特許第6626173号(P6626173)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6626173
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】ノギス
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/20 20060101AFI20191216BHJP
【FI】
   G01B3/20 101Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-170476(P2018-170476)
(22)【出願日】2018年9月12日
【審査請求日】2018年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】598156675
【氏名又は名称】グリーン フィクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三輪 貴紀
(72)【発明者】
【氏名】落合 良文
【審査官】 仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−16402(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3053456(JP,U)
【文献】 実開昭50−41564(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0209750(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/00−3/56
G01B 5/00−5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ジョーを備えた本尺と、
上記第1ジョーと共に被測定部に当接される第2ジョーを備え、上記本尺に対して摺動可能に設けられたスライダと、
上記スライダに固定された軸支部と、
上記軸支部と上記本尺とを連結するリンク機構と、を有し、
上記リンク機構は、上記軸支部に対して一つの軸支部側回動軸によってのみ接続され、上記本尺に対して一つの本尺側回動軸によってのみ接続されており、
上記リンク機構は、上記軸支部側回動軸において上記軸支部に対して回動自在に設けられた回動リンクを有し、該回動リンクに対する回動操作によって、上記本尺に対する上記スライダの摺動を実現できるよう構成されている、ノギス。
【請求項2】
上記リンク機構は、上記回動リンクと、該回動リンクと上記本尺とを連結する連結リンクとを有し、該連結リンクは、上記回動リンクに対して回動可能に接続された第1端部と、上記本尺に対して回動可能に接続された第2端部とを有し、上記第1端部は、上記本尺側回動軸とは異なる位置において上記回動リンクに接続され、上記第2端部は、上記本尺に接続されている、請求項1に記載のノギス。
【請求項3】
第1ジョーを備えた本尺と、
上記第1ジョーと共に被測定部に当接される第2ジョーを備え、上記本尺に対して摺動可能に設けられたスライダと、
上記スライダに固定された軸支部と、
上記軸支部と上記本尺とを連結するリンク機構と、を有し、
上記リンク機構は、上記軸支部に対して回動自在に設けられた回動リンクを有し、該回動リンクに対する回動操作によって、上記本尺に対する上記スライダの摺動を実現できるよう構成されており、
上記軸支部は、上記スライダに対して、上記本尺と上記スライダとの相対的な摺動方向と、上記回動リンクの回動軸方向との双方に直交する方向に、隣接配置されており、
上記第1ジョー及び上記第2ジョーとして、上記被測定部の内側寸法を測定するための第1内側用ジョー及び第2内側用ジョーを有し、上記スライダに対する上記軸支部の隣接方向は、上記本尺及び上記スライダからの上記第1内側用ジョー及び上記第2内側用ジョーの突出方向と反対方向である、ノギス。
【請求項4】
上記回動リンクは、回動軸方向における、上記軸支部と反対側の面から突出した第1突起部及び第2突起部を有し、回動軸方向から見たとき、上記第1突起部及び上記第2突起部は、回動方向に対して交差する向きに長尺な形状を有し、かつ、上記第1突起部の長手方向と、上記第2突起部の長手方向とは、互いに異なる向きを向いている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のノギス。
