(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記配置空間が、前記第2方向における前記第1対向領域と前記第2対向領域との離間距離を直径とする断面円形の電流路を、前記第2方向から見て前記第1対向領域と前記第2対向領域とが重なる範囲に位置させることが可能な形状を持つ、
請求項1記載の電流センサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、磁束線に沿って複数のコアを並べた電流センサでは、コアの境目に対する電流路の位置が異なると、磁気センサの測定感度が異なり、誤差が発生するという不利益がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のコアを使用して精度良く誘導磁界を検出できる電流センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電流路に流れる電流による磁束線の磁路を形成する第1コア、第2コア及び第3コアと、磁束線が通る第1コアと第2コアとの間隙に配置された磁気センサとを備え、磁束線が通る間隙を隔てて第1コアと第3コアとが対向する第1対向領域と、磁束線が通る間隙を隔てて第2コアと第3コアとが対向する第2対向領域とが、それぞれ第1方向へ延びているとともに、第1方向と直交する第2方向において並んでおり、第1方向と第2方向との両方に直交する第3方向に延びた電流路を配置可能な配置空間が、第1対向領域と第2対向領域との間に設けられた電流センサである。
【0007】
この構成によれば、第1対向領域及び第2対向領域が、第1方向へ平行に延びており、第1方向と直交する第2方向において並んでいる。第1方向と第2方向との両方に直交する第3方向へ延びた電流路が、第1対向領域と第2対向領域第2との間に設けられた配置空間に配置される。この配置空間の両側では、コアの境目である第1対向領域及び第2対向領域が第1方向へ平行に延びているため、コアの境目に対する電流路の位置が異なることによる誤差が生じ難くなる。
【0008】
好適には本発明の電流センサにおいて、配置空間が、第2方向における第1対向領域と第2対向領域との離間距離を直径とする断面円形の電流路を、第2方向からみて第1対向領域と第2対向領域とが重なる範囲に位置させることが可能な形状を持つ、電流センサである。
【0009】
この構成によれば、配置空間内に配置可能なすべての直径の電流路に対して、電流路の全体を第1対向領域と第2対向領域との間に配置可能なため、直径の違いによる測定感度の変化を抑制できる。すなわち、第1対向領域の第1方向における境界、及び、第2対向領域の第1方向における境界に、電流路が挟まれないため、複数のコアを使用して、従来よりも精度良く誘導磁界を検出できる。
【0010】
好適には本発明の電流センサにおいて、第1コアが、磁気センサに近い第1近位部と磁気センサから遠い第1遠位部と第1近位部から第1遠位部まで延びた第1腕部とを含み、第2コアが、磁気センサに近い第2近位部と磁気センサから遠い第2遠位部と第2近位部から第2遠位部まで延びた第2腕部とを含み、第1近位部と第2近位部とが、対向し、磁気センサが、第1近位部と第2近位部との間に位置し、第3コアが、第3腕部と第4腕部と接続部とを含み、第3腕部が、磁気センサに近い第3近位部と磁気センサから遠い第3遠位部とを含み、第4腕部が、磁気センサに近い第4近位部と磁気センサから遠い第4遠位部とを含み、接続部が、第3遠位部と第4遠位部とを接続しており、第1腕部と第3腕部とが、部分的に対向して第1対向領域を形成し、第2腕部と第4腕部とが、部分的に対向して第2対向領域を形成し、第1対向領域と第2対向領域と接続部と磁気センサとが、配置空間を部分的に囲う位置にあり、配置空間が、最大で所定直径の電流路を配置可能な形状をもち、所定直径の電流路を配置空間内で接続部に最近接させたとき、所定直径の電流路の第1方向の全域が第1対向領域と第2対向領域との間に位置する大きさを、第1対向領域と第2対向領域との両方が持つ。
【0011】
この構成によれば、配置空間内に配置可能なすべての直径の電流路に対して、電流路の全体を第1対向領域と第2対向領域との間に配置可能なため、直径の違いによる測定感度の変化を抑制できる。
【0012】
好適には本発明の電流センサにおいて、電流路が、第2方向から見て第1対向領域と第2対向領域とが重なる範囲に配置される。
これにより、第1対向領域の第1方向における境界、及び、第2対向領域の第1方向における境界に、電流路が挟まれない。
【0013】
好適には本発明の電流センサにおいて、第1コアと第2コアと第3コアとの各々が、板状部材で形成されている。
【0014】
