特許第6626192号(P6626192)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6626192手動プルバック機構を備える血管内超音波システム、カテーテル及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626192
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】手動プルバック機構を備える血管内超音波システム、カテーテル及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20191216BHJP
【FI】
   A61B8/12
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-510728(P2018-510728)
(86)(22)【出願日】2016年10月4日
(65)【公表番号】特表2018-525159(P2018-525159A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】US2016055358
(87)【国際公開番号】WO2017062371
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2018年2月26日
(31)【優先権主張番号】62/239,736
(32)【優先日】2015年10月9日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル、ジョン ディ.
(72)【発明者】
【氏名】ソーントン、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、ルイス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ザカリアス、アイザック ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】イー、ゲイリン ミルドレッド
【審査官】 森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−512961(JP,A)
【文献】 特開2004−298352(JP,A)
【文献】 特開2002−330971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00−8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波システム用のカテーテルアセンブリであって、
先端側シースを含む先端側セクションと、
基端側シースを含む基端側伸展部と、
前記先端側セクションと前記基端側伸展部との間の伸縮式プルバックセクションであって、第1伸縮部と、第2伸縮部と、前記第1伸縮部を前記先端側セクションの前記先端側シースに結合している先端側グリップと、前記第2伸縮部に結合された基端側グリップとを含み、前記第1伸縮部は前記第2伸縮部内にスライドするように構成された、伸縮式プルバックセクションと、
前記伸縮式プルバックセクションに沿って配置されたセンサであって、前記センサに対し前記第1伸縮部が動く際に前記第1伸縮部の位置を特定するセンサと、
基端部及び先端部を有し、前記先端側セクション、前記基端側伸展部、及び前記伸縮式プルバックセクションに沿って延びている長尺状の回転可能なドライブシャフトであって、前記基端部は、前記ドライブシャフトを回転させるためのモータドライブに結合するように構成及び配置されている、長尺状の回転可能なドライブシャフトと、
前記ドライブシャフトの前記先端部に結合されたイメージングデバイスであって、前記ドライブシャフトの回転によって前記イメージングデバイスの対応する回転を生じさせ、印加された電気信号を音響信号に変換するように、及びまた、受信したエコー信号を電気信号に変換するように構成及び配置された少なくとも1つのトランスデューサを含み、前記先端側グリップ及び前記基端側グリップを把持し、前記先端側グリップと前記基端側グリップとを手動で互いに引き離すことによって基端側方向に移動される、イメージングデバイスと、
前記先端側セクション、前記基端側伸展部、及び前記伸縮式プルバックセクションに沿って延びており、前記イメージングデバイスに結合され、電気信号を伝える少なくとも1つの導体とを含む、カテーテルアセンブリ。
【請求項2】
前記第2伸縮部の先端部に配置されたハウジングを更に含み、前記センサは前記ハウジング内に配置されている、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項3】
前記センサは前記基端側グリップ内に配置されている、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記基端側グリップは前記第2伸縮部の先端部に配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項5】
前記センサは光センサであり、前記第1伸縮部は、前記第1伸縮部の位置を特定するための、前記光センサによって検出可能な、交互に配された異なる色のストライプ一式を含むか、又は前記センサは、抵抗センサ、容量センサ、誘導センサ、又は磁気センサである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項6】
前記基端側グリップは少なくとも1つの制御ボタンを含み、前記少なくとも1つの制御ボタンのうちの1つの作動によってプルバック工程に関連する信号が提供される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項7】
超音波システム用のカテーテルアセンブリであって、
先端側シースを含む先端側セクションと、
基端側シースを含む基端側伸展部と、
前記先端側セクションと前記基端側伸展部との間に配置されたプルバックスライダ機構であって、開口部を画定するハウジングと、前記ハウジング内に部分的に配置されており、前記ハウジングの前記開口部内に延びているカプラとを含み、前記カプラは、前記ハウジングに対してスライドし、前記ハウジング内に配置される前記カプラの部分の大きさを変更することができる、プルバックスライダ機構と、
前記プルバックスライダ機構の前記ハウジング内に配置されており、前記ハウジングに対する前記カプラの位置を特定するセンサと、
基端部及び先端部を有し、前記先端側セクション、前記基端側伸展部、及び前記プルバックスライダ機構に沿って延びている、長尺状の回転可能なドライブシャフトであって、前記基端部は、前記ドライブシャフトを回転させるためのモータドライブに結合するように構成及び配置されており、前記プルバックスライダ機構の前記カプラは前記回転可能なドライブシャフトに結合されており、前記スライダハンドルを動かすことによって、前記回転可能なドライブシャフトを後方及び前方に手動で動かす、長尺状の回転可能なドライブシャフトと、
