(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の両面焼きのグリルでは、グリルプレートを用いて食材の加熱調理を行う場合に、グリルプレートの上下間で円滑に燃焼ガスが循環されず、食材の種類によっては、焼きむらが生じる虞があった。また、加熱庫内に上下両方から燃焼ガスを放出させる分、必要以上にガスを消費する問題もある。しかも、上記従来の両面焼きのグリルでは、加熱庫内の上方および下方にそれぞれバーナが配設されているため、部品点数や組立工数が多く、その分、製造コストが高くなる問題もあった。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、グリルプレート上の食材を上下両面から同時に加熱可能なグリルにおいて、安定した加熱性能を発揮しつつ、省エネ性の向上および製造コストの低廉化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前面に開口部を有する加熱庫と、加熱庫の後部から器具外部へ向けて延設され、加熱庫の内外を繋ぐ排気筒と、前記開口部から加熱庫内に収容されるグリルプレートと、加熱庫内におけるグリルプレートの下方に配設されるバーナと、加熱庫内におけるグリルプレートの上方から側方に亘って設けられ、且つ、加熱庫の前後方向に延設され、バーナから放出された燃焼ガスをグリルプレートの上方へ導く集熱カバーとを備え、
加熱庫の側壁に、集熱カバーを支持するカバー支持部が上下方向に複数列設けられ、加熱庫の上壁と前記上壁に対向する集熱カバーの上板との間に、排気筒内へ繋がる排気通路が設けられ、グリルプレートの上方へ導かれた燃焼ガスが、排気通路を通じて排気筒内へ導かれるよう、前記上板とグリルプレートとの間の空間と、排気筒の内部空間とが、隔壁により分離して設けられ、前記上板に、排気通路に繋がる排気導出部が設けられ、バーナからグリルプレートの外側方へ向けて放出された燃焼ガスを、グリルプレートの下面外側を通って上方の空間に導き、前記上板側からグリルプレートの上面中央へ向けて対流させるようにしたものである。
【0007】
このものでは、
加熱庫内におけるグリルプレートの下方にバーナが設けられている一方、加熱庫の内側に、グリルプレートの上方から側方に亘って集熱カバーが設けられており、グリルプレートの下方にてバーナから
グリルプレートの外側方へ向けて放出された燃焼ガスが、グリルプレートの
下面外側を通って上方
の空間へ円滑に導かれ、
集熱カバーの上板側からグリルプレートの上面中央へ向けて対流する。これにより、グリルプレートおよび集熱カバー
が十分に加熱
される。その結果、グリルプレート上の食材は、グリルプレートからの伝導熱や輻射熱によって下方から加熱されると共に、集熱カバーからの輻射熱やグリルプレートの上面側に回り込んだ燃焼ガスの対流熱によって上方および側方から加熱される。即ち、グリルプレートの下方から側方を通って上方へ導かれる燃焼ガスによって、食材が上下両面から適切に加熱される。従って、食材に焼きむらが生じ難いし、ガスの消費量も低減できる。また、加熱庫内の上部に、食材を上方から加熱するためのバーナを別途設ける必要がないから、グリル全体の部品点数や組立工数も削減できる。
【0008】
さらに、このものでは、グリルプレートの上方へ導かれた燃焼ガスは、加熱庫の後部から直接排気筒内へ導出されるのではなく、集熱カバーの上板に設けられた排気導出部を通じて加熱庫の上壁と集熱カバーの上板との間の排気通路へ導出され、さらに排気通路を通って排気筒内へ導かれ、加熱庫の外部へ排出されるから、集熱カバーに対する燃焼ガスの接触時間が長く、燃焼ガス中の熱を集熱カバーにて効率良く回収することができる。よって、ガスの消費量を一層低減できる。
【0011】
また、このものでは、加熱庫の側壁に、集熱カバーを支持するカバー支持部が上下方向に複数列設けられ
ており、食材の厚みに合わせて集熱カバーの取り付け高さを変更し、集熱カバーの上板と食材との上下間の距離を調整することにより、集熱カバーから食材へ伝達される熱量を調整できるから、ガスの消費量を低減できる。また、厚みが異なっても適切に食材を加熱することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、グリルプレートの下方から上方へ円滑に燃焼ガスが循環され、食材を上下両面から適切に加熱するから、安定した加熱性能を発揮できる。しかも、グリルプレートの下方に設けられたグリルバーナによって食材を上下両面から加熱する構成としたことで、ガスの消費量を低減できるから、省エネ性も向上する。また、グリル全体の部品点数や組立工数も削減できるから、製造コストも低廉できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、上記した本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
