特許第6626103号(P6626103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6626103回収可能かつリサイクル可能なメソポア−鋳型剤を含むメソポーラス・ミクロポーラス結晶質材料の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626103
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】回収可能かつリサイクル可能なメソポア−鋳型剤を含むメソポーラス・ミクロポーラス結晶質材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/24 20060101AFI20191216BHJP
【FI】
   C01B39/24
【請求項の数】26
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2017-521297(P2017-521297)
(86)(22)【出願日】2015年7月3日
(65)【公表番号】特表2017-527520(P2017-527520A)
(43)【公表日】2017年9月21日
(86)【国際出願番号】EP2015065174
(87)【国際公開番号】WO2016005277
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2018年7月3日
(31)【優先権主張番号】14290200.6
(32)【優先日】2014年7月11日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】15161176.1
(32)【優先日】2015年3月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504469606
【氏名又は名称】トタル リサーチ アンド テクノロジー フエリユイ
(73)【特許権者】
【識別番号】505252333
【氏名又は名称】サントル・ナシヨナル・ド・ラ・ルシエルシユ・シヤンテイフイク
(74)【代理人】
【識別番号】100092277
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100155446
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 洋
(72)【発明者】
【氏名】シァル,ロビン
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルディン,コリン
(72)【発明者】
【氏名】ファルジャ,フランスワ
(72)【発明者】
【氏名】イン,マルタン
(72)【発明者】
【氏名】ミノー,デルフィン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ドンク,サンドレ
【審査官】 村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−295806(JP,A)
【文献】 特開2002−173319(JP,A)
【文献】 特開2003−253154(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0028576(US,A1)
【文献】 特開2005−075702(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0330273(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20−39/54
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(a)〜()の工程を含む、少なくとも一つのメソポア−鋳型剤(mesopore-templating agent)を使用した、メソポーラス・ミクロポーラス結晶質材料の製造方法:
(a)ミクロ多孔質結晶性アルミノシリケートの母材と、少なくとも1つのメソポア−鋳型剤とを含む塩基性水溶液を調製し、ここで、上記メソポア−鋳型剤は上記溶液中にユニマーの形で可溶であり、温度上昇でユニマーが集まってミセル凝集体を形成してミセルが生成でき、このミセル化は温度を下げた時に可逆的であり、
(b)工程(a)の合成媒体を穏やかな水熱条件下に置き、水熱処理の温度よりも低い温度で上記溶液中の上記メソポア−鋳型剤をミセル化し、
(c)工程(b)で得られた系を冷却して工程(b)の処理を停止させて、上記メソポア−鋳型剤のミセル凝集体を解離させ、
(d)工程(c)のメソポーラス・ミクロポーラス結晶質物質を回収し、上記メソポア−鋳型剤の少なくとも一部を回収する
【請求項2】
上記母材が下記(i)〜(iii)の中から選択されるミクロ多孔質結晶性アルミノシリケートである請求項1に記載の方法:
(i)ミクロポーラス結晶性材料および/またはその種、
(ii)(i)の材料の前駆体、または
(iii)(i)と(ii)の材料の組み合わせ。
【請求項3】
工程(c)で、メソポア−鋳型剤のミセル凝集体を解離させた後に酸−含有溶液を用いて系を中和する請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程(d)で得られたメソポーラス・ミクロポーラス結晶質物質をイオン交換溶液と接触させる工程(e)をさらに行う請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
上記の工程(e)を攪拌下に行う請求項4に記載の方法。
【請求項6】
上記母材が下記の(i)または(ii)である請求項1〜のいずれか一項に記載の方法:
(i)Y型ゼオライト、ZSM−5、モルデナイト、フェリエライトおよびゼオライトベータの中から選択されるアルミノケイ酸塩、または
(ii)沈降シリカ、熱分解法シリカ(ヒュームドシリカ)およびシリカの水性コロイド懸濁液の中から選択される無機珪素源または有機珪素源を含み、且つ、金属酸化物、金属塩および金属アルコオキサイドから選択される金属源を含み、金属はアルミニウム、ホウ素、鉄、ガリウムおよびチタンの中から選択される(i)の材料の前駆体。
【請求項7】
下記である請求項6に記載の方法:
上記(i)のY型ゼオライトがバルクSi/Al比が12以上であるプロトン化された形態のFAU構造を有し、または
上記(ii)の(i)の前駆体材料がテトラアルキルオルトシリケートを含む。
【請求項8】
Y型ゼオライトが親Yゼオライトを少なくとも一回の脱アルミニウム処理して得られるY型ゼオライトである請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
上記のメソポア−鋳型剤が少なくとも一つのイオン性官能基を有するオリゴマーまたはポリマーの鎖を含み、物理化学的パラメータの変化で両親媒性となる請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
上記物理化学的パラメータがpH、温度およびイオン強度から選択される請求項9に記載の方法
【請求項11】
下記の(1)または(2)または(3)である求項1〜10のいずれか一項に記載の方法:
(1)上記のメソポア−鋳型剤のLCST15℃以上且つ200℃以下あるか、
(2)上記のメソポア−鋳型剤が四級アンモニウム塩によって官能化されたエチレンとプロピレンとのランダム(統計)コポリマー、その分子サイズは140〜5000g/molで、エチレンキサイド/プロピレンキサイドのモル比は0.01〜5の間であるか
(3)上記のメソポア−鋳型剤のアミノ基四級化されている。
【請求項12】
下記である請求項11に記載の方法:
上記の(1)のメソポア−鋳型剤のLCSTが30℃以上且つ100℃以下であるか、
上記(2)のエチレンキサイド/プロピレンキサイドのモル比が0.1〜0.5の間であるか、
上記(2)のメソポア−鋳型剤が塩化物または臭化物または水酸化物であるか、
上記(3)のメソポア−鋳型剤が塩化物または臭化物または水酸化物である。
【請求項13】
上記ユニマーの室温での流体力学的直径が0.1〜5nmで、ミセル集合体の40〜90℃の範囲の温度での流体力学直径が10nm〜2μmである請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
上記の塩基性水溶液を製造する工程(a)で使用する塩基が強塩基および/または弱塩基である請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
上記塩基がアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、水酸化テトラアルキルアンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸アンモニウム、NH4OHおよびこれらの組み合わせである請求項14に記載の方法
【請求項16】
工程(a)で使用する塩基が水酸化テトラメチルアンモニウムの溶液である請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
工程(a)でのメソポア−鋳型剤/Si比が0.01〜0.5の範囲ある請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
工程(a)でのメソポア−鋳型剤/Si比が0.08〜0.165である請求項17に記載の方法
【請求項19】
工程(a)で調製した塩基性水溶液を穏やかな水熱条件下に置く工程(b)を下記で行う請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法
(1)90〜200℃の温度で、5〜30時
(2)1〜20バール自己発生圧力下
【請求項20】
上記工程(b)を下記で行う請求項19に記載の方法:
(1)140〜160℃の温度で、18〜22時間、
(2)1〜15バールの自己発生圧力下。
【請求項21】
工程(d)のメソポーラス・ミクロポーラス結晶質物質の回収を(d1)ろ過、(d2)メソポア−鋳型剤の少なくとも一部を抽出するためのメソポーラス・ミクロポーラス結晶質物質のシーケンシャルまたは連続モードでの洗浄および(d3)乾燥手順に従って行う請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
(d3)の乾燥の後に(d4)焼成をさらに行う請求項21に記載の方法
【請求項23】
上記洗浄溶液が(i)脱塩水または(ii)硝酸、アンモニアまたは硝酸アンモニウムを含む水溶液または(iii)純粋なメタノールである請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
工程(d)でメソポーラス・ミクロポーラス結晶質物質を濾過によって回収し、回収した濾液を、塩基性pHに調整してから、工程(a)でのメソポーラス化処理の塩基性水溶液として再循環し、このメソポーラス化処理を少なくとも一回繰り返す請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
下記(1)〜(3)の特徴を有するメソポーラス・ミクロポーラス結晶質シリケートまたはアルミノシリケートを得るための請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法:
(1)固体結晶質シリケートまたはアルミノシリケート中に均質なバーミキュラ(vermicular)メソポーラス相が存在する。
