特許第6626257号(P6626257)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6626257画像表示装置、撮像装置、画像表示方法、プログラム、記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626257
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】画像表示装置、撮像装置、画像表示方法、プログラム、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20191216BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20191216BHJP
   H04N 5/93 20060101ALI20191216BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20191216BHJP
【FI】
   H04N5/225 410
   H04N5/232 930
   H04N5/93
   G03B15/00 B
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-41775(P2015-41775)
(22)【出願日】2015年3月3日
(65)【公開番号】特開2016-163235(P2016-163235A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2018年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】上田 瞳
【審査官】 村山 絢子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−150506(JP,A)
【文献】 特開2004−120165(JP,A)
【文献】 特開2008−124963(JP,A)
【文献】 特開2014−220598(JP,A)
【文献】 特開2014−3404(JP,A)
【文献】 特開2006−94284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222−5/257
H04N 5/76−5/956
G06T 1/00−1/40
G06T 3/00−5/50
G06T 9/00−9/40
H04N 7/18
G03B 15/00−15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光線空間に対応する情報を含むライトフィールドデータを含んだ第1の画像ファイルと、前記ライトフィールドデータを含まない第2の画像ファイルとを取得する取得手段と、
前記第1の画像ファイルに含まれる第1の画像データと、前記第2の画像ファイルに含まれる第2の画像データとを共に表示手段に表示する表示制御手段と、を有し、
前記表示制御手段は、前記取得手段により取得された複数の画像ファイル内のデータに所定の複数の画像データが含まれるかをそれぞれ判定することで、前記複数の画像ファイルのそれぞれが前記ライトフィールドデータを含む前記第1の画像ファイルであるか否かを判定し、判定結果に基づいて前記第1の画像データと前記第2の画像データとを異なる表示形態で前記表示手段に表示させることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記取得手段により取得された画像ファイルが前記所定の複数の画像データとしての複数のRAW形式の視点画像データを有するか否かを判定することで、前記第1の画像ファイルであるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記ライトフィールドデータから視点が異なる複数の画像を生成する生成手段をさらに備え、前記表示制御手段は、前記視点が異なる複数の画像を前記表示手段に交代して表示させることにより、前記画像ファイルが再構成可能な画像ファイルであることをユーザに報知することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記第1の画像ファイルは、異なる視差を有する複数の画像データと、該異なる視差を有する複数の画像データを合成した合成画像データとを含むことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記第1の画像ファイルは、異なる視差を有する複数の画像データのうちの1つの画像データと、前記異なる視差を有する複数の画像データを合成した合成画像データとを含むことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記第1の画像ファイルを、逆変換可能な画像ファイルとして記憶する記憶手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記取得手段は、1つのマイクロレンズにつき複数の光電変換素子を有する単位画素が行列状に配置された撮像素子を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像表示装置と、
