特許第6626023号(P6626023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626023
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】燃料合成用触媒及び燃料合成システム
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/83 20060101AFI20191216BHJP
   B01J 23/755 20060101ALI20191216BHJP
   C07C 1/22 20060101ALI20191216BHJP
   C07C 9/04 20060101ALI20191216BHJP
   C07C 29/153 20060101ALI20191216BHJP
   C07C 31/04 20060101ALI20191216BHJP
   C10L 3/08 20060101ALI20191216BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20191216BHJP
【FI】
   B01J23/83 Z
   B01J23/755 Z
   C07C1/22
   C07C9/04
   C07C29/153
   C07C31/04
   C10L3/08
   !C07B61/00 300
【請求項の数】17
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-36344(P2017-36344)
(22)【出願日】2017年2月28日
(65)【公開番号】特開2017-170430(P2017-170430A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年9月12日
(31)【優先権主張番号】特願2016-53111(P2016-53111)
(32)【優先日】2016年3月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100088487
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 允之
(72)【発明者】
【氏名】深澤 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】越崎 健司
(72)【発明者】
【氏名】松野 真輔
(72)【発明者】
【氏名】久保木 貴志
(72)【発明者】
【氏名】五戸 康広
(72)【発明者】
【氏名】末永 誠一
【審査官】 壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/038426(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/061623(WO,A1)
【文献】 特開平04−363141(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/108347(WO,A1)
【文献】 特開昭54−119385(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0230574(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0328622(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J21/00−38/74
C07B31/00−61/00,63/00−63/04
C07C1/00−409/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素及び一酸化炭素のうちの少なくとも一種以上を含むガスを水素化する燃料合成用触媒であって、
Al、MgO、TiOとSiOのうちの少なくとも一種以上の酸化物を含む基材と、
Ni、Co、FeとCuのうちの少なくとも一種以上の金属を含む前記基材に接した第1の金属と、
CeO、ZrO、TiOとSiOのうちの少なくとも一種以上の酸化物を含み、前記第1の金属及び前記基材とそれぞれ界面を有する第1の酸化物とを含み、
前記基材の外表面上、前記基材の外表面に開口端を有する細孔内の基材の表面上と前記基材の内部に前記第1の金属は存在し、
前記細孔内には、前記第1の金属と前記第1の酸化物が存在し、
前記第1の金属は、前記細孔内において、前記基材と界面を有する燃料合成用触媒。
【請求項2】
記第1の酸化物は、前記細孔内において前記第1の金属と界面を有し、
前記第1の酸化物は、前記基材の外表面の一部又は全体を覆っている請求項1に記載の燃料合成用触媒。
【請求項3】
前記第1の金属の含有量が5質量%以上20質量%以下である請求項1又は2に記載の燃料合成用触媒。
【請求項4】
前記第1の金属の平均粒径は、2nm以上200nm以下であり、
前記燃料合成用触媒の平均粒径は、2mm以上10mm以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の燃料合成用触媒。
【請求項5】
前記第1の酸化物は、希土類酸化物を含む第2の酸化物との固溶体を含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載の燃料合成用触媒。
【請求項6】
前記希土類酸化物は、La、Sm、GdとYのうちの少なくとも1種以上の元素を含む請求項5に記載の燃料合成用触媒。
【請求項7】
前記希土類酸化物は、前記第1の酸化物に固溶し、
前記第1の酸化物に固溶した希土類酸化物は、前記第1の酸化物の10モル%以上60モル%以下である請求項5又は6に記載の燃料合成用触媒。
【請求項8】
二酸化炭素及び一酸化炭素のうちの少なくとも1種以上を含むガスを水素化する燃料合成用触媒であって、
Al、MgO、TiOとSiOのうちの少なくとも一種以上の酸化物を含む基材と、
Ni、Co、Fe、Cuのうちの少なくとも一種以上の金属を含む前記基材に接した第1の金属と、
CeO、ZrO、TiO、SiOのうちの少なくとも一種を含み、前記第1の金属及び前記基材とそれぞれ界面を有する第1の酸化物と、
前記Ni、Co、Fe、Cuのうちの少なくとも一種以上の金属のうち前記第1の金属に含まれる金属とは異なる金属を含む第2の金属とを有し、
前記基材の外表面上、前記基材の外表面に開口端を有する細孔内の基材の表面上と前記基材の内部に前記第1の金属は存在し、
前記細孔内には、前記第1の金属、前記第1の酸化物と前記第2の金属が存在し、
前記細孔内において、前記第1の金属は、前記基材との界面を有し、
前記細孔内において、前記第2の金属は、前記第1の金属との界面を有する燃料合成用触媒。
【請求項9】
前記第1の金属の粒子径分布の累計カーブが16%となる粒子径は、前記第2の金属の粒子径分布の累積カーブが84%となる粒子径よりも大きい請求項8に記載の燃料合成用触媒。
【請求項10】
前記燃料合成用触媒中の前記第1の金属および第2の金属の含まれる割合が、5質量%以上40質量%以下であることを特徴とする請求項8又は9に記載の燃料合成用触媒。
【請求項11】
記第1の酸化物は、前記細孔内において前記第1の金属と界面を有し、
前記第1の酸化物は、前記基材の外表面の一部又は全体を覆っている請求項8乃至10のいずれか1項に記載の燃料合成用触媒。
【請求項12】
前記第1の金属の平均粒径は、2nm以上200nm以下であり、
前記第2の金属の平均粒径は、2nm以上100nm以下であり、
前記燃料合成用触媒の平均粒径は、2mm以上10mm以下である請求項8乃至11のいずれか1項に記載の燃料合成用触媒。
【請求項13】
前記第1の酸化物は、希土類酸化物を含む第2の酸化物との固溶体を含む請求項8ないし12のいずれか1項に記載の燃料合成用触媒。
【請求項14】
前記希土類酸化物は、La、Sm、GdとYのうちの少なくとも1種以上の元素を含む請求項13に記載の燃料合成用触媒。
【請求項15】
前記希土類酸化物は、前記第1の酸化物に固溶し、
前記第1の酸化物に固溶した希土類酸化物は、前記第1の酸化物の10モル%以上60モル%以下である請求項13又は14に記載の燃料合成用触媒。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の燃料合成用触媒は、炭化水素系燃料の合成用触媒である燃料合成用触媒。
