特許第6626311号(P6626311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6626311
(24)【登録日】2019年12月6日
(45)【発行日】2019年12月25日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20191216BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20191216BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20191216BHJP
【FI】
   H01L23/36 C
   H01L23/12 J
   H01L33/48
【請求項の数】23
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-207159(P2015-207159)
(22)【出願日】2015年10月21日
(65)【公開番号】特開2017-79277(P2017-79277A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2018年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】岩城 邦夫
【審査官】 古川 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−120529(JP,A)
【文献】 特開2000−031545(JP,A)
【文献】 特開2009−158769(JP,A)
【文献】 特開2008−182186(JP,A)
【文献】 特開2015−146457(JP,A)
【文献】 特開平09−213833(JP,A)
【文献】 特開2015−035495(JP,A)
【文献】 特開2012−033855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12−23/15
H01L 23/29
H01L 23/34−23/36
H01L 23/373−23/427
H01L 23/44
H01L 23/467−23/473
H01L 33/00
H01L 33/48−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに反対側を向く主面および裏面と、前記主面および前記裏面につながり、かつ第1方向に離間した一対の第1側面と、前記一対の第1側面からそれぞれ窪んで形成された一対の凹部と、を有する基板と、
前記基板に形成された導電層と、
前記導電層に搭載された半導体素子と、
前記半導体素子を覆う封止樹脂と、を備え、
前記基板は、前記主面の一部をなし、かつ前記主面が向く方向に突出し突出部が形成された金属板と、前記主面の一部をなすとともに、前記突出部と嵌合する開口部が形成された絶縁板と、から構成され、
前記基板には、前記裏面から窪み、かつ前記金属板を貫通するとともに、前記第1方向に離間した一対の絶縁溝が形成され、
前記一対の絶縁溝は、前記第1方向において前記一対の凹部よりも内方に位置し、かつ平面視において前記突出部を間に挟み、
前記一対の絶縁溝の各々は、前記第1方向に離間し、かつ前記裏面につながるとともに、前記金属板の一部をなす一対の側部を有し、
前記導電層は、前記主面に形成された主面導電部と、前記裏面に形成された裏面導電部と、前記一対の凹部に形成され、かつ前記主面導電部と前記裏面導電部とを相互に連絡する側面導電部と、を含み、
前記半導体素子は、前記突出部に形成された前記主面導電部に搭載され、
前記裏面導電部は、前記一対の絶縁溝の各々の前記一対の側部に形成された部分を含むことを特徴とする、半導体装置。
【請求項2】
前記突出部を除いた前記金属板の厚さは、前記絶縁板の厚さよりも厚い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記金属板は、Cuからなる、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記絶縁板は、ガラスエポキシ樹脂からなる、請求項1ないし3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記開口部の平面視形状は、円形状である、請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記突出部がなす前記主面の一部は、前記絶縁板がなす前記主面の一部と面一である、請求項1ないし5のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記基板は、平面視において前記第1方向に対して直交する第2方向に離間した一対の第2側面をさらに有し、
前記一対の第2側面は、前記一対の絶縁溝に交差している、請求項1ないし6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記一対の絶縁溝が、前記第2方向に対してともに平行となるように形成されている、請求項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記一対の絶縁溝の各々の前記一対の側部は、前記裏面から前記絶縁板にかけて、前記基板の厚さ方向に対して直交する断面積が徐々に小となるように傾斜している、請求項7または8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記裏面導電部は、前記裏面の全体に形成されている、請求項1ないし9のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記主面導電部は、前記第1方向に離間して形成された一対のパッドと、前記突出部に形成されたダイパッドと、を含み、
前記一対のパッドの各々は、前記側面導電部に連絡し、
前記半導体素子は、前記ダイパッドに搭載されている、請求項1ないし10のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項12】
