特許第6626263号(P6626263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社足立ライト工業所の特許一覧

<>
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000002
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000003
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000004
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000005
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000006
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000007
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000008
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000009
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000010
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000011
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000012
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000013
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000014
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000015
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000016
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000017
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000018
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000019
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000020
  • 特許6626263-自立装置を備えた遊技機 図000021
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626263
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】自立装置を備えた遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20191216BHJP
【FI】
   A63F7/02 326C
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-71433(P2015-71433)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-189908(P2016-189908A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2018年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】591044614
【氏名又は名称】株式会社足立ライト工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100112531
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】足立 一夫
(72)【発明者】
【氏名】纐纈 宣泰
【審査官】 大浜 康夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−157662(JP,A)
【文献】 特開2013−009893(JP,A)
【文献】 特開2013−116307(JP,A)
【文献】 特開2008−194287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幕板は左右に二分割された一対の幕板片を水平面内で屈伸可能なるように連結することで構成され、該幕板を底板と左右の側板と天板とからなる縦長四角形状の機枠における該底板の前面側に幕板ロック機構によって非張出状態に保持されるように配設し、該幕板ロック機構のロック解除部を操作することによっては該幕板がV字状に屈折し前方に張り出すようにしたことを特徴とする自立装置を備えた遊技機。
【請求項2】
前記幕板を付勢部材により前方に張り出すように付勢し、前記ロック解除部を操作することにより前記幕板はロック解除され前記付勢部材の付勢により前方に張り出すようにしたことを特徴とする請求項1に記載した自立装置を備えた遊技機。
【請求項3】
前記幕板の両端部を軸支する一対のスライダーを前記機枠内に設けられたレールに沿ってそれぞれ水平方向に摺動可能なるように配設し、前記ロック機構を操作することで前記両スライダーが接近して該幕板がV字状に屈折し前方に張り出し得るようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載した自立装置を備えた遊技機。
【請求項4】
一対のスライダーにラック歯をそれぞれ水平方向に固設し、両ラック歯に噛合するピニオンを回転自在なるように支持し、幕板が屈伸する際に両スライダーは水平方向で反対向きに常に同距離スライドするようにしたことを特徴とする請求項3に記載した自立装置を備えた遊技機。
【請求項5】
幕板を構成する一方の幕板片に連結杆の一端部を枢着し、他方の幕板片にガイド溝を形成するとともに該ガイド溝の一端に係合溝を連設し、該ガイド溝に前記連結杆の他端部を遊嵌し、該幕板が屈伸する際に該連結杆の先端部を該ガイド溝に沿って摺動させ、該幕板が前方に張り出した際に該連結杆の先端部が前記係合溝に係止され該幕板がV字状に保持されるようにしたことを特徴とする請求項3または4に記載した自立装置を備えた遊技機。
【請求項6】
連結杆の先端部と前記係合溝との係合を解除させる解除操作部を幕板に設けてなることを特徴とした請求項5に記載した自立装置を備えた遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ,アレンジボール,雀球等の遊技球が転動可能な遊技領域を有する遊技板を備えた遊技機に関し、特には、床面に転倒することなく置くことができるようにするための転倒防止用の自立装置を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にパチンコ遊技機等の弾球遊技機は、縦長の四角形枠状の機枠(外枠)の一側縁に遊技機本体が開閉可能にヒンジされ、該遊技機本体にさらに透明板保持枠(ガラス枠)を開閉可能にヒンジしてなる。そして、近時はデザイン性の観点から該透明板保持枠の両側縁や上縁部を前方に大きく張り出させ、その張出部に多数の電飾装置やスピーカを設け、遊技状況に応じて該電飾装置を作動させることで煌びやかな演出がされるようにしている。このため遊技機の前側が後側よりも重くなる傾向にあり、例えば、遊技場に新しい遊技機を設置するに際して、該遊技機を遊技場の床面に一時的に置く際に該遊技機が前方に倒れ易いといった問題があり、倒れた際の衝撃により遊技機の前面が破損されてしまうおそれがあった。また、遊技機前面の透明板保持枠を開くと重心がいっそう前方に移動し、より前方に倒れ易くなる。このため不安定な状態で遊技機を保持しながら作業しなければならないという問題があった。
【0003】
一方、下記特許文献1には、転倒防止用脚を機枠の左右の側板に後方へ回動自在なるようにヒンジした遊技機が示され、該遊技機では該転倒防止用脚を後方に最大回転角度まで回動することで後方への転倒を防止できるようにしている。
また、特許文献2には、遊技機の機枠内底部に水平面内で後方へ回転可能なるように支持脚を設け、該支持脚を後方に回転させた後に該支持脚の先端を床面に接地し得るように下方にスライドすることで、遊技機の後方への転倒を防止し得る装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−75454号公報
【特許文献2】特開2008−245847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、パチンコ遊技機の機枠は一般に縦長であり、その高い位置に重心があるため、こうした遊技機を特許文献1に示されたような転倒防止用脚で支えようとすると、安全性の観点からできるだけ上方(高い位置)にヒンジ部を設けなければならず、しかも、パチンコ遊技機は遊技場島台に多数を隙間なく配置するものであることから、該ヒンジ部は当然に機枠の内側に設けなければならないものであり、そうすると該転倒防止用脚が液晶表示装置や遊技制御装置などを含む大きな遊技盤ユニットを設けるための重要なスペースを邪魔するといった問題がある。また、このような転倒防止用脚を仮に遊技機の前面に設けたとすると、遊技者に無用に操作されるおそれや、美観を損なうおそれが大であった。