【請求項17】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の燃料合成用触媒は、アルコール系燃料の合成用触媒である燃料合成用触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、燃料合成用触媒及び燃料合成システムに係わる。
【背景技術】
【0002】
近年、安全でクリーンなエネルギーとして太陽光、風力などの再生可能エネルギーが注目され、将来的にもその導入量の増大が見込まれている。しかし、これら再生可能エネルギーは稼働率が低いうえに短時間での出力変動が大きく、安定供給に課題がある。また、これらが大量に導入されると、消費しきれずに残る余剰電力の問題も生じてくる。そこで、このような再生可能エネルギー導入が増えてきても、電力の安定供給、必要な時に必要なだけ電力供給できるよう、電力を貯蔵する技術の開発が望まれている。電力の貯蔵には、電気で貯める方法のほか、化学エネルギーに変換して貯める方法が検討されている。特に、化学エネルギーで貯める方法は、数日から週単位、あるいはそれ以上のスパンでの貯蔵が可能であり、また、必要に応じて輸送して別の場所で使用できるというメリットもある。最近では水素で貯める方法が注目されているが、水素より体積エネルギー密度に優れるメタンやメタノールなども有力な候補である。特に、メタンなどは直接燃料として使用可能な機器も充実しており、インフラも整っている。
【0003】
例えば、再生可能エネルギーにより水を電気分解するなどして得られた水素(H)と二酸化炭素(CO)からメタンを合成する反応(1)と水素(H)と一酸化炭素(CO)からメタノールを合成する反応(2)がある。

CO+4H→CH+2HO (1)
CO+2H→CHOH (2)
【0004】
サバチエ反応と呼ばれるこの反応(1)は、地球温暖化の原因の一つとされるCOを還元再生する反応であり、400℃程度と比較的低い温度で反応が進行することから、これまでに多くの研究がなされている。
【0005】
この反応は平衡上、低温側にいくほどCOの転化率、およびメタンの収率を高めることができるが、反応速度が遅くなるため、実用がより困難である。そのため、低い温度で作動させようとすると貴金属系の触媒が必要になる。しかし、貴金属系の触媒は高価である。これに対し、温度を400℃ぐらいにまで高めれば、反応速度が向上し、Ni系の触媒を用いることができるようになる。しかし、COなどの副生物も生成してしまい、結果、分離等にエネルギーを費やしてしまうことになる。そこで、より低温側で活性が高く、メタン収率の高い非貴金属系触媒の開発が望まれている。
【0006】
これまでに低温で活性の高い触媒としては、例えば、ZrOやCeOを基材とするNi系触媒が知られている。CeO基材に担持させたNi触媒が低温で高い反応活性を有することが示されている。これらの基材は、より低温でCOまたはCOの解離を容易にし、それが低温での水素との反応を効果的に進めるものと考えられている。
【0007】
しかし、これら触媒は、粉末である酸化物基材に金属粒子を担持させたものでそのままでは扱いにくく、結着剤等で適当なサイズに造粒する必要がある。さらに、金属粒子と酸化物基材との結合力が弱いなど、耐久性に問題がある。特に、メタン化の反応は発熱反応であるため、局所的な温度上昇にも耐える耐熱性も必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−34650号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Inter.J.Hydrogen Energy,37,2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
実施形態は、燃料を合成する低温での活性に優れた燃料合成用触媒及び燃料合成システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の二酸化炭素及び一酸化炭素のうちの少なくとも一種以上を含むガスを水素化する燃料合成用触媒は、二酸化炭素及び一酸化炭素のうちの少なくとも一種以上を含むガスを水素化する燃料合成用触媒は、二酸化炭素及び一酸化炭素のうちの少なくとも一種以上を含むガスを水素化する燃料合成用触媒であって、Al、MgO、TiOとSiOのうちの少なくとも一種以上の酸化物を含む基材と、Ni、Co、FeとCuのうちの少なくとも一種以上の金属を含む基材に接した第1の金属と、CeO、ZrO、TiOとSiOのうちの少なくとも一種以上の酸化物を含み、第1の金属及び基材とそれぞれ界面を有する第1の酸化物とを含み、基材の外表面上、基材の外表面に開口端を有する細孔内の基材の表面上と基材の内部に第1の金属は存在し、細孔内には、第1の金属と第1の酸化物が存在し、第1の金属は、細孔内において、基材と界面を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る触媒((A)、(B)及び(C))の断面構造模式図。
図2】実施形態に係る触媒の拡大模式図。
図3】実施形態に係る触媒((A)、(B)及び(C))の断面構造模式図。
図4】実施形態に係る触媒の拡大模式図。
図5】実施形態に係る燃料合成システムの模式図。
図6】実施形態に係る発電と燃料合成システムの模式図。
図7】実施形態に係る触媒の微細組織観察の撮影画像。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について、COのメタン化反応を例に、図面を参照して説明する。
COまたはCOとHから低温で炭化水素系燃料とアルコール系燃料のいずれか又は両方を合成する触媒について鋭意検討を行った結果、金属粒子をセラミックス内部から析出させて作製する複合材料に、低温でCOもしくはCOを解離可能な酸化物を接触面を多く存在させた構造とすることにより、低温活性が高く、かつ信頼性の高い触媒を提供可能であることがわかった。また、前記酸化物にFe、Coのうちの少なくとも一種以上を有する微粒子を含ませることにより、低温での活性をさらに高めることが可能であることが分かった。実施形態の燃料合成用触媒は、炭化水素系燃料とアルコール系燃料を合成する触媒である。従って、実施形態において、触媒の構成として、炭化水素系燃料合成用触媒とアルコール系燃料合成用触媒に差異はない。触媒を用いた反応条件の違い、例えば、原料が一酸化炭素か二酸化炭素かの違いによって生成される燃料が異なる。実施形態の触媒によって、炭化水素系燃料とアルコール系燃料のいずれか又は両方を含む燃料が合成される。
【0014】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る触媒は、Al、MgO、TiO、SiOのうちの少なくとも一種以上の酸化物を含む基材と、基材に担持されたNi、Co、Fe、Cuのうちの少なくとも一種以上の金属を含む第1の金属と、第1の金属及び基材とそれぞれ接して界面を有するCeO、ZrO、TiOとSiOのうちの少なくとも一種を含む第1の酸化物とを含んでなるものである。かかる触媒は、二酸化炭素および/または一酸化炭素を含むガスを水素化する燃料合成用触媒である。
【0015】
図1(A)、(B)と(C)に実施形態の実施形態に係る触媒材料の断面の構造模式図を示す。図2(A)、(B)と(C)に図1(A)、(B)と(C)の一部分の拡大模式図を示す。
実施形態による触媒10は、第1の金属11および基材12および第1の酸化物13を含むものである。実施形態の触媒10は、第1の金属11、基材12及び第1の酸化物13よりなる触媒であることが好ましい。拡大図の細孔14中の第1の酸化物13には、他と区別しやすくするために斜線を施している。図1及び図2では、細孔14以外の孔を示していないが、基材12及び第1の酸化物13は、多孔質であるため多くの孔が含まれる。図2(A)、(B)と(C)の模式図においては、基材12の外表面に存在する第1の金属11と第1の酸化物13をそれぞれ第1の金属11Aと第1の酸化物11Aと表し、細孔14中に存在する第1の金属11と第1の酸化物13をそれぞれ第1の金属11Bと第1の酸化物11Bと表し、基材12内部に存在する第1の金属11を第1の金属11Cと表す。なお、図2の説明においてA、BとCで第1の金属11などの存在場所を区別しているが、明細書中では、これらのアルファベットを用いないで説明する場合も含む。外表面とは、表面のうち細孔内の表面部分を除く表面である。