平面視において、前記一対のパッドのいずれかは、前記一対の絶縁溝のいずれかと重なる部分を含む、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記半導体素子と、前記一対のパッドのいずれかと、を接続するボンディングワイヤをさらに備える、請求項11または12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記一対のパッドのいずれかの一部を覆い、かつ前記封止樹脂に接する被覆材をさらに備え、
前記被覆材は、前記主面寄りに位置する前記一対の凹部のいずれかの端部を塞いでいる、請求項11ないし13のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項15】
前記導電層は、下地層と、前記下地層に積層されためっき層と、を有し、
前記下地層は、前記基板と前記めっき層との間に介在している、請求項1ないし14のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項16】
前記下地層は、Cuからなる、請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記めっき層は、互いに積層されたNi、PdおよびAuからなる、請求項15または16に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記主面導電部は、前記基板と前記下地層との間に介在する金属箔をさらに有する、請求項15ないし17のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項19】
前記金属箔は、Cuからなる、請求項18に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記半導体素子は、発光ダイオードである、請求項1ないし19のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項21】
前記封止樹脂は、透光性を有する合成樹脂からなる、請求項20に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記半導体素子は、パワーMOSFETである、請求項1ないし19のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項23】
前記封止樹脂は、遮光性を有する合成樹脂からなる、請求項22に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光ダイオードやパワー半導体など、使用時に発熱する半導体素子を搭載した半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子のうち、発光ダイオード(LED(Light Emitting Diode))やパワー半導体(パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)など)は、使用時に比較的多くの熱を発生する半導体素子として広く知られている。これらの半導体素子には高出力化の要請が強く、高出力化を図ると該半導体素子から発生する熱量がさらに増加する。こうした熱は、該半導体素子を搭載した半導体装置の損傷などを引き起こす要因となり得る。したがって、半導体装置の信頼性確保の上で、該半導体素子から発生した熱の放出(除去)は重要な課題である。
【0003】
ここで、たとえば特許文献1に、半導体素子から発生した熱を効率良く外部に放出することが可能な半導体装置が開示されている。該半導体装置のパッケージ構造形式は、BGA(Ball Grid Array)である。該半導体装置の基板は、金属板と絶縁層と金属箔とが互いに積層された構造となっており、前記金属箔に導電層が形成されている。前記金属板には、半田バンプが設置されるランドパターンや、半導体素子から発生する熱を外部に放出するためのヒートスプレッダなどが形成されている。前記ヒートスプレッダはGND端子と兼用している。また、前記絶縁層にはビアホールが形成され、該ビアホールは前記ヒートスプレッダと、GND端子となる前記金属箔とを連絡している。このような構成をとることによって、半導体素子から発生した熱が、前記金属箔および前記ビアホールを介して、前記ヒートスプレッダに伝導され、該熱が外部に放出される。
【0004】
しかしながら、前記ビアホールの横断面積は比較的小さいため、より多くの熱を伝導する上で該ビアホールはいわゆるボトルネックとなり、熱の伝導効率が低下する。よって、高出力化を図った半導体素子を搭載した半導体装置の場合、特許文献1に開示されている構造では該半導体素子から発生する熱を十分に放出することが困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−12768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、高出力化を図った半導体素子から使用時に発生する熱を、より効率良く外部に放出することが可能な半導体装置およびその製造方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面によって提供される半導体装置は、互いに反対側を向く主面および裏面と、前記主面および前記裏面の双方に交差し、かつ第1方向に離間した一対の第1側面からそれぞれ窪んで形成された一対の凹部と、を有する基板と、前記基板に形成された導電層と、前記導電層に搭載された半導体素子と、前記半導体素子を覆う封止樹脂と、を備え、前記基板は、前記主面が向く方向に突出し、かつ前記半導体素子が搭載された前記導電層に覆われた突出部が形成された金属板と、前記突出部と嵌合する開口部が形成された絶縁板と、から構成され、前記裏面から窪み、かつ前記金属板を貫通する絶縁溝が、前記突出部と前記凹部との間に形成されていることを特徴としている。
【0008】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記絶縁板は、前記基板の厚さ方向において、前記主面寄りに位置している。
【0009】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記突出部を除いた前記金属板の厚さは、前記絶縁板の厚さよりも厚い。
