【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年4月11日 電気自動車の組立教材キットを紹介したリーフレットを配布。平成26年4月19日 電気自動車の組立教材キットを紹介したチラシを配布。平成26年5月21日〜23日 電気自動車の組立教材キットを東京ビッグサイトにて開催の第5回教育ITソリューションEXPOで発表。平成26年7月31日 電気自動車の組立教材キットを岩手県立総合教育センターで開催の教員免許更新講習会にて公表。平成26年8月5日 電気自動車の組立教材キットをクリエイション・コア東大阪で開催の岩手・福島・大阪復興支援交流企画展、プレゼン・商談にて発表。平成26年8月11,12日 電気自動車の組立教材キットを岩手大学にて開催のEVHighSchool(高校生PIUS組立分解授業)で公表。平成26年8月25日〜28日 電気自動車の組立教材キットを金沢大学で開催の平成26年度全国高専教育フォーラムにて発表。平成26年8月29日 電気自動車の組立教材キットを東北ニュービジネス協議会「いわて支部交流会」の開催案内用チラシに掲載。平成26年9月24日 電気自動車の組立教材キットをマリオスにて開催の東北ニュービジネス協議会「いわて支部交流会」で発表。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年7月10日 電気自動車の組立教材キットに関する情報をウェブサイト(http://www.pius−kitcar.com/education.html)に掲載。平成26年5月12日 電気自動車の組立教材キットに関する情報をウェブサイト(https://www.facebook.com/pius.kitcar#!/pius.kitcar/photos/a.271003066337838.50118.270724703032341/516985551739587/?type=1)に掲載。平成26年5月20日 電気自動車の組立教材キットに関する情報をウェブサイト(https://www.facebook.com/pius.kitcar/posts/520265008078308)に掲載。平成26年5月22日 電気自動車の組立教材キットに関する情報をウェブサイト(https://www.facebook.com/pius.kitcar/posts/521039371334205)に掲載。平成26年5月22日 電気自動車の組立教材キットに関する情報をウェブサイト(https://www.facebook.com/pius.kitcar/photos/a.271003066337838.50118.270724703032341/521096464661829/?type=1)に掲載。平成26年7月31日 電気自動車の組立教材キットに関する情報をウェブサイト(https://www.facebook.com/pius.kitcar/posts/551015955003213)に掲載。平成26年7月31日 電気自動車の組立教材キットに関する情報をウェブサイト(https://www.facebook.com/pius.kitcar#!/pius.kitcar/posts/551016301669845)に掲載。平成26年7月31日 電気自動車の組立教材キットに関する情報をウェブサイト(https://www.facebook.com/pius.kitcar#!/pius.kitcar/posts/551016828336459)に掲載。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年7月25日 電気自動車の組立教材キットに関する情報をウェブサイト(https://www.facebook.com/elevix/posts/623111464462453)に掲載。平成26年8月11日 電気自動車の組立教材キットに関する情報をウェブサイト(https://www.facebook.com/elevix/photos/a.613139145459685.1073741828.585894211517512/631777943595805/?type=1)に掲載。平成26年8月12日 電気自動車の組立教材キットに関する情報をウェブサイト(https://www.facebook.com/elevix/photos/a.613139145459685.1073741828.585894211517512/632323356874597/?type=1)に掲載。平成26年8月11日 電気自動車の組立教材キットに関する情報をウェブサイト(https://www.facebook.com/photo.php?fbid=687669984648819&set=a.105516512864172.12244.100002174723834&type=1&permPage=1)に掲載。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年6月18日 電気自動車の組立教材キットに関する情報をウェブサイト(https://www.facebook.com/kaoru.sawase/posts/653464804734814)に掲載。平成26年7月2日 電気自動車の組立教材キットに関する情報をウェブサイト(https://www.facebook.com/kaoru.sawase/posts/660610654020229)に掲載。平成26年7月23日 電気自動車の組立教材キットに関する情報をウェブサイト(https://www.facebook.com/kaoru.sawase/posts/671028656311762)に掲載。平成26年7月31日 電気自動車の組立教材キットに関する情報をウェブサイト(https://www.facebook.com/photo.php?fbid=675167449231216&set=a.332772633470701.75911.100002139019073&type=1)に掲載。
【文献】
マイクロEVキットカー「PIUS」のレンタルおよびカスタマイズの受託を開始[モディー],Automotive Engineers' Guide,2013年 4月11日,[2018年 4月 5日検索],URL,http://guide.jsae.or.jp/topics/54350
【文献】
KONDO ROBOT CATALOG 2012−2013,2013年 4月16日,[2019年 1月22日検索],URL,https://kondo-robot.com/w/wp-content/uploads/KONDO_catalog2012-13.pdf (リンク元URL:https://kondo-robot.com/faq/download-latest-catalog)
【文献】
