(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
GalNAcホスホラミダイト
1つの局面において、本発明は、新規N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)ホスホラミダイトに関する。したがって、本発明は、一般式(I):
を有する化合物を提供し、式中、
NR'R''は二級アミノ基であり、ここでR'およびR''は独立にC
1〜C
6-アルキルから選択されるか、またはR'およびR''は一緒に5もしくは6員環を形成し、これは置換されていてもよく、かつNおよびOから選択される1つのさらなるヘテロ原子を含んでいてもよく;
AはC
1〜C
6-アルキル基または保護ヒドロキシ-もしくはチオ-基であり;かつ
Gは一般式(II):
で表され、式中、A
1は適切なヒドロキシル保護基であり、これは各出現時に同じであっても、または異なっていてもよく;かつ
Lは2〜30炭素原子の鎖長を有するリンカー基であり、ここで鎖中の炭素原子の1つまたは複数はそれぞれ独立に-NHCO-、-CONH-および/またはヘテロ原子、特にOで置き換えられていてもよい。いくつかの態様において、リンカー基Lは、C
2〜C
30-アルケニレン、-(CH
2)
2-、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-(CH
2)
5-、-(CH
2)
6-、-(CH
2)
7-、-(CH
2)
8-、-(CH
2)
9-、-(CH
2)
10-、-(CH
2)
11-、-(CH
2)
12-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
2OCH
2CH
2-からなる群より、より好ましくは-(CH
2)
2-、-(CH
2)
3-、および-(CH
2)
8-から選択される。
【0023】
GalNAc部分は、式IIにおいて波線で示すとおり、アルファまたはベータ配置のいずれかであり得る。好ましい態様において、GalNAc部分はベータ配置である。
【0024】
本明細書において用いられる「GalNAc部分」なる用語は、GalNAcを含む構造のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分である。例えば、式(II)において、GalNAc部分はLを構成しない分子の一部である。
【0025】
本明細書において用いられる「GalNAc結合部分」なる用語は、少なくとも1つのGalNAc部分を含み、薬物、特に核酸に結合されうる、分子を意味する。好ましくは、GalNAc結合部分は、アシアロ糖タンパク質受容体への親和性を有する。
【0026】
本明細書において用いられる「ホスホラミダイト」なる用語は、少なくとも1つの窒素原子に共有結合されている、酸化状態IIIの硫黄原子を含む任意の化合物を意味する。本発明の好ましいホスホラミダイトは、少なくとも1つの窒素原子および2つの酸素原子に共有結合されている、酸化状態IIIの硫黄原子を含む化合物である。または、本発明のホスホラミダイトは、少なくとも1つの窒素原子および1つの酸素原子に共有結合されており、第二の酸素の代わりに硫黄原子またはC
1〜C
6-アルキル基を有する、酸化状態IIIの硫黄原子を含む化合物である。
【0027】
一定の態様において、式(I)中の二級アミノ基-NR'R''のR'およびR''は独立に、C
1〜C
6-アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチルおよびn-ヘキシルから選択される。特定の態様において、R'はR''と同じであり、かつ-NR'R''は好ましくはジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、およびジブチルアミノからなる群より選択される。好ましい態様において、R'およびR''はそれぞれイソプロピルである。
【0028】
他の態様において、R'およびR''は一緒に5または6員環を形成し、これは置換されていてもよく、かつNおよびOから選択される1つのさらなるヘテロ原子を含んでいてもよい。いくつかの態様において、R'およびR''は無置換5員環を形成し、他の態様において、これらは無置換6員環を形成する。さらなる態様において、5員環または6員環は1つまたは複数の炭素原子において置換されている。例えば、環は1、2、3または4つの炭素原子、好ましくは1または2つの炭素原子において置換されていてもよい。好ましい置換基はメチルおよびエチルである。特に、環はピロリジノ、ピペリジノ、2,6-ジメチルピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリルおよび4-メチルイミダゾリルからなる群より選択される。
【0029】
式(I)中の部分Aは、いくつかの態様に従い、C
1〜C
6-アルキル、特にメチルおよびエチルからなる群より選択される。
【0030】
さらなる態様において、Aは保護ヒドロキシ基(-OH)または保護チオ基(-SH)である。例示的非限定的保護ヒドロキシ基はいずれかの基であり、例示的非限定的保護チオ基はチオエーテル基である。特に、Aで表される保護-OHまたは-SH基は、2-シアノエトキシ、2-シアノエチルチオ、メトキシ、エトキシ、S-イソブタノイル-2-(2-メルカプト-エトキシ)エトキシ、S-ピバロイル-2-(2-メルカプト-エトキシ)エトキシ、およびS-ピバロイル-2-メルカプトエトキシからなる群より選択される。好ましい態様において、Aは2-シアノエトキシ基である。
【0031】
リンカー基Lは、GalNAcホスホラミダイトの所望の適用に応じて選択される。いくつかの態様において、鎖中の炭素原子の1つまたは複数はそれぞれ独立に-NH-CO-、-CO-NH-および/またはヘテロ原子、特にOで置き換えられていてもよい。置き換えの数は、リンカーの全長が置き換え後に30原子を超えず、かつ-NH-CO、-CO-NHの場合は置き換えの少なくとも1つの隣接原子を炭素原子として維持し、ヘテロ原子置き換えの場合は少なくとも2つの隣接炭素原子を維持するように、適合させるべきである。いくつかの態様において、置き換えの数は5未満であり、置き換えの隣接原子は炭素原子である。いくつかの態様において、1つまたは2つ以下の置き換えを鎖中で行い、置き換えの隣接原子は炭素原子である。例えば、GalNAcとホスホラミダイトとの間のリンカーは、単純なジオールから誘導してもよい。原理的には、他の求核基を含まないことを条件に、任意の対称または非対称ジオールを本発明のGalNAcホスホラミダイトにおけるリンカーとして用いることができる。いくつかの態様において、-(OCH
2CH
2)-基の配列を形成するために、鎖中の炭素原子を酸素原子で置き換える。
【0032】
一定の態様において、LはC
2〜C
30-アルキレン、C
2〜C
30-アルケニレン、および-CH
2CH
2-(OCH
2CH
2)
0-8-OCH
2CH
2-からなる群より選択される。より具体的には、リンカー基LはC
2〜C
20-アルキレン、C
2〜C
20-アルケニレン、-CH
2CH
2-(OCH
2CH
2)
0-6-OCH
2CH
2-、CH
2CH
2-(OCH
2CH
2)
0-3-OCH
2CH
2-、CH
2CH
2-(OCH
2CH
2)
0-4-OCH
2CH
2-、およびCH
2CH
2-(OCH
2CH
2)
6-8-OCH
2CH
2から選択されてもよい。より具体的には、アルキレンはC
3〜C
19-アルキレンから選択されるが、C
6アルキレンまたはC
7〜C
19-アルキレンから選択されない。さらにより具体的には、リンカー基Lは-(CH
2)
2-、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-(CH
2)
5-、-(CH
2)
6-、-(CH
2)
7-、-(CH
2)
8-、-(CH
2)
9-、-(CH
2)
10-、-(CH
2)
11-、-(CH
2)
12-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
2OCH
2CH
2-からなる群より選択されてもよい。好ましい態様において、リンカーLは-(CH
2)
2-または-(CH
2)
3-である。他の好ましい態様において、リンカーLは-(CH
2)
8-または-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-である。別の好ましい態様において、リンカーLは-(CH
2)
5または-CH
2CH
2OCH
2CH
2-である。別の好ましい態様において、リンカーLは-CH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、または-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
2OCH
2CH
2-である。
【0033】
A
1について、多くの異なる保護基が利用可能である。当業者であれば、ホスホラミダイトの調製法、ならびにオリゴヌクレオチド合成法のカップリングおよび酸化段階において用いる反応条件に対して安定な保護基をいかに選ぶかを知っているであろう。式(II)の適切なヒドロキシル保護基A
1の例として、アシル基およびシリル基が挙げられよう。好ましくは、保護基A
1はアセチル、ベンゾイル、フェノキシ-アセチル、ジメトキシトリチル(DMT)、ピバロイル、イソブチリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリルおよびイソプロピルジメチルシリルからなる群より選択される。好ましい態様において、A
1はアセチルである。
【0034】
いくつかの態様において、保護基A
1としてアセチルを用いる。式(I)のGalNAcホスホラミダイトを核酸結合体の合成において用いる場合、例えば、LNA合成において通常用いる切断および脱保護段階で、アセチル基を核酸、例えば、LNAまたはDNAの保護基と共に除去してもよい。
【0035】
いくつかの態様において、GalNAcの炭素原子6における保護基A
1としてジメトキシトリチル(DMT)を用いる。この位置でDMTを用いる利点は、精製中の失敗配列(例えば、合成の失敗によりGalNAc部分が付加されない結果となる、非完全作成物)の容易な分離を可能にすることである。
【0036】
本発明の具体的態様において、化合物は一般式(I)を有し、式中、Aは-O-CH
2CH
2CNであり、R'およびR''はそれぞれイソプロピルであり、かつGは式(II)で表され、式中、A
1はアセチルであり、かつLは-(CH
2)
2-、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-(CH
2)
5-、-(CH
2)
6-、-(CH
2)
7-、-(CH
2)
8-、-(CH
2)
9-、-(CH
2)
10-、-(CH
2)
11-、-(CH
2)
12-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
2OCH
2CH
2-からなる群より選択される。一定の好ましい態様において、Aは-O-CH
2CH
2CNであり、R'およびR''はそれぞれイソプロピルであり、A
1はアセチルであり、かつLは-(CH
2)
2-である。他の好ましい態様において、Aは-O-CH
2CH
2CNであり、R'およびR''はそれぞれイソプロピルであり、A
1はアセチルであり、かつLは-(CH
2)
3-である。他の好ましい態様において、Aは-O-CH
2CH
2CNであり、R'およびR''はそれぞれイソプロピルであり、A
1はアセチルであり、かつLは-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-である。他の好ましい態様において、Aは-O-CH
2CH
2CNであり、R'およびR''はそれぞれイソプロピルであり、A
1はアセチルであり、かつLは-(CH
2)
8-である。任意で、上の好ましい態様において、糖の6位のA
1はDMTである。
【0037】
例示的GalNAcホスホラミダイトを
図5において式(A)〜(D)で表す。
【0038】
GalNAc-核酸結合体
さらなる局面において、本発明は、新規GalNAc-核酸結合体、特にGalNAcクラスター結合体に関する。GalNAc結合部分は連結した核酸の薬動力学的および薬力学的特性を改変することができる。
【0039】
したがって、本発明は、一般式(III):
を有する化合物を提供し、式中、
Zは核酸分子であり;
Tは一般式(IV):
で表され、式中、
R
2はHまたは-(CH
2)
q-R
1を表し、
R
1およびR
3は各出現時に一般式(V):
で表され、式中、各出現時に独立に、
Vは-O-、-NH-CO-および-CO-NH-から選択され;
Wは-(CH
2)
2-15-および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
0-4OCH
2CH
2-からなる群より選択され;
YはOまたはSであり;
mは1〜3の整数であり;
nは0〜5の整数であり;
pは0〜3の整数であり;かつ
qは1〜2の整数であり;
rは1〜5の整数であり;
sは0または1であり
Gは一般式(II)':
で表され、式中、A
1はHまたは適切なヒドロキシル保護基であり、これは各出現時に同じであっても、または異なっていてもよく;かつLは2〜23炭素原子の鎖長を有するリンカー基であり、ここで鎖中の炭素原子の1つまたは複数はそれぞれ独立に-NH-CO-、-CO-NH-および/またはヘテロ原子、特にOで置き換えられていてもよく;かつ
各出現時に独立に、
X
1は-OHであり、かつX
2は=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1は-O
-であり、かつX
2は=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1は=Oであり、かつX
2は-CH
3、-OR、-NHR、および-BH
3から選択され、ここでRは各出現時に独立にC
1〜C
6アルキル基であるか、または
X
1は=Sであり、かつX
2は-CH
3および-SHから選択され、
ここで式(IV)中のR
1、R
3、またはR
2がHでない場合のR
2におけるリンカーLの最初の原子で始まり、連結点で終わる連続鎖は、最短で8原子の長さおよび最長で30原子の長さを有する。
【0040】
または、本発明は、一般式(III):
を有する化合物を提供し、式中、
Zは核酸分子であり;
Tは一般式(VI):
で表され、式中、各出現時に独立に
Wは-(CH
2)
2-15-および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
0-4OCH
2CH
2-からなる群より選択され;
sは0または1であり
Gは一般式(II)':
で表され、式中、A
1はHまたは適切なヒドロキシル保護基であり、これは各出現時に同じであっても、または異なっていてもよく;かつLは2〜23炭素原子の鎖長を有するリンカー基であり、ここで鎖中の炭素原子の1つまたは複数はそれぞれ独立に-NH-CO-、-CO-NH-および/またはヘテロ原子、特にOで置き換えられていてもよく;かつ
各出現時に独立に
X
1は-OHであり、かつX
2は=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1は-O
-であり、かつX
2は=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1は=Oであり、かつX
2は-CH
3、-OR、-NHR、および-BH
3から選択され、ここでRは各出現時に独立にC
1〜C
6アルキル基であるか、または
X
1は=Sであり、かつX
2は-CH
3および-SHから選択され、
ここでリンカーLの最初の原子で始まり、核酸分子中の連結点で終わる連続鎖は、最短で8原子の長さおよび最長で30原子の長さを有する。
【0041】
式IIおよびII'においてリンカーLの最初の原子は、リンカーがGalNAc部分に連結している原子である。
【0042】
式(III)中の変数Zは、核酸分子を表す。本発明の文脈において言及される核酸分子を、以下により詳細に記載し、一般にはDNA、RNAであり得、またはヌクレオチドおよびヌクレオチド類縁体の両方を含む、もしくは完全にヌクレオチド類縁体からなるヌクレオチド配列を含んでいてもよい。GalNAc結合部分は、核酸の5'または3'末端のいずれかに構築することができる。好ましくは、GalNAc結合部分は核酸分子の5'末端に構築する。
【0043】
特に、核酸分子Zは1つまたは複数のロックド核酸ヌクレオシドを含んでいてもよい。
【0044】
特に、核酸分子は1つまたは複数のホスホロチオエートまたはボラノホスフェートヌクレオシド間連結を含んでいてもよい。好ましくは、DNAおよびRNAヌクレオシドはホスホロチオエートまたはボラノホスフェートで連結されている。いくつかの態様において、核酸分子中のすべてのヌクレオシドおよび/またはヌクレオシド類縁体はホスホロチオエートまたはボラノホスフェートで連結されている。好ましい態様において、POリンカーを核酸とGalNAc結合部分との間に配置する。または、他のリンカーを核酸とGalNAc結合部分との間に配置することもできる。
【0045】
一般式(III)中の変数Tは、一般式(IV)で表される。一般式(IV)はGalNAcクラスター核酸結合体の分枝領域を示す。R
2がHである場合、分枝分子は二重分枝分子であり、すなわち、合成中に、2つのGalNAcホスホラミダイトを分枝分子の反応性末端に付加する。R
2が-(CH
2)
q-R
1である場合、分枝分子は三重分枝分子であり、すなわち、合成中に、3つのGalNAcホスホラミダイトを分枝分子の反応性末端に付加する。
【0046】
または、一般式(III)中の変数Tは、一般式(VI)で表される。これは一価GalNAc-核酸結合体をもたらすことになり、式(VI)中のWまたはGは核酸またはリンカー(例えば、POリンカー)に結合されている。好ましい態様において、式(III)中のTが式(VI)で表される場合、sは0である。
【0047】
式(III)中の二級アミノ基-NR'R''のR'およびR''は、C
1〜C
6アルキルから選択されるか、またはR'およびR''は一緒に5もしくは6員環を形成し、これは置換されていてもよく、かつNおよびOから選択される1つのさらなるヘテロ原子を含んでいてもよく、ここで具体的なC
1〜C
6アルキル基および環は式(I)に関して上で定義したものから選択される。特定の態様において、R'はR''と同じであり、かつ-NR'R''はジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、およびジブチルアミノからなる群より選択される。好ましい態様において、R'およびR''はそれぞれイソプロピルである。
【0048】
他の態様において、R'およびR''は一緒に式(I)に関して上で示した5または6員環を形成する。特に、環はピロリジノ、ピペリジノ、2,6-ジメチルピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリルおよび4-メチルイミダゾリルからなる群より選択される。
【0049】
式(III)中の変数Tは一般式(IV)で表され、これは、R
1、R
3、および、R
2がHでない場合のR
2を介して式(V)に言及し、これは次いで、Gを介して式(II)'に言及する。式(IV)、(V)および(II)'において出現する変数は、以下のとおりさらに定義される。
【0050】
式(IV)中の変数mは1〜3の整数であり、すなわち、これは1、2または3、好ましくは2または3を表す。
【0051】
式(IV)中の変数nは0〜5の整数であり、すなわち、これは0、1、2、3、4または5を表す。好ましい態様において、nは0である。
【0052】
式(IV)中の変数pは0〜3の整数であり、すなわち、これは0、1、2または3、好ましくは0または1を表す。一定の好ましい態様において、pは1である。他の好ましい態様において、pは0である。
【0053】
式(IV)中の変数qは、各出現時に独立に、1〜2の整数であり、すなわち、これは1、または2を表す。好ましい態様において、qは各出現時に同じ整数である。特に好ましい態様において、qは各出現時に1である。
【0054】
本発明の特定の態様において、nは0であり、pは1であり、かつqは1であり;他の態様において、nは0であり、pは0であり、かつqは1であり;さらに他の態様において、nは1であり、mは1、2または3、好ましくは3であり、pは1であり、かつqは1である。
【0055】
本発明の目的のために、クラスターにおける2つまたは3つのGalNAc部分の位相的配置は、機能のために重要であると予想される。例えば、この配置は、本明細書に記載の新規化合物の1つの例示的適用である、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)に結合するその能力に影響をおよぼし得る。したがって、GalNAc-クラスターの骨格は一定の長さを超えないことが重要である。「骨格」なる用語は、連続する原子の鎖を意味する。例えば、エタンの骨格はC-C(2原子の連続鎖)であり、かつジエチルエーテルの骨格はC-C-O-C-C(5原子の連続鎖)である。一般式(III)の化合物に関して、式(IV)中のR
1におけるリンカーLの最初の原子で始まり、連結点で終わる、または式(IV)中のR
3におけるリンカーLの最初の原子で始まり、連結点で終わる、またはR
2がHでない場合の式(IV)中のR
2におけるリンカーLの最初の原子で始まり、連結点で終わる連続鎖は、最長で30原子の長さを有すると定義される。
【0056】
個々の連続鎖は長さが変動してもよいが、これらの連続鎖で30原子よりも長いものは1つもないことが理解される。例えば、連続鎖それぞれの長さは独立に8、9、10、12、14、16、18、20、25または30原子の長さであってもよい。一定の態様において、式(IV)中のR
1、R
3、およびR
2がHでない場合のR
2におけるリンカーLの最初の原子で始まり、連結点で終わる連続鎖は、それぞれ同じ長さを有する。他の態様において、式(IV)中のR
1、R
3、およびR
2がHでない場合のR
2におけるリンカーLの最初の原子で始まり、連結点で終わる連続鎖は、それぞれ異なる長さを有する。例えば、3つの連続鎖はそれぞれ、互いに独立に、16原子または22原子の長さを有してもよい。
【0057】
原子の数で長さを定義する代わりに、骨格の長さを長さの単位、例えば、オングストローム(1Å=10
-10メートル)で定義することもできる。一般式(III)の化合物に関して、式(IV)中のR
1におけるリンカーLの最初の原子で始まり、連結点で終わる、または式(IV)中のR
3におけるリンカーLの最初の原子で始まり、連結点で終わる、またはR
2がHでない場合の式(IV)中のR
2におけるリンカーLの最初の原子で始まり、連結点で終わる連続鎖は、10〜25Å、より好ましくは12〜22Å、および最も好ましくは14〜20Åの間であると定義される。1つの態様において、式(IV)中のR
1におけるリンカーLの最初の原子で始まり、連結点で終わる連続鎖は、14〜20Å、より好ましくは16〜18Åの間であり、式(IV)中のR
3におけるリンカーLの最初の原子で始まり、連結点で終わる連続鎖は、それぞれ10〜18Å、より好ましくは14〜16Åの間であり、かつ式(IV)中のR
1、R
3、およびR
2がHでない場合のR
2におけるリンカーLの最初の原子で始まり、連結点で終わる連続鎖は、同じ長さを有し、16〜25Å、より好ましくは18〜20Åの間である。
【0058】
「連結点」は、式(IV)の分枝それぞれにおける分枝点炭素原子に直接結合した-(CH
2)
q-における-CH
2-基の炭素原子である。
【0059】
一定の好ましい態様において、GalNAcホスホラミダイトが三重分枝分子に直接連結を介して連結している場合、リンカー基Lの骨格の長さは約8原子、すなわち、6、7、8、9または10原子である。
【0060】
一定の態様において、式(IV)中のR
1、R
3、またはR
2がHでない場合のR
2におけるリンカーLの最初の原子で始まり、連結点で終わる連続鎖の長さを、主に適切なリンカー基Lを選択することにより調節する。これらの態様において、式(V)中の変数sは0である。
【0061】
しかし、本発明の他の態様に従い、類似の作成物をGalNAcホスホラミダイトにおける短いリンカーを用い、それをスペーサーホスホラミダイトと組み合わせて、構築することができる。これは、異なるリンカーを有する別々のGalNAcホスホラミダイトを作製する必要なく、分枝分子(または分枝分子が存在しない場合は核酸)とGalNAc部分との間のリンカーの長さを変動させる簡便な方法である。これらの態様において、式(V)中の変数sは1である。
