する第1の複数の出射部を有する第1出射部列と、前記配列方向に沿って配列されており且つ第2出射方向にそれぞれ光を出射する第2の複数の出射部を有する第2出射部列とを有しており、前記配列方向に平面視して、前記第1出射方向と前記第2出射方向とが交差し、前記第1の複数の出射部から光が出射されている第1点灯状態と、前記第2の複数の出射部から光が出射されている第2点灯状態と、を含む2以上の点灯状態のうちの1つの点灯状態に、選択的に設定可能な制御部を備えている。
【0019】
第
5の態様に係る検査装置は、第1から第
4の何れか1つの態様に係る照明装置と、前記複数の出射部から前記出射方向に仮想的に延伸させた直線上に位置する検査対象領域からの光を受光して、該検査対象領域からの光の強さに係る空間的な分布に応じた信号を取得可能な受光センサとを備えている。
【0020】
第
6の態様に係る検査装置は、第
1から第
3の何れか1つの態様に係る照明装置と、前記複数の出射部から前記出射方向に仮想的に延伸させた直線上に位置する検査対象領域からの光を受光して、該検査対象領域からの光の強さに係る空間的な分布に応じた信号を取得可能な受光センサとを備え、該受光センサが、前記配列方向に対応する方向に沿って配列されており且つ受光する光の強度に応じた信号をそれぞれ取得可能な複数のダイオードを含んでいる。
【発明の効果】
【0021】
第1から第
4の何れの態様に係る照明装置によっても、例えば、反射面の存在によって、出射部列が擬似的に延伸されるため、対象物における単位面積当たりの光の照射強度が容易に向上され得る。
【0022】
第
1から第
3の何れの態様に係る照明装置によっても、例えば、受光センサにおける受光感度に応じた照明が可能となる。
【0023】
第
2および第
3の何れの態様に係る照明装置によっても、例えば、赤色よりも青色の感度が低い受光センサに応じた照明が可能となる。
【0024】
第
4の態様に係る照明装置によれば、例えば、対象物の状態に応じて、光の照射角度を切り替えることが可能である。
【0025】
第
5および第
6の何れの態様に係る検査装置によっても、例えば、受光センサで得られる検査対象物からの光の強さに係る空間的な分布に応じた信号の強度が容易に高められ得る。したがって、例えば、検査の精度が高められ得る。
【0026】
第
6の態様に係る検査装置によれば、例えば、受光センサにおける受光感度に応じた照明状態が実現されることで、検査の精度が高められ得る。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態および各種変形例を図面に基づいて説明する。なお、図面においては同様な構成および機能を有する部分については同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係等は適宜変更され得る。なお、
図1から
図6および
図8には、測定部5の走査方向(
図1の右方向)を+X方向とし、試料支持台3の移動方向(
図1の上方向)を+Y方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。また、
図7、
図9から
図13には、上記XYZ座標系のうちのY方向を示す矢印が付されている。
【0029】
<(1)検査装置の概略>
図1は、一実施形態に係る検査装置1の概略構成を例示する上面模式図である。
図2は、一実施形態に係る検査装置1の概略構成を例示する正面模式図である。検査装置1は、物体の状態を検査する装置である。ここで、物体には、例えば、各種基板等の各種工業製品等が含まれ得る。物体の状態には、例えば、プリント基板上に形成された配線パターンの状態等といった各種の工業的に形成された構造の状態等が含まれ得る。そして、構造の状態には、例えば、配線パターンの欠けおよび断線等が含まれ得る。
【0030】
図1および
図2で示されるように、検査装置1は、例えば、基台部2、試料支持台3、門型構造体4、測定部5、ケーブルベア6(登録商標)および制御部7を備えている。
【0031】
基台部2は、検査装置1のベースとなる部分である。該基台部2は、例えば、本体部21およびリニアガイド22L,22Rを有している。本体部21は、例えば、略平坦な上面21Uを有する厚板状の部分である。リニアガイド22L,22Rは、上面21U上に形成された相互に離間し且つ平行に延在する2本のレール部22Lr,22Rrと、スライダー部22Ls,22Rsとを有している。ここでは、例えば、2本のレール部22Lr,22Rrが、+Y方向に延在している。そして、リニアガイド22Lでは、スライダー部22Lsが、レール部22Lr上を該レール部22Lrの延在方向(ここでは、±Y方向)に沿って摺動自在に設けられている。また、リニアガイド22Rでは、スライダー部22Rsが、レール部22Rr上を該レール部22Rrの延在方向(ここでは、±Y方向)に沿って摺動自在に設けられている。
【0032】
試料支持台3は、例えば、略平坦な上面3Uを有する厚板状の部分である。該試料支持台3は、スライダー部22Ls,22Rs上に取り付けられている。つまり、試料支持台3は、基台部2に対して±Y方向に沿って摺動自在に設けられている。なお、試料支持台3は、図示を省略する駆動部によって駆動力が加えられることで、リニアガイド22L,22Rに沿って摺動し得る。上面3Uには、検査の対象物(検査対象物とも言う)W1が載置される。ここでは、検査対象物W1が載置される領域が一点鎖線で描かれている。
【0033】
門型構造体4は、基台部2上に門型に設けられた部分である。ここでは、門型構造体4は、基台部2に固定されている。また、門型構造体4と基台部2との間には、試料支持台3が通過可能な空間SP0が形成されている。門型構造体4は、水平方向に延在する梁部41および該梁部41の上面に設けられたリニアガイド42を有している。リニアガイド42は、+X方向に延在するレール部42rと、該レール部42rに対して摺動自在に設けられたスライダー部42sとを有している。
