特許第6625945号(P6625945)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6625945光学的電力伝送を用いる電力伝送システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6625945
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】光学的電力伝送を用いる電力伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0352 20060101AFI20191216BHJP
   H01L 31/054 20140101ALI20191216BHJP
   H01L 31/12 20060101ALI20191216BHJP
   H02J 50/30 20160101ALI20191216BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20191216BHJP
【FI】
   H01L31/04 340
   H01L31/04 620
   H01L31/12 Z
   H02J50/30
   H02J50/40
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-157513(P2016-157513)
(22)【出願日】2016年8月10日
(65)【公開番号】特開2017-38057(P2017-38057A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2018年5月30日
(31)【優先権主張番号】14/824,643
(32)【優先日】2015年8月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160543
【弁理士】
【氏名又は名称】河野上 正晴
(72)【発明者】
【氏名】石垣 将紀
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0119409(US,A1)
【文献】 特表2012−529760(JP,A)
【文献】 特開昭60−074685(JP,A)
【文献】 特開2006−216562(JP,A)
【文献】 特開2005−302819(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/126162(WO,A1)
【文献】 特開2002−078365(JP,A)
【文献】 特表2014−507922(JP,A)
【文献】 特表2011−503560(JP,A)
【文献】 特表2010−531067(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0126073(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0099266(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0211479(US,A1)
【文献】 米国特許第07358512(US,B1)
【文献】 独国特許出願公開第102010026289(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04 − 31/06
H01L 31/12 − 31/16
H02J 50/00 − 50/90
H02S 10/00 − 10/40
H02S 30/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギーを光に変換するように構成された光源;及び
複数の光電変換デバイス
を有し、
前記複数の光電変換デバイスのそれぞれは、
それぞれの第1の導電領域とそれぞれの第2の導電領域との間に挟まれた活性領域を有し、該活性領域は前記光源からの光を前記第1の導電領域中及び前記第2の導電領域中のどちらかに先に伝播させることなく受容するように配置されており、
前記活性領域に受容された光を電気エネルギーに変換し、そして、
前記複数の光電変換デバイスは、前記複数の光電変換デバイス中の第1の光電変換デバイスの活性領域から出て来た光が、前記複数の光電変換デバイス中の第2の光電変換デバイスの活性領域に入射するように構成されている、
光学的電力伝送(OPT)装置であって、
前記複数の光電変換デバイスが電気的に直列に接続されており、
前記第1の光電変換デバイスと前記第2の光電変換デバイスとが同量の電流を生成するように、ベールの法則に基づいて、前記第2の光電変換デバイスの活性領域が、前記第1の光電変換デバイスの活性領域よりも大きい幅を有している、
前記OPT装置。
【請求項2】
前記複数の光電変換デバイスのそれぞれにおける前記第1の導電領域がn−ドープされた半導体領域であり;
前記複数の光電変換デバイスのそれぞれにおける前記第2の導電領域がp−ドープされた半導体領域であり;
前記複数の光電変換デバイスのそれぞれにおける前記活性領域が、前記n−ドープされた半導体領域と、前記p−ドープされた半導体領域との間の空乏領域であり;
前記複数の光電変換デバイス中の各光電変換デバイスにおける、前記活性領域、前記第1の導電領域、および前記第2の導電領域が、第1の方向に種々に積層されており、前記各光電変換デバイスそれぞれの活性領域は、前記各光電変換デバイスの前記第1の導電領域と前記第2の導電領域との間に備えられており;そして
前記光源からの光が前記第1の方向と実質的に直交する方向に伝播する、
請求項1に記載のOPT装置。
【請求項3】
前記複数の光電変換デバイスが、前記光源からの光が前記第2の光電変換デバイスの前記活性領域に伝播されるより先に前記第1の光電変換デバイスの前記活性領域に伝播されるように構成されており、
前記第2の光電変換デバイスにおける光の伝播距離は、前記第1の光電変換デバイスにおける光の伝播距離よりも長く、そして、
前記第2の光電変換デバイスにおける光の伝播距離及び前記第1の光電変換デバイスにおける光の伝播距離は、前記第2の光電変換デバイスから発生される電流が前記第1の光電変換デバイスから発生される電流と等しくなるように構成されている、
請求項1又は2に記載のOPT装置。
【請求項4】
光が前記複数の光電変換デバイスにおける前記活性領域中を一旦通過した後に、該光を反射して、前記複数の光電変換デバイスにおける前記活性領域中を再通過するように構成された鏡を更に有する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のOPT装置。
【請求項5】
前記複数の光電変換デバイスは、光電変換デバイスのそれぞれが、前記第1の方向と直交する方向で他の光電変換デバイスと隣接しており、そして、
前記光源及び前記複数の光電変換デバイスは、前記光源からの光が、前記第1の方向と実質的に直交する方向に進行してそれぞれの光電変換デバイスにおける前記活性領域中を通過するように構成されている、
請求項2に記載のOPT装置。
【請求項6】
前記複数の光電変換デバイスのそれぞれにおける前記活性領域中の光の伝播距離は、前記光源からの光を照射したときに各光電変換デバイスが同量の電流を発生するように構成されている、
請求項5に記載のOPT装置。
【請求項7】
それぞれの光電変換デバイスにおける前記n−ドープされた半導体領域は、前記複数の光電変換デバイス中の隣接する光電変換デバイスにおける前記p−ドープされた半導体領域と隣接している、
請求項2、5、及び6のいずれか一項に記載のOPT装置。
【請求項8】
前記光源は、ヒ化ガリウム(GaAs)、ヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウムガリウム(InGaP)、窒化ガリウム(GaN)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、ヒ化窒化インジウムガリウム(GaInNAs)、リン化インジウム(InP)、及びリン化ガリウムインジウム(GaInP)のうちの1種を含有する活性領域を有する半導体光源である、
請求項2〜7のいずれか一項に記載のOPT装置。
【請求項9】
前記複数の光電変換デバイスは、前記光源を囲む一連の同心円として構成されており、
光電変換デバイスのそれぞれは、実質的に前記第1の方向に突出したリング状の形状を有しており、そして、
光電変換デバイスのそれぞれは、実質的に前記光源を中心とし、且つ前記複数の光電変換デバイス中の他の光電変換デバイスと異なる円周を有する、