前記ドライブシャフトの前記先端部に結合されたイメージングデバイスであって、前記ドライブシャフトの回転によって前記イメージングデバイスの対応する回転を生じさせ、印加された電気信号を音響信号に変換するように、及びまた、受信したエコー信号を電気信号に変換するように構成及び配置された少なくとも1つのトランスデューサを含む、イメージングデバイスと、
前記先端側セクション、前記基端側伸展部、及び前記伸縮式プルバックセクションに沿って延びており、前記イメージングデバイスに結合され、電気信号を伝える少なくとも1つの導体とを含む、カテーテルアセンブリ。
【請求項8】
前記センサは、前記ハウジングに結合された光センサであり、前記カプラは、前記カプラの位置を特定するための、前記光センサによって検出可能な、交互に配された異なる色のストライプ一式を含むか、又は前記センサは、前記ハウジングに結合された磁気センサであり、前記カプラは、前記カプラの位置を特定するための、前記磁気センサによって検出可能な、交互に配された磁性材料のストライプ一式を含む、請求項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項9】
前記ハウジングはスリットを画定し、前記カプラは、前記スリットから延出しているフラッシュポートを含む、請求項又はに記載のカテーテルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波イメージングシステムの分野、並びに同システムを製造及び使用する方法に関する。本発明は、また、手動プルバック機構を含む超音波イメージングシステム及びカテーテル、並びに超音波システム及びカテーテルを製造及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者に挿入可能な超音波デバイスは、種々の疾患及び障害に対する診断能を実証してきた。例えば、血管内超音波(「IVUS」:intravascular ultrasound)イメージングシステムは、閉塞血管を診断するための画像化手法として使用されており、医療関係者が血流の回復又は増加のためにステント及び他のデバイスを選択し、配置するのを補助するための情報を提供する。IVUSイメージングシステムは、血管内の特定位置における粥状斑の蓄積を診断するために使用されている。IVUSイメージングシステムは、血管内閉塞又は狭窄の存在、並びに閉塞又は狭窄の性質及び程度を判定するために使用することができる。IVUSイメージングシステムは、血管造影法など他の血管内イメージング手法を用いた可視化が、例えば動き(例えば、拍動する心臓)又は1つ以上の構造物(例えば、画像化を望まない1つ以上の血管)による障害のために困難となり得る血管系の部分を可視化するために使用することができる。IVUSイメージングシステムは、血管造影及びステント留置など継続中の血管内治療をリアルタイム(又はほぼリアルタイム)で監視又は評価するために使用することができる。更に、IVUSイメージングシステムは1つ以上の心腔を監視するために使用することができる。
【0003】
IVUSイメージングシステムは、種々の疾患又は障害を可視化するための診断ツールの提供のために開発されてきた。IVUSイメージングシステムは、制御モジュール(パルス発生器、画像プロセッサ、及びモニタを有する)と、カテーテルと、カテーテル内に配置された1つ以上のトランスデューサとを含むことができる。トランスデューサを含むカテーテルは、血管壁若しくは血管壁近傍の患者組織など画像化されるべき領域内若しくはその近傍の管腔又は腔に配置することができる。制御モジュール内のパルス発生器は電気信号を発生し、この電気信号は1つ以上のトランスデューサに送られ、音響信号に変換されて患者組織内に伝えられる。伝えられた音響信号のうち反射された信号は1つ以上のトランスデューサによって吸収され、電気信号に変換される。変換された電気信号は画像プロセッサに送られ、モニタで表示可能な画像へと変換される。
【0004】
心腔内心エコー法(「ICE」:intracardiac echocardiography)は、血管内疾患及び障害の診断における使用性能が実証されている別の超音波イメージング技術である。ICEでは音響信号を使用して患者組織を画像化する。カテーテル内に配置されたICEイメージャから発せられる音響信号は患者組織から反射され、接続されたICE制御モジュールによって収集及び処理され、画像が形成される。ICEイメージングシステムは、心腔内の組織を画像化するために使用され得る。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態は、超音波システム用のカテーテルアセンブリであって、先端側シースを有する先端側セクションと、基端側シースを有する基端側伸展部と、先端側セクションと基端側伸展部との間の伸縮式プルバックセクションであって、第1伸縮部と、第2伸縮部と、第1又は第2伸縮部の一方を先端側セクションの先端側シースに結合している先端側グリップと、第1又は第2伸縮部のもう一方に結合された基端側グリップとを有する伸縮式プルバックセクションとを含む。先端側グリップ及び基端側グリップを把持し、先端側グリップと基端側グリップとを手動で互いに引き離すことによって第1伸縮部は第2伸縮部内に引き込むことができる。カテーテルアセンブリは、また、伸縮式プルバックセクションに沿って配置されたセンサであって、センサに対し第1伸縮部が動く際に第1伸縮部の位置を特定するセンサと、基端部及び先端部を有し、先端側セクション、基端側伸展部、及び伸縮式プルバックセクションに沿って延びている長尺状の回転可能なドライブシャフトであって、基端部は、ドライブシャフトを回転させるためのモータドライブに結合するように構成及び配置されている、長尺状の回転可能なドライブシャフトと、ドライブシャフトの先端部に結合されたイメージングデバイスであって、ドライブシャフトの回転によってイメージングデバイスの対応する回転を生じさせ、イメージングデバイスは、印加された電気信号を音響信号に変換するための、及びまた、受信したエコー信号を電気信号に変換するための少なくとも1つのトランスデューサを含む、イメージングデバイスと、先端側セクション、基端側伸展部、及び伸縮式プルバックセクションに沿って延びており、イメージングデバイスに結合され、電気信号を伝える少なくとも1つの導体とを含む。
【0006】
少なくとも一部の実施形態では、第1伸縮部は第2伸縮部に対して先端側にある。少なくとも一部の実施形態では、カテーテルアセンブリは、第2伸縮部の先端部に配置されたハウジングを更に含み、センサはハウジング内に配置されている。少なくとも一部の実施形態では、基端側グリップは第2伸縮部の先端部に配置されている。少なくとも一部の実施形態では、センサは基端側グリップ内に配置されている。
【0007】
