特許第6626222号(P6626222)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6626222ブレーキ装置、及び、ブレーキ装置アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626222
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】ブレーキ装置、及び、ブレーキ装置アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B62L 3/08 20060101AFI20191216BHJP
   B62L 3/02 20060101ALI20191216BHJP
   B60T 8/26 20060101ALI20191216BHJP
   B60T 11/12 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   B62L3/08
   B62L3/02 D
   B60T8/26 K
   B60T11/12
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-557015(P2018-557015)
(86)(22)【出願日】2016年5月4日
(65)【公表番号】特表2019-518644(P2019-518644A)
(43)【公表日】2019年7月4日
(86)【国際出願番号】CN2016080936
(87)【国際公開番号】WO2017190280
(87)【国際公開日】20171109
【審査請求日】2018年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】518379762
【氏名又は名称】俥安達新科技開發有限公司
【氏名又は名称原語表記】GINDA NEW−TECH CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】張 瑞龍
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−164986(JP,A)
【文献】 特開2007−176340(JP,A)
【文献】 中国実用新案第2863626(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 8/18−8/30
10/00−11/34
B62L 1/00−5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧を利用する時差式ブレーキ装置であって、
チャンバーが設置される殻体と、
前記殼体のチャンバー内に位置するプッシュブロックを駆動して前記殼体の前記チャンバー内で移動させる駆動装置と、
前記殼体内に設置され、前記プッシュブロックの下方に設置された第1チャンバー、及び、前記第1チャンバー内に設置された第1ピストンを有し、前記第1チャンバーと前記プッシュブロックとの間に間隔空間を設け、前記第1ピストンの一部が前記第1チャンバーから突出し、また前記第1ピストンの上端を前記プッシュブロックの下端に押し付け、前記駆動装置の前記プッシュブロックにより前記第1ピストンを駆動し、後輪ブレーキに第1ブレーキ力を与える第1ポンプ構造と、
前記殼体内に設置され、前記プッシュブロックの下方に設置された第2チャンバー、及び、前記第2チャンバー内に設置された第2ピストンを有し、前記第2チャンバーと前記プッシュブロックとの間に間隔空間を設け、前記第2ピストンの一部が前記第2チャンバーから突出し、また前記第2ピストンの上端と前記プッシュブロックの下端に間隔距離を設け、前記駆動装置の前記プッシュブロックにより前記第2ピストンを駆動し、前輪ブレーキに第2ブレーキ力を与える第2ポンプ構造と、
を備え、
前記第1ポンプ構造と前記第2ポンプ構造とが起動時に形成する時間差ブレーキによって、前記後輪ブレーキと前記前輪ブレーキとの間にブレーキ動作の時間差を生成し、更に前記第2ポンプ構造から出力する前記第2ブレーキ力を前記第1ポンプ構造から出力する前記第1ブレーキ力より大きくさせ、前記前輪ブレーキのブレーキ力を強めることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項2】