(2)メソポアは3〜50nmに中心を有する狭い寸法分布を有する。
(3)ミクロ多孔性とメソ多孔とが密接に結合している。
【請求項26】
分子量が140〜5000g/molで、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのモル比が0.01〜5の間にあり、末端が四級アンモニウム塩によって官能化されたエチレンとプロピレンとのランダムコポリマーから成ることを特徴とする、請求項1〜25のいずれか一項に記載のメソポーラス・ミクロポーラス結晶質材料の製造方法で使用するメソポア−鋳型剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穏やかな水溶性条件下で回収可能かつリサイクル可能なメソポア鋳型剤(mesopore templating agent)を用いて(関与させて)ミクロ多孔性とメソ多孔性(micro- and mesoporosity)の両方を合わせて持つ階層(hierarchical)材料を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトは、その微多孔質構造、強酸性および水熱安定性から、石油精製業および石油化学における重要な触媒材料である。しかし、ミクロポーア(ミクロ気孔、直径<2nm)が存在し、それによって表面積と形状選択性の両方が高いため小さな反応体分子に対してはそのユニークな触媒特性が立体的制約により制限される。新規なゼオライト触媒の開発における主要な課題の一つは、ゼオライトの活性サイトへの反応物および/または生成物の分子のアクセス性をより良くして触媒効率を最大にすることにある。
【0003】
ゼオライト中のメソ多孔性を増加させるために開発された工業的方法は「破壊的」(構造を破壊する)アプローチ、例えばスチーム処理または浸出方法(リーチング)を用いた脱アルミニウム処理である。この技術はコストの観点から魅力的であるため、今日、産業界で主として使用されている。しかし、この方法でメソポアを導入するには下記の2つの主要な欠点ある:
(1)制御が容易でなく、多くの場合、得られる材料はランダムかつ非最適化されたメソ多孔性である。
(2)さらに、上記のようなメソ多孔化(mesoporisation)のルートを使用するので合成収率も最適にはならない。例えば、脱ケイ酸の場合、原料収率は40〜90%で、これは抽出されたケイ素の量に依存するため、プロセスコストに影響を与え、ゼオライト材料の大きなロスは避けられない。
【0004】
上記の問題を解決するために下記のようないくつかのルートが開発されている。
(1)SDA(構造指向剤(Structure Directing Agent)の周りにゼオライトの種を濃縮させることによってナノサイズのゼオライト前駆体を界面活性剤と直接組み合わせる方法([非特許文献1](Tosheva, Chem. Mater., 2005, 17, 2494-2513))。この方法でゼオライトFAUの種子からメソポーラス珪酸塩を製造するのに成功している([非特許文献2](Liu Y., JACS, 2000, 122, 8791 -8792))
【0005】
(2)デュアルテンプレートアプローチ:このアプローチではアルミノシリケート前駆体のテンプレートを目指したミクロポーラおよびメソポーラスの混合物から開始する戦略を考える([非特許文献3](Kloetstra K.R., Microporous Mater. 1996, 6, 287-293)、[非特許文献4](Karlsson A., Microporous Mesoporous Mater. 1999, 227, 181 -192)、[特許文献1](国際公開第WO200704373号公報(Ryoo R.)、[非特許文献5](Ryoo R., WO200704373 ; M.Choi, Nat.Mater. 2006, 5, 718-723))。
【0006】
(3)ゼオライト再結晶化ルート:これは「破壊的」アプローチと「建設的」アプローチとを組み合わせたもので、ゼオライトを予備的に部分溶解した後にメソポア−鋳型剤の周りで再結晶化させる。メソポア−鋳型剤は一般に静電気によってシリカと相互作用するカチオン性界面活性剤(例えば、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム)である。このアプローチを用いると長距離結晶性と同じ結晶中に位置する高メゾスコピック秩序を有する階層構造を得ることができる。ゼオライトのミクロ気孔と構造化メソポア気孔の両方の存在を表す([非特許文献6](Wang S., Catal. Comm. 2005, 6, 87-91)、[非特許文献7](Ivanova 1.1., Microporous Mesoporous Mater. 2007, 105, 101 -110)、[非特許文献8](Chal R., Cacciaguerra T., van Donk S., Gerardin C, Chem. Commun., 2010, 46, 7840-7842)、[特許文献2](米国特許出願公開第US20050239634号明細書(Garcia Martinez J.))
【0007】
しかし、上記ルートで得られた階層多孔性材料を工業的に効果的に適用するのは依然として制限される。すなわち、コストが高く、このコストの一部は有機テンプレート(構造指向剤(Structure Directing Agent (SDA)ともよばれる)のコストである。このSDAを除去するには材料を一般に高温で焼成して構造化剤を小さな成分に分解して細孔から抽出できるようにする必要があるが、この焼成で材料の構造劣化や流出物の塩析等の悪影響が生じ、環境問題および/または高エネルギー消費といった問題になる。
【0008】
本発明は、ミクロ多孔性とメソ多孔性の両方を組み合わせた階層的多孔性材料を製造するための方法に関するもので、穏やかな水性条件下で回収可能かつリサイクル可能な有機構造化剤を使用することによって制御されたメソ多孔性を得ることができ、
(1)穏やかな回復条件を用いることで、高価な有機構造化剤を使用することに起因するコストを下げることができ、有機構造化剤の少なくとも一部を他の合成時に再利用でき、
(2)高温での加熱工程を回避することによって構造が劣化する危険を減らすことができ、
(3)HSEリスク、例えば焼成を使用した場合の有機構造化剤除去中の暴走およびCO2の排出、高エネルギーの消費を減らすことができる。
【0009】
ゼオライト細孔空間内で分解できる有機SDAを使用すると、その断片の除去が可能になり、再組み立時に再使用可能になり、高温での燃焼を回避できるということは微孔ゼオライト材料の分野で2003年にM.E.Davisが最初に報告している[Nature 425,385−388]。
【0010】
[特許文献3](国際公開第WO2012/070067A2)には、有機構造指向剤または結晶性MWWタイプのゼオライト種を含まない状態で、所定量の二酸化ケイ素を含有する化合物と、金属酸化物を含有する化合物と、水と、pH調節剤とを一緒に混合して水性アモルファスメタロシリケートゲルを作り、得られたゲルを有機鋳型剤の存在下で水熱処理工程して結晶性MWWゼオライトを得る、鋳型剤を使用したMWW型ゼオライトの製造方法が記載されている。この文献はN、N、N−トリメチル−l−アダマンタモニウムまたは水酸化トリメチルアンモニウムブロミドのような鋳型剤を開示している。この鋳型剤はミセル形成能を示しているが、温度またはpHのような一つのパラメータを変更することによってその機能を無効にできることは記載がない。また、この鋳型剤は焼成によって必ず除去される。この文献に記載の全ての実施例は作った固体は必ず焼成する必要があることを明らかに示している。
【0011】
[特許文献4](国際公開第2007/130395A2号公報)には1〜10nmの均一な結晶間テキスチケアル細孔(intracrystal textural pores)を有するゼオライトの製造方法が開示している。シラン変性ポリマーの存在下でポロゲンとしてのアルミナ源とシリカ源とを反応させ、反応生成物を焼成してゼオライトを形成する。特に、この文献はポリマー変性シランの使用を開示している。このようなポリマー変性シランでは、ポリマーは共有結合でシリコンにリンクされています。このポリマー変性シランを構造指向剤として使用する。ポリマー変性シランは形成されたゼオライト中に組み込まれ、ケイ素は焼成によってのみ除去できる。
【0012】
[非特許文献9](Minkee Choi et al. Nature Materials, vol. 5 no 9, pages 718-723)はゼオライトの製造に使用する両親媒性有機シラン系界面活性剤を開示している。この両親媒性有機シラン界面活性剤は成長中の結晶との相互作用を増強する官能基を与える。より正確には、この両親媒性有機シラン界面活性剤は加水分解性メトキシシリル単位、ゼオライト構造指向基、例えば四級アンモニウムや疎水性アルキル鎖単位を与える。有機シランはメトキシシリル単位を使用して他のSiO2やAl23源と共有結合を形成して成長中の結晶領域と強く相互作用する。
【0013】
規則的なメソポーラス材料を製造するためのエコロジカルなデザインを最初に提案した一人は2008年のC. Gerardinのグループであった。彼らの方法はシリカの合成中に水中で親水性ポリマーを非共有結性の可逆的集合によって得られる新しいコロイド構造化剤の使用をベースにしたものである。このポリマーの重要な特性は他の成分を添加するか、物理化学的刺激、例えばpH、イオン強度または温度の変化を与えることによって誘導されるミセル集合体を形成する能力にある。構造化剤を回収するための従来の高温での焼成処理を回避するために、反対刺激(opposite stimulus)を使用する。この概念は水溶性ダブル親水性ブロック共重合体(DHBC)の可逆的pH応答性ミセル集合を用いた室温でのメソ構造化シリカの製造によって実証された([非特許文献10](N. Baccile et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2008, 47, 8433-8437)、[特許文献5](国際公開第WO2009/081000号公報))。
【0014】
[非特許文献11](J. Reboul et al., Polymer Preprints, 201 1, 52(2), 717)ではこの概念を延長してメソポーラスシリカの形成のためにSDAとして感熱性DHBCを使用している。
【0015】
しかし、Gerardin et al達の研究で、構造化剤としての感熱性DHBCは(PEO)ミセルコロナの性質のために、酸性条件下での非晶質メソポーラス材料の製造に限定されることが分かった。この合成条件は、結晶化ゼオライト構造体の合成に要求される条件(構造化剤の周りにアルミノシリケート種の再構造化するのに使用される条件)である強い塩基性溶液(pHが10以上、より好ましくは12以上)からはるかに離れた条件である。感熱性DHBCとシリカとの間の相互作用は酸性条件下での水素結合によるものであり、塩基性条件下では行うことができない。結晶性材料の製造は塩基性溶液下でしか実行できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第WO200704373号公報(Ryoo R.)
【特許文献2】米国特許出願公開第US20050239634号明細書(Garcia Martinez J.)