【請求項5】
第1ジョーを備えた本尺と、
上記第1ジョーと共に被測定部に当接される第2ジョーを備え、上記本尺に対して摺動可能に設けられたスライダと、
上記スライダに固定された軸支部と、
上記軸支部と上記本尺とを連結するリンク機構と、を有し、
上記リンク機構は、上記軸支部に対して回動自在に設けられた回動リンクを有し、該回動リンクに対する回動操作によって、上記本尺に対する上記スライダの摺動を実現できるよう構成されており、
上記回動リンクは、回動軸方向における、上記軸支部と反対側の面から突出した第1突起部及び第2突起部を有し、回動軸方向から見たとき、上記第1突起部及び上記第2突起部は、回動方向に対して交差する向きに長尺な形状を有し、かつ、上記第1突起部の長手方向と、上記第2突起部の長手方向とは、互いに異なる向きを向いている、ノギス。
【請求項6】
上記軸支部は、上記スライダに対して、上記本尺と上記スライダとの相対的な摺動方向と、上記回動リンクの回動軸方向との双方に直交する方向に、隣接配置されている、請求項1、2、又は5に記載のノギス。
【請求項7】
上記リンク機構は、上記回動リンクの回動軸方向において、上記軸支部の両側に設けてある、請求項1〜6のいずれか一項に記載のノギス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノギスに関する。
【背景技術】
【0002】
被測定部の長さを測定する測定器の一つとして、ノギスがある。
ノギスは、一方の測定ジョーを備えた本尺と、本尺の長手方向に摺動可能に設けられると共に他方の測定ジョーを備えたスライダとを有する。特許文献1に記載の左右兼用ノギスは、右利きでも左利きでも便利に使用することができるよう考案されたものである。つまり、ノギスは、本尺の部分を、片手で把持しながら、スライダを摺動させて用いる。このとき、右手で本尺を持つ場合と、左手で本尺を持つ場合とでは、ノギスの表裏が逆となる。そこで、特許文献1に記載の左右兼用ノギスは、両面に目盛を設けることで、左右兼用としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3183421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたノギスも、本尺を片手で把持してスライダを摺動させるという使用方法については、一般的なノギスと差異はない。そうすると、被測定部の周囲に障害物がある場合において、測定者の手が障害物に干渉して、測定が困難となることがある。例えば、自動車の車室内等における狭い空間に配置された被測定部を測定する場合においては、当該空間の周囲の障害物(各種部品や壁部等)に、ノギスを操作する測定者の手が干渉しやすい。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、測定容易なノギスを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、第1ジョーを備えた本尺と、
上記第1ジョーと共に被測定部に当接される第2ジョーを備え、上記本尺に対して摺動可能に設けられたスライダと、
上記スライダに固定された軸支部と、
上記軸支部と上記本尺とを連結するリンク機構と、を有し、
上記リンク機構は、上記軸支部に対して一つの軸支部側回動軸によってのみ接続され、上記本尺に対して一つの本尺側回動軸によってのみ接続されており、
上記リンク機構は、上記軸支部側回動軸において上記軸支部に対して回動自在に設けられた回動リンクを有し、該回動リンクに対する回動操作によって、上記本尺に対する上記スライダの摺動を実現できるよう構成されている、ノギスにある。
本発明の他の態様は、第1ジョーを備えた本尺と、
上記第1ジョーと共に被測定部に当接される第2ジョーを備え、上記本尺に対して摺動可能に設けられたスライダと、
上記スライダに固定された軸支部と、
上記軸支部と上記本尺とを連結するリンク機構と、を有し、