請求項2に記載のOPT装置。
【請求項10】
前記複数の光電変換デバイスは、前記光源を囲む同心円の弧として構成されており、
光電変換デバイスのそれぞれは、実質的に前記第1の方向に突出したリングの弧の形状を有しており、そして、
弧の形状の光電変換デバイスのそれぞれは、実質的に前記光源を中心とする曲率半径を有しており、且つこれらの中心角が等しい光電変換デバイスは、前記光源により近く配置された光電変換デバイスが前記光源により遠く配置された光電変換デバイスよりも小さい曲率半径を有するように、曲率半径が異なる、
請求項2に記載のOPT装置。
【請求項11】
前記複数の光電変換デバイスは、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って配置されたブロックの列として構成されている、
請求項2に記載のOPT装置。
【請求項12】
前記光源と前記複数の光電変換デバイスとの間に配置された反射防止層を更に有する、
請求項2〜11のいずれか一項に記載のOPT装置。
【請求項13】
前記複数の光電変換デバイス中の隣接する光電変換デバイスのペアの間に反射防止層を更に有する、
請求項2〜12のいずれか一項に記載のOPT装置。
【請求項14】
前記光源が、発光ダイオード(LED)、有機LED、レーザーLED、及び垂直キャビティー面発光レーザーのうちの1種である、
請求項2〜7及び9〜13のいずれか一項に記載のOPT装置。
【請求項15】
前記光源及び前記複数の光電変換デバイスが一体のデバイスである、
請求項1〜14のいずれか一項に記載のOPT装置。
【請求項16】
電気エネルギーを光に変換するように構成された光源;及び
複数の光電変換デバイス
を有し、
前記複数の光電変換デバイスのそれぞれは、
それぞれの第1の導電領域とそれぞれの第2の導電領域との間に挟まれた活性領域を有し、該活性領域は前記光源からの光を前記第1の導電領域中及び前記第2の導電領域中のどちらかに先に伝播させることなく受容するように配置されており、
前記活性領域に受容された光を電気エネルギーに変換し、且つ、
前記複数の光電変換デバイスは、前記複数の光電変換デバイス中の第2の光電変換デバイスから、前記複数の光電変換デバイス中の第1の光電変換デバイスから生成される電流と実質的に等しい電流が生成されるように構成されている、
光学的電力伝送(OPT)装置であって、
前記複数の光電変換デバイスが電気的に直列に接続されており、
前記第1の光電変換デバイスと前記第2の光電変換デバイスとが同量の電流を生成するように、ベールの法則に基づいて、前記第2の光電変換デバイスの活性領域が、前記第1の光電変換デバイスの活性領域よりも大きい幅を有している、
前記OPT装置。
【請求項17】
前記複数の光電変換デバイスのそれぞれにおける前記第1の導電領域がn−ドープされた半導体領域であり;
前記複数の光電変換デバイスのそれぞれにおける前記第2の導電領域がp−ドープされた半導体領域であり;
前記複数の光電変換デバイスのそれぞれにおける前記活性領域が、前記n−ドープされた半導体領域と、前記p−ドープされた半導体領域との間の空乏領域であり;
前記複数の光電変換デバイス中の各光電変換デバイスにおける、前記活性領域、前記第1の導電領域、および前記第2の導電領域が、第1の方向に種々に積層されており、前記各光電変換デバイスそれぞれの活性領域は、前記各光電変換デバイスの前記第1の導電領域と前記第2の導電領域との間に備えられており;そして
前記光源からの光が前記第1の方向と実質的に直交する方向に伝播する、
請求項16に記載のOPT装置。
【請求項18】
光が前記複数の光電変換デバイスにおける前記活性領域中を一旦通過した後に、該光を反射して、前記複数の光電変換デバイスにおける前記活性領域中を再通過するように構成された鏡を更に有する、
請求項16又は17に記載のOPT装置。
【請求項19】
前記複数の光電変換デバイスが、更に、
前記複数の光電変換デバイスの前記活性領域が、第1の方向に直交する平面状に備えられ、且つ
前記第1の方向に直交する第2の方向において、前記複数の光電変換デバイスのそれぞれが、他の複数の光電変換デバイスの少なくとも1つと隣接して配置されており、そして、
前記光源が前記第1の方向に直交する平面に前記光を放射して、該光が前記光源から前記複数の光電変換デバイスを通過して伝播する
ように構成されている、
請求項16に記載のOPT装置。
【請求項20】
前記複数の光電変換デバイスが実質的に同心円形状を形成し、前記光源を取り囲むように配置されている、請求項19に記載のOPT装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに記載した実施形態は、一般的に、光を使用して、電力需要回路と電力供給回路との絶縁を実現し、電力需要先に電力を提供する、電力を伝送するためのデバイスに関する。より具体的には、複数の光電変換(PV)デバイスに光を伝送する、光学的電力伝送(OPT)デバイスに関する。これら複数のPVデバイスは、電気的に直列に接続されており、且つ光が、PVデバイスの空乏領域を通って伝播し、最初にPVデバイスの導電領域(例えば、前記空乏領域に隣接する、p−ドープされた領域又はn−ドープされた領域)を通って伝播することのないように配置されている。
【背景技術】
【0002】
光学的電力伝送(OPT)、光学的電力ともいう、は、電気的電力伝送に対して幾つかの利点を有する。第1に、OPTは、電力を供給する回路(即ち、電力供給回路)と、電力を消費する回路(即ち、電力需要回路)との間を電気的に絶縁する。第2に、OPTは、光ファイバー又は自由空間伝播を経由して、遠隔の若しくは隔絶された(inaccessible)環境(例えば、油田中又は宇宙空間)に、又は電気的電力伝送が危険であり得る環境(例えば、スパークが爆発を引き起こし得る、又は落雷の際に電気的電力伝送が敏感な機器への導電路を形成するので危険を増加する環境)に、電力を伝送するために使用することができる。ここで説明される方法及び装置は、主として、接地ループからのノイズを回避し、電磁干渉(EMI)を回避するとの最大の利点に焦点を合わせたものである。
【0003】
OPTにおいては、第1の位置において光源が電気エネルギーを光エネルギーに変換し、この光エネルギーを第2の位置に伝送する。第2の位置において、光エネルギーは、光源から光電変換(PV)セルへと伝播されて、光は電気エネルギーに再変換される。OPTは、電気的に絶縁された2つの回路間に信号を送信することを可能にしつつ、接地ループを遮断しEMIを最小化するためにも使用される光アイソレーターに類似する。エネルギー消費及び効率の重要性が2次的なものあってよく、或いは3次的なものであってさえよい一般的な光絶縁回路(例えば光カップラー)とは異なり、OPTシステムはエネルギー伝送が第1に考慮され、従って、エネルギー伝送プロセスの効率が第1の重要性を有する。一般に、従来のOPT装置は、嵩張りがちであり、最適効率に未達となりがちである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本開示の目的の1つは、従来のOPTシステムよりも小さく、高効率の、改善されたOPTシステムを提供することである。
【0005】
そのために、本開示はとりわけ、以下の前記OPT装置を提供する。
《態様1》電気エネルギーを光に変換するように構成された光源;及び
複数の光電変換デバイス
を有し、
前記複数の光電変換デバイスのそれぞれは、
それぞれの第1の導電領域とそれぞれの第2の導電領域との間に挟まれた活性領域を有し、該活性領域は前記光源からの光を前記第1の導電領域中及び前記第2の導電領域中のどちらかに先に伝播させることなく受容するように配置されており、且つ
前記活性領域に受容された光を電気エネルギーに変換する、
光学的電力伝送(OPT)装置であって、
前記複数の光電変換デバイスが電気的に直列に接続されている、
前記OPT装置。
《態様2》前記複数の光電変換デバイスのそれぞれにおける前記第1の導電領域がn−ドープされた半導体領域であり;
前記複数の光電変換デバイスのそれぞれにおける前記第2の導電領域がp−ドープされた半導体領域であり;
前記複数の光電変換デバイスのそれぞれにおける前記活性領域が、前記n−ドープされた半導体領域と、前記p−ドープされた半導体領域との間の空乏領域であり;
前記第1の導電領域、前記活性領域、および前記第2の導電領域が、第1の方向に積層されており、そして
前記光源からの光が前記第1の方向と実質的に直交する方向に伝播する、
態様1に記載のOPT装置。