電気自動車に使われるモーターの種類と仕組み,All About[online],2013年 8月 2日,[2018年 4月 5日検索],URL,https://allabout.co.jp/gm/gc/423947/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る電気自動車の教材システムについて詳細に説明する。
図1乃至
図3に示すように、実施の形態に係る電気自動車の教材システムは、作業フロア上で完成された電気自動車EVを予め定めた複数の構成部品毎に分解するとともに、各構成部品を組立てて電気自動車EVを完成させるシステムである。ここで、作業フロアとは、屋内のみならず、屋外の地面や建物の屋上等を含む概念である。構成部品とは、部品単体であっても良く、複数の部品単体を組立てて構成される組立作業ごとのまとまった装置であっても良い。
【0019】
実施の形態に係る電気自動車EVは、
図1乃至
図3に示すように、また、後述の
図4乃至
図6も参照し、構成部品として、ボディ1,シャシ2を初め、以下に示すものとなっている。各構成部品には、その組立て順に基づいて項番が付与されており、その項番順に示すと以下のようになる。項番(n−i)の内、n(1〜n)は大きな順番、i(1〜i)は大きな順番内での順位を示す。iが同じ数値の場合には、いずれから組みつけても良い部品であること、あるいは、一体に組み付けられる部品であることを示す。また、シャシ2にはハーネスなどが予め組み付けられている等、記載されていない構成部品が付帯している場合もある。また、分解,組立の要領を記載したマニュアルには、項番とともに構成部品に関する説明が記載されている。
【0020】
(1−1)リヤダンパD(Rr)(Rr Damper(R))
(1−1)リヤダンパD(Rr)(Rr Damper(L))
(1−2)スイングアーム4(Rr Swing Arm)
(1−3)カップリング5(Coupling)
(1−3)電動モータM(Motor)
(1−4)減速ギヤボックスに車軸を連結した組立体6(Rer Suspension ASSY)
(1−5)スぺーサ7(Spacer A)
(1−5)スぺーサ7(Spacer A)
(1−5)ブレーキディスク8(Rr Brake Disk(R))
(1−5)ブレーキディスク8(Rr Brake Disk(L))
(1−5)ハブ9(Rr Hub(R))
(1−5)ハブ9(Rr Hub(L))
(1−6)ブレーキキャリパ10(Rr Brake Caliper(R))
(1−6)ブレーキキャリパ10(Rr Brake Caliper(L))
【0021】
(2−1)ロワーアーム64(Fr Suspension lower Arm(R))
(2−1)ロワーアーム64(Fr Suspension lower Arm(L))
(2−2)フロントダンパD(Fr)(Fr Damper(R))
(2−2)フロントダンパD(Fr)(Fr Damper(L))
(2−3)フロントナックル61(Fr Knuckle(R))
(2−3)フロントナックル61(Fr Knuckle(L))
(2−4)アッパーアーム70(Fr Suspension Upper Arm(R))
(2−4)アッパーアーム70(Fr Suspension Upper Arm(L))
(2−5)ブレーキディスク11(Fr Brake Disk(R))
(2−5)ブレーキディスク11(Fr Brake Disk(L))
(2−5)ハブ12(Fr Hub(R))
(2−5)ハブ12(Fr Hub(L))
(2−6)アンチロールバー13(Anti-Roll Bar)
(2−6)ブレーキキャリパ14(Fr Brake Callper(R))
(2−6)ブレーキキャリパ14(Fr Brake Callper(L))
(3−1)ステアリングギヤボックス15(Steering Gear BOX/Tie Rod)
(4−1)マスターシリンダ16(Master Cylinder)
(4−2)パーキングブレーキ17(Parking Brake)
【0022】
(5−1)車輪W(Tire/Wheel(R×2))
(5−1)車輪W(Tire/Wheel(L×2))
(6−1)フロアパネル18(Fr Floor Panel)
(6−1)フロアパネル18(Rr Floor Panel)
(6−2)スロットルペダル19(Throttl Pedal)
(6−2)ブレーキペダル20(Brake Pedal)
(7−1)ステアリングシャフト21(Steerring Shaft)
(8−1)コントロールボックス22(Controller Box)
(8−2)バッテリ23(Battery)
(8−2)バッテリブラケット24(Battery Bracket)
(8−3)バッテリケーブル25(Battery Cable)
(8−3)ホーン26(Horn)
(9−1)座席27(Seat)
(9−2)ステアリングホイール28(Steering Wheel)
を備えて構成されている。
【0023】
また、実施の形態に係る教材システムは、
図4乃至
図8に示すように、作業フロアに敷設され分解された各構成部品の全部若しくは一部を載置する部品マット30を備えている。この部品マット30は、樹脂性シートで構成され、その表面には、載置する各構成部品を模した平面部品像31が表示されており、この平面部品像31の上に対応する構成部品が載置可能に形成されている。分解される構成部品の全てに対応して部品マット30上に平面部品像31を表示しても良いが、主要な構成部品について平面部品像31を表示し、明らかに取り扱いが分かる例えば、ボディ1やランプ類等は特に表示しなくても良い。また、ビス等のあまり重要でない部品については、特に、表示しなくても良い。これらの重要でない部品は、使用する構成部品の近傍に載置すること等で対応してよい。
【0024】
また、部品マット30の各平面部品像31は、各構成部品の組立て順に基づいて該各構成部品に付与された上掲の項番順に、可能な限り隣接して表示されており、部品マット30の各平面部品像31の近傍には、各平面部品像31に対応する構成部品の項番が表示されている。実施の形態では、上掲した項番(n−i)及び名称(英文字)が表示されている。日本語表記としても良い。但し、構成部品の大きさ等の条件によって、配置上一部の構成部品については、必ずしも、項番の順序どおりに表示されていないものもある。例えば、(2−6)アンチロールバー(Anti-Roll Bar)は、大きさの関係で、(2−1)ロワーアーム(Fr Suspension lower Arm(L))に隣接して表示されている。
【0025】
また、部品マット30は、複数の分割部品マットに分割されている。分割部品マットの1つは、シャシ2が載置台35を介して載置されるシャシ2専用のシャシマット30Sとして構成されている。載置台35は、木製あるいは金属製などどのような材料で構成しても良い。また、シャシ2に組立てられる各構成部品は、各構成部品の組立て順に基づいて該各構成部品に付与した項番順に可能な限り従って複数にグループ化し、シャシマット30S以外の分割部品マットを2以上設け、このシャシマット30S以外の各分割部品マットに、グループ化した構成部品群に対応した平面部品像31群を夫々表示している。実施の形態では、分割部品マットは、組立順の若い順から、第1部品マット30A,第2部品マット30B,第3部品マット30Cの3つである。各部品マット30A,30B,30Cにおいては、右下から左上に行くに従って組立順の数値が増すように平面部品像31を表示している。