【0016】
第1の実施形態の触媒10は、基材12に第1の金属11が接したものである、酸化物13は、第1の金属11と界面を有する。第1の酸化物13は、酸化物12と界面を有する。基材12には、細孔14が含まれる。基材12の外表面には、細孔14の開口端が存在する。細孔14内には、第1の金属11と第1の酸化物13が存在する。細孔14内において、第1の金属11Bは基材12と直接的に接し、第1の金属11Bは基材12との界面を有する。そして、第1の酸化物13は、第1の金属11が接した基材12の一部または全体を覆っていることが好ましい。酸化物12に第1の金属11が結合して物理的に面接触している形態が好ましい。
【0017】
図1(A)の触媒10と図1(B)の触媒10の違いは、図1(A)の第1の酸化物13は、第1の金属11及び基材12を被覆しているが、図1(B)の第1の酸化物13は、第1の金属11及び基材12を部分的に被覆していて、少なくとも一部の第1の金属11は、露出している。図1(B)には、第1の酸化物13によって、被覆されたものを含む。第1の酸化物13による被覆と部分的な被覆の割合は任意の割合にすることができる。図1(C)の触媒10は、第1の酸化物13が、第1の金属11が接した基材12を部分的に被覆している。図1(C)の触媒10は、一部の第1の金属11が第1の酸化物13と接しておらず、また、基材12の第1の金属11と接していない面のうちの一部の面が第1の酸化物13で被覆されていないことが、図1(A)と図1(B)の触媒10との違いである。また、図1(A)〜(C)の断面形態を組み合わせたものを実施形態の触媒10としてもよい。なお、図1(C)の変形例として、一部の第1の金属11が第1の酸化物13と接していないが基材12の第1の金属11と接していない面は第1の酸化物13で被覆されている形態や基材12の第1の金属11と接していない面のうちの一部の面が第1の酸化物13で被覆されていないが、第1の金属11が第1の酸化物13と接している形態などが挙げられる。触媒10の外表面に存在する第1の酸化物13は、酸化物層であり被覆層である。
【0018】
図1(A)のように、断面において、第1の酸化物13が、第1の金属11が接した基材12の全体を覆っている場合、基材12は、第1の金属11と第1の酸化物13で被覆され、第1の金属11は、第1の金属11と基材12との界面と、第1の金属11と第1の酸化物13との界面を有し、露出面を有しない。つまり、図1(A)において、触媒10の外表面は、第1の酸化物13の外表面と同意である。そして、基材12の外表面に開口端を有する細孔14の内部には、第1の金属11と第1の酸化物13が存在する。図1(A)及び図2(A)に示すように第1の金属11と第1の酸化物13が基材12と直接的に接している。より具体的には、基材12の外表面において、第1の金属11Aと第1の酸化物13Aが、基材12と直接的に接する。基材12の外表面において、第1の金属11Aは基材12と界面を有する。基材12の細孔14内では、第1の金属11Bと第1の酸化物13Bが基材12の細孔14の表面と直接的に接している。細孔14内において、第1の金属11Bは基材12と界面を有し、第1の酸化物13Bは基材12と界面を有する。また、細孔14内において、基材12と界面を有する第1の金属11Bは、第1の酸化物13Bと界面を有することが好ましい。基材12の内部には、第1の金属11Cが含まれる。基材12の細孔14の内部において、第1の金属11Bと第1の酸化物13Bは、直接的に接している。一部の第1の酸化物13Bは、細孔14内において第1の金属11Bを被覆していてもよい。また、図2(A)に示すように、細孔14は、基材12内でつながっていてもよい。また、細孔14内において、基材12と界面を有する第1の金属11は、第1の酸化物13との界面を有していることが好ましい。
【0019】
図1(B)のように、断面において、第1の酸化物13が、第1の金属11が接した基材12を被覆し、少なくとも一部の第1の金属11は、露出している場合、基材12は、第1の金属11と第1の酸化物13で被覆され、第1の金属11は、露出面、第1の金属11と基材12との界面と、第1の金属11と第1の酸化物13との界面を有する。つまり、図1(B)において、触媒10の外表面には、基材12の表面が含まれず、第1の金属11と第1の酸化物13の表面が含まれる。そして、基材12の外表面に開口端を有する細孔14の内部には、第1の金属11と第1の酸化物13が存在する。図1(B)及び図2(B)に示すように第1の金属11と第1の酸化物13が基材12と直接的に接している。より具体的には、基材12の外表面において、第1の金属11Aと第1の酸化物13Aが、基材12と直接的に接する。基材12の外表面において、第1の金属11Aは基材12と界面を有する。基材12の細孔14内では、第1の金属11Bと第1の酸化物13Bが基材12の細孔14の表面と直接的に接している。細孔14内において、第1の金属11Bは基材12と界面を有し、第1の酸化物13Bは基材12と界面を有する。また、細孔14内において、基材12と界面を有する第1の金属11Bは、第1の酸化物13Bと界面を有することが好ましい。基材12の内部には、第1の金属11Cが含まれる。基材12の細孔14の内部において、第1の金属11Bと第1の酸化物13Bは、直接的に接している。一部の第1の酸化物13Bは、細孔14内において第1の金属11Bを被覆していてもよい。また、図2(B)に示すように、細孔14は、基材12内でつながっていてもよい。また、細孔14内において、基材12と界面を有する第1の金属11は、第1の酸化物13との界面を有していることが好ましい。
【0020】
図1(C)のように、断面において、第1の酸化物13が、第1の金属11が接した基材12を部分的に被覆し、一部の第1の金属11が第1の酸化物13と接しておらず、また、基材12の第1の金属11と接していない面のうちの一部の面が第1の酸化物13で被覆されていない場合、基材12は、第1の金属11と第1の酸化物13で部分的に被覆され、第1の金属11は、露出面、第1の金属11と基材12との界面と、第1の金属11と第1の酸化物13との界面を有する。一部の第1の金属11は、基材12との界面を有するが、第1の酸化物13との界面を有しない。つまり、図1(C)において、触媒10の外表面には、第1の金属11の表面、基材12の表面と第1の酸化物13の表面が含まれる。そして、基材12の外表面に開口端を有する細孔14の内部には、第1の金属11と第1の酸化物13が存在する。図1(C)及び図2(C)に示すように第1の金属11と第1の酸化物13が基材12と直接的に接している。より具体的には、基材12の外表面において、第1の金属11Aと第1の酸化物13Aが、基材12と直接的に接する。基材12の外表面において、第1の金属11Aは基材12と界面を有する。基材12の細孔14内では、第1の金属11Bと第1の酸化物13Bが基材12の細孔14の表面と直接的に接している。細孔14内において、第1の金属11Bは基材12と界面を有し、第1の酸化物13Bは基材12と界面を有する。また、細孔14内において、基材12と界面を有する第1の金属11Bは、第1の酸化物13Bと界面を有することが好ましい。基材12の内部には、第1の金属11Cが含まれる。基材12の細孔14の内部において、第1の金属11Bと第1の酸化物13Bは、直接的に接している。一部の第1の酸化物13Bは、細孔14内において第1の金属11Bを被覆していてもよい。また、図2(C)に示すように、細孔14は、基材12内でつながっていてもよい。また、細孔14内において、基材12と界面を有する第1の金属11は、第1の酸化物13との界面を有していることが好ましい。また、細孔14の開口端は触媒10の外表面に存在していてもよい。
【0021】
触媒10の粒径は、2mm以上10mm以下であることが好ましい。触媒10の粒径が2mm未満であると反応管に触媒を詰めた場合に圧損が大きくなりであり好ましくない。また、触媒10の粒径が10mmより大きいと触媒の内部深くに存在する第1の金属が活用されず、無駄になる部分が多くなってしまうので好ましくない。触媒10の粒径は、触媒10を薄片加工し、加工した試料を光学顕微鏡で観察する。撮影画像中の触媒の最も輪郭が明確な50粒子を選択し、50粒子の各粒子の外接円直径φA1と内接円直径φA2を求め、(φA1+φA2)/2を各粒子の粒径とする。そして、求められた粒径の最大値5つと最小値5つを除く、40個の粒子の粒径の平均値を触媒10の平均粒径とする。