この構成によれば、第1対向領域と第2対向領域との面積を大きくして誘導磁界を検出しやすくした場合でも、第1コア〜第3コアの体積がブロック状のコアの場合に比べて小さいので、軽量化しながら正確に誘導磁界を検出できる。
【0015】
好適には本発明の電流センサにおいて、第1腕部と第2腕部と第3腕部と第4腕部との各々が、第3方向に直交する平面に平行に広がり、第1腕部と第3腕部とが、第3方向に対向しており、第2腕部と第4腕部とが、第3方向に対向しており、第1腕部の第3方向における厚みが、第1腕部の第3方向に直交する方向における幅より小さく、第2腕部の第3方向における厚みが、第2腕部の第3方向に直交する方向における幅より小さく、第3腕部の第3方向における厚みが、第3腕部の第3方向に直交する方向における幅より小さい。
【0016】
この構成によれば、ブロック状のコアや、第3方向に広がる板状部材に比べて、第3方向に直交する平面に平行に広がる大面積の第1腕部〜第3腕部を作りやすいので、軽量化を図りながら、大電流に対しても磁気飽和しにくい構造を作りやすい。
【0017】
好適には本発明の電流センサにおいて、第1腕部と第2腕部と第3腕部と第4腕部との各々が、第3方向に平行に広がり、第1腕部と第3腕部とが、第2方向に対向しており、第2腕部と第4腕部とが、第2方向に対向しており、第1腕部の第3方向における幅が、第1腕部の第3方向に直交する方向における厚みより大きく、第2腕部の第3方向における幅が、第2腕部の第3方向に直交する方向における厚みより大きく、第3腕部の第3方向における幅が、第3腕部の第3方向に直交する方向における厚みより大きい。
【0018】
この構成によれば、第1対向領域と第2対向領域との面積を大きくして誘導磁界を検出しやすくした場合に、第1腕部〜第3腕部の第3方向に直交する方向への広がりを、ブロック状のコアの場合に比べて小さく抑えることができるので、小型化しながら正確に誘導磁界を検出できる。
【0019】
好適には本発明の電流センサにおいて、第1腕部が、第1腕面をもち、第1近位部が、第1腕面から連続した第1センサ対向面をもち、第1コアが、第1腕面と第1センサ対向面との間に、少なくとも一つの屈曲部を含み、第2腕部が、第2腕面をもち、第2近位部が、第2腕面から連続した第2センサ対向面をもち、第2コアが、第2腕面と第2センサ対向面との間に、少なくとも一つの他の屈曲部を含み、磁気センサが、第1センサ対向面と第2センサ対向面との間に位置している。
【0020】
この構成によれば、板状部材の厚さに関係なく、磁気センサに対向する第1センサ対向面と第2センサ対向面との面積を大きくとることができるので、隣接した測定対象外の電流路から磁気センサへの影響を小さくできるとともに、測定対象の電流路の誘導磁界を検出しやすくなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数のコアを使用して精度良く誘導磁界を検出できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る電流センサについて説明する。
図1は、本実施形態の電流センサ100と電流測定対象の電流路150との斜視図である。
図2は、電流センサ100と電流路150との正面図である。
図3は、電流センサ100と電流路150との側面図である。
図4は、電流センサ100と電流路150との平面図である。
図5は、電流センサ100と電流路150との底面図である。
【0024】
本明細書において、互いに直交するx方向、y方向、及びz方向を規定する。x方向は、互いに逆を向くx1方向とx2方向とを区別せずに表す。y方向は互いに逆を向くy1方向とy2方向とを区別せずに表す。z方向は互いに逆を向くz1方向とz2方向とを区別せずに表す。これらの方向は、相対的な位置関係を説明するために便宜上規定するのであって、実際の使用時の方向を限定するわけではない。構成要素の形状は、「略」という記載があるかないかにかかわらず、本明細書で開示された実施形態の技術思想が実現される限り、記載された表現に基づく厳密な幾何学的な形状に限定されない。
【0025】
図1に示すように、電流路150は、z方向に平行に延びた導体である。xy平面に平行な断面において、電流路150の断面は、略円形である。電流センサ100は、電流路150に流れる電流によって発生する誘導磁界を検出する。電流センサ100は、第1コア110と第2コア120と第3コア130と磁気センサ140とを含む。
【0026】
第1コア110と第2コア120と第3コア130とは、いずれも、主たる材料として軟磁性体を含み、それぞれが、板状部材で形成され、電流路150に流れる電流による磁束線の磁路を形成する。