1つのマイクロレンズにつき複数の光電変換素子を有する単位画素が行列状に配置された撮像素子と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
光線空間に対応する情報を含むライトフィールドデータを含んだ第1の画像ファイルと、前記ライトフィールドデータを含まない第2の画像ファイルとを取得する取得工程と、
前記第1の画像ファイルに含まれる第1の画像データと、前記第2の画像ファイルに含まれる第2の画像データとを共に表示手段に表示する表示制御工程と、を有し、
前記表示制御工程では、前記取得工程において取得された複数の画像ファイル内のデータに所定の複数の画像データが含まれるかをそれぞれ判定することで、前記複数の画像ファイルのそれぞれが前記ライトフィールドデータを含む前記第1の画像ファイルであるか否かを判定し、判定結果に基づいて前記第1の画像データと前記第2の画像データとを異なる表示形態で前記表示手段に表示させることを特徴とする画像表示方法。
【請求項10】
請求項9に記載の画像表示方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項9に記載の画像表示方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再構成可能な画像データを表示する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで、カメラのピント調整を誤って撮像した場合は、ピント調整をやり直して再撮像する必要があった。また、奥行きの異なる複数の被写体に対してそれぞれにピントが合った画像を得たい場合には、被写体毎にピントを合わせた撮像を複数回行い、それらにより得られた複数枚の画像を合成する必要があった。しかし、近年、光学系に新たな光学素子を追加することで多視点からの画像を取得し、後で画像処理によってピント位置を調節すること(リフォーカス)が可能なライトフィールドフォトグラフィという技術が発展してきている。
【0003】
この技術を用いれば、撮像後にピント調整を行えるため、撮像時のピント調整の失敗を画像処理で補うことができるという利点がある。さらに、画像処理方法を変えることで画像中の任意の被写体にピントを合わせた複数の画像を一枚の撮像画像から得ることができ、撮像回数を減らすことができるという利点もある。
ライトフィールドフォトグラフィでは、複数視点の撮像データから、空間中の複数の位置について、それぞれの位置を通過する光線の方向と強度(ライトフィールド)を計算する。そして、得られたライトフィールドの情報を用いて、仮想の光学系を通過して仮想のセンサに結像した場合の画像を計算する。このような仮想の光学系やセンサを適宜設定することで、前述したリフォーカスも可能となる。
【0004】
ライトフィールドを取得するための撮像装置としてはメインレンズの後ろにマイクロレンズアレイを置いたPlenoptic Cameraや、小型のカメラを並べたカメラアレイが知られている。いずれも被写体を異なる方向から撮像した複数視点の画像データを一回の撮像で得ることができる。すなわち、ライトフィールドフォトグラフィとは、複数視点の画像データから仮想の光学条件下での仮想センサの取得する画像を計算することと言い換えることもできる。なお、以下では、この仮想のセンサが取得する画像を計算する処理を「再構成処理」と呼び、「再構成処理」でも特にピントの位置を変更する処理を「リフォーカス処理」と呼ぶこととする。リフォーカス処理としては、取得した複数視点の画像データを仮想センサ上に射影変換し加算して平均化する方法が知られている(特許文献1参照)。
ピント位置を変更しながらリフォーカス処理された画像(以下、リフォーカス画像)を表示する方法としては、例えば、特許文献1や特許文献2に開示された方法がある。特許文献1の方法では、リフォーカス画像が表示される画面において、被写体がピント位置の調整が可能な範囲に含まれているか否かをユーザーに示す方法が開示されている。また、特許文献2の方法では、リフォーカス画像が表示される画面において、ピント位置を合わせたい被写体を、その画面を通じてユーザーが指示し、同被写体にピント位置が調整されたリフォーカス画像を表示する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−158258号公報
【特許文献2】米国特許公開第2008/0131019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1及び2に開示された従来技術では、ピントを合わせたい被写体を指示しないとその被写体がリフォーカス可能な被写体かどうかが分からない。カメラ内で画像を表示する際には、リフォーカス不可能な静止画、リフォーカス可能な静止画、動画、その他のデータ等様々なデータがある。そして、特にリフォーカス可能な静止画、リフォーカス不可能な静止画については、同様に静止画として表示されるため区別がつかない。
