特許第6626112号(P6626112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626112
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】調整可能なボルスタ
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/66 20060101AFI20191216BHJP
   B60N 2/62 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   B60N2/66
   B60N2/62
【請求項の数】30
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-539646(P2017-539646)
(86)(22)【出願日】2016年1月21日
(65)【公表番号】特表2018-503560(P2018-503560A)
(43)【公表日】2018年2月8日
(86)【国際出願番号】CA2016000017
(87)【国際公開番号】WO2016119041
(87)【国際公開日】20160804
【審査請求日】2019年1月15日
(31)【優先権主張番号】14/606,853
(32)【優先日】2015年1月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516197218
【氏名又は名称】レゲット・アンド・プラット・カナダ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】マクミレン,ロバート・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンゼン,ラリー
(72)【発明者】
【氏名】ティンドール,ポール
(72)【発明者】
【氏名】フリーセン,ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】アリオンテ,コリーナ
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−141664(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0255733(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0125101(US,A1)
【文献】 米国特許第02796920(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/90
A47C 7/00 − 7/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定フレームを有するシート用ボルスタ組立体であって、
前記固定フレームに連結されたハウジングであって、トラックを支持するハウジングと、
第1の位置と第2の位置との間で前記トラックの少なくとも一部に沿って可動であるブラケットと、
前記ブラケットに可動に連結されたパドルと、
駆動軸を中心に回転するように構成される駆動シャフトと、を備え、前記駆動シャフトが、前記駆動軸を中心に回転することで、前記ブラケットを前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させ、
前記パドルが、玉継手を介して前記ブラケットに可動に連結される、ボルスタ組立体。
【請求項2】
前記ブラケットが、ボウル部分を含み、前記パドルが、ドーム部分を含み、前記ドーム部分が、前記玉継手と前記ボウル部分との間に動作可能に置かれる、請求項1に記載のボルスタ組立体。
【請求項3】
前記玉継手が、肩部を含み、前記ブラケットが、止め部を含み、前記肩部および前記止め部が、協働可能に噛み合って、前記ボウル部分を収容するために前記玉継手と前記ブラケットとの間に間隙を作る、請求項2に記載のボルスタ組立体。
【請求項4】
前記パドルを前記ブラケットに連結するピンをさらに備え、前記ピンが、第1の直径を有する、請求項1に記載のボルスタ組立体。
【請求項5】
前記玉継手が、前記パドルを前記ブラケットに連結するピンをさらに含む、請求項1に記載のボルスタ組立体。
【請求項6】
前記ピンが、ねじ連結で前記ブラケットと噛み合わされる、請求項4に記載のボルスタ組立体。
【請求項7】
前記ピンが、圧入連結で前記ブラケットと噛み合わされる、請求項4に記載のボルスタ組立体。
【請求項8】
前記パドルが、少なくとも5ミリメートル弾性的に撓むことができる部分を含む、請求項1に記載のボルスタ組立体。
