(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0035】
「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限はない。
【0036】
図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0037】
「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものである。
【0038】
(実施の形態1)
ウェアラブルデバイスは、使用者の体型に合わせて変形する機能を有することによって、より違和感なく装着することが可能となる。そのため、ウェアラブルデバイス用途として、変形可能なディスプレイ(フレキシブルディスプレイ)が提案されている。モバイル機器であるウェアラブルデバイスの用途を鑑みると、ディスプレイだけでなく、その他部品や電池も変形可能である必要がある。
【0039】
高容量、且つ、小型化が図れるリチウムイオン二次電池は、ウェアラブルデバイス用の二次電池としても本命視されている。リチウムイオン二次電池は、電解質として用いられるリチウム塩、たとえばLiPF
6が水分により加水分解反応を起こしフッ酸が発生してしまうため、外装材として用いられている多層フィルムは、電池内に水分が浸入することを防ぐ機能を有している。そして、当該機能を担う層として、金属層が設けられていることが多い。
【0040】
変形可能な二次電池においては、変形を繰り返すことでこの金属層に、折り目がついてしまうことがある。この折り目は、元の形状に戻しても消えることはなく、以降の変形の際には、その折り目から折れ曲がるようになる。このため、折り目の部分に負荷が集中し、その部分から破断してしまうことがあった。
【0041】
そこで、本発明の一態様では、二次電池用の外装材として用いることができる多層フィルムを提供する。当該多層フィルムは、少なくとも金属層と樹脂層とが積層されており、樹脂層を構成する樹脂はデュロメータ硬度がA90以下、好ましくはA60以下であるものが好ましい。また、一方向に引き伸ばした際に150%引き伸ばしても破断しない材料、好ましくは200%引き伸ばしても破断しない材料であるとよい。さらに、その厚さは100μm以上5mm以下、好ましくは500μm以上3mm以下である構成を有することがより好ましい。なお、金属層と樹脂層とは接して積層されていても、間に他の層が介在して積層されていても良い。また、さらに他の層が積層されていても良い。このような材料としては、例えば、シリコーン樹脂が好適である。
【0042】
なお、多層フィルムは、一例としては、全体にわたって、厚さは、100μm以上5mm以下、好ましくは500μm以上3mm以下であることが望ましい。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、多層フィルムは、少なくとも一部において、厚さが、100μm以上5mm以下、好ましくは500μm以上3mm以下である領域を有していてもよい。または、多層フィルムは、望ましくは、多層フィルムの50%以上の領域において、より望ましくは、多層フィルムの90%以上の領域において、厚さが、100μm以上5mm以下、好ましくは500μm以上3mm以下である領域を有していてもよい。
【0043】
上記樹脂層は、1層のみ設けられていても、2層以上設けられていても良い。複数層設ける場合は、金属層を挟むように上記複数の樹脂層を形成するとより折り目が付きにくく、好ましい構成である。
【0044】
このような構成を有する多層フィルムは、変形を繰り返しても金属層に折り目が付きにくく、折り曲げを繰り返すことによる負荷の集中を抑制できる。そのため、変形可能な二次電池の外装材として用いることで、信頼性の高い二次電池を提供することができる。
【0045】
金属層としては、アルミニウム、ステンレス、ニッケル鋼などの金属薄膜を用いることができ、特にアルミニウムが扱いやすく好適である。さらに展延性に優れ、ピンホールも開きにくいことから0.5乃至2.0(wt%)の鉄を含むアルミニウムを用いることが好ましい。また、アルミニウム膜は電解液やフッ酸への耐性(腐食への耐性)を高めるため、脱脂処理を行うことが好ましい。脱脂処理の他に、熱水変性処理、陽極酸化処理、化成処理、コーティング処理を行うことでも腐食への耐性を高めることができる。これら処理を行うことによって、金属層に接して耐腐食層が形成されることもある。また、耐腐食性の高い材料からなる層を接着剤を用いて金属層に張り合わせても良い。また、金属層はエンボス加工等を施すことによって、凹凸が形成されたものであっても良い。
【0046】
上記多層フィルムを二次電池の外装材として用いる場合、二次電池のセルと接する内側となる面(一方の表面)には、ヒートシールによる封止を行うためのヒートシール層が設けられていることが好ましい。ヒートシール層を構成する材料には、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂などを用いることができる。
【0047】
これらの層の他に、耐熱性向上やピンホールの発生を抑制するための基材層が設けられていても良い。基材層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレンから成るフィルムを用いることが好ましい。なかでも延伸ポリアミドフィルム、延伸ポリエステルフィルムから成る層であることが好ましい。
【0048】
