(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
磁気モジュレー
タに関連する技術として、非特許文献1には、人工的な磁束密度の粗密パターンを発生させるものが示されている。この技術は、磁化率の異なる2以上の薄膜を積層し、磁場を積層面に対して垂直に印加することにより積層表面に磁気パターンが現れるものである。
【0003】
この非特許文献1には具体構成として、厚さ300μmの鉄箔(強磁性体)と100μmのアルミ箔3枚(常磁性体)を交互に重ねて約1cmのブロックを作製し、磁場中に積層面が垂直になるように置く。この状態でブロックに対して横方向から強磁場を作用させることにより、ブロック積層表面での磁場強度は300μm周期で規則的に変動する現象が現れる。
【0004】
また、上記のように構成された磁気モジュレータ及び微粒子配列方法に関連する技術として特許文献1には、磁気モジュレータの磁束を利用して溶媒に分散された微粒子を配列するものが示されている。
【0005】
この技術の具体構成として、アルミ箔と鉄箔とを交互に積層した構造の磁気モジュレータの積層面に対して直交する方向に磁場を印加できるように、この磁気モジュレータを電磁石中に設置する。磁気モジュレータ上には磁界が作用する方向に平行となる姿勢でガラス板を乗せる。そして、磁化率が異なる2種の微粒子を、これらの微粒子の磁化率の中間となる磁化率の懸濁媒体に分散させて懸濁液を作り、この懸濁液をガラス板上に展開する。この状態で電磁石を励磁することにより、磁気モジュレータの磁束の強弱の作用で微粒子の配列が実現する。
【0006】
また、上記のように構成された磁気モジュレータ及び微粒子配列方法に関連する技術として、特許文献2には、磁化率が異なる2以上の物質からなるネガパターンを形成し、これに磁場を印加することによりネガパターン近傍に電気力線又は磁力線の粗密差を発生させるものが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】磁気モジュレータの一部を拡大した斜視図である。
【
図2】磁気モジュレータの凹部と凸部とを示す断面図である。
【
図3】凹部を形成するためレジストを表面に形成した基材の断面図である。
【
図4】凹部を形成するレジストとモールドとの断面図である。
【
図5】凹部を形成するためレジストにモールドを押し付けた状態の断面図である。
【
図6】凹部を形成するためレジストからモールドを分離した状態の断面図である。
【
図7】凹部を形成するためドライエッチングの後の基材の断面図である。
【
図8】凹部を形成するためアッシング後の基材の断面図である。
【
図10】ポリスチレン粒子に作用する架橋力を示す図である。
【
図11】磁気モジュレータで整列するポリスチレン粒子を示す断面図である。
【
図12】基材表面を磁気力顕微鏡で観察した画像である。
【
図13】凹部が形成された基材表面を電子顕微鏡で観察した画像である。
【
図14】凹部が形成された基材表面を磁気力顕微鏡で観察した画像である。
【
図15】凹部が形成されない基材表面の粒子を電子顕微鏡で観察した画像である。
【
図16】凹部が形成された基材表面の粒子を電子顕微鏡で観察した画像である。
【
図17】パーマロイで成る基材表面を磁気力顕微鏡で観察した画像である。
【
図18】凹部が形成された鉄製の基材表面を磁気力顕微鏡で観察した画像である。
【
図19】凹部が形成されたパーマロイ製の基材表面を磁気力顕微鏡で観察した画像である。
【
図20】磁気モジュレータをセンサに用いた応用例の断面図である。
【
図21】別実施形態(a)の磁気モジュレータの断面図である。
【
図22】別実施形態(b)の磁気モジュレータと外部刺激部とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本的な構成〕
図1、