【請求項9】
前記トラックが、弓形であり、前記トラックに沿って可動な前記ブラケットの一部が、弓形である、請求項1に記載のボルスタ組立体。
【請求項10】
前記パドルが、それを通って前記ピンが延びる孔を含み、前記孔が、前記第1の直径より大きい第2の直径を有する、請求項4に記載のボルスタ組立体。
【請求項11】
前記第2の直径が、前記第1の直径より少なくとも70%大きい、請求項10に記載のボルスタ組立体。
【請求項12】
前記ハウジングに連結された第1の端部と、前記パドルに連結された第2の端部とを有する付勢部材をさらに備える、請求項1に記載のボルスタ組立体。
【請求項13】
前記ピンが、長手方向軸を画定し、前記パドルが、前記ブラケットに対して前記長手方向軸を中心に回転可能である、請求項4に記載のボルスタ組立体。
【請求項14】
前記長手方向軸が、その中で前記パドルが前記ブラケットに対して回転可能である、前記長手方向軸に直交する第1の回転平面を画定し、前記パドルが、前記第1の回転平面と非平行な第2の回転平面における前記ブラケットに対して回転可能である、請求項13に記載のボルスタ組立体。
【請求項15】
前記パドルが、前記第1の回転平面に非平行であり、前記第2の回転平面に非平行である第3の回転平面における前記ブラケットに対して回転可能である、請求項14に記載のボルスタ組立体。
【請求項16】
トラック部分を有するハウジングと、
第1の位置と第2の位置との間で前記ハウジングの前記トラック部分に沿って可動なブラケットと、
玉継手を介して前記ブラケットに可動に連結されたパドルと、を備えるボルスタ組立体。
【請求項17】
前記パドルが、第1の回転平面における前記ブラケットに対して回転可能であり、前記パドルが、第2の回転平面における前記ブラケットに対して回転可能であり、前記第2の回転平面が、前記第1の回転平面に直交している、請求項16に記載のボルスタ組立体。
【請求項18】
前記パドルが、第3の回転平面における前記ブラケットに対して回転可能であり、前記第3の回転平面が、前記第1の回転平面に直交しており、前記第3の回転平面が、前記第2の回転平面に直交している、請求項17に記載のボルスタ組立体。
【請求項19】
固定フレームを有する、シート用ボルスタ組立体であって、
ブラケットを支持する駆動装置組立体と、
玉継手を介して前記ブラケットに連結されたパドルと、を備え、前記駆動装置組立体が、前記パドルを前記固定フレームに対して格納および延伸するように構成され、前記パドルが、3つの直交回転平面における前記固定フレームに対して可動である、ボルスタ組立体。
【請求項20】
前記パドルが、第1の回転平面、当該第1の回転平面と平行でない第2の回転平面、及び当該第2の回転平面と平行でない第3の回転平面におけるブラケットに対して回転可能である、請求項19に記載のボルスタ組立体。
【請求項21】
第1の軸まわりに回転するための第1の駆動シャフトを有するアクチュエータと、
前記第1の軸と直交する第2の軸まわりに回転するように前記第1の駆動シャフトに動作可能に連結された第2の駆動シャフトと、を備え、前記第2の軸まわりの前記第2の駆動シャフトの回転によって前記ブラケットが第1の位置と第2の位置との間で移動する、
請求項19に記載のボルスタ組立体。
【請求項22】
前記駆動装置組立体が、弓形の形状であるトラックを含み、前記ブラケットが、第1の位置と第2の位置との間で前記弓形のトラックに沿って移動可能であり、前記パドルが、前記トラックの前記形状に沿った弓形の軌道において前記ブラケット共に移動可能である、請求項19に記載のボルスタ組立体。
【請求項23】
駆動シャフトであって、当該駆動シャフトの回転によって前記ブラケットが第1の位置と第2の位置との間で移動する、駆動シャフトと、
前記ブラケットに連結され、前記駆動シャフトと動作可能に関連付けられ、前記駆動シャフトによって可動な移動部材と、を更に備え、前記駆動シャフトの回転によって前記移動部材が移動し、前記ブラケットを前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させる、
請求項19に記載のボルスタ組立体。
【請求項24】
前記パドルが、シートクッションに対して回転可能であると共に、シートクッションを移動させるように動作可能である、請求項19に記載のボルスタ組立体。
【請求項25】
前記パドルが、シートクッションに対して回転可能であると共に、シートクッションを移動させるように動作可能である、請求項16に記載のボルスタ組立体。
【請求項26】
前記パドルが、第1の回転平面、当該第1の回転平面と平行でない第2の回転平面、及び当該第2の回転平面と平行でない第3の回転平面におけるブラケットに対して回転可能である、請求項16に記載のボルスタ組立体。