【0034】
測定部5は、例えば、筐体部51およびスキャナー部52を有している。筐体部51は、スライダー部42sに取り付けられている。つまり、筐体部51は、梁部41に対して±X方向に沿って摺動自在に設けられている。なお、筐体部51は、図示を省略する駆動部によって駆動力が加えられることで、リニアガイド42に沿って摺動し得る。スキャナー部52は、例えば、筐体部51内に設けられており、試料支持台3の上面3U上に載置された検査対象物W1を捉えた画像を取得可能である。筐体部51の試料支持台3に対向する面には、スキャナー部52によって検査対象物W1の撮像が可能となる窓部が設けられている。窓部は、例えば、単純な開口であっても良いし、ガラス板等の透光性を有する部材によって形成されても良い。そして、ここでは、測定部5の±X方向への移動(主走査)と、検査対象物W1が載置された試料支持台3の+Y方向への移動(副走査)とが交互に行われることで、検査対象物W1を上面側から2次元的に捉えた画像が取得され得る。なお、例えば、測定部5の走査経路が遮光部材で覆われていれば、スキャナー部52から検査対象物W1に照射される光が周囲に漏れず、作業環境が良好となり得る。
【0035】
ケーブルベア6は、測定部5の±X方向における移動を可能としつつ、測定部5と制御部7との間を接続可能な配線ケーブルを支持する部分である。
【0036】
制御部7は、検査装置1の全体の動作を制御するとともに、測定部5で得られた画像を取得して各種演算を行うことができる。この各種演算によって、検査対象物W1の状態が検査され得る。ここでは、例えば、測定部5で得られた画像あるいは該画像に画像処理が加えられた画像と、基準となる構造を示す画像とが比較されることで、各種欠陥等が検出され得る。ここで、検査装置1の全体の動作には、例えば、測定部5の±X方向への移動(主走査)、試料支持台3の+Y方向への移動(副走査)およびスキャナー部52の動作が含まれる。なお、制御部7としては、例えば、記憶部、該記憶部内に格納されるプログラムを読み出して実行可能なプロセッサーおよびデータを一時的に記憶可能なメモリー等を有するものが採用され得る。制御部7の一例としては、パーソナルコンピューター等が挙げられる。
【0037】
<(2)スキャナー部>
<(2−1)スキャナー部の概略構成>
図3は、スキャナー部52の概略構成を例示する正面模式図である。
図3で示されるように、スキャナー部52は、照明部521および受光センサ522を備えている。
【0038】
照明部521は、第1〜9照明モジュールM1〜M9を備えている。第1〜9照明モジュールM1〜M9は、それぞれ略同一の構成を有しており、+Y方向に平面視して、検査対象物W1上に位置する点Ps0を中心とした回転対称の関係を有している。なお、該点Ps0は、−Z方向に平面視した場合に、検査対象物W1上において+Y方向に直線状に伸びる光が照射される領域(照射対象領域とも言う)As0(
図7等参照)に相当する。
【0039】
また、
図3には、m番目(mは1〜9の整数)の第m照明モジュールMmの光軸Lpmがそれぞれ描かれている。ここで、第m照明モジュールMmでは、例えば、予め設定された方向(配列方向とも言う)としての+Y方向に沿って配列された複数の出射部Emを有する出射部列ELmから、光軸Lpmに沿った方向に光が出射される。そして、光軸Lpmに沿った方向に出射された光は、例えば、第1レンズ部Lmaおよび第2レンズ部Lmbを介して、点Ps0(照射対象領域As0)に照射される。各出射部Emには、例えば、発光ダイオード(LED)等の指向性が強い光源が適用され得る。
【0040】
図4は、照明部521における第1レンズ部Lmaおよび第2レンズ部Lmbの配列態様を例示する斜視図である。
図4では、第1レンズ部Lmaおよび第2レンズ部Lmbに着目されているため、複数の出射部E1〜E9および反射部Rf1(
図7等参照)の記載が適宜省略されている。
図4で示されるように、第m照明モジュールMmにおいて、第1レンズ部Lmaおよび第2レンズ部Lmbは、それぞれ複数の出射部Emの配列方向(+Y方向)に沿って延在している。このため、第1〜9照明モジュールM1〜M9の第2レンズ部L1b〜L9bが、半円筒状に配列されている。つまり、第2レンズ部L1b〜L9bが、半円柱状の空間Ascを囲むように配置されている。さらに、第2レンズ部L1b〜L9bよりも外側に、第1レンズ部L1a〜L9aが、半円筒状に配列されている。つまり、第1レンズ部L1a〜L9aが、半円柱状の空間を囲むように配列されている。別の観点から言えば、第1レンズ部L1a〜L9aと第2レンズ部L1b〜L9bとが、半円筒状の空間Ahcを挟むように配列されている。
【0041】
ここで、例えば、半円筒状の空間Ahcの一端(−Y側の端部)に反射部Rf1(
図7等参照)が配されており、半円筒状の空間Ahcの他端(+Y側の端部)に反射部Rf1(
図7等参照)が配されている。また、半円柱状の空間Ascの一端(−Y側の端部)に反射部Rf1が配されており、半円柱状の空間Ascの他端(+Y側の端部)に反射部Rf1(
図7等参照)が配されている。
【0042】
また、
図3で示されるように、+Y方向に平面視した場合、第1〜9照明モジュールM1〜M9の光軸Lp1〜Lp9は、検査対象物W1の仮想的な法線Lv0を、点Ps0を中心として反時計回りに、67.5、52.5、37.5、22.5、7.5、−22.5、−37.5、−52.5および−67.5度回転させることで得られる直線に相当する。
【0043】