《態様3》前記複数の光電変換デバイスが第1の光電変換デバイス及び第2の光電変換デバイスを含み、これら第1の光電変換デバイス及び第2の光電変換デバイスは、前記光源からの光が前記第2の光電変換デバイスの前記活性領域に伝播されるより先に前記第1の光電変換デバイスの前記活性領域に伝播されるように構成されており、
前記第2の光電変換デバイスにおける光の伝播距離は、前記第1の光電変換デバイスにおける光の伝播距離よりも長く、そして、
前記第2の光電変換デバイスにおける光の伝播距離及び前記第1の光電変換デバイスにおける光の伝播距離は、前記第2の光電変換デバイスから発生される電流が前記第1の光電変換デバイスから発生される電流と等しくなるように構成されている、
態様1に記載のOPT装置。
《態様4》光が前記複数の光電変換デバイスにおける前記活性領域中を一旦通過した後に、該光を反射して、前記複数の光電変換デバイスにおける前記活性領域中を再通過するように構成された鏡を更に有する、
態様1に記載のOPT装置。
《態様5》前記複数の光電変換デバイスは、光電変換デバイスのそれぞれが、前記第1の方向と直交する方向で他の光電変換デバイスと隣接しており、そして、
前記光源及び前記複数の光電変換デバイスは、前記光源からの光が、前記第1の方向と実質的に直交する方向に進行してそれぞれの光電変換デバイスにおける前記活性領域中を通過するように構成されている、
態様2に記載のOPT装置。
《態様6》前記複数の光電変換デバイスのそれぞれにおける前記活性領域中の光の伝播距離は、前記光源からの光を照射したときに各光電変換デバイスが同量の電流を発生するように構成されている、
態様5に記載のOPT装置。
《態様7》それぞれの光電変換デバイスにおける前記n−ドープされた半導体領域は、前記複数の光電変換デバイス中の隣接する光電変換デバイスにおける前記p−ドープされた半導体領域と隣接している、
態様2に記載のOPT装置。
《態様8》前記複数の光電変換デバイスのそれぞれは、光源に最も近い光電変換デバイスを除いて、前記n−ドープされた半導体領域が、前記複数の光電変換デバイス中の隣接する光電変換デバイスにおける前記p−ドープされた半導体領域と電気的に接続されている、
態様2に記載のOPT装置。
《態様9》前記複数の光電変換デバイスのそれぞれは、光源に最も近い光電変換デバイスを除いて、前記p−ドープされた半導体領域が、前記複数の光電変換デバイス中の隣接する光電変換デバイスにおける前記n−ドープされた半導体領域と電気的に接続されている、
態様2に記載のOPT装置。
《態様10》前記光源は、ヒ化ガリウム(GaAs)、ヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウムガリウム(InGaP)、窒化ガリウム(GaN)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、ヒ化窒化インジウムガリウム(GaInNAs)、リン化インジウム(InP)、及びリン化ガリウムインジウム(GaInP)のうちの1種を含有する活性領域を有する半導体光源である、
態様2に記載のOPT装置。
《態様11》前記複数の光電変換デバイスは、前記光源を囲む一連の同心円として構成されており、
光電変換デバイスのそれぞれは、実質的に前記第1の方向に突出したリング状の形状を有しており、そして、
光電変換デバイスのそれぞれは、実質的に前記光源を中心とし、且つ前記複数の光電変換デバイス中の他の光電変換デバイスと異なる円周を有する、
態様2に記載のOPT装置。
《態様12》前記複数の光電変換デバイスは、前記光源を囲む同心円の弧として構成されており、
光電変換デバイスのそれぞれは、実質的に前記第1の方向に突出したリングの弧の形状を有しており、そして、
弧の形状の光電変換デバイスのそれぞれは、実質的に前記光源を中心とする曲率半径を有しており、且つこれらの中心角が等しい光電変換デバイスは、前記光源により近く配置された光電変換デバイスが前記光源により遠く配置された光電変換デバイスよりも小さい曲率半径を有するように、曲率半径が異なる、
態様2に記載のOPT装置。
《態様13》前記複数の光電変換デバイスは、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って配置されたブロックの列として構成されている、
態様2に記載のOPT装置。
《態様14》前記光源と前記複数の光電変換デバイスとの間に配置された反射防止層を更に有する、
態様2に記載のOPT装置。
《態様15》前記複数の光電変換デバイスのペアそれぞれの間に反射防止層を更に有する、
態様2に記載のOPT装置。
《態様16》前記光源が、発光ダイオード(LED)、有機LED、レーザーLED、及び垂直キャビティー面発光レーザーのうちの1種である、
態様2に記載のOPT装置。
《態様17》前記光源及び前記複数の光電変換デバイスが一体のデバイスである、
態様1に記載の光学的電力伝送装置。
《態様18》第1の光共振器;
電気エネルギーを光に変換するように構成された第1の光源;及び
第1の光電変換デバイス
を有し、
前記第1の光源は、前記第1の光共振器の光学モードとオーバーラップするように配置された活性領域を含み、
前記第1の光電変換デバイスは、前記第1の光共振器の光学モードとオーバーラップするように配置された活性領域を含み、且つ光を電気エネルギーに変換するように構成されている、
光学的電力伝送(OPT)装置であって、
前記第1の光共振器は、前記第1の光源の前記活性領域からの増加を含む往復の増加量が、前記第1の光電変換デバイスの活性領域による吸収を含む往復の損失量よりも大きいときにレーザー光を発するように構成されている、
前記OPT装置。
《態様19》前記第1の光共振器を含む複数の光共振器;
前記第1の光源を含む複数の光源;及び
電気的に直列に接続されている複数の光電変換デバイス
を更に有し、
前記複数の光源のそれぞれは、前記複数の光発信機のそれぞれの光共振器の光学モードとオーバーラップするように配置された活性領域を含み、
前記複数の光電変換デバイスのそれぞれは、前記複数の光共振器のそれぞれの光共振器の光学モードとオーバーラップするように配置された活性領域を含み、そして、
光電変換装置のそれぞれは、前記複数の光源によって光が発生されたときに各光電変換装置が相等しい電流を発生するように構成されている、
態様18に記載のOPT装置。
《態様20》電気的に直列に接続されている複数の光電変換デバイスを更に有し、
前記複数の光電変換デバイスのそれぞれは、光共振器の光学モードとオーバーラップするように配置された活性領域を含み、そして、
光電変換装置のそれぞれは、光源によって光が発生されたときに各光電変換装置が相等しい電流を発生するように構成されている、
態様18に記載のOPT装置。
【0006】
その他の例示的な実施形態において、本開示は、(i)第1の光共振器、(ii)電気エネルギーを光に変換するように構成された第1の光源、この第1の光源は、第1の光共振器の光学モードとオーバーラップするように構成された活性層を含む;及び(iii)第1の光電変換デバイスは第1の光共振器の光学モードとオーバーラップするように配置され、且つ光を電気エネルギーに変換するように構成された、第1の光電変換デバイスを有するOPT装置であって、(iv)第1の光共振器は、第1の光源のゲイン活性層からのゲインを含む往復のゲインが、第1の光電変換デバイスの活性層による吸収を含む往復の損失量よりも大きいときにレーザー光を発するように構成されている、前記OPT装置を提供する。
【0007】
本発明についての上記の一般的記載及び以下の詳細な説明は、双方とも、例示であると理解されるべきであり、特許請求された発明を限定するものではない。
【0008】
以下の詳細な説明を下記の図面と関連付けて参照することにより、本開示を更に完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、OPTシステムのある実施態様の図である;
図1B図1Bは、集光器及び光スプレッダを用いる、OPTシステムのある実施態様の図である;
図2A図2Aは、光が導電領域のうちの1つ(例えばn−ドープされた領域)を通って伝播した後に空乏領域に入射する、PVデバイスのある実施態様の図である;
図2B図2Bは、光が空乏領域に直接入射する、PVデバイスのある実施態様の図である;
図3図3は、OPTシステムにおける損失メカニズムの一例の棒グラフである;
図4A図4Aは、特に絶縁された電力供給器の使用によって相互に絶縁されたゲート電圧回路及び信号処理回路の、ある実施態様の回路図である;