前記プッシュブロックの上方の中心位置に連結槽が設置され、前記連結槽の上方に駆動桿が設置され、
前記駆動装置の前記殼体の上方にてこが設置され、前記てこの一端側は車のブレーキ部品に連結され、前記てこの他端側は前記駆動桿に連結され、前記てこと前記駆動桿との間に活動支点が設置され、
ブレーキ用操作コンポーネントが起動されるとき、前記駆動桿が駆動されて下に向かって押す力を形成し、また前記プッシュブロックが下に向かって移動し、かつブレーキ部品の力が大きければ大きいほど前記駆動桿が下に向かって押す力及び移動距離が長くなる、
ことを特徴とする請求項1にブレーキ装置。
【請求項3】
前記駆動装置に、穿孔が形成されたロッドホルダーが設置され、前記駆動桿は前記ロッドホルダーの前記穿孔内に設置され、
前記殼体の上壁面にロッドホルダー用穴が形成され、前記ロッドホルダーは前記ロッドホルダー用穴内に設置され、
前記ロッドホルダーは柔軟性素材で作られる、
ことを特徴とする請求項2に記載ブレーキ装置。
【請求項4】
前記第1チャンバー内部に作動油が充填され、前記第1チャンバー内に第1弾性コンポーネントが設置され、前記第1弾性コンポーネントは前記第1ピストンの下端と前記第1チャンバーの下壁面との間に位置し、
前記第1チャンバーの下壁面に設置された第1輸送管から前記第1チャンバー内の作動油を前記後輪ブレーキに送り、前記後輪ブレーキにブレーキ力を与える、
ことを特徴とする請求項2に記載のブレーキ装置。
【請求項5】
前記第1チャンバーに第1補給装置が設置され、前記第1補給装置に第1調整バルブが設置され、前記第1チャンバーと前記第1補給装置との間に第1連結穴が形成され、前記第1調整バルブにより前記第1チャンバー内の作動油を調整又は補充することができ、
前記第1補給装置に第1貯油槽が設置され、前記第1貯油槽に設けられた第1プラグから前記第1貯油槽内の作動油を補充又は交換し、
前記第1貯油槽内にガスの一時保存空間が形成され、前記第1チャンバーで形成された気泡が、前記第1輸送管及び前記第1調整バルブを経由して前記第1貯油槽のガスの一時保存空間内に回流することにより、前記第1チャンバー内の作動油の品質及び温度を維持する、
ことを特徴とする請求項4に記載のブレーキ装置。
【請求項6】
前記第2チャンバー内部に作動油が充填され、前記第2チャンバー内に第2弾性コンポーネントが設置され、前記第2弾性コンポーネントは前記第2ピストンの下端と前記第2チャンバーの下壁面との間に位置し、
前記第2チャンバーの下壁面に設置された第2輸送管から前記第2チャンバー内の作動油を前記前輪ブレーキに送り、前記前輪ブレーキにブレーキ力を与える、
ことを特徴とする請求項1に記載のブレーキ装置。
【請求項7】
前記第2チャンバーに第2補給装置が設置され、前記第2補給装置に第2調整バルブが設置され、前記第2チャンバーと前記第2補給装置との間に第2連結穴が形成され、前記第2調整バルブにより前記第2チャンバー内の作動油を調整又は補充することができ、
前記第2補給装置に第2貯油槽が設置され、前記第2貯油槽に設けられた第2プラグから前記第2貯油槽内の作動油を補充又は交換し、
前記第2貯油槽内にガスの一時保存空間が形成され、前記第2チャンバーで形成された気泡が、第2輸送管及び前記第2調整バルブを経由して前記第2貯油槽のガスの一時保存空間内に回流することにより、前記第2チャンバー内の作動油の品質及び温度を維持する、
ことを特徴とする請求項2に記載のブレーキ装置。
【請求項8】
油圧を利用する時差式ブレーキ装置であって、
設置されたプッシュブロックを移動させる駆動装置と、
前記プッシュブロックの下方に設置された第1チャンバー、及び、前記第1チャンバー内に設置された第1ピストンを有し、前記第1チャンバーと前記プッシュブロックとの間に間隔空間を設け、前記第1ピストンの一部が前記第1チャンバーから突出し、また前記第1ピストンの上端を前記プッシュブロックの下端に押し付け、前記駆動装置の前記プッシュブロックにより前記第1ピストンを駆動し、後輪ブレーキに第1ブレーキ力を与え、前記第1チャンバーに第1補給装置が設置され、前記第1補給装置に設置された第1調整バルブにより前記第1チャンバー内の作動油を調整又は補充することができ、前記第1補給装置に設置された第1貯油槽内の作動油を補充又は交換し、前記第1貯油槽内にガスの一時保存空間を形成することにより、前記第1チャンバー内の作動油の品質及び温度を維持する第1ポンプ構造と、