このため、例えば、+Y方向に平面視すると、第1照明モジュールM1の光軸Lp1は、法線Lv0に対して点Ps0を中心とした反時計回りの方向に67.5度傾いており、第2照明モジュールM2の光軸Lp2は、法線Lv0に対して点Ps0を中心とした反時計回りの方向に52.5度傾いている。また、+Y方向に平面視すると、第3照明モジュールM3の光軸Lp3は、法線Lv0に対して点Ps0を中心とした反時計回りの方向に37.5度傾いており、第4照明モジュールM4の光軸Lp4は、法線Lv0に対して点Ps0を中心とした反時計回りの方向に22.5度傾いている。また、+Y方向に平面視すると、第5照明モジュールM5の光軸Lp5は、法線Lv0に対して点Ps0を中心とした反時計回りの方向に7.5度傾いている。また、+Y方向に平面視すると、第6照明モジュールM6の光軸Lp6は、法線Lv0に対して点Ps0を中心とした時計回りの方向に22.5度傾いており、第7照明モジュールM7の光軸Lp7は、法線Lv0に対して点Ps0を中心とした時計回りの方向に37.5度傾いている。また、+Y方向に平面視すると、第8照明モジュールM8の光軸Lp8は、法線Lv0に対して点Ps0を中心とした時計回りの方向に52.5度傾いており、第9照明モジュールM9の光軸Lp9は、法線Lv0に対して点Ps0を中心とした時計回りの方向に67.5度傾いている。
【0044】
上記第1〜9照明モジュールM1〜M9によれば、検査対象物W1上の点Ps0(照射対象領域As0)が、種々の角度から照明され得る。このとき、各第m照明モジュールMmでは、複数の出射部Emから光が出射される方向(出射方向とも言う)に直線的に延びる光軸Lpm上に点Ps0(照射対象領域As0)が位置する。
【0045】
ところで、ここでは、制御部7の制御によって、照明部521における点灯および消灯が制御され得る。このため、単体の照明部521が照明装置8を構成しているものとみなされても良いし、照明部521と制御部7とを含む構成が、照明装置8を構成しているものとみなされても良い。
【0046】
そして、照明装置8が、照明部521と制御部7とを含む場合、照明装置8では、制御部7によって、第1〜9照明モジュールM1〜M9の点灯状態が制御され得る。例えば、第1〜9照明モジュールM1〜M9のうち、1つ以上の照明モジュールが選択的に点灯された状態に設定され得る。具体的には、例えば、第m照明モジュールMmにおける複数の出射部Emから光が出射されている状態(第m点灯状態とも言う)のうちの少なくとも1つの点灯状態に設定され得る。例えば、第1点灯状態と第2点灯状態とを含む2つ以上の点灯状態のうちの1つの点灯状態に選択的に設定され得る。
【0047】
受光センサ522は、例えば、ラインセンサLs1を有している。ラインセンサLs1は、配列方向(+Y方向)に対応する方向に沿って配列された複数の受光素子Ae1を含んでいる。各受光素子Ae1では、例えば、シリコンダイオード等のダイオードによって、受光する光の強度に応じた信号がそれぞれ取得され得る。なお、受光センサ522の具体例としては、例えば、CMOSセンサ等が考えられ得る。また、ここで、配列方向(+Y方向)に対応する方向には、例えば、配列方向(+Y方向)そのもの、および反射および屈折等によって光路が曲げられた場合における光学的に等価な方向をも含み得る。
【0048】
そして、例えば、照明部521によって照明された検査対象物W1について、受光センサ522によって、検査対象物W1からの光の強さに係る空間的な分布に応じた信号が取得され得る。ここでは、例えば、スキャナー部52を含む測定部5が+X方向または−X方向へ1回移動されることで、検査対象物W1のうち、+Y方向においてスキャナー部52が+Y方向に延在する長さに応じた幅を有し且つ+X方向が長手方向である長細い領域について、光の強さに係る空間的な分布に応じた信号が取得され得る。
【0049】
受光センサ522で得られる信号は、例えば、ケーブルベア6を介して制御部7に送出される。また、受光センサ522では、例えば、第1〜9照明モジュールM1〜M9のうちの少なくとも1つの照明モジュールによって照明される照射対象領域As0からの光が受光され、該照射対象領域As0からの光の強さに係る空間的な分布に応じた信号が取得され得る。
【0050】
ところで、+Y方向に平面視した場合、受光センサ522の光軸Ln1は、法線Lv0から点Ps0を中心として時計回りの方向に7.5度傾いている。このため、+Y方向に平面視した場合に、受光センサ522の光軸Ln1と第5照明モジュールM5の光軸Lp5とが、法線Lv0を対称軸とする線対称の関係を有している。これにより、例えば、検査対象物W1の上面が略平坦である場合には、第5照明モジュールM5によって検査対象物W1の表面が照明される場合に、検査対象物W1で生じる正反射光が、受光センサ522において受光され得る。つまり、例えば、第5照明モジュールM5による照明によって検査対象物W1で生じる正反射光が、受光センサ522で受光され、第1〜4,6〜9照明モジュールM1〜M4,M6〜M9による照明によって検査対象物W1で生じる散乱光が、受光センサ522で受光され得る。このため、受光センサ522から見て、第5照明モジュールM5が実質的に直接照明としての役割を果たし、第1〜4,6〜9照明モジュールM1〜M4,M6〜M9が実質的に散乱照明としての役割を果たし得る。
【0051】
したがって、本実施形態では、例えば、第5照明モジュールM5によって、受光センサ522が検査対象物W1から正反射光を受光する状態(直接照明状態とも言う)に設定され得る。また、例えば、第1〜4,6〜9照明モジュールM1〜M4,M6〜M9によって、受光センサ522が検査対象物W1から散乱光を受光する状態(散乱照明状態とも言う)に設定され得る。また、例えば、第5照明モジュールM5と第1〜4,6〜9照明モジュールM1〜M4,M6〜M9とによって、受光センサ522が検査対象物W1から正反射光と散乱光の双方を受光する状態(混合照明状態とも言う)が実現され得る。そして、検査対象物W1の状態に適した照明状態が採用されることで、検査対象物W1の検査精度が向上され得る。