【0026】
第1部品マット30Aには、上記の組立順で言うと、(1−1)〜(2−1)の構成部品及び(2−6)の一部の構成部品に対応する平面部品像31,名称及び組立順が表示され、第2部品マット30Bには、上記の組立順で言うと、(2−2)〜(2−5)の構成部品,(2−6)の残りの構成部品及び(3−1)〜(4−2)に対応する構成部品の平面部品像31,名称及び組立順が表示され、第3部品マット30Cには、上記の組立順で言うと、(5−1)〜(9−2)の構成部品の平面部品像31,名称及び組立順が表示されている。
【0027】
また、
図7及び
図8に示すように、実施の形態に係る教材システムは、構成部品群の組立てに使用する工具を含む関連器具が載置される関連器具マット32を備えている。この関連器具マット32には、関連器具が載置される複数のエリア33が表示されている。
更に、
図7に示すように、実施の形態に係る教材システムは、構成部品群の表示のない作業マット34を備えている。
【0028】
そしてまた、実施の形態に係る電気自動車の教材システムにおいては、
図9に示すように、少なくとも何れか1つの構成部品として選択され、仕様の異なる複数の異仕様構成部品が備えられている。実施の形態においては、異仕様構成部品の対象となる構成部品は、ダンパD、車輪W、電動モータMである。以下、個別に説明する。
【0029】
<ダンパD>
図2に示すように、ダンパDは、フロントダンパD(Fr)及びリヤダンパD(Rr)とを備え、実施の形態では、夫々同様に形成され、
図9及び
図10に示すように、進退動可能なショックアブソーバ40の両端に貫通孔からなる取付部41を有しショックアブソーバ40を進出方向に付勢するコイルスプリング42を備えて構成されている。フロントダンパD(Fr)は、
図10(a),
図14及び
図15,
図20及び
図21に示すように、後で詳述するフロントのサスペンション装置60に設けられ、取付部41の貫通孔にピン43を挿入することにより、ロワーアーム64とシャシ2との間に架設されている。また、リヤダンパD(Rr)は、リヤのサスペンション装置44を構成し、取付部41の貫通孔にピン43を挿入することにより、リヤサスペンションアーム45とシャシ2との間に架設される。そして、
図9に示すように、異仕様構成部品としてコイルスプリング42の強さ(バネ定数)の仕様の異なるダンパDが2以上(実施の形態では3種類のダンパDa,Db,Dc)が備えられ、何れかのダンパDa,Db,Dcが選択される。コイルスプリング42の強さ(バネ定数)の仕様としては、「強(硬い)」,「中(普通)」,「弱(やわらかい)」の3段階になっており、夫々順にダンパDa,Db,Dcに対応させている。各種のダンパDa,Db,Dcの取付部41は同様に形成されており、容易に交換が可能になっている。これにより、操舵性能,乗り心地,ロール特性(コーナリング特性)等の違いが体感できる。
【0030】
<車輪W>
車輪Wは、
図9及び
図11に示すように、貫通孔からなる取付部46を有したホイール47とタイヤ48とからなる。ホイール47は、
図11に示すように、ハブ9にボルト49で取付けられる。そして、異仕様構成部品として直径の仕様の異なる車輪Wが2以上(実施の形態では2種の車輪Wa,Wb)備えられ、何れかの車輪Wa,Wbが選択される。車輪Wの直径の仕様としては、大,小の2段階になっている。各種の車輪Wa,Wbの取付部46は同様に形成されており、容易に交換が可能になっている。これにより、スピードとトルクが相反する関係であることが体感できる。
【0031】
<電動モータM>
電動モータMにおいては、
図9に示すように、異仕様構成部品として使用電流の仕様の異なる電動モータMが2以上備えられている。実施の形態では、直流仕様の電動モータMaと、交流仕様の電動モータMbとの2種類が備えられ、何れかの電動モータMa,Mbが選択される。電動モータMaは、後で詳述する駆動システムKに用いられ、
図9,
図12(a),
図22及び
図24に示すように、車輪Wに連係する減速ギヤボックス100の取付部104に取り付けられる取付部105を有し、ボルト108及びナット109で取付けられる。
図9及び
図12(b)に示すように、電動モータMbの取付部160には、雌ネジ161が設けられており、減速ギヤボックス100の取付部104に装着され、ボルト108を雌ネジ161に螺合して取付けられる。直流仕様の電動モータMa及び交流仕様の電動モータMbの選択により、加速性能の違い、回生エネルギーの回収やモーターコントローラーのプログラムの書き換えによるモータ特性の違い等が体感できる。
【0032】
また、実施の形態に係る電気自動車の教材システムにおいては、
図9及び
図13に示すように、少なくとも何れか1つの構成部品を含む所定の構成部品群と交換されて仕様変更可能な交換構成部品が備えられている。実施の形態では、交換構成部品として、電動モータMを含む所定の構成部材群と交換可能に形成され、車輪Wが直接装着可能なインホイールモータMcを含む駆動機構50が備えられている。インホイールモータMcには、シャシ2に取付けられる取付部としてのサスペンションアーム51が付設されるとともに、車輪Wのホイール47が取付けられるハブ52が一体化されている。即ち、構成部品である電動モータM及び減速ギヤボックス100に車軸を連結した組立体6,スイングアーム4に変えて、インホイールモータMcの駆動機構50が左右一対取付けられる。
【0033】
更に、実施の形態に係る電気自動車の教材システムにおいては、
図9に示すように、少なくとも何れか1つの構成部品を、仕様変更可能に形成している。実施の形態では、フロントのサスペンション装置60を構成する構成部品であるアッパーアーム70により、車輪Wのキャンバー角及び/またはキャスター角の仕様を変更可能に形成している。サスペンション装置60については、後で詳述する。
【0034】
更にまた、実施の形態に係る電気自動車の教材システムにおいては、
図9に示すように、少なくとも何れか1つの構成部品に付加可能に形成され、付加されて該当する構成部品に係る仕様を変更可能にする別構成部品が備えられている。実施の形態では、別構成部品として、減速ギヤボックス100と電動モータMとの間に付加され、減速ギヤボックス100のギヤ比の仕様を変更するギヤ比変更装置110が備えられている。このギヤ比変更装置110については、電気自動車EVの駆動システムKとして、後で詳述する。
【0035】
次に、実施の形態に係るサスペンション装置60について詳細に説明する。サスペンション装置60は、
図14乃至