上記リンク機構は、上記軸支部に対して回動自在に設けられた回動リンクを有し、該回動リンクに対する回動操作によって、上記本尺に対する上記スライダの摺動を実現できるよう構成されており、
上記軸支部は、上記スライダに対して、上記本尺と上記スライダとの相対的な摺動方向と、上記回動リンクの回動軸方向との双方に直交する方向に、隣接配置されており、
上記第1ジョー及び上記第2ジョーとして、上記被測定部の内側寸法を測定するための第1内側用ジョー及び第2内側用ジョーを有し、上記スライダに対する上記軸支部の隣接方向は、上記本尺及び上記スライダからの上記第1内側用ジョー及び上記第2内側用ジョーの突出方向と反対方向である、ノギスにある。
本発明のさらに他の態様は、第1ジョーを備えた本尺と、
上記第1ジョーと共に被測定部に当接される第2ジョーを備え、上記本尺に対して摺動可能に設けられたスライダと、
上記スライダに固定された軸支部と、
上記軸支部と上記本尺とを連結するリンク機構と、を有し、
上記リンク機構は、上記軸支部に対して回動自在に設けられた回動リンクを有し、該回動リンクに対する回動操作によって、上記本尺に対する上記スライダの摺動を実現できるよう構成されており、
上記回動リンクは、回動軸方向における、上記軸支部と反対側の面から突出した第1突起部及び第2突起部を有し、回動軸方向から見たとき、上記第1突起部及び上記第2突起部は、回動方向に対して交差する向きに長尺な形状を有し、かつ、上記第1突起部の長手方向と、上記第2突起部の長手方向とは、互いに異なる向きを向いている、ノギス。
【発明の効果】
【0007】
上記ノギスは、上記リンク機構を有する。そして、リンク機構は、回動リンクに対する回動操作によって、上記本尺に対する上記スライダの摺動を実現できるよう構成されている。すなわち、本尺に対する上記スライダの摺動を、摺動方向と異なる方向の操作によって、実現することが可能となる。そのため、測定者によるノギスの把持態様に自由度を与えることができる。その結果、被測定部の周囲の空間的環境の影響を抑制して、測定を容易に行うことができる。
【0008】
以上のごとく、本発明によれば、測定容易なノギスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1における、第1ジョーと第2ジョーとの間を閉じた状態の、ノギスの部分正面図。
図2】実施形態1における、第1ジョーと第2ジョーとの間を開いた状態の、ノギスの部分正面図。
図3】実施形態1における、第1ジョーと第2ジョーとの間をさらに開いた状態の、ノギスの部分正面図。
図4】実施形態1における、ノギスの正面図。
図5】実施形態1における、ノギスの背面図。
図6】実施形態1における、ノギスの斜視図。
図7】実施形態1における、ノギスの他の斜視図。
図8図6のVIII矢視図。
図9図6のIX矢視図。
図10図6のA矢視図。
図11図6のC矢視図。
図12】比較形態のノギスにて、平面部分に形成されたスリットの測定を試みる状態を示す説明図。
図13】実施形態1のノギスにて、平面部分に形成されたスリットの測定を行う状態を示す説明図。
図14】実施形態1のノギスを、裏返しにして把持する状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記リンク機構は、上記回動リンクと上記本尺とを連結する連結リンクを有し、該連結リンクは、上記回動リンクに対して回動可能に接続された第1端部と、上記本尺に回動可能に接続された第2端部とを有し、上記スライダに対する上記回動リンクの回動軸と、上記回動リンクに対する上記連結リンクの回動軸と、上記本尺に対する連結リンクの回動軸とは、互いに平行であるものとすることができる。この場合には、簡素な構成にて、リンク機構を構成することができる。
【0011】
また、上記軸支部は、上記スライダに対して、上記本尺と上記スライダとの相対的な摺動方向と、上記回動リンクの回動軸方向との双方に直交する方向に、隣接配置されているものとすることができる。この場合には、摺動方向におけるノギスの体格を抑制しつつ、操作性を向上させることができる。
【0012】
