特許第6626152号(P6626152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6626152構成要素係合構造を有するトレランスリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626152
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】構成要素係合構造を有するトレランスリング
(51)【国際特許分類】
   F16D 7/02 20060101AFI20191216BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20191216BHJP
   F04B 39/14 20060101ALI20191216BHJP
   F04C 23/02 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   F16D7/02 F
   F04C29/00 B
   F04C29/00 S
   F04B39/14
   F04C23/02 K
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-74007(P2018-74007)
(22)【出願日】2018年4月6日
(62)【分割の表示】特願2015-517863(P2015-517863)の分割
【原出願日】2013年6月27日
(65)【公開番号】特開2018-141559(P2018-141559A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2018年4月18日
(31)【優先権主張番号】61/666,365
(32)【優先日】2012年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】310004529
【氏名又は名称】サン−ゴバン パフォーマンス プラスティックス レンコール リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ペンシリウォン
【審査官】 増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第4981390(US,A)
【文献】 特開平3−92610(JP,A)
【文献】 米国特許第3197243(US,A)
【文献】 米国特許第3838928(US,A)
【文献】 特開2002−130310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 7/02
F04B 39/14
F04C 23/02
F04C 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレランスリングであって、
上部、底部および中心軸を画定する側壁を有する略円筒体を備え、前記側壁は、
第1の方向に前記側壁から延伸する複数の波状構造と、
前記第1の方向と反対の第2の方向に前記側壁から延伸する第1の複数の構成要素係合構造であって、前記第1の複数の構成要素係合構造のそれぞれは、前記トレランスリングが組み立てられる第1の構成要素に少なくとも部分的にわたりかつ係合するように構成され、第1の複数の構成要素係合構造の少なくとも1つは、前記少なくとも1つの前記第1の複数の構成要素係合構造と応する前記波状構造の周囲を少なくとも部分的に覆うように配置され前記中心軸から半径方向に延びる平面が記第1の複数の構成要素係合構造のそれぞれを横切り、かつ前記平面が前記第1の複数の構成要素係合構造のそれぞれと対応する前記波状構造の頂点を横切っている、第1の複数の構成要素係合構造と、
を含む、トレランスリング。
【請求項2】
前記複数の波状構造のそれぞれは、前記側壁の第1の面から測定される深さDWSを含み、前記第1の複数の構成要素係合構造のそれぞれは、前記側壁の第2の面から測定される深さDCES1を含み、DCES1≦DWSである、請求項1記載のトレランスリング。
【請求項3】
CES1≦DWSの50%とし、DCES1≧DWSの1%とする、請求項2記載のトレランスリング。
【請求項4】
前記複数の波状構造のそれぞれは力の足跡を含み、前記第1の複数の構成要素係合構造のそれぞれは、隣接する波状構造の前記力の足跡によって少なくとも部分的に重ね合せられる、請求項1記載のトレランスリング。
【請求項5】
第1の構成要素係合構造の数に対する、波状構造の数の第1の割合Rを≧0.25:1とする、請求項1記載のトレランスリング。
【請求項6】
を≦20:1とする、請求項5記載のトレランスリング。
【請求項7】
前記複数の波状構造から延伸する第2の複数の構成要素係合構造をさらに含み、前記第2の複数の構成要素係合構造のそれぞれは、前記トレランスリングが組み立てられる第2の構成要素に少なくとも部分的にわたりかつ係合するように構成される、請求項1記載のトレランスリング。
【請求項8】
第2の構成要素係合構造の数に対する、波状構造の数の第2の割合Rを≧0.25:1とし、Rを≦20:1とする、請求項7記載のトレランスリング。
【請求項9】
外部構成要素内に孔を含む外部構成要素と、
前記孔内に配設される内部構成要素と、
前記内部構成要素と前記外部構成要素との間に装着されるトレランスリングであって、
上部、底部および中心軸を画定する側壁を有する略円筒体を備え、
前記側壁は、
第1の方向に前記側壁から延伸する複数の波状構造と、
前記第1の方向とは反対の第2の方向に前記側壁から延伸する第1の複数の構成要素係合構造であって、前記第1の複数の構成要素係合構造のそれぞれは、前記内部構成要素に少なくとも部分的にわたりかつ係合するように構成され、第1の複数の構成要素係合構造の少なくとも1つは、前記少なくとも1つの前記第1の複数の構成要素係合構造と対応する前記波状構造の周囲を少なくとも部分的に覆うように配置され、前記中心軸から半径方向に延びる平面が前記第1の複数の構成要素係合構造のそれぞれを横切り、かつ前記平面が前記第1の複数の構成要素係合構造の前記それぞれと対応する前記波状構造の頂点を横切る、第1の複数の構成要素係合構造とを含むトレランスリングと、を備える、アセンブリ。
【請求項10】
前記トレランスリングは、前記第1の方向に前記複数の波状構造から延伸する第2の複数の構成要素係合構造をさらに備え、前記第2の複数の構成要素係合構造のそれぞれは、前記外部構成要素に少なくとも部分的にわたりかつ係合するように構成される、請求項記載のアセンブリ。
【請求項11】
孔を有して形成される圧縮機筐体と、
前記圧縮機筐体の前記孔内に設置される静的圧縮機構成要素と、
前記静的圧縮機構成要素と前記圧縮機筐体との間で前記静的圧縮機構成要素の周りに設置されたトレランスリングであって、
上部および底部を画定する側壁を有する略円筒体を備え、
前記側壁は、
第1の方向に前記側壁から延伸する複数の波状構造と、