【0052】
ここで、例えば、検査対象物W1の表面が鏡面状である場合、散乱照明状態に設定されれば、受光センサ522で得られる信号の強度が低くなり、直接照明状態に設定されれば、受光センサ522で得られる信号の強度が向上され得る。但し、直接照明状態に設定されれば、凹凸において過度なコントラストが生じ得るため、混合照明状態に適宜設定されれば良い。
【0053】
図5および
図6は、検査対象物W1の具体例を模式的に示す図である。
図5および
図6で示されるように、例えば、検査対象物W1が、配線パターンCu0が形成された樹脂製の基板Bs0である場合を想定する。この場合、直接照明状態に設定されれば、銅等の金属の配線パターンCu0において受光センサ522に向かう正反射光が生じ易く、基板Bs0において光が散乱することで受光センサ522に向かう正反射光が生じ難い。その結果、受光センサ522で得られる信号において、配線パターンCu0に係る信号の強度が、基板Bs0に係る信号の強度よりも相対的に高くなり得る。これにより、配線パターンCu0の断線Df1や欠けDf2等が精度良く検出され得る。
【0054】
但し、例えば、配線パターンCu0の表面における凹凸が大きな場合には、混合照明状態に設定されれば、該凹凸において過度なコントラストが生じ難い。このとき、受光センサ522で得られる信号において、配線パターンCu0の輪郭部分に係る信号の強度の変化がある程度大きく、配線パターンCu0上の凹凸に係る信号の強度の変化がある程度小さくなり得る。これにより、配線パターンCu0の断線Df1や欠けDf2等が精度良く検出され得る。
【0055】
なお、例えば、検査対象物W1が、金属製のものであり、その金属表面における傷およびスクラッチの有無等を検査したい場合には、直接照明状態ではなく、散乱照明状態に設定されれば、金属表面における傷およびスクラッチが目立ち易い状態で、受光センサ522によって撮像され得る。さらに、このとき、例えば、第1〜4,6〜9照明モジュールM1〜M4,M6〜M9によって、検査対象物W1に対して光が照射される角度(照射角度とも言う)が適宜変更されることで、金属表面における傷およびスクラッチの目立ち易さが調整され得る。
【0056】
<(2−2)照明モジュール>
図7は、第1〜9照明モジュールM1〜M9の概略構成を例示する側面模式図である。
図3で示されるように、第1〜9照明モジュールM1〜M9は、相互に回転対称の関係を有し、且つ相互に略同一の構成を有している。このため、ここでは、一例として、第5照明モジュールM5の構成を挙げて説明する。
図8は、第5照明モジュールM5の概略構成を例示する正面模式図である。
【0057】
図7で示されるように、第5照明モジュールM5は、出射部列EL5および反射部Rf1を備えている。
【0058】
出射部列EL5は、予め設定された配列方向(+Y方向)に沿って配列された複数の出射部E5を有している。各出射部E5は、予め設定された出射方向にそれぞれ光を出射する。これにより、検査対象物W1の上面における照射対象領域As0が照明され得る。ここでは、複数の出射部E5は、略同一の構成を有し、同種の光を出射する2つ以上の出射部E5を含んでいる。本実施形態では、複数の出射部E5と2つ以上の出射部E5とは、同一である。また、出射部列EL5では、例えば、複数の出射部E5が一定のピッチ(間隔)P0で配列されている。なお、ここで言う「同種の光」には、例えば、同様な波長域の光および同様なエネルギー強度を有する光等が含まれ得る。同様な波長域の光としては、例えば、同じ色の光等が含まれ得る。
【0059】
反射部Rf1は、複数の出射部E5の配列方向(+Y方向)と交差する方向(交差方向とも言う)に平面視して、配列方向(+Y方向)に直交するように配置された反射面Sf1を有している。これにより、複数の出射部E5から発せられる光が、反射面Sf1で反射されて、検査対象物W1に向けて照射され得る。このとき、検査対象物W1から見ると、反射面Sf1の存在によって、出射部列EL5が擬似的に延伸され得る。つまり、実際には出射部E5の数を増加させていないものの、出射部E5の数を増加させた場合と同等な状態が実現され得る。その結果、装置の大型化を招くことなく、簡易な構成で、検査対象物W1における単位面積当たりの光の照射強度が容易に向上され得る。この場合、特に、照射対象領域As0の両端近傍の部分における光の照射強度が低下する不具合が解消され得る。なお、本実施形態では、配列方向(+Y方向)と交差方向とが直交し、反射面Sf1は、配列方向に直交するXY平面に平行な面である。このような複数の出射部E5と反射面Sf1との配置関係が採用されれば、例えば、第5照明モジュールM5の設計および製造が容易に実現され得る。
【0060】
ところで、出射部列EL5を構成する2つ以上の出射部E5には、反射面Sf1から近い方から順に配列された、第1番目の出射部E5fと、第2番目の出射部E5sとが含まれている。ここで、上記交差方向に平面視して、反射面Sf1と第1番目の出射部E5fとの間隔(第1間隔とも言う)M0が、第1番目の出射部E5fと第2番目の出射部E5sとの間隔(第2間隔とも言う)P0の半分以下である。つまり、次の式(1)の関係を満たしている。
【0062】
これにより、擬似的に延伸された出射部列EL5における擬似的な出射部E5のピッチが、実際の出射部E5のピッチP0以下となる。その結果、検査対象物W1における単位面積当たりの光の照射強度が容易に向上され得る。ここで、理論的には、例えば、M0=P0/2の関係を満たしていれば、擬似的に延伸された出射部列EL5における擬似的な出射部E5のピッチが、実際の出射部E5のピッチP0と同一となり、検査対象物W1における単位面積当たりの光の照射強度が容易に向上され得る。
【0063】