【請求項27】
第1の軸まわりに回転するための第1の駆動シャフトを有するアクチュエータと、
前記第1の軸と直交する第2の軸まわりに回転するように前記第1の駆動シャフトに動作可能に連結された第2の駆動シャフトと、を備え、前記第2の軸まわりの前記第2の駆動シャフトの回転によって前記ブラケットが前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動する、
請求項16に記載のボルスタ組立体。
【請求項28】
前記トラック部分が弓形の形状であり、前記ブラケットが、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記弓形のトラック部分に沿って移動可能であり、前記パドルが、前記トラック部分の前記形状に沿った弓形の軌道において前記ブラケット共に移動可能である、請求項16に記載のボルスタ組立体。
【請求項29】
駆動シャフトであって、当該駆動シャフトの回転によって前記ブラケットが前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動する、駆動シャフトと、
前記ブラケットに連結され、前記駆動シャフトと動作可能に関連付けられ、前記駆動シャフトによって可動な移動部材と、を更に備え、前記駆動シャフトの回転によって前記移動部材が移動し、前記ブラケットを前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させる、
請求項16に記載のボルスタ組立体。
【請求項30】
前記パドルが、シートクッションに対して回転可能であると共に、シートクッションを移動させるように動作可能である、請求項1に記載のボルスタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、シートの内部で使用する、具体的には車両シートの内部で使用するボルスタ支持システムに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
[0002]シート用ボルスタ組立体は、固定フレームおよび固定フレームに連結されたハウジングを含む。ハウジングは、トラックと、第1の位置と第2の位置との間でトラックの少なくとも一部に沿って可動であるブラケットとを含む。パドルは、ブラケットに可動に連結され、駆動シャフトは、駆動軸を中心に回転するように構成される。駆動シャフトが、駆動軸を中心に回転することで、ブラケットを第1の位置と第2の位置との間で移動させる。
【0003】
[0003]ボルスタ組立体は、トラック部分を有するハウジングと、第1の位置と第2の位置との間でハウジングのトラック部分に沿って可動であるブラケットとを含む。さらに、ボルスタ組立体は、ブラケットに可動に連結されたパドルを含む。
【0004】
[0004]シート用ボルスタ組立体は、固定フレームと、固定フレームに可動に連結されたパドルとを含む。パドルは、3つの直交回転平面における固定フレームに対して可動である。
【0005】
[0005]本発明の他の態様は、詳細説明および添付の図面を考察することで明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】[0006]車両シートの斜視図である。
図2】[0007]2つのボルスタ組立体を備えた図1の車両シートの部分斜視図である。
図3】[0008]図2のボルスタ組立体の斜視図である。
図4】[0009]図2のボルスタ組立体の分解図である。
図5】[0010]格納位置にあるボルスタ組立体の図3の線5−5から見た断面図である。
図6】[0011]延伸位置にあるボルスタ組立体の図3の線5−5から見た断面図である。
図7】[0012]図7は、パドルが中立位置にある図3のボルスタ組立体の正面図である。 [0013]図7aは、図7および図8と関連する向きの基準の図である。
図8】[0014]パドルが、実線で示された回転位置および破線で示された別の回転位置まで第1の平面の中で回転された状態にある、図3のボルスタ組立体の正面図である。
図9】[0015]図9は、パドルが中立位置にあるボルスタ組立体の図3の線5−5から見た拡大部分断面図である。 [0016]図9aは、図9および図10と関連する向きの基準の図である。
図10】[0017]パドルが、実線で示された回転位置および破線で示された別の回転位置まで第2の平面の中で回転された状態にある、ボルスタ組立体の図3の線5−5から見た拡大部分断面図である。
図11】[0018]図11は、パドルが中立位置にある図3のボルスタ組立体の平面図である。 [0019]図11aは、図11および図12と関連する向きの基準の図である。