上述の層は、接着材層を介して互いに接着されていても良い。接着剤層は、熱可塑性フィルム材料、熱硬化型接着剤、または嫌気型接着剤、紫外線硬化型接着剤など光硬化型の接着剤、反応硬化型接着剤を用いることができる。これらの接着剤の材質としてはエポキシ樹脂やアクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂などを用いることができる。張り合わせ方法としては、ドライラミネートや押出しラミネート、ホットメルトラミネートなど様々な方法を用いることができる。好ましい具体例としては、ポリウレタン系の2液硬化型接着剤等を用い、ドライラミネートを用いれば良い。
【0049】
図1乃至
図5に本発明の一態様である多層フィルム10の模式図を示した。
【0050】
図1(A)は金属層212に樹脂層211が積層された構成を有する多層フィルム10の構成を表している。樹脂層211は塗布法により形成することができる。所望の厚さに形成する場合には塗布する樹脂の粘度を調整したり、繰り返し塗布したりすればよい。又は、樹脂層211に金属層212を蒸着法やスパッタリング法等により成膜することによっても製造することが可能である。
【0051】
図1(B)は金属層212と樹脂層211とを接着材層213で接着した多層フィルム10の構成を示している。接着材層213を用いることで、各種ラミネート法により多層フィルム10を製造することができる。
【0052】
図1(C)は金属層212の両面に接して樹脂層211及び第2の樹脂層216を設けた構成である。これにより、さらに折り曲げに強い多層フィルム10を得ることができる。
図1(D)は樹脂層211及び第2の樹脂層216を接着材層213、219を用いて金属層212に接着した構成である。本構成を有する多層フィルム10はラミネート法を用いて簡便に製造することができる。
【0053】
図2(A)は、
図1(A)の構成を有する多層フィルム10にヒートシール層215を接着剤層214を用いて積層した多層フィルム10の構成を示している。また、
図2(B)は、
図1(C)の構成を有する多層フィルムにヒートシール層215を接着剤層214を用いて積層した多層フィルム10の構成を示している。ヒートシール層215を形成することで、熱圧着により袋状の外装体を容易に製造することができ、二次電池の外装材として好適に用いることができる。
【0054】
図2(C)は
図2(A)の構成を有する多層フィルム10の、金属層212と樹脂層211との間に基材層217を設けた構成である。また、
図3(A)は
図2(B)の構成を有する多層フィルム10の、金属層212と樹脂層211との間に基材層217を設けた構成である。基材層217は金属層212上に接着材層218を用いて積層すればよい。
図3(B)は
図2(A)の構成を有する多層フィルム10の樹脂層211上に基材層217を設けた構成である。
図3(C)は
図2(B)の構成を有する多層フィルム10の樹脂層211上に基材層217を設けた構成である。基材層217は樹脂層211上に接着材層218を用いて積層すればよい。
【0055】
図4及び
図5は、
図2及び
図3に示した多層フィルム10の樹脂層211及び第2の樹脂層216を接着層aを用いて積層した構成の例である。
図4(A)乃至(C)は
図2(A)乃至(C)に、
図5(A)乃至(C)は
図3(A)乃至(C)にそれぞれ対応する。
【0056】
このように、本発明の一態様の多層フィルムの構成は様々であり、図示した以外にも様々な積層構造をとることができる。金属層と、上記要件を満たす樹脂層との積層構造を有することによって、折り曲げによる金属層への折り目の発生を抑制することができる。
【0057】
なお、これら多層フィルム10を構成する要素の詳しい構成及び材料については上述の説明の通りである。
【0058】
また、接着剤層214、218、219、aに関しては、形成せずともよい場合は形成しなくとも良い。
【0059】
本実施の形態では、上述の多層フィルムを用いてリチウムイオン二次電池を作製する例を示す。
【0060】
まず、
図2乃至
図5で図示したような、ヒートシール層215が設けられた多層フィルムをカットして
図6に示すフィルム10を用意する。
【0061】
次いで、フィルム10を点線で示した部分で折り、
図7(A)に示す状態とする。
【0062】
また、
図7(B)に示すように二次電池を構成する正極集電体12、正極活物質、セパレータ13、負極活物質、負極集電体14を積層したものを用意する。また、正極集電体12や負極集電体14などの集電体としては、金、白金、亜鉛、鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属、及びステンレスに代表されるこれらの合金など、導電性が高く、リチウム等のキャリアイオンと合金化しない材料、かつ充放電時の電位において溶解しない材料を用いることができる。また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。また、集電体は、箔状、板状(シート状)、網状、円柱状、コイル状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等の形状を適宜用いることができる。集電体は、厚みが10μm以上30μm以下のものを用いるとよい。なお、ここでは説明を簡略にするため、正極集電体12、セパレータ13、負極集電体14の積層の組み合わせを1つにして外装体に収納する例を示したが、二次電池の容量を大きくするために組み合わせを複数重ねて外装体に収納してもよい。
【0063】
