(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
左右の走行装置をそれぞれ駆動する左右走行モータと、ブーム、アーム、旋回装置をそれぞれ駆動するブームシリンダ、アームシリンダ、旋回モータを含む複数のアクチュエータと、
前記複数のアクチュエータのうち前記左右走行モータを含まず、前記ブームシリンダ及びアームシリンダを含む複数の第1アクチュエータに接続され、クローズド回路を構成するクローズドセンタ型の複数の第1流量制御弁と、
前記左右走行モータを含む複数の第2アクチュエータに接続され、オープン回路を構成するオープンセンタ型の複数の第2流量制御弁と、
前記複数のアクチュエータのうち前記左右走行モータを含まず、前記旋回モータを含む複数の第3アクチュエータに接続された複数の第3流量制御弁と、
前記複数の第1流量制御弁へ供給される圧油の流量を制御する複数の圧力補償弁と、
前記複数の第1及び第2流量制御弁へ圧油を供給する第1及び第2ポンプと、前記第1及び第3流量制御弁へ圧油を供給する第3ポンプとを含む少なくとも3つのポンプと、
前記第1及び第2ポンプの吐出流量を変更する吐出流量制御装置と、
前記左右走行モータを駆動するための走行操作を検出する走行操作検出装置と、
前記走行操作検出装置が前記走行操作を検出していないとき、前記第1及び第2ポンプから吐出された圧油を前記複数の第1流量制御弁に導く第1位置にあり、前記走行操作検出装置が前記走行操作を検出するとき、前記第1及び第2ポンプから吐出された圧油を前記複数の第2流量制御弁に導くとともに前記第3ポンプから吐出された圧油を前記複数の第1流量制御弁に導く第2位置に切り換わる切換弁装置とを備えた作業機械の油圧駆動装置において、
前記複数の第3アクチュエータに接続された前記複数の第3流量制御弁は、クローズド回路を構成するクローズドセンタ型の流量制御弁であり、
前記複数の圧力補償弁は、前記複数の第3流量制御弁へ供給される圧油の流量を制御する複数の圧力補償弁を含み、
前記第3ポンプの最大容量は、前記複数の第1アクチュエータのうちの最も要求流量の大きいアクチュエータに必要な流量が供給できるよう、そのアクチュエータを基準にして設定されており、
前記吐出流量制御装置は、前記第1、第2及び第3ポンプの吐出流量を個別に変更する第1、第2及び第3吐出流量制御装置を含み、
前記第1及び第2吐出流量制御装置は、前記走行操作検出装置が前記走行操作を検出しておらず、前記切換弁装置が前記第1位置にあるとき、前記第1及び第2ポンプの吐出圧を、それぞれ、前記複数の第1アクチュエータのうち前記第1及び第2ポンプの吐出油によって駆動されるそれぞれのアクチュエータの最高負荷圧よりある設定値だけ高くなるように制御するロードセンシング制御を行い、前記走行操作検出装置が前記走行操作を検出し、前記切換弁装置が前記第2位置に切り換わるとき、前記第1及び第2ポンプのロードセンシング制御を停止し、前記複数の第2アクチュエータを駆動する構成とし、
前記第3吐出流量制御装置は、前記走行操作検出装置が前記走行操作を検出しておらず、前記切換弁装置が前記第1位置にあるとき、前記第3ポンプの吐出圧を、前記複数の第3アクチュエータの最高負荷圧よりある設定値だけ高くなるように制御するロードセンシング制御を行い、前記走行操作検出装置が前記走行操作を検出し、前記切換弁装置が前記第2位置に切り換わるとき、前記第3ポンプの吐出圧を前記複数の第1及び第3アクチュエータの最高負荷圧よりある設定値だけ高くなるように制御するロードセンシング制御を行う構成としたことを特徴とする作業機械の油圧駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0030】
<第1の実施の形態>
〜構成〜
図1は、本発明の第1の実施の形態による作業機械の油圧駆動装置の全体構成を示す図である。
図1Aは
図1の油圧駆動装置におけるポンプセクションの分割拡大図であり、
図1Bは
図1の油圧駆動装置における第1制御弁ブロックの分割拡大図であり、
図1Cは
図1の油圧駆動装置における第2制御弁ブロックの分割拡大図である。
【0031】
油圧駆動装置は、原動機1(ディーゼルエンジン)と、この原動機1によって駆動される可変容量型のメインポンプ101,201,301(第1、第2及び第3ポンプ)及び固定容量型のパイロットポンプ30と、メインポンプ101の吐出流量を制御するためのレギュレータ112(第1吐出流量制御装置)、メインポンプ201の吐出流量を制御するためのレギュレータ212(第2吐出流量制御装置)、メインポンプ301の吐出流量を制御するためのレギュレータ312(第3吐出流量制御装置)と、メインポンプ101,201,301から吐出された圧油によって駆動される複数のアクチュエータである、ブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、旋回モータ3c、バケットシリンダ3d、スイングシリンダ3e、走行モータ3f,3g、ブレードシリンダ3hと、メインポンプ101,201,301から吐出された圧油を前記複数のアクチュエータへ導くための圧油供給路105,205,305と、圧油供給路105,205の下流に設置され、メインポンプ101、201から吐出された圧油が導かれる第1制御弁ブロック104と、圧油供給路305の下流に設置され、メインポンプ301から吐出された圧油が導かれる第2制御弁ブロック304とを備えている。
【0032】
第1制御弁ブロック104は以下のように構成されている。
【0033】
第1制御弁ブロック104内にはメインポンプ101,102の圧油供給路105,205を切換える圧油供給路切換弁140(以下単に切換弁という)(切換弁装置)が設けられ、切換弁140の下流には、ブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、バケットシリンダ3d(複数の第1アクチュエータ)を制御するためのクローズドセンタ型の複数の流量制御弁106a,106b,106d(複数の第1流量制御弁)と、メインポンプ101の圧油を複数の流量制御弁106a,106b,106dに導くための圧油供給路105aと、ブームシリンダ3a、アームシリンダ3b(複数の第1アクチュエータ)を制御するためのクローズドセンタ型の複数の流量制御弁206a,206b(複数の第1流量制御弁)と、メインポンプ201の圧油を複数の流量制御弁206a,206bに導くための圧油供給路205aと、走行モータ3f(複数の第2アクチュエータの1つ)を制御するためのオープンセンタ型の方向切換弁116(複数の第2流量制御弁の1つ)と、メインポンプ101の圧油を方向切換弁116に導くための圧油供給路118と、走行モータ3g(複数の第2アクチュエータの他の1つ)を制御するためのオープンセンタ型の方向切換弁216(複数の第2流量制御弁の他の1つ)と、メインポンプ201の圧油を方向切換弁216に導くための圧油供給路218とが配置されている。
【0034】
切換弁140は、その中立時には第1位置にあり、圧油供給路105,205を圧油供給路105a,205aにそれぞれ接続し、切換時には第2位置に切り換わり、圧油供給路105を方向切換弁216への圧油供給路118と接続し、圧油供給路205を方向切換弁216への圧油供給路218と接続するとともに、圧油供給路305を圧油供給路105a,205aに接続するように構成されている。
【0035】
更に、圧油供給路105aには、流量制御弁106a,106b,106dの流量を制御する圧力補償弁107a,107b,107dと、チェックバルブ108a,108b,108dと、圧油供給路105aの圧力P1を設定圧力以上にならないように制御するメインリリーフ弁114と、圧油供給路105aの圧力P1が複数のアクチュエータ3a,3b,3dの最高負荷圧Plmax1(走行時には走行以外の全てのアクチュエータ3a,3b,3c,3d,3e,3hの最高負荷圧Plmax0)より所定圧以上高くなると、開状態になって圧油供給路105aの圧油をタンクに戻すアンロード弁115と、圧油供給路105aの圧力P1と複数のアクチュエータ3a,3b,3dの最高負荷圧Plmax1(走行時には走行以外の全てのアクチュエータ3a,3b,3c,3d,3e,3hの最高負荷圧Plmax0)との差圧を絶対圧Pls1として出力する差圧減圧弁111とが設けられている。
【0036】
更に、圧油供給路205aには、流量制御弁206a,206bの流量を制御する圧力補償弁207a,207bと、チェックバルブ208a,208bと、圧油供給路205aの圧力P2を設定圧力以上にならないように制御するメインリリーフ弁214と、圧油供給路205aの圧力P2が複数のアクチュエータ3a,3bの最高負荷圧Plmax2(走行時には走行以外の全てのアクチュエータ3a,3b,3c,3d,3e,3hの最高負荷圧Plmax0)より所定圧以上高くなると、開状態になって圧油供給路205aの圧油をタンクに戻すアンロード弁215と、圧油供給路205aの圧力P2と複数のアクチュエータ3a,3bの最高負荷圧Plmax2(走行時には走行以外の全てのアクチュエータ3a,3b,3c,3d,3e,3hの最高負荷圧Plmax0)との差圧を絶対圧Pls2として出力する差圧減圧弁211とが設けられている。
【0037】
第1制御弁ブロック104内には、また、複数のアクチュエータ3a,3b,3dの最高負荷圧Plmax1を検出するためのシャトル弁109a,109bと、走行操作時にはアンロード弁115と差圧減圧弁111に対してPlmax1の代わりに走行以外の全てのアクチュエータ3a,3b,3c,3d,3e,3hの最高負荷圧Plmax0を入力するように切換える最高負荷圧切換弁120(以下単に切換弁という)と、複数のアクチュエータ3a,3bの最高負荷圧Plmax2を検出するためのシャトル弁209aと、走行操作時にはアンロード弁215と差圧減圧弁211に対してPlmax2の代わりに走行以外の全てのアクチュエータ3a,3b,3c,3d,3e,3hの最高負荷圧Plmax0を入力するように切換える最高負荷圧切換弁220(以下単に切換弁という)と、走行以外の全てのアクチュエータ3a,3b,3c,3d,3e,3hの最高負荷圧Plmax0を検出するためのシャトル弁130a、130bと、走行モータ3f,3g制御用の方向切換弁116,216のスプールと一体に構成され、それらと連動して切り換えられる信号切換弁117,217(走行操作検出装置)とが配置されている。
【0038】
シャトル弁109a,109bは流量制御弁106a,106b,106dの負荷圧検出ポートに接続され、検出された負荷圧のうちの最も高い負荷圧をPlmax1として選択し出力する。流量制御弁106a,106b,106dの負荷圧検出ポートは流量制御弁106a,106b,106dが中立位置にあるときはタンクに接続され、負荷圧としてタンク圧を出力し、流量制御弁106a,106b,106dが中立位置から切り換えられると、アクチュエータ3a,3b,3dのアクチュエータラインに接続され、アクチュエータ3a,3b,3dの負荷圧をそれぞれ出力する。
【0039】
同様に、シャトル弁209aは流量制御弁206a,206bの負荷圧検出ポートに接続され、検出された負荷圧のうちの最も高い負荷圧をPlmax2として選択し出力する。流量制御弁206a,206bの負荷圧検出ポートは流量制御弁206a,206bが中立位置にあるときはタンクに接続され、負荷圧としてタンク圧を出力し、流量制御弁206a,206bが中立位置から切り換えられると、アクチュエータ3a,3bのアクチュエータラインに接続され、アクチュエータ3a,3bの負荷圧をそれぞれ出力する。
【0040】
一方、メインポンプ301の圧油供給路305の下流の第2制御弁ブロック304内には、旋回モータ3c、スイングシリンダ3e、ブレードシリンダ3h(複数の第3アクチュエータ)を制御するためのクローズドセンタ型の複数の流量制御弁306c,306e,306h(複数の第3流量制御弁)と、流量制御弁306c,306e,306hに流れる流量を制御する圧力補償弁307c,307e,307hと、チェックバルブ308c,308e,308hとが設けられ、更に、圧油供給路305の圧力P3を設定圧力以上にならないように制御するメインリリーフ弁314と、複数のアクチュエータ3c,3e,3hの最高負荷圧Plmax3を検出するためのシャトル弁309c,309eと、圧油供給路305の圧力P3が複数のアクチュエータ3c,3e,3hの最高負荷圧Plmax3(走行時には走行以外の全てのアクチュエータ3a,3b,3c,3d,3e,3hの最高負荷圧Plmax0)より所定圧以上高くなると、開状態になって前記圧油供給路305の圧油をタンクに戻すアンロード弁315と、圧油供給路305の圧力P3と複数のアクチュエータ3c,3e,3hの最高負荷圧Plmax3(走行時には走行以外の全てのアクチュエータ3a,3b,3c,3d,3e,3hの最高負荷圧Plmax0)との差圧を絶対圧Pls3として出力する差圧減圧弁311と、走行操作時にはアンロード弁315と差圧減圧弁311に対してPlmax3の代わりに走行以外の全てのアクチュエータ3a,3b,3c,3d,3e,3hの最高負荷圧Plmax0を入力するように切換える最高負荷圧切換弁320(以下単に切換弁という)とが設けられている。