【0017】
図1および
図2に示すように、本発明の実施の形態に係るグリル2は、天板101の上面に単数或いは複数のコンロバーナ11を有するガスコンロ1のコンロ本体10に一体的に構成されており、コンロ本体10がグリル2の外郭を構成している。尚、本明細書では、コンロ本体10を前面(以下、「本体前面」という)103側から見たときの奥行き方向を前後方向、幅方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
【0018】
グリル2は、肉や魚等の食材を収容する略矩形箱状の加熱庫20と、加熱庫20内の食材を加熱するグリルバーナ21とを備えている。加熱庫20は、本体前面103からコンロ本体10の内部後方へ向かって延設されており、加熱庫20内への食材の出し入れ口となる開口部200は、本体前面103に開設されている。
【0019】
開口部200は、前方からグリル扉22により被閉されている。また、本体前面103におけるグリル扉22の左右位置には、コンロバーナ11の点火および消火を行うための単数或いは複数のコンロ点消火操作子13と、グリルバーナ21の点火および消火を行うためのグリル点消火操作子23とが配設されている。
【0020】
尚、図示しないが、コンロ本体10の内部には、コンロ点消火操作子13の点火操作や消火操作に連動して開閉するコンロバーナ11用のバルブユニットや、グリル点消火操作子23の点火操作や消火操作に連動して開閉するグリルバーナ21用のバルブユニット、ガス供給元管から上記各バルブユニットへガスを導くガス配管等が組み込まれている。
【0021】
コンロ本体10内における加熱庫20の後方には、加熱庫20内でグリルバーナ21から放出された燃焼ガス、及び食材から発生した油煙や臭気成分を、天板101に開設された排気口14へ導く排気筒24が配設されている。排気筒24は、加熱庫20の後壁(以下、「加熱庫後壁」という)204の上部に開設された排気筒入口240から後上方へ向かって略L字状に延設され、上端の排気筒出口241を排気口14に下方から臨ませている。
【0022】
図2および
図3に示すように、加熱庫20内の底部には、底壁(以下、「加熱庫底壁」という)202の上面に沿って前後に摺動可能なトレイ25が収容されている。トレイ25の上面には、略矩形平皿状のグリルプレート26が取り外し可能な状態で載置されている。また、加熱庫20内の上部には、グリルプレート26の下方にてグリルバーナ21から放出された燃焼ガスを、グリルプレート26の側方から上方へ導く前方視縦断面略コ字状の集熱カバー27が収容されている。
【0023】
トレイ25は、開口部200から後方へ略水平に、加熱庫後壁204の前面近傍まで延設されており、その前端面(開口部200側の端面)に、グリル扉22が連結固定されている。従って、トレイ25およびグリルプレート26は、
図1に示すように、グリル扉22を開くことで開口部200から外部前方へ引き出される。また、
図2に示すように、グリル扉22を閉じれば、加熱庫20の内部に収容される。
【0024】
図3に示すように、トレイ25は、上面にグリルプレート26が載置される略平板状のプレート支持部251と、グリルプレート26上から漏下した油や焼き汁を受ける前方視縦断面略U字状の汁受け部252とで構成されている。
【0025】
プレート支持部251は、加熱庫底壁202の上方に所定の間隙を存して略水平に配設されている。プレート支持部251の左右幅は、グリルプレート26の左右幅より小さく設定されており、汁受け部252は、プレート支持部251の左右の側縁に沿って、グリルプレート26の左右の側端縁261の下方に形成されている。
【0026】