前記第1の方向とは反対の第2の方向に前記側壁から延伸する第1の複数の構成要素係合構造であって、前記第1の複数の構成要素係合構造のそれぞれは、前記静的圧縮機構成要素の外壁に少なくとも部分的にわたりかつ係合するように構成され、第1の複数の構成要素係合構造の少なくとも1つは、前記第1の複数の構成要素係合構造の前記それぞれと前記略円筒体の半径方向において対応する前記波状構造の周囲を完全に覆う、第1の複数の構成要素係合構造とを含む、トレランスリングと、を備える圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トレランスリングに関し、特に、加熱、換気およびエアコンディショニング
(HVAC)圧縮機用電動機といった、圧縮機用電動機用トレランスリングに関する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、トレランスリングアセンブリに関する。当該アセンブリでは、トレランスリ
ングによってアセンブリの部品間に締りばめが施され、ここで、第1の部品は、第2の部
品の円筒状孔に位置する円筒部を有する。特に、本開示は、はずみ車または軸受といった
円筒状構成要素とはずみ車用筐体との間に締りばめを施すトレランスリングを有するアセ
ンブリに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エンジニアリング技法が改良されたことによって、より精度の高い機械部品が必要とな
り、製造費が上昇している。プレスばめ、スプライン、ピンまたはキー溝を利用して、プ
ーリ、はずみ車、ロータもしくはドライブシャフトなどの応用においてトルクを伝達する
、または、ステータ、メインフレーム、下フレームといった部品と、圧縮機筺体との間の
相対運動を妨げる場合には、非常に狭い公差が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
トレランスリングを使用して、トルクを伝達するために必要とされる部品間に締りばめ
を施すことができる。トレランスリングによって、正確な寸法に機械加工されていない場
合がある部品間に締りばめを施す効率的な手段が与えられる。トレランスリングは、部品
間の膨張の異なる線形係数を補償すること、迅速な装置アセンブリを可能にすること、お
よび、耐久性といった、多数の他の潜在的利点を有する。
【0005】
トレランスリングは概して、例えば、ばね鋼といった金属の弾力材の細片を含み、この
細片の両端にはリングが形成されている。突出部の帯は、リングから半径方向外方に、ま
たは、リング中央に向かって半径方向内方に延伸する。通常、突出部は形成物であり、う
ねり、隆起、または波などの規則的な形成物の場合がある。
【0006】
リングが、例えば、シャフトと、そのシャフトが位置する筐体内の孔との間の環状空間
に位置する時、突出部は圧縮される。各突出部はばねの機能を果たし、シャフトおよび孔
の表面に対して半径方向力をかけて、シャフトと筐体との間に締りばめを施す。筐体また
はシャフトが回転することで、トレランスリングによってトルクが伝達されると、シャフ
トまたは筐体の相対側で同様の回転が生じることになる。典型的には、突出部の帯は、(
当技術分野ではトレランスリングの「未形成領域」として知られる)形成物の無いリング
の環状領域によって、軸方向側面に位置する。
【0007】
トレランスリングは通常、弾力材の細片であって、当該細片の両端を重ね合せることに
よって、容易にリングを形成することができるように湾曲している細片を備えるが、トレ
ランスリングを、環状帯として製造することもできる。以降使用される「トレランスリン
グ」と言う用語は、両方のタイプのトレランスリングを含む。以降使用される「シャフト
」と言う用語は、シャフト、はずみ車、ステータ、ロータ、メインフレーム、下フレーム
、または軸受といった、円筒部を有する任意のアセンブリ構成要素を含む。
【0008】
従って、製造業において、トレランスリング、特に、圧縮機用電動機内に設置されたト
レランスリングにおける改善が、引き続き必要とされている。
【0009】
添付の図面を参照することによって、本開示をより良く理解することができ、その多く
の特徴および利点を当業者に対して明らかにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態による圧縮機アセンブリの断面図である。
図2】一実施形態によるトレランスリングの平面図である。
図3図2における位置3の、一実施形態によるトレランスリングの部分側面図である。
図4図3における線4−4に沿った、一実施形態によるトレランスリングの断面図である。
図5】内部構成要素と外部構成要素との間に設置された、一実施形態によるトレランスリングの部分平面図である。
図6】別の実施形態によるトレランスリングの部分側面図である。
図7図6における線7−7に沿った、別の実施形態によるトレランスリングの断面図である。
図8】内部構成要素と外部構成要素との間に設置された、別の実施形態によるトレランスリングの部分平面図である。
図9】さらに別の実施形態によるトレランスリングの部分側面図である。
図10図9における線10−10に沿った、さらに別の実施形態によるトレランスリングの断面図である。
図11】なお別の実施形態によるトレランスリングの部分側面図である。
図12図11における線12−12に沿った、なお別の実施形態によるトレランスリングの断面図である。
図13】さらになお別の実施形態によるトレランスリングの部分側面図である。
図14図13における線14−14に沿った、さらになお別の実施形態によるトレランスリングの断面図である。
図15】別の実施形態によるトレランスリングの部分側面図である。
図16図15における線16−16に沿った、別の実施形態によるトレランスリングの断面図である。
図17】さらに別の実施形態によるトレランスリングの部分側面図である。
図18図17における線18−18に沿った、さらに別の実施形態によるトレランスリングの断面図である。
図19】別の実施形態によるトレランスリングの部分側面図である。
図20図19における線20−20に沿った、別の実施形態によるトレランスリングの断面図である。
図21】なお別の実施形態によるトレランスリングの部分側面図である。
図22図21における線22−22に沿った、なお別の実施形態によるトレランスリングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
異なる図面における同じ参照符号の使用は、同様または同一の事項を示す。
【0012】
下記の説明は、トレランスリングに関し、特に、メインフレームと圧縮機筺体との間で
、下フレームと圧縮機筐体との間で、ステータと圧縮機筺体との間で、または、それらの
組み合わせの間で、圧縮機アセンブリ内に設置可能なトレランスリングに関する。一態様
において、トレランスリングは内部構成要素(例えば、メインフレーム、下フレーム、ス
テータなど)の周りに適合可能であり、また、圧縮機筺体を、内部構成要素上で、加熱、
膨張および配置することができる。圧縮機筐体を冷却かつ膨張させると、収縮する圧縮機
筺体の内壁によって、トレランスリングの波状構造に対して圧縮力を加えることができる
。各波状構造における圧縮力を第1の複数の構成要素係合構造に伝達することができる。
【0013】
各構成要素係合構造は波状構造とは反対側に位置することができる。換言すると、各構