図2に示すように、強磁性体で成る基材1の表面1Sにサブミクロンオーダで凹凸部を形成して磁気モジュレータが構成されている。凹凸部は、溝状となる複数の凹部1Gと、隣り合う凹部1Gの間の突出部1Pとで構成されている。
【0025】
この磁気モジュレータでは、鉄(コバルト、ニッケル、ガドリニウム、あるいは、パーマロイ等でも良い)で成る磁性体で構成される基材1の表面1Sを平滑に加工し、この表面1Sに対し溝状となる複数の凹部1Gが形成されている。この凹部1Gは、溝幅Lとなる幅で、間隔Sの距離毎に形成されている。この実施形態では、溝幅Lが150nmに設定され、間隔Sが300nmに設定され、隣り合う凹部1Gの間には表面1Sと一致するレベルの突出部1Pが形成される。
【0026】
磁気モジュレータは、凹部1Gからの漏れ磁束(漏洩磁束)を、例えば、遺伝子のDNA、糖鎖、脂質、細胞等の微粒子状の整列対象物に作用させ、これらの整列対象物の磁気的な性質を利用して凹部1Gに従って整列させるために用いられる。
【0027】
凹部1Gを形成する形成方法の一例を以下に説明する。
図3に示すように、表面1Sが平滑に加工された鉄(Fe)で成る基材1の表面1Sにレジスト5を塗布し、このレジスト5が液状である状況で
図4、
図5に示すように、レジスト5(レジスト膜)の表面にモールド6を押し付ける。
【0028】
このモールド6は、石英の表面を平滑に加工し、更に、この表面を電子線や、光線や、ソフトリソグラフィの技術により溝を作ることにより複数の突起6Pが形成されたものである。突起6Pの幅は凹部1Gの溝幅Lに対応し、隣合う距離が間隔Sに対応している。このモールド6を押し付けることにより突起6Pが当接した部位のレジスト5が押しのけられ、レジスト5が存在しない領域が形成される。
【0029】
この押し付け状態でレジスト5を凝固させ、凝固後にモールド6を取り外すことにより
図6に示すように、レジスト膜5には凹部1Gに対応する位置にはレジスト5が存在しない領域が形成される。次に、エッチングガスを用いたドライエッチングにより
図7に示すように、レジスト5が存在しない領域を介して露出する基材1(鉄)の表面1Sを蝕刻して凹部1Gが形成される。
【0030】
凹部1Gの深さは、80〜100nmであり、溝幅Lより僅かに小さい値に設定されている。このドライエッチングの後には、アッシングにより
図8に示すようにレジスト5を除去することで磁気モジュレータが得られる。尚、この実施形態では、液状のレジスト5と、固化後のレジスト膜5とに共通する符号「5」を付している。
【0031】
尚、エッチングとして薬液を用いるウエットエッチングを用いても良い。凹部1Gの溝幅Lは、サブミクロンオーダで整列対象物が良好に整列する値であれば良い。この凹部1Gは溝に限るものでなく、例えば、円形や多角形、あるいは、楕円形等の凹状に形成されるものでの良い。凹部1Gがこのような形状である場合には、凹部1Gの開口縁の開口径のうち最短となる間隔がサブミクロンオーダであれば良い。
【0032】
また、凹部1Gを形成する技術はモールド6を用いるものに限るものではなく、フォトレジストを強磁性体の表面1Sに塗布し、マスクパターンを介して露光することや、電子ビーム等で直接露光を行い、現像処理により凹部1Gに対応した領域のレジスト膜を除去するようにレジスト膜の処理形態を設定するものでも良い。
【0033】
このようにモールド6を用いずにレジスト膜5にパターンを形成したものでも、前述と同様にエッチングによる蝕刻により基材1の表面1Sに凹部1Gを形成する処理が行われ、アッシング等の技術でレジスト膜5の除去が行われる。
【0034】
〔磁気モジュレータの凹部〕
基材1に用いられる強磁性体は、
図9に示すように原子の磁気モーメントの向きが揃った複数の磁区を有するものである。同図では1つの矢印(矢印の方向が磁界の方向)を含む領域が磁区であり、隣り合う磁区の境界には磁壁が形成される。磁区のサイズは、大きくともmm(ミリメートル)オーダとなる比較的小さいものであり、磁区を1つの磁石と捉えると、各々の磁区の磁極(N極とS極)の方向が異なる。このような強磁性体に対して、その表面1Sにサブミクロンオーダの幅の凹部1Gを形成した場合には、磁区の一部を取り除くことになり、磁区の内部の磁束が凹部1Gから外部に漏れる漏れ磁束(漏洩磁束)を得る。