図21に示すように、車輪Wが取付けられるナックル部材61と、車軸方向の軸線を中心に回動可能にシャシ2に取付けられナックル部材61の上側をボールジョイント機構62を介して支持するアッパーアーム70と、車軸方向の軸線を中心に回動可能にシャシ2に取付けられナックル部材61の下側をボールジョイント機構63を介して支持するロワーアーム64と、ロワーアーム64及びシャシ2間に設けられる上述のダンパDとを備えて構成されている。ナックル部材61には、ステアリングギヤボックス15から延びるタイロッド67が連携されている。
【0036】
アッパーアーム70のボールジョイント機構62は、ナックル部材61に連結されるボールスタッド65と、ボールスタッド65を揺動可能に包持するハウジング66とを備えて構成されている。また、アッパーアーム70は、ボールジョイント機構62のハウジング66を取付けるベース71と、ベース71からシャシ2側に延びる一対のアーム72と、各アーム72の先端部に形成された基板73と、シャシ2に回動可能に取り付けられ各基板73が夫々取り付けられる一対の基台74とを備えて構成されている。
【0037】
図14乃至
図17に示すように、ハウジング66はその上面がベース71の下面に摺接してベース71に対して車幅方向に移動可能に形成されている。ハウジング66及びベース71の何れか一方側には、移動方向に沿って係合部81が列設された係合体80が付帯させられ、ハウジング66及びベース71の何れか他方側には、係合体80の係合部81に係合してハウジング66を所要の移動位置に位置決めする被係合部83を有した被係合体82が付帯させられている。そして、ハウジング66の所要の移動位置で、被係合体82の被係合部83を係合体80の係合部81に係合させた状態で、ハウジング66をベース71に対して固定する固定手段84が設けられており、このハウジング66を所要の移動位置に位置決め固定することで、
図20に示すように、車輪Wのキャンバー角が調整可能になっている。
【0038】
詳しくは、固定手段84は、ハウジング66のボールスタッド65を挟む車軸方向両側に互いに所定間隔で離間した雌ネジ部85と、この雌ネジ部85に螺合する雄ネジ部86a及び雄ネジ部86aより大径の頭部86bを有したボルト86と、ベース71に形成され雌ネジ部85に対応し車幅方向に延びボルト86の雄ネジ部86aが挿通される貫通した長孔87とを備えて構成されている。これにより、ボルト86をベース71の上側から締め付けることにより、ハウジング66をベース71に固定できるようにしている。ハウジング66のアーム72に対する固定を確実にすることができる。また、雌ネジ部85及び長孔87の組は、ハウジング66のボールスタッド65を挟む車軸方向両側に夫々一対ずつ設けられている。ハウジング66のアーム72に対する固定をより一層確実にすることができる。
【0039】
また、係合体80は、一側に平ギヤの歯が形成されこの歯の谷部または山部を係合部81とした所定厚さの板状に形成されている。被係合体82は、一側に係合体80の歯に噛合する平ギヤの歯が形成されこの歯の谷部または山部を被係合部83とした所定厚さの板状に形成されている。実施の形態では、平ギヤの1つの山部(谷部)の噛合をずらすことにより、キャンバー角を0.5度調整可能にしている。係合体80は、ベース71の上面の少なくとも何れか1つの長孔87(実施の形態では車軸方向後側の一対の長孔87)の近傍に溶接等で固定して付帯させられている。被係合体83には係合体80が固定された長孔87に対応する一対のボルト86が挿通される一対の挿通孔88が形成されており、被係合体83は、ベース71の上面に配置されるとともに該当するボルト86の雄ネジ部86aを挿通孔88に挿通して対応する雌ネジ部85に螺合することにより、このボルト86を介してハウジング66に付帯させられ、ボルト86を締め付けたとき被係合体82の歯が係合体80の歯に噛合して位置決めできるようになっている。係合部81及び被係合部83を平ギヤの歯で構成するので、係合部81を連続形成し易く、構造も簡単にすることができるとともに、ギヤの噛合により位置決めを確実にすることができる。
【0040】
また、
図14及び
図15、
図18及び
図19に示すように、各アーム72は、これらの基板73の下面が対応する基台74の上面に対して摺接してこの基台74に対して車軸方向に移動可能に形成されている。そして、基板73及び基台74の何れか一方側に移動方向に沿って係合部91が列設された係合体90が付帯させられ、基板73及び基台74の何れか他方側に係合体90の係合部91に係合してアーム72を所要の移動位置に位置決めする被係合部93を有した被係合体92が付帯させられている。更に、アーム72の所要の移動位置で被係合体92の被係合部93を係合体90の係合部91に係合させた状態で、基板73を基台74に対して固定する固定手段94が設けられており、アーム72を所要の移動位置に位置決め固定することで、
図21に示すように、車輪Wのキャスター角を調整可能にしている。
【0041】
固定手段94は、基台74に設けられた雌ネジ部95と、この雌ネジ部95に螺合する雄ネジ部96a及び雄ネジ部96aより大径の頭部96bを有したボルト96と、基板73に形成され雌ネジ部95に対応し車軸方向に延びボルト96の雄ネジ部96aが挿通される貫通した長孔97とを備えて構成されている。これにより、ボルト96を基板73の上側から締め付けることにより基板73を基台74に固定できるようにしている。ボルト96により基板73の基台74に対する固定を確実にすることができる。また、雌ネジ部95及び長孔97の組は、各アーム72毎に夫々上下方向に所定間隔で一対設けられている。基板73の基台74に対する固定をより一層確実にすることができる。
【0042】
係合体90は、車軸方向後側の基板73で構成されており、この基板73の一方の長孔97の内壁面には、長孔97に挿通されるボルト96の雄ネジ部96aが挿通可能な凹部91aと挿通不能な凸部91bとが交互に形成されており、この凹部91aが係合部91として構成され、凹部91bが形成された長孔97に挿通されるボルト96が被係合体92として構成され、このボルト96の雄ネジ部96aが被係合部93として構成されている。実施の形態では、雄ネジ部96aの凹部91aに対する係合を1つずらすことにより、キャスター角を1度調整可能にしている。係合部91としての凹部91aを長孔97の内壁面に連続形成するので、構造を簡単にすることができるとともに、被係合部93としてボルト96の雄ネジ部96aで構成するので、この点でも構造を簡単にすることができる。ボルト96を取り外すことにより、基板73は車軸方向に移動可能になる。
【0043】
次にまた、実施の形態に係る電気自動車EVの駆動システムKについて詳細に説明する。この駆動システムKは、
図2,
図3,
図9,
図12,
図22乃至