【0041】
シャトル弁309c,309eは流量制御弁306c,306e,306hの負荷圧検出ポートに接続され、検出された負荷圧のうちの最も高い負荷圧をPlmax3として選択し出力する。流量制御弁306c,306e,306hの負荷圧検出ポートは流量制御弁306c,306e,306hが中立位置にあるときはタンクに接続され、負荷圧としてタンク圧を出力し、流量制御弁306c,306e,306hが中立位置から切り換えられると、アクチュエータ3c,3e,3hのアクチュエータラインに接続され、アクチュエータ3c,3e,3hの負荷圧をそれぞれ出力する。
【0042】
固定容量型のパイロットポンプ30から吐出される圧油は、原動機回転数検出弁13を経由し、パイロットリリーフ弁32によって一定のパイロット圧Pi0を生成し、原動機回転数検出弁13には、可変絞り13aと原動機回転数検出弁の入口と出口の差圧を目標LS差圧 Pgrとして出力する差圧減圧弁13bを設けられている。
【0043】
パイロットリリーフ弁32の下流には複数の流量制御弁106a,106b,106d,206a,206b,306c,306e,306hと複数の方向切換弁116,216を制御するための操作圧a1,a2;b1,b2;c1,c2;d1,d2;e1,e2;f1,f2;g1,g2;h1,h2を生成する複数のパイロット弁60a,60b,60c,60d,60e,60f,60g,60hと、複数のパイロット弁60a,60b,60c,60d,60e,60f,60g,60hへパイロットリリーフ弁32で生成されたパイロット一次圧Pi0を接続するか、タンク圧を接続するかを切り換える切換弁33とが配置されている。切換弁33はゲートロックレバー34により上記の切換を行うようになっており、ゲートロックレバー34は油圧ショベル等建設機械の運転席に設けられている。
【0044】
メインポンプ101,201の最大容量Mf(固有の最大容量)は、それが駆動するアクチュエータのうち最も要求流量の大きいアクチュエータであるブームシリンダ3a或いはアームシリンダ3bに必要な流量を供給できるよう、ブームシリンダ3a或いはアームシリンダ3bを基準にして設定されている。メインポンプ301の最大容量も、メインポンプ101,201と同様、それが駆動するアクチュエータのうち最も要求流量の大きいアクチュエータであるブームシリンダ3a或いはアームシリンダ3bに必要な流量を供給できるよう、ブームシリンダ3a或いはアームシリンダ3bを基準にして設定されている。すなわち、メインポンプ301の最大容量Msはメインポンプ101,201の最大容量Mfと同じである(Ms=Mf)。
【0045】
可変容量型メインポンプ301のレギュレータ312は、メインポンプ301の圧油供給路305の圧力P3が導かれ、P3が大きくなるとその傾転を小さくして予め決められたトルクを超えないよう制御する馬力制御ピストン312dと、複数の流量制御弁306c,306e,306h(走行操作時には走行以外の全てのアクチュエータ3a,3b,3c,3d,3e,3hに係わる流量制御弁)の要求流量に応じてメインポンプ301の吐出流量を制御するための流量制御ピストン312cと、Pls3が目標LS差圧Pgrより大きい場合には、一定のパイロット圧Pi0を流量制御ピストン312cに導きメインポンプ301の流量を減少させ、Pls3が目標LS差圧Pgrより小さい場合には、流量制御ピストン312cの圧油をタンクに放出しメインポンプ301の流量を増加させるLS弁312bとを備えている。
【0046】
LS弁312bと流量制御ピストン312cは、メインポンプ301の吐出圧P3が、メインポンプ301から吐出される圧油によって駆動されるアクチュエータ3c,3e,3h(走行操作時には走行以外の全てのアクチュエータ3a,3b,3c,3d,3e,3h)の最高負荷圧Plmaxより目標LS差圧Pgrだけ高くなるようメインポンプ301の容量を制御するロードセンシング制御部を構成する。
【0047】
可変容量型メインポンプ101のレギュレータ112は、メインポンプ101の圧油供給路105の圧力P1と、メインポンプ201の圧油供給路205の圧力P2が導かれ、P1、P2が大きくなるとその傾転を小さくして予め決められたトルクを超えないよう制御する馬力制御ピストン112d,112eと、走行非操作時に圧油供給路105の下流に接続された前記流量制御弁106a,106b,106dの要求流量に応じてメインポンプ101の吐出流量を制御するための流量制御ピストン112cと、走行操作時にメインポンプ101の最大容量をMf(メインポンプ101に固有の第1の値)からMfより小さいMt(第2の値)に切換える最大容量切換ピストン112gと、Pls1が目標LS差圧Pgrより大きい場合には、一定のパイロット圧Pi0を流量制御ピストン112cに導びくように切り換わり、Pls1が目標LS差圧Pgrより小さい場合には、流量制御ピストン112cの圧油をタンクに排出するように切り換わるLS弁112bと、走行非操作時には、LS弁112bの出力を流量制御ピストン112cに導き、走行操作時にはLS弁112bと流量制御ピストン112cの接続を遮断するとともに、流量制御ピストン112cの圧力をタンクに排出するように切り換わるLS弁出力圧切換弁112aと、メインポンプ301のトルクが大きくなるとメインポンプ101の傾転を小さくして予め決められたトルクを超えないよう制御する馬力制御ピストン112fとを備えている。馬力制御ピストン112fにはトルク推定器310の出力圧を導かれる。
【0048】
LS弁112bと流量制御ピストン112cは、メインポンプ101の吐出圧P1が、走行非操作時にメインポンプ101から吐出される圧油によって駆動されるアクチュエータ3a,3b,3dの最高負荷圧Plmaxより目標LS差圧Pgrだけ高くなるようメインポンプ101の容量を制御するロードセンシング制御部を構成する。
【0049】
可変容量型メインポンプ201のレギュレータ212は、メインポンプ201の圧油供給路205の圧力P2と、メインポンプ101の圧油供給路105の圧力P1が導かれ、P2,P1が大きくなるとその傾転を小さくして予め決められたトルクを超えないよう制御する馬力制御ピストン212d,212eと、走行非操作時に圧油供給路205の下流に接続された流量制御弁206a,206bの要求流量に応じてメインポンプ201の吐出流量を制御するための流量制御ピストン212cと、走行操作時にメインポンプ201の最大容量をMf(メインポンプ201に固有の第1の値)からMfより小さいMt(第2の値)に切換える最大容量切換ピストン212gと、Pls2が目標LS差圧Pgrより大きい場合には、一定のパイロット圧Pi0を流量制御ピストン212cに導びくように切り換わり、Pls2が目標LS差圧Pgrより小さい場合には、流量制御ピストン212cの圧油をタンクに排出するように切り換わるLS弁212bと、走行非操作時には、LS弁212bの出力を流量制御ピストン212cに導き、走行操作時にはLS弁212bと流量制御ピストン212cの接続を遮断するとともに、流量制御ピストン212cの圧力をタンクに排出するように切り換わるLS弁出力圧切換弁212aと、メインポンプ301のトルクが大きくなるとメインポンプ201の傾転を小さくして予め決められたトルクを超えないよう制御する馬力制御ピストン212fとを備えている。馬力制御ピストン212fにはトルク推定器310の出力圧が導かれる。
【0050】
LS弁212bと流量制御ピストン212cは、メインポンプ201の吐出圧P2が、走行非操作時にメインポンプ201から吐出される圧油によって駆動されるアクチュエータ3a,3bの最高負荷圧Plmaxより目標LS差圧Pgrだけ高くなるようメインポンプ201の容量を制御するロードセンシング制御部を構成する。
【0051】
トルク推定器310は、ロードセンシング制御を行うメインポンプ301のトルクを推定するためのものであり、トルク推定器310には、減圧弁310a、310bを、減圧弁310aの出力を減圧弁310bの設定圧変更入力部に導くように設け、更に、メインポンプ301の吐出圧P3を減圧弁310bの入力と減圧弁310aの設定圧変更入力部に導き、流量制御ピストン312cの圧力を減圧弁310aの入力部に導く。このような構成でトルク推定器310がメインポンプ301のトルクを推定できる動作原理は特許文献2(特開2015−148236号公報)に詳しい。
【0052】
また、第1制御弁ブロック104内には、絞り150(走行操作検出装置)とパイロット圧信号油路150a(走行操作検出装置)を設け、一定のパイロット圧Pi0を絞り150を介して信号切換弁117,217を経由してタンクに導いてある。信号切換弁117,217は、左右走行モータ3f,3g制御用の方向切換弁116,216が中立の時に、絞り150から信号切換弁117,217を介してタンクに排出される油路を連通位置にし、方向切換弁116,216の少なくともどちらか一方が切り換えられると遮断位置に切り替わるように構成してある。
【0053】
信号油路150aの圧油は、前述の最高負荷圧の切換弁120,220,320と、圧油供給路の切換弁140と、LS弁出力圧切換弁112a,212aと、最大容量切換ピストン112g,212gにそれぞれ導かれている。
【0054】
更に、ブームシリンダ3aへは流量制御弁106a,206aの出力ポートからの圧油をそれぞれ合流して導き、アームシリンダ3bへは流量制御弁106a,206bの出力ポートからの圧油をそれぞれ合流して導くように構成されている。
【0055】
ブーム用の流量制御弁106a,206aは、流量制御弁106aがメイン駆動用であり、流量制御弁206aがアシスト駆動用である。アーム用の流量制御弁106b,206bは、流量制御弁206bがメイン駆動用であり、流量制御弁106bがアシスト駆動用である。
【0056】
図3Aは、ブーム用の流量制御弁106a,206a及びアーム用の流量制御弁106b,206b以外のクローズドセンタ型の流量制御弁106d,306c,306e,306hのメータイン通路の開口面積特性を示す図である。
【0057】
流量制御弁106d,306c,306e,306hは、スプールストロークが不感帯0−S1を超えて増加するにしたがってメータイン通路の開口面積が増加し、最大のスプールストロークS3の直前で最大開口面積A3となるようにメータイン通路の開口面積特性が設定されている。最大開口面積A3は、アクチュエータの種類に応じてそれぞれ固有の大きさを持つ。
【0058】
図3Bは、ブーム用の流量制御弁106a,206aのブーム上げ操作時におけるメータイン通路の開口面積特性及びアーム用の流量制御弁106b,206bのアームクラウドまたはダンプ操作時におけるメータイン通路の開口面積特性を示す図である。
【0059】
ブームのメイン駆動用の流量制御弁106a及びアームのメイン駆動用の流量制御弁206bは、スプールストロークが不感帯0−S1を超えて増加するにしたがってメータイン通路の開口面積が増加し、中間ストロークS2で最大開口面積A1となり、その後、最大のスプールストロークS3まで最大開口面積A1が維持されるようにメータイン通路の開口面積特性が設定されている。
【0060】
ブームのアシスト駆動用の流量制御弁206a及びアームのアシスト駆動用の流量制御弁106bは、スプールストロークが中間ストロークS2になるまではメータイン通路の開口面積はゼロであり、スプールストロークが中間ストロークS2を超えて増加するにしたがって開口面積が増加し、最大のスプールストロークS3の直前で最大開口面積A2となるようにメータイン通路の開口面積特性が設定されている。
【0061】
以上のようにブーム用の流量制御弁106a,206a及びアーム用の流量制御弁106b,206bのメータイン通路の開口面積特性が設定されている結果、それらの合成開口面積特性は
図3Bの下側に示すようになる。
【0062】