汁受け部252は、プレート支持部251の側縁から略垂直下向きに延出する内側板(以下、「汁受け部内側板」という)31と、汁受け部内側板31の下縁から略水平外向きに延出する底板(以下、「汁受け部底板」という)32と、汁受け部底板32の外側縁からプレート支持部251の上面高さよりも上方へ斜め上方外向きに延出する外側板(以下、「汁受け部外側板」という)33とで構成されており、プレート支持部251と加熱庫底壁202との間隙における左右の汁受け部内側板31相互間(以下、「バーナ収容部」という)20Aに、グリルバーナ21が配設されている。即ち、汁受け部252は、各グリルバーナ21の外側方にそれぞれ配設されている。
【0027】
汁受け部内側板31の上下方向の略中央には、バーナ収容部20Aにてグリルバーナ21から放出された燃焼ガスを汁受け部252の内側の空間へ導出するガス導出口310が開設されている。従って、グリルバーナ21から放出された燃焼ガスは、ガス導出口310から汁受け部252の内側の空間へ導出され、さらに汁受け部外側板33の内側面に沿って上方へ導かれ、汁受け部252の上部開口250を通ってグリルプレート26の側端縁261の側方へ導かれる。
【0028】
グリルバーナ21は、二つの樋状体を上下に重ね合わせて形成された直管状のバーナであり、加熱庫後壁204から左右の汁受け部内側板31に沿ってそれぞれ前方へ略水平に延設されている。グリルバーナ21の外側端面(汁受け部252側の端面)には、ガス導出口310に対向して複数の炎孔210が並設されており、上記炎孔210からバーナ収容部20Aの外側方へ向けてガスが噴出される。
【0029】
尚、図示しないが、各グリルバーナ21の炎孔210の近傍には、それぞれ点火プラグが配設されており、グリル点消火操作子23の点火操作に連動して上記点火プラグから特定の炎孔210の周辺で火花放電させ、炎孔210から噴出されるガスを着火させる。
【0030】
図2から
図4に示すように、加熱庫底壁202の上面における左右方向の中央には、複数の空気取込口280を有する上方へ凸の前方視縦断面略コ字状の台状部28が、加熱庫後壁204の前面から前方へ向かって延設されている。
【0031】
空気取込口280は、台状部28の前面および左右の側面に沿って開設されており、グリルバーナ21が点火されるのに伴って、加熱庫20の外部の空気がグリルバーナ21の燃焼用の二次空気として空気取込口280からバーナ収容部20Aへ導入される。
【0032】
トレイ25におけるプレート支持部251の前後の側縁中央には、左右方向に延在する上方へ凸の起立片34が形成されている。一方、グリルプレート26の前後の側端中央には、起立片34と左右幅が略同一寸法の切欠44が形成されており、切欠44に起立片34が嵌入することで、グリルプレート26がプレート支持部251の上面に位置決め状態で支持される。従って、この状態でグリル扉22が閉じられると、グリルプレート26は、加熱庫20内の定位置に収容される。
【0033】
グリルプレート26は、熱伝導性の高い金属(ここでは、アルミニウム)製の板材によりプレス成形されたものであり、表面には、フッ素樹脂加工等の仕上げ塗装が施されている。尚、グリルプレート26は、鋳造や鍛造により成形されたものであってもよい。また、グリルプレート26は、熱伝導性の高い材料であれば、アルミニウムに限らず、鉄や銅等で形成されたものであってもよい。
【0034】
グリルプレート26の上面26Aには、食材との接触面積が小さくなるよう、左右方向に延在する上方へ凸の細幅のリブ262が前後方向に略等間隔で複数並設されている。また、グリルプレート26の上面26Aにおけるリブ262の左右外側方には、食材からグリルプレート26の上面26Aに滲出した油や焼き汁を回収するための下方へ凹の溝部263が、グリルプレート26の側端縁261近傍に沿って形成されている。
【0035】
グリルプレート26の下面26Bで且つ溝部263の下方には、グリルプレート26の側端縁261近傍に沿って下方へ凸の隆起部264が形成されており、グリルプレート26をトレイ25に載置した状態において、上記隆起部264の下端がプレート支持部251の側縁近傍の上面に沿って当接支持される。これにより、グリルプレート26の下面26Bとプレート支持部251との間には、所定の空間20Bが画成される。
【0036】
集熱カバー27は、熱伝導性の高い金属(ここでは、鉄)製の板材により折曲形成されたものであり、表面には、セラミック塗装や琺瑯等の仕上げ塗装が施されている。尚、集熱カバー27は、熱伝導性の高い材料であれば、鉄に限らず、銅やアルミニウム、ステンレス、セラミック等で形成されたものであってもよい。
【0037】