前記プッシュブロックの下方に設置された第2チャンバー、及び、前記第2チャンバー内に設置された第2ピストンを有し、前記第2チャンバーと前記プッシュブロックとの間に間隔空間を設け、前記第2ピストンの一部が前記第2チャンバーから突出し、また前記第2チャンバー内に設置された第2ピストンの上端と前記プッシュブロックの下端に間隔距離を設け、前記駆動装置の前記プッシュブロックにより前記第2ピストンを駆動し、前輪ブレーキに第2ブレーキ力を与え、前記第2チャンバーに第2補給装置が設置され、前記第2補給装置に設置された第2調整バルブにより前記第2チャンバー内の作動油を調整又は補充することができ、前記第2補給装置に設置された第2貯油槽内の作動油を補充又は交換し、前記第2貯油槽内にガスの一時保存空間を形成することにより、前記第2チャンバー内の作動油の品質及び温度を維持する第2ポンプ構造と、
を備え、
前記第1ポンプ構造と前記第2ポンプ構造とが起動時に形成する時間差ブレーキによって、前記後輪ブレーキと前記前輪ブレーキとの間にブレーキ動作の時間差を生成し、更に前記第2ポンプ構造から出力する前記第2ブレーキ力を前記第1ポンプ構造から出力する前記第1ブレーキ力より大きくさせ、前記前輪ブレーキのブレーキ力を強めることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項9】
前記プッシュブロックの上方の中心位置に連結槽が設置され、前記連結槽の上方に駆動桿が設置され、
前記駆動装置にてこが設置され、前記てこの一端側は車のブレーキ部品に連結され、前記てこの他端側は前記駆動桿に連結され、前記てこと前記駆動桿との間に活動支点が設置され、
ブレーキ用操作コンポーネントが起動されるとき、前記駆動桿を駆動して下に向かって押す力を形成し、また前記プッシュブロックを下に向かって移動させ、かつブレーキ部品の力が大きければ大きいほど前記駆動桿が下に向かって押す力及び移動距離が長くなる、
ことを特徴とする請求項8に記載のブレーキ装置。
【請求項10】
前記駆動装置に、穿孔が形成されたロッドホルダーが設置され、前記駆動桿は前記ロッドホルダーの前記穿孔内に設置され、
前記駆動装置にロッドホルダー用穴が形成され、前記ロッドホルダーは前記ロッドホルダー用穴内に設置され、
前記ロッドホルダーはゴム或いはシリコンを含む柔軟性素材で作られる、
ことを特徴とする請求項9に記載のブレーキ装置。
【請求項11】
前記第1チャンバー内部に作動油が充填され、前記第1チャンバー内に第1弾性コンポーネントが設置され、前記第1弾性コンポーネントは前記第1ピストンの下端と前記第1チャンバーの下壁面との間に位置し、
前記第1チャンバーの下壁面に設置された第1輸送管から前記第1チャンバー内の作動油を前記後輪ブレーキに送り、前記後輪ブレーキにブレーキ力を与える、
ことを特徴とする請求項8に記載のブレーキ装置。
【請求項12】
前記第2チャンバー内部に作動油が充填され、前記第2チャンバー内に第2弾性コンポーネントが設置され、前記第2弾性コンポーネントは前記第2ピストンの下端と前記第2チャンバーの下壁面との間に位置し、
前記第2チャンバーの下壁面に設置された第2輸送管から前記第2チャンバー内の作動油を前記前輪ブレーキに送り、前記前輪ブレーキにブレーキ力を与える、
ことを特徴とする請求項8に記載のブレーキ装置。
【請求項13】
前記第1ポンプ構造の前記第1補給装置と前記第2ポンプ構造の前記第2補給装置とを同じ補給装置にすることにより、同時に前記補給装置から別々に前記第1ポンプ構造の前記第1チャンバーと前記第2ポンプ構造の前記第2チャンバーとに作動油を送ることができる、
ことを特徴とする請求項8に記載のブレーキ装置。
【請求項14】
少なくとも2組以上の油圧を利用する時差式ブレーキ装置を直列に接続し、各組のブレーキ装置を別々に対応するブレーキ部品と連結したブレーキ装置アセンブリであって、
各組のブレーキ装置は、
設置されたプッシュブロックを移動させる駆動装置と、
前記プッシュブロック下方に設置された第1ピストンを前記プッシュブロックと接触させ、前記駆動装置の前記プッシュブロックにより前記第1ピストンを駆動し、後輪ブレーキに第1ブレーキ力を与える第1ポンプ構造と、