【0022】
第1の金属11は、Ni、Co、FeとCuのうち少なくとも一種の元素を含んだ粒状の金属(金属粒子)である。第1の金属11は、基材12の外表面上、基材12の外表面に開口端を有する細孔14内の基材12の表面上と、基材12の内側に第1の金属11が存在する。第1の金属11は、基材12と第1の酸化物13に挟持されて存在していることが好ましい。これらは単一の元素からなる金属粒子、単一の元素からなる粒子が複数混在した金属粒子、複数の元素を含む合金粒子や、金属粒子と合金粒子が混在した粒子のいずれかであることが好ましい。より好ましい第1の金属11は、Ni粒子を少なくとも含むものである。第1の金属11は、Ni、Co、FeとCuのうちの少なくとも一種の元素よりなる粒子であることが、安価で低温活性に優れた触媒を得る観点からより好ましい。
【0023】
第1の金属11の粒径は、2nm以上200nm以下の範囲であることが好ましい。2nmより小さい粒子は反応への寄与が小さく、200nmを超えると触媒比表面積が小さくなり、また、使用中に隣同士の粒子が凝集しやすくなってしまう恐れがあるからである。より好ましい範囲は、その平均粒径で10nm以上150nm以下である。
【0024】
ここで第1の金属11の粒径とその平均粒径について説明する。第1の金属11の粒径の測定は、触媒10の少なくとも第1の金属11が含まれる領域であって、基材12の表面を少なくとも含む表層部を観察することによって、求められる。そこで、触媒10の表層部を含む形で薄片加工し、TEM(Transmission Electron Microscope)により表層部付近を倍率100,000以上で観察する。撮影倍率は、第1の金属11の大きさによって、適切な倍率を選択する。第1の金属11が第1の酸化物13で被覆され、第1の金属11が確認できない場合は、試料を研磨して、第1の金属11が確認できる面を観察すればよい。そして、撮影画像中の第1の金属11の最も輪郭が明確な50粒子を選択し、50粒子の各粒子の外接円直径φB1と内接円直径φB2を求め、(φB1+φB2)/2を各粒子の粒径とする。必要に応じて、TEM−EDS(Transmission Electron Microscope/Energy dispersive Spectrometry)によって、測定粒子の元素特定を行ってもよい。そして、求められた粒径の最大値5つと最小値5つを除く、40個の粒子の粒径の平均値を第1の金属11の平均粒径とする。
【0025】
基材12は、Al、MgO、TiO、SiOより選ばれる少なくとも一種の金属酸化物を含む基材である。これら複数の酸化物が混在していても構わないが、実用的なサイズの粒状、あるいはハニカム状をした構造体である。基材12の表面には、第1の金属11と第1の酸化物13が存在し、第1の金属11と第1の酸化物13は、基材12と物理的に接している。基材12の表面の第1の金属11が存在している以外の外表面には、第1の酸化物13が存在していることが好ましいが、一部の基材12の外表面は、第1の金属11も第1の酸化物13も存在しない露出面でもよい。
【0026】
基材12は基材12の表面と物理的に接した第1の金属11と、又は、基材12は基材12の表面と物理的に接した第1の金属12及び基材12の内部に存在する第1の金属11と一体構造をなしている、いわゆる金属/セラミックスの複合材料となっている。第1の金属11は基材12と直接結合(複合化)しており、基材12表面に第1の金属11の一粒一粒が孤立・分散して存在していることが好ましい。すべての第1の金属11は基材12と直接結合(複合化)していることがより好ましい。図2に示すように第1の金属11の一部は、基材12中に析出し存在している。つまり、第1の金属11の一部は、基材12の表面上に存在し、第1の金属11の一部は、基材12の内部に存在する。基材12中の第1の金属11も基材12と複合化している。具体的には、図1(A)や(B)のように、少なくとも一部の第1の金属11は基材12の中に埋没した構造となっている。このような構造は、触媒の断面部をTEMにより高倍率で観察することにより確認することができる。触媒10は、易還元性酸化物と難還元性酸化物の化合物を還元して得るため、還元時に易還元性酸化物に由来する第1の金属11が基材表面部に析出した構造となる。このため、第1の金属11のうち、基材12の表面と直接的に接している第1の金属11は、全体的(第1の金属11の総個数の80%以上)に埋没した構造となっていることが好ましい。。
【0027】
第1の金属11と基材12の組み合わせとしては、Ni−Al、Co−Al、Fe−Al、NiCo−Al、NiFe−Al、NiCu−Al、CoFe−Al、Ni−MgO、Co−MgO、Fe−MgO、NiCo−MgO、NiFe−MgO、NiCu−MgO、CoFe−MgO、Ni−TiO、Co−TiO、Fe−TiO、NiCo−TiO、NiFe−TiO、NiCu−TiO、CoFe−TiO、Ni−SiO、Co−SiO、Fe−SiO、NiCo−SiO、NiFe−SiO、NiCu−SiO、CoFe−SiO、などが挙げられ、これらを単独および組み合わせて用いることができる。
【0028】
第1の金属11と基材12からなる複合材料は、多孔質構造であることが好ましい。低温での触媒活性を向上させる観点から、マクロ気孔と微細気孔を併せ持つことが好ましい。具体的には、複合材料は、反応をセラミックス深部の触媒にまで活用可能にする細孔径が200nm以上10μm以下のマクロ気孔と、反応面積を稼ぐための細孔径が2nm以上30nm以下の微細気孔とをあわせもつ構造であることが好ましい。細孔14は、細孔径が2nm以上30nm以下の微細気孔である。細孔14は、触媒10の局所的ではなく、全体的に含まれる。細孔14は、基材12内部に3次元ネットワークを形成していることが好ましい。第1の金属11や第1の酸化物13が存在する細孔14が触媒10に多く含まれることで、触媒10の体積当たりの触媒性能が向上する。細孔14は、反応原料と反応生成物の供給及び排出経路となるため、触媒10の表面及び内部(細孔14)において、優れた触媒性能を有する点で、実施形態の触媒10は好ましい。
【0029】
基材12に含まれる酸化物組成は、X線回折(XRD)測定をすることによって求められる。
【0030】
さらに、前記金属/基材複合材料の外表面部に、前記第1の金属11と接触する状態でCeO、ZrO、TiO、SiOより選ばれる少なくとも一種の酸化物を含む多孔質な第1の酸化物13が形成されている。これら酸化物は、いったん吸着したCOやCOをより低温にて容易に解離するよう助ける特性を有しており、低温での触媒活性向上に重要な役割を果たす。第1の酸化物13の細孔径は2nm以上10μm以下であることが好ましい。また、第1の酸化物13は、細孔14内にも存在することが好ましい。細孔14内に存在する第1の酸化物13は、第1の金属11及び基材12と直接的に接して界面を形成していることが好ましい。
【0031】
第1の酸化物13は、前記複合材料の外表面の一部または全体を覆うように形成される。第1の酸化物13は、図1(A)のように触媒10の外表面の第1の金属11の表面部を覆うように形成されていても構わないし、図1(B)のように触媒10の外表面の第1の金属11が表面部に露出するような状態で形成されていても構わない。図1(C)のように、基材12が一部に露出面を有していても、一部の第1の金属11が第1の酸化物13と接していないものが含まれていてもよい。外表面の第1の酸化物13は、ガス拡散性のある多孔質な層状物であることが好ましい。メタン化の反応は、反応種であるCO(もしくは還元されたCO)と水素と触媒である第1の金属11が出会ういわゆる三相界面にて起こると考えられる。この三相界面を多く作ることで活性を向上させられる。このような多孔質な構造は、ガスの出入りを容易にし、この三相界面場を増やすことができる。すなわち、第1の酸化物13がいったん吸着し低温で解離したCOが第1の金属11の表面にてスムーズに水素と反応し、あるいは酸素欠損によりCOが還元されやすくなり、途中のCOを残すことなくCHにまで反応を進めることができるようになる。これらの理由により、第1の酸化物13は、基材12と同じ組成であっても、図1に示すように、第1の金属11との接触面が増えるため、低温での反応をより活性にする効果が期待できる。