図25に示すように、車輪Wに連係され所定の基本ギヤ比に設定された減速ギヤ機構101を有した減速ギヤボックス100と、減速ギヤボックス100に着脱可能に形成され装着時に出力要素102が減速ギヤ機構101の入力要素103に接続される電動モータMとを備えて構成されている。実施の形態においては、電動モータMは上述した直流仕様の電動モータMaである。減速ギヤ機構101には車輪Wに連携するデファレンシャルギヤ機構101aが連結されている。減速ギヤボックス100と電動モータMとの間には、着脱可能に形成されるとともに電動モータMの出力要素102及び減速ギヤ機構101の入力要素103に接続される一対の接続要素111を有し、装着時に全体ギヤ比を減速ギヤ機構101の基本ギヤ比とは異なるギヤ比に変更する変更ギヤ機構112を備えたギヤ比変更装置110が設けられている。
【0044】
このギヤ比変更装置110は、変更ギヤ機構112の一方の接続要素111を電動モータMの出力要素102に接続したとき変更ギヤ機構112の他方の接続要素111が減速ギヤ機構101の入力要素103に接続される第1接続X1(
図25(b))と、変更ギヤ機構112の一方の接続要素111を減速ギヤ機構101の入力要素103に接続したとき変更ギヤ機構112の他方の接続要素111が電動モータMの出力要素102に接続される第2接続X2(
図25(c))との2つの接続ができるように形成されている。即ち、ギヤ比変更装置110は謂わばリバーシブルに形成されている。実施の形態においては、
図25に示すように、第1接続X1を基本ギヤ比よりも小さいギヤ比に設定し、第2接続X2を基本ギヤ比よりも大きいギヤ比に設定することができるようにしている。そのため、減速ギヤボックス100に電動モータMを直接接続する接続を基本接続X0(
図25(a))とすると、この基本接続X0,第1接続X1及び第二接続X2の3つの異なる接続により、3つの異なるギヤ比を容易に実現できるようになる。このため、加速性能,最高速度性能,登坂性能や回生性能等の変更態様を豊富にすることができる。
【0045】
詳しくは、減速ギヤボックス100及び電動モータMには、これらの装着時に夫々互いに対面する取付面104a,105aを有した取付部104,105が備えられている。取付部104,105の外周部はフランジに形成されており、フランジには互いに対応する複数(実施の形態では等角度関係で4つ)の挿通孔106,107が形成され、この挿通孔106,107にボルト108を挿通し、ボルト108にナット109を締め付けることで、取付部104,105同士が連結される。ギヤ比変更装置110は、変更ギヤ機構112を収納し各取付面104a,105aに接合可能な接合面113を有したケース114を備えて構成されている。変更ギヤ機構112の一方の接続要素111は、ケース114の一方の接合面113側に位置させられ、他方の接続要素111は、ケース114の他方の接合面112側に位置させられ、ケース114は、減速ギヤボックス100及び電動モータMの取付部104,105間に挾持して装着可能に形成されている。
【0046】
図23に示すように、減速ギヤ機構101の入力要素103及び電動モータMの出力要素102は、夫々、接続時に同軸上に位置する軸線を有したスプライン軸120,121で構成されている。また、ギヤ比変更装置110の変更ギヤ機構112の接続要素111は、夫々、接続時にスプライン軸120,121と同軸上に位置するスプライン穴123,124で構成されている。そして、
図22に示すように、減速ギヤボックス100に対して電動モータMを直接装着する際、減速ギヤ機構101の入力要素103及び電動モータMの出力要素102を連結するスプライン穴125,126を有したカップリング127が備えられている。カップリング127を備えたので、減速ギヤボックス100及び電動モータMの直接の接続を容易に行うことができるようになる。
【0047】
また、ギヤ比変更装置110の変更ギヤ機構112の一対のスプライン穴123,124は内径及び歯数等を同じにする同じ仕様に形成されているとともに、電動モータMのスプライン軸121に噛合する仕様に形成されている。また、減速ギヤ機構101のスプライン軸120の外径及び歯数等の仕様と電動モータMのスプライン軸121の外径及び歯数等の仕様は異なって形成されている。そして、実施の形態では、何れか一方のスプライン軸(実施の形態では減速ギヤ機構101のスプライン軸120)に噛合するスプライン穴128と何れか他方のスプライン軸(実施の形態では電動モータMのスプライン軸121)と同じ仕様のスプライン軸129とを有したアダプタ130が備えられている。減速ギヤ機構101のスプライン軸120の仕様と電動モータMのスプライン軸121の仕様とが異なっても、アダプタ130により同様の仕様にすることができることから、ギヤ比変更装置110の第1接続X1及び第2接続X2を容易に行うことができるようになる。
【0048】
ギヤ比変更装置110の変更ギヤ機構112は、
図23及び
図25に示すように、ケース内に固定され内歯を有した外輪131と、軸心にスプライン穴124を有した太陽歯車132と、複数の遊星歯車133と、遊星歯車133を回転可能に支持し軸心にスプライン穴123を有した遊星キャリア134とを備えた遊星歯車機構で構成されている。スプライン穴123,124を同軸上に位置させることができるので、変更ギヤ機構112をリバーシブルに作成しやすくすることができる。
【0049】
また、実施の形態に係る電気自動車の教材システムは、
図26に示すように、実施の形態に係る電気自動車EVの駆動システムKを理解するための駆動システム説明装置140を備えている。この駆動システム説明装置140は、矩形枠状の基台141と、基台141上に支持され減速ギヤ機構101及びデファレンシャルギヤ機構101aを備えた減速ギヤボックス100と、減速ギヤボックス100に取付けられ減速ギヤ機構101に連携された模擬電動モータ142と、減速ギヤボックス100に連携された車軸143とを備えている。減速ギヤボックス100及び模擬電動モータ142は、これらの内部が分かるように一部切り欠かれている。また、減速ギヤボックス100には、減速ギヤ機構101及び模擬電動モータ142を駆動する電動の駆動モータ144が取付けられており、この駆動モータ144の駆動により、模擬電動モータ142の回転状態、減速ギヤ機構101の作動状態及びデファレンシャルギヤ機構101aの作動状態を視認できるようにしている。減速ギヤボックス100,模擬電動モータ142及び車軸143は、基台141上に設けられ枠体及びアクリル樹脂等の透明板で形成されたたカバー145に覆われている。
【0050】
更に、車軸143の両端にはプーリ146が設けられ、このプーリ146に車軸143に負荷を付与する錘147を吊下するワイヤ148が巻戻し可能に巻回されている。車軸143の回転によりワイヤ148が巻回,巻戻しされ、錘147は基台141内部において上下する。ワイヤ148の先端には錘147を着脱可能に保持する錘保持部149が設けられている。錘147は、所定の重量(例えば1Kg)の単位錘147が複数用意され、錘保持部149に適宜数を保持させて、その重量を可変にし、車軸に付与する負荷を可変にしている。