【0010】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記金属板は、Cuからなる。
【0011】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記絶縁板は、ガラスエポキシ樹脂からなる。
【0012】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記主面において、前記開口部から前記突出部が露出している。
【0013】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記開口部の平面視形状は、円形状である。
【0014】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記裏面には、第1方向に離間した一対の前記絶縁溝が、前記突出部を挟んで形成されている。
【0015】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記基板は、平面視において前記第1方向に対して直交する第2方向に離間した一対の第2側面をさらに有し、前記一対の第2側面は、前記一対の絶縁溝に交差している。
【0016】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記一対の絶縁溝が、前記第2方向に対してともに平行となるように形成されている。
【0017】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記導電層は、下地層と、前記下地層を覆って積層されためっき層と、を有し、前記下地層は、前記基板と前記めっき層との間に介在している。
【0018】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記下地層は、Cuからなる。
【0019】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記めっき層は、互いに積層されたNi、PdおよびAuからなる。
【0020】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記主面に形成された前記導電層は、前記基板と前記下地層との間に介在する金属箔をさらに有する。
【0021】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記金属箔は、Cuからなる。
【0022】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記導電層は、前記主面に形成された主面導電部と、前記裏面に形成された裏面導電部と、前記凹部に形成され、かつ前記主面導電部と前記裏面導電部とを相互に連絡する側面導電部と、を含み、前記突出部に形成された前記主面導電部に前記半導体素子が搭載されている。
【0023】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記裏面導電部は、前記絶縁溝が形成されていない前記裏面の全ての部分に形成されている。
【0024】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記主面導電部は、前記第1方向に離間して前記第1方向に離間して形成された一対のパッドと、前記突出部に形成されたダイパッドと、を含み、前記一対のパッドは前記側面導電部にそれぞれ連絡し、前記ダイパッドに前記半導体素子が搭載されている。
【0025】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記半導体素子と前記パッドとを接続するボンディングワイヤをさらに備える。
【0026】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記パッドの一部を覆い、かつ前記封止樹脂に接する被覆材をさらに備える。
【0027】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記半導体素子は、発光ダイオードである。
【0028】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記封止樹脂は、透光性を有した合成樹脂からなる。
【0029】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記半導体素子は、パワーMOSFETである。
【0030】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記封止樹脂は、遮光性を有した合成樹脂からなる。
【0031】
本発明の第2の側面によって提供される半導体装置の製造方法は、互いに反対側を向く主面および裏面を有する基板を成形する工程と、前記基板に導電層を形成する工程と、前記主面に形成された導電層に半導体素子を搭載する工程と、前記半導体素子を覆う封止樹脂を前記基板に形成する工程と、を備え、前記基板を成形する工程では、前記主面の一部および前記裏面を構成し、かつ突出部が形成された金属板と、前記主面の一部を構成し、かつ開口部が形成された絶縁板とを、前記開口部に前記突出部を嵌合させて圧着することにより前記基板が成形されることを特徴としている。
【0032】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記基板を成形する工程では、前記突出部は、ウェットエッチングにより形成される。
【0033】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記基板を成形する工程では、前記金属板よりも厚さが薄い金属箔を、前記絶縁板に対して前記金属板の反対側に配置した後、前記金属板および前記絶縁板とともに前記金属箔を圧着する。
【0034】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記基板を成形する工程では、前記金属板と、前記絶縁板と、前記金属箔とを圧着する前に、前記金属板と、前記絶縁板と、前記金属箔とのいずれに対して貫通孔を複数形成する工程を含み、前記金属板と、前記絶縁板と、前記金属箔とを圧着したときに平面視において前記貫通孔が互いに重なり合うことにより、前記基板を貫通するスルーホールが形成される。