【0032】
第1の酸化物13が多孔質であるため、第1の金属11が触媒10の外表面に露出面を有していても有していなくても、第1の金属11の三相界面は存在する。むしろ、第1の酸化物13が第1の金属11と界面を形成していることにより、COやCOを供給する第1の酸化物13が第1の金属11の近傍に存在して、反応が促進される。また、生成した炭化水素やアルコールは第1の酸化物13の多孔質な細孔を通り触媒10の外部に排出されるため、第1の酸化物13は、反応原料の供給と生成物の排出経路の提供の両方の機能を有する。さらに、第1の酸化物13は、COやCOを低温で解離するため、第1の酸化物13の存在によって、第1の金属11を用いた触媒10の低温活性が向上する。
【0033】
このような第1の酸化物13の厚さ(触媒10の外表面に存在する第1の酸化物13の厚さ)は、少なくとも平均値で10nm以上あることが好ましい。これ以上の厚さがあると、還元により析出した第1の金属11の一部分を覆うように形成することが可能だからである。一般的な触媒が基材12と接する部分が点に近い状態であるのに対し、このように形成することで第1の金属11の稜線部も反応に寄与させることができる。第1の酸化物13の厚さは、厚い分に越したことはないが、あまり厚くなると、ガスの拡散が遅くなるため、せいぜい10μm程度内にするのが好ましい。
【0034】
第1の金属11が第1の酸化物13内にあるか否かは触媒10のSEMによる表面観察あるいはTEMによる組織断面の観察により分析することができる。たとえば、高分解能SEMにて触媒10の表面部を観察する。あらかじめEDS等を用いて表面部の組成分析を行い、CeO等第1の酸化物13が存在している場所を探し、その部分を少なくとも10,000倍以上に拡大する。そして、加速電圧を変えて深さ方向の情報を得るとともに、反射電子像による撮影を行うなどしてそのCeO等第1の酸化物13の下にあるNi等の第1の金属11の情報を得ることができる。第1の酸化物13の細孔径も上記方法によって求められる。なお、基材12と第1の酸化物13に同じ化合物である場合も、上記の断面観察を行い、結晶性が変化する界面の特徴から組織分析を行えばよい。
【0035】
また、第1の酸化物13は、第2の酸化物との固溶体であることがより好ましい。第2の酸化物は、希土類酸化物を含むことがより好ましい。希土類酸化物は、La、Sm、GdとYのうちの少なくとも1種以上の元素を含む酸化物である。第2の酸化物としては、具体的には、La、Sm、Y、Sc、Gd、CaOとMgOなどの酸化物が挙げられる。これら酸化物が固溶することによって、第1の酸化物13の結晶相が安定化するとともに酸素欠損を形成し、COの解離挙動にも良い影響を与え、より低温での触媒活性を向上させることが可能になるからである。これらの固溶する酸化物は、第1の酸化物13のモル数に対して、10mol%以上60mol%以下含まれることが好ましい。
【0036】
触媒10全体における第1の金属11の含有量は5質量%以上であることが好ましい。5質量%未満では触媒としての効果が小さい。また、第1の金属11の含有量は20質量%以下であることが好ましい。20質量%を超えると第1の金属11の互いの距離が近くなり、使用中に第1の金属の合体・凝集(いわゆるシンタリング現象)が起こりやすく、特性が低下してしまうからである。より好ましくは、触媒10全体における第1の金属11の含有量は9.4質量%以上16.2質量%の範囲である。触媒10全体における第1の金属11の含有量は、誘導結合プラズマ分析(ICP:Inductively Coupled Plasma)によって、測定される。
【0037】
(製造方法)
次に、実施形態に係る触媒材料の製造方法について説明する。
以下に説明するのは、実用に適した2mm以上10mm以下のサイズの触媒に関するものを例に示すもので、これに限定されるものではない。例えば、比表面積の大きい粉末を基材として材料を作製し、それを無機系の結着剤や熱処理によって実用に適したサイズに造粒してもよい。
【0038】
まず、基材12となる材料を用意する。Al、MgO、TiO、SiOなどの粉末もしくは造粒粉、およびそれらの混合粉末を用い、バインダー等を加えて成形し、適正な条件で熱処理して得ることができる。ここで、Alを用いる場合には、比表面積の大きいγ相のAlを用いるのがよい。バインダーには有機系や無機系など、用いる粉末に適したものを選択する。成形は、押し出し成形や転動法などを用いることができる。成形体のサイズは、実用に適したサイズにすることが好ましく、2mm以上10mm未満程度のものが好ましい。形状に関しては特に限定されるものではなく、球状や円柱状、星形、ハニカムなど、扱いやすい形状に成形・加工することができる。
【0039】
ただし、ハニカム状の場合は別だが、ペレット状にする場合には、触媒10の粒径が必要以上に大きくなると反応にほとんど寄与しない触媒10の内部の容積も大きくなるため、触媒体積あたりの性能は低下する。したがって、触媒10の粒径は1cmを超えないサイズにすることが好ましい。
【0040】
次に、基材12を用いて表層部の複合酸化物化を行う。多孔質である基材12にNi、Co、Fe、Cuのうちの少なくとも一種の元素を含む化合物を接触、加熱反応させて、基材12の少なくとも表層部を複合酸化物化する。前記化合物の例としては、第1の金属11で挙げた金属元素を含む硝酸塩、硫酸塩、塩化塩、酢酸塩、炭酸塩、水酸化物などがある。基材12内部にまで複合酸化物化を進めるには溶液法による含浸法が好ましい。
【0041】
例えば、基材12としてγ−Alからなる球状粒子を、金属化合物として硝酸ニッケル水和物を用いる場合を例に説明する。所定量の濃度に溶解した硝酸ニッケル水溶液にγ−Al球を浸漬し真空含浸させ、乾燥して硝酸ニッケルで被覆されたγ−Al球を得る。この球を熱処理して硝酸ニッケルを熱分解、NiOを形成する。基材12のAlと反応させるためのNiOを被覆する方法はこれに限ったものではない。次にこれを1000℃から1400℃に昇温して、基材12と前記熱分解で生じたNiOとを反応させ、基材12の一部をNiAl複合酸化物にした複合化基材を得る。
【0042】
この複合酸化物の層は複合化基材の表面部に形成される。基材内部に向かうにつれ、未反応のAl濃度が高くなる。もともと被覆に用いたNiOに対して、基材12であるAlの量が十分大きいため、熱処理後にNiOが残存することはない。複合酸化物層は基材12に用いる酸化物によって変わり、Ni系触媒の場合、用いる基材がMgOではNiMg1−xO(0<x<1)が、TiOではNiTiOが、SiOではNiSiOなどが主要な組成として形成される。同じように他の金属種、Co、Fe、Cuにおいても同様である。
【0043】
次に、このように作製した複合酸化物層を有する複合化基材に対して、第1の酸化物13を形成する。この形成方法として、還元処理により第1の金属11を析出させた後に第1の酸化物13で被覆する方法と、前記複合酸化物層の上に第1の酸化物13を被覆させた後に還元処理して第1の金属11を析出させる方法とがある。いずれの方法も還元析出によって、第1の金属11が析出する。
【0044】
前者では、第1の酸化物13形成前に複合酸化物還元処理する。後者では、第1の酸化物13形成後に複合酸化物還元処理する。還元処理は、水素などの還元雰囲気下で600〜1100℃の範囲にて行う。還元雰囲気はこれに限ったものではなく、炭素材料の存在下、Ar等の不活性雰囲気中で熱処理してもよい。還元温度が600℃より低い場合には還元により第1の金属11の析出が十分に起こらず、また1100℃より高い場合には、析出した粒子同士の凝集、粗大化が進行してしまい、好ましくない。還元の適正な温度は複合酸化物によって異なり、たとえば、CoTiOなどは700℃程度での還元温度が好ましい。どの温度が適当かは、該当する複合酸化物の還元雰囲気下での熱重量分析を行うことによって定めることができる。還元時間については、1分〜1時間程度が適当である。以上の処理により、複合酸化物は還元され、仕込んでおいた金属成分が微粒子となって多くが基材12表面および一部が基材12内部に析出し、金属−セラミックスの複合材料となる。このとき、第1の金属11は基材12上に孤立して高度に分散した状態で形成される。