【0035】
図2、
図11に示すように、所定の溝幅Lの複数の凹部1Gを形成することにより、凹部1Gの並び方向では、
図11において破線で示す漏れ磁束が基材1の表面1Sが外方に膨出して強く作用する領域と、漏れ磁束の作用が極めて低下する領域とが交互に規則的に並ぶ磁気分布を作り出す。特に、この並び方向で磁束密度の粗密パターンを磁気の「うねり」と表現することも可能であり、この磁気の「うねり」と、微粒子状の整列対象物の磁気的な性質とから、これらの微粒子を整列させる処理が実現する。
【0036】
〔実験例〕
図12には、鉄(Fe)で成る平坦な表面1Sの基材1の表面1Sを磁気力顕微鏡(MFM、E−sweep、SII)により観察した画像を示している。同図に示す如く平坦であるに拘わらず表面1Sには斑模様から磁区構造に由来する磁気分布の存在を確認できる。
【0037】
図13には、前述の斑模様の磁気分布が観察された基材1の表面1Sに溝幅L(150nm)で、間隔S(300nm)となる溝状の凹部1Gを複数、平行姿勢で形成した表面1Sを原子間力顕微鏡(AFM)で観察した画像を示している。
図14には、このように複数の凹部1Gを形成した基材1の表面1Sを磁気力顕微鏡(MFM)で観察した画像を示している。同図からも斑模様となる磁気分布の存在を確認でき、凹凸に沿った磁気分布の存在も確認できる。
【0038】
このように基材1の表面1Sに複数の凹部1Gを形成したものが磁気モジュレータである。次に、この磁気モジュレータを水平姿勢にセットし、粒径が140nmのポリスチレン粒子10(整列対象物の一例)を、メタノールに分散した溶液を表面1Sに塗布し、この後に乾燥し、電子顕微鏡(SEM)で観察した画像を
図16に示している。
【0039】
また、比較のため平坦な(凹部が形成されない)鉄で成る基材1を水平姿勢にセットし、先に説明したものと同様に、粒径が140nmのポリスチレン粒子10をメタノールに分散した溶液を塗布し、この後に乾燥し、電子顕微鏡(SEM)で観察した画像を
図15に示している。
【0040】
図15と
図16とから明らかなように、凹部1Gが形成されない基材1の表面1Sの粒子は一部が凝集し、分散にも粗密があり整列していないことが観察できる。これに対して凹部1Gが形成された基材1では、凹部1Gに沿ってポリスチレン粒子10が整列する様子が観察され、漏れ磁束の作用により整列が実現していることが理解できる。
【0041】
ポリスチレン粒子10が整列する理由として、凹部1Gが形成されていない基材1の表面にポリスチレン粒子10をメタノールに分散した溶液を塗布した場合には、
図10に示す如く隣合う粒子の間に液架橋力Fが作用するため、この液架橋力Fにより各々のポリスチレン粒子10が凝集する現象を招く。この現象から
図15に示す如く粒子の粗密が認められるのである。
【0042】
これに対し、磁気モジュレータでは強磁性体で成る基材1の表面1Sに複数の凹部1Gが形成されているため、凹部1Gからの漏れ磁束の作用により
図11に示す如く、凹部1Gに沿ってポリスチレン粒子10が整列する。この現象から
図16に示すように、粒子が整列するのである。
【0043】
このようにポリスチレン粒子10が整列する理由として、凹部1Gでは
図11に破線で示す如く漏れ磁束が基材1の表面1Sから膨れる方向に形成され、凹部1Gが並ぶ方向で基材1の表面には磁束密度が波状に変化する「うねり」を生ずることになる。また、ポリスチレン粒子は反磁性体として捉えることが可能であり、凹部1Gからの漏れ磁束に対して反発することから、隣合う凹部1Gの中間の位置で安定し、この部位に保持されると考えられる。
【0044】
〔精度の向上〕