【0035】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記導電層を形成する工程では、前記基板を覆う下地層を形成する工程と、前記下地層に対してフォトリソグラフィによりマスクを形成する工程と、ウェットエッチングにより前記金属板、前記金属箔および前記下地層をパターニングする工程と、を含む。
【0036】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記下地層を形成する工程では、無電解めっきにより前記下地層が形成される。
【0037】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記パターニングする工程では、前記裏面において、前記突出部と前記スルーホールとの間に前記金属板を貫通する絶縁溝が形成される。
【0038】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記導電層を形成する工程では、前記パターニングする工程の後に、前記下地層を覆うめっき層を形成する工程をさらに含む。
【0039】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記めっき層を形成する工程では、電解めっきにより前記めっき層が形成される。
【0040】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記半導体素子を搭載する工程の前に、前記主面寄りに位置する前記スルーホールの端部を塞ぎ、かつ前記主面に形成された前記導電層の一部を覆う被覆材を配置する工程をさらに備える。
【0041】
本発明の実施の形態において好ましくは、前記半導体素子を搭載する工程の後に、ワイヤボンディングにより前記半導体素子と前記主面に形成された前記導電層とを接続するボンディングワイヤを形成する工程をさらに備える。
【発明の効果】
【0042】
本発明にかかる該半導体装置の基板は、主面が向く方向に突出し、かつ半導体素子が搭載された導電層に覆われた突出部が形成された金属板と、前記突出部と嵌合する開口部が形成された絶縁板から構成されている。また、前記基板には、裏面から窪み、かつ前記金属板を貫通する絶縁溝が、前記突出部と前記基板の両端に形成された凹部との間に形成されている。このような構成をとることによって、前記突出部は、前記凹部に近接して形成された導電層との電気絶縁が図られたヒートスプレッダとしての機能を果たす部位となり、該部位の基板の厚さ方向に対する横断面積は、従来よりもさらに大きく確保することができる。したがって、高出力化を図った半導体素子から使用時に発生する熱を、より効率良く半導体装置の外部に放出することが可能となる。
【0043】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明にかかる半導体装置の平面図である(封止樹脂を省略)。
図2図1に示す半導体装置の底面図である。
図3図1のIII−III線に沿う断面図である。
図4図1のIV−IV線に沿う断面図である。
図5図3の部分拡大図である。
図6図1に示す半導体装置の製造方法を説明する平面図である。
図7図6のVII−VII線に沿う断面図である。
図8図1に示す半導体装置の製造方法を説明する平面図である。
図9図8のIX−IX線に沿う断面図である。
図10図1に示す半導体装置の製造方法を説明する斜視図である。
図11図1に示す半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
図12図1に示す半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
図13図1に示す半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
図14図1に示す半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
図15図1に示す半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
図16図1に示す半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
図17図1に示す半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
図18図1に示す半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について、添付図面に基づいて説明する。
【0046】
図1図5に基づき、本発明にかかる半導体装置A10の実施形態について説明する。説明の便宜上、平面図の左右方向を第1方向Xと、第1方向Xに対して直角である平面図の上下方向を第2方向Yとそれぞれ定義する。第1方向Xおよび第2方向Yは、ともに半導体装置A10や後述する基板10などの厚さ方向Zに対して直角である。
【0047】
図1は、半導体装置A10の平面図である。図2は、半導体装置A10の底面図である。図3は、図1のIII−III(一点鎖線)に沿う断面図である。図4は、図1のIV−IV線に沿う断面図である。図5は、図3の部分拡大図である。ここで、図1は、理解の便宜上、後述する封止樹脂4を省略している。ただし、図3図5は、封止樹脂4を省略していない。
【0048】
これらの図に示す半導体装置A10は、各種回路基板に表面実装されるパッケージ形式のものである。本実施形態による半導体装置A10は、基板10、導電層20、被覆材29、半導体素子31、接合層32、封止樹脂4およびボンディングワイヤ5を備えている。半導体装置A10は、平面視矩形状である。
【0049】