集熱カバー27は、加熱庫20内の上方の空間にて略水平に延設される上板(以下、「カバー上板」という)271と、カバー上板271の後縁から加熱庫20内の下方へ略垂直下向きに延設される後板(以下、「カバー後板」という)274と、カバー上板271の側縁から加熱庫20内の下方へ略垂直下向きに延設される左右一対の側板(以下、「カバー側板」という)275とからなり、加熱庫20の上壁(以下、「加熱庫上壁」という)201および側壁(以下、「加熱庫側壁」という)205を内側から覆うように、グリルプレート26の上方から側方に亘って設けられ、加熱庫20の前後方向に延設されている。
【0038】
図3に示すように、カバー上板271は、加熱庫上壁201の下方に所定の間隙20Cを存して対向している。一方、カバー側板275は、加熱庫側壁205の内側方に所定の間隙20Dを存して略平行に対向している。即ち、加熱庫20におけるグリルプレート26の上方および側方の構成壁は、空気の層(間隙20C,20D)を有する複層構造になっている。
【0039】
カバー上板271における左右方向の中央には、下方へ凸の前方視縦断面略V字状の突出部51が形成されている。また、カバー上板271における突出部51の左右位置には、カバー上板271の左右の側縁近傍から突出部51の側縁へ向かって上向きに傾斜する傾斜部52が形成されている。
【0040】
突出部51および傾斜部52は、何れもカバー上板271の前端から後端に亘って形成されている。従って、グリルバーナ21から放出された後、グリルプレート26の側方を通り、カバー側板275に沿って上方へ導かれた燃焼ガスは、傾斜部52の下面に沿って突出部51の周辺へ導かれ、さらに突出部51の下面に沿って下方、即ち、グリルプレート26の上面中央へ導かれる。
【0041】
図2に示すように、突出部51の前後方向の中央よりも前寄りの位置、および、後寄りの位置にはそれぞれ、カバー上板271と加熱庫上壁201との間隙(以下、「排気通路」という)20Cに繋がる排気導出部として、上方視横長矩形状の排気導出孔53が開設されており、加熱庫20内におけるカバー上板271とグリルプレート26との間の空間(以下、「プレート上方の空間」という)20Eは、排気導出孔53から排気通路20Cを通じて排気筒24の内部空間24Eに繋がっている。
【0042】
カバー後板274は、集熱カバー27を加熱庫20内の最後部まで収容させたとき、加熱庫後壁204の前面で且つ排気筒入口240の下縁に沿って当接し、プレート上方の空間20Eと排気筒24の内部空間24Eとを分離する隔壁となる。従って、グリルプレート26の上面中央へ導かれた燃焼ガス、及びグリルプレート26上の食材から発生した油煙や臭気成分は、加熱庫20の後部から直接排気筒24内へ導出されるのではなく、排気導出孔53を通じて排気通路20Cへ導出され、さらに排気通路20Cを通って加熱庫後壁204の排気筒入口240から排気筒24内へ導かれ、排気口14を通じてコンロ本体1の外部に排出される。
【0043】
図3および
図4に示すように、カバー側板275の下端には、略水平外向きに突出するフランジ54が形成されている。一方、加熱庫側壁205の内側面には、前後方向に延在し且つ加熱庫20の内側へ凸の支持レール55が形成されており、フランジ54は、支持レール55に上方から当接し支持される。従って、集熱カバー27は、支持レール55に沿って前後に摺動可能な状態で下方から支持され、グリル扉22を開いた状態で開口部200の前方へ摺動させれば、加熱庫20内から取り外すことができる。
【0044】
支持レール55は、上下方向に複数列(ここでは、二列)設けられており、フランジ54の支持位置を変更すれば、加熱庫20内における集熱カバー27の取り付け高さ、即ち、カバー上板271とグリルプレート26との離間距離を調整することができる。
【0045】
図3に示すように、カバー側板275は、カバー上板271の側縁から汁受け部外側板33の外側方へ向かって略垂直下向きに延設されている。一方、支持レール55のうち、最上段(ここでは、上段)の支持レール55は、プレート支持部251の上面と略同一の高さに設けられている。即ち、集熱カバー27を最上段の支持レール55に支持させたとき、カバー側板275の下端が、汁受け部外側板33の外側で且つグリルプレート26の側端縁261の高さよりも下方に位置するように構成されている。また、集熱カバー27を最上段より下側(ここでは、下段)の支持レール55上に支持させた場合、カバー側板275の下端は、汁受け部外側板33の外側で且つグリルバーナ21の炎孔210の高さよりも下方に位置する。従って、グリルバーナ21からガス導出口310を通って汁受け部252の内側の空間へ導かれた燃焼ガスは、加熱庫側壁205に接触しないでグリルプレート26の側方を通り、カバー側板275の内側面に沿ってプレート上方の空間20Eへ導かれる。
