(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遅延回路は、前記変調信号に基づいて、周期的に変化する変調電流を生成し、前記変調電流に基づいて前記遅延時間を変化させる、請求項1から3のいずれか1項に記載の電圧変換装置。
前記遅延回路は、前記変調信号に基づいて、周期的に変化する変調電圧を生成し、前記変調電圧に基づいて前記遅延時間を変化させる、請求項1から3のいずれか1項に記載の電圧変換装置。
前記遅延回路は、前記変調信号に基づいて、前記遅延回路に作用する静電容量を周期的に変化させ、前記静電容量に基づいて前記遅延時間を変化させる、請求項1から3のいずれか1項に記載の電圧変換装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の電圧変換装置1の構成を示す回路図である。
図1は、電圧変換装置1、インダクタL
1、キャパシタC
1、および抵抗R
1、R
2により構成される非線形制御方式のDCDCコンバータを示している。
【0011】
電圧変換装置1は、入力電圧V
inを受信して、入力電圧V
inと0Vとの間で変化する矩形波を出力電圧V
out’として出力する。本実施形態の電圧変換装置1は、半導体チップにより構成されている。出力電圧V
out’は、インダクタL
1やキャパシタC
1の作用により最終的な出力電圧V
outに変化し、出力電圧V
outが負荷2に供給される。
【0012】
インダクタL
1、抵抗R
1、および抵抗R
2は、電圧変換装置1の出力端子と接地ノードとの間に直列に接続されている。キャパシタC
1と負荷2は、インダクタL
1と抵抗R
1の間のノードと接地ノードとの間に並列に接続されている。抵抗R
1と抵抗R
2は、出力電圧V
outを分圧してフィードバック電圧V
fbを生成する。フィードバック電圧V
fbは、抵抗R
1と抵抗R
2との間のノードから電圧変換装置1に供給される。
【0013】
電圧変換装置1は、入力電圧V
in、基準電圧V
ref、およびフィードバック電圧V
fbに基づいて出力電圧V
out’を制御する。その結果、電圧変換装置1は、基準電圧V
refに応じた出力電圧V
out’を出力する。具体的には、出力電圧V
out’の平均値が、基準電圧V
refに(R
1+R
2)/R
2を乗じた値となる。出力電圧V
out’と出力電圧V
outの詳細については、後述する。
【0014】
電圧変換装置1は、比較器11と、変調信号供給回路12と、遅延回路13と、制御回路14と、出力部の一例としての第1および第2出力トランジスタ15、16とを備えている。
【0015】
比較器11は、フィードバック電圧V
fbと基準電圧V
refとを比較し、これらの電圧の比較結果を示す比較信号V
d1を遅延回路13に出力する。変調信号供給回路12は、周期的に変化する信号である変調信号V
modを遅延回路13に供給する。本実施形態の変調信号V
modは、一定の周波数F
modを有するパルス信号である。
【0016】
遅延回路13は、比較信号V
d1の立ち上がりタイミングまたは立ち下がりタイミングを遅延させた遅延信号V
d2を制御回路14に出力する回路である。遅延回路13は、遅延信号V
d2の遅延時間を変調信号V
modに基づいて変化させる。遅延回路13の構成や動作の詳細は、後述する。
【0017】
制御回路14は、遅延信号V
d2に基づいて第1および第2出力トランジスタ15、16を制御する。その結果、本実施形態の出力信号
(出力電圧)V
out’と出力信号
(出力電圧)V
outの周波数は、変調信号V
modに依存する所定値に調整され、具体的には、変調信号V
modの周波数F
modに調整される。
【0018】
第1および第2出力トランジスタ15、16は、電圧変換装置1の入力端子と接地ノードとの間に直列に接続されている。本実施形態の第1出力トランジスタ15はpMOSであり、本実施形態の第2出力トランジスタ16はnMOSである。第1および第2出力トランジスタ15、16のゲートには、制御回路14からの制御信号が入力される。第1および第2出力トランジスタ15、16の間のノードは、電圧変換装置1の出力端子に接続されている。よって、第1および第2出力トランジスタ15、16は、電圧変換装置1の入力端子から入力電圧V