前記プッシュブロック下方に設置された第2ピストンの上端と前記プッシュブロックの下端に間隔距離を設け、前記駆動装置の前記プッシュブロックにより前記第2ピストンを駆動し、前輪ブレーキに第2ブレーキ力を与える第2ポンプ構造と、
前記第1ポンプ構造と前記第2ポンプ構造とが起動時に形成する時間差ブレーキによって、前記後輪ブレーキと前記前輪ブレーキとの間にブレーキ動作の時間差を生成し、更に前記第2ポンプ構造から出力する前記第2ブレーキ力を前記第1ポンプ構造から出力する前記第1ブレーキ力より大きくさせ、前記前輪ブレーキのブレーキ力を強め、
前記各組のブレーキ装置の前記第1ポンプ構造の第1輸送管は連結バルブにより連結され、同時に或いは別々に各前記第1チャンバー内の作動油を前記後輪ブレーキに送り、
前記各組のブレーキ装置の前記第2ポンプ構造の第2輸送管は連結バルブにより連結され、同時に或いは別々に各前記第2チャンバー内の作動油を前記前輪ブレーキに送ることを特徴とするブレーキ装置アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧を利用する時差式ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車のブレーキシステム、例えば自動車の前後輪ブレーキは、1つのポンプによって同時に前後輪ブレーキの油圧配管を駆動することにより、ブレーキの制動力(ブレーキ力、Braking force)を生成する。自動車エンジンを前方に設置するとき、後輪とポンプ間の距離は前輪とポンプ間の距離より大きくなるので、ドライバーがブレーキをかけるとき、後輪ブレーキが前輪ブレーキより遅くなる問題が生じる。この状況において、もし自動車が後輪伝動構造を使っている場合、ドライバーがブレーキをかけるとき、前輪にブレーキをかけるが、後輪はそのまま動力を出力するので、車がスリップしやすくなる。
【0003】
またスクーター或いは自転車等の場合、その前後輪のブレーキ部品は、別々にハンドルの両側に設置され、運転者が前輪や後輪のブレーキをかける。運転者が前輪ブレーキを先に踏むとき、後輪はそのまま動力を出力し、前輪と後輪間に大きな速度差が形成されるため、スクーターが転倒し、事故になりやすくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゆえに、もし上述した車に前後輪ブレーキの時間差を調整する機能があれば、ドライバーがブレーキを踏むとき、先ず後輪ブレーキを駆動してから、前輪ブレーキを駆動することにより、上述した車のブレーキ問題が解決され、車ブレーキの安全性が高められる。
【0005】
本案の発明者は長年の関連技術の研究開発経験を活かし、特に前記車ブレーキの欠点を研究し、本発明を考案した。
【0006】
本発明の目的は、油圧を利用する時差式ブレーキ装置において、後輪ブレーキと前輪ブレーキに時間差のブレーキを生成することによって、前輪ブレーキのブレーキ力を強め、自転車、スクーター、シニアカー、自動車等の車ブレーキの効果と安全性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述問題を解決するために、本発明の油圧を利用する時差式ブレーキ装置は、少なくとも駆動装置、殼体、第1ポンプ構造及び第2ポンプ構造を含む。
【0008】
駆動装置は、殼体のチャンバー内に位置するプッシュブロックを駆動する。
【0009】
第1ポンプ構造は殼体内に設置される。第1ポンプ構造は、プッシュブロックの下方に設置された第1チャンバー、及び、第1チャンバー内に設置された第1ピストンを有する。第1チャンバーとプッシュブロックとの間に間隔空間を設け、第1ピストンの一部が第1チャンバーから突出し、また第1ピストンの上端をプッシュブロックの下端に押し付ける。第1チャンバー内部に作動油が充填され、また第1チャンバー内に第1弾性コンポーネントが設置される。第1チャンバーの下壁面に設置された第1輸送管から第1チャンバー内の作動油を後輪ブレーキに送り、後輪ブレーキにブレーキ力を与える。
【0010】