基材1に鉄(Fe)を使用したものでは、磁区構造由来の磁気分布と、凹部パターン由来の磁気分布がある。整列対象物の整列を行う場合には、磁区由来の磁気分布が整列精度を低減させる阻害要素になる可能性もある。鉄の単結晶は、結晶磁気異方性を持っており[100]方向が磁化容易方向で[111]方向が磁化困難方向である。実験に使用した基材1は、磁化方向が異なる複数の単結晶で構成された多結晶であるため、磁区由来の磁気分布が斑模様となっていると考えられる。
【0045】
パーマロイを例に挙げると、パーマロイはNi−Fe二元系合金であり、Niの含有量が78.5%付近の組成で結晶磁気異方性と磁歪定数の双方が0に近くなる。つまり、パーマロイを材料として基材1は鉄(Fe)に凹部1Gの凹部パターンを形成したものと比較して磁区構造由来の磁気分布より凹部パターン由来の磁気分布を相対的に強める可能性がある。
【0046】
先に説明した通り、
図12には鉄(Fe)の表面1Sを平坦に仕上げた基材1のMFM画像を示し、
図17にはパーマロイの表面を平坦に仕上げた基材1のMFM画像を示している。これらの図からパーマロイで成る基材1の磁区構造由来の磁気分布が小さいことが分かる。
【0047】
また、鉄(Fe)を基材1とし、その表面1Sに対して溝状の凹部1Gを形成したMFM画像を
図18に示し、パーマロイを基材とし、その表面1Sに対して溝状の凹部1Gを形成したもののMFM画像を
図19に示している。
【0048】
これらの図から理解できるように鉄(Fe)を基材1に用いたものでは、一部の磁区構造由来の磁気分布が凹部パターン由来の磁気分布を弱めており、パーマロイを基材1に用いたものでは、磁区由来の磁気分布を比較して凹部パターン由来の磁気分布が明瞭に観察できる。このような理由から、基材1としてパーマロイの使用が性能を高めることになる。
【0049】
〔実施形態の作用・効果〕
このように強磁性体で成る基材1の表面1Sに対してサブミクロン幅の凹部1Gを形成するだけで磁気モジュレータを構成することが可能となる。このように構成された磁気モジュレータで整列対象物を整列させる場合には、例えば、メタノール等に整列対象物を分散させ、メタノールを蒸発させるだけで、凹部1Gからの漏れ磁束と、分散対象物の固有の磁化率とから凹部1Gを基準にして決まった位置に分散対象物を整列させることが可能となるのである。
【0050】
更に、本構成の磁気モジュールでは、基材1に対して凹部1Gを形成したものであるため、面積の大きい基材1を用いることが可能となる。
【0051】
本構成の磁気モジュレータでは、従来からの技術のように外部から強力な磁力を作用させる必要がないため、極めて小さく構成することも可能となる。また、遺伝子を構成するDNA、糖鎖、脂質、細胞等の微粒子状の整列対象物の整列が可能である。以下にその応用例を説明する。
【0052】
〔応用例〕
図20に示すように、p型シリコン基板15の表面に一対のn型領域16を形成し、これらに亘ってポリシリコンで成るゲート17を形成すると共に、このゲート17の表面に磁気モジュレータを形成する。図面には詳細に示していないが磁気モジュレータを構成する基材1に複数の凹部1Gを形成する。
【0053】
この構成は、ISFET(Ion Sensitive Field Effect Transistor )とも称されるものであり、シリコン基板15に基材1が間接的に支持されている。また、基材1の凹部1Gに対し、整列対象物として微粒子状となる特定の化学物質を整列させておくことにより、その化学物質を選択的に反応して信号を出力するセンサを構成できる。
【0054】
尚、基板15の表面(厳密にはゲート17の表面)に対して強磁性体で成る基材1を形成する場合には、例えば、レジストにより凹部パターンを形成し、この凹部パターンに従ってスパッタリング等により強磁性体膜を成膜することで基材1を形成して磁気モジュレータを作り出すことになる。
【0055】
この応用例は、プリント配線を有する樹脂基板やガラス基板、あるいは、セラミックス基板等に対して強磁性体で成る基材1を形成し、これに複数の凹部1Gを形成した構成を除外するものではない。このような非強磁性体材料で成る基板に対して基材1を形成し、この基材1の複数の凹部1Gに対して特定の微粒子を整列させるように構成することも可能である。