inを供給され、基準電圧V
refに応じた出力電圧V
out’を電圧変換装置1の出力端子に出力する。
【0019】
図2は、第1実施形態の電圧変換装置1の動作を説明するための波形図である。
【0020】
図2(a)は、出力電圧V
out’の一例を示し、
図2(b)は、出力電圧V
outの一例を示している。符号Fは、これらの出力電圧V
out’、V
outの周波数を表す。符号T
onは、上述の遅延信号V
d2の遅延時間を表す。符号V
max、V
minは、出力電圧V
outの最大値と最小値を表す。遅延回路13や制御回路14は、これらの出力電圧V
out’、V
outの周波数Fを、変調信号V
modの周波数F
modに調整するよう動作する(F=F
mod)。
【0021】
図2(a)の出力電圧V
out’は、最大値がV
in、最小値が0、パルス幅がT
onのパルス波(矩形波)である。
図2(a)の出力電圧V
out’の平均値は、上述のように、基準電圧V
refに(R
1+R
2)/R
2を乗じた値となる。一方、
図2(b)の出力電圧V
outは、時間T
onの間に最大値V
maxから最小値V
minに変化する三角波である。
【0022】
出力電圧V
out’のデューティ比Dは、次の式(1)で与えられる。出力電圧V
out’、V
outの周波数Fは、次の式(2)で与えられる。
D = T
on/(1/F) 〜 V
out/V
in ・・・(1)
F = D/T
on 〜 V
out/(V
inT
on) ・・・(2)
ただし、式(1)と式(2)中のV
in、V
outは、V
in、V
outの平均値を表す。
【0023】
図3は、第1実施形態の遅延回路13の構成を示す回路図である。
【0024】
本実施形態の遅延回路13は、第2出力部の一例としての第1および第2トランジスタ13a、13bと、電流源13cと、電圧供給部13dと、第2比較器の一例としての比較器13eと、OR演算器13fと、キャパシタC
dとを備えている。
【0025】
第1および第2トランジスタ13a、13bは、電流源13cと接地ノードとの間に直列に接続されている。本実施形態の第1トランジスタ13aはpMOSであり、本実施形態の第2トランジスタ13bはnMOSである。第1および第2トランジスタ13a、13bのゲートには、比較器11からの比較信号V
d1が入力される。そして、第1および第2トランジスタ13a、13bは、比較信号V
d1に応じた第1信号V
1を第1および第2トランジスタ13a、13bの間のノードに出力し、比較器13eとキャパシタC
dとに第1信号V
1を供給する。キャパシタC
dは、このノードと接地ノードとの間に配置されている。
【0026】
電流源13cは、第1トランジスタ13aにバイアス電流I
biasを供給する。第1および第2トランジスタ13a、13bは、このバイアス電流I
biasと比較信号V
d1とに基づいて第1信号V
1を出力する。一方、電圧供給部13dは、比較器13eに基準信号である電圧V
tuneを供給する。
【0027】
比較器13eは、第1信号V
1と電圧V
tuneとを比較し、これらの信号の比較結果を示す第2信号V
2をOR演算器13fに出力する。OR演算器13fは、比較信号V
d1と第2信号V
2とのOR演算結果を示す遅延信号V
d2を出力する。
【0028】
本実施形態の遅延回路13は、上述の変調信号V
modに基づいて、電流源13cのバイアス電流I
bias、電圧供給部13dの電圧V
tune、またはキャパシタC
dの静電容量を周期的に変化させる。そして、遅延回路13は、このようなバイアス電流I
bias、電圧V
tune、または静電容量に基づいて、遅延信号V
d2の遅延時間T
onを変化させる。その結果、出力信号V
out’と出力信号V
outの周波数は、変調信号V
modの周波数F
modに調整される。なお、周期的に変化するバイアス電流I
bias、電圧V
tune、または静電容量の詳細については、後述する第2〜第5実施形態にて説明する。
【0029】
図4は、第1実施形態の遅延回路13の動作を説明するための波形図である。
【0030】