少なくとも一部の実施形態では、センサは光センサであり、第1伸縮部は、第1伸縮部の位置を特定するための、光センサによって検出可能な、交互に配された異なる色のストライプ一式を含む。少なくとも一部の実施形態では、センサは抵抗センサ、容量センサ、誘導センサ、又は磁気センサである。少なくとも一部の実施形態では、基端側グリップは少なくとも1つの制御ボタンを含み、少なくとも1つの制御ボタンのうちの1つの作動によってプルバック工程に関連する信号が提供される。
【0008】
別の実施形態は、先端側シースを有する先端側セクションと、基端側シースを有する基端側伸展部と、先端側セクションと基端側伸展部との間に配置されたプルバックスライダ機構とを含む、超音波システム用のカテーテルアセンブリである。プルバックスライダ機構は、スリットを画定するハウジングと、ハウジング内に配置されたカプラと、スリット内に延び、カプラに結合されたスライダハンドルとを含み、スライダハンドル及びカプラは、ハウジング内のスリットに沿って手動でスライドさせることができる。カテーテルアセンブリは、また、プルバックスライダ機構のハウジング内に配置された、ハウジング内におけるカプラの位置を特定するためのセンサと、基端部及び先端部を有し、先端側セクション、基端側伸展部、及びプルバックスライダ機構に沿って延びている、長尺状の回転可能なドライブシャフトであって、基端部は、ドライブシャフトを回転させるためのモータドライブに結合するように構成及び配置されており、プルバックスライダ機構のカプラは回転可能なドライブシャフトに結合されており、スライダハンドルを動かすことによって、回転可能なドライブシャフトを後方及び前方に手動で動かす、長尺状の回転可能なドライブシャフトと、ドライブシャフトの先端部に結合されたイメージングデバイスであって、ドライブシャフトの回転によってイメージングデバイスの対応する回転を生じさせ、印加された電気信号を音響信号に変換するように、及びまた、受信したエコー信号を電気信号に変換するように構成及び配置された少なくとも1つのトランスデューサを含む、イメージングデバイスと、先端側セクション、基端側伸展部、及び伸縮式プルバックセクションに沿って延びており、イメージングデバイスに結合され、電気信号を伝える少なくとも1つの導体とを含む。
【0009】
少なくとも一部の実施形態では、プルバックスライダ機構のハウジングは少なくとも1つの制御ボタンを含み、少なくとも1つの制御ボタンのうちの1つの作動によってプルバック工程に関連する信号が提供される。少なくとも一部の実施形態では、センサは、光センサ、抵抗センサ、容量センサ、誘導センサ、又は磁気センサである。少なくとも一部の実施形態では、センサはポテンショメータである。少なくとも一部の実施形態では、センサは容量センサであり、プルバックスライダ機構のカプラに結合された第1極板及び第2極板を含み、第1極板と第2極板との間の静電容量はカプラの位置によって変化する。少なくとも一部の実施形態では、センサは誘導センサであり、コイルと、プルバックスライダ機構のカプラに結合されており、カプラと共に動く磁性材料とを含み、コイルのインダクタンスはカプラの位置によって変化する。
【0010】
少なくとも一部の実施形態では、センサは、カプラに結合された光センサであり、プルバックスライダ機構は、光センサによって検出可能な、交互に配された異なる色のストライプ一式を含み、カプラの位置を特定するためにハウジング内に配置されている。少なくとも一部の実施形態では、センサは、カプラに結合された磁気センサであり、プルバックスライダ機構は、磁気センサによって検出可能な、交互に配された磁性材料のストライプ一式を含み、カプラの位置を特定するためにハウジング内に配置されている。
【0011】
更に別の実施形態は、先端側シースを有する先端側セクションと、基端側シースを有する基端側伸展部と、先端側セクションと基端側伸展部との間に配置されたプルバックスライダ機構とを含む超音波システム用のカテーテルアセンブリである。プルバックスライダ機構は、開口部を画定するハウジングと、ハウジング内に部分的に配置されており、ハウジングの開口部内に延びているカプラとを含み、カプラは、ハウジングに対してスライドし、ハウジング内に配置されるカプラの部分の大きさを変更することができる。カテーテルアセンブリは、プルバックスライダ機構のハウジング内に配置されており、ハウジングに対するカプラの位置を特定するセンサと、基端部及び先端部を有し、先端側セクション、基端側伸展部、及びプルバックスライダ機構に沿って延びている、長尺状の回転可能なドライブシャフトであって、基端部は、ドライブシャフトを回転させるためのモータドライブに結合するように構成及び配置されており、プルバックスライダ機構のカプラは回転可能なドライブシャフトに結合されており、スライダハンドルを動かすことによって、回転可能なドライブシャフトを後方及び前方に手動で動かす、長尺状の回転可能なドライブシャフトと、ドライブシャフトの先端部に結合されたイメージングデバイスであって、ドライブシャフトの回転によってイメージングデバイスの対応する回転を生じさせ、印加された電気信号を音響信号に変換するように、及びまた、受信したエコー信号を電気信号に変換するように構成及び配置された少なくとも1つのトランスデューサを含む、イメージングデバイスと、先端側セクション、基端側伸展部、及び伸縮式プルバックセクションに沿って延びており、イメージングデバイスに結合され、電気信号を伝える少なくとも1つの導体とを更に含む。
【0012】
少なくとも一部の実施形態では、センサは、ハウジングに結合された光センサであり、カプラは、カプラの位置を特定するための、光センサによって検出可能な、交互に配された異なる色のストライプ一式を含む。少なくとも一部の実施形態では、センサは、ハウジングに結合された磁気センサであり、カプラは、カプラの位置を特定するための、磁気センサによって検出可能な、交互に配された磁性材料のストライプ一式を含む。少なくとも一部の実施形態では、ハウジングはスリットを画定し、カプラは、スリットから延出しているフラッシュポートを含む。
【0013】
以下の図面を参照し、本発明の非限定的且つ非網羅的実施形態が記載される。図面においては、特に指示のない限り、種々の図を通して同様の参照番号は同様の部品を示す。
本発明をより理解するために、添付の図面と関連付けて解釈される以下の詳細な説明について述べる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明による血管内超音波イメージングシステムの一実施形態の概略図である。
図2】本発明による血管内超音波イメージングシステムのイメージングモジュールの一実施形態の概略側面図である。
図3】本発明による、カテーテル内に画定されたルーメン内に配置されているイメージングコアを有する、図1に示されるカテーテルの先端部の一実施形態の概略斜視図である。
図4】本発明による、伸縮式プルバックセクションを有するカテーテルの一実施形態の一部分の概略側面図である。
図5】本発明による、伸縮式プルバックセクションを有するカテーテルの別の実施形態の一部分の概略側面図である。
図6A】本発明による、プルバックスライダ機構を有するカテーテルの一実施形態の一部分の概略側面図である。