図4B図4Bは、絶縁された電力供給器を特別に使用することによって相互に絶縁された電流センサ回路及びアナログ−デジタル(A/D)変換回路の、ある実施態様の回路図である;
図5図5は、円盤状OPTシステムのある実施態様の側面の断面図である;
図6図6は、円盤状OPTシステムのある実施態様の上面図である;
図7A図7Aは、n−ドープされた上部導電領域及びp−ドープされた上部導電領域を交互に有する円盤状OPTシステムのある実施態様の側面の断面図である;
図7B図7Bは、n−ドープされた上部導電領域及びp−ドープされた上部導電領域を交互に有する円盤状OPTシステムのある実施態様の上面図である;
図8図8は、レーザーキャビティーOPTシステムのある実施態様の上面図である;
図9図8は、レーザーキャビティーOPTシステムのある実施態様の側面図である;
図10図10は、直線伝播OPTシステムのある実施態様の側面図である;
図11図11は、直線伝播OPTシステムのある実施態様の上面図である;
図12A図12Aは、4分割した円盤状OPTシステムのある実施態様の透視図である;そして
図12B図12Bは、電極が、複数のPVシステムを直列に接続する、円盤状OPTシステムのある実施態様の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の観点の1つは、強い電磁干渉(EMI)環境下で稼働することが可能な、電気的に絶縁された電力供給器を与えるために、より小さく、より効率的な光学的電力伝送(OPT)システムを提供することである。OPTは、電力を遠隔地に伝送すること、向上された安全性、接地ループの緩和、及びEMIの抑制を含む、多くの利益を与える。OPTの適用の幾つかは、これらの利益のうちの幾つかに重点を置き、他には重点を置かない。例えば地上レーザーから衛星への自由空間OPTは、遠隔地へのエネルギー伝送能力に重点を置く。他の例において、電気スパークによって発火し得る微細なグレインダスト(grain dust)を含有するグレインサイロ(grain silo)のような、揮発性且つ爆発性の環境下へ電力を伝送するOPTの使用は、OPTの安全性の観点を重視する。これらの例はいずれも、電力供給回路と電力需要回路との間の電気的絶縁に加えて、追加的な目標を達成するために、嵩高く、そしておそらくは高価な、OPTの自由空間又はファイバーにおける光学プロセスを利用する。回路間の電気的絶縁と、ノイズカップリングを最小限にすることと、を重視する用途においては、嵩高い及び/又は高価な光学系を使わなくてもOPTを機能させることができる。更に、嵩高く高価な光学系を排除し、光源及び光電変換(PV)デバイスを近接状態にすることにより、光の散乱及び吸収による損失を減少して効率を向上するとの更なる利益を享受することができる。
【0011】
ここに記載されるOPTデバイス/システムは、光源及び光電変換(PV)デバイスを近接状態にすることによって、効率を向上し、且つデバイスサイズを減少する、光源及びPVデバイスの構成を提供する。このようなデバイスは、例えば、電気自動車のEMI環境下で、敏感な制御回路及び測定回路中のEMIを減少し、これら敏感な回路におけるエラーを最小化するために、有用であり得る。
【0012】
以下、図面を参照する。参照の数字は、幾つかの図面を通して同一の又は対応する部分を示す。図1Aに、光源110、導光路130、及びPVデバイス120を有する、一般的なOPTシステム100を示す。光源110は、電気エネルギーを光に変換する。例えば、光源110は、単色光源(例えば、発光ダイオード(LED)又はレーザーダイオード(LD)等の半導体デバイス)であってよい。光源110からの光は、導光路130(例えば、光ファイバー、導波管、又は自由空間伝播チャネルであってもよい)中に結合される。
【0013】
光は、導光路130を通って伝播した後、PVデバイス120上へと方向付けられることによって、電気信号に変換される。例えば、PVデバイス120はフォトンを吸収し、PN接合の空乏領域内に電子−正孔のペアを生成する。空乏領域を横切る電位が、各電荷キャリアを、PN接合の2つの面に対応するn−ドープされた領域及びP−ドープされた領域中に分離する。このように、電子−正孔ペアは再結合を回避し、電子及び正孔は、PN接合のn−ドープされた領域及びp−ドープされた領域中にそれぞれ捕集される。p−ドープされた領域及びn−ドープされた領域間の電位差は、半導体のバンドギャップによって決定される。このようにして、入射したフォトンは電力に変換される。
【0014】
図1Bに示したように、ある実施態様において、光源110は、例えば半導体LD又は垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)等の電気−光変換器114を含んでいてよい。光源110は、例えば、FC、SMA、又は他のファイバー光コネクタに対して固定位置に保持されたレンズ等の集光器112を更に含む。集光器112は、導光路130であるファイバー光ケーブルの第1の末端に結合する。集光器112は、電気−光変換器114からの光を、ファイバーのコア上に集光し、ファイバー光ケーブルのモードに適合させる。例えば、電気−光変換器114の集光されたビームは、ほぼガウシアンビームであってよく、導光路130はマルチモードの光ファイバーであってよい。導光路130の第2の末端において、ファイバー光ケーブルは光スプレッダ122に結合する。光スプレッダ122は、例えば、ファイバー光ケーブルから発する拡散光をコリメートする(平行光にする)他のレンズアセンブリに結合された他のファイバーコネクタ(例えば、第2のFC、SMA、又は他のファイバー光学コネクタ)を含んでいてよい。コリメート光学系からの光は、次いで、1つ以上のPVセル上に向かう。これらのPVセルは、光電変換器124の一部である。光電変換器124で発生した電力は、次いで、OPTシステム100によって電力を供給されるデバイスに接続される。
【0015】
ファイバー導光路を用いて遠隔位置に電力を伝送することは、多くの用途において有益である。しかし、OPTシステムは、主として、接地ループの影響を緩和し、ノイズに敏感な回路に接続されたEMIを抑制する電気的絶縁の目的で使用される。これらの場合において、光ファイバー、並びにこれに付随するコネクタ類及び光学系は、OPTシステムに、不要の嵩高さ、複雑さ、及び光学的な損失をもたらす。これらの場合において、光源110及びPVデバイス120を配置し、導光路130を実質的に排除することには、相当の利益がある。
【0016】
更に、OPTシステム100の有効性は、PVデバイスのPN接合中に、太陽光PVデバイスにおいて従来から使用されている、より一般的な末端カップリングではなく、サイドカップリングを用いることにより向上され得る。太陽光PVデバイスは、光が、図2Aに示したようにp−ドープされた領域とn−ドープされた領域との間の接合部分にある空乏領域の活性層に到達する前に、先ずp−ドープされた領域又はn−ドープされた領域を通ることを担保するために、基板表面上に平面状のジオメトリで構成される。これらのPVデバイスは、光が、ドープされた領域の平面スタックの上面を通って入射するように構成される。フレネル反射による散乱損失を減少するために、最上層の半導体層の上面に反射防止手段を含む場合もある。
【0017】
このようなジオメトリは、このPVデバイスが大量の太陽光を捕集する目的で大面積を有するように製造可能なので、近年の微細加工法を用いて製造される太陽光PVデバイスに有利である。しかし、これらのPVデバイスは、最上層の導電層(例えば、図2A中のp−ドープされた領域)中に吸収されたフォトンは電流に寄与しないから、非効率的でもある(例えば、最上層の導電領域中の電子−正孔ペアは、電流に寄与するよりもむしろ再結合する。これに対して、空乏領域中で生成した電子−正孔ペアは、再結合するより前に分離されるから、電流に寄与する。)。最上層の導電層中に吸収されたフォトンの数は、この層を薄くすることによって減少することができるであろうが、この層を薄くすると、PN接合からの電流の流れに対する抵抗が増大することによって、抵抗損失が増大する。このように、最上層が厚いときの光学損失の増大と、最上層が薄いときの電力損失の増大との間にはトレードオフの関係があり、図2Aに示したPVデバイス構成とすると、不可避的な損失を有することとなる。
【0018】