【特許文献3】国際公開第WO2012/070067A2号公報
【特許文献4】国際公開第WO2007/130395A2号公報
【特許文献5】国際公開第WO2009/081000号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Tosheva, Chem. Mater., 2005, 17, 2494-2513
【非特許文献2】Liu Y., JACS, 2000, 122, 8791 -8792
【非特許文献3】Kloetstra K.R., Microporous Mater. 1996, 6, 287-293
【非特許文献4】Karlsson A., Microporous Mesoporous Mater. 1999, 227, 181 -192
【非特許文献5】M.Choi, Nat.Mater. 2006, 5, 718-723
【非特許文献6】Wang S., Catal. Comm. 2005, 6, 87-91
【非特許文献7】Ivanova 1.1., Microporous Mesoporous Mater. 2007, 105, 101 -110
【非特許文献8】Chal R., Cacciaguerra T., van Donk S., Gerardin C, Chem. Commun., 2010, 46, 7840-7842
【非特許文献9】Minkee Choi et al. Nature Materials, vol. 5 no 9, pages 718-723
【非特許文献10】N.Baccile et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2008, 47, 8433-8437
【非特許文献11】J. Reboul et al., Polymer Preprints, 201 1 , 52(2), 717]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、水中の穏やかな条件下で回収でき且つリサイクルが可能なメソポア−鋳型剤(mesopore-templating agent)を使用してケイ酸塩とアルミノケイ酸塩とを含むメソポア寸法を有する(mesoporized)ミクロ気孔(micropores)含有結晶性物質を合成する方法を開示する。
【0019】
本発明は以下のことを最初に実証したものである:
(1)界面活性剤タイプの挙動を有する構造化剤を、ミクロ気孔含有(micropore-containing)結晶性物質のメソポア化(mesoporization)で使用できるように設計するのに成功した。
(2)上記構造化剤を使用することによって、ミクロ気孔含有結晶性物質中に、調整が可能な狭い細孔サイズ分布を有する制御されたメソ構造体を形成できた。
(3)水溶液中で界面活性剤を抽出するのに成功し、構造化剤を60%以上の回収率で回収できた。
(4)構造化剤の水溶液を少なくとも4回リサイクルするのに成功した。
【0020】
拡散制限を克服した階層構造を有する多孔質ゼオライトを使用する広い用途には例えば水素化分解、オリゴマー化、FCC、その他があるが、本発明は下記によって階層構造の多孔質ゼオライトの工業的製造に重要な役割を果たすものである:
(1)マイルドな回収条件を用いることができ、有機構造化剤の少なくとも一部を他の合成時に再利用できるので、高価な有機構造剤を使用することに起因するコストを下げることができ、
(2)焼成工程中に生じる発熱を制限することによって構造物の劣化のリスクを減らすことができ、さらに、
(3)HSEリスクと高エネルギー消費を減らすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的のために、本発明は以下の工程を含む少なくとも一つのメソポア−鋳型剤(mesopore-templating agent)の使用を含むメソポア・ミクロポア結晶性材料の製造方法を開示する:
(a)(i)ミクロポア結晶性材料および/またはその種、(ii)ミクロポア−鋳型剤の存在下でもよい(i)の材料の前駆体または(iii)上記(i)と(ii)の材料の組み合わせの中から選択される母材と、少なくとも1種のメソポア−鋳型剤とを含む塩基性水溶液を調製し(メソポア−鋳型剤はこの水溶液中にユニマー(unimers)の形で可溶であり、温度の上昇でミセルを生成でき、ユニマーが集まってミセル凝集体を形成し、このミセル化は温度を下げた時に可逆的である)、
(b)工程(a)の合成媒体を穏やかな水熱条件下に置き、溶液中のテンプレート剤のミセル化を水熱処理の温度よりも低い温度で生じさせ、
(c)工程(b)で得られた系を冷却して工程(b)の処理を停止させ、メソポア−鋳型剤のミセル凝集体を解離させ、必要に応じて酸含有溶液を使用して系を中和し、
(d)工程(c)のメソポーラスミクロポーラス結晶性材料を回収し、メソポア−鋳型剤の少なくとも一部を回収し、
(e)任意工程として、工程(d)のメソポーラス・ミクロポーラス結晶性材料を、好ましくは撹拌下に、イオン交換溶液と接触させる。
【0022】
結晶性材料、例えばモレキュラーシーブ、好ましくはアルミノケイ酸塩、さらにより好ましくはゼオライトを製造するには、塩基性水溶液が必要である。この製造ではモレキュラーシーブの少なくとも一部の溶解と再結晶化が必要である。この溶解および/または再結晶化は塩基性溶液下でのみ可能である。事実、アルミノシリケートのスピーシーズは塩基性溶液下でのみ可動であり、鋳型剤の周りで再組織化できる。好ましい実施例では塩基性水溶液のpHは少なくとも10、好ましくは少なくとも12である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】親ゼオライトHY15(左)およびCTAB HY15−TMAOH−20(固体A)の存在下で再結晶させたゼオライト(右)のSEM画像。
図2】親ゼオライトHY15のTEM画像。
図3】CTAB HY15−TMAOH−20(固体A)の存在下で再結晶化させたゼオライトのTEM画像
図4】親ゼオライトHY15および再結晶ゼオライトHY15−TMAOH−20(固体A)のN2吸脱着等温線。
図5】親ゼオライトHY15および再結晶ゼオライトHY15−TMAOH−20(固体A)の(吸着ブランチから取られた)細孔寸法分布。
図6】親ゼオライトHY15および再結晶ゼオライトHY15−TMAOH−20(固体A)の−196℃でのアルゴン吸脱着等温線。
図7】親ゼオライトHY15および再結晶ゼオライトHY15−TMAOH−20(固体A)の広角X線回折図。
図8】親ゼオライトHY15および再結晶ゼオライトHY15−TMAOH−20(固体A)の狭角X線回折図。
図9】DLSで求めたpH12.3での四級化Jeff M600−CI(1重量%)溶液の温度を関数とする流体力学直径(DH)の分布。
【0024】
図10】四級化Jeffamine (登録商標)JeffM600−CI(固体B)の存在下で再結晶したゼオライトのTEM画像。
図11】四級化Jeffamine (登録商標)JeffM600−CI(固体B)の存在下で再結晶したゼオライトのSEM画像。
図12】JeffM600−CI(固体B)の存在下で100℃(固体D)、120℃(固体C)および150℃(固体B)で再結晶したゼオライトのX線回折図。
図13】JeffM600−CI存在下で100℃(固体D)、120℃(固体C)および150℃(固体B)で再結晶したゼオライトのN2吸着−脱着等温線分布(左)とそれに対応する細孔径分布(右)。
図14】Jeffamine(登録商標)/Siモル比が0.082(固体C)および0.164(固体E)の場合の120℃で四級化したJeffM600−CI存在下で再結晶化したゼオライトのX線回折図。
図15】Jeffamine(登録商標)/Siモル比が0.082(固体C)および0.164(固体E)の場合の120℃で四級化したJeffM600−CI存在下で再結晶化したゼオライトのN2吸着−脱着等温線(左)およびそれらに対応する細孔径分布(右)。
図16】Jeffamine(登録商標)/Siモル比が0.164(固体E)の場合の再結晶化ゼオライトのTEM画像。
図17】別の四級Jeffamine(登録商標)M600−CI(固体B)、M1000−CI(固体F)、M2005−CI(固体G)の存在下で再結晶化したゼオライトのX線回折図。
図18】別の四級Jeffamine(登録商標)M600−CI(固体B)、M1000−CI(固体F)、M2005−CI(固体G)の存在下で再結晶したゼオライトのN2吸脱着等温線(左)とそれに対応する細孔径分布(右)。
図19】四級ジェファミン(登録商標)M600の再循環で得られた再結晶ゼオライトのN2吸脱着等温線(左)とそれに対応する細孔径分布(右)。
【0025】
図20】親HY15ゼオライトおよびM600のJeffamine(登録商標)(固体I)再結晶したYおよびJeffamine(登録商標)(固体B)を使用して再結晶したYのX線回折図。
図21】親HY15ゼオライトおよびM600のJeffamine(登録商標)(固体I)を使用して再結晶したYと四級M600−CIのJeffamine(登録商標)(固体B)を使用して再結晶したYのN2吸脱着等温線。
図22】上段:四級M600ジェファミン(登録商標)(固体I)を使用して再結晶YのTEM画像。下段:四級M600ジェファミン(登録商標)(固体B)を使用して再結晶YのTEM画像。
図23】焼成前(固体J)および焼成後(固体A)のCTAB再結晶化YゼオライトのN2物理吸着等温線。
【発明を実施するための形態】
【0026】
工程(a)の母材はミクロポーラス結晶性アルミノシリケートであるのが好ましい。
あるいは、工程(a)の母材は下記(i)または(ii)の中から選択される:
(i)Y型ゼオライト、ZSM−5、モルデナイト、フェリエライトおよびゼオライトベータの中から選択されるのが好ましいアルミノシリケート、または
(ii)沈降シリカ、熱分解法シリカ(ヒュームドシリカ)およびシリカの水性コロイド懸濁液の中から選択される無機珪素源または有機珪素源、好ましくはテトラアルキルオルトシリケートを含み、金属酸化物、金属塩および金属アルコオキサイドから選択される金属源(この金属はアルミニウム、ホウ素、鉄、ガリウムおよびチタンの中から選択される)とを含む(i)の材料の前駆体。
【0027】
結晶性シリケート(ゼオライトともよばれる)は酸素イオンを共有して互いに結合されたXO4四面体の骨格をベースにしたミクロポーラス(微多孔質)結晶性無機ポリマーである。ここで、Xは三価(例えばΑΙ、Β、...)または四価(例えば、Ge、Si、..)にすることができる。X線回折によって決定される結晶性シリケートの結晶構造は四面体単位のネットワークを互いに連結している特定の順序によって定義される。ゼオライトの気孔開口寸法は四面体単位または細孔を形成するのに必要な酸素原子の数と細孔中に存在する陽イオンの種類とによって決まる。結晶性シリケートは下記特性:高い内部表面積;1つまたは複数のディスクリートな寸法を有する均一な細孔;イオン交換能;優れた熱安定性;および有機化合物を吸着する能力のユニークな組み合わせを有している。ゼオライト中に存在する環構造のタイプと各環タイプによって規定されるチャネルの寸法とを含めて、結晶性シリケートの骨格に関するトポロジーおよび構造の詳細の大要は[非特許文献12]に記載されている。
【非特許文献12】The Atlas of Zeolite Framework Types (C Baerlocher, LB McCusker, DH Olson, 6th ed. Elsevier, Amsterdam, 2007)
【0028】
種々の市販のゼオライト製品を用いることができる。また、公知の方法(例えば上記のIZA発行の[非特許文献13]に記載の方法で合成したゼオライトを使用することもできる)。
【非特許文献13】「Verified Synthesis of Zeolitic Materials」(2nd Revised Edition 2001 Elsevier)
【0029】
本発明の一つの実施形態では、脱アルミニウム結晶性シリケートはアルミニウムの約10重量%が除去されたものであるが有利である。この脱アルミニウム化はスチーミング(水蒸気処理)し、必要に応じてさらに浸出(リーチング)することで有利に実行できる。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、本発明方法で使用するのに適したゼオライトはBEA、MFI、FAU、MEL、FER、MORおよびMWWから成る群の中から選択されるトポロジーを含む。
【0031】
本発明の特定の実施形態では、親結晶性シリケートはFAUトポロジーを有する結晶性アルミノケイ酸塩であるのが好ましい。特に好ましいゼオライトはバルクSi/Al比が12以上、好ましくは15以上のFAU構造を有するプロトン形のYゼオライトである。このゼオライトYは親のYに少なくとも一回の脱アルミニウム処理、特に部分的な脱アルミニウム処理、例えば少なくとも一回の酸および/または水蒸気による処理を行って得ることができる。この処理は具体的には下記の[特許文献6]に記載の方法に対応する。
【特許文献6】米国特許第US5601798号明細書
【0032】
本明細書に記載の本発明で使用するのに適した典型的な市販のゼオライトにはYゼオライト(FAUトポロジー)が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0033】
ミクロポア−鋳型剤(micropore-templating agent)としてはアルカリ金属イオン、第四級アンモニウム塩、有機アンモニウム塩を使用することができる。テトラアルキルアンモニウム、例えばテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム等を好適に用いることができる。
【0034】
メソポア−鋳型剤(mesopore-templating agent)は、物理化学的パラメータ(pH、温度、イオン強度)の変化の作用下で両親媒性になることができる少なくとも一つのイオン性官能基を有するイオン性分子またはポリマーのいずれかにすることができる。
【0035】
本発明のメソポア−鋳型剤は感熱性オリゴマーまたはポリマー鎖を含み、下記の構成部品:
(1)少なくとも一つのモノ−またはポリ−イオン性ブロックまたは親水性の極性に帯電されたヘッドと、
(2)物理化学的パラメータ(pH、温度、イオン強度)の変化の作用で不溶性に成ることができる少なくとも一つの有機オリゴマーまたはポリマー鎖と、
で構成され、これらの2つを組み合わせものは物理化学的パラメータの変化の作用下で両親媒性に成るのが好ましい。
【0036】
メソポア−鋳型剤の上記有機オリゴマーまたはポリマー部分としては感熱性ポリマー(thermosensitive polymers)を使用するのが好ましい。感熱性ポリマーとはLCST(Low Critical Solubility Temperature、下側臨界溶解温度)として定義される所定温度を超えた時にポリマーが水性媒体中に可溶性でなくなるということを意味する。このLCSTは動的光散乱(DLS)によって測定するのが好ましい。
【0037】
上記有機鎖はLCSTが15℃以上であるのが最も好ましく、より好ましくはLCSTが20℃以上、より好ましくは30℃以上であり、親ミクロポーラス結晶性物質の熱水温度条件に適したものであるのが好ましい。
【0038】
上記有機鎖はLCSTが200℃以下あるのが最も好ましく、より好ましくはLCSTが120℃以下、より好ましくは100℃以であり、親ミクロポーラス結晶性物質の熱水温度条件に適したものであるのが好ましい。
【0039】
感熱性ポリマーは加熱によって溶解度が逆になるものである。温度がLCSTまで上昇した時には感熱性ポリマーの挙動が急激に変化し、ポリマー鎖が親水性から疎水性に急変し、LCSTに到達すると感熱性ポリマーは急激に水に不溶になる。
【0040】
感熱有機鎖は下記の中から選択できるが、これらに限定されるものではない:
1)ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(LCST=32℃)
2)ポリ(メチルビニルエーテル)(LCST=29℃)
3)ポリ(2−(N、N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(LCST=50℃)
4)ポリ(エチレンオオキサイド)(LCST=100〜150℃)
5)ポリ(プロピレンオオキサイド)(LCST=鎖の長さに応じて15〜50℃)および/または
6)これらの組み合わせ。
【0041】
好ましい実施形態では、有機ポリマー鎖はPEO(ポリ(エチレンオオキサイド))とPPO(ポリ(プロピレンオオキサイド))との統計的コポリマーから選択され、このポリマーのEO(エチレンオキサイド)単位とPO(プロピレンオオキサイド)単位の相対割合は有機ポリマー鎖のLCST(下側臨界溶液温度)を決定するので極めて重要である。
【0042】
好ましい実施形態では、メソポア−鋳型剤は第四級アンモニウム塩によって官能化されたPEO(ポリ(エチレンオオキサイド))とPPO(ポリ(プロピレンオオキサイド))とのランダム(統計)コポリマーから選択される。その例はHunstman International社から入手可能な四級化ジェファミン(Jeffamines、登録商標)であり、その分子の大きさは140〜5000グラム/モルであり、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのモル比は0.1〜0.5、好ましくは、0.01〜5、より好ましくは0.1〜1である。このジェファミン(Jeffamines、登録商標)は第一アミンを四級化したものである。
【0043】
ジェファミン(Jeffamines、登録商標)はJeffamines(登録商標)M600とJeffamines(登録商標)M2005の中から選択できる。
【0044】
本発明の別の実施態様では、本発明は有機カチオン化合物から成るメソポア−鋳型剤を開示する。このメソポア−鋳型剤の有機カチオン化合物は(i)250〜3000グラム/モルの分子量を有し、(ii)必要に応じて12〜150個の炭素原子と炭化水素鎖中に挿入された5〜45個の酸素原子とを有する分岐炭化水素鎖を有していてもよく、その場合、各酸素は2つの異なる炭素原子と結合してエーテル結合を形成し、(iii)末端の第四級アンモニウム単位は−({[N(R4)(R5)(R6)n}−H)+を有し、ここで、R4とR5はそれぞれC1−C10アルキルの中から選択され、R6は−CH(2m−で、m=1〜10、n=1、1、2または3である。
【0045】
本発明のメソポア−鋳型剤は一般式:{(R1−O−(R2−O−)a−(R3)b−[N(R4)(R5)(R6)]n−H)}+-を有する。ここで(a)と(b)はそれぞれ独立して0〜75であり、(a)と(b)の和は75以上ではなく、R1、R2、R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立してC1−C6アルキルの中から選択され、Xはアニオンで、好ましくはCI、BrおよびOHから選択される。
【0046】
より好ましくは、R1はメチルであり、R2、R3はそれぞれエチル、プロピル、イソプロピルであり、R4、R5、R6はそれぞれ独立してC1−C3アルキルから選択され、好ましくはC1アルキルである。