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)はそれぞれ、比較信号V
d1、第2信号V
2、遅延信号V
d2の例を示している。
図4(a)の比較信号V
d1は、時間T
1にローからハイに変化し、時間T
2にハイからローに変化している。そのため、
図4(b)の第2信号V
2は、時間T
2から増加し始めており、時間T
3に電圧V
tuneに達している。その結果、
図4(c)の遅延信号V
d2は、時間T
1にローからハイに変化し、時間T
3にハイからローに変化している。
【0031】
このように、遅延回路13は、比較信号V
d1の立ち上がりタイミングを時間T
1に維持し、比較信号V
d1の立ち下がりタイミングを時間T
2から時間T
3に遅延させることで、遅延信号V
d2を生成する。遅延信号V
d2の遅延時間T
onは「T
3−T
1」となる。
【0032】
図4(b)と
図4(c)から明らかなように、電圧V
tuneが変化すると遅延時間T
onも変化する。例えば、電圧V
tuneが周波数F
modで変化すると、遅延時間T
onも周波数F
modで変化する。このように、遅延回路13は、電圧V
tuneを変調信号V
modに応じて周期的に変化させることで、遅延時間T
onを変調信号V
modに応じて周期的に変化させることができる。これは、バイアス電流I
biasを周期的に変化させる場合や、キャパシタC
dの静電容量を周期的に変化させる場合にも同様である。遅延時間T
onは、次の式(3)で与えられる。
T
on 〜 V
tuneC
d/I
bias ・・・(3)
ただし、式(3)中のC
dは、キャパシタC
dの静電容量を表す。
【0033】
なお、比較信号V
d1と遅延信号V
d2は、正論理ではなく負論理の信号でもよい。この場合、遅延回路13は、比較信号V
d1の立ち下がりタイミングを時間T
1に維持し、比較信号V
d1の立ち上がりタイミングを時間T
2から時間T
3に遅延させることで、遅延信号V
d2を生成することとなる。
【0034】
図5は、第1実施形態の遅延時間T
onの例を説明するための波形図である。
【0035】
図5(a)は、遅延時間T
onの一例を示している。遅延回路13は、
図5(a)に示すように、変調信号V
modに基づいて遅延時間T
onを周期的に変化させる。
図5(a)の遅延時間T
onは、周波数F
modの「のこぎり波」の形で周期的に変化している。符号T
on(t)は、遅延時間T
onの目標値を表す。
【0036】
図5(b)は、出力電圧V
outの一例を示している。遅延時間T
onが周波数F
modで周期的に変化すると、出力電圧V
outの周波数Fは、
図5(b)に示すように、周波数F
modに調整されることとなる(F=F
mod)。符号V
out(t)は、出力電圧V
outの最大値の目標値を表す。出力電圧V
outの周波数Fが周波数F
modに調整されると、出力電圧V
outが最小値から最大値に変化する時間はT
on(t)となる。時間T
on(t)は、次の式(4)で与えられる。
T
on(t) 〜 V
out/(V
inF
mod) ・・・(4)
ただし、式(4)中のV
in、V
outは、V
in、V
outの平均値を表す。
【0037】
図6は、第1実施形態の遅延時間T
onの例を説明するための波形図である。
図6は、出力電圧V
outの周波数Fが周波数F
modに調整される過程を示している。
【0038】
図6(a)は、遅延時間T
onの一例を示し、
図6(b)は、出力電圧V
outの一例を示している。時間t
1、t
2、t
3、t
4は、
図4(a)のT
1と同様に、比較信号V
d1がローからハイに変化する時間を表す。
【0039】
比較信号V
d1が時間t
1にローからハイに変化すると、出力電圧V
outが時間t
1に増加し始める(
図6(b))。ここで、時間t
1の遅延時間T
on1は、目標値T
on(t)よりも大きい(
図6(a))。その結果、時間t
1+T
on1の出力電圧V
out1は、目標値V
out(t)よりも高くなる(
図6(b))。さらには、時間t
1から時間t
2までの時間も長くなる。
【0040】
その後、比較信号V