【0006】
また、特許文献2に示された転倒防止装置についても、遊技機の前面に設けた場合に、遊技者に無用に操作されるおそれがあるとともに、美観が損なわれるといった問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る自立装置を備えた遊技機は上記問題点を解決しようとするもので、底板と左右の側板と天板とからなる縦長四角形状の機枠における該底板の前面側に前方に張り出し得るように幕板を水平面内で回転自在なるように軸支し、ロック解除部が遊技機の前面側に露呈しないように設けられた幕板ロック機構を備え、前記幕板は該幕板ロック機構により非張出状態に保持され、前記ロック解除部を操作することにより前記幕板はロック解除されて前方に張り出すようにしたことを特徴とする。
このように幕板が前方に張り出すようにしたので、従来からの遊技機のデッドスペースに美観を損なうことなく設けることができる。
また、本発明は上記遊技機において、前記幕板を付勢部材により前方に張り出すように付勢し、前記ロック解除部を操作することにより前記幕板はロック解除され前記付勢部材の付勢により前方に張り出すようにしたことを特徴とする。
このように、付勢された幕板がワンタッチで前方に張り出すので、操作が簡単になる。
【0008】
また本発明は上記遊技機において、幕板は左右に二分割された一対の幕板片を水平面内で屈伸可能なるように連結することで構成され、該幕板の両端部を軸支する一対のスライダーを前記機枠内に設けられたレールに沿ってそれぞれ水平方向に摺動可能なるように配設し、前記ロック機構を操作することで前記両スライダーが接近して該幕板がV字状に屈折し前方に張り出し得るようにしたことを特徴とする。
幕板がV字状に屈折し前方に張り出すことで十分な強度が得られ、重い遊技機であっても確実に転倒を防止することができる。
また本発明は上記遊技機において、一対のスライダーにラック歯をそれぞれ水平方向に固設し、両ラック歯に噛合するピニオンを回転自在なるように支持し、幕板が屈伸する際に両スライダーは水平方向で反対向きに常に同距離スライドするようにしたことを特徴とする。
このように両スライダーの動きを、ラック歯及びピニオンを介して同期させることにより、前記付勢部材の付勢力を調節し、幕板を緩やかに張り出すことができる。このような構成を採用することによって、幕板が急に飛び出し作業者に衝突する事故を未然に防止することができる。
【0009】
また本発明は上記遊技機において、幕板を構成する一方の幕板片に連結杆の一端部を枢着し、他方の幕板片にガイド溝を形成するとともに該ガイド溝の一端に係合溝を連設し、該ガイド溝に前記連結杆の他端部を遊嵌し、該幕板が屈伸する際に該連結杆の先端部を該ガイド溝に沿って摺動させ、該幕板が前方に張り出した際に該連結杆の先端部が前記係合溝に係止され該幕板がV字状に保持されるようにしたことを特徴とする。
このように幕板がV字状に屈折し前方に張り出した際に連結杆が架されることで、このV字状張出状態での強度が一層増す。
また本発明は上記遊技機において、連結杆の先端部と前記係合溝との係合を解除させる解除操作部を幕板に設けてなることを特徴とした。
このように連結杆の先端部と係合溝との係合を解除させる解除操作部を幕板に設けることで、幕板を張り出した状態から非張出状態に変位させようとする場合に、連結杆の先端部と係合溝とに係合を解除する際に、二分割された一対の幕板片間に、操作者が手を入れたまま非張出状態に変位させ指を挟むようなことが無くなり安全性を確保することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る自立装置は、遊技機のデッドスペースに美観を損なうことなく設けることができるとともに、操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る遊技機の自立装置を作動させた際の斜視図。
図2】本発明に係る自立装置の器筺の分解斜視図。
図3】本発明に係る自立装置の器筺の背面の斜視図。
図4】本発明に係る自立装置のスライダーの斜視図。
図5】本発明に係る自立装置の一方のスライダーの分解斜視図。
図6】本発明に係る自立装置の他方のスライダーの分解斜視図。
図7】本発明に係る自立装置の幕板の分解斜視図。
図8】本発明に係る自立装置のスライダーの作動状態を示す背面の斜視図。
図9】本発明に係る自立装置のスライダーの作動状態を示す背面の斜視図。
図10】本発明に係る自立装置の幕板を構成する一対の幕板片の斜視図。