図2に示すように、第1コア110と第2コア120とは、yz平面に平行な仮想平面190を中心として対称的な形状を持つ。電流センサ100は、全体として、仮想平面190を中心として対称的な形状を持つ。
【0027】
磁気センサ140は、磁気抵抗効果素子やホール素子などの磁電変換素子で構成されており、電流路150を流れる電流による誘導磁界を検出する。磁気センサ140の感度方向は、x方向であり、x方向の磁界の変化を検出する。
【0028】
(第1コア)
図1に示すように、第1コア110は、磁気センサ140に近い第1近位部111と、磁気センサ140から遠い第1遠位部112と、第1近位部111から第1遠位部112まで延びた第1腕部113とを含む。第1コア110は、1枚の板状部材を屈曲させた形状を持つ。
【0029】
第1近位部111は、yz平面に平行に広がる板状部分である。x方向に沿って見たとき、第1近位部111は、y方向とz方向に沿った辺を持つ略長方形に見える略直方体である。第1近位部111は、yz平面に平行な、x2側の第1センサ対向面116を持つ。
【0030】
第1腕部113は、xy平面に平行な1つの平面に沿って広がっている。
図2に示すように、第1腕部113は、z1側にxy平面に平行な第1表面113−1をもち、z2側に第1腕面113−2を持つ。
図5に示すように、第1腕部113は、第1直線部114と第1突出部115とを含む。第1腕部113は、z方向に沿って見たとき、略L字に見える。
【0031】
図5に示すように、第1直線部114は、z方向に沿って見たとき、x方向とy方向とに平行な辺を持つ略長方形に見える略直方体である。第1遠位部112は、第1直線部114のうち、xz平面に平行なy2側の端面である。第1直線部114は、第1遠位部112からy1方向に延びている。第1直線部114のz方向における厚みは、x方向における幅より小さい。
【0032】
第1突出部115は、第1直線部114のy1側端部付近において第1直線部114と連続的に形成されている。第1突出部115は、第1直線部114からx2側に突出するように形成されている。第1突出部115は、z方向に沿って見たとき、x方向とy方向とに平行な辺を持つ略長方形に見える略直方体である。第1突出部115のz方向における厚みは、y方向における幅より小さい。
【0033】
図2に示すように、第1近位部111のz2側端縁と、第1突出部115のx2側端縁とは、第1屈曲部117において結合されている。製造時に、1枚の板状部材を、y方向に沿った第1屈曲部117で屈曲させることにより、第1近位部111と第1腕部113とが形成される。すなわち、第1センサ対向面116は、第1腕面113−2から連続している。なお、第1腕面113−2から連続した第1センサ対向面116が形成可能であれば、第1腕面113−2と第1センサ対向面116との間に、複数の屈曲部が含まれてもよい。
【0034】
(第2コア)
図1に示すように、第2コア120は、磁気センサ140に近い第2近位部121と、磁気センサ140から遠い第2遠位部122と、第2近位部121から第2遠位部122まで延びた第2腕部123とを含む。第2コア120は、1枚の板状部材を屈曲させた形状を持つ。
【0035】
第2近位部121は、yz平面に平行に広がる板状部分である。x方向に沿って見たとき、第2近位部121は、y方向とz方向に沿った辺を持つ略長方形に見える略直方体である。第2近位部121は、yz平面に平行な、x1側の第2センサ対向面126を持つ。
【0036】
第2腕部123は、xy平面に平行な1つの平面に沿って広がっている。
図2に示すように、第2腕部123は、z1側にxy平面に平行な第2表面123−1をもち、z2側に第2腕面123−2を持つ。
図5に示すように、第2腕部123は、第2直線部124と第2突出部125とを含む。第2腕部123は、z方向に沿って見たとき、略L字に見える。
【0037】
図5に示すように、第2直線部124は、z方向に沿って見たとき、x方向とy方向とに平行な辺を持つ略長方形に見える略直方体である。第2遠位部122は、第2直線部124のうち、xz平面に平行なy2側の端面である。第2直線部124は、第2遠位部122からy1方向に延びている。第2直線部124のz方向における厚みは、x方向における幅より小さい。
【0038】
第2突出部125は、第2直線部124のy1側端部付近において第2直線部124と連続的に形成されている。第2突出部125は、第2直線部124からx1側に突出するように形成されている。第2突出部125は、z方向に沿って見たとき、x方向とy方向とに平行な辺を持つ略長方形に見える略直方体である。第2突出部125のz方向における厚みは、y方向における幅より小さい。
【0039】