基板10は、半導体素子31および封止樹脂4を支持し、かつ半導体装置A10を各種回路基板に実装するための部材である。図3および図4に示すように、本実施形態においては、基板10は互いに積層された電気伝導体である金属板101と、電気絶縁体である絶縁板102とからなる複合材料により構成されている。また、本実施形態においては、金属板101はCuからなり、絶縁板102はガラスエポキシ樹脂からなる。図1に示すように、金属板101には、平面視形状が円形状である突出部101aが中央に形成されている。また、絶縁板102には、平面視形状が円形状である開口部102aが中央に形成され、開口部102aは突出部101aと嵌合している。突出部101aの高さは、絶縁板102の厚さに等しく、突出部101aを除いた金属板101の厚さは、絶縁板102の厚さよりも厚く設定されている。また、基板10において、図3および図4に示す金属板101の上面の一部が、絶縁板102に覆われた形態となっている。基板10は、主面11、裏面12、一対の第1側面131、一対の第2側面132、一対の凹部14および一対の絶縁溝15を有する。
【0050】
主面11は、図3図5に示す基板10の上面である。半導体装置A10において、主面11が向く方向に半導体素子31が位置している。金属板101において、突出部101aは主面11が向く方向に突出している。本実施形態においては、主面11は、突出部101aおよび絶縁板102から構成され、主面11において、開口部102aから突出部101aが露出している。裏面12は、図3図5に示す基板10の下面である。裏面12は、半導体装置A10を各種回路基板に実装する際に利用される面である。本実施形態においては、裏面12は、金属板101から構成されている。したがって、絶縁板102は、基板10の厚さ方向Zにおいて、主面11寄りに位置している。図3図5に示すように、主面11および裏面12は、ともに基板10の厚さ方向Zに対して直交し、かつ互いに反対側を向いている。また、主面11および裏面12は、ともに平たんである。
【0051】
図1図3に示すように、一対の第1側面131は、主面11および裏面12の双方に交差し、かつ第1方向Xに離間した基板10の側面である。また、図1図2および図4に示すように、一対の第2側面132は、主面11および裏面12の双方に交差し、かつ平面視において第1方向Xに直交する第2方向Yに離間した基板10の側面である。一対の第1側面131および一対の第2側面132は、いずれも半導体装置A10の外側を向き、かつ平たんである。
【0052】
図1図3に示すように、一対の凹部14は、主面11および裏面12の双方に交差し、かつ一対の第1側面131からそれぞれ窪んで形成された基板10の部分である。本実施形態においては、凹部14は曲面から構成され、主面11から裏面12に至るまで、基板10の厚さ方向Zに対する凹部14の横断面形状が一様である。凹部14の第2方向Yにおける両端は、それぞれ第1側面131につながっている。
【0053】
図2および図3に示すように、一対の絶縁溝15は、裏面12から窪み、かつ金属板101を貫通する基板10の部分である。図5に示すように、絶縁溝15の底部151から絶縁板102が露出している。一対の絶縁溝15のそれぞれが、突出部101aと凹部14との間に形成され、かつ一対の第2側面132に交差している。本実施形態においては、一対の絶縁溝15は、第1方向Xに離間した状態で突出部101aを挟んで形成され、かつ第2方向Yに対してともに平行となるように形成されている。また、第1方向Xに離間した絶縁溝15の一対の側部152は、それぞれ裏面12につながっている。図5に示すように、絶縁溝15の一対の側部152は、裏面12から絶縁板102にかけて、基板10の厚さ方向Zに対して直交する断面積が徐々に小となるように傾斜している。また、絶縁溝15の長さ方向(第2方向Y)に対する横断面形状は一様である。なお、絶縁溝15の一対の側部152は、金属板101の一部である。
【0054】
導電層20は、半導体素子31と各種回路基板との導電経路の一部を構成する、基板10に形成された部材である。導電層20は、接合層32およびボンディングワイヤ5を介して半導体素子31に導通される。図3図5に示すように本実施形態においては、導電層20は、金属箔201、下地層202およびめっき層203を有する。金属箔201は、主面11を覆って形成された導電層20を構成する各層の一つであり、本実施形態においてはCuからなる。金属箔201は、基板10と下地層202との間に介在している。下地層202は、金属箔201、裏面12および一対の凹部14を覆って形成された導電層20を構成する各層の一つであり、本実施形態においてはCuからなる。めっき層203は、下地層202を覆って積層された導電層20を構成する各層の一つであり、本実施形態においては、互いに積層されたNi、PdおよびAuからなる。また、図3に示すように導電層20は、主面導電部21、裏面導電部22および側面導電部23を含む。このうち主面導電部21のみ、下地層202およびめっき層203に加えて金属箔201を有する。
【0055】
図1図3および図4に示すように、主面導電部21は、主面11に形成され、かつ半導体素子31が搭載される導電層20の部位である。本実施形態においては、主面導電部21は、第1方向Xに離間して形成された一対のパッド211と、突出部101aに形成されたダイパッド212とを含む。一対のパッド211は、被覆材29に覆われた平面視円弧状かつ帯状の部分と、ボンディングワイヤ5が接続される平面視矩形状の部分とから構成されている。一対のパッド211は、ともに同一形状である。図3および図5に示すように、平面視において、一対のパッド211のいずれかは、一対の絶縁溝15のいずれかと重なる部分を含む。ダイパッド212は、主面11から露出した突出部101aの全ての部分に形成されている。ダイパッド212に半導体素子31が搭載されている。
【0056】
図2図4に示すように、裏面導電部22は、裏面12に形成され、かつ各種回路基板に接続される導電層20の部位である。本実施形態においては、裏面導電部22は、第1方向Xに離間して形成された一対の裏面端導電部221と、裏面12の中央に形成された裏面中央導電部222とを含む。裏面端導電部221は、側面導電部23を介してパッド211に導通する部分である。裏面中央導電部222は、金属板101を介してダイパッド212に導通する部分である。また、本実施形態においては、裏面導電部22は、絶縁溝15が形成されていない裏面12の全ての部分に形成されている。また、図5に示すように、裏面導電部22は、絶縁溝15の一対の側部152にも形成されている。