但し、受光センサ522の撮像レンズの性能等によって、照射対象領域As0のうちの両端近傍の領域からの光がその他の領域からの光よりも弱い強度の光として検出される傾向を示す現象(周辺減光とも言う)が生じる場合ある。このような場合には、例えば、M0<P0/2の関係を満たすように、出射部E5と反射面Sf1とが配置されれば、擬似的に延伸された出射部列EL5における擬似的な出射部E5のピッチが、実際の出射部E5のピッチP0未満となる部分が生じ、周辺減光の影響が低減され得る。
【0064】
また、例えば、出射部E5の出射方向に平面視した場合、反射面Sf1が、検査対象物W1の照射対象領域As0に重畳しないように配されれば、反射面Sf1によって、出射部E5から出射される光の一部が遮られて照射対象領域As0に照射される不具合が生じ難い。
【0065】
また、
図7および
図8で示されるように、第5照明モジュールM5では、例えば、複数の出射部E5から出射される光が、検査対象物W1の表面の直線状の照射対象領域As0に集光されるように、第1レンズ部L5aおよび第2レンズ部L5bが設計されている。本実施形態では、
図3および
図8で示されるように、第1〜9照明モジュールM1〜M9のそれぞれにおける集光角が、10〜15度程度に設定されているが、これに限られず、例えば、10〜20度程度に設定されても良い。
【0066】
具体的には、
図8で示されるように、例えば、出射部E5から出射される光におけるX方向およびZ方向に拡がる光束が、第1レンズ部L5aおよび第2レンズ部L5bによって、線状の照射対象領域As0に集光され得る。ここで、第1レンズ部L5aおよび第2レンズ部L5bは、例えば、シリンダーレンズまたはリニアフレネルレンズ等によって構成され得る。また、例えば、第2レンズ部L5bに、±Y方向に光を拡散させる機能を付加すれば、検査対象物W1上の線状の照射対象領域As0において、光が照射される強度にばらつきが生じ難くなる。ここで、例えば、レンチキュラーレンズあるいは一方向に光を散乱させる拡散板(例えば、Luminit社のlight Shaping Diffusers等)が付加されれば、第2レンズ部L5bに±Y方向に光を拡散させる機能が付加され得る。ここでは、例えば、第2レンズ部L5bの第1レンズ部L5a側の表面、あるいは第2レンズ部L5bとは別に、レンチキュラーレンズまたは拡散板等が配される構成が採用され得る。
【0067】
なお、本実施形態では、第2レンズ部L5bの第1レンズ部L5a側にレンチキュラーレンズが付加されている。より具体的には、本実施形態では、出射部E5から出射される光束が拡がる光が、第1レンズ部L5aとしての焦点距離fが15mmのリニアフレネルレンズによって、+Y方向に平面視して光束が略平行な光に変換され得る。さらに、第2レンズ部L5bとして、焦点距離fが50mmのリニアフレネルレンズの第1レンズ部L5a側にレンチキュラーレンズが形成されたものが配されることで、+Y方向に平面視して光束が略平行な光が、光束が縮小する光に変換されて、検査対象物W1の線状の照射対象領域As0に集光され得る。
【0068】
図9および
図10は、レンチキュラーレンズの役割を説明するための図である。
図9には、仮に、本実施形態の第5照明モジュールM5の第2レンズ部L5bからレンチキュラーレンズが取り除かれたレンズLc0が採用される場合について、照射対象領域As0の1点Pe1に照射される光の経路が参考例として模式的に示されている。
図10には、本実施形態の第5照明モジュールM5における、照射対象領域As0の1点Pe1に照射される光の経路が模式的に示されている。
図9で示される参考例では、9つの出射部E5から9本の経路で1点Pe1に光が照射される様子が示されている。これに対して、
図10で示されるように、9つの出射部E5から1点Pe1に向かう光の経路が、レンチキュラーレンズの存在によって、9本から増加され得る。これにより、照射対象領域As0に対して、より多くの角度から光が照射される。その結果、線状の照射対象領域As0において、照射される光の強度にばらつきが生じ難くなる。
【0069】
また、ここで、
図11で示されるように、出射部E5の出射方向において、反射面Sf1と出射部E5との距離をS0、検査対象物W1と出射部E5との距離をL0とする。また、検査対象物W1を出射部E5の出射方向に平面視した場合における、反射面Sf1と検査対象物W1の該反射面Sf1から最も離れた部分までの距離をF0とする。
【0070】
このとき、距離S0は、例えば、可能な限りゼロに近づけられることで、検査対象物W1から見て、反射面Sf1による出射部列EL5の擬似的な延伸が容易に実現され得る。なお、例えば、第5照明モジュールM5の構造によっては、距離S0をゼロに近づけることが難しい場合も想定される。その場合には、反射面Sf1に最も近い第1番目の出射部E5fから出射される光が該反射面Sf1で反射されて、検査対象物W1のうちの該反射面Sf1から最も遠い部分に照射されるように、幾何学的な配置から、次の式(2)の関係を満たすように、距離S0が設定されれば良い。
【0071】
S0≦M0×L0/(F0+M0) ・・・(2)。
【0072】
但し、第1番目の出射部E5fから出射される光の光束が拡がる角度(拡がり角度とも言う)が狭い場合には、距離S0は、該拡がり角度に応じて、適宜設定されれば良い。
【0073】
<(3)一実施形態のまとめ>
以上のように、本実施形態に係る照明装置8では、例えば、各照明モジュールM1〜M9において、複数の出射部E5の配列方向(+Y方向)と交差する交差方向に平面視した場合、配列方向(+Y方向)に直交する反射面Sf1が設けられている。ここで、反射面Sf1から近い方から順に配列された、第1番目の出射部E5fと、第2番目の出射部E5sとについて、上記交差方向に平面視した場合、反射面Sf1と第1番目の出射部E5fとの第1間隔M0が、第1番目の出射部E5fと第2番目の出射部E5sとの第2間隔P0の半分以下とされている。これにより、検査対象物W1から見ると、反射面Sf1によって、出射部列EL5が擬似的に延伸され得る。そして、擬似的に延伸された出射部列EL5における擬似的な出射部E5のピッチが、実際の出射部E5のピッチ以下とされ、検査対象物W1における単位面積当たりの光の照射強度が容易に向上され得る。