図2Aに対して、図2Bに、横入射の構成を示す。横入射の構成において、光は、n−ドープされた領域及びp−ドープされた領域、並びに活性層の積層方向と実質的に直交する方向に伝播する。光は、最初にn−ドープされた導電領域又はp−ドープされた導電領域を通ることなく、直接空乏領域に入射する。光が積層方向と実質的に直交する方向に伝播すると(例えば、空亡領域に入射した光線のほとんどがPVデバイスを通って伝播するときに該空乏領域中に留まるように、光の角度が極めて小さいと)、空乏領域に入射した光は、光電電流に寄与せずにn−ドープされた導電層又はp−ドープされた導電層のうちの一方に吸収されるのではなく、空乏領域に吸収されて光電電流を生成し、或いは吸収されずに空乏領域を通過する。このような構成によって、最上層の導電領域を通って吸収されることによる損失を回避することができ、最上層の半導体層の厚さを厚くして抵抗損失を減少することができる。図2Bに示した構成によると、太陽輻射の捕集には最適化されていないが、PVデバイスと光源とが1つのチップ上に一体的に構築されているならば、光源の活性層をPVデバイスの活性層と位置合わせすることにより、効率的なOPTシステムを得ることができる。
【0019】
吸収損失を減少することに加えて、光源110及びPVデバイス120を近接して配置することにより(例えば、1つのチップ上にこれらを集積することにより)、散乱損失を減少し、従ってOPTシステムの効率を更に向上することができる。図3に示したように、従来のOPTシステムは複数の損失源を有する。電力損失源としては、(i)光源における電気−光変換プロセスの量子効率、(ii)光源からPVデバイスへの伝送路における、吸収及び散乱によるフォトンの損失、(iii)PVセルにおける光−電力変換プロセスの量子効率、及び(iv)半導体材料、金属層、ワイヤボンディング等における抵抗損失、が挙げられる。光源110とPVデバイス120とを近接して配置することにより、散乱損失を減少することができる。上述したように、光源110とPVデバイス120との配置は、OPTシステムのサイズを減じ、コストを削減ずるとの更なる利点を有する。更に、横入射配置の使用により、従来のPVデバイスにおいて起こる、光がPN接合の空乏領域に到達する前に先ず導電部を通って伝播することによる吸収損失が減少される。
【0020】
図4A及び図4Bに、OPTシステムが電力供給回路と電力需要回路との間の電気的絶縁を提供することを要する場合の適用例を示す。例えば電力駆動モーター車において、電気モーターの稼働に使用される高い電圧及び電流は、高いEMI環境をもたらす。電力駆動モーター車は、測定及び制御の電気回路構成に頼っている。これらの電気回路構成は、EMIがモーター回路から制御及び測定回路構成に伝達されると悪影響を受け得る。これらのノイズに敏感な回路の機能を高いレベルに維持するには、高い効率の電気的絶縁が重要であり得る。
【0021】
図4Aに、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)のゲートにゲート電圧410を供給するゲート電圧回路405の例を示す。ゲート電圧は、例えば、電気モーターへの電流を制御することができる。ある実施態様において、信号プロセッサ420は、受信信号上でデジタル信号処理を実行し、該デジタル処理に基づくデジタル出力を生成し、そして信号プロセッサ420中のデジタルーアナログ変換器を使用して前記デジタル信号をアナログ信号に変換する。ノイズ及びEMIが信号プロセッサ420に与える影響を軽減するために、低ノイズの電源418(例えば電池)が使用され、信号プロセッサ420及び電源418は、IGBTに接続されたゲート電圧回路上のノイズから電気的に絶縁される。信号プロセッサ420は、増幅器414の高電圧(増幅器414に供給される電圧は、例えば15ボルトであってよい)と比べて、比較的低い電圧(電源418から供給される電圧は、例えば5ボルトであってよい)で操作することができる。同様に、信号プロセッサ420、電源418、及び光カップラー416の接地の接続は、ボディー接地接続であってよい。
【0022】
信号プロセッサ420中のカップリングによるEMIを避けるため、信号プロセッサ420は、該信号プロセッサ420から増幅器414にアナログ出力を光学的に伝送するために光カップラー416を用いることにより、増幅器414の回路から絶縁される。増幅器414は、次いで、受信信号を増幅し、ゲート電圧410としてIGBTに伝送する。増幅器414の設置は独立しており(フローティングであり)、該増幅器414に供給される電圧は信号プロセッサ420に供給される電圧より高くてよい(増幅器414の電圧は、例えば15ボルトであってよい)。
【0023】
増幅器414への電力は、絶縁された電力供給器412を用いて供給される。電力供給器412は、電力供給器418から増幅器414へ、これら2つの回路間の電気的絶縁を維持しつつ電力を伝送する。絶縁された電力供給器412はまた、電力供給器418の5ボルトから、増幅器414にて使用される15ボルトへ昇圧する。絶縁された電力供給器412のこれらの機能(即ち、電気的絶縁下に電力を供給すること)は、幾つかの相異なるデバイスによって実行することができる。例えば、絶縁された電力供給器412として絶縁トランスを使用して、信号プロセッサ420と増幅器414との間を絶縁することができる。しかし、絶縁トランスは、該トランスの増幅器側と該トランスの信号プロセッサ側とのカップリングであるノイズの抑制に効果的とはいえない。特に、高周波数においては、絶縁トランスの寄生容量による2つの回路間のノイズの顕著なカップリングがあり、該トランスの増幅器側と信号プロセッサ側との間に顕著な容量カップリングをもたらす。このように、OPTシステムは特に高周波数において、より良好な電気的絶縁を与えることから、絶縁された電力供給器412としてはOPTシステムが絶縁トランスに勝る。これに加えて、OPTシステムは、絶縁トランスに比べて小さくてもよいとの更なる利点を有する。
【0024】
図4Bに、絶縁された電力供給器を使用する第2の例として、モーター電流感知回路445を示した。図4Bにおいて、アイソレーションアンプ452を用いて基準値450がアナログ−デジタル(A/D)変換器458に伝送される。A/D変換器458からの信号460は、次いで、種々の決定機能又は制御機能のために、信号プロセッサ(例えば信号プロセッサ420)によって使用されてよい。基準値450をデジタル信号460に正確に変換することは、これら種々の決定機能又は制御機能において、エラーの伝播による混乱を起こさないために重要である。
【0025】
図4Bに示したように、基準値450は、アイソレーションアンプ452へのインプットとして受信される。アイソレーションアンプ452は、回路の電流感知側のノイズが回路のA/D変換器側に伝播して信号460に悪影響を与えることを回避するために、電気的に絶縁された2つの側端を有する。同様に、絶縁された電力供給器454も、アイソレーションアンプにおける2つの回路に対応する2つの側端を有する。アイソレーションアンプ452の2つの側端は、ノイズが電圧供給ラインを通ってA/D変換器458に伝播される代替パスを回避する。このように、電気的絶縁には2つの階層がある:(i)基準値450に対応して、アイソレーションアンプ452を通って伝播する信号、及び(ii)絶縁された電力供給器454を用いて絶縁された、電圧供給レール。
【0026】
アイソレーションアンプ452及び絶縁された電力供給器454の双方につき、右側の電気回路はフローティング接地を有する高電圧モーター駆動に対応し、そして左側の電気回路は低電圧A/D変換器458に対応する。モーター駆動に対応する右側の電気回路は、高電圧のモーター電流をサンプリングし、フローティングの接地ラインを用いる。A/D変換器458に対応する左側の電気回路は、低電圧及びボディー接地を使用する。この左側の電気回路は、アイソレーションアンプ452及び絶縁された電力供給器454の双方を用いるモーター駆動側のEMIから遮断されている。アイソレーションアンプ452は、低電圧及び低ノイズの回路と、高電圧モーター駆動回路との間を電気的に絶縁する。アイソレーションアンプ452の低電圧側への電力は、電源418から直接的に供給され、アイソレーションアンプ452の高電圧側への電力は、電源418から、絶縁された電力供給器454を通して間接的に供給される。OPTシステムは、回路405に使用される絶縁された電源412について上述したのと同じ理由により、絶縁された電力供給器454と同様に望ましい。例えば、OPTシステムは、高周波数において絶縁トランスよりも良好な絶縁を提供することができる。
【0027】