図6B】本発明による、図6Aのカテーテルの一部分の頂面図である。
図6C】本発明による、図6Aのカテーテルの側断面図である。
図7】本発明による、プルバックスライダ機構及び抵抗センサを有するカテーテルの第2実施形態の一部分の概略断面図である。
図8】本発明による、プルバックスライダ機構及び回転式抵抗センサを有するカテーテルの第3実施形態の一部分の概略断面図である。
図9】本発明による、プルバックスライダ機構及び容量センサを有するカテーテルの第4実施形態の一部分の概略断面図である。
図10】本発明による、プルバックスライダ機構及び誘導センサを有するカテーテルの第5実施形態の一部分の概略断面図である。
図11】本発明による、プルバックスライダ機構及び磁気又は光センサを有するカテーテルの第6実施形態の一部分の概略断面図である。
図12】本発明による、プルバックスライダ機構及び磁気又は光センサを有するカテーテルの第7実施形態の一部分の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
本発明は、超音波イメージングシステムの分野、並びに同システムを製造及び使用する方法に関する。本発明は、また、手動プルバック機構を含む超音波イメージングシステム及びカテーテル、並びに超音波システム及びカテーテルを製造及び使用する方法に関する。
【0016】
カテーテルを用いた好適な超音波イメージングシステムとしては、例えば、血管内超音波(「IVUS」)システム及び心腔内心エコー(「ICE」)システムが挙げられる。これらシステムは、カテーテルの先端部に配置された、患者への経皮的挿入のために構成及び配置された1つ以上のトランスデューサを含んでもよい。カテーテルを有するIVUSイメージングシステムの例は、例えば、米国特許第6,945,938号明細書、米国特許第7,246,959号明細書、及び米国特許第7,306,561号明細書、並びに米国特許出願公開第2006/0100522号明細書、米国特許出願公開第2006/0106320号明細書、米国特許出願公開第2006/0173350号明細書、米国特許出願公開第2006/0253028号明細書、米国特許出願公開第2007/0016054号明細書、及び米国特許出願公開第2007/0038111号明細書に記載されており、これらは全て参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
【0017】
少なくとも一部の実施形態では、イメージングコアは、カテーテルが内部に挿入されている血管に沿って長手方向に動き(即ち、並進し)、血管の軸方向長さに沿って一連の画像を取得してもよい。少なくとも一部の実施形態では、画像化工程の間、イメージングコアはカテーテルの長手方向長さに沿って引き込まれる(即ち、引き戻される)。多くの従来のIVUSイメージングシステムにおいて、このプルバック工程はモータに連結されたプルバック機構により自動化され、臨床医によって指示されたときにイメージングコアが引き戻される。しかしながら、プルバックを手動で実施することが望ましい場合がある。プルバック工程を手動で実施するために、組み込み式プルバック機構を備えるIVUSカテーテルを使用することができる。少なくとも一部の実施形態では、IVUSイメージングシステムはまた、自動プルバック工程を実施することができてもよい。他の実施形態では、IVUSイメージングシステムは手動プルバック工程のみ可能であってもよい。
【0018】
図1は、組み込み式プルバック機構を備えるIVUSカテーテル102と、モータドライブ104と、イメージングモジュール106とを有する、IVUSイメージングシステム100を示す。IVUSイメージングシステム100の構成要素の少なくともいくつかは操作台108の近傍に配置されている。少なくとも一部の実施形態では、IVUSカテーテル102の組み込み式プルバック機構は、臨床医がプルバックを手動で制御することを可能にする手動プルバック機構である。
【0019】
イメージングモジュール106は、図2に示されるように、例えば、プロセッサ292と、パルス発生器290と、1つ以上のディスプレイ294とを含んでもよい。少なくとも一部の実施形態では、パルス発生器290は電気信号を発生させる。この電気信号はカテーテル102内に配置された1つ以上のトランスデューサ(図3の参照符号312)に入力されてもよく、これにより1つ以上のトランスデューサは画像化のための音響信号を発生させる。少なくとも一部の実施形態では、プロセッサ292はモータドライブ104(図1)に、カテーテル102内に配置されたイメージングコア(図3の参照符号306)を回転させるように命令する。
【0020】
少なくとも一部の実施形態では、1つ以上のトランスデューサ(図3の参照符号312)から送信され、音響エコーに応答して発生した電気信号はプロセッサ292に入力され、処理されてもよい。少なくとも一部の実施形態では、1つ以上のトランスデューサ(図3の参照符号312)からの処理済み電気信号は、1つ以上のディスプレイ294上に1つ以上の画像として表示されてもよい。少なくとも一部の実施形態では、プロセッサ292はまた、イメージングモジュール106又はイメージングシステム100の他の構成要素の1つ以上の機能を制御するために使用してもよい。例えば、プロセッサ292は、パルス発生器290から送信される電気信号の周波数又は継続時間、モータドライブ104によるイメージングコア(図3の参照符号306)の回転速度、又は1つ以上のディスプレイ294上に形成される1つ以上の画像の1つ以上の特性の少なくとも1つを制御するために使用してもよい。
【0021】
図3は、カテーテル102の先端部208の一実施形態の概略斜視図である。カテーテル102は、先端部分352及び基端部分(図示せず)を有するシース302を含む。シース302は、シースに沿って延びるルーメン304を画定する。イメージングコア306がルーメン304内に配置されている。イメージングコア306は、ドライブシャフト310の先端部に結合されたイメージングデバイス308を含む。
【0022】
シース302は、患者への挿入に適した任意の可撓性生体適合性材料から形成してもよい。適切な材料の例としては、例えば、ポリエチレン、ポリウレタン、プラスチック、スパイラルカットステンレス鋼、ニチノールハイポチューブ等、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0023】
1つ以上のトランスデューサ312がイメージングデバイス308に取り付けられていてもよく、音響信号を送信及び受信するために用いられてもよい。好適な実施形態(図3に示すような)では、トランスデューサ312のアレイがイメージングデバイス308に取り付けられている。他の実施形態では、1つのトランスデューサが用いられてもよい。少なくとも一部の実施形態では、不規則なアレイの複数のトランスデューサが用いられてもよい。任意の数のトランスデューサ312が使用され得る。例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、15個、16個、20個、25個、50個、100個、500個、1000個、又はこれより多いトランスデューサがあり得る。理解されるように、他の数のトランスデューサもまた、使用してよい。