【0057】
図1図3に示すように、側面導電部23は、凹部14に形成された導電層20の部位である。側面導電部23は、凹部14の全ての部分に形成されている。本実施形態においては、側面導電部23は、主面導電部21のパッド211と、裏面導電部22の裏面端導電部221とを相互に連絡している。
【0058】
なお、図1図5に示す導電層20の配置形態は一例であり、実際の半導体装置A10における導電層20の配置形態は、これに限定されない。
【0059】
図1および図3に示すように、被覆材29は、主面11およびパッド211のそれぞれの一部ずつを覆い、かつ封止樹脂4に接する部材である。被覆材29は、主面11寄りに位置する凹部14の端部を塞いでいる。被覆材29は電気絶縁体である。被覆材29は、たとえばソルダーレジストフィルムである。
【0060】
半導体素子31は、図1図3および図4に示すように、突出部101aに形成された主面導電部21のダイパッド212に、接合層32を介して搭載されている。本実施形態においては、半導体素子31は発光ダイオードであり、たとえばpn接合により複数の半導体層が互いに積層された素子である。この場合において、半導体装置A10に電流が流れると、半導体素子31は発光する。前記半導体層を構成する物質により、半導体素子31は赤色光、青色光または緑色光などを発する。本実施形態による半導体素子31は、図3および図4に示す半導体素子31の上面にp側電極(アノード)およびn側電極(カソード)がそれぞれ形成されている。前記p側電極および前記n側電極に、それぞれボンディングワイヤ5が接続されることによって、半導体素子31はボンディングワイヤ5を介して一対のパッド211に導通される。この場合において、半導体素子31は、ダイパッド212に導通されない。
【0061】
また、半導体素子31は、パワーMOSFETなどのパワー半導体であってもよい。この場合において、半導体素子31のソース端子およびゲート端子は、図3および図4に示す半導体素子31の上面に形成され、前記ソース端子および前記ゲート端子はそれぞれ、ボンディングワイヤ5を介してパッド211に導通される。また半導体素子31のドレイン端子は、図3および図4に示す半導体素子31の下面に形成され、前記ドレイン端子は接合層32を介してダイパッド212に導通される。
【0062】
接合層32は、図1図3および図4に示すように、半導体素子31とダイパッド212との間に介在する部材である。接合層32により、半導体素子31は固着によってダイパッド212に搭載される。本実施形態においては、接合層32は電気絶縁体であり、たとえばポリイミド樹脂を主剤とする合成樹脂からなる。なお、半導体素子31がパワーMOSFETなどのパワー半導体である場合は、接合層32は電気伝導体であり、たとえばAgペーストからなる。
【0063】
封止樹脂4は、図3および図4に示すように、主面11に形成された半導体素子31を覆う合成樹脂である。本実施形態においては、封止樹脂4は透光性を有し、かつ電気絶縁体である合成樹脂からなり、該合成樹脂としてたとえばシリコーン樹脂が挙げられる。封止樹脂4は、半導体素子31以外に、主面導電部21、被覆材29、接合層32およびボンディングワイヤ5を覆っている。封止樹脂4は、樹脂主面41および樹脂側面43を有する。樹脂主面41および樹脂側面43は、半導体装置A10において露出した面であり、かつ平たんである。樹脂主面41は、主面11と同一方向を向く面である。樹脂側面43は、一対の第1側面131、または一対の第2側面132と同一方向を向く面である。樹脂側面43は、一対の第1側面131、または一対の第2側面132のいずれに対して面一である。なお、半導体素子31がパワーMOSFETなどのパワー半導体である場合は、封止樹脂4は遮光性を有し、かつ電気絶縁体である合成樹脂からなり、該合成樹脂としてたとえば黒色のエポキシ樹脂が挙げられる。
【0064】
ボンディングワイヤ5は、半導体素子31とパッド211とを接続する配線である。図1に示すように、本実施形態においては、ボンディングワイヤ5は2箇所形成されている。ボンディングワイヤ5は、たとえばAuからなる。
【0065】
次に、図6図18に基づき、半導体装置A10の製造方法の一例について説明する。図6および図8は、半導体装置A10の製造方法を説明する平面図である。図7は、図6のVII−VII線に沿う断面図である。図9は、図8のIX−IX線に沿う断面図である。図10は、半導体装置A10の製造方法を説明する斜視図である。図11図18は、半導体装置A10の製造方法を説明する断面図である。ここで、図11図18に示す断面位置は、図3に示す断面位置と同一である。
【0066】
最初に、図6図11に示すように基板81を成形する。まず、図6および図7に示すように、突出部811aおよび第1貫通孔811bがそれぞれ複数形成された金属板811を用意する。金属板811は、半導体装置A10の金属板101の集合体であり、参考に金属板101に該当する領域を図6において想像線(二点鎖線)で示す。本実施形態においては、金属板811はCuからなる。突出部811aを除いた金属板811の厚さは、後述する絶縁板812の厚さよりも厚い。突出部811aは、金属板811に対してフォトリソグラフィによりマスクを形成した後、ウェットエッチングにより金属板811の一部を除去することにより形成される。該ウェットエッチングに用いられる溶液として、たとえば硫酸(H2SO4)および過酸化水素(H22)との混合溶液が挙げられる。第1貫通孔811bは、ドリルなどの工具を用いた切削加工により形成される。突出部811aおよび第1貫通孔811bの平面視形状は、ともに円形状である。また、平面視において、突出部811aの直径は、第1貫通孔811bの直径よりも大である。
【0067】
次いで、図8および図9に示すように、開口部812aおよび第2貫通孔812bがそれぞれ複数形成された絶縁板812を用意する。絶縁板812は、半導体装置A10の絶縁板102の集合体であり、参考に絶縁板102に該当する領域を図8において想像線(二点鎖線)で示す。本実施形態においては、絶縁板812はガラスエポキシ樹脂からなる。絶縁板812の厚さは、突出部811aの高さに等しい。開口部812aおよび第2貫通孔812bは、ともにドリルなどの工具を用いた切削加工により形成される。開口部812aおよび第1貫通孔811bの平面視形状は、ともに円形状である。開口部812aの中心位置は突出部811aの中心位置に等しく、第2貫通孔812bの中心位置は第1貫通孔811bの中心位置に等しい。また、開口部812aの直径は突出部811aの直径に等しく、第2貫通孔812bの直径は第1貫通孔811bの直径に等しい。