d1が時間t
2にローからハイに変化すると、出力電圧V
outが時間t
2に再び増加し始める。ここで、時間t
2の遅延時間T
on2は、目標値T
on(t)よりも小さい。その結果、時間t
2+T
on2の出力電圧V
out2は、目標値V
out(t)よりも低くなる。さらには、時間t
2から時間t
3までの時間も短くなる。
【0041】
比較信号V
d1と出力電圧V
outは、その後も同様の変化を繰り返す。その結果、比較信号V
d1は、遅延時間T
onが目標値T
on(t)になる時間にローからハイに変化するようになる(
図5(a)を参照)。さらには、出力電圧V
outは、出力電圧V
outの最大値が目標値V
out(t)となるように変化するようになる(
図5(b)を参照)。このようにして、出力電圧V
outの周波数Fが周波数F
modに調整される。すなわち、電圧変換装置1の動作周波数Fが周波数F
modに固定化される。
【0042】
図7は、第1実施形態の遅延時間T
onの別の例を説明するための波形図である。
【0043】
本実施形態の遅延時間T
onは、周期的に変化すれば、のこぎり波以外の形で変化してもよい。
図7(a)は、その一例として、周波数F
modの「三角波」の形で周期的に変化する遅延時間T
onを示している。
図7(b)は、その別の例として、周波数F
modの「擬似的な三角波」の形で周期的に変化する遅延時間T
onを示している。さらに別の例としては、周波数F
modの「正弦波」の形で周期的に変化する遅延時間T
onが考えられる。
【0044】
以上のように、本実施形態の電圧変換装置1は、遅延信号V
d2の遅延時間T
onを変調信号V
modに基づいて変化させ、出力信号V
out’と出力信号V
outの周波数Fを、変調信号V
modの周波数F
modに調整する。よって、非線形制御方式のDCDCコンバータの動作周波数を、PLLのような大規模な回路を用いずに一定に調整することができる。すなわち、本実施形態によれば、電圧変換装置1の動作周波数を簡単な構成で固定化することが可能となる。
【0045】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態の電圧変換装置1の構成を示す回路図である。
【0046】
図8の電圧変換装置1は、
図1に示す構成要素に加え、フリップフロップ17を備えている。フリップフロップ17は、比較信号V
d1が入力されるR(リセット)端子と、遅延信号V
d2が入力されるS(セット)端子と、比較信号V
d1と遅延信号V
d2とに応じた出力信号を出力するQ端子とを備えている。Q端子からの出力信号は、後述する切替器SWに供給される。
【0047】
図9は、第2実施形態の電流源13cの構成を示す回路図である。
【0048】
本実施形態の電流源13cは、三角波発生回路21と、VI(電圧電流)変換回路22とを備えている。三角波発生回路21は、トランジスタ23と、電流源24と、キャパシタC
aと、抵抗R
aとを備えている。VI変換回路22は、オペアンプ25と、第1トランジスタ26と、第2トランジスタ27と、切替器SWと、キャパシタC
bと、抵抗R
bとを備えている。
【0049】
本実施形態の遅延回路13は、このような電流源13cによりバイアス電流I
biasを周期的に変化させる。一方、電圧供給部13dの電圧V
tuneと、キャパシタC
dの静電容量は一定とする。その結果、遅延信号V
d2の遅延時間T
onは、バイアス電流I
biasに応じて変化する。バイアス電流I
biasは、周期的に変化する変調電流の一例である。
【0050】
トランジスタ23のゲートには、変調信号V
modが供給される。キャパシタC
aと抵抗R
aは、電流源24と接地ノードとの間に直列に接続されており、キャパシタC
aは、トランジスタ23と並列に接続されている。電流源24は、トランジスタ23およびキャパシタC
aに電流を供給する定電流源である。三角波発生回路21は、このような回路構成により、電流源24とキャパシタC
aとの間のノードから三角波電圧を出力する。
【0051】
切替器SWは、このノードとオペアンプ25の非反転入力端子との間に配置され、キャパシタC
