(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記被処理水が蒸留水、脱イオン水、及び逆浸透圧水等を含む精製水、水道水、井戸水、天然水、及びミネラルウォーター等を含む飲用水、調理用水、果汁、茶、コーヒー、紅茶、及び酒等を含む調理食品用水、皮膚処理水、頭髪処理水、洗顔液、及び香水等を含む化粧品用水、生理食塩水、注射液、及び点眼液等を含む医療用水、電解水、水素水、及び酸素水を含む機能性水、塩水、並びに廃水の中から選ばれる1以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁気振動水製造方法。
【背景技術】
【0002】
液体の沸点は、液体物質の分子間に相互作用がない場合は分子量にほぼ相関する。しかし、水は、沸点(1気圧)が100℃で分子量が18であるのに対して、水と同程度の沸点(98℃)を有するn−ヘプタンの分子量は100である。この相違の原因は、水の分子が2個の水素原子と1個の酸素原子からなり、液体の水は、隣接する水分子の水素原子と酸素原子との間に弱い結合を形成して、液体の水の表面から水分子が水蒸気となっ
て飛び出すのを阻害している(引き留めている)ためである。
【0003】
この、水の酸素原子と水素原子との弱い結合は、周知の水素結合の一例であり、この水分子間の水素結合が、水の性質に大きな影響を与えている。その一例として、水は生体中に拡散しにくいという性質があるが、その理由として、液体の水が分子状の水に変化して生体膜を通過するのを水分子間の水素結合が引き止め、阻害していると考えられている。
【0004】
さて、一般的に分子結合は2個の電子が対を成して形成されるが、例えば水素原子などの特定の原子を含む結合では、強力な磁場が印加されると分子結合を形成している2個の電子のエネルギーレベルが分極され、そのエネルギー差に相当するエネルギーを吸収して結合が活性化されるようになる。この現象を利用したものが核磁気共鳴吸収法(NMR)という分析方法であり、またこの技術を人体の内部を観察し医療に応用したのがMRIである。
分子結合の活性化は、分子結合の結合力の低下を意味するから、核磁気共鳴吸収が起これば、もともと弱い結合である水素結合は更に弱くなるのではないかと推測される。
【0005】
しかし、核磁気共鳴吸収は非常に高い磁場で起こる現象であって、NMR及びMRIは、超電導体電磁石を用いて形成された磁場を用いて行われる。例えば磁場強度が11.74テスラ(9365KA/m)において水素(
1H)は500MHzの電磁波を吸収して活性化され、炭素(
13C)は125MHzの電磁波を吸収し、窒素(
14N)は35MHzの電磁波を吸収して活性化される(非特許文献1)。
従来は、このような強力な磁場を、製造目的で水に印加することは行われなかった。
【0006】
近年、高い磁気特性を有する希土類磁石が開発され、必要不可欠な材料として広く使用され、今後も更に使用量が増大すると予想される。しかし、希土類磁石は、なんらかの理由で消磁が必要になった時には一度着磁された磁石を脱磁することは極めて難しいという課題を有している。
【0007】
この、着磁された希土類磁石を脱磁するために、磁石を脱磁する磁気処理コイルと、磁気処理コイルに電力を供給するコンデンサと、コンデンサを充電する充電回路と、コンデンサに充電された電力を瞬時に磁気処理コイルに放電して高いピーク強度を有する減衰振動磁界を磁気処理コイルに形成させる放電回路と、を有する消磁装置が開発された。例えば、特許文献1には、最高ピーク強度が10テスラ(7960kA/m)であるような強力な磁界を生成する消磁装置が開示されている。
【0008】