【0068】
次いで、図10に示すように、金属板811よりも厚さが薄く、かつ、第3貫通孔821aが複数形成された金属箔821を、絶縁板812に対して金属板811の反対側に配置した後、金属板811および絶縁板812とともに金属箔821をプレスにより圧着する。圧着にあたっては、開口部812aに突出部811aを嵌合させて圧着する。ここで金属箔821は、後述する導電層82を構成する各層の一つであり、本実施形態においてはCuからなる。また、第3貫通孔821aの平面視形状、中心位置および直径は、第1貫通孔811bおよび第2貫通孔812bのそれらに等しい。第3貫通孔821aは、たとえば打ち抜き(パンチング)加工により形成される。金属板811と、絶縁板812と、金属箔821とを圧着したとき、平面視において、第1貫通孔811bと、第2貫通孔812bと、第3貫通孔821aとが互いに重なり合う。該工程を経ることによって、半導体装置A10の基板10の集合体である基板81が成形される。
【0069】
図11は、基板81のうち、基板10に該当する領域の断面図である。図11に示すように、基板81の厚さ方向Zにおいて、基板81は互いに反対側を向く主面816および裏面817を有する。金属板811は、突出部811aからなる主面816の一部と、裏面817とを構成する。絶縁板812は、突出部811aを除いた主面816の一部を構成する。また、平面視において、第1貫通孔811bと、第2貫通孔812bと、第3貫通孔821aとが互いに重なり合うことにより、基板81を貫通するスルーホール818が突出部811aを挟んだ両側に形成される。スルーホール818の一部が、半導体装置A10の凹部14に該当する。さらに、金属箔821が、主面816の全てを覆って配置される。金属箔821が、半導体装置A10の金属箔201に相当する。
【0070】
次いで、基板81に導電層82を形成する。導電層82が、半導体装置A10の導電層20に相当する。本実施形態においては、導電層82を形成する工程では、基板81を覆う下地層822を形成する工程と、下地層822に対してフォトリソグラフィによりマスクを形成する工程と、ウェットエッチングにより金属板811、金属箔821および下地層822をパターニングする工程と、下地層822を覆うめっき層823を形成する工程とを含む。
【0071】
まず、図12に示すように、基板81の裏面817およびスルーホール818の全面と、金属箔821の全面とに下地層822を形成する。下地層822が、半導体装置A10の下地層202に相当する。本実施形態においては、下地層822はCuからなる。スルーホール818の一部が電気絶縁体である絶縁板812であることから、下地層822は無電解めっきにより形成される。
【0072】
次いで、図13に示すように、下地層822に対してフォトリソグラフィによりマスクを形成する。先に基板81にレジスト層88を形成した後、レジスト層88に対して露光・現像を行うことによって、下地層822に対してマスクが形成される。レジスト層88は、基板81に形成された下地層822の全てを覆って形成される。また、レジスト層88は、フォトレジストをたとえばスプレー塗布することにより形成される。本実施形態においては、該フォトレジストはポジ型であるため、露光されたレジスト層88の部分が現像液により除去される。
【0073】
次いで、図14に示すように、ウェットエッチングにより金属板811、金属箔821および下地層822をパターニングした後、基板81に形成されたレジスト層88を全て除去する。該ウェットエッチングに用いられる溶液は、図7に示す突出部811aを形成するときに用いた溶液と同一である。該工程により、レジスト層88から露出した下地層822が除去され、さらに除去された下地層822に覆われた金属板811および金属箔821がともに除去される。このとき、裏面817において、突出部811aとスルーホール818との間に金属板811を貫通する絶縁溝819が形成される。
【0074】
次いで、図15に示すように、下地層822を覆うめっき層823を形成する。めっき層823が、半導体装置A10のめっき層203に相当する。めっき層823は、電解めっきにより形成される。本実施形態においては、下地層822に近い方から電解めっきによりNi、Pd、Auの順に積層させることによりめっき層823が形成される。該工程を経ることによって、導電層82が形成される。
【0075】
次いで、図16に示すように、主面816寄りに位置するスルーホール818の端部を塞ぎ、かつ主面816に形成された導電層82の一部を覆う被覆材829を配置する。被覆材829が、半導体装置A10の被覆材29に相当する。被覆材829は、後述する封止樹脂84の形成において、封止樹脂84がスルーホール818内へ流出することを防止する機能を果たす。被覆材829は電気絶縁体である。被覆材829は、たとえばソルダーレジストフィルムである。
【0076】
次いで、図17に示すように、主面816に形成された導電層82に半導体素子831を搭載する。半導体素子831が、半導体装置A10の半導体素子31に相当する。本実施形態においては、半導体素子831は発光ダイオードであるが、パワーMOSFETなどのパワー半導体であってもよい。半導体素子31が発光ダイオードである場合は、主面816に形成された導電層82にポリイミド樹脂を主剤とする合成樹脂を塗布し、ダイボンディングにより半導体素子31を導電層82に固着させる。このとき、該合成樹脂が固化したものが接合層832になり、半導体装置A10の接合層32に相当する。また、半導体素子31がパワーMOSFETなどのパワー半導体である場合は、該合成樹脂に代わってAgペーストを主面816に形成された導電層82に塗布する。このとき、該Agペーストが固化したものが接合層832になる。その後、ワイヤボンディングにより半導体素子31と主面816に形成された導電層82とを接続するボンディングワイヤ85を形成する。ボンディングワイヤ85が、半導体装置A10のボンディングワイヤ5に相当する。