【0047】
-はF、CI、Br、I、OH、PF6、H2PO3、NO3、HSO4、BF4、R7−COOの中から選択されるアニオンであるのが有利である。ここで、R7−はC1−C3アルキルである。X-はCl、BrまたはOHであるのが好ましい。
【0048】
本発明に適したメソポア−鋳型剤の例には、商用または非商用の四級化したJeffamine(登録商標)、例えばJeffamine(登録商標)M600およびJeffamine(登録商標)M2005が含まれる。
【0049】
本実施の一つの第1実施形態では、本発明のメソポア−鋳型剤は一般式:[R1−O−(R2−O−)a−(R3)b−N(R4)(R5)(R6)]+-を有する。ここで、
1)(a)と(b)はそれぞれ独立して0〜75の間であり、(a)と(b)の和は75を越えず、
2)R1、R2、R3、R4、R5、R6はそれぞれ独立してC1−C6アルキルから選択され、
3)Xはアニオンで、好ましくはCl、BrおよびOHから選択される。
【0050】
本発明の好ましい第2実施形態では、第1の実施形態でのメソポア−鋳型剤の一般式において、R1がメチルで、R2、R3がそれぞれエチル、プロピルまたはイソプロピルで、R4、R5、R6はそれぞれ独立してC1〜C3アルキルから選択され、好ましくはC1アルキルである。
【0051】
メソポア−鋳型剤の第四級アンモニウム基は四級化され、好ましくは塩化物、臭化物または水酸化物で四級化される。
【0052】
ユニマーの流体力学的直径は工程(a)の溶液中で室温で0.1〜5ナノメートルの範囲にすることができ、ミセル集合体の流体力学直径は40℃〜90℃の範囲の温度でそれぞれ10nm〜2μmにすることができる。
【0053】
メソポーラスミクロポーラス結晶性シリケートまたはアルミノシリケートを得るために、工程(a)の溶液は塩基性にする。工程(a)で使用される塩基は強塩基および/または弱塩基である。この塩基はアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類水酸化物、水酸化テトラアルキルアンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸アンモニウム、NH4OHであるのが好ましい。
【0054】
本発明の別の実施形態では、工程(a)の塩基はNaOH、NH4OHであるか、好ましくは水酸化テトラメチルアンモニウムである。
【0055】
塩基の濃度は0.001〜2M、好ましくは0.01M〜2M、さらに好ましくは0.5〜1Mである。
【0056】
工程(a)でのメソポア−鋳型剤/Siのモル比は0.01〜0.5の範囲、好ましくは0.041〜0.3、好ましくは0.08〜0.18、特に0.08〜0.165である。
【0057】
工程(b)では、工程(a)で調製した混合物を穏やかな水熱条件下、例えば、
1)90℃〜200℃、好ましくは100〜180℃、より好ましくは100〜160℃、最も好ましくは140〜160℃の温度で約5〜30時間、好ましくは10〜25時間、より好ましくは18〜22時間、
2)1〜20バール、好ましくは1〜15バールの自己発生圧力下
に置く。
【0058】
工程(c)では、系を冷却または急冷することによって工程(b)の処理を停止させる。任意工程として、工程(b)で得られた酸含有溶液を任意タイプの系と接触させることによって中和してもよい。この酸は無機酸または有機酸にすることができ、例えば、硫酸、リン酸、クエン酸、酢酸、マレイン酸、ピルビン酸、レブリン酸、2−ケトグロン酸、ケト−グルコン酸、チオグリコール、4−アセチルブチル酸、1、3-アセトンジカルボン酸、3−オキソプロパン酸、4−オキソブタン酸、2,3−ジホルミルコハク酸、5−オキソペンタン酸、4−オキソペンタン酸、グリコール酸、オキサミン酸ド、グリオキシル酸、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、ニトリロ三酢酸、N−メチルアミノ二酢酸、イミノ二酢酸、ジグリコール酸、リンゴ酸、グルコン酸、アセチルアセトン、酒石酸、アコニット酸、スベリン酸、トリカルバリル酸、マロン酸、コハク酸、グリコール酸、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、安息香酸、サリチル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、フタル酸、イソフタル酸、乳酸またはこれらの混合物、特に、工業的条件下で大量に得られる材料である。この中和工程は水の存在下で行うことができる。中和は磁気撹拌下または機械的撹拌下に室温で行うのが有利である。
【0059】
酸含有溶液は少なくとも一つの酸を例えば0.005〜2Mの範囲の濃度で含む。
【0060】
中和の目的は上記プロセスを停止して、望ましくない材料の破壊を防止し、ゼオライトの結晶構造が大きく損失し、ミクロ多孔性がロスし、材料の固有活性が低下するのを防ぐことにある。
【0061】
工程(d)では濾過し、必要に応じてさらに洗浄処理することによってメソポーラス・ミクロポーラス結晶性材料を回収することができる。
【0062】
工程(d)では、メソポーラス・ミクロポーラス結晶性材料を以下の手順に従って回収するのが好ましい:(d1)ろ過し、(d2)メソポア−鋳型剤の少なくとも一部を洗浄溶液と一緒に抽出するようにメソポーラス・ミクロポーラス結晶性材料をシーケンシャルなモードまたは連続モードで洗浄(任意工程)し、(d3)乾燥し、(d4)焼成する(任意工程)。
【0063】
洗浄工程は水または硝酸、アンモニアまたは硝酸アンモニウムを含む溶液または純粋なメタノールまたは他の溶媒とメタノールとの混合物を用いて行うことができ、濾過工程ではメソポア−鋳型剤の一部を抽出することができ、洗浄工程ではメソポア−鋳型剤の別の部分を抽出することができる。
【0064】
洗浄溶液は(i)脱塩水または(ii)硝酸、アンモニアまたは硝酸アンモニウム含む水溶液または(iii)純メタノールであるのが好ましい。
【0065】
濾過工程はLCSTより低い温度で実施するのが好ましく、それによって最終材料のメソ多孔性の少なくとも20%、好ましくは最終材料の少なくとも25%を放出することができる。
【0066】
追加の洗浄工程はLCSTより低い温度の水で行うのが好ましく、材料のメソ多孔性の70%以上、好ましくは少なくとも75%が放出される。
【0067】
より好ましくは、洗浄工程は酸、好ましくは硝酸を含む水溶液を用いて行うのが好ましい。それによって材料のメソ多孔性の90%を放出することができる。酸の濃度は0.001〜0.2M、好ましくは0.01〜0.15M、より好ましくは0.05〜0.012Mの範囲であるのが好ましい。
【0068】
工程(d)ではメソポーラス・ミクロポーラス結晶性材料を濾過によって回収することができ、濾液は回収し、合成に必要な塩基pHに調整した後に、必要な場合にはさらにメソポア−鋳型剤の濃度を必要なレベルに調整した後に、工程(a)での次のメソポア−化(mesoporization)処理での塩基性水溶液として再利用することができる。このメソポア−化処理は少なくとも一回繰り返す。
【0069】
本発明方法をミクロポーラス結晶性シリケートまたはアルミノシリケートに適用した場合には、以下の特性を有するメソポーラス・ミクロポーラス結晶性材料を合成することができる:
(1)固体材料中に均質なバーミキュラメソポーラス相が存在し、
(2)3〜50nm、好ましくは20〜50nmに中心を有する狭い寸法分布を有し、ミクロポーラスとメソポーラスとが密接に結合している。
【0070】
別の特定の実施形態では、本発明の階層的なメソポーラス・ミクロポーラス結晶性材は、最終触媒生成物に追加の硬度または触媒活性を与える他の材料と組み合わされて、触媒中に配合できる。本発明の階層状材料とブレンド可能な材料は種々の不活性材料または触媒活性材料または各種バインダー材料にすることができる。これらの材料にはカオリンおよび/またはその他の粘土、希土類金属の核種形体、燐酸塩、アルミナ、アルミナゾル、チタニア、ジルコニア、石英、シリカ、シリカゾルおよびこれらの混合物の種々の形態の組成物が含まれる。触媒は配合され、ペレット、球に形成され、さらに他の形状に押出し成形され、あるいは噴霧乾燥粒子にされる。最終触媒生成物中に含まれる本発明の階層材料の量は全触媒の10〜90重量%、好ましくは全触媒の20〜80重量%である。
【0071】
この触媒は、周期律表の第VIB族元素および第VIII族の非貴金属元素から選択される少なくとも一種の水素化/脱水素化成分を単独または混合物で含む活性相を有効量含むことができる。この触媒は硫化相触媒である。
上記の周期律表の第VIB族元素はタングステンおよびモリブデンから成る群から単独または混合物として選択されるのが好ましい。好ましい実施形態では、周期律表の第VIB族元素からなる群から選択される水素化/脱水素化成分はモリブデンである。別の好ましい実施形態では、周期律表の第VIB族元素からなる群から選択される水素化/脱水素化成分はタングステンである。
【0072】
上記の周期律表の第VIII族の非貴金属元素はコバルトおよびニッケルから成る群から単独または混合物で選択されるのが好ましい。好ましい実施形態では、第VIII族元素の非貴金属からなる群から選択される水素化/脱水素化成分はコバルトである。別の好ましい実施形態では、第VIII族元素の非貴金属からなる群から選択される水素化/脱水素化成分はニッケルである。
【0073】
好ましくは、触媒は少なくとも一種の第VIII族非貴金属と少なくとも一種の第VIB族金属とを組み合わせて含み、第VIII族非貴金属元素はコバルトおよびニッケルから成る群の中から単独または混合物で選択され、VIB族元素はタングステンおよびモリブデンから成る群の中から単独または混合物で選択される。