成要素係合構造は、波状構造とは反対側の表面上に形成可能である、または、当該反対側
の表面から延伸する。さらに、各構成要素係合構造を、波状構造の力の足跡が重ね合せら
れる場所に形成することができる。縮小する圧縮機筺体によって与えられた圧縮力は、構
成要素係合構造を、内部構成要素の外壁にわたりかつ(and)係合するように押し込む
、またはその他の場合では、それを引き起こす。よって、トレランスリングは内部構成要
素と十分係合することになり、トレランスリングは、内部構成要素のトレランスリングに
対する回転を妨げることができる。
【0014】
トレランスリングは、第1の複数の係合構造とは反対方向に波状構造から延伸する第2
の複数の構成要素係合構造を含むこともできる。具体的には、第2の複数の構成要素係合
構造のそれぞれは、各波状構造の面から延伸することができ、外部構成要素が縮小すると
、第2の複数の構成要素係合構造のそれぞれは、外部構成要素の内壁にわたりかつ係合す
ることができる。従って、トレランスリングを、内部構成要素と外部構成要素との間の適
所に固定させることができる。第1の複数の構成要素係合構造、第2の複数の構成要素係
合構造、または、それらの組み合わせを使用することによって、内部構成要素を外部構成
要素に十分連結させることができ、内部構成要素と外部構成要素とを互いに対して固着さ
せるまたは取り付けるための溶接動作を省くことができる。
【0015】
最初に図1を参照すると、圧縮機アセンブリが示されており、概して100と示されて
いる。圧縮機アセンブリ100は、近位端104および遠位端106を画定することがで
きる圧縮機筺体102を含むことができる。さらに、圧縮機筺体102は、圧縮機筺体1
02の内壁110によって画定される内部空洞108を含むことができる。複数の静的圧
縮機構成要素を圧縮機筺体102内に設置し、かつ、それと係合させることができる。
【0016】
例えば、示されるように、圧縮機アセンブリ100は、圧縮機筺体102の近位端10
4近くに圧縮機筺体102内に配設されたメインフレーム120を含むことができる。メ
インフレーム120は外壁122を含むことができる。第1のトレランスリング124を
メインフレーム120の周りに配設することができ、メインフレーム120を圧縮機筺体
102内に確実に固定させるために、詳細に後述されるように、第1のトレランスリング
124は、メインフレーム120の外壁122と圧縮機筺体102の内壁110とを係合
させることができる。
【0017】
圧縮機アセンブリ100は、圧縮機筺体102の遠位端106近くに圧縮機筺体102
内に配設された下フレーム130を含むことができる。下フレーム130は外壁132を
含むことができる。第2のトレランスリング134を下フレーム130の周りに配設する
ことができ、下フレーム130を圧縮機筺体102内に確実に固定させるために、詳細に
後述されるように、第2のトレランスリング134は、下フレーム130の外壁132と
圧縮機筺体102の内壁110とを係合させることができる。
【0018】
また、圧縮機アセンブリ100は、メインフレーム120と下フレーム130との間に
圧縮機筺体102内に配設されたステータ140を含むことができる。ステータ140は
外壁142を含むことができる。第3のトレランスリング144をステータ140の周り
に配設することができ、ステータ140を圧縮機筺体102内に確実に固定させるために
、詳細に後述されるように、第3のトレランスリング144は、ステータ140の外壁1
42と圧縮機筺体102の内壁110とを係合させることができる。
【0019】
特定の態様において、メインフレーム120、下フレーム130、ステータ140、ま
たは、それらの組み合わせを、それぞれトレランスリング124、134、144を受け
るように構成された外壁122、132、142における溝と共に形成することができる
。当該溝を、外壁材によって一端上の側面に位置付けられる開口溝とすることができ、そ
れによって、当該溝の壁は略「L」字形を有する。さらに、当該溝を、外壁材によって両
端上の側面に位置付けられる閉口溝とすることができ、それによって、当該溝は略「U」
字形を有する。各溝の長さを、当該溝内に設置された各トレランスリング124、134
、144の長さとほぼ同じとすることができる。また、各溝の深さを、当該溝内に設置さ
れた各トレランスリング124、134、144の全厚未満とすることができる。
【0020】
特定の態様において、組み立てる間に、第1のトレランスリング124をメインフレー
ム120上に適合させることができ、第2のトレランスリング134を下フレーム130
上に適合させることができ、第3のトレランスリング144をステータ140上に適合さ
せることができる(必ずしもその順序ではない)。これらのサブアセンブリは適切に互い
と位置合わせされ、および、互いから間隔があけられ、さらに圧縮機筺体102に対して
組み立てられる。
【0021】
サブアセンブリの位置合わせおよび配置前、その間、または、その後に、圧縮機筺体1
02を膨張させるために圧縮機筺体102を加熱することができ、膨張した圧縮機筺体1
02を、図1に示されるように、サブアセンブリ上に配置することができる。
【0022】
圧縮機筺体102を冷却かつ収縮させると、圧縮機筺体102の内壁110は、第1の
トレランスリング124、第2のトレランスリング134、および、第3のトレランスリ
ング144に係合し、かつ、第1のトレランスリング124、第2のトレランスリング1
34、および、第3のトレランスリング144に圧縮力を加えることができる。圧縮力に
よって、第1のトレランスリング124またはその構成要素は、メインフレーム120、
圧縮機筺体102、またはそれらの組み合わせを係合することができる。圧縮力によって
、第2のトレランスリング134またはその構成要素は、下フレーム130、圧縮機筺体
102、またはそれらの組み合わせを係合することができる。また、冷却しかつ縮小する
圧縮機筺体102からの圧縮力によって、第3のトレランスリング144またはその構成
要素は、ステータ140、圧縮機筺体102またはそれらの組み合わせを係合することが
できる。
【0023】
特に、詳細に後述されるように、第1のトレランスリング124上の第1の複数の構成
要素係合構造は、メインフレーム120の外壁122にわたりかつ係合することができる
。さらに、第1のトレランスリング124上の第2の複数の構成要素係合構造は、圧縮機
筺体102の内壁110にわたりかつ係合することができる。従って、第1のトレランス
リング124は、メインフレーム120を圧縮機筺体102に対して固定する、またはそ
の他の場合では、据え付けることができる。
【0024】
さらに、第2のトレランスリング134上の第1の複数の構成要素係合構造は、下フレ
ーム130の外壁132にわたりかつ係合することができる。第2のトレランスリング1
34上の第2の複数の構成要素係合構造は、圧縮機筺体102の内壁110にわたりかつ
係合することができる。そのため、第2のトレランスリング134は、下フレーム130
を圧縮機筺体102に固定する、またはその他の場合では、据え付けることができる。
【0025】