すなわち、ブーム用の流量制御弁106a,206aの合成開口面積特性及びアーム用の流量制御弁106b,206bの合成開口面積特性は、スプールストロークが不感帯0−S1を超えて増加するにしたがって開口面積が増加し、最大のスプールストロークS3の直前で最大開口面積A1+A2となる。
【0063】
ここで、
図3Aに示す流量制御弁106d,306c,306e,306hの最大開口面積A3と
図3Bに示す流量制御弁106a,206a或いは流量制御弁106b,206bの合成した最大開口面積A1+A2は、A1+A2>A3の関係にある。すなわち、ブームシリンダ3a及びアームシリンダ3bは、他のアクチュエータよりも最大の要求流量が大きいアクチュエータである。
【0064】
流量制御弁106bのパイロットポートには、アームクラウド操作圧b1を減圧して導くパイロット減圧弁70a(第1バルブ操作制限装置)とアームダンプ操作圧b2を減圧して導くパイロット減圧弁70b(第1バルブ操作制限装置)とが設けられ、パイロット減圧弁70aの設定圧変更入力部にはブーム上げ操作圧a1が導かれ、パイロット減圧弁70bの設定圧変更入力部にはブーム下げ操作圧a2を導かれている。
【0065】
流量制御弁206aのブーム上げ側パイロットポートには、ブーム上げ操作圧a1を減圧して導くパイロット減圧弁70c(第2バルブ操作制限装置)が設けられ、パイロット減圧弁70cの設定圧変更入力部にはアームクラウド操作圧b1を導かれている。
【0066】
図4は、パイロット減圧弁70a,70b,70cの減圧特性を示す図である。パイロット減圧弁70a,70b,70cは、設定圧変更入力部の操作圧b1,b2,a1がタンク圧(0−Pi1)である間は、パイロット減圧弁70a,70b,70cの各入力ポートの操作圧(例えばPimax)をそのまま出力し、操作圧b1,b2,a1がタンク圧を超えて高くなるにしたがって出力圧が低下し、操作圧b1,b2,a1がPimax直前のPi2でタンク圧まで低下するように減圧特性が設定されている。
【0067】
以上において、アクチュエータ3a,3b,dは、複数のアクチュエータ3a〜3hのうち左右走行モータ3f,3gを含まず、ブームシリンダ3a及びアームシリンダ3bを含む複数の第1アクチュエータを構成し、アクチュエータ3f,3gは、複数のアクチュエータ3a〜3hのうち左右走行モータ3f,3gを含む複数の第2アクチュエータを構成し、アクチュエータ3c,3e,3hは、複数のアクチュエータ3a〜3hのうち左右走行モータ3f,3gを含まず、旋回モータ3cを含む複数の第3アクチュエータを構成する。
【0068】
流量制御弁106a,106b,106d及び流量制御弁206a,206bは、複数の第1アクチュエータ3a,3b,3dに接続され、クローズド回路を構成するクローズドセンタ型の複数の第1流量制御弁を構成し、方向切換弁116,216は、複数の第2アクチュエータ3f,3gに接続され、オープン回路を構成するオープンセンタ型の複数の第2流量制御弁を構成し、流量制御弁306c,306e,306hは、複数の第3アクチュエータ3c,3e,3hに接続され、クローズド回路を構成するクローズドセンタ型の複数の第3流量制御弁を構成する。
【0069】
メインポンプ101,201は、複数の第1及び第2流量制御弁106a,106b,106d,206a,206b,116,216へ圧油を供給する第1及び第2ポンプをそれぞれ構成し、メインポンプ301は、第1及び第3流量制御弁106a,106b,106d及び306c,306e,306hへ圧油を供給する第3ポンプを構成する。
【0070】
信号切換弁117,217及び絞り150とパイロット圧信号油路150aは、左右走行モータ3f,3gを駆動するための走行操作を検出する走行操作検出装置を構成する。
【0071】
切換弁140は、走行操作検出装置117,217,150aが走行操作を検出していないとき、第1及び第2ポンプ101,201から吐出された圧油を複数の第1流量制御弁106a,106b,106d,206a,206bに導く第1位置にあり、走行操作検出装置117,217,150aが走行操作を検出するとき、第1及び第2ポンプ101,201から吐出された圧油を複数の第2流量制御弁116,216に導くとともに、第3ポンプ301から吐出された圧油を複数の第1流量制御弁106a,106b,106d,206a,206bに導く第2位置に切り換わる切換弁装置を構成する。
【0072】
レギュレータ112,212,312は、それぞれ、第1、第2及び第3ポンプ101,201,301の吐出流量を個別に変更する第1、第2及び第3吐出流量制御装置を構成する。
【0073】
第1及び第2吐出流量制御装置112,212は、走行操作検出装置117,217,150aが走行操作を検出しておらず、切換弁装置140が第1位置にあるとき、第1及び第2ポンプ101,201の吐出圧を、それぞれ、複数の第1アクチュエータ3a,3b,3dのうち第1及び第2ポンプ101,201の吐出油によって駆動されるそれぞれのアクチュエータの最高負荷圧よりある設定値だけ高くなるように制御するロードセンシング制御を行い、走行操作検出装置117,217,150aが走行操作を検出し、切換弁装置140が第2位置に切り換わるとき、第1及び第2ポンプ101,201のロードセンシング制御を停止し、複数の第2アクチュエータ3f,3gを駆動する。
【0074】
第3吐出流量制御装置312は、走行操作検出装置117,217,150aが走行操作を検出しておらず、切換弁装置140が第1位置にあるとき、第3ポンプ301の吐出圧を、複数の第3アクチュエータ3c,3e,3hの最高負荷圧よりある設定値だけ高くなるように制御するロードセンシング制御を行い、走行操作検出装置117,217,150aが走行操作を検出し、切換弁装置140が第2位置に切り換わるとき、第3ポンプ301の吐出圧を複数の第1及び第3アクチュエータ3a,3b,3d及び3c,3e,3hの最高負荷圧よりある設定値だけ高くなるように制御するロードセンシング制御を行う。
【0075】
複数の第1流量制御弁106a,106b,106d,206a,206bは、ブーム用の流量制御弁106aを含む第1バルブセクション104aと、アーム用の流量制御弁206bを含む第2バルブセクション104bとを含み、第1及び第2バルブセクション104a,104bは、ブームシリンダ3aとアームシリンダ3bを同時に駆動する複合操作においてブームシリンダ3aを駆動するためのブーム操作とアームシリンダ3bを駆動するためのアーム操作の少なくとも一方がフル操作であるとき、ブームシリンダ3a及びアームシリンダ3bが第1及び第2ポンプ101,201の吐出油でそれぞれ独立して駆動されるよう構成されている。
【0076】
パイロット減圧弁70a,70bは、ブーム操作が少なくともフル操作であるとき、アームのアシスト駆動用の流量制御弁106bを中立位置に保持する第1バルブ操作制限装置を構成し、パイロット減圧弁70cは、アーム操作が少なくともフル操作であるとき、ブームのアシスト駆動用の流量制御弁206aを中立位置に保持する第2バルブ操作制限装置を構成する。
【0077】
第1バルブセクション104aは、ブーム用の流量制御弁であるメイン駆動用の流量制御弁106a及びアームのアシスト駆動用の流量制御弁106bを有し、かつ第1バルブ操作制限装置70a,70bを有し、第2バルブセクション104bは、アーム用の流量制御弁であるメイン駆動用の流量制御弁206b及びブームのアシスト駆動用の流量制御弁206aを有し、かつ第2バルブ操作制限装置70cを有している。
【0078】
〜油圧ショベル〜
図2は、上述した油圧駆動装置が搭載される作業機械である油圧ショベルの外観を示す図である。
【0079】
図2において、作業機械としてよく知られている油圧ショベルは、下部走行体501と、上部旋回体502と、スイング式のフロント装置504を備え、フロント装置504は、ブーム511、アーム512、バケット513から構成されている。上部旋回体502は下部走行体501に対して旋回モータ3cによって旋回装置509を駆動することで旋回可能である。上部旋回体502の前部にはスイングポスト503が取り付けられ、このスイングポスト503にフロント装置504が上下動可能に取り付けられている。スイングポスト503はスイングシリンダ3eの伸縮により上部旋回体502に対して水平方向に回動可能であり、フロント装置504のブーム511、アーム512、バケット513はブームシリンダ3a,アームシリンダ3b,バケットシリンダ3dの伸縮により上下方向に回動可能である。下部走行体501の中央フレームには、ブレードシリンダ3hの伸縮により上下動作を行うブレード506が取り付けられている。下部走行体501は、走行モータ3f,3gの回転により左右の履帯501a,501bを駆動することによって走行を行う。
【0080】
上部旋回体502にはキャノピータイプの運転室508が設置され、運転室508内には、運転席521、フロント/旋回用の左右の操作装置522,523(
図2では左側のみ図示)、左右走行用の操作装置524a,524b(
図2では左側のみ図示)、スイング用の操作装置525(
図1)及びブレード用の操作装置526(
図1)、ゲートロックレバー34等が設けられている。
【0081】
操作装置522,523の操作レバーは中立位置から十字方向を基準とした任意の方向に操作可能であり、左側の操作装置522の操作レバーを左右方向に操作すると、操作装置522は旋回用の操作装置522b(
図1)として機能して旋回用のパイロット弁60cが動作し、同操作装置522の操作レバーを前後方向に操作すると、操作装置522はアーム用の操作装置522a(
図1)として機能してアーム用のパイロット弁60bが動作し、右側の操作装置523の操作レバーを前後方向に操作すると、操作装置523はブーム用の操作装置523a(
図1)として機能してブーム用のパイロット弁60aが動作し、同操作装置523の操作レバーを左右方向に操作すると、操作装置523はバケット用の操作装置523b(
図1)として機能してバケット用のパイロット弁60dが動作する。
【0082】
また、左走行用の操作装置524aの操作レバーを操作すると左走行用のパイロット弁60f(
図1)が動作し、右走行用の操作装置524bの操作レバーを操作すると右走行用のパイロット弁60g(
図1)が動作し、スイング用の操作装置525(
図1)を操作するとスイング用のパイロット弁60eを動作させ、ブレード用の操作装置526(
図1)を操作するとブレード用のパイロット弁60hが動作する。
【0084】
原動機によって駆動される固定容量式のパイロットポンプ30から吐出された圧油は、圧油供給路31aに供給される。
【0085】
圧油供給路31aには、原動機回転数検出弁13が接続されており、可変絞り13aと差圧減圧弁13bにより、原動機回転数検出弁13は、固定容量式であるパイロットポンプ30の吐出流量を、絶対圧Pgrとして出力する。
【0086】
原動機回転数検出弁13の下流には、パイロットリリーフ弁32が接続されており、圧油供給路31bに一定の圧力Pi0を生成している。
【0087】
(a)全ての操作装置の操作レバーが中立の場合
全ての操作装置の操作レバーが中立なので、全ての流量制御弁106a,106b,106d、206a,206b,306c,306e,306hと、方向切換弁116,216がそれぞれ両端に設けられたバネによって中立位置に保持される。
【0088】
方向切換弁116,216が中立で、信号切換弁117,217も連通位置に保持されるので、圧油供給路31bから絞り150を介して信号油路150aに導かれた圧油は、信号切換弁117,217を介してタンクに排出され、信号油路150aの圧力はタンク圧となる。
【0089】
信号油路150aの圧力は、切換弁140と、LS弁出力圧切換弁112a,212aと、切換弁120,220,320と、最大容量切換ピストン112g,212gにそれぞれ導かれる。このとき、その圧力はタンク圧のため、各切換弁はそれぞれのバネによって図示の位置に保持される。また、最大容量切換ピストン112g,212gはバネによって上方向位置にあり、メインポンプ101,201の最大容量はMf(>Mt)に切り換えられている。
【0090】
切換弁140は第1位置(バネによって図中左方向に切り換わった位置)にあるので、メインポンプ101の圧油供給路105を圧油供給路105aに、メインポンプ201の圧油供給路205を圧油供給路205aにそれぞれ導く。
【0091】
圧油供給路105aに接続される各流量制御弁106a,106b,106dが全て中立位置にあるので、最高負荷圧Plmax1はタンク圧となっている。
【0092】