図11図10の分解斜視図。
図12図11の解除操作部の背面の斜視図。
図13】本発明に係る自立装置の幕板ロック機構の斜視図。
図14】本発明に係る自立装置の幕板ロック機構の背面の斜視図。
図15】本発明に係る自立装置の幕板の非張出状態の斜視図。
図16】本発明に係る自立装置の背面の斜視図。
図17】本発明に係る自立装置の水平断面図。
図18】本発明に係る自立装置の幕板の張出状態を示した斜視図。
図19図18の水平断面図。
図20】本発明に係る自立装置の幕板の張出状態を示した背面の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明の実施形態を図面に従い説明する。図1に遊技板1aと透明板保持枠1bと打球保持皿1cと打球発射装置1dが備えられ、該透明板保持枠1bの両側縁や上縁部を前方に大きく張り出させ、その張出部に電飾装置1eが設けられたパチンコ遊技機を示し、同図は該遊技機1の機枠2の底部に設けられた自立装置3を作動させた状態である。このように本発明に係る自立装置3は遊技機1の下部前面を覆う幕板4a,4bをV字状に屈折させて前方に張り出すことにより、該遊技機1の前方への転倒を防止し得るように構成される。なお、自立装置3が設けられる部分は、従来から一枚の横長の長方形状の幕板が機枠の一部として設けられていた部分であり、その裏側に従来では殆ど利用されていない空間があった。本発明に係る自立装置3は、機枠2底部のこのようなデッドスペースに設けられるものであり、以下にこの自立装置3の構成を詳しく説明する。
【0013】
図2に自立装置3が組み込まれる器筺の分解斜視図を示し、前記機枠2の底部を構成する長方形状の底板5は、上面の前縁を段状に切り欠くことで切欠縁6が形成され、該切欠縁6に合致するように横断面鉤状に折り曲げられた組付基板7が該底板5の前縁部にビス止めされ、該組付基板7上の略々中央に起立板8がビス止めされ、該起立板8の前面にバネ止片9a,9bが固着され、該組付基板7の両端部には支柱10a,10bが垂直に樹立される。また、一対のコ字枠状の保持枠11a,11bを備え、該保持枠11a,11bに丸棒状のレール12a,12a,12b,12bがそれぞれ水平に保持され、該保持枠11a,11bが組付基板7の前縁部にビス止めされる。また、略長方形状の天板13の両端縁に端板部14a,14bが垂下状に一体に形成され、該天板13の前縁両端部寄りに垂下片15a,15bが形成される。該天板13は前記支柱10a,10bにより水平に支持される。また、長方形状の背板16の上下縁を天板13の後縁と前記組付基板7の後縁とにそれぞれビス止めする。これにより、図3に示したように前面が開口した器筺が形成される。なお、前記垂下片15a,15bの前面に幕板端表装部材17a,17bがビス止めされる。18は前記打球保持皿1cを開閉可能に軸支するために天板13の一端部上面にビス止めされた軸受金具、19は天板13の上面前縁にビス止めされ、前記打球保持皿1cを閉じる際に、前記打球保持皿1cを閉鎖方向に導く目的で設けられた前方へ向けて下向傾斜となる板状の幕上縁材である。
【0014】
次に前記レール12a,12a,12b,12bにそれぞれ摺動自在に取着される一対のスライダー25a,25bの構成を図4図9に従い説明する。一方のスライダー25aは、図5に分解斜視図を示したように、保持部材26aの四隅部に軽摩擦にするための筒形のスライドカラー27aが止着され、該保持部材26aを両面から挟むように板状金具20a,21aがビス止めされ、板状金具20aには前方に突出する軸受部29aが形成され、該軸受部29aによって支軸30aが垂直に軸支され、該支軸30aに巻きバネ31aが巻着される。また、該板状金具20aの裏側に取付金具39aがビス止めされ、該取付金具39aに形成された鉤状部32aにコイル状のバネからなる付勢部材33aの一端が係止され、該取付金具39aの水平に延びる延長部34aにラック歯35aがその歯面が下向きとなるように水平に固着される。
【0015】
また、他方のスライダー25bは、図6に分解斜視図を示したように、スライダー25aと左右対称形であって、構成部品はスライダー25aと同様であり、保持部材26bの四隅部にスライドカラー27bが止着され、該保持部材26bを両面から挟むように板状金具20b,21bがビス止めされ、板状金具20bに前方に突出する軸受部29bが形成され、該軸受部29bによって支軸30bが垂直に軸支され、該支軸30bに巻きバネ31bが巻着される。また、該板状金具20bの裏側に取付金具39bがビス止めされ、該取付金具39bに形成された鉤状部32bにコイル状のバネからなる付勢部材33bの一端が係止され、該取付金具39bの水平に延びる延長部34bにラック歯35bがその歯面が上向きとなるように水平に固着される。