図12】[0020]パドルが、実線で示された回転位置および破線で示された別の回転位置まで第3の平面の中で回転された状態にある、図3のボルスタ組立体の平面図である。
図13】[0021]95番目の百分順位男性着座者のいる図2の車両シートおよびボルスタ組立体のトップダウン断面図である。
図14】[0022]5番目の百分順位女性着座者のいる図2の車両シートおよびボルスタ組立体のトップダウン断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0023]開示内容のいずれかの実施形態を詳細に説明する前に、本開示が、以下の説明に記載されるまたは以下の図面に例示される、構造の詳細および構成部品の配置への適用に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態で対応することができ、さまざまな方法で実践または実行されることができる。さらに、本明細書に使用される言い回しおよび用語は、説明を目的としており、制限的であるとみなされてはならないことも理解されたい。本明細書において、「including(含む)」、「comprising(備える、含む)」、または「having(有する)」、およびその変型を使用する場合、その後列挙される項目およびその均等物ならびに追加的な項目を包含するように意図されている。そこにおいておよび添付される請求の範囲で使用される場合、用語「上側」、「下側」、「頂部」、「底部」、「正面」、「背面」、および他の方向に関する用語は、何らかの特定の向きを必要とすることを目的としておらず、むしろ説明目的で使用されているにすぎない。
【0008】
[0024]図1は、以下の説明のための、車両の車室内の何らかの車両シートであり得るシート10を図示するが、シート10は、車両への適用に必ずしも制限されない。シート10は、一般的には、着座者の水平支持および垂直支持をそれぞれするための、上層クッション26を備えた、シート底部14およびシートバックレスト18を含む。図2を参照すると、上層クッション26によって被覆されているフレーム22は、バックレスト18に関する構造的完全性を提供し、垂直支持部材30の対を含む。ボルスタ組立体100は、着席乗員に対する調整可能な側部ボルスタ支持を可能にするために、垂直支持部材30のそれぞれに連結される。
【0009】
[0025]引き続き図2を参照すると、フレーム22は、ボルスタ組立体100の取付位置を示すために、クッション26を取り除いた状態で図示されている。各ボルスタ組立体100は、取付タブ108を介してフレーム22に固定的に連結されたハウジング104を含む。図2は、フレーム22上の特定の位置に取り付けられた各ボルスタ組立体100を示しているにすぎず、フレーム22に沿って、シート10の中であれば、取付位置の数は、いくつでも可能である。例えば、ボルスタ組立体100は、乗員の大腿領域を支持するためにシート底部14で同様に利用されてもよく、必ずしも、バックレスト側部ボルスタでの適用に制限されるわけではない。
【0010】
[0026]図3は、ハウジング104を含み、ブラケット112、ブラケット112に可動に連結されたパドル116、および駆動装置組立体120を有するボルスタ組立体100を図示する。ハウジング104は、弓形形状をしたトラック124を含む。代替構造には、線形軌道が含まれ得る。それに対応して、ブラケット112が、第1の位置(例えば格納位置(図5))と第2の位置(例えば延伸位置(図6))との間にトラック124の少なくとも一部に沿って可動であるように、ブラケット112は、弓形部分128を含む。下文でさらに詳しく説明するように、ブラケット112は、着座者によって制御および起動され得る駆動装置組立体120によって駆動されて、トラック124に沿って移動する。
【0011】
[0027]図3図5を参照すると、駆動装置組立体120またはアクチュエータは、モータ132、ピニオン140を備えたモータシャフト136、モータハウジング144、ウォーム歯車148、キャップ152、駆動シャフト156、およびスライドフレーム160を含む。モータハウジング144に固定されたモータ132は、直流可逆モータであれば好ましいが、適用するのに適したどのような種類の可逆モータであってもよく、さらに、必要に応じて大きさおよび動力を変えることができる。モータシャフト136のピニオン140と動作可能に噛み合わされたウォーム歯車148(図5)は、駆動シャフト156に加えられる動力の方向を直交に変更することと、モータ132から出力されるトルクを増大させることを可能にする。ウォーム歯車148は、モータハウジング144の中に含まれ、ウォーム歯車148は、さらに、モータ132を残りの駆動装置組立体構成要素に連結する。駆動シャフト156には、スプラインまたはねじ山がつけられており、駆動軸164を中心に共回転するためおよび動作中に電力伝送するために、ウォーム歯車148と対合する。モータハウジング144に取り付けられたキャップ152は、ウォーム歯車148および駆動シャフト156に対して追加的な保護を提供し、さらに、モータハウジング144をハウジング104およびスライドフレーム160に固定する。