そして
図7(C)に示す封止層15を有するリード電極16を正極用と負極用の2つ用意する。リード電極16はリード端子とも呼ばれ、二次電池の正極または負極を外装フィルムの外側へ引き出すために設けられる。
【0064】
そして、一つのリード電極と、正極集電体12の突出部を超音波溶接などにより、電気的に接続する。そしてもう一つのリード電極と、負極集電体14の突出部を超音波溶接などにより、電気的に接続する。
【0065】
そして、電解液を入れるための一辺を残すため、フィルム10の2辺に対して熱圧着を行って封止する。熱圧着の際、リード電極に設けられた封止層15も溶けてリード電極とフィルム10との間を固定される。そして、減圧雰囲気下、或いは不活性雰囲気下で所望の量の電解液をフィルム10が袋状となった内側に滴下する。そして、最後に、熱圧着をせずに残していたフィルムの周縁に対して熱圧着を行って封止する。
【0066】
こうして
図7(D)に示す二次電池40を作製することができる。
【0067】
また、
図7(D)中の鎖線A−Bで切断した断面の一例を
図7(E)に示す。
【0068】
なお、
図7(E)に示すように、正極集電体12、正極活物質層18、セパレータ13、負極活物質層19、負極集電体14の順で積層されたものが、折り曲げたフィルム10に挟まれ、さらに端部において接着層30で封止されており、その他の空間には電解液20を有している。
【0069】
正極活物質層18に用いる正極活物質としては、オリビン型の結晶構造、層状岩塩型の結晶構造、またはスピネル型の結晶構造を有する複合酸化物等がある。正極活物質として、例えばLiFeO
2、LiCoO
2、LiNiO
2、LiMn
2O
4、V
2O
5、Cr
2O
5、MnO
2等の化合物を用いる。
【0070】
または、複合材料(一般式LiMPO
4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上))を用いることができる。一般式LiMPO
4の代表例としては、LiFePO
4、LiNiPO
4、LiCoPO
4、LiMnPO
4、LiFe
aNi
bPO
4、LiFe
aCo
bPO
4、LiFe
aMn
bPO
4、LiNi
aCo
bPO
4、LiNi
aMn
bPO
4(a+bは1以下、0<a<1、0<b<1)、LiFe
cNi
dCo
ePO
4、LiFe
cNi
dMn
ePO
4、LiNi
cCo
dMn
ePO
4(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)、LiFe
fNi
gCo
hMn
iPO
4(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g<1、0<h<1、0<i<1)等のリチウム化合物を材料として用いることができる。
【0071】
または、一般式Li
(2−j)MSiO
4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上、0≦j≦2)等の複合材料を用いることができる。一般式Li
(2−j)MSiO
4の代表例としては、Li
(2−j)FeSiO
4、Li
(2−j)NiSiO
4、Li
(2−j)CoSiO
4、Li
(2−j)MnSiO
4、Li
(2−j)Fe
kNi
lSiO
4、Li
(2−j)Fe
kCo
lSiO
4、Li
(2−j)Fe
kMn
lSiO
4、Li
(2−j)Ni
kCo
lSiO
4、Li
(2−j)Ni
kMn
lSiO
4(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、Li
(2−j)Fe
mNi
nCo
qSiO
4、Li
(2−j)Fe
mNi
nMn
qSiO
4、Li
(2−j)Ni
mCo
nMn
qSiO
4(m+n+qは1以下、0<m<1、0<n<1、0<q<1)、Li
(2−j)Fe
rNi
sCo
tMn
uSiO
4(r+s+t+uは1以下、0<r<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等のリチウム化合物を材料として用いることができる。
【0072】
また、正極活物質として、A
xM
2(XO
4)
3(A=Li、Na、Mg、M=Fe、Mn、Ti、V、Nb、Al、X=S、P、Mo、W、As、Si)の一般式で表されるナシコン型化合物を用いることができる。ナシコン型化合物としては、Fe
2(MnO
4)
3、Fe
2(SO
4)
3、Li
3Fe
2(PO
4)
3等がある。また、正極活物質として、Li
2MPO
4F、Li
2MP
2O
7、Li
5MO
4(M=Fe、Mn)の一般式で表される化合物、NaFeF
3、FeF
3等のペロブスカイト型フッ化物、TiS
2、MoS
2等の金属カルコゲナイド(硫化物、セレン化物、テルル化物)、LiMVO
4等の逆スピネル型の結晶構造を有する酸化物、バナジウム酸化物系(V
2O
5、V
6O
13、LiV
3O
8等)、マンガン酸化物、有機硫黄等の材料を用いることができる。
【0073】
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンの場合、正極活物質として、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、またはマグネシウム等)、を用いてもよい。
【0074】
セパレータ13としては、セルロース(紙)、または空孔が設けられたポリプロピレン、ポリエチレン等の絶縁体を用いることができる。