【0074】
また、本実施形態に係る検査装置1では、例えば、照明部521によって照明された検査対象物W1について、受光センサ522によって、検査対象物W1からの光の強さに係る空間的な分布に応じた信号が取得され得る。このとき、本実施形態に係る照明部521によって、例えば、受光センサ522で得られる検査対象物W1からの光の強さに係る空間的な分布に応じた信号の強度が容易に高められ得る。その結果、例えば、検査の精度が高められ得る。
【0075】
<(4)変形例>
なお、本発明は上述の一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0076】
<(4−1)第1変形例>
例えば、上記一実施形態では、光を出射する出射部E1〜E9に、自発光する光源としてのLEDが適用されたが、これに限られない。例えば、出射部E1〜E9以外に光源が設けられ、光ファイバー等の導光部によって、出射部E1〜E9に光が導かれても良い。
【0077】
図12は、第1変形例に係る第1〜9照明モジュールM1A〜M9A(mが1〜9の整数であれば、第m照明モジュールMmAとも言う)の概略構成を例示する側面模式図である。第1〜9照明モジュールM1A〜M9Aは、相互に回転対称の関係を有し、且つ相互に略同一の構成を有し得る。このため、ここでは、一例として、第5照明モジュールM5Aの構成を挙げて説明する。
【0078】
図12で示されるように、例えば、光源ボックスEB1で発せられた光が、光ファイバーの束であるファイバーバンドルBF1によって第5照明モジュールM5Aまで導かれ、さらに、各出射部E5まで光ファイバーが枝分かれしていることで、各出射部E5から光が出射され得る。
【0079】
このような構成が採用されれば、例えば、LEDの径よりも光ファイバーの径の方が小さくすることが容易であり、1つの出射部列EL5において、より多くの出射部E5を高密度に配置することが可能である。これにより、例えば、照射対象領域As0上の1点Pe1に対して、より多くの角度から光が照射され得る。その結果、上記一実施形態のように、レンチキュラーレンズまたは拡散板等といった第2レンズ部L5bに±Y方向に光を拡散させる機能が付加されなくても、線状の照射対象領域As0において、照射される光の強度にばらつきが生じ難くなる。
【0080】
<(4−2)第2変形例>
また、上記一実施形態では、各出射部列EL1〜EL9に含まれる全ての出射部E1〜E9から同種の光が出射されたが、これに限られない。例えば、異なる種類の光をそれぞれ出射する2種類以上の出射部が配列された、出射部列EL1B〜EL9B(mが1〜9の整数であれば、出射部列ELmBとも言う)が採用されても良い。
【0081】
図13は、第2変形例に係る第1〜9照明モジュールM1B〜M9B(mが1〜9の整数であれば、第m照明モジュールMmBとも言う)の概略構成を例示する側面模式図である。第1〜9照明モジュールM1B〜M9Bは、相互に回転対称の関係を有し、且つ相互に略同一の構成を有し得る。このため、ここでは、一例として、第5照明モジュールM5Bの構成を挙げて説明する。
【0082】
図13で示されるように、例えば、出射部列EL5Bを構成する複数の出射部が、第1種類の光を出射する2つ以上の第1出射部R5と、第2種類の光を出射する2つ以上の第2出射部B5とを含んでいる。なお、
図13で示される例では、出射部列EL5Bを構成する複数の出射部に、第3種類の光を出射する2つ以上の第3出射部G5が含まれている。
図13で示される例では、出射部列EL5Bが、5個の第1出射部R5、10個の第2出射部B5および6個の第3出射部G5を含む21個の出射部によって構成されている。
【0083】
ここでは、例えば、+Y方向に沿って並んでいる21個の出射部のうち、6個の第3出射部G5は、+Y方向において、1、5、9、13、17、21番目に配置されたものである。また、例えば、+Y方向に沿って並んでいる21個の出射部のうち、5個の第1出射部R5は、+Y方向において、3、7、11、15、19番目に配置されたものである。また、例えば、+Y方向に沿って並んでいる21個の出射部のうち、10個の第2出射部B5は、+Y方向において、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20番目に配置されたものである。本変形例では、例えば、21個の出射部が+Y方向に沿って略等間隔(略等ピッチ)で配列されている。つまり、例えば、5個の第1出射部R5が、略同一のピッチPr0で配列され、10個の第2出射部B5が、ピッチPr0の約1/2のピッチPb0で配列されている。また、例えば、6個の第3出射部G5が、略同一のピッチPr0で配列されている。また、21個の出射部の両端に位置する第3出射部G5は、例えば、それぞれ、反射面Sf1の延長線上に配されている。
【0084】