【0062】
一定の好ましい態様において、式(IV):
中のR
1、R
3、またはR
2がHでない場合のR
2におけるリンカーLの最初の原子で始まり、分枝点炭素原子で終わる連続鎖は、9〜23原子の長さを有する。さらなる好ましい態様において、式(IV)中のR
1、R
3、またはR
2がHでない場合のR
2におけるリンカーLの最初の原子で始まり、分枝点炭素原子で終わる連続鎖は、12〜18原子などの、9〜21原子、例えば、16原子の長さを有する。「分枝点炭素原子」は、-(CH
2)
q-R
1、-(CH
2)
q-R
3およびR
2が結合している炭素原子である(
図1参照)。
【0063】
式(V)または(VI)中のsが1である態様において、式(V)中の変数Wは-(CH
2)
2-15-、すなわり、-(CH
2)
2-、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-(CH
2)
5-、-(CH
2)
6-、-(CH
2)
7-、-(CH
2)
8-、-(CH
2)
9-、-(CH
2)
10-、-(CH
2)
11-、-(CH
2)
12-、-(CH
2)
13-、-(CH
2)
14-、-(CH
2)
15-、および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
0-4OCH
2CH
2-、すなわち-CH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
3OCH
2CH
2-、および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
4OCH
2CH
2-からなる群より選択される。好ましい態様において、Wは-(CH
2)
8-またはCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-である。別の好ましい態様において、Wは-(CH
2)
5-または-CH
2CH
2OCH
2CH
2-である。別の好ましい態様において、Wは-(CH
2)
2-または-CH
2CH
2CH
2である。
【0064】
式(V)中の変数rは、各出現時に独立に、1〜5の整数であり、すなわち、これは1、2、3、4または5を表す。好ましい態様において、rは各出現時に同じ整数である。特に好ましい態様において、rは各出現時に3である。他の好ましい態様において、rは各出現時に4である。
【0065】
式(V)中の変数Vは、各出現時に独立に、-O-、-NH-CO-および-CO-NH-から選択される。一定の好ましい態様において、Vは各出現時に-NH-CO-である。他の好ましい態様において、Vは各出現時に-O-である。
【0066】
式(V)中の変数Yは、各出現時に独立に、OおよびSから選択される。一定の好ましい態様において、Yは各出現時にOである。
【0067】
式(III)、(V)および(VI)中の変数X
1およびX
2は、各出現時に独立に、以下のいくつかの異なる組み合わせから選択される。
【0068】
いくつかの態様において、X
1は-OHであり、かつX
2は=Oであり;
他の態様において、X
1は-OHであり、かつX
2は=Sであり;
さらなる態様において、X
1はO
-であり、かつX
2は=Oであり;
さらなる態様において、X
1はO
-であり、かつX
2は=Sであり;
さらなる態様において、X
1は=Oであり、かつX
2は-CH
3であり;
さらなる態様において、X
1は=Oであり、かつX
2は-SHであり;
さらなる態様において、X
1は=Oであり、かつX
2は-ORであり、ここでRはC
1〜C
6アルキル基、好ましくはメチルまたはエチルであり;
さらなる態様において、X
1は=Oであり、かつX
2は-NHRであり、ここでRはC
1〜C
6アルキル基、好ましくはメチルまたはエチルであり;
さらなる態様において、X
1は=Oであり、かつX
2は-BH
3であり;
さらなる態様において、X
1は=Sであり、かつX
2は-CH
3であり;
さらなる態様において、X
1は=Sであり、かつX
2は-SHである。
【0069】
好ましい態様において、式(III)、(V)および(VI)中の変数X
1およびX
2は、各出現時に独立に、以下の組み合わせからなる群より選択される:
X
1は-OHであり、かつX
2は=Oである;
X
1はO
-であり、かつX
2は=Oである;
X
1は-OHであり、かつX
2は=Sである;
X
1はO
-であり、かつX
2は=Sである;および
X
1は=Sであり、かつX
2は-SHである。
【0070】
一定の好ましい態様において、Y、X
1およびX
2は、式(V)中の基-O-P(X
1X
2)-Y-が、各出現時に独立に、ホスホジエステル基(X
1=-OHまたは-O
-、X
2==O、Y=O)、メチルホスホネート基(X
1==O、X
2=-CH
3、Y=O)、ホスホロチオエート基(X
1=-OH、X
2==S、Y=O)、ホスホロジチオエート基(X
1==S、X
2=-SH、Y=O)、アルキルホスホトリエステル基(X
1==O、X
2=-OC
1〜C
6-アルキル、Y=O)、メチルホスホノチオエート基(X
1==S、X
2=-CH
3、Y=O)、アルキルホスホラミダイト基(X
1==O、X
2=-NHC
1〜C
6-アルキル、Y=O)、またはボラノホスフェート基(X
1==O、X
2=-BH
3、Y=O)を表すように選択される。
【0071】
さらなる好ましい態様において、Y、X
1およびX
2は、式(V)中の基-O-P(X
1X
2)-Y-が、各出現時に独立に、ホスホジエステル基、ホスホロチオエート基またはホスホロジチオエート基を表すように選択される。特に好ましい態様において、Y、X
1およびX
2は、式(V)中の基-O-P(X
1X
2)-Y-が、各出現時に独立に、ホスホジエステル基またはホスホロチオエート基を表すように選択される。
【0072】
いくつかの態様において、Y、X
1およびX
2は、それらが各出現時に同じ基、好ましくはホスホジエステル基またはホスホロチオエート基を表すように選択される。
【0073】
式(V)または(VI)中の変数Gは、式(II)'によって表される。式(II)'において、A
1は、ホスホラミダイトの調製法、ならびにクラスターおよびオリゴヌクレオチド合成法のカップリングおよび酸化段階において用いられる条件などの、それが曝露されることになる反応条件に対して安定であるように選択される保護基である。式(II)'の適切なヒドロキシル保護基A
1の例として、アシル基およびシリル基を挙げてもよい。好ましくは、保護基A
1はアセチル、ベンゾイル、フェノキシ-アセチル、ピバロイル、ジメトキシトリチル(DMT)、イソブチリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリルおよびイソプロピルジメチルシリルからなる群より選択される。
【0074】
好ましい態様において、A
1はアセチルである。いくつかの態様において、ジメトキシトリチル(DMT)を、糖の6位の保護基A
1として用いる。この位置でDMTを用いる利点は、精製中の失敗配列(例えば、合成の失敗によりGalNAc部分が付加されない結果となる、非完全作成物)の容易な分離を可能にすることである。
【0075】
式(II)'中のリンカー基Lは、GalNAc核酸結合体の所望の適用に応じて選択される。いくつかの態様において、鎖中の炭素原子の1つまたは複数はそれぞれ独立に-NH-CO-、-CO-NH-および/またはヘテロ原子、特にOで置き換えられていてもよい。置き換えの数は、リンカーの全長が置き換え後に30原子を超えず、かつ-NH-CO、-CO-NHの場合は置き換えの少なくとも1つの隣接原子を炭素原子として維持し、ヘテロ原子置き換えの場合は少なくとも2つの隣接炭素原子を維持するように、適合させるべきである。いくつかの態様において、置き換えの数は5未満であり、置き換えの隣接原子は炭素原子である。いくつかの態様において、1つまたは2つ以下の置き換えを鎖中で行い、置き換えの隣接原子は炭素原子である。例えば、GalNAc部分とホスホラミダイトとの間のリンカーは、単純なジオールから誘導してもよい。原理的には、他の求核基を含まないことを条件に、任意の対称または非対称ジオールを本発明のGalNAcホスホラミダイトにおけるリンカーとして用いることができる。いくつかの態様において、-(OCH
2CH
2)-基の配列を形成するために、鎖中の炭素原子を酸素原子で置き換える。
【0076】
一定の態様において、LはC
2〜C
20-アルキレン、C
2〜C
20-アルケニレン、ならびに-CH
2CH
2-(OCH
2CH
2)
0-6-OCH
2CH
2-、CH
2CH
2-(OCH
2CH
2)
0-3-OCH
2CH
2-、およびCH
2CH
2-(OCH
2CH
2)
0-4-OCH
2CH
2からなる群より選択される。より具体的には、アルキレンはC
3〜C
19-アルキレンから選択されるが、C
6アルキレンまたはC
7〜C
19-アルキレンから選択されない。より具体的には、リンカー基Lは-(CH
2)
2-、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-(CH
2)
5-、-(CH
2)
6-、-(CH
2)
7-、-(CH
2)
8-、-(CH
2)
9-、-(CH
2)
10-、-(CH
2)
11-、-(CH
2)
12-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
2OCH
2CH
2-からなる群より選択されてもよい。好ましい態様において、リンカーLは-(CH
2)
2-または-(CH
2)
3-である。他の好ましい態様において、リンカーLは-(CH
2)
8-または-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-である。別の好ましい態様において、リンカーLは-(CH
2)
5または-CH
2CH
2OCH
2CH
2-である。別の好ましい態様において、リンカーLは-CH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、または-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
2OCH
2CH
2-である。
【0077】
本発明の一定の態様において、二重または三重分枝分子は非対称であり、すなわち、式(IV)および(V)中の変数q、r、s、X
1およびX
2の少なくとも1つは、その第一の出現時(例えば、R
1において)に1つの具体的な意味を有し、第二および/またはさらなる出現時(例えば、R
3および/またはR
2において)に異なる具体的な意味を有する。いくつかの態様において、非対称性は特にR
1、R
3および任意でR
2によって定義される分枝の長さに関し、変数q、rおよびsの少なくとも1つは、その第一の出現時に、その第二および/または第三の出現時と比べて、異なる値を有することを意味する。
【0078】
好ましい態様において、二重または三重分枝分子は、少なくともR
1、R
3および任意でR
2によって定義される分枝の長さに関して対称であり、すなわち、変数q、rおよびsは各出現時に同じ値を有する。いくつかの態様において、さらに変数X
1 およびX
2ならびに/またはA
1は各出現時に同じ基を表す。
【0079】
式(III)のGalNAc-核酸結合体の一定の具体的態様において、nは0であり、pは0であり、R
2はHであり、qは1であり、Vは-NH-CO-であり、かつrは4である。他の具体的態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、かつrは3である。さらに他の具体的態様において、nは1であり、mは3であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、かつrは3である。
【0080】
さらにより具体的には、式(III)のGalNAc-核酸結合体のいくつかの好ましい態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、rは3であり、sは1であり、X
1は=Oであり、X
2は-SHであり、Wは-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-であり、YはOであり、Lは-CH
2CH
2CH
2-であり、かつA
1はアセチルである。
【0081】
式(III)のGalNAc-核酸結合体の他の好ましい態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、rは3であり、sは1であり、X
1は-O
-であり、X
2は=Sであり、Wは-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-であり、YはOであり、Lは-CH
2CH
2CH
2-であり、かつA
1はアセチルである。
【0082】
式(III)のGalNAc-核酸結合体の他の好ましい態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、rは3であり、sは1であり、X
1は-O
-であり、X
2は=Sであり、Wは-CH
2CH
2CH
2-であり、YはOであり、Lは-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-であり、かつA
1はアセチルである。
【0083】
式(III)のGalNAc-核酸結合体の他の好ましい態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、rは3であり、sは1であり、X
1は=Oであり、X
2は-SHであり、Wは-CH
2CH
2CH
2-であり、YはOであり、Lは-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-であり、かつA
1はアセチルである。
【0084】
式(III)のGalNAc-核酸結合体の他の好ましい態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、rは3であり、sは1であり、X
1は=Oであり、X
2は-SHであり、Wは-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-であり、YはOであり、Lは-CH
2CH
2-であり、かつA
1はアセチルである。
【0085】
式(III)のGalNAc-核酸結合体の他の好ましい態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、rは3であり、sは1であり、X
1は-O
-であり、X
2は=Sであり、Wは-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-であり、YはOであり、Lは-CH
2CH
2-であり、かつA
1はアセチルである。
【0086】
式(III)のGalNAc-核酸結合体の他の好ましい態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、rは3であり、sは1であり、X
1は-O
-または=Oであり、X
2は=Sまたは-SHであり、Wは-CH
2CH
2-であり、YはOであり、Lは-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-であり、かつA
1はアセチルである。
【0087】
他の好ましい態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、rは3であり、sは0であり、X
1は-O
-であり、X
2は=Sであり、YはOであり、Lは-(CH
2)
8-であり、かつA
1はアセチルである。
【0088】
他の好ましい態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、rは3であり、sは0であり、X
1は=Oであり、X
2はSHであり、YはOであり、Lは-(CH
2)
8-であり、かつA
1はアセチルである。
【0089】
他の好ましい態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、rは3であり、sは0であり、X
1は-O
-であり、X
2は=Sであり、YはOであり、LはCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-であり、かつA
1はアセチルである。
【0090】
他の好ましい態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、rは3であり、sは0であり、X
1は=Oであり、X
2は-SHであり、YはOであり、LはCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-であり、かつA
1はアセチルである。
【0091】
さらに他の好ましい態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、rは3であり、sは1であり、X
1は-O
-であり、X
2は=Sであり、Wは-CH
2CH
2CH
2-であり、YはOであり、Lは-CH
2CH
2-であり、かつA
1はアセチルである。
【0092】
さらに他の好ましい態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、rは3であり、sは1であり、X
1は=Oであり、X
2は-SHであり、Wは-CH
2CH
2CH
2-であり、YはOであり、Lは-CH
2CH
2-であり、かつA
1はアセチルである。
【0093】
さらに他の好ましい態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、rは3であり、sは1であり、X
1は-O
-であり、X
2は=Sであり、Wは-CH
2CH
2-であり、YはOであり、Lは-CH
2CH
2CH
2-であり、かつA
1はアセチルである。
【0094】
さらに他の好ましい態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、rは3であり、sは1であり、X
1は=Oであり、X
2は-SHであり、Wは-CH
2CH
2-であり、YはOであり、Lは-CH
2CH
2CH
2-であり、かつA
1はアセチルである。
【0095】
さらに他の好ましい態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、rは3であり、sは1であり、X
1は=Oであり、X
2は-SHであり、Wは-CH
2CH
2OCH
2CH
2-であり、YはOであり、Lは-CH
2CH
2CH
2-であり、かつA
1はアセチルである。
【0096】
さらに他の好ましい態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、rは3であり、sは1であり、X
1は-O
-であり、X
2は=Sであり、Wは-CH
2CH
2OCH
2CH
2-であり、YはOであり、Lは-CH
2CH
2CH
2-であり、かつA
1はアセチルである。
【0097】
さらに他の好ましい態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-(CH
2)
q-R
1であり、qは1であり、Vは-O-であり、rは3であり、sは1であり、X
1は-O
-または=Oであり、X
2は=Sまたは-SHであり、Wは-CH
2CH
2CH
2-であり、YはOであり、Lは-CH
2CH
2OCH
2CH
2-であり、かつA
1はアセチルである。
【0098】
さらに他の好ましい態様において、nは0であり、pは1であり、R
2は-Hであり、qは0であり、Vは-O-であり、rは3であり、sは1であり、X
1は-O
-または=Oであり、X
2は=Sまたは-SHであり、YはOであり、Lは-CH
2CH
2OCH
2CH
2-であり、かつA
1はアセチルである。
【0099】
上で示したすべての好ましい態様において、式(III)のX
1およびX
2は、式(V)および(VI)中のX
1およびX
2とは独立に選択してもよい。好ましくは、上の好ましい態様において、式(III)のX
1およびX
2は、X
1は-S
-または-O
-または=Oであり、かつX
2は=Oまたは=Sまたは-OHまたは-SHである。
【0100】
GalNAc-核酸結合体の例示的態様は、
図6において式(A)〜(N)で表される。
【0101】
式(A)〜(N)中のオリゴヌクレオチドなる用語は、核酸の広い文脈において理解されるべきである。
【0102】
本発明のGalNAcクラスター核酸結合体は、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)への結合のために特異的に設計してもよい。したがって、いくつかの態様に従い、本発明の一価、二価または、好ましくは三価GalNAc核酸結合体は、ASGPRに対して強力な親和性を有する。本発明に関連して、「強力な親和性」とは、50nM未満、好ましくは25nM以下、より好ましくは10nM以下、より好ましくは5nM以下のIC
50値によって特徴付けられる親和性を意味する。
【0103】
特に好ましい態様において、一価GalNAcクラスターを有するGalNAc-核酸結合体のASGPRに対するIC
50は、50nM、好ましくは25nM以下、より好ましくは15nM以下、より好ましくは10nM以下、より好ましくは5nM以下である。
【0104】
特に好ましい態様において、二価GalNAcクラスターを有するGalNAc-核酸結合体のASGPRに対するIC
50は、50nM、好ましくは25nM以下、より好ましくは15nM以下、より好ましくは10nM以下、より好ましくは5nM以下である。
【0105】
さらに特に好ましい態様において、三価GalNAcホスホラミダイトクラスターを有するGalNAc-核酸結合体のASGPRに対するIC
50は、25nM以下、より好ましくは15nM以下、より好ましくは10nM以下、より好ましくは5nM以下、より好ましくは1nM〜5nMの間、例えば約3nMである。IC
50は、ASGPRへの標識リガンド結合を50%阻害するGalNAc-核酸結合体の濃度である。IC
50はRensen et al 2001 Journal of Biological Chemistry Vol 276 pp 37577に記載の方法によって判定することができる。簡単に言うと、肝細胞(一次または培養)を1つの濃度(例えば5nM)のリガンドである
125I標識非シアリル化オロソムコイド(ASOR)と共に、調査するGalNAc-核酸結合体の漸増濃度存在下、4℃で2時間インキュベートする。一価GalNAc-核酸結合体については、濃度は漸増濃度で2〜200mMであり得;二価GalNAc-核酸結合体については、濃度は1〜1000nMであり得;かつ三価GalNAc-核酸結合体については、濃度は0.2〜200nMであり得る。標識ASORの結合を調査するGalNAc-核酸結合体存在下で追跡する。非特異的結合は100mM GalNAc存在下で判定することができる。置き換え結合データを、単一部位結合モデルを用いて分析することができ、IC
50を算出する。
【0106】
GalNAcホスホラミダイトの調製
さらなる局面において、本発明は、GalNAcホスホラミダイトの製造法に関する。したがって、本発明は、式(I)の化合物の調製法であって、以下の段階を含む方法を提供する:
(i)N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)の炭素原子1と2との間で内部オキサゾリン環を立体選択的に形成する段階;
(ii)段階(i)の生成物を、
一般式HO-L-O-A
3を有する化合物であって、式中、
A
3は適切な保護基であり、かつ
Lは2〜30炭素原子の鎖長を有するリンカー基であり、ここで鎖中の炭素原子の1つまたは複数はそれぞれ独立に-NH-CO-、-CO-NH-および/またはヘテロ原子、特にOで置き換えられていてもよく、ここでLは好ましくは、-(CH
2)
2-、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-(CH
2)
5-、-(CH
2)
6-、-(CH
2)
7-、-(CH
2)
8-、-(CH
2)
9-、-(CH
2)
10-、-(CH
2)
11-、-(CH
2)
12-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
2OCH
2CH
2-からなる群より選択される化合物
と反応させ、それによりGalNAc環の炭素原子1でエーテル結合を形成する段階;
(iii)段階(ii)の生成物の-O-A
3基を脱保護し、それにより脱保護-OH基を提供する段階;