【0007】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像を再構成可能な画像ファイルから表示用画像データを生成する場合に、その画像ファイルが再構成可能なファイルであることを分かりやすく表示できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係わる画像表示装置は、光線空間に対応する情報を含むライトフィールドデータを含んだ第1の画像ファイルと、前記ライトフィールドデータを含まない第2の画像ファイルとを取得する取得手段と、前記第1の画像ファイルに含まれる第1の画像データと、前記第2の画像ファイルに含まれる第2の画像データとを共に表示手段に表示する表示制御手段と、を有し、前記表示制御手段は、前記取得手段により取得された複数の画像ファイル内のデータに所定の複数の画像データが含まれるかをそれぞれ判定することで、前記複数の画像ファイルのそれぞれが前記ライトフィールドデータを含む前記第1の画像ファイルであるか否かを判定し、判定結果に基づいて前記第1の画像データと前記第2の画像データとを異なる表示形態で前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像を再構成可能な画像ファイルから表示用画像データを生成する場合に、その画像ファイルが再構成可能なファイルであることを分かりやすく表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の画像表示装置の実施形態であるデジタルカメラのブロック図。
図2】撮像素子の画素アレイを概略的に示す図。
図3】一般的なDCF画像ファイルの構造を示した図。
図4】本発明の実施形態が対象とする画像ファイル構造を模式的に示す図。
図5】第1の実施形態における画像ファイルの再生処理のフローチャート。
図6】画像ファイルデータの表示形態を示す図。
図7】第1の実施形態におけるリフォーカス表示処理を示すフローチャート。
図8】第1の実施形態における表示方法について示す図。
図9】第2の実施形態におけるリフォーカス表示処理を示すフローチャート。
図10】第2の実施形態における表示方法について示す図。
図11】第3の実施形態におけるリフォーカス表示処理を示すフローチャート。
図12】第3の実施形態における表示方法について示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。まず、図1乃至図4を参照して、本発明の各実施形態に共通する構成について説明する。
【0012】
図1は、本発明の画像表示装置の実施形態であるデジタルカメラ100(撮像装置)の構成を示すブロック図である。図1において、101は被写体の光学像を撮像素子105に結像させるレンズ部で、レンズ駆動装置102によってズーム制御、フォーカス制御、絞り制御などが行われる。103はメカニカルシャッタでシャッタ駆動装置104によって駆動される。105はレンズ部101で結像された被写体像を光電変換して画像信号として取り込むための撮像素子、106は撮像素子105から出力される画像信号に各種の補正、所定の画素補間処理や色変換処理を行う撮像信号処理回路である。
【0013】
107は撮像素子105、撮像信号処理回路106に、各種タイミング信号を出力するタイミング発生回路、109は各種演算と撮像装置全体を制御する全体制御・演算部である。108は画像情報を表示するためのデータを保存するメモリであると共に画像データを一時的に記憶するためのメモリ、110は記録媒体に記録または読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(I/F部)である。111は画像データの記録または読み出しを行うための半導体メモリ等の着脱可能な記録媒体、112はユーザがデジタルカメラに対して操作を行うための外部インターフェース部(外部I/F部)である。
【0014】
115は記憶した画像データを所定の画像圧縮方法(例えば、適応離散コサイン変換(ADCT)等)に従って例えばJPEGデータに圧縮し、圧縮された画像データをメモリ部108に書き込む機能、及びメモリ部108から読み出した画像データを伸長し、伸長した画像データをメモリ部108に書き込む機能を有する圧縮伸長回路である。
【0015】
116は各種情報や撮影画像を表示する表示部で、117は表示部116を制御するための表示制御回路である。表示制御回路117では、後述する平面画像として画像データを表示するための表示制御や、立体画像として画像データを表示するための表示制御を行う。113は画像合成回路であり、後述する撮像素子が生成する左目用画像の信号と右目用画像の信号を合成する。114は視差マップ生成回路であり、左目用画像と右目用画像を用いて、視差マップを生成する。
【0016】
図2は、撮像素子105の画素の配置を示す図である。ここでは、説明を分かりやすくするために、縦4画素×横8画素の範囲を抜き出して示しているが、実際の撮像素子は、もっと多数の画素が同様の行列状に配置されて構成されている。図2に示すように、撮像素子105の各単位画素(例えば201〜204…)には、1つのマイクロレンズとそれぞれ2つの光電変換素子であるフォトダイオード(201L,201R〜204L,204R…)が配置されている。そして、それぞれの単位画素において、視点の異なる画像信号を取得できるように構成されている。即ち、図2に示す撮像素子105は、ライトフィールドデータを取得することができる。