図2に示すように、第2近位部121のz2側端縁と、第2突出部125のx1側端縁とは、第2屈曲部127において結合されている。製造時に、1枚の板状部材を、y方向に沿った第2屈曲部127で屈曲させることにより、第2近位部121と第2腕部123とが形成される。すなわち、第2センサ対向面126は、第2腕面123−2から連続している。なお、第2腕面123−2から連続した第2センサ対向面126が形成可能であれば、第2腕面123−2と第2センサ対向面126との間に、複数の屈曲部が含まれてもよい。
【0040】
(第1コアと第2コアとの位置関係)
図2に示すように、第1腕部113と第2腕部123とは、xy平面に平行な略同一の平面に沿っている。第1センサ対向面116と第2センサ対向面126とは、x方向に離間して対向配置されている。磁気センサ140は、磁束線が通る第1センサ対向面116と第2センサ対向面126との間隙の中央に位置している。磁気センサ140のz方向の幅より、第1センサ対向面116及び第2センサ対向面126のz方向の幅の方が大きい。
図4に示すように、磁気センサ140のy方向の幅より、第1センサ対向面116及び第2センサ対向面126のy方向の幅の方が大きい。
【0041】
(第3コア)
図4に示すように、第3コア130は、第3腕部131と第4腕部132と接続部133とを含む。第3コア130は、xy平面に平行に広がる板状部材である。第3腕部131のz方向における厚みは、第3腕部131のx方向及びy方向における幅より小さい。第4腕部132のz方向における厚みは、第4腕部132のx方向及びy方向における幅より小さい。第3腕部131と第4腕部132と接続部133とは、一体的に形成されているため、明確な区切りがあるわけではない。
【0042】
第3腕部131は、磁気センサ140に近い第3近位部134と磁気センサ140から遠い第3遠位部135とを含む。第3腕部131は、第3近位部134と第3遠位部135との間に広がるy方向に長尺の部分である。第3近位部134は、y1側のxz平面に平行な端面である。第3腕部131は、部分的に第1腕部113の第1直線部114とz方向に対向している。第3腕部131の第3近位部134付近の領域は、z方向に沿って見たときに、第1直線部114と同一形状で重なる。第3腕部131の第3遠位部135付近において、x1側の縁部は第1直線部114の縁部に重なるが、x1側の縁部は第1直線部114よりもx2方向に広がっている。
図5に示すように、第3遠位部135は、第1直線部114のy方向の中央付近に位置する。
【0043】
第4腕部132は、磁気センサ140に近い第4近位部136と磁気センサ140から遠い第4遠位部137とを含む。第4腕部132は、第4近位部136と第4遠位部137との間に広がるy方向に長尺の部分である。第4近位部136は、y1側のxz平面に平行な端面である。第4腕部132は、部分的に第2腕部123の第2直線部124とz方向に対向している。第4腕部132の第4近位部136付近の領域は、z方向に沿って見たときに、第2直線部124と同一形状で重なる。第4腕部132の第4遠位部137付近において、x2側の縁部は第2直線部124の縁部に重なるが、x1側の縁部は第2直線部124よりもx1方向に広がっている。
図5に示すように、第4遠位部137は、第2直線部124のy方向の中央付近に位置する。
【0044】
接続部133は、第3腕部131と第4腕部132とのy2側に位置し、第3遠位部135と第4遠位部137とを接続している。
図1に示すように、接続部133は、y2方向において、第1遠位部112及び第2遠位部122と同じ位置まで広がっている。
図4に示すように、第3腕部131と第4腕部132と接続部133とにより、z方向に沿って見たときに、内側に、略U字に見えるU字空間138が画定される。
【0045】
(第1コア、第2コア、及び第3コアの位置関係)
図2に示すように、第3コア130は、第1コア110及び第2コア120のz1側に位置する。第1腕部113と第3コア130とは、磁束線が通る間隙を隔てて、z方向に一定距離だけ離間している。第2腕部123と第3コア130とは、磁束線が通る間隙を隔てて、z方向に一定距離だけ離間している。
図4に示すように、第3腕部131は、y方向に沿った長さL1にわたって、第1直線部114と部分的に対向して第1対向領域161を形成している。第4腕部132は、y方向に沿った長さL1にわたって、第2直線部124と部分的に対向して第2対向領域162を形成している。第1対向領域161と第2対向領域162とがx方向において離間している。
【0046】
z方向に沿って見たとき、第1対向領域161と第2対向領域162と接続部133と磁気センサ140とが、電流路150を配置可能な配置空間170を部分的に囲う位置にある。