【0024】
1つ以上のトランスデューサ312は、印加された電気信号を、1つ以上のトランスデューサ312の表面の圧力ひずみへと、またその逆に変換することができる1つ以上の既知の材料から形成されてもよい。適切な材料の例としては、圧電セラミック材料、圧電複合材料、圧電プラスチック、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
【0025】
1つ以上のトランスデューサ312の表面の圧力ひずみは、1つ以上のトランスデューサ312の共振周波数に基づく周波数を持つ音響信号を形成する。1つ以上のトランスデューサ312の共振周波数は、1つ以上のトランスデューサ312を形成するのに用いられる大きさ、形状、及び材料に左右される場合がある。1つ以上のトランスデューサ312は、カテーテル102内に配置するのに適した、及び所望の周波数の音響信号を1つ以上の選択した方向に伝播するのに適した任意の形状に形成してもよい。例えば、トランスデューサは、ディスク形状、ブロック形状、矩形形状、楕円形状等であってもよい。1つ以上のトランスデューサは、例えば、ダイシング、ダイスアンドフィル法、機械加工、微細加工等を含む任意のプロセスによって所望の形状に形成してもよい。
【0026】
少なくとも一部の実施形態では、1つ以上のトランスデューサ312は、周囲空間の半径方向断面画像を形成するために使用され得る。したがって、例えば、1つ以上のトランスデューサ312がカテーテル102内に配置されており、患者の血管内に挿入される場合、複数の個々の画像フレームをつなぎ合わせることによって血管の壁と血管周囲の組織の複合画像を形成するためにもう1つの(the one more)トランスデューサ312を使用してもよい。
【0027】
イメージングコア306はシース302の先端部分352内に配置されている一方で、カテーテル102の長手方向軸線の周りを回転する。イメージングコア306が回転する際、1つ以上のトランスデューサ312は種々の半径方向に音響信号を放出する。放出された、十分なエネルギーを持つ音響信号が1つ以上の組織境界部など1つ以上の媒体境界部に当たると、放出された音響信号の一部がエコー信号として放出トランスデューサに反射して戻る。検出されるほど十分なエネルギーを有してトランスデューサに到達する各エコー信号は、受信トランスデューサにおいて電気信号に変換される。1つ以上の変換された電気信号はイメージングモジュール(図1の参照符号106)に送信され、イメージングモジュールにおいてプロセッサ292(図2)が電気信号特性を処理し、送信された音響信号及び受信されたエコー信号それぞれによる情報の集合体に少なくとも一部基づき、画像化領域の表示可能な画像フレームを生成する。
【0028】
少なくとも一部の実施形態では、1つ以上のトランスデューサ312の回転は、カテーテル102に沿って延びるドライブシャフト310を介して、モータドライブ104(図1)により駆動される。モータドライブ104はカテーテル102の基端部及びドライブシャフト310に結合されており、ドライブシャフトを回転させる。米国特許第6,004,271号明細書、米国特許第6,319,227号明細書、米国特許第6,413,222号明細書、米国特許第6,454,717号明細書、米国特許第6,475,224号明細書、及び米国特許第6,517,528号明細書、並びに米国特許出願公開第2008/0167560号明細書(これらは全てその全体が参照により本明細書中に組み込まれる)に記載されているものを含む任意の適切なモータドライブ104を使用することができる。別の好適なモータドライブは、ボストンサイエンティフィックコーポレーション(Boston Scientific Corporation)(マサチューセッツ州ナティック)によるMDU5+モータドライブである。これらモータドライブのいくつかはまた、臨床医に手動プルバック又は自動プルバック間の選択を与えるために、本明細書中に記載される手動プルバック機構においても有用であり得る自動プルバックシステムを組み込んでもよいことは理解されよう。
【0029】
1つ以上のトランスデューサ312がカテーテル102の長手方向軸線の周りを回転して音響信号を放出すると、複数の画像フレームが形成される。複数の画像フレームは、対象とする血管の壁及び血管の周囲組織など1つ以上のトランスデューサ312を取り囲む領域の一部の複合半径方向断面画像を集合的に形成する。少なくとも一部の実施形態では、1つ以上のディスプレイ294(図2)に画像フレームの1つ以上を表示させることができる。少なくとも一部の実施形態では、1つ以上のディスプレイ294(図2)に半径方向断面複合画像を表示させることができる。
【0030】
1つ以上のトランスデューサ312から異なる深さでの画像化品質は、例えば、帯域幅、トランスデューサの焦点、ビームパターン、及び音響信号の周波数を含む1つ以上の因子に影響される場合がある。1つ以上のトランスデューサ312から出力される音響信号の周波数もまた、1つ以上のトランスデューサ312から出力される音響信号の侵入深さに影響する場合がある。概して、音響信号の周波数が低下するにつれて患者組織内の音響信号の侵入深さは増加する。少なくとも一部の実施形態では、IVUSイメージングシステム100は5MHz〜60MHzの周波数範囲内で動作する。
【0031】
1つ以上の導体314(例えば、ワイヤ、ケーブル、トレース等)がトランスデューサ312をイメージングモジュール106(図1)に電気的に接続する。少なくとも一部の実施形態では、1つ以上の導体314はドライブシャフト310に沿って延びる。
【0032】
イメージングデバイス308はカテーテル102のルーメン内に挿入される。少なくとも一部の実施形態では、カテーテル102(及びイメージングデバイス308)は、標的イメージング位置から離れた場所にある大腿動脈又は静脈などのアクセス可能な血管を通じて患者に経皮的に挿入してもよい。カテーテル102は、その後、患者の血管系を通じて、選択した血管(例えば、末梢血管、冠血管、又はその他の血管)の一部、又は患者の1つ以上の心腔などの標的イメージング位置へと進めてもよい。
【0033】
図1に戻ると、IVUSカテーテル102は、先端側セクション110と、伸縮式プルバックセクション112と、基端側伸展部114とを有する。先端側セクション110は、回転するイメージングコアと、静止した先端側シースにより囲まれた回転するドライブシャフトの一部分とを含む。先端側セクション110の一部分は、IVUSカテーテル102の、患者に挿入される部分である。基端側伸展部114は、回転するドライブシャフトの一部分と、静止した基端側シースとを含む。カテーテルの基端側伸展部114はモータドライブ104に結合されている。
【0034】