本発明は、核磁気共鳴分析で用いるのと同等の高いピーク強度を有する減衰振動磁界を水に印加し、水の分子間結合である水素結合を分極させ活性化させて水素結合を弱化し、それによって水を活性化して新たな機能性を有する新規な磁気振動水を提供するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、強力な減衰振動磁界を水に印加し、新たな物性、及び/又は機能性を有する磁気振動水の製造方法を提供することを課題とする。
また本発明は、強力な減衰振動磁界を形成し、水を減衰振動磁界処理する磁気振動水製造装置を提供することを課題とする。
【0012】
また本発明は、磁気振動水製造装置の過熱を防いだ磁気振動水製造装置を提供することを課題とする。
更に本発明は、強力な減衰振動磁界を形成する磁気振動水製造装置を用いて減衰振動磁界が印加された状態の磁気振動水を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであって、被処理水を磁気処理する磁気処理水槽を空芯の磁気コイルの内部に収容する段階と、磁気処理水槽に被処理水を供給する段階と、磁気コイルに接続したコンデンサを充電する段階と、コンデンサに充電された電力を
、逆並列接続されたサイリスタスイッチを有する放電回路を用いて磁気コイルに放電し
てLCR共振による減衰振動電流を発生させて、磁気コイルに最高ピーク強度が1.0テスラ以上の減衰振動磁界を形成して前記被処理水に印加する段階と、によって磁気振動水を製造することを特徴とする。
【0014】
また、前記被処理水が、蒸留水、脱イオン水、及び逆浸透圧水等を含む精製水、水道水、井戸水、天然水、及びミネラルウォーター等を含む飲用水、調理用水、果汁、茶、コーヒー、紅茶、及び酒等を含む調理食品用水、皮膚処理水、頭髪処理水、洗顔液、及び香水等を含む化粧品用水、生理食塩水、注射液
、及び点眼液等を含む医療用水、電解水、水素水、及び酸素水を含む機能性水、塩水、並びに廃水の中から選ばれる1以上であることを特徴とする。
前記磁気コイルと磁気処置水槽との間に冷却手段を更に備えることが好ましい。
【0015】
被処理水を磁気処理する磁気処理水槽、並びに磁気処理水槽を内部に収容する空芯の磁気コイル、磁気コイルに電力を供給するコンデンサ、コンデンサを充電する充電回路、及び
逆並列接続されたサイリスタスイッチを有しコンデンサに充電された電力を磁気コイルに放電する放電回路を含む磁界振動装置を備え、前記放電回路は、コンデンサの電力を磁気コイルに放電するとき、
LCR共振による減衰振動により磁気コイルに最高ピーク強度が1.0テスラ以上の減衰振動磁界を形成することを特徴とする磁気振動水製造装置。
【0016】
磁気処理水槽を磁気コイル内に収容した状態で、前記磁気コイルに最高ピーク強度が1.0テスラ以上の減衰振動磁界を印加することにより、減衰振動磁界が印加された状態の被処理水であることを特徴とする磁気振動水。
【発明の効果】
【0017】
本発明の磁気振動水製造方法によれば、コンデンサに充電された電力を磁気コイルに放電して磁気コイルに最高ピーク強度が1.0テスラ以上の減衰振動磁界を形成して前記被処理水に印加することによって、浸透性が優れ、新規な機能を有する磁気振動水を製造することができる。
【0018】
本発明の磁気振動水は、官能試験によって原料の水道水よりおいしいと評価された。また、本発明の磁気振動水は、浸透力が増大し、花を活けた場合に水道水を用いた場合より花が枯れずに長持ちし、種子の発芽率が向上することが示された。
【0019】
また、本発明の他の実施例に係る磁気振動水製造方法は、磁気処置水槽との間に冷却手段を更に備え、減衰振動磁界を印加する間に磁気処置水槽の温度が上昇するのを防ぐことができる。