(iv)段階(iii)の生成物をホスホルジアミダイト、またはクロロホスホラミダイトと反応させ、それにより式(I)の化合物を提供する段階。
【0107】
保護基A
3は、一般式HO-L-OHのジオールのヒドロキシ基の1つを保護するのに適していなければならない。そのような保護基は、有機合成の分野の技術者には公知である。例えば、アシル基およびシリル基を用いてもよい。一定の好ましい態様において、保護基A
3はアセチル、ベンゾイル、フェノキシ-アセチル、ピバロイル、イソブチリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリルおよびイソプロピルジメチルシリルからなる群より選択される。好ましい態様において、A
3はt-ブチルジフェニルシリル基である。
【0108】
HO-L-O-A
3におけるリンカー基Lは、GalNAcホスホラミダイトの所望の適用に応じて選択される。いくつかの態様において、鎖中の炭素原子の1つまたは複数はそれぞれ独立に-NH-CO-、-CO-NH-および/またはヘテロ原子、特にOで置き換えられていてもよい。置き換えの数は、リンカーの全長が置き換え後に30原子を超えず、かつ-NH-CO-、-CO-NH-の場合は置き換えの少なくとも1つの隣接原子を炭素原子として維持し、ヘテロ原子置き換えの場合は少なくとも2つの隣接炭素原子を維持するように、適合させるべきである。いくつかの態様において、置き換えの数は5未満であり、置き換えの隣接原子は炭素原子である。いくつかの態様において、1つまたは2つ以下の置き換えを鎖中で行い、置き換えの隣接原子は炭素原子である。
【0109】
一定の態様において、LはC
2〜C
30-アルキレン、C
2〜C
30-アルケニレン、および-CH
2CH
2-(OCH
2CH
2)
0-8-OCH
2CH
2-からなる群より選択される。より具体的には、リンカー基LはC
2〜C
20-アルキレン、C
2〜C
20-アルケニレン、および-CH
2CH
2-(OCH
2CH
2)
0-6-OCH
2CH
2-から選択されてもよい。さらにより具体的には、リンカー基Lは-(CH
2)
2-、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-(CH
2)
5-、-(CH
2)
6-、-(CH
2)
7-、-(CH
2)
8-、-(CH
2)
9-、-(CH
2)
10-、-(CH
2)
11-、-(CH
2)
12-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
2OCH
2CH
2-からなる群より選択されてもよい。好ましい態様において、リンカーLは-(CH
2)
2-または-(CH
2)
3-である。他の好ましい態様において、リンカーLは-(CH
2)
8-または-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-である。別の好ましい態様において、リンカーLは-CH
2CH
2OCH
2CH
2-である。別の好ましい態様において、リンカーLは-CH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、または-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
2OCH
2CH
2-である。
【0110】
有機合成の分野の技術者であれば、保護ヒドロキシ基を脱保護するためのいくつかの標準プロトコルを承知している。用いる保護基に応じて、脱保護は、例えば、緩酸もしくは緩塩基または触媒などを加えることにより、実施することができる。
【0111】
GalNAc核酸結合体の調製
さらなる局面において、本発明は、少なくとも1つのGalNAcホスホラミダイトを用いての核酸結合体の製造法に関する。
【0112】
したがって、本発明は、GalNAc-核酸結合体の調製法であって、以下の段階を含む方法を提供する:
(i)固体支持体上の核酸分子を提供する段階;
(ii)ホスホラミダイト化学を用いて分枝分子を核酸分子に任意で付加する段階;
(iii)ホスホラミダイト化学を用いてスペーサーホスホラミダイト分子を分枝分子の分枝のそれぞれに任意で付加する段階;
(iv)分枝分子が存在しない場合、式(I)の化合物を核酸分子の反応性末端と反応させ、または分枝分子が存在し、かつスペーサーが存在しない場合、式(I)の化合物を分枝のそれぞれの反応性末端と反応させ、またはスペーサーが存在する場合、式(I)の化合物をスペーサーのそれぞれの反応性末端と反応させる段階;および
(v)段階(iv)の生成物を固体支持体から切断する段階;
ここで式(I)の化合物におけるリンカーLの最初の原子で始まり、結合部分を核酸に連結しているリン原子で終わる連続鎖は、最短で10原子の長さおよび最長で34原子の長さを有する。
【0113】
特に、本発明は、核酸結合体の調製法であって、以下の段階を含む方法を提供する:
(i)固体支持体上の核酸分子を提供する段階;
(ii)ホスホラミダイト化学を用いて分枝分子を核酸分子に任意で付加する段階、ここで付加後の該分枝分子は、好ましくは一般式(IVa):
で表される構造をもたらし、式中、
A
4は適切な保護基であり;
V
1は-O-、-NH-CO-および-CO-NH-から選択され;
V
2は存在しないか、または-O-、-NH-CO-および-CO-NH-から選択され;
V
3は-O-、-NH-CO-および-CO-NH-から選択され;
X
1は-OHであり、かつX
2は=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1はO
-であり、かつX
2は=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1は=Oであり、かつX
2は-CH
3、-SH、-OR、-NHR、および-BH
3から選択され、ここでRは各出現時に独立にC
1〜C
6アルキル基であるか、または
X
1は=Sであり、かつX
2は-CH
3および-SHから選択され;
mは1〜3の整数であり;
nは0〜5の整数であり;
pは0〜3の整数であり;かつ各出現時に独立に
qは1〜2の整数であり;
q'は0〜2の整数であり;かつ
rは1〜5の整数であり;
ただしV
2が存在しない場合、q'は0であり、かつ式(IVa)中のV
2に連結された-(CH
2)
r-OA
4も存在しないことを条件とし;
(iii)ホスホラミダイト化学を用いてスペーサーホスホラミダイト分子を分枝分子の分枝のそれぞれに任意で付加する段階、ここで付加後の該スペーサー分子は、好ましくは一般式(Va):
で表される構造をもたらし、式中、各出現時に独立に、
A
5は適切な保護基であり;
Wは-(CH
2)
2-15-および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
0-4OCH
2CH
2-からなる群より選択され;
X
1は-OHであり、かつX
2は=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1はO
-であり、かつX
2は=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1は=Oであり、かつX
2は-CH
3、-SH、-OR、-NHR、および-BH
3から選択され、ここでRは各出現時に独立にC
1〜C
6アルキル基であるか、または
X
1は=Sであり、かつX
2は-CH
3および-SHから選択され;
(iv)分枝分子が存在しない場合、式(I)の化合物を核酸分子の反応性末端と反応させ、または分枝分子が存在し、かつスペーサーが存在しない場合、式(I)の化合物を分枝のそれぞれの反応性末端と反応させ、またはスペーサーが存在する場合、式(I)の化合物をスペーサーのそれぞれの反応性末端と反応させる段階;および
(v)段階(iv)の生成物を固体支持体から切断する段階;
ここで式(I)の化合物におけるリンカーLの最初の原子で始まり、式(IVa)中の連結点または核酸分子中の連結点で終わる連続鎖は、最短で8原子の長さおよび最長で30原子の長さを有する。
【0114】
特に、本発明は、核酸結合体の調製法であって、以下の段階を含む方法を提供する:
(i)固体支持体上の核酸分子を提供する段階;
(ii)ホスホラミダイト化学を用いて分枝分子を核酸分子に付加する段階、ここで付加後の該分枝分子は、好ましくは一般式(IVa):
で表される構造をもたらし、式中、
A
4は適切な保護基であり;
V
1は-O-、-NH-CO-および-CO-NH-から選択され;
V
2は存在しないか、または-O-、-NH-CO-および-CO-NH-から選択され;
V
3は-O-、-NH-CO-および-CO-NH-から選択され;
X
1は-OHであり、かつX
2は=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1はO
-であり、かつX
2は=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1は=Oであり、かつX
2は-CH
3、-SH、-OR、-NHR、および-BH
3から選択され、ここでRは各出現時に独立にC
1〜C
6アルキル基であるか、または
X
1は=Sであり、かつX
2は-CH
3および-SHから選択され;
mは1〜3の整数であり;
nは0〜5の整数であり;
pは0〜3の整数であり;かつ各出現時に独立に
qは1〜2の整数であり;
q'は0〜2の整数であり;かつ
rは1〜5の整数であり;
ただしV
2が存在しない場合、q'は0であり、かつ式(IVa)中のV
2に連結された-(CH
2)
r-OA
4も存在しないことを条件とし;
(iii)式(I)の化合物を分枝のそれぞれの反応性末端と反応させる段階;および
(v)段階(iv)の生成物を固体支持体から切断する段階;
ここで式(I)中のリンカーLの最初の原子で始まり、式(IVa)中の連結点で終わる連続鎖は、最短で8原子の長さおよび最長で30原子の長さを有する。
【0115】
好ましい態様において、式(I)中のリンカーLは-(CH
2)
6-、-(CH
2)
7-、-(CH
2)
8-、-(CH
2)
9-、-(CH
2)
10-、-(CH
2)
11-、-(CH
2)
12-、CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
2OCH
2CH
2からなる群より選択される。
【0116】
特に、GalNAc-分枝分子および式(I)の化合物から、すなわちスペーサーなしで生成される場合、qは1であり;q'は1であり;かつrは3であり、かつLは-(CH
2)
8-またはCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-または-(CH
2)
5またはCH
2CH
2OCH
2CH
2-である。
【0117】
特に、GalNAc-核酸結合体における結合部分が二重分枝分子および式(I)の化合物から、すなわちスペーサーなしで生成される場合、qは1であり;q'は1であり;かつrは3であり、かつLは-(CH
2)
5-またはCH
2CH
2OCH
2CH
2-である。
【0118】
特に、GalNAc-核酸結合体における結合部分が三重分枝分子および式(I)の化合物から、すなわちスペーサーなしで生成される場合、qは1であり;q'は1であり;かつrは3であり、かつLは-(CH
2)
8-またはCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-である。
【0119】
または、方法は、分枝分子、スペーサー、および式(I)の化合物を適用する。特に、本発明は、核酸結合体の調製法であって、以下の段階を含む方法を提供する:
(i)固体支持体上の核酸分子を提供する段階;
(ii)ホスホラミダイト化学を用いて分枝分子を核酸分子に付加する段階、ここで付加後の該分枝分子は、好ましくは一般式(IVa):
で表される構造をもたらし、式中、
A
4は適切な保護基であり;
V
1は-O-、-NH-CO-および-CO-NH-から選択され;
V
2は存在しないか、または-O-、-NH-CO-および-CO-NH-から選択され;
V
3は-O-、-NH-CO-および-CO-NH-から選択され;
X
1は-OHであり、かつX
2は=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1はO
-であり、かつX
2は=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1は=Oであり、かつX
2は-CH
3、-SH、-OR、-NHR、および-BH
3から選択され、ここでRは各出現時に独立にC
1〜C
6アルキル基であるか、または
X
1は=Sであり、かつX
2は-CH
3および-SHから選択され;
mは1〜3の整数であり;
nは0〜5の整数であり;
pは0〜3の整数であり;かつ各出現時に独立に
qは1〜2の整数であり;
q'は0〜2の整数であり;かつ
rは1〜5の整数であり;
ただしV
2が存在しない場合、q'は0であり、かつ式(IVa)中のV
2に連結された-(CH
2)
r-OA
4も存在しないことを条件とし;
(iii)ホスホラミダイト化学を用いてスペーサーホスホラミダイト分子を分枝分子の分枝のそれぞれに付加する段階、ここで付加後の該スペーサー分子は、好ましくは一般式(Va):
で表される構造をもたらし、式中、各出現時に独立に、
A
5は適切な保護基であり;
Wは-(CH
2)
2-15-および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
0-4OCH
2CH
2-からなる群より選択され;
X
1は-OHであり、かつX
2は=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1はO
-であり、かつX
2は=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1は=Oであり、かつX
2は-CH
3、-SH、-OR、-NHR、および-BH
3から選択され、ここでRは各出現時に独立にC
1〜C
6アルキル基であるか、または
X
1は=Sであり、かつX
2は-CH
3および-SHから選択され;
(iv)式(I)の化合物をスペーサーのそれぞれの反応性末端と反応させる段階;および
(v)段階(iv)の生成物を固体支持体から切断する段階;
ここで式(I)中のリンカーLの最初の原子で始まり、式(IVa)中の連結点で終わる連続鎖は、最短で8原子の長さおよび最長で30原子の長さを有する。
【0120】
特に、核酸結合体における結合部分が、qが1であり;q'が1であり;かつrが3である分枝分子、Wが-(CH
2)
2-5-または-CH
2CH
2OCH
2CH
2-または-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-から選択されるスペーサー、およびLが-(CH
2)
2-5-またはCH
2CH
2OCH
2CH
2-である式(I)の化合物から生成される場合。好ましい態様において、Wは-(CH
2)
3であり、かつLはCH
2CH
2OCH
2CH
2-である。別の好ましい態様において、Wは-(CH
2)
3または-(CH
2)
2であり、かつLは-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-である。別の好ましい態様において、WはCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2であり、かつLは-(CH
2)
3-または-(CH
2)
2である。別の好ましい態様において、Wは-(CH
2)
3-であり、かつLは-(CH
2)
2である。
【0121】
GalNAc核酸結合体の生成において用いる核酸分子を、以下により詳細に記載する。一般には、核酸分子はDNA、RNAであり得、またはヌクレオシドおよびヌクレオシド類縁体の両方を含む、もしくは完全にヌクレオシド類縁体からなるヌクレオチド配列を含んでいてもよい。GalNAc結合部分は、核酸分子の5'または3'末端のいずれかに構築することができる。好ましくは、GalNAc結合部分は核酸分子の5'末端に構築する。いくつかの態様において、POリンカーを核酸とGalNAc結合部分との間に配置する。
【0122】
特に、核酸分子は1つまたは複数のロックド核酸ヌクレオシドを含んでいてもよい。
【0123】
特に、核酸分子は1つまたは複数のホスホロチオエートまたはボラノホスフェートヌクレオシド間連結を含んでいてもよい。好ましくは、DNAおよびRNAヌクレオシドをホスホロチオエートまたはボラノホスフェートで連結する。より好ましくは、核酸分子中のすべてのヌクレオシドおよび/またはヌクレオシド類縁体をホスホロチオエートまたはボラノホスフェートで連結する。いくつかの態様において、GalNAc核酸結合体は、ホスホラミダイト化学を用いて、例えば、固体支持体上での逐次合成の一部として、本発明の式(I)のGalNAcホスホラミダイトを核酸分子、例えば、オリゴヌクレオチドの5'末端に直接結合することによって作製することができる。これらの態様において、いかなる分枝分子またはスペーサー分子も核酸分子に付加しない。
【0124】
「ホスホラミダイト化学」とは、少なくとも以下の段階を含む、一連の反応を意味する:
(a)保護ヒドロキシ基、例えば、ヌクレオシド、もしくはリンカー部分の5'-OH基を脱保護するか、または式(IVa)および(Va)中のA
4-OもしくはA
5-Oにおけるオキシ基を脱保護する段階;
(b)ホスホラミダイト含有化合物、例えば、本発明のGalNAcアミダイトまたは分枝分子もしくはスペーサー分子を、非保護ヒドロキシ基(それぞれの分子の「反応性末端」と呼んでもよい)に結合する段階、および
(c)中間体を酸化する段階。
【0125】
したがって、GalNAc-核酸結合体の調製法の段階(ii)、(iii)および(iv)を実施する場合、それぞれ核酸(段階(ii))、分枝分子(段階(iii);例えばA
4O-)、およびスペーサー分子(段階(iv);例えばA
5O-)の保護ヒドロキシ基を脱保護した後、それらをさらに反応させる、すなわち段階(ii)では分枝分子を付加する、段階(iii)ではスペーサー分子を付加する、または式(I)もしくは式(III)の化合物を付加する。
【0126】
適切な脱保護反応は有機合成の分野の技術者には公知である。
【0127】
GalNAc-核酸結合体の調製法のいくつかの態様において、ホスホラミダイト化学を用いて分枝分子を核酸分子に付加する。付加後、分枝分子は好ましくは一般式(IVa):
で表される。式(IVa)中、A
4は適切な保護基である。そのような保護基は有機合成の分野の技術者には公知である。例えば、遊離OH基とエーテルを形成する基を挙げてもよい。一定の好ましい態様において、保護基A
4はジメトキシトリチル(DMT)である。
【0128】
式(IVa)中の変数V
1およびV
3は独立に-O-、-NH-CO-および-CO-NH-から選択され;一定の態様において、それらはいずれも-O-であり;他の態様において、それらはいずれも-NH-CO-である。
【0129】
式(IVa)中の変数V
2は、存在しないか、または-O-、-NH-CO-および-CO-NH-から選択される。V
2が存在しない場合、q'は0であり、かつ式(IVa)中のV
2に連結した-(CH
2)
r-OA
4も存在しない。一定の態様において、V
2は-O-であり;他の態様において、V
2は-NH-CO-である。
【0130】
一定の具体的態様において、V
1、V
2およびV
3はすべて-O-である。
【0131】
式(IVa)中の変数X
1およびX
2は、以下のいくつかの異なる組み合わせから選択される。
【0132】
いくつかの態様において、X
1は-OHであり、かつX
2は=Oであり;
他の態様において、X
1は-OHであり、かつX
2は=Sであり;
さらなる態様において、X
1はO
-であり、かつX
2は=Oであり;
さらなる態様において、X
1はO
-であり、かつX
2は=Sであり;
さらなる態様において、X
1は=Oであり、かつX
2は-CH
3であり;
さらなる態様において、X
1は=Oであり、かつX
2は-SHであり;
さらなる態様において、X
1は=Oであり、かつX
2は-ORであり、ここでRはC
1〜C
6アルキル基、好ましくはメチルまたはエチルであり;
さらなる態様において、X
1は=Oであり、かつX
2は-NHRであり、ここでRはC
1〜C
6アルキル基、好ましくはメチルまたはエチルであり;
さらなる態様において、X
1は=Oであり、かつX
2は-BH
3であり;
さらなる態様において、X
1は=Sであり、かつX
2は-CH
3であり;
さらなる態様において、X
1は=Sであり、かつX
2は-SHである。
【0133】
好ましい態様において、式(IVa)中の変数X
1およびX
2は以下の組み合わせからなる群より選択される:
X
1は-OHであり、かつX
2は=Oである;
X
1はO
-であり、かつX
2は=Oである;
X
1は-OHであり、かつX
2は=Sである;
X
1はO
-であり、かつX
2は=Sである;および
X
1は=Sであり、かつX
2は-SHである。
【0134】
一定の好ましい態様において、X
1およびX
2は、式(IVa)中の基-O-P(X
1X
2)-が、それが連結しているヒドロキシ基と一緒にホスホジエステル基、ホスホロチオエート基またはホスホロジチオエート基を表すように選択される。
【0135】
変数q'は0〜2の整数であり、すなわち0、1または2を表す。一定の好ましい態様において、q'=qである。
【0136】
式(IVa)の変数m、n、p、qおよびrは、式(IV)に関して本明細書において上で開示したとおりに定義される。
【0137】
本発明のいくつかの好ましい具体的態様において、分枝分子は下記からなる群より選択される:
1,3-ビス-[5-(4,4'-ジメトキシトリチルオキシ)ペンチルアミド]プロピル-2-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]ホスホラミダイト(Glen Research Catalogue Number: 10-1920-xx);
トリス-2,2,2-[3-(4,4'-ジメトキシトリチルオキシ)プロピルオキシメチル]エチル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(Glen Research Catalogue Number: 10-1922-xx);および
トリス-2,2,2-[3-(4,4'-ジメトキシトリチルオキシ)プロピルオキシメチル]メチレンオキシプロピル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト。
【0138】
別の態様において、分枝分子は1-[5-(4,4'-ジメトキシ-トリチルオキシ)ペンチルアミド]-3-[5-フルオレノメトキシ-カルボニル-オキシ-ペンチルアミド]-プロピル-2-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(Glen Research Catalogue Number: 10-1925-xx)であってもよい。
【0139】
いくつかの態様において、ホスホラミダイト化学を用いてスペーサー分子を分枝分子の分枝のそれぞれに付加する。付加後、スペーサー分子は好ましくは一般式(Va):
で表される。式(Va)中、A
5は適切な保護基である。そのような保護基は有機合成の分野の技術者には公知である。
【0140】
保護基A
5は、各出現時に独立に選択してもよい。しかし、好ましい態様において、すべてのスペーサーに対して同じ保護基を用いる。
【0141】
例えば、遊離OH基とエーテルを形成する基を、適切な保護基A
5として挙げてもよい。一定の好ましい態様において、保護基A
5はジメトキシトリチル(DMT)である。
【0142】
式(Va)中の変数Wは、-(CH
2)
2-15-、すなわち-(CH
2)
2-、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-(CH
2)
5-、-(CH
2)
6-、-(CH
2)
7-、-(CH
2)
8-、-(CH
2)
9-、-(CH
2)
10-、-(CH
2)
11-、-(CH
2)
12-、-(CH
2)
13-、-(CH
2)
14-、-(CH
2)
15-、ならびに-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
0-4OCH
2CH
2-、すなわち-CH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
3OCH
2CH
2-、および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
4OCH
2CH
2-からなる群より選択される。好ましい態様において、Wは-(CH
2)