第3のトレランスリング144上の第1の複数の構成要素係合構造は、ステータ140
の外壁142にわたりかつ係合することができる。さらに、第3のトレランスリング14
4上の第2の複数の構成要素係合構造は、圧縮機筺体102の内壁110にわたりかつ係
合することができる。従って、第3のトレランスリング144は、ステータ140を圧縮
機筺体102に固定する、またはその他の場合では、据え付けることができる。
【0026】
ここで、図2図5を参照すると、例示のトレランスリングが示されており、概して2
00と示されている。図2図5に図示されるトレランスリング500(および、本明細
書に記載されるその他のあらゆるトレランスリング)を、上記の圧縮機アセンブリ100
において使用することができる。さらに、同様のまたは異なったトレランスリングを圧縮
機アセンブリ100の全体にわたって使用することができる。
【0027】
図2図5に図示されるように、トレランスリング200は、略円筒状の側壁204を
有する略円筒体202を含むことができる。側壁204は上部206および底部208を
含むことができる。さらに、側壁204は、第1の端部210および第2の端部212を
含むことができる。また、側壁204の第1の端部210と第2の端部212との間に、
間隙214を設けることができる。側壁204およびトレランスリング200において割
れ目を形成するために、間隙214は側壁204全体にわたることができる。図2に示さ
れるように、トレランスリング200は中心部216を含むことができる。
【0028】
図2図5は、トレランスリング200が側壁204において形成される複数の波状構
造220を含むことができることを示している。波状構造220は、トレランスリング2
00の中心部216から離れて側壁204から外方に延伸することができる。各波状構造
220は、略半球状端部を有する略半球体を有することができる。さらに、図3に示され
る平面図において、各波状構造220を略楕円形状とすることができる。
【0029】
トレランスリングは、一列の波状構造、二列の波状構造、三列の波状構造などを含むこ
とができる。また、各列における波状構造の総数Nwsを、≧12、≧14、≧16、≧
18、≧20、≧22、≧24、≧26、≧28、≧30、≧32、≧34、≧36、≧
38、または、≧40のように、≧10とすることができる。さらに、Nwsは、≦20
0、≦190、≦180、≦170、≦160、≦150、≦140、≦130、≦12
0、≦110、または、≦100である。Nwsを、上記Nwsの値のいずれかの間かつ
それらを含む範囲内とすることができる。
【0030】
別の態様では、トレランスリング200は、間隙214に対向する多数の波状半加工品
、すなわち、不定形波状部を含む場合があり、そのため、間隙214に対向する側壁20
4は不定形であり、いずれの波状部も含まない。例えば、トレランスリング200は、≧
2、≧4、≧6、≧8、または、≧10といった、間隙214に対向する≧2の不定形波
状部を含むことができる。間隙214に対向する不定形波状部の数を、≦30または≦2
0のように、≦40とすることができる。間隙214に対向する不定形波状部の数を、上
記段落において列記された値のいずれかの間かつそれらを含む範囲内とすることができる
。波状半加工品は、トレランスリング216の中心部を通る軸を中心とし、間隙214を
二分する。
【0031】
各波状構造220は外周222を含むことができる。また、各波状構造220は、波状
構造220の外周222を超えて延伸する力の足跡224を含むことができる。力の足跡
224は、トレランスリング200の面積、例えば、側壁204の面積を示すものであり
、この力の足跡224上で、トレランスリング200の中心部216に向かって波状構造
220に垂直に作用する力が伝達される。
【0032】
特定の態様において、力の足跡224は、力の足跡224に関連付けられた波状構造2
20の外周222と同様の形状の外周を有することができる。しかしながら、力の足跡2
24の外周によって境界付けられた面積AFFを、波状構造の外周222によって境界付
けられた外周222の面積Aws以上とすることができる。例えば、AFFを、≧AWS
の110%、≧AWSの120%、≧AWSの130%、≧AWSの140%、または、
≧AWSの150%のように、≧AWSの105%とすることができる。別の態様では、
FFを、≦AWSの350%、≦AWSの300%、≦AWSの250%、または、≦
WSの200%のように、≦AWSの400%とすることができる。AFFを、上記A
WSの%値のいずれかの間かつそれらを含む範囲内とすることもできる。
【0033】
図3はまた、各波状構造220が中心軸226を含むことができることを示している。
各波状構造220を、中心軸226を中心に対称的とすることができる。
【0034】
図2図5はまた、トレランスリング200が第1の複数の構成要素係合構造230を
含むことができることを示している。第1の複数の構成要素係合構造230のそれぞれは
、波状構造220の外周222に隣接して形成可能である。さらに、第1の複数の構成要
素係合構造230のそれぞれは外周232を含むことができ、第1の複数の構成要素係合
構造230のそれぞれの外周232の一部を、隣接する波状構造220の外周222と同
一線上とすることができる。
【0035】
例えば、各構成要素係合構造230の外周232と、隣接する波状構造220の外周2
22との共線性Cを、≧10%とすることができる。そのため、各構成要素係合構造23
0の外周232の少なくとも10%を、隣接する波状構造220の外周222と同一線上
とすることができ、同じ直線状、曲線状、もしくは、直線状/曲線状の線(単数または複
数)に沿って形成することができる。別の態様において、Cを、≧25%、≧30%、≧
35%、≧45%、または、≧50%のように、≧20%とすることができる。また、C
を、≦70%、≦65%、または、≦60%など、≦75%とすることができる。Cを、
上記Cの値のいずれかの間かつそれらを含む範囲内とすることもできる。
【0036】
第1の複数の構成要素係合構造230のそれぞれは、中心軸234を含むことができ、
第1の複数の構成要素係合構造230のそれぞれの中心軸234を、各波状構造220の
中心軸226と位置合わせすることができる。
【0037】
図4および図5に示されるように、第1の複数の構成要素係合構造230のそれぞれは
、波状構造220が延伸する方向とは反対の方向に、側壁204から延伸することができ
る。例えば、波状構造220がトレランスリング200の中心部216から離れて外方に
延伸する場合、第1の複数の構成要素係合構造230は、トレランスリング200の中心
部216に向かって内方に延伸することができる。
【0038】
図4および図5に示されるように、第1の複数の構成要素係合構造230のそれぞれは
、湾曲した遠位縁236を有することができる。具体的には、各遠位縁236の曲率を側
壁204の曲率と一致させることができる。第1の複数の構成要素係合構造230の向き
によっては、それぞれの遠位縁236を内縁または外縁とすることができる。
【0039】