第2ポンプ構造は殼体内に設置される。第2ポンプ構造は、プッシュブロックの下方に設置された第2チャンバー、及び、第2チャンバー内に設置された第2ピストンを有する。第2チャンバーとプッシュブロックとの間に間隔空間を設け、第2ピストンの一部が第2チャンバーから突出し、また第2ピストンの上端とプッシュブロックの下端に間隔距離を設ける。第2チャンバー内部に作動油が充填され、また第2チャンバー内に第2弾性コンポーネントが設置される。第2チャンバーの下壁面に設置された第2輸送管から第2チャンバー内の作動油を前輪ブレーキに送り、前輪ブレーキにブレーキ力を与える。
【0011】
本発明はまた、少なくとも2組以上の油圧を利用する時差式ブレーキ装置を直列に接続するブレーキ装置アセンブリを提供する。その中で、各組のブレーキ装置の第1ポンプ構造の第1輸送管は連結バルブにより連結され、また同時に或いは別々に各第1チャンバー内の作動油を後輪ブレーキに送る。かつ各組のブレーキ装置の第2ポンプ構造の第2輸送管は連結バルブにより連結され、また同時に或いは別々に各第2チャンバー内の作動油を前輪ブレーキに送る。
【0012】
本発明のブレーキ装置の第1ポンプ構造(3)及び第2ポンプ構造(4)にそれぞれサイズの違う第1ピストン(30)及び第2ピストン(40)を設置することによって、異なるブレーキ力を生成することができる。第2ピストン(40)のサイズD2が第1ピストン(30)のサイズD1より大きいとき、前輪ブレーキ(51)は後輪ブレーキ(50)のブレーキ力より大きい力を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の部分断面図である。
図2】本発明の操作状態模式図であり、第1ピストンが押さえられる動作を示している。
図3】本発明の操作状態模式図であり、第1ピストンと第2ピストンが同時に押さえられる動作を示している。
図4】本発明で2組の油圧を利用する時差式ブレーキ装置を連結した状態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(一実施形態)
図1〜3に示すように、本発明の油圧を利用する時差式ブレーキ装置は、少なくとも駆動装置1、殼体2、第1ポンプ構造3及び第2ポンプ構造4を含む。
【0015】
駆動装置1は車のブレーキ用操作コンポーネントA1と連結し、その駆動装置1にプッシュブロック10が設置される。プッシュブロック10は殼体2のチャンバー20内に位置する。プッシュブロック10の上方の中心位置に1つの連結槽100が設置され、またその連結槽100の上方に駆動桿12が設置される。駆動装置1は、殼体2の上方にてこ11が設置され、てこ11に支点110が設けられる。てこ11の一端側はブレーキ部品A1の鋼線A10に連結され、他端側は駆動桿12に連結され、てこ11と駆動桿12との間に活動支点120が設置される。
【0016】
よって、ブレーキ用操作コンポーネントA1が起動されるとき、てこ11駆動桿12が駆動されて下に向かって押す力を形成し、プッシュブロック10が下に向かって移動し、そのプッシュブロック10の移動距離はブレーキ部品A1によって決まる。即ちブレーキ部品A1の力が大きければ大きいほど、プッシュブロック10の移動距離が長くなる(図2及び図3参照)。
【0017】
図1〜3に示すように、駆動装置1にロッドホルダー13が設置され、またロッドホルダー13に穿孔130が形成される。駆動桿12はロッドホルダー13の穿孔130内に設置される。ロッドホルダー13はゴム或いはシリコン等の柔軟性素材で作られることより、駆動桿12と殼体2との間に最大の密閉効果が得られる。
【0018】
殼体2にチャンバー20が設置され、また殼体2の上壁面21にロッドホルダー用穴22が形成され、ロッドホルダー13はロッドホルダー用穴22内に設置される。
【0019】
図1〜3に示すように、第1ポンプ構造3は殼体2内に設置される。第1ポンプ構造3は、プッシュブロック10の下方に設置された第1チャンバー31、及び、第1チャンバー31内に設置された第1ピストン30を有する。第1チャンバー31とプッシュブロック10との間に間隔空間を設け、第1ピストン30の一部が第1チャンバー31から突出する。また第1ピストン30の上端をプッシュブロック10の下端に押し付ける。
【0020】