8-またはCH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-である。別の好ましい態様において、Wは-(CH
2)
5-または-CH
2CH
2OCH
2CH
2-である。別の好ましい態様において、Wは-(CH
2)
2-または-CH
2CH
2CH
2である。
【0143】
式(Va)中の変数X
1およびX
2は独立に、上の式(IVa)中のX
1およびX
2に関して定義した組み合わせから選択される。
【0144】
一定の好ましい態様において、X
1およびX
2は、式(Va)中の基-O-P(X
1X
2)-が、それが連結しているヒドロキシ基と一緒にホスホジエステル基、ホスホロチオエート基またはホスホロジチオエート基を表すように選択される。
【0145】
本発明のいくつかの態様において、スペーサーホスホラミダイト分子は一般式(VII):
で表される。式(VII)中の二級アミノ基-NR'R''のR'およびR''は、C
1〜C
6アルキルから選択されるか、またはR'およびR''は一緒に5もしくは6員環を形成し、これは置換されていてもよく、かつNおよびOから選択される1つのさらなるヘテロ原子を含んでいてもよく、ここで具体的なC
1〜C
6アルキル基および環は式(I)に関して上で定義したものから選択される。特定の態様において、R'はR''と同じであり、かつ-NR'R''はジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、およびジブチルアミノからなる群より選択され、好ましくはジイソプロピルアミノである。他の態様において、R'およびR''は一緒に式(I)に関して上で示した5または6員環を形成する。特に、環はピロリジノ、ピペリジノ、2,6-ジメチルピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリルおよび4-メチルイミダゾリルからなる群より選択される。
【0146】
適切な保護基として、式(VII)中のA
2は保護ヒドロキシ基(-OH)または保護チオ基(-SH)である。例示的非限定的保護ヒドロキシ基はエーテル基であり、例示的非限定的保護チオ基はチオエーテル基である。特に、A
2で表される保護-OHまたは-SH基は、2-シアノエトキシ、2-シアノエチルチオ、メトキシ、エトキシ、S-イソブタノイル-2-(2-メルカプト-エトキシ)エトキシ、S-ピバロイル-2-(2-メルカプト-エトキシ)エトキシ、およびS-ピバロイル-2-メルカプトエトキシからなる群より選択される。
【0147】
式(VII)中の保護基A
6は、各出現時に独立に選択してもよい:しかし、好ましい態様において、すべてのスペーサーに対して同じ保護基を用いる。例えば、遊離OH基とエーテルを形成する基を、適切な保護基A
6として挙げてもよい。一定の好ましい態様において、保護基A
6はジメトキシトリチル(DMT)である。
【0148】
一定の好ましい態様において、A
2は-CH
2CH
2CNであり、A
6は4',4'-ジメトキシトリチルであり、R
4は-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
4OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2-、および-(CH
2)
12-からなる群より選択され;かつNR'R''は二級アミノ基であり、ここでR'およびR''は独立にC
1〜C
6-アルキルから選択されるか、またはR'およびR''は一緒に5もしくは6員環を形成し、これは置換されていてもよく、かつNおよびOから選択される1つのさらなるヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0149】
好ましい具体的態様において、A
2は-CH
2CH
2CNであり、A
6は4',4'-ジメトキシトリチルであり、R
4は-CH
2CH
2CH
2-であり、かつR'およびR''はそれぞれイソプロピルである。さらなる好ましい具体的態様において、A
2は-CH
2CH
2CNであり、A
6は4',4'-ジメトキシトリチルであり、R
4は-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-であり、かつR'およびR''はそれぞれイソプロピルである。
【0150】
すでに前述したとおり、GalNAc-ホスホラミダイトの骨格の長さは一定の長さを超えない。したがって、本発明のGalNAc-核酸結合体の調製法において用いる化合物、分枝分子および/またはスペーサー分子を用いない場合、式(I)の化合物におけるリンカーLの最初の原子で始まり、結合部分を核酸に連結しているリン原子で終わる連続鎖は、最短で10原子の長さおよび最長で34原子の長さを有する。
【0151】
同様に、分枝分子および/またはスペーサー分子を付加する場合、式(IV)中のR1、R3、またはR2がHでない場合のR2におけるリンカーLの最初の原子で始まり、連結点で終わる連続鎖は、最短で8原子の長さおよび最長で30原子の長さを有する。
【0152】
個々の連続鎖はその長さが変動しうるが、これらの連続鎖のどれも34原子よりも長くない。例えば、連続鎖のそれぞれの長さは独立に、分枝分子および/またはスペーサー分子を用いない場合、式(I)の化合物におけるリンカーLの最初の原子で始まり、結合部分を核酸に連結しているリン原子で終わる長さが8、9、10、12、14、16、18、20、25、30、31、32、33または34原子であってもよい。分枝分子および/またはスペーサー分子がない、式(I)の化合物におけるリンカーLの最初の原子で始まる連続鎖の最長の長さは、好ましくは10、12原子または14原子である。好ましくは、長さは10〜34原子の間、より好ましくは10〜30原子の間、より好ましくは14〜26原子の間、さらにより好ましくは16〜20原子の間である。
【0153】
分枝分子および/またはスペーサー分子を用いる態様において、式(IV)中のR
1、R
3、およびR
2がHでない場合のR
2におけるリンカーLの最初の原子で始まり、連結点で終わる連続鎖のそれぞれは独立に8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、24、26、28、30原子の長さであってもよい。例えば、3つの連続鎖のそれぞれは14原子、16原子または18原子の長さを有してもよい。好ましくは、長さは8〜30原子の間、より好ましくは14〜22原子の間、さらにより好ましくは16〜20原子の間である。
【0154】
本明細書に記載のGalNAc-核酸結合体の調製法のいくつかの態様において、分枝結合部分を核酸分子に段階(ii)を介して付加する。これらの態様において、式(I)の化合物におけるリンカーLの最初の原子で始まり、式(IVa):
中の分枝点炭素原子で終わる連続鎖は、好ましくは9〜23原子の長さを有してもよい。
【0155】
本発明のいくつかの態様に従い、GalNAc-核酸結合体を、核酸の逐次合成によって合成し(ホスホラミダイト化学を用いて固体支持体上で)、続いて任意で分枝分子、および任意でスペーサー、およびGalNAcホスホラミダイトを付加し、支持体から切断してもよい(スキームの概要については
図1参照)。
【0156】
例示的GalNAc-核酸結合体の合成は
図2に示す。
【0157】
GalNAcホスホラミダイトおよびそれらから誘導される化合物の使用
さらなる局面において、本発明は、記載した新規GalNAcホスホラミダイトの様々な使用に関する。例えば、本発明は、GalNAc-核酸結合体の調製のための式(I)の化合物の使用を提供する。結合部分は一価またはクラスターでありうる。好ましくは、クラスターはGalNAc部分に関して二価または三価である。本発明のGalNAc-核酸結合体、すなわち分枝分子および/またはスペーサー分子を有する、または有していない、好ましくは分枝分子および/またはスペーサー分子を有する、式(III)の化合物を、本発明のGalNAcホスホラミダイトを用いて生成することができる。特に、前述のGalNAc-核酸結合体の製造法において、式(I)の化合物を用いてもよい。
【0158】
本発明の特定の態様において、結合したGalNAcクラスターを用いて、GalNAc結合部分に結合した薬物部分の薬物送達を促進することができる。例えば、GalNAc結合部分に結合した薬物は、非結合薬物部分に比べて、肝臓への取り込みが改善され得る。適切な薬物は、例えば、細胞または哺乳動物において標的遺伝子またはRNAを調節することができる核酸、例えば、一本鎖オリゴヌクレオチドまたはsiRNAであり得る。
【0159】
さらなる局面において、本発明は、本発明の化合物の医学的使用に関する。したがって、本発明は、薬剤を肝臓、特に肝細胞に送達する際に用いるための、式(I)の化合物の使用を提供する。さらに、本発明は、医学、特にヒト医学において用いるための、式(III)の化合物の使用を提供する。特に、本発明は、医薬としての式(III)の化合物の使用を提供する。
【0160】
特定の態様において、本発明のGalNAc-核酸結合体、例えば、三価(すなわち、3つの分枝を有する分枝分子を有する)GalNAcクラスターに結合した核酸は、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)に結合することができ、それにより本発明のGalNAc-核酸化合物の細胞取り込みを可能にする。
【0161】
特に、本発明のGalNAc核酸結合体、例えば、LNA含有オリゴヌクレオチド結合体は、肝臓で発現されるRNAをダウンレギュレートする際に用いるためのものである。特に、代謝疾患もしくは障害、または肝疾患もしくは障害の予防または処置における使用のため。特に、肝炎(HBVまたはHCVなどのウイルス肝炎を含む)、脂肪肝(代謝機能不全を含む)、粥状動脈硬化、高脂血症、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、例えば、アポリポ蛋白Bにおける機能変異の獲得、HDL/LDLコレステロール不均衡、脂質代謝異常、例えば、家族性高脂血症(FCHL)、後天性高脂血症、スタチン抵抗性高コレステロール血症、冠動脈疾患(CAD)、および冠動脈心疾患(CHD)、急性冠症候群(ACS)、肝線維症(または肝線維症に関連する疾患)、硬変症ならびに癌などの疾患の処置のため。
【0162】
さらに、本発明は、肝炎(HBVまたはHCVなどのウイルス肝炎を含む)、脂肪肝(代謝機能不全を含む)などの肝疾患、粥状動脈硬化、高脂血症、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、例えば、アポリポ蛋白Bにおける機能変異の獲得、HDL/LDLコレステロール不均衡、脂質代謝異常、例えば、家族性高脂血症(FCHL)、後天性高脂血症、スタチン抵抗性高コレステロール血症、冠動脈疾患(CAD)、および冠動脈心疾患(CHD)、硬変症ならびに癌の処置法を提供する。
【0163】
核酸分子
本発明の文脈における「核酸分子」なる用語は、複数のヌクレオシドの共有結合により生成される分子(すなわち、オリゴヌクレオチド)を意味する。本明細書において、1個のヌクレオシド(ユニット)を、モノマーまたはユニットと呼んでもよい。いくつかの態様において、「ヌクレオシド」、「ヌクレオチド」、「ユニット」および「モノマー」なる用語は交換可能に用いられる。ヌクレオチドまたはモノマーの配列に言及する場合、言及されるものはA、T、G、CもしくはUまたはその類縁体などの、塩基の配列であることが理解されよう。
【0164】
核酸分子はDNA、RNAでありえ、またはヌクレオチドおよびヌクレオチド類縁体の両方を含むヌクレオチド配列を含んでいてもよい。特に、細胞内でRNAを調節する核酸類縁体分子が望ましい。調節は、例えば、mRNAの分解、mRNA転写の遮断、スプライス部位の修復、スプライシングの防止またはマイクロRNAの遮断を促進することであり得る。
【0165】
核酸分子は、標的核酸の逆相補配列に対応する連続ヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなっていてもよい。いくつかの態様において、核酸分子は、標的核酸配列にハイブリダイズする場合に、1、2、3、または4つ(またはそれより多い)のミスマッチを許容し、標的になお十分に結合して所望の効果、すなわち標的のダウンレギュレーションを示してもよい。ミスマッチは、例えば、オリゴマーヌクレオチド配列の長さの延長および/またはヌクレオチド配列内に存在する、LNAなどのヌクレオチド類縁体の数の増大によって代償され得る。
【0166】
いくつかの態様において、連続ヌクレオチド配列は、哺乳動物の標的タンパク質をコードする核酸の対応する領域などの、標的配列にハイブリダイズする場合に、2つ以下などの、3つ以下のミスマッチを含む。
【0167】
いくつかの態様において、連続ヌクレオチド配列は、哺乳動物の標的タンパク質をコードする核酸の対応する領域などの、標的配列にハイブリダイズする場合に、1つだけのミスマッチを含む。
【0168】
核酸分子のヌクレオチド配列は、標的核酸中に存在する対応する配列の逆相補配列と、好ましくは少なくとも80%同一、例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、少なくとも99%同一、例えば、100%同一である。
【0169】
「相補的」なる用語は、一方の配列が他方の配列に逆平行センスで結合しうる場合、2つの配列は相補的であることを意味し、ここで各配列の3'末端は他の配列の5'末端に結合し、1つの配列の各A、T(U)、G、およびCはそれぞれ他の配列のT(U)、A、C、およびGと対応する。通常、核酸分子の相補的配列は、標的核酸分子中に存在する部分配列と、少なくとも80%の相補性、例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%の相補性、少なくとも97%の相補性、少なくとも98%の相補性、少なくとも99%の相補性、例えば、100%の相補性(完全に相補的)を有する。
【0170】
核酸分子と標的核酸配列との間の相補性の程度を判定する上で、相補性の程度は、核酸分子の配列と、それと最もよく対応する標的領域の配列との間の相補性パーセンテージで表される。パーセンテージは、2つの配列間で対を形成する配置された塩基の数を計数し、核酸分子(アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNA)中のモノマーの総数で除し、100をかけることにより算出する。そのような比較において、対応しない核酸塩基/ヌクレオチドをミスマッチと呼ぶ。
【0171】
mRNA調節は、RNAi-誘導サイレンシング複合体(RISC)に関与する細胞のRNA干渉経路機構との相互作用を通じて促進されうる。RNAiポリヌクレオチドは、siRNA、マイクロRNA、二本鎖RNA(dsRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、およびRNA干渉を誘導することができるRNAをコードする発現カセットを含む群より選択されうる。
【0172】
siRNAは、典型的には15〜50塩基対、好ましくは21〜25塩基対を含み、かつ細胞内で発現される標的遺伝子またはRNA中のコード配列と同一(完全に相補的)またはほぼ同一(部分的に相補的)のヌクレオチド配列を有する、二本鎖構造を含む。siRNAは、アニールされた2つのポリヌクレオチド、またはヘアピン構造を形成する単一のポリヌクレオチドからなっていてもよい。本発明のsiRNA分子は、センス領域およびアンチセンス領域を含む。1つの態様において、結合体のsiRNAは2つのオリゴヌクレオチド断片から構築され、ここで1つの断片はsiRNA分子のアンチセンス鎖のヌクレオチド配列を含み、第二の断片はsiRNA分子のセンス領域のヌクレオチド配列を含む。別の態様において、センス鎖をアンチセンス鎖に、ポリヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカーなどのリンカー分子を介して連結する。好ましくは、本発明の結合体を、siRNAのセンス鎖に結合する。siRNAと結合体との間に切断可能なリンカーが存在する場合、結合体をセンスまたはアンチセンス鎖のいずれかに連結することができる。
【0173】
マイクロRNA(miRNA)は、それらのmRNA標的の破壊または翻訳抑制を指示する、約22ヌクレオチド長の小さい非コードRNA遺伝子産物である。miRNAと標的mRNAとの間の相補性が部分的である場合、標的mRNAの翻訳が抑制される。相補性が大きい場合、標的mRNAは切断される。miRNAのために、複合体は、典型的にはmiRNAと部分的相同性しか持たないmRNAの3'UTRに通常位置する標的部位に結合する。「シード領域」−その標的と完全な塩基対を形成する、miRNAの5'末端にある約7個の連続ヌクレオチド配列−は、miRNA特異性において重要な役割を果たす。miRNAのシード領域をオリゴマーで遮断するか、またはRISC/miRNA複合体のmRNAへの結合を促進すると、タンパク質翻訳の抑制またはmRNAの切断および分解のいずれかが起こり得る。
【0174】
RNAiポリヌクレオチド発現カセットは、細胞内で転写されて、siRNAとして機能し得る低分子ヘアピン型RNA、センスおよびアンチセンス鎖が別々の直鎖siRNA、またはmiRNAを生成しうる。RNAポリメラーゼIII転写DNAは、U6プロモーター、HIプロモーター、およびtRNAプロモーターを含むリストから選択されるプロモーターを含む。RNAポリメラーゼIIプロモーターには、UI、U2、U4、およびU5プロモーター、snRNAプロモーター、マイクロRNAプロモーター、およびmRNAプロモーターが含まれる。
【0175】
または、RNA調節は、標的mRNAまたはmiRNAに相補的な一本鎖オリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチド)によって促進されうる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、翻訳の立体障害、または他の方法などによる、標的mRNAのRNアーゼが仲介しない分解を介して機能し得るが、本発明の好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNアーゼHなどのエンドリボヌクレアーゼ(RNアーゼ)を動員することが可能である。
【0176】
EP 1 222 309は、RNアーゼH活性を判定するためのインビトロでの方法を提供しており、これを用いてRNアーゼHを動員する能力を判定してもよい。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、相補的RNA標的と共に提供された場合に、EP 1 222 309の実施例91〜95によって提供される方法を用いてpmol/l/分で測定し、同じ塩基配列を有するが、DNAモノマーのみを含み、2'置換はなく、オリゴヌクレオチド中のすべてのモノマーの間にホスホロチオエート連結基を有する、DNAのみのオリゴヌクレオチドを用いて判定した初期速度の少なくとも1%、例えば少なくとも5%、例えば少なくとも10%または20%を超える初期速度を有するならば、RNアーゼHを動員することができると見なされる。
【0177】
いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、相補的RNA標的、およびRNアーゼHと共に提供された場合に、RNアーゼHの初期速度が、EP 1 222 309の実施例91〜95によって提供される方法を用いてpmol/l/分で測定し、2'置換はなく、オリゴヌクレオチド中のすべてのヌクレオチドの間にホスホロチオエート連結基を有する、等価のDNAのみのオリゴヌクレオチドを用いて判定した初期速度の1%未満、例えば5%未満、例えば10%未満または20%未満であれば、RNアーゼHを動員することが基本的にできないと見なされる。
【0178】
他の態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、相補的RNA標的、およびRNアーゼHと共に提供された場合に、RNアーゼHの初期速度が、EP 1 222 309の実施例91〜95によって提供される方法を用いてpmol/l/分で測定し、2'置換はなく、オリゴヌクレオチド中のすべてのヌクレオチドの間にホスホロチオエート連結基を有する、等価のDNAのみのオリゴヌクレオチドを用いて判定した初期速度の少なくとも20%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも80%であれば、RNアーゼHを動員することができると見なされる。
【0179】
典型的には、相補的標的RNAと共に二重鎖に形成されるとRNアーゼを動員することができる、連続的ヌクレオチドユニットを形成するオリゴマーの領域は、RNA標的と共にDNA/RNA様二重鎖を形成し、かつDNAユニットおよびアルファ-L配置の、特にアルファ-L-オキシLNAが好ましいLNAユニットの両方を含む、ヌクレオチドユニットからなる。
【0180】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、一本鎖分子であり、好ましくは、そのアンチセンスオリゴヌクレオチド内の相当する領域に相補的な、例えば、少なくとも3、4または5個の連続ヌクレオチドの短い領域(すなわち、二重鎖)を含まず−これに関して、アンチセンスオリゴヌクレオチドは(基本的には)二本鎖ではない。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは基本的には二本鎖ではなく、例えば、siRNAではない。様々な態様において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、完全に連続ヌクレオチド領域からなっていてもよい。したがって、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、実質的に自己相補的ではない。様々な態様において、本発明の化合物はRNA(ユニット)を含まない。本発明の化合物は直鎖分子であるか、または直鎖分子として合成されることが好ましい。
【0181】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、10〜50ヌクレオチド、例えば10〜30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列からなるか、またはそれを含む。
【0182】
いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、合計10〜22、例えば10〜16、例えば10〜14、例えば11〜20、例えば12〜18、例えば12〜16、例えば13〜17、または例えば10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30の連続ヌクレオチドの長さの連続ヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなる。
【0183】
RNアーゼHを動員するために、アンチセンスオリゴヌクレオチド、または連続ヌクレオチド配列は、ギャップマー、ヘッドマーまたはミックスマーの形であってもよい。
【0184】
「ヘッドマー」は、領域Xおよびそれに連続する領域Yを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドと定義され、領域Yの最も5'端のモノマーが領域Xの最も3'端のモノマーに連結されている。領域XはRNアーゼを動員しないヌクレオシド類縁体の連続配列を含み、領域YはRNアーゼによって認識可能かつ切断可能なDNAモノマーまたはヌクレオシド類縁体モノマーの連続配列(少なくとも7個の連続するモノマーなど)を含む。
【0185】
「テールマー」は、領域Xおよびそれに連続する領域Yを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドと定義され、領域Yの最も5'端のモノマーが領域Xの最も3'端のモノマーに連結されている。領域XはRNアーゼによって認識可能かつ切断可能なDNAモノマーまたはヌクレオシド類縁体モノマーの連続配列(少なくとも7個の連続するモノマーなど)を含み、領域XはRNアーゼを動員しないヌクレオシド類縁体の連続配列を含む。
【0186】
「ミックスマー」は、(i)RNアーゼによって認識可能かつ切断可能なDNAモノマーまたはヌクレオシド類縁体モノマー、および(ii)RNアーゼを動員しないヌクレオシド類縁体モノマーの交互の組成物からなる。ミックスマーの例はWO2005/023995において見出すことができ、これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0187】