図26中、150は電源ボックス、151は基台141の底板に設けられ錘147が設置したことを検知する下死点センサ、152は駆動モータ144をオン,オフさせるとともに、オン時の切換えにより選択的に錘147を上昇方向に回転させあるいは下降方向に回転させる上下スイッチである。
【0051】
従って、本実施の形態に係る教材システムにおいて、この駆動システム説明装置140を作動させるときは、ワイヤ148の巻回状態で、錘147の数を適宜選択して錘保持部149に吊下し、例えば、左側に錘147を1Kg、右側に錘147を2Kg吊下し、上下スイッチ152をオンして、錘147が下死点センサ151に至るまで降下させる。下死点センサ151が錘147を検知すると停止する。次に、上下スイッチ152をオンして錘147がワイヤ148の巻取端に至るまで上昇させる。これにより、模擬電動モータ142の回転状態、減速ギヤ機構101の作動状態及びデファレンシャルギヤ機構101aの作動状態を視認できる。特に、デファレンシャルギヤ機構101aの両輪の錘147の違い(負荷の違い)による差動運動を知ることができる。また、教員にとってもこれらの動作原理を説明し易くなる。
【0052】
また、実施の形態に係る電気自動車の教材システムは、
図27に示すように、実施の形態に係る電気自動車EVに用いられるインホイールモータの原理を説明するためのインホイールモータ説明装置160を備えている。このインホイールモータ説明装置160は、主要部品を軸方向に沿って所定間隔で離間させて配置し、これらの関係が視認できるようにしたもので、基台161と、基台161の一対の支持フレーム162に架設固定されたシャフト163と、シャフト163の一端側に回転自在に設けられたタイヤホイール164と、シャフト163の他端側に回転自在に設けられ外側にブレーキディスク165を一体に備えたカバーディスク166と、タイヤホイール164及びカバーディスク166間に等角度関係で架設された複数(実施の形態では4本)の支持棒167と、タイヤホイール164側において支持棒167に固定されるとともにシャフト163を中心にタイヤホイール164とともに回転するリング状の回転子168と、回転子168及びカバーディスク166間に設けられシャフト164に固定された固定子169とを備えて構成されている。固定子169の外周には鉄心にコイルを巻回した電磁石170が列設されている一方、回転子168の内側には電磁石170によって回転子168を回転せしめるための永久磁石171が周方向に列設して付帯されている。ブレーキディスク165,カバーディスク166,回転子168及び固定子169は、基台161上に設けられ枠体及びアクリル樹脂等の透明板で形成されたカバー172に覆われている。
【0053】
従って、本実施の形態に係る教材システムにおいて、このインホイールモータ説明装置160を作動させるときは、手動でタイヤホイール164を回転させる。これにより、ブレーキディスク165を一体に備えたカバーディスク166と回転子168が回転させられ、固定子169によって回転子168が回転させられることにより回転子168を介してタイヤホイール164が回転させられることを知ることができる。また、教員にとってもこれらの動作原理を説明し易くなる。
【0054】
そして、本実施の形態に係る教材システムを用いて、電気自動車EVの分解,組立を行うときは、以下のようにする。組立てられた電気自動車EVにおいては、例えば、
図9に示すように、ダンパDとしては3種類(Da,Db,Dc)の中から何れかの種類のものが採用され、車輪Wとしては2種類(Wa,Wb)の中から何れかの種類のものが採用され、電動モータMとしては2種類(Ma,Mb)の中から何れかの種類のものが採用されている。また、電動モータMは減速ギヤボックス100に直接装着されており、減速が基本ギヤ比で行なわれる。尚、図示しないが、組立てられた電気自動車EVとしては、インホイールモータMcを含む駆動機構50を採用したものであっても良い。
【0055】
先ず、作業フロア上において、例えば、
図8に示すように、シャシマット30Sを付設するとともにその短手方向一方(図中下側)に関連器具マット32を敷設し、短手方向他方(図中上側)に作業マット34を敷設する。更に、作業マット34に隣接して、その長手方向に沿って、第1部品マット30A,第2部品マット30B及び第3部品マット30Cを順に並べて敷設する。この場合、部品マット30は、複数の分割部品マット30S,30A,30B,30Cに分割されているので、コンパクトになり、作業フロアに付設し易くなる。
【0056】
この状態で、
図1に示すように、シャシマット30S上に載置台35を介してシャシ2を載せる。シャシマット30Sに載置台35を介してシャシ2を載せて、その周囲に他の分割部品マット30A,30B,30Cを置くので、シャシ2の位置決めが容易になり、その後の分解,組立の作業がやり易く、作業効率を向上させることができる。そして、予め定められた分解手順に従って、分解を行う。先ず、ボディ1を外し、これは、部品マット30の外に載置し、それから、原則的に、分割部品マット30Cに示す各構成部品→分割部品マット30Bに示す各構成部品→分割部品30Aに示す各構成部品の順に分解していく。分解された構成部品は、部品マット30上の該当する平面部品像31の上に載置していく。
【0057】
この場合、構成部品の平面部品像31が可能な限り組立て順に隣接して並んでいるので、言い換えれば、分解順に隣接して並んでいるので、体系的に表示されており、そのため、分解した構成部品を置き易くすることができるとともに、各構成部品は作業フロアの部品マット30上に整然と載置されることから、分解の作業効率を向上させることができる。また、電気自動車EVの構造や仕組みを理解し易く、教員にとっても体系的に構造や仕組み等を教え易く、また進捗管理を容易に行うことができる。更に、分解,組立の要領を記載したマニュアルに、項番とともに構成部品に関する説明を記載しておけば、部品マット30上に載置した構成部品とマニュアルの記載との照合を行い易くなり、この点でも、電気自動車EVの構造や仕組みを理解し易く、教員にとっても体系的に構造や仕組み等をより一層教え易くすることができる。更にまた、部品マット30の各平面部品像31の近傍には、各平面部品像31に対応する構成部品の名称が表示されているので、構成部品の名前を即座に認知することができ、この点でも、分解,組立の作業効率をより一層向上させることができる。また、電気自動車EVの構造や仕組みを理解し易く、教員にとっても体系的に構造や仕組み等をより一層教え易くすることができる。また、分解作業においては、関連器具マット32を備えこの関連器具マット32に工具を含む関連器具を載置するので、工具等も整然と管理することができ、この点でも、作業効率を向上させることができる。
【0058】