第1チャンバー31内部に作動油が充填され、かつ第1ピストン30に漏れ防止コンポーネント、例えばオイルシール或いはOリング(図示省略)が設置される。第1チャンバー31内に第1弾性コンポーネント32、例えば圧縮ばねが設置され、その第1弾性コンポーネント32は第1ピストン30の下端と第1チャンバー31の下壁面310との間に位置する。第1チャンバー31の下壁面310に第1空洞311が形成され、また第1空洞311に第1輸送管313が設置され、第1輸送管313から第1チャンバー31内の作動油を後輪ブレーキ50に送る。また後輪ブレーキ50に第1ブレーキ力を与える。
【0021】
図1〜3に示すように、第1チャンバー31に第1補給装置33が設置され、第1補給装置33が殼体2の外側に設置される。かつ第1補給装置33はプラスチック或いは他の透光性を有する材質で作られることより、第1補給装置33のオイル量の確認に便利である。第1補給装置33に第1調整バルブ330が設置され、また第1チャンバー31と第1補給装置33との間に第1連結穴314が形成される。第1調整バルブ330から第1チャンバー31内の作動油を調整や補充することができる。
【0022】
第1補給装置33に第1貯油槽331が設置され、第1貯油槽331に設けられた第1プラグ332から第1貯油槽331内の作動油を補充或いは交換する。第1貯油槽331内にガスの一時保存空間S1が形成され、かつ第1連結穴314は第1チャンバー31の作動油の最高油面に形成される。第1チャンバー31で形成された気泡は、第1輸送管313及び第1調整バルブ330を経由して第1貯油槽330のガスの一時保存空間S1内に回流することにより、第1チャンバー31内の作動油の品質と温度を維持する。
【0023】
図1〜3に示すように、第2ポンプ構造4は殼体2内に設置される。第2ポンプ構造4は、プッシュブロック10の下方に設置された第2チャンバー41、及び、第2チャンバー41内に設置された第2ピストン40を有する。第2チャンバー41とプッシュブロック10との間に間隔空間を設け、第2ピストン40の一部が第2チャンバー41から突出する。かつ第2ピストン40の上端とプッシュブロック10の下端に間隔距離d1を設ける。
【0024】
第2チャンバー41内部に作動油が充填され、かつ第2ピストン40に漏れ防止コンポーネント、例えばオイルシール或いはOリング(図示省略)が設置される。第2チャンバー41内に第2弾性コンポーネント42、例えば圧縮ばねが設置され、その第2弾性コンポーネント42は第2ピストン40の下端と第2チャンバー41の下壁面410との間に位置する。第2チャンバー41の下壁面410に第2空洞411が形成され、また第2空洞411に第2輸送管413が設置され、第2輸送管413から第2チャンバー41内の作動油を前輪ブレーキ51に送る。また前輪ブレーキ51に第2ブレーキ力を与える。
【0025】
図1〜3に示すように、第2チャンバー41に第2補給装置43が設置され、第2補給装置43が殼体2の外側に設置される。かつ第2補給装置43はプラスチック或いは他の透光性を有する材質で作られることより、第2補給装置43のオイル量の確認に便利である。第2補給装置43に第2調整バルブ430が設置され、また第2チャンバー41と第2補給装置43との間に第2連結穴414が形成される。第2調整バルブ430から第2チャンバー41内の作動油を調整や補充することができる。
【0026】
第2補給装置43に第2貯油槽431が設置され、第2貯油槽431に設けられた第2プラグ432から第2貯油槽431内の作動油を補充或いは交換する。第2貯油槽431内にガスの一時保存空間S2が形成され、かつ第2連結穴414は第2チャンバー41の作動油の最高油面に形成される。第2チャンバー41で形成された気泡は、第2輸送管413及び第2調整バルブ430を経由して第2貯油槽431のガスの一時保存空間S2内に回流することにより、第2チャンバー41内の作動油の品質と温度を維持する。
【0027】
第1ポンプ構造3及び第2ピストン40にそれぞれサイズの違う第1ピストン30及び第2ピストン40を設置することによって、異なるブレーキ力を生成することができる。図1〜3に示すように、前輪ブレーキ51のサイズD2が第1ピストン30のサイズD1より大きいとき、前輪ブレーキ51は後輪ブレーキ50のブレーキ力より大きい力を提供することができる。よって、プッシュブロック10が第2ピストン40を押したとき、第2ピストン40から第1ピストン30より多い作動油を送り、第2ポンプ構造4の油圧ブレーキ力P2が第1ポンプ構造3の油圧ブレーキ力P1より大きくなる。