好ましくは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドはギャップマーである。ギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本明細書において領域Bと呼ばれる、例えば少なくとも6または7個のDNAヌクレオチドの領域である、RNアーゼHなどのRNアーゼを動員することができるヌクレオチドの連続配列を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。ここで領域Bは5'および3'の両方で、例えば1〜6個のヌクレオチド類縁体である親和性増強ヌクレオチド類縁体の領域と、RNアーゼを動員することができるヌクレオチドの前記連続配列の5'および3'で隣接しており−これらの領域はそれぞれ領域AおよびA'と呼ばれる。AおよびA'領域は、ギャップマーのウィングと呼ぶこともできる。
【0188】
好ましくは、ギャップマーは、(5'から3'へ)式A-B-A'、または任意でA-B-A'-POもしくはPO-A-B-A'である(ポリ)ヌクレオチド配列を含み、ここで:領域A(5'領域ウィング)は少なくとも1個のヌクレオシド類縁体、例えば少なくとも1個のLNAユニット、例えば1〜6個のヌクレオシド類縁体、例えばLNAユニットからなるか、またはそれらを含み、かつ;領域Bは(mRNA標的などの、相補的RNA分子との二重鎖に形成されると)RNアーゼを動員することができる少なくとも5個の連続的ヌクレオチド、例えばDNAヌクレオシドからなるか、またはそれらを含み、かつ;領域A'(3'領域ウィング)は少なくとも1個のヌクレオシド類縁体、例えば少なくとも1個のLNAユニット、例えば1〜6個のヌクレオシド類縁体、例えばLNAユニットからなるか、またはそれらを含み、かつ;領域POは、存在する場合、1〜10個のヌクレオシドユニット、好ましくは1〜4個のヌクレオシドユニット、例えばDNAヌクレオチドからなるか、またはそれらを含む。
【0189】
いくつかの態様において、領域AおよびA'は互いに独立に1、2、3、4、5または6個のヌクレオシド類縁体、例えばLNAユニット、例えば2〜5個のヌクレオシド類縁体、例えば2〜5個のLNAユニット、例えば2〜4個のヌクレオシド類縁体、例えば2〜4個のLNA、例えば3または4個のヌクレオチド類縁体、例えば3または4個のLNAユニットからなる。
【0190】
いくつかの態様において、Bは、RNアーゼを動員することができる5、6、7、8、9、10、11もしくは12個の連続的ヌクレオチド、または5〜12、または6〜10、または7〜9、例えばRNアーゼを動員することができる8個の連続的ヌクレオチドからなるか、またはそれらを含む。いくつかの態様において、領域Bは、少なくとも1個のDNAヌクレオシドユニット、例えば1〜12個のDNAユニット、好ましくは4〜12個のDNAユニット、より好ましくは6〜10個のDNAユニット、例えば7〜10個のDNAユニット、最も好ましくは8、9または10個のDNAユニットからなるか、またはそれらを含む。いくつかの態様において、RNアーゼを動員することができるモノマーは、DNAモノマー、アルファ-L-LNAモノマー、C4'アルキル化DNAモノマー(PCT/EP2009/050349およびVester et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 18 (2008) 2296 - 2300を参照されたく、参照により本明細書に組み入れられる)、およびUNA(非連結核酸)ヌクレオチド(Fluiter et al., Mol. Biosyst., 2009, 10, 1039を参照されたく、参照により本明細書に組み入れられる)からなる群より選択される。いくつかの態様において、ギャップマーの領域Bにおけるヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートおよびボラノホスフェートからなる群より選択される1つまたは複数のヌクレオシド連結を含む。好ましくは、領域Bのすべてのヌクレオシド間連結はホスホロチオエートである。
【0191】
いくつかの態様において、ギャップマーは以下のA-B-A'モティーフ2-7-1、1-7-2、2-7-2、3-7-3、2-7-3、3-7-2、3-7-4、4-7-3または1-8-1、1-8-2、2-8-1、2-8-2、3-8-3、2-8-3、3-8-2、3-8-3、3-8-4、4-8-3、4-8-1、4-8-2、1-8-4、2-8-4、または1-9-1、1-9-2、2-9-1、2-9-2、2-9-3、3-9-2、1-9-3、3-9-1、4-9-1、1-9-4、3-9-3、3-9-4、4-9-3、または1-10-1、1-10-2、2-10-1、2-10-2、1-10-3、3-10-1、3-10-3、3-10-4、4-10-3の1つで設計される。さらなるギャップマー設計はWO2004/046160およびWO2005/023825において開示されており、これらは参照により本明細書に組み入れられる。WO2007/146511およびWO2008/113832は、参照により本明細書に組み入れられ、「ショートマー」ギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドに言及している。いくつかの態様において、本明細書において提示するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、そのようなショートマーギャップマーであってもよい。
【0192】
いくつかの態様において、領域POは、ホスホジエステル連結を介してアンチセンスオリゴヌクレオチドの5'または3'末端に連結された少なくとも1個のDNAまたはRNAヌクレオシドを含む、生物切断性(biocleavable)リンカーである。いくつかの局面において、第一の領域と第二の領域との間のヌクレオシド間連結は、領域POの一部と考えられる。いくつかの態様において、領域POにおけるすべてのヌクレオシド間連結はホスホジエステル連結である。
【0193】
いくつかの態様において、領域POにおける塩基の配列は、標的組織もしくは細胞または細胞内区画に存在する主なエンドヌクレアーゼ切断酵素に基づき、最適なエンドヌクレアーゼ切断部位を提供するように選択される。
【0194】
いくつかの態様において、領域POは、配列AA、AT、AC、AG、TA、TT、TC、TG、CA、CT、CC、CG、GA、GT、GC、またはGGのジヌクレオチドを含み、ここでCは5-メチルシトシン(
mCとも呼ぶ)であってもよく、かつ/またはTはUで置き換えられてもよい。いくつかの態様において、領域Bは、配列AAA、AAT、AAC、AAG、ATA、ATT、ATC、ATG、ACA、ACT、ACC、ACG、AGA、AGT、AGC、AGG、TAA、TAT、TAC、TAG、TTA、TTT、TTC、TAG、TCA、TCT、TCC、TCG、TGA、TGT、TGC、TGG、CAA、CAT、CAC、CAG、CTA、CTG、CTC、CTT、CCA、CCT、CCC、CCG、CGA、CGT、CGC、CGG、GAA、GAT、GAC、CAG、GTA、GTT、GTC、GTG、GCA、GCT、GCC、GCG、GGA、GGT、GGC、およびGGGのトリヌクレオチドを含み、ここでCは5-メチルシトシンであってもよく、かつ/またはTはUで置き換えられてもよい。いくつかの態様において、領域L'は、配列AAAX、AATX、AACX、AAGX、ATAX、ATTX、ATCX、ATGX、ACAX、ACTX、ACCX、ACGX、AGAX、AGTX、AGCX、AGGX、TAAX、TATX、TACX、TAGX、TTAX、TTTX、TTCX、TAGX、TCAX、TCTX、TCCX、TCGX、TGAX、TGTX、TGCX、TGGX、CAAX、CATX、CACX、CAGX、CTAX、CTGX、CTCX、CTTX、CCAX、CCTX、CCCX、CCGX、CGAX、CGTX、CGCX、CGGX、GAAX、GATX、GACX、CAGX、GTAX、GTTX、GTCX、GTGX、GCAX、GCTX、GCCX、GCGX、GGAX、GGTX、GGCX、およびGGGXのトリヌクレオチドを含み、ここでXはA、T、U、G、Cからなる群より選択され、ここでCは5-メチルシトシンであってもよく、かつ/またはTはUで置き換えられてもよい。(天然)核酸塩基A、T、U、G、Cに言及する場合、これらは等価の天然核酸塩基として機能する核酸塩基類縁体(例えば、相補的ヌクレオシド投与の塩基対)で置換されていてもよいことが理解されるであろう。
【0195】
本発明の結合体に組み込むことができる例示的核酸分子は、5'-G
mCattggtatT
mCA-3'(大文字=LNAモノマー;小文字=DNAモノマー)である。
【0196】
標的
本発明の文脈における「標的」なる用語は、細胞内に自然に存在する細胞または分子構造を意味し、ここで標的は薬学的活性分子が作用する関心対象の病態に関与する。好ましい態様において、標的は、調節後に関心対象の病態を変化させる、核酸配列(標的核酸)である。
【0197】
本明細書において用いられる「標的核酸」なる用語は、ヒト標的ポリペプチドなどの哺乳動物標的ポリペプチドをコードするDNAもしくはRNA、またはウイルス感染メカニズム、RNAサイレンシングもしくは遺伝子発現の転写後調節などの細胞内のメカニズムに対して調節効果を発揮する非コードDNAもしくはRNA分子を意味する。非コードRNA分子は、例えば、マイクロRNAであり得る。好ましい態様において、標的核酸は、インビトロまたはインビボでの哺乳動物細胞、特にヒト細胞などの、細胞内に存在する遺伝子、メッセンジャーRNA(mRNA)またはマイクロRNA(miRNA)である。好ましい態様において、細胞は、肝臓細胞および精巣細胞、特に肝細胞およびライディッヒ細胞などの、表面上にアシアロ糖タンパク質受容体(ASPGR)を含む細胞である。さらなる好ましい態様において、標的核酸は、プレmRNAなどのmRNAであるが、好ましくは成熟mRNAである。好ましくは標的mRNAまたはプレmRNAは肝臓細胞内で発現される。いくつかの態様において、例えば、研究または診断において用いる場合、「標的核酸」は、前述のDNAまたはRNA核酸標的から誘導されるcDNAまたは合成オリゴヌクレオチドであってもよい。核酸分子(例えば、siRNAまたはアンチセンスオリゴヌクレオチド)は、好ましくは、標的核酸にハイブリダイズすることができる。
【0198】
適切には、薬学的活性分子、好ましくは核酸分子は、標的核酸の発現のダウンレギュレーション(例えば、低減または除去)を調節することができる。これに関して、本発明の薬学的活性分子は、典型的にはヒトなどの哺乳動物細胞内の標的の阻害に影響をおよぼし得る。いくつかの態様において、核酸分子は標的核酸に結合し、通常の発現レベルに比べて少なくとも10%または20%の発現の阻害、より好ましくは通常の発現レベル(核酸分子または核酸分子結合体非存在下での発現レベルなど)に比べて少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%の阻害に影響をおよぼす。発現レベルの調節は、タンパク質レベルを測定することにより、例えば、SDS-PAGEと、続く標的タンパク質に対して産生させた適切な抗体を用いてのウェスタンブロッティングにより判定してもよい。または、発現レベルの調節は、mRNAのレベルを測定することにより、例えば、ノーザンブロッティングまたは定量的RT-PCRにより判定することもできる。
【0199】
したがって、本発明は、細胞内のタンパク質および/またはmRNAおよび/またはマイクロRNAの発現または機能性を調節、例えば、ダウンレギュレートまたは阻害する方法であって、本発明の核酸分子結合体を該細胞に投与して、該細胞内の標的タンパク質および/またはmRNAおよび/またはマイクロRNAの発現または機能性をダウンレギュレートまたは阻害する段階を含む方法を提供する。適切には、細胞は、ヒト細胞などの哺乳動物細胞であり、好ましくは肝臓細胞である。投与は、いくつかの態様において、インビトロで行ってもよい。投与は、いくつかの態様において、インビボで行ってもよい。組成物の投与は、障害を処置もしくは予防する際に有効であるために、またはヒトにおける生理的状態を調節するために十分な量である。
【0200】
「その天然の変種」なる用語は、規定の分類群、例えば哺乳動物、例えば、マウス、サル、および好ましくはヒトにおいて天然に存在する核酸配列の標的ポリペプチドの変種を意味する。典型的には、ポリヌクレオチドの「天然の変種」に言及する場合、この用語は、染色体転座もしくは重複により染色体で見出される標的コードゲノムDNAの任意の対立遺伝子変種、およびそれから誘導されるmRNAなどのRNAも包含し得る。「天然の変種」は、標的mRNAの選択的スプライシングから誘導される変種も含み得る。具体的なポリペプチド配列に言及する場合、例えば、この用語は、したがって、例えば、シグナルペプチド切断、タンパク質切断、グリコシル化などの、同時翻訳または翻訳後修飾により処理され得る、タンパク質の天然型も含む。
【0201】
ヌクレオシドおよびヌクレオシド類縁体
いくつかの態様において、「ヌクレオシド類縁体」および「ヌクレオチド類縁体」なる用語は、交換可能に用いられる。
【0202】
本明細書において用いられる「ヌクレオチド」なる用語は、糖部分、塩基部分およびホスフェートまたはホスホロチオエートヌクレオチド間連結基などの共有結合された基(連結基)を含むグリコシドを意味し、DNAまたはRNAなどの天然ヌクレオチド、および本明細書において「ヌクレオチド類縁体」とも呼ぶ、修飾された糖および/または塩基部分を含む非天然ヌクレオチドの両方を含む。本明細書において、単一ヌクレオチド(ユニット)はモノマーまたは核酸ユニットと呼んでもよい。
【0203】
生化学の分野において、「ヌクレオシド」なる用語は一般に、糖部分および塩基部分を含むグリコシドを指すために用い、したがってオリゴマーのヌクレオチドの間でヌクレオチド間連結により共有結合されているヌクレオチドユニットを指す場合に用いてもよい。バイオテクノロジーの分野において、「ヌクレオチド」なる用語は、核酸モノマーまたはユニットを指すために用いることが多く、したがって、オリゴヌクレオチドの文脈において、塩基を指すこともあり−例えば、「ヌクレオチド配列」は、典型的には核酸塩基配列を意味する(すなわち、糖骨格およびヌクレオシド間連結の存在が暗に示される)。同様に、特にヌクレオシド間連結基の1つまたは複数が修飾されているオリゴヌクレオチドの場合、「ヌクレオチド」なる用語は「ヌクレオシド」を指すこともあり、例えば、ヌクレオシド間の連結の存在または性質を明記している場合であっても、「ヌクレオチド」なる用語を用いうる。
【0204】
当業者であれば理解するであろうとおり、オリゴヌクレオチドの5'末端ヌクレオチドは5'ヌクレオチド間連結基を含まないが、5'末端基を含んでいてもよく、または含まなくてもよい。
【0205】
非天然ヌクレオチドには、二環式ヌクレオチドなどの修飾糖部分を有するヌクレオチド、または2'置換ヌクレオチドなどの2'修飾ヌクレオチドが含まれる。
【0206】
「ヌクレオシド類縁体」は、糖および/または塩基部分の修飾による、DNAまたはRNAヌクレオシドなどの天然ヌクレオシドの変種である。類縁体は、原理的には、核酸分子の文脈において、天然ヌクレオシドに対して単に「サイレント」または「等価」であり得、すなわち、核酸分子が標的遺伝子発現を阻害するようはたらくやり方に、機能的効果を持たない。そのような「等価」の類縁体は、それにもかかわらず、例えば、製造がより容易もしくは安価である、または保存もしくは製造条件に対してより安定である、またはタグもしくは標識に相当するならば、有用であり得る。しかし、好ましくは、類縁体は、例えば、標的に対する高い結合親和性および/または細胞内ヌクレアーゼに対する高い抵抗性および/または細胞への輸送の高い容易さを生じることにより、核酸分子が発現を阻害するようはたらくやり方に機能的効果を有する。標的に対する高い結合親和性は、1つの修飾につき少なくとも+0.5℃、好ましくは1つの修飾につき少なくとも+1℃、1.5℃、+2℃、+2.5℃、+3℃、より好ましくは1つの修飾につき少なくとも+4℃、最も好ましくは1つの修飾につき少なくとも+4.5℃の二重鎖の融点のプラス変化(ΔTm)としての、核酸分子と相補的RNAとの二重鎖の安定性増強をもたらす。そのような親和性の増大を提供する類縁体は、親和性増強類縁体とも呼ぶ。核酸分子がはたらくやり方に機能的効果を有するヌクレオシド類縁体の具体例は、例えば、Freier & Altmann; Nucl. Acid Res., 1997, 25, 4429-4443およびUhlmann; Curr. Opinion in Drug Development, 2000, 3(2), 293-213によって記載されており、これらを以下に示す:
。
【0207】
したがって、核酸分子は、天然ヌクレオシド−好ましくは2'-デオキシヌクレオチド(本明細書において一般に「DNA」と呼ぶ)であるが、おそらくはリボヌクレオチド(本明細書において一般に「RNA」と呼ぶ)、またはそのような天然ヌクレオシドと1つもしくは複数の非天然ヌクレオチド、すなわちヌクレオチド類縁体との組み合わせの単純な配列を含むか、またはそれからなってもよい。天然ヌクレオシドは、ホスホジエステルなどの天然ヌクレオシド間連結またはホスホジエステル、ホスホロチオエートもしくはボラノホスフェートなどの安定化連結あるいはこれらの連結の混合物を含んでいてもよい。ヌクレオチド類縁体は核酸分子の標的配列に対する親和性を適切に増強し得る。
【0208】
適切かつ好ましいヌクレオチド類縁体の例は、WO2007/031091により提供されるか、またはその中で言及される。
【0209】
「LNA」なる用語は、「ロックド核酸」として公知の、二環式ヌクレオシド類縁体を意味する。これはLNAモノマーを指してもよく、または、「LNAオリゴヌクレオチド」の文脈で用いる場合、LNAは1つまたは複数のそのような二環式ヌクレオチド類縁体を含むオリゴヌクレオチドを指す。LNAヌクレオチドは、例えば、以下に記載するビラジカルR
4* - R
2*として示す、リボース糖環のC2'とC4'との間のリンカー基(架橋など)の存在によって特徴付けられる。
【0210】
本発明のオリゴヌクレオチド化合物において用いられるLNAは、好ましくは、式(VIII):
の構造、ならびにその塩基性塩および酸付加塩を有し、ここで、すべてのキラル中心について、不斉基はRまたはS配向のいずれかで見出されてもよく;
式中、Xは-O-、-S-、-N(R
N*)-、-C(R
6R
6*)-から選択され、例えば、いくつかの態様において、-O-であり;
Bは水素、置換されていてもよいC
1-4-アルコキシ、置換されていてもよいC
1-4-アルキル、置換されていてもよいC
1-4-アシルオキシ、天然および核酸塩基類縁体を含む核酸塩基、DNAインターカレーター、光化学的活性基、熱化学的活性基、キレート化基、レポーター基、およびリガンドから選択され;好ましくは、Bは核酸塩基または核酸塩基類縁体であり;
Pは、隣接モノマーへのヌクレオチド間連結、または5'末端基を示し、そのようなヌクレオチド間連結または5'末端基は任意で置換基R
5または同等に適用可能な置換基R
5*を含み;
P*は、隣接モノマーへのヌクレオチド間連結、または3'末端基を示し;
R
4*およびR
2*は一緒に、-C(R
aR
b)-、-C(R
a)=C(R
b)-、-C(R
a)=N-、-O-、-Si(R
a)
2-、-S-、-SO
2-、-N(R
a)-、および>C=Zから選択される1〜4つの基/原子からなる二価のリンカー基を示し、ここでZは-O-、-S-、および-N(R
a)-から選択され、かつR
aおよびR
bはそれぞれ独立に水素、置換されていてもよいC
1-12-アルキル、置換されていてもよいC
2-12-アルケニル、置換されていてもよいC
2-12-アルキニル、ヒドロキシ、置換されていてもよいC
1-12-アルコキシ、C
2-12-アルコキシアルキル、C
2-12-アルケニルオキシ、カルボキシ、C
1-12-アルコキシカルボニル、C
1-12-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ-カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノおよびジ(C
1-6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノおよびジ(C
1-6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C
1-6-アルキル-アミノカルボニル、モノおよびジ(C
1-6-アルキル)アミノ-C
1-6-アルキル-アミノカルボニル、C
1-6-アルキル-カルボニルアミノ、カルバミド、C
1-6-アルカノイルオキシ、スルホノ、C
1-6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C
1-6-アルキルチオ、ハロゲン、DNAインターカレーター、光化学的活性基、熱化学的活性基、キレート化基、レポーター基、およびリガンドから選択され、ここでアリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、かつここで2つのジェミナルな置換基R
aおよびR
bは一緒に、置換されていてもよいメチレン(=CH
2)を示してもよく、ここですべてのキラル中心について、不斉基はRまたはS配向のいずれかで見出されてもよく、かつ;
存在する置換基R
1*、R
2、R
3、R
5、R
5*、R
6およびR
6*はそれぞれ独立に水素、置換されていてもよいC
1-12-アルキル、置換されていてもよいC
2-12-アルケニル、置換されていてもよいC
2-12-アルキニル、ヒドロキシ、C
1-12-アルコキシ、C
2-12-アルコキシアルキル、C
2-12-アルケニルオキシ、カルボキシ、C
1-12-アルコキシカルボニル、C
1-12-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ-カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノおよびジ(C
1-6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノおよびジ(C
1-6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C
1-6-アルキル-アミノカルボニル、モノおよびジ(C
1-6-アルキル)アミノ-C
1-6-アルキル-アミノカルボニル、C
1-6-アルキル-カルボニルアミノ、カルバミド、C
1-6-アルカノイルオキシ、スルホノ、C
1-6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C
1-6-アルキルチオ、ハロゲン、DNAインターカレーター、光化学的活性基、熱化学的活性基、キレート化基、レポーター基、およびリガンドから選択され、ここでアリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、かつここで2つのジェミナルな置換基は一緒に、オキソ、チオキソ、イミノ、または置換されていてもよいメチレンを示してもよく;
ここでR
Nは水素およびC
1-4-アルキルから選択され、かつここで2つの隣接(非ジェミナル)置換基はさらなる結合を示して二重結合をもたらしてもよく;かつR
N*は、存在し、ビラジカルに関与しない場合、水素およびC
1-4-アルキルから選択される。すべてのキラル中心について、不斉基はRまたはS配向のいずれかで見出されてもよい。
【0211】
いくつかの態様において、R
4*およびR
2*は一緒に、C(R
aR
b)-C(R
aR
b)-、C(R
aR
b)-O-、C(R
aR
b)-NR
a-、C(R
aR
b)-S-、およびC(R
aR
b)-C(R
aR
b)-O-からなる群より選択される基からなるビラジカルを示し、ここで各R
aおよびR
bは任意で独立に選択されてもよい。いくつかの態様において、R
aおよびR
bは、任意で独立に水素および
C1-6アルキルからなる群より選択されてもよく、例えばメチル、例えば水素である。
【0212】
いくつかの態様において、R
4*およびR
2*は一緒に、R-またはS-配置のいずれかの、ビラジカル-O-CH(CH
2OCH
3)-(2'O-メトキシエチル二環式核酸−Seth at al., 2010, J. Org. Chem)を示す。
【0213】
いくつかの態様において、R
4*およびR
2*は一緒に、R-またはS-配置のいずれかの、ビラジカル-O-CH(CH
2CH
3)-(2'O-エチル二環式核酸−Seth at al., 2010, J. Org. Chem)を示す。
【0214】
いくつかの態様において、R
4*およびR
2*は一緒に、R-またはS-配置のいずれかの、ビラジカル-O-CH(CH