【0075】
電解液は、電解質として、キャリアイオンを有する材料を用いる。電解質の代表例としては、LiPF
6、LiClO
4、LiAsF
6、LiBF
4、LiCF
3SO
3、Li(CF
3SO
2)
2N、Li(C
2F
5SO
2)
2N等のリチウム塩がある。これらの電解質は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
【0076】
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンの場合、電解質として、上記リチウム塩において、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、またはマグネシウム等)、を用いてもよい。
【0077】
また、電解液の溶媒としては、キャリアイオンが移動可能な材料を用いる。電解液の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性有機溶媒の代表例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等があり、これらの一つまたは複数を用いることができる。また、電解液の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性等に対する安全性が高まる。また、蓄電池の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高分子材料の代表例としては、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、フッ素系ポリマー等がある。また、電解液の溶媒として、難燃性及び難揮発性であるイオン液体(常温溶融塩)を一つまたは複数用いることで、蓄電池の内部短絡や、過充電等によって内部温度が上昇しても、蓄電池の破裂や発火などを防ぐことができる。なお、イオン液体は、流動状態にある塩であり、イオン移動度(伝導度)が高い。また、イオン液体は、カチオンとアニオンとを含む。イオン液体としては、エチルメチルイミダゾリウム(EMI)カチオンを含むイオン液体、またはN−メチル−N−プロピルピペリジニウム(PP
13)カチオンを含むイオン液体などがある。
【0078】
また、電解液の代わりに、硫化物系や酸化物系等の無機物材料を有する固体電解質や、PEO(ポリエチレンオキシド)系等の高分子材料を有する固体電解質を用いることができる。固体電解質を用いる場合には、セパレータやスペーサの設置を不要とすることも可能となる。また、電池全体を固体化できるため、漏液のおそれが低下し安全性が飛躍的に向上する。
【0079】
また、負極活物質層19の負極活物質としては、リチウムの溶解・析出、又はリチウムイオンの挿入・脱離が可能な材料を用いることができ、リチウム金属、炭素系材料、合金系材料等を用いることができる。
【0080】
リチウム金属は、酸化還元電位が低く(標準水素電極に対して−3.045V)、重量及び体積当たりの比容量が大きい(それぞれ3860mAh/g、2062mAh/cm
3)ため、好ましい。
【0081】
炭素系材料としては、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等がある。
【0082】
黒鉛としては、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス系人造黒鉛、ピッチ系人造黒鉛等の人造黒鉛や、球状化天然黒鉛等の天然黒鉛がある。
【0083】
黒鉛はリチウムイオンが黒鉛に挿入されたとき(リチウム−黒鉛層間化合物の生成時)にリチウム金属と同程度に卑な電位を示す(0.1乃至0.3V vs.Li/Li
+)。これにより、リチウムイオン二次電池は高い作動電圧を示すことができる。さらに、黒鉛は、単位体積当たりの容量が比較的高い、体積膨張が小さい、安価である、リチウム金属に比べて安全性が高い等の利点を有するため、好ましい。
【0084】
負極活物質として、リチウムとの合金化・脱合金化反応により充放電反応を行うことが可能な合金系材料または酸化物も用いることができる。キャリアイオンがリチウムイオンである場合例えば、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Ag、Au、Zn、Cd、In、Ga等のうち少なくとも一つを含む材料がある。このような元素は炭素に対して容量が大きく、特にシリコンは理論容量が4200mAh/gと飛躍的に高い。このため、負極活物質にシリコンを用いることが好ましい。このような元素を用いた合金系材料としては、例えば、Mg
2Si、Mg
2Ge、SnO、SnO
2、Mg
2Sn、SnS
2、V
2Sn
3、FeSn
2、CoSn
2、Ni
3Sn
2、Cu
6Sn
5、Ag
3Sn、Ag
3Sb、Ni
2MnSb、CeSb
3、LaSn
3、La
3Co
2Sn
7、CoSb
3、InSb、SbSn等がある。
【0085】
また、負極活物質として、SiO、二酸化チタン(TiO
2)、リチウムチタン酸化物(Li
4Ti
5O
12)、リチウム−黒鉛層間化合物、(Li
xC
6)、五酸化ニオブ(Nb
2O
5)、酸化タングステン(WO
2)、酸化モリブデン(MoO
2)等の酸化物を用いることができる。
【0086】
また、負極活物質として、リチウムと遷移金属の複窒化物である、Li
3N型構造をもつLi
3−xM
xN(M=Co、Ni、Cu)を用いることができる。例えば、Li