図4は、IVUSカテーテル及び組み込み式プルバック機構の一実施形態の一部分を示す。伸縮式プルバックセクション112は先端側セクション110と基端側伸展部114との間に配置されており、第2伸縮部122内をスライドする第1伸縮部120を用い、先端側シース内において基端側に又は先端側に、回転するイメージングコアをスライドさせる。図示される実施形態においては、第1伸縮部120は第2伸縮部に対して先端側にあるが、この配置は、第1伸縮部を第2伸縮部に対して基端側に有し、反転させることができることは理解されよう。ドライブシャフトは、第1及び第2伸縮部120、122内を含む伸縮式プルバックセクション112に沿って延びている。ドライブシャフトは1つの一体構造であってもよく、共に結合された複数の要素を含んでもよいことは理解されよう。
【0035】
少なくとも一部の実施形態では、伸縮式プルバックセクション112及び先端側セクション110の1つ又は両方は、伸縮式セクション内に配置されたポート124を介して滅菌生理食塩水で洗浄することができる。図4では、フラッシュポート124は第2伸縮部122の基端部に示されているが、ポートは伸縮式プルバックセクション112又は先端側セクション110に沿う別の場所に配置できることは理解されよう。第1伸縮部120と第2伸縮部122はハウジング126において結合している。ハウジング126は、生理食塩水の漏れなしに伸縮動作を可能にするためのシールを任意選択的に含む。
伸縮式プルバックセクション112はまた、伸縮部120、122の一方を先端側セクション110の先端側シースに結合している先端側グリップ128と、伸縮部120、122のもう一方に結合された基端側グリップ130とを含む。プルバック中、先端側グリップ128及び基端側グリップ130は把持され、互いに引き離される(例えば、先端側グリップ128は静止状態に維持される一方、基端側グリップ130は引き戻される)。この動作によって、イメージングコアの先端側先端に配置したイメージングデバイス(例えば、1つ以上のトランスデューサ)は先端側セクション110内を基端側方向に動き、血管構造のより近位部を連続的に画像化する。この配置構成によって、従来のIVUSイメージングシステムの自動プルバックの代わりに、手動プルバックが可能になる。
【0036】
カテーテル102の伸縮式プルバックセクション112はまた、イメージングモジュール106(図1)に正確なプルバック位置情報を提供することができるセンサ136を含む。例えば、センサ136は、第2伸縮部122に対する第1伸縮部120の位置を示すことができる。図4の実施形態では、センサ136は、例えば、ハウジング126内又は基端側グリップ130内に配置することができる。抵抗センサ、容量センサ、磁気センサ、光センサ、又は第2伸縮部122に対する第1伸縮部120の位置を検出することができる、若しくは固定位置に対する伸縮部120、122の1つ位置を検出することができる他のセンサを含むが、これらに限定されない任意の適切なセンサ136を使用することができる。センサの例は以下に記載する。
【0037】
図4に示される実施形態においては、センサ136は第1伸縮部120のストライプ138を監視することができる。例えば、これらストライプ138は、光センサによって読み取られる交互に配された暗色顔料及び明色顔料の帯であってもよく、又は磁気センサによって読み取られる交互に配された磁気的に偏極した材料のストライプであってもよい。センサ136と基端側グリップ130との間の通信は第2伸縮部122に隣接する電気ケーブル又はワイヤを介して行われる。ケーブル又はワイヤは第2伸縮部に並置されてもよく、又は第2伸縮部の壁に埋設されてもよく、又は第2伸縮部から離れた何らかの他の経路により接続されてもよい。
【0038】
基端側グリップ130はまた、1つ以上の制御ボタン132、134を組み込んでもよい。制御ボタン132、134は、プルバック中、「画像化開始/停止」、「プルバック記録開始/停止」、「ゼロ位置」、又は「ブックマークする」などの機能を個々に制御するために操作してもよい。
【0039】
図1に戻ると、基端側伸展部114は、回転するドライブシャフトの一部分と、固定シースによって囲まれた導体(イメージングモジュールと超音波トランスデューサとの間でイメージング信号を伝えるため)とを含む。基端側伸展部114は、基端側伸展部114をモータドライブ104に結合するためのコネクタを含み、基端側伸展部114は、カテーテルの先端部分110に比べて直径が大きくてもよい。一部の実施形態では、基端側伸展部114はまた、固定(非回転)複数導体電気ケーブルを支持している。固定(非回転)複数導体電気ケーブルは、固定シースに接合されており、位置センサ136(図4)及び制御ボタン132、134(図4)からの信号をイメージングモジュール106に伝える。
【0040】
図5は、組み込み式プルバックセンサを有するIVUSカテーテルの別の実施形態を示す。この実施形態では、基端側グリップ130は第1伸縮部120と第2伸縮部122との間に配置されており、フラッシュポート124は第2伸縮部122と基端側伸展部114との間に配置されている。センサ136は、基端側グリップ130内に(示されるように)又は基端側グリップ130を第1伸縮部122に結合するハウジング126内に配置することができる。
【0041】
図6A図6Cは、組み込み式プルバック機構を有するIVUSカテーテル602の別の実施形態の一部分を示す。この配置構成では、カテーテルは、IVUSカテーテルの先端側セクション110と基端側伸展部114との間に配置されたプルバックスライダ機構150を含む。基端側伸展部114は、基端側シース156内に配置された基端側ドライブシャフト152を含む。先端側セクション110は、先端側シース158内に配置された先端側ドライブシャフト154を含む。基端側ドライブシャフト152と先端側ドライブシャフト154は共に結合されている。図示される実施形態においては、基端側ドライブシャフト152と先端側ドライブシャフト154はプルバックスライダ機構150内で任意の中間ドライブシャフト153(ハイポチューブなど)を用いて共に結合されている。
【0042】
プルバックスライダ機構150は、ハウジング内にスロット166を画定するハウジング160と、ハウジング内のカプラ162と、カプラに取り付けられており、ハウジングから延出しているスライダハンドル164とを含む。カプラ162は基端側ドライブシャフト152又は先端側ドライブシャフト154の一方又は両方に結合されており、ドライブシャフト152、154を動かす一方で、ドライブシャフト152、154がカプラ及びハウジング160内で回転することを尚可能にする。カプラ162は、図6Cに示されるように基端側シース156に取り付けてもよいとともに、軸受、又はドライブシャフトの1つ若しくは両方に結合するための他の適切な構成要素を含んでもよい。スライダハンドル164をハウジング内のスロット166に沿って手動で動かすことによって、先端側ドライブシャフト154(及びドライブシャフトの先端部に取り付けられたイメージングデバイス)が動く。プルバック工程は、スライダハンドル164をスロット166に沿ってカテーテルの先端側セクション110から離れる方に引くことによって実施することができる。