【0017】
次に、上記のように構成される撮像装置における撮影時の動作について説明する。外部I/F部112にある図示しないレリーズボタンが押されると、撮像素子からのデータを元に焦点検出演算を行い、焦点検出結果に基づいて被写体のデフォーカス量を全体制御・演算部109で演算する。その後、レンズ駆動装置102によりレンズ部を駆動して合焦か否かを判断し、合焦していないと判断した場合は、再びレンズ部を駆動し焦点検出を行う。焦点検出演算は、撮像素子からのデータで求める以外にも、図示しない焦点検出の専用装置で行ってもよい。そして、合焦が確認された後に撮影動作が開始される。撮影動作が終了すると、撮像素子105から出力された画像信号は撮像信号処理回路106で画像処理され、全体制御・演算部109によりメモリ部108に書き込まれる。
【0018】
撮像素子105からは、フォトダイオード(PD)からの全ての画像信号が出力される。図2を例とすると、例えば、201L、201R、202L、202R、203L、203R、204L、204R、…とPDからの画像信号が順番に、そして全てのPDの画像信号が出力される。撮像信号処理回路106では、撮像素子105から読み出された画像データを左目用画像データと右目用画像データに分けて画像処理を行う。左目用画像とは図2における201L、202L、203L、204L、…という左PDの出力のみを選択的に処理した画像となる。また、右目用画像は、図2における201R、202R、203R、204R、…という右PDの出力のみを選択的に処理した画像となる。左目用画像も右目用画像も別々にメモリ部108に保持される。
【0019】
メモリ部108に蓄積された左目用画像と右目用画像は、画像合成回路113により、合成画像(主画像)が生成される。生成された合成画像と左目用画像又は右目用画像はメモリ部108に蓄積される。画像合成回路113によって実行される画像処理は左目用画像と右目用画像の画素毎の加算平均値を求める処理である。撮像素子105から読み出された画像データが、左目用画像と右目用画像とで被写体の形状が異なっていても、画像合成回路による処理によって、被写体の形状が補間されて、正しい形状の画像データが生成される。
【0020】
次に、視差マップ生成回路114では視差マップが生成され、求められた視差マップはメモリ部108に蓄積される。視差マップ生成回路114では、左目用画像と右目用画像を用いて、視差マップを生成し、視差量を求める。左目用画像(201L)と右目用画像(201R)に含まれる被写体を検知し、被写体のシフト量を求めることで、視差量を検出することが可能となる。メモリ部108には、左目用画像データ、右目用画像データ、画像合成回路113によって生成された合成画像データ、視差マップ生成回路114によって生成された視差マップが蓄積される。
【0021】
全体制御・演算部109の制御により記録媒体制御I/F部110を通り、合成画像データと右目用画像データもしくは左目用画像データが半導体メモリ等の着脱可能な記録媒体111に記録される。また、外部I/F部112を通り直接コンピュータ等に入力して画像の加工を行ってもよい。
【0022】
図3は一般的なDCF画像ファイルの構造を示した図である。DCF画像ファイル300は現在最も多くのデジタルカメラで出力可能であり、DCFヘッダ部301、サムネイル画像部302、JPEG画像部303で構成されている。DCFヘッダ部301はDCFヘッダ情報を格納する領域であって、予め所定のデータサイズが与えられている。DCFヘッダ情報にはJPEG画像部303に格納されている画像データに関する撮影情報やパラメータなどのメタ情報A(304)が含まれると共に、サムネイル画像までのオフセット値B(305)、JPEG画像までのオフセットC(306)が含まれる。このオフセット値B、Cにより各画像データの開始位置が特定されることになる。サムネイル画像部302は、表示部116に複数枚の画像のインデックス表示を行う際などに使用するために、JPEG画像部303に格納されているJPEG画像などを間引いてリサイズしたサムネイル画像を格納する領域である。JPEG画像部303は、撮像信号処理回路106で画像処理した後、圧縮伸張回路115で圧縮して得られたJPEG画像を格納する領域であり、一般の多くのアプリケーションで扱うことが可能なデータである。
【0023】