2.6Co
0.4N
3は大きな充放電容量(900mAh/g、1890mAh/cm
3)を示し好ましい。
【0087】
リチウムと遷移金属の複窒化物を用いると、負極活物質中にリチウムイオンを含むため、正極活物質としてリチウムイオンを含まないV
2O
5、Cr
3O
8等の材料と組み合わせることができ好ましい。なお、正極活物質にリチウムイオンを含む材料を用いる場合でも、あらかじめ正極活物質に含まれるリチウムイオンを脱離させておくことで負極活物質としてリチウムと遷移金属の複窒化物を用いることができる。
【0088】
また、コンバージョン反応が生じる材料を負極活物質として用いることもできる。例えば、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化鉄(FeO)等の、リチウムと合金化反応を行わない遷移金属酸化物を負極活物質に用いてもよい。コンバージョン反応が生じる材料としては、さらに、Fe
2O
3、CuO、Cu
2O、RuO
2、Cr
2O
3等の酸化物、CoS
0.89、NiS、CuS等の硫化物、Zn
3N
2、Cu
3N、Ge
3N
4等の窒化物、NiP
2、FeP
2、CoP
3等のリン化物、FeF
3、BiF
3等のフッ化物でも起こる。なお、上記フッ化物の電位は高いため、正極活物質として用いてもよい。
【0089】
また、負極活物質層19には、上述した負極活物質の他、活物質の密着性を高めるための結着剤(バインダ)、負極活物質層19の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。
【0090】
二次電池の構成は、例えば、セパレータ13の厚さは約25μm、正極集電体12は約20μm以上約40μm以下、正極活物質層18は約100μm、負極活物質層19は約100μm、負極集電体14は約20μm以上約40μm以下である。フィルム10の厚さは、0.6mmである。なお、
図7(E)では接着層30が部分的にしか図示していないが、フィルムにはポリプロピレンからなる層がフィルム10表面に設けられ、熱圧着した部分のみが接着層30となる。
【0091】
また、
図7(E)では、フィルム10の下側を固定して圧着している例を示している。この場合には上側が大きく曲げられ、段差が形成されるため、折り曲げたフィルム10の間に上記積層の組み合わせを複数、例えば8つ以上設ける場合には、その段差が大きくなり、上側のフィルム10に応力がかかりすぎる恐れがある。また、そのため、上側のフィルムの端面と、下側のフィルムの端面の位置ずれが大きくなる恐れもある。その場合、端面に位置ずれがないように、下側のフィルムにも段差を設け、応力が均等化するように中央で圧着する構成としてもよい。
【0092】
ここで
図7(F)を用いて二次電池の充電時の電流の流れを説明する。リチウムを用いた二次電池を一つの閉回路とみなした時、リチウムイオンの動きと電流の流れは同じ向きになる。なお、リチウムを用いた二次電池では、充電と放電でアノード(陽極)とカソード(陰極)が入れ替わり、酸化反応と還元反応とが入れ替わることになるため、反応電位が高い電極を正極と呼び、反応電位が低い電極を負極と呼ぶ。したがって、本明細書においては、充電中であっても、放電中であっても、逆パルス電流を流す場合であっても、充電電流を流す場合であっても、正極は「正極」または「+極(プラス極)」と呼び、負極は「負極」または「−極(マイナス極)」と呼ぶこととする。酸化反応や還元反応に関連したアノード(陽極)やカソード(陰極)という用語を用いると、充電時と放電時とでは、逆になってしまい、混乱を招く可能性がある。したがって、アノード(陽極)やカソード(陰極)という用語は、本明細書においては用いないこととする。仮にアノード(陽極)やカソード(陰極)という用語を用いる場合には、充電時か放電時かを明記し、正極(プラス極)と負極(マイナス極)のどちらに対応するものかも併記することとする。
【0093】
図7(F)に示す2つの端子には充電器が接続され、二次電池40が充電される。二次電池40の充電が進めば、電極間の電位差は大きくなる。
図7(F)では、二次電池40の外部の端子から、正極集電体12の方へ流れ、二次電池40の中において、正極集電体12から負極集電体14の方へ流れ、負極から二次電池40の外部の端子の方へ流れる電流の向きを正の向きとしている。つまり、充電電流の流れる向きを電流の向きとしている。
【0094】
本実施の形態では、携帯情報端末などに用いる小型の電池の例を示したが、特に限定されず、車両などに搭載する大型の電池にも適用することができる。
【0095】
なお、本実施の形態では、リチウムイオン二次電池に適用した場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。様々な二次電池、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、固体電池、空気電池、などに適用することも可能である。または、様々な蓄電装置に適用することが可能であり、例えば、一次電池、コンデンサ、リチウムイオンキャパシタなどに適用することも可能である。さらに、太陽電池、光センサ、タッチセンサ、表示装置、FPC(フレキシブルプリント基板)、光学フィルム(偏光板、位相差板、プリズムシート、光反射シート、光拡散シートなど)などに適用することも可能である。
【0096】
(実施の形態2)
本実施の形態では、折り曲げたフィルム10の間に実施の形態1とは一部異なる積層の組み合わせを複数収納する例を示す。
【0097】