切換弁120はバネによって図中下方向に切り換わった位置にあるので、前述のPlmax1を差圧減圧弁111とアンロード弁115に導く。
【0093】
このため、圧油供給路105aの圧力P1は、アンロード弁115に設けられたバネにより、原動機回転数検出弁13の出力圧Pgr圧よりも若干高く保持される。
【0094】
差圧減圧弁111は圧油供給路105aの圧力P1とPlmax1の差圧をLS差圧Pls1として出力するが、全ての操作レバーが中立の場合には、Plmax1が前述のようにタンク圧と等しいので、タンク圧=0であると仮定すると、Pls1=P1−Plmax1=P1>Pgrとなる。
【0095】
LS差圧Pls1は、メインポンプ101のレギュレータ112内のLS弁112bに導かれる。LS弁112bは、Pls1とPgrを比較し、Pls1<Pgrの場合には、流量制御ピストン112cの圧油をタンクに排出し、Pls1>Pgrの場合には、パイロットリリーフ弁32によって生成される一定のパイロット圧Pi0を、LS弁出力圧切換弁112aを介して流量制御ピストン112cに導くようになっている。
【0096】
前述のように、全ての操作レバーが中立の場合には、Pls1がPgrよりも大きいので、LS弁112bは図中で左方向に切り換わり、パイロットリリーフ弁32によって生成される一定に保たれたパイロット圧Pi0がLS弁112bから出力され、LS弁出力圧切換弁112aはバネによって図中左方向に切り換わった位置にあるので、LS弁112bの出力が流量制御ピストン112cに導かれる。
【0097】
流量制御ピストン112cに圧油が導かれるので、可変容量型メインポンプ101の容量は最小に保たれる。
【0098】
圧油供給路205aに接続される各流量制御弁206a,206bが全て中立位置にあるので、最高負荷圧Plmax2はタンク圧となっている。
【0099】
切換弁220はバネによって図中下方向に切り換わった位置にあるので、前述のPlmax2を差圧減圧弁211とアンロード弁215に導く。
【0100】
このため、圧油供給路205aの圧力P2は、アンロード弁215に設けられたバネにより、原動機回転数検出弁13の出力圧Pgr圧よりも若干高く保持される。
【0101】
差圧減圧弁211は圧油供給路205aの圧力P2とPlmax2の差圧をLS差圧Pls2として出力するが、全ての操作レバーが中立の場合には、Plmax2が前述のようにタンク圧と等しいので、Pls2=P2−Plmax2=P2>Pgrとなる。
【0102】
LS差圧Pls2は、メインポンプ201のレギュレータ212内のLS弁212bに導かれる。LS弁212bは、Pls2とPgrを比較し、Pls2<Pgrの場合には、ロードセンシング用傾転制御ピストン212cの圧油をタンクに排出し、Pls2>Pgrの場合には、パイロットリリーフバルブ32によって生成される一定のパイロット圧Pi0を、LS弁出力圧切換弁212aを介してロードセンシング用傾転制御ピストン212cに導くようになっている。
【0103】
前述のように、全ての操作レバーが中立の場合には、Pls2がPgrよりも大きいので、LS弁212bは図中で右方向に切り換わり、パイロットリリーフ弁32によって生成される一定に保たれたパイロット圧Pi0がLS弁212bから出力され、LS弁出力圧切換弁212aはバネによって図中右方向に切り換わった位置にあるので、LS弁212bの出力がロードセンシング用傾転制御ピストン212cに導かれる。
【0104】
ロードセンシング用傾転制御ピストン212cに圧油が導かれるので、可変容量型メインポンプ201の容量は最小に保たれる。
【0105】
圧油供給路305に接続される各流量制御弁306c,306e,306hが全て中立位置にあるので、最高負荷圧Plmax3はタンク圧となっている。
【0106】
切換弁320はバネによって図中下方向に切り換わった位置にあるので、前述のPlmax3を差圧減圧弁311とアンロード弁315に導く。
【0107】
このため、圧油供給路305の圧力P3は、アンロード弁315に設けられたバネにより、原動機回転数検出弁13の出力圧Pgr圧よりも若干高く保持される。
【0108】
差圧減圧弁311は圧油供給路305の圧力P3とPlmax3の差圧をLS差圧Pls3として出力するが、全ての操作レバーが中立の場合には、Plmax3が前述のようにタンク圧と等しいので、Pls3=P3−Plmax3=P3>Pgrとなる。
【0109】
LS差圧Pls3は、メインポンプ301のレギュレータ312内のLS弁312bに導かれる。LS弁312bは、Pls3とPgrを比較し、Pls3<Pgrの場合には、ロードセンシング用傾転制御ピストン312cの圧油をタンクに排出し、Pls3>Pgrの場合には、パイロットリリーフ弁32によって生成される一定のパイロット圧Pi0をロードセンシング用傾転制御ピストン312cに導くようになっている。
【0110】
前述のように、全ての操作レバーが中立の場合には、Pls3がPgrよりも大きいので、LS弁312bは図中で右方向に切り換わり、パイロットリリーフ弁32によって生成される一定に保たれたパイロット圧Pi0をロードセンシング用傾転制御ピストン312cに導く。
【0111】
ロードセンシング用傾転制御ピストン312cに圧油が導かれるので、可変容量型メインポンプ301の容量は最小に保たれる。
【0112】
(b)ブーム上げ動作をした場合
ブーム用の操作装置523aの操作レバーによりブーム上げ操作のみを行った場合は、走行用操作装置524a,524bの操作レバーが中立なので、信号切換弁117,217が連通位置に保持され、(a)の全ての操作レバーが中立の場合と同様、信号油路150aの圧力はタンク圧となり、切換弁140と、LS弁出力圧切換弁112a,212aと、切換弁120,220,320はそれぞれのバネによって切り換わった位置に保持される。また、最大容量切換ピストン112g,212gはバネによって上方向に切り換わった位置にあり、メインポンプ101,201の最大容量はMf(>Mt)に切り換えられている。
【0113】
切換弁140はバネによって図中左方向に切り換わった位置にあるので、メインポンプ101の圧油供給路105を圧油供給路105aに、メインポンプ201の圧油供給路205を圧油供給路205aにそれぞれ導く。
【0114】
ブームシリンダ操作用パイロット弁60aによって出力されたブーム上げ操作圧a1が、ブーム用の流量制御弁106aの図中左端に導かれ、流量制御弁106aが図中右方向に切り換えられる。
【0115】
また、ブーム上げ操作圧a1は、パイロット減圧弁70cの図中右側の入力ポートにも導かれる。パイロット減圧弁70cは、
図4に示すように、設定圧変更入力部の圧力がタンク圧から高くなると、出力圧が入力圧そのままの圧力から、タンク圧まで減少するような特性となっている。
【0116】
パイロット減圧弁70cの設定圧変更入力部にはアームクラウド操作圧b1が導かれているが、ブーム上げのみ操作されている場合には、アームクラウド操作圧b1としてはタンク圧が導かれているので、パイロット減圧弁70cに入力されたブーム上げパイロット圧a1は、制限されることなく、流量制御弁206aの図中左端に導かれ、流量制御弁206aが図中右方向に切り換えられる。
【0117】
流量制御弁106aが切り換わることにより、流量制御弁106aを介してブームシリンダ3aのボトム側に圧油が供給されると同時に、流量制御弁106aに設けられた負荷圧検出ポートおよびシャトル弁109a,109bを介してブームシリンダ3aのボトム側の負荷圧が切換弁120に導かれる。このとき、切換弁120は前述のように図中下方向に切り換わっているので、ブームシリンダ3aのボトム側の負荷圧が最高負荷圧Plmax1として、アンロード弁115、差圧減圧弁111に導かれる。
【0118】
アンロード弁115に導かれたPlmax1により、アンロード弁115のセット圧は、ブームシリンダ3aの負荷圧+バネ力に上昇し、圧油供給路105aの圧油をタンクに排出する油路を遮断する。
【0119】
また、差圧減圧弁111に導かれたPlmax1により、差圧減圧弁111はP1−Plmax1をLS差圧Pls1として出力するが、ブーム511を上げ方向に起動した瞬間には、P1はアンロード弁のバネによって予め定められた低圧に保持されているので、Pls1はほぼタンク圧に等しくなる。
【0120】
LS差圧Pls1は可変容量型メインポンプ101の流量制御レギュレータ112内のLS弁112bに導かれる。
【0121】
前述のようにブーム上げ起動時にはPls1=タンク圧<Pgrであるので、LS弁112bは図中で右方向に切り換えられる。
【0122】
LS弁出力圧切換弁112aが中立位置(バネによって図中左側に切り換わった位置)にあるので、流量制御ピストン112cの圧油は、LS弁出力圧切換弁112a、LS弁112bを介してタンクに排出される。
【0123】
このため、可変容量型メインポンプ101の流量は増加していき、その流量増加はPls1がPgrに等しくなるまで継続する。
【0124】
同様に、流量制御弁206aが切り換わることにより、流量制御弁206aを介してブームシリンダ3aのボトム側に圧油が供給されると同時に、流量制御弁206aに設けられた負荷圧検出ポートおよびシャトル弁209aを介してブームシリンダ3aのボトム側の負荷圧が切換弁220に導かれる。このとき、切換弁220は前述のように図中下方向に切り換わっているので、ブームシリンダ3aのボトム側の負荷圧が最高負荷圧Plmax2として、アンロード弁215、差圧減圧弁211に導かれる。
【0125】
アンロード弁215に導かれたPlmax2により、アンロード弁215のセット圧は、ブームシリンダ3aの負荷圧+ネ力に上昇し、圧油供給路205aの圧油をタンクに排出する油路を遮断する。
【0126】
また、差圧減圧弁211に導かれたPlmax2により、差圧減圧弁211はP2−Plmax2をLS差圧Pls2として出力するが、ブーム511を上げ方向に起動した瞬間には、P2はアンロード弁のバネによって予め定められた低圧に保持されているので、Pls2はほぼタンク圧に等しくなる。
【0127】
LS差圧Pls2は可変容量型メインポンプ201の流量制御レギュレータ212内のLS弁212bに導かれる。
【0128】
前述のようにブーム上げ起動時にはPls2=タンク圧<Pgrであるので、LS弁212bは図中で左方向に切り換えられる。
【0129】
LS弁出力圧切換弁212aが中立位置(バネによって図中右側に切り換わった位置)にあるので、傾転制御ピストン212cの圧油は、LS弁出力圧切換弁212a、LS弁212bを介してタンクに排出される。
【0130】
このため、可変容量型メインポンプ201の流量は増加していき、その流量増加はPls2がPgrに等しくなるまで継続する。
【0131】
一方、ブーム上げのみ操作した場合は、メインポンプ301の圧油供給路305に接続された流量制御弁306c,306e,306hが切り換わらないので、(a)全てのレバーが中立の場合と同様、メインポンプ301の容量は最小に保たれる。
【0132】
このように、ブーム上げ動作を行った場合には、メインポンプ101,201のそれぞれでロードセンシング制御を行い、メインポンプ101,201から吐出された圧油が合流してブームシリンダ3aに供給される。また、このとき、メインポンプ101,201の最大容量はMf(>Mt)に切り換えられている。このためスピーディーなブーム上げ動作を行うことができる。
【0133】
(c)水平引き動作をした場合
水平引き動作では、通常、アーム用の操作装置522aの操作レバーとブーム用の操作装置523aの操作レバーによりアームクラウド操作とブーム上げ操作を同時に行う。
【0134】
アクチュエータとしては、アームシリンダ3bが伸長し、ブームシリンダ3aが伸長する動作であり、その時の作動について以下に説明する。
【0135】
走行操作レバーが中立なので、信号切換弁117,217が連通位置に保持され、(a)の全てのレバーが中立の場合と同様、信号油路150aの圧力はタンク圧となり、切換弁140と、LS弁出力圧切換弁112a,212aと、切換弁120,220,320はそれぞれバネによって切り換わった位置に保持される。また、最大容量切換ピストン112g,212gはバネによって上方向に切り換わった位置にあり、メインポンプ101,201の最大容量はMf(>Mt)に切り換えられている。
【0136】
切換弁140はバネによって図中左方向に切り換わった位置にあるので、メインポンプ101の圧油供給路105を圧油供給路105aに、メインポンプ201の圧油供給路205を圧油供給路205aにそれぞれ導く。