また本発明は、磁気コイルに最高ピーク強度が1.0テスラ以上の減衰振動磁界を前記被処理水に印加された状態の新規な磁気振動水を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る磁気振動水製造装置の構成を示す斜視図であり、
図2は、本発明の一実施例に係る磁気処理水槽及び磁気コイルを示す断面図である。
図1、2に示すように、本発明の一実施例に係る磁気振動水製造装置1は、磁気処理水槽10と磁界振動装置20とを備える。
【0022】
磁気処理水槽10は、磁力線が透過可能な材質で磁界振動装置20の内部に形成され、被処理水導入弁13及び被処理水16を供給するポンプ15を備える被処理水導入管11と、被処理水排出弁14を備える被処理水排出
管12と、を備え得る。
【0023】
磁界振動装置20は、磁気処理水槽10を内部に収容して磁界を印加する空芯の磁気コイル30と、磁気コイル30に電力を供給するコンデンサ40と、コンデンサ40を充電する充電回路50と、コンデンサ40に充電された電力を瞬時に磁気コイル30に放電してLCR共振による減衰振動電流を発生させ、磁気コイル30に減衰振動磁界を形成させる放電回路60と、を備えることが好ましい。充電回路50は商用電源52に接続され得る。
【0024】
本発明の、磁気コイル30は、発生する減衰振動磁界の最高ピーク強度が1.0テスラ以上の磁界を磁気処理水槽10印加して水を磁気処理することが好ましく、最高ピーク強度が5.0テスラ以上の磁界を印加することがより好ましい。減衰振動磁界の最高ピーク強度が1.0テスラ未満では、被処理水16に十分な強度の減衰振動磁界を印加できないことがある。減衰振動磁界の最高ピーク強度は、使用可能な磁界振動装置20の最高ピーク強度に制限されるので、上限は設けない。
【0025】
図3は、本発明の磁界振動装置の回路図である。
図3に示すように、本発明の磁界振動装置20は、充電回路50と放電回路60とからなることが好ましい。
【0026】
充電回路50は、商用電源52に一次側コイル54aが接続される昇圧トランス54と、商用電源52の一方の端子に逆並列接続されたサイリスタ素子からなる交流位相制御回路56と、昇圧トランス54の二次側コイル54bに接続されて昇圧された交流を全波整流する両波整流回路58と、両波整流回路58の直流出力端子間に接続された電圧検出回路59と、を備えている。電圧検出回路59の両端子間にコンデンサ40が接続され、電圧検出回路59はコンデンサ40の充電電圧を検出する。
【0027】
一方、放電回路60は、コンデンサ40と、コンデンサ40の両電極間に接続された磁気コイル30と、を含む。また、放電回路60は、複数のサイリス
タスイッ
チ62を含む。
【0028】
図4は、本発明の磁気振動水の製造方法のプロセスブロック図である。
図4に示すように、本発明の磁気振動水の製造方法の第1段階は、磁気処理水槽10に被処理水16を収容する被処理水収容段階(S−1)を有する。
【0029】
ここで、被処理水16は、蒸留水、脱イオン水、及び逆浸透圧水等を含む精製水、水道水、井戸水、天然水、及びミネラルウォーター等を含む飲用水、調理用水、果汁、茶、コーヒー、紅茶、及び酒等を含む調理食品用水、皮膚処理水、頭髪処理水、洗顔液、及び香水等を含む化粧品用水、生理食塩水、注射液
、及び点眼液等を含む医療用水、電解水、水素水、及び酸素水を含む機能性水、食塩水、並びに廃水の中から選ばれる1以上であることができる。
【0030】
また本実施形態は、商用電源52から昇圧トランス54、交流位相制御回路56、及び両波整流回路58を介して制御された電圧がコンデンサ40を充電するコンデンサ充電段階(S−2)を有することができる。このとき、放電回路60のスイッチング素子62は全てオフとなっている。なお、被処理水収容段階とコンデンサ充電段階との順序は入れ替えることが可能である。