ところで、例えば、2つ以上の第1出射部R5には、反射面Sf1から近い方から順に配列された第1番目の第1出射部R5fと第2番目の第1出射部R5sとが含まれている。また、例えば、2つ以上の第2出射部B5には、反射面Sf1から近い方から順に配列された第1番目の第2出射部B5fと第2番目の第2出射部B5sとが含まれている。そして、21個の出射部E5の配列方向(+Y方向)と交差する反射面Sf1に沿った方向(交差方向)に平面視して、反射面Sf1と第1番目の第1出射部R5fとの間隔(第3間隔とも言う)Mr0が、第1番目の第1出射部R5fと第2番目の第1出射部R5sとの間隔(第4間隔とも言う)Pr0の半分以下である。すなわち、例えば、同種の光を出射する2つ以上の出射部について、上記交差方向に平面視して、反射面Sf1と第1番目の出射部との間隔が、第1番目の出射部と第2番目の第1出射部との間隔の半分以下であれば良い。そして、上記交差方向に平面視して、反射面Sf1と第1番目の第2出射部B5fとの間隔(第5間隔とも言う)Mb0が、第1番目の第2出射部B5fと第2番目の第2出射部B5sとの間隔(第6間隔とも言う)Pb0の半分以下である。そして、第5間隔Mb0が、第3間隔Mr0よりも短く、第6間隔Pb0が、第4間隔Pr0よりも短い。
【0085】
このような構成が採用されるとき、例えば、制御部7によって、2つ以上の第1出射部R5からそれぞれ第1種類の光が出射されている状態(第1種出射状態とも言う)と、2つ以上の第2出射部B5からそれぞれ第2種類の光が出射されている状態(第2種出射状態とも言う)とを含む2種以上の出射状態のうちの1種の出射状態に、選択的に設定され得る場合を想定する。なお、2種以上の出射状態には、例えば、2つ以上の第3出射部G5からそれぞれ第3種類の光を出射させている状態(第3種出射状態とも言う)が含まれ得る。このとき、例えば、2つ以上の第1出射部R5および2つ以上の第2出射部B5がそれぞれ個別に点灯されれば、検査対象物W1から見ると、反射面Sf1の存在によって、出射部列EL5Bが擬似的に延伸され得る。そして、擬似的に延伸された出射部列EL5Bにおける擬似的な第1出射部R5のピッチが、実際の第1出射部R5のピッチPr0以下となり、擬似的に延伸された出射部列EL5Bにおける擬似的な第2出射部B5のピッチが、実際の第2出射部B5のピッチPb0以下となり得る。その結果、同種の光が照射される条件において、検査対象物W1における単位面積当たりの光の照射強度が容易に向上され得る。
【0086】
また、ここでは、2つ以上の第2出射部B5の配列数の方が、2つ以上の第1出射部R5の配列数よりも多い。このため、受光センサ522において、2つ以上の第1出射部R5から出射される第1種類の光に対する受光感度よりも、2つ以上の第2出射部B5から出射される第2種類の光に対する受光感度の方が低くても、例えば、受光センサ522における受光感度に応じた照明が可能となる。
【0087】
そして、第1種類の光が赤色の光を含み、第2種類の光が青色の光を含んでいれば、例えば、赤色の光よりも青色の光に対する受光感度の方が低い受光センサ522に応じた照明が可能となる。本実施形態では、第1種類の光が赤色の光であり、第2種類の光が青色の光であり、第3種類の光が緑色の光である。ここで、例えば、受光センサ522が、+Y方向に対応する方向に沿って配列されており且つ受光する光の強度に応じた信号をそれぞれ取得可能な複数のダイオードを含む場合が想定される。このとき、複数のダイオードは、例えば、赤色の光よりも青色の光に対する受光感度の方が低い場合が一般的である。したがって、例えば、受光センサ522における受光感度に応じた照明状態が実現されることで、検査対象物W1を対象とした検査の精度が高められ得る。
【0088】
ここで、例えば、赤色の光は、波長が600〜760nm程度の光であり、緑色の光は、波長が500〜570nm程度の光であり、青色の光は、波長が400〜500nm程度の光である。また、ここで、複数のダイオードとしては、例えば、シリコンダイオード等が採用され得る。また、受光センサ522としては、例えば、複数のダイオード等といった複数の受光素子Ae1が一方向に配列されたラインセンサLs1等が採用され得る。なお、ここで、例えば、各受光素子の前面にカラーフィルターが配される態様では、所望の色(例えば、青色)のカラーフィルターが配される受光素子が全ての受光素子において占める割合が増加されれば、所望の色の光に対する受光感度が適宜調整され得る。
【0089】
ところで、例えば、検査対象物W1が、樹脂製の基板上に銅等の金属製の配線パターンが形成されているプリント基板であれば、樹脂製の基板における赤色の光の吸収率が、配線パターンにおける赤色の光の吸収率よりも相対的に高い場合が想定される。この場合、例えば、プリント基板に対して、赤色の光が照射されれば、配線パターンが明るく、背景としての樹脂製の基板が暗く照明されている状態となり得る。一方、樹脂製の基板における青色の光の吸収率が、配線パターンにおける青色の光の吸収率よりも相対的に低い場合が想定される。このとき、例えば、プリント基板に対して、青色の光が照射されれば、配線パターンが暗く、背景としての樹脂製の基板が明るく照明されている状態となり得る。また、検査対象物W1としてのプリント基板の上面の法線Lv0に対して成す角度がより大きな光軸を有する照明モジュールから青色の光がプリント基板に照射されれば、配線パターンよりも樹脂製の基板が相対的に明るく照明されている状態となり得る。また、例えば、検査対象物W1の表面に付着した皮脂汚れの有無が検査の対象であれば、例えば、皮脂における青色の光の吸収率が、皮脂が付着していないその他の部分における青色の光の吸収率よりも高い場合が想定される。このとき、例えば、検査対象物W1に対して、青色の光が照射されれば、皮脂汚れが付着した部分が暗く、その他の部分が明るく照明されている状態となり得る。また、ポリイミド製の基板が採用される場合、赤色の光は、該基板を透過し易く、青色の光は、該基板を透過し難い。このため、例えば、基板の裏面にも配線パターンが形成されている場合には、赤色の光ではなく、青色の光が照明される方が、基板の表面における検査が適正に行われ得る。但し、ポリイミド製の基板の厚みが厚い場合および該基板の裏面に配線パターンが形成されていない場合には、配線パターンが相対的に明るく照明され得る赤色の光で照明される方が、基板の表面における検査が適正に行われ得る。
【0090】