【0046】
このように、上記グリル2によれば、グリルプレート26の下方のバーナ収容部20Aにてグリルバーナ21から放出された燃焼ガスが、カバー側板275の内側面に沿ってグリルプレート26の側方からプレート上方の空間20Eへ円滑に導かれ、グリルプレート26および集熱カバー27を加熱する。その結果、グリルプレート26上の食材は、グリルプレート26からの伝導熱や輻射熱によって下方から加熱されると共に、集熱カバー27からの輻射熱やグリルプレート26の上面26A側に回り込んだ燃焼ガスの対流熱によって上方および側方から加熱される。即ち、グリルプレート26の下方から側方を通って上方へ導かれる燃焼ガスによって、グリルプレート26上の食材が上下両面から適切に加熱される。よって、食材に焼きむらが生じ難く、安定した加熱性能を発揮できる。
【0047】
しかも、このものでは、グリルプレート26の下方に設けられたグリルバーナ21のみによって食材を上下両面から適切に加熱できるから、その分、ガスの消費量を低減することが可能である。よって、省エネ性が向上する。また、加熱庫20内の上部に、食材を上方から加熱するためのバーナを別途設ける必要がないから、グリル2全体の部品点数や組立工数を削減することが可能である。よって、製造コストを低廉できる。
【0048】
また、上記グリル2では、カバー側板275に沿ってプレート上方の空間20Eへ導かれた燃焼ガスが、カバー上板271の前縁寄りの位置に設けられた排気導出孔53から排気通路20Cへ導出され、さらに排気通路20Cを通ってその後方に設けられた排気筒24の内部空間24Eへ導かれ、加熱庫20の外部へ排出されるから、集熱カバー27に対する燃焼ガスの接触時間が長く、燃焼ガス中の熱を集熱カバー27にて効率良く回収することができる。これにより、ガスの消費量を一層低減でき、省エネ性が一層向上する。
【0049】
さらに、プレート上方の空間20Eへ導かれた燃焼ガスは、カバー上板271の左右方向の中央部に形成された突出部51に沿ってグリルプレート26の上面26Aの中央へ向かって導かれるから、比較的熱が通り難い食材の中心部を適切に加熱することができる。従って、食材に焼きむらが一層生じ難く、より安定した加熱調理性能を発揮できる。
【0050】
また、上記グリル2では、カバー上板271の前縁寄りの位置および後縁寄りの位置に排気導出孔53を設けたことで、カバー上板271の前後方向の中央に比較的広い非開口面が確保されるから、プレート上方の空間20Eへ導かれた燃焼ガスを、カバー上板271の突出部51に沿ってグリルプレート26の上面26Aの中央へ確実に導くことができる。これにより、食材の中心部をより適切に加熱することができる。従って、食材に焼きむらが一層生じ難く、より安定した加熱調理性能を発揮できる。
【0051】
さらに、上記グリル2では、グリルプレート26の下面26Bの側端縁261近傍に沿って形成された隆起部264によって、グリルバーナ21から放出された燃焼ガスがグリルプレート26の下面26B側の空間20Bへ直接流入するのを抑制できるから、グリルプレート26の中央部が過熱状態になり難い。従って、食材に焼きむらが一層生じ難く、より安定した加熱調理性能を発揮できる。
【0052】
また、グリルプレート26および集熱カバー27を熱伝導性の高い材料で形成したことで、冷凍の食材を加熱調理する場合や寒冷期、使用開始初期など、加熱庫20内やグリルプレート26の温度が低い条件下においても、燃焼ガス中の熱がグリルプレート26および集熱カバー27を介して食材へ速やかに伝達されるから、食材をより適切に加熱することができると共に、ガスの消費量を低減することも可能である。よって、より安定した加熱調理性能を発揮しつつ、省エネ性も一層向上する。
【0053】
さらに、上記グリル2では、食材の厚みに合わせて集熱カバー27の取り付け高さを変更し、カバー上板271とグリルプレート26との離間距離を調整することにより、集熱カバー27から食材へ伝達される熱量を調整できるから、ガスの消費量を低減することが可能である。よって、省エネ性が一層向上する。また、食材の厚みが異なっても適切に加熱することができるから、一層安定した加熱調理性能を発揮できる。