【0031】
次いで、電圧検出回路59が、コンデンサ40の電圧が設定電圧に達して充電が完了したことを検出すると、交流位相制御回路56で商用電源52とコンデンサ40とを電気的に切り離す充電放電回路切替段階(S−3)を行う。
【0032】
次いで、放電回路を制御して減衰振動磁界印加段階(S−4)を行う。
コンデンサ40に充電された電力を磁気コイル30に瞬時に放電すると、コンデンサ40と磁気コイル30とにLCR共振による減衰振動電流が発生する。
図5は、本発明に係る減衰振動磁界の磁界強度を示すグラフである。
【0033】
図5に示すような減衰振動磁界の波形や磁界強度ピーク値を所定の磁界振動装置20で発生させて印加する方法は、磁気コイル30及びコンデンサ40の電磁的性質及び電圧、並びに放電回路のサイリスタスイッチの構成・操作方法等によって制御することができるが、これらは当業者の設計事項であり、また特許文献1、2にも記載されているので、詳細な説明は省略する。
【0034】
本発明は、磁気処理水槽10に収容された水に対する磁気処理を複数回行うことができる。
所定の回数の磁
気処理が終了したら磁気処理水を取り出す磁気振動水排出段階(S−5)を有する。
【0035】
本発明の磁界振動装置20は、高電圧の減衰振動電流を磁気コイル30に印加するので、電気抵抗に基づく熱を発生するが、処理時間が短いので処理回数が少ない場合は特に冷却装置を必要としない。しかし、処理回数が多くなる
と磁界振動装置20が加熱され、磁気コイル30及び/又は磁気処理水槽10が高温になる場合がある。
【0036】
図6は、本発明の他の実施形態に係る磁気処理水槽及び磁気コイルの断面図である。
図6に示すように、本発明の他の実施形態に係る磁界振動装置120は、磁気コイル130と磁気処理水槽10との間に冷却手段131を備えることを特徴とする。冷却手段としては、磁気を透過させ発生熱を遮断できるものであれば特に制限されないが、磁気透過性の材料で形成された冷却水循環装置、又は例えば液体窒素の吹き付け装置等の冷却装置を挙げることができる。
【0037】
以下に実施例を挙げて本発明を説明する。
[実施例1]
図1に示す形式の内径110mm、長さ220mmの空芯の磁気コイル30及びコンデンサ40を用い、内径80mm長さ100mmの磁気処理水槽10に収容した500mLの水道水を磁気振動処理した。
商用電源52から、昇圧トランス54を用いてコンデンサ40を電圧3500Vまで充電し、充電回路50とコンデンサ40とを電気的に切断した後、コンデンサ40に充電された電力を、放電回路60を用いて磁気コイル30に瞬時に放電して振動減衰電流を発生させ、磁気コイル30に最高ピーク強度4.46MA/m(5.6テスラ)の振動減衰磁界を印加し、振動減衰磁界が消失後、磁気処理水槽10から被処理水16を排出して実施例1の磁気振動水500mLを得た。
【0038】
[実施例2]
図1に示す形式の内径50mm、長さ200mmの空芯の磁気コイル30及びコンデンサ40を用い、内径32mm長さ100mmの磁気処理水槽10に収容した80mLの水道水を磁気振動処理した。
商用電源52から、昇圧トランス54を用いてコンデンサ40を充電し、充電回路50とコンデンサ40とを電気的に切断した後、コンデンサ40に充電された電力を、放電回路60を用いて磁気コイルに瞬時に放電して振動減衰電流を発生させ、磁気コイル30に最高ピーク強度0.80MA/m(1.0テスラ)の振動減衰磁界を印加し、振動減衰磁界が消失後、磁気処理水槽10から被処理水16を排出して実施例2の磁気振動水80mLを得た。
【0039】
[実施例3]
図6に示す形式の内径70mm、長さ200mmの空芯の磁気コイル