【0056】
金属と、その外部の媒体との界面に対して平行方向に伝播表面電磁波(表面プラズポラトリン)を得る表面プラズモン共鳴を実現する装置において、金属表面に磁気モジュレータを形成する。この構成では、磁気モジュレータの複数の凹部1Gに対して、例えば、抗原を整列させ、この抗原に抗体が結合する特異的結合反応を行わせ、この特異的結合反応による重量変化(特異的結合反応の状態)を電磁波から判定することも可能となる。
【0057】
水晶発振子の電極表面に物質が付着した場合に、共振振動が変動する現象を用いて物質の質量を計測する、所謂、QCM( Quartz Crystal Microbalance)において、電極表面に磁気モジュレータを形成する。この構成では、磁気モジュレータの表面の複数の凹部1Gに対して整列対象物を整列させることにより、整列対象物の質量を計測することも可能となる。
【0058】
バイオ物質を、磁気モジュレータの基材1の凹部1Gに沿って整列させ、巨大磁気抵抗効果(GMR:Giant Magneto Resistive effect)によりバイオ物質の巨大磁気抵抗を計測するように用いる。
【0059】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0060】
(a)
図21に示すように、凹部1Gを形成する際に、凹部1Gの底部の溝幅と比較して、凹部1Gの開口部分の幅(開口幅)を広くすることにより、凹部1Gの中間部分に突出部1Pが、突出側ほど滑らかに先細りに形成する。この突出部1Pの形状は、凹部1Gを形成する際のエッチング処理形態の設定により実現可能である。
【0061】
このように突出部1Pが形成される構成では、前述したように基材1の表面1Sに対して直交する姿勢で堀込んだ凹部1Gの形状と比較して、凹部1Gの開口縁の部位に直角となるエッジが形成されず、基材1の表面1Sの領域に対しても漏れ磁束を作用させることができる。これにより、同図に破線で示すように凹部1Gの磁束が外方に向けて膨らむように大きく漏洩させることができる。
【0062】
つまり、この構成では粗密パターンにおける磁気の「うねり」の振れ幅を大きくすることになるため、例えば、前述したポリスチレン粒子10を整列させる場合には、磁気の大きい「うねり」を利用してポリスチレン粒子10を突出部1Pの頂点部分に引き寄せて整列させることができる。
【0063】
(b)
図22に示すように、基材1に対して両側に、熱又は磁力を作用させる外部刺激部12を備える。この外部刺激部12としては、電気ヒータや電磁石が考えられるものであり、この外部刺激部12を備えることにより、凹部からの漏れ磁束の磁束密度を増減させ、整列対象物に作用させる磁束を設定して必要とする磁束の分布を得ることもできる。
【0064】
(c)基材1に凹部1Gを形成する手段として、ナノ加工技術のトップダウン法とボトムアップ法を組み合わせて使用する。この技術はレジストやエッチング材料等を用いた処理が不要であり、精密な加工により凹部1Gを形成することもできる。
【0065】
(d)基材1の表面1Sに形成する凹部1Gとして、円形や多角形等の孔や、窪みを形成する。また、凹部1Gを溝状に形成する場合に、複数の凹部を互いに直交する姿勢に設定することで凹部を格子状に形成する。このように形成される凹部1Gを形成する場合には、直径や最も狭い幅がサブミクロンであれば良い。
【0066】
また、これに関連して、基材1の表面に形成される凹部1Gに複数種の幅の溝を組み合わせることや、溝と円形の孔等を組み合わせる。
【0067】
(e)磁気モジュレータで整列対象物の整列を行う場合に、外部から磁気を作用させるための電磁石を併用する、あるいは、外部から加熱や冷却を行う調温装置と併用する。このように構成することにより、漏出磁束の調節を外部から調節して整列対象物の整列の制御も可能となる。