図5及び図6に、PVデバイス520、530、540、及び550の同心円によって囲まれた中心光源510を有する円盤状OPTデバイス500のある実施態様を示した。図5はOPTシステム500を右側から見た断面図であり、図6はOPTシステム500の上面図である。図5及び図6の寸法は正確ではない。このデバイスの最外縁の周りは鏡560であり、該鏡に到達した光が反射し、光を吸収して電気エネルギーに変換することのできるPVデバイス520、530、540、及び550を再通過する。鏡560は任意である。中心光源510、並びに同心円状PVデバイス520、530、540、及び550のそれぞれは、2つの導電層の間に挟まれた活性層を有する。例えば、上部導電層/領域はn−ドープされていてよく、下部層/領域はp−ドープされていてよい。活性層は、n−ドープ領域とp−ドープ領域との間の接合部における空乏領域であってよい。これと代替的に、図5に示したように、上部導電領域はp−ドープされていてよく、下部領域はn−ドープされていてよい。
【0028】
ある実施態様において、光源510は、p−ドープされた半導体である上部導電領域514に電気的に接続された電極516(P)を含む。電極516(N)は、n−ドープされた半導体である下部導電領域512に電気的に接続されており、活性層518は、p−ドープされた領域及びn−ドープされた領域514及び512の間の接合部に位置する。PN接合が順方向にバイアスされて該PN接合に電流が注入されるとき、n−ドープされた領域からの電子、及びp−ドープされた領域からの正孔は、活性領域中で結合して光を発生する。光源は、図5に示した「光の方向」とラベルされた矢印に沿って、PVデバイス520、530、540、及び550の活性領域中に優先的に輻射を放射するように構成されてよい。
【0029】
ある実施態様において、PVデバイス520、530、540、及び550のそれぞれは、金属層(例えば、526(P)、536(P)、546(P)、及び556(P))に電気的に接続された、p−ドープされた導電領域(例えば、524、534、542、及び552)を含む。PVデバイス520、530、540、及び550のそれぞれは、各金属層(例えば、526(N)、536(N)、546(N)、及び556(N))に電気的に接続された、n−ドープされた導電領域(例えば、522、532、544、及び554)も有する。各PVデバイスにおける導電領域の間は、PN接合の空乏領域に対応する活性領域である。ある実施態様において、PN接合に真性ドープ領域(intrinsically doped region)を使用してPINフォトダイオードを形成することによって、空乏の幅を広げることができる。ここで、「PN接合」の語は、空乏領域の幅を広げる真性層(intrinsic layer)を含む、及び含まない、双方のPN接合を含む広義に定義される。図5におけるPVデバイス520の活性領域は、領域528である。同様に、PVデバイス530、540、及び550の活性領域は、それぞれ、領域538、548、及び558である。
【0030】
鏡560は、円盤状OPTシステム500の外縁を囲うように配置され、PVデバイスを横切って外縁に到達した光を反射し、PVデバイスをもう一度通過させ、残りの光がこの2回目の通過中に吸収されて電気エネルギーに変換され得るようにする。このように、任意的な鏡560は、PVデバイス中に吸収される光を増加することによって、効率を向上させる。光がPVデバイス550の外縁に一旦到達した場合、該到達光は、円盤状OPTシステムの外部に散逸するのではなく、反射されてPVデバイス550を通って光源に向かって反射され、各PVデバイスを2回目に通るときに、残りの光が吸収されて電流に変換される。従来の太陽光PVデバイスとは異なり、光は活性領域に到達するために導電領域を通らないから、図5に示したOPTシステム構成は以前のOPTシステムに比べてより効率的であり得る。
【0031】
更に、隣接するPVデバイスが、従来のPV積層体における直列電圧の総計(aggregate)を減少させる負電圧と関連するPNトンネル接合を用いて分離されている、従来の積層型PVデバイスとは異なり、図5中のPVデバイスのそれぞれは、他のPVデバイスに、トンネル接合ではなく、導体を用いて電気的に接続されている。図5及び図6のPVデバイスにおけるPVデバイスの直列電圧の総計は、PN接合すべての電圧の総和である。例えば、図5に示したように、PVデバイス530、540、及び550のそれぞれは、対応する金属層536(P)、546(P)、及び556(P)から、PVデバイス520、530、及び540の対応する金属層526(N)、536(N)、及び546(N)へのワイヤ結合を有する。このように、複数のPVデバイスの電圧の総計は、個々のPVデバイスそれぞれの電圧の4倍である。
【0032】
他の実施態様によると、PVデバイス520、530、540、及び550は、直列に配線されるのではなくて、並列に電気的に接続されていてよい。しかし、複数のPVデバイスを直列に配線して高電圧を得ることが要求される幾つかの理由がある。第1に、多くの用途において高電圧が使用され、低電圧高電流源の電圧を上げるためには、DC−DCブーストコンバータを使用するよりは、直接に高電圧を実現することがより効果的であることである。例えば、図4A及び図4Bに示した用途の双方において、電圧を約5ボルトから約15ボルト及び10ボルトまで上げるために、絶縁された電力供給器が使用される。PVデバイスそれぞれの電圧は、半導体のバンドギャップによって決定され、ほとんどの半導体において、PVデバイス当たり1ボルトの電圧に相当する約1eVである。DC−DC昇圧ブーストコンバータは、高電流低電圧のPV電源を高電圧に変換するために使用することができるが、これらのコンバータは効率が悪いことがある。更に、PVデバイスにおける電力消費は、
P=I
によって与えられる。ここで、Pは消費電力であり、Iは電流であり、そしてRは抵抗である。従って、PVデバイスにおいて消費される電力は、電流の2乗に比例し、低電流高電圧のデバイスとすることがより効率的である。高電流源を使用したときの2次関数的な電力消費とは対照的に、PVデバイスを直列に配列すると、PVデバイスの電力消費がPVデバイス数に直線比例する高電圧低電流源を得ることができる。従って、複数のPVデバイスを直列に接続すると、増幅器414及びアイソレーションアンプ452でそれぞれ使用される10〜15ボルトの電圧レールを得るためのより効率的な電源を得ることができる。
【0033】
図6に、光源510、並びにPVデバイス520、530、540、及び550の上面図を示した。PVデバイスは、光源510を中心として、その周りに同心円状に配置されている。中心からより遠いPVデバイスについては、該PVデバイスは円周が大きくなるだけでではなく、光線が通る材料の量も増加している(つまり、光源510からより遠いPVデバイスについては、該PVデバイス中を光が伝播する距離が増加している)。光源510からより遠いPVデバイスの幅を広げることにより、該PVデバイスの活性領域を通って伝播する光の指数関数形吸収を相殺(オフセット)する。PVデバイス520、530、540、及び550のそれぞれは、他のすべてのPVデバイスと同量の電流を生成するように構成されている。複数のPVデバイスを通って伝達された光の残存強度は次第に減少するから、より外側のPVデバイスは、残存光を高いパーセンテージで吸収するために、伝播の長さがより大きい。複数のPVデバイスが直列に接続されているとき、PVデバイスのそれぞれが同量の電流を生成することが担保され、OPTシステムの効率が向上する。直列に接続されたすべてのPVデバイスが同量の電流を生成するとき、該OPTシステムは最適の効率で機能する。たとえ、中心からより遠いPVデバイスへの入射光が中心により近いPVデバイスにおける吸収のために減衰していたとしても、中心のPVデバイスからより遠いPVデバイスの幅を増加することによって、これらのPVデバイスにおける光吸収量を中心により近いPVデバイスと等しくすることができる。一般に、光の吸収は、ベールの法則(即ち、位置の関数として指数関数的な吸収)に従う。しかし、光強度が強いと、吸収は、飽和及び他の非線形効果によってベールの法則から逸脱する。更に、鏡560による反射も、PVデバイスそれぞれの厚さの最適値に影響する。PVデバイスのそれぞれが所望の操作範囲において同量の電流を生成することを担保する目的で、PVデバイス520、530、540、及び550の最適の厚さを決定するためには、これらすべての影響が考慮される。
【0034】
図5及び図6において、直接に接続されたPVデバイスの数は4である。他の実施態様においては、PVデバイスの数は4より多くても少なくてもよい。更に、鏡560は任意的に省略できる。
【0035】