図4に示すように、配置空間170には、z方向に延びた略円筒状の電流路のうち、最大で所定直径の最大電流路151を配置可能である。所定直径は、x方向における第1対向領域161と第2対向領域162との最大の離間距離に等しい。第3コア130のU字空間138のy2側端縁は、最大電流路151の外形に等しい半円である。配置空間170は、この最大電流路151を、x方向からみて第1対向領域161と第2対向領域162とが重なる範囲に位置させることが可能な形状を持つ。すなわち、最大電流路151を配置空間170内で接続部133に最近接させたとき、最大電流路151のy方向の全域が第1対向領域161と第2対向領域162との間に位置する大きさを、第1対向領域161と第2対向領域162との両方が持つ。
図4に示すL1の長さは、最大電流路151の直径よりも大きい。
【0047】
図1に示す第1コア110と第2コア120と磁気センサ140との相対的な位置は、図示しない部材によって予め固定されている。第3コア130は、図示しない部材によって、電流センサ100の他の要素に対して、相対的に着脱可能に構成されている。電流を測定する際、第3コア130を電流センサ100の他の要素から取りはずす。次に、電流路150を配置空間170内に配置する。次に、第3コア130を
図1に示す位置に取り付ける。次に、磁気センサ140で、電流路150に流れる電流による誘導磁界を検出する。
【0048】
(まとめ)
この構成によれば、電流路150の配置空間170の両側において、コアの境目である第1対向領域161及び第2対向領域162がy方向へ平行に延びている。そのため、コアの境目に対する電流路150の位置が異なることによる電流測定の誤差が生じ難くなる。
【0049】
この構成によれば、配置空間170内に配置可能なすべての直径の電流路150に対して、電流路150の全体を第1対向領域161と第2対向領域162との間に配置可能なため、直径の違いによる測定感度の変化を抑制できる。すなわち、第1対向領域161のy方向における境界、及び、第2対向領域162のy方向における境界に、電流路150が挟まれないため、複数のコアを使用して、従来よりも精度良く誘導磁界を検出できる。
【0050】
第1対向領域161と第2対向領域162とに挟まれているy方向の長さが、測定結果に影響を与える。従って、仮に、直径の違いによって、第1対向領域161と第2対向領域162との間に挟まれない電流路150があるとすれば、直径の違いによって測定感度に違いが生じることとなる。しかし、本実施形態によれば、
図4に示すように、配置可能などのような直径の電流路150を配置空間170に配置した場合でも、必ず、y方向にはみ出ることなく、第1対向領域161と第2対向領域162とに挟まれる場所が存在する。
【0051】
この構成によれば、第1コア110〜第3コア130が、電流の流れるz方向に直交するxy平面に沿って広がる板状部材であるので、第1対向領域161と第2対向領域162との面積を大きくして誘導磁界を検出しやすくした場合でも、第1コア110〜第3コア130の体積がブロック状のコアの場合に比べて小さいので、軽量化しながら正確に誘導磁界を検出できる。
【0052】
この構成によれば、ブロック状のコアや、z方向に広がる板状部材に比べて、z方向に直交するxy平面に平行に広がる大面積の第1腕部113〜第3腕部131を作りやすいので、軽量化を図りながら、大電流に対しても磁気飽和しにくい構造を作りやすい。
【0053】
この構成によれば、板状部材である第1コア110と第2コア120と第3コア130との厚さに関係なく、磁気センサ140に対向する第1センサ対向面116と第2センサ対向面126との面積を大きくとることができるので、隣接した測定対象外の電流路から磁気センサ140への影響を小さくできるとともに、測定対象の電流路150の誘導磁界を検出しやすくなる。すなわち、板状部材を折り曲げる加工により、板状部材の小さな端面で磁気センサ140を挟む必要がなくなり、広い面を磁気センサ140に向けることができる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る電流センサについて説明する。
図6は、本実施形態の電流センサ200と電流測定対象の電流路250との斜視図である。
図7は、電流センサ200と電流路250との正面図である。
図8は、電流センサ200と電流路250との平面図である。
【0055】
図6に示すように、電流路250は、z方向に平行に延びた導体である。xy平面に平行な断面において、電流路250の断面は、略円形である。電流センサ200は、電流路250に流れる電流によって発生する誘導磁界を検出する。電流センサ200は、第1コア210と第2コア220と第3コア230と磁気センサ240とを含む。
【0056】