【0074】
以下の金属の組み合わせを使用するのが有利である:ニッケル−モリブデン、コバルト−モリブデン、ニッケル−タングステン、コバルト−タングステン。好ましい組み合わせはニッケル−モリブデン、コバルト−タングステン、ニッケル−タングステンであり、より有利なものはニッケル−モリブデン、コバルト−モリブデン、ニッケル−タングステンである。
【0075】
触媒が少なくとも一種の第VIII族非貴金属と少なくとも一種の第VIB族金属とを組み合わせ含む場合の第VIB族金属の含有量は酸化物当量で触媒の全重量に対して5〜40重量%、好ましくは10〜35重量%、より好ましくは15〜30重量%であるのが有利であり、VIII族非貴金属の含有量は、酸化物当量で触媒の全重量に対して0.5〜10重量%、好ましくは1〜8重量%、より好ましくは1.5〜6重量%である。
【0076】
本発明の別の実施形態では、触媒は少なくとも1種のVIII族金属の有効量を含む。この第VIII族金属には白金、パラジウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、ルテニウム、コバルト、ニッケルおよび鉄が含まれる。貴金属(白金、パラジウム、ロジウム、オスミウム、イリジウムおよびルテニウム)が好ましい。第VIII族金属は白金またはパラジウムであるのが最も好ましい。
【0077】
触媒中の第VIII族金属の量は通常、少なくとも約0.01重量%から約3.0重量%である(モレキュラーシーブの重量に対して)。
【0078】
水素化/脱水素化成分相は当技術分野で公知の方法、例えばイオン交換、含浸またはモレキュラーシーブとの物理的混合によってと触媒に組み込むことができる。
【0079】
本発明に従って製造された触媒のユニークな構造は種々の分野で有用であり、従来のゼオライトに関連する制限を克服することができ、拡散限界に来ている全ての触媒用途、特に、バルキーな分子を使用する用途、中でも接触分解、流動接触分解、水素化、水素化脱硫、水素化分解、水素異性化、オリゴマー化、アルキル化プロセスで有用である。
【実施例】
【0080】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲がそれに限定されるものではない。以下の実施例では下記の略語を使用する:
CTAB: 臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム
TAMOH: テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド
PEO: ポリ(エチレンオオキサイド)
PPO: ポリプロピレンオオキサイド)
EO: エチレンオオキサイド
PO: プロピレンオキサイド
DLS: 動的光散乱
LCST: 下側臨界溶液温度(℃)
SEM: 走査電子顕微鏡
TEM: 透過型電子顕微鏡
SBET: 見かけの表面積(比表面積)
micro: ミクロポア容積(mL/g)
meso: メソポア容積(mL/g)
mic: ミクロポア表面積(m2/g)
mes: メソポア表面積m2/g)

tot: 全細孔容積(mL/g)
iargemeso: 大きなメソポア(10nm以上)の容積)
LOI: 強熱減量(重量%)
【0081】
ゼオライト
(a)親ゼオライト
HY15:
FAU構造を有するプロトン化形態の市販のYゼオライト、Si/Al比=
15(脱アルミニウムによって後処理したCBV720、Zeolyst)。この親ゼオライトHY15の主要な特徴は下記の[表]にまとめた。
【0082】
このゼオライト結晶中には無秩序なメソポアが既に存在していることを強調しておく。
【0083】
(b)再結晶化したゼオライト
固体A
有機テンプレートとしてCTABを使用してHY15を再結晶して得られた固体。
固体B〜H:
本発明のメソポア−鋳型剤を使用してHY15を再結晶して得られた固体。
【0084】
ジェファミン(Jeffamine、登録商標)とよばれるポリマー群はPEOとPPOのランダム(統計)コポリマーである。官能化(functionnalization) の異なるタイプ(モノ−、ジ−、トリ−第一級アミン)が提案されている。これらの全てのポリマーが安価な市販のポリマーである。
PEOとPPOの鎖の寸法およびPEO/PPOの相対比の異なるものがジェファミン(Jeffamine、登録商標)として市販されており、その分子サイズは140〜5000g/モルである。ポリマー鎖中のEO単位とPO単位の相対割合は極めて重要で、疎水性/親水性バランスだけでなく、それがLCSTを決定する。ジェファミン(Jeffamine、登録商標)は感熱性共重合体である。
【0085】
【表1】
【0086】
特性評価方法
粉末X線回折パターンはBruker Lynx Eye検出器を装備したBruker D8 Advance diffractometer (λ=1.541838ナで加重平均CuKα線)回折装置で測定した。データは角度ステップサイズ=0.0197°、カウント時間=0.1秒/1ステップで0.5〜6°および5〜35°2Θで記録した。
【0087】
SEM観察は分解能が1nmの日立S4800顕微鏡を用いて行った。サンプルは最初に白金で覆った。
【0088】
TEM実験は解像度が0.5nmのJEOL1200EX II型電子顕微鏡を用い100キロボルトで行てった。サンプルはエタノール中に分散し、炭素被覆した銅グリッド上に堆積させて調製した。ポリマー樹脂(LRホワイト)に埋め込み、それを銅グリッド上に堆積したサンプルをウルトラマイクロトーム(超薄切片機)を使って得た70nmの厚さの薄いスライスも観察した。
【0089】
2およびArの吸脱着等温線(adsorption-desorption isotherms)はMicromeritics TriStar 3000装置とASAP2020装置を用いて−196℃で測定した。各測定の前にサンプルを250℃で少なくとも6時間(N2の場合)および少なくとも12時間(Arの場合)真空脱ガスした)。
【0090】
見かけの表面積(SBET、apparent surface areas)は吸着ブランチからBETモデルに従って決定した。窒素およびアルゴンに対するミクロポア容積およびメソポア容積(Vmic、Vmes)およびミクロポア表面積およびメソポア表面積(Smic、Smes)は非多孔質シリカアエロジル200を参照吸着剤としてαs−プロット(αs−PLOT)法を用いて計算した。全細孔容積(Vtot)は77Kで液体窒素(またはアルゴン)濃度を用いて約0.99の相対圧力での吸着量から評価した。
【0091】
動的光散乱(DLS、Dynamic Light Scattering)の測定値はMalvern Instruments社の4ミリワットの632.8nmのヘリウム−ネオンレーザーと入射ビームに対して173°に位置した後方散乱検出器を装備したZetasizer Nano ZS装置を用い得た。温度は熱電ペルチェセルを使用して精度(+/−0.1℃)で5〜90℃に設定できる。サンプルはナイロンシリンジフィルター0.2μmを通して濾過し、予め乾燥した石英測定セル(1cm)中に直接入れた。セルをテフロン(登録商標)栓で閉じ、所望の温度で2分間安定化させる。容器中での蓄積数または測定深さ等のパラメータはデバイスによって自動的に最適化される。この技術を用いてコヒーレント単色入射ビーム(レーザ)の分布を調べることで溶液中の対象のブラウン運動に基づいてその寸法を求めることができる。この対象はミセルまたは凝集体の形に集合していてもいなくてもよい溶液中のナノ粒子またはポリマーにすることができる。
【0092】
実施例1
塩化物四級化ジェファミン(登録商標)M600の調製
(a)ヨウ化物四級化ジェファミン(登録商標)の調製
Jeffamine(登録商標)の第一アミンをCope et al. [A.C.Cope, JACS, 1960, 82, 4651 -4655] の合成プロトコルに従って過剰のヨードメタンCH3Iと反応させて四級化した。
冷却器を備えた500mlの容器中で41.5g(0.07mol)のジェファーミン(登録商標)M600を34g(0.4mol)の炭酸水素ナトリウムの存在下で300mlのメタノールに溶解した。攪拌しながら30g(0.21モル)のヨードメタンCH3Iを加え、光を避けて72時間還流下で加熱する。24時間後に反応媒体に30g(0.21モル)の追加のヨードメタンCH3Iを添加する。完全冷却後、無水硫酸マグネシウムを添加して痕跡量の水を除去し、溶液を濾過して沈殿した塩を除去する。濾液を真空下80℃で蒸発させて、沈殿した塩を含む粘性のあるambarino黄色液体を得る。ポリマーを溶解するために少量のクロロホルムを加え、冷気陸濾過によって不溶性塩を除去する。次いで、溶媒を蒸発させてヨウ化物四級化Jeffamine(登録商標)M600を回収する。
ヨウ化物四級化Jeffannine(登録商標)M600の四級化収率は95%である。
【0093】
(b)塩化物四級化ジェファミン(登録商標)の調製
工程(a)で得た20g(0.026mol)のヨウ化物四級化ジェファミン(登録商標)を200mlの水に溶解する。20mlの塩化物の形をしたアンバーリスト(Amberlyst)IRA400樹脂(1.4meq/ml)を水で洗浄した後、上記のヨウ化物四級化ジェファミン溶液を添加する。次いで、反応媒体を攪拌しながら50℃で24時間加熱する。冷却後、懸濁液を濾過した後、濾液を予め洗浄した20mlのアンバーリスト(Amberlyst)IRA400樹脂を充填したカラムに2ml/分の流速で通す。回収液を真空下で90℃で蒸発させ、水を除去する。残った塩化物四級化ジェファミンを無水エタノールに溶解し、真空共沸蒸発によって痕跡量の水を除去する。得られた塩化物四級化ジェファミンは白いワックス状の固体である。