【0077】
次いで、図18に示すように、半導体素子831を覆う封止樹脂84を基板81に形成する。封止樹脂84が、半導体装置A10の封止樹脂4に相当する。封止樹脂84により、半導体素子831以外に、主面816に形成された導電層82、被覆材829、接合層832およびボンディングワイヤ85を完全に覆うようにする。封止樹脂84は、たとえばトランスファモールド成形により形成される。半導体素子31が発光ダイオードである場合は、封止樹脂84は透光性を有し、かつ電気絶縁体である合成樹脂からなり、該合成樹脂としてたとえばシリコーン樹脂が挙げられる。また、半導体素子31がパワーMOSFETなどのパワー半導体である場合は、封止樹脂84は遮光性を有し、かつ電気絶縁体である合成樹脂からなり、該合成樹脂としてたとえば黒色のエポキシ樹脂が挙げられる。
【0078】
最後に、基板81を切断(ダイシング)することによって、半導体素子831ごとの個片に分割する。切断にあたっては、たとえばダイシングブレード(図示略)を用いる。前記個片が半導体装置A10となる。以上の工程を経ることによって、半導体装置A10が製造される。
【0079】
次に、半導体装置A10の作用効果について説明する。
【0080】
本実施形態によれば、半導体装置A10の基板10は、主面11が向く方向に突出し、かつ半導体素子31が搭載された導電層20に覆われた突出部101aが形成された金属板101と、突出部101aと嵌合する開口部102aが形成された絶縁板102から構成されている。また、基板10には、裏面12から窪み、かつ金属板101を貫通する絶縁溝15が、突出部101aと基板10の両端に形成された凹部14との間に形成されている。このような構成をとることによって、突出部101aは、凹部14に近接して形成された導電層20(パッド211、裏面導電部22(裏面端導電部221)および側面導電部23)との電気絶縁が図られたヒートスプレッダとしての機能を果たす部位となり、該部位の基板10の厚さ方向Zに対する横断面積は、従来よりもさらに大きく確保することができる。したがって、高出力化を図った半導体素子31から使用時に発生する熱を、より効率良く半導体装置A10の外部に放出することが可能となる。
【0081】
半導体装置A10の製造において、基板81は、突出部811aが形成された金属板811と、開口部812aが形成された絶縁板812とを、開口部812aに金属板811を嵌合させて圧着することにより成形される。このことは、複合材料により構成される基板81の製造の省力化に寄与するため、基板81を効率良く製造することができる。
【0082】
突出部101aを除いた金属板101の厚さを、絶縁板102の厚さよりも厚く設定することにより、曲げなどに対する基板10の強度増加を図ることができる。このとき、一対の第1側面131および一対の第2側面132のうち、金属板101が占める面積が拡大することから、半導体装置A10の外部への放熱効果を、より向上させることができる。
【0083】
金属板101の材質を、熱伝導率が比較的高いCuとすることにより、半導体素子31から使用時に発生する熱の放出効果を向上させる上で好適な基板10の構造とすることができる。
【0084】
基板10の裏面12には、突出部101aを挟んで第1方向Xに離間した一対の絶縁溝15が形成され、一対の絶縁溝15のそれぞれが、第2方向Yに離間した一対の第2側面132に交差している。このような絶縁溝15を形成することによって、突出部101aと凹部14に近接して形成された導電層20との電気絶縁を確実に図ることができる。さらに、一対の絶縁溝15が第2方向Yに対して平行となるように形成されることにより、半導体装置A10の製造において、絶縁溝819を形成するためのマスク形成の省力化を図りつつ、かつ基板81の状態でめっき層823を電解めっきによって効率良く形成することができる。
【0085】
裏面12に形成された裏面導電部22は、絶縁溝15が形成されていない裏面12の全ての部分に形成されている。このような構成とすることによって、ヒートスプレッダとしての機能を果たす突出部101aとの導通が図られた裏面導電部22(裏面中央導電部222)の面積をより広く確保することができる。このことは、半導体装置A10の外部への放熱効果を向上させる上で好適である。
【0086】
また、半導体素子31をパワーMOSFETなどのパワー半導体とした場合、突出部101aに形成された導電層20(ダイパッド212)をドレイン端子とすることにより、半導体素子31によって増幅された電流を、金属板101を介して裏面12に形成された裏面導電部22(裏面中央導電部222)により多く流すことができる。この場合においても、金属板101の材質をCuとすることは、該電流が流れる金属板101の抵抗を低く設定することができるため好適である。
【0087】
本発明は、先述した実施の形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0088】
A10:半導体装置
10:基板
101:金属板
101a:突出部
102:絶縁板
102a:開口部
11:主面
12:裏面
131:第1側面
132:第2側面
14:凹部
15:絶縁溝
151:底部
152:側部
20:導電層
201:金属箔
202:下地層
203:めっき層
21:主面導電部
211:パッド
212:ダイパッド
22:裏面導電部
221:裏面端導電部
222:裏面中央導電部
23:側面導電部
29:被覆材
31:半導体素子
32:接合層
4:封止樹脂
41:樹脂主面
43:樹脂側面
5:ボンディングワイヤ
81:基板
811:金属板
811a:突出部
811b:第1貫通孔
812:絶縁板
812a:開口部
812b:第2貫通孔
816:主面
817:裏面
818:スルーホール
819:絶縁溝
82:導電層
821:金属箔
821a:第3貫通孔
822:下地層
823:めっき層
829:被覆材
831:半導体素子
832:接合層
84:封止樹脂
85:ボンディングワイヤ
88:レジスト層
X:第1方向
Y:第2方向
Z:厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18