【0045】
次に、この第1の金属11が析出したセラミックス上に、CeO、ZrO、TiO、SiOより選ばれる少なくとも一種の第1の酸化物13を形成する。この第1の酸化物13は単体の酸化物であってもよいし、複数の酸化物が混合されていても構わない。また、CeO、ZrOなどは、相としての構造を安定化、酸素欠損を形成するために、第2の酸化物を第1の酸化物13に固溶させておいても構わない。このとき、第1の酸化物13の少なくとも一部に固溶体を含み、また、第1の酸化物13の全体が固溶体でもよい。このような固溶体は、例えば、金属塩を複数混合した水溶液を含浸、被覆、加熱焼成することにより作製することができる。ただし、一部水溶液においては、Ni等の金属成分が溶出しやすい場合もある。この場合には、析出した第1の金属11を大気中で熱処理して酸化物化処理をしてから含浸、被覆することで形成することが可能である。後者の製法については、順番を変えるという違いがあるのみであって、処理方法は同様である。そのため、後者の製法に関する説明は、省略する。
【0046】
第1の酸化物13と基材12は、熱処理過程で一部反応していても構わない。例えば、第1の酸化物13としてのCeOと基材12のAlが反応してCeAlOが形成されることもあるが、この相自体も触媒活性の向上に寄与する。
【0047】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る触媒は、Al、MgO、TiO、SiOのうちの少なくとも一種以上の酸化物を含む基材と、基材に接したNi、Co、Fe、Cuのうちの少なくとも一種以上の金属を含む第1の金属と、第1の金属及び基材と接したCeO、ZrO、TiOとSiOのうちの少なくとも一種を含む第1の酸化物と、第2の金属とを有するものである。ここで、第2の金属は、Ni、Co、Fe、Cuのうちの少なくとも一種以上の金属のうち第1の金属に含まれる金属とは異なる金属を含むことが好ましい。
【0048】
第2の実施形態に係る触媒20の断面模式図を図3に示す(第1の実施例と同様に2つの構成の図)。第2の金属15以外の材料の基本的構成は、第1の実施形態のものと同じであるため、詳細は省略する。図3(A)、(B)と(C)中には、黒点で記された第2の金属15を有する点で、図1(A)、(B)と(C)の断面図と異なる。第2の実施形態における触媒20の特徴は、第1の酸化物13が、還元析出により形成する第1の金属11とは異なる第2の金属15を有することにある。図3において、第2の金属15の一次粒子径は、第1の金属11の一次粒子径よりも小さいが、粒径の大小関係は、これに限定されない。なお、図4(A)、(B)と(C)には、図3(A)、(B)と(C)の一部分の拡大模式図を示す。図4(A)、(B)と(C)の拡大模式図においても、第2の金属15が、第1の酸化物13中と細孔14内に存在すること以外は、図2の拡大模式図と同様である。図4においては図2と同様に、触媒10の外表面の第1の酸化物13A中に存在する第2の金属15を第2の金属15Aと表し、細孔14中に存在する第2の金属15を第2の金属15Bと表す。
【0049】
図4において、第2の金属15が触媒10に含まれる。図4のいずれにおいても、第1の酸化物13A中に、第2の金属15Aが存在する。第2の金属15Aは、第1の金属11Aとの界面を有していてもよい。また、細孔14中に第2の金属15Bが存在する。細孔14内に存在する第2の金属15Bは、第1の酸化物13Bと界面を有する。細孔14内に存在する第2の金属15Bは、第1の金属11Bと界面を有することが好ましい。細孔14内に存在する第2の金属15Bは、基材12とも界面を有していてもよく、これらと直接的に接していることが好ましい。
【0050】
ここでいう第2の金属15はNi、Co、Fe、Cuのうちの少なくとも一種以上の金属のうち第1の金属に含まれる金属とは異なる金属を含む粒状の金属(粒子)である。第2の金属15のサイズは、一次粒子径で1nm以上100nm以下であることが好ましい。第2の金属15の粒子径は、第1の金属11と同様の方法で求められる。いくつかの粒子が集まって二次粒子を構成していても構わない。第2の金属15は、第1の酸化物13中、又は、第1の酸化物13中及び細孔14中に存在する。この第2の金属15は、第1の酸化物13中に基材12や第1の金属11と接して存在していてもよいし、離れて存在していても構わない。また、第1の酸化物13に接して表面部に存在していても構わないが、これら第2の金属15は、第1の金属11の助触媒的に作用するため、第1の金属11の近傍に存在させるのがより好ましい。そして、第2の金属15は、第1の金属11と界面を有することがより好ましい。第1の酸化物13内に存在させることで、第2の金属15を固定化し、シンタリングなどによる粒子の凝集を抑え、耐久性を向上させる効果もある。第2の金属15は、細孔14内にも存在していることがより好ましい。第2の金属15は、助触媒として作用することから、第1の金属11及び基材12との界面を有することが好ましい。第2の金属15は、細孔14内において、第1の金属11と界面を有するか、第1の金属11及び基材12と界面を有することがより好ましい。また、第2の金属15は、第1の酸化物13との界面も有することがより好ましい。
【0051】
この第2の金属15は、特に第1の金属11としてNiと組み合わされた場合において、より高い触媒活性を示す。また、全触媒20中に、第1の金属11と第2の金属15の占める割合は、5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。5質量%より少ない場合には、触媒20としての効果が薄く、20質量%を超える場合には、触媒活性においては大きな問題はないが、長期の使用において、シンタリング等、金属粒子同士の凝集が起こり、結果的に性能を低下させてしまうからである。触媒20を無駄なく効率的に活用する観点からは、5質量%以上15質量%以下がより好ましい範囲である。
【0052】
第1の金属11の粒子径分布の累計カーブが16%となる粒子径は、第2の金属15の粒子径分布の累積カーブが84%となる粒子径よりも大きいことが好ましい。つまり、第1の金属11の粒子径分布と第2の金属15の粒子径分布は、ほとんど重ならないほどに第1の金属11のサイズが第2の金属15のサイズよりも大きい。このような関係を満たすことで、第2の金属15が触媒20に含まれることが阻害容易にならず、触媒活性の向上に寄与する。第1の金属11よりもサイズの小さい第2の金属15が第1の金属11の近傍に存在すると第1の金属11の助触媒的に作用すると考えられる。例えば、水素化の活性が高いNiを第1の金属11として用い、水素化の活性がNiよりは低いFeを第2の金属15として用いると、より触媒活性が向上するため好ましい。第2の金属15のサイズを上の粒子径分布を満たすように第1の金属11のサイズよりも微細にすることで、第2の金属15の添加量に対する触媒活性向上の効果がより顕著になるため好ましい。
【0053】
第2の金属15を含む触媒20の製造方法は、例えば、易還元性酸化物である第2の金属15の酸化物が第1の酸化物13中に含まれるように混合酸化物層を複合酸化物上に形成し、還元処理を行う方法が挙げられる。
【0054】
(燃料合成装置(システム))
次に、図5の概念図を参照して、実施形態の触媒を用いた燃料合成装置(システム)について説明する。燃料合成装置は、燃料合成用触媒を備えた反応塔Xと、二酸化炭素と一酸化炭素のいずれか又は両方を反応塔へ供給する第1原料供給ラインL1と、水素を反応塔Xへ供給する第2原料供給ラインL2と、反応塔Xで、二酸化炭素と一酸化炭素のいずれか又は両方及び水素を触媒を用いて反応させて生成した燃料を回収する回収部Yと、を有する。
【0055】
反応塔Xと回収部Yは生成物供給ラインL3を介して接続し、反応塔Xで生成した燃料は生成物供給ラインL3を通り、反応塔Xから回収部Yへ移動する。回収部Yでは、生成物中の不純物を除去するなどすることが好ましい。反応塔で生成する燃料は、炭化水素系燃料とアルコール系燃料のいずれか又は両方を含む。また、図示はしていないが、回収部Yでは未反応の二酸化炭素又は一酸化炭素及び水素を分離して、反応塔Xへ送り、反応に利用されるように構成することが好ましい。また、回収部Yは、燃料を用いて、発電を行うなど、燃料を消費する手段をさらに備えても良い。