【0094】
(c)塩基性媒体中での塩化物四級化ジェファミン(登録商標)のミセル挙動
ジェファーミン(登録商標)のポリマー鎖は感熱性である。低い温度では四級化ジェファーミン(登録商標)M600はユニマー(〜1nm)の形で溶液に可溶性である。50℃以上ではこのポリマー鎖は疎水性が強く、界面活性剤の挙動をし、ユニマーが集まって小さな物体を形成する。温度が上昇するとポリマー鎖はますます疎水性になり、ミセルはDLSで測定すると50℃で約50nmに凝集し、90℃では530nmに凝集する。ミセルは正に帯電したコロナによって安定化され、沈殿は観察されない。セル形成は可逆的で、温度を50℃以下に低下させるとジェファミン(登録商標)ユニマーは溶液中に完全に解離する。
四級化ジェファミン(登録商標)M600の場合、ミセルは75℃から形成され、ミセルの寸法は75℃〜90℃まで成長する。
【0095】
実施例2(比較例):
有機テンプレートとしてCTABを使用してHY15ゼオライトを再結晶化して固体Aを製造
親サンプルHY15ゼオライトの再結晶化は[特許文献7](米国特許第US2007244347号明細書)に記載の合成プロトコルに従って行った。
1.67gのHY15ゼオライトを120mlオートクレーブ中で激しく攪拌しながら50mlの0.09M−TMAOH溶液と室温で混合する。懸濁液に撹拌しながら0.83gのCTABを加え、20分間攪拌を維持する。混合物のCTAB/Siモル比は0.082である。次に、オートクレーブを密閉し、自然発生圧力下に150℃で20時間、反応媒体を静的水熱条件下に置く。オートクレーブを水浴中で急冷後、濾過して固体を回収し、中性pHに達するまで脱イオン水を用いて洗浄する。次いで固体を80℃のオーブン中で一晩乾燥させる。有機種(CTABとTMAOH)を管状炉中で空気流下(200ml/時)で550℃(1℃/分)で8時間、完全焼成して全固体気孔を回収する。
得られた親ゼオライト固体Aの特性は[表2]に記載した。
【特許文献7】米国特許第US2007244347号明細書(J.Y.Ying)
【0096】
【表2】
【0097】
ゼオライトHY15をCTABの存在下で再結晶化することは、初期結晶形を維持したままゼオライト内部にメソ多孔性を生成するのに効率的である。再結晶化された材料は階層構造を有し、長距離ゼオライト結晶性を有し、同じ結晶中にメソポアの高いメゾスコピック秩序を有している([図1][図3])互いに接続され二峰性の細孔系が得られ、ミクロポア(0.74nm〜7.4ナ)とメソポア(4.3mm〜43ナ)の狭い寸法分布が得られた([図4]および[図5])
【0098】
実施例3
有機テンプレートとして塩化物四級化ジェファーミン(登録商標)M600を用いてHY15ゼオライトを再結晶化して固体Bを製造
(a)反応混合物の製造
0.462g(0.682mmol)の塩化物四級化ジェファミン(登録商標)M600を20mlのオートクレーブ中で10分間、室温で撹拌しながら15mlの0.09M−TMAOH溶液に溶解する。
0.5gのHY15を攪拌しながら20分間かけて上記溶液に添加する。四級化ジェファミン(登録商標)M600の量せN+/Si比を0.082に維持して決定された。
【0099】
(b)固体Bの製造
次いで、オートクレーブを密閉し、反応媒体を自然発生圧力下で150℃で20時間、静的水熱条件下に置く。オートクレーブを水浴中で急冷した後、固体を濾過して回収し、中性pHになるまで脱イオン水を用いて洗浄した。次に、固体を80℃のオーブン中で一晩乾燥させた。固体の多孔性は含有有機物を洗浄または管状炉中で550℃(1℃/分)で空気下で8時間(200mL/時)焼成して回収した。
【0100】
(C)固体Bの特性
固体Bの特性は[表3]に記載した。
図12]の広角XRDはYゼオライトの構造が保存されていることを明らかに示している。狭角XRDを使用すると約1°2θに肩が存在し、これは再結晶固体がメソ構造化されていることを示している。このメソ構造はN2吸着等温線([図13])でも確認され、0.5〜0.7の間の相対圧に強い吸着が示されている。対応するメソポアは5.9nmを中心とした狭い分布を有し、0.274ml/gの容積を示し、親HY15ゼオライトと比較してメソポーラス容積が67%増加する。この結果は固体中の均質バーミキュラメソポーラス相の形成を示すTEM画像によっても確認される([図10])。ミクロ多孔性とメソ多孔性とが密接にて接続され、これは2つのポア系間の優れた相互接続性を示唆し、再結晶化したゼオライト結晶の真の階層的多孔性(true hierarchical porosity)を証明している。MEB画像([図11])は再結晶化処理後にも前駆体ゼオライトYの定型的な結晶形状と寸法とが維持されることを示し、再結晶の上記擬似形態を再確認している。
【0101】
実施例4
有機テンプレートとして塩化物四級化ジェファーミン(登録商標)M600を用いたYゼオライトの再結晶化による固体Cの製造
(a)反応混合物の製造
手順は実施例3の(a)と同じ。
(b)固体Cの製造
反応混合物を120℃ではなく150℃で勝利した以外は実施例3の(b)の手順と同じである。
(c)固体Cの特徴付け
固体Cの特性は[表3]に記載した。
固体Bと同じ結論(すなわち、親ゼオライトYの構造が保持され;固体中に均質なバーミキュラメソポーラス相が形成され;メソポアは約5.5nmを中心とする狭い分布を有する)を得ることができる。ミクロ多孔性とメソ多孔性とが密接に接続され、2つのポア系間の優れた相互接続性を示唆し、再結晶化したゼオライト結晶の真の階層的多孔性が証明される。
【0102】
実施例5
有機テンプレートとして塩化物四級化ジェファーミン(登録商標)M600を用いてHY15ゼオライトを再結晶化する固体Dを製造
(a)反応混合物の製造
手順は実施例3の(a)と同じ。
(b)固体Dの製造
反応混合物を100℃ではなく150℃で勝利した以外は実施例3の(b)の手順と同じである。
(c)固体Dの特徴付け
固体Dの特性は[表3]に記載した。
固体Bおよび固体Cと同じ結論(すなわち、親ゼオライトYの構造が保持され;固体中に均質なバーミキュラメソポーラス相が形成され;メソポアは約5.5nmを中心とする狭い分布を有する)を得ることができる。ミクロ多孔性とメソ多孔性とが密接に接続され、2つのポア系間の優れた相互接続性を示唆し、再結晶化したゼオライト結晶の真の階層的多孔性が証明される。
【0103】
実施例6
有機テンプレートとして塩化物四級化ジェファーミンョM600を用いてYゼオライトを再結晶化して固体Eを製造
(a)反応混合物の製造
0.924g(1.36mmol)の塩化物四級化ジェファミン(登録商標)M600を20mlのオートクレーブ中で撹拌しながら15mlの0.09M−MAOH溶液中に室温で10分間で溶解する。次に、0.5gのHY15ゼオライトを攪拌しながら上記溶液に20分間かけて添加する。四級化ジェファミン(登録商標)M600の量は0.164のN+/Si比を維持するように決定される。
【0104】
(b)固体Eの製造
実施例4の(b)の手順と同じである。
(c)固体の特徴付け
固体Eの特性は[表3]に記載した。
固体B、CおよびDと同じ結論(すなわち、親ゼオライトYの構造が保持され;固体中に均質なバーミキュラメソポーラス相が形成され;メソポアは約5.5nmを中心とする狭い分布を有する)を得ることができる。ミクロ多孔性とメソ多孔性とが密接に接続され、2つのポア系間の優れた相互接続性を示唆し、再結晶化したゼオライト結晶の真の階層的多孔性が証明される。
【0105】
実施例7
有機テンプレートとして塩化物四級化ジェファーミン(登録商標)M1000を用いてHY15ゼオライトを再結晶化して固体Fを製造
(a)反応混合物の製造
0.74g(0.682mmol)の塩化物四級化ジェファーミン(登録商標)M1000を20mlのオートクレーブ中で15mlの0.09M−TMAOH溶液に撹拌しながら室温で10分かけて溶解する。0.5gのHY15ゼオライトを攪拌しながら20分間かけて上記溶液に添加する。四級ジェファミン(登録商標)M1000の量はN+/Si比が0.082を維持するように決定される。
(b)固体Fの製造
次いで、オートクレーブを密閉し、反応媒体を自然発生圧力下に150℃で20時間、静的水熱条件したに置く。オートクレーブを水浴中で急冷した後、固体を濾過して回収し、中性pHに達するまで脱イオン水を用いて洗浄する。次に、固体を80℃のオーブンで一晩乾燥させる。含まれる有機物を洗浄または管状炉中で550℃(1℃/分)で空気流下(200mL/時)に8時間焼成して多孔性固体を回収する。
【0106】
(c)固体Fの特徴付け
固体Fの特性は[表3]に記載した。
塩化物四級化ジェファーミン(登録商標)M1000を使用してもHY15ゼオライト中にメソ構造を作成できない。固体FのN2等温線は親HY15と同じ傾向を示し、同様な細孔サイズ分布を示す。ジェファーミン(登録商標)M1000は高い疎水性/親水性バランスを有し、それ対応するLCSTは再結晶条件に合わない。
【0107】
実施例8
有機テンプレートとして四級化ジェファーミン(登録商標)M2005を用いてHY15ゼオライトを再結晶化して固体Gを製造
(a)反応混合物の製造
1.42g(0.682mmol)の塩化物四級化Jeffamine(登録商標)M2005を20mlのオートクレーブ中で撹拌しながら15mlの0.09M−TMAOH溶液に室温で10分間で溶解させる。0.5gのHY15ゼオライトを攪拌しながら上記溶液に20分間かけて添加する。四級ジェファミン(登録商標)M2005の量はN+/Si比が0.082に維持されるように決定される。