また、上記第1ジョー及び上記第2ジョーとして、上記被測定部の内側寸法を測定するための第1内側用ジョー及び第2内側用ジョーを有し、上記スライダに対する上記軸支部の隣接方向は、上記本尺及び上記スライダからの上記第1内側用ジョー及び上記第2内側用ジョーの突出方向と反対方向であるものとすることができる。この場合には、被測定部に第1内側用ジョー及び第2内側用ジョーを挿入配置する際のノギスの移動方向と、スライダに対する軸支部の隣接方向とが反対向きとなる。つまり、リンク機構を、手前側にした姿勢にて、ノギスを扱うことができる。それゆえ、測定時におけるノギスの取り扱いを容易にすることができる。
【0013】
また、上記リンク機構は、上記回動リンクの回動軸方向において、上記軸支部の両側に設けてあるものとすることができる。この場合には、ノギスを裏返しても、同じ手で、同じようにノギスを操作することができる。これにより、被測定部の周囲の空間的環境に応じたノギスの姿勢の自由度が増す。
【0014】
また、上記回動リンクは、回動軸方向における、上記軸支部と反対側の面から突出した第1突起部及び第2突起部を有し、回動軸方向から見たとき、上記第1突起部及び上記第2突起部は、回動方向に対して交差する向きに長尺な形状を有し、かつ、上記第1突起部の長手方向と、上記第2突起部の長手方向とは、互いに異なる向きを向いているものとすることができる。この場合には、上記第1突起部と上記第2突起部とのいずれかに指をかけて、リンク機構を操作することができる。それゆえ、測定者の手の姿勢の自由度が増し、測定を一層容易にすることができる。
【0015】
(実施形態1)
ノギスに係る実施形態について、図1図11を参照して説明する。
本形態のノギス1は、図1図3に示すごとく、本尺2とスライダ3と軸支部51とリンク機構6と、を有する。本尺2は、第1ジョー41を備えている。スライダ3は、第1ジョー41と共に被測定部S(図13参照)に当接される第2ジョー42を備えている。スライダ3は、本尺2に対して摺動可能に設けられている。軸支部51は、スライダ3に固定されている。リンク機構6は、軸支部51と本尺2とを連結している。
【0016】
リンク機構6は、軸支部51に対して回動自在に設けられた回動リンク61を有する。図1図3に示すごとく、回動リンク61に対する回動操作によって、本尺2に対するスライダ3の摺動を実現できるよう構成されている。なお、以下において、本尺2とスライダ3との間の相対的な摺動方向を、単に摺動方向Xともいう。
【0017】
リンク機構6は、回動リンク61と本尺2とを連結する連結リンク62を有する。連結リンク62は、回動リンク61に対して回動可能に接続された第1端部621と、本尺2に回動可能に接続された第2端部622とを有する。スライダ3に対する回動リンク61の回動軸601と、回動リンク61に対する連結リンク62の回動軸602と、本尺2に対する連結リンク62の回動軸603とは、互いに平行である。
【0018】
また、これらの回動軸601、602、603の軸方向は、いずれも、第1ジョー41及び第2ジョー42の突出方向と摺動方向Xとの双方に直交する方向である。また、連結リンク62の第2端部622は、後述する、本尺2における第1外側用ジョー412の一部に、取り付けてある。回動軸601と回動軸602とは、互いに異なる位置に設けてある。
【0019】
軸支部51は、スライダ3に対して、摺動方向Xと、回動リンク61の回動軸方向との双方に直交する方向に、隣接配置されている。
また、ノギス1は、第1ジョー41及び第2ジョー42として、被測定部S(図13参照)の内側寸法を測定するための第1内側用ジョー411及び第2内側用ジョー421を有する。スライダ3に対する軸支部51の隣接方向は、本尺2及びスライダ3からの第1内側用ジョー411及び第2内側用ジョー421の突出方向と反対方向である。
【0020】
本形態のノギス1は、第1ジョー41及び第2ジョー42として、被測定部(図示略)の外側寸法を測定するための第1外側用ジョー412及び第2外側用ジョー422をも有する。つまり、本形態においては、ノギス1は、2つの第1ジョー41と、2つの第2ジョー42とを有する。
【0021】
第1外側用ジョー412は、本尺2から、スライダ3に対する軸支部51の隣接側と同じ側へ突出している。第2外側用ジョー422は、スライダ3に対する軸支部51の隣接側と同じ側へ突出している。すなわち、第1外側用ジョー412及び第2外側用ジョー422は、第1内側用ジョー411及び第2内側用ジョー421と反対方向に突出している。