【0056】
二酸化炭素又は一酸化炭素と、水素を触媒で反応させる温度は、250℃以上400℃以下であることが好ましい。温度が低すぎると、触媒活性が低下して好ましくない。また、温度が高すぎると、触媒の劣化が早まりまた反応に必要なエネルギーをより多く必要とするため好ましくない。これらの観点から、二酸化炭素又は一酸化炭素と、水素を触媒で反応させる温度は、300℃以上350℃以下であることがより好ましい。従来の触媒では、このような低温では、触媒活性が低く実用的ではないが、実施形態の触媒は、低温活性に優れるため、低温条件下でも実用性がある。
【0057】
他にも図6の概念図に示すように、発電と燃料合成装置(システム)を組み合わせてもよい。燃料合成に用いられる水素は、太陽光や風力で発電された電気(余剰電力)を用い水電解を行って生成されたものを用いることができる。また、燃料合成に用いられる二酸化炭素は、火力発電等で生成した二酸化炭素を用いることで、カーボンニュートラルであり、再生可能エネルギーを利用した燃料合成を行うことができる。
【実施例】
【0058】
以下に具体的な実施例を挙げ、その効果について述べる。但し、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
次のような条件で、触媒材料を作製した。
粒径2〜4mmのγ−Al球状粒子を硝酸ニッケル(Ni(NO・6HO)水溶液に浸漬し、真空デシケータ中で減圧下、2時間含浸処理を行った。試料を取り出し乾燥処理をしたのち、大気中、電気炉にて500℃、1時間の熱処理を行い、硝酸ニッケルを熱分解してNiOとした。さらに1200℃まで昇温し、2時間の焼成処理を行うことでNiOと基材のAlを反応させ、基材Alの一部を複合酸化物であるNiAlとした。次に、この焼成後の試料を水素中、1000℃で10分間還元処理を行って、NiAl部からNi第1の金属を析出させた。さらに、還元後の試料に硝酸セリウム(Ce(NO・6HO)水溶液を含浸し、乾燥後、500℃、1時間の熱処理を行って触媒表面に第1の酸化物としてCeO層を形成した。この試料を用いて、触媒性能評価試験を行った。この試料の組成についてICP発光分光法により評価した結果、Niの含有量は9.4質量%であった。
【0059】
(触媒性能評価試験)
試験には、固定床流通式反応装置を用いた。触媒を内径42.8mmの反応管に、反応とは無関係なAl球(平均サイズ3mm)と混合して充填し、400℃で1時間の水素還元を行ったのち、COとHを流量比1:4で混合したガスを空間速度6000/hで供給した。250℃から400℃の間でのCOの転化率とメタン収率を、反応後の出口ガスをマイクロガスクロマトグラフにより分析することによって求めた。メタン収率は以下の式により算出した。

メタン収率=CO転化率×メタン選択率 (2)

また、一部試料について、XRDによる構成相の同定、および窒素吸着法と水銀圧入法による細孔分布の測定を行った。また、試料の微細構造をSEMにて観察した。
【0060】
(比較例1)
実施例1において、セリウムによる被覆処理を行わない試料を作製し、触媒性能評価試験を行った。
【0061】
(実施例2)
実施例1において、複合酸化物の還元処理とCeO層の形成順序を逆に、すなわち、1000℃での還元処理の前に、硝酸セリウムによる含浸被覆処理を行い、これを500℃で熱処理した後に、1000℃、10分間の還元処理を行った。得られた試料を用いて触媒性能評価試験を行った。この順で作製した場合、還元時に、被覆したCeO層が基材であるAlと反応し、CeAlOが形成されていた。
【0062】
(実施例3)
基材として数nmサイズの微細孔を増量するとともに1μm程度の比較的大きな気孔も含むγ−Al球状粒子を用いた以外はすべて実施例1と同様に試料を作製し、触媒性能評価試験を行った。この試料の組成についてICP発光分光法により評価した結果、Niの含有量は16.2質量%であった。
【0063】
(実施例4)
CeO層の形成処理において、硝酸セリウムと硝酸サマリウム(Sm(NO・6HO)のモル比1:0.2混合水溶液を用いた以外はすべて実施例1と同じ手順で試料を作製し、触媒性能評価試験を行った。
【0064】
(実施例5)
CeO層の形成処理において、硝酸セリウムと硝酸イットリウム(Y(NO・6HO)のモル比1:0.2混合水溶液を用いた以外はすべて実施例1と同じ手順で試料を作製し、触媒性能評価試験を行った。
【0065】
(実施例6)
CeO層の形成処理において、硝酸セリウムと硝酸ガドリニウム(Gd(NO・6HO)のモル比1:0.2混合水溶液を用いた以外はすべて実施例1と同じ手順で試料を作製し、触媒性能評価試験を行った。
【0066】
(実施例7)
CeO層の形成処理において、硝酸セリウムと硝酸ランタン(La(NO・6HO)のモル比1:0.2混合水溶液を用いた以外はすべて実施例1と同じ手順で試料を作製し、触媒性能評価試験を行った。
【0067】
(実施例8)
CeO層の形成処理において、硝酸セリウムと硝酸ランタン(La(NO・6HO)のモル比1:0.4混合水溶液を用いた以外はすべて実施例1と同じ手順で試料を作製し、触媒性能評価試験を行った。
【0068】
(実施例9)
CeO層の形成処理において、硝酸セリウム濃度を2倍にしたこと以外はすべて実施例1と同じ手順で試料を作製し、触媒性能評価試験を行った。
【0069】
(実施例10)
CeO層の形成に替えてZrO層の形成において、硝酸セリウムに変え、オキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO・2HO)水溶液を用いた。金属のNiはオキシ硝酸ジルコニウム水溶液中に溶出する現象が見られたため、あらかじめ、還元で析出したNiを酸化処理してNiOとしてから含浸被覆処理を行った。CeO層の代わりにZrO層が形成された。それ以外はすべて実施例1と同じ手順で試料を作製し、触媒性能評価試験を行った。
【0070】
(実施例11)
CeO層に替えてZrO層の形成にオキシ硝酸ジルコニウムと硝酸サマリウムのモル比1:0.2混合水溶液を用いたこと以外はすべて実施例10と同様の手順により試料を作製し、触媒性能評価試験を行った。
【0071】
(実施例12)
ZrO層の形成にオキシ硝酸ジルコニウムと硝酸イットリウムのモル比1:0.2混合水溶液を用いたこと以外はすべて実施例10と同様の手順により試料を作製し、触媒性能評価試験を行った。
【0072】
(実施例13)
ZrO層の形成にオキシ硝酸ジルコニウムと硝酸ガドリニウムのモル比1:0.2混合水溶液を用いたこと以外はすべて実施例10と同様の手順により試料を作製し、触媒性能評価試験を行った。
【0073】
(実施例14)
ZrO層の形成にオキシ硝酸ジルコニウムと硝酸ランタンのモル比1:0.2混合水溶液を用いたこと以外はすべて実施例10と同様の手順により試料を作製し、触媒性能評価試験を行った。
【0074】
(実施例15)
実施例10において、還元処理とZrO層形成処理の順番を変えて試料を作製し、触媒性能評価試験を行った。
【0075】
(実施例16)
ZrO層の形成に、オキシ硝酸ジルコニウムと硝酸セリウムのモル比1:1混合水溶液を用いた以外はすべて実施例10と同様の手順で試料を作製し、触媒性能評価試験を行った。
【0076】
(実施例17)
CeO層に替えてSiO層の形成に、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)の加水分解、縮合反応を用いた以外はすべて実施例1と同様の手順で試料を作製し、触媒性能評価試験を行った。
【0077】
(実施例18)
CeO層に替えてTiO層の形成に、チタニウムテトラエトキシド(Ti(OCH)を用い、加水分解、加熱処理を行った以外はすべて実施例1と同様の手順で試料を作製し、触媒性能評価試験を行った。
【0078】
(比較例2)
基材に円柱状に成形したMgO多孔体を用い、硝酸ニッケル水溶液を真空含浸した。乾燥後、1200℃、2時間の加熱処理により、MgO表層部とNi成分を反応させ、MgOとNiOの固溶体(NiMg1−xO、0<x<1)を形成した。これを水素雰囲気下、1000℃で10分間、還元処理をし、表層部にNi粒子を有する触媒材料を得た。この材料について、触媒性能評価試験を行った。