次に、電気自動車EVの組立を行う。予め定められた組立手順に従って、構成部品を組立てていく。原則的に、分割部品30Aに示す各構成部品→分割部品マット30Bに示す各構成部品→分割部品マット30Cに示す各構成部品の順に組立てていく。この場合、組立てる構成部品が、部品マット30上の該当する平面部品像31の上に載置され、しかも、部品マット30への平面部品像31の表示が、可能な限り組立て順に隣接して並んでいるので、体系的に表示されており、そのため、各構成部品は作業フロアの部品マット30上に整然と載置されることから、構成部品を取り出しやすくなり、組立の作業効率を向上させることができる。また、電気自動車EVの構造や仕組みを理解し易く、教員にとっても体系的に構造や仕組み等を教え易くすることができる。更に、分解,組立の要領を記載したマニュアルに、項番とともに構成部品に関する説明を記載しておけば、部品マット30上に載置した構成部品とマニュアルの記載との照合を行い易くなり、この点でも、電気自動車EVの構造や仕組みを理解し易く、教員にとっても体系的に構造や仕組み等をより一層教え易く、かつ進捗管理することができる。更にまた、部品マット30の各平面部品像31の近傍には、各平面部品像31に対応する構成部品の名称が表示されているので、構成部品の名前を即座に認知することができ、この点でも、組立の作業効率をより一層向上させることができる。また、電気自動車EVの構造や仕組みを理解し易く、教員にとっても体系的に構造や仕組み等をより一層教え易くすることができる。また、組立作業においては、関連器具マット32を備えこの関連器具マット32に工具を含む関連器具を載置するので、工具等も整然と管理することができ、この点でも、作業効率を向上させることができる。
【0059】
また、部品マット30は、複数の分割部品マット30S,30A,30B,30Cに分割されているので、コンパクトになり、作業フロアに付設し易くなる。また、構成部品を一端片付けて、再び並べる場合等、構成部品を並べ易くすることができる。更にまた、部品マット30に表示された構成部品毎に、分解,組立のスケジュールを立てやすくなる。例えば、最初の分割マットに載置された部品について、午前中組立を行い、次の分割マットに記載された部品について午後に組立を行う等である。また、1日目に分解,組立を行い、その途中で中断し、翌日あるいは翌週など期間をまたいだ授業になる場合でも、構成部品が分割マットに整理されて並ぶので、再現性を保つことができる。
【0060】
電気自動車EVの組立を行った後は、実際にこの電気自動車EVを運転し、操作性,走行性能,機能性能等について体感することができる。そして、本教材システムにおいては、仕様変更を行って、操作性,走行性能,機能性能等について体感することができる。以下、(A)サスペンション装置60のダンパD、(B)車輪W、(C)電動モータM、(D)インホイールモータMc、(E)サスペンション装置60のアッパーアーム70、(F)減速ギヤボックス100の場合について、個別に説明する。
【0061】
(A)ダンパD
図9及び
図10に示すように、現在使用中のものとは別の種類のダンパDを選択し、これと交換する。例えば、現在使用中のダンパDが、コイルスプリング42の強さが「中(普通)」のダンパDbの場合には、「強(硬い)」のダンパDa若しくは「弱(やわらかい)」のダンパDcと交換する。この場合、各種のダンパDa,Db,Dcにおいて、取付部41は同様に形成されているので、容易に交換を行うことができる。そして、再び、実際にこの電気自動車EVを運転し、操作性,走行性能,機能性能等について体感することができる。ダンパDのコイルスプリング42の強さの違いにより、主には、操舵性能の違いを体感することができる。
【0062】
(B)車輪W
図9及び
図11に示すように、現在使用中のものとは別の種類の車輪Wを選択し、これと交換する。例えば、現在使用中の車輪Wが「大」の車輪Waであれば、「小」の車輪Wbに交換する。この場合、各種の車輪Wa,Wbにおいて、取付部46は同様に形成されているので、容易に交換を行うことができる。そして、再び、実際にこの電気自動車EVを運転し、操作性,走行性能,機能性能等について体感することができる。車輪Wの直径の仕様の違いにより、スピードとトルクが相反する関係であることを体感することができる。即ち、大きい直径の車輪Waでは、スピードが上がるがトルクは落ちる一方、小さい直径の車輪Wbでは、スピードは落ちるがトルクは増大する。これにより、走行性や操作性に与える影響などを知ることができ、学習効果を増大させることができる。
【0063】
(C)電動モータM
図9及び
図12に示すように、現在使用中のものとは別の種類の電動モータMを選択し、これと交換する。例えば、現在使用中の電動モータが直流仕様の電動モータMaであれば、交流仕様の電動モータMbに交換する。そして、再び、実際にこの電気自動車EVを運転し、操作性,走行性能,機能性能等について体感することができる。電動モータMの使用電流の仕様の違いにより、加速性能の違い等、回生エネルギーの回収やモーターコントローラーのプログラムの書き換えによるモータ特性の違い等が体感できる。
【0064】
(D)インホイールモータ
図9及び
図13に示すように、現在使用中の電動モータM及び減速ギヤボックス100に車軸を連結した組立体とスイングアーム4に変えて、インホイールモータMcの駆動機構50に交換する。これにより、電気自動車EVの構造や仕組みを理解することができる。それから、再び、実際にこの電気自動車EVを運転し、操作性,走行性能,機能性能等について体感する。この場合、インホイールモータMcの機能性についての理解を深め、また、走行性や操作性に与える影響などを知ることができ、学習効果を増大させることができる。
【0065】
(E)サスペンション装置60のアッパーアーム70
図20及び
図21に示すように、アッパーアーム70の調整により、車輪Wのキャンバー角及び/またはキャスター角の仕様を変更することができる。キャンバー角及び/またはキャスター角の仕様の変更により、サスペンション装置60の機能性についての理解を深め、また、実際にこの電気自動車EVを運転し、走行性や操作性に与える影響などを知ることができ、学習効果を増大させることができる。
【0066】
このアッパーアーム70の調整について、詳述する。先ず、キャンバー角を調整するときは、
図16,
図17及び
図20に示すように、ボルト86を緩める。これにより、ボルト86を緩めた分だけ被係合体82が浮き上がることができるので、係合体80から被係合体82の係合が解除される。それから、アッパーアーム70のベース71に対してボールジョイント機構62のハウジング66を摺接させ、垂直軸とボールジョイント機構63の軸線とのなす角度(キャンバー角)を適宜に変えるとともに、係合体80の係合部81に被係合体82の被係合部83を係合させハウジング66を所要の移動位置に位置決めし、再び、ボルト86を締め付けて固定する。この場合、平ギヤ同士の噛合を解除してハウジング66を移動させることができ、それだけ、操作性が良く作業性が向上させられる。また、係合部81及び被係合部83は平ギヤの歯で構成されているので、ギヤの噛合により位置決めを確実にすることができる。更に、歯のピッチ分ずつ離散的に移動を行わせることができるので、調整を確実に行うことができる。実施の形態では、平ギヤの1つの山部(谷部)の噛合をずらすことにより、キャンバー角を0.5度調整可能にしている。詳しくは、係合体80の係合部81は、ハウジング66の移動方向に沿って列設されているので、被係合部83の係合を断続的に行わせることができ、即ち、アライメント変化を離散的に行わせることができ、そのため、調整を容易に行うことができる。また、ハウジング66はベース71に対して車幅方向に摺接するので、比較的調整幅を大きくすることができ、それだけ、汎用性を向上させることができる。この結果、作業者の技量やアライメント計測器に頼らずに、作業初心者でも狙ったアライメント角度を再現することができるようになる。