従って、トレランスリング200を、ステータ、メインフレーム、下フレーム、シャフ
ト、軸受などの内部構成要素502の周りに設置し、かつ、収縮する外部構成要素504
をトレランスリング200の周りに配置する時、収縮する外部構成要素504は、波状構
造220のそれぞれに対して作用可能な圧縮力を与えることができる。各波状構造220
に対する圧縮力を、波状構造220の力の足跡224を介して、波状構造220に対向し
、かつ、波状構造220と位置合わせされた構成要素係合構造230それぞれに伝達する
ことができる。外部構成要素504が収縮する時に外部構成要素504によって与えられ
る力を、各構成要素係合構造230またはその遠位縁236を、内部構成要素502内に
少なくとも部分的に押し進めるのに十分の大きさとすることができる。具体的には、第1
の複数の構成要素係合構造230のそれぞれ、または、その遠位縁は、内部構成要素50
2の外壁に少なくとも部分的にわたることができる。
【0040】
図3に示されるように、トレランスリング200は、側壁204の上部206から半径
方向に延伸する端部機能238を含むことができる。端部機能238を、トレランスリン
グ200の中心部216に向かって側壁204から内方に延伸するフランジまたは放射状
ハブとすることができる。端部機能238を、内部構成要素502の遠位端に付随するよ
うに位置付けて、1つの軸方向において、内部構成要素502とトレランスリング200
との間の相対的な軸方向並進を妨げる。別の態様では、構成要素係合構造230の余分に
追加した列を、トレランスリング200に沿って位置付けることができ、それによって、
余分に追加した列が内部構成要素502の遠位端に付随するようにする。換言すれば、構
成要素係合構造230の余分に追加した列を、遠位端に付随して、内部構成要素502の
遠位端を超えて位置付けることができ、それによって、構成要素係合構造230の余分に
追加した列は、内部構成要素502の遠位端に係合し、かつ、第1の軸方向における内部
構成要素502の相対的な並進を妨げるようにする。さらなる態様では、相対的な軸方向
並進を、内部構成要素502の遠位端に付随して縦方向に位置付けられる波状構造220
の余分に追加された列によって、妨げることができる。
【0041】
図2図4および図5に示されるように、波状構造220は、トレランスリング200
の中心部216に対して外方に延伸することができ、構成要素係合構造230は、トレラ
ンスリング200の中心部216に対して内方に延伸することができる。しかしながら、
別の態様では、波状構造220は、トレランスリング200の中心部216に向かって内
方に延伸することができ、構成要素係合構造230は、トレランスリング200の中心部
216から離れて外方に延伸することができる。
【0042】
特定の態様において、複数の波状構造220のそれぞれは、側壁204の第1の面から
波状構造220上の遠位点まで測定される深さDWSを含むことができる。側壁204の
第1の面を側壁204の外面とすることができ、波状構造220上の遠位点を波状構造2
20の最外点とすることができる。各第1の複数の構成要素係合構造230は、側壁20
4の第2の面から構成要素係合構造230上の遠位点までを測定可能な深さDCES1
含むことができ、DCES1≦DWSである。側壁204の第2の面を側壁204の内面
とすることができ、構成要素係合構造230上の遠位点を構成要素係合構造230上の最
内点とすることができる。
【0043】
CES1を、≦DWSの45%、≦DWSの40%、≦DWSの35%、≦DWS
30%、または、≦DWSの25%のように、≦DWSの50%とすることができる。さ
らに、DCES1を、≧DWSの2%、≧DWSの3%、≧DWSの4%、または、≧D
WSの5%のように、≧DWSの1%とすることができる。DCES1を、本明細書に記
載されるDWSの%値のいずれかの間かつそれらを含む範囲内とすることができる。
【0044】
さらに、トレランスリング200は外径Dを含むことができ、DCES1を、≦D
の4%、≦Dの3%、≦Dの2%、または、≦Dの1%のように、≦Dの5%と
することができる。DCES1を、≧Dの0.2%、≧Dの0.3%、≧Dの0.
4%、または、≧Dの0.5%のように、≧Dの0.1%とすることができる。また
、DCES1を、Dの%値のいずれかの間かつそれらを含む範囲内とすることができる
【0045】
別の態様では、第1の複数の構成要素係合構造230のそれぞれを、隣接する波状構造
220の力の足跡224によって少なくとも部分的に重ね合せることができる。換言する
と、第1の複数の構成要素係合構造230のそれぞれの少なくとも一部は、隣接する波状
構造220の力の足跡224の外周によって境界付けられた面積内に位置することができ
る。そのため、特定の波状構造220に対して作用する力の少なくとも一部を、波状構造
220の力の足跡224を介して、第1の複数の構成要素係合構造230のうちの隣接す
る1つに伝達することができる。
【0046】
特に、隣接する波状構造220の力の足跡224による第1の複数の構成要素係合構造
230のそれぞれの重複部分量Oを、≧55%、≧60%、≧65%、≧70%、または
、≧75%のように、≧50%とすることができる。さらに、Oを、≦100%、≦99
%、≦98%、≦97%、≦96%、≦95%、または、≦90%とすることができる。
別の態様では、Oを、この段落に記載された%値のいずれかの間かつそれらを含む範囲内
とすることができる。Oを、重ね合わせられた第1の複数の構成要素係合構造のそれぞれ
の面積または外周の%とすることができる。
【0047】
別の態様では、トレランスリング200の側壁204は壁厚Tを有することができ、
CES1を、≦Tの175%、≦Tの150%、≦Tの125%、または、≦T
の100%のように、≦Tの200%とすることができる。さらに、DCES1を、
≧Tの50%、または、≧Tの75%のように、≧Tの25%とすることができる
。DCES1を、上記のTの%値のいずれかの間かつそれらを含む範囲内とすることも
できる。
【0048】
さらに別の態様において、第1の構成要素係合構造230の数に対する、波状構造22
0の数の第1の割合Rを、≧0.5:1、≧0.75:1、または、≧1:1のように
、≧0.25:1とすることができる。また、Rを、≦20:1、≦15:1、≦10
:1、≦5:1、≦4:1、≦3:1、または、≦2:1とすることができる。Rを、
上記のRの値のいずれかの間かつそれらを含む範囲内とすることができる。
【0049】
図6図8を参照すると、トレランスリングの別の実施形態が示されており、概して6
00と示されている。トレランスリング600は、略円筒状の側壁604を有する略円筒
体602を含むことができる。
【0050】
図6に示されるように、トレランスリング600は、トレランスリング600の中心部
から離れて側壁604から外方に延伸することができる複数の波状構造606を含むこと
ができる。トレランスリング600は、トレランスリング600の中心部に向かって側壁
604から内方に延伸することができる第1の複数の構成要素係合構造608を含むこと
もできる。
【0051】