【0043】
少なくとも一部の実施形態では、先端側セクション110はプルバックスライダ機構150又は先端側セクション110のポート124を介して滅菌生理食塩水で洗浄することができる。生理食塩水の漏れなしに洗浄を可能にするためのシール125を任意選択的に含むハウジング160。
【0044】
スライダハンドル164又はハウジング160はまた、1つ以上の制御ボタン132、134を組み込んでもよい。制御ボタン132、134は、プルバック中、「画像化開始/停止」、「プルバック記録開始/停止」、「ゼロ位置」、又は「ブックマークする」などの機能を個々に制御するために操作してもよい。
【0045】
カテーテル602のプルバック位置測定は、任意の適切なセンサ及び測定方法を使用して実施してもよい。以下に記載されるセンサ及び方法も図4及び図5のカテーテル102に組み込むことができることも理解されよう。
【0046】
図7は、カプラ162の位置に応じて電圧を発生させるポテンショメータ形態で使用される抵抗センサ136の一実施形態を示す。これは、例えばオーディオミキシングデスクにおいて信号レベルを制御するために使用されるような、例えばスライドポテンショメータを使用して実施することができる。スライドポテンショメータ170はカプラ162及びスライダハンドル164を使用して作動される。ポテンショメータからの導体172はイメージングモジュール106(図1)に接続することができ、基端側伸展部114とは別であってもよく、又は基端側伸展部114のシース156に沿って若しくはその内部に延びてもよく、又は任意の他の適切な配置構成であってもよい。
【0047】
図8は、回転ポテンショメータを使用した抵抗センサ136の別の実施形態を示す。ポテンショメータは、ラック174と、ピニオン176と、1つ以上の任意の減速歯車178とを用いて回転し、回転ポテンショメータを形成する。ポテンショメータからの導体172はイメージングモジュール106(図1)に接続することができるとともに、基端側伸展部114とは別であってもよく、又は基端側伸展部114のシース156に沿って若しくはその内部に延びてもよく、又は任意の他の適切な配置構成であってもよい。
【0048】
少なくとも一部の実施形態では、図7及び図8のポテンショメータ形態は動作のために3つのワイヤを用いている。しかしながら、位置に応じて抵抗を測定し、2つのワイヤのみ使用する他の抵抗センサを使用してもよい。
【0049】
図9は、カプラの位置162により画定される距離にわたって重なり可変コンデンサを形成する上部極板180及び下部極板182を含む容量センサ136の一実施形態を示す。上部極板180の余長はローラ184(例えば、ばね荷重式又は「ブラインド式」ローラ)に巻き取られている。この形態は、プルバック位置によって変化する静電容量を発生させる。センサからの導体172はイメージングモジュール106(図1)に接続することができ、基端側伸展部114とは別であってもよく、又は基端側伸展部114のシース156に沿って若しくはその内部に延びてもよく、又は任意の他の適切な配置構成であってもよい。この場合も、抵抗センサと同様に、歯車付回転可変コンデンサも使用することができる。
【0050】
図10は、先端側シース158(図6C)の一部分の周りにコイル186を含み、回転するドライブシャフト153、154(図6C)又はドライブシャフト上の回転するシース(図示せず)の一部分に高磁性材料188が埋め込まれた誘導センサ136の一実施形態を示す。このようにして、磁性材料188がスライドしてシース158に出入りすると、コイル186のインダクタンスは変化する。インダクタンスは、コイル186と磁性材料188との間の重なった距離により予測可能なように変化する。センサからの導体172はイメージングモジュール106(図1)に接続することができ、基端側伸展部114とは別であってもよく、又は基端側伸展部114のシース156に沿って若しくはその内部に延びてもよく、又は任意の他の適切な配置構成であってもよい。この場合も、抵抗センサと同様に、歯車付回転可変コンデンサも使用することができる。
【0051】
容量センサ及び誘導センサは、その位置可変静電容量値又はインダクタンス値を測定するために、あるRF周波数(例えば、約10〜100MHz)において動作してもよい。一部の代替的実施形態では、センサに信号を送るために超音波送信及び受信電子機器が使用されれば有利な場合がある。例えば、可変インダクタンスセンサは固定コンデンサに並列で接続することができ、その後、この組み合わせは、トランスデューサのRF伝送線と並列で配置することができる。センサの共振周波数がトランスデューサの周波数から遠くなるように設計されている(例えば、10MHzセンサを40MHzトランスデューサと共に使用する)場合、慎重に設計された送信パルスを画像化周期間に発することにより、センサに信号を送ることができる。センサのインダクタンス(したがって、プルバック位置)はLC回路の共振周波数から推測することができる。この形態は、図9及び図10に示される導体172を含む代わりに、プルバックセンサに追加の配線が必要ない場合があるという利点を有する。その一方で、こうした配置構成は、画像化信号を歪ませることなしに正確な位置測定を行うことができない場合がある。
【0052】
図11は、磁気又は光センサ136の一実施形態を示す。一部の実施形態では、センサ136は磁気センサ(例えば、直角位相磁気抵抗センサ(ペンシルベニア州ミドルタウン所在のメジャメントスペシャリティーズ社(Measurement Specialties,Inc.)/TEセンサソリューション社(TE Sensor Solutions)から入手可能なMLS1000HDなど))である。センサ136は、ハウジング160内に配置されたストリップ190上の十分に画定されたピッチを有して製造された磁気ストライプ138を読み取る。あるいは、センサ136は、ストリップ190上の白黒(又は任意の他の区別可能な色)のストライプ138を読み取る光センサである。一対のこうしたセンサ136(直角位相センサ)は位置移動の方向の検出を可能にするために使用され得る。抵抗センサと同様に、歯車付回転式光又は磁気センサもまた使用することができる。センサ136からの導体はイメージングモジュール106(図1)に接続することができ、基端側伸展部114とは別であってもよく、又は基端側伸展部114のシースに沿って若しくはその内部に延びていてもよく、又は任意の他の適切な配置構成であってもよい。
【0053】