【0012】
[0028]移動部材、またはスライダ168は、駆動シャフト156の周りに置かれ、駆動シャフト156と噛み合うための雌ねじ付き本体を含む。さらに、スライダ168は、スライドフレーム160上に形成される対向ガイドレール176と対合する対向溝172を含む。可撓性ケーブル180は、スライダ168に連結された第1の端部184およびブラケット孔192を通ってブラケット112に連結された第2の端部188を含む。代替案として、スライダ168は、何らかの中間的な連結部材なしにブラケット112に、直接連結されても、すなわちスライダ168の動きが、直接的にブラケット112を駆動する直接的な駆動設備であってもよい。
【0013】
[0029]引き続き図4を参照すると、ボルスタ組立体100は、パドル116をブラケット112に可動に連結する玉継手196を含む。ブラケット112はボウル部分200を含み、パドル116は、対応するドーム部分204を含む。ドーム部分204の外面208は、ボウル部分200と対合し(例えば入れ子状態であり)、ドーム部分204の内面212は、王継手196と対合する。玉継手196は、長手方向軸220を画定し、パドル116をブラケット112に連結するピン216をさらに含む。パドル116は、それを通ってピン216が延びる孔224を含み、ピン216は、例えばねじ連結でブラケット112と噛み合わされる。代替構造では、ピンは、圧入連結、または他の類似の連結によってブラケットと噛み合わされ得る。ピン216は、小径228を有し、パドル116に形成された孔224は、小径228より大きい第2の直径232を有する。
【0014】
[0030]組み立て時、パドル116のドーム部分204は、玉継手196とブラケット112のボウル部分200との間に置かれる。玉継手196は、ピン216の肩部236をさらに含み、ブラケット112は、対応する止め部240を含む。肩部236および止め部240は、協働可能に噛み合って、玉継手196とブラケット112との間に間隙244を作る。下文でさらに詳細に説明するように、パドル116が、玉継手196に対して、したがってブラケット112に対して移動するように機能し得るように、パドル116のドーム部分204は、間隙244の中に置かれ、間隙244の中で可動である。
【0015】
[0031]間隙244は、パドル116のドーム部分204上で作用する最大締付力を設定する。引き続き図3図5を参照すると、玉継手196は、ピン216をブラケット112の中に締め付けるための六角形開口248を含み、肩部236および止め部240は、ピン216が過剰に締め付けられるのを防止し、このことにより、パドル116が移動することが防止される。選択肢として、摩耗を最小化するために、潤滑油を、ドーム部分204の内面212および外面208の両方の上に置くことができる。図示の実施形態では、間隙244は、玉継手196上の肩部236および止め部240によって設定されるが、他の代替構造では、間隙244は、別の様式で設定されても、制限されても、または調整されてもよい。例えば、段付きボルトが、玉継手と噛み合って、段付きボルトが締められ得る量を制限して、間隙244を設定するように、間隙244は、ピン216を段付きボルトと交換することによって、設定され得る。
【0016】
[0032]このようにして、パドル116は、玉継手196とブラケット112との間の間隙244に固定されるが、ブラケット112に対して移動することができる。孔224の中でピン216が相対的に動くことを可能にするためには、孔の第2の直径232を、ピンの第1の直径228より大きくするだけでよい。図示の実施形態では、第2の直径は、第1の直径より少なくとも70%大きいが、代替構造では、第2の直径は、所望のパドルの動きに応じて、第1の直径より10%大きい程小さくてもよく、または第1の直径より1%大きい程小さくてもよい。図示した実施形態では、ピン216は、玉継手196と一体形であるように一体的に形成されるように示されているが、代替構造では、ピンは、残りの玉継手とは別の構成要素であってもよい。
【0017】