図7A及び図7Bに他の実施態様を示した。これらの実施態様では、p−ドープされた導電層が奇数番目のPVデバイス720及び740(つまり、第1及び第3のPVデバイス)の頂部にあり、n−ドープされた導電層が偶数番目のPVデバイス730及び750(つまり、第2及び第4のPVデバイス)の頂部にある。この場合の奇数及び偶数とは、PVデバイスの、中心の光源710に近接する順番に関する。OPTシステム500において、光は、光源710の活性領域718から放射状に外側に伝播し、PVデバイス720、730、740、及び750それぞれの活性領域728、738、748、及び758を通って伝播する。光源710は、例えば、p−ドープされた導電層714に接続された電極716(P)、及びn−ドープされた導電層712に接続された電極716(N)から活性領域に電流が注入されたときに光を生成するLED又はLDであってよい。
【0036】
ある実施態様において、第1のPVデバイス720は、p−ドープされた半導体724に電気的に接続された電極726(P)、及びn−ドープされた半導体722に電気的に接続された電極726(N)を含む。電極726(N)は、PVデバイス730のp−ドープされた半導体734にも電気的に接続されている。PVデバイス730も、電極736に電気的に接続されたn−ドープされた半導体732を含む。この電極736も同様に、PVデバイス740におけるp−ドープされた半導体744に電気的に接続されている。PVデバイス740も同様に、n−ドープされた半導体742を含む。このn−ドープされた半導体742は電極746に電気的に接続されており、該電極746も同様にPVデバイス750におけるp−ドープされた半導体754に電気的に接続されている。最後に、PVデバイス750は、電極756に電気的に接続された、n−ドープされた半導体752を含む。このように、複数のPVデバイスは、1つのPVデバイスの頂部から隣接するPVデバイスの底部に伸びる電気的接続手段を要せずに、直列に接続されていてよい。鏡760は、最後のPVデバイス750から出て来た光を光源710に戻す方向に反射し、反射光がPVデバイス720、730、740、及び750を再通過する間に吸収されて電流に変換されるようにする。
【0037】
図8及び図9に、他のOPTシステム800の実施形態を示した。図8はOPTシステム800の上面図であり、図9はOPTシステム800の側面図である。OPTシステム800は、レーザー発振器のキャビティー内に集積された複数のPVデバイスを含む。例えば、これら複数のPVデバイスは、それぞれがLDレーザー発振器のキャビティー内にあってよい。
【0038】
OPTシステム800は、4つのサブシステム(1)、(2)、(3)、及び(4)を含む。これらサブシステムのそれぞれは、2つのゲインセクション(例えば820(1)及び830(1))及び1つの吸収領域(例えば810(1))を有する。第1のサブシステム(1)は、2つのゲインセクション820(1)及び830(1)を含み、吸収領域810(1)を含む。第2のサブシステム(2)は、2つのゲインセクション820(2)及び830(2)を含み、吸収領域810(2)を含む。第3のサブシステム(3)は、2つのゲインセクション820(3)及び830(3)を含み、吸収領域810(3)を含む。第4のサブシステム(4)は、2つのゲインセクション820(4)及び830(4)を含み、吸収領域810(4)を含む。
【0039】
ゲイン領域及び吸収領域は、2つの鏡840及び842の間に位置し、光共振器キャビティー(共振器キャビティー、又は単純に共振器ともいう)を形成する。光共振器キャビティーは、例えば、フラット−フラット共振器キャビティーであってよい。ゲイン領域からの小信号ゲインが、周回損失(例えば、鏡及び種々雑多な損失源における吸収セクション損失の吸収による)を超過する光共振器キャビティーの周回ゲインよりも顕著に大きいときには、対応するサブシステムは、光キャビティーの共鳴周波数でレーザー発光を開始する。サブシステム(1)、(2)、(3)、及び(4)がレーザー発光のゲイン閾値を下回った場合でも、光共振器のキャビティーモードに従って伝播した光は、吸収セクション810(1)、810(2)、810(3)、及び810(4)においてPVデバイスの活性層に吸収される。しかし、キャビティーがレーザー発光する場合、その励起された発光によって、ゲインセクション820(1)、820(2)、820(3)、820(4)、830(1)、830(2)、830(3)、及び830(4)が、それぞれのPV吸収セクション810(1)、810(2)、810(3)、及び810(4)を通過するように配置されたキャビティーモード中に、優先的に発光する。このように、キャビティーがレーザー発光する場合、ゲイン媒体(即ち光源)からPVデバイスへのエネルギー伝送の効率は向上する。従って、レーザー発光が起こるときには、OPTシステムの効率は増大する。
【0040】
ある実施態様においては、図8に示したように、光共振器の左側に1つの鏡840が配置され、OPTシステム800の右側に1つの鏡842が配置される。他の実施態様においては、サブシステム(1)、(2)、(3)、及び(4)がそれぞれの鏡を有し、サブシステム(1)、(2)、(3)、及び(4)のそれぞれが他のサブシステムから分離されて配置された光共振器を有してもよい。
【0041】
図9に、サブシステム(1)を示したOPTシステム800の側面図を示す。ゲインセクション820(1)及び830(1)は、それぞれp−ドープされた導電領域824(1)及び834(1)、並びにn−ドープされた導電領域822(1)及び832(1)を含む。p−ドープされた導電領域とn−ドープされた導電領域との間は、活性領域828(1)及び838(1)である。該活性領域828(1)及び838(1)において、電子と正孔との再結合がフォトンを生成し、電流が半導体の固有の損失に打ち勝つのに十分なほど高いときにはゲインを得る。活性領域中の矢印は、鏡840及び842によって規定されるような光共振器のキャビティーモードにおける光の方向を示す。ゲイン領域を進む電流は、電極826(1)、827(1)、836(1)、及び837(1)を通過して流れる。ある実施態様において、電極826(1)は電極836(1)に電気的に接続されており、電極827(1)は電極837(1)に電気的に接続されている。PVデバイス810(1)の活性領域818(1)が2つのゲイン領域から放出されたフォトンを吸収するとき、光は電流に変換され、該電流は次いでn−ドープされた領域812(1)及びp−ドープされた領域814(1)を通過して、それぞれの電極816(1)及び817(1)を通過して、電力需要デバイス(例えば、図4B及び4A中の増幅器414のアイソレーションアンプ452)に導電される。PVデバイス810(1)、810(2)、810(3)、及び810(4)は、単独のPVデバイスそれぞれの電流と比べて4倍大きな電圧を得るために、直列に接続されてよい。OPTシステム800は、PVデバイス810(1)、810(2)、810(3)、及び810(4)のそれぞれが同量の電流を生成するように構成されてよい。
【0042】
ある実施態様では、複数のPVデバイスが1個の光共振器内に配置される。従って、該光共振器内で光強度が増大又は減少したときには、これに比例して、該光共振器内のすべてのPVデバイスによって生成される電流は一緒に変化する。従って、光共振器キャビティーへの光出力に影響する変化にかかわらず、複数のPVデバイスの電流は一致することになる。ある実施態様では、光共振器は、PVデバイスのそれぞれが当量の電流を生成することができるフィードバックを獲得するように構成される。
【0043】
図10及び図11に、OPTシステム1000のある実施態様を示す。図10にOPTシステム1000の側面図を示し、図11にOPTシステム1000の上面図を示した。各光源1010、並びにPVデバイス1020、1030、1040、及び1050は、対応するn−ドープされた領域及びp−ドープされた領域を含む。これらのn−ドープされた領域及びp−ドープされた領域は、対応する導電領域の間に挟持された活性層1018、1028、1038、1048、及び1058を有する。ある実施態様では、領域1012、1022、134、1042、及び1054はn−ドープされた領域であり、領域1014、1024、132、1044、及び1052はp−ドープされた領域である。別の実施態様では、領域1012、1022、132、1042、及び1052はn−ドープされた領域であり、領域1014、1024、134、1044、及び1054はp−ドープされた領域である。複数のPVデバイスは、各PVデバイスのn−ドープされた領域の電極に直列に接続されており、各PVデバイスは光源1010から次に遠いPVデバイスのp−ドープされた領域の電極に電気的に接続されている。ある実施態様においては、最後のPVデバイス1050の外側端縁部に鏡1060を含む。同様に、光源1010の背面から発せられた光をPVデバイス方向に向けるための鏡1002を、光源1010の外側端縁部に含んでもよい。ある実施態様では、鏡1002は誘電体の積層体である。ある実施態様では、鏡1002は分布ブラッグ反射器である。ある実施態様では、鏡1002は金属製の鏡である。ある実施態様では、光源1010は、光を優先的に狭いビームとして発するVCSEL又はLDであってよい。