130、コンデンサ40、及びガラス製円筒形の冷却手段131を用い、内径32mm長さ100mmの磁気処理水槽10に収容した80mLの水道水(開始時の水温18℃)を磁気振動処理した。
商用電源52から、昇圧トランス54を用いてコンデンサ40を充電し、充電回路50とコンデンサ40とを電気的に切断した後、コンデンサ40に充電された電力を、放電回路60を用いて磁気コイル130に瞬時に放電して振動減衰電流を発生させ
、磁気コイル
130に最高ピーク強度0.80MA/m(1.0テスラ)の振動減衰磁界を印加し、振動減衰磁界が消失後、コンデンサ40に再充電及び磁気コイルに再放電する操作を10分間隔で合計10回繰り返したのち、磁気処理水槽10から被処理水16を排出して実施例3の磁気振動水
80mLを得た。処理終了直後の実施例3の磁気振動水の温度は28℃であった。
実施例3で得た磁気振動水は、官能検査で、実施例1で得た磁気振動水と同程度の味を有することが示された。
【0040】
[比較例1]
実施例2と同様に、
図1に示す形式の内径50mm、長さ200mmの空芯の磁気コイル30及びコンデンサ40を用い、内径32mm長さ
100mmの磁気処理水槽10に収容した80mLの水道水を磁気振動処理し、但し、振動減衰磁気コイル30に印加する振動減衰磁気の最高ピーク強度を0.40MA/m(0.5テスラ)にして比較例1の磁気振動水を得た。
【0041】
[比較例2]
実施例2と同様に、
図1に示す形式の内径50mm、長さ200mmの空芯の磁気コイル30及びコンデンサ40を用い、内径32mm長さ100mmの磁気処理水槽10に収容した80mLの水道水を、最高ピーク強度0.80MA/m(1.0テスラ)の振動減衰磁界を用いて磁気振動処理し、次いで振動減衰磁界が消失後、コンデンサ40に再充電及び磁気コイルに再放電する操作を10分間隔で7回繰り返したところ、磁気処理水槽10の被処理水16の温度が85℃になったので操作を中止し、磁気処理水槽10から被処理水16を排出して比較例2の磁気振動水80mLを得た。
比較例2の磁気振動水を15℃まで冷却して官能検査を行ったが、比較例2の磁気振動水の味は、実施例2の磁気振動水の味よりも劣った。
【0042】
(官能検査)
実施例1と実施例2、実施例2と比較例1、及び比較例1と水道水とを官能検査によって比較した。
<試験方法>
試験する水の温度を15℃にして、20人のパネラー(女性12名、男性8名)に水の種類を知らせずに提示し、どちらの水がおいしい
か、又は同じ
であるかを飲み比べてもらった。
<判定基準>
同じである(分からない)と答えたパネラーの数が10名以下であって、一方の磁気振動水を選択したパネラー数が他方の磁気振動水を選択したパネラー数の2倍以上である場合に一方の磁気振動水の方がおいしいと判定し、この条件を満たさない場合は両方の磁気振動水の官能評価には差がないと判定した。
【0043】
<結果>
実施例1の磁気振動水と実施例2の磁気振動水の比較
9名のパネラーが実施例1の磁気振動水のほうがおいしいと答え、3名のパネラーが実施例2の磁気振動水のほうがおいしいと答え残りの8名がわからないと答えた。従って、実施例1の磁気振動水の方がおいしいと判定した。
実施例2の磁気振動水と比較例1の磁気振動水との比較
12名のパネラーが実施例2の磁気振動水の方がおいしいと答え、2名のパネラーが比較例1の磁気振動水の方がおいしいと答えた。従って、実施例2の磁気振動水の方が
比較例1の磁気振動水よりおいしいと判定した。
実施例2の磁気振動水と水道水との比較
5名のパネラーが実施例2の磁気振動水の方がおいしいと答え、3名のパネラーが水道水の方がおいしいと答えた。従って、実施例2の磁気振動水の味と水道水の味とに有意な差はないと判定した。
【0044】