図6図8はさらに、トレランスリング600がまた、第2の複数の構成要素係合構造
610を含むことができることを示している。第2の複数の構成要素係合構造610のそ
れぞれは、各波状構造606において形成可能であり、トレランスリング600の中心部
から離れて波状構造606から外方に延伸することができる。第2の複数の構成要素係合
構造610のそれぞれを、トレランスリング600の縦軸612に平行な方向に向けるこ
とができる。さらに、第2の複数の構成要素係合構造610のそれぞれは、略三角形状断
面を有することができる。
【0052】
図6に示されるように、各波状構造606は中心軸614を含むことができ、第2の複
数の構成要素係合構造610のそれぞれは、中心軸616を有することができる。各波状
構造606の中心軸614と第2の複数の構成要素係合構造610のそれぞれの中心軸6
16とを、同一線上とすることができ、トレランスリングの縦軸612に平行とすること
ができる。
【0053】
特定の態様において、複数の波状構造606のそれぞれは、側壁604の第1の面から
測定される深さDWSを含むことができる。第1の面を側壁604の外面とすることがで
きる。第2の複数の構成要素係合構造610のそれぞれは、波状構造610の面または外
周から測定することができる深さDCES2を含むことができる。DCES2を≦DWS
とすることができる。具体的には、DCES2を、≦DWSの45%、≦DWSの40%
、≦DWSの35%、≦DWSの30%、または、≦DWSの25%のように、≦DWS
の50%とすることができる。さらに、DCES2を、≧DWSの2%、≧DWSの3%
、≧DWSの4%、または、≧DWSの5%のように、≧DWSの1%とすることができ
る。DCES2を、本明細書に記載されたDWSの%値のいずれかの間かつそれらを含む
範囲内とすることができる。
【0054】
別の態様では、トレランスリング600は、外径Dを含むことができ、DCES2
、≦Dの4%、≦Dの3%、≦Dの2%、または、≦Dの1%のように、≦D
の5%とすることができる。また、DCES2を、≧Dの0.2%、≧Dの0.3%
、≧Dの0.4%、または、≧Dの0.5%のように、≧Dの0.1%とすること
ができる。DCES2を、上記Dの%値のいずれかの間かつそれらを含む範囲内とする
ことができる。
【0055】
図6に示されるように、複数の波状構造606のそれぞれ、例えば、その面は、長さL
WSを含むことができ、第2の複数の構成要素係合構造のそれぞれは、少なくとも部分的
にLWSに沿って延伸することができる。具体的には、第2の複数の構成要素係合構造6
06のそれぞれは、LWSの15%、LWSの25%、LWSの50%、LWSの75%
、LWSの80%、LWS85%、または、LWS90%のように、少なくともLWS
10%に沿って延伸することができる。別の態様では、第2の複数の構成要素係合構造6
06のそれぞれは、LWSの100%に沿って延伸することができる。
【0056】
別の態様では、複数の波状構造606のそれぞれ、例えば、その面は、幅WWSを含む
ことができ、その場合、第2の複数の構成要素係合構造610のそれぞれは、少なくとも
部分的にWWSに沿って延伸することができる。特に、第2の複数の構成要素係合構造6
10のそれぞれは、WWSの15%、WWSの25%、WWSの50%、WWSの75%
、WWSの80%、WWSの85%、または、WWSの90%のように、少なくともW
の10%に沿って延伸することができる。さらに、第2の複数の構成要素係合構造61
0のそれぞれは、WWSの100%に沿って延伸することができる。
【0057】
別の態様では、トレランスリング600の側壁604は壁厚Tを含むことができ、D
CES2を、≦Tの175%、≦Tの150%、≦Tの125%、または、≦T
の100%のように、≦Tの200%とすることができる。また、DCES2を、≧T
の50%、または、≧Tの75%のように、≧Tの25%とすることができる。D
CES2を、本明細書に記載されるTの%値のいずれかの間かつそれらを含む範囲内と
することができる。
【0058】
第2の複数の構成要素係合構造610のそれぞれを、図6に示されるように、トレラン
スリング600の縦軸612に対して実質的に平行とすることができる。しかしながら、
第2の複数の構成要素係合構造610のそれぞれを、トレランスリング600の縦軸61
2に対して実質的に水平とすることができる。別の態様では、第2の複数の構成要素係合
構造610のそれぞれに、縦軸612に対して角度を付けることができる。さらに、第2
の複数の係合構造610のそれぞれを、連続的または不連続的とすることができる(すな
わち、それぞれは、2つまたはそれ以上の別個の部分を含むことができる)。また、第2
の複数の係合構造610のそれぞれは、「X」形状、「+」形状、または、同様の形状を
形成するように交差する部分を有することができる。さらに、第2の複数の係合構造61
0のそれぞれを、各波状構造606の各端部近くで側壁604から延伸する一組の第1の
複数の係合構造608によって側面に位置付けることができる。
【0059】
図8に示されるように、トレランスリング600を、ステータ、メインフレーム、下フ
レーム、シャフト、軸受などの内部構成要素802の周りに設置し、かつ、収縮する外部
構成要素804をトレランスリング600の周りに配置する時、収縮する外部構成要素8
04は、波状構造606のそれぞれに対して作用可能な圧縮力を与えることができる。各
波状構造600に対する圧縮力を、上記のように、第1の複数の構成要素係合構造608
の各部材に伝達することができる。
【0060】
第1の複数の構成要素係合構造608のそれぞれは、内部構成要素802の外壁に少な
くとも部分的にわたりかつ係合することができる。さらに、収縮する外部構成要素804
によって引き起こされる圧縮力によって、外部構成要素804は第2の複数の構成要素係
合構造610に係合し、それによって、第2の複数の構成要素係合構造610のそれぞれ
は、外部構成要素804の内壁に少なくとも部分的にわたりかつ係合する。
【0061】
特定の態様において、第2の構成要素係合構造610の数に対する、波状構造606の
数の第2の割合Rを、≧0.5:1、≧0.75:1、≧1:1のように、≧0.25
:1とすることができる。また、Rを、≦20:1、≦15:1、≦10:1、≦5:
1、≦4:1、≦3:1、または、≦2:1とすることができる。Rを、上記のR
値のいずれかの間かつそれらを含む範囲内とすることができる。
【0062】
図9および図10は、トレランスリング900の別の実施形態を示す。トレランスリン
グ900は、複数の略半球状の波状構造904と共に形成された側壁902を含むことが
できる。複数の波状構造904は側壁902から外方に延伸することができる。トレラン
スリング900はまた、波状構造904と反対の方向に、すなわち、側壁902から内方
に側壁902から延伸することができる第1の複数の構成要素係合構造906を含むこと
ができる。
【0063】
図11および図12を参照すると、トレランスリングのさらに別の実施形態が示されて
おり、概して1100と示されている。トレランスリング1100は、複数の略半球状の