[0033]図3および図4を参照すると、ボルスタ組立体100は、パドル116に連結された複数の付勢部材252をさらに含む。各付勢部材252の第1の端部256は、ハウジング104に連結され、各付勢部材252の第2の端部260は、パドル116に連結される。付勢部材252は、パドル116をブラケット112に対して中立な位置まで付勢し、パドル116のブラケット112に対する制約のない動きを妨げるために抵抗力を提供する。さらに、動作に関して後述するように、付勢部材252は、ブラケット112が、延伸された第2の位置(図6)から格納された第1の位置(図5)まで戻るのを支援する。
【0018】
[0034]動作中に、着座者は、駆動装置組立体120を起動させて、ブラケット112の位置をハウジング104に対して調整することができる。乗員の選択に応じて、モータシャフト136が、起動されて、時計回りまたは反時計回りに回転し、回転が、ピニオン140およびウォーム歯車148を介して伝送されて、駆動シャフト156を回転させる。図5および図6を参照すると、駆動シャフト156が、第1の回転方向に回転すると、スライダ168は、駆動シャフト156に沿って第1の平行移動方向に平行移動し、駆動シャフト156が、第2の反対方向に回転すると、スライダ168は、駆動シャフト156に沿って第2の反対の平行移動方向に平行移動する。スライダ168が、駆動シャフト156に沿って移動する際に、ブラケット112が、第1の格納位置(図5)と第2の延伸位置(図6)との間にトラック124の中で移動するように、ブラケット112は、ケーブル180を介してスライダ168に連結される。上述したように、スライダ168が、モータ132に最も近い駆動シャフト156の端部に戻ると、付勢部材252は、ブラケット112が第1の格納位置(図5)に戻るのを支援する。さらに、スライダ168が、図5に示す位置に戻ると、乗員の重さが、ブラケット112を圧迫して、格納位置に戻す。
【0019】
[0035]パドル116は、前述したように、ブラケット112に可動に連結される。「可動に連結される」という用語は、パドル116のブラケット112に対する任意の相対的な動きを包含し、回転、枢動する、旋回する、または曲がることを含むが、これらに限定するわけではない。具体的には、パドル116は、着座者の体位と協働し、ブラケット112に対して移動して、乗員によってシートの中で感知される硬点を最小限にする、または別の方法で、着座者の快適性水準を改善する。換言すれば、さまざまな着座者(例えば背が低い、背が高い、やせ形の、または幅のある乗員)を快適に支持するために、パドル116は、着座者の位置に、自動的に反応して、第1の位置(図5)と第2の位置(図6)との間のブラケット112の動きに加えて、さらなる自由度を提供する。
【0020】
[0036]図7図12に関して、パドル116のブラケット112に対する動作中の動きを、次に詳細に説明する。図7図7a、および図8から始めると、パドル116は、ブラケット112に関連する第1の回転平面264において、ピン216の長手方向軸220周りの着座者の体の配置に応答して回転可能である。図7は、中立な静止位置にあるパドル116を図示する。図8は、第1の平面264の中で、第1の回転位置(実線で示される)および第2の回転位置(破線で示される)まで回転されたパドル116を図示する。第1の回転平面264は、長手方向軸220に直交しており、図8に対応する回転の平面を示すために、図7aでは陰影を付けて図示される。図示の実施形態では、およそ36度の回転だけ、図8の第1の回転位置(実線で示される)と第2の回転位置(破線で示されると)とが離れている、すなわち第1の回転位置および第2の回転位置はそれぞれ、中立位置からおよそ18度のところにある。他の構造では、第1の回転位置および第2の回転位置はそれぞれ、中立位置から30度まで及ぶ場合もある。第1の回転平面264におけるパドル116の回転は、その一部が、ブラケット112の鼻部分280に当接する、パドル116の周辺周りに延在するリップ部材276によって制限される。
【0021】
[0037]図9図9a、および図10を参照すると、パドル116は、第1の回転平面264に対して非平行でさらに直交して向けられた第2の回転平面268におけるブラケット112に対する着座者の体の配置に応答してさらに回転可能である。図9は、図7の中立位置にあるパドル116を図示し、図10は、第2の平面268の中で、第3の回転位置(実線で示される)および第4の回転位置(破線で示される)まで回転されたパドル116を図示する。さらに、第2の回転平面268は、図10に対応する回転の平面を示すために、図9aでは陰影を付けて図示される。図示の実施形態では、およそ16度の回転の角度288だけ、図10の第3の回転位置(実線で示される)と第4の回転位置(破線で示される)とが離れている。他の構造では、第3の回転位置および第4の回転位置はそれぞれ、中立位置から10度までの範囲である場合もある。さらに他の実施形態では、第3の回転位置および第4の回転位置はそれぞれ、中立位置から30度までの範囲である場合もある。