実施例1の磁気コイル30に最高ピーク強度4.46MA/m(5.6テスラ)の振動減衰磁界を印加した磁気振動水と、実施例2の最高ピーク強度0.80MA/m(1.0テスラ)の振動減衰磁界を印加した磁気振動水は、官能検査では実施例1の磁気振動水の方が(大差はないが)おいしいと判定され、実施例2の磁気振動水と、比較例1の最高ピーク強度0.40MA/m(0.5テスラ)の振動減衰磁界を印加した磁気振動水では、実施例2の磁気振動水の方がおいしいと判定され、比較例1の磁気振動水の味と水道水の味とは官能試験で有意な差がないと判定された。従って、本発明は、磁気コイル30に印加する振動減衰磁界の最高ピーク強度は、1.0テスラ(0.80MA/m)以上であると制限する。
【0045】
(浸透性試験)
[実施例
4]
図7は、本発明の磁気振動水及び水道水に野菊を活けて、野菊が枯れるまでを観察した図である。
図7aに示すように、実施例1で得た磁気振動水200mLに3gの食塩を溶解して
実施例4とし、磁気振動水の製造に用いた水道水200mLに3gの食塩を溶解して比較例3とし、野菊の花を切り花として活け、実施例1の食塩水及び水道水の食塩水を毎日交換して観察した。
図7bに示すように、試験開始後16日目に、比較例3の塩水に活けた野菊の花は枯れたが、
実施例4の、実施例1の磁気振動水の塩水に活けた野菊の花は元気であった。
図7cに示すように、36日目に
実施例4の、試験例の振動水に活けた野菊の花が枯れた。
【0046】
切花を活ける場合、切り花を長持ちさせるには、切り口からの水の吸い上げ重要であると言われている。実施例1の磁気振動水は、強力な振動減衰磁界を印加されて水分子同士の水素結合が弱められているので、水が切り花の切り口から容易に浸透して野菊の切花を長持ちさせたものと考えられる。
【0047】
(発芽試験)
<測定方法>
[実施例
5]
ガラス製シャーレの上にろ紙を2枚重ねて置き、実施例1で製造した磁気振動水を滴下して全面を湿らせ、その上に種子100個を重なり合わないように並べて置き、シャーレの蓋をして所定の温度の低温器に入れる。試験中ろ紙が乾燥しないように磁気振動水を補給しながら毎日観察して、発芽した種子を取り除き、残った種子の数から発芽率を計算した。
発芽率(%)=発芽した種子の個数/播種した種子の個数×100
[比較例
4]
実施例
5と同じ方法で、但し実施例1で製造した磁気振動水の代わりに水道水を用いて発芽試験を行った。
【0048】
(2)結果
発芽試験の結果を表1に示す。
【表1】
【0049】
表1に示すように、
実施例5の、実施例1で製造した磁気振動水を用いることで、
比較例4の水道水を用いた場合よりも、いずれの種子も発芽率が向上した。
種子は、適当な温度で適当な水分が与えられると発芽するが、実施例1で製造した磁気振動水は強力な振動減衰磁界を印加されて水分子同士の水素結合が弱められているので、磁気振動水は種子に素早く浸透して発芽率を向上させたものと考えられる。
【0050】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【課題】本発明は、強力な減衰振動磁界を印加する磁気振動水製造装置で水を減衰振動磁界処理することによって、水分子同士の相互作用が弱められた磁気振動水を製造し、新たな物性、及び/又は機能性を有する磁気振動水の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、被処理水を磁気処理する磁気処理水槽を空芯の磁気コイルの内部に収容する段階と、磁気処理水槽に前記被処理水を供給する段階と、磁気コイルに接続したコンデンサを充電する段階と、コンデンサに充電された電力を前記磁気コイルに放電して前記磁気コイルに最高ピーク強度が1.0テスラ以上の減衰振動磁界を形成して前記被処理水に印加する段階と、によって磁気振動水を製造することを特徴とする。