【0028】
更に第1ポンプ構造3の第1補給装置33と第2ポンプ構造4の第2補給装置43とを同じ補給装置にすることにより、同時に補給装置から別々に第1ポンプ構造3の第1チャンバー31と第2ポンプ構造4の第2チャンバー41とに作動油を送ることができる。
【0029】
また第1ポンプ構造3及び第2ポンプ構造4に第1補給装置33及び第2補給装置43を設置しないことができる。第1チャンバー31と第2チャンバー41内に十分な作動油があれば、同じ効果が得られる。
【0030】
図1に示すように、ドライバーがブレーキ用操作コンポーネントA1を起動するとき、駆動装置1がプッシュブロック10を押すと同時に第1ピストン30を押し下に向かって移動させ、このとき、第1弾性コンポーネント32が圧縮され、かつ第1チャンバー31が下に向かって油圧ブレーキ力P1を出力し、後輪ブレーキ50にブレーキ力を与える。
【0031】
図2に示すように、プッシュブロック10が1つの間隔距離d1を移動すると同時に、第2ピストン40を押し下に向かって移動させ、このとき、第2弾性コンポーネント42が圧縮され、かつ第2チャンバー41が下に向かって油圧ブレーキ力P2を出力し、前輪ブレーキ51にブレーキ力を与える。
【0032】
よって、ドライバーは1回のブレーキ動作で後輪ブレーキ50と前輪ブレーキ51との間にブレーキ動作の時間差を生成する。かつ第1ピストン30と第2ピストン40との特殊デザインのサイズによって、遅れて起動する第2ピストン40の瞬間出力を第1ピストン30の油圧ブレーキ力より大きくさせ、またブレーキが遅れる前輪のブレーキ力を後輪のブレーキ力より大きくさせる。
【0033】
(他の実施形態)
本発明はニーズによって、車に少なくとも1組の油圧を利用する時差式ブレーキ装置を設置することができる。図4に示すように、本発明は2組の時差式ブレーキ装置B1、B2、2つのブレーキ部品A1、A2と2組の時差式ブレーキ装置B1、B2を接続することができる。2組の時差式ブレーキ装置B1、B2の第1ポンプ構造3の第1輸送管313は、連結バルブ315により連結され、また同時に或いは別々に各第1チャンバー31内の作動油を後輪ブレーキ50に送る。2組の時差式ブレーキ装置B1、B2の第2ポンプ構造4の第2輸送管413は、連結バルブ415により連結され、また同時に或いは別々に各第2チャンバー41内の作動油を前輪ブレーキ51に送る。上記の複数組の時差式ブレーキ装置を利用しているので、1組の時差式ブレーキ装置が故障しても、車のブレーキ機能が保たれ、安全性が高められる。
【0034】
上記をまとめると、本発明は上述のブレーキ構造を利用し、後輪に優先的にブレーキをかける時差式ブレーキ技術を実現することにより、後輪ブレーキがより遅くなる前輪ブレーキによってスリップし、及び前輪と後輪との間に一瞬の間に形成する過大な速度差により転落する危険を防ぐ。
【0035】
本発明の態様又は使用方式は、以上述べた実施例或いは図式に限定されるものではない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0036】
1 :駆動装置、
10 :プッシュブロック
100 :連結槽
11 :てこ
110 :支点
12 :駆動桿
120 :活動支点
13 :ロッドホルダー
2 :殻体
20 :チャンバー
21 :上壁面
22 :ロッドホルダー用穴
3 :第1ポンプ構造
30 :第1ピストン
31 :第1チャンバー
310 :下壁面
311 :第1空洞
313 :第1輸送管
314 :第1連結穴
315 :連結バルブ
32 :第1弾性コンポーネント
33 :第1補給装置
330 :第1調整バルブ
331 :第1貯油槽
332 :第1プラグ
4 :第2ポンプ構造
40 :第2ピストン
41 :第2チャンバー
410 :下壁面
411 :第2空洞
413 :第2輸送管
414 :第2連結穴
415 :連結バルブ
42 :第2弾性コンポーネント
43 :第2補給装置
430 :第2調整バルブ
431 :第2貯油槽
432 :第2プラグ
50 :後輪ブレーキ
51 :前輪ブレーキ
A1、A2:ブレーキ部品
A10 :鋼線
B1、B2:ブレーキ装置
S1、S2:ガスの一時保存空間
d1 :間隔距離
図1
図2
図3
図4