【0016】
そして、前記レール12a,12aに前記スライドカラー27aを貫挿することでスライダー25aを摺動自在に支持し、前記レール12b,12bに前記スライドカラー27bを貫挿することでスライダー25bを摺動自在に支持するとともに、図4に示したピニオン37を軸受体38により回転自在に支持し、該軸受体38を取付具38aを介して前記背板16に固着することにより、該ピニオン37が前記ラック歯35aとラック歯35bとに共に噛合するように配設する。このようにピニオン37を両ラック歯35a,35bに噛合させることにより、両スライダー25a,25bは同期し、レール12a,12a,12b,12bに沿って水平方向で反対向きに常に同距離だけスライドするようになる。図8図9にこの配設状況およびスライド状況が図示される。なお、前記付勢部材33aの他端を前記バネ止片9aに係止することにより該スライダー25aは内向きに付勢され、前記付勢部材33bの他端をバネ止片9bに係止することにより該スライダー25bも内向きに付勢される。即ち、両スライダー25a,25bは、該付勢部材33a,33bによって互いに接近する方向に付勢される。
【0017】
一方、前記幕板4a,4bは、図7および図10図11に示したように、左右に二分割された横断面略コ字形の一対の略長方形板状の幕板片40a,40bをその間に蝶番41を介在させることにより屈伸可能に連結してなる。なお、該各幕板片40a,40bの前面に表装板42a,42bがビス止めされる。該蝶番41は、蝶番部材41a,41bに形成された軸受孔に枢軸43を貫挿することにより構成され、該蝶番部材41a,41bを幕板片40a,40bの一端部の裏面にそれぞれビス止めすることで、該幕板片40a,40bを屈伸可能にする。なお、幕板片40aの裏面の前記蝶番部材41aに接近する部位に係止片45が固着され、該係止片45の鉤状に折曲した先端部が幕板片40aの背面から後方に向けて突出されている。また、幕板片40bの裏面の上縁部に係止部36がビス止めされる。
【0018】
また、一方の幕板片40aの上縁部に連結杆46の基端部をピン47によって枢着し、該連結杆46の先端部にピン48を設ける。また、他方の幕板片40bの上縁部にガイド溝49を該幕板片40bの長手方向に沿って形成するとともに該ガイド溝49の一端に該ガイド溝49を少し屈折させることで係合溝50を連設し、該ガイド溝49に前記ピン48を摺動自在に遊嵌するとともに、該ピン48に一端を係止したコイル状のバネ51の他端を前記係止部36に係止し、該ピン48が係合溝50方向に付勢されるようにする。
【0019】
次に係合溝50に位置した前記ピン48を該係合溝50から脱出させその係合を解除し得るようにする解除操作部60の構成を図12により説明する。図7に示したように、前記幕板片40bに形成された長孔54に表装板42bの前面に摘子52が露呈するように摺動片53を該長孔54中にて左右に摺動自在なるように装着し、該幕板片40bの裏面にビス55aにより一端が係止された小さいコイル状のバネ55により該摺動片53を矢印方向に付勢している。このため、摘子52を指先で押さえつつ該バネ55の弾性に抗して該摺動片53をスライドさせると、該摺動片53に形成された鉤状の作用部53aが前記係合溝50中にある前記ピン48に当接して押すことで該ピン48が係合溝50から脱出される。なお、摘子52から指先を離せば、前記バネ55の弾性により摺動片53は元に戻される。
【0020】
そして、前記幕板片40a,40bは、前記各スライダー25a,25bの支軸30a,30bを該各幕板片40a,40bの両端部に形成された軸受部にそれぞれ貫挿することにより、水平面内で回転自在なるように軸支される。ここで、前記巻きバネ31a,31bは、該各幕板片40a,40bを前方に張り出させる方向に付勢している。
【0021】
次に、幕板ロック機構61の構成を図13図14に従い説明する。該幕板ロック機構61は、前記幕板片40aの裏面に固着された鉤状片45を前記背板16に設けられた錠金具59に係脱させるもので、該錠金具59は内部に進退自在なるようにロック片57が設けられ、該ロック片57は該錠金具内のバネにより常態ではクサビ状に形成された先端部58が外に突出するように付勢され、該錠金具59のロック解除部であるプッシュボタン56が前記背板16の背面に露呈するように該背板16に設けられる。そこで、前記鉤状片45が該先端部58のクサビ状斜面に当接すると該錠金具59内のバネの弾性に抗して該ロック片57の先端部58が該錠金具59内に一時的に後退し、該バネの弾性で復帰し突出することにより、図14に示したように該鉤状片45と係合し、幕板4a,4bが非張出状態(閉状態)にロックされるようにしている。またこの非張出状態にて前記プッシュボタン56が押圧操作されると、先端部58は後退し、該鉤状片45との係合が解除されることから、幕板4a,4bは前方に張り出し可能となる。そこで、前記両スライダー25a,25bが付勢部材33a,33bの付勢によって接近し、幕板4a,4bをV字状に屈折させて前方に張り出させる。なお、このように幕板ロック機構61のロック解除部であるプッシュボタン56は、遊技機の前面側に露呈しないように設けられ、遊技者からはいっさい操作できないようにする。