3)-を示す。いくつかの態様において、R
4*およびR
2*は一緒に、ビラジカル-O-CH
2-O-CH
2-(Seth at al., 2010, J. Org. Chem)を示す。
【0215】
いくつかの態様において、R
4*およびR
2*は一緒に、ビラジカル-O-NR-CH
3-(Seth at al., 2010, J. Org. Chem)を示す。
【0216】
いくつかの態様において、LNAユニットは以下の群:
から選択される構造を有する。
【0217】
いくつかの態様において、R
1*、R
2、R
3、R
5、R
5*は独立に水素、ハロゲン、C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、置換C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニルまたは置換C
2-6アルキニル、C
1-6アルコキシル、置換C
1-6アルコキシル、アシル、置換アシル、C
1-6アミノアルキルまたは置換C
1-6アミノアルキルからなる群より選択される。すべてのキラル中心について、不斉基はRまたはS配向のいずれかで見出されてもよい。
【0218】
いくつかの態様において、R
1*、R
2、R
3、R
5、R
5*は水素である。
【0219】
いくつかの態様において、R
1*、R
2、R
3は独立に水素、ハロゲン、C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、置換C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニルまたは置換C
2-6アルキニル、C
1-6アルコキシル、置換C
1-6アルコキシル、アシル、置換アシル、C
1-6アミノアルキルまたは置換C
1-6アミノアルキルからなる群より選択される。すべてのキラル中心について、不斉基はRまたはS配向のいずれかで見出されてもよい。
【0220】
いくつかの態様において、R
1*、R
2、R
3は水素である。
【0221】
いくつかの態様において、R
5およびR
5*はそれぞれ独立にH、-CH
3、-CH
2-CH
3、-CH
2-O-CH
3、および-CH=CH
2からなる群より選択される。適切には、いくつかの態様において、R
5またはR
5*のいずれかは水素であるが、他の基(それぞれR
5またはR
5*)はC
1-5アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、置換C
1-6アルキル、置換C
2-6アルケニル、置換C
2-6アルキニルまたは置換アシル(-C(=O)-)からなる群より選択され;ここで各置換された基はハロゲン、C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、置換C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、置換C
2-6アルキニル、OJ
1、SJ
1、NJ
1J
2、N
3、COOJ
1、CN、O-C(=O)NJ
1J
2、N(H)C(=NH)NJ,J
2またはN(H)C(=X)N(H)J
2から独立に選択される置換基で一または多置換されており、ここでXはOまたはSであり;かつ各J
1およびJ
2は、独立に、H、C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、置換C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、置換C
2-6アルキニル、C
1-6アミノアルキル、置換C
1-6アミノアルキルまたは保護基である。いくつかの態様において、R
5またはR
5*のいずれかは置換C
1-6アルキルである。いくつかの態様において、R
5またはR
5*のいずれかは置換メチレンであり、ここで好ましい置換基にはF、NJ
1J
2、N
3、CN、OJ
1、SJ
1、O-C(=O)NJ
1J
2、N(H)C(=NH)NJ、J
2またはN(H)C(O)N(H)J
2から独立に選択される1つまたは複数の基が含まれる。いくつかの態様において、各J
1およびJ
2は、独立にHまたはC
1-6アルキルである。いくつかの態様において、R
5またはR
5*のいずれかはメチル、エチルまたはメトキシメチルである。いくつかの態様において、R
5またはR
5*はメチルである。さらなる態様において、R
5またはR
5*のいずれかはエチレニルである。いくつかの態様において、R
5またはR
5*のいずれかは置換アシルである。いくつかの態様において、R
5またはR
5*のいずれかはC(=O)NJ
1J
2である。すべてのキラル中心について、不斉基はRまたはS配向のいずれかで見出されてもよい。そのような5'修飾二環式ヌクレオチドはWO 2007/134181に開示されており、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0222】
いくつかの態様において、ヌクレオシドおよびヌクレオチドならびにその類縁体に関連するBは、核酸塩基類縁体および天然核酸塩基、例えばプリンもしくはピリミジン、または置換プリンもしくは置換ピリミジン、例えば本明細書において言及する核酸塩基、例えばアデニン、シトシン、チミン、アデニン、ウラシルからなる群より選択される核酸塩基、および/または修飾もしくは置換核酸塩基、例えば5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、5-プロピニル-ウラシル、2'チオ-チミン、5-メチルシトシン、5-チオゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、および2,6-ジアミノプリンを含む、核酸塩基である。
【0223】
いくつかの態様において、R
4*およびR
2*は一緒に、-C(R
aR
b)-O-、-C(R
aR
b)-C(R
cR
d)-O-、-C(R
aR
b)-C(R
cR
d)-C(R
eR
f)-O-、-C(R
aR
b)-O-C(R
cR
d)-、-C(R
aR
b)-O-C(R
cR
d)-O-、-C(R
aR
b)-C(R
cR
d)-、-C(R
aR
b)-C(R
cR
d)-C(R
eR
f)-、-C(R
a)=C(R
b)-C(R
cR
d)-、-C(R
aR
b)-N(R
c)-、-C(R
aR
b)-C(R
cR
d)-N(R
e)-、-C(R
aR
b)-N(R
c)-O-、および-C(R
aR
b)-S-、-C(R
aR
b)-C(R
cR
d)-S-から選択されるビラジカルを示し、ここでR
a、R
b、R
c、R
d、R
e、およびR
fはそれぞれ独立に水素、置換されていてもよいC
1-12-アルキル、置換されていてもよいC
2-12-アルケニル、置換されていてもよいC
2-12-アルキニル、ヒドロキシ、C
1-12-アルコキシ、C
2-12-アルコキシアルキル、C
2-12-アルケニルオキシ、カルボキシ、C
1-12-アルコキシカルボニル、C
1-12-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ-カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノおよびジ(C
1-6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノおよびジ(C
1-6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C
1-6-アルキル-アミノカルボニル、モノおよびジ(C
1-6-アルキル)アミノ-C
1-6-アルキル-アミノカルボニル、C
1-6-アルキル-カルボニルアミノ、カルバミド、C
1-6-アルカノイルオキシ、スルホノ、C
1-6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C
1-6-アルキルチオ、ハロゲン、DNAインターカレーター、光化学的活性基、熱化学的活性基、キレート化基、レポーター基、およびリガンドから選択され、ここでアリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、かつ2つのジェミナルな置換基R
aおよびR
bは一緒に、置換されていてもよいメチレン(=CH
2)を示してもよい。すべてのキラル中心について、不斉基はRまたはS配向のいずれかで見出されてもよい。
【0224】
さらなる態様において、R
4*およびR
2*は一緒に、-CH
2-O-、-CH
2-S-、-CH
2-NH-、-CH
2-N(CH
3)-、-CH
2-CH
2-O-、-CH
2-CH(CH
3)-、-CH
2-CH
2-S-、-CH
2-CH
2-NH-、-CH
2-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-CH
2-O-、-CH
2-CH
2-CH(CH
3)-、-CH=CH-CH
2-、-CH
2-O-CH
2-O-、-CH
2-NH-O-、-CH
2-N(CH
3)-O-、-CH
2-O-CH
2-、-CH(CH
3)-O-、および-CH(CH
2-O-CH
3)-O-、ならびに/または、-CH
2-CH
2-、および-CH=CH-から選択されるビラジカル(二価の基)を示す。すべてのキラル中心について、不斉基はRまたはS配向のいずれかで見出されてもよい。
【0225】
いくつかの態様において、R
4*およびR
2*は一緒に、ビラジカルC(R
aR
b)-N(R
c)-O-を示し、ここでR
aおよびR
bは独立に水素、ハロゲン、C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、置換C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニルまたは置換C
2-6アルキニル、C
1-6アルコキシル、置換C
1-6アルコキシル、アシル、置換アシル、C
1-6アミノアルキルまたは置換C
1-6アミノアルキルからなる群より選択され、例えば水素であり、かつ;ここでR
cは水素、ハロゲン、C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、置換C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニルまたは置換C
2-6アルキニル、C
1-6アルコキシル、置換C
1-6アルコキシル、アシル、置換アシル、C
1-6アミノアルキルまたは置換C
1-6アミノアルキルからなる群より選択され、例えば水素である。
【0226】
いくつかの態様において、R
4*およびR
2*は一緒に、ビラジカルC(R
aR
b)-O-C(R
cR
d)-O-を示し、ここでR
a、R
b、R
c、およびR
dは独立に水素、ハロゲン、C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、置換C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニルまたは置換C
2-6アルキニル、C
1-6アルコキシル、置換C
1-6アルコキシル、アシル、置換アシル、C
1-6アミノアルキルまたは置換C
1-6アミノアルキルからなる群より選択され、例えば水素である。
【0227】
いくつかの態様において、R
4*およびR
2*はビラジカル-CH(Z)-O-を形成し、ここでZはC
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、置換C
1-6アルキル、置換C
2-6アルケニル、置換C
2-6アルキニル、アシル、置換アシル、置換アミド、チオールまたは置換チオからなる群より選択され;かつここで置換された基はそれぞれ独立に、ハロゲン、オキソ、ヒドロキシル、OJ
1、NJ
1J
2、SJ
1、N
3、OC(=X)J
1、OC(=X)NJ
1J
2、NJ
3C(=X)NJ
1J
2およびCNから独立に選択される、任意で保護された置換基で一または多置換されており、ここで各J
1、J
2およびJ
3は、独立に、HまたはC
1-6アルキルであり、かつXはO、SまたはNJ
1である。いくつかの態様において、ZはC
1-6アルキルまたは置換C
1-6アルキルである。いくつかの態様において、Zはメチルである。いくつかの態様において、Zは置換C
1-6アルキルである。いくつかの態様において、前記置換基はC
1-6アルコキシである。いくつかの態様において、ZはCH
3OCH
2-である。すべてのキラル中心について、不斉基はRまたはS配向のいずれかで見出されてもよい。そのような二環式ヌクレオチドはUS 7,399,845において開示されており、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。いくつかの態様において、R
1*、R
2、R
3、R
5、R
5*は水素である。いくつかの態様において、R
1*、R
2、R
3 *は水素であり、かつR
5、R
5*の1つまたは両方は、前述およびWO 2007/134181のとおり、水素以外であってもよい。
【0228】
いくつかの態様において、R
4*およびR
2*は一緒に、架橋中に置換アミノ基を含むビラジカルを示し、例えばビラジカル-CH
2-N(R
c)-からなるか、またはそれを含み、ここでR
cはC
1-12アルキルオキシである。いくつかの態様において、R
4*およびR
2*は一緒に、ビラジカル-Cq
3q
4-NOR-を示し、ここでq
3およびq
4は独立に水素、ハロゲン、C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、置換C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニルまたは置換C
2-6アルキニル、C
1-6アルコキシル、置換C
1-6アルコキシル、アシル、置換アシル、C
1-6アミノアルキルまたは置換C
1-6アミノアルキルからなる群より選択され;ここで各置換された基は、独立に、ハロゲン、OJ
1、SJ
1、NJ
1J
2、COOJ
1、CN、O-C(=O)NJ
1J
2、N(H)C(=NH)NJ
1J
2またはN(H)C(=X=N(H)J
2から独立に選択される置換基で一または多置換されており、ここでXはOまたはSであり;かつJ
1およびJ
2は、それぞれ独立に、H、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6アミノアルキルまたは保護基である。すべてのキラル中心について、不斉基はRまたはS配向のいずれかで見出されてもよい。そのような二環式ヌクレオチドはWO2008/150729に開示されており、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。いくつかの態様において、R
1*、R
2、R
3、R
5、R
5*は独立に水素、ハロゲン、C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、置換C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニルまたは置換C
2-6アルキニル、C
1-6アルコキシル、置換C
1-6アルコキシル、アシル、置換アシル、C
1-6アミノアルキルまたは置換C
1-6アミノアルキルからなる群より選択される。いくつかの態様において、R
1*、R
2、R
3、R
5、R
5*は水素である。いくつかの態様において、R
1*、R
2、R
3は水素であり、かつR
5、R
5*の1つまたは両方は、前述およびWO 2007/134181のとおり、水素以外であってもよい。いくつかの態様において、R
4*およびR
2*は一緒に、ビラジカル(二価の基)C(R
aR
b)-O-を示し、ここでR
aおよびR
bはそれぞれ独立にハロゲン、C
1〜C
12アルキル、置換C
1〜C
12アルキル、C
2〜C
12アルケニル、置換C
2〜C
12アルケニル、C
2〜C
12アルキニル、置換C
2〜C
12アルキニル、C
1〜C
12アルコキシ、置換C
1〜C
12アルコキシ、OJ
1 SJ
1、SOJ
1、SO
2J
1、NJ
1J
2、N
3、CN、C(=O)OJ
1、C(=O)NJ
1J
2、C(=O)J
1、O-C(=O)NJ
1J
2、N(H)C(=NH)NJ
1J
2、N(H)C(=O)NJ
1J
2またはN(H)C(=S)NJ
1J
2であり;またはR
aおよびR
bは一緒に、=C(q3)(q4)であり;q
3およびq
4はそれぞれ、独立に、H、ハロゲン、C
1〜C
12アルキルまたは置換C
1〜C
12アルキルであり;各置換された基は、独立に、ハロゲン、C
1〜C
6アルキル、置換C
1〜C
6アルキル、C
2〜C
6アルケニル、置換C
2〜C
6アルケニル、C
2〜C
6アルキニル、置換C
2〜C
6アルキニル、OJ
1、SJ
1、NJ
1J
2、N
3、CN、C(=O)OJ
1、C(=O)NJ
1J
2、C(=O)J
1、O-C(=O)NJ
1J
2、N(H)C(=O)NJ
1J
2またはN(H)C(=S)NJ
1J
2から独立に選択される置換基で一または多置換されており、かつ;各J
1およびJ
2は、独立に、H、C1〜C
6アルキル、置換C1〜C
6アルキル、C
2〜C
6アルケニル、置換C
2〜C
6アルケニル、C
2〜C
6アルキニル、置換C
2〜C
6アルキニル、C
1〜C
6アミノアルキル、置換C
1〜C
6アミノアルキルまたは保護基である。そのような化合物はWO2009006478Aに開示されており、参照により本明細書に組み入れられる。
【0229】
いくつかの態様において、R
4*およびR
2*はビラジカル-Q-を形成し、ここでQはC(q
1)(q
2)C(q
3)(q
4)、C(q
1)=C(q
3)、C[=C(q
1)(q
2)]-C(q
3)(q
4)またはC(q
1)(q
2)-C[=C(q
3)(q
4)]であり;q
1、q
2、q
3、q
4はそれぞれ独立に、H、ハロゲン、C
1-12アルキル、置換C
1-12アルキル、C
2-12アルケニル、置換C
1-12アルコキシ、OJ
1、SJ
1、SOJ
1、SO
2J
1、NJ
1J
2、N
3、CN、C(=O)OJ
1、C(=O)-NJ
1J
2、C(=O)J
1、-C(=O)NJ
1J
2、N(H)C(=NH)NJ
1J
2、N(H)C(=O)NJ
1J
2またはN(H)C(=S)NJ
1J
2であり;各J
1およびJ
2は、独立に、H、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C
1-6アミノアルキルまたは保護基であり;かつ、任意で、ここでQがC(q
1)(q
2)(q
3)(q
4)であり、かつq
3またはq
4の1つがCH
3である場合、q
3もしくはq
4の他方またはq
1およびq
2の1つの少なくとも1つはH以外である。いくつかの態様において、R
1*、R
2、R
3、R
5、R
5*は水素である。すべてのキラル中心について、不斉基はRまたはS配向のいずれかで見出されてもよい。そのような二環式ヌクレオチドはWO2008/154401に開示されており、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。いくつかの態様において、R
1*、R
2、R
3、R
5、R
5*は独立に水素、ハロゲン、C
1-6アルキル、置換C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、置換C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニルまたは置換C
2-6アルキニル、C
1-6アルコキシル、置換C
1-6アルコキシル、アシル、置換アシル、C
1-6アミノアルキルまたは置換C
1-6アミノアルキルからなる群より選択される。いくつかの態様において、R
1*、R
2、R
3、R
5、R
5*は水素である。いくつかの態様において、R
1*、R
2、R
3は水素であり、かつR
5、R
5*の1つまたは両方は、前述およびWO 2007/134181またはWO2009/067647(アルファ-L-二環式核酸類縁体)のとおり、水素以外であってもよい。
【0230】
さらなる二環式ヌクレオシド類縁体およびそれらのアンチセンスオリゴヌクレオチドにおける使用は、WO2011/115818、WO2011/085102、WO2011/017521、WO2009/100320、WO2010/036698、WO2009/124295およびWO2009/006478に開示されている。そのようなヌクレオシド類縁体は、いくつかの局面において、本発明の核酸分子において有用であり得る。
【0231】
いくつかの態様において、核酸分子において用いるLNAは、好ましくは、一般式(IX):
の構造を有し、式中、Yは-O-、-CH
2O-、-S-、-NH-、N(R
e)および/または-CH
2-からなる群より選択され;ZおよびZ*は独立にヌクレオチド間連結、R
H、末端基または保護基の間で選択され;Bは天然または非天然ヌクレオチド塩基部分(核酸塩基)を構成し、かつR
Hは水素およびC
1-4-アルキルから選択され;R
a、R
b R
c、R
dおよびR
eは、任意で、独立に、水素、置換されていてもよいC
1-12-アルキル、置換されていてもよいC
2-12-アルケニル、置換されていてもよいC
2-12-アルキニル、ヒドロキシ、C
1-12-アルコキシ、C
2-12-アルコキシアルキル、C
2-12-アルケニルオキシ、カルボキシ、C
1-12-アルコキシカルボニル、C
1-12-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ-カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノおよびジ(C
1-6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノおよびジ(C
1-6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C
1-6-アルキル-アミノカルボニル、モノおよびジ(C
1-6-アルキル)アミノ-C
1-6-アルキル-アミノカルボニル、C
1-6-アルキル-カルボニルアミノ、カルバミド、C
1-6-アルカノイルオキシ、スルホノ、C
1-6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C
1-6-アルキルチオ、ハロゲン、DNAインターカレーター、光化学的活性基、熱化学的活性基、キレート化基、レポーター基、およびリガンドからなる群より選択され、ここでアリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、かつここで2つのジェミナルな置換基R
aおよびR
bは一緒に、置換されていてもよいメチレン(=CH
2)を示してもよく;かつR
Hは水素およびC
1-4-アルキルから選択される。いくつかの態様において、R
a、R
b R
c、R
dおよびR
eは、任意で、独立に、水素およびC
1-6アルキルからなる群より選択され、例えばメチルである。すべてのキラル中心について、不斉基はRまたはS配向のいずれかで見出されてもよく、例えば、2つの例示的な立体化学異性体にはベータ-Dおよびアルファ-Lイソ型が含まれ、これらは以下のとおり例示しうる:
。
【0232】
具体的な例示的LNAユニットを以下に示す:
。
【0233】
「チオ-LNA」なる用語は、上の一般式中のYがSまたは-CH
2-S-から選択される、ロックドヌクレオチドを含む。チオ-LNAは、ベータ-Dおよびアルファ-L配置の両方であり得る。
【0234】
「アミノ-LNA」なる用語は、上の一般式中のYが-N(H)-、N(R)-、CH
2-N(H)-、および-CH
2-N(R)-から選択される、ロックドヌクレオチドを含み、ここでRは水素およびC
1-4-アルキルから選択される。アミノ-LNAは、ベータ-Dおよびアルファ-L配置の両方であり得る。
【0235】
「オキシ-LNA」なる用語は、上の一般式中のYが-O-を表す、ロックドヌクレオチドを含む。オキシ-LNAは、ベータ-Dおよびアルファ-L配置の両方であり得る。
【0236】
「ENA」なる用語は、上の一般式中のYが-CH
2-O-(ここで-CH
2-O-の酸素原子は塩基Bに対して2'位に連結している)である、ロックドヌクレオチドを含む。R
eは水素またはメチルである。
【0237】
いくつかの例示的態様において、LNAはベータ-D-オキシ-LNA、アルファ-L-オキシ-LNA、ベータ-D-アミノ-LNAおよびベータ-D-チオ-LNAから選択され、特にベータ-D-オキシ-LNAである。
【0238】
核酸分子、例えばLNAまたは2'-置換糖における親和性増強ヌクレオチド類縁体の組み込みは、特異的に結合する核酸分子のサイズ低下を可能にし得、非特異的または異常な結合が起こる前の核酸分子のサイズの上限も低下させうる。