(b)固体Gの製造
手順は実施例5の(b)と同じである。
(C)固体Gの特徴付け
固体Gの特性は[表3]に記載した。
この実施例でも再結晶化ゼオライト結晶の真の階層的多孔性の形成が以下の特性から確認された。すなわち、親ゼオライトYの構造を保存され、固体中に均質バーミキュラメソポーラス相が形成され、この場合にはメソポアの分布は固体Bよりも大きく、約8nmと15nmをそれぞれ中心とする2つの主要寄与分を有し、ミクロ多孔性とメソ多孔性とは密接に接続されている。さらに、リサイクル可能な構造化剤を用いた場合でも、構造化剤を正確に選択することによってメソ構造のメソポアの寸法を調節できることが証明された。
【0108】
実施例9
塩化物四級化ジェファミン(登録商標)M600を用い、種々の抽出条件を用いてHY15ゼオライトを再結晶化して固体H〜Hviiiを製造
(a)反応混合物の製造
0.924g(1.36mmol)の塩化物四級化ジェファミン(登録商標)M600を20mlのオートクレーブ中で15mlの0.09M−TMAOH溶液に室温で撹拌しながら10分間で溶解する。0.5gのHY15ゼオライトを攪拌しながら上記溶液中に20分間かけて添加する。塩化物四級化ジェファーミン(登録商標)M600の量はN+/Si比を0.164に維持することで決定されている。
【0109】
(b)固体H〜Hviiiの製造
次に、オートクレーブを密閉し、反応媒体を自然発生圧力下に120℃で20時間、静的水熱条件したに置く。オートクレーブを水浴中で急冷した後、下記の各種ルートを検討した:
(1)固体H
固体を濾過し、中性pHに達するまで脱イオン水を用いて洗浄して固体を回収した。次いで、80℃のオーブン中で固体を一晩乾燥させる。有機物を管状炉中で空気下(200mL/時)8時間、550℃(1℃/分)で焼成して固体の多孔性を回復した。
(2)固体Hi
固体を洗浄せずに25℃で濾過して回収した。次に、80℃のオーブン中で固体を一晩乾燥した。その特性は[表4]に示した。
(3)固体Hii〜Hiv
固体を25℃で濾過し、0℃、27℃および40℃でそれぞれ洗浄して回収する。洗浄工程では100mgの固体を15mlの脱イオン水中に導入し、それぞれ0℃、27℃および40℃で24時間撹拌下にバッチで洗浄する。回収した固体を80℃のオーブンで一晩乾燥した。その特性は[表4]に示す。
(3)固体v〜固体Hvii
固体を25℃で濾過し、27℃で洗浄して回収した。洗浄工程はそれぞれ0.1M−HNO3(硝酸)、NH4OH(水酸化アンモニウム)およびNH4NO3(硝酸アンモニウム)を含む15mlの溶液中で100mgの固体を撹拌しながらバッチで24時洗浄して行った。回収した固形分は80℃のオーブン中で一晩乾燥した。その特性は[表4]に示す。
(4)固体Hviii
固体を25℃で濾過し、27℃洗浄して回収した。洗浄工程は100mgの固体を15mlの純粋メタノール中に入れ、24時間、バッチで撹拌しながら行った。回収した固形分は80℃のオーブン中で一晩乾燥した。その特性は[表4]に示す。
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】
【0112】
ゼオライトの再結晶化後に溶液を冷却すると、塩化物四級化ジェファーミン(登録商標)M600のミセルは材料のメソポア中でバラバラになる。
室温で一回濾過するだけで洗濯せずに(固体Hi)、再結晶ゼオライト中に存在する構造化剤の30%は抽出することができる。
室温で水で洗浄すると、30%の追加の構造化剤(固体Hii)を抽出することができ、これは材料から抽出された四級化ジェファミン(登録商標)M600の総量の60%になる。材料を焼成せずに、穏やかな条件下でメソポーラス容積の73%が回収される。抽出される有機材料の量に関して洗浄中に使用する水の温度が大きな影響を与えることはない([表5])。
酸性溶液を使用すると(固形Hv)、TMA+カチオンのH+による交換抽出が改善し、メソポーラス容積の90%、ミクロポーラス容積の15%がアクセス可能になる。
洗浄溶媒としてメタノールを用いて得られた結果(固体Hviii)はNH4OHを含む溶液(固体Hvi)またはNHNO3を含む溶液(固体Hvii)を用いて得られたものよりも優れているが、HNO3を含む溶液(固形HV)の場合ほどよくはない。
ここで得られた結果は、メソポーラス化された(mesoporized)ゼオライト気孔からの構造化剤の抽出可能性を示している。
【0113】
【表5】
【0114】
実施例10
四級化ジェファーミン(登録商標)の本発明の他の再結晶合成への再循環
(Recrist.1/Recrist.2/Recrist.3/Recrist.4)
固体Hと同じ再結晶化プロトコル(実施例9)を使用した。
氷浴中で冷却した後、懸濁液を室温で濾過し、固体を3mlの脱イオン水で洗浄する。固体を80℃で乾燥する(Recrist.1)。
濾液を回収し、次ぎの再結晶で再利用する前に、濾液のpHを13に調整する。これはTMAOH(25%溶液)を滴下する水熱処理前の再結晶化溶液の初期pHに対応する。次いで、親ゼオライトHY15を添加し、系を撹拌下に120℃で20分間、水熱処理する。室温で冷却し、濾過した後、第2の固体を(Recrist.2)を回収する。上記の再循環/再結晶化プロトコルを同じ四級化ジェファミン(登録商標)M600溶液を用いてさらに2回繰り返す。追加の2回の再結晶化ゼオライトのサンプル(Recrist.3/Recrist.4)を得る。
再結晶収率は高く、92〜94%である。
【0115】
再結晶化ゼオライトの特性は[表6]と[図19]にまとめて示した。これらの結果は、四級化ジェファミン−Clを含む溶液は中間精製なしに再循環可能であることを明確に示している。本発明は、穏やかな条件下で回収可能かつ再循環可能な構造化剤を使用することで下記の特性を有する階層型ゼオライト材料を合成できることが実証した:
(1)親ゼオライトYの構造が保存される。
(2)固体中に均質なバーミキュラメソポーラス相が形成される。
(3)メソポアは5.5nmを中心とする狭い分布を有する。
(4)ミクロ多孔性とメソ多孔性とが密接に接続されている。
【0116】
【表6】
【0117】
実施例11(比較例)
有機テンプレートとして非四級化Jeffamine M600を用いてHY15ゼオライトを再結晶化して固体Iの製造
(a)反応混合物の製造
0.421g(0.682mmol)のJeffamine(登録商標)M600を20mlのオートクレーブ中で15mlの0.09M−TMAOH溶液中に室温で攪拌しながら10分で溶解させる。
0.5gのHY15を攪拌しながら上記溶液に20分間かけて添加する。Jeffamine(登録商標)M600の量はNH2/Si比が0.082を維持するように決定されている。
(c)固体Iの製造
次いで、オートクレーブを密閉し、反応媒体を自然発生圧力下に150℃で20時間、静的水熱条件下に置く。オートクレーブを水浴中で急冷後、濾過して固体を回収し、中性pHに達するまで脱イオン水を用いて洗浄する。次いで80℃のオーブン中で固体を一晩乾燥させる。有機物せ洗浄するか、管状炉中で空気下(200mL/時)で550℃(1℃/分)で8時間)焼成して、固体の多孔性を回復する。
(d)固体Iの特徴付け
固体Iの特性は[表7]に示した。
【0118】
【表7】
【0119】
固体Iの場合、広角XRDは、親HY15ゼオライトおよび固体Bと比較して結晶性が急激に低下していることを明らかに示しており([図20]の左側)、非晶質アルミノ相に相当する15〜30°2Θに大きなピークが存在している。
狭角散乱XRD([図20]の右側)を用い時の固体IのXRDスペクトルは親HY15ゼオライトのものと似ている。これは組織化されたメソ構造が形成されなかったことを示す。これはTEM画像([図22])でも確認される。
これらの結果は、N2吸脱着等温線([図21]と[表7])で測定される固体Iのテクスチャー特性と一致している。大きなメソポア(>10nm)の存在によってミクロボア容積の半分以上が失われている(〜62%)。固体Iの細孔寸法分布は広く、3〜40nmで、約7.4nmに中心がある。
上記の全ての結果は、上記で考慮した合成条件下(高アルカリ性媒体中)では、非四級化Jeffamine(登録商標)M600では制御されたメソポア化(mesoporization)は不可能であることを示している。材料中に多量のメソポアとミクロポアとが形成されるとともに、ゼオライト構造の大部分が破壊される。
【0120】
実施例12(比較例)
濾過で回収し、焼成しないCTABの存在下でHY15ゼオライトを再結晶化して固体Jを製造
1.67gのHY15ゼオライトを120mlのオートクレーブ中で50mlの0.09M−TMAOH溶液に激しく攪拌しながら室温で混合する。次いで、0.83gのCTABを添加し、撹拌しながら懸濁状態を20分間維持する。混合物のCTAB/Siモル比は0.082である。
次いで、オートクレーブを密閉し、反応媒体を自生圧力下に150℃で20時間、静的水熱条件下に置く。
オートクレーブを水浴中で急冷した後、固体を中性pHになるまで脱イオン水を用いて25℃で濾過して回収し、洗浄し、次いで固体を80℃のオーブンで一晩乾燥させる(固体J)
固体Jを管状炉内で大気下(200mL/時)、550℃(1℃/分)で8時間焼成して固体Aを回収する。
CTABはどんな温度またはpH条件でも両親媒性を維持する界面活性剤である。
2−物理吸着の測定値([図23])から明らかなように、CTABはメソポア内にトラップされ、温度を低下させ、続いて濾過しても除去できない。材料(固体A)の完全気孔率を回復するには焼成工程は必須である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23