第1コア210と第2コア220と第3コア230とは、いずれも、主たる材料として軟磁性体を含み、それぞれが、板状部材で形成され、電流路250に流れる電流による磁束線の磁路を形成する。
図8に示すように、第1コア210と第2コア220とは、yz平面に平行な仮想平面290を中心として対称的な形状を持つ。電流センサ200は、全体として、仮想平面290を中心として対称的な形状を持つ。第1コア210と第2コア220と第3コア230とに囲まれた配置空間270が画定される。配置空間270の詳細については後述する。
【0057】
磁気センサ240は、磁気抵抗効果素子やホール素子などの磁電変換素子で構成されており、電流路250を流れる電流による誘導磁界を検出する。磁気センサ240の感度方向は、x方向であり、x方向の磁界の変化を検出する。
【0058】
(第1コア)
図6に示すように、第1コア210は、磁気センサ240に近い第1近位部211と、磁気センサ240から遠い第1遠位部212と、第1近位部211から第1遠位部212まで延びた第1腕部213とを含む。第1コア210は、1枚の板状部材を屈曲させた形状を持つ。
【0059】
第1近位部211は、yz平面に平行に広がる板状部分である。x方向に沿って見たとき、第1近位部211は、y方向とz方向に沿った辺を持つ略長方形に見える略直方体である。第1近位部211は、yz平面に平行な、x2側の第1センサ対向面216を持つ。
【0060】
第1腕部213は、第1直線部214と第1突出部215とを含む。
図8に示すように、第1腕部213は、z方向に沿って見たとき、略L字に見える。
【0061】
図6に示すように、第1直線部214は、x方向に沿って見たとき、y方向とz方向とに平行な辺を持つ略長方形に見える略直方体である。第1遠位部212は、第1直線部214のうち、xz平面に平行なy2側の端面である。第1直線部214は、第1遠位部212からy1方向に延びている。第1直線部214のx方向における厚みは、z方向における幅より小さい。
【0062】
第1突出部215は、第1直線部214のy1側端部において第1直線部214と連続的に形成されている。第1突出部215は、第1直線部214からx2側に突出するように形成されている。製造時に、1枚の板状部材を、z方向に沿った第1屈曲部217−1で屈曲させることにより、第1直線部214と第1突出部215とが形成される。第1突出部215は、y方向に沿って見たとき、x方向とz方向とに平行な辺を持つ略長方形に見える略直方体である。第1突出部215のy方向における厚みは、z方向における幅より小さい。
【0063】
図6に示すように、第1近位部211のy1側端縁と、第1突出部215のx2側端縁とは、第2屈曲部217−2において結合されている。製造時に、1枚の板状部材を、z方向に沿った第2屈曲部217−2で屈曲させることにより、第1近位部211と第1腕部213とが形成される。第1腕部213は、配置空間270側に、z方向に直交する第1表面213−1をもち、配置空間270の外側に、z方向に直交する第1腕面213−2を持つ。第1センサ対向面216は、第1腕面213−2から連続している。なお、第1腕面213−2から連続した第1センサ対向面216が形成可能であれば、第1腕面213−2と第1センサ対向面216との間に、3つ以上の屈曲部が含まれてもよい。
【0064】
(第2コア)
図6に示すように、第2コア220は、磁気センサ240に近い第2近位部221と、磁気センサ240から遠い第2遠位部222と、第2近位部221から第2遠位部222まで延びた第2腕部223とを含む。第2コア220は、1枚の板状部材を屈曲させた形状を持つ。
【0065】
第2近位部221は、yz平面に平行に広がる板状部分である。x方向に沿って見たとき、第2近位部221は、y方向とz方向に沿った辺を持つ略長方形に見える略直方体である。第2近位部221は、yz平面に平行な、x1側の第2センサ対向面226を持つ。
【0066】
第2腕部223は、第2直線部224と第2突出部225とを含む。
図8に示すように、第2腕部223は、z方向に沿って見たとき、略L字に見える。
【0067】
図6に示すように、第2直線部224は、x方向に沿って見たとき、y方向とz方向とに平行な辺を持つ略長方形に見える略直方体である。第2遠位部222は、第2直線部224のうち、xz平面に平行なy2側の端面である。第2直線部224は、第2遠位部222からy1方向に延びている。第2直線部224のx方向における厚みは、z方向における幅より小さい。
【0068】