【0067】
次に、キャスター角を調整するときは、
図18,
図19及び
図21に示すように、先ず、ボルト96を取り外す。それから、アッパーアーム70の基板73を基台74に対して摺接させ、垂直軸とボールジョイント機構63の軸線とのなす角度(キャスター角)を適宜に変えるとともに、係合体90(73)の係合部91(91a)に被係合体92(96)の被係合部93(96a)を係合させ基板73を所要の移動位置に位置決めし、即ち、ボルト96をねじ込んでその雄ネジ部96aを長孔97の凹部91aに係合させ、再び、基板73を基台74に固定する。この場合、凹部91aとボルト96の雌ネジ部96aとの係合により位置決めを確実にすることができる。また、凹部91aのピッチ分ずつ離散的に移動を行わせることができるので、調整を確実に行うことができる。実施の形態では、雄ネジ部96aの凹部91aに対する係合を1つずらすことにより、キャスター角を1度調整可能にしている。即ち、係合体90(73)の係合部91(91a)は、基板73の移動方向に沿って列設されているので、被係合体92(96)の被係合部93(96a)の係合を断続的に行わせることができ、即ち、アライメント変化を離散的に行わせることができ、そのため、調整を容易に行うことができる。また、基板73は基台74に対して車軸方向に摺接するので、比較的調整幅を大きくすることができ、それだけ、汎用性を向上させることができる。この結果、作業者の技量やアライメント計測器に頼らずに、作業初心者でも狙ったアライメント角度を再現することができるようになる。
【0068】
(F)減速ギヤボックス100
図24及び
図25(a)に示すように、実施の形態では、電動モータMとして、直流仕様の電動モータMaが減速ギヤボックス100に直接装着されている場合に適用される。この状態では、減速が基本ギヤ比で行なわれているが、減速ギヤボックス100のギヤ比の仕様を変更するギヤ比変更装置110が備えられているので、減速ギヤ比を変更したい場合には、電動モータMを減速ギヤボックス100から取り外し、ギヤ比変更装置110を減速ギヤボックス100と電動モータMとの間に装着する。この場合、減速ギヤボックス100を逐一取り外さなくても、電動モータMを取り外してギヤ比変更装置110を組み込むだけで、全体のギヤ比を変更できるので、大型化することがなく、また、取付け作業も容易に行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【0069】
より詳しく説明すると、電動モータMの減速を基本ギヤ比で行う場合には、
図24(a)及び
図25(a)に示すように、減速ギヤボックス100に直接電動モータMを装着する。この場合、減速ギヤ機構101の入力要素103及び電動モータMの出力要素102をカップリング127で連結するとともに、減速ギヤボックス100及び電動モータMの取付部105の取付面104a,105a同士を接合し、ボルト挿通孔106,107にボルト108を挿通してナット109を螺合して締め付ける。
【0070】
一方、ギヤ比変更装置110を減速ギヤボックス100と電動モータMとの間に装着し、第1接続X1にする場合には、
図24(b)及び
図25(b)に示すように、一方のスプライン軸120にアダプタ128を装着して他方のスプライン軸121と同じ仕様のスプライン軸129にし、これらのスプライン軸121,129をギヤ比変更装置110のスプライン穴123,124に噛合して連結するとともに、ギヤ比変更装置110のケースを減速ギヤボックス100及び電動モータMの取付部104,105間に挾持して装着し、ボルト挿通孔106,107に長いボルト108を挿通してナット109を螺合して締め付ける。これにより、ギヤ比変更装置110を減速ギヤボックス100及び電動モータMの取付部104,105間に挾持して装着するので、装着が容易になる。また、減速ギヤボックス100及び電動モータMの取付部104,105にある既存のボルト挿通孔106,107を利用して、ボルト108及びナット109によりギヤ比変更装置110を挾持できるので、構造が簡単で取付けも容易に行うことができる。
【0071】
また、第2接続X2にする場合には、
図24(b),
図25(c)に示すように、ギヤ比変更装置110を反転させ、上記第1接続X1の場合と同様に、ギヤ比変更装置110を減速ギヤボックス100及び電動モータMの取付部104,105間に挾持して装着する。
【0072】
このように、本教材システムにおいては、ギヤ比変更装置110は、謂わばリバーシブルに形成されており、例えば、第1接続X1により基本ギヤ比よりも小さいギヤ比に設定し、第2接続X2により基本ギヤ比よりも大きいギヤ比に設定することができる。即ち、
図25に示すように、3つの異なるギヤ比を容易に実現できるようになる。このため、夫々のギヤ比設定により、実際にこの電気自動車EVを運転すると、走行性や操作性に与える影響などを知ることができる。即ち、ギヤ比を大きくすると加速性能が向上するものの最高速度が小さくなり、逆にギヤ比を小さくすると加速性能は低下するものの最高速度は向上する。このため、加速性能,最高速度性能,登坂性能や回生性能等の変更態様を豊富にすることができ、これらを体感できるようになることから、学習効果を増大させることができる。
【0073】
尚、上記実施の形態において、仕様の異なる異仕様構成部品として、コイルスプリング42の強さの異なるダンパD(Da,Db,Dc)、直径の異なる車輪W(Wa,Wb)、使用電流の異なる電動モータM(Ma,Mb)を備え、所定の構成部品群と交換されて仕様変更可能な交換構成部品として、インホイールモータMcを含む駆動機構50を備え、サスペンション装置60のアッパーアーム70により、車輪Wのキャンバー角及び/またはキャスター角の仕様を変更可能にし、付加されて該当する構成部品に係る仕様を変更可能にする別構成部品として、減速ギヤボックス100のギヤ比の仕様を変更するギヤ比変更装置110を備えたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、これら以外の異仕様構成部品,交換構成部品,仕様変更可能な構成部品,別構成部品を備えるようにしても良く、適宜変更して差支えない。