【0137】
ブームシリンダ操作用パイロット弁60aによって出力されたブーム上げ操作圧a1は、ブーム用の流量制御弁106aの図中左端に導かれ、流量制御弁106aが図中右方向に切り換えられる。
【0138】
また、ブーム上げ操作圧a1は、パイロット減圧弁70cの図中右端の入力ポートにも導かれる。パイロット減圧弁70cは、
図4に示すように、設定圧変更入力部の圧力がタンク圧から高くなると、出力圧が入力圧そのままの圧力から、タンク圧まで減少するような特性となっている。
【0139】
パイロット減圧弁70cの設定圧変更入力部にはアームクラウド操作圧b1が導かれており、水平引き動作では通常、ブーム上げ操作と同時にアームクラウド操作を行うが、仮にアームクラウド操作がフル操作だった場合には、
図4に示す特性から、ブーム上げ操作圧a1はタンク圧に制限される。
【0140】
流量制御弁206aはブームシリンダ3aをアシスト駆動する流量制御弁であるので、そのメータイン開口は
図3に示すような特性を持っているので、前述のように操作圧がタンク圧に制限されると、そのメータイン開口は0となる。
【0141】
一方、アームシリンダ操作用パイロット弁60bによって出力されたアームクラウド操作圧b1は、アーム用の流量制御弁206bの図中右端に導かれ、流量制御弁206bが図中左方向に切り換えられる。
【0142】
また、アームクラウド操作圧b1は、パイロット減圧弁70aの図中左端の入力ポートに導かれる。パイロット減圧弁70aの設定圧変更入力部にはブーム上げ操作圧a1が導かれる。パイロット減圧弁70aは前述と同様に
図4に示す特性を持つため、仮にブーム上げ操作がフル操作だった場合には、
図4から、アームクラウド操作圧b1はタンク圧に制限される。
【0143】
流量制御弁106bはアームシリンダをアシスト駆動する流量制御弁であるので、そのメータイン開口は
図3に示すような特性を持っており、前述のように操作圧がタンク圧に制限されると、そのメータイン開口は0となる。
【0144】
以上のように、結果的に水平引き動作を行った場合には、ブームシリンダ用流量制御弁としてはメインポンプ101の圧油供給路105aに接続される流量制御弁106aのみが、アームシリンダ用流量制御弁としてはメインポンプ201の圧油供給路205aに接続される流量制御弁206bのみがそれぞれ切り換わる。
【0145】
流量制御弁106aが切り換わると、流量制御弁106aを介してブームシリンダ3aのボトム側に圧油が供給されると同時に、流量制御弁106aに設けられた負荷圧検出ポートおよびシャトル弁109a,109bを介してブームシリンダ3aのボトム側の負荷圧が切換弁120に導かれ、切換弁120は前述のように図中下方向に切り換わっているので、ブームシリンダ3aのボトム側の負荷圧がPlmax1として、アンロード弁115、差圧減圧弁111に導かれる。
【0146】
アンロード弁115に導かれたPlmax1により、アンロード弁115のセット圧は、ブームシリンダ3aの負荷圧+バネ力に上昇し、圧油供給路105aの圧油をタンクに排出する油路を遮断する。
【0147】
また、差圧減圧弁111に導かれたPlmax1により、差圧減圧弁111はP1−Plmax1をLS差圧Pls1として出力するが、ブームを上げ方向に起動した瞬間には、P1はアンロード弁のバネによって予め定められた低圧に保持されているので、Pls1はほぼタンク圧に等しくなる。
【0148】
LS差圧Pls1は可変容量型メインポンプ101の流量制御レギュレータ112内のLS弁112bに導かれる。
【0149】
前述のようにブーム上げ起動時にはPls1=タンク圧<Pgrであるので、LS弁112bは図中で右方向に切り換えられる。
【0150】
LS弁出力圧切換弁112aが中立位置(バネによって図中左側に切り換わった位置)にあるので、流量制御ピストン112cの圧油は、LS弁出力圧切換弁112a、LS弁112bを介してタンクに排出される。
【0151】
このため、可変容量型メインポンプ101の流量は増加していき、その流量増加はPls1がPgrに等しくなるまで継続する。
【0152】
同様に、流量制御弁206bが切り換わることにより、流量制御弁206bを介してアームシリンダ3bのボトム側に圧油が供給されると同時に、流量制御弁206bに設けられた負荷圧検出ポートおよびシャトル弁209aを介してアームシリンダ3bのボトム側の負荷圧が切換弁220に導かれる。このとき、切換弁220は前述のように図中下方向に切り換わっているので、アームシリンダ3bのボトム側の負荷圧が最高負荷圧Plmax2として、アンロード弁215、差圧減圧弁211に導かれる。
【0153】
アンロード弁215に導かれたPlmax2により、アンロード弁215のセット圧は、アームシリンダ3bの負荷圧+バネ力に上昇し、圧油供給路205aの圧油をタンクに排出する油路を遮断する。
【0154】
また、差圧減圧弁211に導かれたPlmax2により、差圧減圧弁211はP2−Plmax2をLS差圧Pls2として出力するが、アームをクラウド方向に起動した瞬間には、P2はアンロード弁のバネによって予め定められた低圧に保持されているので、Pls2はほぼタンク圧に等しくなる。
【0155】
前述のようにアームクラウド起動時にはPls2=タンク圧<Pgrであるので、LS弁212bは図中で左方向に切り換えられる。
【0156】
LS弁出力圧切換弁212aが中立位置(バネによって図中右側に切り換わった位置)にあるので、傾転制御ピストン212cの圧油は、LS弁出力圧切換弁212a、LS弁212bを介してタンクに排出される。
【0157】
このため、可変容量型メインポンプ201の流量は増加していき、その流量増加はPls2がPgrに等しくなるまで継続する。
【0158】
一方、水平引き動作をした場合は、メインポンプ301の圧油供給路305に接続された流量制御弁306c,306e,306hが切り換わらないので、(a)全てのレバーが中立の場合と同様、メインポンプ301の容量は最小に保たれる。
【0159】
このように水平引き動作を行った場合には、メインポンプ101,201のそれぞれでロードセンシング制御を行い、ブームシリンダ3aとアームシリンダ3bを別々のメインポンプ101,201によって駆動される。これによりアンロード弁でのブリードオフ損失を低減することができるとともに、低負荷側アクチュエータの圧力補償弁でのメータイン損失(絞り損失)を発生することなく、高効率な作業を行うことができる。掘削作業や均し作業など、走行を伴わない他のフロント装置504による動作でも同様である。
【0160】
また、フロント装置504のアーム512が非常に長いロングアームである場合には、水平引き動作を行う際に、アーム引き操作に合わせて、より多くのブーム上げ操作を必要とすることがある。特許文献2では、そのような場合に、ブームアシスト用流量制御弁のメータイン開口が開き、結果的に水平引き動作では低負荷圧アクチュエータであるアームの圧力補償弁でのメータイン損失が発生してしまい、高効率な作業ができない場合があった。
【0161】
本実施の形態では、上述したように、水平引き動作を行う場合に、ブームシリンダ3aとアームシリンダ3bが確実に別々のメインポンプ101,201で駆動されるため、アーム側の圧力補償弁207bでの絞り損失(メータイン損失)を発生せず、高効率な作業が可能となる。
【0162】
(d)ブーム上げと旋回の複合動作をした場合
ブーム上げと旋回の複合動作では、ブーム用の操作装置523aの操作レバーによるブーム上げ操作と旋回用の操作装置522bの操作レバーによる旋回操作を同時に行う。
【0163】
ブームシリンダ3aが伸長し、旋回モータ3cが回転する動作であり、その時の作動について以下に説明する。
【0164】
走行操作レバーが中立なので、信号切換弁117,217が連通位置に保持され、(a)の全てのレバーが中立の場合と同様、信号油路150aの圧力はタンク圧となり、切換弁140と、LS弁出力圧切換弁112a,212aと、切換弁120,220,320はそれぞれバネによって切り換わった位置に保持される。また、最大容量切換ピストン112g,212gはバネによって上方向に切り換わった位置にあり、メインポンプ101,201の最大容量はMf(>Mt)に切り換えられている。
【0165】
切換弁140はバネによって図中左方向に切り換わった位置にあるので、メインポンプ101の圧油供給路105を圧油供給路105aに、メインポンプ201の圧油供給路205を圧油供給路205aにそれぞれ導く。
【0166】
旋回操作用パイロット弁60cによって仮に旋回操作圧c1が出力された場合、旋回操作圧c1は旋回モータ3c制御用の流量制御弁306cの図中左端に導かれ、流量制御弁306cが図中右方向に切り換えられる。
【0167】
流量制御弁306cが切り換わることにより、流量制御弁306cを介して旋回モータ3cに圧油が供給されると同時に、流量制御弁306cに設けられた負荷圧検出ポートおよびシャトル弁309c,309eを介して旋回モータ3cの負荷圧が切換弁320に導かれる。このとき、切換弁320は前述のように図中下方向に切り換わっているので、旋回モータの負荷圧が最高負荷圧Plmax3として、アンロード弁315、差圧減圧弁311に導かれる。
【0168】
アンロード弁315に導かれたPlmax3により、アンロード弁315のセット圧は、旋回モータ3cの負荷圧+バネ力に上昇し、圧油供給路305の圧油をタンクに排出する油路を遮断する。
【0169】
また、差圧減圧弁311に導かれたPlmax3により、差圧減圧弁311はP3−Plmax3をLS差圧Pls3として出力するが、旋回を起動した瞬間には、P3はアンロード弁のバネによって予め定められた低圧に保持されているので、Pls3はほぼタンク圧に等しくなる。
【0170】
LS差圧Pls3は可変容量型メインポンプ301の流量制御レギュレータ312内のLS弁312bに導かれる。
【0171】
前述のように旋回起動時にはPls3=タンク圧<Pgrであるので、LS弁312bは図中で左方向に切り換えられ、傾転制御ピストン312cの圧油は、LS弁312bを介してタンクに排出される。
【0172】
このため、可変容量型メインポンプ301の流量は増加していき、その流量増加はPls3がPgrに等しくなるまで継続する。
【0173】
ここで、メインポンプ301の吐出圧P3と傾転制御ピストン312cの圧力はトルク推定器310に導かれ、トルクフィードバック圧力として出力される。
【0174】
トルク推定器310の動作については、特許文献2(特開2015−148236号公報)に詳細に記載されているので、ここでは省略する。
【0175】
一方、ブームシリンダ操作用パイロット弁60aによって出力されたブーム上げ操作圧a1が、ブーム用の流量制御弁106aの図中左端に導かれ、流量制御弁106aが図中右方向に切り換えられる。
【0176】
また、ブーム上げ操作圧a1は、パイロット減圧弁70cの図中右側の入力ポートにも導かれるが、(b)ブーム上げ動作のみ行った場合と同様、パイロット減圧弁70cに入力されたブーム上げパイロット圧a1は、制限されることなく、流量制御弁206aの図中左端に導かれ、流量制御弁206aが図中右方向に切り換えられる。
【0177】
流量制御弁106aが切り換わることにより、流量制御弁106aを介してブームシリンダ3aのボトム側に圧油が供給されると同時に、流量制御弁106aに設けられた負荷圧検出ポートおよびシャトル弁109a,109bを介してブームシリンダ3aのボトム側の負荷圧が切換弁120に導かれる。このとき、切換弁120は前述のように図中下方向に切り換わっているので、ブームシリンダ3aのボトム側の負荷圧が最高負荷圧Plmax1として、アンロード弁115、差圧減圧弁111に導かれる。
【0178】
アンロード弁115に導かれたPlmax1により、アンロード弁115のセット圧は、ブームシリンダ3aの負荷圧+バネ力に上昇し、圧油供給路105aの圧油をタンクに排出する油路を遮断する。
【0179】
また、差圧減圧弁111に導かれたPlmax1により、差圧減圧弁111はP1−Plmax1をLS差圧Pls1として出力するが、ブームを上げ方向に起動した瞬間には、P1はアンロード弁のバネによって予め定められた低圧に保持されているので、Pls1はほぼタンク圧に等しくなる。
【0180】
LS差圧Pls1は可変容量型メインポンプ101の流量制御レギュレータ112内のLS弁112bに導かれる。
【0181】
前述のようにブーム上げ起動時にはPls1=タンク圧<Pgrであるので、LS弁112bは図中で右方向に切り換えられる。
【0182】