【0022】
[0038]さらに、図11図11a、および図12を参照すると、パドル116は、第1の回転平面264および第2の回転平面268に対して非平行でさらに直交して向けられた第3の回転平面272におけるブラケット112に対する着座者の体の配置に応答してさらに回転可能である。図11は、図7および図9の中立位置にあるパドル116を図示する。図12は、第3の平面272の中で、第5の回転位置(実線で示される)および第6の回転位置(破線で示される)まで回転されたパドル116を図示する。第3の回転平面272は、図12に対応する回転の平面を示すために、図11では陰影を付けて図示される。図示の実施形態では、およそ16度の回転の角度292だけ、図12の第5の回転位置(実線で示される)と第6の回転位置(破線で示される)とは離れている。他の構造では、第5の回転位置および第6の回転位置はそれぞれ、中立位置から10度までの範囲である場合もある。さらに他の実施形態では、第5の回転位置および第6の回転位置はそれぞれ、中立位置から30度までの範囲である場合もある。
【0023】
[0039]換言すれば、パドル116は、ブラケット112に対して任意の数の方向に自由に可動である。玉継手196、ピン216、および孔224は、パドル116が、ブラケット112に対して複数の方向に動くことを可能にする。このように、パドル116は、デカルト基準系(すなわちx方向、y方向、およびz方向)を表す3つの直交面264、268、272におけるブラケット112に対して可動である。回転平面264、268、272が相互に直交しているように説明されているが、パドルが回転する平面は、単純に非平行平面として説明することもできる。動作の間、パドル116が着座者の大きさおよび形状に従ってブラケット112に対して移動すると、パドル116の動きは、通常は3つの回転平面264、268、272の内の2つ以上における同時的な回転の組合せである。パドル116の動きは、代替的に、玉継手196の中央点284の周りで全方向に回転可能/枢転可能であるように説明される場合もある(図7図12)。
【0024】
[0040]ボルスタ組立体100は、着座者の特定の大きさおよび形状に最良適合するように調整される。図13は、95番目の百分順位男性(すなわち大きくて背が高い)着座者のトップダウン断面図を図示し、対照的に、図14は、5番目の百分順位女性(すなわち背が低く細い)着座者のトップダウン断面図を図示する。図13および図14では、上層シートクッションは、明瞭にするため示されておらず、着座者は、パドル116に当たっている着座者位置を表す第1の曲線300と、ボルスタ組立体100より下方の着座者位置を表す第2の曲線304とによって表示される。図13および図14では、着座者が、ボルスタ組立体100に直接接触するように表示されているが、これは、説明用の表示にすぎず、上層クッションが、着座者とボルスタ組立体の間に置かれることになると理解されたい。図13では、ブラケット112は、第1の格納位置にあり、図14では、ブラケット112は、第2の延伸位置にあり、どちらの位置も、パドル116を特定の着座者と接触させるために、調整されている。パドル116は、着座者の運動および重量分布の影響下で、上述のように回転および枢動して動くことで、それぞれの乗員を快適に支持する。
【0025】
[0041]上で説明したような運動に加えて、パドル116が弾性変形可能であるように、パドル116は、可橈性材料で構成される。換言すれば、パドル116、例えばリップ部材276のある部分は、材料が破損することなく、パドル116の残りの部分に対して動くように、弾性変形することができる。パドル116は、高温にも低温にも適するナイロンまたは別の類似の弾性材料から作られてもよい。具体的には、パドルの部分は、少なくとも5ミリメートル撓むことができる。例えば、リップ部材276は、およそ10ミリメートルまで撓むことができる。このようにして、パドル116自体が、先に記載した回転および/または枢動に加えて着座者の影響を受けて撓むことができる。
【0026】
[0042]本開示のさまざまな特徴および効果を以下の請求項で説明する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図7a
図8
図9
図9a
図10
図11
図11a
図12
図13
図14