【0054】
また、カバー側板275がカバー上板271の側縁からグリルプレート26の側端縁261近傍の高さまで延設されていることで、グリルプレート26の側方へ導かれた燃焼ガスが確実にカバー側板275に接触し、プレート上方の空間20Eへ導かれるから、燃焼ガス中の熱を集熱カバー27にてより効率良く回収することができる。これにより、ガスの消費量を一層低減でき、省エネ性が一層向上する。
【0055】
さらに、汁受け部外側板33が、カバー側板275の内側で且つプレート支持部251の上面高さよりも上方、即ち、カバー側板275の下端よりも上方へ延設されていることで、グリルプレート26の側方へ導かれた燃焼ガスが汁受け部外側板33の内側面に沿ってカバー側板275の内側へ円滑に導かれるから、燃焼ガス中の熱を集熱カバー27にてより効率良く回収することができる。これにより、ガスの消費量を一層低減でき、省エネ性が一層向上する。
【0056】
また、加熱庫20の内側に、グリルプレート26の上方から側方に亘って集熱カバー27を設けたことで、食材から飛散した油や焼き汁は、主に集熱カバー27の内側表面に付着するから、加熱庫上壁201や加熱庫側壁205が汚れ難い。しかも、集熱カバー27は、加熱庫20内から取り外して清掃することができるから、メンテナンス性も高い。
【0057】
また、上記グリル2では、加熱庫20におけるグリルプレート26の上方および側方の構成壁が、空気の層(間隙20C,20D)を有する複層構造になっているから、加熱庫20内の熱が外部に伝わり難く、コンロ本体10内部のバルブユニットや制御回路など、他の構成部品に対する熱的負荷を軽減できる。これにより、上記熱的負荷に起因する機器の動作不良や故障、変形などの不具合を防止できる。
【0058】
尚、
図5に示すように、集熱カバー27は、カバー上板271の側縁とカバー側板275の上縁とのコーナー部277が円弧曲面状に形成されたものとしてもよい。このものでは、グリルプレート26の側方からカバー側板275に沿って上方へ導かれた燃焼ガスが、コーナー部277の内側の湾曲面に沿って流れ、集熱カバー27の内側中央へ向けて円滑に導かれるから、グリルプレート26上の食材をより適切に加熱することができる。これにより、一層安定した加熱調理性能を発揮できる。
【0059】
上記実施の形態では、プレート上方の空間20Eと排気通路20Cとを繋ぐ排気導出部として、カバー上板271における前後方向の中央よりも前寄りの位置および後寄りの位置にそれぞれ、上方視横長矩形状の排気導出孔53が設けられたものを説明したが、集熱カバー27からの輻射熱によって食材の中心部を適切に加熱可能で、且つ、グリルプレート26上方の空間へ導かれた燃焼ガスや食材から発生した油煙等を円滑に排気通路20Cへ導出可能な位置であれば、カバー上板271における左右のコーナー部277寄りの位置にそれぞれ、排気導出孔53が設けられたものであってもよいし、カバー上板271の前端縁に、所定幅の切欠が設けられたものとしてもよい。
【0060】
また、上記実施の形態では、二つの直管状のグリルバーナ21が、トレイ25の左右の汁受け部252の内側に沿ってそれぞれ延設されたものを説明したが、上方視略U字状のグリルバーナであって、その左右両側の直管部が上記グリルバーナ21と同様、トレイ25の左右の汁受け部252の内側に沿って延設されたものとしてもよい。
【0061】
また、上記実施の形態では、グリルプレート26を支持するプレート支持部251と、油や焼き汁を受ける汁受け部252とが、加熱庫20内から引き出し可能なトレイ25として一体で構成され、且つ、グリル扉22の後面に連結固定されたものを説明したが、グリル扉22の後面から加熱庫20内部後方へ延設されたガイド枠の上部に、グリルプレート26を支持するためのプレート支持枠と、油や焼き汁を受けるための汁受け皿とが、それぞれ別個に取り外し可能な状態で載置されたものとしてもよい。
【0062】
本発明は、キッチンのテーブルに載置して使用されるテーブルコンロや、キッチンのカウンタトップに開設されたコンロ取付孔に落としこみ状態で装着されるビルトインコンロなど、天板101の上面に単数或いは複数のコンロバーナ11を備えたガスコンロのグリルに限らず、天板101の上面にコンロバーナ11を有しないグリル装置にも適用できる。