LS弁出力圧切換弁112aが中立位置(バネによって図中左側に切り換わった位置)にあるので、流量制御ピストン112cの圧油は、LS弁出力圧切換弁112a、LS弁112bを介してタンクに排出される。
【0183】
このため、可変容量型メインポンプ101の流量は増加していき、その流量増加はPls1がPgrに等しくなるまで継続する。
【0184】
同様に、流量制御弁206aが切り換わることにより、流量制御弁206aを介してブームシリンダ3aのボトム側に圧油が供給されると同時に、流量制御弁206aに設けられた負荷圧検出ポートおよびシャトル弁209aを介してブームシリンダ3aのボトム側の負荷圧が切換弁220に導かれる。このとき、切換弁220は前述のように図中下方向に切り換わっているので、ブームシリンダ3aのボトム側の負荷圧が最高負荷圧Plmax2として、アンロード弁215、差圧減圧弁211に導かれる。
【0185】
アンロード弁215に導かれたPlmax2により、アンロード弁215のセット圧は、ブームシリンダ3aの負荷圧+バネ力に上昇し、圧油供給路205aの圧油をタンクに排出する油路を遮断する。
【0186】
また、差圧減圧弁211に導かれたPlmax2により、差圧減圧弁211はP2−Plmax2をLS差圧Pls2として出力するが、ブーム511を上げ方向に起動した瞬間には、P2はアンロード弁のバネによって予め定められた低圧に保持されているので、Pls2はほぼタンク圧に等しくなる。
【0187】
LS差圧Pls2は可変容量型メインポンプ201の流量制御レギュレータ212内のLS弁212bに導かれる。
【0188】
前述のようにブーム上げ起動時にはPls2=タンク圧<Pgrであるので、LS弁212bは図中で左方向に切り換えられる。
【0189】
LS弁出力圧切換弁212aが中立位置(バネによって図中右側に切り換わった位置)にあるので、傾転制御ピストン212cの圧油は、LS弁出力圧切換弁212a、LS弁212bを介してタンクに排出される。
【0190】
このため、可変容量型メインポンプ201の流量は増加していき、その流量増加はPls2がPgrに等しくなるまで継続する。
【0191】
このようにブーム上げと旋回の複合動作では、旋回モータ3cとブームシリンダ3aは別々のポンプ(旋回モータ3cはメインポンプ301、ブームシリンダ3aはメインポンプ101,201)で駆動されるので、旋回とフロント装置との速度干渉を抑えて良好な複合動作が可能となる。
【0192】
ここで、メインポンプ301のトルク推定器310の出力が、メインポンプ101のレギュレータ112内の馬力制御ピストン112fとメインポンプ201のレギュレータ212内の馬力制御ピストン212fに導かれているので、メインポンプ101とメインポンプ201は、予め決められたトルクから、メインポンプ301のトルクを減じたトルクの範囲内で馬力制御とロードセンシング制御を行う。このようにメインポンプ301のトルクを純油圧的構成で精度良く検出し、メインポンプ101,201にフィードバックするため、全トルク制御を精度良く行い、原動機の出力トルクを有効利用することができる。
【0193】
(e)走行動作をした場合
左右走行用の操作装置524a,524bの操作レバーを同時にフル操作し直進する場合を考える。
【0194】
走行操作用パイロット弁60f,60gによって、走行操作圧としてf1,g1が出力されたとする。走行操作圧f1,g1は、走行モータ制御用方向切換弁116の右端、方向切換弁216の左端にそれぞれ導かれ、方向切換弁116は図中左方向に、方向切換弁216は図中右方向にそれぞれ切り換わる。
【0195】
方向切換弁116,216が切り換わると、信号切換弁117,217も同時に遮断位置に切り換わり、信号油路150aの圧力は一定のパイロット圧Pi0まで上昇し、切換弁140を図中右方向に、LS弁出力圧切換弁112aを図中右方向に、LS弁出力圧切換弁212aを左方向に、切換弁120,220,320を図中上方向に、最大容量切換ピストン112g,212gを下方向に、それぞれ切り換える。
【0196】
切換弁140が図中右方向に切り換わると、メインポンプ101から吐出された圧油は、圧油供給路118と方向切換弁116を介して走行モータ3fに、メインポンプ201から吐出された圧油は、圧油供給路218と方向切換弁216を介して走行モータ3gに導かれ、走行モータ3f,3gをそれぞれ駆動する。
【0197】
また、最大容量切換ピストン112g,212gが下方向に切り換わるので、メインポンプ101,201の最大容量はMtに変更される。
【0198】
更に、LS弁出力圧切換弁112aが図中右方向に切り換わるので、LS弁112bと流量制御ピストン112cの接続が遮断され、流量制御ピストン112cの圧油がタンクに排出され、LS弁出力圧切換弁212aが図中左方向に切り換わるので、LS弁212bと流量制御ピストン212cの接続が遮断され、流量制御ピストン212cの圧油がタンクに排出される。
【0199】
このように、メインポンプ101,201はロードセンシング制御を停止し、最大容量がMtに切り換わった状態で馬力制御によってのみ制御される。
【0200】
一方、切換弁140が図中右方向に切り換わると、メインポンプ301の圧油供給路305と、圧油供給路105a,205aとが接続される。
【0201】
また、切換弁120,220,320が図中上方向に切り換わると、圧油供給路105aに接続されたアンロード弁115、差圧減圧弁111、圧油供給路205aに接続されたアンロード弁215、差圧減圧弁211、圧油供給路305に接続されたアンロード弁315、差圧減圧弁311に導かれる最高負荷圧として、走行以外全てのアクチュエータの最高負荷圧、つまりPlmax1,Plmax2,Plmax3の最も高い圧力を選択してPlmax0として導く。
【0202】
走行直進動作で、走行以外のアクチュエータは操作しない場合には、Plmax1,Plmax2,Plmax3はいずれもタンク圧となっており、メインポンプ301の吐出圧P3はアンロード弁115,215,315に設けられたバネにより、原動機回転数検出弁13の出力圧Pg圧よりも若干高く保持される。
【0203】
差圧減圧弁311は走行以外の操作レバーが中立の場合には、Plmax0が前述のようにタンク圧と等しいので、Pls3=P3−Plmax0=P3>Pgrとなる。
【0204】
Pls3は、メインポンプ301のレギュレータ312内のLS弁312bに導かれ、走行以外の操作レバーが中立の場合には、Pls3がPgrよりも大きいので、LS弁312bは図中で右方向に切り換わり、パイロットリリーフ弁32によって生成される一定に保たれたパイロット圧Pi0をロードセンシング用傾転制御ピストン312cに導く。
【0205】
ロードセンシング用傾転制御ピストン312cに圧油が導かれるので、可変容量型メインポンプ301の容量は最小に保たれる。
【0206】
このように走行動作では、切換弁140を図示右方向(第2位置)に切り換え、かつメインポンプ101,201のロードセンシング制御を停止し、最大容量がMtに切り換わった状態で馬力制御のみによって左右走行モータ3f,3gを駆動するので、ロードセンシング差圧によるメータイン損失を発生させずに高効率な走行動作を行うことができる。
【0207】
(f)走行とブーム上げの複合動作をした場合
左右走行用の操作装置524a,524bの操作レバーを同時にフル操作し直進しながら、ブーム用の操作装置523aの操作レバーをブーム上げ方向にフル操作した場合を考える。
【0208】
走行操作による動作は(e)走行動作をした場合と同様である。
【0209】
つまり、信号切換弁117,217が遮断位置に切り換わり、信号油路150aの圧力は一定のパイロット圧Pi0まで上昇し、切換弁140を図中右方向に、LS弁出力圧切換弁112aを図中右方向に、LS弁出力圧切換弁212aを左方向に、切換弁120,220,320を図中上方向に、最大容量切換ピストン112g,212gを下方向に、それぞれ切り換える。
【0210】
切換弁140が図中右方向に切り換わると、メインポンプ101から吐出された圧油は、圧油供給路118と方向切換弁116を介して走行モータ3fに、メインポンプ201から吐出された圧油は、圧油供給路218と方向切換弁216を介して走行モータ3gに導かれ、走行モータ3f,3gをそれぞれ駆動する。
【0211】
また、最大容量切換ピストン112g,212gが下方向に切り換わるので、メインポンプ101,201の最大容量がMtに変更され、LS弁出力圧切換弁112a,212aが切り換わり、流量制御ピストン112c,212cの圧油がタンクに排出されるので、メインポンプ101,201はロードセンシング制御を停止し、最大容量をMtとして、メインポンプ301のトルクを減じたトルクの範囲内で馬力制御される。
【0212】
一方、切換弁140が図中右方向に切り換わり、切換弁120,220,320が図中上方向に切り換わると、メインポンプ301の圧油供給路305と、圧油供給路105a,205aとが接続されるとともに、アンロード弁115,215,315および差圧減圧弁311に、走行以外の全てのアクチュエータの最高負荷圧Plmax0が導かれるので、走行以外の全てのアクチュエータをメインポンプ301によるロードセンシング制御によって駆動する。
【0213】
走行操作をしながらブーム上げ操作を行った場合には、ブームシリンダ操作用パイロット弁60aによって出力されたブーム上げ操作圧a1が、ブーム用の流量制御弁106aの図中左端に導かれ、流量制御弁106aが図中右方向に切り換えられ、パイロット減圧弁70cに入力されたブーム上げパイロット圧a1は、アームクラウドが操作されていないため制限されることなく、流量制御弁206aの図中左端に導かれ、流量制御弁206aが図中右方向に切り換えられる。
【0214】
流量制御弁106a,206aが切り換わると、流量制御弁106a,206aを介してブームシリンダ3aのボトム側に圧油が供給されると同時に、流量制御弁106a,206aに設けられた負荷圧検出ポートおよびシャトル弁109a,109b,209aを介してブームシリンダ3aのボトム側の負荷圧が最高負荷圧Plmax0として切換弁120,220,320を介してアンロード弁115,215,315差圧減圧弁111,211,311に導かれる。
【0215】
アンロード弁115,215,315に導かれたPlmax0により、アンロード弁115,215,315のセット圧は、ブームシリンダ3aの負荷圧+バネ力に上昇し、圧油供給路105a,205a,315の圧油をタンクに排出する油路を遮断する。
【0216】
また、差圧減圧弁311に導かれたPlmax0により、差圧減圧弁311はP3−Plmax0をLS差圧Pls3として出力するが、ブーム511を上げ方向に起動した瞬間には、P3はアンロード弁のバネによって予め定められた低圧に保持されているので、Pls3はほぼタンク圧に等しくなる。
【0217】
LS差圧Pls3は可変容量型メインポンプ301の流量制御レギュレータ312内のLS弁312bに導かれる。
【0218】
前述のようにブーム上げ起動時にはPls3=タンク圧<Pgrであるので、LS弁312bは図中で左方向に切り換えられ、傾転制御ピストン312cの圧油は、LS弁312bを介してタンクに排出される。
【0219】
このため、可変容量型メインポンプ301の流量は増加していき、その流量増加はPls3がPgrに等しくなるまで継続する。
【0220】
このように、走行とブーム上げ動作を同時に行った場合は、メインポンプ101,201は最大容量をMtに切り換えた上でロードセンシング制御を停止し、左右走行モータ3f,3gをオープン回路で駆動し、メインポンプ301はブームシリンダ3aをロードセンシング制御でその要求流量に応じて圧油を供給し駆動する。
【0221】
このように走行とブーム上げの複合動作では、ブームシリンダ3aをメインポンプ301によりロードセンシング制御で駆動するので、ブーム操作レバーの操作量が小さい場合でもそれに応じてメインポンプ301の吐出流量が制御されるため、アンロード弁によるブリードオフ損失が少なく、効率良く作業を行うことができる。また、メインポンプ301の最大容量Msは、メインポンプ101,201の最大容量Mfと同様、それが駆動するアクチュエータのうち最も要求流量の大きいアクチュエータであるブームシリンダ3a或いはアームシリンダ3bに必要な流量が供給できるよう設定されているため(Ms=Mf)、十分なブーム上げのスピードが得られ、優れた複合動作が可能となる。
【0222】
〜効果〜
以上のように構成した本実施の形態によれば以下の効果が得られる。