【0022】
また、スライダ3は、摺動方向Xにおける、第2ジョー42を設けた側と反対側の端部(以下において適宜、後端部という。)に、デブスバー32を有する。デブスバー32は、図2図3に示すごとく、第1ジョー41と第2ジョー42との間を開いたとき、本尺2の後端部から摺動方向Xに突出するよう構成されている。一方、図1に示すごとく、第1ジョー41と第2ジョー42との間を閉じたとき、本尺2の後端部とデブスバー32の後端部とが、摺動方向Xの位置において一致する。
【0023】
図4図11に示すごとく、リンク機構6は、回動リンク61の回動軸方向において、軸支部51の両側に設けてある。図8図9に示すごとく、摺動方向Xから見て、一対のリンク機構6は、軸支部51の中心軸を挟んで、互いに面対称の形状を有する。
【0024】
図6図9に示すごとく、回動リンク61は、回動軸方向における、軸支部51と反対側の面から突出した第1突起部611及び第2突起部612を有する。図1図3に示すごとく、回動軸方向から見たとき、第1突起部611及び第2突起部612は、回動方向に対して交差する向きに長尺な形状を有する。そして、第1突起部611の長手方向と、第2突起部612の長手方向とは、互いに異なる向きを向いている。
【0025】
本形態においては、第1突起部611と第2突起部612とは、これらの長手方向が、互いに略直交している。また、回動軸方向から見たとき、第1突起部611の長手方向の延長線上に、回動軸601が存在するように、第1突起部611が配設されている。すなわち、第1突起部611の長手方向は、回動方向に対して略直交している。また、第1突起部611は、図1に示すごとく、第1ジョー41と第2ジョー42とが閉じた状態において、回動軸601に対する位置が、第1内側用ジョー411及び第2内側用ジョー421の突出側と、反対側となるように形成されている。
【0026】
第1突起部611及び第2突起部612は、回動リンク61を回動操作する際に、使用者の指がかかりやすいように形成されている。つまり、例えば、把持部5を把持した手の親指が、第1突起部611又は第2突起部612にかかるようにしてある。
【0027】
また、図4図11に示すごとく、本形態のノギス1は、スライダ3に固定された把持部5を有する。把持部5は、摺動方向Xに直交する方向に延びるように設けてある。また、本形態においては、図4図9に示すごとく、把持部5におけるスライダ3側の端部が、軸支部51となっている。スライダ3からの把持部5の延設方向は、本尺2及びスライダ3からの第1内側用ジョー411及び第2内側用ジョー421の突出方向と反対方向である。
【0028】
図4に示すごとく、ノギス1において、摺動方向Xにおける全体寸法w1は、把持部5の延設方向における全体寸法h1よりも小さい。本形態において、全体寸法w1は、第1ジョー41と第2ジョー42とを開いたとき(図2図3)も、閉じたとき(図1)も、略同等である。また、本形態においては、把持部5の長さh5よりも、全体寸法w1が短い。
【0029】
図4図10に示すごとく、把持部5は、軸支部51から延びる棒状部52と、棒状部52の外周面の一部に取り付けられた弾性部53とを有する。棒状部52は、金属等からなり、弾性部53は、ゴム、ウレタンフォーム等の弾性部材からなる。棒状部52は、略円柱形状を有する。弾性部53は、把持部5の長手方向(延設方向)において、互いに離れた二箇所に取り付けてある。2つの弾性部53は、いずれも略円環状に形成されている。
【0030】
また、本形態においては、図1に示すごとく、スライダ3に、デジタル表示ユニット31を取り付けてある。デジタル表示ユニット31は、ノギス1による測定結果が表示部311に表示されるよう構成されている。
【0031】
次に、本実施形態の作用効果につき説明する。
上記ノギス1は、リンク機構6を有する。そして、リンク機構6は、回動リンク61に対する回動操作によって、本尺2に対するスライダ3の摺動を実現できるよう構成されている。すなわち、本尺2に対するスライダ3の摺動を、摺動方向Xと異なる方向の操作によって、実現することが可能となる。そのため、測定者によるノギス1の把持態様に自由度を与えることができる。その結果、被測定部Sの周囲の空間的環境の影響を抑制して、測定を容易に行うことができる。