【0239】
いくつかの態様において、核酸分子は少なくとも1個のヌクレオシド類縁体を含む。いくつかの態様において、核酸分子は少なくとも2個のヌクレオチド類縁体を含む。いくつかの態様において、核酸分子は3〜8個のヌクレオチド類縁体、例えば、6または7個のヌクレオチド類縁体を含む。最も好ましい態様において、前記ヌクレオチド類縁体の少なくとも1個はロックド核酸(LNA)であり;例えば、ヌクレオチド類縁体の少なくとも3個、または少なくとも4個、または少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または8個はLNAであり得る。いくつかの態様において、すべてのヌクレオチド類縁体はLNAであり得る。
【0240】
ヌクレオチドだけからなる、好ましいヌクレオチド配列モティーフまたはヌクレオチド配列に言及する場合、その配列によって規定される本発明の核酸分子は、該配列中に存在するヌクレオチドの1つまたは複数の代わりに、核酸分子/標的二重鎖の二重鎖安定性/T
mを上げる、対応するヌクレオチド類縁体、例えばLNAユニットまたは他のヌクレオチド類縁体(すなわち、親和性増強ヌクレオチド類縁体)を含んでいてもよいことが理解されるであろう。
【0241】
いくつかの態様において、核酸分子のヌクレオチド配列と標的配列との間の任意のミスマッチは、好ましくは親和性増強ヌクレオチド類縁体以外の領域、例えば本明細書において言及する領域B、および/または本明細書において言及する領域L、および/またはオリゴヌクレオチドにおけるDNAヌクレオチドなどの非修飾部位、および/または連続ヌクレオチド配列の5'もしくは3'の領域で見出される。
【0242】
ヌクレオチドのそのような修飾の例には、糖部分を修飾して、結合親和性を増強し、同時にヌクレアーゼ抵抗性の増大を提供しうる、2'置換基を提供する、または架橋(ロックド核酸)構造を生じることが含まれる。
【0243】
好ましいヌクレオチド類縁体は、LNA、例えばオキシ-LNA(ベータ-D-オキシ-LNA、およびアルファ-L-オキシ-LNAなど)、および/またはアミノ-LNA(ベータ-D-アミノ-LNAおよびアルファ-L-アミノ-LNAなど)、および/またはチオ-LNA(ベータ-D-チオ-LNAおよびアルファ-L-チオ-LNAなど)、および/またはENA(ベータ-D-ENAおよびアルファ-L-ENAなど)である。最も好ましいのはベータ-D-オキシ-LNAである。
【0244】
いくつかの態様において、本発明の核酸分子内(本明細書において言及する領域AおよびC内など)に存在するヌクレオチド類縁体は、独立に、例えば:2'-O-アルキル-RNAユニット、2'-アミノ-DNAユニット、2'-フルオロ-DNAユニット、LNAユニット、アラビノ核酸(ANA)ユニット、2'-フルオロ-ANAユニット、HNAユニット、INA(インターカレーティング核酸−Christensen, 2002. Nucl. Acids. Res. 2002 30: 4918-4925、参照により本明細書に組み入れられる)ユニットおよび2'MOEユニットから選択される。いくつかの態様において、本発明の核酸分子内には前述のヌクレオチド類縁体の型の1つ、またはその連続ヌクレオチド配列だけが存在する。
【0245】
いくつかの態様において、核酸類縁体は2'-O-メトキシエチル-RNA(2'MOE)、2'-フルオロ-DNAモノマーまたはLNAヌクレオチド類縁体であり、したがって本発明のオリゴヌクレオチドは、これら3つの型の類縁体から独立に選択されるヌクレオチド類縁体を含んでいてもよく、または3つの型から選択される類縁体の1つの型だけを含んでいてもよい。いくつかの態様において、前記ヌクレオチド類縁体の少なくとも1つは2'-MOE-RNA、例えば2、3、4、5、6、7、8、9または10個の2'-MOE-RNAヌクレオチドユニットである。いくつかの態様において、前記ヌクレオチド類縁体の少なくとも1つは2'-フルオロDNA、例えば2、3、4、5、6、7、8、9または10個の2'-フルオロ-DNAヌクレオチドユニットである。
【0246】
いくつかの態様において、本発明の核酸分子は、少なくとも1個のロックド核酸(LNA)ユニット、例えば1、2、3、4、5、6、7、または8個のLNAユニット、例えば3〜7個、もしくは4〜8個のLNAユニット、または3、4、5、6もしくは7個のLNAユニットを含む。いくつかの態様において、すべてのヌクレオチド類縁体はLNAである。いくつかの態様において、核酸分子はベータ-D-オキシ-LNA、および以下のLNAユニットの1つまたは複数の両方を含んでいてもよい:ベータ-Dもしくはアルファ-L配置のいずれか、またはその組み合わせのチオ-LNA、アミノ-LNA、オキシ-LNA、および/またはENA。いくつかの態様において、すべてのLNAシトシンユニットは5'メチル-シトシンである。本発明のいくつかの態様において、核酸分子はLNAおよびDNAユニットの両方を含んでいてもよい。好ましくは、LNAおよびDNAユニットを合わせた合計は10〜25、例えば10〜24、好ましくは10〜20、例えば10〜18、さらにより好ましくは12〜16である。本発明のいくつかの態様において、核酸分子のヌクレオチド配列、例えば連続ヌクレオチド配列は、少なくとも1つのLNAからなり、残りのヌクレオチドユニットはDNAユニットである。いくつかの態様において、核酸分子は、任意でホスホロチオエートなどの修飾ヌクレオチド間連結を有する、LNAヌクレオチド類縁体および天然ヌクレオチド(例えばRNAまたはDNA、最も好ましくはDNAヌクレオチド)だけを含む。
【0247】
「核酸塩基」なる用語は、ヌクレオチドの塩基部分を意味し、天然、ならびに非天然変種の両方を含む。したがって「核酸塩基」は、公知のプリンおよびピリミジン複素環のみならず、その複素環式類縁体および互変異性体も含む。
【0248】
核酸塩基の例には、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン、ヒポキサンチン、5-メチルシトシン、イソシトシン、プソイドイソシトシン、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリン、および2-クロロ-6-アミノプリンが含まれるが、それらに限定されない。
【0249】
いくつかの態様において、核酸分子内に存在する核酸塩基の少なくとも1つは、5-メチルシトシン、イソシトシン、プソイドイソシトシン、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリン、および2-クロロ-6-アミノプリンからなる群より選択される修飾核酸塩基である。
【0250】
ヌクレオチド間連結
本明細書に記載の核酸分子のモノマーは連結基を介して結合される。適切には、各モノマーは、3'隣接モノマーに連結基を介して連結される。
【0251】
当業者であれば、本発明の文脈において、核酸分子の末端の5'モノマーは5'連結基を含まないが、5'末端基を含んでいてもよく、または含まなくてもよいことを理解するであろう。
【0252】
「連結基」または「ヌクレオチド間連結」なる用語は、2つのヌクレオシドを一緒に共有結合することができる基を意味することが意図される。具体的かつ好ましい例には、ホスフェート基およびホスホロチオエート基が含まれる。
【0253】
本発明の核酸分子のヌクレオシドまたはその連続ヌクレオチド配列を、連結基を介して一緒に結合する。適切には、各ヌクレオシドを、連結基を介して3'隣接ヌクレオシドに連結する。
【0254】
適切なヌクレオチド間連結には、WO2007/031091内に挙げられているもの、例えば、WO2007/031091(参照により本明細書に組み入れられる)の34ページの最初のパラグラフに挙げられているヌクレオチド連結が含まれる。
【0255】
いくつかの態様において、ヌクレオチド間連結をその通常のホスホジエステルからヌクレアーゼの攻撃に対してより抵抗性のもの、例えばホスホロチオエートまたはボラノホスフェートへと修飾することが好ましく−これら2つの連結はRNアーゼHによって切断可能であり、標的遺伝子の発現を低減する際のアンチセンス阻害の経路も可能にする。
【0256】
本明細書において提供される適切な硫黄(S)含有ヌクレオチド間連結が好ましいこともある。ホスホロチオエートヌクレオチド間連結も、特にギャップマーのギャップ領域(B)のために好ましい。ホスホロチオエート連結を、フランキング領域(AとA'、およびAまたはA'をLに連結するため、ならびに適宜領域L内)に対して用いてもよい。
【0257】
しかし、領域A、BおよびA'は、特にヌクレオチド類縁体の使用が領域AおよびA'内のヌクレオチド間連結をエンドヌクレアーゼ分解から保護する場合、例えば領域AおよびA'がLNAヌクレオチドを含む場合には、ホスホジエステル連結などの、ホスホロチオエート以外のヌクレオチド間連結を含んでいてもよい。
【0258】
核酸分子内のヌクレオチド間連結は、標的とされるRNAのRNアーゼHによる切断を可能にするために、ホスホジエステル、ホスホロチオエートまたはボラノホスフェートであってもよい。ヌクレアーゼ抵抗性の改善および製造の容易さなどの他の理由のために、ホスホロチオエートが好ましい。
【0259】
本発明の核酸分子の1つの局面において、ヌクレオシドおよび/またはヌクレオシド類縁体をホスホロチオエート基により互いに連結する。
【0260】
1つまたは2つの連結などのホスホジエステル連結を、特にはヌクレオチド類縁体ユニット(典型的には領域AおよびまたはA')の間またはそれに隣接して、それ以外はホスホロチオエート核酸分子に包含することで、核酸分子のバイオアベイラビリティおよび/または生体分布を改変し得ることが理解され−WO2008/113832を参照されたく、参照により本明細書に組み入れられる。
【0261】
前述の態様などの、いくつかの態様において、適切で、具体的に示されていない場合、すべての残りの連結基はホスホジエステルもしくはホスホロチオエート、またはその混合物のいずれかである。
【0262】
いくつかの態様において、すべてのヌクレオチド間連結基はホスホロチオエートである。
【0263】
本明細書において提供するものなどの、具体的なギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチド配列に言及する場合、様々な態様において、連結がホスホロチオエート連結である場合、特にLNAなどのヌクレオシド類縁体ユニット間の連結のために、本明細書において開示するものなどの代替連結を用いてもよく、例えば、ホスフェート(ホスホジエステル)連結を用いてもよいことが理解されるであろう。同様に、本明細書において提供するものなどの、具体的なギャップマーオリゴヌクレオチド配列に言及する場合、C残基が5'メチル修飾シトシンと注釈が付けられている場合、様々な態様において、核酸分子内に存在するCの1つまたは複数は非修飾C残基であってもよい。
【0264】
WO2009/124238は、中性ヌクレオシド間連結により3'または5'末端に連結された少なくとも1つの二環式ヌクレオシドを有するオリゴマー化合物に言及している。したがって、本発明の核酸分子は、1つまたは複数のホスホトリエステル、メチルホスホネート、MMI、アミド-3、ホルムアセタールまたはチオホルムアセタールなどの、中性ヌクレオシド間連結により3'または5'末端に連結された少なくとも1つの二環式ヌクレオシドを有してもよい。残りの連結はホスホロチオエートであってもよい。
【0265】
組成物
本発明の化合物を、薬学的製剤および組成物中で用いてもよい。適切には、そのような組成物は薬学的に許容される希釈剤、担体、塩または補助剤を含む。WO2007/031091は、適切かつ好ましい薬学的に許容される希釈剤、担体および補助剤を提供しており−これは参照により本明細書に組み入れられる。適切な用量、製剤、投与経路、組成物、剤形、他の治療剤との組み合わせ、プロドラッグ製剤もWO2007/031091において提供され−これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0266】
適用
本発明の化合物を、例えば、診断、治療および予防のための研究試薬として用いてもよい。
【0267】
治療において、本発明の化合物を、細胞内での標的タンパク質の合成を特異的に調節するために(典型的には、mRNAを分解または阻害し、それによりタンパク質生成を防止することにより)用いてもよい。
【0268】
または、治療において、本発明の化合物を、細胞および実験動物において、細胞内のメカニズムに対して調節効果を発揮する非コードDNAまたはRNA分子を調節し、それにより標的の機能分析または治療的介入のための標的としてのその有用性の評価を容易にするために用いてもよい。
【0269】
好ましい態様において、細胞は、肝臓細胞および精巣細胞、特に肝細胞およびライディッヒ細胞などの、表面上にアシアロ糖タンパク質受容体(ASPGR)を含む細胞である。
【0270】
治療のために、ヒト標的ポリペプチドなどの哺乳動物標的ポリペプチドをコードするDNAもしくはRNAを調節することにより、またはウイルス感染メカニズム、RNAサイレンシングもしくは遺伝子発現の転写後調節などの細胞内のメカニズムに対して調節効果を発揮する非コードDNAもしくはRNA分子を調節することにより、軽減または処置し得る疾患または障害を有することが疑われる、動物またはヒト。非コードRNA分子は、例えば、マイクロRNAであり得る。好ましい態様において、標的核酸は遺伝子、メッセンジャーRNA(mRNA)またはマイクロRNA(miRNA)である。
【0271】
さらに提供するのは、疾患または障害を有する、または罹りやすいことが疑われる、ヒトの処置法などの、哺乳動物の処置法であって、本発明の化合物または組成物の1つまたは複数の治療的または予防的有効量を投与する段階を含む方法である。典型的には、本発明の核酸結合体または薬学的組成物を有効量で投与する。
【0272】
特に、式(III)の化合物を本発明の適用において用いてもよい。
【0273】
本発明は、標的核酸の調節によって影響を受ける障害の処置用医薬の製造のため、または障害の処置法のための、前述の本発明の化合物または結合体の使用も提供する。
【0274】
本発明は、障害の処置法であって、本発明の化合物および/または本発明の薬学的組成物を、その必要がある患者に投与する段階を含む方法も提供する。
【0275】
処置する障害の例は、肝炎(HBVまたはHCVなどのウイルス肝炎を含む)、脂肪肝などの肝疾患、粥状動脈硬化、高脂血症、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、例えば、アポリポ蛋白Bにおける機能変異の獲得、HDL/LDLコレステロール不均衡、脂質代謝異常、例えば、家族性高脂血症(FCHL)、後天性高脂血症、スタチン抵抗性高コレステロール血症、冠動脈疾患(CAD)、および冠動脈心疾患(CHD)、硬変症ならびに癌である。
【0276】
本発明を、以下の実施例によってさらに例示する。
【実施例】
【0277】
実施例1:GalNAcホスホラミダイトの合成
ベータ-GalNAcホスホラミダイトの合成
段階1
塩化tert-ブチルジフェニルシリル(TBDPSCl)(2.6mL、10mmol)をエチレングリコール(3.4mL、60.7mmol)およびピリジン(3.4mL、42.2mmol)の混合物に室温で滴加した。3.5時間撹拌した後、反応混合物をEtOAc(50mL)で希釈した。有機相を水(30mL)、20%NaHCO
3(30mL)、食塩水(30mL)で抽出し、Na
2SO
4で乾燥し、蒸発させた。残渣をDCVCクロマトグラフィ(溶離剤EtOAc/ヘキサン10%〜25%)で精製した。生成物(TBDPSグリコール)を白色固体で単離した、2.54g、収率84%。
【0278】
段階2
30mL DCM中の過アセチル化ガラクトサミン(1.63g、4.17mmol)の懸濁液に、TMSOTf(1.90mL、10.4mmol)を加え、反応混合物を40〜45℃で5時間撹拌した。さらなるTMSOTf(0.30mL 2.8mmol)を加え、反応混合物をさらに16時間撹拌した。次いで、反応をNEt
3(0.90mL)により0℃で停止し、DCMで希釈し、冷飽和NaHCO
3(2×100mL)、食塩水(50mL)で抽出し、Na
2SO
4で乾燥し、蒸発させた。生成物1を黄色油状物で単離した、1.40g、粗収率。
【0279】
段階3
1(1.40g、4.17mmol)およびTBDPSグリコール(1.08g、1.60mmol)を20mL DCEに溶解した。カンファースルホン酸(CSA)(84mg、0.36mmol)を加え、反応混合物を70〜75℃で2時間撹拌した。さらなるCSA(84mg、0.36mmol)を加え、反応混合物を70〜75℃でさらに2時間撹拌した。NEt
3(80μL)を反応混合物に室温で加え、次いでDCM(20mL)で希釈した。混合物を飽和NaHCO
3(100mL)、水(100mL)、食塩水(50mL)で洗浄し、有機相をNa
2SO
4で乾燥し、蒸発させた。得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(溶離剤:EtOAc/ヘキサン30%〜50%)で精製した。生成物を白色泡状物で単離した(1.59g、収率70%)、
1H-NMRおよびMS、HPLC 99%。
【0280】
段階4
NEt
3*3HF(1.2mL、7.4mmol)を12mL THF中の2(776mg、1.23mmol)およびNEt
3(0.44mL、3.07mmol)の溶液に加えた。反応混合物を室温で20時間撹拌し、次いで蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィ(溶離剤MeOH/DCM 4%〜10%)で精製した。3を白色固体で単離した、416mg、収率86%、
1H-NMR。
【0281】
段階5
DCM(60mL)およびMeCN(4mL)中の3(1.51g、3.87mmol)の溶液に、MeCN(2mL)中のDCI(320g、2.71mmol)の溶液を加え、続いてDCM(2.5mL)中のPN2(1.42g、4.47mmol)の溶液を加えた。反応混合物を室温で4時間撹拌した。DCM(30mL)を加え、反応混合物をNaHCO
3(2×100mL)、水/食塩水 1/1(50mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィ(溶離剤DCM+3%NEt
3)で精製し、次いで第二のカラムクロマトグラフィ(EtOAc/ヘキサン)で精製した。
【0282】
生成物を黄色油状物で単離した(1.02g、収率44%)。
図3a〜cも参照されたい。
【0283】
TEGベータ-GalNAcホスホラミダイトの合成:
段階6
TBDPSCl(9.1mL、35mmol)をエチレングリコール(28.4mL、210mmol)およびピリジン(11.3mL)の混合物に室温で滴加した。2時間撹拌した後、反応混合物をEtOAc(150mL)で希釈し、水(100mL)、食塩水(100ml)で抽出し、Na
2SO
4で乾燥し、蒸発させた。残渣をDCVCクロマトグラフィ(溶離剤EtOAc/ヘキサン10%〜30%)で精製した。TBDPSトリエチレングリコールを粘稠油状物で単離した、10.7g、収率79%。
【0284】
段階7
DCE(130mL)中の1(約7.4g、20.6mmol)およびTBDPSトリエチレングリコール(6.68g、17.2mmol)の混合物に、カンファースルホン酸(CSA、0.40、1.72mmol)を加え、反応混合物を70〜75℃で18時間撹拌した。NEt
3(0.48mL)を反応混合物に室温で加え、次いでDCM(80mL)で希釈し、飽和NaHCO
3(2×100mL)、水(100mL)、食塩水(100mL)で抽出し、Na
2SO
4で乾燥し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィ(溶離剤EtOAc/ヘキサン66%〜80%)で精製した。2をわずかに黄色の油状物で単離した、8.90g、
1H-NMR、MS [M+1]
+ 718、HPLC純度95%、収率69%。
【0285】
段階8
THF(125mL)中の2(8.90g、12.4mmol)の溶液に、NEt
3(4.3mL、31mmol)およびNEt
3 3HF(12mL、74mmol)を加えた。反応混合物お室温で24時間撹拌し、次いで蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィ(溶離剤MeOH/DCM 4%〜9%)で精製した。3をわずかに黄色の油状物で単離した、4.40g、
1H-NMR、収率71%。
【0286】
段階9
DCM(100mL)およびMeCN(3.5mL)中の3(4.4g、9.18mmol)の溶液に、MeCN(6mL)中のDCIの溶液と、続いてDCM(5mL)中のPN2(3.18、10.6mmol)の溶液を加えた。反応混合物を室温で22時間撹拌した(完全な変換ではなかった)。DCM(45mL)を加え、反応混合物をNaHCO
3(2×100mL)、水/食塩水 1/1(50mL)で抽出し、Na
2SO
4で乾燥し、蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィ(溶離剤EtOAc/ヘキサン1/4+9%NEt
3)で精製した。1.52gの3を再生し、同じ方法(PN
2 1.09g 3.64.6mmol、0.26g 2.22mmol、DCM 35mL、MeCN 3.5mL、反応時間24時間)で4に変換し、一回目のクロマトグラフィからの不純分画と共に精製した。4をわずかに黄色の油状物で単離した、2.45g 収率38%。
図3d〜eも参照されたい。
【0287】
GalNAcホスホラミダイトのアノマー混合物の代替合成
塩化アセチルを、DMF中のNAcGalおよびTBDPSグリコールの溶液に0℃で滴加する。反応混合物を70℃で完了するまで撹拌する。反応混合物を0℃まで冷却し、過剰の無水ピリジンで反応停止する。反応混合物を室温に戻し、過剰の無水酢酸を加える。混合物を完了するまで撹拌する。Medina et al, Biomaterials 32 (2011), 4118-4129(参照により本明細書に組み入れられる)。
【0288】
この組成物を上の反応段階4および5にかけて、GalNAcホスホラミダイトのアノマー混合物、すなわちアルファ-およびベータ-GalNAcの両方を含む混合物を得ることができる。アルファ-GalNAcホスホラミダイトが望まれる場合、これをアノマー混合物から精製することができる。
【0289】
実施例2:GalNAcホスホラミダイトの組み込みを用いてのオリゴヌクレオチドの合成
オリゴヌクレオチドを、NittoPhase Unylinker 200支持体上でホスホラミダイトアプローチを用い、20μmolのスケールで合成した。合成終了時に、オリゴヌクレオチドを固体支持体から、濃水酸化アンモニウムを用い、60℃、16時間で切断した。オリゴヌクレオチドを逆相HPLCにより精製し、UPLCで特徴付け、さらに分子質量をESI-MSで確認した。
【0290】
オリゴヌクレオチドの伸長:
β-シアノエチル-ホスホラミダイト(DNA-A(Bz)、DNA-G(ibu)、DNA-C(Bz)、DNA-T、LNA-5-メチル-C(Bz)、LNA-A(Bz)、LNA-G(dmf)、LNA-T、GalNAcホスホラミダイトXおよびYならびにスペーサーホスホラミダイトC3およびスペーサー18(Glen Research、Sterling、VA)の連結を、アセトニトリル中0.1Mのホスホラミダイトおよび活性化剤としてのアセトニトリル中のDCI(4,5-ジシアノイミダゾール)(0.25M)の溶液を用いて実施した。ホスホロチオエート連結の導入のためのチオール化を、水素化キサンタン(アセトニトリル/ピリジン9:1中0.01M)を用いて実施した。ホスホルジエステル(phosphordiester)連結をTHF/ピリジン/水7:2:1中0.02Mヨウ素を用いて導入した。残りの試薬はオリゴヌクレオチド合成に典型的に用いられるものであった。
【0291】
RP-HPLCによる精製
粗製化合物をPhenomenex Jupiter C18 10μ 150×10mmカラムでの分取逆相HPLCにより精製した。0.1M酢酸アンモニウムpH8およびアセトニトリルを緩衝液として流速5mL/分で用いた。集めた分画を凍結乾燥して、精製化合物を典型的には白色固体で得た。
【0292】
表1のGalNac-核酸化合物を、以下のオリゴヌクレオチド配列5'G
mCattggtatT
mCA-3'(SEQ ID NO: 1)または5'caG
mCattggtatT
mCA-3'(SEQ ID NO: 2)を用いて合成した。SEQ ID NO: 1中のすべての連結はホスホチオエート連結であった。SEQ ID NO: 2では、最初の2つのヌクレオシド(ca)はホスホジエステル連結により連結され、残りの連結はホスホチオエート連結である。大文字はLNAモノマーを示し(