bは、この非反転入力端子と接地ノードとの間に配置されている。切替器SWは、フリップフロップ17から出力信号を受け取り、出力信号がハイのときに三角波電圧を通過させ、出力信号がローのときに三角波電圧を遮断する。このように、フリップフロップ17からの出力信号は、三角波電圧をVI変換回路22に供給するタイミングを制御するために使用される。
【0052】
符号V
+は、オペアンプ25の非反転入力端子に印加される電圧を示し、符号V
−は、オペアンプ25の反転入力端子に印加される電圧を示す。オペアンプ25の反転入力端子は、第1トランジスタ26のドレインと抵抗R
bとの間のノードに接続されている。その結果、オペアンプ25は、ボルテージフォロワとして機能し、このノードの電圧は電圧V
+、V
−と等しくなる。オペアンプ25の出力端子は、第1および第2トランジスタ26、27のゲートに接続されている。
【0053】
なお、キャパシタC
bは、切替器SWが三角波電圧を遮断している間に、電圧V
+を遮断直前の電圧に維持する作用を有する。
【0054】
第1トランジスタ26のゲートは、オペアンプ25の出力端子と、第2トランジスタ27のゲートに接続されており、第1および第2トランジスタ26、27は、カレントミラーを構成している。抵抗R
bは、第1トランジスタ26のドレインと接地ノードとの間に配置されている。第1および第2トランジスタ26、27のゲートには、オペアンプ25からの出力電圧が印加される。第2トランジスタ27は、この出力電圧に応じたバイアス電流I
biasをドレイン電流として出力する。VI変換回路22は、このような回路構成により、三角波電圧をバイアス電流I
biasに変換して、周期的に変化するバイアス電流I
biasを生成する。
【0055】
図10は、第2実施形態の電流源13cの動作を説明するための波形図である。
【0056】
図10(a)、
図10(b)、
図10(c)はそれぞれ、変調信号V
mod、電圧V
+、遅延時間T
onの例を示している。三角波発生回路21は、
図10(a)の変調信号V
modに応じて三角波電圧を出力し、その結果、周波数F
modの電圧V
+がオペアンプ25の非反転入力端子に印加される(
図10(b))。よって、オペアンプ25からの出力電圧や、VI変換回路22からのバイアス電流I
biasも、
図10(b)と同様の波形を有することとなる。その結果、遅延時間T
onは、電圧V
+を反転した波形を有することとなり、周波数F
modで周期的に変化することとなる(
図10(c))。
【0057】
以上のように、本実施形態の遅延回路13は、バイアス電流I
biasを周期的に変化させることで、遅延時間T
onを周期的に変化させる。これにより、出力信号V
out’と出力信号V
outの周波数Fを、変調信号V
modの周波数F
modに調整することが可能となる。本実施形態によれば、PLLよりもシンプルな電流源13cにより、電圧変換装置1の動作周波数を固定化することが可能となる。
【0058】
(第3実施形態)
図11は、第3実施形態の遅延回路13の構成を示す回路図である。
【0059】
本実施形態の電流源13cは、電流源31
0と、第1から第N電流源の例としての電流源31
1〜31
Nと、第1から第N切替器の例としてのトランジスタ32
1〜32
Nとを備えている(Nは2以上の整数)。
【0060】
電流源31
0〜31
Nは、第1トランジスタ13aにそれぞれ電流I
bias0〜I
biasNを供給する定電流源であり、互いに並列に接続されている。トランジスタ32
1〜32
Nはそれぞれ、電流源31
1〜31
Nに直列に接続されている。トランジスタ32
1〜32
Nのゲートには、互いに異なる変調信号V
modが供給される。
【0061】
本実施形態の電流源13cは、電流源31
0〜31
Nからの電流I
bias0〜I
biasNにより、周期的に変化するバイアス電流I
biasを生成する。一方、電圧供給部13dの電圧V
tuneと、キャパシタC
dの静電容量は一定とする。その結果、遅延信号V
d2の遅延時間T
onは、バイアス電流I
biasに応じて変化する。バイアス電流I
biasは、周期的に変化する変調電流の一例である。
【0062】
なお、