第2突出部225は、第2直線部224のy1側端部において第2直線部224と連続的に形成されている。第2突出部225は、第2直線部224からx1側に突出するように形成されている。製造時に、1枚の板状部材を、z方向に沿った第3屈曲部227−1で屈曲させることにより、第2直線部224と第2突出部225とが形成される。第2突出部225は、y方向に沿って見たとき、x方向とz方向とに平行な辺を持つ略長方形に見える略直方体である。第2突出部225のy方向における厚みは、z方向における幅より小さい。
【0069】
図6に示すように、第2近位部221のy1側端縁と、第2突出部225のx1側端縁とは、第4屈曲部227−2において結合されている。製造時に、1枚の板状部材を、z方向に沿った第4屈曲部227−2で屈曲させることにより、第2近位部221と第2腕部223とが形成される。第2腕部223は、配置空間270側に、z方向に直交する第2表面223−1をもち、配置空間270の外側に、z方向に直交する第2腕面223−2を持つ。第2センサ対向面226は、第2腕面223−2から連続している。なお、第2腕面223−2から連続した第2センサ対向面226が形成可能であれば、第2腕面223−2と第2センサ対向面226との間に、3つ以上の屈曲部が含まれてもよい。
【0070】
(第1コアと第2コアとの位置関係)
図8に示すように、第1センサ対向面216と第2センサ対向面226とは、x方向に離間して対向配置されている。磁気センサ240は、磁束線が通る第1センサ対向面216と第2センサ対向面226との間隙の中央に位置している。
図7に示すように、磁気センサ240のz方向の幅より、第1センサ対向面216及び第2センサ対向面226のz方向の幅の方が大きい。
図8に示すように、磁気センサ240のy方向の幅より、第1センサ対向面216及び第2センサ対向面226のy方向の幅の方が大きい。
【0071】
(第3コア)
図6に示すように、第3コア230は、第3腕部231と第4腕部232と接続部233とを含む。第3コア230は、1枚の板状部材を屈曲させた形状を持つ。
【0072】
図6に示すように、第3腕部231は、yz平面に平行に広がる板状部分である。第3腕部231のx方向における厚みは、第3腕部231のz方向における幅より小さい。x方向に沿って見たとき、第3腕部231は、y方向とz方向に沿った辺を持つ略長方形に見える略直方体である。
図8に示すように、第3腕部231は、磁気センサ240に近い第3近位部234と磁気センサ240から遠い第3遠位部235とを含む。第3腕部231は、第3近位部234と第3遠位部235との間に広がるy方向に長尺の部分である。第3近位部234は、y1側のxz平面に平行な端面であり、第1直線部214のy方向の中央付近に位置する。
【0073】
第3腕部231は、部分的に第1直線部214の第1表面213−1とx方向に対向している。第1直線部214のz方向の幅と第3腕部231のz方向の幅とは同じである。
図6に示すように、x方向に沿って見たときに、第3腕部231の全体が第1直線部214と重なる。
【0074】
図6に示すように、第4腕部232は、yz平面に平行に広がる板状部分である。第4腕部232のx方向における厚みは、第4腕部232のz方向における幅より小さい。x方向に沿って見たとき、第4腕部232は、y方向とz方向に沿った辺を持つ略長方形に見える略直方体である。
図8に示すように、第4腕部232は、磁気センサ240に近い第4近位部236と磁気センサ240から遠い第4遠位部237とを含む。第4腕部232は、第4近位部236と第4遠位部237との間に広がるy方向に長尺の部分である。第4近位部236は、y1側のxz平面に平行な端面であり、第2直線部224のy方向の中央付近に位置する。
【0075】
第4腕部232は、部分的に第2直線部224の第2表面223−1とx方向に対向している。第2直線部224のz方向の幅と第4腕部232のz方向の幅とは同じである。
図6に示すように、x方向に沿って見たときに、第4腕部232の全体が第2直線部224と重なる。
【0076】
図6に示すように、接続部233は、xz平面に平行に広がる板状部分である。接続部233のy方向における厚みは、接続部233のz方向における幅より小さい。y方向に沿って見たとき、接続部233は、x方向とz方向に沿った辺を持つ略長方形に見える略直方体である。接続部233は、第3腕部231と第4腕部232とのy2側に位置し、第3遠位部235と第4遠位部237とを接続している。
図8に示すように、第3腕部231と第4腕部232と接続部233とにより、z方向に沿って見たときに、直角に屈曲した略U字に見えるU字空間238が画定される。
【0077】
(第1コア、第2コア、及び第3コアの位置関係)