図8(A)に正極集電体12、
図8(B)に負極集電体14、
図8(C)にセパレータ13、
図8(D)にリード電極16、
図8(E)にフィルム10のぞれぞれの上面図を示す。
【0098】
図8においてそれぞれの寸法が概略等しく、
図8(E)中の鎖線で囲んだ領域21は、
図8(C)のセパレータの寸法とほぼ同一である。また、
図8(E)中の点線と端面との間の領域は、熱圧着領域17となる。
【0099】
図9(A)には、2つの組み合わせの斜視図を示している。なお、正極集電体12には両面に正極活物質層が設けられた例である。詳細に説明すると、負極集電体14、負極活物質層、セパレータ13、正極活物質層、正極集電体12、正極活物質層、セパレータ、負極活物質層、負極集電体という順に配置されている。なお、
図9においてセパレータは2つ図示している例を示しているが、1枚のセパレータを折り曲げてその間に正極集電体12を収納する構造とすることも可能である。
【0100】
また、負極集電体の両面にも負極活物質層を設けることも可能であり、
図9(B)には、片面のみに負極活物質層を有する2つの負極集電体の間に、両面に負極活物質層を有する3つの負極集電体と、両面に正極活物質層を有する4つの正極集電体と、8枚のセパレータを挟んだ二次電池を構成する例を示している。
【0101】
このように積層する場合、4つの正極集電体を全て固定して電気的に接続する場合、一度に接合のできる超音波溶接を行う。さらに、4つの正極集電体に加えて、リード電極とも重ねて超音波溶接を行うと効率よく、電気的に接続を行うことができる。
【0102】
正極集電体の突出部はタブ部ともよばれ、その部分を他の正極集電体のタブ部と重ねて圧力をかけながら超音波により振動を与えることで、超音波溶接を行うことができる。
【0103】
また、タブ部は、二次電池の作製後に外から外力が加えられ生じる応力により、ヒビや切断が生じる箇所となりやすい。
【0104】
そこで、本実施の形態では、
図10(A)に示すボンディングダイを有する超音波溶接装置を用いる。なお、
図10(A)では、簡略化のため、超音波溶接装置のうち、上下のボンディングダイのみを図示する。
【0105】
突起24を有する第1のボンディングダイ22と、第2のボンディングダイ23との間に、4つの正極集電体のタブ部と、リード電極を配置する。溶接したい領域が突起24と重なるように超音波溶接を行い、圧力が加えられると、
図10(B)に示すように、溶接領域26とセパレータ13の端部から突出しているタブ部の領域との間に湾曲部25が形成できる。
【0106】
この湾曲部25を設けることによって、二次電池の作製後に外から外力が加えられ生じる応力を緩和することができる。
【0107】
また、
図10(A)に示すボンディングダイを有する超音波溶接装置は、超音波溶接と同時に行うことができるため、工程数も増やすことなく二次電池を作製することができる。また、超音波溶接と湾曲部25の形成は別々に行ってもよい。
【0108】
また、5つの負極集電体のタブ部も上記超音波溶接を同様に行って、全て溶接して電気的に接続する。
【0109】
また、タブ部に湾曲部25を形成することに限定されず、正極集電体のタブ部の形状を改良することでも応力を緩和させることもできる。
【0110】
例えば、その一例として、
図11(A)に正極集電体12aの上面図の一例を示す。正極集電体12aのタブ部にスリット27を設け、二次電池の作製後に外から外力が加えられ生じる応力を緩和する構成としてもよい。
【0111】
また、他の一例として、
図11(B)に正極集電体12bの上面図の一例を示す。正極集電体12bのタブ部の点線で囲んだ領域28の角を丸めて応力集中を緩和させた正極集電体12bとしている。また、領域28の角は、他の角よりも丸めて、曲率半径の大きい形状とすることが好ましい。
【0112】
また、他の一例として、正極集電体の材料をステンレスなどの強度のあるものとし、正極集電体の膜厚を10μm以下とすることで二次電池の作製後に外から外力が加えられ生じる応力を緩和する構成としてもよい。
【0113】
勿論、これらを複数組み合わせてタブ部の応力集中を緩和してもよいことは言うまでもない。
【0114】
なお、本実施の形態は実施の形態1と組み合わせることが可能である。
【0115】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1または2のいずれか一を用いて得られるリチウムイオン二次電池を組み込んだ電子機器の一例を示す。
【0116】
実施の形態1または2を用いて得られる二次電池は、外装体が薄く柔軟性を有するフィルムであり、曲面を有する支持構造体に貼り付け、支持構造体の曲率半径の大きい領域の曲面部分に追随して変形させることができる。
【0117】
上記構成において、二次電池の外装体は、平坦な状態から曲率半径10mm以上好ましくは曲率半径30mm以上の範囲で繰り返し変形することができる。二次電池の外装体は、1枚または2枚の上記多層フィルムで構成されており、ラミネート構造の二次電池である場合、湾曲させて電池の断面形状を円弧とするとフィルムの2つの曲面で挟まれた構造となる。フィルムの曲面を断面で切断した曲線の曲がり具合を円に近似して、その円の半径を曲率半径と呼び、その曲率半径の逆数を曲率と呼ぶ。なお、二次電池の断面形状は、単純な円弧状に限定されず、一部が円弧を有する形状にすることができ、例えば波状、S字形状などとすることもできる。
【0118】
次いで、二次電池上に貼り付ける表示モジュールを用意する。表示モジュールとは少なくともFPCまで取り付けられた表示パネルのことを指している。