【0032】
例えば、図12図13に示すごとく、平面部分B1に形成されたスリットS(被測定部)の内側寸法を測定する場面を考えてみる。この寸法を、図12に示すごとく、リンク機構6を備えないノギス9(「比較形態のノギス9」ともいう。)にて測定する場合、第1内側用ジョー411と第2内側用ジョー421とをスリットSに挿入しようとすると、本尺92を把持してスライダ93を操作する測定者の手Hが、平面部分B1に干渉する。それゆえ、正確な測定が困難となりやすい。
【0033】
これに対して、図13に示すごとく、同様の箇所のスリットSの内側寸法を、実施形態1のノギス1にて測定する場合は、回動リンク61を回動操作することで、本尺2とスライダ3との相対的な摺動を行うことができるため、測定者の手Hが平面部分B1に干渉しないようにすることができる。それゆえ、正確な測定が容易となる。
【0034】
また、リンク機構6が、厚み方向の両側に設けてあるため、図13図14に示すごとく、ノギス1を裏返しても(厚み方向の向きを反対にしても)、同じ手(例えば右手RH)で、同じようにノギス1を操作することができる。これにより、被測定部Sの周囲の空間的環境に応じたノギス1の姿勢の自由度が増す。
【0035】
また、軸支部51は、スライダ3に対して、摺動方向Xと回動リンク61の回動軸方向との双方に直交する方向に、隣接配置されている。これにより、摺動方向Xにおけるノギス1の体格を抑制しつつ、操作性を向上させることができる。
【0036】
また、スライダ3に対する軸支部51の隣接方向は、本尺2及びスライダ3からの第1内側用ジョー411及び第2内側用ジョー421の突出方向と反対方向である。これにより、被測定部Sに第1内側用ジョー411及び第2内側用ジョー421を挿入配置する際のノギス1の移動方向と、スライダ3に対する軸支部51の隣接方向とが反対向きとなる。つまり、リンク機構6を、手前側にした姿勢にて、ノギス1を扱うことができる。それゆえ、測定時におけるノギス1の取り扱いを容易にすることができる。
【0037】
また、回動リンク61は、第1突起部611及び第2突起部612を有する。そして、第1突起部611及び第2突起部612は、回動方向に対して交差する向きに長尺な形状を有する。さらに、第1突起部611の長手方向と、第2突起部612の長手方向とは、互いに異なる向きを向いている。これにより、第1突起部611と第2突起部612とのいずれに指をかけて、リンク機構6を操作することができる。それゆえ、測定者の手の姿勢の自由度が増し、測定を一層容易にすることができる。
【0038】
以上のごとく、本実施形態によれば、測定容易なノギスを提供することができる。
【0039】
なお、上記実施形態においては、スライダ3に対する軸支部51の隣接方向は、本尺2及びスライダ3からの第1内側用ジョー411及び第2内側用ジョー421の突出方向と反対方向である。これとは異なり、軸支部の隣接方向を、本尺2及びスライダ3からの第1外側用ジョー412及び第2外側用ジョー422の突出方向と反対向きとすることもできる。この場合は、被測定部の両外側面間の寸法の測定を、容易にすることができる。
【0040】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、種々の形態に適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 ノギス
2 本尺
3 スライダ
41 第1ジョー
42 第2ジョー
51 軸支部
6 リンク機構
61 回動リンク
【要約】
【課題】測定容易なノギスを提供すること。
【解決手段】ノギス1は、第1ジョー41を備えた本尺2と、第1ジョー41と共に被測定部に当接される第2ジョー42を備え、本尺2に対して摺動可能に設けられたスライダ3と、スライダ3に固定された軸支部51と、軸支部51と本尺2とを連結するリンク機構6と、を有する。リンク機構6は、軸支部51に対して回動自在に設けられた回動リンク61を有する。回動リンク61に対する回動操作によって、本尺2に対するスライダ3の摺動を実現できるよう構成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14