図4に本実施形態に対応する左目用画像データ、右目用画像データ(光線空間に対応する情報を含む再構成可能な画像データ)を含むDCF画像ファイルを生成した場合の左右目用画像立体画像ファイルの構造の一例を示す。左右目用画像立体画像ファイル400のDCF画像データ部401は、DCFヘッダ部403、合成サムネイル画像部404、合成JPEG画像部405で構成されている。DCFヘッダ部403はDCFヘッダ情報を格納する領域であって、予め所定のデータサイズが与えられている。DCFヘッダ情報には、合成JPEG画像部405に格納される画像データに関連する撮影情報やパラメータなどのメタデータA(408)が含まれると共に、合成(主画像)サムネイル画像部までのオフセットB(409)、合成(主画像)JPEG画像部までのオフセットC(410)、及び主画像部(RAW)までのオフセットD(411)、右目用画像部(RAW)までのオフセットE(412)が含まれる。このオフセット値B、C、D、Eにより各画像データの開始位置が特定されることになる。合成サムネイル画像部404は、画像表示部412に複数枚の画像のインデックス表示を行う際などに利用するために、合成JPEG画像部405に格納されている合成JPEG画像などを間引いてリサイズした合成サムネイル画像を格納する領域である。合成JPEG画像部405は、撮像素子105からの画像データを撮像信号処理回路106で処理した後、圧縮伸張部115で圧縮して得た合成JPEG画像を格納する領域である。この画像データは一般の多くのアプリケーションで扱うことが可能なデータであり、本実施形態においては、右目用画像と左目用画像を画像合成回路113によって合成したJPEG画像が格納される。左右の画像を合成することで合成JPEG画像405は平面画像として正常に再生できる画像になる。合成RAW画像部406は、右目用画像と左目用画像を画像合成回路113によって合成したRAW画像が格納される。右目RAW画像部は、右目用画像のRAWデータが格納される。本実施形態では、この合成RAW画像データと右目RAW画像データとから左目RAW画像データをメタデータを用いて作成することを可能とする。合成画像、右目用画像、左目用画像すべてのデータを保存するのではなく、合成画像データと右目用画像データ(または左目用画像データ)をRAW形式(逆変換可能な形式)で保存することで後の加工が容易になり利便性が向上する。
【0024】
(第1の実施形態)
以下、上記のように構成される撮像装置における画像ファイルの再生処理について、図5を参照して説明する。
【0025】
ステップS501では、外部I/F部112にある図示しない画像再生ボタンが押され、画像再生開始が指示されたか否かを判断する。画像再生開始が指示されなかったならばそのままこの処理を終了する。画像再生開始が指示されたならば、ステップS502で記録媒体111内に表示可能な画像ファイルがあるかどうかの判断を行う。もし、表示可能な画像ファイルがあると判断されたならば、ステップS503で記録媒体111から、記録媒体制御I/F部110を介して、画像ファイルをメモリ部108に読み出す、画像ファイル読み込み処理を行う。次にステップS504で拡張子の解析を行い、ステップS505で動画データか静止画データかの判断を行う。もし、動画データではないと判断されたらステップS506に進む。
【0026】
ステップS506では、ステップS503でメモリ部108に読み込んだデータの解析を行う、画像ファイル解析処理を行う。このファイル解析処理では、図4で説明したDCF画像ファイル構造を解析することで、それぞれの画像データにアクセスを可能にする。次に、ステップS507では、ステップS506で解析した結果から、画像ファイルが後で画像処理によりピントの位置を変更できるリフォーカス可能な画像ファイルであるか否かの判断を行う。ここで、リフォーカス可能な画像ファイルの判断とは、複数の視点用の画像、それらの合成画像を用意することが出来る画像ファイルかの判断を行うことである。そして、本実施形態では図4で説明した合成画像データと右目用画像データが記録された画像ファイル構造で記録されたリフォーカス画像であることを判断する。ここで、リフォーカス可能な画像と判断されたならばステップS508に進む。
【0027】
ステップS508では、リフォーカス可能な画像データから、図7を用いて後述するようなリフォーカス用の再生処理を行う。そして、ステップS510に進み、ステップS505で動画ファイルと判断された画像データやステップS507でリフォーカス不可能画像と判断された画像データの表示データと共に表示処理を行う。なお、ステップS505で動画像データと判断された場合は、ステップS509に進み、動画像から表示用の画像を作成し、ステップS510に進む。
【0028】
ステップS511では、次のファイルがあると判断された場合には、ステップS502に戻り再生処理を続ける。ステップS511で次のファイルがないと判断された場合には表示処理を終了する。
【0029】
本実施形態においては、上記のような画像ファイルの再生処理を行うことにより、リフォーカスに対応した画像ファイルを他のファイルと区別して再生処理し、ユーザにリフォーカス可能な画像ファイルである旨を報知することが可能となる。
【0030】
次に、図6を用いて再生の形態について説明する。表示形態601は、表示部116に複数枚の画像を同時に表示する形態を示している。この場合、図4で示すリフォーカス可能な画像データ、リフォーカス不可能な画像データ、動画データが同じ大きさで表示され、インデックス表示される。表示形態602は、画像データのみの再生を行う場合の形態を示している。表示形態603は、画像の情報を画像データと共に再生する形態を示している。