図12に電子機器の断面模式図を示す。
図12に示す電子機器は、表示部102とFPCと駆動回路を有し、さらに二次電池103から給電するためのコンバータを設けることが好ましい。支持構造体101の形状は、帯状の構造物を湾曲させた腕輪とする。また、支持構造体101は少なくとも一部が柔軟性を有しており、矢印105の方向に動かすことによって手首にはめ込むことができる。
【0119】
表示モジュールは、表示部102が可撓性を有し、柔軟性を有するフィルム上に表示素子を有する。また、二次電池103と表示部102が一部重なる位置に配置することが好ましく、一部または全部が重なる位置に配置することで、二次電池103から表示部までの電力経路を短縮、即ち配線距離を短縮し、消費電力を低減する。
【0120】
図12に示す電子機器は、支持構造体101、二次電池103、制御基板(図示せず。)、表示部102、カバー104を有する。具体的には、支持構造体101に二次電池103を有し、二次電池103上に制御基板を有し、制御基板上に表示部102、およびカバー104を有している。また、電子機器はワイヤレス充電のためのアンテナ(図示せず。)を有し、ワイヤレス充電を行うことができる。
【0121】
また、支持構造体101は可撓性を有している。よって、支持構造体101は、容易に湾曲させることができる。なお、支持構造体101としてプラスチック以外の材料を用いることもできる。
【0122】
制御基板は、曲げるためのスリットを有し、通信装置、マイコン、記憶装置、FPGA、DAコンバータ、充電制御IC、レベルシフタなどを設けた構成を有する。また、制御基板は、入出力コネクタを介して表示部102を有する表示モジュールと接続する。
【0123】
また、表示部102にタッチパネルを搭載し、そのタッチパネルで電子機器への情報入力や操作などが可能となるようにしてもよい。
【0124】
柔軟性を有するフィルム上に表示素子を作製する方法としては、柔軟性を有するフィルム上に表示素子を直接作製する方法や、ガラス基板などの剛性を有する基板上に表示素子を含む層を形成した後、基板をエッチングや研磨などにより除去した後、その表示素子を含む層と柔軟性を有するフィルムを接着する方法や、ガラス基板などの剛性を有する基板上に剥離層を設け、その上に表示素子を含む層を形成した後、剥離層を利用して剛性を有する基板と表示素子を含む層を分離し、その表示素子を含む層と柔軟性を有するフィルムを接着する方法などがある。
【0125】
また、他の電子機器の例を
図13に示す。
【0126】
フレキシブルな形状を備える蓄電装置を適用した電子機器として、例えば、ヘッドマウントディスプレイやゴーグル型ディスプレイのような表示装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0127】
また、フレキシブルな形状を備える蓄電装置を、家屋やビルの内壁または外壁や、自動車の内装または外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
【0128】
図13(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、蓄電装置7407を有している。
【0129】
図13(B)は、携帯電話機7400を湾曲させた状態を示している。携帯電話機7400を外部の力により変形させて全体を湾曲させると、その内部に設けられている蓄電装置7407も湾曲される。また、その時、曲げられた蓄電装置7407の状態を
図13(C)に示す。蓄電装置7407はラミネート構造の蓄電池(フィルム外装電池とも呼ばれる)である。蓄電装置7407は曲げられた状態で固定されている。なお、蓄電装置7407は集電体7409と電気的に接続されたリード電極7408を有している。例えば、蓄電装置7407の外装体のフィルムにエンボス加工を行っており、蓄電装置7407が曲げられた状態での信頼性が高い構成となっている。
【0130】
図13(D)は、バングル型の携帯電話の一例を示している。携帯電話7100は、筐体7101、表示部7102、操作ボタン7103、及び蓄電装置7104を備える。また、
図13(E)に曲げることのできる蓄電装置7104の状態を示す。蓄電装置7104は使用者の腕への装着時に、筐体が変形して蓄電装置7104の一部または全部の曲率が変化する。具体的には、曲率半径が10mm以上150mm以下の範囲内で筐体または蓄電装置7104の主表面の一部または全部の曲率が変化する。蓄電装置7104の外装体が本発明の一態様の多層フィルムから構成されることによって、蓄電装置7104は曲げられる回数が多くとも高い信頼性を維持できる構成となっている。なお、蓄電装置7104は集電体7106と電気的に接続されたリード電極7105を有している。
【0131】
また、曲げることのできる蓄電装置を車両に搭載すると、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)、又はプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車を実現できる。
【0132】
図14において、本発明の一態様を用いた車両を例示する。