したがって、例えば、検査対象物W1についての検査内容に応じて、赤色の光および青色の光の何れの光を検査対象物W1に照射するのかが決定されれば、検査精度が高められ得る。
【0091】
また、ここで、第3種類の光として、緑色の光が用いられる代わりに、例えば、赤外光(IR光)が用いられても良い。ここで、赤外光としては、例えば、約800nm程度の光が採用され得る。この場合、例えば、検査対象物W1が、配線パターンが形成されたプリント基板であれば、基板における赤外光の吸収率が、配線パターンにおける赤外光の吸収率よりも顕著に高い。このため、赤外光が検査対象物W1に照射されると、検査の精度が高められ得る。なお、第3種類の光として、例えば、紫外光(UV光)が採用されても良い。すなわち、本願における「光」には、例えば、可視光だけでなく、赤外光(IR光)および紫外光(UV光)等が含まれる。
【0092】
<(4−3)その他の変形例>
例えば、上記一実施形態の各第m照明モジュールMmでは、配列方向としての+Y方向に沿って配列される複数の出射部Emは、例えば、+Y方向に仮想的に伸びる直線上から若干ずれた位置に配置されても良い。
【0093】
また、上記一実施形態では、各第m照明モジュールMmについて、複数の出射部Emが一列に並ぶ出射部列ELmが採用されていたが、これに限られない。例えば、各第m照明モジュールMmは、相互に略平行に並ぶ2列以上の出射部列ELmを有していても良い。このとき、例えば、第1〜3種類の光を発する3種類の出射部が、市松模様を形成するように配列されれば、複数の出射部Emの配設密度が向上し、検査対象物W1に対して照射される光の強度が上昇し得る。
【0094】
また、上記一実施形態では、各出射部列ELmにおいて複数の出射部Emが配列されるピッチが略一定であったが、これに限られない。例えば、受光センサ522の撮像レンズの性能等によって生じ得る周辺減光の影響を低減するために、各出射部列ELmにおいて、配列方向の中央近傍よりも両端近傍において、複数の出射部Emが配列されるピッチが短くなるように設定されても良い。
【0095】
また、上記一実施形態では、各出射部列ELmにおける複数の出射部Emの配列方向に対して、反射面Sf1が垂直に配されていたが、これに限られない。例えば、複数の出射部Emから光が出射される出射方向と配列方向とを含む仮想的な平面(仮想平面とも言う)に対して垂直である条件を満たすのであれば、反射面Sf1が出射部列ELmに対して若干傾けられても良い。但し、このとき、反射面Sf1が、出射部列ELmから離れる方向に回転するように傾けられれば、検査対象物W1から見た擬似的な出射部Emのピッチが、実際の出射部Emのピッチ以下となり得る。なお、例えば、上記仮想平面に対して垂直である条件を満たすのであれば、反射面Sf1に若干凹凸が設けられても良い。
【0096】
また、上記一実施形態では、照明部521が、9つの照明モジュールM1〜M9を有していたが、これに限られない。例えば、照明部521が、直接照明状態を実現する第5照明モジュールM5と、散乱照明状態を実現する第1〜4,6〜9照明モジュールM1〜M4,M6〜M9のうちの少なくとも1つの照明モジュールとが配された照明部に変更されても良いし、9つの照明モジュールM1〜M9のうちの任意の2つ以上の照明モジュールが配された照明部に変更されても良い。この場合、2つ以上の照明モジュールから出射される光の出射方向と、検査対象物W1の上面とが成す角度は、適宜変更され得る。
【0097】
このように、2つ以上の照明モジュールを有する照明部が採用されれば、照明部は、複数の出射部列を備えており、該複数の出射部列は、第1の複数の出射部を有する第1出射部列と、第2の複数の出射部列を有する第2出射部列とを有している。ここで、第1出射部列を構成する第1の複数の出射部は、配列方向(例えば、+Y方向)に沿って配列され且つ第1出射方向にそれぞれ光を出射する。また、第2出射部列を構成する第2の複数の出射部は、上記配列方向(例えば、+Y方向)に沿って配列され且つ第2出射方向にそれぞれ光を出射する。そして、上記配列方向に平面視したときに、第1出射方向と第2出射方向とが点Ps0(すなわち、照射対象領域As0)で交差すれば、例えば、検査対象物W1の状態に応じて、検査対象物W1に対する光の照射角度が切り替えられ得る。
【0098】
また、例えば、照明部521が、9つの照明モジュールM1〜M9のうちの1つの照明モジュールが配された照明部に変更されても良い。但し、このときは、検査対象物W1に対する光の照射角度を切り替える機能が省略される。
【0099】
また、上記一実施形態では、検査装置1において、主走査と副走査とが交互に行われたが、これに限られない。例えば、主走査および副走査のうちの何れか一方の走査が行われる構成が採用されても良い。
【0100】
また、上記一実施形態では、受光センサ522として、ラインセンサLs1が採用されたが、これに限られない。例えば、受光センサ522が、各第m照明モジュールMmにおける複数の出射部Emの配列方向に対応する方向にそれぞれ配列された複数の受光素子をそれぞれ含む相互に平行な複数の受光素子の列を有するものに変更されても良い。
【0101】
また、上記一実施形態では、各第m照明モジュールMmにおいて、第1レンズ部Lmaおよび第2レンズ部Lmbによって光が照射対象領域As0に集光されたが、これに限られない。例えば、1つのレンズ部によって光が照射対象領域As0に集光されても良いし、各出射部Emから薄い平板状の光路を有する指向性の強い光が出射される場合には、第1レンズ部Lmaおよび第2レンズ部Lmbの双方が省略されても良い。
【0102】
なお、上記一実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。そして、第1変形例および第2変形例に対し、その他の変形例の特徴を、適宜矛盾しない範囲で適用可能である。