【0031】
次に、図6で示すような表示形態においてリフォーカス画像を表示する処理について、図5のステップS508の詳細を示す図7を参照して説明する。まず、ステップS701では、表示したい画像がリフォーカス可能な画像データかどうかを判断する。リフォーカス可能な画像データであった場合には、ステップS702に進む。リフォーカス可能な画像データでなければ、この処理を終了する。
【0032】
ステップS702では、画像ファイルの解析を行い、ステップS703において、表示形態を選択する。解析したリフォーカス可能な画像データについて、インデックス表示と判断した場合(601の表示形態の場合)、ステップS705に進み、図4に示す画像データ構造の中の合成サムネイル画像部404からデータを取得する。インデックス表示ではないと判断した場合(602、および603の表示形態の場合)には、ステップS704に進み、合成JPEG画像部405からデータを取得する。
【0033】
ステップS706では、ステップS704またはステップS705で取得した画像データから表示データを作成する表示データ作成処理を行う。この表示データ作成処理は、圧縮伸張回路115で伸張したデータを表示制御回路117により表示部116に表示するためのデータ作成処理である。なお、ステップS706では、作成した表示データを表示部116に表示する処理も行う。
【0034】
次に、ステップS707において、メモリ部108に保存されているリフォーカス用表示情報を取得する。リフォーカス用表示情報とは、その画像データがリフォーカス可能なデータであるか否かを示すために表示する情報である。次に、ステップS706において表示された画像データと共にリフォーカス用表示情報を表示してリフォーカス可能な画像データであることを示す。図8は、画像データとともにリフォーカス用表示情報を示した例を示している。
【0035】
以上説明したように、この第1の実施形態では、リフォーカス可能な画像データの合成データとカメラ内に保存したリフォーカスデータであることを示す情報の表示により、リフォーカス可能な画像データであることをユーザーに示すことが可能となる。
【0036】
なお、上記の実施形態では、図2に示す撮像素子から得られた左目用画像データと右目用画像データを用いてリフォーカス処理を行う場合について説明した。しかし、これらの左目用画像データと右目用画像データは視差を有するデータであることから、これらを用いて例えば、左眼用画像データと右目用画像データの合成比率を制御して左目から右目までの視点の異なる画像を生成することができる。また、公知の技術によって立体画像を生成、表示することもできる。これらの処理やリフォーカス処理を合わせて再構成処理と称する場合もある。そのため、図7のステップS709においては、画像データとともに再構成可能な画像データであることを表示してもよい。すなわち、表示の際に視点を順に異ならせた画像データを順次表示していったり、3D画像を表示することなどが考えられる。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、図9図10を用いて、図5のステップS508におけるリフォーカス用表示処理の第2の実施形態について説明する。
【0038】
まず、ステップS901では、表示したい画像がリフォーカス可能な画像データであるかどうかを判断する。リフォーカス可能な画像データであった場合には、ステップS902に進む。リフォーカス可能な画像データでなければこの処理を終了する。
【0039】
ステップS902では、データ解析を行い、リフォーカス可能な画像データから図4に示す画像データ構造内の合成RAW画像データと右目RAW画像データを取り出す。ステップS903において画像合成回路113が備える画像分解機能により、合成RAW画像データから右目RAW画像データを抜き出し、左目RAW画像データを生成する。次に、ステップS904、S905において、圧縮伸張回路115によって右目RAW画像データと左目RAW画像データから表示用の右目JPEG画像データと左目JPEG画像データを生成する。
【0040】
ステップS907〜S910のLOOP動作において、右目JPEG画像と左目JPEG画像を、表示制御回路117を介して表示部116に交互に再生させる。具体的には、ステップS907において右目用画像データ(図10の1002)を表示部116に表示させる。その後、一定時間経過後ステップS908において表示の切り替え動作を行い、ステップS909において左目用画像データ(図10の1001)を表示部116に表示させる。ステップS910で連続再生を終了するか否かの判断を行い、継続する場合には、ステップS907に戻り、再び右目用画像データを表示して再生を継続する。図6に示すリフォーカス画像のそれぞれの表示形態において、図10に示すように右目用画像データ(1002)と左目用画像データ(1001)を交互に表示させる。これにより、表示されているデータがリフォーカス可能な画像データであることをユーザに示すことが可能となるとともに、リフォーカスが可能な被写体距離の範囲も同時に示すことが可能となる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態のリフォーカス用表示処理では、それぞれの片目の画像データを再生することにより、両目の視差画像を交互に再生してリフォーカス可能な画像データであることをユーザに示すことが可能となる。また、リフォーカスが可能な被写体距離の範囲も同時に示すことが可能となる。