図14(A)に示す自動車8100は、走行のための動力源として電気モーターを用いる電気自動車である。または、走行のための動力源として電気モーターとエンジンを適宜選択して用いることが可能なハイブリッド自動車である。ラミネート構造の二次電池を車両に搭載する場合、複数のラミネート構造の二次電池を集積させたバッテリーモジュールを一箇所または複数個所に設置する。本発明の一態様を用いることで、蓄電装置自体を小型軽量化することができ、例えば、タイヤの内側に曲面を有する蓄電装置を設け、航続距離の長い車両を実現することができる。また、様々な形状とした蓄電装置を車両の隙間に配置することができ、トランクのスペースや車内の乗車スペースを確保できる。また、自動車8100は蓄電装置を有する。蓄電装置は電気モーターを駆動するだけでなく、ヘッドライト8101やルームライト(図示せず)などの発光装置に電力を供給することができる。
【0133】
また、蓄電装置は、自動車8100が有するスピードメーター、タコメーターなどの表示装置に電力を供給することができる。また、蓄電装置は、自動車8100が有するナビゲーションシステムなどの半導体装置に電力を供給することができる。
【0134】
図14(B)に示す自動車8200は、自動車8200が有する蓄電装置にプラグイン方式や非接触給電方式等により外部の充電設備から電力供給を受けて、充電することができる。
図14(B)に、地上設置型の充電装置8021から自動車8200に搭載された蓄電装置に、ケーブル8022を介して充電を行っている状態を示す。充電に際しては、充電方法やコネクタの規格等はチャデモやコンボ等の所定の方式で適宜行えばよい。充電装置8021は、商用施設に設けられた充電ステーションでもよく、また家庭の電源であってもよい。例えば、プラグイン技術によって、外部からの電力供給により自動車8200に搭載された蓄電装置8024を充電することができる。充電は、ACDCコンバータ等の変換装置を介して、交流電力を直流電力に変換して行うことができる。
【0135】
また、図示しないが、受電装置を車両に搭載し、地上の送電装置から電力を非接触で供給して充電することもできる。この非接触給電方式の場合には、道路や外壁に送電装置を組み込むことで、停車中に限らず走行中に充電を行うこともできる。また、この非接触給電の方式を利用して、2台の車両どうしで電力の送受信を行ってもよい。さらに、車両の外装部に太陽電池を設け、停車時や走行時に蓄電装置の充電を行ってもよい。このような非接触での電力の供給には、電磁誘導方式や磁界共鳴方式を用いることができる。
【0136】
本発明の一態様によれば、蓄電装置の設置場所の自由度が上がり、車の車両設計を効率よく行うことができる。また、本発明の一態様によれば、蓄電装置の特性を向上することができ、よって、蓄電装置自体を小型軽量化することができる。蓄電装置自体を小型軽量化できれば、車両の軽量化に寄与するため、航続距離を向上させることができる。また、車両に搭載した蓄電装置を車両以外の電力供給源として用いることもできる。この場合、電力需要のピーク時に商用電源を用いることを回避することができる。
【0137】
本実施の形態は実施の形態1または2と自由に組み合わせることができる。
【0138】
(実施の形態4)
蓄電装置を適用した電子機器の他の例として、生体情報を採取できる医療用の電子機器の例を示す。
【0139】
図15の電子機器60には、筐体61にセンサを1つまたは複数有しており、力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むものを用いることができる。センサ63a、63bを設けることにより、例えば、蓄電装置が置かれている環境を示すデータ(温度など)を検出し、記憶回路64に記憶しておくこともできる。また、
図15(A)は筐体61に表示部62を有し、表示部62はタッチ入力センサを有する腕輪型の電子機器の例を示し、
図15(B)は表示部を有さない指輪型の電子機器の例を示した。
【0140】
例えば、LEDなどの光源を電子機器60に設け、その光源から光を電子機器60と重なっている皮膚に照射し、皮膚内部の反射光から血流量の変化を測定し、演算処理を行って脈拍データとして検出することができる。また、測定箇所は、一箇所ではなく、複数個所の測定を行い、その平均を用いて正確な生体情報データを取得する。また、電子機器60に信号処理演算のできるCPUなどの回路65を設ける。
【0141】
また、脈拍データに限らず、その他の生体情報を取得できるセンサを電子機器60に搭載してもよい。例えば、他の生体情報としては、体温、血圧、活動量、歩数、血中酸素濃度、皮下脂肪率などが挙げられる。
【0142】
また、
図15では、表示部62を有する電子機器を示したが特に限定されず、表示部62がなくとも生体情報データを送受信できる回路66(アンテナなどを含む)を搭載していれば、他の電子機器、例えば携帯電話やスマートフォンで表示させて採取した生体情報データが確認できる。また、電子機器60を腕に装着した使用者に持病がある場合や要介護者である場合、遠隔地の病院などの医療設備にも送信可能であれば、リアルタイムで病院に情報を提供でき、遠隔地の病院にいる医師などから的確な処置に関する指示などを携帯電話やスマートフォンによって得ることができる。
【0143】
また、電子機器60を腕に装着した使用者が身体に異常をきたし、路上に倒れた場合、電子機器60が搭載しているGPSによって得られる位置情報とともに現状の生体情報を採取して、自動で医療施設に緊急連絡できる機能を持たせることもできる。また、回路64に臓器提供意思表示カードと同等のデータや、氏名、年齢、血液型などのデータを記憶させておけば、使用者の意識が無い状態であっても救助者が電子機器60を利用して使用者について必要な情報を得ることもできる。
【0144】
本実施の形態は実施の形態1乃至3のいずれか一と自由に組み合わせることができる。