【0022】
このように本発明に係る自立装置を備えた遊技機は、例えば遊技場に設置するため該遊技場の床面に起立状態で仮置きするに際し、該遊技機の裏側からプッシュボタン56を押圧操作することで、幕板4a,4bがいっきにV字状に屈折し、図1に示したように前方に張り出す。このため、該遊技機は安定した起立状態となり、前方への転倒が防止される。また、このように幕板4a,4bが屈折するとき、前記連結杆46先端部のピン48は前記バネ51に牽引されて前記ガイド溝49中を摺動し係合溝50に入って係止されることから、該連結杆46が幕板片40a,40b間に架され、平面三角形状のトラストを形成する。このため強度が増し、重い遊技機であっても転倒を確実に防止することができる。しかも、該幕板4a,4bは、付勢部材33a,33bに付勢されているので、プッシュボタン56を押圧するだけでワンタッチで前方に張り出し、操作が簡便となる。
【0023】
なお、前方に張り出した幕板4a,4bを元に戻すには、前記摘子52を指先で押さえつつガイド溝4方向にスライドさせれば、前記ピン48は係合溝50から脱出しガイド溝49に戻る。その後は該ピン48はガイド溝49中を自在にスライドし得るようになるので、幕板4a,4bを手で押せば、該幕板4a,4bは元のように直線状に伸びて前記幕板端表装部材17a,17bの間に収蔵され、非張出状態(閉状態)となる。このとき前記鉤状片45が前記ロック片57に係合することで、この非張出状態が保持される。このため、該遊技機を遊技場の島台に設置した状態では、遊技者が該遊技機の前面から見てこうした自立装置が存在することも判らなくなり、美観を損なうおそれがない。なお、前記摘子52は幕板4bの表面に露呈したままであるが、該摘子52は、たとえ遊技者が操作したとしても、摺動片53が左右に動くだけであるので何ら支障はない。
また、前記ラック歯35a,35bに共通のピニオン37が噛合され、前記スライダー25a,25bは水平方向で反対向きに常に同距離スライドするようにしたので、前記付勢部材33a,33bの付勢力を調節し、幕板4a,4bを緩やかに張り出させることができ、該幕板4a,4bが急に飛び出して作業者に衝突するといった事故を起こすことがないようにしている。
【0024】
このように本発明に係る自立装置を備えた遊技機は、幕板が前方に張り出すようにしたので、従来からのデッドスペースに遊技機の美的な外観を損なうことなく設けることができる。また、遊技機の裏側から操作することでワンタッチで幕板が前方に張り出すので、操作が簡単であるとともに、その張出状態にて十分な強度が得られる。このためこの自立装置を備えることで、重い遊技機であっても確実に転倒を防止することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 遊技機
1a 遊技板
1b 透明板保持枠
1c 打球保持皿
1d 打球発射装置
1e 電飾装置
2 機枠
3 自立装置
4a,4b 幕板
5 底板
6 切欠縁
7 組付基板
8 起立板
9a,9b バネ止片
10a,10b 支柱
11a,11b 保持枠
12a,12a,12b,12b レール
13 天板
14a,14b 端板部
15a,15b 垂下片
16 背板
17a,17b 幕板端表装部材
18 軸受金具
19 幕上縁材
20a,21a,20b,21b 板状金具
25a,25b スライダー
26a,26b 保持部材
27a,27b スライドカラー
29a,29b 軸受部
30a,30b 支軸
31a,31b 巻きバネ
32a,32b 鉤状部
33a,33b 付勢部材
34a,34b 延長部
35a,35b ラック歯
36 係止部
37 ピニオン
38 軸受体
38a 取付具
39a,39b 取付金具
40a,40b 幕板片
41 蝶番
41a,41b 蝶番部材
42a,42b 表装板
43 枢軸
45 係止片
46 連結杆
47,48 ピン
49 ガイド溝
50 係合溝
51 バネ
52 摘子
53 摺動片
53a 作用部
54 長孔
55 バネ
56 プッシュボタン
57 ロック片
58 クサビ状先端部
59 錠金具
60 解除操作部
61 幕板ロック機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20