図11は、一定の電圧V
tuneの例として、基準電圧V
refを示している。この基準電圧V
refは、
図1の基準電圧V
refと同じものでもよいし、
図1の基準電圧V
refと別のものでもよい。
【0063】
図12は、第3実施形態の遅延回路13の動作を説明するための波形図である。
【0064】
図12(a)、
図12(b)、
図12(c)はそれぞれ、トランジスタ32
1、32
2、32
Nに供給される変調信号V
modの例を示している。
図12(d)は、バイアス電流I
biasの例を示している。トランジスタ32
1〜32
Nに供給される変調信号V
modは、いずれも周波数F
modで周期的に変化するが、パルス幅が互いに異なる(
図12(a)〜
図12(c))。その結果、バイアス電流I
biasの波形は、
図12(d)に示すように、周波数F
modで周期的に変化する階段状の波形となる。
【0065】
以上のように、第2実施形態の遅延回路13は、バイアス電流I
biasを連続的な周期波形に変化させるのに対し、本実施形態の遅延回路13は、バイアス電流I
biasを離散的な周期波形に変化させる。これにより、本実施形態の電圧変換装置1は、遅延時間T
onを周期的に変化させ、出力信号V
out’と出力信号V
outの周波数Fを、変調信号V
modの周波数F
modに調整することができる。本実施形態によれば、PLLよりもシンプルな電流源13cにより、電圧変換装置1の動作周波数を固定化することが可能となる。
【0066】
(第4実施形態)
図13は、第4実施形態の電圧供給部13dの構成を示す回路図である。
【0067】
図13の電圧供給部13dは、
図9の電流源13cから第1トランジスタ26、第2トランジスタ27、および抵抗R
bを取り除いた構成を有している。ただし、オペアンプ25の反転入力端子は、オペアンプ25の出力端子と接続されている。そして、オペアンプ25は、電圧V
+と同じ値の出力電圧を出力端子から出力し、この出力電圧が電圧V
tuneとなる。なお、本実施形態の遅延回路13は、第2実施形態の遅延回路13と同様に、
図8の電圧変換装置1に設けられており、切替器SWの動作がフリップフロップ17により制御される。
【0068】
本実施形態の遅延回路13は、このような電圧供給部13dにより電圧V
tuneを周期的に変化させる。一方、電流源13cのバイアス電流I
biasと、キャパシタC
dの静電容量は一定とする。その結果、遅延信号V
d2の遅延時間T
onは、電圧V
tuneに応じて変化する。電圧V
tuneは、周期的に変化する変調電圧の一例である。
【0069】
図14は、第4実施形態の電圧供給部13dの動作を説明するための波形図である。
【0070】
図14(a)、
図14(b)、
図14(c)はそれぞれ、変調信号V
mod、電圧V
+、遅延時間T
onの例を示している。三角波発生回路21は、
図14(a)の変調信号V
modに応じて三角波電圧を出力し、その結果、周波数F
modの電圧V
+がオペアンプ25の非反転入力端子に印加される(
図14(b))。よって、電圧V
tuneや遅延時間T
onは、
図14(b)と同様の波形を有することとなり、遅延時間T
onは、周波数F
modで周期的に変化することとなる(
図14(c))。
【0071】
以上のように、本実施形態の遅延回路13は、電圧V
tuneを周期的に変化させることで、遅延時間T
onを周期的に変化させる。これにより、出力信号V
out’と出力信号V
outの周波数Fを、変調信号V
modの周波数F
modに調整することが可能となる。本実施形態によれば、PLLよりもシンプルな電圧供給部13dにより、電圧変換装置1の動作周波数を固定化することが可能となる。また、本実施形態によれば、第2実施形態の電流源13cよりもシンプルな電圧供給部13dにより、電圧変換装置1の動作周波数を固定化することが可能となる。
【0072】
(第5実施形態)
図15は、第5実施形態の遅延回路13の構成を示す回路図である。
【0073】
本実施形態のキャパシタC
dは、キャパシタC
d0と、第1から第Nキャパシタの例としてのキャパシタC
d1〜C
dNと、第1から第N切替器の例としてのトランジスタ33