【0223】
1.走行を含まない動作である水平引き動作など、ブーム上げとアームクラウド、またはブーム下げとアームダンプの複合動作では、ブームシリンダ3aとアームシリンダ3bを別々のポンプ(第1及び第2ポンプ)によってロードセンシング制御で駆動するので、アンロード弁でのブリードオフ損失を低減することができるとともに、低負荷側アクチュエータの圧力補償弁でのメータイン損失(絞り損失)を発生することなく、高効率なフロント装置504の複合動作を行うことができる。掘削作業や均し作業など、走行を伴わない他のフロント装置による動作でも同様である。
【0224】
2.ブーム上げと旋回の複合動作のように、旋回とフロント装置504の複合動作(走行を含まない動作)では、旋回モータ3cとフロント装置用アクチュエータ3a,3b,3dを別々のポンプ(旋回モータ3cはメインポンプ301、フロント装置用アクチュエータ3a,3b,3dはメインポンプ101,201)で駆動するので、旋回とフロント装置504との速度干渉を抑えて優れた複合操作性を得ることができる。
【0225】
3.走行直進動作のように走行を含む動作では、切換弁140(切換弁装置)を図示右方向(第2位置)に切り換え、かつメインポンプ101,201(第1及び第2ポンプ)のロードセンシング制御を停止し、最大容量がMtに切り換わった状態で馬力制御のみによって左右走行モータ3f,3gを駆動するので、ロードセンシング差圧によるメータイン損失を発生させずに高効率な走行動作を行うことができる。
【0226】
4−1.走行とブーム上げの複合動作のように走行を含む動作では、上記のように高効率な走行動作を行うことができるだけでなく、フロント装置用アクチュエータ3a,3b,3dをメインポンプ301(第3ポンプ)によりロードセンシング制御で駆動し、フロント装置504の操作量が小さい場合でもそれに応じてメインポンプ301の吐出流量が制御されるため、アンロード弁によるブリードオフ損失が少なく、高効率な複合動作を行うことができる。
【0227】
4−2.また、走行とブーム上げの複合動作のように走行を含む動作では、メインポンプ301の最大容量Msは、メインポンプ101,201の最大容量Mfと同様、それが駆動するアクチュエータのうち最も要求流量の大きいアクチュエータであるブームシリンダ3a或いはアームシリンダ3bに必要な流量が供給できるよう、ブームシリンダ3a或いはアームシリンダ3bを基準にして設定されるため(Ms=Mf)、十分なフロント装置用アクチュエータ3a,3b,3dの動作速度が得られ、優れた複合動作が可能となる。
【0228】
以上のように本実施の形態によれば、3つ以上のポンプで複数のアクチュエータを駆動する作業機械の油圧駆動装置において、走行を含まない動作では、高効率なフロント装置504の複合動作と旋回とフロント装置504の優れた複合操作性を可能とし、走行を含む動作では、高効率な走行動作と高効率な走行とフロント装置504の複合動作を可能としかつ十分なフロント装置504の動作速度を得ることができる。
【0229】
また、本実施の形態によれば以下の効果が得られる。
【0230】
5.フロント装置のアームが非常に長いロングアームである場合には、水平引き動作を行う際に、アーム引き操作に合わせて、より多くのブーム上げ操作を必要とすることがある。特許文献2では、そのような場合に、ブームアシスト用流量制御弁のメータイン開口が開き、結果的に水平引き動作では低負荷圧アクチュエータであるアームの圧力補償弁でのメータイン損失が発生してしまい、高効率な複合動作ができない場合があった。
【0231】
本実施の形態では、水平引き動作で説明したように、ブーム511とアーム512を同時操作した場合に、ブームシリンダ3aとアームシリンダ3bが確実に別々のメインポンプ101,201で駆動されるため、アーム側の圧力補償弁207bでの絞り損失(メータイン損失)を発生せず、高効率な複合動作が可能となる。
【0232】
6.特許文献1では、非走行時の動作では、2つのメインポンプ(2つの吐出ポート)をロードセンシング制御してブームシリンダ、アームシリンダなどのフロント装置用アクチュエータを駆動し、走行時の動作では、2つのメインポンプを固定容量ポンプとして機能させて、オープン回路で走行モータを駆動している。この場合、2つのメインポンプの最大容量は固定容量ポンプとして機能する場合の駆動アクチュエータである走行モータに必要な流量に合わせて設定する必要がある。このためブームシリンダやアームシリンダなど、比較的大流量を必要とするアクチュエータを駆動する場合は、2つのメインポンプの圧油を合流しても、それらアクチュエータの要求流量に満たないことがあり、スピーディーな動作、例えば掘削・積み込み動作を妨げる原因になることがあった。
【0233】
本実施の形態では、非走行時と走行時で2つのメインポンプ101,201の最大容量をMfとMt(Mf>Mt)で切り替えるようにしたため、走行モータ3f,3gに必要な流量に影響されることなく、フロント装置用アクチュエータ3a,3b,3dの駆動に必要なポンプ最大流量を自由に設定することができ、スピーディーな掘削・積込み動作を行うことができる。
【0234】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について、第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。
【0235】
〜構成〜
図5は、本発明の第2の実施の形態による油圧駆動装置の全体構成を示す図である。
【0236】
本実施の形態の油圧駆動装置は、第1の実施の形態の構成に対し、圧油供給路205aに接続されていたブームシリンダ3aのアシスト駆動用流量制御弁206aと、圧油供給路105aに接続されていたアームシリンダ3bのアシスト駆動用流量制御弁106b、更に、パイロット減圧弁70a,70b,70cを省き、第1バルブセクション104aは、ブーム用の流量制御弁として単一の流量制御弁106aを有し、第2バルブセクション1−4bは、アーム用の流量制御弁として単一の流量制御弁206bを有する構成となっている。
【0237】
その他の構成は第1の実施の形態と同じである。
【0238】
〜動作〜
第2の実施の形態の動作を以下に説明する。
【0239】
本実施の形態の油圧駆動装置の動作は、第1の実施の形態に対し、ブームシリンダ3aとアームシリンダ3bのアシスト駆動用流量制御弁206a,106bに関する動作を省いた内容となる。
【0240】
パイロット減圧弁がないので、
図4のパイロット減圧弁の特性は参照されない。
【0241】
その他、第1の実施の形態と同様である。
【0242】
〜効果〜
本発明の第2の実施の形態によれば、あらゆる動作において、ブームシリンダ3aとアームシリンダ3bを含むフロント装置用アクチュエータを別々のメインポンプ101,201によりロードセンシング制御で駆動するので、ブリードオフ損失を低減することができ、低負荷側アクチュエータの圧力補償弁での絞り損失を発生することなく、高効率な作業ができる。
【0243】
それ以外は第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0244】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態について、第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。
【0245】
第1及び第2の実施の形態においては、第1、第2及び第3ポンプ101,201,301は、それぞれ、原動機1により駆動される可変容量型のポンプであり、第1、第2及び第3吐出流量制御装置112,212,312は、それぞれ、第1、第2及び第3ポンプ101,201,301の容量を油圧的に制御し、第1、第2及び第3ポンプ101,201,301のロードセンシング制御を行うものとした。これに対し、本実施の形態では、第1、第2及び第3ポンプは、それぞれ、第1,第2及び第3電動モータにより駆動される固定容量型のポンプとし、第1、第2及び第3吐出流量制御装置は、それぞれ、第1,第2及び第3電動モータの回転数を電気的に制御するコントローラによって構成し、第1、第2及び第3ポンプのロードセンシング制御を行うようにしたものである。
【0246】
〜構成〜
図6は、本発明の第3の実施の形態による油圧駆動装置の全体構成を示す図である。
【0247】
本実施の形態の油圧駆動装置は、第1、第2及び第3ポンプである固定容量型のメインポンプ102,202,302と、固定容量型のパイロットポンプ30と、メインポンプ102を駆動するための第1電動モータである電動モータ2aと、メインポンプ202を駆動するための第2電動モータである電動モータ2bと、メインポンプ302を駆動するための第3電動モータである電動モータ2cと、パイロットポンプ30を駆動するための第4電動モータである電動モータ3と、電動モータ2aを回転数制御するためのインバータ103と、電動モータ2bを回転数制御するためのインバータ203と、電動モータ2cを回転数制御するためのインバータ303と、電動モータ3を回転数制御するためのインバータ403と、インバータ103,203,303,403に電力を供給するためのバッテリ92とを備えている。
【0248】
また、本実施の形態の油圧駆動装置は、信号油路150aの圧力を検出するための圧力検出器80と、メインポンプ102の圧油供給路105の圧力を検出するための圧力検出器81と、メインポンプ202の圧油供給路205の圧力を検出するための圧力検出器82と、メインポンプ302の圧油供給路305の圧力を検出するための圧力検出器83と、パイロットポンプ30の圧油供給路31bの圧力を検出するための圧力検出器84と、圧油供給路105aに接続される差圧減圧弁111の出力圧であるLS差圧Pls1を検出するための圧力検出器85と、圧油供給路205aに接続される差圧減圧弁211の出力圧であるLS差圧Pls2を検出するための圧力検出器86と、圧油供給路305に接続される差圧減圧弁311の出力圧であるLS差圧Pls3を検出するための圧力検出器87と、各アクチュエータの最大スピードを調整するためのダイヤル91と、ダイヤル91の操作信号と、圧力検出器80,81,82,83,84,85,86,87の検出信号を入力し、インバータ103,203,303,403へ制御信号を出力するコントローラ90とを備えている。
【0249】
図7は、コントローラ90の機能の概略を示すブロック図である。
【0250】
コントローラ90は、
図7に示すように、電動モータ2aの回転数制御部90a(第1電動モータの回転数制御部)と、電動モータ2bの回転数制御部90b(第2電動モータの回転数制御部)と、モータ2cの回転数制御部90c(第3電動モータの回転数制御部)と、モータ3の回転数制御部90d(第4電動モータの回転数制御部)の各機能を有している。
【0251】
電動モータ2aの回転数制御部90a、電動モータ2bの回転数制御部90b及びモータ2cの回転数制御部90cは、それぞれ、第1、第2及び第3ポンプであるメインポンプ101,201,301の吐出流量を個別に変更する第1、第2及び第3吐出流量制御装置を構成する。
【0252】
また、電動モータ2aの回転数制御部90a及び電動モータ2bの回転数制御部90b(第1及び第2吐出流量制御装置)は、走行操作検出装置117,217,150aが走行操作を検出しておらず、切換弁装置140が第1位置にあるとき、第1及び第2ポンプ101,201の吐出圧を、それぞれ、複数の第1アクチュエータ3a,3b,3dのうち第1及び第2ポンプ101,201の吐出油によって駆動されるそれぞれのアクチュエータの最高負荷圧よりある設定値だけ高くなるように制御するロードセンシング制御を行い、走行操作検出装置117,217,150aが走行操作を検出し、切換弁装置140が第2位置に切り換わるとき、第1及び第2ポンプ101,201のロードセンシング制御を停止し、最大容量がMtに切り換わった状態で馬力制御のみによって複数の第2アクチュエータ3f,3gを駆動する。
【0253】
電動モータ3の回転数制御部90d(第3吐出流量制御装置)は、走行操作検出装置117,217,150aが走行操作を検出しておらず、切換弁装置140が第1位置にあるとき、第3ポンプ301の吐出圧を、複数の第3アクチュエータ3c,3e,3hの最高負荷圧よりある設定値だけ高くなるように制御するロードセンシング制御を行い、走行操作検出装置117,217,150aが走行操作を検出し、切換弁装置140が第2位置に切り換わるとき、第3ポンプ301の吐出圧を複数の第1及び第3アクチュエータ3a,3b,3d及び3c,3e,3hの最高負荷圧よりある設定値だけ高くなるように制御するロードセンシング制御を行う。