波状構造1104と共に形成された側壁1102を含むことができる。複数の波状構造1
104は、側壁1102から外方に延伸することができる。示されるように、トレランス
リング1100はまた、波状構造1104と反対の方向に、すなわち、側壁902から内
方に側壁1102から延伸することができる第1の複数の構成要素係合構造1106を含
むことができる。
【0064】
図11および図12に示されるトレランスリング1100はまた、第2の複数の構成要
素係合構造1108を含むことができる。第2の複数の構成要素係合構造1108のそれ
ぞれを略コーン形状とすることができ、第1の複数の構成要素係合構造1106と反対の
方向に各波状構造1104から外方に延伸することができる。
【0065】
図13および図14は、トレランスリング1300の別の実施形態を示す。トレランス
リング1300は、側壁1302から延伸する複数の略半円筒状の波状構造1304と共
に形成された側壁1302を含むことができる。複数の波状構造1304のそれぞれは、
平坦な上面1308と平坦な下面1310によって側面に位置付けられた曲面1306を
有することができる。トレランスリング1300は、波状構造1304とは反対の方向に
側壁1302から延伸可能な第1の複数の構成要素係合構造1312を含むこともできる
。第1の複数の構成要素係合構造1310のそれぞれを、波状構造の平面1306、13
08の縁近くに形成可能であり、トレランスリング1300の縦軸1314に垂直とする
ことができる。
【0066】
図15および図16は、トレランスリング1500のさらに別の実施形態を図示してい
る。トレランスリング1500は、側壁1502から延伸する複数の略半円筒状の波状構
造1504と共に形成される側壁1502を含むことができる。複数の波状構造1504
のそれぞれは、平坦な上面1508と平坦な下面1510によって側面に位置付け可能な
曲面1506を有することができる。トレランスリング1500は、波状構造1504と
は反対の方向に側壁1302から延伸可能な第1の複数の構成要素係合構造1512を含
むこともできる。トレランスリング1500はまた、第2の複数の波状構造1514を含
むことができ、それぞれは、波状構造1504の湾曲した曲面1506から延伸すること
ができる。第1の複数の構成要素係合構造1512を、第2の複数の構成要素係合構造1
514に垂直とすることができる。
【0067】
ここで図17および図18を参照すると、トレランスリング1700のなお別の実施形
態が示されている。トレランスリング1700は、略平坦最上部ピラミッド形状を有する
複数の波状構造1704と共に形成された側壁1702を含むことができる。トレランス
リング1700は、波状構造1704とは反対の方向に側壁1702から延伸可能な第1
の複数の構成要素係合構造1706を含むこともできる。第1の複数の構成要素係合構造
1706のそれぞれを、波状構造1704の上縁または下縁近くに形成することができる
。あるいは、第1の複数の構成要素係合構造1706のそれぞれを、波状構造の左縁また
は右縁近くに形成することができる。
【0068】
図19および図20は、トレランスリング1900の別の実施形態を図示している。ト
レランスリング1900は、略平坦最上部ピラミッド形状を有する複数の波状構造190
4と共に形成された側壁1902を含むことができる。トレランスリング1900は、波
状構造1904とは反対の方向に側壁1902から延伸可能な第1の複数の構成要素係合
構造1906を含むことができる。さらに、トレランスリング1900は、第2の複数の
構成要素係合構造1908を含むことができ、第2の複数の構成要素係合構造1908の
それぞれを、波状構造1904の平坦遠位表面1910において形成することができる。
第2の複数の構成要素係合構造1910のそれぞれは、第1の複数の構成要素係合構造1
906の方向とは反対の方向に延伸することができる。
【0069】
図21および図22を参照すると、トレランスリング2100の別の実施形態が示され
ている。トレランスリング2100は、略三角断面形状を有する複数の波状構造2104
と共に形成された側壁2102を含むことができる。トレランスリング2100は、波状
構造2104とは反対の方向に側壁2102から延伸可能な第1の複数の構成要素係合構
造2106を含むことができる。さらに、波状構造2104のそれぞれは、2つの角度が
付けられた表面の頂点において形成された遠位縁2108を含むことができる。波状構造
2104の遠位縁2108は、第1の複数の構成要素係合構造2106の方向とは反対の
方向に延伸する第2の複数の構成要素係合構造の機能を果たすことができる。
【0070】
本明細書に記載の実施形態のそれぞれにおいて、波状構造および構成要素係合構造は、
トレランスリングの側壁の周囲で均一に間隔をあけることができる。しかしながら、これ
らの構造をジグザグに配置することができるため、それらの構造は徐々に近づいたり、徐
々に離れたりする。さらに、これらの構造を群に分けることができ、当該群は、トレラン
スリングの側壁の周囲で均一に間隔をあけることができる。
【0071】
また、他の態様では、特定の応用によっては、単一のトレランスリングは、異なる波状
構造と異なる構成要素係合構造との任意の組み合わせを含むことができる。さらに、単一
のトレランスリングは、任意の数の同様の波状構造、任意の数の異なる波状構造、任意の
数の同様の構成要素係合構造、任意の数の異なる構成要素係合構造、または、それらの任
意の組み合わせを含むことができる。また、特定のトレランスリングは、内方に、外方に
、または、内方および外方に面する波状構造を含むことができる。同様に、特定のトレラ
ンスリングは、内方に、外方に、または、内方および外方に面する構成要素係合構造を含
むことができる。
【0072】
特定の態様では、本明細書に記載の態様のいずれかによるトレランスリングを、金属、
金属合金、または、それらの組み合わせから作ることができる。金属は鉄金属を含むこと
ができる。さらに、金属は鋼鉄を含むことができる。鋼鉄は、オーステナイト系ステンレ
ス鋼など、ステンレス鋼を含むことができる。また、鋼鉄は、クローム、ニッケル、また
は、それらの組み合わせを含むステンレス鋼を含むことができる。例えば、鋼鉄をX10
CrNi18−8 1.4310ステンレス鋼とすることができる。さらに、トレランス
リングは、≧375、≧400、≧425、または、≧450のように、≧350とする
ことができるビッカーズピラミッド硬度数VPNを含むことができる。VPNを、≦50
0、≦475、または、≦450とすることもできる。VPNを、本明細書に記載のVP
Nの値のいずれかの間かつそれらを含む範囲内とすることもできる。別の態様では、トレ
ランスリングを処理して、その耐食性を高めることができる。特に、トレランスリングを
不動態化させることができる。例えば、トレランスリングをASTM基準A967に従っ
て不動態化させることができる。
【0073】
別の態様では、トレランスリングを形成することができる素材は厚さTを有することが
でき、Tは、≧0.2mm、≧0.3mm、≧0.4mm、≧0.5mm、または、≧0