1〜33
Nとを備えている(Nは2以上の整数)。
【0074】
キャパシタC
d0〜C
dNは、一定の静電容量を有し、第1および第2トランジスタ13a、13bの間のノードと接地ノードとの間で互いに並列に接続されている。トランジスタ33
1〜33
Nはそれぞれ、キャパシタC
d1〜C
dNに直列に接続されている。トランジスタ33
1〜33
Nのゲートには、互いに異なる変調信号V
modが供給される。
【0075】
本実施形態の遅延回路13は、これらの変調信号V
modに基づいて、遅延回路13に作用する静電容量を周期的に変化させる。具体的には、キャパシタC
d1〜C
dNに接続されたトランジスタ33
1〜33
Nのオン/オフを切り替えることで、遅延回路13に作用する静電容量を周期的に変化させる。一方、電流源13cのバイアス電流I
biasと、電圧供給部13dの電圧V
tuneは一定とする。その結果、遅延信号V
d2の遅延時間T
onは、遅延回路13に作用する静電容量の変化に応じて変化する。
【0076】
なお、
図15は、一定の電圧V
tuneの例として、基準電圧V
refを示している。この基準電圧V
refは、
図1の基準電圧V
refと同じものでもよいし、
図1の基準電圧V
refと別のものでもよい。
【0077】
図16は、第5実施形態の遅延回路13の動作を説明するための波形図である。
【0078】
図16(a)、
図16(b)、
図16(c)はそれぞれ、トランジスタ33
1、33
2、33
Nに供給される変調信号V
modの例を示している。
図12(d)は、遅延回路13に作用する静電容量の値の例を示している。トランジスタ33
1〜33
Nに供給される変調信号V
modは、いずれも周波数F
modで周期的に変化するが、パルス幅が互いに異なる(
図16(a)〜
図16(c))。その結果、遅延回路13に作用する静電容量の値は、
図16(d)に示すように、周波数F
modで周期的に変化することとなる。
【0079】
以上のように、本実施形態の遅延回路13は、遅延回路13に作用する静電容量を周期的に変化させることで、遅延時間T
onを周期的に変化させる。これにより、出力信号V
out’と出力信号V
outの周波数Fを、変調信号V
modの周波数F
modに調整することが可能となる。本実施形態によれば、PLLよりもシンプルな遅延回路13により、電圧変換装置1の動作周波数を固定化することが可能となる。
【0080】
(第6実施形態)
図17は、第6実施形態の電圧変換装置1の構成を示す回路図である。
【0081】
図17は、
図1に示す構成要素に加え、リップル注入回路の一例としてのリップル注入フィルタ3を備えるDCDCコンバータを示している。リップル注入フィルタ3は、フィードバック電圧V
fbにリップルを注入して、フィードバック電圧V
fb’を出力する回路であり、フィードバック電圧V
fb’を比較器11に供給する。
【0082】
リップル注入フィルタ3は、抵抗R
Rと、キャパシタC
R1、C
R2、C
R3とを備えている。抵抗R
RとキャパシタC
R1は、電圧変換装置1とインダクタL
1との間の第1ノードと、抵抗R
1、R
2間のノードと比較器11との間の第2ノードとの間に直列に接続されている。キャパシタC
R2は、抵抗R
RとキャパシタC
R1との間の第3ノードと、インダクタL
1と抵抗R
1との間の第4ノードとの間に配置されている。キャパシタC
R3は、抵抗R
1、R
2間のノードと第2ノードとの間の第5ノードと、キャパシタC
R2と第4ノードとの間の第6ノードとの間に配置されている。
【0083】
本実施形態のDCDCコンバータは、このようなリップル注入フィルタ3により、フィードバック電圧V
fb’のピークをフィードバック電圧V
fbのピークより高くすることができる。よって、本実施形態によれば、電圧変換装置1におけるフィードバック電圧V
fb’の変化の検出精度を向上させることが可能となる。
【0084】
なお、本実施形態のリップル注入フィルタ3は、第1から第5実施形態のいずれに対しても適用可能である。
【0085】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。