【0044】
図12A及び図12Bに、光源を囲む同心円状に構成されたPVデバイスを使用するOPTシステムの実施態様を示した。図12A及び図12BはいずれもOPTシステム1200の斜視図である。OPTシステム1200は、4つのセクション(A)、(B)、(C)、及び(D)を有する。図12A及び図12Bにおいて、セクション(C)はOPTシステム1200の内部構造を示すために除去されている。各セクションは、光源1210(A)、1210(B)、1210(C)、及び1210(D)を含む。各光源は、n−ドープされた領域及びp−ドープされた領域(例えば1216(B)及び1212(B))を含む。これらn−ドープされた領域とp−ドープされた領域との間には、活性領域が挟持されている(例えば1214(B))。各セクションは3つのPVデバイスを含む。PVデバイス1240(A)、1240(B)、1240(C)、及び1240(D)は、それぞれのセクションにおける最も外側のPVデバイスである。各PVデバイスは、対応するn−ドープされた領域及びp−ドープされた領域(例えば1236(B)及び1232(B)はPVデバイス1230(B)のp−ドープされた領域及びn−ドープされた領域である)を含む。該n−ドープされた領域及びp−ドープされた領域の間には、活性領域が挟持されている(例えば1214(B)はPVデバイス1230(B)の活性層である)。円盤状のOPTシステムを囲んで、効率向上のために光源の方向に向かって光を反射する鏡1260(A)、1260(B)、1260(C)、及び1260(D)が存在する。
【0045】
図12Bに、セクション(B)における、PVデバイスを直列に接続するための電極の構成を示した。ある実施態様において、図12A及び図12BのPVデバイスの底部導電層は、すべて同じドーピングタイプを有する(例えば、底部導電層がすべてn−ドープされている)。同様に、図12A及び図12BのPVデバイスの頂部導電層は、すべて同じドーピングタイプを有する(例えば、頂部導電層がすべてp−ドープされている)。図12Bは、PVデバイス1220(B)の底部導電層に接続された電極1252(B)が、PVデバイス1230(B)の端部及びOVデバイス1230(B)の頂部導電層上を覆うことを示す。形状及び機能において1252(B)と同様の電極1252(D)は、該電極が、1つのPVデバイスの底部から次に遠いPVデバイスの頂部までを、どのようにして接続するかを視覚的に示す。電極1254(B)は、PVデバイス1230(B)の底部導電層に接続されており、PVデバイス1240の頂部導電送にも接続されている。最後に、電極1256(B)が、PVデバイス1240(B)の底部導電層に接続されている。このように、複数のPVデバイスは直列に接続され、所定のセクションにおけるPVデバイスの電圧の総和である電圧を供給する。各PVデバイス中を光が伝播する長さは、各セクション中の各PVデバイスが等しい量の電流を生成するように構成される。
【0046】
ある実施態様では、各セクションは他のセクションと直列に接続され、すべてのセクション中のすべてのPVデバイスの電圧の総和である電圧を生成する。例えば図12A及び図12Bにおいて、各セクションには3つのPVデバイスがあり、合計で12のPVデバイスを有する4つのセクションがある。従って、得られる直列電圧は、各PVデバイスの電圧の12倍となろう。更に、各PVデバイスが同量の電流を生成するよう、光源は、すべてのセクションに等しい光量を提供するように構成されている。
【0047】
ある実施態様では、各セクション中の複数のPVデバイスは電気的に直列に接続され、複数のセクションは電気的に並列に接続されている。
【0048】
ある実施態様では、各セクション中の複数のPVデバイスは電気的に並列に接続され、複数のセクションは電気的に直列に接続されている。
【0049】
ある実施態様では、光源1210(A)、1210(B)、1210(C)、及び1210(D)は、PVデバイスの対応する活性領域中に放射状に光放射する単一の光源である。
【0050】
ある実施態様では、光源1210(A)、1210(B)、1210(C)、及び1210(D)は、それぞれ独立した光源である。
【0051】
例えば図6に示したように複数のPVデバイスが同心円状に構成されているとき、又は例えば図12Aに示したように同心円弧状に構成されているとき、該同心円又は同心円弧の中心に配置されたそれぞれの光源を有することが、一般に有利である。しかしながら、OPTシステムは、各光源が、実質的に該同心円又は同心円弧の中心にあるに過ぎないときであっても機能する。例えば、OPTシステムは、該OPTシステムそれぞれの光源が、最も内側のPVデバイスによって画定される円の範囲内のどの位置にあっても機能する。OPTシステムの光源が、最も内側のPVデバイスによって描かれる内側円周の範囲内にあるとき、該光源は実質的にPVデバイスの同心円又は同心円弧の中心にある。
【0052】
OPTシステム500、700、1000、及び1200のそれぞれにおいて、電力需要回路を電力供給回路から電気的に絶縁するために、光学的電力伝送が使用される。複数のPVデバイスは、単一のPVデバイスにより提供されるものより高い電圧を提供するために、直列に接続される。伝播距離(すなわち、各PVデバイスの幅)は、(例えば、光源により近いPVデバイスで起こる吸収によって減ぜられた光強度を補償するために、光源からより遠いPVデバイスを通過する伝播距離を長くすることにより)対応する複数のPVデバイスから同量の電流が提供されるように構成される。光は、PVデバイスの活性領域を通過し、且つ導電領域を通過せずに伝播する;従って、光がPVデバイスの活性領域に入射する前に必ず導電領域を通過する、従来のPVデバイスにおける吸収が排除されることにより、効率は向上する。光源としては、LED、LD、及びVCSELを含む如何なる光源も使用可能である。PVデバイス及び光源は、例えば、ヒ化ガリウム(GaAs)、ヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウムガリウム(InGaP)、窒化ガリウム(GaN)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、ヒ化窒化インジウムガリウム(GaInNAs)、リン化インジウム(InP)、及びリン化ガリウムインジウム(GaInP)を含む任意の半導体を使用して製造することができる。PVデバイス及び光源は、ヘテロ接合、ダブルヘテロ接合、或いは光源及び/又はPVデバイスを作るために使用される半導体構造の、その他の公知のタイプであってよい。散乱損失を最小化するために、光源とPVデバイスとの間にインデックス整合材料を使用してよい。更に、反射及び散乱損失を減少させるために、光源とPVデバイスとの間に反射防止コーティングを使用してよい。ある実施態様では、光源及びPVデバイスは、単一の基体上に一体として製造される。ある実施態様では、光源及びPVデバイスは、構造間に(例えば、反応性イオンエッチを用いて、又はウェットエッチ若しくはドライ及びウェットエッチの組み合わせを用いて)エッチングすることにより分離される。ある実施態様では、光源の電極とPVデバイスの電極との間の距離を十分大きく設定して、該光源の電極と該PVデバイスの電極との間の容量性カップリングを、電力需要回路と電力供給回路との間のEMIの容量カップリング及び容量伝達を防ぐ所定の閾値未満に収められる。
【0053】
ある実施態様が記載されたとき、該実施態様は例示のためにのみ提示されており、本開示の教示の限定を意図するものではない。実際、ここに記載された新規な方法、装置、及びシステムは、種々の他の形態で具体化されてよい;更に、ここに記載された方法、装置、及びシステムの形態において、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、及び変更を行うことができる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B