【0042】
なお、本実施形態においても、図2に示す撮像素子から得られた左目用画像データと右目用画像データを用いてリフォーカス処理を行う場合について説明した。しかし、これらの左目用画像データと右目用画像データは視差を有するデータであることから、これらを用いて視点の異なる画像や立体画像を生成することもできる。そのため、図9のステップS907〜S910においては、視点の異なる画像や、立体画像を交互に表示するようにしてもよい。
【0043】
(第3の実施形態)
次に、図11図12を用いて、図5のステップS508におけるリフォーカス用表示処理の第3の実施形態について説明する。
【0044】
まず、ステップS1101では、表示したい画像がリフォーカス可能な画像データであるかどうかを判断する。リフォーカス可能な画像データであった場合には、ステップS1102に進む。リフォーカス可能な画像データでなければこの処理を終了する。
【0045】
ステップS1102では、データ解析を行いリフォーカス可能な画像データから図4に示す画像データ構造内の合成RAW画像データと右目RAW画像データを取り出す。ステップS1103において画像合成回路113が備える画像分解機能により、合成RAW画像データから右目RAW画像データを抜き出し、左目RAW画像データを生成する。次に、ステップS1104、S1105において、圧縮伸張回路115によって右目RAW画像データと左目RAW画像データから表示用の右目JPEG画像データと左目JPEG画像データを生成する。ステップS1106において、図4に示す画像データ構造内の合成JPEG画像データを取得する。これで表示したいデータが揃う。
【0046】
ステップS1108〜S1113のLOOP動作において、右目JPEG画像(図12の1203)、合成JPEG画像データ(図12の1202)、左目JPEG画像データ(図12の1201)を、表示制御回路117を介して表示部116に連続で切り替えて再生させる。具体的には、ステップS1108において右目用画像データを表示部116に表示させる。その後、一定時間経過後ステップS1109において表示の切り替え動作を行い、ステップS1110において合成画像データを表示部116に表示させる。さらに、一定時間経過後ステップS1111において表示の切り替えを行い、ステップS1112において左目用画像データを表示部116に表示する。
【0047】
ステップS1113で連続再生を終了するか否かの判断を行い、継続する場合には、ステップS1108に戻り、再び右目用画像データを表示して再生を継続する。図6に示すリフォーカス画像のそれぞれの表示形態において、図12に示すように右目用画像データ1203、左目用画像データ1201、合成画像データ1202を交代して表示させる。これにより、表示されているデータがリフォーカス可能な画像データであることをユーザに示すことが可能となるとともに、リフォーカスが可能な被写体距離の範囲も同時に示すことが可能となる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態のリフォーカス用表示処理では、リフォーカス可能な画像データの合成データとそれぞれの片目画像データを交互に再生することにより、両目の視差画像と合成された画像を交互に再生してリフォーカス可能な画像データであることをユーザに示すことが可能となる。また、リフォーカスが可能な被写体距離の範囲も同時に示すことが可能となる。
【0049】
なお、本実施形態においても、図2に示す撮像素子から得られた左目用画像データと右目用画像データを用いてリフォーカス処理を行う場合について説明した。しかし、これらの左目用画像データと右目用画像データは視差を有するデータであることから、これらを用いて視点の異なる画像や立体画像を生成することもできる。そのため、図11のステップS1108〜S1113においては、視点の異なる画像や、立体画像を交互に表示するようにしてもよい。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0051】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0052】
101:レンズ部、102:レンズ駆動装置、103:シャッタ、104:シャッタ駆動回路、105:撮像素子、106:撮像信号処理回路、109:全体制御・演算部、113:画像合成回路、114:視差マップ生成回路、116:表示部
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
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図9
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図12