【0079】
(実施例19)
比較例2の表層部にNi粒子を有する触媒材料をさらに硝酸セリウム水溶液に浸漬して真空含浸し、乾燥後、500℃、1時間の熱処理を行って、CeO層を形成した。この試料について、触媒性能評価試験を行った。
【0080】
(実施例20)
ZrO層にオキシ硝酸ジルコニウムを用い、ZrO層を形成した以外はすべて実施例18と同様の手順で試料を作製し、触媒性能評価試験を行った。
【0081】
(比較例3)
基材に粒径が2〜4mmの球状に成形したTiO多孔体を用い、硝酸ニッケル水溶液を真空含浸した。乾燥後、1300℃で2時間の加熱処理により、TiO表層部とNi成分を反応させ、NiTiO層を形成した。これを水素雰囲気下、800℃で10分間、還元処理をし、表層部にNi粒子を有する触媒材料を得た。この材料について、触媒性能評価試験を行った。
【0082】
(実施例21)
比較例3の表層部にNi粒子を有する触媒材料をさらに硝酸セリウム水溶液に浸漬して真空含浸し、乾燥後、500℃、1時間の熱処理を行って、CeO層を形成した。この試料について、触媒性能評価試験を行った。
【0083】
(比較例4)
基材に粒径2〜4mmの球状に成形したSiO多孔体を用い、硝酸ニッケル水溶液を真空含浸した。乾燥後、1400℃で1時間の加熱処理により、TiO表層部とNi成分を反応させ、NiTiO層を形成した。これを水素雰囲気下、1000℃で10分間、還元処理をし、表層部にNi粒子を有する触媒材料を得た。この材料について、触媒性能評価試験を行った。
【0084】
(実施例22)
比較例4の表層部にNi粒子を有する触媒材料をさらに硝酸セリウム水溶液に浸漬して真空含浸し、乾燥後、500℃、1時間の熱処理を行って、CeO層を形成した。この試料について、触媒性能評価試験を行った。
表1に実施例と比較例の触媒の性能試験の結果をまとめて示す。
【0085】
(実施例23)
実施例1において、触媒の還元析出処理後に、硝酸セリウム(Ce(NO・6HO)水溶液と硝酸鉄(Fe(NO・9HO)をモル比10:1で混合し、混合溶液を含浸して乾燥後、500℃、1時間の熱処理を行って触媒表面にFe−CeOの混合層を形成した。この試料を用いて、触媒性能評価試験を行った。Feは試験前の還元処理において還元され、被覆層はFe微粒子が分散されたCeO層となった。
【0086】
(実施例24)
実施例1において、触媒の還元析出処理後に、硝酸セリウム(Ce(NO・6HO)水溶液と硝酸コバルト(Co(NO・6HO)をモル比10:1で混合し、混合液含浸して乾燥後、500℃、1時間の熱処理を行って触媒表面にCoO−CeOの混合層を形成した。この試料を用いて、触媒性能評価試験を行った。CoOは試験前の還元処理において還元され、被覆層はCo微粒子が分散されたCeO層となった。
【0087】
【表1】
【0088】
表からも明らかなように、第1の金属とそれと一体化した基材と第1の酸化物を同時に存在させることで、メタン収率は向上していることが分かる。
特に実施例1を含む還元処理後に酸化物層(第1の酸化物)を形成したものについては、被覆した酸化物がその組成のまま形成されており、より高い収率でメタンが生成されることがわかった。また、表1には示していないが、比較例1では見られたCOの生成がほとんどなく、COは速やかにCHにまで還元されることが明らかになった。
【0089】
また、Al基材の場合、焼結によりNiAl層を形成する段階で、結晶相が低温型のγ型からα型への変化が起こる。これにより、比表面積が低下するが、実施例3に示すように、1μm付近の気孔を導入することで、より広い範囲に金属成分を含浸析出でき、また、深部に形成された第1の金属も反応に寄与させることができるようになり、活性をより向上させられることがわかった。
【0090】
実施形態に係る触媒の典型的な微細構造組織の撮影画像を図7に示す。図は実施例2により作製した触媒の表面部組織を観察したもので、加速電圧を少し高めに設定して、より試料内部の構造をとらえるように撮影した反射電子像である。図中、白く粒子状に点在しているのが金属のNi粒子である。Ni粒子のサイズは30〜60nm程度で、一般的な触媒としてのNi粒子サイズよりは十分大きいものであった。このように、Ni粒子は触媒表面部に一粒一粒が孤立して存在し、かつ高度に分散した組織となっている。この構造が耐久性を向上させると考えられる。また、この粒子の表面部および周囲にはCe含有層が形成されていた。この場合、還元処理時に被覆処理したCeOが基材のAlと反応してCeAlO層を形成していた。触媒性能試験の結果からは、層がない場合に比べて活性が向上している。つまり、このような酸化物層と基材が反応して化合物を作ったとしても触媒活性の向上に問題なく、効果があることが分かった。
【0091】
酸化物層を後付け処理で行った実施例1に示す試料についてもSEM観察を行ったが、構造は図1(B)に示すものと同じ様相であった。
Niの含有量に関しては、Ni担持量が5wt%より小さいものも試験したが、CeO層が存在していても解離されたCOをメタンに変える触媒が不足しており性能が低下した。また、逆にNiの担持量を多くしていくと活性は向上していったが、25質量%を超えた領域になるとほぼ頭打ち状態になった。担持量が増大すると使用中にNi粒子同士の合体や成長による性能低下も懸念されるため、第1の金属の担持量としては20質量%以下にすることが好ましい。また、第1の酸化物については、CeOのほか、SiO、TiO、ZrOでも同様の効果が見られた。希土類酸化物を同時に被覆、熱処理した材料においては、いずれもCeO、ZrOへの固溶が確認され、低温での触媒活性の向上が確認された。
【0092】
さらに、NiにかえてCo、Fe、Cuなどの成分をあらかじめ添加し、還元によりNiと同時に析出させた試料についても触媒性能試験を行ったところ、いずれもNiを単独で添加したものに比べ、メタン収率は低下した。また、COがCH化しきれずに残ったCOの生成も見られた。これに対し、第1の金属としてNi粒子にCo粒子やFe粒子を併用した触媒では、メタン収率が改善され、それらにCeO等、酸化物層を設けることにより、触媒活性の向上が確認された。
【0093】
表1に、第2の金属としてFeおよびCoを添加した触媒(実施例23および実施例24)の性能評価結果を示す。第1の金属のみを用いた場合に比べ、低温側でのメタン収率が向上している。一方、別の実験にて、FeおよびCoをAlに担持させただけの系では、ほとんど触媒活性を示さなかった。これは、第1の金属触媒と組み合わせた時に特異的に起こる現象であることが分かった。FeおよびCoの微粒子が、Niの触媒性能を助ける役割、すなわち助触媒的に作用していると考えられる。また、実施例の触媒をTEM−EDX観察し、細孔内の基材表面上に第1の金属、第1の酸化物と第2の金属が存在していることを確認した。また、細孔の一部は、連結しており、触媒の外表面には、5μm以上20μm以下の凹凸が確認された。第1の金属の一部は、基材とだけでなく、第1の酸化物、又は、第1の酸化物及び第2の金属と界面を有すると考えられるEDXのマッピング結果が得られた。細孔内において触媒活性点が多く存在することで、触媒特性が向上することで、低温活性が向上したと考えられる。
【0094】
実施例の触媒は、貴金属を触媒金属(金属粒子)に用いなくても低温での活性に優れることが確認された。また、金属粒子は、基材と酸化物層の両方に保持された形態であるため、高温環境下や長期の利用においても金属粒子が脱落しにくいという点で、実施例(実施形態)の触媒は、実用上求められる、安価、高い低温活性と耐久性のすべてにおいて優れた触媒である。また、実施例では、触媒を用いてメタンの生成を行っているが、原料を二酸化炭素から一酸化炭素に変えて同様に、メタノールの生成を行なわれる。さらに、これら触媒は、一般的に反応速度を上げるために用いられる加圧下でもより高い性能を示すことが期待される。明細書中、一部の元素は元素記号のみで表している。
【0095】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
10、20・・・触媒
11・・・第1の金属
12・・・基材
13・・・第1の酸化物
14・・・細孔
15・・・第2の金属

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7