【0254】
本実施の形態の上記以外の構成は、第1の実施の形態と同じである。
【0256】
図8は電動モータ2aの回転数制御部90aと電動モータ2bの回転数制御部90bの機能を示すフローチャートである。
図9はモータ2cの回転数制御部90cの機能を示すフローチャートである。
図10はモータ3の回転数制御部90dの機能を示すフローチャートである。
図11A〜
図11Gは電動モータ2aの回転数制御部90a、電動モータ2bの回転数制御部90b、モータ2cの回転数制御部90c、モータ3の回転数制御部90dで用いられるテーブル特性を示す図である。
【0257】
まず、パイロットポンプ30を駆動する電動モータ3の制御方法について
図10を用いて説明する。
【0258】
コントローラ90のモータ3回転数制御部90dは、圧力検出器84の出力である検出信号から実パイロット1次圧Piを求め、目標パイロット1次圧Pi0との差をΔPiとして算出する(ステップS700)。
【0259】
ΔPi>0の場合は、パイロットポンプ30の仮想容量qiをΔqiだけ減少させる(ステップS705,S710)。ΔPi≦0の場合は、パイロットポンプの仮想容量qiをΔqiだけ増加させる(ステップS705,S715)。Δqiは、
図11Dに示すテーブル4から求める。テーブル4には、ΔPiの絶対値が増加するにしたがって仮想容量の増分Δqiが増加する特性が設定されている。差圧がΔPi_1に達すると仮想容量の増分Δqiは最大Δqi_maxとなる。
【0260】
得られたパイロットポンプ30の仮想容量qiが上限/下限の範囲内か判定し(ステップS720)、下限値qiminを下回っていた場合はqiをqiminとする(ステップS725)。上限値qimaxを上回っていた場合はqiをqimaxとする(ステップS730)。qiminとqimaxは予め決められた値とする。
【0261】
得られた仮想容量qiを
図11Eに示すテーブル5に入力し、インバータ403に対する回転数指令Viinvを算出する(ステップS735)。テーブル5には、仮想容量qiが増加するにしたがって回転数指令Viinvが増加する特性が設定されている。仮想容量がqi_1に達すると回転数指令は最大Viinv_maxとなる。
【0262】
以上のフローチャートに従って電動モータ3の回転数を制御すれば、圧油供給路31bの圧力を、予め決められた目標パイロット1次圧Pi0に保つことが出来る。
【0263】
圧油供給路31bの圧力が一定の値Pi0に保たれるので、絞り150と、信号油路150aと、信号切換弁117,217により、第1の実施の形態と同様に、信号油路150aに走行操作をしていない場合はタンク圧、走行操作を行った場合にはPi0が発生する。
【0264】
また、圧油供給路31bに生成されるパイロット圧Pi0は、切換弁33を介して、各アクチュエータ3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h操作用のパイロット弁60a,60b,60c,60d,60e,60f,60g,60hの油圧源としても利用される。
【0265】
次に、メインポンプ302を駆動する電動モータ2cの制御方法について
図9を用いて説明する。
【0266】
コントローラ90のモータ2c回転数制御部90cは、ダイヤル91の出力信号Voを
図11Aに示すテーブル1に入力し、目標LS差圧Pgrを算出する(ステップS600)。テーブル1に示す特性は、第1の実施の形態における原動機回転数検出弁13の特性を模擬しており、概ね、ダイヤル91の操作信号Voが増加するにしたがって目標LS差圧Pgrが増加する特性となっている。ダイヤル91の出力信号Vo_2は目標LS差圧の変化率が一定となる変曲点である。ダイヤル91の出力信号がVo_3に達すると目標LS差圧は最大Pgr_3となる。
【0267】
圧力検出器83の検出信号からメインポンプ302の吐出圧P3を求め、
図11Gに示すテーブル7に入力し、最大仮想容量q3maxを算出する(ステップS605)。
図11Gに示すように、テーブル7はメインポンプ302の馬力制御を模擬した特性となっている。すなわち、テーブル7にはメインポンプ302の吐出圧P3がP3_1よりも高くなると、メインポンプ302の吸収トルクが一定となる最大仮想容量q3_maxが減少する特性が設定されている。
【0268】
圧力検出器80の検出信号から信号油路150aの圧力を求め、走行が操作されているかを判定する(ステップS610)。
【0269】
上記判定の結果、走行非操作時の場合は、圧力検出器87の出力であるLS差圧Pls3を実LS差圧として決定し(ステップS615)、走行操作時には、圧力検出器85の出力であるLS差圧Pls1、圧力検出器86の検出信号であるLS差圧Pls2、圧力検出器87の検出信号であるLS差圧Pls3の最小値を実LS差圧として決定する(ステップS620)。
【0270】
実LS差圧Plsと目標LS差圧Pgrとの差の値を差圧偏差ΔP3として算出する(ステップS625)。
【0271】
ΔP3>0の場合は、メインポンプ302の仮想容量q3をΔq3だけ減少させ(ステップS635)、ΔP3≦0の場合は、メインポンプ302の仮想容量q3をΔq3だけ増加させる(ステップS640)。Δq3は
図11Bに示すテーブル2にΔP3を入力して算出する。テーブル2には、ΔP3の絶対値が増加するにしたがって仮想容量の増分Δq3が増加する特性が設定されている。差圧がΔP1_3に達すると仮想容量の増分Δq3は最大Δq3_maxとなる。
【0272】
仮想容量q3が上限/下限の範囲内か判定し(ステップS645)、下限値q3minを下回っていた場合はq3をq3iminとし(ステップS650)、上限値q3maxを上回っていた場合はq3をq3maxとする(ステップS655)。
【0273】
ここで、q3minは予め決められた値とし、q3maxは前述のようにメインポンプ302の馬力制御を模擬したテーブル7から算出した値である。
【0274】
得られたq3に、ダイヤル91の出力Voを掛けて、目標流量Q3を算出する(ステップS660)。
【0275】
目標流量Q3を、
図11Cに示すテーブル3に入力し、インバータ303に対する回転数指令Vinv3を算出する(ステップS665)。テーブル3には、目標流量Q3が増加するにしたがって回転数指令Vinv3が増加する特性が設定されている。目標流量Q3がQ3_1に達すると回転数指令は最大Vinv3_maxとなる。
【0276】
以上のフローチャートに従って電動モータ2cの回転数を制御することにより、圧油供給路305に接続されるそれぞれのアクチュエータに対して、予め与えられたトルクの範囲内でロードセンシング制御を行うことが出来る。
【0277】
続いて、メインポンプ102,202を駆動する電動モータ2a,2bの制御方法について
図8を用いて説明する。
【0278】
コントローラ90の電動モータ2aの回転数制御部90a及び電動モータ2bの回転数制御部90bは、まず、圧力検出器80の検出信号から信号油路150aの圧力を求め、走行が操作されているかを判定する(ステップS500)。走行操作時に信号油路150aに圧力が発生する動作については、第1の実施の形態と同様である。
【0279】
走行非操作の場合は、最大仮想容量を予め決められた非走行時の最大仮想容量qmax_fとする(ステップS505)。
【0280】
圧力検出器81,82の検出信号からメインポンプ102,202の吐出圧P1,P2を求め、前述したメインポンプ302の吐出圧P3、メインポンプ302の目標流量Q3を
図11Fに示すテーブル6に入力し、最大仮想容量q1max(またはq2max)を算出する(ステップS510)。テーブル6に示すC3は圧力×流量からトルクを算出する係数であり、予め決められている。
図11Fに示すように、テーブル6はメインポンプ102,202の馬力制御を模擬した特性となっており、メインポンプ302のトルクが大きくなると、その分メインポンプ102,202のトルクを減じるような特性になっている。
【0281】
ダイヤル91の操作信号Voを
図11Aに示すテーブル1に入力し、目標LS差圧Pgrを算出する(ステップS515)。
【0282】
電動モータ2aを回転数制御する場合は、実LS差圧Pls1を圧力検出器85の出力から、電動モータ2bの場合は実LS差圧Pls2を圧力検出器86の出力からそれぞれ検出し、前記Pgrとの差の値を差圧偏差ΔP1(またはΔP2)として算出する(ステップS520)。
【0283】
ΔP1(またはΔP2)>0の場合は、メインポンプ102(またはメインポンプ202)の仮想容量q1(またはq2)をΔq1(またはΔq2)だけ減少させ(ステップS525,S530)、ΔP1(またはΔP2)≦0の場合は、メインポンプ102(またはメインポンプ202)の仮想容量q1(またはq2)をΔq1(またはΔq2)だけ増加させる(ステップS525,S535)。Δq1(またはΔq2)は
図11Bに示すテーブル2にΔP1(またはΔP2)を入力して算出する。
【0284】
仮想容量q1(またはq2)が上限/下限の範囲内か判定し(ステップS540)、下限値q1min(またはq2min)を下回っていた場合はq1(またはq2)をq1min(またはq2min)とし(ステップS545)、最大仮想容量である上限値q1max(またはq2max)を上回っていた場合はq1(またはq2)をq1max(またはq2max)とする(ステップS550)。
【0285】
ここで、q1min,q2minは予め決められた値とし、q1max,q2maxは前述のようにメインポンプ102,202,302の馬力制御特性を模擬したテーブル6から算出した値である。
【0286】
得られたq1(またはq2)に、ダイヤル91の出力Voを掛けて、目標流量Q1(またはQ2)を算出する(ステップS580)。ダイヤル91は回転数のゲインとして作用する。
【0287】
目標回転数Q1(またはQ2)を、
図11Cに示すテーブル3に入力し、インバータ103(または203)に対する回転数指令Vinv1(またはVinv2)を算出する(ステップS585)。
【0288】
以上のフローチャートに従って電動モータ2a,2bの回転数を制御すれば、圧油供給路105a,205aに接続されるそれぞれのアクチュエータに対して、予め決められたトルクの範囲で、ロードセンシング制御を行うことが出来る。
【0289】
一方、最初の走行操作判定部で走行操作されていると判定された場合は、最大仮想容量を走行時最大仮想容量qmax_tとした上で(ステップS560)、走行非操作の場合と同様に、メインポンプ102,202,302の吐出圧P1,P2,P3、メインポンプ302の目標流量Q3を
図11Fに示すテーブル6に入力し、トルク制御の上限値q1max(またはq2max)を算出する(ステップS565)。
【0290】
メインポンプ102(または202)の仮想容量q1(またはq2)を、前述の
図11Fに示すテーブル6でP1,P2,P3,Q3より算出したq1max(q2max)とする(ステップS570)。
【0291】
得られた仮想容量q1(またはq2)にダイヤル91の出力Voを掛けて目標流量Q1(またはQ2)を算出する(ステップS580)。
【0292】
目標回転数Q1(またはQ2)を前述の
図11Cに示すテーブル3に入力し、インバータ103(または203)に対する回転数指令Vinv1(またはVinv2)を算出する(ステップS585)。
【0293】
〜効果〜
本発明の第3の実施の形態によれば、原動機として電動モータを用いたもので第1の実施の形態と同じ効果が得られる。
【0294】
〜その他〜
以上の実施の形態は本発明の精神の範囲内で種々の変形が可能である。
【0295】
例えば、上記実施の形態では、信号油路150aの圧油により切り換わる圧油供給路切換弁140及び最高負荷圧切換弁120,220,320を別々のバルブとして構成したが、これらを1つのバルブに組み込み、単一の切換弁装置として構成してもよい。
【0296】
また、上記実施の形態のロードセンシングシステムは一例であり、ロードセンシングシステムは種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、ポンプ吐出圧と最高負荷圧を絶対圧として出力する差圧減圧弁を設け、その出力圧を圧力補償弁に導いて目標補償差圧を設定しかつLS制御弁に導き、ロードセンシング制御の目標差圧を設定したが、ポンプ吐出圧と最高負荷圧を別々の油路で圧力制御弁やLS制御弁に導くようにしてもよい。