図12は、磁気又は光センサ136を使用した別の実施形態を示す。この実施形態では、ハウジング160は基端側伸展部114に対して固定されている。基端側伸展部はまた、位置センサ136のための導体172を含む。先端側セクション110はカプラ162内に延びており、カプラ162はまた、シールと、ハウジング160内のスロット(図示せず)から延出して配置されたフラッシュポート124とを含む。カプラ162はまた、ストリップ190を含む。ストリップ190は、ハウジング160内の位置センサ136と通信できるように配置されている。センサ136は、ストリップ190上の磁気ストライプを読み取る磁気センサ、又はストリップ190上の白黒(若しくは任意の他の区別可能な色)のストライプを読み取る光センサであり得る。
【0054】
上述のセンサ136は、プルバック中又は他の工程時にイメージングコアの位置を特定するために使用することができると共に、得られた画像データを位置合わせするために使用することができる。センサ136はまた、自動プルバックデバイスと共に、自動プルバック工程時のイメージングコアの位置を特定するためにも使用することができることは理解されよう。
【0055】
プルバックは、ハウジング160を一方の手で、カプラ162の先端部をもう一方の手で把持し、カプラを引き戻す(又はハウジングを前方に押す)ことによって実施される。あるいは、カプラ162を後方にスライドさせるためにフラッシュポート124を使用してもよい。
【0056】
これら実施形態のいくつかは、センサ136をイメージングモジュール106(図1)に直接、又はモータドライブ104(図1)若しくはイメージングモジュール106(図1)を介して結合している1つ以上の導体172を示す。あるいは又は加えて、イメージングモジュール106とセンサ136との間で、ブルートゥース(Bluetooth(商標))又は他の無線技術を用いた無線通信を使用することができる。あるいは又は加えて、モータドライブとイメージングモジュール106との間の無線通信と共に、センサ136とモータドライブ104との間に有線接続を設けてもよい。制御ボタン132、134とイメージングモジュール106との間で同様の有線又は無線(又はその組み合わせ)通信方法を使用することができる。ハウジング160はまた、1つ以上の制御ボタン132を組み込んでもよい。制御ボタン132は、プルバック中、「画像化開始/停止」、「プルバック記録開始/停止」、「ゼロ位置」、又は「ブックマークする」などの機能を個々に制御するために操作してもよい。上述の実施形態のいずれにおいても同様の制御ボタンを使用できることは理解されよう。更に、この実施形態は上述の他のセンサのいずれを使用するためにも変更することができることは理解されよう。
【0057】
上述のように、IVUSイメージングシステムは、イメージングコアが先端側シース内部で引き戻される間、複数の超音波フレームを記録することができる。得られたデータセット(ロングビュー(longview)データセット)は、イメージングカテーテルが配置されている解剖学的構造の部分の3D像を示すことができる。従来のIVUSイメージングシステムでは、ロングビューデータセットは等速(例えば、約0.5又は1mm/秒)での電動プルバックを用いて取得される。IVUSフレームは一定間隔(例えば、30フレーム/秒)で記録されるため、フレームはロングビューデータセット内に正確に配置され得る。0.5又は1mm/秒のプルバック速度は、30フレーム/秒のフレームキャプチャ速度と共に、30又は60フレーム/mmのロングビュー分解能をもたらす。
【0058】
手動プルバック工程では、上述のように、センサは、手動プルバック工程時のプルバック速度又は変動を問わず、ロングビューデータセットを得るための適切なフレーム位置を特定するために使用することができる。少なくとも一部の実施形態では、IVUSイメージングシステムは、「プルバック」操作を「プッシュフォワード(押し進める)」操作とは異なるものとして認識するように構成されており、IVUSフレームはプルバック工程時にのみ取得される。こうした配置構成は、プルバックシステムの「バックラッシュ」の課題を低減又は排除し、正確な位置測定を容易にしてもよい。機械系にバックラッシュがなければ、プルバック又はプッシュフォワード中にロングビューIVUSフレームを記録することが可能になり得る。
【0059】
手動プルバック工程時にロングビューデータセットを生成する方法の一実施形態は、以下の工程を含むことができる。1.カテーテル又はイメージングモジュール上の制御ボタン(例えば、図4図5又は図6Bの制御ボタン132、134)を押すか、又はイメージングモジュール106に対し、IVUSデータの記録(例えば、ロングビュー記録)を開始するように命令を発する。
2.イメージングコアが引き戻され(例えば、10〜30mm/秒などの中速から高速で)、システムはIVUSフレームを取得して比較的低分解能(例えば、1〜3フレーム/mm、フレームキャプチャ速度は30フレーム/秒)のロングビューデータセットを生成する。少なくとも一部の実施形態では、臨床医は引き戻しを停止してもよく、その後、イメージングコアを押し進め、解剖学的構造内の関心領域(ROI:region of interest)に再び戻る。システムはプッシュフォワード時、IVUSフレームを取得しない。一部の実施形態では、IVUSディスプレイにおいて、再び押し戻されたプルバック記録の領域は、この領域を次のプルバック操作時に上書きしてもよいことを示すために、着色してもよく、又はそれ以外の手法で印を付してもよい。
【0060】
3.イメージングコアがROIに対し先端側に位置変更された後、手動プルバックは、例えばより低速(0.5〜5mm/秒など)で再開され、システムはプルバックが再開されたことを認識し、ROIでフレームを再取得することにより応答する。少なくとも一部の実施形態では、ロングビューデータセットはROI上により高いロングビュー分解能(約6〜60フレーム/mm)で再着色される。取得はまた、カテーテル又はイメージングモジュール上の制御ボタン(例えば、図4図5又は図6Bの制御ボタン132、134)を押すことによって中断又は再開してもよい。この特徴は、解剖学的構造の一部の再検討が所望される場合に、プルバックデータを記録することなく解剖学的構造の一部の再検討を可能にする。
【0061】
4.IVUSイメージングシステムは、カテーテル又はイメージングモジュール上の別の制御ボタン(例えば、図4図5、又は図6Bの制御ボタン132、134)を押すことによってプルバック記録操作の終了を命令される。記録されたプルバックデータセットは、その後、検討又はアーカイブ保管のために利用可能である。得られたロングビューデータセットは、種々のロングビュー分解能(フレーム/mm)を有する領域を含んでもよい。IVUSフレームと共にセンサからの正確な位置データが取得されていることから、フレームはロングビュー軸線に沿って適切に配置される。
【0062】
上記明細書、例、及びデータは、本発明の構成物の製造及び使用の説明を提供する。本発明の多くの実施形態は本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく作製することができるため、本発明はまた、以下に添付の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12