.6mmのように、≧0.1mmとすることができる。別の態様では、Tを、≦1.0m
m、≦0.9mm、または、≦0.8mmとすることができる。さらに、Tを、上記で開
示されるTの値のいずれかの間かつそれらを含む範囲内とすることができる。
【0074】
本明細書に記載の態様のいずれかによるトレランスリングは、全体の外径ODを有する
ことができ、ODを、≧110mm、≧120mm、≧130mm、≧140mm、また
は、≧150mmのように、≧100mmとすることができる。ODを、≦250mm、
または、≦175mmのように、≦300mmとすることができる。さらに、ODを、本
明細書に記載されるODの値のいずれかの間かつそれらを含む範囲内とすることができる
【0075】
別の態様では、トレランスリングは全体の長さLを有することができ、Lを、≧5mm
、≧10mm、≧15mm、≧20mm、または、≧25mmとすることができる。Lを
、≦45mm、≦40mm、≦35mm、または、≦30mmのように、≦50mmとす
ることができる。また、Lを、上記のLの値のいずれかの間かつそれらを含む範囲内とす
ることができる。
【実施例】
【0076】
試験用トレランスリングを、0.6mm厚で、400〜450VPNの硬度を含むX1
0CrNi18−8 1.4310ステンレス鋼から製造する。トレランスリングの外径
は約159mmである。トレランスリングは約15mmの長さを有する。各波状部は約6
.3mmの波ピッチを有することができる。トレランスリングは、間隙に対向する6の波
状半加工品を有する32の波状部の2バンクまたは列を含む。各波状部は、円形またはア
ール断面を含み、約1.9mmの長さを有する。
【0077】
トレランスリングを、鋳鉄からできた内部構成要素(すなわち、メインフレーム)の周
りに配置する。内部構成要素は、約158.75mm±0.03mmの外径を有し、内部
構成要素の長さは約25mmである。内部構成要素を、約156.20mm±0.03m
mの外径を有する溝と共に形成する。溝は、約14.75mm±0.01の幅を有する。
組み立てられたトレランスリング/内部構成要素のサブアセンブリの重量は、約7.0k
gである。
【0078】
外部構成要素(すなわち、筐体)を設ける。外部構成要素を、熱間圧延鋼板(SHP−
1)から作り、当該外部構成要素は、約159.37mm±0.1mmの外径と、約4m
mの壁厚と、約400mmの長さとを有する。外部構成要素の重量は、約1.5kgであ
る。
【0079】
外部構成要素を、サブアセンブリを係合せずに、サブアセンブリ上に配置するのに十分
膨張するまで加熱する。その後、外部構成要素が元の直径に戻り、内部構成要素を含むサ
ブアセンブリをそこに据え付けるまで、外部構成要素を周囲温度まで冷却する、または、
冷却可能である。
【0080】
アセンブリを、アセンブリの縦軸が垂直または30度のどちらかになるように向け、ア
センブリを、アセンブリの下端と対象面との間で測定された約300mmの高さまで上げ
る。アセンブリを解放し、かつ、対象面上に垂直に落下させ、アセンブリの下端は対象面
に直接接する。外部構成要素に対する内部構成要素の変位は、約0.25mm未満である
【0081】
本明細書に開示した1つまたは複数の態様に従って製造したトレランスリングを、内部
構成要素の周りに適合させることができる。外部構成要素を、加熱し、膨張させ、内部構
成要素上に配置することができる。外部構成要素を冷却しかつ縮小させると、外部構成要
素の内壁は、トレランスリング上に形成した波状構造の一群に対して圧縮力を加えること
ができる。各波状構造に作用する圧縮力を、内部構成要素の外壁へと押し進める、または
その他の場合では、押し込むことができる第1の複数の構成要素係合構造に伝達すること
ができる。従って、トレランスリングは内部構成要素に十分係合することができ、トレラ
ンスリングは、溶接動作を利用してトレランスリングおよび外部構成要素に対する内部構
成要素の回転を妨げることができる。
【0082】
内部構成要素と外部構成要素との間のより強力な結合を必要とする場合、トレランスリ
ングはまた、第1の複数の係合構造とは反対の方向に、例えば、外方に、波状構造から延
伸する第2の複数の構成要素係合構造を含むことができる。特に、第2の複数の構成要素
係合構造のそれぞれは、各波状構造の面または最外部から延伸することができ、外部構成
要素が縮小すると、第2の複数の構成要素係合構造のそれぞれを、外部構成要素の内壁に
対して、押し進めるまたは押し込む、および、係合することができる。従って、トレラン
スリングを、内部構成要素と外部構成要素との間の適所に固定することができ、内部構成
要素を外部構成要素内に据え付けることができる。
【0083】
第1の複数の構成要素係合構造、第2の複数の構成要素係合構造、または、それらの組
み合わせを使用することによって、内部構成要素を外部構成要素に十分連結させることが
でき、内部構成要素と外部構成要素とを互いに対して固着させるまたは取り付けるための
溶接動作を省くことができる。
【0084】
特定の態様において、本明細書に記載の1つまたは複数の態様およびそれらの特徴、例
えば、波状構造および構成要素係合構造によるトレランスリングを、型打ち抜き動作を使
用して形成することができる。平坦な1片のシート素材を、所望の特徴に従って成形して
、シート素材に型打ち抜きする特徴(例えば、本明細書に記載したさまざまな波状構造形
状および構成要素係合構造形状)を有する一組の鋳型間に配置することができる。型打ち
抜き後、型打ち抜きされた平坦な素材を細片に切断することができ、その細片を、略円筒
形状を有するトレランスリングに圧延することができる。
【0085】
熟練した職人は、本明細書に記載した特性のうちの1つまたは複数を有するトレランス
リングを利用することができる他の応用を認識することができる。
【0086】
上記で開示した主題は、制限するものではなく例示として考慮されるべきであり、添付
の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲内にあるかかる修正、改良およびその他の実施形
態全てを包含することが意図される。よって、法が許す最大限の範囲で、本発明の範囲は
、添付の特許請求の範囲の最も広範な許容し得る解釈およびこれらの等価物によって決定
すべきであり、前述の詳細な説明によって制限または限定すべきでない。
【0087】
さらに、上述の「発明を実施するための形態」において、開示内容を単純化するために
、様々な特徴を一実施形態においてまとめるか記載することができる。この開示内容は、
特許請求された実施形態が各請求項に明白に列挙されるより多くの特徴を必要とすること
を意図して反映するものとして、解釈されるべきではない。むしろ、添付の特許請求の範
囲を反映するため、本発明の主題は、開示した実施形態のいずれの特徴全てを対象とする
ことはできない。よって、添付の特許請求の範囲は、各請求項が特許請求された主題を別
々に定義するものとしてそれ自体に基づいていることで、「発明を実施するための形態」
に組み込まれる。
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