mCは5-メチルシトシンLNAモノマーである)、小文字はDNAモノマーである。
【0293】
(表1)
【0294】
対照化合物はSEQ ID NO: 1の非結合オリゴヌクレオチドである(すなわち、いかなるGalNAc部分も連結していない)。GalNAc2化合物は以下に示すGalNAc2クラスターに連結したSEQ ID NO: 1であり、オリゴヌクレオチドは波線で示され、ホスホチオエート基でGalNAc2作成物に連結されている。GalNAc2クラスターに結合したオリゴヌクレオチドはWO 2014/118267に記載されており、この化合物はWO 2014/076196(参照により本明細書に組み入れられる)中のSEQ ID NO: 20に対応している。
【0295】
実施例3:インビボでのGalNAc-結合体によるApoB mRNAのノックダウンおよび総コレステロール
異なるGalNAc作成物の効果を比較するために、C57BL6/Jマウスに単一用量の食塩水または0.25mg/kg GalNAc2クラスター結合LNA-アンチセンスオリゴヌクレオチド(GalNAc2)もしくは等モル量の本発明のGalNAc作成物に結合したLNAアンチセンスオリゴヌクレオチド(
図6E、I、MおよびN)もしくは非結合LNAアンチセンスオリゴヌクレオチド(詳細は実施例2、表1参照)をsc注射し、第10日に屠殺して、肝臓および腎臓を単離した。
【0296】
各化合物を、体重約20gのマウス5匹を含む動物群で試験した。血清試料を第3および7日に採取し(50μL/マウス)、屠殺時に全血清を回収して、以下のプロトコルに記載のとおり、総血清コレステロールを判定した。結果を
図8に示す。
【0297】
屠殺時にRNAを肝臓および腎臓から単離し、ApoB特異的プライマーを用いてのqPCRにかけ、以下のプロトコルに記載のとおり、ApoB mRNAノックダウンについて分析するために用いた。結果を
図7に示す。
【0298】
結論:
すべてのGalNAc結合LNAオリゴヌクレオチドは、非結合ApoB標的LNAオリゴヌクレオチドに比べて、ApoB mRNAの肝臓におけるノックダウンの改善を示した(
図7)。GalNAcホスホラミダイトにより作成した新しい化合物(
図6E、I、MおよびN)はすべて標的mRNA(ApoB mRNA)に対して、GalNAc2クラスター(GalNAc2)に匹敵する効果を示し、異なるリンカー長およびGalNAc結合部分の設計はASGP受容体によって許容されることを示している。腎臓におけるApoB mRNAのダウンレギュレーション(
図7B)は、GalNAc結合化合物(
図6E、I、MおよびNならびにGalNAc2)よりも非結合LNAオリゴヌクレオチド(対照)で高く、予想どおりGalNAc部分はLNAオリゴヌクレオチドの肝臓取り込みを改善し、腎臓取り込みを低下させることを示唆している。総コレステロールレベルを低下させる効果(
図8)は、非結合LNAオリゴヌクレオチドに比べて、すべてのGalNAc結合LNAオリゴヌクレオチドで改善されている。
【0299】
材料と方法:
ApoB mRNAノックダウンの分析
動物を70%CO
2−30%O
2で麻酔し、頚椎脱臼により屠殺した。大きい肝葉の半分および一方の腎臓を刻み、RNAlater中に浸漬した。
【0300】
全RNAを最大30mgの組織/試料から抽出し、溶解緩衝液(MagnaPure LC RNA Isolation Tissue buffer (#03604721001; Roche))存在下、製造者の指示に従って、ビーズ粉砕によりホモジナイズした。RNAをMagnaPure 96 System; Rocheで、Cellular RNA Large Volume Kit (#05467535001; Roche)を用い、製造者の標準プロトコルを用いて精製した。第一鎖合成をAmbionからの逆転写酵素試薬を製造者の指示に従い用いて実施した。
【0301】
各試料に対し、0.5μgの全RNAをRNアーゼを含まないH
2Oで(10.8μl)に調節し、2μlのランダムデカマー(50μM)および4μlのdNTPミックス(各dNTP 2.5mM)と混合し、70℃で3分間加熱した後、試料を氷上で急速に冷却した。2μlの10×Buffer RT、1μlのMMLV逆転写酵素(100U/μl)および0.25μlのRNアーゼ阻害剤(10U/μl)を各試料に加え、続いて42℃で60分間インキュベートし、酵素を95℃で10分間熱失活させ、次いで試料を4℃まで冷却した。cDNA試料を1:5希釈し、Taqman Fast Universal PCR Master Mix 2x(Applied Biosystems Cat #4364103)およびTaqman gene expression assay(mApoB, Mn01545150_m1 and mGAPDH #4352339E)を製造者の指示に従い用いてRT-QPCRにかけ、Applied Biosystems RT-qPCR機器(7500/7900またはViiA7)のファストモードで処理した。
【0302】
血清コレステロール分析:
屠殺直前に、血清調製のために後眼窩静脈叢血をS-monovette Serum-Gelバイアル(Sarstedt、Numbrecht、Germany)を用いて採取した。血清を総コレステロールについてABX Pentra Cholesterol CP(Triolab、Brondby、Denmark)を製造者の指示に従い用いて分析した。
【0303】
項目
本発明は、以下の項目によってさらに特徴付けられる。
【0304】
項目1:
一般式(I):
を有する化合物であって、式中、
NR'R''が二級アミノ基であり、ここでR'およびR''は独立にC
1〜C
6-アルキルから選択されるか、またはR'およびR''は一緒に5もしくは6員環を形成し、これは置換されていてもよく、かつNおよびOから選択される1つのさらなるヘテロ原子を含んでいてもよく;
AがC
1〜C
6-アルキル基または保護ヒドロキシ-もしくはチオ-基であり;かつ
Gが一般式(II):
で表され、式中、
A
1が適切なヒドロキシル保護基であり、これは各出現時に同じであっても、または異なっていてもよく;かつ
Lが、C
6アルキレンではないC
3〜C
19-アルキレン、C
2〜C
30-アルケニレン、-CH
2CH
2-(OCH
2CH
2)
0-4-OCH
2CH
2-およびCH
2CH
2-(OCH
2CH
2)
6-8-OCH
2CH
2からなる群より選択されるリンカー基である、化合物。
【0305】
項目2:
リンカー基LがC
7〜C
19-アルキレン、C
2〜C
20-アルケニレン、および-CH
2CH
2-(OCH
2CH
2)
0-3-OCH
2CH
2-からなる群より選択される、項目1記載の化合物。
【0306】
項目3:
リンカー基Lが-(CH
2)
2-、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-(CH
2)
5-、、-(CH
2)
7-、-(CH
2)
8-、-(CH
2)
9-、-(CH
2)
10-、-(CH
2)
11-、-(CH
2)
12-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
2OCH
2CH
2-からなる群より選択される、項目1または2に記載の化合物。
【0307】
項目4:
リンカー基Lが-(CH
2)
2-、-(CH
2)
3-、および-(CH
2)
8-からなる群より選択される、項目1〜3のいずれかに記載の化合物。
【0308】
項目5:
リンカー基LがCH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
2OCH
2CH
2-からなる群より選択される、項目1〜3のいずれかに記載の化合物。
【0309】
項目6:
GalNAc部分がベータ配置である、項目1〜5のいずれかに記載の化合物。
【0310】
項目7:
二級アミノ基-NR'R''がジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、2,6-ジメチルピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリルおよび4-メチルイミダゾリルからなる群より選択される、項目1〜6のいずれかに記載の化合物。
【0311】
項目8:
Aが2-シアノエトキシ、2-シアノエチルチオ、メトキシ、エトキシ、S-イソブタノイル-2-(2-メルカプトエトキシ)エトキシ、S-ピバロイル-2-(2-メルカプトエトキシ)エトキシ、S-ピバロイル-2-メルカプトエトキシ、メチルおよびエチルからなる群より選択される、項目1〜7のいずれかに記載の化合物。
【0312】
項目9:
ヒドロキシル保護基A
1がアシル基およびシリル基から、好ましくはアセチル、ベンゾイル、フェノキシ-アセチル、ピバロイル、ジメトキシトリチル(DMT)、イソブチリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリルおよびイソプロピルジメチルシリルからなる群より選択される、項目1〜8のいずれかに記載の化合物。
【0313】
項目9a:
糖の6位のヒドロキシル保護基A
1がジメトキシトリチル(DMT)である、項目1〜9のいずれかに記載の化合物。
【0314】
項目10:
Aが-O-CH
2CH
2CNであり、A
1がアセチルであり、R'およびR''がそれぞれイソプロピルであり、かつLが-(CH
2)
2-、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-(CH
2)
5-、-(CH
2)
6-、-(CH
2)
7-、-(CH
2)
8-、-(CH
2)
9-、-(CH
2)
10-、-(CH
2)
11-、-(CH
2)
12-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
2OCH
2CH
2-からなる群より選択され、好ましくは-(CH
2)
2-および-(CH
2)
3-から選択される、項目1〜9aのいずれかに記載の化合物。
【0315】
項目11:
一般式(III):
を有する化合物であって、式中、
Zが核酸分子であり;
Tが一般式(IV)または一般式(VI):
で表され、式中、
R
2がHまたは-(CH
2)
q-R
1を表し、
R
1およびR
3が各出現時に一般式(V):
で表され、式中、各出現時に独立に、
Vが-O-、-NH-CO-および-CO-NH-から選択され;
Wが-(CH
2)
2-15-および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
0-4OCH
2CH
2-からなる群より選択され;
YがOまたはSであり;
mが1〜3の整数であり;
nが0〜5の整数であり;
pが0〜3の整数であり;かつ
qが1〜2の整数であり;
rが1〜5の整数であり;
前記式(V)中、および式(VI):
中、各出現時に独立に、
sが0または1であり
Gが一般式(II)':
で表され、式中、
A
1がHまたは適切なヒドロキシル保護基であり、これは各出現時に同じであっても、または異なっていてもよく;かつ
LがC
2〜C
20-アルケニレン、-CH
2CH
2-(OCH
2CH
2)
0-6-OCH
2CH
2、-(CH
2)
2-、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-(CH
2)
5-、-(CH
2)
7-、-(CH
2)
8-、-(CH
2)
9-、-(CH
2)
10-、-(CH
2)
11-、-(CH
2)
12-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
2OCH
2CH
2-からなる群より選択され;かつ
式(III)、(V)および(VI)中、各出現時に独立に
X
1が-OHであり、かつX
2が=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1が-O
-であり、かつX
2が=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1が=Oであり、かつX
2が-CH
3、-OR、-NHR、および-BH
3から選択され、ここで
Rが各出現時に独立にC
1〜C
6アルキル基であるか、または
X
1が=Sであり、かつX
2が-CH
3および-SHから選択され、
ここで式(VI)中の、R1、R3、またはR2がHでない場合のR2におけるリンカーLの最初の原子で始まり、式(IV)中、またはTが式(VI)で表される場合の核酸分子中の連結点で終わる連続鎖が、最短で8原子の長さおよび最長で30原子の長さを有する、化合物。
【0316】
項目12:
sが1である、項目11記載の化合物。
【0317】
項目13:
sが0である、項目11記載の化合物。
【0318】
項目14:
Tが式(VI)で表され、かつsが0である、項目11記載の化合物。
【0319】
項目15:
式(II')中のGalNAc部分がベータ配座である、項目11〜14のいずれかに記載の化合物。
【0320】
項目16:
Wが-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
4OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2-、および-(CH
2)
12-からなる群より選択される、項目11〜15のいずれかに記載の化合物。
【0321】
項目17:
各出現時に独立に、
X
1が-OHであり、かつX
2が=Oであるか、または
X
1がO
-であり、かつX
2が=Oであるか、または
X
1が-OHであり、かつX
2が=Sであるか、または
X
1がO
-であり、かつX
2が=Sであるか、または
X
1が=Sであり、かつX
2が-SHである、項目11〜16のいずれかに記載の化合物。
【0322】
項目18:
式(IV):
中のR
1、R
3、またはR
2がHでない場合のR
2におけるリンカーLの最初の原子で始まり、分枝点炭素原子で終わる連続鎖が0〜23原子の長さを有する、項目11〜17のいずれかに記載の化合物。
【0323】
項目19:
核酸分子がDNA、RNAおよび核酸類縁体分子から、特にアンチセンスオリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA、およびマイクロRNAから選択される、項目11〜18のいずれかに記載の化合物。
【0324】
項目20:
核酸分子がロックド核酸ヌクレオチドを含む、項目11〜19のいずれかに記載の化合物。
【0325】
項目21:
核酸分子が1つまたは複数のホスホロチオエートまたはボラノホスフェートヌクレオシド間連結を含む、項目11〜20のいずれかに記載の化合物。
【0326】
項目22:
すべてのDNAおよびRNAヌクレオシドがホスホロチオエートまたはボラノホスフェートで連結されている、項目11〜21のいずれかに記載の化合物。
【0327】
項目23:
核酸分子中のすべてのヌクレオシドおよび/またはヌクレオシド類縁体がホスホロチオエートまたはボラノホスフェートで連結されている、項目11〜22のいずれかに記載の化合物。
【0328】
項目24:
核酸分子の5'末端がGalNAc結合部分に結合されている、項目11〜23のいずれかに記載の化合物。
【0329】
項目25:
POリンカーが核酸とGalNAc結合部分との間に配置される、項目11〜24のいずれかに記載の化合物。
【0330】
項目26:
アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)に結合することができる、項目11〜25のいずれかに記載の化合物。
【0331】
項目27:
項目1〜9のいずれかに記載の化合物を調製するための方法であって、以下の段階を含む、方法:
(i)N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)の炭素原子1と2との間で内部オキサゾリン環を立体選択的に形成する段階;
(ii)段階(i)の生成物を、
一般式HO-L-O-A
3を有し、式中、
A
3が適切な保護基であり、かつ
Lが-(CH
2)
2-、-(CH
2)
3-、-(CH
2)
4-、-(CH
2)
5-、-(CH
2)
7-、-(CH
2)
8-、-(CH
2)
9-、-(CH
2)
10-、-(CH
2)
11-、-(CH
2)
12-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
2OCH
2CH
2-からなる群より選択されるリンカー基である
化合物
と反応させ、それによりGalNAc環の炭素原子1でエーテル結合を形成する段階;
(iii)段階(ii)の生成物の-O-A
3基を脱保護し、それにより脱保護-OH基を提供する段階、
(iv)段階(iii)の生成物をホスホルジアミダイトと反応させ、それにより項目1〜9のいずれかに記載の化合物を提供する段階。
【0332】
項目28:
核酸結合体を調製するための方法であって、以下の段階:
(i)固体支持体上の核酸分子を提供する段階;
(ii)ホスホラミダイト化学を用いて分枝分子を核酸分子に任意で付加する段階であり、ここで付加後の該分枝分子が、好ましくは一般式(IVa):
で表される構造をもたらし、式中、
A
4が適切な保護基であり;
V
1が-O-、-NH-CO-および-CO-NH-から選択され;
V
2が存在しないか、または-O-、-NH-CO-および-CO-NH-から選択され;
V
3が-O-、-NH-CO-および-CO-NH-から選択され;
X
1が-OHであり、かつX
2が=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1がO
-であり、かつX
2が=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1が=Oであり、かつX
2が-CH
3、-SH、-OR、-NHR、および-BH
3から選択され、ここでRが各出現時に独立にC
1〜C
6アルキル基であるか、または
X
1が=Sであり、かつX
2が-CH
3および-SHから選択され;
mが1〜3の整数であり;
nが0〜5の整数であり;
pが0〜3の整数であり;かつ各出現時に独立に
qが1〜2の整数であり;
q'が0〜2の整数であり;かつ
rが1〜5の整数であり;
ただしV
2が存在しない場合、q'は0であり、かつ式(IVa)中のV
2に連結された-(CH
2)
r-OA
4も存在しないことを条件とする、段階;
(iii)ホスホラミダイト化学を用いてスペーサーホスホラミダイト分子を分枝分子の分枝のそれぞれに任意で付加する段階であり、ここで付加後の該スペーサー分子が、好ましくは一般式(Va):
で表される構造をもたらし、式中、各出現時に独立に、
A
5が適切な保護基であり;
Wが-(CH
2)
2-15-および-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
0-4OCH
2CH
2-からなる群より選択され;
X
1が-OHであり、かつX
2が=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1がO
-であり、かつX
2が=Oおよび=Sから選択されるか、または
X
1が=Oであり、かつX
2が-CH
3、-SH、-OR、-NHR、および-BH
3から選択され、ここでRが各出現時に独立にC
1〜C
6アルキル基であるか、または
X
1が=Sであり、かつX
2が-CH
3および-SHから選択される、段階;
(iv)分枝分子が存在しない場合、項目1〜9のいずれかに記載の化合物を核酸分子の反応性末端と反応させ、または分枝分子が存在し、かつスペーサーが存在しない場合、項目1〜9のいずれかに記載の化合物を分枝のそれぞれの反応性末端と反応させ、またはスペーサーが存在する場合、項目1〜9のいずれかに記載の化合物をスペーサーのそれぞれの反応性末端と反応させる段階;および
(v)段階(iv)の生成物を固体支持体から切断する段階
を含み、ここで項目1〜9のいずれかに記載の化合物におけるリンカーLの最初の原子で始まり、式(IVa)中の連結点または核酸分子中の連結点で終わる連続鎖が、最短で8原子の長さおよび最長で30原子の長さを有する、方法。
【0333】
項目29:
核酸分子がDNA、RNAおよび1つまたは複数のヌクレオシド類縁体を含む分子から選択され、特に核酸分子がアンチセンスオリゴヌクレオチド、ギャップマー、低分子干渉RNA、およびマイクロRNAから選択される、項目28記載の方法。
【0334】
項目30:
核酸分子がロックド核酸ヌクレオチドを含む、項目28または29のいずれかに記載の方法。
【0335】
項目31:
核酸分子が1つまたは複数のホスホロチオエートまたはボラノホスフェートヌクレオシド間連結を含む、項目28〜230のいずれかに記載の方法。
【0336】
項目32:
すべてのDNAおよびRNAヌクレオシドがホスホロチオエートまたはボラノホスフェートで連結されている、項目28〜31のいずれかに記載の方法。
【0337】
項目33:
核酸分子中のすべてのヌクレオシドおよび/またはヌクレオシド類縁体がホスホロチオエートまたはボラノホスフェートで連結されている、項目28〜32のいずれかに記載の方法。
【0338】
項目34:
分枝分子、スペーサー分子または項目1〜9のいずれかに記載の化合物を核酸分子の5'末端と反応させる、項目28〜33のいずれかに記載の方法。
【0339】
項目35:
POリンカーを核酸分子と分枝分子、スペーサー分子または項目1〜9のいずれかに記載の化合物との間に配置する、項目28〜34のいずれかに記載の方法。
【0340】
項目36:
分枝分子が下記:
1,3-ビス-[5-(4,4'-ジメトキシトリチルオキシ)ペンチルアミド]プロピル-2-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)] ホスホラミダイト;
トリス-2,2,2-[3-(4,4'-ジメトキシトリチルオキシ)プロピルオキシメチル]エチル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト;および
トリス-2,2,2-[3-(4,4'-ジメトキシトリチルオキシ)プロピルオキシメチル]メチレンオキシプロピル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト
からなる群より選択される、項目28〜35のいずれかに記載の方法。
【0341】
項目37:
スペーサーホスホラミダイト分子が一般式(VII):
で表され、式中、A
2が適切な保護基、好ましくは-CH
2CH
2CNであり、A
6が適切な保護基、例えば4',4'-ジメトキシトリチルであり、かつR
4が-CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
4OCH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2-、および-(CH
2)
12-からなる群より選択され;かつ
NR'R''が二級アミノ基であり、ここでR'およびR''が独立にC
1〜C
6-アルキルから選択されるか、またはR'およびR''が一緒に5もしくは6員環を形成し、これは置換されていてもよく、かつNおよびOから選択される1つのさらなるヘテロ原子を含んでいてもよい、項目28〜36のいずれか一項記載の方法。
【0342】
項目38:
項目10〜26のいずれかに記載の化合物の調製のための、項目1〜9のいずれかに記載の化合物の使用。
【0343】
項目39:
医薬としての項目10〜26のいずれかに記載の化合物の使用。
【0344】
項目40:
肝臓mRNA標的の低減における使用のための、項目10〜26のいずれかに記載の化合物。
【0345】
項目41:
肝疾患の処置における使用のための、項目10〜26のいずれかに記載の化合物。
【0346】
項目42:
代謝疾患もしくは障害、または肝疾患もしくは障害の処置における使用のための、項目10〜26のいずれかに記載の化合物。特に、肝炎(HBVまたはHCVなどのウイルス肝炎を含む)、脂肪肝(代謝機能不全を含む)、粥状動脈硬化、高脂血症、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、例えば、アポリポ蛋白Bにおける機能変異の獲得、HDL/LDLコレステロール不均衡、脂質代謝異常、例えば、家族性高脂血症(FCHL)、後天性高脂血症、スタチン抵抗性高コレステロール血症、冠動脈疾患(CAD)、および冠動脈心疾患(CHD)、急性冠症候群(ACS)、肝線維症(または肝線維症に関連する疾患)、硬変症ならびに癌などの疾患の処置のため。
【0347】
項目43:
処置の方法であって、ヒトまたは動物に有効量の項目10〜26のいずれかに記載の化合物を投与する段階を含む方法。