図8に示すように、第3コア230は、x方向において、第1直線部214と第2直線部224との間に位置する。第1直線部214と第3腕部231とは、磁束線が通る間隙を隔てて、x方向に一定距離だけ離間している。第2直線部224と第4腕部232とは、磁束線が通る間隙を隔てて、x方向に一定距離だけ離間している。第3腕部231は、y方向に沿った長さL2にわたって、第1直線部214と部分的に対向して第1対向領域261を形成している。第4腕部232は、y方向に沿った長さL2にわたって、第2直線部224と部分的に対向して第2対向領域262を形成している。第1対向領域261と第2対向領域262とがx方向において離間している。
【0078】
z方向に沿って見たとき、第1対向領域261と第2対向領域262と接続部233と磁気センサ240とが、電流路250を配置可能な配置空間270を部分的に囲う位置にある。
図8に示すように、配置空間270には、z方向に延びた略円筒状の電流路のうち、最大で所定直径の最大電流路251を配置可能である。所定直径は、x方向における第1対向領域261と第2対向領域262との最大の離間距離に等しい。配置空間270は、この最大電流路251を、x方向からみて第1対向領域261と第2対向領域262とが重なる範囲に位置させることが可能な形状を持つ。最大電流路251を配置空間270内で接続部233に最近接させたとき、最大電流路251のy方向の全域が第1対向領域261と第2対向領域262との間に位置する大きさを、第1対向領域261と第2対向領域262との両方が持つ。
図8に示すL2の長さは、最大電流路251の直径よりも大きい。
【0079】
図6に示す第1コア210と第2コア220と磁気センサ240との相対的な位置は、図示しない部材によって予め固定されている。第3コア230は、図示しない部材によって、電流センサ200の他の要素に対して、相対的に着脱可能に構成されている。電流を測定する際、第3コア230を電流センサ200の他の要素から取りはずす。次に、電流路250を配置空間270内に配置する。次に、第3コア230を
図6に示す位置に取り付ける。次に、磁気センサ240で、電流路250に流れる電流による誘導磁界を検出する。
【0080】
(まとめ)
この構成によれば、電流路250の配置空間270の両側において、コアの境目である第1対向領域261及び第2対向領域262がy方向へ平行に延びている。そのため、コアの境目に対する電流路250の位置が異なることによる電流測定の誤差が生じ難くなる。
【0081】
この構成によれば、配置空間270内に配置可能なすべての直径の電流路250に対して、電流路250の全体を第1対向領域261と第2対向領域262との間に配置可能なため、直径の違いによる測定感度の変化を抑制できる。すなわち、第1対向領域261のy方向における境界、及び、第2対向領域262のy方向における境界に、電流路250が挟まれないため、複数のコアを使用して、従来よりも精度良く誘導磁界を検出できる。
【0082】
第1対向領域261と第2対向領域262とに挟まれているy方向の長さが、測定結果に影響を与える。従って、仮に、直径の違いによって、第1対向領域261と第2対向領域262との間に挟まれない電流路250があるとすれば、直径の違いによって測定感度に違いが生じることとなる。しかし、本実施形態によれば、
図8に示すように、配置可能などのような直径の電流路250を配置空間270に配置した場合でも、必ず、y方向にはみ出ることなく、第1対向領域261と第2対向領域262とに挟まれる場所が存在する。
【0083】
この構成によれば、第1対向領域261と第2対向領域262との面積を大きくして誘導磁界を検出しやすくした場合でも、第1コア210〜第3コア230の体積がブロック状のコアの場合に比べて小さいので、軽量化しながら正確に誘導磁界を検出できる。
【0084】
この構成によれば、第1対向領域261と第2対向領域262との面積を大きくして誘導磁界を検出しやすくした場合に、第1腕部213、第2腕部223、第3腕部231、及び第4腕部232の第3方向に直交する方向への広がりを、ブロック状のコアの場合に比べて小さく抑えることができるので、小型化しながら正確に誘導磁界を検出できる。
【0085】
この構成によれば、板状部材である第1コア210と第2コア220と第3コア230との厚さに関係なく、磁気センサ240に対向する第1センサ対向面216と第2センサ対向面226との面積を大きくとることができるので、隣接した測定対象外の電流路から磁気センサ240への影響を小さくできるとともに、測定対象の電流路250の誘導磁界を検出しやすくなる。すなわち、板状部材を折り曲げる加工により、板状部材の小さな端面で磁気センサ240を挟む必要がなくなり、広い面を磁気センサ240に向けることができる。
【0086】
本発明は上述した実施形態には限定されない。すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。